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1. (WO2018179398) ミシン
Document

明 細 書

発明の名称 ミシン

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109  

符号の説明

0110  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

明 細 書

発明の名称 : ミシン

技術分野

[0001]
 本発明は、縫い針、かま、天秤及び中押さえを備え縫い目を形成するミシンに関する。

背景技術

[0002]
 特許文献1,2に開示される従来のミシンは、多彩な制御性やデザインの自由度を得るため、縫い針を上下動させる針棒と、剣先で上糸を捕捉するかまとを、それぞれ別の駆動源で駆動する。しかしながら、この種のミシンは、同期制御により針棒とかまとの動きを高精度に制御しなければ、縫い針の上下動によって形成される上糸のループをかまの剣先が捕捉できずに目飛びが発生する。
[0003]
 特許文献3から6には目飛びの検知手段として用いられる検出器が開示される。特許文献3には、天秤近くの糸案内に装着された音検知センサを利用して、ミシンが一針分の縫製動作を行う間に発生する上糸の摩擦音から上糸の移動量を検出することによって、予め記憶しておいた適正な上糸の移動量と検出した上糸の移動量とを比較した結果に基づき目飛びを検知する技術が開示される。特許文献4には、反射光に感応する光電検出器を用いて、かまで捕捉された上糸のループが、かまに納められているボビンケースの表面を横切る挙動を示さないときに目飛びを検知する技術が開示される。特許文献5には、糸調子器に設けられた糸掛け部を有する糸取りばねが初期位置に位置するかどうかを検出する位置検出器を使用して、特定の上軸角度である天秤下死点+60[°]の範囲内における糸取りばねの挙動に基づき目飛びを検知する技術が開示される。そして特許文献6には、上糸が糸供給源から繰り出されるときに、上糸が巻き掛けられた回転体を回転させるモータを検出器として用いて、モータの挙動から上糸への張力が付与されないときに目飛びを検知する技術が開示される。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開平5-23472号公報
特許文献2 : 特開2003-126577号公報
特許文献3 : 特開平8-276088号公報
特許文献4 : 特開2000-197786号公報
特許文献5 : 特開2013-48710号公報
特許文献6 : 特開2016-202437号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、特許文献3から5に開示されるミシンの目飛び検知手段は、何れの場合も、上糸の挙動を検出するための専用の機構とセンサとセンサ用配線とを設ける必要があり、ミシン全体の製造コストの増加を招く。特許文献6に開示されるミシンの目飛び検知手段は、かまが上糸を引き込む際に上糸に発生する張力と上糸の移動量とをモータの挙動に基づき検出するが、特許文献6では上糸に張力を発生させるモータが必要になるので、特許文献3から5に開示される技術と同様に製造コストの増加を招く。また特許文献6に開示されるミシンの目飛び検知手段を用いる際には、上糸を供給する糸道の途中にモータが設置されるが、縫い針から離れた箇所にモータが配置されると、上糸の伸縮が大きくなり張力及び移動量の検出精度が低下する。糸調子器と一体化させるなどして、縫い針の近くにモータが設置される場合には、ミシンのアーム部における設置スペースや組み立ての容易性が確保できないという問題が発生する。また特許文献6に開示されるミシンの目飛び検知手段は、上糸を巻き付ける回転体の摺動面の影響を受け易く、特に上糸と摺動面との間の摩擦が低くすべりが生じる場合には、張力の検出値の信頼性が低下する。また特許文献3から6に開示されるミシンの目飛び検知手段は、何れの場合もミシン全体の部品点数が増加するため、初期立ち上げ時の工数と、環境の変化又は経年劣化に伴う故障や誤検知を免れるためのメンテナンス工数とが大幅に増加するという問題があった。
[0006]
 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、追加部品の少ない簡素な構成で目飛びの発生を検知できるミシンを得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のミシンは、被縫製物に挿針された縫い針が下死点から上死点へと移動することで形成される上糸のループを捕捉する剣先を有するかまと、かまを回転させるモータの回転情報を検出する回転情報検出器と、かまの剣先が上糸を捕捉する期間に検出された回転情報に基づき目飛びの発生を監視し、目飛びを検知したときに目飛び検知信号を出力する監視部と、を備えることを特徴とする。

