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1. (WO2018180720) 電動モータおよびその製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 電動モータおよびその製造方法 0001  

技術分野

0002  

背景技術

0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018  

図面の簡単な説明

0019   0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053  

符号の説明

0054  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17  

明 細 書

発明の名称 : 電動モータおよびその製造方法

関連出願

[0001]
 本出願は、2017年3月28日出願の特願2017-062138の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本願の一部をなすものとして引用する。

技術分野

[0002]
 この発明は、例えば、電動ブレーキ装置等の各種の装置に用いられる電動モータおよびその製造方法に関する。

背景技術

[0003]
 電動モータとして、以下の提案がなされている。
 1.モータおよび直動機構を用いた電動ブレーキ装置(特許文献1)。
 2.アキシャルギャップ型のモータ(特許文献2)。
 3.リボン状の磁性板を巻き取ってコアとするアキシャルギャップ型のモータの鉄心の製造方法(特許文献3)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開平6-327190号公報
特許文献2 : 特開平3-15255号公報
特許文献3 : 特開2010-233324号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1に記載のような電動式直動アクチュエータを用いた電動ブレーキ装置において、一般に可能な限り省スペースかつ高応答な電動アクチュエータの実現が望まれる。省スペースで高トルクを可能とする電動モータの構造として、例えば、特許文献2に示すようなアキシャルギャップ型の電動モータが知られている。しかしながら、磁気回路が平面上で成立するラジアルギャップ型の電動モータと比較して、アキシャルギャップ型の電動モータは磁気回路が三次元となるため、励磁回路に用いる鉄心の製造が難しく、製造コストが問題となる場合がある。
[0006]
 例えば、特許文献2のような構造を形成する場合、磁極部と継鉄部を別々に製造し、これらを溶接等で固定する必要がある。その際、特に小型のモータの場合において、磁極部と継鉄部の正確な位置決めが困難となる場合がある。また、小型のモータの場合、特に磁極部が極めて小さくなるため、例えば、積層鋼板(積層コア)が加工時に剥れるなど、コア部の製造が困難となる場合がある。
[0007]
 例えば、特許文献3に記載の製造方法では、打ち抜き加工時または磁性板を巻き取る工程において発生する加工公差は、巻き取る工程において蓄積され続ける。このため、量産時において寸法または形状の保証が困難となる可能性がある。また、巻き取る磁性体が厚い程正確な巻き取りが困難となり、巻き取る磁性板が薄い程巻き取る長さが増加するため誤差が蓄積されやすくなり、かつリードタイムが長くなるといった問題が発生する場合がある。
[0008]
 この発明の目的は、アキシャルギャップ型の電動モータにおいて、モータ鉄心を容易にかつ精度良く製造することができ、また製造コストの低減を図ることができる電動モータおよびその製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

