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1. (WO2018181100) ハニカム構造体及び排ガス浄化装置
Document

明 細 書

発明の名称 ハニカム構造体及び排ガス浄化装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010   0011   0012   0013  

課題を解決するための手段

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023  

発明の効果

0024  

図面の簡単な説明

0025  

発明を実施するための形態

0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116  

実施例

0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149  

符号の説明

0150  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : ハニカム構造体及び排ガス浄化装置

技術分野

[0001]
 本発明は、ハニカム構造体及び該ハニカム構造体を備える排ガス浄化装置に関する。

背景技術

[0002]
 ディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出される排ガスには、粒子状物質(PM:particulate matter)、窒素酸化物(NOx)、炭化水素、一酸化炭素等の有害成分が含まれており、これらの有害物質を除去するために様々な手法が検討されている。特にトラック、バス等のディーゼル車から排出されるPMやNOxが都市部の大気汚染の一因となっていることから、ますますこれらの有害物質に対する規制が強化されている。
[0003]
 PMについては、排ガスの流路中に配置した濾過機能を有するハニカム構造体にPMを捕集し、PMが所定量堆積したところで、ハニカム構造体を加熱してPMを燃焼分解することにより除去することができる。しかし、PMの燃焼温度は550℃~650℃と高いことから、装置が大がかりになり、また加熱するためのエネルギーコストが高くなる問題がある。より低温でPMを燃焼するために、触媒を担持したハニカム構造体が用いられている。このような触媒としては、白金が知られている。しかし、白金は、生産量が極めて少なく、需給バランスや価格が大きく変動するリスクがある。そこで、特許文献1では、アルカリ金属と、Siと、Zrとを含む複合酸化物粒子であることを特徴とする排ガス浄化触媒が提案されている。
[0004]
 NOxについては、NOx還元触媒を担持したハニカム構造体を排ガスの流路中に配置することで除去することができる。例えば、ハニカム構造体にゼオライト系触媒を担持し、そこへ尿素等のアンモニア前駆物質から得られる還元剤又はアンモニア自体を注入することにより、NOxを反応式(1)~(3)のように窒素へ還元する選択的接触還元(SCR:selective catalytic reduction)が挙げられる。
[0005]
    4NH +4NO+O →4N +6H O  (1)
    2NH +NO+NO →2N +3H O  (2)
    8NH +6NO →7N +12H O   (3)
[0006]
 PMとNOxとの両方を除去するために、PMを除去する装置とNOxを除去する装置とが、それぞれ独立した装置として排ガスの流路中に配置されてきた。しかしながら、市場のダウンサイジングの要請から、PMを除去する装置とNOxを除去する装置とを一体化させた装置が望まれている。また、従来、PMを燃焼除去するための触媒として用いられる白金やパラジウムは、SCRに用いられる還元剤を酸化し、SCR機能を阻害することが知られている。そこで、特許文献2では、アルカリ金属から選ばれる1種または2種以上の元素とZr、Si、Al、及びTiから選ばれる1種または2種以上の元素とを含む酸化物と、シリカ/アルミナ比が15以上であるゼオライトとを備えるハニカム構造体を用いることが提案されている。
[0007]
 PMを除去する装置とNOxを除去する装置とを一体化する市場要望の一方で、PMがNOx還元触媒に付着するとNOx還元率が低下する。そこで、特許文献3では、ウォールフロー型のハニカム構造体の壁面を、NOx還元触媒からなるNOx還元触媒層により被覆し、さらに酸化触媒からなる酸化触媒層により被覆することが提案されている。
[0008]
 一方で、アルカリ金属から選ばれる元素を含有する酸化物として、レピドクロサイト型チタン酸塩化合物が知られている(特許文献4、特許文献5及び特許文献6)。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 国際公開第2013/136991号パンフレット
特許文献2 : 国際公開第2015/029853号パンフレット
特許文献3 : 特開2000-282852号公報
特許文献4 : 国際公開第2002/010069号パンフレット
特許文献5 : 国際公開第2003/037797号パンフレット
特許文献6 : 特開2015-67508号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 しかし、特許文献2のハニカム構造体では、PMの燃焼性能と、NOxの除去効率が十分ではないという問題がある。また、特許文献3においては、PMを燃焼除去するための酸化触媒として貴金属系触媒が開示されているのみであり、その他の酸化触媒については何ら開示されていない。
[0011]
 排ガス中のPMを燃焼除去するための触媒(以下「PM燃焼触媒」と略記する)に用いられるアルカリ金属系触媒と、排ガス中のNOxを窒素へ還元する選択的接触還元するための触媒(以下「SCR触媒」と略記する)とが共存すると、アルカリ金属系触媒に含まれるアルカリ金属イオンがSCR触媒と反応し、SCR触媒としての機能が損なわれるという問題がある。
[0012]
 この点に関し、特許文献4~特許文献6では、レピドクロサイト型チタン酸塩化合物のアルカリの溶出が多いことが記載されている。また、特許文献4~特許文献6では、摩擦調整材としての使用方法しか記載されていない。
[0013]
 本発明の目的は、PMの燃焼性能及びNOxの除去効率に優れたハニカム構造体及び該ハニカム構造体を備える排ガス浄化装置を提供することを主な目的とする。

課題を解決するための手段

[0014]
 本発明は、以下のハニカム構造体及び該ハニカム構造体を備えた排ガス浄化装置を提供する。
[0015]
 項1 長手方向に沿って、一方の端面から他方の端面に延伸している複数のセルがセル壁によって区画された形状を有し、ゼオライトを含む、ハニカム構造体本体と、前記ハニカム構造体本体における前記セル壁の表面に坦持されている、チタン酸塩化合物とを備え、前記チタン酸塩化合物が、TiO 八面体の連鎖により形成される層状構造を有し、Ti席の一部がLi、Mg、Zn、Ga、Ni、Cu、Fe、Al及びMnから選ばれる1種又は2種以上の元素で置換され、前記層状構造における層間にLiを除くアルカリ金属から選ばれる1種又は2種以上の元素のイオンが配位したレピドクロサイト型チタン酸塩化合物であることを特徴とする、ハニカム構造体。
[0016]
 項2 前記チタン酸塩化合物におけるTi席の10モル%~40モル%が、Li、Mg、Zn、Ga、Ni、Cu、Fe、Al及びMnから選ばれる1種又は2種以上の元素で置換されていることを特徴とする、項1に記載のハニカム構造体。
[0017]
 項3 前記チタン酸塩化合物が、A Ti (2-y)〔式中、AはLiを除くアルカリ金属の1種又は2種以上、MはLi、Mg、Zn、Ga、Ni、Cu、Fe、Al及びMnから選ばれる1種又は2種以上、xは0.2~1.0、yは0.25~1.0の数〕、A 0.2~0.7Li 0.27Ti 1.733.7~3.95〔式中、AはLiを除くアルカリ金属の1種又は2種以上〕、A 0.2~0.7Mg 0.40Ti 1.63.7~3.95〔式中、AはLiを除くアルカリ金属の1種又は2種以上〕、A 0.5~0.7Li (0.27-x)Ti (1.73-z)3.85~3.95〔式中、AはLiを除くアルカリ金属の1種又は2種以上、MはMg、Zn、Ga、Ni、Cu、Fe、Al及びMnから選ばれる1種又は2種以上(但し、2種以上の場合は異なる価数のイオンの組み合わせは除く)、xとzは、Mが2価金属のとき、x=2y/3、z=y/3、yは0.004≦y≦0.4であり、Mが3価金属のとき、x=y/3、z=2y/3、yは0.004≦y≦0.4〕から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、項1又は項2に記載のハニカム構造体。
[0018]
 項4 前記ハニカム構造体における見かけ体積当たりのチタン酸塩化合物量が1g/L以上であることを特徴とする、項1~項3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
[0019]
 項5 前記ゼオライトが、MOR型ゼオライト、FAU型ゼオライト、A型ゼオライト、L型ゼオライト、BEA型ゼオライト、MFI型ゼオライト及びCHA型ゼオライトから選ばれる1種類又は2種類以上であることを特徴とする、項1~項4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
[0020]
 項6 前記ゼオライトのシリカ/アルミナ比が4以上であることを特徴とする、項1~項5のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
[0021]
 項7 前記チタン酸塩化合物が排ガス中に含まれる粒子状物質を燃焼するために用いられる触媒であり、前記ゼオライトが排ガス中に含まれる窒素酸化物を窒素に還元するために用いられる触媒であることを特徴とする、項1~項6のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
[0022]
 項8 前記ハニカム構造体がハニカムフィルタであることを特徴とする、項1~項7のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
[0023]
 項9 項1~項8のいずれか一項に記載のハニカム構造体を備えることを特徴とする、排ガス浄化装置。

