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1. (WO2018180127) 光学部材
Document

明 細 書

発明の名称 光学部材

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005  

発明の効果

0006  

図面の簡単な説明

0007  

発明を実施するための形態

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056  

実施例

0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

明 細 書

発明の名称 : 光学部材

技術分野

[0001]
 本開示は、光学部材に関する。

背景技術

[0002]
 現在、光学部材に対し、断熱機能がより求められるようになっている。
 断熱機能が高い断熱材としては、真空断熱材(0.002W/(m・K))、グラスウール(0.03W/(m・K))等が知られている。しかし、これら真空断熱材及びグラスウールは、いずれも光学的には不透明な材料であるため、光学部材としては利用しにくい。
[0003]
 上述した背景の下、光学的性質又は断熱性を備えた各種の光学部材が検討されている。
 例えば、特開2006-334787号公報には、可視光透過性が高くかつ赤外光の遮断性の高い透明断熱光学部材として、透明基板上に熱線を反射する金属層と透明な光補償層を交互に複数層積層して、可視光を透過し、熱線を反射するようにした透明断熱光学部材において、該光補償層が導電性の金属酸化物からなる透明導電層であり、波長510nmでの光透過率T(510)が74%以上で、波長700nmの光透過率T(700)と波長900nmでの光透過率T(900)との比T(900)/T(700)が0.3以下である透明断熱光学部材が開示されている。
 また、特開2013-256104号公報には、優れた熱線反射性、可視光透過率および電波透過性を有する熱反射構造体として、基材と、基材上に位置し、金属層および誘電体層が交互に積層されてなり、かつ、両最外層が誘電体層である交互光学部材と、を有し、誘電体層は金属酸化物の結晶領域およびアモルファス領域から構成される、熱反射構造体が開示されている。
 また、特開平10-182192号公報には、耐湿性を大巾に向上した断熱ガラスとして、ガラス基板の表面上に、少なくとも透明酸化物膜層、貴金属膜層、Al-Zn膜層を組み合わせ順次積層した積層膜であって、貴金属膜層を少なくともAl-Zn膜層で保護するように、Al-Zn膜層を存在させた断熱ガラスが知られている。

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかし、特開2006-334787号公報、特開2013-256104号公報、及び特開平10-182192号公報に記載の技術に対し、熱伝導率をより低減し、断熱機能をより向上させることが求められている。
 従って、本開示の課題は、400nm~800nmの波長領域又は6μm~12μmの波長領域で透過性を有し、かつ、熱伝導率が低減された光学部材を提供することである。

課題を解決するための手段

[0005]
 上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 基材と、
 基材上に配置され、材質が異なる2種以上の層からなる積層構造と、
を備え、
 積層構造を構成する層の数が10以上であり、積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下であり、400nm~800nmの波長範囲又は6μm~12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上である光学部材。
<2> 積層構造を構成する層の数が、100以上である<1>に記載の光学部材。
<3> 積層構造が、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び金属硫化物からなる群から選択される2種以上の金属化合物からなる<1>又は<2>に記載の光学部材。
<4> 2種以上の金属化合物における金属元素が、Si、Al、Nb、Mg、Zr、Ge、及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素である<3>に記載の光学部材。
<5> 層厚が8nm超である光干渉層を更に備える<1>~<4>のいずれか1つに記載の光学部材。
<6> 400nm~800nmの波長範囲における最低透過率が10%以上であり、
 400nm~800nmの波長範囲における最高反射率が10%以下である<1>~<5>のいずれか1つに記載の光学部材。
<7> 400nm~800nmの波長範囲における最低透過率が10%以上であり、
 材質が異なる2種以上の層は、Al 層とSiO 層との組み合わせを含む<1>~<6>のいずれか1つに記載の光学部材。
<8> 6μm~12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上であり、
 6μm~12μmの波長範囲における最高反射率が40%以下である<1>~<5>のいずれか1つに記載の光学部材。
<9> 6μm~12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上であり、
 材質が異なる2種以上の層は、SiN層とAlN層との組み合わせを含む<1>~<5>及び<8>のいずれか1つに記載の光学部材。

