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1. (WO2018181037) ポリイミド、ポリイミド溶液及びポリイミドフィルム
Document

明 細 書

発明の名称 ポリイミド、ポリイミド溶液及びポリイミドフィルム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010  

発明の効果

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036  

実施例

0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : ポリイミド、ポリイミド溶液及びポリイミドフィルム

技術分野

[0001]
 本発明はポリイミド、ポリイミド溶液及びポリイミドフィルムに関する。

背景技術

[0002]
 近年、高度情報化社会の到来に伴い、光ファイバー、光導波路等の光通信分野、また液晶配向膜、カラーフィルター等の表示装置分野では、耐熱性と透明性とを兼ね備えた材料が求められている。
 表示装置分野では、デバイスの軽量化やフレキシブル化を目的として、デバイスに用いられているガラス基板を、軽量化、フレキシブル化が可能なプラスチック基板へ代替することが検討されている。表示素子から発せられる光がプラスチック基板を通って出射されるような場合、プラスチック基板には透明性が要求され、さらに、位相差フィルムや偏光板を光が通過する場合(例えば、液晶ディスプレイ、タッチパネルなど)は、透明性に加えて、光学的等方性が高いことも要求される。
[0003]
 上記のような要求を満たしうるプラスチック材料として、ポリイミドの開発が進められている。例えば、特許文献1には、透明性、耐熱性及び光学的等方性が良好なポリイミドとして、テトラカルボン酸成分として1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を用い、ジアミン成分として9,9-ビス(3-メチル-4-アミノフェニル)フルオレン及び4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを用いて合成されたポリイミド等が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特許第6010533号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1に開示されるポリイミドは、透明性及び耐熱性に加えて、光学的等方性にも優れるとされているものの、光学的等方性の更なる向上が望まれている。
 本発明の課題は、良好な透明性及び耐熱性を有し、かつ、光学的等方性に非常に優れたポリイミドを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明者らは、特定の繰り返し単位の組み合わせを含むポリイミドが上記課題を解決できることを見出し、発明を完成させるに至った。
[0007]
 すなわち本発明は、下記の[1]~[5]に関する。
[1]下記式(I)で表される繰り返し単位と、下記式(II)で表される繰り返し単位とを含むポリイミド。
[0008]
[化1]


[0009]
(式(II)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又はメチル基を表わす。)
[0010]
[2]前記式(I)で表わされる繰り返し単位と前記式(II)で表わされる繰り返し単位の合計に対する前記式(I)で表わされる繰り返し単位の含有比が1~30モル%である、上記[1]に記載のポリイミド。
[3]Rが水素原子を表わす、上記[1]又は[2]に記載のポリイミド。
[4]上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリイミドが有機溶媒に溶解してなるポリイミド溶液。
[5]上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリイミドを含む、ポリイミドフィルム。

発明の効果

[0011]
 本発明のポリイミドは、透明性及び耐熱性が良好であり、かつ、光学的等方性が非常に優れている。

発明を実施するための形態

[0012]
[ポリイミド]
 本発明のポリイミドは、下記式(I)で表される繰り返し単位(以後、「繰り返し単位I」と呼称することもある)と、下記式(II)で表される繰り返し単位(以後、「繰り返し単位II」と呼称することもある)とを含む。
[0013]
[化2]