[0009]
 この発明の電動モータは、ハウジングと、このハウジングに静的に保持された固定子と、この固定子に対して回転可能に支持された回転子とを備え、前記固定子と前記回転子とが前記回転子の回転軸の方向に対面するアキシャルギャップ型の電動モータであって、
 前記固定子および前記回転子のいずれか一方または両方が、
 前記回転軸の円周方向に延びる継鉄部と、この継鉄部から前記回転軸の軸方向に突出し前記回転軸の円周方向に並ぶ複数の磁極部とを有する鉄心を備え、
 前記鉄心は、前記継鉄部の円周方向の一端部と他端部とが近接する円筒状を有し、前記継鉄部を構成する部分と前記磁極部を構成する部分とを一体に有する複数の磁性体が同心に配置されている。
[0010]
 この構成によると、鉄心は、継鉄部を構成する部分と磁極部を構成する部分とを一体に有するため、磁極部と継鉄部を固定する製造工程を低減できるうえ、磁極部と継鉄部を正確に位置決めする必要もなくなる。鉄心は、継鉄部を構成する部分と磁極部を構成する部分とを一体に有する複数の磁性体が同心に配置されているため、加工が容易となり、磁性板を巻き取る従来例等よりも加工公差を低減することができる。したがって、鉄心を容易にかつ精度良く製造することができ、また製造コストの低減を図ることができる。この電動モータは、磁性体が同心に配置された鉄心を有するため、渦電流の損失が少なく高出力なアキシャルギャップ型の電動モータを構成できる。
[0011]
 前記磁性体は、前記継鉄部における円周方向の一端部と他端部とが対向する対向面部を有し、
 前記対向面部は、前記円周方向の異なる位置に複数設けられていてもよい。
 このように対向面部をいわゆる段付き形状にすることで、透磁率の改善を図れる。また鉄心の形状を円筒状に成形し易くし得る。
[0012]
 前記一端部および他端部は、周方向に突出する突出部を有し、前記一端部の突出部と前記他端部の突出部とは、前記軸方向に互いに近接していてもよい。円周方向の対向面部には、寸法公差の影響で空隙が発生し得る。一方、軸方向の対向面部については、空隙を無くす、または空隙を小さくすることが容易である。したがって、一端部の突出部と他端部の突出部とを前記軸方向に互いに近接させたため、軸方向の対向面部を磁束が通ることで、円周方向の空隙による透磁率の低下を緩和することができる。
[0013]
 前記磁性体は、前記継鉄部における円周方向の一端部と他端部とが対向する対向面部を有し、
 前記複数の磁性体のうちの第一の磁性体の対向面部と、前記複数の磁性体のうちの第二の磁性体の対向面部とは、周方向に異なる位置に形成されていてもよい。
 この場合、各対向面部が同位相に配置された鉄心等よりも、透磁率の改善を図ることができる。
[0014]
 前記複数の磁性体を備える鉄心の外周を保持する円環状の保持部材を備えてもよい。この場合、円筒状に成形した鉄心の形状を、保持部材により確実に保持し得る。この保持部材は、ハウジングに兼用させてもよい。この場合、電動モータの部品点数を低減でき、構造を簡略化できる。
[0015]
 前記磁性体は、前記継鉄部の一端部と他端部の近接する箇所が溶接された溶接部を備えてもよい。この場合、円筒状に成形した鉄心の形状を恒久的に保持することができる。
[0016]
 上記の各電動モータの製造方法は、薄板形状の磁性体を複数積層する積層過程と、この積層過程で積層された複数の前記磁性体を円筒状にかつ同心状に曲げて前記鉄心を成形する曲げ成形過程と、を有する。この複数の磁性体の積層過程と、積層された複数の磁性体を円筒状かつ同心状に曲げる曲げ成形過程により、鉄心は、例えば、前記継鉄部の円周方向の一端部と他端部とが近接する円筒状を有し、かつ、前記継鉄部を構成する部分と前記磁極部を構成する部分とを一体に有する複数の磁性体が同心に配置されている。
[0017]
 この構成によると、積層過程において、薄板形状の磁性体を複数積層する。曲げ成形過程では、積層過程で積層された複数の前記磁性体を円筒状にかつ同心状に曲げて前記鉄心を成形する。このように積層された複数の磁性体を円筒状にかつ同心状に曲げて鉄心を成形することができるため、加工が容易となり、磁性板を巻き取る従来例等よりも加工公差を低減することができる。したがって、鉄心を容易にかつ精度良く製造することができ、また製造コストの低減を図ることができる。この製造方法を用いて製造された電動モータは、複数の磁性体が円筒状にかつ同心状に積層された鉄心を有するため、渦電流の損失が少なく高出力なアキシャルギャップ型の電動モータを構成できる。
[0018]
 請求の範囲および/または明細書および/または図面に開示された少なくとも2つの構成のどのような組合せも、この発明に含まれる。特に、請求の範囲の各請求項の2つ以上のどのような組合せも、この発明に含まれる。