発明の効果

[0024]
 本発明によれば、PMの燃焼性能及びNOxの除去効率に優れたハニカム構造体を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0025]
[図1] 図1は、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体に用いるハニカム構造体本体の第1の形態を説明するための模式的斜視図である。
[図2] 図2は、図1のハニカム構造体本体の変形例の端面を示す模式図である。

発明を実施するための形態

[0026]
 以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
[0027]
 本発明のハニカム構造体は、長手方向に沿って、一方の端面から他方の端面に延伸している複数のセルがセル壁によって区画された形状を有し、ゼオライトを含む、ハニカム構造体本体と、ハニカム構造体本体におけるセル壁の表面に坦持されている、チタン酸塩化合物とを備えることを特徴とする。チタン酸塩化合物は、セル壁の表面の一部又は全てに担持されている。
[0028]
 <ハニカム構造体本体>
 ハニカム構造体本体におけるゼオライトの存在形態としては、大別して2種類の形態がある。
[0029]
 第1の形態では、ゼオライトがハニカム構造体本体のセル壁の骨格部を形成する。すなわち、ハニカム構造体本体のセル壁は、ゼオライトを含む材料(通常、ゼオライトを主体とする材料)で構成される。
[0030]
 第2の形態では、ゼオライトが、ハニカム構造体本体におけるセル壁の表面の一部又は全てに担持されている。もっとも、NOxの除去効率とPMによるハニカム構造体の圧力損失の観点から、第1の形態であることが好ましい。
[0031]
 なお、上記分類は、便宜的なものであり、本発明の優れた性能を有していれば、例えば、両方の特徴を含むハニカム構造体本体でもよい。すなわち、セル壁がゼオライトを含む材料で構成され、さらにセル壁の表面の一部又は全てにゼオライトが担持されているハニカム構造体本体でもよい。
[0032]
 (ハニカム構造体本体の第1の形態)
 図1は、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体に用いるハニカム構造体本体の第1の形態を説明するための模式的斜視図である。
[0033]
 図1に示すように、ハニカム構造体本体11は、互いに対向している第1の端面11a及び第2の端面11bと、第1の端面11a及び第2の端面11bを結ぶ側面11cとを有する。ハニカム構造体本体11においては、図1に示す長手方向Xに沿って、第1の端面11aから第2の端面11bに向かって延伸している複数のセル12がセル壁13によって区画されている。なお、ハニカム構造体本体11の側面11c(長手方向Xと平行な面)は、側面11cを補強し強度を保つため、また側面11cからセルを通過する排ガスが漏れ出すことを防止するため、コーティング層で覆われていてもよい。上記コーティング層を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、無機バインダと有機バインダと無機繊維及び/又は無機粒子とからなるもの等を挙げることができる。
[0034]
 ハニカム構造体本体11はそのまま用いてもよいし、複数のハニカム構造体本体11を接着剤などにより接合して用いてもよい。複数のハニカム構造体本体11を接合した接合体として用いる場合は、長手方向Xが平行に配列されるように形成することが望ましい。また、単一のハニカム構造体本体11又は複数のハニカム構造体本体11の接合体は、側面11c側を所定の形状に沿って切削加工してもよい。
[0035]
 ハニカム構造体本体11の長手方向Xに対して垂直な断面の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、丸形、方形(正方形、長方形)、六角形、扇形であってもよい。また、尖った形状の角部を有する方形等の断面形状の場合、ハニカム構造体本体11の再生時の応力を緩和しクラックの発生をより一層抑制する観点から、尖った形状の角部を面取り形状とすることが好ましい。本発明において面取り形状とは、面と面との交わりの角に平面又は曲面からなる斜めの面を付けた形状のことをいい、応力緩和性の観点から曲面からなる斜めの面を付けた形状が更に好ましく、例えば図2に変形例で示すように円弧からなるR面取り形状が特に好ましい。
[0036]
 ハニカム構造体本体11のセル12における長手方向Xに対して垂直な断面形状は、特に限定されず、本実施形態のように方形(正方形、長方形)であってもよく、方形以外にも、例えば三角形、多角形であってもよい。また、上記断面形状が方形の場合、ハニカム構造体本体11の強度向上、熱と応力分散の観点から、例えば図2に変形例で示すようにハニカム構造体本体11の最外周のセル12aの角部15には、断面形状が直角三角形状の充填体が設けられていることが好ましい。充填体が設けられている角部15は、ハニカム構造体本体11の最外周の断面が方形のセル12aの角部のうち、ハニカム構造体本体11の外縁壁14と接する角部15である。上記直角三角形の充填体の一辺の長さは、方形セル12aの一辺の長さの5%~40%であることが好ましい。
[0037]
 ハニカム構造体本体11のセル壁13の厚みは、特に限定されないが、強度をより一層高める観点から、好ましい下限値は100μmである。セル壁13の厚みは、浄化性能をより一層高める観点から、好ましい上限値は400μmである。ハニカム構造体本体11の外縁壁14を構成するセル壁13aの厚さは、それ以外のセル壁13bの厚さと同じでも厚くてもよいが、外縁壁14を構成しないセル壁13bの1.3倍~3.0倍とすることで、高い開口率を維持しつつ、強度を確保することが可能となる。
[0038]
 ハニカム構造体本体11のセル12の開口率は、圧力損失の観点から60%以上であることが好ましい。本発明において、セル12の開口率とは、ハニカム構造体本体11の長手方向Xに対して垂直な断面におけるセル12の割合のことをいう。なお、上記垂直な断面は、目封止材により目封止されていない断面とする。ハニカム構造体本体11のセル12の開口率の上限は、特に限定されないが、例えば、70%とすることができる。
[0039]
 ハニカム構造体本体11のセル12の数は、特に限定されないが、200セル/平方インチ~400セル/平方インチであることが好ましい。また、セル壁13の壁面は多孔質であってもよく、その場合、長径が2μm~18μm程度の細孔を有していることが好ましい。また、セル壁13の壁面の気孔率は45%~65%であることが好ましい。
[0040]
 また、本発明においては、NOx除去機能とPM浄化機能とを、より一層高める観点で、一方の端面が開口され且つ他方の端面が目封止されたセル12と、一方の端面が目封止され且つ他方の端面が開口された残余のセル12とが交互に配置されたハニカム構造体本体11から形成された、ウォールフロー型のハニカムフィルタであることが好ましい。
[0041]
 以下、第1の形態のハニカム構造体本体の製造方法の一例について説明する。
[0042]
 まず、ゼオライトと無機バインダとに、必要に応じて、さらに無機繊維と、セラミック原料とを主成分として含有する原料混合物を作製する。この原料混合物を押出成形等することにより成形体とする。原料混合物には、これらの他に造孔剤、有機バインダ、分散剤、又は水等を加えてもよい。造孔剤としては、黒鉛、グラファイト、木粉、ポリエチレンが挙げられる。また、有機バインダとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコールが挙げられる。分散剤としては、脂肪酸石鹸、エチレングリコールが挙げられる。造孔剤、有機バインダ、分散剤、及び水の量は、セル壁面の気孔率、成形性等を考慮して適宜調整することができる。
[0043]
 原料混合物は、特に限定されるものではないが、混合・混練することが好ましい。原料混合物は、例えば、ミキサー等を用いて混合してもよく、ニーダー等で十分に混練してもよい。原料混合物を成形する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、押出成形などによって所定のセル密度、開口率を有する形状に成形することが好ましい。
[0044]
