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1. (WO2018179973) 位相差フィルムの製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 位相差フィルムの製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

発明の効果

0020  

図面の簡単な説明

0021  

発明を実施するための形態

0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057  

実施例

0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082  

符号の説明

0083  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 位相差フィルムの製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、位相差フィルムの製造方法に関するものである。

背景技術

[0002]
 液晶ディスプレイ等に用いられる位相差フィルムや視野角補償フィルムとして、支持体上に配向層および液晶層が設けられたものが知られている。配向層は、液晶層の液晶化合物を一定方向に並べるための膜であり、配向素子を含む塗膜に配向処理を行って配向規制力が与えられる。
[0003]
 配向処理としては、これまで、ナイロンなどの布を巻いたローラを一定圧力で基板に押し込みながら回転させるラビング方式が広く用いられていた。しかし、基板の摩擦によって微細な粉塵や静電気が生じるという問題があり、近年、偏光を照射して配向規制力を与える光配向方式が用いられるようになっている。配向層上に形成された液晶層中の液晶化合物は、配向層の配向に従って規則正しく配列した状態になる。液晶化合物を均一に配向させることは、液晶ディスプレイの視野角向上、生産性向上のために重要である。そこで、液晶化合物の配向を均一なものとするために種々の検討がなされている。
[0004]
 特許文献1には、光配向工程の前もしくは後、または両方で配向層を加熱処理する方法が記載されている。これにより配向層と液晶層との接着性が改善され、液晶ディスプレイのコントラスト比を向上させることができることが記載されている。
[0005]
 また、特許文献2には、均一に配列された液晶材料を含む位相差層を得るため、透明基板と配向層との間に透明無機物質からなる遮蔽層を設けた位相差フィルムが開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2004-46195号公報
特許文献2 : 特開2007-304375号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 ロールツーロール方式で層が形成される場合、液晶層まで作製された位相差フィルムの両側に透過光を遮断(クロスニコル配置)するように二枚の偏光板を配置させて光学顕微鏡で観察すると、微小に光る点、いわゆる「輝点」が見られる。輝点は、液晶化合物が均一に配向していない箇所、つまり配向欠陥を示すものである。配向欠陥が存在する箇所では、位相差フィルムを所望の複屈折率にすることが困難であり、液晶ディスプレイの品質を低下させることになる。
[0008]
 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、輝点の発生が抑制される位相差フィルムの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 従来の配向層の製造には、例えば、図7に示すように、連続フィルム支持体が送出しロール51から搬送されて、ダイコーター52により配向層形成用材料が塗布され、温調板53とオーブン54によって乾燥した後、硬化前に一旦金属ロール55に巻き取られる工程が存在する。
 本発明者らの鋭意検討の結果、液晶層を形成後に発生する輝点は、巻き取り工程での金属ロール55あるいは搬送中のタッチロールと塗膜とが接して生じる凹凸に起因することを見出し、本発明をなすに至った。
[0010]
 すなわち、本発明の位相差フィルムの製造方法は、
 搬送される連続フィルム支持体上に、液晶化合物に対する配向規制力を備える配向層を形成するための配向層形成用材料を塗布および乾燥して第1の塗膜を形成する工程と、
 第1の塗膜に偏光を照射することにより配向規制力を付与して配向層を形成する工程と、
 配向層上に液晶化合物を含む液晶層形成用材料を塗布および乾燥して第2の塗膜を形成する工程と、
 第2の塗膜中の液晶化合物を配向させ、配向を固定して液晶層を形成する工程と、
を備える位相差フィルムの製造方法であって、
 第1の塗膜を形成する工程の後、配向層を形成する工程の前に、第1の塗膜に押圧力を作用させた状態で、第1の塗膜をヒートロール上で加熱する工程を有するものである。
[0011]
 加熱する工程において、第1の塗膜が形成された連続フィルム支持体は、第1の塗膜とヒートロールとが接した状態で搬送されることが好ましい。
[0012]
 本発明の位相差フィルムの製造方法においては、第1の塗膜が形成された連続フィルム支持体をヒートロールに巻きかけることによって、第1の塗膜に押圧力を作用させてもよい。
[0013]
 本発明の位相差フィルムの製造方法においては、第1の塗膜が形成された連続フィルム支持体を、ヒートロールとニップロールとで挟むことによって、第1の塗膜に押圧力を作用させてもよい。
[0014]
 加熱する工程において、第1の塗膜が形成された連続フィルム支持体は、連続フィルム支持体とヒートロールとが接した状態で搬送され、かつ、第1の塗膜が形成された連続フィルム支持体をヒートロールとニップロールとで挟むことにより第1の塗膜に押圧力を作用させてもよい。
[0015]
 加熱する工程において、第1の塗膜が形成された連続フィルム支持体は、第1の塗膜とヒートロールとが接した状態で搬送される場合、ヒートロールの表面粗さRz(h)は0.8μm以下であることが好ましい。
[0016]
 第1の塗膜が形成された連続フィルム支持体が、連続フィルム支持体とヒートロールとが接した状態で搬送される場合、ニップロールの表面粗さRz(n)は2.0μm以下であることが好ましい。
[0017]
 ここで、表面粗さRzは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜き取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定し、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
[0018]
 本発明の位相差フィルムの製造方法において、加熱する工程は、偏光を塗膜に照射する直前に行うことが好ましい。
[0019]
 押圧力は、線圧で5N/cm以上であることが好ましい。

