このアプリケーションの一部のコンテンツは現時点では利用できません。
このような状況が続く場合は、にお問い合わせくださいフィードバック & お問い合わせ
1. (WO2018179526) 二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器
Document

明 細 書

発明の名称 二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015  

図面の簡単な説明

0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279   0280   0281   0282   0283   0284   0285   0286  

実施例

0287   0288   0289   0290   0291   0292   0293   0294   0295   0296   0297   0298   0299   0300   0301   0302   0303   0304   0305   0306   0307   0308   0309   0310   0311   0312   0313   0314   0315   0316   0317   0318   0319   0320   0321   0322   0323   0324   0325   0326   0327   0328   0329   0330   0331  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器

技術分野

[0001]
 本技術は、正極および負極と共に電解液を備えた二次電池、ならびにその二次電池を用いた電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器に関する。

背景技術

[0002]
 携帯電話機などの多様な電子機器が広く普及しており、その電子機器の小型化、軽量化および長寿命化が要望されている。そこで、電源として、電池、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。
[0003]
 二次電池は、上記した電子機器に限らず、他の用途への適用も検討されている。一例を挙げると、電子機器などに着脱可能に搭載される電池パック、電気自動車などの電動車両、家庭用電力サーバなどの電力貯蔵システム、および電動ドリルなどの電動工具である。
[0004]
 この二次電池は、正極および負極と共に電解液を備えている。電解液の組成は、電池特性に大きな影響を及ぼすため、その電解液の構成に関しては、さまざまな検討がなされている。
[0005]
 具体的には、電解液の分解反応を抑制するために、炭酸エチレンを含んでいる電解液にジニトリル化合物が添加されている(例えば、特許文献1参照。)。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特許第5322694号明細書

発明の概要

[0007]
 電子機器などは、益々、高性能化および多機能化している。このため、電子機器などの使用頻度は増加していると共に、その電子機器などの使用環境は拡大している。よって、二次電池の電池特性に関しては、未だ改善の余地がある。
[0008]
 したがって、優れた電池特性を得ることが可能な二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器を提供することが望ましい。
[0009]
 本技術の一実施形態の二次電池は、下記の式(21)で表されるリチウム含有化合物を含む正極と、負極と、(A)溶媒を含み、(B)溶媒が炭酸エチレンおよび下記の式(1)で表されるニトリル化合物を含み、(C)溶媒中における炭酸エチレンの含有量が8重量%以上20重量%以下である電解液とを備えたものである。
[0010]
 Li x Co y Ni z 1-y-z b-a a  ・・・(21)
(Mは、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ストロンチウム(Sr)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、インジウム(In)およびアンチモン(Sb)のうちの少なくとも1種である。Xは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)のうちの少なくとも1種である。x、y、z、aおよびbは、0.8<x≦1.2、0≦y≦1、0.5≦z≦1、0≦a≦1、1.8≦b≦2.2およびy<zを満たす。)
[0011]
 R1-(CN) n  ・・・(1)
(R1は、n価の炭化水素基である。nは、1以上の整数である。)
[0012]
 本技術の一実施形態の電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器のそれぞれは、二次電池を備え、その二次電池が上記した本技術の一実施形態の二次電池と同様の構成を有するものである。
[0013]
 ここで、「n価の炭化水素基」とは、炭素(C)および水素(H)により構成されているn価の基の総称である。このn価の炭化水素基は、1個または2個以上の不飽和炭素結合を含んでいてもよいし、その不飽和炭素結合を含んでいなくてもよい。不飽和炭素結合は、炭素間二重結合(>C=C<)および炭素間三重結合(-C≡C-)のうちの一方または双方である。また、n価の炭化水素基は、直鎖状でもよいし、1個または2個以上の側鎖を有する分岐状でもよいし、環状でもよい。
[0014]
 本技術の一実施形態の二次電池によれば、正極が上記したリチウム含有化合物を含んでいると共に、電解液が上記した所定量の炭酸エチレンと上記したニトリル化合物とを含んでいるので、優れた電池特性を得ることができる。また、本技術の一実施形態の電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器のそれぞれにおいても、同様の効果を得ることができる。
[0015]
 なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるわけではなく、本技術中に記載されたいずれの効果であってもよい。

図面の簡単な説明

[0016]
[図1] 本技術の一実施形態の二次電池(ラミネートフィルム型)の構成を表す斜視図である。
[図2] 図1に示したII-II線に沿った巻回電極体の構成を表す断面図である。
[図3] 二次電池の適用例(電池パック:単電池)の構成を表す斜視図である。
[図4] 図3に示した電池パックの構成を表すブロック図である。
[図5] 二次電池の適用例(電池パック:組電池)の構成を表すブロック図である。
[図6] 二次電池の適用例(電動車両)の構成を表すブロック図である。
[図7] 二次電池の適用例(電力貯蔵システム)の構成を表すブロック図である。
[図8] 二次電池の適用例(電動工具)の構成を表すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0017]
 以下、本技術の一実施形態に関して、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

