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1. (WO2018180146) 半導体素子、相補型半導体装置、半導体素子の製造方法、無線通信装置および商品タグ
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明 細 書

発明の名称 半導体素子、相補型半導体装置、半導体素子の製造方法、無線通信装置および商品タグ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

非特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009   0010  

課題を解決するための手段

0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244  

実施例

0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279   0280   0281   0282   0283   0284   0285   0286   0287   0288   0289   0290   0291   0292   0293   0294   0295   0296   0297   0298   0299   0300   0301   0302   0303   0304   0305   0306   0307   0308   0309   0310   0311   0312   0313   0314   0315   0316   0317   0318   0319   0320   0321   0322   0323   0324   0325  

符号の説明

0326  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24  

図面

1   2   3   4   5A   5B   6   7   8   9   10A   10B   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 半導体素子、相補型半導体装置、半導体素子の製造方法、無線通信装置および商品タグ

技術分野

[0001]
 本発明は、半導体素子、相補型半導体装置、半導体素子の製造方法、無線通信装置および商品タグに関する。

背景技術

[0002]
 近年、非接触型のタグとして、RFID(Radio Frequency IDentification)技術を用いた無線通信システムの開発が進められている。RFIDシステムでは、リーダ/ライタと呼ばれる無線送受信機とRFIDタグとの間で、無線通信が行われる。
[0003]
 RFIDタグは、物流管理、商品管理、万引き防止などの様々な用途での利用が期待されており、交通カードなどのICカード、商品タグなど、一部の用途では導入されてきている。RFIDタグは、ICチップと、アンテナとを有している。RFIDタグ内に設置されたアンテナが、リーダ/ライタから送信される搬送波を受信し、ICチップ内の駆動回路が動作する。
[0004]
 RFIDタグは、あらゆる商品で使用することが期待されている。そのためには、RFIDタグの製造コストを下げることが必要である。そこで、RFIDタグの製造プロセスにおいて、真空や高温を使用するプロセスから脱却し、塗布・印刷技術を用いた、フレキシブルで安価なプロセスを利用することが検討されている。
[0005]
 例えば、ICチップ内の駆動回路におけるトランジスタにおいては、インクジェット技術やスクリーニング技術が適用できる有機半導体を、半導体層の材料として用いることが考えられる。そこで、従来の無機半導体に換わり、カーボンナノチューブ(CNT)や有機半導体を用いた電界効果型トランジスタ(以下、FETという)が盛んに検討されている(例えば、特許文献1参照)。
[0006]
 ICチップ内の駆動回路は、その消費電力を抑制するなどのため、p型FETとn型FETからなる相補型回路で構成するのが一般的である。しかし、CNTを用いたFET(以下、CNT-FETという)は、大気中では、通常、p型半導体素子の特性を示すことが知られている。そこで、CNT-FETを真空加熱することや、CNTに酸素やカリウム等をドーピングすることにより、CNT-FETの特性をn型半導体素子に転換することが検討されている(例えば、特許文献2、非特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 国際公開第2009/139339号パンフレット
特許文献2 : 米国特許出願公開第2003/122133号

非特許文献

[0008]
非特許文献1 : Nano Letters.1,p.453-456(2001)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 しかしながら、特許文献2および非特許文献1に記載のような技術で作製したCNT-FETは、大気下では半導体特性が経時的に変化してしまうため、真空下または窒素などの不活性ガス雰囲気下で取り扱わなければならないという問題があった。
[0010]
 そこで本発明は、経時的劣化のない、安定な、n型半導体特性を有する半導体素子を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0011]
 上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
すなわち本発明は、
基材と、
ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極と、
前記ソース電極およびドレイン電極と接する半導体層と、
前記半導体層を前記ゲート電極と絶縁するゲート絶縁層と、
前記半導体層に対して前記ゲート絶縁層とは反対側で前記半導体層と接する第2絶縁層と、を備えた半導体素子であって、
前記半導体層が、カーボンナノチューブを含有し、
前記第2絶縁層が、窒素原子およびリン原子から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物
を含有し、
前記第2絶縁層の酸素透過度が、4.0cc/(m ・24h・atm)以下である、半導体素子である。

発明の効果

[0012]
 本発明によれば、大気下での経時的劣化のない、安定な、CNTを用いた半導体素子を得ることができる。また、その半導体素子を利用した相補型半導体装置、それを用いた無線通信装置および商品タグを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 本発明の実施形態の一つである半導体素子を示した模式断面図
[図2] 本発明の実施形態の一つである半導体素子を示した模式断面図
[図3] 本発明の実施形態の一つである半導体素子を示した模式断面図
[図4] 本発明の実施形態の一つである半導体素子を示した模式断面図
[図5A] 本発明の実施形態の一つである半導体素子の製造工程を示した断面図
[図5B] 本発明の実施形態の一つである半導体素子の製造工程を示した断面図
[図6] 本発明の実施形態の一つである相補型半導体装置を示した模式断面図
[図7] 本発明の実施形態の一つである相補型半導体装置を示した模式断面図
[図8] 本発明の実施形態の一つである相補型半導体装置を示した模式断面図
[図9] 本発明の実施形態の一つである相補型半導体装置の機能を説明する模式図
[図10A] 本発明の実施形態の一つである相補型半導体装置の製造工程を示した断面図
[図10B] 本発明の実施形態の一つである相補型半導体装置の製造工程を示した断面図
[図11] 本発明の実施形態の一つである半導体素子または相補型半導体装置を用いた無線通信装置の一例を示すブロック図
[図12] 本発明の実施形態の一つである半導体素子を示した模式断面図