 次に、得られた成形体は、必要に応じて、セルの開口が市松模様となるように片側の目封止を行った後に乾燥することが好ましい。乾燥に用いる乾燥機は、特に限定されるものではないが、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、真空乾燥機などが挙げられる。また、得られた成形体は、脱脂することが好ましい。脱脂する条件は、特に限定されず、成形体に含まれる有機物の種類によって適宜選択されるが、おおよそ400℃、2時間の条件が好ましい。さらに、得られた成形体は、焼成することが好ましい。焼成温度としては、特に限定されるものではないが、例えば600℃~1200℃とすることができ、焼成時間としては例えば2時間~15時間とすることができる。焼成温度が1200℃を超えると、ゼオライト結晶が崩壊したり、焼結が進行しすぎて適度な気孔率を有することができなかったりすることがある。焼成温度が600℃未満では、焼結が進行せずハニカム構造体としての強度が上がらないことがある。セラミック原料を併用した場合の焼成条件は、セラミック原料により適宜選択されるが、セラミック原料としてチタン酸アルミニウムを用いる場合、焼成温度としては例えば900℃~1100℃とすることができ、焼成時間としては例えば2時間~15時間とすることができる。
[0045]
 原料混合物におけるゼオライトの含有量は、原料混合物100質量%に対して、10質量%~80質量%であることが好ましく、40質量%~70質量%であることがより好ましい。
[0046]
 原料混合物における無機バインダの含有量は、ゼオライト100質量部に対して、1質量部~50質量部であることが好ましく、5質量部~30質量部であることがより好ましく、10質量部~20質量部であることがさらに好ましい。
[0047]
 原料混合物における無機繊維の含有量は、ゼオライト100質量部に対して、1質量部~50質量部であることが好ましく、5質量部~30質量部であることがより好ましく、10質量部~20質量部であることがさらに好ましい。
[0048]
 原料混合物におけるセラミック原料の含有量は、ゼオライト100質量部に対して、1質量部~50質量部であることが好ましく、5質量部~30質量部であることがより好ましく、10質量部~20質量部であることがさらに好ましい。
[0049]
 以下、第1の形態のハニカム構造体本体に用いる、各構成材料について説明する。
[0050]
 ゼオライト;
 ゼオライトとは、結晶性アルミノケイ酸塩で、ケイ素元素とアルミニウム元素のまわりに4つの酸素元素が規則正しく三次元的に結合した結晶構造を持つ多孔質体である。本発明で用いるゼオライトの結晶構造としては、MOR型ゼオライト、FAU型ゼオライト、A型ゼオライト、L型ゼオライト、BEA型ゼオライト、MFI型ゼオライト、CHA型ゼオライト等がある。本発明で用いるゼオライトの結晶構造としては、好ましくは、BEA型ゼオライト、MFI型ゼオライト、CHA型ゼオライトである。
[0051]
 本発明で使用するゼオライトのシリカ/アルミナ比は、4以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることが更に好ましい。また、ゼオライトのシリカ/アルミナ比は、100以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましい。この構成にすることにより、還元剤によるNOxのSCR触媒として作用し、他の添加剤からのアルカリ金属イオンの影響をより一層受けることなく、NOxをより一層効果的に還元除去できるものと考えられる。
[0052]
 本発明で用いるゼオライトは、天然産及び合成ゼオライトがあるが、上記構成のものであれば特に制限なく使用できる。好ましくは、より均一なシリカ/アルミナ比、結晶サイズ、結晶形態を有し、不純物が少ないことから、合成ゼオライトがよい。
[0053]
 ゼオライトの平均粒子径は、0.5μm~40μmであることが好ましい。平均粒子径は、原料粒子を混合する前の粒子状物を用いて測定すればよい。また、本発明において、平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における体積基準累積50%の粒子径(体積基準累積50%粒子径)、すなわちD 50(メジアン径)である。この体積基準累積50%粒子径(D 50)は、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積曲線において、粒子サイズの小さいものから粒子数をカウントしていき、累積値が50%となる点の粒子径である。
[0054]
 本発明で用いるゼオライトは、上記ゼオライトをイオン交換した、イオン交換ゼオライトを含んでいることが好ましい。イオン交換ゼオライトを含んでいることで、触媒活性をより一層促進することができる。イオン交換ゼオライトは、あらかじめイオン交換されたゼオライトを使用してハニカム構造体本体を形成してもよく、ハニカム構造体本体を形成した後にゼオライトをイオン交換してもよい。
[0055]
 イオン交換ゼオライトとしては、遷移金属でイオン交換されたゼオライトが好ましく用いられる。遷移金属としては、例えば、Cu、Fe、Pt、Ag、Ti、Mn、Ni、Co、Pd、Rh、V、Cr等が挙げられる。なかでも、遷移金属としては、Cu、Feが好ましい。遷移金属の合計量は、ゼオライトの総質量に対して、1質量%~15質量%とすることが好ましく、1質量%~8質量%とすることがより好ましい。
[0056]
 無機バインダ;
 本発明で用いる無機バインダとしては、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラスなどの無機ゾル;粘土系鉱物等を用いることができる。ハニカム構造体の機械強度をより一層高める観点から、無機バインダとしては、粘土系鉱物が好ましい。
[0057]
 粘土系鉱物とは、粘土を構成する主成分鉱物である。層状珪酸塩鉱物(フィロ珪酸塩鉱物)、滑石(タルク)、方解石(カルサイト)、苦灰石(ドロマイト)、長石類、石英、沸石(ゼオライト)類、その他鎖状構造を持つもの(アタパルジャイト、セピオライトなど)、はっきりとした結晶構造を持たないもの(アロフェン)等が粘土系鉱物と呼ばれている。なお、一般的にはそのなかの層状珪酸塩鉱物のことを層状粘土鉱物と呼ぶこともある。本発明で用いる粘土系鉱物としては、層状粘土鉱物が好ましい。
[0058]
 層状粘土鉱物は、正負のイオンの二次元的な層が平行に積み重なって結合して結晶構造を作っており、この層構造のなかには2つの構造単位を有する。一方はSi 4+とこれを囲んだO 2-とからなる四面体層で構成されており、他方はSi 3+(あるいはMg 2+、Fe 2+など)とこれを囲んだ(OH) とからなる八面体層で構成されている。
[0059]
 四面体層中では、四面体の4つの頂点にあるOと中心に位置するSiによりSi-Oの四面体が形成され、これが3つの頂点で互いに連結して二次元的に広がり、Si 10の組成を有する層格子を形成している。Si 4+はしばしばAl 3+で置換される。
[0060]
 八面体層中では、八面体の6つの頂点にある(OH)またはOと、その中心に位置するAl、Mg、Feなどにより形成された八面体が、各頂点で連結して二次元的に広がり、Al (OH) あるいはMg (OH) の組成を有する層格子を形成している。
[0061]
 八面体層には、6個の陰イオンで囲まれた陽イオンの格子点に2価の陽イオン(Mg 2+など)が入り格子点の全てを占めている3-八面体型や、陽イオンの格子点に3価の陽イオン(Al 3+など)が入り2/3を占め、残りの1/3は空所となっている2-八面体型がある。
[0062]
 四面体層と八面体層の組合せには2種類あり、一方は1枚の四面体層と1枚の八面体層の結合を単位とする1:1型構造、他方は1枚の四面体層とその間に挟まれた1枚の八面体層の結合を単位とする1:1型構造がある。
[0063]
 四面体層では通常は1個のSi 4+が4個のO原子で囲まれて安定な配位をとっているが、ときにこのSi 4+よりわずかにイオン半径の大きいAl 3+がSi 4+の代わりに四面体層に存在する。配位するO原子の数には変化がないので、1つのAl 3+がSi 4+を置換するごとに四面体層には1単位の負電荷を生じる。同様に八面体層でもMg 2+、Fe 2+によるAl 3+、Fe 3+の置換に伴い負電荷を生じる。
[0064]
 この負電荷を生じた層は、Li 、K 、Na 、NH 、H 、Ca 2+、Mg 2+、Sr 2+、Ba 2+、Co 2+、Fe 2+、Al 3+などの陽イオンが介在することで電気的に中性になり、層間にこれら交換性陽イオンが存在した積層構造となる。
[0065]
 層状粘土鉱物としては、スメクタイト、スチーブンサイト、バーミキュライト、雲母族、脆雲母族の天然品又は合成品から選ばれる少なくとも1種が例示される。これらは組み合わせて用いることもできる。
[0066]
