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1. (WO2018181110) 低融点封止材及び電子部品
Document

明 細 書

発明の名称 低融点封止材及び電子部品

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009  

課題を解決するための手段

0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034  

実施例

0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052  

産業上の利用可能性

0053  

符号の説明

0054  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : 低融点封止材及び電子部品

技術分野

[0001]
 本発明は,無機低融点組成物を含んでなる低融点封止材に関する。

背景技術

[0002]
 種々の無機低融点組成物が電気・電子機器業界において様々な用途で用いられている。例えば,水晶振動子,LED素子のような電気・電子部品の封止において,低融点(例えば,250℃)のAu-Sn合金はんだペーストや封止用ガラスフリットが,これをそれらの部品に塗布し焼成するという方法で用いられている。
[0003]
 Au-Sn合金(特許文献1)は以前より用いられてきた材料であり信頼性はあるが,金を成分に含むため非常に高価である。
[0004]
 このため,封止材の調製に用いられる低融点ガラスとしては,より安価なPbO系ガラスやV 系ガラスも知られている。例えば,400℃未満の温度で封止可能なPbO系ガラス(特許文献2)や350℃以下で焼成可能なV 系ガラス(特許文献3)が知られている。
[0005]
 他方,酸化銀及び/又はハロゲン化銀と他の金属酸化物(Pb,Vであってよい)を含んでなる,300~330℃で使用できる封止材料が知られている(特許文献4)。
[0006]
 また,酸化銀,五酸化燐及びヨウ化銀を含んでなる封止材料が知られている(特許文献5,6)。
[0007]
 このような状況において,近年,電気・電子材料の回路構成等の益々の微細化が進むのに伴い,より信頼性が高く且つ安価な封止材が求められるようになっているが,その要請には未だ十分に応えられていない。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 特開平9-122969号公報
特許文献2 : 特開昭61-261233号公報
特許文献3 : 特開2013-32255号公報
特許文献4 : 特開平5-147974号公報
特許文献5 : 特開2000-183560号公報
特許文献6 : 特開2001-328837号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 本発明の一目的は,500℃以下,好ましくは350℃以下という低い温度領域において熱処理するとき,よく流動し,その後の冷却固化により低い熱膨張係数を示す低融点封止材を提供すること,及び更に好ましくは,そのような封止材であって且つ比較的高い熱処理温度や比較的長時間の熱処理が行われても熱膨張係数の変化が小さいものを提供することである。本発明の更なる一目的は,一度封止したものから封止材を剥がして再利用することや,一度封止した機器を再加熱して封止を解き,機器内部を修理・調整等した後熱処理により再度封止すること(再作業)が可能な封止材を提供することである。再利用性・再作業性に優れた封止材は省資源化・省エネルギー化に寄与する封止材である。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明者は,Ag及びOを所定範囲内の割合で含有する無機の低融点組成物と各種化合物との反応性を調査し,Fe合金及びNi合金は該低融点組成物との反応性が低いことを見出した。また,該合金をフィラーとして用いることで,低い熱膨張係数を示す封止材を得られることも見出した。本発明は,これらの発見に更に検討を加えて完成するに至ったものである。すなわち,本発明は以下を提供する。
[0011]
 1.低融点組成物50~95体積%とフィラー5~50体積%とを含んでなる低融点封止材であって,
 該低融点組成物が,Ag及びOを必須の構成要素として含んでなる融点が500℃を超えない非金属組成物であり,該低融点封止材がFe合金及びNi合金から選ばれる合金の1種以上からなるフィラーを少なくとも5体積%含んでなるものである,低融点封止材。
 2.低融点組成物50~95体積%,フィラー5~50体積%を含有する低融点封止材であって,
 該低融点組成物が,Ag及びOを必須の構成要素として含み,且つ,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Zn,B,Ge,Pb,P,Bi及びTeから選ばれる1種以上を含んでなる融点が500℃を超えない非金属組成物であり,該低融点封止材がFe合金及びNi合金から選ばれる合金の1種以上からなるフィラーを少なくとも5体積%含んでなるものである,低融点封止材。
 3.所定質量の該低融点組成物中,
 (a)正のイオン価を有する全原子のモル数の和に対しAg原子のモル数の占める割合が20~98%であり,
 (b)負のイオン価を有する全原子のモル数の和に対し,I原子のモル数の占める割合が0~90%,及びO原子のモル数の占める割合が10~100%である,
 上記1又は2の低融点封止材。
 4.所定質量の該低融点組成物中,
(c)正のイオン価を有する全原子のモル数の和に対しV,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Zn,B,Ge,Pb,P,Bi,及びTe原子のモル数の和の占める割合が2~80%である,
 上記3の低融点封止材。
 5.所定質量の該低融点組成物中,負のイオン価を有する全原子のモル数の和に対し,I原子のモル数の占める割合が1%以上及びO原子のモル数の占める割合が99%以下である,上記1~4の何れかの低融点封止材。
 6.所定質量の該低融点組成物中,負のイオン価を有する全原子のモル数の和に対し,F,Cl,Br原子のモル数の和の占める割合が3%超えないものである,上記1~5の何れかの低融点封止材。
 7.所定質量の該低融点組成物中,正のイオン価を有する全原子のモル数の和に対し,P原子のモル数の占める割合が25%以下である,上記1~6の何れかの低融点封止材。
 8.所定質量の該低融点組成物中,正のイオン価を有する全原子のモル数の和に対し,V,Mo,W,Ge,P及びTe原子のモル数の和の占める割合が2~80%である,上記1~7の何れかの低融点封止材。
 9.該Fe合金及びNi合金から選ばれる合金が,Fe-Ni合金及びFe-Co合金である上記1~8の何れかの低融点封止材。
 10.上記1~9の何れかの低融点封止材で封止された電子部品。
 11.水晶振動子,半導体素子,SAW素子又は有機EL素子である,上記10の電子部品。