発明の効果

[0008]
 本発明によれば、追加部品の少ない簡素な構成で目飛びの発生を検知できるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 実施の形態1に係るミシンの全体構成を示す斜視図
[図2] 実施の形態1に係るミシンの上軸機構を示す斜視図
[図3] 実施の形態1に係るミシンの下軸機構を示す斜視図
[図4] 実施の形態1に係るミシンの制御構成を示すブロック図
[図5] 実施の形態1に係るミシンの下軸モータ制御演算部の詳細を示すブロック図
[図6] 実施の形態1に係るミシンの下軸偏差抑制部の詳細を示すブロック図
[図7] 実施の形態1に係るミシンの監視部の詳細を示すブロック図
[図8] 実施の形態1に係るミシンで目飛びを検知する際の信号波形を示す図
[図9] 実施の形態2に係るミシンの下軸モータ制御演算部の詳細を示すブロック図
[図10] 実施の形態2に係るミシンの監視部の詳細を示すブロック図
[図11] 実施の形態3に係るミシンの下軸モータ制御演算部の詳細を示すブロック図
[図12] 実施の形態3に係るミシンで目飛びを検知する際の信号波形を示す図
[図13] 実施の形態4に係るミシンの下軸モータ制御演算部の詳細を示すブロック図
[図14] 実施の形態4に係るミシンの監視部の詳細を示すブロック図
[図15] 実施の形態5に係るミシンの下軸モータ制御演算部の詳細を示すブロック図
[図16] 実施の形態5に係るミシンの回転情報検出器の詳細を示すブロック図
[図17] 実施の形態1から5に係るミシンの制御盤の第1のハードウェア構成例を示す図
[図18] 実施の形態1から5に係るミシンの制御盤の第2のハードウェア構成例を示す図