発明を実施するための形態

[0014]
 以下、本発明に係る半導体素子、相補型半導体装置、半導体素子の製造方法、無線通信装置および商品タグの好適な実施の形態を詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
[0015]
 <半導体素子>
 本発明の実施の形態に係る半導体素子は、基材と、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極と、上記ソース電極およびドレイン電極と接する半導体層と、上記半導体層を上記ゲート電極と絶縁するゲート絶縁層と、上記半導体層に対して上記ゲート絶縁層とは反対側で上記半導体層と接する第2絶縁層と、を備えた半導体素子であって、上記半導体層が、カーボンナノチューブを含有し、上記第2絶縁層が、窒素原子およびリン原子から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有し、上記第2絶縁層の酸素透過度が、4.0cc/(m ・24h・atm)以下である。
[0016]
 図1は、本発明の実施の形態に係る半導体素子の第一の例を示す模式断面図である。絶縁性の基材1の上に形成されるゲート電極2と、それを覆うゲート絶縁層3と、その上に設けられるソース電極5およびドレイン電極6と、それらの電極の間に設けられる半導体層4と、半導体層を覆う第2絶縁層8と、を有する。半導体層4は、カーボンナノチューブ7を含む。
[0017]
 この構造は、ゲート電極が半導体層の下側に配置され、半導体層の下面にソース電極およびドレイン電極が配置される、いわゆるボトムゲート・ボトムコンタクト構造である。
[0018]
 図2は、本発明の実施の形態に係る半導体素子の第二の例を示す模式断面図である。絶縁性の基材1の上に形成されるゲート電極2と、それを覆うゲート絶縁層3と、その上に設けられる半導体層4と、その上に形成されるソース電極5およびドレイン電極6と、それらの上に設けられる第2絶縁層8を有する。半導体層4は、カーボンナノチューブ7を含む。
[0019]
 この構造は、ゲート電極が半導体層の下側に配置され、半導体層の上面にソース電極およびドレイン電極が配置される、いわゆるボトムゲート・トップコンタクト構造である。
[0020]
 本発明の実施の形態に係る半導体素子の構造はこれらに限定されるものではない。また、以下の説明は、特に断りのない限り、半導体素子の構造によらず共通する。
[0021]
 (基材)
 基材は、少なくとも電極系が配置される面が絶縁性を備える基材であれば、いかなる材質のものでもよい。基材としては、例えば、シリコンウエハ、ガラス、サファイア、アルミナ焼結体等の無機材料からなる基材、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン等の有機材料からなる基材が好ましい。
[0022]
 また、基材としては、例えば、シリコンウエハ上にPVP膜を形成したものや、ポリエチレンテレフタレート上にポリシロキサン膜を形成したものなど、複数の材料が積層されたものであってもよい。
[0023]
 基材は、酸素透過度の低いものであることが好ましい。基材の酸素透過度は、好ましくは、4.0cc/(m ・24h・atm)以下であり、より好ましくは、2.5cc/(m ・24h・atm)以下であり、さらに好ましくは、1.5cc/(m ・24h・atm)以下である。下限としては、特に制限されないが、実用的な材料の特性を考慮すると0.001cc/(m ・24h・atm)以上の程度である。
[0024]
 本発明において、基材や第2絶縁層の酸素透過度は、それらの厚さと、それらに含まれる材料の酸素透過係数とから算出される値、すなわち、酸素透過係数に厚さを乗じて求められる値である。材料の酸素透過係数は、JIS K 7126-2 2006(プラスチックフィルムおよびシートの気体透過度測定方法)に基づいて求められる。第2絶縁層の厚さは、後に詳しく述べるとおり、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により算出する。酸素透過係数について膜厚を元に換算し、酸素透過度を算出する。積層膜の場合は、各層の酸素透過係数および膜厚を算出し、下式により積層膜としての酸素透過係数を計算する;
(積層膜の膜厚/積層膜の酸素透過係数)=Σ((層iの膜厚)/(層iの酸素透過係数))
ここで、iはi番目の層を示す。Σは、積層膜を構成する全ての層についての和とする。積層膜の酸素透過係数に積層膜の膜厚を乗じて酸素透過度を算出する。
[0025]
 (電極)
 ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極に用いられる材料は、一般的に電極として使用されうる導電材料であれば、いかなるものでもよい。例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物;白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、アモルファスシリコン、ポリシリコンなどの金属やこれらの合金;ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質;ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン;ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との錯体など;ヨウ素などのドーピングにより導電率を向上させた導電性ポリマーなど;炭素材料など;および有機成分と導電体とを含有する材料など、が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0026]
 これらの電極材料は、単独で用いられてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いられてもよい。
[0027]
 中でも、電極の柔軟性が増し、屈曲時にも基材およびゲート絶縁層との密着性が良く、配線および半導体層との電気的接続が良好となる点から、電極は、有機成分と導電体を含有することが好ましい。
[0028]
 有機成分としては、特に制限はないが、モノマー、オリゴマー、ポリマー、光重合開始剤、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤、顔料などが挙げられる。電極の折り曲げ耐性向上の観点からは、有機成分としては、オリゴマーもしくはポリマーが好ましい。
[0029]
 オリゴマーもしくはポリマーとしては、特に限定されず、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド前駆体、ポリイミドなどを用いることができる。これらの中でも、電極を屈曲した時の耐クラック性の観点から、アクリル樹脂が好ましい。これは、アクリル樹脂のガラス転移温度が100℃以下であり、導電膜の熱硬化時に軟化し、導電体粒子間の結着が高まるためと推定される。
[0030]
 アクリル樹脂とは、繰返し単位に少なくともアクリル系モノマーに由来する構造を含む樹脂である。アクリル系モノマーの具体例としては、オレフィニックな炭素-炭素二重結合を有するすべての化合物が挙げられるが、好ましくは、
メチルアクリレート、アクリル酸、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、i-プロパンアクリレート、グリシジルアクリレート、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミド、N-n-ブトキシメチルアクリルアミド、N-イソブトキシメチルアクリルアミド、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、1-ナフチルアクリレート、2-ナフチルアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレートなどのアクリル系モノマーおよびこれらのアクリレートをメタクリレートに代えたもの;
スチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、α-メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどのスチレン類;
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1-ビニル-2-ピロリドン;
などが挙げられる。
[0031]
 これらのアクリル系モノマーは、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
[0032]
 導電体としては、一般的に電極として使用されうる導電材料であれば、いかなるものでもよいが、導電性粒子であることが好ましい。導電体として導電性粒子を用いることにより、それを含む電極の表面に凹凸が形成される。その凹凸にゲート絶縁膜が入り込むことで、アンカー効果が生じ、電極とゲート絶縁膜との密着性がより向上する。電極とゲート絶縁膜との密着性が向上することで、電極の折り曲げ耐性が向上する効果や、半導体素子に電圧を繰り返し印加した時の電気特性の変動が抑制される効果がある。これらの効果により、半導体素子の信頼性がより改善する。
[0033]
 導電性粒子としては、金、銀、銅、ニッケル、錫、ビスマス、鉛、亜鉛、パラジウム、白金、アルミニウム、タングステン、モリブデンまたは炭素などが挙げられる。より好ましい東電整流子は、金、銀、銅、ニッケル、錫、ビスマス、鉛、亜鉛、パラジウム、白金、アルミニウムおよび炭素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有する導電性粒子である。これらの導電性粒子は、単独で用いられてもよいし、合金として用いられてもよいし、混合粒子として用いられてもよい。
[0034]
 これらの中でも、導電性の観点から、金、銀、銅または白金の粒子が好ましい。中でも、コストおよび安定性の観点から、銀の粒子であることがより好ましい。
[0035]
 電極表面の凹凸の指標としては、電極表面の算術平均粗さ(Ra)が挙げられる。例えば、Raは5nm以上、200nm以下が好ましい。Raが5nm以上であることで、上述のアンカー効果が効果的に発現する。また、Raが200nm以下であることで、ピンホール欠陥の無いゲート絶縁膜を製膜することができる。ゲート絶縁膜にピンホール欠陥が発生しないことで、半導体素子の短絡を防ぐことができる。
[0036]
 なお、本発明におけるRaは、表面形状測定装置または原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、以下の方法で測定して求められる値である。表面形状測定装置を用いる場合、電極上の任意の5箇所でRaの測定を行い、それらの平均値を採用する。AFMを用いる場合も、導電膜上の任意の5箇所でRaの測定を行い、それらの平均値を採用する。これらの測定方法は、導電膜のサイズに応じて使い分けられる。いずれの方法でも測定可能な場合は、表面形状測定装置で測定した値を採用する。
[0037]
 電極中の導電性粒子の平均粒子径は、0.01μm以上、5μm以下が好ましく、0.01μm以上、2μm以下がより好ましい。導電性粒子の平均粒子径が0.01μm以上であると、導電性粒子同士の接触確率が向上し、作製される電極の比抵抗値を小さくすることができ、かつ、断線確率を低くすることができる。また、導電性粒子の平均粒子径が5μm以下であれば、折り曲げ耐性の高い電極となる。また、導電性粒子の平均粒子径が2μm以下であれば、電極の表面平滑度、パターン精度、寸法精度がさらに向上する。
[0038]
 なお、本発明において、電極中の導電性粒子の平均粒子径は、以下の方法で測定される値である。電極の断面を、走査型電子顕微鏡を用いて10000倍の倍率で観察する。得られた像から無作為に選択した粒子100個について、各粒子径を測長し、その算術平均の値を平均粒子径とする。粒子径とは、粒子の形状が球形の場合は、その直径が粒子径である。粒子の形状が球形以外の場合は、ある1個の粒子について、電子顕微鏡で観察される幅のうち、最大の幅と最小の幅との平均値を、その粒子の粒子径として算定する。
[0039]
 電極中の導電体の量は、電極の重量の70重量%以上、95重量%以下であることが好ましく、下限としては80重量%以上が、上限としては90重量%以下が、それぞれより好ましい。この範囲にあることで、電極の比抵抗値を小さくすることができ、かつ、断線確率を低くすることができる。
[0040]
 また、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極のそれぞれの幅および厚み、ならびに、ソース電極とドレイン電極との間隔は、任意の値に設計することが可能である。例えば、電極幅は10μm~10mm、電極の厚みは0.01μm~100μm、ソース電極とドレイン電極との間隔は1μm~1mmが、それぞれ好ましいが、これらに限らない。
[0041]
 電極の形成方法としては、特に制限はなく、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、CVD、イオンプレーティングコーティング、インクジェット、印刷などの、公知技術を用いた方法が挙げられる。また、電極の形成方法の別の例として、有機成分および導電体を含むペーストを、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法などの、公知の技術で、絶縁基板上に塗布し、オーブン、ホットプレート、赤外線などを用いて乾燥を行い、形成する方法などが挙げられる。
[0042]
 また、電極パターンの形成方法としては、上記方法で作製した電極薄膜を、公知のフォトリソグラフィー法などで所望の形状にパターン形成してもよいし、あるいは、電極物質の蒸着やスパッタリング時に、所望の形状のマスクを介することで、パターンを形成してもよい。
[0043]
 (ゲート絶縁層)
 ゲート絶縁層に用いられる材料は、特に限定されないが、酸化シリコン、アルミナ等の無機材料;ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)等の有機高分子材料;あるいは無機材料粉末と有機材料の混合物を挙げることができる。
中でもケイ素と炭素の結合を含む有機化合物を含むものが好ましい。
[0044]
 有機化合物としては、一般式(9)で表されるシラン化合物、一般式(10)で表されるエポキシ基含有シラン化合物、これらの縮合物またはこれらを共重合成分とするポリシロキサン等が挙げられる。これらの中でも、絶縁性が高く、低温硬化が可能である観点から、ポリシロキサンがより好ましい。
[0045]
 R 14 Si(OR 154-m  (9)
 ここで、R 14は、水素原子、アルキル基、複素環基、アリール基またはアルケニル基を示す。R 14が複数存在する場合、それぞれのR 14は同じでも異なっていてもよい。R 15は、水素原子、アルキル基、アシル基またはアリール基を示す。R 15が複数存在する場合、それぞれのR 15は同じでも異なっていてもよい。mは1~3の整数を示す。
[0046]
 R 16 17 Si(OR 184-n-l  (10)
 ここで、R 16は、1つ以上のエポキシ基を鎖の一部に有するアルキル基を示す。R 16が複数存在する場合、それぞれのR 16は同じでも異なっていてもよい。R 17は、水素原子、アルキル基、複素環基、アリール基またはアルケニル基を示す。R 17が複数存在する場合、それぞれのR 17は同じでも異なっていてもよい。R 18は、水素原子、アルキル基、アシル基またはアリール基を示す。R 18が複数存在する場合、それぞれのR 18は同じでも異なっていてもよい。lは0~2の整数、nは1または2を示す。ただし、l+n≦3である。
[0047]
 R 14~R 18において、アルキル基、アシル基およびアリール基の各々の意味は、後述のR 19~R 24においてした説明と同じ意味を持つ。
[0048]
 R 14およびR 17における複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、アミド環などの、炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環から導かれる基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は、特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
[0049]
 R 14およびR 17におけるアルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの、二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
[0050]
 R 16における、エポキシ基を鎖の一部に有するアルキル基とは、隣り合う2つの炭素原子が1つの酸素原子と結合して形成される3員環エーテル構造を鎖の一部に有するアルキル基を示す。このようなアルキル基としては、以下の2つのようなアルキル基が挙げられる。1つは、アルキル基において、炭素原子が最も長く連続する部分である主鎖に含まれる、隣り合う2つの炭素原子が利用される場合である。もう1つは、アルキル基において、主鎖以外の部分、いわゆる側鎖に含まれる、隣り合う2つの炭素原子が利用される場合である。
[0051]
 ポリシロキサンの共重合成分として、一般式(9)で表されるシラン化合物を導入することにより、可視光領域において高い透明性を保ちつつ、絶縁性および耐薬品性が高く、かつ絶縁膜内のトラップが少ない絶縁膜を形成できる。
[0052]
 また、一般式(9)におけるm個のR 14のうち、少なくとも1つがアリール基であると、絶縁膜の柔軟性が向上し、クラック発生が防止できるため、好ましい。
[0053]
 一般式(9)で表されるシラン化合物としては、具体的に、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p-トリルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、α-ナフチルトリメトキシシラン、β-ナフチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリエトキシシラン、トリフルオロエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリイソプロポキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロエチルメチルジメトキシシラン、トリフルオロエチルメチルジエトキシシラン、トリフルオロエチルメチルジイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジイソプロポキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジイソプロポキシシラン、トリデカフルオロオクチルメチルジメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルメチルジエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルメチルジイソプロポキシシラン、トリフルオロエチルエチルジメトキシシラン、トリフルオロエチルエチルジエトキシシラン、トリフルオロエチルエチルジイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジメトキシシラン、トリルオロプロピルエチルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジイソプロポキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルエチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルエチルジエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルエチルジイソプロポキシシラン、トリデカフルオロオクチルエチルジエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルエチルジメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルエチルジイソプロポキシシラン、p-トリフルオロフェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
[0054]
 上記シラン化合物のうち、架橋密度を上げ、耐薬品性と絶縁特性を向上させるために、m=1であるビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p-トリルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、α-ナフチルトリメトキシシラン、β-ナフチルトリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、p-トリフルオロフェニルトリエトキシシランを用いることが好ましい。また、量産性の観点から、R 15がメチル基であるビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p-トリルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、α-ナフチルトリメトキシシラン、β-ナフチルトリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリメトキシシラン、トリメトキシシランを用いることが特に好ましい。
[0055]
 また、一般式(9)で表されるシラン化合物を2種以上組み合わせて用いることがより好ましい。中でも、アルキル基を有するシラン化合物と、アリール基を有するシラン化合物とを組み合わせることにより、高い絶縁性とクラック防止のための柔軟性を両立できるため、特に好ましい。
[0056]
 また、一般式(10)で表されるエポキシ基含有シラン化合物としては、具体的に、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジイソプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジイソプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジイソプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジイソプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
[0057]
 これらのうち、架橋密度を上げ、耐薬品性と絶縁特性を向上させるために、n=1、l=0であるγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシランを用いることが好ましい。また、量産性の観点から、R 18がメチル基であるγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシランを用いることが特に好ましい。
[0058]
 ゲート絶縁層は、さらに、金属原子と酸素原子との結合を含む金属化合物を含有することが好ましい。そのような金属化合物は、特に制限はなく、例えば、金属酸化物、金属水酸化物等が例示される。金属化合物に含まれる金属原子は、金属キレートを形成するものであれば特に限定されない。金属原子としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ルテニウム、パラジウム、インジウム、ハフニウム、白金などが挙げられる。中でも、入手容易性、コスト、金属キレートの安定性の点から、アルミニウムが好ましい。
[0059]
 ゲート絶縁層において、炭素原子とケイ素原子の合計100重量部に対して、上記金属原子が10~180重量部含まれることが好ましい。ゲート絶縁層の絶縁特性をより向上させられるためである。ゲート絶縁層中の、炭素原子とケイ素原子の合計100重量部に対する上記金属原子の重量比は、X線光電子分光(XPS)により測定することができる。
[0060]
 ゲート絶縁層の膜厚は0.05~5μmが好ましく、0.1~1μmがより好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、均一な薄膜形成が容易になる。膜厚は、原子間力顕微鏡やエリプソメトリ法などにより測定できる。
[0061]
 ゲート絶縁層の作製方法は、特に制限はないが、例えば、絶縁層を形成する材料を含む組成物を基板に塗布し、乾燥することで得られたコーティング膜を、必要に応じ熱処理する方法が挙げられる。塗布方法としては、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などの公知の塗布方法が挙げられる。コーティング膜の熱処理の温度としては、100~300℃の範囲にあることが好ましい。
[0062]
 ここで、例えば、(A)アルミニウムキレート、(B)重量平均分子量が1000以上のポリシロキサン、および(C)溶媒を含有し、(A)成分の100重量部に対して、(B)成分が5~90重量部含まれる組成物を、基板に塗布、乾燥、熱処理することで、絶縁層が形成される。こうして得られる絶縁層は、概ね、ケイ素原子と炭素原子との結合を含む有機化合物と、アルミニウム原子と酸素原子との結合を含む化合物とを含む。そして、その絶縁層には、炭素原子とケイ素原子の合計100重量部に対して、アルミニウム原子が10~180重量部含まれる。
[0063]
 なお、上述の組成物と絶縁層における原子の含有比率の関係は大まかな傾向であり、例えば、金属原子の種類等によっては、必ずしも上述の関係が満たされるわけではない。
[0064]
 ゲート絶縁層は、単層でも複数層でもよい。また、1つの層を複数の絶縁性材料から形成してもよいし、複数の絶縁性材料を積層して複数の絶縁層を形成しても構わない。
[0065]
 (CNT)
 CNTとしては、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTのいずれを用いてもよい。高い半導体特性を得るためには、単層CNTを用いるのが好ましい。CNTは、アーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等により得ることができる。
[0066]
 また、CNTは、半導体型CNTを80重量%以上含むことがより好ましい。さらに好ましくは、半導体型CNTを90重量%以上含むことであり、特に好ましくは、半導体型CNTを95重量%以上含むことである。CNT中に半導体型CNTを80重量%以上含ませる方法としては、既知の方法を用いることができる。例えば、密度勾配剤の共存下で超遠心する方法、特定の化合物を選択的に半導体型もしくは金属型CNTの表面に付着させ、溶解性の差を利用して分離する方法、電気的性質の差を利用し電気泳動等により分離する方法などが挙げられる。CNT中の半導体型CNTの含有率を測定する方法としては、可視-近赤外吸収スペクトルの吸収面積比から算出する方法や、ラマンスペクトルの強度比から算出する方法等が挙げられる。
[0067]
 本発明において、CNTを半導体素子の半導体層に用いる場合、CNTの長さは、ソース電極とドレイン電極との間の距離(以下、「電極間距離」)よりも短いことが好ましい。CNTの平均長さは、電極間距離にもよるが、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。CNTの長さを短く方法としては、酸処理、凍結粉砕処理などが挙げられる。
[0068]
 CNTの平均長さとは、ランダムにピックアップした20本のCNTの長さの平均値を言う。CNT平均長さの測定方法としては、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡等で得た画像の中から、20本のCNTをランダムにピックアップし、それらの長さの平均値を得る方法が挙げられる。
[0069]
 一般に市販されているCNTは長さに分布があり、電極間距離よりも長いCNTが含まれることがある。そのため、CNTを電極間距離よりも短くする工程を加えることが好ましい。例えば、硝酸、硫酸などによる酸処理、超音波処理、または凍結粉砕法などにより、CNTを短繊維状にカットする方法が有効である。また、フィルターによる分離を併用することは、CNTの純度を向上させる点でさらに好ましい。
[0070]
 また、CNTの直径は特に限定されないが、1nm以上100nm以下が好ましく、上限としてより好ましくは50nm以下である。
[0071]
 本発明では、CNTを溶媒中に均一分散させ、分散液をフィルターによってろ過する工程を設けることが好ましい。フィルター孔径よりも小さいCNTを濾液から得ることで、電極間距離よりも短いCNTを効率よく得られる。この場合、フィルターとしてはメンブレンフィルターが好ましく用いられる。ろ過に用いるフィルターの孔径は、電極間距離よりも小さければよく、0.5~10μmが好ましい。
[0072]
 (CNT複合体)
 本発明に用いられるCNTは、CNT表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着してなるCNT複合体とすることが好ましい。ここで、共役系重合体とは、繰り返し単位が共役構造をとり、重合度が2以上である化合物を指す。
[0073]
 CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体を付着させることにより、CNTの保有する高い電気的特性を損なうことなく、CNTを溶液中に均一に分散することが可能になる。CNTが均一に分散した溶液を用いれば、塗布法により、均一に分散したCNT膜を形成することが可能になる。これにより、高い半導体特性を実現できる。
[0074]
 CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着した状態とは、CNTの表面の一部、あるいは全部を、共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのは、両者の共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって、相互作用が生じるためと推測される。
[0075]
 CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、CNTの反射色から判断できる。被覆されたCNTの反射色は、被覆されていないCNTの反射色とは異なり、共役系重合体の反射色に近い。定量的には、X線光電子分光(XPS)などの元素分析によって、CNTへの付着物の存在を確認することや、CNTと付着物との重量比を測定することができる。
[0076]
 また、CNTへの付着のしやすさから、共役系重合体の重量平均分子量が1000以上であることが好ましい。
[0077]
 CNTに共役系重合体を付着させる方法としては、(I)溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合する方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させ、この中にCNTを添加して混合する方法、(III)CNTを溶媒中に超音波等で予備分散させておき、そこへ共役系重合体を添加し混合する方法、(IV)溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系へ超音波を照射して混合する方法、などが挙げられる。本発明では、いずれの方法を用いてもよく、複数の方法を組み合わせてもよい。
[0078]
 共役系重合体としては、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ-p-フェニレン系重合体、ポリ-p-フェニレンビニレン系重合体などが挙げられるが、特に限定されない。上記重合体としては、単一のモノマーユニットが並んだものが好ましく用いられるが、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したもの、およびグラフト重合したものも好ましく用いられる。
[0079]
 上記重合体の中でも、本発明においては、CNTへの付着が容易であり、CNT複合体を形成しやすい観点から、ポリチオフェン系重合体が好ましく使用される。ポリチオフェン系重合体の中でも、環中に含窒素二重結合を有する縮合へテロアリールユニットと、チオフェンユニットとを、繰り返し単位中に含むものがより好ましい。
[0080]
 環中に含窒素二重結合を有する縮合へテロアリールユニットとしては、チエノピロール、ピロロチアゾール、ピロロピリダジン、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、キノリン、キノキサリン、ベンゾトリアジン、チエノオキサゾール、チエノピリジン、チエノチアジン、チエノピラジンなどのユニットが挙げられる。これらの中でも特にベンゾチアジアゾールユニットまたはキノキサリンユニットが好ましい。これらのユニットを有することで、CNTと共役系重合体の密着性が増し、CNTを半導体層中により良好に分散することができる。
[0081]
 さらに、上記共役系重合体として、以下の一般式(11)で表される構造を有するものが特に好ましい。
[0082]
[化1]