 1.二次電池
  1-1.構成
  1-2.動作
  1-3.製造方法
  1-4.作用および効果
  1-5.変形例
 2.二次電池の用途
  2-1.電池パック(単電池)
  2-2.電池パック(組電池)
  2-3.電動車両
  2-4.電力貯蔵システム
  2-5.電動工具
[0018]
<1.二次電池>
 まず、本技術の一実施形態の二次電池に関して説明する。
[0019]
 図1は、二次電池の斜視構成を表していると共に、図2は、図1に示したII-II線に沿った巻回電極体30の断面構成を表している。
[0020]
 ここで説明する二次電池は、例えば、電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出により負極34の容量が得られるリチウムイオン二次電池である。この「電極反応物質」とは、電極反応(充放電反応)を進行させるために用いられる物質である。
[0021]
<1-1.構成>
 二次電池の電池構造は、例えば、ラミネートフィルム型である。すなわち、ラミネートフィルム型の二次電池は、例えば、図1に示したように、フィルム状の外装部材40と、その外装部材40の内部に収納された電池素子である巻回電極体30とを備えている。なお、図1では、巻回電極体30および外装部材40のそれぞれの構成を見やすくするために、その外装部材40の内部に巻回電極体30が収納される前の状態を示している。
[0022]
 巻回電極体30では、例えば、正極33および負極34がセパレータ35を介して積層されていると共に、そのセパレータ35を介して積層された正極33および負極34が巻回されている。この巻回電極体30には、液状の電解質である電解液が含浸されている。すなわち、巻回電極体30は、正極33、負極34およびセパレータ35と共に電解液を含んでいる。
[0023]
 正極33には、正極リード31が取り付けられていると共に、負極34には、負極リード32が取り付けられている。巻回電極体30の最外周部は、例えば、保護テープにより保護されている。
[0024]
 正極リード31は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって導出されており、導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。導電性材料の種類は、特に限定されないが、例えば、アルミニウムなどである。正極リード31の形状は、例えば、薄板状および網目状のうちのいずれか1種類または2種類以上である。
[0025]
 負極リード32は、例えば、上記した正極リード31と同様に、外装部材40の内部から外部に向かって導出されており、導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。導電性材料の種類は、特に限定されないが、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)およびステンレスなどである。なお、負極リード32は、例えば、正極リード31が導出される方向と同じ方向に導出されていてもよい。負極リード32の形状に関する詳細は、例えば、正極リード31の形状に関する詳細と同様である。
[0026]
 外装部材40は、例えば、図1に示した矢印Rの方向に折り畳み可能な1枚のフィルムであり、その外装部材40の一部には、例えば、巻回電極体30を収納するための窪み40Hが設けられている。この外装部材40は、例えば、ラミネートフィルムなどである。ラミネートフィルムの構成は、特に限定されないが、例えば、融着層と、金属層と、表面保護層とがこの順に積層された積層構造を有している。
[0027]
 二次電池の製造工程では、融着層同士が巻回電極体30を介して互いに対向するように1枚の外装部材40が折り畳まれたのち、その融着層の外周縁部同士が互いに融着されることにより、その外装部材40が封止される。ただし、2枚の外装部材40(ラミネートフィルム)が接着剤などを介して互いに貼り合わされてもよい。
[0028]
 融着層は、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのフィルムのうちのいずれか1種類または2種類以上である。金属層は、例えば、アルミニウム箔などの金属箔のうちのいずれか1種類または2種類以上である。表面保護層は、例えば、ナイロンおよびポリエチレンテレフタレートなどのフィルムのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
[0029]
 中でも、外装部材40は、ポリエチレンフィルムと、アルミニウム箔と、ナイロンフィルムとがこの順に積層された積層構造を有するアルミラミネートフィルムであることが好ましい。ただし、外装部材40は、例えば、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよい。この他、外装部材40は、例えば、ポリプロピレンなどのフィルムでもよいし、金属箔でもよい。
[0030]
 外装部材40の厚さは、特に限定されないが、中でも、40μm~300μmであることが好ましい。柔軟性を有しているフィルム状の外装部材40の厚さが適正化されるため、その外装部材40の物理的強度などを担保しつつ、二次電池が膨れにくくなるからである。
[0031]
 外装部材40と正極リード31との間には、例えば、密着フィルム41が挿入されていると共に、外装部材40と負極リード32との間には、例えば、上記した密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、主に、外装部材40の内部に外気が侵入することを防止する役割を果たす部材であり、例えば、正極リード31および負極リード32のそれぞれに対して密着性を有する材料を含んでいる。この密着性を有する材料は、例えば、ポリオレフィン樹脂などのうちのいずれか1種類または2種類以上であり、より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンおよび変性ポリプロピレンなどである。
[0032]
[正極]
 正極33は、例えば、図2に示したように、正極集電体33Aと、その正極集電体33Aの両面に設けられた正極活物質層33Bとを含んでいる。ただし、正極活物質層33Bは、正極集電体33Aの片面だけに設けられていてもよい。
[0033]
(正極集電体)
 正極集電体33Aは、例えば、導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。導電性材料の種類は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、ニッケルおよびステンレスなどである。なお、正極集電体33Aは、単層でもよいし、多層でもよい。
[0034]
(正極活物質層)
 正極活物質層33Bは、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、正極活物質層33Bは、上記した正極活物質と共に、正極結着剤および正極導電剤などの他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
[0035]
(正極活物質(正極材料))
 正極材料は、リチウム含有化合物であることが好ましく、より具体的には、リチウム含有複合酸化物であることが好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。
[0036]
 「リチウム含有複合酸化物」とは、リチウムと1種類または2種類以上の他元素とを構成元素として含む酸化物の総称である。この「他元素」とは、リチウム以外の元素である。
[0037]
 具体的には、リチウム含有複合酸化物は、例えば、下記の式(21)で表される化合物である。この化合物は、リチウムと共にニッケルを構成元素として含んでいると共に層状岩塩型の結晶構造を有しているリチウムニッケル含有複合酸化物である。
[0038]
 Li x Co y Ni z 1-y-z b-a a  ・・・(21)
(Mは、アルミニウム、マグネシウム、ホウ素、チタン、クロム、マンガン、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ストロンチウム、セシウム、バリウム、インジウムおよびアンチモンのうちの少なくとも1種である。Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素のうちの少なくとも1種である。x、y、z、aおよびbは、0.8<x≦1.2、0≦y≦1、0.5≦z≦1、0≦a≦1、1.8≦b≦2.2およびy<zを満たす。ただし、リチウムの組成は、充放電状態に応じて異なると共に、aの値は、完全放電状態の値である。)
[0039]
 具体的には、リチウムニッケル含有複合酸化物は、リチウム(Li)と、コバルト(Co)と、ニッケル(Ni)と、他元素Mと、酸素(O)と、ハロゲン元素Xとを構成元素として含む化合物である。リチウムニッケル含有複合酸化物に関する詳細は、以下の通りである。
[0040]
 第1に、x、z、aおよびbのそれぞれの範囲から明らかなように、リチウムニッケル含有複合酸化物は、リチウム、ニッケルおよび酸素のそれぞれを構成元素として含んでいる。
[0041]
 第2に、y、zおよびaのそれぞれの範囲から明らかなように、リチウムニッケル含有複合酸化物は、コバルト、他元素Mおよびハロゲン元素Xのそれぞれを構成元素として含んでいてもよいし、コバルト、他元素Mおよびハロゲン元素Xのそれぞれを構成元素として含んでいなくてもよい。
[0042]
 第3に、コバルト、ニッケルおよび他元素Mのそれぞれの含有割合を比較すると、yおよびzのそれぞれの範囲から明らかなように、ニッケルの含有割合は、コバルトおよび他元素Mのそれぞれの含有割合よりも大きくなっている。
[0043]
 他元素Mは、上記したアルミニウムなどの一連の候補のうちの1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。ハロゲン元素Xは、上記したフッ素などの一連の候補のうちの1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。ただし、ハロゲン元素Xは、例えば、長周期型周期表の17族に属する元素であれば、上記したフッ素、塩素、臭素およびヨウ素以外の元素でもよい。
[0044]
 リチウムニッケル含有複合酸化物の具体例は、LiNi 0.5 Co 0.2 Mn 0.3 2 、LiNi 0.8 Co 0.15Al 0.052 、LiNi 0.8 Co 0.13Al 0.072 およびLiNi 0.82Co 0.15Al 0.032 などである。
[0045]
 なお、正極材料は、上記したリチウムニッケル含有複合酸化物と共に、他のリチウム含有化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。他のリチウム含有化合物は、例えば、他のリチウム含有複合酸化物およびリチウム含有リン酸化合物などである。
[0046]
 「他のリチウム含有複合酸化物」とは、リチウムニッケル含有複合酸化物以外のリチウム含有複合酸化物であり、例えば、層状岩塩型およびスピネル型などのうちのいずれかの結晶構造を有している。「リチウム含有リン酸化合物」とは、リチウムと1種類または2種類以上の他元素とを構成元素として含むリン酸化合物の総称であり、例えば、オリビン型などの結晶構造を有している。
[0047]
 他のリチウム含有複合酸化物およびリチウム含有リン酸化合物のそれぞれに構成元素として含まれる他元素の種類は、特に限定されない。中でも、他元素は、長周期型周期表の2族~15族に属する元素のうちのいずれか1種類または2種類以上であることが好ましい。より具体的には、他元素は、例えば、ニッケル、コバルト、マンガンおよび鉄(Fe)などである。高い電圧が得られるからである。
[0048]
 他のリチウム含有複合酸化物は、例えば、下記の式(22)、式(23)および式(24)のそれぞれで表される化合物などである。式(22)~式(24)のそれぞれに示した化合物は、いずれも層状岩塩型の結晶構造を有している。
[0049]
 Li a Mn (1-b-c) Ni b M11 c (2-d) e  ・・・(22)
(M11は、コバルト、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム(V)、クロム、鉄、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム、モリブデン、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウムおよびタングステン(W)のうちの少なくとも1種である。a、b、c、dおよびeは、0.8≦a≦1.2、0<b<0.5、0≦c≦0.5、(b+c)<1、-0.1≦d≦0.2および0≦e≦0.1を満たす。ただし、リチウムの組成は、充放電状態に応じて異なると共に、aの値は、完全放電状態の値である。)
[0050]
 Li a Ni (1-b) M12 b (2-c) d  ・・・(23)
(M12は、コバルト、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、スズ、カルシウム、ストロンチウムおよびタングステンのうちの少なくとも1種である。a、bcおよびdは、0.8≦a≦1.2、0.005≦b≦0.5、-0.1≦c≦0.2および0≦d≦0.1を満たす。ただし、リチウムの組成は、充放電状態に応じて異なると共に、aの値は、完全放電状態の値である。)
[0051]
 Li a Co (1-b) M13 b (2-c) d  ・・・(24)
(M13は、ニッケル、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、スズ、カルシウム、ストロンチウムおよびタングステンのうちの少なくとも1種である。a、b、cおよびdは、0.8≦a≦1.2、0≦b<0.5、-0.1≦c≦0.2および0≦d≦0.1を満たす。ただし、リチウムの組成は、充放電状態に応じて異なると共に、aの値は、完全放電状態の値である。)
[0052]
 層状岩塩型の結晶構造を有している他のリチウム含有複合酸化物の具体例は、LiNiO 2 、LiCoO 2 、LiCo 0.98Al 0.01Mg 0.012 、LiNi 0.33Co 0.33Mn 0.332 、Li 1.2 Mn 0.52Co 0.175 Ni 0.1 2 およびLi 1.15(Mn 0.65Ni 0.22Co 0.13)O 2 などである。
[0053]
 また、他のリチウム含有複合酸化物は、例えば、下記の式(25)で表される化合物などであり、スピネル型の結晶構造を有している。
[0054]
 Li a Mn (2-b) M14 b c d  ・・・(25)
(M14は、コバルト、ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、スズ、カルシウム、ストロンチウムおよびタングステンのうちの少なくとも1種である。a、b、cおよびdは、0.9≦a≦1.1、0≦b≦0.6、3.7≦c≦4.1および0≦d≦0.1を満たす。ただし、リチウムの組成は、充放電状態に応じて異なると共に、aの値は、完全放電状態の値である。)
[0055]
 スピネル型の結晶構造を有している他のリチウム含有複合酸化物の具体例は、LiMn 2 4 などである。
[0056]
 リチウム含有リン酸化合物は、例えば、下記の式(26)で表される化合物などである。
[0057]
 Li a M15PO 4  ・・・(26)
(M15は、コバルト、マンガン、鉄、ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、ニオブ、銅、亜鉛、モリブデン、カルシウム、ストロンチウム、タングステンおよびジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも1種である。aは、0.9≦a≦1.1を満たす。ただし、リチウムの組成は、充放電状態に応じて異なると共に、aの値は、完全放電状態の値である。)
[0058]
 リチウム含有リン酸化合物の具体例は、LiFePO 4 、LiMnPO 4 、LiFe 0.5 Mn 0.5 PO 4 およびLiFe 0.3 Mn 0.7 PO 4 などである。
[0059]
 なお、他のリチウム含有複合酸化物は、下記の式(27)で表される化合物などでもよい。
[0060]
 (Li 2 MnO 3 x (LiMnO 2 1-x  ・・・(27)
(xは、0≦x≦1を満たす。ただし、リチウムの組成は、充放電状態に応じて異なると共に、xの値は、完全放電状態の値である。)
[0061]
 この他、正極材料は、例えば、上記したリチウム含有化合物(リチウムニッケル含有複合酸化物を含む。)と共に、他の化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。他の化合物の種類は、特に限定されないが、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物および導電性高分子などである。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムおよび二酸化マンガンなどである。二硫化物は、例えば、二硫化チタンおよび硫化モリブデンなどである。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブなどである。導電性高分子は、例えば、硫黄、ポリアニリンおよびポリチオフェンなどである。
[0062]
(正極結着剤)
 正極結着剤は、例えば、合成ゴムおよび高分子化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよびエチレンプロピレンジエンなどである。高分子化合物は、例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリイミドなどである。
[0063]
(正極導電剤)
 正極導電剤は、例えば、炭素材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この炭素材料は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどである。ただし、正極導電剤は、導電性を有している材料であれば、金属材料および導電性高分子などでもよい。
[0064]
[負極]
 負極34は、例えば、図2に示したように、負極集電体34Aと、その負極集電体34Aの両面に設けられた負極活物質層34Bとを含んでいる。ただし、負極活物質層34Bは、負極集電体34Aの片面だけに設けられていてもよい。
[0065]
(負極集電体)
 負極集電体34Aは、例えば、導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。導電性材料の種類は、特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム、ニッケルおよびステンレスなどである。なお、負極集電体34Aは、単層でもよいし、多層でもよい。
[0066]
 負極集電体34Aの表面は、粗面化されていることが好ましい。いわゆるアンカー効果を利用して、負極集電体34Aに対する負極活物質層34Bの密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層34Bと対向する領域において、負極集電体34Aの表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法は、例えば、電解処理を利用して微粒子を形成する方法などである。具体的には、電解処理では、電解槽中において電解法を用いて負極集電体34Aの表面に微粒子が形成されるため、その負極集電体34Aの表面に凹凸が設けられる。電解法により作製された銅箔は、一般的に、電解銅箔と呼ばれている。
[0067]
(負極活物質層)
 負極活物質層34Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、負極活物質層34Bは、上記した負極活物質と共に、負極結着剤および負極導電剤などの他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
[0068]
 ここで、充電途中において意図せずにリチウム金属が負極34の表面に析出することを防止するために、負極材料の充電可能な容量は、正極33の放電容量よりも大きいことが好ましい。すなわち、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の電気化学当量は、正極33の電気化学当量よりも大きいことが好ましい。
[0069]
(負極活物質(負極材料))
 負極材料は、例えば、炭素材料である。リチウムの吸蔵時および放出時において結晶構造が変化しにくいため、高いエネルギー密度が安定に得られるからである。また、炭素材料は負極導電剤としても機能するため、負極活物質層34Bの導電性が向上するからである。
[0070]
 炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素および黒鉛などである。ただし、難黒鉛化性炭素に関する(002)面の面間隔は、0.37nm以上であることが好ましいと共に、黒鉛に関する(002)面の面間隔は、0.34nm以下であることが好ましい。より具体的には、炭素材料は、例えば、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭およびカーボンブラック類などである。このコークス類は、ピッチコークス、ニードルコークスおよび石油コークスなどを含む。有機高分子化合物焼成体は、フェノール樹脂およびフラン樹脂などの高分子化合物が適当な温度で焼成(炭素化)された材料である。この他、炭素材料は、約1000℃以下の温度で熱処理された低結晶性炭素でもよいし、非晶質炭素でもよい。なお、炭素材料の形状は、特に限定されないが、例えば、繊維状、球状、粒状および鱗片状などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
[0071]
 また、負極材料は、例えば、金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含む材料(金属系材料)である。高いエネルギー密度が得られるからである。
[0072]
 金属系材料は、単体、合金および化合物のうちのいずれでもよいし、それらのうちの2種類以上でもよいし、それらのうちの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に含んでいる材料でもよい。ただし、ここで説明する「合金」は、2種類以上の金属元素を含む合金に加えて、1種類以上の金属元素と1種類以上の半金属元素とを含む合金を包含すると共に、非金属元素を含む合金も包含する。金属系材料の組織は、特に限定されないが、例えば、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物およびそれらのうちの2種類以上の共存物などである。
[0073]
 金属元素および半金属元素は、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上である。具体的には、例えば、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム、イットリウム、パラジウム(Pd)および白金(Pt)などである。
[0074]
 中でも、ケイ素およびスズのうちの一方または双方が好ましい。リチウムを吸蔵および放出する能力が優れているため、著しく高いエネルギー密度が得られるからである。
[0075]
 ケイ素およびスズのうちの一方または双方を構成元素として含む材料は、ケイ素の単体、ケイ素の合金およびケイ素の化合物のうちのいずれでもよいし、スズの単体、スズの合金およびスズの化合物のうちのいずれでもよいし、それらのうちの2種類以上でもよいし、それらのうちの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に含んでいる材料でもよい。ここで説明する「単体」は、あくまで一般的な意味合いでの単体であるため、微量の不純物を含んでいてもよい。すなわち、単体の純度は、100%に限られない。
[0076]
 ケイ素の合金は、例えば、ケイ素と共に、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含んでいる。ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素と共に、炭素および酸素などのうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含んでいる。なお、ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素と共に、上記したケイ素の合金に関して説明した一連の元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含んでいてもよい。
[0077]
 ケイ素の合金およびケイ素の化合物の具体例は、SiB 4 、SiB 6 、Mg 2 Si、Ni 2 Si、TiSi 2 、MoSi 2 、CoSi 2 、NiSi 2 、CaSi 2 、CrSi 2 、Cu 5 Si、FeSi 2 、MnSi 2 、NbSi 2 、TaSi 2 、VSi 2 、WSi 2 、ZnSi 2 、SiC、Si 3 4 、Si 2 2 O、SiO v (0<v≦2)、およびLiSiOなどである。なお、SiO v におけるvは、0.2<v<1.4でもよい。
[0078]
 スズの合金は、例えば、スズと共に、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含んでいる。スズの化合物は、例えば、スズと共に、炭素および酸素などのうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含んでいる。なお、スズの化合物は、例えば、スズと共に、上記したスズの合金に関して説明した一連の元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含んでいてもよい。
[0079]
 スズの合金およびスズの化合物の具体例は、SnO w (0<w≦2)、SnSiO 3 、LiSnOおよびMg 2 Snなどである。
[0080]
 特に、スズを構成元素として含む材料は、例えば、第1構成元素であるスズと共に第2構成元素および第3構成元素を含む材料(Sn含有材料)であることが好ましい。第2構成元素は、例えば、コバルト、鉄、マグネシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銀、インジウム、セシウム(Ce)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン、ビスマスおよびケイ素などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。第3構成元素は、例えば、ホウ素、炭素(C)、アルミニウムおよびリン(P)などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。Sn含有材料がスズと共に上記した第2構成元素および第3構成元素を含んでいることにより、高い電池容量および優れたサイクル特性などが得られるからである。
[0081]
 中でも、Sn含有材料は、スズとコバルトと炭素とを構成元素として含む材料(SnCoC含有材料)であることが好ましい。SnCoC含有材料の組成は、例えば、以下の通りである。炭素の含有量は、9.9質量%~29.7質量%である。スズおよびコバルトの含有量の割合(Co/(Sn+Co))は、20質量%~70質量%である。高いエネルギー密度が得られるからである。
[0082]
 SnCoC含有材料は、スズとコバルトと炭素とを含む相を含んでおり、その相は、低結晶性でもよいし、非晶質でもよいし、結晶性部分および非晶質部分の双方を含んでいてもよい。この相は、リチウムと反応することが可能な反応相であるため、その反応相の存在に起因して優れた特性が得られる。X線回折法を用いた反応相の分析結果により得られる回折ピークの半値幅(回折角2θ)は、特定X線としてCuKα線を用いると共に挿引速度を1°/minとした場合において、例えば、1°以上である。リチウムがより円滑に吸蔵および放出されると共に、電解液に対する反応性が低減するからである。なお、SnCoC含有材料は、低結晶性の相または非晶質の相に加えて、各構成元素の単体または一部が含まれている相を含んでいる場合もある。
[0083]
 上記した回折ピークがリチウムと反応することが可能な反応相に対応しているか否かに関しては、例えば、リチウムに対する電気化学的反応の前後におけるX線回折チャートを比較することにより、容易に判断可能である。例えば、リチウムとの電気化学的反応の前後において回折ピークの位置が変化していれば、その回折ピークは、リチウムと反応することが可能な反応相に対応する回折ピークである。この場合には、例えば、低結晶性または非晶質である反応相の回折ピークが2θ=20°~50°の範囲に検出される。この反応相は、例えば、上記した一連の構成元素を含んでおり、主に、炭素の存在に起因して低結晶化または非晶質化していると考えられる。
[0084]
 SnCoC含有材料では、炭素のうちの一部または全部が金属元素および半金属元素のうちの一方または双方と結合していることが好ましい。スズなどの凝集および結晶化などが抑制されるからである。元素の結合状態に関しては、例えば、X線光電子分光法(XPS)を用いて確認可能である。市販の装置では、例えば、軟X線としてAl-Kα線およびMg-Kα線などのうちのいずれか1種類または2種類以上が用いられる。炭素のうちの一部または全部が金属元素または半金属元素などと結合している場合には、炭素の1s軌道(C1s)の合成波に関するピークが284.5eVよりも低い領域に現れる。ただし、金原子の4f軌道(Au4f)に関するピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正されていることを条件とする。この際、通常、物質表面に表面汚染炭素が存在しているため、その表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとして、そのピークをエネルギー基準とする。XPSを用いた分析結果において、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形で得られる。このため、例えば、市販のソフトウエアなどを用いてC1sのピークを解析することにより、表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中における炭素のピークとを分離する。波形の解析時には、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
[0085]
 SnCoC含有材料は、スズ、コバルトおよび炭素を構成元素として含む材料(SnCoC)に限られない。このSnCoC含有材料は、例えば、スズ、コバルトおよび炭素に加えて、ケイ素、鉄、ニッケル、クロム、インジウム、ニオブ、ゲルマニウム、チタン、モリブデン、アルミニウム、リン、ガリウムおよびビスマスなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含んでいてもよい。
[0086]
 SnCoC含有材料の他、スズとコバルトと鉄と炭素とを構成元素として含む材料(SnCoFeC含有材料)も好ましい。SnCoFeC含有材料の組成は、任意である。一例を挙げると、鉄の含有量を少なめに設定する場合は、炭素の含有量が9.9質量%~29.7質量%、鉄の含有量が0.3質量%~5.9質量%、スズおよびコバルトの含有量の割合(Co/(Sn+Co))が30質量%~70質量%である。一方、鉄の含有量を多めに設定する場合は、炭素の含有量が11.9質量%~29.7質量%、スズ、コバルトおよび鉄の含有量の割合((Co+Fe)/(Sn+Co+Fe))が26.4質量%~48.5質量%、コバルトおよび鉄の含有量の割合(Co/(Co+Fe))が9.9質量%~79.5質量%である。高いエネルギー密度が得られるからである。なお、SnCoFeC含有材料の物性(半値幅など)に関する詳細は、例えば、上記したSnCoC含有材料の物性に関する詳細と同様である。
[0087]
 この他、負極材料は、例えば、金属酸化物および高分子化合物などでもよい。金属酸化物は、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムおよび酸化モリブデンなどである。高分子化合物は、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンおよびポリピロールなどである。
[0088]
 中でも、負極材料は、以下の理由により、炭素材料および金属系材料の双方を含んでいることが好ましい。
[0089]
 金属系材料、特に、ケイ素およびスズのうちの一方または双方を構成元素として含んでいる材料は、理論容量が高いという利点を有する反面、充放電時において激しく膨張および収縮しやすいという懸念点を有する。これに対して、炭素材料は、充放電時において膨張および収縮しにくいという利点を有する反面、理論容量が低いという懸念点を有する。よって、炭素材料と金属系材料とを併用することにより、高い理論容量(言い替えれば、電池容量)を得つつ、充放電時における負極活物質の膨張および収縮が抑制される。
[0090]
 負極活物質層34Bは、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法および焼成法(焼結法)などのうちのいずれか1種類または2種類以上の方法により形成されている。塗布法は、例えば、粒子(粉末)状の負極活物質を負極結着剤などと混合したのち、その混合物を有機溶剤などに分散させてから負極集電体34Aに塗布する方法である。気相法は、例えば、物理堆積法および化学堆積法などである。より具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長、化学気相成長(CVD)法およびプラズマ化学気相成長法などである。液相法は、例えば、電解鍍金法および無電解鍍金法などである。溶射法は、溶融状態または半溶融状態の負極活物質を負極集電体34Aの表面に噴き付ける方法である。焼成法は、例えば、有機溶剤などに分散された混合物を負極集電体34Aに塗布したのち、負極結着剤などの融点よりも高い温度で混合物を熱処理する方法である。この焼成法は、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法およびホットプレス焼成法などである。
[0091]
 この二次電池では、上記したように、充電途中において意図せずにリチウム金属が負極34の表面に析出することを防止するために、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の電気化学当量は、正極の電気化学当量よりも大きくなっている。また、完全充電時の開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.25V以上であると、その完全充電時の開回路電圧が4.2Vである場合と比較して、同じ正極活物質を用いても単位質量当たりにおけるリチウムの放出量が多くなるため、その傾向を考慮した上で、正極活物質と負極活物質との量が調整されている。これにより、高いエネルギー密度が得られる。
[0092]
 完全充電時の開回路電圧(充電時の終止電圧)は、特に限定されないが、上記したように、4.2V以上であることが好ましい。中でも、完全充電時の開回路電圧は、4.25V以上であることが好ましく、4.35V以上であることがより好ましい。なお、放電時の終止電圧は、特に限定されないが、例えば、3.0V以下である。
[0093]
(負極結着剤および負極導電剤)
 負極結着剤に関する詳細は、例えば、上記した正極結着剤に関する詳細と同様である。また、負極導電剤に関する詳細は、例えば、上記した正極導電剤に関する詳細と同様である。
[0094]
[セパレータ]
 セパレータ35は、例えば、図2に示したように、正極33と負極34との間に介在している。このセパレータ35は、主に、正極33と負極34との接触に起因する電流の短絡を防止しながら、正極33と負極34との間においてリチウムイオンを通過させる。
[0095]
 このセパレータ35は、例えば、合成樹脂およびセラミックなどのいずれか1種類または2種類以上を含む多孔質膜であり、2種類以上の多孔質膜が積層された積層膜でもよい。合成樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどである。
[0096]
 特に、セパレータ35は、例えば、上記した多孔質膜(基材層)と、その基材層の片面または両面に設けられた高分子化合物層とを含んでいてもよい。正極33および負極34のそれぞれに対するセパレータ35の密着性が向上するため、巻回電極体30の歪みなどが抑制されるからである。これにより、電解液の分解反応が抑制されると共に、基材層に含浸された電解液の漏液も抑制されるため、充放電を繰り返しても電気抵抗が上昇しにくくなると共に、二次電池が膨れにくくなる。
[0097]
 高分子化合物層は、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子化合物を含んでいる。物理的強度に優れていると共に、電気化学的に安定だからである。ただし、高分子化合物の種類は、特に限定されないため、ポリフッ化ビニリデン以外でもよい。高分子化合物層を形成する場合には、例えば、有機溶剤などに高分子化合物が溶解された溶液を基材層に塗布したのち、その基材層を乾燥させる。ただし、溶液中に基材層を浸漬させたのち、その基材層を乾燥させてもよい。
[0098]
 なお、高分子化合物層は、例えば、無機粒子などの絶縁性粒子のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。無機粒子の種類は、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムなどである。
[0099]
[電解液]
 電解液は、上記したように、巻回電極体30に含浸されている。これにより、電解液は、巻回電極体30を構成している正極33、負極34およびセパレータ35などのそれぞれに含浸されている。
[0100]
(溶媒)
 この電解液は、溶媒を含んでおり、その溶媒は、環状炭酸エステルである炭酸エチレンと、ニトリル化合物とを含んでいる。非水溶媒(有機溶剤)である炭酸エチレンを含んでいる電解液は、いわゆる非水電解液である。
[0101]
 なお、溶媒は、上記した炭酸エチレンおよびニトリル化合物と共に、他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。他の材料の詳細に関しては、後述する。
[0102]
(炭酸エチレンの含有量)
 この電解液では、溶媒中に占める炭酸エチレンの割合が適正化されている。すなわち、溶媒中における炭酸エチレンの含有量(重量%)は、十分に少なくなるように設定されており、具体的には、8重量%~20重量%である。
[0103]
 炭酸エチレンの含有量が上記した範囲内であるのは、その溶媒が炭酸エチレンと共にニトリル化合物を含んでいても、二次電池が膨れることを抑制しながら、その二次電池において十分な放電容量が得られるからである。
[0104]
 すなわち、二次電池の使用時(充放電時)において、電解液を用いて充放電反応を十分に進行させながら、電解液の分解反応(主に、炭酸エチレンの酸化分解反応)が抑制されると共に、その電解液の分解反応に起因するガス(主に、二酸化炭素)の発生も抑制される。しかも、二次電池を繰り返して使用(充放電)しても、放電容量が減少しにくくなる。これにより、二次電池を継続的に使用しても、十分な放電容量が得られると共に、その二次電池が膨れにくくなる。
[0105]
 詳細には、溶媒がニトリル化合物を含んでいると、後述するように、そのニトリル化合物の存在に起因して二次電池が膨れにくくなる反面、自己放電率が増加することに起因して放電容量が減少しやすくなる。この場合には、後述するように、ニトリル化合物に由来する被膜が形成されることに起因して二次電池の電気抵抗が増加するため、やはり放電容量が減少しやすくなる。しかしながら、溶媒が適正量の炭酸エチレンを含んでいると、その溶媒がニトリル化合物を含んでいても自己放電率が増加しにくくなるため、放電容量が減少しにくくなる。これにより、二次電池の膨れの抑制と放電容量の減少の抑制とが両立される。
[0106]
 この場合には、特に、高温環境などの厳しい環境中において二次電池が使用および保存されても、電解液の分解反応が効果的に抑制される。
[0107]
 また、ここで説明しているラミネートフィルム型の二次電池は、柔軟性を有するフィルム状の外装部材40を備えている。この場合には、外装部材40が外力に応じて変形しやすいため、本質的にガスの発生(内圧の上昇)に起因して二次電池が膨らみやすい傾向にある。よって、ラミネートフィルム型の二次電池に用いられる電解液において、上記したように炭酸エチレンの含有量が適正化されていると、フィルム状の外装部材40を用いていることに起因して二次電池が本質的に膨れやすい場合においても、その二次電池が効果的に膨れにくくなる。
[0108]
 なお、電解液の分解反応に起因するガスの発生を抑制するために、溶媒の一成分である炭酸エチレンに着目しているのは、その炭酸エチレンがガスの発生に大きな影響を及ぼすからである。
[0109]
 詳細には、二次電池の使用時(充放電時)においてガスを発生させる要因としては、複数の要因が考えられる。中でも、ガスの発生要因のうちの主要な要因は、溶媒の分解反応であり、特に、炭酸エチレンの酸化分解反応である。この炭酸エチレンは、高誘電率溶媒としての役割を果たすと共に、初回の充放電時において負極34の表面に安定な被膜(SEI:Solid Electrolyte Interphase)を形成する役割を果たすため、電解液に含まれる溶媒として広く用いられている。しかしながら、炭酸エチレンは、上記した有用な役割を果たす反面、二次電池に搭載されている部品(例えば、正極33など)の材質との相性および充放電条件などによっては、主要なガスの発生源になる。そこで、炭酸エチレンの有用な役割に基づく利点を活用しながら、二次電池の使用時においてガスが発生することを抑制するために、上記したように、溶媒の一成分である炭酸エチレンに着目する必要がある。
[0110]
 ここで、溶媒中における炭酸エチレンの含有量(重量%)を測定する手順は、例えば、以下の通りである。最初に、遠心分離法および溶媒抽出法などのうちのいずれか1種類または2種類以上を用いて、二次電池から電解液を回収する。続いて、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS)および核磁気共鳴分光分析法(NMR)などの分析法のうちのいずれか1種類または2種類以上を用いて電解液を分析することにより、その電解液に含まれている溶媒中の各成分を定量する。最後に、各成分の定量結果に基づいて、溶媒中に含まれている炭酸エチレンの含有量を特定する。
[0111]
 ただし、炭酸エチレンの含有量に関する測定精度を担保するためには、以下の点に留意することが望ましい。第1に、電解液を回収するために溶媒抽出法を用いる場合には、例えば、電解液中に含まれている溶媒とは異なる種類の溶媒を用いる。第2に、電解液を回収したのち、その電解液を取り扱う場合には、低粘度の溶媒が揮発することに注意する。
[0112]
[ニトリル化合物]
 ニトリル化合物は、下記の式(1)で表される化合物である。なお、ニトリル化合物の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
[0113]
 R1-(CN) n  ・・・(1)
(R1は、n価の炭化水素基である。nは、1以上の整数である。)
[0114]
 この「ニトリル化合物」とは、式(1)から明らかなように、ニトリル基(-CN)を有する化合物の総称である。nの範囲から明らかなように、ニトリル基の数は、1個だけでもよいし、2個以上でもよい。
[0115]
 溶媒がニトリル化合物を含んでいるのは、充放電時においてニトリル化合物に起因する被膜が形成されるため、その被膜を利用して電解液の分解反応が抑制されるからである。これにより、電解液の分解反応に起因するガスの発生が抑制されるため、充放電を繰り返しても二次電池が膨れにくくなる。
[0116]
 詳細には、電解液中にニトリル化合物が含まれていると、そのニトリル化合物中の極性基(ニトリル基)が正極33の表面に強く結合されるため、そのニトリル化合物に由来する錯体が形成される。この錯体は、正極33の表面を保護する保護膜として機能する。これにより、充放電時において、正極33(リチウムニッケル含有複合酸化物)に含まれている遷移金属の一部が溶出することは抑制されるため、その遷移金属の一部が負極34の表面に析出することも抑制される。しかも、正極33の表面における電解液の分解反応が抑制されると共に、その電解液の分解反応に起因するガスの発生も抑制される。
[0117]
(n価の炭化水素基)
 「n価の炭化水素基」とは、上記したように、炭素および水素により構成されているn価の基の総称である。このn価の炭化水素基は、1個または2個以上の不飽和炭素結合を含んでいてもよいし、その不飽和炭素結合を含んでいなくてもよい。不飽和炭素結合は、炭素間二重結合(>C=C<)および炭素間三重結合(-C≡C-)のうちの一方または双方である。また、n価の炭化水素基は、直鎖状でもよいし、1個または2個以上の側鎖を有する分岐状でもよいし、環状でもよい。
[0118]
 具体的には、n価の炭化水素基は、例えば、炭化水素からn個の水素基が脱離された基であり、その炭化水素は、例えば、アルカン、アルケン、アルキン、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素および結合化合物などである。この「結合化合物」とは、上記したアルカン、アルケン、アルキン、脂環式炭化水素および芳香族炭化水素のうちの2種類以上が互いに結合された化合物の総称である。なお、炭化水素から水素基が脱離される位置は、特に限定されないと共に、n価の炭化水素基の炭素数は、特に限定されない。
[0119]
 アルカンの種類は、特に限定されないが、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンなどである。
[0120]
 アルケンの種類は、特に限定されないが、例えば、エチレン(エテン)、プロピレン(プロペン)、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネンおよびデセンなどである。
[0121]
 アルキンの種類は、特に限定されないが、例えば、エチン(アセチレン)、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘキシン、ヘプチン、オクチン、ノニンおよびデシンなどである。
[0122]
 脂環式炭化水素の種類は、特に限定されないが、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンおよびシクロデカンなどである。
[0123]
 芳香族炭化水素の種類は、特に限定されないが、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルおよびターフェニルなどである。
[0124]
 結合化合物の種類は、特に限定されないが、例えば、アルカンとアルケンとが互いに結合された化合物、アルカンとアルキンとが互いに結合された化合物、アルケンとアルキンとが互いに結合された化合物、アルカン、アルケンおよびアルキンのうちの1種類以上と脂環式炭化水素とが互いに結合された化合物、アルカン、アルケンおよびアルキンのうちの1種類以上と芳香族炭化水素とが互いに結合された化合物、ならびにアルカン、アルケンおよびアルキンのうちの1種類以上と脂環式炭化水素と芳香族炭化水素とが互いに結合された化合物などである。
[0125]
(n価の炭化水素基に関する詳細(n=1の場合))
 例えば、n=1であるため、ニトリル基の数が1個である場合、上記したn価の炭化水素基は、1価の炭化水素基である。1価の炭化水素基に関する詳細は、例えば、以下の通りである。
[0126]
 アルカンから1個の水素基が脱離された基は、いわゆるアルキル基である。アルキル基の種類は、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基およびデシル基などである。
[0127]
 アルケンから1個の水素基が脱離された基は、いわゆるアルケニル基である。アルケニル基の種類は、特に限定されないが、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基およびデセニル基などである。
[0128]
 アルキンから1個の水素基が脱離された基は、いわゆるアルキニル基である。アルキニル基の種類は、特に限定されないが、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニリル基およびデシニル基などである。
[0129]
 脂環式炭化水素から1個の水素基が脱離された基は、いわゆるシクロアルキル基である。シクロアルキル基の種類は、特に限定されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基およびシクロデシル基などである。
[0130]
 芳香族炭化水素から1個の水素基が脱離された基は、いわゆるアリール基である。アリール基の種類は、特に限定されないが、例えば、フェニル基およびナフチル基などである。
[0131]
 結合化合物から1個の水素基が脱離された基は、いわゆる1価結合基である。1価結合基の種類は、特に限定されないが、例えば、アルキル基とアルケニル基とが1価となるように互いに結合された基、アルキル基とアルキニルとが1価となるように互いに結合された基、アルケニル基とアルキニル基とが1価となるように互いに結合された基、シクロアルキル基とアリール基とが1価となるように互いに結合された基、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基のうちの1種類以上とシクロアルキル基とが1価となるように互いに結合された基、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基のうちの1種類以上とアリール基とが1価となるように互いに結合された基、ならびにアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基のうちの1種類以上とシクロアルキル基とアリール基とが1価となるように互いに結合された基などである。
[0132]
(n価の炭化水素基に関する詳細(n=2の場合))
 例えば、n=2であるため、ニトリル基の数が2個である場合、上記したn価の炭化水素基は、2価の炭化水素基である。2価の炭化水素基に関する詳細は、例えば、以下の通りである。
[0133]
 アルカンから2個の水素基が脱離された基は、いわゆるアルキレン基である。アルキレン基の種類は、特に限定されないが、例えば、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基およびデシレン基などである。
[0134]
 アルケンから2個の水素基が脱離された基は、いわゆるアルケニレン基である。アルケニレン基の種類は、特に限定されないが、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基、ノネニレン基およびデセニレン基などである。
[0135]
 アルキンから2個の水素基が脱離された基は、いわゆるアルキニレン基である。アルキニレン基の種類は、特に限定されないが、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、ヘプチニレン基、オクチニレン基、ノニリレン基およびデシニレン基などである。
[0136]
 脂環式炭化水素から2個の水素基が脱離された基は、いわゆるシクロアルキレン基である。シクロアルキレン基の種類は、特に限定されないが、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基およびシクロデシレン基などである。
[0137]
 芳香族炭化水素から2個の水素基が脱離された基は、いわゆるアリーレン基である。アリーレン基の種類は、特に限定されないが、例えば、フェニレン基およびナフチレン基などである。
[0138]
 結合化合物から2個の水素基が脱離された基は、いわゆる2価結合基である。2価結合基の種類は、特に限定されないが、例えば、アルキレン基とアルケニレン基とが互いに結合された基、アルキレン基とアルキニレンとが互いに結合された基、アルケニレン基とアルキニレン基とが互いに結合された基、シクロアルキレン基とアリーレン基とが互いに結合された基、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基のうちの1種類以上とシクロアルキレン基とが互いに結合された基、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基のうちの1種類以上とアリーレン基とが互いに結合された基、ならびにアルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基のうちの1種類以上とシクロアルキレン基とアリーレン基とが互いに結合された基などである。
[0139]
(n価の炭化水素基に関する詳細(n=3以上の場合))
 例えば、n=3であるため、ニトリル基の数が3個である場合、上記したn価の炭化水素基は、3価の炭化水素基である。3価の炭化水素基に関する詳細は、例えば、以下の通りである。アルカンから3個の水素基が脱離された基は、上記したアルキレン基からさらに1個の水素基が脱離された基である。アルケンから3個の水素基が脱離された基は、上記したアルケニレン基からさらに1個の水素基が脱離された基である。アルキンから3個の水素基が脱離された基は、上記したアルキニレン基からさらに1個の水素基が脱離された基である。脂環式炭化水素から3個の水素基が脱離された基は、上記したシクロアルキレン基からさらに1個の水素基が脱離された基である。芳香族炭化水素から3個の水素基が脱離された基は、上記したアリーレン基からさらに1個の水素基が脱離された基である。結合化合物から3個の水素基が脱離された基は、上記した2価結合基からさらに1個の水素基が脱離された基である。
[0140]
 もちろん、n価の炭化水素基は、アルカン、アルケン、アルキン、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素および結合化合物のそれぞれから4個以上の水素基が脱離された4価以上の炭化水素基でもよい。
[0141]
(好適なニトリル化合物)
 中でも、ニトリル化合物は、下記の式(2)で表される化合物を含んでいることが好ましい。二次電池が十分に膨れにくくなるからである。
[0142]
 NC-R2-CN ・・・(2)
(R2は、2価の炭化水素基である。)
[0143]
 このニトリル化合物は、2個のニトリル基を有するジニトリル化合物である。2価の炭化水素基に関する詳細は、例えば、上記した通りである。すなわち、2価の炭化水素基は、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基および2価結合基などである。
[0144]
 2価の炭化水素基の炭素数は、特に限定されない。中でも、アルキレン基の炭素数は、1~12であることが好ましい。アルケニレン基およびアルキニレン基のそれぞれの炭素数は、2~12であることが好ましい。シクロアルキレン基の炭素数は、3~12であることが好ましい。アリーレン基の炭素数は、6~12であることが好ましい。ニトリル化合物の溶解性および相溶性などが向上するからである。
[0145]
(ニトリル化合物の具体例)
 ニトリル化合物の具体例は、以下の通りである。
[0146]
 1個のニトリル基を有するニトリル化合物(モノニトリル化合物)の具体例は、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリルおよびバレロニトリルなどである。
[0147]
 2個のニトリル基を有するニトリル化合物(ジニトリル化合物)の具体例は、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、フマロニトリル、フタロニトリル、イソフタロニトリルおよびテレフタロニトリルなどである。
[0148]
 3個のニトリル基を有するニトリル化合物(トリニトリル化合物)の具体例は、1,2,3-プロパントリカルボニトリル、1,2,3-ペンタントリカルボニトリル、1,3,4-ヘキサントリカルボニトリル、1,3,5-シクロヘキサントリカルボニトリルおよび1,2,3-ベンゼントリカルボニトリルなどである。
[0149]
 中でも、上記したように、2個のニトリル基を有しているジニトリル化合物が好ましい。
[0150]
(ニトリル化合物の含有量)
 電解液中におけるニトリル化合物の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01重量%~5重量%であり、好ましくは0.1重量%~3重量%である。充放電時において十分な量の被膜が形成されるため、電解液の分解反応が十分に抑制されるからである。
[0151]
(溶媒に含まれている他の材料)
 溶媒に含まれている他の材料に関する詳細は、例えば、以下の通りである。
[0152]
(環状スルホン酸化合物)
 他の材料は、例えば、環状スルホン酸化合物である。この「環状スルホン酸化合物」とは、スルホン酸結合(-S(=O) 2 -O-)を有する環状の化合物の総称である。この環状スルホン酸化合物では、例えば、上記したスルホン酸結合が環の一部を形成している。なお、環状スルホン酸化合物の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
[0153]
 溶媒が環状スルホン酸化合物を含んでいると、電解液の分解反応がより抑制されるため、その電解液の分解反応に起因するガスの発生がより抑制される。よって、充放電を繰り返しても二次電池がより膨れにくくなる。
[0154]
 環状スルホン酸化合物の種類は、スルホン酸結合を有している環状の化合物であれば、特に限定されない。中でも、スルホン酸化合物は、下記の式(3)、式(4)および式(5)のそれぞれで表される化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいることが好ましい。電解液の分解反応が十分に抑制されるため、二次電池が十分に膨れにくくなるからである。
[0155]
[化1]