発明の効果

[0006]
 本開示によれば、400nm~800nmの波長領域又は6μm~12μmの波長領域で透過性を有し、かつ、熱伝導率が低減された光学部材が提供される。

図面の簡単な説明

[0007]
[図1] 実施例1の光学部材の400nm~800nmの波長領域での反射スペクトルである。
[図2] 実施例1の光学部材の400nm~800nmの波長領域での透過スペクトルである。
[図3] 実施例2の光学部材の400nm~800nmの波長領域での反射スペクトルである。
[図4] 実施例2の光学部材の400nm~800nmの波長領域での透過スペクトルである。
[図5] 実施例3の光学部材の400nm~800nmの波長領域での反射スペクトルである。
[図6] 実施例3の光学部材の400nm~800nmの波長領域での透過スペクトルである。
[図7] 実施例4の光学部材の4μm~15μmの波長領域での反射スペクトルである。
[図8] 実施例4の光学部材の4μm~15μmの波長領域での透過スペクトルである。
[図9] 比較例1の光学部材の400nm~800nmの波長領域での反射スペクトルである。
[図10] 比較例1の光学部材の400nm~800nmの波長領域での透過スペクトルである。
[図11] 比較例2の光学部材の400nm~800nmの波長領域での反射スペクトルである。
[図12] 比較例2の光学部材の400nm~800nmの波長領域での透過スペクトルである。
[図13] 比較例3の光学部材の400nm~800nmの波長領域での反射スペクトルである。
[図14] 比較例3の光学部材の400nm~800nmの波長領域での透過スペクトルである。