[0083]
 ここで、R 19~R 24は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、カルバモイル基、アミノ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基またはシリル基を示す。また、R 19~R 24は、隣接する基同士で環構造を形成してもかまわない。Aは、単結合、アリーレン基、チエニレン基を除くヘテロアリーレン基、エテニレン基、エチニレン基の中から選ばれる。lおよびmは、それぞれ0~10の整数を示し、l+m≧1である。nは2~1000の範囲を示す。l、mおよびnが2以上の場合、それぞれの繰り返し単位において、R 19~R 24およびAは、同じでも異なっていてもよい。
[0084]
 アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示す。アルキル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基が置換基を有する場合、置換基には特に制限はなく、例えば、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができる。置換基が、さらに置換基を有していてもよい。これら置換基に関する説明は、特にことわらない限り、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、1以上20以下が好ましく、より好ましくは1以上8以下である。
[0085]
 シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を含んだアルキル基を示す。シクロアルキル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。シクロアルキル基の炭素数は特に限定されないが、3以上20以下の範囲が好ましい。
[0086]
 複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、アミド環などの、炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環から導かれる基を示す。複素環基は、置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
[0087]
 アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリール基、ブタジエニル基などの、二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示す。アルケニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
[0088]
 シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの、二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示す。シクロアルケニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。シクロアルケニル基の炭素数は特に限定されないが、3以上20以下の範囲が好ましい。
[0089]
 アルキニル基とは、例えば、エチニル基などの、三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示す。アルキニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
[0090]
 アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など、エーテル結合の一方を脂肪族炭化水素基で置換した官能基を示す。アルコキシ基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、1以上20以下の範囲が好ましい。
[0091]
 アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、1以上20以下の範囲が好ましい。
[0092]
 アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基など、エーテル結合の一方を芳香族炭化水素基で置換した官能基を示す。アリールエーテル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、6以上40以下の範囲が好ましい。
[0093]
 アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールチオエーテル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は特に限定されないが、6以上40以下の範囲が好ましい。
[0094]
 アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は特に限定されないが、6以上40以下の範囲が好ましい。
[0095]
 ヘテロアリール基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、キノリニル基など、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する芳香族基を示す。ヘテロアリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、2以上30以下の範囲が好ましい。
ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示す。
[0096]
 アルキルカルボニル基とは、例えば、アセチル基、ヘキサノイル基など、カルボニル結合の一方を脂肪族炭化水素基で置換した官能基を示す。アルキルカルボニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
[0097]
 アリールカルボニル基とは、例えば、ベンゾイル基など、カルボニル結合の一方を芳香族炭化水素基で置換した官能基を示す。アリールカルボニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、7以上40以下の範囲が好ましい。
[0098]
 アルコキシカルボニル基とは、例えば、メトキシカルボニル基など、カルボニル結合の一方をアルコキシ基で置換した官能基を示す。アルコキシカルボニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
[0099]
 アリールオキシカルボニル基とは、例えば、フェノキシカルボニル基など、カルボニル結合の一方をアリールオキシ基で置換した官能基を示す。アリールオキシカルボニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールオキシカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、7以上40以下の範囲が好ましい。
[0100]
 アルキルカルボニルオキシ基とは、例えば、アセトキシ基など、エーテル結合の一方をアルキルカルボニル基で置換した官能基を示す。アルキルカルボニルオキシ基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルカルボニルオキシ基の炭素数は特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
[0101]
 アリールカルボニルオキシ基とは、例えば、ベンゾイルオキシ基など、エーテル結合の一方をアリールカルボニル基で置換した官能基を示す。アリールカルボニルオキシ基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールカルボニルオキシ基の炭素数は特に限定されないが、7以上40以下の範囲が好ましい。
[0102]
 カルバモイル基、アミノ基およびシリル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。
[0103]
 隣接する基同士で互いに結合して環構造を形成する場合とは、上記一般式(11)で説明すると、例えば、R 19とR 20とが互いに結合して、共役または非共役の環構造を形成する場合である。環構造の構成元素として、炭素原子以外に、窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素の各原子を含んでいてもよい。また、環構造が、さらに別の環と縮合した構造であってもよい。
[0104]
 次に、一般式(11)のAについて説明する。アリーレン基とは、2価(結合部位が2箇所)の芳香族炭化水素基を示し、無置換でも置換されていてもかまわない。置換される場合の置換基の例としては、上記アルキル基、ヘテロアリール基、ハロゲンが挙げられる。アリーレン基の好ましい具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フェナントリレン基、アントリレン基、ターフェニレン基、ピレニレン基、フルオレニレン基、ペリレニレン基などが挙げられる。
[0105]
 ヘテロアリーレン基とは、2価の複素芳香環基を示し、無置換でも置換されていてもかまわない。ヘテロアリーレン基の好ましい具体例しては、ピリジレン基、ピラジレン基、キノリニレン基、イソキノリレン基、キノキサリレン基、アクリジニレン基、インドリレン基、カルバゾリレン基などに加え、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾジチオフェン、ベンゾシロールおよびジベンゾシロールなどの、複素芳香環から導かれる2価の基などが挙げられる。
[0106]
 一般式(11)のlおよびmは0~10の整数を示し、l+m≧1である。一般式(11)の構造中にチオフェンユニットを含有することで、共役系重合体とCNTとの密着性が向上し、CNTの分散性が向上する。好ましくは、lおよびmはそれぞれ1以上、さらに好ましくはl+m≧4である。また、モノマーの合成、およびその後の重合の容易さの観点から、l+m≦12が好ましい。
[0107]
 nは、共役系重合体の重合度を表しており、2~1000の範囲である。CNTへの付着のしやすさを考慮して、nは3~500の範囲が好ましい。本発明において、重合度nは、重量平均分子量から求めた値である。重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定し、ポリスチレンの標準試料を用いて換算して求める。
[0108]
 また、CNT複合体の形成のしやすさから、共役系重合体は溶媒に可溶であることが好ましい。一般式(11)においては、R 19~R 24の少なくとも一つがアルキル基であることが好ましい。
[0109]
 共役系重合体としては、下記のような構造を有するものが挙げられる。
[0110]
[化2]


[0111]
[化3]


[0112]
[化4]


[0113]
[化5]


[0114]
[化6]


[0115]
[化7]


[0116]
[化8]


[0117]
[化9]


[0118]
[化10]


[0119]
[化11]


[0120]
[化12]


[0121]
[化13]


[0122]
[化14]