(R3、R4およびR5のそれぞれは、2価の炭化水素基である。)
[0156]
 2価の炭化水素基に関する詳細は、例えば、上記した通りである。すなわち、2価の炭化水素基は、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基および2価結合基などである。
[0157]
 以下では、式(3)~式(5)のそれぞれに示した化合物を区別するために、式(3)に示した化合物を「第1環状スルホン酸化合物」、式(4)に示した化合物を「第2環状スルホン酸化合物」、式(5)に示した化合物を「第3環状スルホン酸化合物」とそれぞれ呼称する。この他、必要に応じて、第1環状スルホン酸化合物、第2環状スルホン酸化合物および第3環状スルホン酸化合物を「環状スルホン酸化合物」と総称する。
[0158]
 第1環状スルホン酸化合物は、式(3)から明らかなように、いわゆる環状のスルホン酸エステル(モノスルホン酸エステル)である。R3である2価の炭化水素基の炭素数に関する詳細は、例えば、上記した通りである。
[0159]
 第1環状スルホン酸化合物の具体例は、プロパンスルトン(1,3-プロパンスルトン)およびプロペンスルトン(1-プロペン1,3-スルトン)などである。プロパンスルトンでは、R3がプロピレン基(-CH 2 -CH 2 -CH 2 -)である。プロペンスルトンでは、R3がプロペニレン基(-CH=CH-CH 2 -)である。
[0160]
 第2環状スルホン酸化合物は、式(4)から明らかなように、いわゆる環状のジスルホン酸無水物であり、2個のスルホン酸基(-S(=O) 2 -OH)が脱水反応したジスルホン酸無水物結合(-S(=O) 2 -O-S(=O) 2 -)を有している。R4である2価の炭化水素基の炭素数に関する詳細は、例えば、上記した通りである。
[0161]
 第2環状スルホン酸化合物の具体例は、エタンジスルホン酸無水物およびプロパンジスルホン酸無水物などである。エタンジスルホン酸無水物では、R4がエチレン基(-CH 2 -CH 2 -)である。プロパンジスルホン酸無水物では、R4がプロピレン基(-CH 2 -CH 2 -CH 2 -)である。
[0162]
 第3環状スルホン酸化合物は、式(5)から明らかなように、いわゆる環状のスルホン酸カルボン酸無水物であり、スルホン酸基とカルボン酸基(-C(=O)-OH)とが脱水反応したスルホン酸カルボン酸無水物結合(-S(=O) 2 -O-C(=O)-)を有している。R5である2価の炭化水素基の炭素数に関する詳細は、例えば、上記した通りである。
[0163]
 第3環状スルホン酸化合物の具体例は、スルホ安息香酸無水物、スルホプロピオン酸無水物およびスルホ酪酸無水物などである。スルホ安息香酸無水物では、R5がフェニレン基(-C 6 4 -)である。スルホプロピオン酸無水物では、R5がエチレン基である。スルホ酪酸無水物では、R5がプロピレン基である。
[0164]
 電解液中における環状スルホン酸化合物の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01重量%~1重量%である。電解液の分解反応が十分に抑制されるため、二次電池が十分に膨れにくくなるからである。
[0165]
 なお、環状スルホン酸化合物が第1環状スルホン酸化合物、第2環状スルホン酸化合物および第3環状スルホン酸化合物のうちの2種類以上を含んでいる場合には、上記した「環状スルホン酸化合物の含有量」は、その2種類以上の含有量の総和である。
[0166]
(他の溶媒)
 また、他の材料は、他の溶媒である。この「他の溶媒」とは、上記した炭酸エチレン以外の溶媒である。よって、炭酸エチレンは、以下で説明する他の溶媒から除かれる。なお、他の溶媒の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
[0167]
 具体的には、他の溶媒は、高粘度(高誘電率)溶媒と低粘度(低誘電率)溶媒とを一緒に含んでいることが好ましい。後述する電解質塩の解離性およびイオンの移動度などが向上するからである。なお、高粘度溶媒の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。同様に、低粘度溶媒の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
[0168]
 高粘度溶媒の種類は、特に限定されないが、例えば、環状炭酸エステルなどである。環状炭酸エステルは、上記した炭酸エチレンの他、炭酸プロピレンなどである。
[0169]
 低粘度溶媒の種類は、特に限定されないが、例えば、鎖状炭酸エステルおよび鎖状カルボン酸エステルなどである。この低粘度溶媒は、鎖状炭酸エステルだけを含んでいてもよいし、鎖状カルボン酸エステルだけを含んでいてもよいし、鎖状炭酸エステルおよび鎖状カルボン酸エステルの双方を含んでいてもよい。
[0170]
 鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルなどである。鎖状カルボン酸エステルは、例えば、プロピオン酸エチルおよびプロピオン酸プロピルなどである。
[0171]
 なお、環状炭酸エステルは、上記した炭酸エチレンと共に、炭酸プロピレンを含んでいることが好ましい。電解液の分解反応がより抑制されるため、その電解液の分解反応に起因するガスの発生がより抑制されるからである。
[0172]
 ここで、溶媒は、炭酸エチレンと共に炭酸プロピレンを含んでいてもよいし、炭酸エチレンと共に炭酸プロピレンを含んでいなくてもよい。溶媒が炭酸エチレンと共に炭酸プロピレンを含んでいる場合、その溶媒中における炭酸プロピレンの含有量(重量%)は、特に限定されないが、例えば、32重量%以下である。なお、溶媒中における炭酸プロピレンの含有量の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.01重量%である。電解液の分解反応に起因するガスの発生が十分に抑制されるからである。
[0173]
 また、他の溶媒は、例えば、ラクトンである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。ラクトンは、例えば、γ-ブチロラクトンおよびγ-バレロラクトンなどである。
[0174]
 また、他の溶媒は、例えば、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジノン、N-メチルオキサゾリジノン、N,N’-ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、燐酸トリメチルおよびジメチルスルホキシドなどである。上記したラクトンと同様の利点が得られるからである。
[0175]
 また、他の溶媒は、不飽和環状炭酸エステル、ハロゲン化炭酸エステル、スルホン酸エステル、酸無水物およびイソシアネート化合物などである。電解液の化学的安定性が向上するため、その電解液の分解反応が抑制されるからである。
[0176]
 「不飽和環状炭酸エステル」とは、1個または2個以上の炭素間不飽和結合(炭素間二重結合)を有する環状の炭酸エステルの総称である。具体的には、不飽和環状炭酸エステルは、例えば、下記の式(6)、式(7)および式(8)のそれぞれで表される化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。溶媒中における不飽和環状炭酸エステルの含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01重量%~10重量%である。
[0177]
[化2]