発明の効果

[0012]
 本発明の低融点封止材は,これを封止対象の表面に適用し,大気中で500℃を超えない,好ましくは350℃を超えない幅広い温度領域において加熱融解させて表面上に適宜広げた後,冷却させ固化させることで,熱膨張係数の低い封止層を形成できるため,低熱膨張係数の材質からなる封止対象を効果的に封止することができる。更に,当該低融点封止材は,長時間又は高温の熱処理が行われても熱膨張係数の変化も小さく,このため再利用性・再作業性に優れる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 図1は,封止材を用いた水晶振動子の構造を分解した状態で示す模式図である。

発明を実施するための形態

[0014]
 本明細書において,「低融点」の語は,融点が500℃を超えないことを意味し,好ましくは450℃を超えず,より好ましくは400℃を超えず,更に好ましくは350℃を超えないことを意味する。本発明の低融点封止材は,これを構成する低融点組成物の融点に適した用途に使用できる。例えば,250~350℃の融点を有する低融点組成物を含んでなる低融点封止材は,Au-Sn合金封止材の安価な代替材料として用いることができる。また,融点が250℃を超えない低融点組成物を含んでなる低融点封止材は,Au-Sn合金はんだが既に用いられている電子部品に更に封止を施す場合にも好都合に使用できる。
[0015]
 本発明における低融点組成物は,酸化物イオンを多量に含んでいるため,金属である銀ロウや銀含有錫はんだ等(これらの電気抵抗率は10 -8~10 -5Ω・mの範囲内である)とは異なり,電気抵抗率が10 -2Ω・m以上はある非金属材料である。
[0016]
 本発明において低融点組成物につきその構成要素の割合を規定するに際し,「所定質量」の該組成物というとき,「所定質量」の語は特定の固定された質量を意味せず,任意の質量であってよい。本発明は,特定の1種又は2種以上の原子について,当該原子と同じ符号のイオン価を有する全原子のモル数の和に対する当該特定の原子(1種又は2種以上)のモル数の割合(%)が求まればよいからである。
[0017]
 なお,本明細書において,低融点組成物中,正のイオン価を有する全原子のモル数の和に対する同符号のイオン価を有する特定の原子(1種又は2種以上)のモル数の占める割合を,便宜上それ(ら)特定の原子の「カチオン%」ともいう。負のイオン価を有する原子の場合,同様に「アニオン%」ともいう。
[0018]
 本発明において,Agは低融点組成物の必須成分である。Agは,本発明における低融点組成物の液相線温度を低下させる効果やガラス相を形成させる効果がある。この効果のためには,Agの含有量は,好ましくは20~98カチオン%,より好ましくは29~95カチオン%,更に好ましくは39~92カチオン%である。
[0019]
 本発明において,Oは低融点組成物の必須成分である。Oは本発明における低融点組成物の液相線温度を低下させる効果やガラス相を形成させる効果がある。この効果のためには,Oの含有量は,好ましくは10アニオン%以上,より好ましくは20アニオン%以上,更に好ましくは27アニオン%以上である。
[0020]
 本発明において,低融点組成物には,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Zn,B,Ge,Pb,P,Bi及びTeから選ばれる1種以上を任意成分として含有させることが好ましい。これらの元素を含有させることで,低融点組成物にガラス相を形成させやすくすることができる。V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Zn,B,Ge,Pb,P,Bi及びTeから選ばれる1種以上の合計含有量は好ましくは2~80アニオン%,より好ましくは3~71アニオン%,更に好ましくは5~61アニオン%である。