 上記スメクタイトとしては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト等が挙げられる。NOx除去効率や、機械的強度をより一層高める観点から、モンモリロナイトが好ましい。例えば、モンモリロナイトを主成分とするベントナイトを用いることができ、ベントナイト中のモンモリロナイトの含有量は40%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
[0067]
 粘土系鉱物の平均粒子径は、0.5μm~100μmであることが好ましく、1μm~20μmであることがより好ましい。平均粒子径は、原料粒子を混合する前の粒子状物を用いて測定すればよい。また、本発明において、平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における体積累積基準50%の粒子径(体積基準累積50%粒子径)、すなわちD 50(メジアン径)である。この体積基準累積50%粒子径(D 50)は、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積曲線において、粒子サイズの小さいものから粒子数をカウントしていき、累積値が50%となる点の粒子径である。
[0068]
 無機繊維;
 本発明で用いる無機繊維は、繊維状粒子から構成される粉末であり、平均繊維長が、好ましくは1μm~300μmであり、より好ましくは1μm~200μmである。また、平均アスペクト比は、好ましくは3~200であり、より好ましくは5~50である。
[0069]
 無機繊維としては、押出成形機の摩耗の観点から、モース硬度が5以下であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。無機繊維としては、例えば、チタン酸アルカリ金属塩、ワラストナイト、ホウ酸マグネシウム、ゾノトライト、塩基性硫酸マグネシウムから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。また、NOx還元効率及び機械的強度をより一層高める観点から、無機繊維はチタン酸アルカリ金属塩であることが好ましい。モース硬度とは、物質の硬さを表す指標であり、鉱物同士を擦り付けて傷ついたほうが硬度の小さい物質となる。
[0070]
 チタン酸アルカリ金属塩としては、Na TiO 、Na Ti 、Na Ti 、Na Ti 13、Na Ti 17等のチタン酸ナトリウム;K TiO 、K Ti 、K Ti 、K Ti 13、K Ti 17等のチタン酸カリウム;Cs TiO 、Cs Ti 、Cs Ti 、Cs Ti 13、Cs Ti 17等のチタン酸セシウム等を例示することができる。
[0071]
 チタン酸アルカリ金属塩の寸法は、上述の無機繊維の寸法の範囲であれば特に制限はないが、通常、平均繊維径は、好ましくは0.01μm~1μm、より好ましくは0.1μm~0.6μmである。チタン酸アルカリ金属塩の平均繊維長は、好ましくは1μm~50μm、より好ましくは3μm~30μmである。また、チタン酸アルカリ金属塩の平均アスペクト比は、好ましくは10以上、より好ましくは15~40である。本発明では市販品も使用でき、例えば、大塚化学社製の商品名「ティスモD」(平均繊維長15μm、平均繊維径0.5μm)や、商品名「ティスモN」(平均繊維長15μm、平均繊維径0.5μm)等を使用することができる。
[0072]
 上述の平均繊維長及び平均繊維径は、走査型電子顕微鏡の観察により測定することができる。また、平均アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は、平均繊維長及び平均繊維径より算出することできる。例えば、走査型電子顕微鏡により、複数の無機繊維を撮影し、その観察像から無機繊維を任意に300個選択し、それらの繊維長及び繊維径を測定し、繊維径の全てを積算して個数で除したものを平均繊維長、繊維径の全てを積算し個数で除したものを平均繊維径とすることができる。平均繊維長及び平均繊維径は、原料粒子を混合する前の粒子状物を用いて測定すればよい。
[0073]
 本発明において繊維状粒子とは、粒子に外接する直方体のうち最小の体積をもつ直方体(外接直方体)の最も長い辺を長径L、次に長い辺を短径B、最も短い辺を厚さTと定義(B>Tとする)したときに、L/BおよびL/Tがいずれも5以上の粒子のことをいい、長径Lが繊維長、短径Bが繊維径に相当する。
[0074]
 セラミック原料;
 セラミック原料としては、シリコンカーバイド、コージェライト、ムライト、アルミナ、チタン酸アルミニウムから選ばれる少なくとも1種が例示される。これらは2種以上を組み合わせて用いることもできる。セラミック原料としては、耐熱性、安定性をより一層高める観点から、チタン酸アルミニウムが好ましい。
[0075]
 セラミック原料の平均粒子径は、0.5μm~100μmであることが好ましく、1μm~20μmであることより好ましい。平均粒子径は、原料粒子を混合する前の粒子状物を用いて測定すればよい。また、本発明において、平均粒子径とはレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における体積基準累積50%の粒子径(体積基準累積50%粒子径)、すなわちD 50(メジアン径)である。この体積基準累積50%粒子径(D 50)は、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積曲線において、粒子サイズの小さいものから粒子数をカウントしていき、累積値が50%となる点の粒子径である。
[0076]
 (ハニカム構造体本体の第2の形態)
 本発明で用いるハニカム構造体本体の第2の形態では、担体としてのハニカム構造体本体におけるセル壁の表面の一部又は全部にゼオライトが担持されている。第2の形態においてゼオライトを担持する担体は、例えば、第1の形態のハニカム構造体本体におけるゼオライトの全てをセラミック原料に置き換えたものを用いることができる。ゼオライトの担持箇所は特に限定されない。なお、セル壁の表面にゼオライトが担持されているとは、セル壁の表面にゼオライトが付着している状態をいう。また、セル壁が多孔質であればその細孔表面もセル壁の表面に含まれる。
[0077]
 ゼオライトの担持方法としては、浸漬法、噴霧法等が挙げられる。例えば浸漬法によれば、必要に応じて添加剤(バインダ、分散剤及び造孔剤等)を添加して調製したゼオライトを含むスラリーに担体を浸漬する。次に、浸漬した担体を引き上げて乾燥した後、300℃~800℃で焼成することにより、担体としてのハニカム構造体本体におけるセル壁にゼオライトを担持させることができる。それによって、第2の形態のハニカム構造体本体を得ることができる。
[0078]
 第2の形態のハニカム構造体本体における見かけ体積当たりのゼオライト量は、NOx浄化作用の観点から好ましい下限値は50g/Lである。また、圧力損失悪化の観点から好ましい上限値は350g/Lである。
[0079]
 第2の形態において、ゼオライトを担持する担体は、第1の形態のハニカム構造体本体を用いてもよい。
[0080]
 <ハニカム構造体>
 本発明の一実施形態に係るハニカム構造体は、上記第1又は第2の形態のハニカム構造体本体(以下、これらを総称して、ハニカム構造体本体と称する場合があるものとする)におけるセル壁の表面の一部又は全てにチタン酸塩化合物が担持されている。なお、第2の形態のハニカム構造体本体におけるセル壁の表面とは、セル壁の表面に坦持されたゼオライトの表面のことをいう。従って、第2の形態では、セル壁の表面に坦持されたゼオライトの表面の一部又は全てにチタン酸塩化合物が担持されている。
[0081]
 チタン酸塩化合物の担持箇所は特に限定されないが、排ガス入口流路側のセル壁の表面に担持されていることが好ましい。なお、本発明においてチタン酸塩化合物の担持とは、セル壁の表面にチタン酸塩化合物が付着している状態をいう。なお、セル壁が多孔質であれば細孔表面もセル壁の表面に含まれる。
[0082]
 チタン酸塩化合物の担持方法としては、浸漬法、噴霧法等が挙げられる。例えば浸漬法によれば、チタン酸塩化合物を含むスラリーにハニカム構造体本体を浸漬する。次に、浸漬したハニカム構造体本体を引き上げて乾燥した後、300℃~800℃で1時間~15時間焼成することにより、ハニカム構造体本体におけるセル壁の表面にチタン酸塩化合物を担持させることができる。それによって、ハニカム構造体を得ることができる。なお、チタン酸塩化合物の担持は、ハニカム構造体本体におけるセル壁の表面の一部又は全てに、樹脂、樹脂ビーズ等の有機化合物を担持した後に、行ってもよい。
[0083]
 上記チタン酸塩化合物を含むスラリーには、その性能を阻害しない範囲において公知の排ガス浄化触媒に使用される添加剤等を1種または2種以上を組み合わせて混合することができる。このような添加剤としては、ゼオライト、酸化触媒、アルカリ土類金属塩等を挙げることができる。また、ハニカム構造体本体との反応性をより一層抑える目的で、チタニア、ジルコニア、アルミナ、ベーマイト、セリア等のアルカリを含まない無機化合物を混合することもできる。