(R11およびR12のそれぞれは、水素基およびアルキル基のうちのいずれかである。R13~R16のそれぞれは、水素基、アルキル基、ビニル基およびアリル基のうちのいずれかであり、R13~R16のうちの少なくとも1つは、ビニル基およびアリル基のうちのいずれかである。R17は、>CR171R172で表される基であり、R171およびR172のそれぞれは、水素基およびアルキル基のうちのいずれかである。)
[0178]
 式(6)に示した化合物は、炭酸ビニレン型の化合物である。R11およびR12のそれぞれは、互いに同じ種類の基でもよいし、互いに異なる種類の基でもよい。アルキル基に関する詳細は、例えば、上記した通りである。具体的には、アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基およびプロピル基などである。炭酸ビニレン型の化合物の具体例は、炭酸ビニレン(1,3-ジオキソール-2-オン)、炭酸メチルビニレン(4-メチル-1,3-ジオキソール-2-オン)、炭酸エチルビニレン(4-エチル-1,3-ジオキソール-2-オン)、4,5-ジメチル-1,3-ジオキソール-2-オン、4,5-ジエチル-1,3-ジオキソール-2-オン、4-フルオロ-1,3-ジオキソール-2-オンおよび4-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソール-2-オンなどである。
[0179]
 式(7)に示した化合物は、炭酸ビニルエチレン型の化合物である。R13~R16のそれぞれは、互いに同じ種類の基でもよいし、互いに異なる種類の基でもよい。もちろん、R13~R16のうちの一部が互いに同じ種類の基でもよい。炭酸ビニルエチレン型の化合物の具体例は、炭酸ビニルエチレン(4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オン)、4-メチル-4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-エチル-4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-n-プロピル-4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オン、5-メチル-4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4-ジビニル-1,3-ジオキソラン-2-オンおよび4,5-ジビニル-1,3-ジオキソラン-2-オンなどである。
[0180]
 式(8)に示した化合物は、炭酸メチレンエチレン型の化合物である。R171およびR172のそれぞれは、互いに同じ種類の基でもよいし、互いに異なる種類の基でもよい。炭酸メチレンエチレン型の化合物の具体例は、炭酸メチレンエチレン(4-メチレン-1,3-ジオキソラン-2-オン)、4,4-ジメチル-5-メチレン-1,3-ジオキソラン-2-オンおよび4,4-ジエチル-5-メチレン-1,3-ジオキソラン-2-オンなどである。
[0181]
 この他、不飽和環状炭酸エステルは、ベンゼン環を有する炭酸カテコール(カテコールカーボネート)などでもよい。
[0182]
 「ハロゲン化炭酸エステル」とは、1個または2個以上のハロゲンを構成元素として有する環状または鎖状の炭酸エステルの総称である。具体的には、ハロゲン化炭酸エステルは、例えば、下記の式(9)および式(10)のそれぞれで表される化合物のうちの一方または双方である。溶媒中におけるハロゲン化炭酸エステルの含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01重量%~10重量%である。
[0183]
[化3]