発明を実施するための形態

[0010]
 以下に、本発明の実施の形態に係るミシンを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[0011]
実施の形態1.
 実施の形態1では、布や革などの縫製素材である被縫製物を、XYテーブルなどの搬送装置で移動させながら縫製動作を行う工業用の電子ミシンの構成例を説明する。ただし、縫い針の上下動により形成される上糸のループをかまが捕捉することにより縫い目が形成される装置、例えば、一般ミシン、職業用ミシン、家庭用ミシン、刺繍機等にも、本実施の形態の構成例を適用できる。まず図1から図3に基づき実施の形態1に係るミシン100の構成例を説明する。
[0012]
 図1は、実施の形態1に係るミシンの全体構成を示す斜視図である。図2は、実施の形態1に係るミシンの上軸機構を示す斜視図である。図3は、実施の形態1に係るミシンの下軸機構を示す斜視図である。ただし、図1から図3では、右手系のXYZ座標において、縫い針212が上下動する方向をZ軸方向とし、Z軸方向と直交する方向をX軸方向とし、Z軸方向とX軸方向の両者に直交する方向をY軸方向とする。X軸方向は、後述するベッド104の長手方向に等しい。
[0013]
[全体構成]
 図1に示すミシン100の主要部は、筐体機構P0と、送り機構P1と、制御装置P2と、図2に示す上軸機構P3と、図3に示す下軸機構P4とで構成される。上軸機構P3は、図1の筐体機構P0に含まれる滑り板106の上方に配置される。下軸機構P4は図1の滑り板106の下方に配置される。
[0014]
[筐体機構P0]
 図1に示すように、ミシン100の筐体機構P0は、図2の上軸機構P3に含まれる上軸シャフト204を格納するアーム101と、図2の上軸シャフト204に連結され上軸モータ201を格納する上軸モータケース102と、アーム101の先端で後述する上軸機構P3の縫製作業を行うミシン頭部103と、送り機構P1に含まれるXYステージ111を格納するベッド104と、アーム101及びベッド104を設置床から支持する支持脚105と、滑り板106と、を備える。
[0015]
 滑り板106は、ベッド104の上面に固定されて送り機構P1に含まれる保持装置112を平面上で摺動自在に支持する。筐体機構P0は、ミシン100が動作する時の衝撃による機械的な破壊に耐え得るように設計された高剛性の鋼板や鋳物等の素形材、又は該衝撃を分散させて吸収する柔軟材で構成される。
[0016]
 図1では図2の上軸モータ201の位置を示すため、上軸モータケース102がアーム101の一端に連結させる形で配置されているが、図2の上軸シャフト204の長さを短くすることにより上軸シャフト204の捩じり剛性を高めたい場合には、アーム101の内側に図2の上軸モータ201を設置しても良い。また、図2の上軸モータ201は、アーム101の内側でなくとも、ミシン頭部103と一体化させる形で設置しても良い。このように設置する場合、上軸モータケース102をミシン頭部103から離れたアーム101の端に設ける必要がなくなるため、図2の上軸シャフト204の捩じり剛性が高まると同時に、ミシン100のデザインの自由度を広げることができる。
[0017]
[送り機構P1]
 ミシン100の送り機構P1は、XYステージ111、保持装置112及びエアシリンダ113を備える。XYステージ111は、図示しないX軸駆動モータ及びY軸駆動モータのそれぞれによりX軸方向及びY軸方向へ駆動され、XYステージ111の可動部に連結した保持装置112を滑り板106上の水平面内で移動させる。保持装置112は、エアシリンダ113を駆動源として、被縫製物の保持と不保持との切り替えを行う。保持装置112は、被縫製物に対する縫い針212の挿針位置が、操作盤121を用いてミシン100の使用者が指定する特定の位置となるように、被縫製物を保持し搬送する搬送作業を行う。なお挿針位置を指定するための入力機器は、操作盤121に限定されずに、例えばミシン100の外部にある計算機から制御盤122へ、通信機器を介して、挿針位置を入力しても良い。
[0018]
 なお、本実施の形態では、保持装置112の保持力を確保するため、エアシリンダ113を使用するが、これに限定されることなく、電磁式プレスや油圧式プレスなど、他の手段を使用しても良い。また、本実施の形態では、工業用ミシンに本発明を適用するため、XYステージ111と保持装置112により被縫製物を搬送する搬送部である送り機構P1を使用するが、送り機構P1の構成はこれらに限定されない。例えば、送り歯により被縫製物を搬送する他種のミシン、又はロボットにより被縫製物を搬送するミシンにも、本実施の形態の目飛びの検知方法を適用できる。さらに、送り機構P1を備えないミシンであって、手作業を含む別の手段で被縫製物を搬送するミシンにも、本実施の形態の目飛びの検知方法を適用できる。
[0019]
[制御装置P2]
 ミシン100の制御装置P2は、操作盤121、制御盤122及びフットスイッチ123を備える。ミシン100の使用者は、操作盤121で作成する縫製パターンデータ等の縫製データに基づき、ミシン100を駆動する縫製指令信号を制御盤122へ与える。制御盤122は、送り機構P1による前記搬送作業を制御し、さらに、後述する上軸機構P3と下軸機構P4との協働による縫製作業の速度とタイミングとを制御する。フットスイッチ123は、ミシン100の使用者がボタンやタッチパネル等を押下する操作を受けて、ミシン100の制御を開始する動作開始信号と、保持装置112による被縫製物の保持と不保持との切り替えを行う保持信号と、を制御盤122へ出力する。
