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1. (WO2018179545) 熱電変換モジュール
Document

明 細 書

発明の名称 熱電変換モジュール

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093  

実施例

0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105  

産業上の利用可能性

0106  

符号の説明

0107  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 熱電変換モジュール

技術分野

[0001]
 本発明は、熱電変換モジュールに関する。

背景技術

[0002]
 従来から、熱電変換を利用したエネルギー変換技術として、熱電発電技術及びペルチェ冷却技術が知られている。熱電発電技術は、ゼーベック効果による熱エネルギーから電気エネルギーへの変換を利用した技術であり、この技術は、特にビル、工場等で使用される化石燃料資源等から発生する未利用の廃熱エネルギーを電気エネルギーとして、しかも動作コストを掛ける必要なく、回収できる省エネルギー技術として大きな脚光を浴びている。これに対し、ペルチェ冷却技術は、熱電発電の逆で、ペルチェ効果による電気エネルギーから熱エネルギーへの変換を利用した技術であり、この技術は、例えば、ワインクーラー、小型で携帯が可能な冷蔵庫、またコンピュータ等に用いられるCPU用の冷却、さらに光通信の半導体レーザー発振器の温度制御等の精密な温度制御が必要な部品や装置に用いられている。
[0003]
 このような熱電変換を利用した熱電変換モジュールにおいては、高温多湿等、設置場所の環境条件によっては、熱電素子層の熱電性能が低下、及び金属電極の抵抗が増加し、長期間の使用に耐えないという問題がある。
 特許文献1では、P型材料からなる薄膜のP型熱電素子とN型材料からなる薄膜のN型熱電素子とで構成された熱電変換モジュールの両面に、2種類以上の熱伝導率の異なる材料で構成された柔軟性を有するフィルム状基板を設け、熱伝導率の高い材料が前記基板の外面の一部分に位置するように構成した熱電変換素子が開示されている。また、特許文献2では、熱電変換装置の構成において、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンのうちの少なくとも1種の合成樹脂からなる枠体を使用することが開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2006-186255号公報
特許文献2 : 特開平10-12934号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、特許文献1は、そもそも、熱電素子の電極間又は接合部間に効率良く温度差を付与する構成が開示されているに過ぎず、柔軟性を有するフィルム状基板が熱電素子上に直接接する構成を有しているものの、熱電素子に対する被覆層としての使用に関しては記載や示唆がなく、また、熱電変換素子としての耐久性等の検討がなされていない。
 特許文献2には、前記枠体について、段落[0032]に、水蒸気透過率の高い枠体を使用すると、特に吸熱側(低温側)において電極表面などに結露が生じ、それが原因でショート、電極の腐食、熱抵抗の増加などを引き起こすことになり、そのため枠体の材料として水蒸気透過率の低いものを選定している旨の記載がされているものの、該枠体は熱電変換素子(熱電素子層)と直接接することもなく、上下面にも配置されないものであり、熱電変換モジュールの熱電素子層と直接接する大気中の水蒸気を抑制することはできない。さらに、特許文献1と同様、熱電変換素子としての耐久性等の検討がなされていない。
[0006]
 本発明は、上記問題を鑑み、耐久性に優れた熱電変換モジュールを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱電素子層の少なくとも一方の面に被覆層としての金属、無機化合物、及び高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上を主成分とするガスバリア層を積層することにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
 すなわち、本発明は、以下の(1)~(9)を提供するものである。
(1)熱電素子層の少なくとも一方の面に被覆層を含む熱電変換モジュールであって、前記被覆層が、金属、無機化合物、及び高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上を主成分とするガスバリア層を有する、熱電変換モジュール。
(2)前記熱電素子層の一方の面に被覆層を含み、他方の面に基板を有する、上記(1)に記載の熱電変換モジュール。
(3)前記基板の、前記熱電素子層が存在する側とは反対側の面に、さらに前記被覆層を含む、上記(2)に記載の熱電変換モジュール。
(4)前記基板がフィルム基板である、上記(2)又は(3)に記載の熱電変換モジュール。
(5)前記熱電素子層が、P型熱電素子層とN型熱電素子層とを含み、前記P型熱電素子層と前記N型熱電素子層とが面内方向に交互に隣接し直列に配置される、上記(1)~(4)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(6)前記熱電変換モジュールが、少なくとも前記被覆層の一つの表面又は前記基板の前記熱電素子層が存在する側とは反対側の表面にさらに高熱伝導層を有し、該高熱伝導層の熱伝導率が5~500W/(m・K)である、上記(1)~(5)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(7)前記被覆層の厚さが、100μm以下である、上記(1)~(6)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(8)前記高分子化合物が、ハロゲン原子を含む樹脂であり、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、又はテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体である、上記(1)~(7)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(9)前記高分子化合物が、ポリシラザン系化合物、ポリカルボシラン系化合物、ポリシラン系化合物、又はポリオルガノシロキサン系化合物である、上記(1)~(8)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。

発明の効果

[0008]
 本発明によれば、耐久性に優れた熱電変換モジュールを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 本発明の熱電変換モジュールの実施態様の一例を示す断面図である。
[図2] 本発明の熱電変換モジュールの他の実施態様を示す断面図である。
[図3] 本発明の実施例に用いた熱電変換モジュールの一部を構成する基板上の電極及び熱電素子の配置の一例を示す平面図である。