図面の簡単な説明

[0019]
 この発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明から、より明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。この発明の範囲は添付の請求の範囲によって定まる。添付図面において、複数の図面における同一の符号は、同一または相当する部分を示す。
[0020]
[図1] この発明の一実施形態に係る電動モータの断面図である。
[図2] 同電動モータの鉄心の斜視図である。
[図3] 同鉄心の磁性体を複数積層した状態を示す斜視図である。
[図4] 同鉄心の正面図である。
[図5] 同鉄心の側面図である。
[図6] 同鉄心の各磁性体を積層し位置決めした状態を示す斜視図である。
[図7] 同各磁性体を円筒状にかつ同心状に曲げた状態を示す斜視図である。
[図8] (A)は同電動モータのハウジングを構成する部品を内部から示す正面図、(B)は同図(A)のVIIIB-VIIIB断面図である。
[図9] 同ハウジングを構成する部品に鉄心およびコイルを含む固定子を嵌め込んだ状態を示す斜視図である。
[図10] この発明の他の実施形態に係る電動モータの製造方法を示す斜視図である。
[図11] 同電動モータの鉄心等の斜視図である。
[図12] この発明のさらに他の実施形態に係る電動モータの製造方法を示す斜視図である。
[図13] この発明のさらに他の実施形態に係る電動モータの磁性体の斜視図である。
[図14] 同各磁性体を円筒状に成形した鉄心の底面図である。
[図15] この発明のさらに他の実施形態に係る電動モータの磁性体の斜視図である。
[図16] 同各磁性体を円筒状に成形した鉄心の正面図である。
[図17] いずれかの実施形態に係る電動モータを用いた直動アクチュエータを示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0021]
 この発明の一実施形態に係る電動モータを図1ないし図9と共に説明する。以下の説明は、電動モータの製造方法についての説明も含む。
 <電動モータの全体構造>
 図1に示すように、この電動モータMは、ハウジング1と、固定子2と、回転子3とを備える。この電動モータMは、固定子2と回転子3とが回転子3の回転軸5の方向に対面するアキシャルギャップ型である。固定子2は、ハウジング1に静的に保持される。回転子3は、固定子2に対して回転可能に支持されている。ハウジング1に軸受4を介して回転軸5が回転自在に支持され、この回転軸5の外周に回転子3が固定されている。
[0022]
 ハウジング1は、複数の分割ハウジング1A,1Bで構成され、一方の分割ハウジング1Aに固定子2が設置されている。他方の分割ハウジング1Bは、この電動モータMを使用するモータ使用機器6のハウジングを兼用し、すなわち、モータ使用機器6のハウジングの一部がモータハウジングとなる。モータ使用機器6は、例えば、後述する直動アクチュエータ等を備える。
[0023]
 このアキシャルギャップ型の電動モータMは、永久磁石型の同期モータであり、固定子2は、鉄心7とコイル10とを有するアセンブリ部品の励磁機構とされている。回転子3は、円周方向に並ぶ複数の永久磁石3aを円板状の保持部材3bに埋め込んで成る。保持部材3bは金属部材であってもよく、樹脂部材等であってもよい。回転子3は、永久磁石3aおよび保持部材3bに代えて、全体が磁性体から成るものであってもよい。その場合には、回転子3は、回転子の位相によってリラクタンスが変動する形状とされることで、リラクタンス型の同期モータとなる。
[0024]
 <モータ鉄心等の構造について>
 図2に示すように、固定子2における鉄心7は、バックヨークである継鉄部8と、複数の磁極部(磁極コア)9とを有する。図1および図2に示すように、継鉄部8は、回転子3の回転軸心Oと同心で回転軸5の円周方向に延びる円筒状または環状の平板状であり、磁極間の磁路を形成する。各磁極部9は、継鉄部8から回転軸5の軸方向に突出し回転軸5の円周方向に等間隔に並び、磁極を形成する。
[0025]
 図5に示すように、この鉄心7は、円周方向の一端部11と他端部12とが近接する円筒状であり、継鉄部8を構成する部分と、磁極部9を構成する部分とを一体に有する典型的には略円筒状の磁性体13が同心に複数積層されて成る。つまり鉄心7は、円周方向の一箇所に始点と終点が近接する円弧を形成する薄板形状の(すなわち略円筒状の)磁性体13が、径方向に複数積層されて成る。換言すれば、鉄心7は、同心上に配置された複数の磁性体13を有する。
[0026]