発明を実施するための形態

[0008]
 本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
 本明細書にいう「金属」の概念には、半金属(例えば、Si、Ge等)も含まれる。
 本明細書にいう「光」は、電磁波全般を意味し、可視光には限定されない。
 本明細書にいう「層厚」とは、1層の厚みを意味する。
[0009]
 本開示の光学部材は、基材と、基材上に配置され、材質が異なる2種以上の層からなる積層構造と、を備え、
 積層構造を構成する層の数が10以上であり、積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下であり、400nm~800nmの波長範囲又は6μm~12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上である。
[0010]
 本開示の光学部材の一態様である態様Aは、400nm~800nmの波長範囲における最低透過率が10%以上である態様である。
 本開示の光学部材の別の一態様である態様Bは、6μm~12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上である態様である。
[0011]
 本開示の態様Aに係る光学部材は、400nm~800nmの波長領域で透過性を有し、熱伝導率が低減された光学部材である。
 また、本開示の態様Bに係る光学部材は、6μm~12μmの波長領域で透過性を有し、熱伝導率が低減された光学部材である。
 かかる効果が奏される理由は、以下のように推測されるが、本開示の光学部材は以下の理由によって限定されることはない。
[0012]
 態様A及び態様Bのいずれの光学部材も、材質が異なる2種以上の層からなる積層構造を備え、積層構造を構成する層の数が10以上である。
 異なる2種の物質の界面には界面熱抵抗が存在する。
 態様A及び態様Bのいずれの光学部材も、積層構造を構成する層の数が10以上であることにより、この界面熱抵抗を有する界面の数が9以上であるため、熱伝導率が低減されると考えられる。
[0013]
 また、態様A及び態様Bのいずれの光学部材も、積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下である。
[0014]
 本明細書において、積層構造を構成する層の最大層厚とは、積層構造を構成する全ての層の各々の厚さからなる母集団の中での最大値を意味する。
[0015]
 態様A及び態様Bのいずれにおいても、
材質が異なる2種以上の層からなる積層構造において、フォノンの界面反射が生じること、及び、
積層構造を構成する層の層厚が、フォノンの平均自由行程とされている10数nmよりも小さいこと
の両方を満足することにより、フォノンの干渉が生じると考えられる。
 このフォノンの干渉により、積層構造における熱伝導率が効果的に低減されると考えられる。
[0016]
 また、態様Aにおける400nm~800nmの波長範囲の光(即ち、可視光線)の干渉を抑制するためには、1層の厚さ(層厚)を、波長範囲の上限(800nm)の1/100以下(即ち、8nm以下)に抑えることが効果的と考えられる。
 この点に関し、態様Aでは、上述したとおり、積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下であるため、400nm~800nmの波長範囲の光(即ち、可視光線)の干渉が抑制される。このため、態様Aでは、400nm~800nmの波長範囲における透過率の低下が抑制されると考えられる。
[0017]
 また、態様Bにおける6μm~12μmの波長範囲の光(即ち、赤外光)の干渉を抑制するためには、1層の厚さ(層厚)を、波長範囲の上限(12μm)の1/100以下(即ち、120nm以下)に抑えることが効果的と考えられる。
 この点に関し、態様Bでは、上述したとおり、積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下であるため、6μm~12μmの波長範囲の光(即ち、赤外光)の干渉が抑制される。このため、態様Bでは、6μm~12μmの波長範囲における透過率の低下が抑制されると考えられる。
[0018]
 以上の理由により、
態様Aの光学部材では、400nm~800nmの波長領域で透過性を有するという機能と、熱伝導率が低減されるという機能と、が達成され、
態様Bの光学部材では、6μm~12μmの波長領域で透過性を有するという機能と、熱伝導率が低減されるという機能と、が達成されると考えられる。
[0019]
 また、態様Aにおける積層構造を構成する各層の層厚(最大層厚でも、8nm以下)は、可視光(400~800nm)の波長に対し著しく小さい。このため、可視光は、積層構造の中の例えば1種目の層(以下、「X層」ともいう)と2種目の層(以下、「Y層」ともいう)とを区別することはできない。従って、可視光からみると、積層構造は、平均的な屈折率を持つ1層の混合材料膜として捉えられる。
 同様に、態様Bにおける積層構造を構成する各層の層厚(最大層厚でも、8nm以下)は、6μm~12μmの波長範囲に対し著しく小さい。このため、上記波長範囲の赤外光は、積層構造の中の例えばX層とY層とを区別することはできない。従って、上記赤外光からみると、積層構造は、平均的な屈折率を持つ1層の混合材料膜として捉えられる。
 これらの理由により、態様A及び態様Bの光学部材では、意図しない光の干渉が抑制される。
 従って、態様A及び態様Bの光学部材は、光学設計をし易いという利点も有する。
[0020]
 以下、態様A及び態様Bについてより詳細に説明する。
[0021]
〔態様A〕
 態様Aに係る光学部材は、基材と、基材上に配置され、材質が異なる2種以上の層からなる積層構造と、を備え、積層構造を構成する層の数が10以上であり、積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下であり、400nm~800nmの波長範囲における最低透過率が10%以上である。
[0022]
<基材>
 態様Aにおける基材の材質としては、例えば、ガラス、プラスチック、セラミックス等が挙げられる。
 ガラスとしては、例えば、天然石英ガラス、合成石英ガラス、ソーダガラス、ランタンガラスなどが挙げられる。
 態様Aにおける基材の材質としては、ガラスが好ましい。これにより、400nm~800nmの波長範囲における最低透過率が10%以上であることをより達成し易い。
[0023]
<積層構造>
 態様Aに係る光学部材は、基材上に配置され、材質が異なる2種以上の層からなる積層構造を備える。
[0024]
(材質)
 態様Aにおける積層構造を構成する層は、異なる2種以上の材質の各々からなる層であることが好ましい。
 態様Aにおける積層構造を構成する、異なる2種以上の材質は、2種以上の有機物であってもよいし、2種以上の無機物であってもよいし、1種以上の有機物と1種以上の無機物との組み合わせであってもよい。
[0025]
 態様Aにおける積層構造は、成膜の容易性から、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び金属硫化物からなる群から選択される2種以上の金属化合物からなることが好ましい。
 態様Aにおける積層構造を構成する層は、上記2種以上の金属化合物の各々からなる2種以上の層であることが好ましい。
 態様Aにおける積層構造の具体的態様としては、例えば、
金属酸化物からなる層(以下、「金属酸化物層」ともいう)を2種以上含む態様、
金属窒化物からなる層(以下、「金属窒化物層」ともいう)を2種以上含む態様、
金属酸窒化物からなる層(以下、「金属酸窒化物層」ともいう)を2種以上含む態様、
金属硫化物からなる層(以下、「金属硫化物層」ともいう)を2種以上含む態様、
1種以上の金属酸化物層と1種以上の金属窒化物層とを含む態様、
1種以上の金属酸化物層と1種以上の金属酸窒化物層とを含む態様、
1種以上の金属酸化物層と1種以上の金属硫化物層とを含む態様、
1種以上の金属窒化物層と1種以上の金属酸窒化物層とを含む態様、
1種以上の金属窒化物層と1種以上の金属硫化物層とを含む態様、
1種以上の金属酸窒化物層と1種以上の金属硫化物層とを含む態様、
等が挙げられる。
[0026]
 態様Aにおける積層構造の好ましい態様は、
X層(即ち、1種目の層)とY層(即ち、2種目の層)とを、X層/Y層/X層/Y層/X層・・・のように、交互に配置した構造、又は、
上記交互に配置した構造の任意の層間に、X層及びY層以外のその他の層の少なくとも1種を挿入した構造である。
 上記その他の層の少なくとも1種を挿入した構造としては、例えば、X層/Y層/Z層/X層/Y層/W層/X層・・・の構造がある。ここで、Z層は、3種目の層であり、W層は、4種目の層である。
[0027]
 態様Aにおける金属化合物における金属元素は、Si、Al、Nb、Mg、Zr、Ge、及びZnからなる群から選択される少なくとも1種(より好ましくは2種以上)の元素であることが好ましい。