発明の効果

[0020]
 本発明の位相差フィルムの製造方法によれば、第1の塗膜を形成する工程の後、配向層を形成する工程の前に、第1の塗膜に押圧力を作用させた状態で、第1の塗膜をヒートロール上で加熱する工程を有するものとすることにより、配向層の凹凸を小さくすることができ、輝点を低減することができる。

図面の簡単な説明

[0021]
[図1] 図1は、本発明の位相差フィルムの製造方法の処理フローを示す図である。
[図2] 図2は、本発明の位相差フィルムの製造方法における、第1の塗膜に押圧力を作用させた状態で第1の塗膜を加熱する工程の一例を示す概略断面図である。
[図3] 図3は、本発明の位相差フィルムの製造方法における、第1の塗膜に押圧力を作用させた状態で第1の塗膜を加熱する工程の他の例を示す概略断面図である。
[図4] 図4は、本発明の位相差フィルムの製造方法における、第1の塗膜に押圧力を作用させた状態で第1の塗膜を加熱する工程の他の例を示す概略断面図である。
[図5] 図5は、本発明の位相差フィルムの製造方法における、第1の塗膜に押圧力を作用させた状態で第1の塗膜を加熱する工程の他の例を示す概略断面図である。
[図6] 図6は、本発明の位相差フィルムの製造方法における、配向層を形成する工程の概略図である。
[図7] 図7は、配向層を形成する工程を説明する図である。