[0014]
(式(II)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又はメチル基を表わす。)
[0015]
 繰り返し単位Iは、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸又はその誘導体に由来する構造と、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンに由来する構造とからなるものである。
 一方、繰り返し単位IIは、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸又はその誘導体に由来する構造と、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-フルオロフェニル)フルオレン又は9,9-ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)フルオレン(以後、これら3種のジアミンを「9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン等」と呼称することもある)に由来する構造とからなる。
 即ち、本発明のポリイミドは、テトラカルボン酸成分として1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸又はその誘導体を用い、ジアミン成分として2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンと9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン等とを用いて、合成される。
 本発明のポリイミドは、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンに由来する構造と9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン等に由来する構造の両方を含むことによって、非常に優れた光学的等方性を発現するものである。
[0016]
 式(II)中において、Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、およびメチル基からなる群より選択され、水素原子であることが好ましい。
[0017]
 本発明において、繰り返し単位Iと繰り返し単位IIの合計に対する繰り返し単位Iの含有比は、特に限定されるわけではないが、光学的等方性の観点から、1~30モル%であることが好ましく、3~25モル%であることがより好ましく、3~20モル%であることがさらに好ましく、3~15モル%であることが特に好ましく、3~7モル%であることが最も好ましい。
[0018]
 本発明において、ポリイミドを構成する全繰り返し単位に対する、繰り返し単位Iと繰り返し単位IIの合計の含有量は、好ましくは50~100モル%、より好ましくは75~100モル%、さらに好ましくは90~100モル%である。また、本発明のポリイミドを構成する全繰り返し単位は、繰り返し単位I及び繰り返し単位IIのみからなってもよい。
[0019]
 本発明のポリイミドの数平均分子量は、得られるポリイミドフィルムの機械的強度の観点から、好ましくは5,000~100,000である。なお、ポリイミドの数平均分子量は、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー測定による標準ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算値より求めることができる。
[0020]
 本発明のポリイミドは、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させることにより製造することができる。
 本発明において、テトラカルボン酸成分は、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸又はその誘導体を含有する。前記誘導体としては、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸のアルキルエステル(例えば、ジメチルエステル、ジエチルエステル、及びジプロピルエステル)が挙げられる。
 テトラカルボン酸成分は、ポリイミドの各種物性を損なわない範囲で、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸又はその誘導体に加えて、その他のテトラカルボン酸又はその誘導体を含んでもよいが、その含有量は全テトラカルボン酸成分に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下である。
[0021]
 本発明において、ジアミン成分は、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンと、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン等とを含有する。
 ジアミン成分は、ポリイミドの各種物性を損なわない範囲で、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン及び9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン等に加えて、他のジアミンを含んでもよいが、その含有量は全ジアミン成分に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下である。
[0022]
 前述の“他のジアミン”としては、特に制限はなく、脂肪族ジアミン、芳香環含有ジアミン等が挙げられる。ポリイミドの耐熱性の観点からは、芳香環含有ジアミンが好ましい。
 脂肪族ジアミンとしては、脂環式炭化水素構造含有ジアミン及び鎖状脂肪族ジアミンが挙げられ、例えば、1,2-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、カルボンジアミン、リモネンジアミン、イソフォロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルプロパン、1,5-ペンタメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、1,11-ウンデカメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン、2,2’-(エチレンジオキシ)ビス(エチレンアミン)等が挙げられる。