 金属化合物における金属元素は、Si、Al、及びNbからなる群から選択される少なくとも1種(より好ましくは2種以上)を含むことが好ましく、Si及びAlからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、Siを含むことが特に好ましい。
[0028]
 金属酸化物としては、Al 、SiO 、Nb 、MgO、GeO 、ZnO、ZrO 等が挙げられる。
 金属窒化物としては、AlN、SiN等が挙げられる。
 金属酸窒化物としては、AlON、SiON等が挙げられる。
 金属硫化物としては、ZnS等が挙げられる。
[0029]
 態様Aにおいて、材質が異なる2種以上の層は、400nm~800nmの波長範囲における最低透過率をより向上させる観点から、2種以上の金属酸化物層を含むことが好ましく、Al 層とSiO 層との組み合わせを含むことが特に好ましい。
[0030]
(層の数)
 態様Aにおける積層構造を構成する層の数は、前述のとおり10以上である。
 態様Aにおける積層構造を構成する層の数は、光学部材の熱伝導率をより低減させる観点から、好ましくは20以上であり、より好ましくは50以上であり、更に好ましくは100以上である。
 態様Aにおける積層構造を構成する層の数の上限には特に制限はない。光学部材の製造適性の観点から、積層構造を構成する層の数の上限は、例えば1000万であり、好ましくは300万であり、特に好ましくは100万である。
[0031]
(最大層厚、平均層厚)
 態様Aにおける積層構造を構成する層の最大層厚は、8nm以下である。これにより、前述のとおり、光学部材の熱伝導率が低減される。更に、400nm~800nmの波長範囲の光の干渉が抑制され、その結果、この波長範囲における透過率の低下が抑制される。
 態様Aにおける積層構造を構成する層の最大層厚は、好ましくは5nm以下であり、より好ましくは4nm以下である。
 態様Aにおける積層構造を構成する層の最大層厚の下限には特に制限はない。層形成(成膜)の適性の観点から、積層構造を構成する層の最大層厚の下限は、好ましくは1nm、より好ましくは2nmである。
[0032]
 態様Aにおける積層構造を構成する層の平均層厚の上限は、好ましくは7nm、より好ましくは4nm、特に好ましくは3nmである。
 態様Aにおける積層構造を構成する層の平均層厚の下限は、好ましくは1nm、より好ましくは2nmである。
[0033]
(CV値)
 態様Aにおける積層構造は、熱伝導率をより低減する観点から、層厚の標準偏差/平均層厚で定義されるCV値が、0.05以上であってもよい。
[0034]
 本明細書において、平均層厚とは、積層構造を構成する全ての層の各々の厚さからなる母集団の算術平均値を意味する。
 また、本明細書において、層厚の標準偏差とは、積層構造を構成する全ての層の各々の厚さからなる母集団の標準偏差を意味する。
[0035]
 態様Aにおける積層構造のCV値が0.05以上であることは、概略的に言えば、積層構造を構成する層の層厚に、ある程度のバラつき(詳細には層間でのバラつき)が存在することを意味している。
 態様Aにおける積層構造のCV値が0.05以上である場合には、熱伝導率がより効果的に低減される。この理由は、積層構造を構成する層の層厚にある程度のバラつきが存在すること、及び、前述したフォノンの干渉が生じることにより、フォノンのアンダーソン局在が発生し、これにより、フォノンの平均透過率が減少するためと考えられる。
[0036]
 熱伝導率をより低減する観点から、態様Aにおける積層構造を構成する層の層厚のCV値は、より好ましくは0.10以上である。
 態様Aにおける積層構造を構成する層の層厚のCV値の上限には特に制限はないが、上限は、例えば0.60である。
[0037]
<光干渉層A>
 態様Aに係る光学部材は、層厚が8nm超である光干渉層(以下、「光干渉層A」ともいう)を少なくとも1層備えることが好ましい。これにより、光学部材の光学的機能をより向上させることができる。
 上述したとおり、態様Aにおける積層構造を構成する各層の層厚(最大層厚でも、8nm以下)は、可視光(400~800nm)の波長に対し著しく小さいので、可視光からみると、積層構造は、平均的な屈折率を持つ1層の混合材料膜として捉えられる。
 従って、積層構造から見て、基材側及び/又は基材とは反対側に、光干渉層Aを配置することにより、光学部材の光学的機能をより向上させることができる。例えば、積層構造に、特定の波長に対する反射防止効果を持たせたり、特定の波長に対する増反射効果を持たせることができる。
[0038]
 光干渉層Aの層厚は、8nm超であればよく、特に制限されないが、好ましくは9nm以上であり、より好ましくは10nm以上である。
 光干渉層Aの層厚の上限は、光干渉層の製造適性の観点から、好ましくは1000nmであり、より好ましくは200nmであり、特に好ましくは100nmである。
[0039]
 光干渉層Aの材質としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び金属フッ化物からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物が好ましい。
 光干渉層Aの材質としての上記金属化合物における金属元素としては、Si、Al、Nb、Mg、Zr、La、Ti、Y、Ca、Ba、Li、及びNaからなる群から選択される少なくとも1種の元素が好ましい。
[0040]
<最低透過率>
 態様Aに係る光学部材は、400nm~800nmの波長範囲における最低透過率が10%以上である。
 本明細書において、400nm~800nmの波長範囲における最低透過率とは、400nm~800nmの波長範囲における透過率の最低値を意味する。
 400nm~800nmの波長範囲における最低透過率は、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上である。
 400nm~800nmの波長範囲における最低透過率の上限には特に制限はないが、光学部材の製造適性の観点から、好ましい上限は99%である。
[0041]
<最高反射率>
 態様Aに係る光学部材は、反射防止機能の観点から、400nm~800nmの波長範囲における最高反射率が10%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましく、4%以下であることが更に好ましい。
 本明細書において、400nm~800nmの波長範囲における最高反射率とは、400nm~800nmの波長範囲における反射率の最高値を意味する。
 400nm~800nmの波長範囲における最高反射率は、0%であってもよいし、0%超であってもよい。
 400nm~800nmの波長範囲における最高反射率の低減は、態様Aに係る光学部材が上述した光干渉層Aを備える場合に、より達成し易い。
[0042]
 以上で説明した態様Aに係る光学部材は、各種の光学デバイス(例えば、光学センサー、撮像装置の光学系、表示装置、等)用の反射防止フィルム、又は、断熱容器の加飾用フィルムとして用いることができる。
 以上で説明した態様Aに係る光学部材は、特に、高温環境で用いられる光学デバイス用の反射防止フィルム、又は、高温環境で用いられる断熱容器の加飾用フィルムとして好適に用いられる。
[0043]
〔態様B〕
 態様Bに係る光学部材は、基材と、基材上に配置され、材質が異なる2種以上の層からなる積層構造と、を備え、積層構造を構成する層の数が10以上であり、積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下であり、6μm~12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上である。
[0044]
<基材>
 態様Bにおける基材の材質としては、例えば、金属、金属化合物等が挙げられる。
 態様Bにおける基材の材質としては、Si、Ge、ZnSe、ZnS、TlBrとTlIとの混合物、又は、TlBrとTlClとの混合物が好ましい。これにより、6μm~12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上であることをより達成し易い。
[0045]
<積層構造>
 態様Bに係る光学部材は、基材上に配置され、材質が異なる2種以上の層からなる積層構造を備える。
 態様Bにおける積層構造の好ましい形態(好ましい材質等)は、態様Aにおける積層構造の好ましい形態(好ましい材質等)と同様である。
[0046]
 態様Bにおいては、材質が異なる2種以上の層は、6μm~12μmの波長範囲における最低透過率をより向上させる観点から、2種以上の金属窒化物層を含むことも好ましく、SiN層とAlN層との組み合わせを含むことも好ましい。
[0047]
(層の数)
 態様Bにおける積層構造を構成する層の数の好ましい範囲は、態様Aにおける積層構造を構成する層の数の好ましい範囲と同様である。
[0048]
(最大層厚、平均層厚)