(R18~R21のそれぞれは、水素基、ハロゲン基、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであり、R18~R21のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。R22~R27のそれぞれは、水素基、ハロゲン基、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであり、R22~R27のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。)
[0184]
 式(9)に示した化合物は、環状ハロゲン化炭酸エステルである。R18~R21のそれぞれは、互いに同じ種類の基でもよいし、互いに異なる種類の基でもよい。もちろん、R18~R21のうちの一部が互いに同じ種類の基でもよい。
[0185]
 ハロゲン基の種類は、特に限定されないが、例えば、フッ素基、塩素基、臭素基およびヨウ素基などであり、中でも、フッ素基が好ましい。
[0186]
 アルキル基に関する詳細は、例えば、上記した通りである。ハロゲン化アルキル基は、アルキル基のうちの1個または2個以上の水素基がハロゲン基により置換(ハロゲン化)された基である。ハロゲン基に関する詳細は、上記した通りである。ただし、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン基の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
[0187]
 環状ハロゲン化炭酸エステルの具体例は、下記の式(9-1)~式(9-21)のそれぞれで表される化合物などであり、それらの化合物には、幾何異性体も含まれる。中でも、式(9-1)に示した4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オンおよび式(9-3)に示した4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オンなどが好ましい。なお、4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オンは、シス異性体でもよいし、トランス異性体でもよい。
[0188]
[化4]


[0189]
 式(10)に示した化合物は、鎖状ハロゲン化炭酸エステルである。R22~R27のそれぞれは、互いに同じ種類の基でもよいし、互いに異なる種類の基でもよい。もちろん、R22~R27の一部が互いに同じ種類の基でもよい。
[0190]
 鎖状ハロゲン化炭酸エステルの具体例は、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)および炭酸ジフルオロメチルメチルなどである。
[0191]
 ここで説明する「スルホン酸エステル」とは、例えば、鎖状モノスルホン酸エステル、鎖状ジスルホン酸エステルおよび環状ジスルホン酸エステルである。このため、上記した環状スルホン酸化合物(第1環状スルホン酸化合物)は、ここで説明するスルホン酸エステルから除かれる。溶媒中におけるスルホン酸エステルの含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01重量%~10重量%である。
[0192]
 鎖状モノスルホン酸エステルの具体例は、上記した環状スルホン酸化合物が途中で切断された化合物などである。環状ジスルホン酸エステルの具体例は、下記の式(11-1)~式(11-3)のそれぞれで表される化合物などである。鎖状ジスルホン酸エステルの具体例は、上記した環状ジスルホン酸エステルが途中で切断された化合物などである。
[0193]
[化5]


[0194]
 ここで説明する「酸無水物」とは、例えば、ジカルボン酸無水物である。このため、上記した環状スルホン酸化合物(第2スルホン酸化合物および第3スルホン酸化合物)は、ここで説明する酸無水物から除かれる。溶媒中における酸無水物の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01重量%~10重量%である。酸無水物の具体例は、無水コハク酸、無水グルタル酸および無水マレイン酸などである。
[0195]
 「イソシアネート化合物」とは、1個または2個以上のイソシアネート基(-CNO)を有する化合物の総称である。具体的には、イソシアネート化合物は、例えば、OCN-R81-NCO(R81は、アルキレン基およびアリーレン基のうちのいずれかである。)で表される化合物である。アルキレン基およびアリーレン基のそれぞれに関する詳細は、例えば、上記した通りである。溶媒中におけるイソシアネート化合物の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.1重量%~10重量%である。イソシアネート化合物の具体例は、OCN-C 6 12-NCOなどである。
[0196]
(電解質塩)
 また、他の材料は、電解質塩である。この電解質塩は、溶媒中において溶解されていてもよいし、溶媒中において分散されていてもよいし、双方でもよい。
[0197]
 電解質塩の種類は、特に限定されないため、電解質塩の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。中でも、電解質塩は、電極反応物質を構成する金属元素と同じ種類の金属元素を構成元素として含む金属塩であることが好ましい。充放電反応が進行しやすくなるからである。
[0198]
 具体的には、電解質塩は、例えば、リチウム塩である。ただし、電解質塩は、例えば、リチウム塩以外の塩を含んでいてもよい。
[0199]
 リチウム塩の種類は、特に限定されないが、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF 6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF 4 )、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C 6 5 4 )、メタンスルホン酸リチウム(LiCH 3 SO 3 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF 3 SO 3 )、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl 4 )、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li 2 SiF 6 )、塩化リチウム(LiCl)および臭化リチウム(LiBr)などである。
[0200]
 中でも、六フッ化リン酸リチウムおよび四フッ化ホウ酸リチウムが好ましく、六フッ化リン酸リチウムがより好ましい。二次電池の内部抵抗が低下するからである。
[0201]
 また、リチウム塩は、例えば、下記の式(12)、式(13)および式(14)のそれぞれで表される化合物などである。R41およびR43のそれぞれは、互いに同じ種類の基でもよいし、互いに異なる種類の基でもよい。R51~R53のそれぞれは、互いに同じ種類の基でもよいし、互いに種類の異なる基でもよい。もちろん、R51~R53のうちの一部が互いに同じ種類の基でもよい。R61およびR62のそれぞれは、互いに同じ種類の基でもよいし、互いに異なる種類の基でもよい。
[0202]
[化6]


(X41は、長周期型周期表における1族元素および2族元素、ならびにアルミニウム(Al)のうちのいずれかである。M41は、遷移金属、ならびに長周期型周期表における13族元素、14族元素および15族元素のうちのいずれかである。R41は、ハロゲン基である。Y41は、-C(=O)-R42-C(=O)-、-C(=O)-CR43 2 -および-C(=O)-C(=O)-のうちのいずれかである。ただし、R42は、アルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基およびハロゲン化アリーレン基のうちのいずれかである。R43は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基およびハロゲン化アリール基のうちのいずれかである。a4は1~4の整数であり、b4は0、2または4の整数であり、c4、d4、m4およびn4のそれぞれは1~3の整数である。)
[0203]
[化7]


(X51は、長周期型周期表における1族元素および2族元素のうちのいずれかである。M51は、遷移金属、ならびに長周期型周期表における13族元素、14族元素および15族元素のうちのいずれかである。Y51は、-C(=O)-(CR51 2 b5-C(=O)-、-R53 2 C-(CR52 2 c5-C(=O)-、-R53 2 C-(CR52 2 c5-CR53 2 -、-R53 2 C-(CR52 2 c5-S(=O) 2 -、-S(=O) 2 -(CR52 2 d5-S(=O) 2 -および-C(=O)-(CR52 2 d5-S(=O) 2 -のうちのいずれかである。R51およびR53のそれぞれは、水素基、アルキル基、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。ただし、R51のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであり、R53のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。R52は、水素基、アルキル基、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。a5、e5およびn5のそれぞれは1または2の整数であり、b5およびd5のそれぞれは1~4の整数であり、c5は0~4の整数であり、f5およびm5のそれぞれは1~3の整数である。)
[0204]
[化8]


(X61は、長周期型周期表における1族元素および2族元素のうちのいずれかである。M61は、遷移金属、ならびに長周期型周期表における13族元素、14族元素および15族元素のうちのいずれかである。Rfは、フッ素化アルキル基およびフッ素化アリール基のうちのいずれかであり、フッ素化アルキル基およびフッ素化アリール基のそれぞれの炭素数は、1~10である。Y61は、-C(=O)-(CR61 2 d6-C(=O)-、-R62 2 C-(CR61 2 d6-C(=O)-、-R62 2 C-(CR61 2 d6-CR62 2 -、-R62 2 C-(CR61 2 d6-S(=O) 2 -、-S(=O) 2 -(CR61 2 e6-S(=O) 2 -および-C(=O)-(CR61 2 e6-S(=O) 2 -のうちのいずれかである。ただし、R61は、水素基、アルキル基、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。R62は、水素基、アルキル基、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであり、R62のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。a6、f6およびn6のそれぞれは1または2の整数であり、b6、c6およびe6のそれぞれは1~4の整数であり、d6は0~4の整数であり、g6およびm6のそれぞれは1~3の整数である。)
[0205]
 なお、1族元素とは、水素(H)、リチウム、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウムおよびフランシウム(Fr)である。2族元素とは、ベリリウム(Be)、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよびラジウム(Ra)である。13族元素とは、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびタリウム(Tl)である。14族元素とは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズおよび鉛である。15族元素とは、窒素(N)、リン、ヒ素(As)、アンチモンおよびビスマスである。
[0206]
 式(12)に示した化合物の具体例は、下記の式(12-1)~式(12-6)のそれぞれで表される化合物などである。式(13)に示した化合物の具体例は、下記の式(13-1)~式(13-8)のそれぞれで表される化合物などである。式(14)に示した化合物の具体例は、下記の式(14-1)で表される化合物などである。
[0207]
[化9]


[0208]
[化10]


[0209]
[化11]


[0210]
 また、リチウム塩は、下記の式(15)、式(16)および式(17)のそれぞれで表される化合物などである。mおよびnのそれぞれは、互いに同じ値でもよいし、互いに異なる値でもよい。p、qおよびrのそれぞれは、互いに同じ値でもよいし、互いに異なる値でもよい。もちろん、p、qおよびrのうちの一部が互いに同じ値でもよい。
[0211]
 LiN(C m 2m+1SO 2 )(C n 2n+1 SO 2 ) …(15)
(mおよびnのそれぞれは、1以上の整数である。)
[0212]
[化12]


(R71は、炭素数=2~4である直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキレン基である。)
[0213]
 LiC(C p 2p+1SO 2 )(C q 2q+1SO 2 )(C r 2r+1SO 2 ) …(17)
(p、qおよびrのそれぞれは、1以上の整数である。)
[0214]
 式(15)に示した化合物は、鎖状イミド化合物である。鎖状イミド化合物の具体例は、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiN(SO 2 F) 2 )、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF 3 SO 2 2 )、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(C 2 5 SO 2 2 )、(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF 3 SO 2 )(C 2 5 SO 2 ))、(トリフルオロメタンスルホニル)(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF 3 SO 2 )(C 3 7 SO 2 ))および(トリフルオロメタンスルホニル)(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF 3 SO 2 )(C 4 9 SO 2 ))などである。
[0215]
 式(16)に示した化合物は、環状イミド化合物である。環状イミド化合物の具体例は、下記の式(16-1)~式(16-4)のそれぞれで表される化合物などである。
[0216]
[化13]