[0084]
 ハニカム構造体における見かけ体積当たりのチタン酸塩化合物量は、PM燃焼性能をより一層高める観点から、下限値が1g/Lであることが好ましく、5g/Lであることがより好ましく、10g/Lであることがさらに好ましい。また、ハニカム構造体の見かけ体積当たりのチタン酸塩化合物量は、圧力損失をより一層改善する観点から、上限値が200g/Lであることが好ましく、100g/Lであることがより好ましく、70g/Lであることが更に好ましく、50g/Lであることが特に好ましい。
[0085]
 本発明のハニカム構造体は、その優れた特性を損なわない範囲で、さらに酸化触媒、三元触媒、酸素吸蔵触媒等を備えることもできる。
[0086]
 本発明において、処理の対象となる排ガスは、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等の内燃機関等から排出される排ガス、各種燃焼設備等の排ガスを挙げることができる。
[0087]
 本発明のハニカム構造体は、排ガス流路中に配置することで排ガスに接触させて用いられる。排ガス中のPMの除去は、PMをハニカム構造体に堆積させ、PMが所定量体積したハニカム構造体を、酸素の存在下、PMの燃焼温度まで加熱して行われる。また、これらの排ガス中のNOxの除去は、還元剤、例えば尿素、炭酸アンモニウム、ヒドラジン、炭酸水素アンモニウム等のアンモニア前駆物質、又はアンモニア自体の存在下で行われる。還元剤は、排ガス流路中において、本発明のハニカム構造体の上流に配置し、適宜必要量を供給してもよい。
[0088]
 本発明のハニカム構造体は、1つのフィルタで、排ガス中の有害物質であるPMを低温において燃焼でき、NOxを還元除去することもできる。その優れた機能から、ディーゼルエンジン用フィルタ(DPF)、ガソリンエンジン用フィルタ等に好適に使用することができ、市場のダウンサイジングの要請に応えることもできる。
[0089]
 以下、本発明で用いるチタン酸塩化合物について説明する。
[0090]
 (チタン酸塩化合物)
 本発明で用いるチタン酸塩化合物は、TiO 八面体の連鎖により形成される層状構造を有し、Ti席の一部がLi、Mg、Zn、Ga、Ni、Cu、Fe、Al及びMnから選ばれる1種又は2種以上の元素(以下、これらを総称して「M元素」と略記する)で置換され、層状構造における層間にLiを除くアルカリ金属から選ばれる1種又は2種以上の元素(以下、これらを総称して「A元素」と略記する)のイオンが配位したレピドクロサイト型チタン酸塩化合物であることを特徴とする。
[0091]
 Ti席の一部を置換するM元素は、そのイオンがTi 4+と同程度のイオン半径を有していることから、Ti席をM元素に置換することが可能となる。好ましくは、Ti席の10モル%~40モル%がM元素で置換されていることがよく、より好ましくはTi席の10モル%~30モル%がM元素で置換されていることがよい。詳細は明らかではないが、Ti席の一部を置換するM元素により、層間のA元素のイオンの動きを制御したり、PM燃焼を助長したり、ゼオライトとの反応性を抑制することができるものと考えられる。
[0092]
 A元素としては、Na、K、Rb、Cs、Frが挙げられ、好ましくはNa、Kである。なお、Liは、他のアルカリ金属と比べ、イオン半径が小さく、異なる性質を有するため、A元素には含まれない。
[0093]
 チタン酸塩化合物の層間には、その性能を阻害しない範囲において、さらにA元素以外の元素のイオンが配位していてもよく、層間に配位するイオンの総量は結晶全体を電気的に中性にできる量であればよい。A元素以外の元素のイオンが配位する場合、チタン酸塩化合物の層間に配位しているA元素のイオンの量は、層間に配位している元素のイオン全量100モル%に対して、0.01モル%~99.99モル%の範囲であることが好ましく、0.01モル%~75モル%の範囲であることがより好ましく、0.01モル%~50モル%の範囲であることがさらに好ましい。
[0094]
 上記チタン酸塩化合物としては、例えば、A Ti (2-y)〔式中、AはLiを除くアルカリ金属の1種又は2種以上、MはLi、Mg、Zn、Ga、Ni、Cu、Fe、Al及びMnから選ばれる1種又は2種以上、xは0.2~1.0、yは0.25~1.0の数〕、A 0.2~0.7Li 0.27Ti 1.733.7~3.95〔式中、AはLiを除くアルカリ金属の1種又は2種以上〕、A 0.2~0.7Mg 0.40Ti 1.63.7~3.95〔式中、AはLiを除くアルカリ金属の1種又は2種以上〕、A 0.5~0.7Li (0.27-x)Ti (1.73-z)3.85~3.95〔式中、AはLiを除くアルカリ金属の1種又は2種以上、MはMg、Zn、Ga、Ni、Cu、Fe、Al、及びMnから選ばれる1種又は2種以上(但し、2種以上の場合は異なる価数のイオンの組み合わせを除く)、xとzは、Mが2価金属のとき、x=2y/3、z=y/3、yは0.004≦y≦0.4、Mが3価金属のとき、x=y/3、z=2y/3、yは0.004≦y≦0.4〕等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
[0095]
 具体例としては、K 0.8Li 0.27Ti 1.73、K 0.7Li 0.27Ti 1.733.95、K 0.5Li 0.27Ti 1.733.85、K 0.4Li 0.27Ti 1.733.8、Na 0.20.6Li 0.27Ti 1.73、K 0.8Mg 0.40Ti 1.6、K 0.7Mg 0.40Ti 1.63.95、K 0.2Mg 0.40Ti 1.63.7、Na 0.20.6Mg 0.4Ti 1.6、K 0.7Li 0.14Mg 0.2Ti 1.673.95、K 0.7Li 0.14Cu 0.2Ti 1.673.95、K 0.7Li 0.14Fe 0.4Ti 1.473.95、K 0.7Li 0.24Mg 0.04Ti 1.723.95等を挙げることができる。
[0096]
 本発明で用いるチタン酸塩化合物は、球状、粒状、板状、柱状、棒状、円柱状、ブロック状、多孔質状、複数の凸部を有する形状(アメーバ状、ブーメラン状、十字架状、金平糖状等)等の非繊維状粒子であることが好ましく、板状の粒子であることがより好ましい。これらの各種粒子形状は、製造条件、特に原料組成、焼成条件等により任意に制御することができる。ここで、複数の凸部を有するとは、平面への投影形状が少なくとも通常の多角形、円、楕円等とは異なり2方向以上に凸部を有する形状を取り得るもの、いわゆる不定形状であることを意味する。具体的にこの凸部とは、走査型電子顕微鏡(SEM)による写真(投影図)に多角形、円、楕円等(基本図形)をあてはめ、それに対して突き出した部分に対応する部分をいう。
[0097]
 チタン酸塩化合物の粒子形状は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察から解析することができる。
[0098]
 また、本発明における繊維状粒子とは、粒子に外接する直方体のうち最小の体積をもつ直方体(外接直方体)の最も長い辺を長径L、次に長い辺を短径B、最も短い辺を厚さTと定義(B>Tとする)したときに、L/B及びL/Tがいずれも5以上の粒子のことをいい、長径Lが繊維長、短径Bが繊維径に相当する。非繊維状粒子とはL/Bが5未満の粒子のことをいい、板状粒子とは、L/Bが5未満、L/Tが5以上の粒子である。
[0099]
 チタン酸塩化合物の平均粒子径は、通常、1.0μm~50.0μmであり、好ましくは2.0μm~30.0μmである。また、チタン酸塩化合物の平均粒子径は、チタン酸塩化合物の担持前のハニカム構造体本体の細孔径よりも大きいことが好ましい。平均粒子径を上記範囲内にすることで、NOx除去効率をより一層高め、ハニカム構造体の圧力損失をより一層低く抑えることができる。平均粒子径は、レーザー回折法により計測される粒度分布における体積基準累積50%時の粒子径(体積基準累積50%粒子径)、すなわちD 50(メジアン径)をいう。この体積基準累積50%粒子径(D 50)は、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積曲線において、粒子サイズの小さいものから粒子数をカウントしていき、累積値が50%となる点の粒子径である。平均粒子径及び粒子形状は、ハニカム構造体本体に担持する前の粒子状物を用いて測定すればよい。
[0100]