発明を実施するための形態

[0022]
 以下、本発明の位相差フィルムの製造方法について図面を参照しながら説明する。
[0023]
 本発明の位相差フィルムの製造方法は、図1に示すように、
 搬送される連続フィルム支持体上に、液晶化合物に対する配向規制力を備える配向層を形成するための配向層形成用材料を塗布および乾燥して第1の塗膜を形成する工程(ST1)
 第1の塗膜に偏光を照射することにより配向規制力を付与して配向層を形成する工程(ST3)、および
 配向層上に液晶化合物を含む液晶層形成用材料を塗布および乾燥して第2の塗膜を形成する工程(ST4)と、
 第2の塗膜中の液晶化合物を配向させ、配向を固定して液晶層を形成する工程(ST5)と、
を備える位相差フィルムの製造方法であって、
 第1の塗膜を形成する工程(ST1)の後、配向層を形成する工程(ST3)の前に、第1の塗膜に押圧力を作用させた状態で、第1の塗膜をヒートロール上で加熱する工程(ST2)を有するものである。
[0024]
(ST2:第1の塗膜に押圧力を作用させた状態で、第1の塗膜をヒートロール上で加熱する工程)
 まず、本発明の特徴的な工程である、第1の塗膜に押圧力を作用させた状態で、第1の塗膜をヒートロール上で加熱する工程(以下、「ST2工程」という)について図を参照しながら説明する。
[0025]
 ST2工程としては、例えば、図2に示すように、第1の塗膜12が形成された連続フィルム支持体11(以下、フィルム10と記載する)を、第1の塗膜12とヒートロール20とが接した状態で、ヒートロール20に巻きかけて搬送し、加熱する形態が挙げられる。フィルム10には搬送張力がかかっているため、ラップ角θを付与した状態で巻きかけることにより、第1の塗膜12に押圧力を作用させた状態とすることができる。
[0026]
 第1の塗膜12に押圧力を作用させた状態で加熱することにより、第1の塗膜12の凹凸を良好に低減することができ、均一な配向状態にすることができる。したがって、配向層の上に形成される液晶層の配列も均一な状態にすることができ、輝点を低減することができる。
[0027]
 ヒートロール20は、温度が50℃~120℃に維持されるように、温度制御手段21によって制御される。温度は、60℃~120℃がさらに好ましい。60℃以上であることによって、第1の塗膜12の凹凸をさらに小さくすることができる。
[0028]
 また、ラップ角θは、30°以上180°以下が好ましく、90°以上180°以下がより好ましい。30°以上であることにより、第1の塗膜12の凹凸を低減するのに充分な押圧力を作用させることができる。
[0029]
 搬送速度は、10m/min以上50m/min以下であることが好ましく、10m/min以上30m/min以下であることがより好ましい。10m/min以上であることにより、生産性を維持することができる。50m/min以下であることにより、ヒートロール上の滞在時間を長く確保することができる。滞在時間を長くすることで、より有効に加熱されるとともに、確実に処理を行うことができる。
[0030]
 なお、ST2工程は、特に制限はないが、第1の塗膜を形成する工程(ST1)の後、配向層を形成する工程(ST3)の前に実施すればよく、偏光を第1の塗膜に照射する直前に行うことがより好ましい。ここで「直前」とは、ST2工程から偏光を第1の塗膜に照射するまでの時間が0~10分のことをいう。
[0031]
 第1の塗膜12がヒートロール20に接する場合は、ヒートロール20の表面粗さRz(h)は2.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.8μm以下である。2.0μm以下であることにより、輝点を良好に低減することができる。
 ヒートロール20の表面にごみ等による凹凸があると輝点の原因となるため、ヒートロール20の搬送上流側に、ヒートロール20の表面を清掃するための装置を備えてもよい。
[0032]
 また、他の例として、図3に示すように、第1の塗膜12が形成された連続フィルム支持体11を、第1の塗膜12とヒートロール20とが接した状態で、かつ、ヒートロール20とニップロール30でフィルム10を挟んで搬送し、加熱してもよい。フィルム10をヒートロール20に巻きかけ、さらにニップロール30で挟むことにより、第1の塗膜12をより平坦にすることができ、凹凸による輝点の発生を低減することができる。
[0033]
 押圧力は、ニップロールで挟まれている場合、線圧で5N/cm以上であることが好ましく、10N/cm以上がより好ましい。5N/cm以上であることにより、ヒートロール20上で第1の塗膜の表面を充分に平滑にすることができる。線圧は、ニップロールの変形が過度にならないようにするために、50N/cm以下が好ましい。
[0034]
 上記一例では、ヒートロール20に巻きかけて第1の塗膜12に押圧力を作用させた状態としたが、さらに他の例として、図4に示すように、フィルム10をヒートロールに巻きかけず、ニップロール30で挟んで、第1の塗膜12に押圧力が作用した状態にしてもよい。
[0035]
 上記では、第1の塗膜12がヒートロール20に接する形態について説明したが、連続フィルム支持体11がヒートロール20に接してもよい。例えば、図5に示すように、フィルム10を、連続フィルム支持体11とヒートロール20とが接するようにヒートロール20に巻きかけ、かつ、フィルム10をヒートロール20とニップロール30とで挟むことにより、第1の塗膜12に押圧力を作用させてもよい。
 あるいは、フィルム10をヒートロール20にまきかけないでヒートロール20とニップロール30とで挟むことにより第1の塗膜12に押圧力を作用させてもよい。
[0036]
 連続フィルム支持体11とヒートロール20とが接する場合、第1の塗膜12はニップロール30と接触するため、ニップロール30の表面粗さRz(n)は2.0μm以下であることが好ましく、0.8μm以下がより好ましい。2.0μm以下であることにより、配向層の凹凸を低減することができ、輝点を良好に低減することができる。
 また、ヒートロールの加熱手段は蒸気式、ガス式、熱媒循環式、低周波誘導加熱方式など方式は問わない。また、支持体温度を高い状態に保ちつつ押圧すればよいことから、加熱された処理室内で押圧してもよい。さらにヒートロールに加えて、予熱ヒーターと保温ロールとの組み合わせなどを用いてもよい。
[0037]
 以下、加熱する工程(ST2)以外の工程について工程順に説明する。
[0038]
(ST1:第1の塗膜を形成する工程)
 搬送方向に搬送される連続フィルム支持体上に、液晶化合物に対する配向規制力を備える配向層を形成するための配向層形成用材料を塗布および乾燥する。
 以下、各構成要素の詳細を説明する。
[0039]
-連続フィルム支持体-
 連続フィルム支持体としては、バックアップロールに巻きかけることが可能なポリマーフィルムを用いることが好ましい。支持体として用いられるポリマーフィルムの材料の例には、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、ポリオレフィン、脂環式構造を有するポリマー(ノルボルネン系樹脂(商品名「アートン(登録商標)」、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(商品名「ゼオネックス(登録商標)」、日本ゼオン社製))、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート(PET)、脂環式構造を有するポリマーが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
[0040]
 支持体の膜厚としては、5μm~1000μm程度であればよく、好ましくは10μm~250μmであり、より好ましくは15μm~90μmである。
[0041]
-配向層形成用材料-
 光配向に用いられる配向層形成用材料としては、例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-76839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-94071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002-265541号公報、特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/またはアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、またはエステル、特開平9-118717号公報、特表平10-506420号公報、特表2003-505561号公報、WO2010/150748号、特開2013-177561号公報、特開2014-12823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物、クマリン化合物が挙げられる。特に好ましい例としては、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、エステル、シンナメート化合物、カルコン化合物が挙げられる。