[0020]
[上軸機構P3]
 図2に示すように、ミシン100の上軸機構P3は、上軸モータ201と、上軸モータ201の回転情報を検出する回転情報検出器202と、カップリング203と、上軸シャフト204と、上軸シャフト204に連結され被縫製物の浮き上がりを防止する中押さえ駆動機構205と、中押さえ206と、上軸シャフト204に連結された天秤駆動機構207と、上糸を挿通する小孔208を有する天秤209と、上軸シャフト204に連結された針棒駆動機構210と、針棒211の先端に装着された縫い針212と、を備える。
[0021]
 天秤209の小孔208は、通常、縫い針212が上死点に到達した後、上軸モータ201の回転角度が約60度回転したとき上死点に到達するよう駆動される。本実施の形態では、上軸モータ201を駆動源として中押さえ206と天秤209と針棒211とが同時に駆動されるが、これらの同期動作を実現する中押さえ駆動機構205、天秤駆動機構207及び針棒駆動機構210は周知の技術であるため、拡大図を用いた詳細な説明は省略する。上軸機構P3は、下軸機構P4と協働して、被縫製物に縫い目を形成する縫製作業を行う。
[0022]
 なお、図3に示すかま309の剣先308が上糸を捕捉できるように図2の縫い針212を駆動する構成であれば、中押さえ206と、天秤209と、針棒211と、をそれぞれ別の駆動源により駆動しても良い。また当該駆動源は、図示しないサーボモータやステッピングモータなどの回転電機だけでなく、製造コストを無視した技術的な観点で言えば、複数のリニアモータ、平面モータ、球面モータ等の駆動源であっても良い。このように上軸機構P3を構成することで、中押さえ206、天秤209及び針棒211の動作状況を個別の駆動源から把握できる。よって、予防保全や故障検知の付加価値をミシン100へ付与したり、ミシン全体のデザインに自由度を持たせたりできる。
[0023]
[下軸機構P4]
 図3に示すように、ミシン100の下軸機構P4は、下軸モータ301と、下軸モータ301の回転情報を検出する回転情報検出器302と、カップリング303と、下軸モータシャフト304に接続した大径ギヤ305と、大径ギヤ305と噛合する小径ギヤ306と、小径ギヤ306に接続した下軸かまシャフト307と、下軸かまシャフト307に連結され、縫い針212の上下動により形成される上糸のループを捕捉する剣先308を有するかま309と、を備える。
[0024]
 かま309は、下糸が巻かれた図示しないボビンを、図示しない内かまにより格納し、かま309からボビンが抜け落ちないようボビンを収納するボビンケースを備える。下軸機構P4は、上軸機構P3と協働して、被縫製物に縫い目を形成する縫製作業を行う。
[0025]
 なお、本実施の形態では、かま309として全回転かまを採用する場合を例示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、かま309は、上糸ループを捕捉するかまであるならば、半回転かま、水平かま、又は垂直かまでも良い。また、全回転かまを使用する場合、図2に示す針棒211に対してかまを二倍の速さで駆動する必要があるため、本実施の形態では大径ギヤ305及び小径ギヤ306で構成される倍速機を用いるが、この倍速機を介さずに、かま309を下軸モータ301で直接駆動する構成にしても良い。全回転かまの構成は、周知の技術であるため、拡大図を用いた内部構成等の詳細な説明は省略する。
[0026]
[上軸機構P3及び下軸機構P4による縫製作業]
 上軸機構P3及び下軸機構P4が協働して行う縫製作業の詳細は、次に述べるとおりである。まず、上軸モータ201を回転させることで、針孔に上糸を通した縫い針212が、滑り板106の上側から下側に向けて被縫製物へ挿針される。この縫い針212の動作により、上糸が被縫製物の下側へ供給される。その後、縫い針212が下死点から上昇する際、上糸は、被縫製物との間の摩擦により被縫製物の下側でループを形成する。この上糸のループが形成されるタイミングに調時して、下軸モータ301を駆動源として回転するかま309の剣先308が上糸を捕捉し、上糸と下糸とを絡み合わせる。その後、縫い針212が被縫製物から抜針されることで、上糸は被縫製物の上面へ引き出される。そして、天秤209が上糸を被縫製物の上方へ引き上げられることによって上糸が締め上げられ、縫い目が形成される。このとき、中押さえ206は、縫い針212や天秤209が上昇する動作に伴い、被縫製物が浮き上がったり、ばたついたりしないように被縫製物を押圧する。
[0027]
 なお、図2に示す上軸機構P3の駆動源である上軸モータ201には、モータの固定子に対する回転子の角度、角速度、角加速度等の情報を検出する回転情報検出器202が設けられる。本実施の形態では、回転情報検出器202が固定子に対する回転子の角度を検出する光学式エンコーダであるものとして記載する。回転子の角速度、角加速度等の追加情報は、回転子の角度を微分演算することで求めることができる。
[0028]
 同様に、図3に示す下軸機構P4の駆動源である下軸モータ301には、モータの固定子に対する回転子の角度、角速度、角加速度等の情報を検出する回転情報検出器302が設けられる。本実施の形態では、回転情報検出器302が固定子に対する回転子の角度を検出する光学式エンコーダであるものとして記載する。回転子の角速度、角加速度等の追加情報は、回転子の角度を微分演算することで求めることができる。
[0029]