 本発明で用いるチタン酸塩化合物は、TiO 八面体の連鎖により形成される層状構造を有し、その層間にLiを除くアルカリ金属イオンが配位するレピドクロサイト型の結晶である。ゼオライトを含むハニカム構造体本体におけるセル壁の表面にこのチタン酸塩化合物を担持した場合、得られたハニカム構造体のNOx浄化性能が損なわれることなく、優れたPM燃焼性能を与えることができる。
[0101]
 ところで、アルカリ金属系触媒に含まれるアルカリ金属イオンがSCR触媒と反応し、SCR触媒としての機能が損なわれるという問題がある。また、チタン酸塩化合物はアルカリ溶出量が多く、熱硬化性樹脂中において溶出アルカリ金属イオンが熱硬化性樹脂の硬化を阻害することが知られている。
[0102]
 しかしながら、このような予想に反し、本発明のハニカム構造体においてはSCR触媒としての機能が損なわれない。その理由は定かではないが、PM燃焼の活性種がアルカリ金属イオンであるためアンモニアを酸化せず、NOx浄化反応を阻害しないこと、レピドクロサイト型の結晶構造によりSCR触媒であるゼオライトとの共存性が高く、劣化を抑制できることによると考えられる。また、通常、レピドクロサイト型のチタン酸塩化合物は、TiO 八面体の連鎖により形成される層が成長した板状粒子になることから、PM燃焼触媒を担持した際は、TiO 八面体の層部分がゼオライトと接触し易いと考えられるため、よりゼオライトとの共存性を高められると考えられる。
[0103]
 (排ガス浄化装置)
 本発明の排ガス浄化装置は、上記本発明の実施形態にかかるハニカム構造体を備えている。上記本発明のハニカム構造体の他にも、例えば、ハニカム構造体に還元剤等(アンモニア、尿素等のアンモニア前駆物質から得られる還元剤)を供給する手段と、堆積したPMを分解するためハニカム構造体を加熱する手段等をさらに備えている。
[0104]
 ハニカム構造体に還元剤等を供給する手段としては、本発明のハニカム構造体に還元剤等を供給できれば公知の手段を採用することができ、例えば、排ガス流路上において、本発明のハニカム構造体より上流側(内燃機関側)に配置し、ハニカム構造体に還元剤等を噴霧する手段が挙げられる。また、適宜、還元剤等を均一供給するミキサーを配置してもよい。
[0105]
 堆積したPMを分解するためのハニカム構造体を加熱する手段としては、本発明のハニカム構造体を加熱できればよく、例えば、内燃機関の燃料を、内燃機関からハニカム構造体に噴霧し、その燃焼熱を利用する手段や、電気加熱を利用する手段が挙げられる。
[0106]
 本発明の排ガス浄化装置は、更に、排ガス流路上の上流側(内燃機関側)から順に、酸化触媒、NOx貯蔵触媒等の第1の触媒、本発明のハニカム構造体、SCR触媒、スリップ酸化触媒等の第2の触媒が配置されていてもよい。排ガス流路上の上流側(内燃機関側)から順に、上記第1の触媒、本発明のハニカム構造体が配置されていてもよい。また、排ガス流路上の上流側(内燃機関側)から順に、本発明のハニカム構造体、上記第2の触媒が配置されていてもよい。第1の触媒および第2の触媒は、それぞれ1種又は2種以上を選択してもよい。
[0107]
 本発明において酸化触媒とは、HC、CO、NOxを、H O、CO 、NO に酸化する触媒を意味する。NOx貯蔵触媒とは、リーン条件下でNOxをトラップし、ストイキやリッチ条件になった際に、NO として放出、又はN にする触媒を意味する。SCR触媒とは、リーン条件下においても、NOxをN にできる触媒を意味する。また、スリップ酸化触媒とは、還元剤として使用した余剰のNH や、浄化できなかったNOxを、捕捉しN に浄化する触媒を意味する。
[0108]
 酸化触媒としては、例えば、Pt、Pd、Rh、Ag、Cu等の金属、該金属を含む酸化物、耐熱性が高い高比表面積無機物質(アルミナ、ジルコニア等)、酸性酸化物(シリカ等)、塩基性酸化物(チタニア、ジルコニア、希土類を含有するアルミナ等)、酸素吸放出物質(セリア、セリア-ジルコニア複合酸化物、希土類を含有する硫酸塩等)、ゼオライト等の少なくとも一種類からなる触媒が挙げられる。これらは、フィルタに担持して使用される。
[0109]
 NOx貯蔵触媒としては、例えば、上記酸化触媒に記載の物質や、塩基性の強いアルカリ金属元素を含有する化合物(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、チタン酸カリウム等)、アルカリ土類金属元素を含有する化合物(炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、MgAl 等)、希土類元素を含有する化合物(セリア、セリア-ジルコニア複合酸化物等)等の少なくとも一種類からなる触媒が挙げられる。これらは、フィルタに担持して使用される。
[0110]
 SCR触媒としては、例えば、ゼオライトや、卑金属複合TiO (卑金属としては、V 、WO 、MoO 等)等の少なくとも一種類からなる触媒が挙げられる。これらは、フィルタに担持して使用される。
[0111]
 スリップ酸化触媒としては、例えば、上記酸化触媒に記載の物質、NOx貯蔵触媒に記載の物質、SCR触媒に記載の物質等の少なくとも一種類からなる触媒が挙げられる。これらは、フィルタに担持して使用される。
[0112]
 本発明の排ガス浄化装置において、NOxとPM処理を効率的に行える本発明のハニカム構造体を用いることで、第2の触媒のSCR触媒サイズを小さくすることができ、又は、第2の触媒のSCR触媒を無くすことができるために、装置をコンパクトにすることができる。また、本発明のハニカム構造体の排ガス出口側の一部に、スリップ酸化触媒を担持すれば、第2の触媒のスリップ酸化触媒サイズを小さくすることができ、又は、第2の触媒のスリップ酸化触媒を無くすことができるために、装置をコンパクトにすることができる。
[0113]
 本発明のハニカム構造体の排ガス入口側の一部に、第1の触媒を担持すれば、第1の触媒のサイズを小さく、又は、第1の触媒を無くすことができるために、装置をコンパクトにすることができる。
[0114]
 上記方法で、本発明の排ガス浄化装置をコンパクト化できれば、従来よりも排ガス浄化装置を適切な位置に配置することができる。例えば、内燃機関に近接させ、温度による排ガス浄化触媒の活性化を促進することで、浄化効率をさらに一層向上することができる。また、軽量化による燃費改善や、新たな装置を搭載するスペースが確保できる等の効果が期待できる。
[0115]
 本発明のハニカム構造体に、ゼオライトが骨格を形成してなる第1の形態のハニカム構造体本体を用いた場合は、ゼオライトの比重が小さいことから、ハニカム構造体をより一層軽くすることができる。また、細孔径が2μm程度と小さくとも圧力損失を低くでき、搭載されるゼオライト量を多くできる等の機能により上記の効果がより一層顕著になると考えられる。本発明のハニカム構造体の細孔径が、一般的なDPFや、SCRF(SCR触媒付きDPF)の細孔径(10μm~20μm)より小さくても圧力損失を低くできるのは、細孔径分布が揃っており、ガス流通抵抗が少ないことによるものと考えられる。ゼオライト搭載量を多くできるのは、ゼオライトが骨格を形成していてもハニカム構造体の強度を保てるためである。
[0116]
 軽いハニカム構造体は軽量化に貢献すると考えられる。低い圧力損失は、排気ガス抵抗の低減に貢献すると考えられる。また、圧力損失を低くした状態で細孔径を小さくできることは、PM2.5よりも小さい物質を効率的に捕捉することに貢献すると考えられる。豊富なゼオライト量は、NOx浄化触媒効率を向上し、還元剤貯蔵量を増すことに貢献すると考えられる。また、豊富なゼオライト量は、第1触媒、第2触媒を一体化する際の、触媒担体や、触媒としても貢献すると考えられる。
実施例
[0117]
 以下、本発明について、実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
[0118]
 <PM燃焼触媒の製造>
 実施例及び比較例で用いたPM燃焼触媒1~PM燃焼触媒11は以下の通り製造した。PM燃焼触媒12は、市販品をそのまま用いた。また、PM燃焼触媒1~PM燃焼触媒12の組成式、結晶構造、粒子形状及び平均粒子径を表1に示した。なお、組成式はICP-AES分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジーズ社製、品番「SPS5100」)により確認した。結晶構造はX線回折測定装置(リガク社製、品番「RINT2000-Ultima+」)により確認した。粒子形状は電界放出型走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、品番「S-4800」)により確認した。また、平均粒子径はレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製、品番「SALD-2100」)により測定した。
[0119]
[表1]