[0042]
-塗布方法-
 配向層形成用材料を塗布する際の方法としてはカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の方法が挙げられる。
[0043]
-乾燥工程-
 乾燥は、オーブン、温風、IRヒーター等によって、30℃~140℃で、10秒~10分間程度行うことが好ましい。また、温風乾燥においては支持体側から温風をあてる構成でもよく、温風が塗膜を流動させないように拡散板を設置した構成としてもよい。
[0044]
(ST3:配向層を形成する工程)
 偏光を照射して配向層を形成する工程(ST3)について説明する。
 第1の塗膜に偏光を照射することにより配向規制力を付与して配向層を形成する工程である。配向規制力を付与する工程とは、配向層形成用材料に光反応を生じさせるための操作である。
 偏光を照射して配向層を形成する工程として、例えば、図6に示すように、連続フィルム支持体11上に第1の塗膜12が形成されたフィルム10をY方向に搬送しながら、フィルム10上に、光配向装置からの偏光を照射する形態が挙げられる。光配向装置は、棒状光源40と棒状光源からの光をフィルム10方向へ反射する凹面反射鏡41と、棒状光源40の長手方向(図中X方向)に配列された複数の平行板42からなるルーバー43と、ルーバー43によって平行光化された光を直線偏光するワイヤーグリッド偏光子44とから構成される。そして、ワイヤーグリッド偏光子44から発せられる偏光が第1の塗膜12に照射される。
[0045]
 棒状光源40として、通常使われる光源、例えばタングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザー)、発光ダイオード、陰極線管などを挙げることができる。偏光のピーク波長は、200nm~400nmが好ましい。
[0046]
 光配向では、上記のような非接触の光照射によって光配向材料を配向させるため、ラビングのような不均一な物理的凹凸形状が発生しにくい。そのため、光配向によって配向規制力を付与された配向層を利用して作製した光学フィルムを用いた液晶表示装置では光漏れが低減され、高コントラストが実現できる。
[0047]
(ST4:第2の塗膜を形成する工程)
 配向層上に液晶化合物を含む液晶層形成用材料を塗布および乾燥して第2の塗膜を形成する。液晶層形成用材料の塗布および乾燥は、上記配向層形成用材料の塗布および乾燥と同様の方法を用いることができ、その詳細な説明は省略する。
[0048]
-液晶層形成用材料-
 液晶層形成用材料は、棒状液晶化合物もしくは円盤状液晶化合物および少なくともキラル剤を含有し、さらに、配向制御剤、重合開始剤および配向助剤などのその他の成分を含有していてもよい。
[0049]
--棒状液晶化合物--
 棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
[0050]
 棒状液晶化合物を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶化合物としては、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号公報、同5622648号公報、同5770107号公報、WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1-272551号公報、同6-16616号公報、同7-110469号公報、同11-80081号公報、および特願2001-64627号などに記載の化合物を用いることができる。さらに棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報や特開2007-279688号公報に記載のものも好ましく用いることができる。
[0051]
--円盤状液晶化合物--
 円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報や特開2010-244038号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
[0052]
(ST5:液晶層の形成)
 第2の塗膜中の液晶化合物を配向させ、配向を固定して液晶層を形成する。
[0053]
-液晶化合物の配向-
 液晶層形成用材料の配向固定(硬化)の前には、第2の塗膜の液晶化合物の配向処理を行う。配向処理は、室温等により乾燥させる、または加熱することにより行うことができる。配向処理で形成される液晶層は、サーモトロピック性液晶化合物の場合、一般に温度または圧力の変化により転移させることができる。リオトロピック性をもつ液晶化合物の場合には、溶媒量等の組成比によっても転移させることができる。
[0054]
 棒状液晶化合物がスメクチック相を発現する場合、ネマチック相を発現する温度領域の方が、棒状液晶化合物がスメクチック相を発現する温度領域よりも高いことが普通である。従って、棒状液晶化合物がネマチック相を発現する温度領域まで棒状液晶化合物を加熱し、次に、加熱温度を棒状液晶化合物がスメクチック相を発現する温度領域まで低下させることにより、棒状液晶化合物をネマチック相からスメクチック相に転移させることができる。このような方法を用いてスメクチック相とすることで、液晶化合物が高秩序度で配向した液晶層を提供することができる。
[0055]
 棒状液晶化合物がネマチック相を発現する温度領域では、棒状液晶化合物がモノドメインを形成するまで一定時間加熱することが好ましい。加熱時間は、10秒間~5分間が好ましく、10秒間~3分間がさらに好ましく、10秒間~2分間が最も好ましい。
 棒状液晶化合物がスメクチック相を発現する温度領域では、棒状液晶化合物がスメクチック相を発現するまで一定時間加熱することが好ましい。加熱時間は、10秒間~5分間が好ましく、10秒間~3分間がさらに好ましく、10秒間~2分間が最も好ましい。
[0056]
-配向の固定-
 第2の塗膜中の液晶化合物の配向を固定して液晶層を形成する。
 配向の固定は、熱重合や活性エネルギー線による重合で行うことができ、その重合に適した重合性基や重合開始剤を適宜選択することで行うことができる。製造適性等を考慮すると紫外線照射による重合反応を好ましく用いることができる。紫外線の照射量が少ないと、未重合の重合性棒状液晶化合物が残存し、光学特性の温度変化や、経時劣化の起きる原因となる。
 そのため、残存する重合性棒状液晶化合物の割合が5%以下になる様に照射条件を決めることが好ましい。その照射条件は液晶層形成用材料の処方や第2の塗膜の厚さにもよるが、目安として紫外線照射量は、50~1000mJ/cm が好ましく、100~500mJ/cm がより好ましい。
[0057]
 光照射に用いる光源は、通常使われる光源、例えばタングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザー)、発光ダイオード、陰極線管などを挙げることができる。
 その他、液晶層の詳細は、特開2008-225281号公報や特開2008-026730号公報の記載を参酌できる。
実施例
[0058]
 以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されない。
[0059]
[実施例1]
(ST1:第1の塗膜の形成)
 セルローストリアセテートフィルムTD80UL(富士フイルム(株)製)の支持体表面をアルカリ鹸化処理した。具体的には、55℃の1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に支持体を2分間浸漬した後、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃の0.1規定の硫酸を用いて中和した。中和した後、室温の水洗浴槽中で洗浄し、更に100℃の温風で乾燥した。
 次に、支持体表面に、下記の組成の配向層形成用材料をワイヤーバーで塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、第1の塗膜を形成した。
[0060]
-配向層形成用材料の調製-
 光配向用素材P-1:1.0質量部
 ブトキシエタノール:33質量部
 プロピレングリコールモノメチルエーテル:33質量部
 水:33質量部
[0061]
[化1]