 継鉄部8が複数積層された部分は、回転軸5(図1)の回転平面と平行な磁気回路を形成する。図3は、平板状の、この鉄心7の磁性体13を複数積層した状態を示す斜視図である。同図における磁性体13は、磁極部9と継鉄部8が一体に設けられた円筒形状となる磁性体13(図4)が、周方向を直線上に平面展開した形状から成る。磁性体13は、例えば、磁性体の表面に絶縁処理を施した電磁鋼板等を用いると、安価で高出力のモータを構成できる。図3に示される平面展開された各磁性体13において、複数の磁極部9は、鉄心7が上記円筒状に形成された時に、図4に示すような上記周方向における等間隔でかつ後述の扇形状になるように、配置されている。
[0027]
 図4に示すように、積層された磁性体13のうち磁極部9に相当する部分の形状は、鉄心7の径方向(積層方向)において徐々に変化する。換言すれば、磁極部9が複数積層された部分は、正面視で、円弧部分が外径側に位置する扇形状とされている。具体的には、図3および図4に示すように、円周方向に等間隔に並ぶ磁極部9が、各層につき同位相となるように配置されると共に、内径側の層の磁極部9ほど幅狭に形成されている。これにより、図2に示すように、外径側の層に向かうに従って幅広となる正面視で上記扇形状の磁極部9となる。磁極部9の個数は、一般に印加する交流電流の相数の整数倍とすることが好ましいが、一部の相において磁極の数を減らすような構成とすることもできる。例えば、図示の例は三相モータであるため、磁極部9の個数は、相数である「3」の4倍である12個とされているが、例えばU相4極、V相4極、W相3極、計11個のように構成することもできる。
[0028]
 <コイル10について>
 図1および図9に示すように、コイル10は、各磁極部9に導線が巻回されたものであり、磁極部9とこの磁極部9に巻回されたコイル10とで、前記導線の電流を鎖交磁束に変換する一つの個別励磁機構が構成される。図9に示すコイル10の導線は、断面が平角形の被覆導線が用いられ、図示外のコイルボビンを介して磁極部9の外周にその突出方向に並ぶ一重に巻回されている。
[0029]
 なお当該導線の巻回は、一重であってもよく、多重に巻重ねられていてもよい。また、導線を断面円形の被覆導線としてもよい。導線は、上述のように各磁極部9の外周に嵌められたコイルボビン(図示せず)に巻回されていてもよく、また絶縁紙等を介して直接巻回され、ワニスまたはモールドなどにより固定されていてもよい。
[0030]
 <モータ鉄心の成形例について>
 図6は、上記製造方法に含まれる積層過程における、各磁性体13を積層し位置決めした状態を示す斜視図である。同図6は、図3の各磁性体13を図4および図5の円筒形状に成形する途中を示す。この鉄心7の成形例では、鉄心7の内周面および外周面を所定の形状に成形する治具たる第1,第2の成形部材14,15(15a)を用い、両者で挟んで、前記積層された磁性体を成形する。
[0031]
 図6に示すように、第1の成形部材14は、鉄心7の内周面を成形する部材であり、成形部材本体14aと、位置決め部材14bとを一体で備える。成形部材本体14aは、鉄心7の成形後の内周面と同径の外周面を有する円筒形状ないし円柱形状である。位置決め部材14bは、鉄心7のスロット溝の一部を案内して位置決めする部材であり、成形部材本体14aの外周面の円周方向の一部から外径側に所定距離突出する角柱状である。前記所定距離は、鉄心7の成形後における内周面、外周面間の径方向の厚みに応じて定められる。
[0032]
 なお鉄心7を位置決めする部材は、第2の成形部材15の内周面の方に、内径側に所定距離突出する位置決め部材(図示せず)が設けられていてもよく、あるいは、第1,第2の成形部材14,15の両方に位置決め部材が設けられていてもよい。第1,第2の成形部材14,15のいずれか一方または両方に位置決め部材が設けられた場合、鉄心7の成形後の形状の保証が容易となる。前記位置決め部材の使用に代えて、磁極部9の位相をそろえて各磁性体13の所定位置を予め接着または溶接しておく等の仮止めにより鉄心7を位置決めしてもよい。
[0033]
 図7は、上記製造方法に含まれる曲げ成形過程における、各磁性体13を円筒状にかつ同心状に曲げた状態を示す斜視図である。この曲げ成形過程では、前記積層過程で積層された複数の前記磁性体13を円筒状にかつ同心状に曲げて前記鉄心7を成形する。第2の成形部材15は、鉄心7の外周面を成形する部材であり、鉄心7の成形後の外周面と同径の内周面を有する複数分割された成形治具15aを有する。この図7において、三分割された成形治具15aを用いる例を示すが、成形治具15aの分割数は、設備等の都合により任意とすることができる。
[0034]
 各成形治具15aは、本図7のように中心角が約120°毎に同一形状に3つに分割された成形治具15aであってもよく、図示しないが、例えば、中心角が180°、90°、90°のように異形で3つに分割された成形治具であってもよい。また、第2の成形部材15は、鉄心7の成形に十分な形状を備えていればよく、成形治具間に空隙を有し、全ての成形治具を組み合わせた中心角の総和が約360°にならない(360°未満の)形状の分割タイプの成形部材であってもよい。