[0021]
 本発明において,Iは低融点組成物の任意成分である。Iは本発明における低融点組成物の液相線温度を著しく低下させるため,封着対象に対する封着材の封着プロセスの温度や,封着後の封着材に求められる耐熱温度に合わせて,その含有量を調整することができる。また,Iは低融点組成物の弾性率を低下させるため,高弾性率のフィラーと複合化されてなる低融点封止材の熱膨張係数を下げる効果がある。液相線温度を低下させるためのIの含有量は,好ましくは90アニオン%以下,より好ましくは80アニオン%以下,更に好ましくは73アニオン%以下である。また,低融点封止材の熱膨張係数を下げるための,Iの含有量は好ましくは1アニオン%以上,より好ましくは3アニオン%以上,更に好ましくは5アニオン%以上である。
[0022]
 本発明において,F,Cl,Brは低融点組成物の任意成分である。F,Cl,Brは,低融点封止材にフィラーとして含まれるFe-Ni合金及びFe-Co合金の腐食を招くおそれがあるため,それらの含有量は合計で好ましくは3アニオン%以下,より好ましくは1アニオン%以下であり,実質的に含まないことが更に好ましい。ここに,F,Cl,Brを「実質的に含まない」とは,不純物としてそれらが微量に混入する場合でも,その含有量が,0.1アニオン%以下であることをいう。
[0023]
 本発明において,Pは低融点組成物の任意成分である。但し,Pには低融点封止材の熱膨張係数を増大させる作用があり,また,Pの含有は耐水性の悪化を招くおそれがある。熱膨張係数を増大させ過ぎずまた耐水性に特に優れた低融点組成物を(従って,低融点封止材を)得るには,低融点組成物中のPの含有量は,好ましくは25カチオン%以下であり,より好ましくは10カチオン%以下,更に好ましくは1カチオン%以下である。
[0024]
 本発明において,低融点組成物は,任意のカチオン成分としてLi,Na,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,ランタノイド元素,Ti,Zr,Hf,Fe,Co,Ni,Cu,Al,Ga,In,Si,Sn,N,Sb及びSを含有してもよい。これら任意の成分は,固相線温度,液相線温度,熱膨張係数,弾性率等の調整のために含有させることができる。これら任意の酸化物成分の含有量は合計で,好ましくは10カチオン%以下,より好ましくは8カチオン%以下,更に好ましくは5カチオン%以下である。
[0025]
 本発明において,低融点組成物は,加熱し融解することで目的の低融点組成物を与えることになるように予め調合された各種原料試薬粉末の混合物の形で提供してもよい。また,そのような混合物を加熱し溶融した後に冷却することで得られる,固溶体や複ハロゲン化物,ガラス相が形成されている形態の材料とすることもできる。固溶体や複ハロゲン化物,ガラス相が形成されていると,より短時間の加熱で融解しやすい組成物となることから,そのような形態の組成物であることがより好ましい。また,本発明において,低融点組成物は,酸,塩基,又は塩を含んだ水溶液を反応させ沈殿させることによっても製造することができる。
[0026]
 本発明の低融点封止材は,熱膨張係数を下げて封止特性を向上させるために,Fe合金又はNi合金からなるフィラーを含んだ形態のものとする。フィラーとしてFe合金又はNi合金を用いることで,低い熱膨張係数を示す低融点封止材となるだけでなく,比較的高い熱処理温度や比較的長時間の熱処理が行われても熱膨張係数の変化が小さい低融点封止材となる。これにより,一度封止したものから低融点封止材を剥がして再利用することや,一度封止した機器を再加熱して封止を解き,機器内部を修理・調整等した後熱処理により再度加熱し封止すること(再作業)などが可能となる。なお本明細書において,Fe合金とはFeを30質量%以上含有する合金を意味し,Ni合金とはNiを30質量%以上含有する合金を意味する。