[0123]
 ここで、各々のnは前記の意味のとおりであり、すなわち、2~1000の範囲であり、好ましく3~500の範囲である。
[0124]
 共役系重合体は、公知の方法により合成することができる。例えば、チオフェン同士を連結する方法としては、ハロゲン化チオフェンとチオフェンボロン酸またはチオフェンボロン酸エステルとを、パラジウム触媒下でカップリングする方法、ハロゲン化チオフェンとチオフェングリニヤール試薬とを、ニッケルまたはパラジウム触媒下でカップリングする方法が挙げられる。また、他のユニットとチオフェンユニットを連結する場合も、ハロゲン化した他のユニットとチオフェンユニットとを、同様の方法でカップリングすることができる。また、そのようにして得られたモノマーの末端に重合性官能基を導入し、パラジウム触媒やニッケル触媒下で重合を進行させることで、共役系重合体を得ることができる。
[0125]
 共役系重合体は、合成過程で使用した原料や副生成物などの不純物を除去したものを用いることが好ましい。不純物を除去する方法としては、例えば、シリカゲルカラムグラフィー法、ソクスレー抽出法、ろ過法、イオン交換法、キレート法などを用いることができる。これらの方法を2種以上組み合わせてもよい。
[0126]
 (半導体層)
 半導体層は、CNTを含有する。このとき、CNTはCNT複合体として存在させることが好ましい。半導体層は電気特性を阻害しない範囲であれば、さらに有機半導体や絶縁性材料を含んでもよい。
[0127]
 半導体層の膜厚は、1nm以上100nm以下が好ましい。この範囲内にあることで、均一な薄膜形成が容易になる。半導体層の膜厚は、より好ましくは1nm以上50nm以下であり、さらに好ましくは1nm以上20nm以下である。膜厚は、原子間力顕微鏡やエリプソメトリ法などにより測定できる。
[0128]
 半導体層の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVDなど、乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から、塗布法を用いることが好ましい。具体的には、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などを好ましく用いることができる。これらの中から、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択することが好ましい。また、形成した塗膜に対して、大気下、減圧下または窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、アニーリング処理を行ってもよい。
[0129]
 (第2絶縁層)
 第2絶縁層は、半導体層に対してゲート絶縁層と反対側に形成される。半導体層に対してゲート絶縁層と反対側とは、例えば、半導体層の下側にゲート絶縁層を有する場合は、半導体層の上側を指す。第2絶縁層を形成することにより、半導体層を保護することができる。
[0130]
 本発明において第2絶縁層は、半導体層に対してゲート絶縁層と反対側に形成された層であって、i)窒素原子およびリン原子から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有する層、および、ii)酸素透過度が4.0cc/(m ・24h・atm)以下である層を有している層をいう。ここで、上記iとiiは1つの層で以て両特性が具備されたものであっても構わない。また、第2絶縁層は半導体層に接して設けられる。電子供与性とは、ある化合物が別の化合物へ電子を供与する能力のことである。電子供与性化合物は、電子供与する能力を有する化合物である。第2絶縁層にそのような電子供与性化合物が含まれることにより、通常はp型半導体特性を示すCNT-FETを、n型半導体特性を示す半導体素子へ転換できる。
[0131]
 電子供与性化合物としては、例えば、アミド系化合物、イミド系化合物、ウレア系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、アニリン系化合物、ニトリル系化合物、アルキルホスフィン系化合物などを挙げることができる。
[0132]
 アミド系化合物としては、ポリアミド、ホルムアミド、アセトアミド、ポリ-N-ビニルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアニリド、ベンズアニリド、N-メチルベンズアニリド、スルホンアミド、ナイロン、ポリビニルピロリドン、N-メチルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、ε-カプロラクタムなどが挙げられる。
[0133]
 イミド系化合物としては、ポリイミド、フタルイミド、マレイミド、アロキサン、スクシンイミドなどが挙げられる。
[0134]
 ウレア系化合物としては、ウラシル、チミン、尿素、アセトヘキサミドなどが挙げられる。
[0135]
 アミン系化合物としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン、シクロデシルアミン、シクロドデシルアミン、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(キヌクリジン)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(MTBD)、ポリ(メラミン-co-ホルムアルデヒド)、テトラメチルエチレンジアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニルアラニンなどが挙げられる。
[0136]
 イミン系化合物としては、エチレンイミン、N-メチルヘキサン-1-イミン、N-メチル-1-ブチル-1-ヘキサンイミン、プロパン-2-イミン、メタンジイミン、N-メチルエタンイミン、エタン-1,2-ジイミンなどが挙げられる。
[0137]
 アニリン系化合物としては、アニリン、メチルアミノ安息香酸などが挙げられる。
[0138]
 ニトリル系化合物としては、アセトニトリル、アクリロニトリルなどが挙げられる。その他の化合物としてはポリウレタン、アラントイン、2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジシアンジアミジン、シトルリン、ピペリジン、イミダゾール、ピリミジン、ジュロリジン、ポリ(メラミン-co-ホルムアルデヒド)などが挙げられる。
[0139]
 アルキルホスフィン系化合物としては、トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。
[0140]
 これらの中でも、半導体素子の保存安定性および特性の調整の容易性の観点から、電子供与性化合物は窒素原子を有する化合物であることが好ましく、窒素原子を含む環構造を含有する化合物であることがより好ましい。窒素原子を含む環構造を含有する化合物としては、ポリビニルピロリドン、N-メチルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、ε-カプロラクタム、ポリイミド、フタルイミド、マレイミド、アロキサン、スクシンイミド、ウラシル、チミン、2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、キヌクリジン、DBU、DBN、TBD、MTBD、ピペリジン、イミダゾール、ピリミジン、ジュロリジンなどが挙げられる。
[0141]
 また、電子供与性化合物は、アミジン化合物およびグアニジン化合物から選ばれるいずれか1種類以上の化合物であることが、特に好ましい。アミジン化合物としては、DBU、DBNなどが挙げられる。グアニジン化合物としては、TBD、MTBDなどが挙げられる。これらの化合物は、電子供与性が特に高く、そのため、CNTを用いたFETのn型半導体素子としての性能がさらに向上するため、好ましい。
[0142]
 第2絶縁層の酸素透過度は、4.0cc/(m ・24h・atm)以下である。これにより、半導体特性の、大気下での経時的な安定性が向上する。これは、大気中の酸素による、CNTおよび電子供与性化合物の酸化が抑制されるためと考えられる。この効果は、電子供与性化合物が窒素原子を有する場合に大きく、電子供与性化合物が窒素原子を含む環構造を含有する化合物である場合に、より大きく、電子供与性化合物がアミジン化合物およびグアニジン化合物から選ばれるいずれか1種類以上の化合物である場合に、さらに大きい。上記化合物は、電子供与性に特に優れる一方、半導体素子において、大気中の酸素により特に酸化されやすい。これらの化合物が用いられている場合、第2絶縁層の酸素透過度が4.0cc/(m ・24h・atm)以下であることで、半導体素子の保存安定性が向上することに加え、優れたn型移動度を発現可能となる。
[0143]
 第2絶縁層の酸素透過度は、より好ましくは、2.5cc/(m ・24h・atm)以下であり、さらに好ましくは、1.5cc/(m ・24h・atm)以下である。下限としては、特に制限されないが、0.001cc/(m ・24h・atm)以上であることが好ましい。
[0144]
 半導体素子の性能安定性の観点から、第2絶縁層は、さらに、ヒドロキシ基、シアノ基、フルオロ基、クロロ基およびアミド結合からなる群より選ばれるいずれか1種以上の構造を有する高分子化合物を含有することが好ましい。これは、これらの高分子化合物は酸素遮蔽性が高いことに加え、塗布方により第2絶縁層を形成するプロセスにおいて、穏和なアニーリング条件での乾燥による製膜が可能なためである。前述の、大気中の酸素による、CNTおよび電子供与性化合物の酸化は、高温でアニーリングを行う場合において顕著である。したがって、より穏和なアニーリング条件で乾燥できる、これらの高分子化合物が好ましい。
[0145]
 ヒドロキシ基を有する高分子化合物としては、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ビニル酢酸-ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。
[0146]
 シアノ基を有する高分子化合物としては、シアノアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアリルシアニドなどが挙げられる。
[0147]
 フルオロ基を有する高分子化合物としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン―トリフッ化エチレン共重合体などが挙げられる。
[0148]
 クロロ基を有する高分子化合物としては、ポリビニルクロリド、ポリ塩化ビニリデン、ビニルクロリド―ビニル酢酸共重合体などが挙げられる。
[0149]
 アミド結合を有する高分子化合物としては、ナイロン6、ナイロン66、ポリフェニレンテレフタルアミドなどが挙げられる。
[0150]
 中でも、薄膜での酸素遮蔽性の観点から、ビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。ビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。
[0151]
 第2絶縁層の膜厚は、1.0μm以上であることが好ましく、3.0μm以上であることがより好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、第2絶縁層による酸素遮蔽性を高めることができる。また、第2絶縁層の膜厚の上限としては、特に限定されるものではないが、1mm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、第2絶縁層の柔軟性を確保でき、屈曲時にも半導体層との密着性が良好となる。そのため、半導体素子に折り曲げなどの外力がかかった際に、第2絶縁層に空隙やクラックが発生し、その酸素遮蔽性が低下するといった事象を抑制することができる。
[0152]
 第2絶縁層の膜厚は、第2絶縁層の断面を走査型電子顕微鏡により測定し、得られた像のうち、半導体層上に位置する第2絶縁層部分の中から無作為に選択した10箇所の膜厚を算出し、その算術平均の値とする。
[0153]
 第2絶縁層の形成方法としては、特に限定されず、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVDなど乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から塗布法を用いることが好ましい。塗布法では、第2絶縁層を形成するための材料を溶解させた組成物を塗布する工程を少なくとも含む。
[0154]
 塗布方法としては、具体的には、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、ドロップキャスト法などを好ましく用いることができる。これらの中から、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択することが好ましい。
[0155]
 塗布法を用いて第2絶縁層を形成するに際して、第2絶縁層に用いられる絶縁性材料を溶解させる溶媒としては、特に制限されないが、有機溶媒が好ましい。溶媒の具体例としては、例えば、エチレングリゴールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン等のケトン類;ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。
[0156]
 溶媒として、これらを2種以上用いてもよい。中でも、1気圧における沸点が110~200℃の溶媒を含有することが好ましい。溶媒の沸点が110℃以上であれば、溶液塗布時に溶剤の揮発が抑制されて、塗布性が良好となる。溶媒の沸点が200℃以下であれば、絶縁膜中に残存する溶剤が少なくなり、より良好な耐熱性や耐薬品性を有する第2絶縁層が得られる。
[0157]
 また、形成した塗膜に対して、大気下、減圧下または窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下でアニーリング処理や熱風乾燥を行ってもよい。具体的には例えば、アニーリングの条件としては、50~150℃、3~30分、窒素雰囲気下が挙げられる。このような乾燥工程により、塗膜の乾燥が不十分である場合に、しっかり乾燥させることができる。
[0158]
 第2絶縁層は単層でも複数層でもよく、また、1つの層を複数の絶縁性材料から形成してもよいし、複数の絶縁性材料を積層して形成しても構わない。より好ましくは、第2絶縁層が、半導体層に近い側に設けられてなる第1層と、半導体層に遠い側に設けられてなる第2層とを少なくとも含み、第1層が電子供与性化合物を含有し、第2層の酸素透過度が4.0cc/(m ・24h・atm)以下であることである。第2層の酸素透過度は、より好ましくは、2.5cc/(m ・24h・atm)以下であり、さらに好ましくは、1.5cc/(m ・24h・atm)以下である。
[0159]
 この構成では、第1層が、p型半導体素子のn型半導体素子への転換の機能を担う。また、第2層が、大気下での経時的な安定性向上の機能を担う。このように機能分離することにより、p型半導体素子のn型半導体素子への転換および大気下での経時的な安定性向上を達成しやすくなる。
[0160]
 図3は、本発明の実施の形態に係る半導体素子の第三の例を示す模式断面図である。絶縁性の基材1の上に形成されるゲート電極2と、それを覆うゲート絶縁層3と、その上に設けられるソース電極5およびドレイン電極6と、それらの電極の間に設けられる半導体層4と、半導体層を覆う第2絶縁層8と、を有する。第2絶縁層8は、半導体層4に接する第1層9と、第1層9を覆う第2層10とからなる。半導体層4は、カーボンナノチューブ7を含む。
[0161]
 図4は、本発明の実施の形態に係る半導体素子の第四の例を示す模式断面図である。絶縁性の基材1の上に形成されるゲート電極2と、それを覆うゲート絶縁層3と、その上に設けられる半導体層4と、その上に形成されるソース電極5およびドレイン電極6と、それらの上に設けられる第2絶縁層8と、を有する。第2絶縁層8は、半導体層4に接する第1層9と、第1層9を覆う第2層10とからなる。半導体層4は、カーボンナノチューブ7を含む。
[0162]
 第1層は、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、オレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリシロキサンなどの高分子化合物を、さらに含有してもよい。
[0163]
 第2層に用いられる材料としては、例えば、酸化ケイ素や窒化ケイ素などの無機化合物、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、オレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリビニルアルコールなどの高分子化合物などを挙げることができる。
[0164]
 第2層は、ヒドロキシ基、シアノ基、フルオロ基、クロロ基およびアミド結合からなる群より選ばれるいずれか1種以上の構造を有する高分子化合物を含有することが好ましい。このような高分子化合物が好ましい理由と、その具体例は、上述の通りであり、高分子化合物の中でも、ビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。
[0165]
 また、第1層および第2層は1つの層を複数の絶縁性材料から形成してもよい。また、第2層は単層でも複数層でもよい。第2層が複数層である場合、各層には上記の材料が好ましく用いられる。また、この場合の第2層の酸素透過度とは、その複数層の全体としての酸素透過度をいう。
[0166]
 第1層と第2層を構成する材料の溶解度パラメータの差の絶対値は、5.0(MPa) 1/2以上であることが好ましく、6.0(MPa) 1/2以上であることがより好ましく、またさらに8.0(MPa) 1/2以上であることが好ましい。また、その値の上限としては、特に限定されるものではないが、15.0(MPa) 1/2以下が好ましく、さらに好ましくは10.0(MPa) 1/2以下である。この範囲にあることで、第1層と第2層が混ざり合うことを抑制し、第1層の膜厚が数μm程度の薄さである場合においても、n型半導体素子への転換を効果的に発現できる。この構成は、半導体素子を相補型回路に用いる場合に、特に好ましい。第1層の材料としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、オレフィンポリマー、ポリスチレンなどが挙げられ、第2層の材料としては、ポリビニルアルコール、エチレン―ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系樹脂が挙げられる。
[0167]
 ここで、溶解パラメータは、一般的に用いられている、Poly.Eng.Sci.,vol.14,No.2,pp147-154(1974)等に記載のFedorsの推算法を用い、層を構成する材料の種類と比率から算出される値である。例えば、ポリメタクリル酸メチルの溶解度パラメータは19.4(MPa) 0.5、ポリビニルアルコールの溶解度パラメータは28.8(MPa) 0.5と算出できる。
[0168]
 また、その層が複数の材料の混合物からなる場合、各構成物の溶解度パラメータにそれぞれのモル分率を掛け合わせたものの総和を取ることで、算出する。例えば、層が成分Aおよび成分Bからなる場合、下記式より算出する;
(層の溶解度パラメータ)=(成分Aの溶解度パラメータ)×(成分Aのモル分率)+(成分Bの溶解度パラメータ)×(成分Bのモル分率)
例えば、ポリメタクリル酸メチル(溶解度パラメータ19.4(MPa) 0.5)を97重量%(モル分率:97.8%)、ジアザビシクロウンデセン(溶解度パラメータ20.3(MPa) 0.5)を3重量%(モル分率:2.2%)含む層の場合、層の溶解度パラメータは19.4(MPa) 0.5となる。
[0169]
 第1層の膜厚は、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。また、第1層の膜厚は、10μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、均一な薄膜形成が容易になる。
[0170]
 第2層の膜厚は、1.0μm以上であることが好ましく、3.0μm以上であることがより好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、酸素遮蔽性を高めることができる。また、第1層の膜厚の上限としては、特に限定されるものではないが、1mm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、第2絶縁層の柔軟性を確保でき、屈曲時にも半導体層との密着性が良好となる。そのため、半導体素子に折り曲げなどの外力がかかった際に、第2絶縁層に空隙やクラックが発生し、その酸素遮蔽性が低下するといった事象を抑制することができる。
[0171]
 第2絶縁層が第1層と第2層を含むときの各層の形成方法は、第2絶縁層の形成方法について述べたとおりであり、特に限定されないが、いずれも塗布法により形成することが好ましい。この場合、まず、第1層を塗布法により形成した後、第2層を形成する。そこで、第2層を形成する際の乾燥温度が、第1層のガラス転移温度以下であることが好ましい。この条件とすることで、第1層と第2層が混ざり合うことを抑制できる。そして、第1層の膜厚が数μmの薄さである場合においても、p型半導体素子のn型半導体素子への転換や、しきい値電圧などの特性制御の機能を、効果的に発現できる。第2層の乾燥温度が第1層のガラス転移温度以下であることは、特に、相補型回路の作製のために、このような第2絶縁層の形成方法を適用した場合に好ましい。
[0172]
 第2絶縁層の水蒸気透過度は20g/(m ・24h)以下であることが好ましい。これにより、半導体特性の大気下での経時的な安定性がさらに向上する。これは、湿度変化に伴う半導体素子特性の変化が抑制されるためと考えられる。第2絶縁層の水蒸気透過度は、より好ましくは、10g/(m ・24h)以下であり、さらに好ましくは、1g/(m ・24h)以下である。下限としては、特に制限されないが、実用的には0.001g/(m ・24h)以上であることが通常である。
[0173]
 (保護層)
 半導体素子の構成として、好ましくは、第2絶縁層に対して前記ゲート電極とは反対側で第2絶縁層と接する保護層を備えることが好ましい。ここで、保護層は水蒸気透過度が20g/(m ・24h)以下である。好ましくは、水蒸気透過度が5g/(m ・24h)以下である。この構成では、第2絶縁層がp型半導体素子のn型半導体素子への転換の機能および酸素遮蔽性の機能を担い、保護層が、湿度遮蔽性の機能を担う。すなわち、保護層は酸素透過度が4.0cc/(m ・24h・atm)を超える層である。このように機能分離することにより、先述の、第2絶縁層が水蒸気遮蔽性を有する構成に比べ、p型半導体素子のn型半導体素子への転換および大気下での経時的な安定性向上を達成しやすくなる。保護層の水蒸気透過度は、より好ましくは、10g/(m ・24h)以下であり、さらに好ましくは、1g/(m ・24h)以下である。下限としては、特に制限されないが、0.001g/(m ・24h)以上であることが好ましい。
[0174]
 図12は、本発明の実施の形態に係る保護層が設けられた半導体素子の例を示す模式断面図である。絶縁性の基材1の上に形成されるゲート電極2と、それを覆うゲート絶縁層3と、その上に設けられるソース電極5およびドレイン電極6と、それらの電極の間に設けられる半導体層4と、半導体層を覆う第2絶縁層8と、第2絶縁層8を覆う保護層14と、を有する。第2絶縁層8は、半導体層4に接する第1層9と、第1層9を覆う第2層10とからなる。半導体層4は、カーボンナノチューブ7を含む。
[0175]
 保護層は、フッ素系樹脂、塩素系樹脂、二トリル樹脂、ポリエステル、ポリオレフィンから選ばれるいずれか1種類以上を含有することが好ましい。これらのポリマーは水蒸気透過性が低いことに加え、塗布法によりバリア層を形成するプロセスにおいて、穏和なアニーリング条件での乾燥による製膜が可能である。
[0176]
 フッ素系樹脂とは、フッ素原子を含有するポリマーであり、例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデンー三フッ化エチレンの共重合体などが挙げられる。
[0177]
 塩素系樹脂とは、塩素原子を含有するポリマーであり、例えば、ポリビニルクロリド、ポリ塩化ビニリデン、ビニルクロリド―ビニル酢酸共重合体などが挙げられる。
[0178]
 二トリル樹脂は、ニトリル基を含有するポリマーであり、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリアリルシアニドなどが挙げられる。
[0179]
 ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
[0180]
 ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、シクロオレフィンポリマーなどが挙げられる。
[0181]