[0062]
(ST2:加熱する工程)
 図3に示すように、第1の塗膜12が形成された連続フィルム支持体11(フィルム10)をヒートロール20に巻きかけ、第1の塗膜12とヒートロール20とが接するように、ヒートロール20とニップロール30で挟んで搬送し、第1の塗膜を加熱した。ヒートロール20は、温度制御手段21によって温度が60℃に維持されていた。ヒートロール、ニップロール、および搬送条件の詳細を以下に示す。
 ヒートロール:直径:200mm、材質SUS、表面粗さRz:0.8μm
 ニップロール:直径:100mm、材質合成ゴム、表面粗さRz:2.0μm
 ラップ角:90°
 搬送速度:30m/min
 ラップ時間:0.31sec
 線圧:10N/cm
[0063]
(ST3:配向層を形成する工程)
 次に、第1の塗膜上に直線偏光を照射して、光配向処理を行った。
 このとき、ワイヤーグリッド偏光子(Moxtek社製, ProFlux PPL02)を第1の塗膜の面と平行に、かつ、ワイヤーグリッド偏光子の透過軸と配向層の吸収軸が平行になるようにセットして露光し、光配向処理を行った。この際用いる紫外線の照度はUV(ultra-violet)-A領域(波長380nm~320nmの積算)において100mW/cm 、照射量はUV-A領域において1000mJ/cm とした。
[0064]
(ST4,ST5:第2の塗膜の形成,液晶層の形成)
 続いて、下記の液晶層形成用材料を調製した。
[0065]
-液晶層形成用材料の調製-
 逆波長分散液晶性化合物R-3:100質量部
 光重合開始剤:3.0質量部
 (イルガキュア819、BASF(株)製)
 含フッ素化合物A:0.8質量部
 架橋性ポリマーO-2:0.3質量部
 クロロホルム:588質量部
[0066]
[化2]