発明を実施するための形態

[0010]
[熱電変換モジュール]
 本発明の熱電変換モジュールは、熱電素子層の少なくとも一方の面に被覆層を含む熱電変換モジュールであって、前記被覆層が、金属、無機化合物、及び高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上を主成分とするガスバリア層を有する、熱電変換モジュールである。
 被覆層として、上記主成分を含むガスバリア層を熱電素子層の少なくとも一方の面に配置することにより、大気中の水蒸気の透過を効果的に抑制(以下、「ガスバリア性」ということがある。)し、熱電モジュールの性能を長期間にわたり維持することができる。
[0011]
 本発明の熱電変換モジュールを、図面を使用して説明する。
[0012]
 図1は、本発明の熱電変換モジュールの実施態様の一例を示す断面図であり、(a)の熱電変換モジュール1Aは、P型熱電素子層5とN型熱電素子層4とが面内方向に交互に隣接して直列に配置されてなる熱電素子層6の一方の面に被覆層7aを含む。また、(b)の熱電変換モジュール1Bは、電極3を有する基板2の一方の面上に、(a)の構成を含む。さらに、(c)の熱電変換モジュール1Cは、(b)の構成において、基板2の、熱電素子層6とは反対側の面に被覆層7bを含む。
 同様に図2は、本発明の熱電変換モジュールの他の実施態様を示す断面図である。熱電変換モジュール1Dは、図1の(c)の構成において、被覆層7a、7bの表面の面内方向にさらに高熱伝導層8a、8bを含む。本発明の熱電変換モジュールは、狭い空間にも設置することが容易であるという観点や、折り曲げることにより曲面上に設置することが容易となる観点から、シート形状であることが好ましい。
[0013]
<被覆層>
 本発明の熱電変換モジュールは、被覆層を含む。本発明に用いる被覆層は、大気中の水蒸気の透過を効果的に抑制するために用いられ、ガスバリア層を有する。
[0014]
 被覆層は、大気中の水蒸気の透過を抑制するために、熱電素子層の少なくとも一方の面に積層される。熱電素子層に積層することにより、大気中の水蒸気の透過を抑制できる。
 図1で示したように、熱電変換モジュールの熱電素子層の一方の面に被覆層を含み、他方の面に基板を有することが好ましい。熱電変換モジュールが基板を有する場合、後述するとおり、熱電素子層の両面に基板を有するのではなく、一方の面にのみ基板を有することが好ましい。基板は通常は一定の水蒸気遮断性を有しているため、熱電素子層の基板が存在する面は、基板により水蒸気の侵入から保護されている。一方、熱電素子層の基板が存在しない面においては、このような保護効果がないため、被覆層を設けることにより、熱電素子層の両面を水蒸気の侵入から保護することが可能となる。また、前記基板の、前記熱電素子層が存在する側とは反対側の面に、さらに前記被覆層を含むことがより好ましい。これにより、基板の水蒸気遮断性に加えて、熱電素子層への水蒸気の侵入をさらにより効果的に抑制することができる。
 なお、本発明に用いる被覆層の熱電素子層の面への配置は、特に限定されないが、用いる熱電素子層、例えば、P型熱電素子層とN型熱電素子層の配置にしたがって、適宜調整することが好ましい。被覆層が熱電素子層の面上に直接接するように配置することが好ましく、また、被覆層が熱電素子層をすべて覆うように配置することが好ましい。被覆層の、熱電素子層の面への配置を上記のようにすると、大気中の水蒸気の透過を効果的に抑制でき、熱電モジュールの性能を長期間にわたり維持することができる。
 なお、本発明に用いる被覆層には、ガスバリア層以外の層を用いてもよい。
[0015]
〈ガスバリア層〉
 本発明に用いるガスバリア層は、金属、無機化合物、及び高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上を主成分とする。ガスバリア層によって、熱電変換モジュールの耐久性を向上させることができる。
 ガスバリア層は、熱電素子層上に直接積層されていてもよいし、基材上に上記主成分を含む層から構成され、その基材付きガスバリア層のいずれかの面が熱電素子層上に直接積層されてもよいし、後述する封止層等を介し積層されていてもよい。
[0016]
 金属としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、金、銀、銅、白金、ロジウム、クロム、ニッケル、パラジウム、モリブデン、ステンレス鋼及び錫等が挙げられる。水蒸気遮断性向上の観点から、これらを均一な膜として用いることが好ましい。これらの中で、生産性、コスト、ガスバリア性や耐食性の観点から、アルミニウム、ニッケルが好ましい。また、これらは1種単独で、あるいは合金を含め、2種以上を組み合わせて用いることができる。前記均一な膜は、抵抗加熱蒸着法、イオンプレーティング法等の
蒸着法を用いてもよいし、蒸着法以外のDC2極スパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法等のスパッタリング法を用いて形成してもよい。また、プラズマCVD法等の化学的気相法で成膜してもよい。
[0017]
 無機化合物としては、無機酸化物(MO )、無機窒化物(MN )、無機炭化物(MC )、無機酸化炭化物(MO )、無機窒化炭化物(MN )、無機酸化窒化物(MO )、及び無機酸化窒化炭化物(MO )等が挙げられる。ここで、x、y、zは、各化合物の組成比を表す。前記Mとしては、珪素、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、カルシウム、ジルコニウム、チタン、ホウ素、ハフニウム、又はバリウム等の金属元素が挙げられる。Mは1種単独でもよいし2種以上の元素であってもよい。各無機化合物は、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム等の窒化物;炭化珪素等の炭化物;硫化物;等を挙げることができる。また、これらの無機化合物から選ばれた2種以上の複合体(酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物、酸化窒化炭化物)であってもよい。また、SiOZnのように金属元素を2種以上含む複合体(酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物、酸化窒化炭化物も含む)であってもよい。
 Mとしては、珪素、アルミニウム、チタン等の金属元素が好ましい。特にMが珪素の酸化珪素からなる無機層は、高いガスバリア性を有し、また、窒化珪素からなる無機層はさらに高いガスバリア性を有する。特に酸化珪素と窒化珪素の複合体(無機酸化窒化物(MO ))であることが好ましく、窒化珪素の含有量が多いとガスバリア性が向上する。
 これらは、金属と同様、均一な膜として用いることが好ましく、真空蒸着法、DC2極スパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法等のスパッタリング法等の物理的気相法で形成することができ、またプラズマCVD法等の化学的気相法で成膜したものでもよい。
[0018]
 高分子化合物としては、厚さ100μmで測定した40℃×90%RHでの水蒸気透過率が、2g・m -2・day -1以下である高分子化合物が挙げられる。高分子化合物の、厚さ100μmで測定した40℃×90%RHでの水蒸気透過率は、1g・m -2・day -1以下であることが好ましい。前記水蒸気透過率を満たす高分子化合物としては、含ハロゲン樹脂が好ましく、含ハロゲン樹脂としては、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が好ましい。この中で、厚さ100μmで測定した40℃×90%RHでの水蒸気透過率が、0.5g・m -2・day -1以下である、ポリクロロテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体がより好ましい。水蒸気透過率が、上記の範囲であれば、大気中の水蒸気の透過を効果的に抑制できる。
[0019]
 また、高分子化合物としては、ポリオルガノシロキサン、ポリシラザン系化合物等の珪素含有高分子化合物、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル等が挙げられる。これらの高分子化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
 これらの中でも、ガスバリア性を有する高分子化合物としては、珪素含有高分子化合物が好ましい。珪素含有高分子化合物としては、ポリシラザン系化合物、ポリカルボシラン系化合物、ポリシラン系化合物、及びポリオルガノシロキサン系化合物等が好ましい。これらの中でも、優れたガスバリア性を有するバリア層を形成できる観点から、ポリシラザン系化合物がより好ましい。
[0020]
 また、無機化合物の膜、または珪素含有高分子化合物を含む層に改質処理を施して形成された酸素、窒素、珪素を主構成原子として有する層からなる酸窒化珪素層が、層間密着性、ガスバリア性、及び屈曲性を有する観点から、好ましく用いられる。
 ガスバリア層は、例えば、珪素含有高分子化合物含有層に、プラズマイオン注入処理、加速型イオン注入処理、プラズマ処理、真空紫外光照射処理、熱処理等を施すことにより形成できる。イオン注入処理により注入されるイオンとしては、水素、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、及びクリプトン等が挙げられる。
 プラズマイオン注入処理の具体的な処理方法としては、外部電界を用いて発生させたプラズマ中に存在するイオンを、珪素含有高分子化合物含有層に対して注入する方法、または、外部電界を用いることなく、ガスバリア層形成用材料からなる層に印加する負の高電圧パルスによる電界のみで発生させたプラズマ中に存在するイオンを、珪素含有高分子化合物含有層に注入する方法が挙げられる。
 プラズマ処理は、珪素含有高分子化合物含有層をプラズマ中に晒して、珪素含有高分子化合物含有層を改質する方法である。例えば、特開2012-106421号公報に記載の方法に従って、プラズマ処理を行うことができる。真空紫外光照射処理は、珪素含有高分子化合物含有層に真空紫外光を照射して珪素含有高分子含有層を改質する方法である。例えば、特開2013-226757号公報に記載の方法に従って、真空紫外光照射改質処理を行うことができる。
 これらの中でも、珪素含有高分子化合物含有層の表面を荒らすことなく、その内部まで効率よく改質し、よりガスバリア性に優れるガスバリア層を形成できることから、イオン注入処理が好ましい。
[0021]
 金属、無機化合物及び高分子化合物を含む層の厚さは、用いる化合物等で異なるが、通常、0.01~50μm、好ましくは0.03~10μm、より好ましくは0.05~0.8μm、さらに好ましくは0.10~0.6μmである。金属、無機化合物及び樹脂を含む厚さが、この範囲であれば、ガスバリア層の水蒸気透過率の抑止効果の調整がより容易となる。
[0022]