 水蒸気透過の観点から、フッ素系樹脂、塩素系樹脂、ポリオレフィン樹脂がより好ましく、中でも、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、シクロオレフィンポリマーが好ましい。
[0182]
 上記の水蒸気透過度は、JIS K 7129 2008(プラスチックフィルムおよびシートの水蒸気透過度の求め方)に基づいて求められる。
[0183]
 本発明の実施の形態に係る半導体素子では、ソース電極とドレイン電極との間に流れる電流(ソース・ドレイン間電流)を、ゲート電圧を変化させることによって制御することができる。そして、半導体素子の移動度μ(cm /V・s)は、下記の(a)式を用いて算出することができる。
[0184]
 μ=(δId/δVg)L・D/(W・εr・ε・Vsd)X10000   (a)
 ただしIdはソース・ドレイン間電流(A)、Vsdはソース・ドレイン間電圧(V)、Vgはゲート電圧(V)、Dはゲート絶縁層の厚み(m)、Lはチャネル長(m)、Wはチャネル幅(m)、εrはゲート絶縁層の比誘電率、εは真空の誘電率(8.85×10 -12F/m)、δは該当の物理量の変化量を示す。
[0185]
 また、しきい値電圧は、Id-Vgグラフにおける線形部分の延長線とVg軸との交点から求めることができる。
[0186]
 n型半導体素子は、ゲート電極にしきい値電圧以上の正の電圧が印加されることで、ソース-ドレイン間が導通して動作するものである。しきい値電圧の絶対値が小さく、移動度が高いものが、高機能な、特性の良いn型半導体素子である。
[0187]
 p型半導体素子は、ゲート電極にしきい値電圧以下の負の電圧が印加されることで、ソース-ドレイン間が導通して動作するものである。しきい値電圧の絶対値が小さく、移動度が高いものが、高機能な、特性の良いp型半導体素子である。
[0188]
 (半導体素子の製造方法)
 本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法は、特に制限はないが、半導体層を塗布法により形成する工程を含むことが好ましい。半導体層を塗布法により形成するには、少なくとも、半導体層を形成するための材料を溶解させた溶液を塗布する工程と、その塗膜を乾燥する工程とを含む。また、第2絶縁層、第1層および第2層は、上記のように、組成物を塗布および乾燥して形成する工程を含むことが好ましい。以下、図3に示す構造の半導体素子を製造する場合を例に挙げて、本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法を具体的に説明する。
[0189]
 まず、図5(a)に示すように、絶縁性の基材1の上にゲート電極2を前述の方法で形成する。
[0190]
 次に、図5(b)に示すように、ケイ素原子と炭素原子との結合を含む有機化合物を含む溶液を、塗布および乾燥して、ゲート絶縁層3を形成する。
[0191]
 次に、図5(c)に示すように、ゲート絶縁層3の上部に、ソース電極5およびドレイン電極6を、同一の材料を用いて、前述の方法で同時に形成する。
[0192]
 次に、図5(d)に示すように、ソース電極5とドレイン電極6との間に、半導体層4を前述の方法で形成する。
[0193]
 次に、図5(e)に示すように、半導体層4を覆うように、第1層を前述の方法で形成し、次いで、図5(f)に示すように、第1層を覆うように、第2層を前述の方法で形成する。こうして第2絶縁層を形成することで、半導体素子を作製できる。
[0194]
 <相補型半導体装置>
 本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置は、上記の半導体素子を含有するn型半導体素子と、p型半導体素子とを備えている。p型半導体素子は、基材と、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極と、上記ソース電極およびドレイン電極と接する半導体層と、上記半導体層を前記ゲート絶縁層と絶縁するゲート絶縁層と、を備え、上記半導体層が、CNTを含有することが好ましい。また、CNTが、表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したCNT複合体として用いることがより好ましい。
[0195]
 図6は、本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置の第一の例を示す模式断面図である。
[0196]
 絶縁性の基材1の表面に、p型半導体素子101と、本発明の半導体素子を含有するn型半導体素子201とが、形成されている。p型半導体素子は、絶縁性の基材1の上に形成されるゲート電極2と、それを覆うゲート絶縁層3と、その上に設けられるソース電極5およびドレイン電極6と、それらの電極の間に設けられる半導体層4とを有する。各半導体層4は、カーボンナノチューブ7を含む。
[0197]
 p型半導体素子は、本発明の実施の形態に係るn型半導体素子と同じように、半導体層に対してゲート絶縁層とは反対側でp型半導体素子の半導体層と接する第2絶縁層を有することが好ましい。第2絶縁層を形成することによって、移動度やしきい値電圧などの、p型半導体素子の半導体特性を調整することができる。また、半導体層を酸素や水分などの外部環境から保護することが可能となる。
[0198]
 p型半導体素子の第2絶縁層は、半導体層に近い側に設けられてなる第1層と、半導体層に遠い側に設けられてなる第2層とを少なくとも含むことが好ましい。この構成では、例えば、第1層が、しきい値電圧などのp型半導体素子の特性制御の機能を担う。また、第2層が、大気下での経時的な安定性向上の機能を担う。このように機能分離することにより、しきい値電圧などの特性制御、および大気下での経時的な安定性向上を達成しやすくなる。
[0199]
 図7は、本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置の第二の例を示す模式断面図である。絶縁性の基材1の表面に、p型半導体素子101と、n型半導体素子201が形成されている。n型半導体素子201は、上述した、本発明の実施の形態に係る半導体素子を含むものである。p型半導体素子101は、絶縁性の基材1の上に形成されるゲート電極2と、それを覆うゲート絶縁層3と、その上に設けられるソース電極5およびドレイン電極6と、それらの電極の間に設けられる半導体層4と、半導体層を覆う第2絶縁層11と、を有する。
[0200]
 図8は、本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置の第三の例を示す模式断面図である。絶縁性の基材1の表面に、p型半導体素子101と、n型半導体素子201が形成されている。n型半導体素子201は、上述した、本発明の実施の形態に係る半導体素子を含むものである。p型半導体素子101は、絶縁性の基材1の上に形成されるゲート電極2と、それを覆うゲート絶縁層3と、その上に設けられるソース電極5およびドレイン電極6と、それらの電極の間に設けられる半導体層4と、半導体層を覆う第3絶縁層11と、を有する。第3絶縁層11は、半導体層4に接する第1層12と、第1層12を覆う第2層13と、からなる。
[0201]
 本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置において、p型半導体素子のソース電極およびドレイン電極、ならびにn型半導体素子のソース電極およびドレイン電極は、すべて同一材料から構成されることが好ましい。用いられる材料の種類が少なくなり、これらの電極を同一工程で作製することが可能となるからである。
[0202]
 各電極が同一材料から構成されるとは、各電極に含まれる元素の中で最も含有モル比率が高い元素が同一であることをいう。電極中の元素の種類と含有比率は、X線光電子分光(XPS)によって、同定することができる。
[0203]
 また、p型半導体素子のゲート絶縁層と、n型半導体素子のゲート絶縁層とが、同一材料からなることが、好ましい。用いられる材料の種類が少なくなり、これらの電極を同一工程で作製することが可能となるからである。
[0204]
 これらの絶縁層が同一材料からなるとは、各絶縁層を構成する組成物中に1モル%以上含まれる元素の種類および組成比が、それぞれ同じであることをいう。元素の種類および組成比が同じであるか否かは、X線光電子分光(XPS)によって、同定することができる。
[0205]
 また、第2絶縁層に関しては、p型半導体素子の第2絶縁層の少なくとも一部がn型半導体素子の第2絶縁層の第2層と同一材料で構成されていることが好ましい。これは、1つには、用いられる材料の種類が少なくなり、これらの電極を同一工程で作製することも可能となるためである。また1つには、第2絶縁層の第2層は、好ましくは酸素透過度が4.0cc/(m ・24h・atm)以下であるため、p型半導体素子ならびに相補型半導体装置の経時的な特性変化を抑制することが可能なためである。より好ましくは、p型半導体素子の第2層がn型半導体素子の第2層と同一材料からなることである。これは先述の通り、機能分離により、特性の制御、および大気下での経時的な安定性向上を達成しやすいためである。
[0206]
 これらの第2層が同一材料からなるとは、各第2層を構成する組成物中に1モル%以上含まれる元素の種類および組成比が同じであることをいう。元素の種類および組成比が同じであるか否かは、X線光電子分光(XPS)によって、同定することができる。
[0207]
 また、半導体素子の構成として、好ましくは、p型半導体素子の第2絶縁層に対して前記ゲート電極とは反対側で第2絶縁層と接する保護層を備え、該保護層とn型半導体素子の保護層とが同一材料からなり、保護層の水蒸気透過度が20g/(m ・24h)以下であることが好ましい。この構成では、第2絶縁層が移動度やしきい値電圧などのp型半導体素子の半導体特性および酸素遮蔽性の機能を担い、保護層が、湿度遮蔽性の機能を担う。これにより、p型半導体素子特性の、大気下での経時的な安定性がさらに向上し、それに伴い、相補型半導体装置の大気下での経時的な安定性がさらに向上する。保護層の水蒸気透過度は、より好ましくは、10g/(m ・24h)以下であり、さらに好ましくは、1g/(m ・24h)以下である。下限としては、特に制限されないが、0.001g/(m ・24h)以上であることが好ましい。
[0208]
 本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置において、p型半導体素子とn型半導体素子とは、同一構造であることが好ましい。用いられる材料の種類が少なくなり、これらの電極を同一工程で作製することが可能となるからである。同一構造とは、基材上に形成される半導体層、ゲート絶縁層および電極の形成順序、層数が同じであることをいう。p型半導体素子とn型半導体素子とが同一構造であることで、p型半導体素子とn型半導体素子を同時に製造するプロセスが簡便となり、相補型半導体装置の生産効率が良くなる。
[0209]
 図6~図8に示す相補型半導体装置は、いずれも、p型半導体素子とn型半導体素子がボトムゲート・ボトムコンタクトの同一構造である場合の例である。
[0210]
 次に、本発明の相補型半導体素子を構成するp型半導体素子の部材について詳細に説明する。以下の説明は、特に断りのない限り実施形態によらず共通する。
[0211]
 (基材)
 p型半導体素子における基材は、少なくとも電極系が配置される面が絶縁性を備える基材であれば、いかなる材質のものでもよい。その具体例および好ましい例としては、n型半導体素子における基材に用いられる材料と同一の材料が挙げられる。
[0212]
 (電極)
 p型半導体素子におけるゲート電極、ソース電極およびドレイン電極に用いられる材料は、一般的に電極として使用されうる導電材料であれば、いかなるものでもよい。その具体例および好ましい例としては、n型半導体素子における電極に用いられる材料と同一の材料が挙げられる。
[0213]
 (ゲート絶縁層)
 p型半導体素子におけるゲート絶縁層に用いられる材料は、特に限定されないが、酸化シリコン、アルミナ等の無機材料;ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)等の有機高材料;あるいは無機材料粉末と有機材料の混合物を挙げることができる。その具体例および好ましい例としては、n型半導体素子におけるゲート絶縁層に用いられる材料と同一の材料が挙げられる。
[0214]
 (半導体層)
 p型半導体素子における半導体層は、CNTを含有することが好ましく、表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したCNT複合体を含有することがより好ましい。半導体層は、CNTまたはCNT複合体の電気特性を阻害しない範囲であれば、さらに有機半導体や絶縁性材料を含んでもよい。その具体例および好ましい例としては、n型半導体素子における半導体層に用いられる材料と同一の材料が挙げられる。
[0215]
 (第2絶縁層)
 p型半導体素子における第2絶縁層に用いられる材料や、p型半導体素子における第2絶縁層の構成の、具体例および好ましい例としては、n型半導体素子における第2絶縁層における材料や構成と同一の事項が挙げられる。
[0216]
 p型半導体素子の第2絶縁層の膜厚は、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。また、第2絶縁層の膜厚の上限としては、特に限定されるものではないが、1mm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
[0217]
 また、p型半導体素子の第2絶縁層を、半導体層に近い側に設けられてなる第1層と、半導体層に遠い側に設けられてなる第2層とを含むようにする場合、第1層の膜厚は、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。また、第1層の膜厚は、10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。第2層の膜厚は、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。また、第1層の膜厚の上限としては、特に限定されるものではないが、1mm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
[0218]
 (保護層)
 p型半導体素子の保護層に用いられる材料の、具体例および好ましい例としては、n型半導体素子の保護層に用いられる材料と同一の材料が挙げられる。
[0219]
 (相補型半導体装置の特性)
 本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置の等価回路を図9に示し、この等価回路の動作を以下に示す。
[0220]
 まず、入力信号(V in)は、ロー “L”(接地電位GND)とハイ “H”(V DD)との間で変化する。入力信号が“L”の場合、p型半導体素子51が導通し、n型半導体素子52が遮断されることにより、出力信号が“H”になる。逆に、入力信号が“H”の場合、n型半導体素子52が導通し、p型半導体素子51が遮断されることにより、出力信号が“L”になる。
[0221]
 例えば、n型半導体素子52のしきい値電圧が正に大きいと、入力信号が“H”の時に、n型半導体素子52が完全に導通せず、出力信号が“L”にならない。
[0222]
 また、相補型半導体装置では、入力信号の変化に対する出力信号の変化(ゲイン)は、半導体層の移動度と相関している。ゲインが大きい相補型半導体装置が高性能である。
[0223]
 そのため、例えば、p型半導体素子およびn型半導体素子それぞれのしきい値電圧の絶対値が小さく、半導体層の移動度が高いものが、消費電力が低く、特性の良い相補型半導体装置となる。
[0224]
 (相補型半導体装置の製造方法)
 本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置の製造方法には、特に制限はない。各半導体素子を構成する電極や絶縁層の形成方法は前述の通りである。電極や絶縁層の形成順序を適宜選択することで、例えば図6~図8に示されたような相補型半導体装置を製造することができる。
[0225]
 製造コスト、プロセス簡便性の観点から、p型半導体素子とn型半導体素子を別々に形成するのではなく、同時に形成することが好ましい。そのため、p型半導体素子とn型半導体素子が同一構造であることが好ましい。
[0226]
 本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置の製造方法は、p型半導体素子の半導体層と、n型半導体素子の半導体層を、それぞれ塗布および乾燥して形成する工程を含むことが好ましい。さらに以下の製造工程を含むことがより好ましい。
(1)p型半導体素子のソース電極およびドレイン電極と、n型半導体素子のソース電極およびドレイン電極と、を同一工程で形成する工程;
(2)ケイ素原子と炭素原子との結合を含む化合物を含有する組成物を塗布および乾燥して、上記p型半導体素子のゲート絶縁層と、上記n型半導体素子のゲート絶縁層と、を同一工程で形成する工程;
(3)上記p型半導体素子の半導体層と、上記n型半導体素子の半導体層と、を同一工程で形成する工程。
[0227]
 ここで、2つの電極や層を同一工程で形成するとは、その電極や層の形成に必要なプロセスを1回行うことで、2つの電極や層をともに形成することをいう。
[0228]
 これらの工程はいずれも、p型半導体素子とn型半導体素子の構造が異なる場合であっても適用可能であるが、それらが同一構造である場合の方が適用が容易である。
[0229]
 以下、図8に示す構造の相補型半導体装置を製造する場合を例に挙げて、本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置の製造方法を具体的に説明する。
[0230]
 まず、図10(a)に示すように、絶縁性の基材1の上の、p型半導体素子領域101にゲート電極2を、n型半導体素子領域201にゲート電極2を、前述の方法でそれぞれ形成する。
[0231]
 次に、図10(b)に示すように、ケイ素原子と炭素原子との結合を含む化合物を含む溶液を、塗布および乾燥して、p型半導体素子領域101およびn型半導体素子領域201にゲート絶縁層3を、それぞれ形成する。
[0232]
 次に、図10(c)に示すように、p型半導体素子領域101およびn型半導体素子領域201の、各ゲート絶縁層3の上部に、ソース電極5およびドレイン電極6を、同一の材料を用いて、前述の方法で同時に形成する。
[0233]
 次に、図10(d)に示すように、p型半導体素子領域101およびn型半導体素子領域201の、各ソース電極5とドレイン電極6との間に、半導体層4を、前述の方法でそれぞれ形成する。
[0234]
 次に、図10(e)に示すように、p型半導体素子の半導体層4を覆うように、第2絶縁層11の第1層12を、また、n型半導体素子の半導体層4を覆うように、第2絶縁層8の第1層9を、前述の方法でそれぞれ形成する。
[0235]
 次いで、図10(f)に示すように、第2絶縁層11の第1層12を覆うように、第2層13を、また、第2絶縁層8の第1層9を覆うように、第2層10を、前述の方法でそれぞれ形成することで、相補型半導体装置を作製できる。
[0236]
 <無線通信装置>
 次に、上記半導体素子、または相補型半導体装置を含有する、本発明の実施の形態に係る無線通信装置について説明する。この無線通信装置は、例えばRFIDのような、リーダ/ライタに搭載されたアンテナから送信される搬送波を、RFIDタグが受信することで、電気通信を行う装置である。
[0237]
 具体的な動作は、例えば、リーダ/ライタに搭載されたアンテナから送信された無線信号を、RFIDタグのアンテナが受信する。そして、その信号に応じて生じた交流電流が、整流回路により直流電流に変換され、RFIDタグが起電する。次に、起電されたRFIDタグは、無線信号からコマンドを受信し、コマンドに応じた動作を行う。その後、コマンドに応じた結果の回答を、RFIDタグのアンテナからリーダ/ライタのアンテナへ、無線信号として送信する。なお、コマンドに応じた動作は、少なくとも、公知の復調回路、動作制御ロジック回路、変調回路で行われる。
[0238]
 本発明の実施の形態に係る無線通信装置は、上述の半導体素子、または相補型半導体装置と、アンテナと、を少なくとも有するものである。本発明の実施の形態に係る無線通信装置の、より具体的な構成としては、例えば、図11に示すようなものが挙げられる。これは、アンテナ50で受信した外部からの変調波信号の整流を行い各部に電源を供給する電源生成部と、上記変調波信号を復調して制御回路へ送る復調回路と、制御回路から送られたデータを変調してアンテナに送り出す変調回路と、復調回路で復調されたデータの記憶回路への書込み、および記憶回路からデータを読み出して変調回路への送信を行う制御回路と、で構成され、各回路部が電気的に接続されている。上記復調回路、制御回路、変調回路、記憶回路は上述のn型半導体素子、または相補型半導体装置から構成され、さらにコンデンサ、抵抗素子、ダイオードを含んでいても良い。なお、上記記憶回路は、さらに、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、FeRAM(Ferroelectric Randam Access Memory)等の、不揮発性の書換え可能な記憶部を有している。上記電源生成部は、コンデンサと、ダイオードとから構成される。
[0239]
 アンテナ、コンデンサ、抵抗素子、ダイオード、不揮発性の書き換え可能な記憶部は、一般的に使用されるものであればよく、用いられる材料、形状は特に限定はされない。また、上記の各構成要素を電気的に接続する材料も、一般的に使用されうる導電材料であればいかなるものでもよい。各構成要素の接続方法も、電気的に導通を取ることができれば、いかなる方法でもよい。各構成要素の接続部の幅や厚みは、任意である。
[0240]
 <商品タグ>
 次に、本発明の実施の形態に係る無線通信装置を含有する商品タグについて説明する。この商品タグは、例えば基体と、この基体によって被覆された上記無線通信装置とを有している。
[0241]
 基体は、例えば、平板状に形成された、紙などの非金属材料によって形成されている。例えば、基体は、2枚の平板状の紙を貼り合わせた構造をしており、この2枚の紙の間に、上記無線通信装置が配置されている。上記無線記憶装置の記憶回路に、例えば、商品を個体識別する個体識別情報が予め格納されている。
[0242]
 この商品タグと、リーダ/ライタとの間で、無線通信を行う。リーダ/ライタとは、無線により、商品タグに対するデータの読み取りおよび書き込みを行う装置である。リーダ/ライタは、商品の流通過程や決済時に、商品タグとの間でデータのやり取りを行う。リーダ/ライタには、例えば、携帯型のものや、レジに設置される固定型のものがある。本発明の実施の形態に係る商品タグに対しては、リーダ/ライタは公知のものが利用できる。
[0243]
 本発明の実施の形態に係る商品タグは、識別情報返信機能を備えている。これは、商品タグが、所定のリーダ/ライタから、個体識別情報の送信を要求するコマンドを受けたときに、自身が記憶している個体識別情報を無線により返信する機能である。リーダ/ライタからの1度のコマンドで、多数の商品タグから、各タグの個体識別情報が送信される。この機能により、例えば、商品の精算レジにおいて、非接触で多数の商品を同時に識別することが可能となる。それゆえ、バーコードでの識別と比較して、決済処理の容易化や迅速化を図ることができる。
[0244]
 また、例えば、商品の会計の際に、リーダ/ライタが、商品タグから読み取った商品情報をPOS(Point of sale system、販売時点情報管理)端末に送信することが可能である。この機能により、POS端末において、その商品情報によって特定される商品の販売登録をすることもできるため、在庫管理の容易化や迅速化を図ることができる。
実施例
[0245]
 以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定して解釈されるものではない。
[0246]
 ポリマーの分子量は、以下のように測定した。サンプルを孔径0.45μmメンブレンフィルターで濾過後、GPC(GEL PERMEATION CHROMATOGRAPHY:ゲル浸透クロマトグラフィー、東ソー(株)製HLC-8220GPC)(展開溶剤:クロロホルムまたはテトラヒドロフラン、展開速度:0.4mL/分)を用いて、ポリスチレン標準サンプルによる換算により求めた。
[0247]
 膜厚は、以下のように測定した。サンプルについてSEMを用いて得られた像のうち、半導体層上に位置する第2絶縁層部分または第2絶縁層の第2層の中から無作為に選択した10箇所の膜厚を算出し、その算術平均の値として求めた。
[0248]
 酸素透過度は、以下のように算出した。層の材料の酸素透過係数を温度25度、湿度40%RHの条件で、JIS K 7126-2 2006(プラスチックフィルムおよびシートの気体透過度測定方法)に基づいて測定する。サンプルでの層の膜厚を元に換算した。
[0249]
 半導体溶液の作製例1;半導体溶液A
 化合物[60]を式1に示す方法で合成した。
[0250]
[化15]