 芳香環含有ジアミンとしては、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,2-ジエチニルベンゼンジアミン、1,3-ジエチニルベンゼンジアミン、1,4-ジエチニルベンゼンジアミン、1,2-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,4-ジアミノベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、α,α’-ビス(4-アミノフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビス(3-アミノフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,6-ジアミノナフタレン、1,5-ジアミノナフタレン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,4’-ジアミノベンズアニリド等が挙げられる。
 ジアミン成分に任意に含まれる“他のジアミン”は1種であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
[0023]
 本発明において、ポリイミドの製造に用いるテトラカルボン酸成分とジアミン成分の仕込み量比は、テトラカルボン酸成分1モルに対してジアミン成分が0.9~1.1モルであることが好ましい。
[0024]
 また、本発明において、ポリイミドの製造には、前述のテトラカルボン酸成分及びジアミン成分の他に、末端封止剤を用いてもよい。末端封止剤としてはモノアミン類あるいはジカルボン酸類が好ましい。導入される末端封止剤の仕込み量としては、テトラカルボン酸成分1モルに対して0.0001~0.1モルが好ましく、特に0.001~0.06モルが好ましい。モノアミン類末端封止剤としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、4-メチルベンジルアミン、4-エチルベンジルアミン、4-ドデシルベンジルアミン、3-メチルベンジルアミン、3-エチルベンジルアミン、アニリン、3-メチルアニリン、4-メチルアニリン等が推奨される。これらのうち、ベンジルアミン、アニリンが好適に使用できる。ジカルボン酸類末端封止剤としては、ジカルボン酸類が好ましく、その一部を閉環していてもよい。例えば、フタル酸、無水フタル酸、4-クロロフタル酸、テトラフルオロフタル酸、2,3-ベンゾフェノンジカルボン酸、3,4-ベンゾフェノンジカルボン酸、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、シクロペンタン-1,2-ジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸等が推奨される。これらのうち、フタル酸、無水フタル酸が好適に使用できる。
[0025]
 前述のテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させる方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
 具体的な反応方法としては、(1)テトラカルボン酸成分、ジアミン成分、及び反応溶剤を反応器に仕込み、室温~80℃で0.5~30時間撹拌し、その後に昇温してイミド化反応を行う方法、(2)ジアミン成分及び反応溶剤を反応器に仕込んで溶解させた後、テトラカルボン酸成分を仕込み、室温~80℃で0.5~30時間撹拌し、その後に昇温してイミド化反応を行う方法、(3)テトラカルボン酸成分、ジアミン成分、及び反応溶剤を反応器に仕込み、直ちに昇温してイミド化反応を行う方法等が挙げられる。
[0026]
 ポリイミドの製造に用いられる反応溶剤は、イミド化反応を阻害せず、生成するポリイミドを溶解できるものであればよい。例えば、非プロトン性溶剤、フェノール系溶剤、エーテル系溶剤、カーボネート系溶剤等が挙げられる。
[0027]
 非プロトン性溶剤の具体例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素等のアミド系溶剤、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等のラクトン系溶剤、ヘキサメチルホスホリックアミド、ヘキサメチルホスフィントリアミド等の含リン系アミド系溶剤、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶剤、アセトン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等のケトン系溶剤、ピコリン、ピリジン等のアミン系溶剤、酢酸(2-メトキシ-1-メチルエチル)等のエステル系溶剤等が挙げられる。
[0028]
 フェノール系溶剤の具体例としては、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等が挙げられる。
 エーテル系溶剤の具体例としては、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、ビス〔2-(2-メトキシエトキシ)エチル〕エーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等が挙げられる。
 また、カーボネート系溶剤の具体的な例としては、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
 上記反応溶剤の中でも、アミド系溶剤又はラクトン系溶剤が好ましい。また、上記の反応溶剤は単独で又は2種以上混合して用いてもよい。
[0029]
 イミド化反応では、ディーンスターク装置などを用いて、製造時に生成する水を除去しながら反応を行うことが好ましい。このような操作を行うことで、重合度及びイミド化率をより上昇させることができる。
[0030]
 上記のイミド化反応においては、公知のイミド化触媒を用いることができる。イミド化触媒としては、塩基触媒又は酸触媒が挙げられる。
 塩基触媒としては、ピリジン、キノリン、イソキノリン、α-ピコリン、β-ピコリン、2,4-ルチジン、2,6-ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、イミダゾール、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン等の有機塩基触媒、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基触媒が挙げられる。
 また、酸触媒としては、クロトン酸、アクリル酸、トランス-3-ヘキセノイック酸、桂皮酸、安息香酸、メチル安息香酸、オキシ安息香酸、テレフタル酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。上記のイミド化触媒は単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 上記のうち、取り扱い性の観点から、塩基触媒を用いることが好ましく、有機塩基触媒を用いることがより好ましく、トリエチルアミンを用いることがさらに好ましい。