[0120]
 (製造例1:PM燃焼触媒1)
 炭酸カリウム26.8質量部、水酸化マグネシウム11.3質量部、及び酸化チタン61.9質量部を混合し、1000℃で4時間焼成した。焼成物を粉砕後、得られた粉砕物20gを、脱イオン水にて20質量%スラリーとし、攪拌した後、濾別、乾燥した。乾燥後、500℃で1時間焼成することで、PM燃焼触媒1の粉末を得た。
[0121]
 (製造例2:PM燃焼触媒2)
 炭酸カリウム26.8質量部、水酸化マグネシウム11.3質量部、及び酸化チタン61.9質量部を混合し、1000℃で4時間焼成した。焼成物を粉砕後、得られた粉砕物20gを、脱イオン水にて20質量%スラリーとし、98%硫酸を1.5g添加し、攪拌した後、濾別、乾燥した。乾燥後、500℃で1時間焼成することで、PM燃焼触媒2の粉末を得た。
[0122]
 (製造例3:PM燃焼触媒3)
 98%硫酸の添加量を2.7gに変更した以外は、製造例2と同様の方法を行うことで、PM燃焼触媒3の粉末を得た。
[0123]
 (製造例4:PM燃焼触媒4)
 炭酸カリウム27.2質量部、炭酸リチウム4.9質量部、及び酸化チタン67.9質量部を混合し、900℃で4時間焼成した。焼成物を粉砕後、得られた粉砕物20gを、脱イオン水にて20質量%スラリーとし、攪拌した後、濾別、乾燥した。乾燥後、500℃で1時間焼成することで、PM燃焼触媒4の粉末を得た。
[0124]
 (製造例5:PM燃焼触媒5)
 炭酸カリウム27.2質量部、炭酸リチウム4.9質量部、及び酸化チタン67.9質量部を混合し、900℃で4時間焼成した。焼成物を粉砕後、得られた粉砕物20gを、脱イオン水にて20質量%スラリーとし、攪拌した後、98%硫酸を1.2g添加し、濾別、乾燥した。乾燥後、500℃で1時間焼成することで、PM燃焼触媒5の粉末を得た。
[0125]
 (製造例6:PM燃焼触媒6)
 98%硫酸の添加量を2.9gに変更した以外は、製造例5と同様の方法を行うことで、PM燃焼触媒6の粉末を得た。
[0126]
 (製造例7:PM燃焼触媒7)
 炭酸カリウム22.4質量部、及び酸化チタン77.6質量部を混合し、1000℃で4時間焼成した。焼成物を粉砕後、得られた粉砕物20gを、脱イオン水にて20質量%スラリーとし、攪拌した後、濾別、乾燥することで、PM燃焼触媒7の粉末を得た。
[0127]
 (製造例8:PM燃焼触媒8)
 炭酸カリウム46.4質量部、及び酸化チタン53.6質量部を振動ミルで混合し、800℃で4時間焼成した。焼成物を粉砕後、得られた粉砕物20gを、脱イオン水にて20質量%スラリーとし、攪拌した後、濾別、乾燥した。乾燥後、500℃で1時間焼成することで、PM燃焼触媒8の粉末を得た。
[0128]
 (製造例9:PM燃焼触媒9)
 炭酸カリウム38.4質量部、酸化アルミニウム28.3質量部、及び酸化ケイ素33.3質量部を混合し、1200℃で4時間焼成した。焼成物を粉砕後、得られた粉砕物20gを、脱イオン水にて20質量%スラリーとし、攪拌した後、濾別、乾燥することで、PM燃焼触媒9の粉末を得た。
[0129]
 (製造例10:PM燃焼触媒10)
 炭酸ナトリウム33.2質量部、酸化ジルコニウム38.6質量部、及び酸化ケイ素28.2質量部を混合し、1200℃で4時間焼成した。焼成物を粉砕後、得られた粉砕物20gを、脱イオン水にて20質量%スラリーとし、攪拌した後、濾別、乾燥することで、PM燃焼触媒10の粉末を得た。
[0130]
 (製造例11:PM燃焼触媒11)
 炭酸カリウム57.5質量部、及び酸化アルミニウム42.5質量部を混合し、1200℃で4時間焼成した。焼成物を粉砕することで、PM燃焼触媒11の粉末を得た。
[0131]
 <ハニカム構造体の製造>
 (実施例1)
 ゼオライト(平均粒子径10μm、結晶構造:MFI型、商品名「HSZ-840NHA」、東ソー社製)70質量部に対し、チタン酸アルミニウム(平均粒子径13μm、丸ス釉薬社製)10質量部、チタン酸カリウム繊維(組成式K Ti 13、平均繊維長15μm、平均繊維径0.5μm、商品名「TISMO N」、大塚化学社製)10質量部、ベントナイト(平均粒子径10μm、商品名「ベンゲルVA」、クニミネ工業社製)8重量部、黒鉛3質量部、メチルセルロース10質量部、及び脂肪酸石鹸0.5質量部を配合し、さらに水を適当量添加して混練し、押出成形可能な坏土(混合物)を得た。
[0132]
 得られた坏土(混合物)を押出成形機にてハニカム構造体本体となるように押し出して成形し、成形体を得た。なお、金型のセル密度は、300セル/平方インチ(46.5セル/cm )とし、隔壁厚みは300μmとした。開口率は63%とした。
[0133]
 固形分がほぼチタン酸アルミニウム、ゼオライト、チタン酸カリウム繊維、ベントナイトからなり、粘度調整材等の添加物を加えたスラリーを調製した。なお、スラリー中における固形分の比率は上記と同様である。ハニカム構造体本体となる成形体において、開口したセルと封止したセルが交互に市松模様となるように、ハニカム構造体本体となる成形体のセルに、このスラリーを注入し、目封じを行った。
[0134]
 得られた成形体を、600℃で10時間保持し、その後、昇温速度25℃/時間で975℃まで昇温し、さらに975℃で5時間保持して焼成することで、細孔径2.0μm、気孔率58%のハニカム構造体本体を得た。
[0135]
 得られたハニカム構造体本体を5質量%酢酸銅水溶液に60℃で3時間含浸した。その後イオン交換水で充分洗浄し、150℃で3時間乾燥した。
[0136]
 ハニカム構造体における見かけ体積当たりのPM燃焼触媒1量が10g/Lとなるように、得られたハニカム構造体本体をPM燃焼触媒1のスラリーに含浸し、700℃で10時間加熱することでハニカム構造体を得た。
[0137]
 (実施例2~実施例18,比較例1~比較例6)
 PM燃焼触媒を表2に記載のものに変更し、PM触媒の担持量を表2に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様の方法を行うことで、ハニカム構造体を得た。
[0138]
 (比較例7)
 ゼオライト(平均粒子径10μm、結晶構造:MFI型、商品名「HSZ-840NHA」、東ソー社製)70質量部に対し、チタン酸アルミニウム(平均粒子径13μm、丸ス釉薬社製)10質量部、チタン酸カリウム繊維(組成式K Ti 13、平均繊維長15μm、平均繊維径0.5μm、商品名「TISMO N」、大塚化学社製)10質量部、ベントナイト(平均粒子径10μm、商品名「ベンゲルVA」、クニミネ工業社製)8重量部、黒鉛3質量部、メチルセルロース10質量部、及び脂肪酸石鹸0.5質量部を配合し、さらに水を適当量添加して混練し、押出成形可能な坏土(混合物)を得た。
[0139]
 得られた坏土(混合物)を押出成形機にてハニカム構造体本体となるように押し出して成形し、成形体を得た。なお、金型のセル密度は、300セル/平方インチ(46.5セル/cm )とし、隔壁厚みは300μmとした。開口率は63%とした。
[0140]
 固形分がほぼチタン酸アルミニウム、ゼオライト、チタン酸カリウム繊維、ベントナイトからなり、粘度調整材等の添加物を加えたスラリーを調製した。なお、スラリー中における固形分の比率は上記と同様である。ハニカム構造体本体となる成形体において、開口したセルと封止したセルが交互に市松模様となるように、ハニカム構造体本体となる成形体のセルに、このスラリーを注入し、目封じを行った。
[0141]
 目封じを行った成形体を、600℃で10時間保持し、その後昇温速度25℃/時間で975℃まで昇温し、さらに975℃で5時間保持して焼成することで、細孔径2.0μm、気孔率58%のハニカム構造体本体(ハニカム構造体)を得た。
[0142]
 得られたハニカム構造体本体を5質量%酢酸銅水溶液に60℃で3時間含浸した。その後イオン交換水で充分洗浄し、150℃で3時間乾燥した。その後に、700℃で10時間加熱することでハニカム構造体を得た。
[0143]
 <ハニカム構造体の評価>
 (NOx浄化率)
 予め100℃にて乾燥させたハニカム構造体を備える排ガス浄化フィルタを模擬排ガス排気ラインに設置した。その後、模擬排ガス(O :10%、N :85%、NO:500ppm、NH :500ppm、H O:5%、SV=50000/h)を250℃まで上昇させ、NOx濃度を測定した。得られた結果からNOx浄化率を算出した。結果を表2に示した。
[0144]
 (再生率)
 ハニカム構造体の初期重量を予め測定した。次に、ディーゼルエンジンの排気ラインに、酸化触媒(DOC)とハニカム構造体を備える排ガス浄化フィルタを順に設置した。設置後、ディーゼルエンジンを始動させ、排気温度が低温となる運転条件でPMを所定量(約8g/L)堆積させた後、一度ハニカム構造体を取り外し、堆積したPMの重量を測定した。
[0145]
 次いで、PMを堆積させたハニカム構造体を模擬排ガスの排気ラインに設置した後、模擬排ガスを480℃まで上昇させ再生試験を開始した。480℃に到達した時点から30分間480℃±10℃の温度を保持し、30分経過後、模擬排ガスの全量を窒素ガスに切り替えた。
[0146]
 温度が室温まで低下後、再度、ハニカム構造体を取り出し、重量減少分(=PM燃焼重量)を測定し、以下の計算式により再生率を算出した。結果を表2に示した。
[0147]
 再生率(%)=100-[(PM堆積重量(g)-PM燃焼重量(g))/PM堆積重量(g)]×100
[0148]
[表2]