[0251]
 化合物(1-a)((株)東京化成工業製)4.3gと臭素((株)和光純薬工業製)10gとを、48%臭化水素酸150mLに加え、120℃で3時間撹拌した。室温に冷却し、析出した固体をグラスフィルターで濾過し、水1000mLとアセトン100mLで洗浄した。得られた固体を60℃で真空乾燥し、化合物(1-b)6.72gを得た。
[0252]
 化合物(1-c)10.2gをジメチルホルムアミド100mLに溶解し、N-ブロモスクシンイミド((株)和光純薬工業製)9.24gを加え、窒素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。得られた溶液に、水200mL、n-ヘキサン200mLおよびジクロロメタン200mLを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水200mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)で精製し、化合物(1-d)14.4gを得た。
[0253]
 化合物(1-d)14.2gをテトラヒドロフラン200mLに溶解し、-80℃に冷却した。その溶液にn-ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)((株)和光純薬工業製)35mLを加えた後、-50℃まで昇温し、再度-80℃に冷却した。そこへ、2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン((株)和光純薬工業製)13.6mLを加え、室温まで昇温し、窒素雰囲気下で4時間撹拌した。得られた溶液に、1N塩化アンモニウム水溶液200mLと酢酸エチル200mLとを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水200mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、化合物(1-e)14.83gを得た。
[0254]
 化合物(1-e)14.83gと、5,5’-ジブロモ-2,2’-ビチオフェン((株)東京化成工業製)6.78gとを、ジメチルホルムアミド200mLに加え、さらに、窒素雰囲気下で、リン酸カリウム((株)和光純薬工業製)26.6gおよび[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(アルドリッチ社製)1.7gを加え、100℃で4時間撹拌した。得られた溶液に、水500mLと酢酸エチル300mLとを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水500mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)で精製し、化合物(1-f)を4.53g得た。
[0255]
 化合物(1-f)4.53gをテトラヒドロフラン40mLに溶解し、-80℃に冷却した。その溶液にn-ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)6.1mLを加えた後、-5℃まで昇温し、再度-80℃に冷却した。そこへ、2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン2.3mLを加え、室温まで昇温し、窒素雰囲気下で2時間撹拌した。得られた溶液に、1N塩化アンモニウム水溶液150mLと酢酸エチル200mLとを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水200mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン/ヘキサン)で精製し、化合物(1-g)2.31gを得た。
[0256]
 化合物(1-b)0.498gと、化合物(1-g)2.31gとを、ジメチルホルムアミド17mLに加え、さらに、窒素雰囲気下で、リン酸カリウム2.17gおよび[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(アルドリッチ社製)0.14gを加え、90℃で7時間撹拌した。得られた溶液に、水200mLとクロロホルム100mLとを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水200mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン/ヘキサン)で精製し、化合物(1-h)を1.29g得た。化合物(1-h)の H-NMR分析結果を示す。
H-NMR(CD Cl ,(d=ppm)):8.00(s,2H),7.84(s,2H),7.20―7.15(m,8H),7.04(d,2H),6.95(d,2H),2.88(t,4H),2.79(t,4H),1.77-1.29(m,48H),0.88(m,12H)。
[0257]
 化合物(1-h)0.734gをクロロホルム15mLに溶解し、N-ブロモスクシンイミド0.23g、ジメチルホルムアミド10mLを加え、窒素雰囲気下、室温で9時間撹拌した。得られた溶液に、水100mLとクロロホルム100mLとを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水200mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン/ヘキサン)で精製し、化合物(1-i)0.58gを得た。
[0258]
 化合物(1-j)0.5g、ビス(ピナコラト)ジボロン(BASF製)0.85g、および酢酸カリウム((株)和光純薬工業製)0.86gを、1,4-ジオキサン7mLに加え、さらに、窒素雰囲気下で、[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム0.21gを加え、80℃で7時間撹拌した。得られた溶液に、水100mLと酢酸エチル100mLとを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水100mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン)で精製し、化合物(1-k)を57mg得た。
[0259]
 化合物(1-i)93mgと、化合物(1-k)19.3mgとを、トルエン6mLに溶解した。ここに、水2mL、炭酸カリウム0.18g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)((株)東京化成工業製)7.7mgおよびAliquat(R)336(アルドリッチ社製)1滴を加え、窒素雰囲気下、100℃にて25時間撹拌した。次いで、フェニルボロン酸40mgを加え、100℃にて7時間撹拌した。得られた溶液にメタノール50mLを加え、生成した固体をろ取し、メタノール、水、メタノール、アセトンを順に用いて洗浄した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、シリカゲルショートカラム(溶離液:クロロホルム)を通した後に濃縮乾固し、化合物[60]を30mg得た。化合物[60]の分子量を上記の方法で測定したところ、重量平均分子量は4367、数平均分子量は3475、重合度nは3.1であった。
[0260]
 化合物[60]2.0mgのクロロホルム10mL溶液に、CNT1(CNI社製、単層CNT、純度95%)を1.0mg加え、氷冷しながら、超音波ホモジナイザー(東京理化器械(株)製VCX-500)を用いて出力20%で4時間超音波撹拌し、CNT分散液A(溶媒に対するCNT複合体濃度0.96g/L)を得た。
[0261]
 次に、半導体層を形成するための半導体溶液の作製を行った。メンブレンフィルター(孔径10μm、直径25mm、ミリポア社製オムニポアメンブレン)を用いて、上記CNT分散液Aのろ過を行い、長さ10μm以上のCNT複合体を除去した。得られた濾液に、o-DCB(和光純薬工業(株)製)5mLを加えた後、ロータリーエバポレーターを用いて、低沸点溶媒であるクロロホルムを留去し、CNT分散液Bを得た。CNT分散液Bの1mLに、3mLのo-DCBを加え、半導体溶液B(溶媒に対するCNT複合体濃度0.03g/L)とした。
[0262]
 半導体溶液の作製例2;半導体溶液B
 化合物[72]を式2に示す方法で合成した。
[0263]
[化16]