[0217]
 式(17)に示した化合物は、鎖状メチド化合物である。鎖状メチド化合物の具体例は、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(CF 3 SO 2 3 )などである。
[0218]
 この他、リチウム塩は、例えば、ジフルオロリン酸リチウム(LiPF 2 2 )およびフルオロリン酸リチウム(Li 2 PFO 3 )などのリンフッ素含有塩でもよい。
[0219]
 電解質塩の含有量は、特に限定されないが、中でも、溶媒に対して0.8mol/kg~2mol/kgであることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるため、十分な電池容量が得られるからである。
[0220]
[電解質層]
 なお、液状の電解質である電解液に代えて、ゲル状の電解質である電解質層を用いてもよい。この電解質層は、例えば、正極33および負極34のうちの一方または双方の表面に形成される。また、電解質層は、電解液と、その電解液を保持する高分子化合物とを含んでいる。電解液の構成は、上記した通りである。
[0221]
 高分子化合物は、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイドおよびポリプロピレンオキサイドなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この他、高分子化合物は、共重合体でもよい。この共重合体は、例えば、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体などである。
[0222]
<1-2.動作>
 この二次電池は、例えば、以下のように動作する。
[0223]
 充電時には、正極33からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解液(または電解質層)を介して負極34に吸蔵される。一方、放電時には、負極34からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解液(または電解質層)を介して正極33に吸蔵される。
[0224]
<1-3.製造方法>
 この二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
[0225]
 正極33を作製する場合には、最初に、リチウムニッケル含有複合酸化物を含む正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合することにより、正極合剤とする。続いて、有機溶剤などに正極合剤を分散させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、正極集電体33Aの両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを乾燥させることにより、正極活物質層33Bを形成する。最後に、ロールプレス機などを用いて正極活物質層33Bを圧縮成型する。この場合には、正極活物質層33Bを加熱してもよいし、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。
[0226]
 負極34を作製する場合には、上記した正極33と同様の手順により、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成する。具体的には、負極活物質と、負正極結着剤および負極導電剤などとを混合することにより、負極合剤としたのち、有機溶剤などに負極合剤を分散させることにより、ペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、負極集電体34Aの両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させることにより、負極活物質層34Bを形成する。最後に、ロールプレス機などを用いて負極活物質層34Bを圧縮成型する。もちろん、負極活物質層34Bを加熱してもよいし、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。
[0227]
 電解液を調製する場合には、例えば、炭酸エチレンおよびニトリル化合物を含む溶媒に電解質塩を加えたのち、その溶媒を撹拌することにより、その溶媒中において電解質塩を溶解または分散させる。この場合には、炭酸エチレンの混合比を調整することにより、溶媒中における炭酸エチレンの含有量(重量%)が上記した範囲内となるようにする。
[0228]
 二次電池を組み立てる場合には、最初に、溶接法などを用いて正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、溶接法などを用いて負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33と負極34とを積層させたのち、そのセパレータ35を介して積層された正極33および負極34を巻回させることにより、巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製する。続いて、巻回体の最外周部に保護テープを貼り付ける。続いて、巻回体を挟むように外装部材40を折り畳んだのち、熱融着法などを用いて外装部材40のうちの一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を接着させることにより、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。この場合には、外装部材40に設けられている窪み40Hの内部に巻回体を配置する。最後に、袋状の外装部材40の内部に電解液を注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40を密封する。これにより、巻回体に電解液が含浸されるため、巻回電極体30が作製されると共に、その巻回電極体30が外装部材40の内部に封入される。この場合には、正極リード31と外装部材40との間に密着フィルム41を挿入すると共に、負極リード32と外装部材40との間に密着フィルム41を挿入する。
[0229]
 これにより、ラミネートフィルム型の二次電池が完成する。
[0230]
 なお、電解液に代えて電解質層を用いる場合には、電解液と、高分子化合物と、有機溶剤などとを混合することにより、前駆溶液を調製する。続いて、正極33の表面に前駆溶液を塗布したのち、その前駆溶液を乾燥させることにより、電解質層を形成する。また、負極34の表面に前駆溶液を塗布したのち、その前駆溶液を乾燥させることにより、電解質層を形成する。こののち、巻回体を作製する場合には、セパレータ35を介して、電解質層が形成された正極33と電解質層が形成された負極34とを積層させたのち、その正極33、負極34、セパレータ35および電解質層を巻回させる。
[0231]
<1-4.作用および効果>
 この二次電池によれば、正極33は、リチウムニッケル含有複合酸化物を含んでいる。また、電解液の溶媒は、炭酸エチレンおよびニトリル化合物を含んでいると共に、その溶媒中における炭酸エチレンの含有量は、8重量%~20重量%である。
[0232]
 この場合には、上記したように、充放電時において、電解液を用いて充放電反応を十分に進行させながら、電解液の分解反応が抑制されると共に、その電解液の分解反応に起因するガスの発生も抑制される。しかも、充放電を繰り返しても、放電容量が減少しにくくなる。これにより、二次電池を継続的に使用しても、十分な放電容量が得られると共に、その二次電池が膨れにくくなるため、優れた電池特性を得ることができる。
[0233]
 特に、ニトリル化合物が式(2)に示した化合物(ジニトリル化合物)を含んでおり、その式(2)中におけるR2(2価の炭化水素基)がアルキレン基などであれば、二次電池の膨れが十分に抑制されるため、より高い効果を得ることができる。
[0234]
 また、電解液中におけるニトリル化合物の含有量が0.01重量%~5重量%であれば、二次電池の膨れが十分に抑制されるため、より高い効果を得ることができる。
[0235]
 また、溶媒が環状スルホン酸化合物を含んでいれば、二次電池の膨れがより抑制されるため、より高い効果を得ることができる。この場合には、環状スルホン酸化合物が式(3)~式(5)のそれぞれに示した化合物(第1環状スルホン酸化合物、第2環状スルホン酸化合物および第3環状スルホン酸化合物)のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいれば、二次電池の膨れが十分に抑制されるため、さらに高い効果を得ることができる。また、電解液中における環状スルホン酸化合物の含有量が0.01重量%~1重量%であれば、二次電池の膨れが十分に抑制されるため、さらに高い効果を得ることができる。
[0236]
 また、溶媒が炭酸プロピレンを含んでおり、その溶媒中における炭酸プロピレンの含有量が32重量%以下であれば、二次電池の膨れがより抑制されるため、より高い効果を得ることができる。
[0237]
 また、電解液が電解質塩を含んでおり、その電解液中における電解質塩の含有量が0.8mol/kg~2.0mol/kgであれば、十分な電池容量が得られるため、より高い効果を得ることができる。
[0238]
 また、電解液が正極33および負極34と共にフィルム状の外装部材40の内部に収納されていれば、フィルム状の外装部材40を用いていることに起因して二次電池が本質的に膨れやすい場合においても、その二次電池が効果的に膨れにくくなる。よって、より高い効果を得ることができる。
[0239]
<1-5.変形例>
 ここでは、二次電池の電池構造がラミネートフィルム型である場合を例に挙げた。しかしながら、電池構造は、ラミネートフィルム型以外の他の電池構造でもよい。
[0240]
 具体的には、他の電池構造は、例えば、円筒型、角型およびコイン型などでもよい。円筒型の二次電池では、例えば、金属製などの円筒状の電池缶の内部に巻回電極体30が収納される。角型の二次電池では、例えば、金属製などの箱状の電池缶の内部に巻回電極体30が収納される。コイン型の二次電池では、例えば、金属製などのコイン状の電池缶の内部に巻回電極体30が収納される。これらの他の電池構造を採用した場合においても、同様の効果得ることができる。
[0241]
 ただし、上記したように、フィルム状の外装部材40を用いるラミネートフィルム型の二次電池では、その外装部材40が柔軟性を有していることに起因して二次電池が本質的に膨れやすいため、その二次電池の膨れが顕在化しやすい傾向にある。これに対して、金属製などの電池缶を用いる円筒型、角型およびコイン型の二次電池では、その電池缶が剛性を有していることに起因して二次電池が本質的に膨れにくいため、その二次電池の膨れが顕在化しにくい傾向にある。よって、本質的に顕在化しやすい二次電池の膨れを効果的に抑制するためには、電池構造はラミネートフィルム型であることが好ましい。
[0242]
<2.二次電池の用途>
 次に、上記した二次電池の適用例(用途)に関して説明する。
[0243]
 二次電池の用途は、その二次電池を駆動用の電源および電力蓄積用の電力貯蔵源などとして利用可能な機械、機器、器具、装置およびシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。電源として用いられる二次電池は、主電源でもよいし、補助電源でもよい。主電源とは、他の電源の有無に関係なく、優先的に用いられる電源である。補助電源は、例えば、主電源の代わりに用いられる電源でもよいし、必要に応じて主電源から切り替えられる電源でもよい。二次電池を補助電源として用いる場合には、主電源の種類は二次電池に限られない。
[0244]
 二次電池の用途は、例えば、以下の通りである。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビおよび携帯用情報端末などの電子機器(携帯用電子機器を含む)である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源およびメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具である。着脱可能な電源としてノート型パソコンなどに搭載される電池パックである。ペースメーカおよび補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)などの電動車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。もちろん、二次電池の用途は、上記以外の他の用途でもよい。
[0245]
 中でも、二次電池は、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器などに適用されることが有効である。これらの用途では優れた電池特性が要求されるため、本技術の二次電池を用いることにより、有効に性能向上を図ることができるからである。なお、電池パックは、二次電池を用いた電源である。この電池パックは、後述するように、単電池を用いてもよいし、組電池を用いてもよい。電動車両は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)する車両であり、上記したように、二次電池以外の駆動源を併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車など)でもよい。電力貯蔵システムは、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。例えば、家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が蓄積されているため、その電力を利用して家庭用の電気製品などを使用することが可能である。電動工具は、二次電池を駆動用の電源として用いて可動部(例えば、ドリルなど)が可動する工具である。電子機器は、二次電池を駆動用の電源(電力供給源)として各種機能を発揮する機器である。
[0246]
 ここで、二次電池のいくつかの適用例に関して具体的に説明する。なお、以下で説明する適用例の構成は、あくまで一例であるため、その適用例の構成は、適宜変更可能である。
[0247]
<2-1.電池パック(単電池)>
 図3は、単電池を用いた電池パックの斜視構成を表していると共に、図4は、図3に示した電池パックのブロック構成を表している。なお、図3では、電池パックが分解された状態を示している。
[0248]
 ここで説明する電池パックは、1個の二次電池を用いた簡易型の電池パック(いわゆるソフトパック)であり、例えば、スマートフォンに代表される電子機器などに搭載される。この電池パックは、例えば、図3に示したように、ラミネートフィルム型の二次電池である電源111と、その電源111に接続される回路基板116とを備えている。この電源111には、正極リード112および負極リード113が取り付けられている。
[0249]
 電源111の両側面には、一対の粘着テープ118,119が貼り付けられている。回路基板116には、保護回路(PCM:Protection・Circuit・Module )が形成されている。この回路基板116は、タブ114を介して正極112に接続されていると共に、タブ115を介して負極リード113に接続されている。また、回路基板116は、外部接続用のコネクタ付きリード線117に接続されている。なお、回路基板116が電源111に接続された状態において、その回路基板116は、ラベル120および絶縁シート121により保護されている。このラベル120が貼り付けられることにより、回路基板116および絶縁シート121などは固定されている。
[0250]
 また、電池パックは、例えば、図4に示したように、電源111と、回路基板116とを備えている。回路基板116は、例えば、制御部121と、スイッチ部122と、熱感抵抗素子(PTC素子)123と、温度検出部124とを備えている。電源111は、正極端子125および負極端子127を介して外部と接続可能であるため、その電源111は、正極端子125および負極端子127を介して充放電可能である。温度検出部124は、温度検出端子(いわゆるT端子)126を用いて温度を検出する。
[0251]
 制御部121は、電池パック全体の動作(電源111の使用状態を含む)を制御する。この制御部121は、例えば、中央演算処理装置(CPU)およびメモリなどを含んでいる。
[0252]
 この制御部121は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達すると、スイッチ部122を切断することにより、電源111の電流経路に充電電流が流れないようにする。また、制御部121は、例えば、充電時において大電流が流れると、スイッチ部122を切断することにより、充電電流を遮断する。
[0253]
 一方、制御部121は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達すると、スイッチ部122を切断することにより、電源111の電流経路に放電電流が流れないようにする。また、制御部121は、例えば、放電時において大電流が流れると、スイッチ部122を切断することにより、放電電流を遮断する。
[0254]
 なお、過充電検出電圧は、特に限定されないが、例えば、4.2V±0.05Vである。過放電検出電圧は、特に限定されないが、例えば、2.4V±0.1Vである。
[0255]
 スイッチ部122は、制御部121の指示に応じて、電源111の使用状態、すなわち電源111と外部機器との接続の有無を切り換える。このスイッチ部122は、例えば、充電制御スイッチおよび放電制御スイッチなどを含んでいる。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチのそれぞれは、例えば、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などの半導体スイッチである。なお、充放電電流は、例えば、スイッチ部122のON抵抗に基づいて検出される。
[0256]
 温度検出部124は、電源111の温度を測定すると共に、その温度の測定結果を制御部121に出力する。この温度検出部124は、例えば、サーミスタなどの温度検出素子を含んでいる。なお、温度検出部124により測定される温度の測定結果は、異常発熱時において制御部121が充放電制御を行う場合、残容量の算出時において制御部121が補正処理を行う場合などに用いられる。
[0257]
 なお、回路基板116は、PTC素子123を備えていなくてもよい。この場合には、別途、回路基板116にPTC素子が付設されていてもよい。
[0258]
<2-2.電池パック(組電池)>
 図5は、組電池を用いた電池パックのブロック構成を表している。
[0259]
 この電池パックは、例えば、筐体60の内部に、制御部61と、電源62と、スイッチ部63と、電流測定部64と、温度検出部65と、電圧検出部66と、スイッチ制御部67と、メモリ68と、温度検出素子69と、電流検出抵抗70と、正極端子71および負極端子72とを備えている。この筐体60は、例えば、プラスチック材料などを含んでいる。
[0260]
 制御部61は、電池パック全体の動作(電源62の使用状態を含む)を制御する。この制御部61は、例えば、CPUなどを含んでいる。電源62は、2個以上の二次電池を含む組電池であり、その2個以上の二次電池の接続形式は、直列でもよいし、並列でもよいし、双方の混合型でもよい。一例を挙げると、電源62は、2並列3直列となるように接続された6個の二次電池を含んでいる。
[0261]
 スイッチ部63は、制御部61の指示に応じて、電源62の使用状態、すなわち電源62と外部機器との接続の有無を切り換える。このスイッチ部63は、例えば、充電制御スイッチ、放電制御スイッチ、充電用ダイオードおよび放電用ダイオードなどを含んでいる。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチのそれぞれは、例えば、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などの半導体スイッチである。
[0262]
 電流測定部64は、電流検出抵抗70を用いて電流を測定すると共に、その電流の測定結果を制御部61に出力する。温度検出部65は、温度検出素子69を用いて温度を測定すると共に、その温度の測定結果を制御部61に出力する。この温度の測定結果は、例えば、異常発熱時において制御部61が充放電制御を行う場合および残容量の算出時において制御部61が補正処理を行う場合などに用いられる。電圧検出部66は、電源62中における二次電池の電圧を測定すると共に、アナログ-デジタル変換された電圧の測定結果を制御部61に供給する。
[0263]
 スイッチ制御部67は、電流測定部64および電圧検出部66のそれぞれから入力される信号に応じて、スイッチ部63の動作を制御する。
[0264]
 このスイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達すると、スイッチ部63(充電制御スイッチ)を切断することにより、電源62の電流経路に充電電流が流れないようにする。これにより、電源62では、放電用ダイオードを介して放電だけが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、充電時に大電流が流れると、充電電流を遮断する。
[0265]
 また、スイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達すると、スイッチ部63(放電制御スイッチ)を切断することにより、電源62の電流経路に放電電流が流れないようにする。これにより、電源62では、充電用ダイオードを介して充電だけが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、放電時に大電流が流れると、放電電流を遮断する。
[0266]
 なお、過充電検出電圧は、特に限定されないが、例えば、4.2V±0.05Vである。過放電検出電圧は、特に限定されないが、例えば、2.4V±0.1Vである。
[0267]
 メモリ68は、例えば、不揮発性メモリであるEEPROMなどを含んでいる。このメモリ68には、例えば、制御部61により演算された数値および製造工程段階において測定された二次電池の情報(例えば、初期状態の内部抵抗など)などが記憶されている。なお、メモリ68に二次電池の満充電容量が記憶されていれば、制御部61が残容量などの情報を把握できる。
[0268]
 温度検出素子69は、電源62の温度を測定すると共に、その温度の測定結果を制御部61に出力する。この温度検出素子69は、例えば、サーミスタなどを含んでいる。
[0269]
 正極端子71および負極端子72のそれぞれは、電池パックを用いて稼働される外部機器(例えば、ノート型のパーソナルコンピュータなど)および電池パックを充電するために用いられる外部機器(例えば充電器など)などに接続される端子である。電源62は、正極端子71および負極端子72を介して充放電可能である。
[0270]
<2-3.電動車両>
 図6は、電動車両の一例であるハイブリッド自動車のブロック構成を表している。
[0271]
 この電動車両は、例えば、金属製の筐体73の内部に、制御部74と、エンジン75と、電源76と、駆動用のモータ77と、差動装置78と、発電機79と、トランスミッション80およびクラッチ81と、インバータ82,83と、各種センサ84とを備えている。この他、電動車両は、例えば、差動装置78およびトランスミッション80に接続された前輪用駆動軸85および前輪86と、後輪用駆動軸87および後輪88とを備えている。
[0272]
 この電動車両は、例えば、エンジン75およびモータ77のうちのいずれか一方を駆動源として用いて走行することが可能である。エンジン75は、主要な動力源であり、例えば、ガソリンエンジンなどである。エンジン75を動力源とする場合には、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して、エンジン75の駆動力(回転力)が前輪86および後輪88に伝達される。なお、エンジン75の回転力が発電機79に伝達されるため、その回転力を利用して発電機79が交流電力を発生すると共に、その交流電力がインバータ83を介して直流電力に変換されるため、その直流電力が電源76に蓄積される。一方、変換部であるモータ77を動力源とする場合には、電源76から供給された電力(直流電力)がインバータ82を介して交流電力に変換されるため、その交流電力を利用してモータ77が駆動する。このモータ77により電力から変換された駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して前輪86および後輪88に伝達される。
[0273]
 なお、制動機構を介して電動車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ77に回転力として伝達されるため、その回転力を利用してモータ77が交流電力を発生させるようにしてもよい。この交流電力は、インバータ82を介して直流電力に変換されるため、その直流回生電力は、電源76に蓄積可能であることが好ましい。
[0274]
 制御部74は、電動車両全体の動作を制御する。この制御部74は、例えば、CPUなどを含んでいる。電源76は、1個または2個以上の二次電池を含んでいる。この電源76は、外部電源と接続されていると共に、その外部電源から電力供給を受けることにより、電力を蓄積させてもよい。各種センサ84は、例えば、エンジン75の回転数を制御すると共に、スロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御するために用いられる。この各種センサ84は、例えば、速度センサ、加速度センサおよびエンジン回転数センサなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
[0275]
 なお、電動車両がハイブリッド自動車である場合を例に挙げたが、その電動車両は、エンジン75を用いずに電源76およびモータ77だけを用いて作動する車両(電気自動車)でもよい。
[0276]
<2-4.電力貯蔵システム>
 図7は、電力貯蔵システムのブロック構成を表している。
[0277]
 この電力貯蔵システムは、例えば、一般住宅および商業用ビルなどの家屋89の内部に、制御部90と、電源91と、スマートメータ92と、パワーハブ93とを備えている。
[0278]
 ここでは、電源91は、例えば、家屋89の内部に設置された電気機器94に接続されていると共に、家屋89の外部に停車している電動車両96に接続可能である。また、電源91は、例えば、家屋89に設置された自家発電機95にパワーハブ93を介して接続されていると共に、スマートメータ92およびパワーハブ93を介して外部の集中型電力系統97に接続可能である。
[0279]
 なお、電気機器94は、例えば、1台または2台以上の家電製品を含んでおり、その家電製品は、例えば、冷蔵庫、エアコン、テレビおよび給湯器などである。自家発電機95は、例えば、太陽光発電機および風力発電機などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。電動車両96は、例えば、電気自動車、電気バイクおよびハイブリッド自動車などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。集中型電力系統97は、例えば、火力発電所、原子力発電所、水力発電所および風力発電所などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
[0280]
 制御部90は、電力貯蔵システム全体の動作(電源91の使用状態を含む)を制御する。この制御部90は、例えば、CPUなどを含んでいる。電源91は、1個または2個以上の二次電池を含んでいる。スマートメータ92は、例えば、電力需要側の家屋89に設置されるネットワーク対応型の電力計であり、電力供給側と通信することが可能である。これに伴い、スマートメータ92は、例えば、外部と通信しながら、家屋89における電力の需要と供給とのバランスを制御することにより、高効率で安定したエネルギー供給を可能とする。
[0281]
 この電力貯蔵システムでは、例えば、外部電源である集中型電力系統97からスマートメータ92およびパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積されると共に、独立電源である自家発電機95からパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積される。この電源91に蓄積された電力は、制御部90の指示に応じて電気機器94および電動車両96に供給されるため、その電気機器94が稼働可能になると共に、その電動車両96が充電可能になる。すなわち、電力貯蔵システムは、電源91を用いて、家屋89内における電力の蓄積および供給を可能にするシステムである。
[0282]
 電源91に蓄積された電力は、必要に応じて使用することが可能である。このため、例えば、電気使用料が安い深夜において、集中型電力系統97から電源91に電力を蓄積しておき、電気使用料が高い日中において、その電源91に蓄積された電力を用いることができる。
[0283]
 なお、上記した電力貯蔵システムは、1戸(1世帯)ごとに設置されていてもよいし、複数戸(複数世帯)ごとに設置されていてもよい。
[0284]
<2-5.電動工具>
 図8は、電動工具のブロック構成を表している。
[0285]
 ここで説明する電動工具は、例えば、電動ドリルである。この電動工具は、例えば、工具本体98の内部に、制御部99と、電源100とを備えている。この工具本体98には、例えば、可動部であるドリル部101が稼働(回転)可能に取り付けられている。
[0286]
 工具本体98は、例えば、プラスチック材料などを含んでいる。制御部99は、電動工具全体の動作(電源100の使用状態を含む)を制御する。この制御部99は、例えば、CPUなどを含んでいる。電源100は、1個または2個以上の二次電池を含んでいる。この制御部99は、動作スイッチの操作に応じて、電源100からドリル部101に電力を供給する。
実施例
[0287]
 本技術の実施例に関して説明する。
[0288]
(実験例1-1~1-32)
 以下の手順により、図1および図2に示したラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池を作製した。
[0289]
 正極33を作製する場合には、最初に、正極活物質(リチウムニッケル含有複合酸化物であるLiNi 0.82Co 0.15Al 0.032 ,メジアン径D50=13μm)94質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)3質量部と、正極導電剤(アセチレンブラック)3質量部とを混合することにより、正極合剤とした。続いて、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)に正極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の正極合剤スラリーとした。続いて、コーティング装置を用いて帯状の正極集電体33A(アルミニウム箔,厚さ=20μm)の両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを乾燥させることにより、正極活物質層33Bを形成した。最後に、ロールプレス機を用いて正極活物質層33Bを圧縮成型した。
[0290]
 負極34を作製する場合には、最初に、負極活物質(黒鉛,メジアン径D50=20μm)95質量部と、負極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)5質量部とを混合することにより、負極合剤とした。続いて、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)に負極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の負極合剤スラリーとした。続いて、コーティング装置を用いて帯状の負極集電体34A(銅箔,厚さ=15μm)の両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させることにより、負極活物質層34Bを形成した。最後に、ロールプレス機を用いて負極活物質層34Bを圧縮成型した。
[0291]
 電解液を調製する場合には、溶媒に電解質塩(LiPF 6 )を加えることにより、その溶媒を撹拌したのち、必要に応じて溶媒にニトリル化合物および環状スルホン酸化合物を加えることにより、その溶媒を撹拌した。溶媒組成(溶媒の種類および各溶媒の含有量:重量%)、電解質塩の種類、電解液中における電解質塩の含有量(mol/kg)、ニトリル化合物の種類、電解液中におけるニトリル化合物の含有量(重量%)、環状スルホン酸化合物の種類および電解液中における環状スルホン酸化合物の含有量(重量%)は、表1および表2に示した通りである。
[0292]
 ここでは、溶媒として、4種類の非水溶媒を用いた。具体的には、環状炭酸エステルである炭酸エチレン(EC)および炭酸プロピレン(PC)と、鎖状炭酸エステルである炭酸エチルメチル(EMC)および炭酸ジエチル(DEC)とを用いた。
[0293]
 ニトリル化合物として、ジニトリル化合物であるスクシノニトリル(SCN)、アジポニトリル(ADN)およびセバコニトリル(SBN)を用いた。
[0294]
 環状スルホン酸化合物として、第1環状スルホン酸化合物であるプロペンスルトン(PES)およびプロパンスルトン(PAS)と、第2環状スルホン酸化合物であるプロパンジスルホン酸無水物(PDSA)と、第3環状スルホン酸化合物であるスルホ安息香酸無水物(SBA)とを用いた。
[0295]
 二次電池を組み立てる場合には、最初に、正極集電体33Aにアルミニウム製の正極リード31を溶接すると共に、負極集電体34Aに銅製の負極リード32を溶接した。続いて、セパレータ35(微多孔性ポリエチレン延伸フィルム,厚さ=20μm)を介して正極33と負極34とを積層させることにより、積層体を得た。続いて、積層体を長手方向に巻回させたのち、その積層体の最外周部に保護テープを貼り付けることにより、巻回体を作製した。続いて、巻回体を挟むように外装部材40を折り畳んだのち、その外装部材40のうちの3辺の外周縁部同士を熱融着した。外装部材40としては、ナイロンフィルム(厚さ=13μm)と、アルミニウム箔(厚さ=21μm)と、ポリプロピレンフィルム(厚さ=26μm)とが外側からこの順に積層されたアルミラミネートフィルム(総厚=60μm)を用いた。この場合には、正極リード31と外装部材40との間に密着フィルム41を挿入すると共に、負極リード32と外装部材40との間に密着フィルム41を挿入した。最後に、外装部材40の内部に電解液を注入することにより、その電解液を巻回体に含浸させたのち、減圧環境中において外装部材40の残りの1辺の外周縁部同士を熱融着した。これにより、巻回電極体30が作製されると共に、外装部材40の内部に巻回電極体30が封入されたため、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池が完成した。
[0296]
 二次電池の電池特性を評価するために、その二次電池の高温膨れ特性、高温保存特性および常温サイクル特性を調べたところ、表1および表2に示した結果が得られた。
[0297]
 高温膨れ特性を調べる場合には、保存試験を行うことにより、高温膨れ率(%)を求めた。具体的には、最初に、二次電池の状態を安定化させるために、常温環境中(温度=25℃)において二次電池を充放電(1サイクル)させた。続いて、同環境中において二次電池を充電させたのち、その充電状態の二次電池の厚さ(保存前の厚さ)を測定した。続いて、高温環境中(温度=60℃)において充電状態の二次電池を保存(保存時間=6月間)したのち、常温環境中(温度=25℃)において充電状態の二次電池の厚さ(保存後の厚さ)を測定した。最後に、高温膨れ率(%)=[(保存後の厚さ-保存前の厚さ)/保存前の厚さ]×100を算出した。
[0298]
 なお、充電時には、0.2Cの電流で電圧が4.3Vに到達するまで定電流充電したのち、4.3Vの電圧で電流が0.05Cに到達するまで定電圧充電した。放電時には、0.2Cの電流で電圧が2.5Vに到達するまで定電流放電した。「0.2C」とは、電池容量(理論容量)を5時間で放電しきる電流値であると共に、「0.05C」とは、電池容量を20時間で放電しきる電流値である。
[0299]
 高温保存特性を調べる場合には、上記した保存試験と同様の試験を行うことにより、高温保存維持率(%)を求めた。具体的には、最初に、二次電池の状態を安定化させるために、常温環境中(温度=25℃)において二次電池を充放電(1サイクル)させた。続いて、同環境中において二次電池を充放電させることにより、放電容量(保存前の放電容量)を測定した。続いて、高温環境中(温度=60℃)において二次電池を保存(保存時間=6月間)したのち、常温環境中(温度=25℃)において二次電池を充放電させることにより、放電容量(保存後の放電容量)を測定した。最後に、保存維持率(%)=(保存後の放電容量/保存前の放電容量)×100を算出した。
[0300]
 なお、充放電条件は、膨れ特性を調べた場合と同様にした。
[0301]
 常温サイクル特性を調べる場合には、サイクル試験を行うことにより、常温サイクル維持率(%)を算出した。具体的には、最初に、二次電池の状態を安定化させるために、常温環境中(温度=25℃)において二次電池を充放電(1サイクル)させた。続いて、同環境中(温度=25℃)において二次電池を充放電(1サイクル)させることにより、2サイクル目の放電容量を測定した。続いて、同環境中において二次電池を繰り返して充放電(1000サイクル)させることにより、1001サイクル目の放電容量を測定した。最後に、常温サイクル維持率(%)=(1001サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。
[0302]
 なお、充電時には、1Cの電流で電圧が4.3Vに到達するまで定電流充電したのち、4.3Vの電圧で電流が0.05Cに到達するまで定電圧充電した。放電時には、5Cの電流で電圧が2.5Vに到達するまで定電流放電した。「1C」とは、電池容量(理論容量)を1時間で放電しきる電流値であると共に、「5C」とは、電池容量を0.2時間で放電しきる電流値である。
[0303]
[表1]