 ガスバリア層のJIS K7129:2008で規定される40℃×90%RHにおける水蒸気透過率が、好ましくは10g・m -2・day -1以下であり、より好ましくは5g・m -2・day -1以下、さらに好ましくは1g・m -2・day -1以下である。水蒸気透過率がこの範囲にあると、熱電素子層への水蒸気の透過がいっそう抑制されるため好ましい。
[0023]
 ガスバリア層は、1層であっても2層以上積層されていてもよい。また、2層以上積層される場合は、それらが同じであっても異なっていてもよい。
[0024]
〈基材〉
 後述する熱電変換モジュールの製造方法において説明するように、ガスバリア層を容易に得る手段として、基材上にガスバリア層の材料を蒸着やスパッタにより堆積させる方法や、基材上にガスバリア層の材料を含む組成物を塗工した後、乾燥や硬化により塗膜を固体化する方法を用いることができる。この場合には、得られた基材付きガスバリア層をそのまま被覆層を構成する層として用いることができる。
[0025]
 前記基材としては、屈曲性を有するものが用いられる。例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体等が挙げられる。これらの中で、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート等が挙げられる。また、シクロオレフィン系ポリマーとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。このような基材の中で、コスト、耐熱性の観点から、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
[0026]
 基材の厚さは、5~75μmであることが好ましく、より好ましくは8~50μm、さらに好ましくは10~35μmである。基材の厚さがこの範囲にあると、被覆層を後述する厚さに調整し易い。
[0027]
〈封止層〉
 本発明の熱電変換モジュールは、被覆層としてさらに封止層を含んでいてもよい。封止層の使用は、被覆層による大気中の水蒸気の透過を抑制する効果をさらに高めることができる。
[0028]
 本発明に用いる封止層の配置は、特に限定されないが、封止層に接着性のものを用い、ガスバリア層を熱電素子層上に貼り合せることにより、ガスバリア層の形成を容易にする観点から、熱電素子層とガスバリア層との間に配置することが好ましい。また、封止層が熱電素子層の面上に直接接するように配置することが好ましい。熱電素子層と、封止層とが直接接することにより、熱電素子層と封止層との間に大気中の水蒸気を透過しやすい材料が存在しないため、熱電素子層の水蒸気への侵入が抑制され、封止層による封止性が向上する。
[0029]
 本発明に用いる封止層は、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂等を含有する組成物からなる層を用いることができ、ポリオレフィンを含む組成物からなる層であることが好ましい。
 また、封止層を形成するための組成物(以下、「封止剤組成物」ということがある。)は、接着性の組成物であることが好ましい。封止剤組成物の接着性は、粘着性(感圧接着性)であってもよいし、熱溶融や熱による軟化によって接着可能であることであってもよい。また、熱硬化等の硬化により接着性が強化されるものであってもよい。接着性を有する封止層を用いることで、例えば、ガスバリア層、被覆層を構成する他の層を容易に熱電素子層に積層することができ、また、後述する高熱伝導層を封止層上に固定することも容易となる。
[0030]
 ポリオレフィンとしては、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、α-オレフィン重合体、オレフィン系単量体と他の単量体との共重合体(アクリル酸、酢酸ビニル等)等、これらの酸変性物やシラン変性物等の変性物、ゴム系樹脂等が挙げられる。ゴム系樹脂としては、カルボン酸系官能基を有するジエン系ゴム(以下、「ジエン系ゴム」ということがある。)、カルボン酸系官能基を有しないゴム系重合体(以下、「ゴム系重合体」ということがある。)が挙げられ、以下、ポリオレフィンを含む組成物にジエン系ゴム及びゴム系重合体を配合した場合を例として、ポリオレフィンを含む組成物を説明する。
[0031]
 ジエン系ゴムは、主鎖末端及び/又は側鎖にカルボン酸系官能基を有する重合体で構成されるジエン系ゴムである。ここで、「カルボン酸系官能基」とは、「カルボキシル基またはカルボン酸無水物基」をいう。また、「ジエン系ゴム」とは、「ポリマー主鎖に二重結合を有するゴム状高分子」をいう。
 ジエン系ゴムは、カルボン酸系官能基を有するジエン系ゴムであれば、特に限定されない。
 ジエン系ゴムとしては、カルボン酸系官能基含有ポリブタジエン系ゴム、カルボン酸系官能基含有ポリイソプレン系ゴム、カルボン酸系官能基を含有するブタジエンとイソプレンの共重合体ゴム、カルボン酸系官能基を含有するブタジエンとn-ブテンの共重ゴム等が挙げられる。これらの中でも、ジエン系ゴムとしては、架橋後に十分に高い凝集力を有する封止層を効率よく形成し得るという観点から、カルボン酸系官能基含有ポリイソプレン系ゴムが好ましい。
 ジエン系ゴムは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
 ジエン系ゴム、例えば、カルボキシル基を有する単量体を用いて共重合反応を行う方法や、特開2009-29976号公報に記載される、ポリブタジエン等の重合体に無水マレイン酸を付加させる方法により、得ることができる。
[0032]
 ジエン系ゴムの配合量は、封止剤組成物中、好ましくは0.5~95.5質量%、より好ましくは1.0~50質量%、さらに好ましくは2.0~20質量%である。ジエン系ゴムの配合量が、封止剤組成物中、0.5質量%以上であることで、十分な凝集力を有する封止層を効率よく形成することができる。また、このようなジエン系ゴム及びゴム系重合体を用いた組成物は、粘着性を有するが、ジエン系ゴムの配合量を高くし過ぎないことで、十分な粘着力を有する封止層を効率よく形成することができる。
[0033]
 ジエン系ゴム及びゴム系重合体を含む封止剤組成物は、ジエン系ゴムのカルボン酸系官能基と反応し、架橋構造を形成し得る化合物を架橋剤として含有することが好ましい。
 架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられ、エポキシ系架橋剤が好ましい。
[0034]
 ゴム系重合体は、「25℃においてゴム弾性を示す樹脂」をいう。ゴム系重合体は、ポリメチレンタイプの飽和主鎖をもつゴムや主鎖に不飽和炭素結合をもつゴムであることが好ましい。
 このようなゴム系重合体としては、具体的には、イソブチレンの単独重合体(ポリイソブチレン、IM)、イソブチレンとn-ブテンの共重合体、天然ゴム(NR)、ブタジエンの単独重合体(ブタジエンゴム、BR)、クロロプレンの単独重合体(クロロプレンゴム、CR)、イソプレンの単独重合体(イソプレンゴム、IR)、イソブチレンとブタジエンの共重合体、イソブチレンとイソプレンの共重合体(ブチルゴム、IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、スチレンと1,3-ブタジエンの共重合体(スチレンブタジエンゴム、SBR)、アクリロニトリルと1,3-ブタジエンの共重合体(ニトリルゴム)、スチレン-1,3-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、エチレン-プロピレン-非共役ジエン三元共重合体等が挙げられる。これらの中で、それ自体が水分遮断性に優れるとともに、ジエン系ゴム(A)と混ざり易く、均一な封止層を形成し易いという観点から、イソブチレンの単独重合体、イソブチレンとn-ブテンの共重合体、イソブチレンとブタジエンの共重合体、イソブチレンとイソプレンの共重合体等のイソブチレン系重合体が好ましく、イソブチレンとイソプレンの共重合体がより好ましい。
 ゴム系重合体の配合量は、封止剤組成物中、好ましくは0.1質量%~99.5質量%、より好ましくは10~99.5質量%、さらに好ましくは50~99.0質量%、特に好ましくは80~98.0質量%である。
[0035]
 ポリオレフィンの配合量は、封止剤組成物中、好ましくは20~100質量%、より好ましくは30~99質量%、さらに好ましくは60~98.5質量%である。ポリオレフィンの配合量を20~100質量%の範囲から選択することで、封止層の水蒸気遮断性を調整することが容易となる。
[0036]
 エポキシ樹脂としては、特に制限されないが、分子内に少なくともエポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ化合物が好ましい。
 エポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂)、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、2,2-ビス(3-グリシジル-4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、ジメチロールトリシクロデカンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
 これらの多官能エポキシ化合物は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
 多官能エポキシ化合物の分子量の下限は、好ましくは700以上、より好ましくは1,200以上である。多官能エポキシ化合物の分子量の上限は、好ましくは5,000以下、より好ましくは4,500以下である。
 多官能エポキシ化合物のエポキシ当量は、好ましくは100g/eq以上500g/eq以下、より好ましくは150g/eq以上300g/eq以下である。
[0037]
 封止剤組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、好ましくは10~50質量%、さらに好ましくは10~40質量%である。
[0038]
 アクリル系樹脂としては、特に制限はないが、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が好ましい。