 態様Bにおいて、積層構造を構成する層の最大層厚は、8nm以下である。これにより、前述のとおり、光学部材の熱伝導率が低減される。更に、6μm~12μmの波長範囲の光(赤外光)の干渉が抑制され、その結果、この波長範囲における最低透過率の低下が抑制される。
 態様Bにおける積層構造を構成する層の最大層厚は、好ましくは5nm以下であり、より好ましくは4nm以下である。
 態様Bにおける積層構造を構成する層の最大層厚の下限には特に制限はない。層形成(成膜)の適性の観点から、積層構造を構成する層の最大層厚の下限は、好ましくは1nm、より好ましくは2nmである。
[0049]
 態様Bにおける積層構造を構成する層の平均層厚の上限は、好ましくは7nm、より好ましくは4nm、特に好ましくは3nmである。
 態様Bにおける積層構造を構成する層の平均層厚の下限は、好ましくは1nm、より好ましくは2nmである。
[0050]
(CV値)
 態様Bにおける積層構造は、熱伝導率をより低減する観点から、層厚の標準偏差/平均層厚で定義されるCV値が、0.05以上であってもよい。
 態様Bにおいて、熱伝導率をより低減する観点から、積層構造を構成する層の層厚のCV値は、より好ましくは0.10以上である。
 態様Bにおける積層構造を構成する層の層厚のCV値の上限には特に制限はないが、上限は、例えば0.60である。
[0051]
<光干渉層B>
 態様Bに係る光学部材は、層厚が8nm超である光干渉層(以下、「光干渉層B」ともいう)を少なくとも1層備えることが好ましい。これにより、光学部材の光学的機能をより向上させることができる。
 上述したとおり、態様Bにおける積層構造を構成する各層の層厚(最大層厚でも、10nm以下)は、6μm~12μmの波長範囲に対し著しく小さいので、上記波長範囲の赤外光からみると、積層構造は、平均的な屈折率を持つ1層の混合材料膜として捉えられる。
 従って、積層構造から見て、基材側及び/又は基材とは反対側に、光干渉層Bを配置することにより、光学部材の光学的機能をより向上させることができる。例えば、積層構造に、特定の波長に対する反射防止効果を持たせたり、特定の波長に対する増反射効果を持たせることができる。
[0052]
 光干渉層Bの層厚は、8nm超であればよく、特に制限されないが、好ましくは100nm超であり、より好ましくは120nm超である
 光干渉層Bの層厚の上限は、光干渉層の製造適性の観点から、好ましくは100μmである。
[0053]
 光干渉層Bの材質としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び金属フッ化物からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物、Si(単体)、又はGe(単体)が好ましい。
 光干渉層Bの材質としての上記金属化合物における金属元素としては、Si、Al、Nb、Mg、Zr、La、Ti、Y、Ca、Ba、Li、及びNaからなる群から選択される少なくとも1種の元素が好ましい。
[0054]
<最低透過率>
 態様Bに係る光学部材は、6μm~12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上である。
 本明細書において、6μm~12μmの波長範囲における最低透過率とは、6μm~12μmの波長範囲における透過率の最低値を意味する。
 6μm~12μmの波長範囲における最低透過率は、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上である。
 6μm~12μmの波長範囲における最低透過率の上限には特に制限はないが、光学部材の製造適性の観点から、好ましい上限は99%であり、より好ましく上限は90%であり、更に好ましい上限は80%である。
[0055]
<最高反射率>
 態様Bに係る光学部材は、反射防止機能の観点から、6μm~12μmの波長範囲における最高反射率が、40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることが更に好ましい。
 本明細書において、6μm~12μmの波長範囲における最高反射率とは、6μm~12μmの波長範囲における反射率の最高値を意味する。
 6μm~12μmの波長範囲における最高反射率は、0%であってもよいし、0%超であってもよい。
 6μm~12μmの波長範囲における最高反射率の低減は、態様Bに係る光学部材が上述した光干渉層Bを備える場合に、より達成し易い。
[0056]
 以上で説明した態様Bに係る光学部材は、例えば、赤外線ヒーター用の窓材、放射冷却装置用の窓材、太陽光集熱装置の表面部材、等として用いることができる。
実施例
[0057]
 以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
[0058]
〔実施例1〕(態様Aの実施例)
<光学部材(光干渉層無し)の作製>
 基材としてのソーダガラス基板上に、電子サイクロトロンスパッタ装置による気相成膜により、1種目の層(層X)としてのAl 層と、2種目の層(層Y)としてのSiO 層と、を交互に(即ち、基材/層X/層Y/層X/層Y・・・となる配置で。以下同様。)、それぞれ50層ずつ成膜することにより、層の数が100である積層構造を形成した。
 この際、50層のAl 層の成膜時間を全て同一とし、かつ、50層のSiO 層の成膜時間を全て同一とすることにより、100層全てのそれぞれの層厚が3.0nmとなるようにした。
 以上により、実施例1(態様Aの実施例)の光学部材を得た。
[0059]
<層厚測定>
 上記光学部材における積層構造の断面を、FIB(Focused Ion Beam)加工によって形成し、得られた断面について、倍率16万倍のSTEM(Scanning Transmission Electron Microscope)像を取得した。STEMとしては、FEI社製のTitan80-300を用いた。
 取得したSTEM像に基づき、100層それぞれの層厚を測定した。
 得られた100層それぞれの層厚を母集団として、平均層厚及び最大層厚をそれぞれ求めた。
 結果を表4に示す。
[0060]
<熱伝導率の評価>
 実施例1の光学部材の上記積層構造のサーモリフレクタンス信号を取得するために、上記積層構造の最上層の表面に、RF(radio frequency)スパッタリング法により、Al薄膜20nmを成膜した。このAl薄膜の成膜後、周期80MHzのレーザ光を用い、表面加熱/表面検出方式のサーモリフレクタンス法により、実施例1の光学部材の上記積層構造のサーモリフレクタンス信号を取得した。
 同様にして、後述する比較例1の膜(SiO 単層、層厚300nm)のサーモリフレクタンス信号を取得した。
[0061]
 上記で取得した実施例1及び比較例1のサーモリフレクタンス信号を、それぞれ、有限要素法による熱伝導シミュレーションによって再現し、各々のサーモリフレクタンス信号を導出した。ここで、熱伝導シミュレーションは、周期80MHzの加熱を開始してから定常状態になるまでの時間を模擬するために、2000psの間について行った。
 導出したサーモリフレクタンス信号において、最後に加熱するパルスに対し200ps前の値に基づき、実施例1の積層構造の熱伝導率を算出した。熱伝導率の算出条件は、比較例1の膜の熱伝導率とSiO の熱伝導率の文献値1.38W/(m・K)とが一致する条件とした。
[0062]
 表4に、実施例1の光学部材の積層構造の熱伝導率(シミュレーションによる算出結果)を、比較例1の膜(SiO 単層、層厚300nm)の熱伝導率を100とした場合の相対値として示す。
[0063]
<分光特性(透過率及び反射率)>
 実施例1の光学部材について、日立製作所社製分光光度計U-4000を用い、400nm~800nmの波長領域での分光特性(反射スペクトル及び透過スペクトル)を測定した。
[0064]
 図1は、実施例1の光学部材の400nm~800nmの波長領域での反射スペクトルであり、図2は、実施例1の光学部材の400nm~800nmの波長領域での透過スペクトルである。
[0065]
 表4に、400nm~800nmの波長領域での最低透過率及び最高反射率を示す。
[0066]
〔実施例2〕(態様Aの実施例)
<光学部材(光干渉層有り)の形成>
 基材としてのソーダガラス基板上に、表1に示す材質の光干渉層1~9を、RF(Radio Frequency)スパッタリング装置によってこの順に形成した。次に、光干渉層9上に、実施例1で形成した積層構造(100層)を形成した。形成された積層構造上に、表1に示す光干渉層10及び11をこの順に形成した。
 以上により、表1に示す層構成を有する実施例2(態様Aの実施例)の光学部材を得た。
 表1に示す屈折率は、ファイブラボ社製分光エリプソメータMASSを用いて測定された、測定波長540nmにおける屈折率である(後述の表2及び表3も同様である)。
 表1に示す厚さは、実施例1における層厚測定と同様の方法(但し、測定倍率は、測定対象の厚さに合わせ適宜選択した)によって測定された値である(後述の表2及び表3も同様である)。
[0067]
[表1]