[0027]
 Fe合金としては,Fe-Ni合金又はFe-Co合金を用いるのが好ましい。Fe-Ni合金とは,インバー(Ni:36質量%),スーパーインバー(Ni:32質量%,Co:5質量%)に代表されるFeを40~70質量%,Niを10~50質量%,Coを0~20質量%含有するものを意味する。Fe-Co合金とは,ステンレスインバー(Co:52質量%,Cr:11質量%)に代表されるFeを30~70質量%,Coを20~70質量%,Crを0~15質量%含有するものを意味する。フィラーの熱膨張係数は70×10 -7/K以下であることが好ましく,30×10 -7/K以下であることがより好ましく,10×10 -7/K以下であることが更に好ましい。急速冷却,急速加熱等の過酷な環境下においても特に優れた封止特性を得るためには,低融点封止材の熱膨張係数が封止対象の熱膨張係数と近い値となるような量のFe合金又はNi合金フィラーを使用すればよい。より具体的には,低融点封止材中のFe合金又はNi合金フィラーの含有率は,5~50体積%の範囲内である。
[0028]
 更に,熱・電気・磁気等に対する性能付加の観点から,低融点封止材は,Fe合金又はNi合金以外に種々のフィラーを含んだ形態のものとすることができる。フィラーのD 50(50%径。レーザー回折・散乱式粒度分布計を用いて測定した体積基準の粒度分布において小粒子径側から数えて累積50%となる粒子径)は1μm~30μmであることが好ましく,1μm~20μmであることがより好ましく,1μm~15μmであることが更に好ましい。流動性の高い低融点封止材を得る観点からは各種フィラーの合計の含有率は50体積%以下であり,好ましくは40体積%以下である。
[0029]
 また,本発明の低融点封止材は,粉末やビーズ,ロッド状等に加工して用いることができる。作業性の向上という点からは水,有機溶剤等と混合してペースト状としても用いることができる。
[0030]
 本発明の低融点封止材を用いて封止する場合,封止対象は,その表面が,種々の金属,非金属(無機酸化物等)で構成されたものであることができる。
[0031]
 本発明の低融点封止材を用いて封止するとき,作業雰囲気は酸素を含んでいてもいなくてもよい。従って,本発明の低融点封止材での封止は大気中において行えるため,雰囲気の調整が不要となり,操作が簡便となる点で好ましい。封止に際しては,封止対象に圧力をかけて接着性を更に高めることもでき,また,低融点封止材に振動を与えて融解を促進させることもできる。
[0032]
本発明の低融点封止材を用いて封止した後,結晶化させることで,封止材の熱膨張係数を低下させること,機械的強度を向上させること,耐熱衝撃性を向上させることができる。結晶化させるにはガラス転移点以上,液相線温度以下に一定時間保持すればよい。
[0033]
 本発明の低融点封止材は種々の電子部品,例えば,水晶振動子,半導体素子,SAW素子,有機EL素子に使用できる。その他,水素・ヘリウムのような低分子・低原子量のガスの透過が問題となる部品の封止や,真空を保つことが必要になる部品の封止に使用できる。
[0034]
 本発明の低融点封止材12を用いた水晶振動子の構造を,分解した状態で図1に模式的に示す。
実施例
[0035]
 以下,実施例を参照して本発明の特徴をより具体的に説明するが,本発明がそれらの実施例に限定されることは意図しない。
[0036]
〔低融点組成物の製造〕
 表1~2に従い,組成物1~11の各々につき,合計5gとなるよう原料を秤量し,乳鉢で粉砕・混合して粉末とした。得られた粉末5gを磁製ルツボに入れた。ルツボを大気中,400~550℃に加熱した炉内へ入れ,10分間保持して原料混合物を溶融した。融液を室温にてグラファイト板上へ流し出すことにより急冷してバルクを得た。また,バルクを乳鉢で粉砕して,粉末形態の低融点組成物を得た。