[0149]
 表2に示す結果から明らかなように、本発明に従う実施例1~実施例18のハニカム構造体を用いた場合、NOx浄化率と再生率が共に高い物性を示している。これに対し、比較例1~比較例7に示すように、レピドクロサイト型チタン酸塩化合物を使用しない場合、NOx浄化率又は再生率が低い値を示している。したがって、本発明のハニカム構造体では、レピドクロサイト型チタン酸塩化合物を用いることにより、ゼオライトの分解を抑制しつつ、高いPM燃焼機能を持たせることが可能になることがわかる。

符号の説明

[0150]
11…ハニカム構造体本体
11a,11b…第1,第2の端面
11c…側面
12…セル
12a…最外周のセル
13…セル壁
13a…外縁壁を構成するセル壁
13b…外縁壁を構成しないセル壁
14…外縁壁
15…角部

請求の範囲

[請求項1]
 長手方向に沿って、一方の端面から他方の端面に延伸している複数のセルがセル壁によって区画された形状を有し、ゼオライトを含む、ハニカム構造体本体と、
 前記ハニカム構造体本体における前記セル壁の表面に坦持されている、チタン酸塩化合物とを備え、
 前記チタン酸塩化合物が、TiO 八面体の連鎖により形成される層状構造を有し、Ti席の一部がLi、Mg、Zn、Ga、Ni、Cu、Fe、Al及びMnから選ばれる1種又は2種以上の元素で置換され、前記層状構造における層間にLiを除くアルカリ金属から選ばれる1種又は2種以上の元素のイオンが配位したレピドクロサイト型チタン酸塩化合物であることを特徴とする、ハニカム構造体。
[請求項2]
 前記チタン酸塩化合物におけるTi席の10モル%~40モル%が、Li、Mg、Zn、Ga、Ni、Cu、Fe、Al及びMnから選ばれる1種又は2種以上の元素で置換されていることを特徴とする、請求項1に記載のハニカム構造体。
[請求項3]
 前記チタン酸塩化合物が、A Ti (2-y)〔式中、AはLiを除くアルカリ金属の1種又は2種以上、MはLi、Mg、Zn、Ga、Ni、Cu、Fe、Al及びMnから選ばれる1種又は2種以上、xは0.2~1.0、yは0.25~1.0の数〕、A 0.2~0.7Li 0.27Ti 1.733.7~3.95〔式中、AはLiを除くアルカリ金属の1種又は2種以上〕、A 0.2~0.7Mg 0.40Ti 1.63.7~3.95〔式中、AはLiを除くアルカリ金属の1種又は2種以上〕、A 0.5~0.7Li (0.27-x)Ti (1.73-z)3.85~3.95〔式中、AはLiを除くアルカリ金属の1種又は2種以上、MはMg、Zn、Ga、Ni、Cu、Fe、Al及びMnから選ばれる1種又は2種以上(但し、2種以上の場合は異なる価数のイオンの組み合わせは除く)、xとzは、Mが2価金属のとき、x=2y/3、z=y/3、yは0.004≦y≦0.4であり、Mが3価金属のとき、x=y/3、z=2y/3、yは0.004≦y≦0.4〕から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のハニカム構造体。
[請求項4]
 前記ハニカム構造体における見かけ体積当たりのチタン酸塩化合物量が1g/L以上であることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
[請求項5]
 前記ゼオライトが、MOR型ゼオライト、FAU型ゼオライト、A型ゼオライト、L型ゼオライト、BEA型ゼオライト、MFI型ゼオライト及びCHA型ゼオライトから選ばれる1種類又は2種類以上であることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
[請求項6]
 前記ゼオライトのシリカ/アルミナ比が4以上であることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
[請求項7]
 前記チタン酸塩化合物が排ガス中に含まれる粒子状物質を燃焼するために用いられる触媒であり、前記ゼオライトが排ガス中に含まれる窒素酸化物を窒素に還元するために用いられる触媒であることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
[請求項8]
 前記ハニカム構造体がハニカムフィルタであることを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
[請求項9]
 請求項1~請求項8のいずれか一項に記載のハニカム構造体を備えることを特徴とする、排ガス浄化装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]