 この(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、エステル部分のアルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、必要に応じて用いられる架橋性官能基含有エチレン性単量体や他の単量体との共重合体を好ましく挙げることができる。エステル部分のアルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、n-ヘキシルアクリレートn-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 必要に応じて用いられる架橋性官能基含有エチレン性単量体は、例えばヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を分子内に有するエチレン性単量体であり、好ましくはヒドロキシ基含有エチレン性不飽和化合物、カルボキシル基含有エチレン性不飽和化合物が用いられる。このような架橋性官能基含有エチレン性単量体の具体的な例としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和化合物が挙げられる。上記の架橋性官能基含有エチレン性単量体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 必要に応じて用いられる他の単量体としては、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレートなどの脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類;スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体;N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミドなどのN,N-ジアルキル置換アクリルアミド類などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 以上の(メタ)アクリル酸エステル、及び必要に応じて用いられる架橋性官能基含有エチレン性単量体や他の単量体を、それぞれ所定の割合で用い、従来公知の方法を用いて共重合を行い、重量平均分子量が、好ましくは30万~150万程度、より好ましくは35万~130万程度の(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造する。
 なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
 必要に応じて用いられる架橋剤としては、従来アクリル系樹脂において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられるが、前記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が、架橋性官能基としてヒドロキシ基を有する場合には、ポリイソシアネート化合物が好ましく、一方カルボキシル基を有する場合には、金属キレート化合物やエポキシ化合物が好ましい。
[0039]
 封止剤組成物中のアクリル系樹脂の含有量は、好ましくは30~95質量%、さらに好ましくは40~90質量%である。
[0040]
 封止剤組成物は、これらのポリオレフィン、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂類のうち、2種以上を含有していてもよい。封止剤組成物にα-オレフィン重合体の変性物及び多官能エポキシ化合物を配合する場合として、国際公開公報WO2017/094591に記載されている接着剤組成物を、封止剤組成物として用いることができる。
[0041]
 封止層を構成する封止剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分が含まれていてもよい。封止剤に含まれ得るその他の成分としては、例えば、高熱伝導性材料、難燃剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤、及び濡れ性調整剤などが挙げられる。
[0042]
 封止層は、1層であっても2層以上積層されていてもよい。また、2層以上積層される場合は、それらが同じであっても異なっていてもよい。
 封止層の厚さは、好ましくは0.5~100μm、より好ましくは3~80μm、さらに好ましくは5~50μmである。この範囲であれば、前記熱電素子層の面上に被覆層を積層した場合、被覆層の水蒸気透過の抑制効果が高くなるとともに、被覆層の厚さを後述する範囲に調整することも容易である。
[0043]
 前記被覆層の厚さは、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは、15~80μm、さらに好ましくは20~50μmである。被覆層の厚さがこの範囲にあると、被覆層により熱電素子層と外部との熱交換が妨げられることを防止し易い。また、熱電変換モジュールが、基板の熱電素子層が存在する側とは反対側の面に被覆層を有する場合には、基板と被覆層の合計の厚さを調整し、熱電素子層と外部との熱交換が妨げられることを防止する観点から、被覆層の厚さは3~50μmであることが好ましく、5~30μmであることがより好ましい。
[0044]
〈基板〉
 熱電変換モジュールが基板を有することで、熱電素子層の形状維持性能や、強度が十分でない場合に、これらが補強される。本発明に用いる熱電変換モジュールの基板としては、特に制限されないが、熱電素子層の電気伝導率の低下、熱伝導率の増加に影響を及ぼさないプラスチックフィルムを用いることが好ましい。なかでも、屈曲性に優れ、後述する熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、基板が熱変形することなく、熱電素子層の性能を維持することができ、耐熱性及び寸法安定性が高いという点から、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリアラミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムが好ましく、さらに、汎用性が高いという点から、ポリイミドフィルムが特に好ましい。
[0045]
 前記基板の厚さは、屈曲性、耐熱性及び寸法安定性の観点から、1~500μmが好ましく、10~100μmがより好ましく、20~75μmがさらに好ましい。
 また、上記フィルムは、分解温度が300℃以上であることが好ましい。
[0046]
 熱電変換モジュールは、熱電素子層の一方の面にのみ基板を有していてもよいし、両方の面に基板を有していてもよいが、基板によって熱電素子層と外部との熱交換が妨げられることがあることを考慮して、熱電素子層の一方の面にのみ基板を有していることが好ましい。
[0047]
〈電極層〉
 本発明に用いる電極層は、後述する熱電素子層を構成するP型熱電素子層とN型熱電素子層との電気的な接続を行うために設けられる。電極材料としては、金、銀、ニッケル、銅又はこれらの合金等が挙げられる。
 前記電極層の厚さは、好ましくは10nm~200μm、より好ましくは30nm~150μm、さらに好ましくは50nm~120μmである。電極層の厚さが、上記範囲内であれば、電気伝導率が高く低抵抗となり熱電素子層のトータルの電気抵抗値を低く抑えられる。また、電極として十分な強度が得られる。
[0048]
〈熱電素子層〉
 本発明に用いる熱電変換モジュールの熱電素子層は、該熱電素子層が、π型熱電素子を構成するために、隣り合うP型熱電素子層とN型熱電素子層とが離間した構成であってもよいが、P型熱電素子層とN型熱電素子層とを含み、前記P型熱電素子層と前記N型熱電素子層とが面内方向に交互に隣接し直列に配置され、電気的には直列接続となるように構成される熱電素子層(以下「インプレーン型熱電素子層」ともいう。)を含むことが好ましい。他の代表的な熱電素子として、π型熱電素子が挙げられるが、π型熱電素子では、隣り合うP型熱電素子層とN型熱電素子層を上下で平板電極により互い違いに接続する構成とすることが通常である。この平板電極については、連続的な基体に平板電極を間欠的に設けた構成とすることが、π型熱電素子の製造上簡便であり、その場合には基体により熱電素子への水蒸気の侵入は一定程度防止される。したがって、そのような基体を設ける理由の存在しないインプレーン型熱電素子のほうが、被覆層により熱電素子への水蒸気の侵入を抑制する必要性はより高い。そのため、本発明の熱電変換モジュールの構成は、熱電素子がインプレーン型である場合に好ましく適用される。さらに、インプレーン型熱電素子層において、P型熱電素子層とN型熱電素子層との接続は、接続の安定性、熱電性能の観点から導電性の高い金属材料等から形成される前述した電極層を介してもよい。
[0049]
 本発明に用いる熱電素子層は、基板上に、熱電半導体微粒子、耐熱性樹脂、並びに、イオン液体及び無機イオン性化合物の一方又は双方を含む熱電半導体組成物からなる層であることが好ましい。
[0050]
(熱電半導体微粒子)
 熱電素子層に用いる熱電半導体微粒子は、熱電半導体材料を、微粉砕装置等により、所定のサイズまで粉砕することが好ましい。
[0051]
 本発明に用いるP型熱電素子層及びN型熱電素子層を構成する材料としては、温度差を付与することにより、熱起電力を発生させることができる材料であれば特に制限されず、例えば、P型ビスマステルライド、N型ビスマステルライド等のビスマス-テルル系熱電半導体材料;GeTe、PbTe等のテルライド系熱電半導体材料;アンチモン-テルル系熱電半導体材料;ZnSb、Zn Sb 2、Zn Sb 等の亜鉛-アンチモン系熱電半導体材料;SiGe等のシリコン-ゲルマニウム系熱電半導体材料;Bi Se 等のビスマスセレナイド系熱電半導体材料;β―FeSi 、CrSi 、MnSi 1.73、Mg Si等のシリサイド系熱電半導体材料;酸化物系熱電半導体材料;FeVAl、FeVAlSi、FeVTiAl等のホイスラー材料、TiS 等の硫化物系熱電半導体材料等が用いられる。
[0052]
 これらの中でも、本発明に用いる前記熱電半導体材料は、P型ビスマステルライド又はN型ビスマステルライド等のビスマス-テルル系熱電半導体材料であることが好ましい。
 前記P型ビスマステルライドは、キャリアが正孔で、ゼーベック係数が正値であり、例えば、Bi Te Sb 2-Xで表わされるものが好ましく用いられる。この場合、Xは、好ましくは0<X≦0.8であり、より好ましくは0.4≦X≦0.6である。Xが0より大きく0.8以下であるとゼーベック係数と電気伝導率が大きくなり、p型熱電変換材料としての特性が維持されるので好ましい。
 また、前記N型ビスマステルライドは、キャリアが電子で、ゼーベック係数が負値であり、例えば、Bi Te 3-YSe で表わされるものが好ましく用いられる。この場合、Yは、好ましくは0≦Y≦3(Y=0の時:Bi Te )であり、より好ましくは0.1<Y≦2.7である。Yが0以上3以下であるとゼーベック係数と電気伝導率が大きくなり、n型熱電変換材料としての特性が維持されるので好ましい。
[0053]
 熱電半導体微粒子の前記熱電半導体組成物中の配合量は、好ましくは、30~99質量%である。より好ましくは、50~96質量%であり、さらに好ましくは、70~95質量%である。熱電半導体微粒子の配合量が、上記範囲内であれば、ゼーベック係数(ペルチェ係数の絶対値)が大きく、また電気伝導率の低下が抑制され、熱伝導率のみが低下するため高い熱電性能を示すとともに、十分な皮膜強度、屈曲性を有する膜が得られ好ましい。
[0054]
 熱電半導体微粒子の平均粒径は、好ましくは、10nm~200μm、より好ましくは、10nm~30μm、さらに好ましくは、50nm~10μm、特に好ましくは、1~6μmである。上記範囲内であれば、均一分散が容易になり、電気伝導率を高くすることができる。
 前記熱電半導体材料を粉砕して熱電半導体微粒子を得る方法は特に限定されず、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、コロイドミル、コニカルミル、ディスクミル、エッジミル、製粉ミル、ハンマーミル、ペレットミル、ウィリーミル、ローラーミル等の公知の微粉砕装置等により、所定のサイズまで粉砕すればよい。