 次に、図4を用いて、本実施の形態に係るミシンの制御構成について説明する。図4は、実施の形態1に係るミシンの制御構成を示すブロック図である。符号122Aで示す制御盤は図1に示す制御盤122に相当する。ミシン100の制御構成を説明する前にミシン100の動作概要を説明する。
[0030]
 ミシン100では、フットスイッチ123が押下され、保持信号が制御盤122Aの指令生成部405に送られると、指令生成部405から出力される保持指令信号によりエアシリンダ113が作動し、被縫製物が図1に示す保持装置112によって、搬送可能になるように挟持される。その後、フットスイッチ123が押下され、動作開始信号が制御盤122Aに送られると、送り機構P1、上軸機構P3及び下軸機構P4の駆動源である、X軸モータ410、Y軸モータ412、上軸モータ201及び下軸モータ301が作動し、ミシン100の使用者が操作盤121により予め指定しておいた被縫製物の特定の位置にミシン100が縫い目を形成し始める。特定の位置を指定する入力機器は、操作盤121に限定されずに、例えばミシン100の外部にある計算機でもよく、この場合、当該計算機から制御盤122Aへ通信機器を介して特定の位置が入力される。
[0031]
[操作盤の構成]
 図4に示すように、ミシン100の操作盤121は、表示器401と、プロセッサ402と、縫製パターンデータD1を記憶する記憶装置403と、入力装置404と、で構成される。ミシン100の使用者は、表示器401を参照しながら押下式のボタン又はタッチパネルで構成される入力装置404を操作して、縫製パターンデータD1を一針毎に入力する。これにより、縫製パターンデータD1が操作盤121の記憶装置403に保存される。操作盤121のオペレーティングシステムは、プロセッサ402により運用される。記憶装置403に保存された縫製パターンデータD1を使用することにより、縫製パターンの作成、編集及び複製が容易となる。
[0032]
 操作盤121で作成された縫製パターンデータD1は、プロセッサ402により縫製指令信号に変換されて制御盤122Aの指令生成部405へ伝送される。縫製パターンデータD1は、被縫製物に形成する縫い目の位置や形状と、ミシン100の動作速度とを決めるデータである。
[0033]
 操作盤121の表示器401は、制御盤122Aの下軸モータ制御演算部407から出力される目飛び検知信号を入力し、目飛びが検知された場合に目飛びが発生したことをミシン100の使用者へ向けて表示する。なお、表示器401は操作盤121の内部に設けられたものに限定されず、操作盤121の外部に存在する液晶パネルや信号機等の表示器でもよく、この場合、当該表示器と制御盤122Aとの通信は有線通信及び無線通信の何れでも良い。また、記憶装置403は、操作盤121の内部に設けられたものに限定されず、操作盤121の外部に存在する記憶装置でもよく、この場合、当該記憶装置と制御盤122Aとの通信は有線通信及び無線通信の何れでも良い。
[0034]
[制御盤の構成]
 図4に示すように、ミシン100を制御する制御盤122Aは、少なくとも指令生成部405と、上軸モータ制御演算部406と、下軸モータ制御演算部407と、X軸モータ制御演算部408と、Y軸モータ制御演算部409と、を備える。これらの他に、縫製作業の完了時に糸切りを行うソレノイド、糸が無くなったことを知らせる通知用センサ、送り機構P1が原点復帰を行うための位置センサ等を駆動する制御回路及び電源回路を備える場合もあるが、これらについては本発明の効果に直接関係しないので説明を省略する。
[0035]
 制御盤122Aは、操作盤121のプロセッサ402から出力される縫製指令信号と、フットスイッチ123から出力される保持信号及び動作開始信号と、上軸モータ201の回転情報検出器202から出力される上軸モータ201の回転情報である上軸回転信号と、を入力する。また制御盤122Aは、下軸モータ301の回転情報検出器302から出力される下軸モータ301の回転情報である下軸回転信号と、X軸モータ410の回転情報検出器411から出力されるX軸モータの回転情報であるX軸回転信号と、Y軸モータ412の回転情報検出器413から出力されるY軸回転信号と、を入力する。
[0036]
 制御盤122Aは、これらの信号に基づいて、上軸モータ201を駆動する上軸制御電流と、下軸モータ301を駆動する下軸制御電流と、X軸モータ410を駆動するX軸制御電流と、Y軸モータ412を駆動するY軸制御電流と、エアシリンダ113を駆動する保持指令信号と、下軸モータ制御演算部407から出力される目飛び検知信号とを出力する。
[0037]
 制御盤122Aの指令生成部405は、操作盤121のプロセッサ402から出力される縫製指令信号と、フットスイッチ123から出力される保持信号及び動作開始信号と、を入力として、上軸指令信号と、下軸指令信号と、X軸指令信号と、Y軸指令信号と、保持指令信号と、を出力する。上軸指令信号と、下軸指令信号と、X軸指令信号と、Y軸指令信号は、それぞれ上軸モータ201と、下軸モータ301と、X軸モータ410と、Y軸モータ412との回転角度を指定する電気信号であり、縫製パターンデータD1に応じて指令生成部405の内部で計算される。
[0038]
 フットスイッチ123から出力される保持信号は、保持装置112で被縫製物が保持されるようエアシリンダ113の圧力を指定する電気信号である。フットスイッチ123から出力される動作開始信号は、指令生成部405が上軸指令信号と、下軸指令信号と、X軸指令信号と、Y軸指令信号とを、それぞれ上軸モータ制御演算部406と、下軸モータ制御演算部407と、X軸モータ制御演算部408と、Y軸モータ制御演算部409と、に向けて送信し始めるタイミングを指定する電気信号である。