[0035]
 <励磁機構の組立例について>
 図8(A),(B)に示すように、分割ハウジング1Aの底面に、継鉄部8(図1)の外周面が嵌合する(例えば、外接してもよく、また該嵌合により多少変形してもよい)多角形状の嵌合溝16が設けられている。この嵌合溝16により、励磁機構の組立時に、分割ハウジング1Aに対する前記励磁機構の相対的に位置決めが容易に行えるようにされている。
[0036]
 分割ハウジング1Aは、PBT等の樹脂成型されたものであってもよく、金属部材によるものであってもよい。分割ハウジング1Aが樹脂部材から成る場合、例えば配線用のバスバー等がインサート成形されたものであってもよい。分割ハウジング1Aが金属材から成る場合、鉄等の磁性体であってもよく、アルミニウムまたはステンレス鋼等の非磁性材であってもよい。また、樹脂部材で分割ハウジング1Aを形成し、アルミニウム等の金属ケースを別途設けて組み合わせる構造としてもよい。
[0037]
 <作用効果>
 以上説明した電動モータMによれば、鉄心7は、継鉄部8を構成する部分と磁極部9を構成する部分とを一体に有するため、磁極部9と継鉄部8を固定する製造工程を低減できるうえ、磁極部9と継鉄部8を正確に位置決めする必要もなくなる。鉄心7は、継鉄部8を構成する部分と磁極部9を構成する部分とを一体に有する磁性体13が同心に積層されて成るため、加工が容易となり、磁性板を巻き取る従来例等よりも加工公差を低減することができる。したがって、鉄心7を容易にかつ精度良く製造することができ、また製造コストの低減を図ることができる。この電動モータMは、磁性体13が同心に積層された鉄心7を有するため、渦電流の損失が少なく高出力なアキシャルギャップ型の電動モータMを構成できる。
[0038]
 <他の実施形態について>
 以下の説明においては、各実施の形態の中で、先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
[0039]
 図11に示すように、積層された磁性体13の最外周を保持する円環状の保持部材17を備えてもよい。この保持部材17は、鉄心7の外周面に嵌合可能であり、鉄心7の外周面に対して所定の嵌め合い公差を持つリング部材である。図10に示すように、第1,第2の成形部材14,15で鉄心7を成形する。次に、第1の成形部材14と保持部材17とが同心となるように、かつ、第2の成形部材15の内周面と保持部材17の内周面とがシームレスな状態で隣り合うように、第2の成形部材15の端面に保持部材17を当接する。その後、成形した鉄心7を、保持部材側(図10中右側)に抜き、同保持部材17の内周面に挿入(嵌合)する。図11に示すように、この保持部材17により、成形した鉄心7の円筒形状を確実に保持し得る。保持部材17は、本図11のように、鉄心7を保持する保持専用のリング部材等を用いてもよい。あるいは、保持部材17を、この電動モータの構成部品であるハウジングに兼用させてもよい。この場合、電動モータの部品点数を低減でき、構造を簡略化できる。
[0040]
 図12に示すように、磁性体13は、継鉄部8における円周方向の一端部と他端部の近接する箇所が溶接された溶接部18を備えてもよい。溶接部18は、積層された全ての磁性体13の円周方向の対向面部(一端部と他端部とが対向する面部分)であってもよく、あるいは、主に外径側の磁性体13の円周方向の対向面部などの一部の対向面部であってもよい。この場合、円筒状に成形した鉄心の形状を恒久的に保持し得る。その他、図示しないが、例えば、接着剤または樹脂を含浸する等により成形した鉄心の円筒形状が保持される構造としてもよい。
[0041]
 <透磁率改善のための構造>
 図13は、1つの磁性体13の始点と終点に位置する円周方向の対向面の形状が段付き形状となるよう、磁性体13の両端部(一端部11と他端部12)を成形する例を示す。図14は、両端部の上記の段どうしを対応させ、図13の磁性体13を複数積層して円筒形状に曲げ成形し、鉄心7とした例を示す。
[0042]
 ここで、図4に示すように、一層を構成する磁性体13の対向面部(いわゆる繋ぎ目)が各積層位置にて同位相に位置する場合(すなわち、積層状態で見た時に、円周方向で同位置の場合)、鉄心7の所定の位相における透磁率が低下する場合がある。
[0043]
 そこで、図14に示すように、磁性体13は、継鉄部8における円周方向の一端部11と他端部12とが対向する対向面部19が、回転軸を含む平面上において同一平面上ではない箇所に複数設けられていてもよい。換言すれば、継鉄部8における円周方向の一端部11と他端部12とが対向する対向面部19は、円周方向の異なる位置に複数設けられていてもよい。また、磁性体13には、軸方向に互いに近接する対向面部20も設けられている。