[0068]
 得られた光学部材(光干渉層有り)について、実施例1と同様の測定及び評価を実施した。
 結果を表4に示す。
[0069]
 図3は、実施例2の光学部材の400nm~800nmの波長領域での反射スペクトルであり、図4は、実施例2の光学部材の400nm~800nmの波長領域での透過スペクトルである。
[0070]
〔実施例3〕(態様Aの実施例)
<光学部材(光干渉層有り)の形成>
 基材としての合成石英基板上に、表2に示す材質の光干渉層1~6を、RF(Radio Frequency)スパッタリング装置によってこの順に形成した。次に、光干渉層6上に電子サイクロトロンスパッタ装置による気相成膜により、1種目の層(層X)としてのAl 層と、2種目の層(層Y)としてのSiO 層と、を交互に、それぞれ50層ずつ成膜することにより、層の数が100である積層構造を形成した。この際、1層ごとに成膜時間を変化させることにより、1層毎の層厚にバラつきが生じるようにした。形成された積層構造上に、表2に示す光干渉層7及び8をこの順に形成した。
 以上により、表2に示す層構成を有する実施例3(態様Aの実施例)の光学部材を得た。
 実施例3の光学部材の積層構造において、層厚の標準偏差/平均層厚で定義されるCV値は0.13であった。
[0071]
[表2]