[0031]
 イミド化反応の温度は、反応率及びゲル化等の抑制の観点から、好ましくは120~250℃、より好ましくは160~190℃である。また、反応時間は、生成水の留出開始後、好ましくは0.5~10時間である。
[0032]
[ポリイミド溶液]
 本発明のポリイミド溶液は、本発明のポリイミドが有機溶媒に溶解してなるものである。即ち、本発明のポリイミド溶液は、本発明のポリイミド及び有機溶媒を含み、当該ポリイミドは当該有機溶媒に溶解している。
 有機溶媒はポリイミドが溶解するものであればよく、特に限定されないが、ポリイミドの製造に用いられる反応溶剤として上述した化合物を、単独又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
 本発明のポリイミドは溶媒溶解性を有しているため、室温で安定な高濃度のワニスとすることができる。本発明のポリイミド溶液は、本発明のポリイミドを5~40質量%含むことが好ましく、10~30質量%含むことがより好ましい。ポリイミド溶液の粘度は1~200Pa・sが好ましく、5~150Pa・sがより好ましい。
 また、本発明のポリイミド溶液は、ポリイミドフィルムの要求特性を損なわない範囲で、無機フィラー、接着促進剤、剥離剤、難燃剤、紫外線安定剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、架橋剤、重合開始剤、感光剤等各種添加剤を含んでもよい。
 本発明のポリイミド溶液の製造方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。
[0033]
[ポリイミドフィルム]
 本発明のポリイミドフィルムは、本発明のポリイミドを含む。したがって、本発明のポリイミドフィルムは、透明性及び耐熱性が良好であり、かつ、光学的等方性が非常に優れている。
 本発明のポリイミドフィルムの作製方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、本発明のポリイミド溶液をフィルム状に塗布又は成形した後、有機溶媒を除去する方法等が挙げられる。
[0034]
 本発明のポリイミドフィルムの厚みは用途等に応じて適宜選択することができるが、通常0.1~500μmであり、好ましくは1~250μm、より好ましくは5~100μmの範囲である。
 本発明のポリイミドフィルムは良好な透明性を有する。本発明のポリイミドフィルムは、例えば厚み100μmにおいて、全光線透過率が、好ましくは85%以上であり、より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
 本発明のポリイミドフィルムは良好な耐熱性を有する。本発明のポリイミドフィルムは、ガラス転移温度が、好ましくは300℃以上であり、より好ましくは320℃以上であり、さらに好ましくは350℃以上であり、特に好ましくは380℃以上である。
[0035]
 また、本発明のポリイミドフィルムは非常に優れた光学的等方性を有する。完全に光学的に等方であるということは、ポリイミドフィルムの面内の屈折率のうち最大のものをnx、最小のものをnyとし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、
nx=ny=nz
という関係が成り立つことを意味する。
 本発明のポリイミドフィルムは、nx-nyが好ましくは0.000080以下であり、より好ましくは0.000050以下であり、さらに好ましくは0.000035以下であり、特に好ましくは0.000025以下であり、最も好ましくは0.000015以下である。
 また、本発明のポリイミドフィルムは、(nx+ny)/2-nzが好ましくは0.0018以下であり、より好ましくは0.0015以下であり、さらに好ましくは0.0010以下であり、特に好ましくは0.0005以下であり、最も好ましくは0.0002以下である。
 本発明において、ポリイミドフィルムの厚さ、全光線透過率、ガラス転移温度、光学的等方性は、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
[0036]
 本発明のポリイミドフィルムは、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ、半導体部品、光学部材等の各種部材用のフィルムとして好適に用いられる。
実施例
[0037]
 以下に、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
 実施例及び比較例で得たフィルムの評価は以下のように行った。
[0038]
(1)フィルム厚さ
 フィルム厚さは、株式会社ミツトヨ製、マイクロメーターを用いて測定した。
(2)全光線透過率
 全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠し、日本電色工業株式会社製 色彩・濁度同時測定器「COH400」を用いて測定した。
(3)ガラス転移温度
 エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の示差走査熱量計装置(DSC6200)を用い、昇温速度10℃/minの条件でDSC測定を行い、ガラス転移温度を求めた。
(4)光学的等方性
 光学的等方性は、日本分光株式会社製 エリプソメーター(M-220)を用いて測定した。測定波長590nmにおける、正面位相差および厚み位相差の値を測定した。その値を用いて、ポリイミドフィルムの面内の屈折率のうち最大のものをnx、最小のものをnyとし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、nx-nyおよび(nx+ny)/2-nzを算出した。
[0039]
<実施例1>
 ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた300mLの5つ口丸底フラスコに、ジアミン成分として9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(田岡化学工業株式会社製)23.17g(0.0665モル)及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(和歌山精化工業株式会社製)1.81g(0.0035モル)、γ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)49.74g、系内温度70℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