[0067]
[化3]


[0068]
[化4]


[0069]
 配向層上に液晶層形成用材料を、バーコーターを用いて塗布した。膜面温度100℃で60秒間加熱熟成し、70℃まで冷却した。その後、空気下にて空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて1000mJ/cm の紫外線を照射して、その配向状態を固定化することにより液晶層を形成した。形成された液晶層は、偏光照射方向に対し遅相軸方向が直交(すなわち、偏光板の吸収軸とも直交)であった(逆波長分散液晶性化合物が偏光照射方向に対して直交に配向していた)。自動複屈折率計(KOBRA-21ADH、王子計測機器(株)製)を用いて、Reの光入射角度依存性および光軸のチルト角を測定したところ、波長550nmにおいてReが130nm、Rthが65nm、Re(450)/Re(550)が0.83、Re(650)/Re(550)が1.05、光軸のチルト角は0°で、逆波長分散液晶性化合物はホモジニアス配向であった。
[0070]
[実施例2]
 ニップロールを使用しなかった以外は、実施例1と同様に位相差フィルムを作製した。
[0071]
[実施例3]
 連続フィルム支持体11がヒートロール20に接するようにし、第1の塗膜が接するニップロールの表面粗さRzを2.0μmにした以外は、実施例1と同様に位相差フィルムを作製した。
[0072]
[実施例4]
 ヒートロール20の温度を50℃にした以外は、実施例1と同様に位相差フィルムを作製した。
[0073]
[実施例5]
 搬送速度を50m/minにし、ラップ時間を0.19secにした以外は、実施例1と同様に位相差フィルムを作製した。
[0074]
[実施例6]
 ニップロールを用いなかった以外は、実施例5と同様に位相差フィルムを作製した。
[0075]
[実施例7]
 搬送速度を30m/minにし、ラップ時間を0.10secにした以外は、実施例6と同様に位相差フィルムを作製した。
[0076]
[実施例8]
 線圧を5N/cmにした以外は、実施例1と同様に位相差フィルムを作製した。
[0077]
[比較例1]
 連続フィルム支持体11側をヒートロール20に接するようにし、第1の塗膜が接するニップロールを使用しなかった以外には、実施例1と同様に位相差フィルムを作製した。
[0078]
[比較例2]
 搬送速度30m/minとし、ヒートロール20に巻き掛けず、加熱も行わなかった。
[0079]
[輝点評価方法]
 作製した位相差フィルムの両側に透過光を遮断(クロスニコル配置)するように2枚の偏光板を配置した後、片側から光を照射し、反対側から光学顕微鏡(100倍)で観察して輝点の数を測定した。
[0080]
(評価基準)
 A:5個/mm 以下
 B:5個/mm より多く40個/mm 以下
 C:40個/mm より多く60個/mm 以下
 D:61個/mm 以上
[0081]
[表1]