[0039]
 制御盤122Aの上軸モータ制御演算部406は、上軸指令信号と上軸回転信号を入力として、上軸指令信号と上軸回転信号の差分が0になるように上軸モータ201を回転させる上軸制御電流を出力する。
[0040]
 制御盤122Aの下軸モータ制御演算部407は、下軸指令信号と下軸回転信号を入力として、下軸指令信号と下軸回転信号の差分が0になるように下軸モータ301を回転させる下軸制御電流を出力する。また、下軸モータ制御演算部407は、ミシン100が縫い目を形成する正常動作を行う際に、図3に示すかま309の剣先が上糸を捕捉する期間に入力された下軸回転信号に基づき、目飛びの発生を監視し、目飛びの発生を検知したときに目飛び検知信号を出力する。一針の間に二回転する全回転かまを使用する場合、かま309の剣先が上糸を捕捉している期間は、縫い針212が下死点から上昇してかま309の剣先が上糸のループを掬うときから、縫い針212が上死点にあるときを0度としてかま309が一回点半、すなわち540度回転するまでの期間である。かま309の剣先が上糸のループを掬うタイミングは、通常、縫い針212が上死点にあるときを0度として、かま309が360度から450度回転する範囲内に存在する。かま309の剣先が上糸のループを掬うタイミングを厳密に指定できない場合は、縫い針212が上死点にあるときを0度としてかま309が360度回転したとき、又は、縫い針212の先端が滑り板106の上方から下方に移動するときから目飛びの監視を開始しても良い。
[0041]
 制御盤122AのX軸モータ制御演算部408は、X軸指令信号とX軸回転信号を入力として、X軸指令信号とX軸回転信号の差分が0になるようにX軸モータ410を回転させるX軸制御電流を出力する。
[0042]
 制御盤122AのY軸モータ制御演算部409は、Y軸指令信号とY軸回転信号を入力として、Y軸指令信号とY軸回転信号の差分が0になるようにY軸モータ412を回転させるY軸制御電流を出力する。
[0043]
 次に、図5から図7を用いて、本発明の実施の形態1に係るミシン100の目飛びの検知方法について説明する。図5は、実施の形態1に係るミシンの下軸モータ制御演算部の詳細を示すブロック図である。図6は、実施の形態1に係るミシンの下軸偏差抑制部の詳細を示すブロック図である。図7は、実施の形態1に係るミシンの監視部の詳細を示すブロック図である。図8は、実施の形態1に係るミシンで目飛びを検知する際の信号波形を示す図である。図8には、図5の監視部503が目飛び検知信号を出力する際のタイミングチャートが示される。
[0044]
[目飛び検知のための詳細構成]
 図5に示すように、制御盤122Aの下軸モータ制御演算部407は、モータ制御部である下軸偏差抑制部501と、電流制御部502と、監視部503と、を備える。下軸偏差抑制部501は、指令生成部405から出力されるモータの回転指令である下軸指令信号と、下軸モータ301が備える回転情報検出器302から出力される回転情報である下軸回転信号と、監視部503から出力される目飛び検知信号とを入力として、下軸指令信号と下軸回転信号との差分が0になるように、下軸モータ301を駆動するモータ駆動信号である下軸モータ駆動信号を出力する。
[0045]
 電流制御部502は、下軸モータ駆動信号に基づき下軸モータ301を回転させる下軸制御電流を生成し、下軸モータ301へ供給する。そして監視部503は、ミシン100が縫い目を形成する正常動作を行う場合において、図3に示すかま309の剣先が上糸を捕捉する期間に入力された下軸回転信号に基づき目飛びの発生を監視し、目飛びを検知したときには目飛び検知信号を出力する。
[0046]
 図6に示すように、下軸モータ制御演算部407の下軸偏差抑制部501は、スイッチ601と、差分器602と、偏差抑制補償器603と、を備える。スイッチ601は、指令生成部405から出力される下軸指令信号と監視部503から出力される目飛び検知信号とを入力として、ミシン100が縫製作業を実行している最中に目飛びが発生したことを検知すると、目飛び検知信号に基づき下軸指令信号の値の変化を停止させることにより、目飛びの発生と連動させて下軸モータの回転を停止させる。差分器602は、スイッチ601から出力される下軸指令信号と、回転情報検出器302から出力される下軸回転信号との差分を計算して偏差信号を出力する。そして偏差抑制補償器603は、偏差信号が0へ収束するように下軸モータ301を駆動する下軸モータ駆動信号を出力する。偏差抑制補償器603は、偏差信号を0へ収束させるため、比例演算を行う比例補償器と、積分演算を行う積分補償器と、微分演算を行う微分補償器との内、少なくとも1つを備える。本実施の形態では、比例補償器及び積分補償器によるPI制御を偏差抑制補償器603に採用するものとして記載する。
[0047]
 図7に示すように、下軸モータ制御演算部407の監視部503は、フィルタ処理部701と、記録部702と、比較器703と、を備える。フィルタ処理部701は、図3に示すかま309の回転周波数よりも高い下軸回転信号の周波数成分であるノイズ成分を低減する演算と、かま309の回転周波数よりも低い下軸回転信号の周波数成分であるノイズ成分を低減する演算と、下軸回転信号の位相を変更するオールパスフィルタである位相フィルタによる演算と、ゲインを乗じて振幅を変更する比例演算と、の何れか1つ又は複数の演算を施すことにより、評価信号を算出して出力する。
[0048]