[0304]
[表2]


[0305]
 正極活物質としてリチウムニッケル含有複合酸化物(LiNi 0.82Co 0.15Al 0.032 )を用いた場合には、溶媒が炭酸エチレンを含んでいると、高温膨れ率、高温保存維持率および常温サイクル維持率のそれぞれは、炭酸エチレンの含有量およびニトリル化合物の有無などに応じて変動した。
[0306]
 具体的には、炭酸エチレンの含有量が8重量%~20重量%であると共に電解液がニトリル化合物を含んでいる場合(実験例1-1~1-25)には、両者の条件が満たされていない場合(実験例1-26~1-32)と比較して、高温膨れ率が低く抑えられながら、高い高温保存維持率および高い常温サイクル維持率が得られた。
[0307]
 特に、炭酸エチレンの含有量が8重量%~20重量%であると共に電解液がニトリル化合物を含んでいる場合には、以下の利点が得られた。
[0308]
 第1に、ニトリル化合物の含有量が0.01重量%~5重量%であると、高温膨れ率が低く抑えられながら、高温保存維持率および常温サイクル維持率のそれぞれがより増加した。
[0309]
 第2に、電解液が環状スルホン酸化合物を含んでいると、高温膨れ率がより減少した。この場合には、環状スルホン酸化合物の含有量が0.01重量%~1重量%であると、高温膨れ率が低く抑えられながら、より高い高温保存維持率およびより高い常温サイクル維持率が得られた。
[0310]
 第3に、溶媒が炭酸プロピレンを含んでいると、高温膨れ率がより減少した。この場合には、溶媒中における炭酸プロピレンの含有量が32重量%以下であると、高温膨れ率が十分に減少した。
[0311]
 第4に、電解質塩の含有量が0.8mol/kg~2mol/kgであると、十分な高温保存維持率が得られると共に、十分な常温サイクル維持率も得られた。
[0312]
(実験例2-1~2-6)
 表3に示したように、外装部材40の厚さを変更したことを除いて同様の手順により、二次電池を作製すると共に、その二次電池の電池特性を調べた。
[0313]
 この場合には、外装部材40として、以下の3種類を用いた。ナイロンフィルム(厚さ=8μm)と、アルミニウム箔(厚さ=15μm)と、ポリプロピレンフィルム(厚さ=17μm)とが外側からこの順に積層されたアルミラミネートフィルム(総厚=40μm)を用いた。ナイロンフィルム(厚さ=26μm)と、アルミニウム箔(厚さ=42μm)と、ポリプロピレンフィルム(厚さ=32μm)とが外側からこの順に積層されたアルミラミネートフィルム(総厚=100μm)を用いた。ナイロンフィルム(厚さ=78μm)と、アルミニウム箔(厚さ=126μm)と、ポリプロピレンフィルム(厚さ=96μm)とが外側からこの順に積層されたアルミラミネートフィルム(総厚=300μm)を用いた。
[0314]
[表3]


[0315]
 外装部材40の厚さを変更した場合(表3)においても、表1および表2に示した場合と同様の結果が得られた。すなわち、炭酸エチレンの含有量が8重量%~20重量%であると共に電解液がニトリル化合物を含んでいる場合(実験例1-3,2-1~2-3)には、両者の条件が満たされていない場合(実験例1-26,2-4~2-6)と比較して、高温膨れ率が低く抑えられながら、高い高温保存維持率および高い常温サイクル維持率が得られた。
[0316]
 特に、炭酸エチレンの含有量が8重量%~20重量%であると共に電解液がニトリル化合物を含んでいる場合には、外装部材40の厚さが40μm~300μmであると、高温膨れ率が十分に減少しつつ、高温保存維持率および常温サイクル維持率のそれぞれが十分に増加した。
[0317]
(実験例3-1~3-9)
 比較のために、表4に示したように、正極活物質の種類を変更したことを除いて同様の手順により、二次電池を作製すると共に、その二次電池の電池特性を調べた。この場合には、正極活物質として、リチウムニッケル含有複合酸化物以外の材料(LiCoO 2 )を用いた。
[0318]
[表4]