 この溶液に、脂環式テトラカルボン酸成分として1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(三菱ガス化学株式会社製)16.47g(0.07モル)とγ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)12.44gを一括で添加した後、イミド化触媒としてトリエチルアミン(関東化学株式会社製)3.54gを投入し、マントルヒーターで加熱し、約20分かけて反応系内温度を190℃まで上げた。留去される成分を捕集し、回転数を粘度上昇に合わせて調整しつつ、反応系内温度を190℃に保持して5時間還流した。
 その後、γ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)93.53gを添加して、反応系内温度を120℃まで冷却した後、さらに約3時間撹拌して均一化し、固形分濃度20質量%のポリイミド溶液を得た。続いてガラス板上へ、得られたポリイミド溶液を塗布し、ホットプレートで100℃、60分間保持し、溶媒を揮発させることで自己支持性を有する無色透明な一次乾燥フィルムを得た。このフィルムをステンレス枠に固定し、熱風乾燥機中250℃で2時間加熱し溶媒を蒸発させ、厚み100μmのフィルムを得た。結果を表1に示す。
[0040]
<実施例2>
 ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた300mLの5つ口丸底フラスコに、ジアミン成分として9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(田岡化学工業株式会社製)20.73g(0.0595モル)及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(和歌山精化工業株式会社製)5.44g(0.0105モル)、γ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)51.17g、系内温度70℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
 この溶液に、脂環式テトラカルボン酸成分として1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(三菱ガス化学株式会社製)16.47g(0.07モル)とγ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)12.79gを一括で添加した後、イミド化触媒としてトリエチルアミン(関東化学株式会社製)3.54gを投入し、マントルヒーターで加熱し、約20分かけて反応系内温度を190℃まで上げた。留去される成分を捕集し、回転数を粘度上昇に合わせて調整しつつ、反応系内温度を190℃に保持して5時間還流した。
 その後、γ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)93.99gを添加して、反応系内温度を120℃まで冷却した後、さらに約3時間撹拌して均一化し、固形分濃度20質量%のポリイミド溶液を得た。続いてガラス板上へ、得られたポリイミド溶液を塗布し、ホットプレートで100℃、60分間保持し、溶媒を揮発させることで自己支持性を有する無色透明な一次乾燥フィルムを得た。このフィルムをステンレス枠に固定し、熱風乾燥機中250℃で2時間加熱し溶媒を蒸発させ、厚み37μmのフィルムを得た。結果を表1に示す。
[0041]
<実施例3>
 ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた300mLの5つ口丸底フラスコに、ジアミン成分として9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(田岡化学工業株式会社製)19.51g(0.0560モル)及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(和歌山精化工業株式会社製)7.26g(0.0140モル)、γ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)51.89g、系内温度70℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
 この溶液に、脂環式テトラカルボン酸成分として1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(三菱ガス化学株式会社製)16.47g(0.07モル)とγ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)12.97gを一括で添加した後、イミド化触媒としてトリエチルアミン(関東化学株式会社製)3.54gを投入し、マントルヒーターで加熱し、約20分かけて反応系内温度を190℃まで上げた。留去される成分を捕集し、回転数を粘度上昇に合わせて調整しつつ、反応系内温度を190℃に保持して5時間還流した。
 その後、γ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)95.49gを添加して、反応系内温度を120℃まで冷却した後、さらに約3時間撹拌して均一化し、固形分濃度20質量%のポリイミド溶液を得た。続いてガラス板上へ、得られたポリイミド溶液を塗布し、ホットプレートで100℃、60分間保持し、溶媒を揮発させることで自己支持性を有する無色透明な一次乾燥フィルムを得た。このフィルムをステンレス枠に固定し、熱風乾燥機中250℃で2時間加熱し溶媒を蒸発させ、厚み44μmのフィルムを得た。結果を表1に示す。
[0042]
<比較例1>
 ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた300mLの5つ口丸底フラスコに、ジアミン成分として9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(田岡化学工業株式会社製)23.17g(0.0665モル)及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化工業株式会社製)1.44g(0.0035モル)、γ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)49.04g、系内温度70℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
 この溶液に、脂環式テトラカルボン酸成分として1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(三菱ガス化学株式会社製)16.47g(0.07モル)とγ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)12.26gを一括で添加した後、イミド化触媒としてトリエチルアミン(関東化学株式会社製)3.54gを投入し、マントルヒーターで加熱し、約20分かけて反応系内温度を190℃まで上げた。留去される成分を捕集し、回転数を粘度上昇に合わせて調整しつつ、反応系内温度を190℃に保持して5時間還流した。