 例えば、図3に示すかま309の回転周波数よりも高い周波数成分を低減するローパスフィルタとかま309の回転周波数よりも低い周波数成分を低減するハイパスフィルタとを組み合わせたバンドパスフィルタを使用すれば、かま309の剣先が上糸のループを捕捉することで変動する成分以外のノイズを大幅に除去できる。また、低減したいノイズの周波数がかま309の回転周波数から離れていれば、局所的にノッチフィルタを使用しても良い。また、前記位相フィルタを用いることで、回転情報検出器302の検出遅れや伝送遅れ、制御盤122A内部での計算遅れなどを補正し、目飛びの検知時刻の精度を向上できる。また、ゲインを乗じて振幅を変更する比例演算を施すことで、目飛び検知信号を任意の検出仕様へ正規化できる。
[0049]
 記録部702は、一針前の縫製作業を行う間に図3に示すかま309の剣先が上糸を捕捉した後から、かま309の剣先が上糸の捕捉を解除するまでの期間に評価信号を記録し、記録した評価信号を現在の縫製タイミングと同期するように時刻を合わせて出力する。よって、記録部702は、一針に要する時間を逓倍した期間の遅延を発生させる遅延計算機でも良い。また、記録部702は、記録した評価信号の最大値、最小値、平均値などの特徴量を計算して出力しても良い。このようにすることで、一針前に対する現在の評価信号の変化を把握し易くできる。例えば、一針前に対する現在の評価信号の変化率は、一針前の最大値及び最小値の差分に対する現在の最大値と最小値の差分の比により求めることができる。
[0050]
 比較器703は、記録部702から出力される一針前の評価信号に対して、フィルタ処理部701から出力される現在の評価信号の変化率が特定の値よりも大きいときに目飛び検知信号を出力する。
[0051]
 なお、本実施の形態では、監視部503が制御盤122Aに含まれるが、監視部503を制御盤122Aの外部に実装して、ミシン100のレイアウトや配線を変更しても良い。また、目飛びを敢えて発生させて目飛ばしを行いたい場合などの特殊な用途によっては、縫製動作を継続させるため、スイッチ601により下軸指令信号の変化を停止させなくても良い。
[0052]
[目飛びの検知動作]
 図8には上から順に、下軸モータ301の一回転内の回転角度を示す下軸回転信号の波形と、かま309の一回転内の角度であるかま回転角度と、縫い針212の位置と、前記バンドパスフィルタで構成するフィルタ処理部701から出力される評価信号の波形と、監視部503から出力される目飛び検知信号の波形とが示される。
[0053]
 図8において、上から三段目に示す縫い針212の位置は、縫い針212の下端が滑り板106よりも上側であれば上側位置に、縫い針212の下端が滑り板106よりも下側であれば下側位置にあるものとする。また、上から四段目の評価信号は、回転情報検出器302で計測した下軸モータ301の回転角度を微分して得た角速度に対して、前記バンドパスフィルタによる処理を施した信号を示している。このとき、ローパスフィルタの遮断周波数はかま309の回転周波数の二分の一に設定され、ハイパスフィルタの遮断周波数はかま309の回転周波数の二倍に設定されている。また、図中の期間taとtcは、監視部503が評価信号を監視する期間である。期間taとtcの始まりのタイミングは、縫い針212の位置が上述した上側位置から下側位置へ移るときであり、期間taとtcの終わりのタイミングは下軸の回転角度が0度のときを基準にして、かま309が0度から一回転半、すなわち540度回転したときである。
[0054]
 まず、最上段の下軸回転信号を参照して、下軸モータ301の回転角度が0度から360度まで回転する間隔をカウントすると、図8ではN針目から(N+3)針目までの合計4針分の波形が示されることが分かる。Nは1以上の自然数である。
[0055]
 次に、上から二段目では、下軸モータ301に対して、かま309は二倍の周波数で回転しており、かま回転角度より期間taとtcの終わりのタイミングが示される。次に、上から三段目では、縫い針212の位置を示すことにより、期間taとtcの始まりのタイミングが示される。
[0056]
 次に、上から四段目では、評価信号より、目飛びの発生又は非発生を判断できる。具体的には、N針目と(N+1)針目では評価信号の最大値と最小値の変化が大きくなり、かま309の剣先が上糸ループを捕捉し正常の縫い目が形成される。一方、(N+2)針目と(N+3)針目では評価信号の最大値と最小値の変化が小さくなっており、かま309の剣先が上糸ループを捕捉しておらず、目飛びが発生していることが示される。(N+1)針目に対する(N+2)針目の評価信号の変化率については、例えば(N+1)針目の最大値及び最小値を100%及び0%と正規化して、(N+2)針目の最大値と最小値がどの程度低下しているかを比較器703により評価すれば良い。図8の例では、一針毎のばらつきも考慮して、一針前に比べて評価信号の変化率が例えば70%に満たない場合に目飛びの発生が検知される。
[0057]
 そして、図8の最下段を参照すると、目飛び検知信号の出力タイミングが示されており、監視部503は期間tcの評価信号を監視した後に目飛びが発生したことを示す目飛び検知信号を出力する。
[0058]