[0044]
 具体的には、磁性体13の一端部11には、円周方向に突出する突出部11aが形成されており、同様に、磁性体13の他端部12にも、円周方向に突出する突出部12aが形成されている。ここで、一端部11の突出部11aと、他端部12の突出部12aとは、互いに逆向きに突出し、軸方向の位置が互い違いとなるように形成されている。そのため、磁性体13においては、一端部11の突出部11aと他端部12とが対向する対向面部19と、他端部12の突出部12aとが対向する対向面部19とは、周方向に異なる位置に設けられている。また、磁性体13には、一端部11の突出部11aと、他端部12の突出部12aとが軸方向に対向する対向面部20が形成されており、突出部11aと突出部12aとは、軸方向に近接している。
[0045]
 ところで、平面形状の磁性体13を円弧状に成形するうえで、円周方向の対向面が干渉する形状とすることは不可能である。このため、磁性体13の寸法公差の影響で円弧の始点と終点の間に空隙(円周方向の空隙)が発生し得る。この円周方向の空隙により透磁率が低下するおそれがある。
[0046]
 これに対して、図14における軸方向の対向面部20については、空隙を無くすあるいは小さくすることは容易である。したがって、空隙を無くすあるいは小さくした前記軸方向の対向面部20を磁束が通ることで、前述の円周方向の空隙による透磁率の低下を緩和することができる。
[0047]
 なお、図示しないが、円周方向および軸方向のいずれか一方または両方の対向面部が、例えば、傾斜した対向面部であってもよく、あるいは曲面となる形状とすることもできる。すなわち、一端部11の突出部11aおよび他端部12の突出部12aの形状は、これらに限られるものではない。
[0048]
 図15および図16に示すように、積層された磁性体13の各対向面部19が、積層された径方向の位置によって異なる位相に配置されてもよい。換言すれば、同心上に配置された複数の磁性体13のうち、第一の磁性体13aの対向面部19と、第二の磁性体13bの対向面部19とは、周方向に異なる位置に形成されている。この場合、各対向面部19が同位相に配置された鉄心等よりも、透磁率の改善を図ることができる。
[0049]
 なお、図13および図14に示したように、磁性体13の始点と終点に位置する円周方向の対向面の形状が段付き形状となっている場合において、第一の磁性体13aの対向面部19と、第二の磁性体13bの対向面部19とは、周方向に異なる位置に形成する際には、少なくとも径方向最外周の磁性体13の対向面部19が溶接されていればよい。
[0050]
 各実施形態では、積層する複数の磁性体13の各形状が、鉄心の径方向である積層方向に徐々に変化する例を示すが、例えば、同じ形状のものが複数枚重なり、積層する磁性体13の形状が階段状に変化する構造としてもよい。すなわち、正面視で、磁極部9の径方向が一直線とならず階段状となる。この階段状に変化する構造によれば、磁性体13を円筒状に成形した際の円周方向の接合部の隙間が増加するため、性能の面で不利となるが、積層する磁性体13の形状の種類が減る。このため、磁性体13の打ち抜き型の種類が減らせる等、製造上の自由度が向上する。回転子が、継鉄部と磁極部とを一体に有する磁性体であってもよい。
[0051]
 <電動モータの適用例について>
 図17は、上記のいずれかの実施形態に係るアキシャルギャップ型の電動モータを用いた使用機器6が、電動式直動アクチュエータである場合の一例を簡略化して示す。図1に示したアキシャルギャップ型の電動モータMと同軸心に直動機構101が設置されている。直動機構101は、電動モータMの回転軸5により回転駆動されるボールねじ機構等を備え、電動モータMの回転運動を直動部102の直線運動に変換する。前記電動式直動アクチュエータであるモータ使用機器6は、例えば、自動車の車輪制動用の電動ブレーキ装置に用いられ、直動部102は、上記自動車の車輪に設けられているブレーキロータ103に接触および離間させる摩擦パッド104の進退駆動に用いられる。
[0052]
 この電動式直動アクチュエータによれば、アキシャルギャップ型の電動モータMを備えているため、省スペースで高トルクを可能とする電動ブレーキ装置を実現できる。このため、電動ブレーキ装置を車両へ搭載する汎用性を高めることができる。また、上述のように電動モータMの鉄心7を容易にかつ精度良く製造できまた製造コストの低減を図れるため、モータ使用機器全体のコスト低減を図ることができる。
[0053]
 以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更、削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。