[0082]
 表1に示すように、本発明の位相差フィルムは、第1の塗膜12に押圧力が作用していない比較例1および加熱しない比較例2に比べ、良好に輝点が低減されている。
 第1の塗膜12とヒートロール20が接し、かつニップロールでフィルム10を挟んだ実施例1、搬送張力のみで押圧力を作用させて加熱をした実施例2、および第1の塗膜12がニップロール30側にして加熱した実施例3から、第1の塗膜12がヒートロール20側に配置され、かつ、ニップロール30で挟まれた方がより好ましいことがわかる。
 また、実施例1および実施例4から、ヒートロール20はより高い温度が好ましいことがわかる。
 また、実施例5、実施例6、および実施例7からラップ時間はより長い方が好ましいことがわかる。
 また、実施例1および実施例8から、線圧は高い方が好ましいことがわかる。

符号の説明

[0083]
 10 フィルム
 11 連続フィルム支持体
 12 第1の塗膜
 20 ヒートロール
 21 温度制御手段
 30 ニップロール
 40 棒状光源
 41 凹面反射鏡
 42 平行板
 43 ルーバー
 44 ワイヤーグリッド偏光子
 51 送出しロール
 52 ダイコーター
 53 温調板
 54 乾燥機
 55 巻き取りロール
 θ  ラップ角

請求の範囲

[請求項1]
 搬送される連続フィルム支持体上に、液晶化合物に対する配向規制力を備える配向層を形成するための配向層形成用材料を塗布および乾燥して第1の塗膜を形成する工程と、
 前記第1の塗膜に偏光を照射することにより前記配向規制力を付与して前記配向層を形成する工程と、
 前記配向層上に前記液晶化合物を含む液晶層形成用材料を塗布および乾燥して第2の塗膜を形成する工程と、
 前記第2の塗膜中の前記液晶化合物を配向させ、該配向を固定して液晶層を形成する工程と、
を備える位相差フィルムの製造方法であって、
 前記第1の塗膜を形成する工程の後、前記配向層を形成する工程の前に、前記第1の塗膜に押圧力を作用させた状態で、前記第1の塗膜をヒートロール上で加熱する工程を有する位相差フィルムの製造方法。
[請求項2]
 前記加熱する工程において、前記第1の塗膜が形成された前記連続フィルム支持体が、前記第1の塗膜と前記ヒートロールとが接した状態で搬送される請求項1記載の位相差フィルムの製造方法。
[請求項3]
 前記第1の塗膜が形成された前記連続フィルム支持体を前記ヒートロールに巻きかけることによって、前記第1の塗膜に押圧力を作用させる請求項2記載の位相差フィルムの製造方法。
[請求項4]
 前記第1の塗膜が形成された前記連続フィルム支持体を、前記ヒートロールとニップロールとで挟むことによって、前記第1の塗膜に押圧力を作用させる請求項2または3記載の位相差フィルムの製造方法。
[請求項5]
 前記加熱する工程において、前記第1の塗膜が形成された前記連続フィルム支持体が、前記連続フィルム支持体と前記ヒートロールとが接した状態で搬送され、かつ、前記第1の塗膜が形成された前記連続フィルム支持体を前記ヒートロールとニップロールとで挟むことにより前記第1の塗膜に押圧力を作用させる請求項1記載の位相差フィルムの製造方法。
[請求項6]
 前記ヒートロールの表面粗さRz(h)が0.8μm以下である請求項2から4いずれか1項記載の位相差フィルムの製造方法。
[請求項7]
 前記ニップロールの表面粗さRz(n)が2.0μm以下である請求項5記載の位相差フィルムの製造方法。
[請求項8]
 前記加熱する工程を、前記偏光を前記第1の塗膜に照射する直前に行う請求項1から7いずれか1項記載の位相差フィルムの製造方法。
[請求項9]
 前記押圧力が線圧で5N/cm以上である請求項4または5記載の位相差フィルムの製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]