[0072]
 得られた光学部材(光干渉層有り)について、実施例1と同様の測定及び評価を実施した。
 結果を表4に示す。
[0073]
 図5は、実施例3の光学部材の400nm~800nmの波長領域での反射スペクトルであり、図6は、実施例3の光学部材の400nm~800nmの波長領域での透過スペクトルである。
[0074]
〔実施例4〕(態様Bの実施例)
<光学部材(光干渉層有り)の形成>
 基材としてのGe(ゲルマニウム)基板上に、光干渉層としてZnS層を、電子ビーム蒸着によって形成した。この光干渉層上に、電子サイクロトロンスパッタ装置による気相成膜により、SiN層とAlN層とをそれぞれ50層ずつ交互に成膜することにより、積層構造を形成した(層数は100)。
 この際、50層のSiN層の成膜時間を全て同一とし、かつ、50層のAlN層の成膜時間を全て同一とすることにより、100層全てのそれぞれの層厚が3nmとなるようにした。
 以上により、表3に示す層構成を有する実施例4(態様Bの実施例)の光学部材(光干渉層有り)を得た。
[0075]
[表3]



[0076]
 得られた光学部材(光干渉層有り)について、分光特性の測定範囲を4μm~15μmの波長範囲に変更し、6μm~12μmの波長範囲での最低透過率及び最高反射率を求めたこと以外は実施例1と同様の測定及び評価を実施した。
 結果を表4に示す。
[0077]
 図7は、実施例4の光学部材の4μm~15μmの波長領域での反射スペクトルであり、図8は、実施例4の光学部材の4μm~15μmの波長領域での透過スペクトルである。
[0078]
〔比較例1〕
 基材としてのソーダガラス基板上に、電子サイクロトロンスパッタ装置による気相成膜により、1層のSiO 層を形成した。
 得られたSiO 層について、実施例1と同様の測定及び評価を実施した。
 結果を表4に示す。
[0079]
 図9は、比較例1の光学部材の400nm~800nmの波長領域での反射スペクトルであり、図10は、比較例1の光学部材の400nm~800nmの波長領域での透過スペクトルである。
[0080]
〔比較例2〕
 基材としてのソーダガラス基板上に、電子サイクロトロンスパッタ装置による気相成膜により、Al 層(層X)とSiO 層(層Y)とを交互に成膜することにより、層の数が7(詳細には、Al 層4層及びSiO 層3層)である積層構造を形成した。この際、1層ごとに成膜時間を変化させることにより、1層毎の層厚にバラつきが生じるようにした。
 得られた積層構造について、実施例1と同様の測定及び評価を実施した。
 結果を表4に示す。
[0081]
 図11は、比較例2の光学部材の400nm~800nmの波長領域での反射スペクトルであり、図12は、比較例2の光学部材の400nm~800nmの波長領域での透過スペクトルである。
[0082]
〔比較例3〕
 基材としてのソーダガラス基板上に、電子サイクロトロンスパッタ装置による気相成膜により、Al 層(層X)とSiO 層(層Y)とを交互に成膜することにより、層の数が25(詳細には、Al 層13層及びSiO 層12層)である積層構造を形成した。この際、1層ごとに成膜時間を変化させることにより、1層毎の層厚にバラつきが生じるようにした。
 得られた積層構造について、実施例1と同様の測定及び評価を実施した。
[0083]
 図13は、比較例3の光学部材の400nm~800nmの波長領域での反射スペクトルであり、図14は、比較例3の光学部材の400nm~800nmの波長領域での透過スペクトルである。
[0084]
 以上の実施例及び比較例の結果を表4に示す。
[0085]
[表4]