 その後、γ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)89.57gを添加して、反応系内温度を120℃まで冷却した後、さらに約3時間撹拌して均一化し、固形分濃度20質量%のポリイミド溶液を得た。続いてガラス板上へ、得られたポリイミド溶液を塗布し、ホットプレートで100℃、60分間保持し、溶媒を揮発させることで自己支持性を有する無色透明な一次乾燥フィルムを得た。このフィルムをステンレス枠に固定し、熱風乾燥機中250℃で2時間加熱し溶媒を蒸発させ、厚み35μmのフィルムを得た。結果を表1に示す。
[0043]
<比較例2>
 ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた300mLの5つ口丸底フラスコに、ジアミン成分として9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(田岡化学工業株式会社製)19.51g(0.0560モル)及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化工業株式会社製)5.74g(0.0140モル)、γ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)50.06g、系内温度70℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
 この溶液に、脂環式テトラカルボン酸成分として1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(三菱ガス化学株式会社製)16.47g(0.07モル)とγ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)12.52gを一括で添加した後、イミド化触媒としてトリエチルアミン(関東化学株式会社製)3.54gを投入し、マントルヒーターで加熱し、約20分かけて反応系内温度を190℃まで上げた。留去される成分を捕集し、回転数を粘度上昇に合わせて調整しつつ、反応系内温度を190℃に保持して5時間還流した。
 その後、γ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)91.69gを添加して、反応系内温度を120℃まで冷却した後、さらに約3時間撹拌して均一化し、固形分濃度20質量%のポリイミド溶液を得た。続いてガラス板上へ、得られたポリイミド溶液を塗布し、ホットプレートで100℃、60分間保持し、溶媒を揮発させることで自己支持性を有する無色透明な一次乾燥フィルムを得た。このフィルムをステンレス枠に固定し、熱風乾燥機中250℃で2時間加熱し溶媒を蒸発させ、厚み44μmのフィルムを得た。結果を表1に示す。
[0044]
<比較例3>
 ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた300mLの5つ口丸底フラスコに、ジアミン成分として9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(田岡化学工業株式会社製)23.17g(0.0665モル)及び4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(和歌山精化工業株式会社製)0.70g(0.0035モル)、γ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)48.29g、系内温度70℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
 この溶液に、脂環式テトラカルボン酸成分として1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(三菱ガス化学株式会社製)16.47g(0.07モル)とγ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)12.07gを一括で添加した後、イミド化触媒としてトリエチルアミン(関東化学株式会社製)3.54gを投入し、マントルヒーターで加熱し、約20分かけて反応系内温度を190℃まで上げた。留去される成分を捕集し、回転数を粘度上昇に合わせて調整しつつ、反応系内温度を190℃に保持して5時間還流した。
 その後、γ-ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)87.99gを添加して、反応系内温度を120℃まで冷却した後、さらに約3時間撹拌して均一化し、固形分濃度20質量%のポリイミド溶液を得た。続いてガラス板上へ、得られたポリイミド溶液を塗布し、ホットプレートで100℃、60分間保持し、溶媒を揮発させることで自己支持性を有する無色透明な一次乾燥フィルムを得た。このフィルムをステンレス枠に固定し、熱風乾燥機中250℃で2時間加熱し溶媒を蒸発させ、厚み49μmのフィルムを得た。結果を表1に示す。
[0045]
[表1]


[0046]
 表中の略号は以下のとおりである。
HPMDA:1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
BAFL:9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン
HFBAPP:2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン
BAPP:2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
ODA:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
[0047]
 表1に示すように、実施例1~3のポリイミドフィルムは、透明性及び耐熱性が良好であり、かつ、光学的等方性が非常に優れている。

請求の範囲

[請求項1]
 下記式(I)で表される繰り返し単位と、下記式(II)で表される繰り返し単位とを含むポリイミド。
[化1]



(式(II)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又はメチル基を表わす。)
[請求項2]
 前記式(I)で表わされる繰り返し単位と前記式(II)で表わされる繰り返し単位の合計に対する前記式(I)で表わされる繰り返し単位の含有比が1~30モル%である、請求項1に記載のポリイミド。
[請求項3]
 Rが水素原子を表わす、請求項1又は2に記載のポリイミド。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれかに記載のポリイミドが有機溶媒に溶解してなるポリイミド溶液。
[請求項5]
 請求項1~3のいずれかに記載のポリイミドを含む、ポリイミドフィルム。