 なお、熱電半導体微粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分析装置(CILAS社製、1064型)にて測定することにより得られ、粒径分布の中央値とした。
[0055]
 また、熱電半導体微粒子は、アニール処理(以下、「アニール処理A」ということがある。)されたものであることが好ましい。アニール処理Aを行うことにより、熱電半導体微粒子は、結晶性が向上し、さらに、熱電半導体微粒子の表面酸化膜が除去されるため、熱電変換材料のゼーベック係数(ペルチェ係数の絶対値)が増大し、熱電性能指数をさらに向上させることができる。アニール処理Aは、特に限定されないが、熱電半導体組成物を調製する前に、熱電半導体微粒子に悪影響を及ぼすことがないように、ガス流量が制御された、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、同じく水素等の還元ガス雰囲気下、または真空条件下で行うことが好ましく、不活性ガス及び還元ガスの混合ガス雰囲気下で行うことがより好ましい。具体的な温度条件は、用いる熱電半導体微粒子に依存するが、通常、微粒子の融点以下の温度で、かつ100~1500℃で、数分~数十時間行うことが好ましい。
[0056]
(耐熱性樹脂)
 本発明に用いる耐熱性樹脂は、熱電半導体微粒子間のバインダーとして働き、熱電変換材料の屈曲性を高めるためのものである。該耐熱性樹脂は、特に制限されるものではないが、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理等により熱電半導体微粒子を結晶成長させる際に、樹脂としての機械的強度及び熱伝導率等の諸物性が損なわれず維持される耐熱性樹脂を用いる。
 前記耐熱性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、エポキシ樹脂、及びこれらの樹脂の化学構造を有する共重合体等が挙げられる。前記耐熱性樹脂は、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、耐熱性がより高く、且つ薄膜中の熱電半導体微粒子の結晶成長に悪影響を及ぼさないという点から、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂が好ましく、屈曲性に優れるという点からポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂がより好ましい。前述の支持体として、ポリイミドフィルムを用いた場合、該ポリイミドフィルムとの密着性などの点から、耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂がより好ましい。なお、本発明においてポリイミド樹脂とは、ポリイミド及びその前駆体を総称する。
[0057]
 前記耐熱性樹脂は、分解温度が300℃以上であることが好ましい。分解温度が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、バインダーとして機能が失われることなく、熱電変換材料の屈曲性を維持することができる。
[0058]
 また、前記耐熱性樹脂は、熱重量測定(TG)による300℃における質量減少率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。質量減少率が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、バインダーとして機能が失われることなく、熱電変換材料の屈曲性を維持することができる。
[0059]
 前記耐熱性樹脂の前記熱電半導体組成物中の配合量は、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは0.5~20質量%、さらに好ましくは1~20質量%である。前記耐熱性樹脂の配合量が、上記範囲内であれば、高い熱電性能と皮膜強度が両立した膜が得られる。
[0060]
(イオン液体)
 本発明で用いるイオン液体は、カチオンとアニオンとを組み合わせてなる溶融塩であり、-50~500℃の幅広い温度領域において液体で存在し得る塩をいう。イオン液体は、蒸気圧が極めて低く不揮発性であること、優れた熱安定性及び電気化学安定性を有していること、粘度が低いこと、かつイオン伝導度が高いこと等の特徴を有しているため、導電補助剤として、熱電半導体微粒子間の電気伝導率の低減を効果的に抑制することができる。また、イオン液体は、非プロトン性のイオン構造に基づく高い極性を示し、耐熱性樹脂との相溶性に優れるため、熱電変換材料の電気伝導率を均一にすることができる。
[0061]
 イオン液体は、公知または市販のものが使用できる。例えば、ピリジニウム、ピリミジニウム、ピラゾリウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、イミダゾリウム等の窒素含有環状カチオン化合物及びそれらの誘導体;テトラアルキルアンモニウム系のアミン系カチオン及びそれらの誘導体;ホスホニウム、トリアルキルスルホニウム、テトラアルキルホスホニウム等のホスフィン系カチオン及びそれらの誘導体;リチウムカチオン及びその誘導体等のカチオン成分と、Cl 、Br 、I 、AlCl 、Al Cl 、BF 、PF6 、ClO4 、NO 、CH COO 、CF COO 、CH SO 、CF SO 、(FSO 、(CF SO 、(CF SO 、AsF 、SbF 、NbF 、TaF 、F(HF)n 、(CN) 、C SO 、(C SO 、C COO 、(CF SO )(CF CO)N 等のアニオン成分とから構成されるものが挙げられる。
[0062]
 上記のイオン液体の中で、高温安定性、熱電半導体微粒子及び樹脂との相溶性、熱電半導体微粒子間隙の電気伝導率の低下抑制等の観点から、イオン液体のカチオン成分が、ピリジニウムカチオン及びその誘導体、イミダゾリウムカチオン及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
[0063]
 カチオン成分が、ピリジニウムカチオン及びその誘導体を含むイオン液体の具体的な例として、4-メチル-ブチルピリジニウムクロライド、3-メチル-ブチルピリジニウムクロライド、4-メチル-ヘキシルピリジニウムクロライド、3-メチル-ヘキシルピリジニウムクロライド、4-メチル-オクチルピリジニウムクロライド、3-メチル-オクチルピリジニウムクロライド、3、4-ジメチル-ブチルピリジニウムクロライド、3、5-ジメチル-ブチルピリジニウムクロライド、4-メチル-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、4-メチル-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。この中で、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファートが好ましい。
[0064]
 また、カチオン成分が、イミダゾリウムカチオン及びその誘導体を含むイオン液体の具体的な例として、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムブロミド]、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムテトラフルオロボレイト]、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-メチル-3-ブチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1、3-ジブチルイミダゾリウムメチルスルフェート等が挙げられる。この中で、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムブロミド]、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムテトラフルオロボレイト]が好ましい。
[0065]
 上記のイオン液体は、電気伝導度が10 -7S/cm以上であることが好ましい。イオン伝導度が上記範囲であれば、導電補助剤として、熱電半導体微粒子間の電気伝導率の低減を効果的に抑制することができる。 
[0066]
 また、上記のイオン液体は、分解温度が300℃以上であることが好ましい。分解温度が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
[0067]
 また、上記のイオン液体は、熱重量測定(TG)による300℃における質量減少率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。質量減少率が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
[0068]
 前記イオン液体の前記熱電半導体組成物中の配合量は、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、さらに好ましくは1.0~20質量%である。前記イオン液体の配合量が、上記範囲内であれば、電気伝導率の低下が効果的に抑制され、高い熱電性能を有する膜が得られる。
[0069]
(無機イオン性化合物)
 本発明で用いる無機イオン性化合物は、少なくともカチオンとアニオンから構成される化合物である。無機イオン性化合物は400~900℃の幅広い温度領域において固体で存在し、イオン伝導度が高いこと等の特徴を有しているため、導電補助剤として、熱電半導体微粒子間の電気伝導率の低減を抑制することができる。
[0070]
 カチオンとしては、金属カチオンを用いる。
 金属カチオンとしては、例えば、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、典型金属カチオン及び遷移金属カチオンが挙げられ、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンがより好ましい。
 アルカリ金属カチオンとしては、例えば、Li 、Na 、K 、Rb 、Cs 及びFr 等が挙げられる。
 アルカリ土類金属カチオンとしては、例えば、Mg 2+、Ca 2+、Sr 2+及びBa 2+等が挙げられる。
[0071]
 アニオンとしては、例えば、F 、Cl 、Br 、I 、OH 、CN 、NO 3-、NO 2-、ClO 、ClO 2-、ClO 3-、ClO 4-、CrO 2-、HSO 、SCN 、BF 、PF 等が挙げられる。
[0072]
 無機イオン性化合物は、公知または市販のものが使用できる。例えば、カリウムカチオン、ナトリウムカチオン、又はリチウムカチオン等のカチオン成分と、Cl 、AlCl 、Al Cl 、ClO 等の塩化物イオン、Br 等の臭化物イオン、I 等のヨウ化物イオン、BF 、PF 等のフッ化物イオン、F(HF) 等のハロゲン化物アニオン、NO 、OH 、CN 等のアニオン成分とから構成されるものが挙げられる。