[0264]
 化合物(1-b)2.0gと、ビス(ピナコラト)ジボロン4.3gとを、1,4-ジオキサン40mLに加え、窒素雰囲気下で酢酸カリウム4.0g、[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム1.0gを加え、80℃で8時間撹拌した。得られた溶液に水200mLと酢酸エチル200mLを加え、有機層を分取し、水400mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル)で精製し、化合物(2-a)を1.3g得た。
[0265]
 化合物(2-b)18.3gをテトラヒドロフラン250mLに溶解し、-80℃に冷却した。n-ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)45mLを加えた後、-50℃まで昇温し、再度-80℃に冷却した。2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン18.6mLを加え、室温まで昇温し、窒素雰囲気下で6時間撹拌した。得られた溶液に1N塩化アンモニウム水溶液200mLと酢酸エチル200mLを加え、有機層を分取し、水200mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、化合物(2-c)16.66gを得た。
[0266]
 化合物(2-b)2.52gと、化合物(2-c)3.0gとを、ジメチルホルムアミド100mLに加え、窒素雰囲気下でリン酸カリウム13g、[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム420mgを加え、90℃で5時間撹拌した。得られた溶液に水200mLとヘキサン100mLを加え、有機層を分取し、水400mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)で精製し、化合物(2-d)を2.71g得た。
[0267]
 化合物(2-d)2.71gをジメチルホルムアミド8mLに溶解し、N-ブロモスクシンイミド2.88gのジメチルホルムアミド(16mL)溶液を加え、5℃~10℃で9時間撹拌した。得られた溶液に水150mLとヘキサン100mLを加え、有機層を分取し、水300mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)で精製し、化合物(2-e)を3.76g得た。
[0268]
 化合物(2-e)3.76gと、化合物(2-c)4.71gとを、ジメチルホルムアミド70mLに加え、窒素雰囲気下でリン酸カリウム19.4g、[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム310mgを加え、90℃で9時間撹拌した。得られた溶液に水500mLとヘキサン200mLを加え、有機層を分取し、水300mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)で精製し、化合物(2-f)を4.24g得た。
[0269]
 化合物(2-f)520mgをクロロホルム20mLに溶解し、N-ブロモスクシンイミド280mgのジメチルホルムアミド(10mL)溶液を加え、5℃~10℃で5時間撹拌した。得られた溶液に水150mLとジクロロメタン100mLを加え、有機層を分取し、水200mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)で精製し、化合物(2-g)を610mg得た。
[0270]
 化合物(2-a)280mgと、化合物(2-g)596mgとを、トルエン30mLに溶解した。ここに水10mL、炭酸カリウム1.99g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)83mg、Aliquat336 1滴を加え、窒素雰囲気下、100℃にて20時間撹拌した。得られた溶液にメタノール100mLを加え、生成した固体をろ取し、メタノール、水、アセトン、ヘキサンの順に洗浄した。得られた固体をクロロホルム200mLに溶解させ、シリカゲルショートカラム(溶離液:クロロホルム)を通した後に濃縮乾固した後、メタノール、アセトン、メタノールの順に洗浄し、化合物[72]を480mg得た。化合物[72]の分子量を上記の方法で測定したところ、重量平均分子量は29398、数平均分子量は10916、重合度nは36.7であった。
[0271]
 この化合物[72]を化合物[60]の代わりに用いたこと以外は、上記半導体溶液Aの作製例と同様にして、半導体溶液B(溶媒に対するCNT複合体濃度0.03g/l)を得た。
[0272]
 半導体溶液の作製例3;半導体溶液C
 4,7-ビス(5-ブロモ-2-チエニル)-2,1,3-ベンゾチアジアゾール((株)東京化成工業製)0.92gと、9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジボロン酸ビス(1,3-プロパンジオール)エステル(アルドリッチ社製)1.12gとを、トルエ120mLに溶解した。ここに水40mL、炭酸カリウム5.52g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.23g、Aliquat336 1滴を加え、窒素雰囲気下、100℃にて6時間撹拌した。次いで、ブロモベンゼン0.10gを添加し、窒素雰囲気下、100℃にて1時間撹拌した後、フェニルボロン酸0.10gを添加し、窒素雰囲気下、100℃にて1時間撹拌した。得られた溶液にメタノール200mLを加え、生成した固体をろ取し、メタノール、水、アセトン、ヘキサンの順に洗浄した。得られた固体をクロロホルム300mLに溶解させ、シリカゲルショートカラム(溶離液:クロロホルム)を通した後に濃縮乾固した後、メタノール、アセトン、メタノールの順に洗浄し、化合物[78]を1.17g得た。化合物[78]の分子量を上記の方法で測定したところ、重量平均分子量は6035、数平均分子量は3565、重合度nは5.2であった。
[0273]
 この化合物[78]を化合物[60]の代わりに用いたこと以外は、上記半導体溶液Aの作製例と同様にして、半導体溶液C(溶媒に対するCNT複合体濃度0.03g/l)を得た。
[0274]
 組成物の作製例1;ゲート絶縁層溶液A
 メチルトリメトキシシラン61.29g(0.45モル)、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン12.31g(0.05モル)、およびフェニルトリメトキシシラン99.15g(0.5モル)を、プロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃)203.36gに溶解し、これに、水54.90g、リン酸0.864gを、撹拌しながら加えた。得られた溶液をバス温105℃で2時間加熱し、内温を90℃まで上げて、主として副生するメタノールからなる成分を留出させた。次いで、バス温130℃で2.0時間加熱し、内温を118℃まで上げて、主として水とプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる成分を留出させた。その後、室温まで冷却し、固形分濃度26.0重量%のポリシロキサン溶液Aを得た。得られたポリシロキサンの分子量を上記の方法で測定したところ、重量平均分子量は6000であった。
[0275]
 得られたポリシロキサン溶液A10gと、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノ(2,4-ペンタンジオナート)(商品名「アルミキレートD」、川研ファインケミカル(株)製、以下アルミキレートDという)13.0gと、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、PGMEAという)42.0gとを混合して、室温にて2時間撹拌し、ゲート絶縁層溶液Aを得た。本溶液中の上記ポリシロキサンの含有量は、アルミキレートD 100重量部に対して20重量部であった。
[0276]
 組成物の作製例2;電子供与性化合物溶液A
 ポリメチルメタクリレート(PMMA,三菱レイヨン社製)0.49gを1,2-ジメトキシエタン((株)和光純薬工業製)9.50gに溶解し、その溶液にDBU((株)東京化成工業製)0.016gを添加した。得られた溶液を孔径0.45μmメンブレンフィルターで濾過し、電子供与性化合物溶液Aを得た。
[0277]
 組成物の作製例3;電子供与性化合物溶液B
 DBUの代わりにジシクロヘキシルメチルアミン((株)東京化成工業製)を用いたこと以外は、電子供与性化合物溶液Aの作製例と同様にして、電子供与性化合物溶液Bを得た。
[0278]
 組成物の作製例4;電子供与性化合物溶液C
 DBUの代わりにキヌクリジン((株)東京化成工業製)を用いたこと以外は、電子供与性化合物溶液Aの作製例と同様にして、電子供与性化合物溶液Cを得た。
[0279]
 組成物の作製例5;電子供与性化合物溶液D
 シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン(株)社製)0.49gをデカヒドロナフタレン((株)和光純薬工業製)9.99gに溶解し、その溶液にDBU((株)東京化成工業製)0.015gを添加した。得られた溶液を孔径0.45μmメンブレンフィルターで濾過し、電子供与性化合物溶液Dを得た。
[0280]
 組成物の作製例6;電子供与性化合物溶液E
 DBUの代わりにDBN((株)東京化成工業製)を用いたこと以外は、電子供与性化合物溶液Aの作製例と同様にして、電子供与性化合物溶液Eを得た。
[0281]
 組成物の作製例7;電子供与性化合物溶液F
 DBUの代わりにTBD((株)東京化成工業製)を用いたこと以外は、電子供与性化合物溶液Aの作製例と同様にして、電子供与性化合物溶液Fを得た。
[0282]
 組成物の作製例8;電子供与性化合物溶液G
 DBUの代わりにMTBD((株)東京化成工業製)を用いたこと以外は、電子供与性化合物溶液Aの作製例と同様にして、電子供与性化合物溶液Gを得た。
[0283]
 組成物の作製例9;低酸素透過性化合物溶液A
 ポリビニルアルコール(PVA-117、(株)クラレ社製)0.40gを、水9.00gとイソプロピルアルコール((株)和光純薬工業製)1.00gとの混合液に溶解し、低酸素透過性化合物溶液Aを得た。
[0284]
 組成物の作製例10;低酸素透過性化合物溶液B
 ポリビニルアルコール0.20gを、水9.00gとイソプロピルアルコール1.00gとの混合液に溶解し、低酸素透過性化合物溶液Bを得た。
[0285]
 組成物の作成例11;低酸素透過性化合物溶液C
 ポリビニルアルコール0.90gを、水9.00gとイソプロピルアルコール1.00gとの混合液に溶解し、低酸素透過性化合物溶液Cを得た。
[0286]
 組成物の作製例12;低酸素透過性化合物溶液D
 ポリアクリロニトリル(アルドリッチ(株)製)0.80gを、ジメチルホルムアミド((株)和光純薬工業製)10.00gに溶解し、低酸素透過性化合物溶液Dを得た。
[0287]
 組成物の作製例13;低酸素透過性化合物溶液E
 エチレン-ビニルアルコール共重合体(エバーソルブ#10、日本シーマ(株)社製)5.00gを、水4.50gとイソプロピルアルコール0.50gとの混合液で希釈し、低酸素透過性化合物溶液Eを得た。
[0288]
 組成物の作製例14;低酸素透過性化合物溶液F
 エチレン-ビニルアルコール共重合体2.50gを、水4.50gとイソプロピルアルコール0.50gとの混合液で希釈し、低酸素透過性化合物溶液Fを得た。
[0289]
 組成物の作製例15;電子供与性化合物溶液H
 ポリ(メラミン-co-ホルムアルデヒド)(アルドリッチ製、固形分濃度84重量%、1-ブタノール溶液)0.60gを、1-ブタノール((株)和光純薬工業製)9.30gで希釈し、その溶液にDBU0.016gを添加した。得られた溶液を孔径0.45μmメンブレンフィルターで濾過し、電子供与性化合物溶液Hを得た。
[0290]
 組成物の作製例16;電子供与性化合物溶液I
 シクロオレフィンポリマー2.50gをデカヒドロナフタレン7.50gに溶解し、その溶液にDBU0.50gを添加した。得られた溶液を孔径0.45μmメンブレンフィルターで濾過し、電子供与性化合物溶液Iを得た。
[0291]
 組成物の作製例17;電子供与性化合物溶液J
 ポリビニルアルコール0.90gを、水9.00gとイソプロピルアルコール1.00gとの混合液に溶解し、その溶液にDBU0.050gを添加し、電子供与性化合物溶液Jを得た。
[0292]
 組成物の作製例18;低水蒸気透過性化合物溶液A
 シクロオレフィンポリマー2.50gをデカヒドロナフタレン7.50gに溶解した。得られた溶液を孔径0.45μmメンブレンフィルターで濾過し、低水蒸気透過性化合物溶液Aを得た。
[0293]
 組成物の作製例19;低水蒸気透過性化合物溶液B
 シクロオレフィンポリマー0.50gおよびデカヒドロナフタレン9.50gを用いたこと以外は、低水蒸気透過性化合物溶液Aの作製例と同様にして、低水蒸気透過性化合物溶液Bを得た。
[0294]
 組成物の作製例20;低水蒸気透過性化合物溶液C
 シクロオレフィンポリマー1.30gおよびデカヒドロナフタレン8.70gを用いたこと以外は、低水蒸気透過性化合物溶液Aの作製例と同様にして、低水蒸気透過性化合物溶液Cを得た。
[0295]
 組成物の作製例21;第2絶縁層溶液A
 ポリスチレン2.49gをデカヒドロナフタレン9.95gに溶解した。得られた溶液を孔径0.45μmメンブレンフィルターで濾過し、第2絶縁層溶液Aを得た。
[0296]
 組成物の作製例22;第2絶縁層溶液B
 PMMA2.51gをデカヒドロナフタレン10.10gに溶解した。得られた溶液を孔径0.45μmメンブレンフィルターで濾過し、第2絶縁層溶液Bを得た。
[0297]
 実施例1
 図3に示す半導体素子を作製した。ガラス製の基板1(膜厚0.7mm)上に、抵抗加熱法により、マスクを通して、クロムを厚さ5nmおよび金を厚さ50nm真空蒸着し、ゲート電極2を形成した。次に、ゲート絶縁層溶液Aを上記基板上にスピンコート塗布(2000rpm×30秒)し、窒素気流下、200℃で1時間熱処理することによって、膜厚600nmのゲート絶縁層3を形成した。次に、抵抗加熱法により、マスクを通して、金を厚さ50nm真空蒸着し、ソース電極5およびドレイン電極6を形成した。次に、ソース電極5とドレイン電極6との間に、上記半導体溶液Bを1μL滴下し、30℃で10分風乾した後、ホットプレート上で、窒素気流下、150℃で30分の熱処理を行い、半導体層4を形成した。次に、電子供与性化合物溶液A0.5μLを、半導体層4上に、半導体層4を覆うように滴下し、窒素気流下、110℃で15分熱処理して、第2絶縁層の第1層を形成した。次いで、低酸素透過性化合物溶液A2.0μLを、第2絶縁層の第1層を覆うように滴下し、窒素気流下、90℃で5分熱処理して、第2絶縁層の第2層を形成した。こうして、半導体素子を得た。この半導体素子のソース・ドレイン電極の幅(チャネル幅)は200μm、ソース・ドレイン電極の間隔(チャネル長)は100μmとした。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2層の膜厚は2.0μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、9.4(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は2.2cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は2.2cc/(m ・24h・atm)であった。
[0298]
 次に、上記半導体素子の作製当日に、ゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)-ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を測定した。測定には半導体特性評価システム4200-SCS型(ケースレーインスツルメンツ株式会社製)を用い、大気中で測定した。Vg=+30~-30Vに変化させたときのVsd=+5VにおけるIdの値の変化から、線形領域の移動度、またId-Vgグラフにおける線形部分の延長線とVg軸との交点からしきい値電圧を求めた。また、その20日後、同様にして、移動度およびしきい値電圧を求めた。結果を表1に示す。
[0299]
 実施例2
 低酸素透過性化合物溶液Aの代わりに低酸素透過性化合物溶液Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体素子を作製し、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2層の膜厚は1.1μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、9.4(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は3.9cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は3.9cc/(m ・24h・atm)であった。なお、実施例2においては、実施例1に比べ、低酸素透過性化合物溶液のポリビニルアルコール濃度が低いために、第2絶縁層の第2層の膜厚が小さな値となっている。
[0300]
 実施例3
 低酸素透過性化合物溶液Aの代わりに低酸素透過性化合物溶液Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体素子を作製し、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2層の膜厚は3.1μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、9.4(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)であった。なお、実施例3においては、実施例1に比べ、低酸素透過性化合物溶液のポリビニルアルコール濃度が高いために、第2絶縁層の第2層の膜厚が大きな値となっている。
[0301]
 実施例4
 半導体溶液Bの代わりに半導体溶液Aを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体素子を作製し、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2層の膜厚は2.0μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、9.4(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は2.2cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は2.2cc/(m ・24h・atm)であった。
[0302]
 実施例5
 低酸素透過性化合物溶液Aの代わりに低酸素透過性化合物溶液Eを用いたこと以外は、実施例4と同様にして、半導体素子を作製し、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2層の膜厚は4.1μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、5.1(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は2.3cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は2.3cc/(m ・24h・atm)であった。
[0303]
 実施例6
 電子供与性化合物溶液Aの代わりに電子供与性化合物溶液Dを用いたこと以外は、実施例4と同様にして、第2絶縁層の第1層を形成した。次いで、低酸素透過性化合物溶液Dを、第2絶縁層の第1層を覆うようにスプレー塗布し、窒素気流下、90℃で5分熱処理して、第2絶縁層の第2層を形成した。こうして、半導体素子を得た。実施例1と同様にして、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.0μm、第2層の膜厚は100.0μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、8.5(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は3.0cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は3.0cc/(m ・24h・atm)であった。
[0304]
 実施例7
 電子供与性化合物溶液Aの代わりに電子供与性化合物溶液Bを用いたこと、および、低酸素透過性化合物溶液Aの代わりに低酸素透過性化合物溶液Cを用いたこと以外は、実施例4と同様にして、半導体素子を作製し、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2層の膜厚は3.1μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、9.4(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)であった。
[0305]
 実施例8
 電子供与性化合物溶液Bの代わりに電子供与性化合物溶液Cを用いたこと以外は、実施例7と同様にして、半導体素子を作製し、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2層の膜厚は3.1μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、9.5(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)であった。
[0306]
 実施例9
 電子供与性化合物溶液Bの代わりに電子供与性化合物溶液Aを用いたこと以外は、実施例7と同様にして、半導体素子を作製し、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2層の膜厚は3.1μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、9.4(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)であった。
[0307]
 実施例10
 電子供与性化合物溶液Bの代わりに電子供与性化合物溶液Eを用いたこと以外は、実施例7と同様にして、半導体素子を作製し、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2層の膜厚は3.1μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、9.4(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)であった。
[0308]
 実施例11
 電子供与性化合物溶液Bの代わりに電子供与性化合物溶液Fを用いたこと以外は、実施例7と同様にして、半導体素子を作製し、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2層の膜厚は3.1μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、9.3(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)であった。
[0309]
 実施例12
 電子供与性化合物溶液Bの代わりに電子供与性化合物溶液Gを用いたこと以外は、実施例7と同様にして、半導体素子を作製し、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2層の膜厚は3.1μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、9.3(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)であった。
[0310]
 実施例13
 実施例4と同様にして、半導体層4を形成した。次に、電子供与性化合物溶液I2.0μLを、半導体層4上に、半導体層4を覆うように滴下し、窒素気流下、110℃で15分熱処理する工程を18回繰り返すことで、第2絶縁層を形成した。こうして、半導体素子を得た。実施例1と同様にして、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層膜厚は450μm、第2絶縁層の酸素透過度は3.8cc/(m ・24h・atm)であった。
[0311]
 実施例14
 実施例4と同様にして、半導体層4を形成した。次に、電子供与性化合物溶液J0.5μLを、半導体層4上に、半導体層4を覆うように滴下し、窒素気流下、110℃で15分熱処理することで、第2絶縁層を形成した。こうして、半導体素子を得た。実施例1と同様にして、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層膜厚は3.1μm、第2絶縁層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)であった。
[0312]
 実施例15
 半導体溶液Aの代わりに半導体溶液Cを用いたこと以外は、実施例3と同様にして、半導体素子を作製し、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2層の膜厚は3.1μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、9.4(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は1.4cc/(m ・24h・atm)であった。
[0313]
 実施例16
 実施例15と同様にして、第2絶縁層を形成した。次に、低水蒸気透過性化合物溶液B0.5μLを、半導体層4上に、半導体層4を覆うように滴下し、窒素気流下、110℃で15分熱処理することで、保護層を形成した。こうして、半導体素子を得た。実施例1と同様にして、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、保護層膜厚は4.1μm、保護層の水蒸気透過度は31g/(m ・24h)であった。
[0314]
 実施例17
 実施例15と同様にして、第2絶縁層を形成した。次に、低水蒸気透過性化合物溶液C2.0μLを、半導体層4上に、半導体層4を覆うように滴下し、窒素気流下、110℃で15分熱処理することで、保護層を形成した。こうして、半導体素子を得た。実施例1と同様にして、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、保護層膜厚は12.8μm、保護層の水蒸気透過度は10g/(m ・24h)であった。
[0315]
 実施例18
 実施例15と同様にして、第2絶縁層を形成した。次に、低水蒸気透過性化合物溶液A2.0μLを、半導体層4上に、半導体層4を覆うように滴下し、窒素気流下、110℃で15分熱処理する工程を4回繰り返すことで、保護層を形成した。こうして、半導体素子を得た。実施例1と同様にして、移動度およびしきい値電圧を評価した。この半導体素子における、保護層膜厚は100μm、保護層の水蒸気透過度は1.3g/(m ・24h)であった。
[0316]
 比較例1
 第2絶縁層の第2層を形成しなかったこと以外は、実施例4と同様にして、半導体素子を作製し、移動度を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2絶縁層の酸素透過度は2500cc/(m ・24h・atm)であった。
[0317]
 比較例2
 低酸素透過性化合物溶液Aの代わりに低酸素透過性化合物溶液Fを用いたこと以外は、実施例4と同様にして、半導体素子を作製し、移動度を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の第1層の膜厚は2.9μm、第2層の膜厚は2.0μm、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、5.1(MPa) 1/2、第2絶縁層の酸素透過度は5.9cc/(m ・24h・atm)、第2絶縁層の第2層の酸素透過度は5.9cc/(m ・24h・atm)であった。
[0318]
 比較例3
 電子供与性化合物溶液Aの代わりに電子供与性化合物溶液Hを用いたこと以外は、実施例4と同様にして、半導体素子を作製し、移動度を評価したところ、Vgに対するIdの変化が認められず、移動度を評価できなかった。この半導体素子における、第1層と第2層の溶解度パラメータの差(絶対値)は、1.8(MPa) 1/2であった。
[0319]
 実施例19
 図8に示す相補型半導体装置を作製した。ガラス製の基板1(膜厚0.7mm)上に、抵抗加熱法により、マスクを通してクロムを5nmおよび金を50nm真空蒸着し、p型半導体素子のゲート電極2、n型半導体素子のゲート電極2を形成した。次にゲート絶縁層溶液Aを上記基板上にスピンコート(2000rpm×30秒)し、窒素気流下200℃、1時間熱処理することによって、膜厚600nmのゲート絶縁層3を形成した。次に、抵抗加熱法により、マスクを通して金を膜厚50nmになるように真空蒸着し、p型半導体素子のソース電極5およびドレイン電極6、n型半導体素子のソース電極5およびドレイン電極6を形成した。次にp型半導体素子のソース電極5・ドレイン電極6間およびn型半導体素子のソース電極5・ドレイン電極6間に上記半導体溶液Cを1μL滴下し、30℃で10分風乾した後、ホットプレート上で窒素気流下、150℃、30分の熱処理を行いp型半導体装置の半導体層4およびn型半導体素子の半導体層4を形成した。次に、電子供与性化合物溶液A0.5μLをn型半導体素子の半導体層4上にn型半導体素子の半導体層4を覆うように滴下し、さらに第2絶縁層溶液A0.5μLをp型半導体素子の半導体層4上にp型半導体素子の半導体層4を覆うように滴下した後、窒素気流下110℃、15分熱処理して、第2絶縁層の第1層を形成した。次いで、低酸素透過性化合物溶液C2.0μLをn型半導体素子の第2絶縁層の第1層を覆うように滴下し、さらに、低酸素透過性化合物溶液C2.0μLをp型半導体素子の第2絶縁層の第1層を覆うように滴下した後、窒素気流下、90℃で5分熱処理して、第2絶縁層の第2層を形成した。こうして、p型半導体素子およびn型半導体素子を得た。次に、p型半導体素子およびn型半導体素子を結線して、図9に示す相補型半導体装置とすることで、相補型半導体装置を得た。
[0320]
 上記p型半導体素子およびn型半導体素子それぞれのソース・ドレイン電極の幅(チャネル幅)は200μm、ソース・ドレイン電極の間隔(チャネル長)は100μmとした。
測定には、半導体特性評価システム4200-SCS型)および直流安定化電源AD-8723D((株)エー・アンド・デイ製)を用い、大気中で測定した。図9において、V DDは10V、GND端子は接地とし、V inの0→10Vの変化に対するV outの変化(ゲイン)およびV outがV DDの半分になるV in(1/2V DD)を評価した。また、その20日後、同様にして、ゲインおよび1/2V DDを評価した。結果を表2に示す。
[0321]
 実施例20
 第2絶縁層溶液Aの代わりに第2絶縁層溶液Bを用いたこと以外は、実施例19と同様にして、相補型半導体装置を作製し、ゲインおよび1/2V DDを評価した。
[0322]
 実施例21
 実施例19と同様にして、第2絶縁層を形成した。低水蒸気透過性化合物溶液A2.0μLを、半導体層4上に、半導体層4を覆うように滴下し、窒素気流下、110℃で15分熱処理する工程を4回繰り返すことで、保護層を形成した。こうして、相補型半導体装置を得た。実施例19と同様にして、相補型半導体装置を作製し、ゲインおよび1/2V DDを評価した。
[0323]
 実施例22
 第2絶縁層溶液Aの代わりに第2絶縁層溶液Bを用いたこと以外は、実施例21と同様にして、相補型半導体装置を作製し、ゲインおよび1/2V DDを評価した。
[0324]
[表1]