[0086]
 表4に示すように、積層構造を構成する層の数が10以上であり、積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下であり、400nm~800nmの波長範囲における最低透過率が10%以上である実施例1~3の光学部材(態様Aの具体例)は、比較例1~3の光学部材と比較して、熱伝導率が低減されていた。また、これら実施例1~3の光学部材では、400nm~800nmの波長範囲における最高反射率が10%以下であり、上記波長範囲において優れた反射防止機能を備えていた。
 実施例1~3の中でも、光干渉層を備える実施例2及び3の光学部材は、より優れた光学的機能を有すること(詳細には、上記波長範囲における最低透過率がより高く、かつ、上記波長範囲における最高反射率がより低いこと)が確認された。
[0087]
 また、積層構造を構成する層の数が10以上であり、積層構造を構成する層の最大層厚が10nm以下であり、6μm~12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上である実施例4の光学部材(態様Bの具体例)も、低い熱伝導率を示した。また、実施例4の光学部材は、6μm~12μmの波長範囲における最高反射率が40%以下であり、上記波長範囲において、優れた反射防止機能を備えていた。
 2017年3月30日に出願された日本国特許出願2017-069168号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
 本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

請求の範囲

[請求項1]
 基材と、
 前記基材上に配置され、材質が異なる2種以上の層からなる積層構造と、
を備え、
 前記積層構造を構成する層の数が10以上であり、前記積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下であり、400nm~800nmの波長範囲又は6μm~12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上である光学部材。
[請求項2]
 前記積層構造を構成する層の数が、100以上である請求項1に記載の光学部材。
[請求項3]
 前記積層構造が、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び金属硫化物からなる群から選択される2種以上の金属化合物からなる請求項1又は請求項2に記載の光学部材。
[請求項4]
 前記2種以上の金属化合物における金属元素が、Si、Al、Nb、Mg、Zr、Ge、及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素である請求項3に記載の光学部材。
[請求項5]
 層厚が8nm超である光干渉層を更に備える請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光学部材。
[請求項6]
 400nm~800nmの波長範囲における最低透過率が10%以上であり、
 400nm~800nmの波長範囲における最高反射率が10%以下である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の光学部材。
[請求項7]
 400nm~800nmの波長範囲における最低透過率が10%以上であり、
 前記材質が異なる2種以上の層は、Al 層とSiO 層との組み合わせを含む請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の光学部材。
[請求項8]
 6μm~12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上であり、
 6μm~12μmの波長範囲における最高反射率が40%以下である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の光学部材。
[請求項9]
 6μm~12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上であり、
 前記材質が異なる2種以上の層は、SiN層とAlN層との組み合わせを含む請求項1~請求項5及び請求項8のいずれか1項に記載の光学部材。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]