[0073]
 上記の無機イオン性化合物の中で、高温安定性、熱電半導体微粒子及び樹脂との相溶性、熱電半導体微粒子間隙の電気伝導率の低下抑制等の観点から、無機イオン性化合物のカチオン成分が、カリウム、ナトリウム、及びリチウムから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、無機イオン性化合物のアニオン成分が、ハロゲン化物アニオンを含むことが好ましく、Cl 、Br 、及びI から選ばれる少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。
[0074]
 カチオン成分が、カリウムカチオンを含む無機イオン性化合物の具体的な例として、KBr、KI、KCl、KF、KOH、K CO 等が挙げられる。この中で、KBr、KIが好ましい。
 カチオン成分が、ナトリウムカチオンを含む無機イオン性化合物の具体的な例として、NaBr、NaI、NaOH、NaF、Na CO 等が挙げられる。この中で、NaBr、NaIが好ましい。
 カチオン成分が、リチウムカチオンを含む無機イオン性化合物の具体的な例として、LiF、LiOH、LiNO 等が挙げられる。この中で、LiF、LiOHが好ましい。
[0075]
 上記の無機イオン性化合物は、電気伝導率が10 -7S/cm以上であることが好ましく、10 -6S/cm以上であることがより好ましい。電気伝導率が上記範囲であれば、導電補助剤として、熱電半導体微粒子間の電気伝導率の低減を効果的に抑制することができる。
[0076]
 また、上記の無機イオン性化合物は、分解温度が400℃以上であることが好ましい。分解温度が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
[0077]
 また、上記の無機イオン性化合物は、熱重量測定(TG)による400℃における質量減少率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。質量減少率が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
[0078]
 前記無機イオン性化合物の前記熱電半導体組成物中の配合量は、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、さらに好ましくは1.0~10質量%である。前記無機イオン性化合物の配合量が、上記範囲内であれば、電気伝導率の低下を効果的に抑制でき、結果として熱電性能が向上した膜が得られる。
 なお、無機イオン性化合物とイオン液体とを併用する場合においては、前記熱電半導体組成物中における、無機イオン性化合物及びイオン液体の含有量の総量は、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、さらに好ましくは1.0~10質量%である。
[0079]
 P型熱電素子層及びN型熱電素子層からなる熱電素子層の厚さは、特に限定されるものではなく、同じ厚さでも、異なる厚さ(接続部に段差が生じる)でもよい。屈曲性、材料コストの観点から、P型熱電素子及びN型熱電素子の厚さは、0.1~100μmが好ましく、1~50μmがさらに好ましい。
[0080]
〈高熱伝導層〉
 本発明の熱電変換モジュールは、被覆層上に高熱伝導層を含んでいてもよい。高熱伝導層は、熱電素子層の電極部間に効率良く温度差を付与することができる。
[0081]
 本発明に用いる高熱伝導層の配置は、特に限定されないが、用いる熱電変換モジュールの熱電素子、すなわち、P型熱電素子とN型熱電素子の配置及びそれらの形状により、適宜調整することが好ましい。例えば、図2に示したように、インプレーン型熱電素子層において、高熱伝導層8a、8bが被覆層7a、7bの表面上に、面内方向に間欠的に配置される。この場合、高熱伝導層は被覆層の表面上に、他の層を介して設けられていてもよい。また、高熱伝導層8aは、基板の熱電素子層が存在する側とは反対側の面上に被覆層が存在しない場合に、基板のその面上に設けられてもよい。熱電変換モジュールが高熱伝導層を有することにより、熱電素子の面内方向に、温度差を付与することが容易となる。熱電素子層がインプレーン型熱電素子層である場合に、被覆層の表面又は基板の表面において前記高熱伝導層が位置する部分が、1対のP型熱電素子とN型熱電素子の境界に対応する部分を含んでいることが好ましい。また、被覆層の表面又は基板の表面において前記高熱伝導層が位置する部分の長さが1対のP型熱電素子とN型熱電素子とからなる直列方向の全幅に対応する部分の長さに対し、0.30~0.70の割合であることが好ましく、0.40~0.60の割合がより好ましく、0.48~0.52の割合がさらに好ましく、特に好ましくは、0.50の割合である。この範囲にあると、熱を特定の方向に選択的に放熱する効果がさらに高くなり、面内方向に効率よく温度差を付与できる。さらに、図2に示すように、熱電素子層の両面上に高熱伝導層8a、8bが設けられている場合に、高熱伝導層8a、8bがいずれも1対のP型熱電素子とN型熱電素子の境界をまたいで配置されており、高熱伝導層8a、8bの両層が上記境界おきに互い違いに配置されていることが好ましい。
[0082]
 本発明に用いる高熱伝導層は、高熱伝導性材料から形成される。高熱伝導層を形成する方法としては、特に制限されないが、シート状の高熱伝導性材料を、事前にフォトリソグラフィー法を主体とした公知の物理的処理もしくは化学的処理、又はそれらを併用する等により、所定のパターン形状に加工する方法が挙げられる。その後、得られたパターン化された高熱伝導層を、接着性を有する封止層等を介して熱電変換モジュール上に形成することが好ましい。また、基板の、熱電素子層が存在する側と反対側の面上に被覆層を介さずに高熱伝導層を設ける場合には、本発明の封止層とは異なるアクリル系粘着剤等により高熱伝導層を固定すればよい。
[0083]
 高熱伝導材料としては、銅、銀、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム等の単金属、ステンレス、真鍮(黄銅)等の合金が挙げられる。この中で、好ましくは、銅(無酸素銅含む)、ステンレスであり、熱伝導率が高く、加工性が容易であることから、さらに好ましくは、銅である。
 ここで、本発明に用いられる高熱伝導材料の代表的なものを以下に示す。
・無酸素銅
無酸素銅(OFC:Oxygen-Free Copper)とは、一般的に酸化物を含まない99.95%(3N)以上の高純度銅のことを指す。日本工業規格では、無酸素銅(JIS H 3100, C1020)および電子管用無酸素銅(JIS H 3510, C1011)が規定されている。
・ステンレス(JIS)
 SUS304:18Cr-8Ni(18%のCrと8%のNiを含む)
 SUS316:18Cr-12Ni(18%のCrと12%のNi、モリブデン(Mo)を含む)ステンレス鋼)
[0084]
 高熱伝導層の熱伝導率は好ましくは、5~500W/(m・K)であり、より好ましくは、12~450W/(m・K)であり、さらに好ましくは15~420W/(m・K)である。高熱伝導層の熱伝導率が上記の範囲にあると、熱電変換モジュールの面内方向に、効率よく温度差を付与することができる。
[0085]
 高熱伝導層の厚さは、40~550μmが好ましく、60~530μmがより好ましく、80~510μmがさらに好ましい。高熱伝導層の厚さがこの範囲であれば、熱を特定の方向に選択的に放熱する効果がさらに高くなり、インプレーン型熱電素子層を含む熱電変換モジュールの面内方向に、効率よく温度差を付与することができる。
[0086]
[熱電変換モジュールの使用用途]
 本発明の熱電変換モジュールは、ゼーベック素子、ペルチェ素子のいずれとしても使うことができるが、熱電変換モジュールがインプレーン型熱電素子を含む場合には、ゼーベック素子として用いることが、熱電変換効率の高いモジュールを得られやすいことから好ましい。
[0087]
[熱電変換モジュールの製造方法]
 本発明の熱電変換モジュールは、例えば、前記熱電素子層を形成する工程、及び前記熱電素子層の少なくとも一方の面に前記被覆層を形成する工程を含み、前記被覆層が、金属、無機化合物、及び樹脂からなる群から選ばれる一種以上を主成分とするガスバリア層を有する製造方法により得ることができる。
 以下、このような製造方法について、順次説明する。
[0088]
〈熱電素子層形成工程〉
 熱電変換モジュールの製造工程には、熱電素子層を形成する熱電素子層形成工程を含むことが好ましい。また、熱電素子層が自立性を有する場合には、基板に代えて工程フィルムを用い、熱電素子層の形成後に工程フィルムを除去して熱電素子層を単層で得てもよい。以下、基板上に熱電素子層を設ける場合を例として本工程を説明する。本発明に用いる熱電素子層は、前記基板の一方の面上に前記熱電半導体組成物から形成されることが好ましい。前記熱電半導体組成物を、前記基板上に塗布する方法としては、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スピンコート、ディップコート、ダイコート、スプレーコート、バーコート、ドクターブレード等の公知の方法が挙げられ、特に制限されない。塗膜をパターン状に形成する場合は、所望のパターンを有するスクリーン版を用いて簡便にパターン形成が可能なスクリーン印刷、スロットダイコート等が好ましく用いられる。
 次いで、得られた塗膜を乾燥することにより、薄膜が形成されるが、乾燥方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法が採用できる。加熱温度は、通常、80~150℃であり、加熱時間は、加熱方法により異なるが、通常、数秒~数十分である。
 また、熱電半導体組成物の調製において溶媒を使用した場合、加熱温度は、使用した溶媒を乾燥できる温度範囲であれば、特に制限はない。
[0089]
〈被覆層形成工程〉
 熱電変換モジュールの製造工程には、被覆層形成工程を含む。被覆層形成工程は、例えば、被覆層を構成するガスバリア層を、前記熱電素子層上に形成する工程である。また、熱電変換モジュールが基板を有するときは、基板の、熱電素子層が存在する側とは反対側の面に被覆層を形成する工程等を含んでいてもよい。
 ガスバリア層の形成は、例えば、基材上に上述した金属又は無機化合物の成膜や、高分子化合物の塗工・乾燥および必要に応じてこれに続く改質処理を行って、基材付きガスバリア層を得て、これを接着性の封止層を介して熱電素子層に積層させることで行うことができる。また、工程フィルム上に樹脂膜等からなる自立性のない移行層を設け、移行層上にガスバリア層を形成し、得られたガスバリア層を、例えば剥離フィルム付きの封止層であって接着性であるものと積層し、工程フィルム/移行層/ガスバリア層/封止層/剥離フィルムの順序で積層された積層体を得て、剥離フィルムを除去して封止層を熱電素子層と貼り合わせ、次いで、工程フィルムを除去するという方法も挙げられる。この場合には、工程フィルムを除去する際に、工程フィルムと移行層の間で剥離が起こるため、工程フィルムをガスバリア層から容易に分離することができる。
[0090]