[0037]
〔封止材の製造〕
 表3~6に従い,実施例1~12及び比較例1~10につき,各低融点組成物の粉末と各フィラー粉末を乳鉢で混合し,封止材とした。フィラー粉末の詳細は以下の通りである。
(a)スーパーインバー:D 50=12.4μm,アトマイズ法により作製された球状粉末
(b)β-ユークリプタイト:D 50=5μm,粉砕品
(c)ZrW :D 50=12μm,粉砕品
(d)コージェライト:D 50=3μm,粉砕品
(e)Al TiO :D 50=3.7μm,粉砕品
(f)石英ガラス:D 50=1.5μm,粉砕品
[0038]
〔焼結体の作製〕
 上記で調整した実施例1~12及び比較例1~10の封止材粉末をSUS430製の型へ入れ,表3~6に示す温度条件で焼結させ,室温まで冷却し,一部の封止材はそのままとし,他の封止材には再度,表3~6に示す温度条件で結晶化処理を施した。
[0039]
〔物性の評価〕
[0040]
 1.低融点組成物とフィラーの反応性の評価
 実施例1及び比較例1~4の封止材(焼結体)を乳鉢で粉砕し,粉末を得た。これらの粉末について粉末X線回折装置(型名「RINT2500VL」,(株)リガク製)を用いて粉末X線回折パターンを取得した。X線にはCuKα線を用い,2θ=10~60deg.の回折パターンを取得した。フィラー由来の最強線の積分強度を算出した。最強線の回折ピーク角度は表3に示す。220℃での焼結による焼結体で得られた最強線の強度を基準(100%)として,300℃で再度焼結した焼結体で得られた最強線の相対強度を算出した結果を表3に示す。
[0041]
 表3に見られるように,フィラーとしてスーパーインバーを用いたもの(実施例1)では,300℃で焼結した焼結体の相対強度が97%と殆ど低下せず比較例1~4での各値に比べて顕著に高く維持されており,低融点組成物とスーパーインバーとは反応性が低いことが分かる。
[0042]
 2.熱膨張係数の評価
 組成物1~11の各バルク並びに,実施例2~12及び比較例5~10の各焼結体を,直径5mm×高さ20mmの円柱状に切削加工してサンプルとした。各円柱状サンプルと石英ガラスにより形成された標準試料とを用い,熱機械測定装置(型名「TMA8310」,(株)リガク製)中で室温から10K/分の速度で昇温して熱膨張曲線の測定を行い,30℃~50℃までに観測される熱膨張係数の値を平均して各サンプルの熱膨張係数(α30-50℃)とした。結果は表1,2,4~6に示す。
[0043]
 表4より,フィラーにスーパーインバーを用いた実施例2は,220℃で焼結した場合と300℃で焼結した場合の熱膨張係数の変化の程度が小さいことが分かる。また,実施例2~12いずれも比較的低い熱膨張係数を示していることが分かる。
[0044]
 3.接着可能温度の評価
 25mm角,1.3mm厚のガラス板(ソーダライムガラス)の空気面(非錫面)上に実施例2~12,比較例10の何れかの組成物粉末0.04gを載せ,粉末上に,上記と同寸同材質のガラス板1枚を,重ね合わせた。粉末を間に挟んで重ね合わされたそれらのガラス板を電気炉へ入れた。5℃/分で所定の温度(200~400℃の間の特定温度)まで昇温した後,同温度で1時間保持し,加熱を止め放冷した。炉から取り出した重なったガラス板を試験片とした。接着性は次の基準で評価した。
[0045]
(a)ガラス板同士が接着されていない:接着性なし(評価×)
(b)ガラス板同士が接着されていたが,封止材はあまり流動していなかった:接着性有り(評価○)
(c)ガラス板同士が接着されており,かつ,封止材はよく流動していた:接着性有り,流動性良好(評価◎)
評価結果は表5,6に示す。
[0046]
 実施例2~12の何れの封着材についても,接着性を示す温度が400℃以下において認められ,またその温度において流動性も良好であった。
[0047]
[表1]