[0319]
 正極活物質としてリチウムニッケル含有複合酸化物以外の材料(LiCoO 2 )を用いた場合(実験例3-1~3-9)には、正極活物質としてリチウムニッケル含有複合酸化物(LiNi 0.82Co 0.15Al 0.032 )を用いた場合(実験例1-1~1-32)とは異なる結果が得られた。
[0320]
 具体的には、正極活物質としてリチウムニッケル含有複合酸化物以外の材料を用いた場合(実験例3-1~3-9)には、炭酸エチレンの含有量が8重量%~20重量%であると共に電解液がニトリル化合物を含んでいても、高温膨れ率が十分に減少しなかったと共に、高温保存維持率および常温サイクル維持率のそれぞれが十分に増加しなかった。
[0321]
 これに対して、正極活物質としてリチウムニッケル含有複合酸化物を用いた場合(実験例1-1~1-32)には、上記したように、炭酸エチレンの含有量が8重量%~20重量%であると共に電解液がニトリル化合物を含んでいると、高温膨れ率が十分に抑えられながら、十分な高温保存維持率が得られると共に、十分な常温サイクル維持率も得られた。
[0322]
 これらの結果は、炭酸エチレンの含有量が8重量%~20重量%であると共に電解液がニトリル化合物を含んでいるという構成条件に起因する利点は、正極活物質としてリチウムニッケル含有複合酸化物を用いた場合においてだけ得られる特異的な利点であることを意味している。すなわち、正極活物質としてリチウムニッケル含有複合酸化物以外の材料を用いた場合には、上記した構成条件が満たされていても、その構成条件が電池特性(高温膨れ特性、高温保存特性および常温サイクル特性)に十分な影響を及ぼさないため、上記した利点が得られない。これに対して、正極活物質としてリチウムニッケル含有複合酸化物を用いた場合には、上記した構成条件が満たされていると、その構成条件が電池特性に十分な影響を及ぼすため、上記した利点が特異的に得られる。
[0323]
 表1~表4に示した結果から、正極がリチウムニッケル含有複合酸化物を含んでいると共に、電解液が適正量の炭酸エチレンとニトリル化合物とを含んでいると、高温膨れ特性、高温保存特性および常温サイクル特性がいずれも改善された。よって、二次電池において優れた電池特性が得られた。
[0324]
 以上、一実施形態および実施例を挙げながら本技術を説明したが、その本技術に関しては、一実施形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。
[0325]
 具体的には、電池素子が巻回構造を有する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。本技術の二次電池は、電池素子が積層構造などの他の構造を有する場合に関しても、同様に適用可能である。
[0326]
 また、リチウムの吸蔵および放出により負極の容量が得られるリチウムイオン二次電池を例に挙げて説明したが、これに限られない。本技術の二次電池は、例えば、リチウムの析出および溶解により負極の容量が得られるリチウム金属二次電池でもよい。また、本技術の二次電池は、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の容量を正極の容量よりも小さくすることにより、リチウムの吸蔵および放出に起因する容量とリチウムの析出および溶解に起因する容量との和により負極の容量が得られる二次電池でもよい。
[0327]
 また、電極反応物質としてリチウムを用いる場合に関して説明したが、これに限られない。電極反応物質は、例えば、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)などの長周期型周期表における他の1族の元素でもよいし、マグネシウム(Mg)およびカルシウム(Ca)などの長周期型周期表における2族の元素でもよいし、アルミニウム(Al)などの他の軽金属でもよい。また、電極反応物質は、上記した一連の元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を含む合金でもよい。
[0328]
 なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
[0329]
 なお、本技術は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
 下記の式(21)で表されるリチウム含有化合物を含む正極と、
 負極と、
 (A)溶媒を含み、(B)前記溶媒が炭酸エチレンおよび下記の式(1)で表されるニトリル化合物を含み、(C)前記溶媒中における前記炭酸エチレンの含有量が8重量%以上20重量%以下である、電解液と
 を備えた、二次電池。
 Li x Co y Ni z 1-y-z b-a a  ・・・(21)
(Mは、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ストロンチウム(Sr)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、インジウム(In)およびアンチモン(Sb)のうちの少なくとも1種である。Xは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)のうちの少なくとも1種である。x、y、z、aおよびbは、0.8<x≦1.2、0≦y≦1、0.5≦z≦1、0≦a≦1、1.8≦b≦2.2およびy<zを満たす。)
 R1-(CN) n  ・・・(1)
(R1は、n価の炭化水素基である。nは、1以上の整数である。)
(2)
 前記ニトリル化合物は、下記の式(2)で表される化合物を含む、
 上記(1)に記載の二次電池。
 NC-R2-CN ・・・(2)
(R2は、2価の炭化水素基である。)
(3)
 前記2価の炭化水素基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基およびそれらのうちの2種類以上が互いに結合された基のうちのいずれかである、
 上記(2)に記載の二次電池。
(4)
 前記電解液中における前記ニトリル化合物の含有量は、0.01重量%以上5重量%以下である、
 上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の二次電池。
(5)
 前記溶媒は、さらに、スルホン酸結合(-S(=O) 2 -O-)を有する環状スルホン酸化合物を含む、
 上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の二次電池。
(6)
 前記環状スルホン酸化合物は、下記の式(3)、式(4)および式(5)のそれぞれで表される化合物のうちの少なくとも1種を含む、
 上記(5)に記載の二次電池。
[化14]


(R3、R4およびR5のそれぞれは、2価の炭化水素基である。)
(7)
 前記電解液中における前記環状スルホン酸化合物の含有量は、0.01重量%以上1重量%以下である、
 上記(5)または(6)に記載の二次電池。
(8)
 前記溶媒は、さらに、炭酸プロピレンを含み、
 前記溶媒中における前記炭酸プロピレンの含有量は、32重量%以下である、
 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の二次電池。
(9)
 前記電解液は、さらに、電解質塩を含み、
 前記電解液中における前記電解質塩の含有量は、0.8mol/kg以上2mol/kg以下である、
 上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の二次電池。
(10)
 前記正極、前記負極および前記電解液は、フィルム状の外装部材の内部に収納されている、
 上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の二次電池。
(11)
 前記外装部材の厚さは、40μm以上300μm以下である、
 上記(10)に記載の二次電池。
(12)
 リチウムイオン二次電池である、
 上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の二次電池。
(13)
 上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池と、
 前記二次電池の動作を制御する制御部と、
 前記制御部の指示に応じて前記二次電池の動作を切り換えるスイッチ部と
 を備えた、電池パック。
(14)
 上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池と、
 前記二次電池から供給された電力を駆動力に変換する変換部と、
 前記駆動力に応じて駆動する駆動部と、
 前記二次電池の動作を制御する制御部と
 を備えた、電動車両。
(15)
 上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池と、
 前記二次電池から電力を供給される1または2以上の電気機器と、
 前記二次電池からの前記電気機器に対する電力供給を制御する制御部と
 を備えた、電力貯蔵システム。
(16)
 上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池と、
 前記二次電池から電力を供給される可動部と
 を備えた、電動工具。
(17)
 上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池を電力供給源として備えた、電子機器。
[0330]
 本出願は、日本国特許庁において2017年3月29日に出願された日本特許出願番号第2017-065752号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
[0331]
 当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲の趣旨やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。

請求の範囲

[請求項1]
 下記の式(21)で表されるリチウム含有化合物を含む正極と、
 負極と、
 (A)溶媒を含み、(B)前記溶媒が炭酸エチレンおよび下記の式(1)で表されるニトリル化合物を含み、(C)前記溶媒中における前記炭酸エチレンの含有量が8重量%以上20重量%以下である、電解液と
 を備えた、二次電池。
 Li x Co y Ni z 1-y-z b-a a  ・・・(21)
(Mは、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ストロンチウム(Sr)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、インジウム(In)およびアンチモン(Sb)のうちの少なくとも1種である。Xは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)のうちの少なくとも1種である。x、y、z、aおよびbは、0.8<x≦1.2、0≦y≦1、0.5≦z≦1、0≦a≦1、1.8≦b≦2.2およびy<zを満たす。)
 R1-(CN) n  ・・・(1)
(R1は、n価の炭化水素基である。nは、1以上の整数である。)
[請求項2]
 前記ニトリル化合物は、下記の式(2)で表される化合物を含む、
 請求項1記載の二次電池。
 NC-R2-CN ・・・(2)
(R2は、2価の炭化水素基である。)
[請求項3]
 前記2価の炭化水素基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基およびそれらのうちの2種類以上が互いに結合された基のうちのいずれかである、
 請求項2記載の二次電池。
[請求項4]
 前記電解液中における前記ニトリル化合物の含有量は、0.01重量%以上5重量%以下である、
 請求項1記載の二次電池。
[請求項5]
 前記溶媒は、さらに、スルホン酸結合(-S(=O) 2 -O-)を有する環状スルホン酸化合物を含む、
 請求項1記載の二次電池。
[請求項6]
 前記環状スルホン酸化合物は、下記の式(3)、式(4)および式(5)のそれぞれで表される化合物のうちの少なくとも1種を含む、
 請求項5記載の二次電池。
[化1]


(R3、R4およびR5のそれぞれは、2価の炭化水素基である。)
[請求項7]
 前記電解液中における前記環状スルホン酸化合物の含有量は、0.01重量%以上1重量%以下である、
 請求項5記載の二次電池。
[請求項8]
 前記溶媒は、さらに、炭酸プロピレンを含み、
 前記溶媒中における前記炭酸プロピレンの含有量は、32重量%以下である、
 請求項1記載の二次電池。
[請求項9]
 前記電解液は、さらに、電解質塩を含み、
 前記電解液中における前記電解質塩の含有量は、0.8mol/kg以上2mol/kg以下である、
 請求項1記載の二次電池。
[請求項10]
 前記正極、前記負極および前記電解液は、フィルム状の外装部材の内部に収納されている、
 請求項1記載の二次電池。
[請求項11]
 前記外装部材の厚さは、40μm以上300μm以下である、
 請求項10記載の二次電池。
[請求項12]
 リチウムイオン二次電池である、
 請求項1記載の二次電池。
[請求項13]
 二次電池と、
 前記二次電池の動作を制御する制御部と、
 前記制御部の指示に応じて前記二次電池の動作を切り換えるスイッチ部と
 を備え、
 前記二次電池は、
 下記の式(21)で表されるリチウム含有化合物を含む正極と、
 負極と、
 (A)溶媒を含み、(B)前記溶媒が炭酸エチレンおよび下記の式(1)で表されるニトリル化合物を含み、(C)前記溶媒中における前記炭酸エチレンの含有量が8重量%以上20重量%以下である、電解液と
 を備えた、電池パック。
 Li x Co y Ni z 1-y-z b-a a  ・・・(21)
(Mは、アルミニウム、マグネシウム、ホウ素、チタン、クロム、マンガン、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ストロンチウム、セシウム、バリウム、インジウムおよびアンチモンのうちの少なくとも1種である。Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素のうちの少なくとも1種である。x、y、z、aおよびbは、0.8<x≦1.2、0≦y≦1、0.5≦z≦1、0≦a≦1、1.8≦b≦2.2およびy<zを満たす。)
 R1-(CN) n  ・・・(1)
(R1は、n価の炭化水素基である。nは、1以上の整数である。)
[請求項14]
 二次電池と、
 前記二次電池から供給された電力を駆動力に変換する変換部と、
 前記駆動力に応じて駆動する駆動部と、
 前記二次電池の動作を制御する制御部と
 を備え、
 前記二次電池は、
 下記の式(21)で表されるリチウム含有化合物を含む正極と、
 負極と、
 (A)溶媒を含み、(B)前記溶媒が炭酸エチレンおよび下記の式(1)で表されるニトリル化合物を含み、(C)前記溶媒中における前記炭酸エチレンの含有量が8重量%以上20重量%以下である、電解液と
 を備えた、電動車両。
 Li x Co y Ni z 1-y-z b-a a  ・・・(21)
(Mは、アルミニウム、マグネシウム、ホウ素、チタン、クロム、マンガン、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ストロンチウム、セシウム、バリウム、インジウムおよびアンチモンのうちの少なくとも1種である。Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素のうちの少なくとも1種である。x、y、z、aおよびbは、0.8<x≦1.2、0≦y≦1、0.5≦z≦1、0≦a≦1、1.8≦b≦2.2およびy<zを満たす。)
 R1-(CN) n  ・・・(1)
(R1は、n価の炭化水素基である。nは、1以上の整数である。)
[請求項15]
 二次電池と、
 前記二次電池から電力を供給される1または2以上の電気機器と、
 前記二次電池からの前記電気機器に対する電力供給を制御する制御部と
 を備え、
 前記二次電池は、
 下記の式(21)で表されるリチウム含有化合物を含む正極と、
 負極と、
 (A)溶媒を含み、(B)前記溶媒が炭酸エチレンおよび下記の式(1)で表されるニトリル化合物を含み、(C)前記溶媒中における前記炭酸エチレンの含有量が8重量%以上20重量%以下である、電解液と
 を備えた、電力貯蔵システム。
 Li x Co y Ni z 1-y-z b-a a  ・・・(21)
(Mは、アルミニウム、マグネシウム、ホウ素、チタン、クロム、マンガン、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ストロンチウム、セシウム、バリウム、インジウムおよびアンチモンのうちの少なくとも1種である。Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素のうちの少なくとも1種である。x、y、z、aおよびbは、0.8<x≦1.2、0≦y≦1、0.5≦z≦1、0≦a≦1、1.8≦b≦2.2およびy<zを満たす。)
 R1-(CN) n  ・・・(1)
(R1は、n価の炭化水素基である。nは、1以上の整数である。)
[請求項16]
 二次電池と、
 前記二次電池から電力を供給される可動部と
 を備え、
 前記二次電池は、
 下記の式(21)で表されるリチウム含有化合物を含む正極と、
 負極と、
 (A)溶媒を含み、(B)前記溶媒が炭酸エチレンおよび下記の式(1)で表されるニトリル化合物を含み、(C)前記溶媒中における前記炭酸エチレンの含有量が8重量%以上20重量%以下である、電解液と
 を備えた、電動工具。
 Li x Co y Ni z 1-y-z b-a a  ・・・(21)
(Mは、アルミニウム、マグネシウム、ホウ素、チタン、クロム、マンガン、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ストロンチウム、セシウム、バリウム、インジウムおよびアンチモンのうちの少なくとも1種である。Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素のうちの少なくとも1種である。x、y、z、aおよびbは、0.8<x≦1.2、0≦y≦1、0.5≦z≦1、0≦a≦1、1.8≦b≦2.2およびy<zを満たす。)
 R1-(CN) n  ・・・(1)
(R1は、n価の炭化水素基である。nは、1以上の整数である。)
[請求項17]
 二次電池を電力供給源として備え、
 前記二次電池は、
 下記の式(21)で表されるリチウム含有化合物を含む正極と、
 負極と、
 (A)溶媒を含み、(B)前記溶媒が炭酸エチレンおよび下記の式(1)で表されるニトリル化合物を含み、(C)前記溶媒中における前記炭酸エチレンの含有量が8重量%以上20重量%以下である、電解液と
 を備えた、電子機器。
 Li x Co y Ni z 1-y-z b-a a  ・・・(21)
(Mは、アルミニウム、マグネシウム、ホウ素、チタン、クロム、マンガン、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ストロンチウム、セシウム、バリウム、インジウムおよびアンチモンのうちの少なくとも1種である。Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素のうちの少なくとも1種である。x、y、z、aおよびbは、0.8<x≦1.2、0≦y≦1、0.5≦z≦1、0≦a≦1、1.8≦b≦2.2およびy<zを満たす。)
 R1-(CN) n  ・・・(1)
(R1は、n価の炭化水素基である。nは、1以上の整数である。)

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]