 被覆層形成工程には、封止層形成工程を含んでいてもよい。例えば、封止層を熱電素子層の面上に形成する工程である。また、基板を有する時は、基板の、熱電素子層とは反対の面に形成する工程等を含んでいてもよい。
 封止層の形成は、公知の方法で行うことができ、例えば、前記熱電素子層の面に直接形成してもよいし、予め剥離シート上に形成した封止層を、前記熱電素子層に貼り合わせて、封止層を熱電素子層に転写させて形成してもよい。
[0091]
〈電極形成工程〉
 熱電変換モジュールの製造工程においては、さらに、フィルム基板上に前述した電極材料等を用い、電極層を形成する電極形成工程を含むことが好ましい。前記フィルム基板上に電極を形成する方法としては、フィルム基板上にパターンが形成されていない電極層を設けた後、フォトリソグラフィー法を主体とした公知の物理的処理もしくは化学的処理、又はそれらを併用する等により、所定のパターン形状に加工する方法、または、スクリーン印刷法、インクジェット法等により直接電極層のパターンを形成する方法等が挙げられる。
 電極層のパターンを形成する前段階の、パターンが形成されていない電極層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD(物理気相成長法)、もしくは熱CVD、原子層蒸着(ALD)等のCVD(化学気相成長法)等のドライプロセス、又はディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ドクターブレード法等の各種コーティングや電着法等のウェットプロセス、銀塩法、電解めっき法、無電解めっき法、金属箔の積層等が挙げられ、電極層の材料に応じて適宜選択される。
[0092]
〈高熱伝導層形成工程〉
 熱電変換モジュールの製造工程には、高熱伝導層形成工程を含むことが好ましい。高熱伝導層形成工程は被覆層又は基板の面上に高熱伝導層形成する工程である。
 高熱伝導層の形成は、公知の方法で行うことができ、例えば、高熱伝導層を前記被覆層又は基板の面に直接形成してもよいし、前述したように、フォトリソグラフィー法を主体とした公知の物理的処理もしくは化学的処理、又はそれらを併用する等により、所定のパターン形状に加工したものを、接着剤を介して前記被覆層に貼り合わせてもよい。
[0093]
 本発明の製造方法によれば、簡便な方法で熱電素子層への大気中の水蒸気の侵入を抑制できる熱電変換モジュールを製造することができる。
実施例
[0094]
 次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
[0095]
 実施例、比較例で作製した熱電変換モジュールの電気抵抗、また、被覆層を構成する基材付きガスバリア層、封止層の水蒸気透過率の評価は以下の方法で行った。
(a)電気抵抗値評価
 得られた熱電変換モジュールの取り出し電極部間の電気抵抗値を、ディジタルハイテスタ(日置電機社製、型名:3801-50)により、25℃×50%RHの環境下で測定した。
(b)水蒸気透過率(WVTR)
 水蒸気透過率計(MOCON社製、装置名:AQUATRAN)を用い、JIS-K7129に従い、実施例1~3の基材付きガスバリア層の40℃×90%RHにおける水蒸気透過率(g・m -2・day -1)を測定した。また、同様に、水蒸気透過率計(Systech Illinois社製、装置名:L80-5000)を用い、JIS-K7129に従い、40℃×90%RHにおける封止層の水蒸気透過率(g・m -2・day -1)を測定した。
[0096]
<熱電素子層の作製>
 図3は実施例に用いた熱電素子層の構成を示す平面図であり、(a)はフィルム基板上に形成した電極の配置の概念図を示し、(b)は電極上に形成したP型及びN型熱電素子の配置の概念図を示す。
 銅箔を貼付したポリイミドフィルム基板(宇部エクシモ株式会社製、製品名:ユピセルN、ポリイミド基板厚み:50μm、銅箔:9μm)を準備し、ポリイミドフィルム基板12上の銅箔を、塩化第二鉄溶液を用いウェットエッチングし、後述するP型及びN型熱電素子の配列に対応した配置の電極パターンを形成した。パターニングされた銅箔上に、無電解めっきによりニッケル層(厚さ:9μm)を積層し、次いでニッケル層上に無電解めっきにより金層(厚さ:300nm)を積層することで、電極13のパターン層を形成した。その後、前記ポリイミドフィルム基板12上の電極13上に、後述する塗工液(P)及び(N)を用い塗布することにより、1mm×6mmのP型熱電素子15と1mm×6mmのN型熱電素子14とを交互に6mmの辺で接するように隣接して1対を配置することで、P型熱電素子及びN型熱電素子380対を、ポリイミドフィルム基板12の面内に、電気的に直列になるように設けた熱電素子層16を作製した。この際、P型熱電素子15とN型熱電素子14とを38対連結したものを一列として、これを10列設けた。図3において、電極13aは熱電素子層の各列の連結用電極、電極13bは起電力取り出し用電極である。なお、図3は電極や各素子の配置を概念的に示したものであり、実際に作製した電極及び熱電素子層とは個数が異なる。
[0097]
(熱電半導体微粒子の作製方法)
 ビスマス-テルル系熱電半導体材料であるP型ビスマステルライドBi 0.4Te Sb 1.6(高純度化学研究所製、粒径:180μm)を、遊星型ボールミル(フリッチュジャパン社製、Premium line P-7)を使用し、窒素ガス雰囲気下で粉砕することで、平均粒径1.2μmの熱電半導体微粒子T1を作製した。粉砕して得られた熱電半導体微粒子に関して、レーザー回折式粒度分析装置(Malvern社製、マスターサイザー3000)により粒度分布測定を行った。
 また、ビスマス-テルル系熱電半導体材料であるN型ビスマステルライドBi Te (高純度化学研究所製、粒径:180μm)を上記と同様に粉砕し、平均粒径1.4μmの熱電半導体微粒子T2を作製した。
(熱電半導体組成物の作製)
塗工液(P)
 得られたP型ビスマス-テルル系熱電半導体材料の微粒子T1を90質量部、耐熱性樹脂としてポリイミド前駆体であるポリアミック酸(シグマアルドリッチ社製、ポリ(ピロメリト酸二無水物-co-4,4´-オキシジアニリン)アミド酸溶液、溶媒:N-メチルピロリドン、固形分濃度:15質量%)5質量部、及びイオン液体として[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムブロミド]5質量部を混合分散した熱電半導体組成物からなる塗工液(P)を調製した。なお、上記記載における配合質量部数は、溶媒を含む量である。
塗工液(N)
 得られたN型ビスマス-テルル系熱電半導体材料の微粒子T2を90質量部、耐熱性樹脂としてポリイミド前駆体であるポリアミック酸(シグマアルドリッチ社製、ポリ(ピロメリト酸二無水物-co-4,4´-オキシジアニリン)アミド酸溶液、溶媒:N-メチルピロリドン、固形分濃度:15質量%)5質量部、及びイオン液体として[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムブロミド]5質量部を混合分散した熱電半導体組成物からなる塗工液(N)を調製した。なお、上記記載における配合質量部数は、溶媒を含む量である。
(熱電素子層の製造)
 図3の(b)に概念的に示すように、上記で調製した塗工液(P)を、スクリーン印刷法により前記電極パターンが形成されたポリイミドフィルム上の所定の位置に塗布し、温度150℃で、10分間アルゴン雰囲気下で乾燥し、厚さが50μmの薄膜を形成した。次いで、同様に、上記で調製した塗工液(N)を、前記ポリイミドフィルム上の所定の位置に塗布し、温度150℃で、10分間アルゴン雰囲気下で乾燥し、厚さが50μmの薄膜を形成した。
 さらに、得られたそれぞれの薄膜に対し、水素とアルゴンの混合ガス(水素:アルゴン=3体積%:97体積%)雰囲気下で、加温速度5K/minで昇温し、325℃で30分間保持し、薄膜形成後のアニール処理を行うことにより、熱電半導体材料の微粒子を結晶成長させ、P型熱電素子層及びN型熱電素子層からなる熱電素子層を形成した。
[0098]
(実施例1)
<熱電変換モジュールの作製>
 熱電素子層の、ポリイミドフィルム基板が存在する側とは反対側の面に封止層(厚さ25μm、WVTR6.0g・m -2・day -1)を貼付し熱電変換モジュールを作製した。
 封止層の形成方法としては、始めに、剥離フィルム上に下記の配合のポリオレフィンを含む組成物を、既知の方法にて塗工・乾燥することにより粘着性シート状物を得た。その後、熱電素子層にラミネーターを用いて、粘着性シート状物を熱電素子層の面上に貼付したあと、剥離フィルムを剥離することで、封止層を形成した。この際、熱電素子層の端部も覆うように封止層を形成した。そして、この封止層上に、ガスバリアフィルムとして、メタルミーS[東レフィルム加工社製、アルミ蒸着膜(厚さ50nm)/PET(厚さ25μm)、WVTR3.1g・m -2・day -1]を、PETが封止層と対向するようにして貼付し、熱電変換モジュールを得た。
 ポリオレフィンを含む組成物は、カルボン酸系官能基含有ポリイソプレン系ゴム(クラレ社製、LIR410、数平均分子量30,000、1分子あたりのカルボン酸系官能基の数:10)5質量部、カルボン酸系官能基を有しないゴム系重合体:イソブチレンとイソプレンの共重合体(日本ブチル社製、Exxon Butyl 268、数平均分子量260,000)100質量部、エポキシ化合物(三菱化学社製、TC-5)2質量部をトルエンに溶解し、調製した。なお、上記記載における配合質量部数は、有効成分の量に換算したものであり、溶媒の量は含まない。ポリオレフィンを含む組成物の有効成分濃度は25質量%であった。
[0099]
(実施例2)
 実施例1において、ポリイミドフィルム基板の、熱電素子層が存在する側とは反対側の面に、さらに前記封止層及び前記ガスバリアフィルムをこの順に積層し(ガスバリアフィルムの封止層への積層は、PETが封止層に対向するように行った。)、実施例1と同様にして、熱電変換モジュールを作製した。
[0100]
(実施例3)
 実施例2において、前記封止層に積層した前記ガスバリアフィルムを、透明ガスバリアフィルム[特願2015-218292、実施例1で用いた透明ガスバリア層、ペルヒドロポリシラザン層(厚さ150nm)/PET(厚さ25μm)、WVTR0.005g・m -2・day -1]に変更した以外、実施例2と同様にして、熱電変換モジュールを作製した。
[0101]
(比較例1)
 実施例1において、封止層上に、ガスバリアフィルムを積層しなかったこと以外は、実施例1と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
[0102]
(比較例2)
 実施例1において、封止層上に、ガスバリアフィルムを積層せず、ポリイミドフィルム基板の、熱電素子層とは反対側の面に、前記封止層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
[0103]
 実施例1~3及び比較例1、2で得られた熱電変換モジュールを60℃×90%RHの環境下に1000時間保管する耐久性試験を行い、試験前後での熱電変換モジュールの取り出し電極部間の電気抵抗値を測定した。用いた封止層及びガスバリア層の水蒸気透過率とともに測定結果を表1に示す。
[0104]
[表1]