符号の説明

[0054]
1…ハウジング
2…固定子
3…回転子
5…回転軸
7…鉄心
8…継鉄部
9…磁極部
11…一端部
11a…突出部
12…他端部
12a…突出部
13…磁性体
13a…第一の磁性体
13b…第二の磁性体
17…保持部材
18…溶接部
19、20…対向面部

請求の範囲

[請求項1]
 ハウジングと、このハウジングに静的に保持された固定子と、この固定子に対して回転可能に支持された回転子とを備え、前記固定子と前記回転子とが前記回転子の回転軸の方向に対面するアキシャルギャップ型の電動モータであって、
 前記固定子および前記回転子のいずれか一方または両方が、
 前記回転軸の円周方向に延びる継鉄部と、この継鉄部から前記回転軸の軸方向に突出し前記回転軸の円周方向に並ぶ複数の磁極部とを有する鉄心を備え、
 前記鉄心は、前記継鉄部の円周方向の一端部と他端部とが近接する円筒状を有し、前記継鉄部を構成する部分と前記磁極部を構成する部分とを一体に有する複数の磁性体が同心に配置されている電動モータ。
[請求項2]
 請求項1に記載の電動モータにおいて、前記磁性体は、前記継鉄部における円周方向の一端部と他端部とが対向する対向面部を有し、
 前記対向面部は、前記円周方向の異なる位置に複数設けられている電動モータ。
[請求項3]
 請求項2に記載の電動モータにおいて、前記一端部および他端部は、周方向に突出する突出部を有し、前記一端部の突出部と前記他端部の突出部とは、前記軸方向に互いに近接している電動モータ。
[請求項4]
 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の電動モータにおいて、
 前記磁性体は、前記継鉄部における円周方向の一端部と他端部とが対向する対向面部を有し、
 前記複数の磁性体のうちの第一の磁性体の対向面部と、前記複数の磁性体のうちの第二の磁性体の対向面部とは、周方向に異なる位置に形成されている電動モータ。
[請求項5]
 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の電動モータにおいて、前記複数の磁性体を備える鉄心の外周を保持する円環状の保持部材を備えた電動モータ。
[請求項6]
 請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の電動モータにおいて、前記磁性体は、前記継鉄部の一端部と他端部の近接する箇所が溶接された溶接部を備えた電動モータ。
[請求項7]
 請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の電動モータの製造方法であって、
 薄板形状の磁性体を複数積層する積層過程と、この積層過程で積層された複数の前記磁性体を円筒状にかつ同心状に曲げて前記鉄心を成形する曲げ成形過程と、を有する電動モータの製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]