[0048]
[表2]


[0049]
[表3]


[0050]
[表4]


[0051]
[表5]


[0052]
[表6]


産業上の利用可能性

[0053]
 本発明の低融点組成物は,水晶振動子,LED素子のような電気電子部品に用いる封止材,封止方法に用いることができ,有用である。

符号の説明

[0054]
10 蓋
12 封止材
14 セラミック基板
16 水晶振動子

請求の範囲

[請求項1]
 低融点組成物50~95体積%とフィラー5~50体積%とを含んでなる低融点封止材であって,
 該低融点組成物が,Ag及びOを必須の構成要素として含んでなる融点が500℃を超えない非金属組成物であり,該低融点封止材がFe合金及びNi合金から選ばれる合金の1種以上からなるフィラーを少なくとも5体積%含んでなるものである,低融点封止材。
[請求項2]
 低融点組成物50~95体積%,フィラー5~50体積%を含有する低融点封止材であって,
 該低融点組成物が,Ag及びOを必須の構成要素として含み,且つ,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Zn,B,Ge,Pb,P,Bi及びTeから選ばれる1種以上を含んでなる融点が500℃を超えない非金属組成物であり,該低融点封止材がFe合金及びNi合金から選ばれる合金の1種以上からなるフィラーを少なくとも5体積%含んでなるものである,低融点封止材。
[請求項3]
 所定質量の該低融点組成物中,
 (a)正のイオン価を有する全原子のモル数の和に対しAg原子のモル数の占める割合が20~98%であり,
 (b)負のイオン価を有する全原子のモル数の和に対し,I原子のモル数の占める割合が0~90%,及びO原子のモル数の占める割合が10~100%である,
 請求項1又は2の低融点封止材。
[請求項4]
 所定質量の該低融点組成物中,
(c)正のイオン価を有する全原子のモル数の和に対しV,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Zn,B,Ge,Pb,P,Bi,及びTe原子のモル数の和の占める割合が2~80%である,
 請求項3の低融点封止材。
[請求項5]
 所定質量の該低融点組成物中,負のイオン価を有する全原子のモル数の和に対し,I原子のモル数の占める割合が1%以上及びO原子のモル数の占める割合が99%以下である,請求項1~4の何れかの低融点封止材。
[請求項6]
 所定質量の該低融点組成物中,負のイオン価を有する全原子のモル数の和に対し,F,Cl,Br原子のモル数の和の占める割合が3%超えないものである,請求項1~5の何れかの低融点封止材。
[請求項7]
 所定質量の該低融点組成物中,正のイオン価を有する全原子のモル数の和に対し,P原子のモル数の占める割合が25%以下である,請求項1~6の何れかの低融点封止材。
[請求項8]
 所定質量の該低融点組成物中,正のイオン価を有する全原子のモル数の和に対し,V,Mo,W,Ge,P及びTe原子のモル数の和の占める割合が2~80%である,請求項1~7の何れかの低融点封止材。
[請求項9]
 該Fe合金及びNi合金から選ばれる合金が,Fe-Ni合金及びFe-Co合金である請求項1~8の何れかの低融点封止材。
[請求項10]
 請求項1~9の何れかの低融点封止材で封止された電子部品。
[請求項11]
 水晶振動子,半導体素子,SAW素子又は有機EL素子である,請求項10の電子部品。

図面

[ 図 1]