[0105]
 熱電変換モジュールにおいて、熱電素子層の、基板を有する側とは反対側の面に封止層及びガスバリア層をこの順に積層した実施例1では、同様に基板を有する側とは反対側の面に封止層を含む一方で、ガスバリア層を積層しない比較例1に比べ、耐久性試験後の抵抗増加率が抑制されていることがわかる。
 熱電変換モジュールにおいて、両面に、すなわち、熱電素子層の、基板とは反対側の面、及び基板の、熱電素子層とは反対側の面に、封止層及びガスバリア層を積層した実施例2及び3では、ガスバリア層の種類(実際はWVTR値)に依存するものの、耐久性試験後の抵抗増加率が、実施例1に比べ、さらに小さくなっており、本試験の耐久性試験時間では、10%未満の増加に抑制されていることがわかる。また、同様に両面に封止層を含む一方で、ガスバリア層を積層しない比較例2に比べ、耐久性試験後の抵抗増加率が抑制されていることがわかる。上記の結果より、本発明の熱電変換モジュールは、高温多湿下にあっても、熱電性能が長期間にわたり維持されることが期待される。

産業上の利用可能性

[0106]
 本発明の熱電変換モジュールは、優れた耐久性を有することから、長期間にわたり熱電性能が維持されることが期待される。このため、廃熱源や放熱源の環境下、又は高温多湿の環境下に設置する場合に好適に使用できる。

符号の説明

[0107]
1A,1B,1C,1D:熱電変換モジュール
2:基板
3:電極
4:N型熱電素子
5:P型熱電素子
6:熱電素子層
7a,7b:被覆層(ガスバリア層)
8a,8b:高熱伝導層
12:ポリイミドフィルム基板
13:電極
13a:熱電素子層の列の連結用電極
13b:起電力取り出し用電極
14:N型熱電素子
15:P型熱電素子
16:熱電素子層(電極部含む)

請求の範囲

[請求項1]
 熱電素子層の少なくとも一方の面に被覆層を含む熱電変換モジュールであって、前記被覆層が、金属、無機化合物、及び高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上を主成分とするガスバリア層を有する、熱電変換モジュール。
[請求項2]
 前記熱電素子層の一方の面に被覆層を含み、他方の面に基板を有する、請求項1に記載の熱電変換モジュール。
[請求項3]
 前記基板の、前記熱電素子層が存在する側とは反対側の面に、さらに前記被覆層を含む、請求項2に記載の熱電変換モジュール。
[請求項4]
 前記基板がフィルム基板である、請求項2又は3に記載の熱電変換モジュール。
[請求項5]
 前記熱電素子層が、P型熱電素子層とN型熱電素子層とを含み、前記P型熱電素子層と前記N型熱電素子層とが面内方向に交互に隣接し直列に配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
[請求項6]
 前記熱電変換モジュールが、少なくとも前記被覆層の一つの表面又は前記基板の前記熱電素子層が存在する側とは反対側の表面にさらに高熱伝導層を有し、該高熱伝導層の熱伝導率が5~500W/(m・K)である、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
[請求項7]
 前記被覆層の厚さが、100μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
[請求項8]
 前記高分子化合物が、ハロゲン原子を含む樹脂であり、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、又はテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体である、請求項1~7のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
[請求項9]
 前記高分子化合物が、ポリシラザン系化合物、ポリカルボシラン系化合物、ポリシラン系化合物、又はポリオルガノシロキサン系化合物である、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]