[0325]
[表2]


符号の説明

[0326]
1 基材
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁層
4 半導体層
5 ソース電極
6 ドレイン電極
7 カーボンナノチューブ
8 第2絶縁層
9 第2絶縁層の第1層
10 第2絶縁層の第2層
11 第3絶縁層
12 第3絶縁層の第1層
13 第3絶縁層の第2層
14 保護層
50 アンテナ
51 p型半導体素子
52 n型半導体素子
101 p型半導体素子
201 n型半導体素子

請求の範囲

[請求項1]
基材と、
ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極と、
前記ソース電極およびドレイン電極と接する半導体層と、
前記半導体層を前記ゲート電極と絶縁するゲート絶縁層と、
前記半導体層に対して前記ゲート絶縁層とは反対側で前記半導体層と接する第2絶縁層と、を備えた半導体素子であって、
前記半導体層が、カーボンナノチューブを含有し、
前記第2絶縁層が、窒素原子およびリン原子から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有し、
前記第2絶縁層の酸素透過度が、4.0cc/(m ・24h・atm)以下であることを特徴とする、
半導体素子。
[請求項2]
前記第2絶縁層が、さらに、ヒドロキシ基、シアノ基、フルオロ基、クロロ基およびアミド結合からなる群より選ばれるいずれか1種以上の構造を有する高分子化合物を含有する、請求項1記載の半導体素子。
[請求項3]
前記高分子化合物が、ビニルアルコール系樹脂である、請求項2記載の半導体素子。
[請求項4]
前記第2絶縁層が、半導体層に近い側に設けられてなる第1層と、半導体層に遠い側に設けられてなる第2層とを少なくとも含み、前記第1層が前記電子供与性化合物を含有し、前記第2層の酸素透過度が4.0cc/(m ・24h・atm)以下である、請求項1記載の半導体素子。
[請求項5]
前記第2層が、ヒドロキシ基、シアノ基、フルオロ基、クロロ基およびアミド結合からなる群より選ばれるいずれか1種以上の構造を有する高分子化合物を含有する、請求項4記載の半導体素子。
[請求項6]
前記第2層に含まれる高分子化合物が、ビニルアルコール系樹脂である、請求項5記載の半導体素子。
[請求項7]
前記第1層と前記第2層を構成する材料の溶解度パラメータの差の絶対値が5.0(MPa) 1/2以上である、請求項4~6いずれか記載の半導体素子
[請求項8]
前記電子供与性化合物が、窒素原子を有する化合物である、請求項1~7いずれか記載の半導体素子。
[請求項9]
前記電子供与性化合物が、窒素原子を含む環構造を含有する化合物である、請求項1~8いずれか記載の半導体素子。
[請求項10]
前記電子供与性化合物が、アミジン化合物およびグアニジン化合物から選ばれるいずれか1種類以上の化合物である、請求項1~9いずれか記載の半導体素子。
[請求項11]
前記第2絶縁層の膜厚が100μm以下である、請求項1~10いずれか記載の半導体素子。
[請求項12]
前記第2絶縁層の水蒸気透過度が20g/(m ・24h)以下である、請求項1~11いずれか記載の半導体素子。
[請求項13]
前記第2絶縁層に対して前記ゲート電極とは反対側で前記第2絶縁層と接する保護層と、を備えた半導体素子であって、前記保護層の水蒸気透過度が、20g/(m ・24h)以下である、請求項1~12いずれか記載の半導体素子。
[請求項14]
前記カーボンナノチューブが、その表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブ複合体として存在する、請求項1~13いずれか記載の半導体素子。
[請求項15]
請求項1~14いずれか記載の半導体素子を含有するn型半導体素子と、p型半導体素子とを備えた、相補型半導体装置。
[請求項16]
前記p型半導体素子が、基材と、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極と、前記ソース電極およびドレイン電極と接する半導体層と、前記半導体層を前記ゲート絶縁層と絶縁するゲート絶縁層と、を備えたp型半導体素子であって、前記p型半導体素子の半導体層が、カーボンナノチューブを含有する、請求項15記載の相補型半導体装置。
[請求項17]
前記p型半導体素子が、該p型半導体素子の半導体層に対して該p型半導体素子のゲート絶縁層とは反対側で該p型半導体素子の半導体層と接する第2絶縁層を備えた、請求項16記載の相補型半導体装置。
[請求項18]
前記p型半導体素子の第2絶縁層の少なくとも一部が前記n型半導体素子の第2絶縁層の第2層と同一材料で構成されている、請求項17記載の相補型半導体装置。
[請求項19]
前記p型半導体素子の第2絶縁層に対して前記ゲート絶縁層とは反対側で前記第2絶縁層と接する保護層を備えた半導体素子であって、前記p型半導体素子の保護層は前記n型半導体素子の保護層と同一材料が用いられており、前記p型半導体素子の保護層の水蒸気透過度が、20g/(m ・24h)以下である、請求項17または18記載の相補型半導体装置。
[請求項20]
請求項1~14いずれか記載の半導体素子の製造方法であって、前記第2絶縁層を塗布法により形成する工程を含む半導体素子の製造方法。
[請求項21]
請求項1~14いずれか記載の半導体素子の製造方法であって、前記第2絶縁層が、半導体層に近い側に設けられてなる第1層と、半導体層に遠い側に設けられてなる第2層とを少なくとも含み、前記第1層が前記電子供与性化合物を含有し、前記第2層の酸素透過度が4.0cc/(m ・24h・atm)以下であるものであって、前記第1層を塗布法により形成する工程と、前記第2層を塗布法により形成する工程とを含み、前記第2層を形成する際の乾燥温度が、前記第1層のガラス転移温度以下である、請求項20記載の半導体素子の製造方法。
[請求項22]
請求項1~14いずれか記載の半導体素子と、アンテナと、を少なくとも有する無線通信装置。
[請求項23]
請求項15~19いずれか記載の相補型半導体装置と、アンテナと、を少なくとも有する無線通信装置。
[請求項24]
請求項22または23記載の無線通信装置を用いた商品タグ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10A]

[ 図 10B]

[ 図 11]

[ 図 12]