 図8には、スイッチ601の切り替えが行われていない場合の計測例が示され、(N+2)針目と(N+3)針目では、2針分連続して目飛びが発生している。目飛びが発生した時点で縫製動作を停止させたい場合は、スイッチ601により下軸指令信号の値の変化を停止させると共に、スイッチ601と同様のスイッチを用いて、上軸機構P3と送り機構P1の駆動も停止させることが望ましい。その場合、上軸機構P3と送り機構P1の駆動を停止させるスイッチは、上軸モータ制御演算部406と、下軸モータ制御演算部407と、X軸モータ制御演算部408と、Y軸モータ演算部とが備えても良いし、指令生成部405が備えても良い。スイッチ601と同様のスイッチを用いて、上軸指令信号と下軸指令信号とX軸指令信号とY軸指令信号の値の変化を停止させることにより、上軸機構P3と送り機構P1の駆動を停止させることができる。
[0059]
 なお、本実施の形態のように全回転かまを使用する場合は、一針の間にかま309は2回転するが、1回転目でかま309の剣先が上糸のループを捕捉すると、2回転目ではかま309の剣先が上糸のループを捕捉せずに空転する。そこで、記録部702は、図8に示すように、かま309の剣先が一針前に前記上糸の捕捉を解除した後からかま309の剣先が再び前記上糸を捕捉するまでの期間tbに評価信号を記録する。次に、監視部503は、記録部702が記録した期間tbにおける評価信号の最大値と最小値の差分d1と、期間tcにフィルタ処理部701から出力される現在の評価信号の最大値と最小値の差分d2を計算する。そして、監視部503は、差分d1に対する差分d2の変化率が特定の値よりも小さいときに目飛び検知信号を出力しても良い。これにより、目飛びを検知するための閾値を設定する手間を省くことができる。図8の計測例では、一針毎のばらつきも考慮して、期間tbの評価信号の最大値と最小値の差分d1に比べて、期間tcの評価信号の最大値と最小値の差分d2の変化率が3倍以上にならない場合に目飛びの発生が検知される。
[0060]
[本実施の形態の効果]
 以上に説明したように本実施の形態に係るミシン100は、かま309を駆動する駆動源の情報を活用するので、ミシン100のデザインの自由度を広げると共に、追加部品の少ない簡素な構成で目飛びの発生を検知できる。また、上糸を巻き付けた回転体を駆動するモータの挙動から目飛びを検知する場合に比べて、アーム部周辺におけるスペースや組み立ての容易性を確保し易く、上糸を巻き付けた回転体の摺動面の影響を受けずに目飛びの発生を検知できる。
[0061]
 また、本実施の形態によれば、かま309を駆動する駆動源の動作情報に基づき目飛びの発生を検知するので、追加部品の少ない簡素な構成で、かつメンテナンス工数の少ないミシン100を提供できる。また、目飛び検知用のセンサを追加する構成に比べて、メンテナンス工数を少なくできる。
[0062]
 また、スイッチ601は、ミシン100が縫製作業を実行している最中に目飛びが発生したことを検知すると、目飛び検知信号に基づき、下軸指令信号の変化を停止させることができる。このようにすることで、実施の形態1に係るミシン100は、目飛びが発生した時点でかま309の回転を停止させることができる。つまり、目飛びが発生した後に、ミシン100が不要な縫製動作を実行しないようにかま309を制御することができる。
[0063]
 また、目飛び検知信号に基づき、ミシン100が備える中押さえ206と、天秤209と、針棒211と、XYステージ111と、保持装置112との動作を停止させる、又は原点位置に復帰させる、若しくは動作パターンを変更することも容易に考えられる。例えば、図4において目飛び検知信号を指令生成部405へ入力し、指令生成部405は、目飛びを検知したときに、縫製動作を停止又は継続させる上軸指令信号と、下軸指令信号と、X軸指令信号と、Y軸指令信号と、保持指令信号と、を変更して出力するように構成される。つまり、目飛びを検知する監視手段は、かま以外の縫製機構や送り機構と組み合わせることができる。目飛びの発生に調時して上軸機構P3と送り機構P1の駆動を停止させるために、上軸モータ制御演算部406と、下軸モータ制御演算部407と、X軸モータ制御演算部408と、Y軸モータ演算部とは、スイッチ601と同様のスイッチを備えても良い。また、指令生成部405がスイッチ601と同様のスイッチを備えても良い。このように構成することで、目飛びの発生をミシン100の使用者へ知らせると共に、不要な縫製動作を実行させないようにミシンを制御することができる。また、ミシン100の復帰作業を滞りなく実施でき、目飛び発生時のミシン100のダウンタイムを低減できる。
[0064]
 また、実施の形態1に係るミシン100は、縫い針212とかま309をそれぞれ別の駆動源で駆動するので、下軸指令信号に変更を加えることにより、かま309の剣先が上糸ループを掬うタイミングを容易に微調整できる。このようにすることで、多彩な制御性を発揮し、目飛びの発生頻度を低減できる。また、実施の形態1に係るミシン100によれば、上糸の挙動を検出するための専用の機構とセンサとセンサ用配線とを追加することなく目飛びの発生を検知できる。
[0065]
実施の形態2.
 図9と図10に基づき、実施の形態2に係るミシン100の構成と動作について説明する。図9は、実施の形態2に係るミシンの下軸モータ制御演算部の詳細を示すブロック図である。図10は、実施の形態2に係るミシンの監視部の詳細を示すブロック図である。図9の符号122Bで示す制御盤は図1に示す制御盤122に相当する。
[0066]
 実施の形態2に係るミシン100は、制御盤122Bの下軸モータ制御演算部407が備える監視部503の構成と、操作盤121の記憶装置403に記憶されるデータとが実施の形態1に係るミシン100と異なり、その他の構成及び動作については実施の形態1に係るミシン100と同じである。このため、同様の部分については説明を省略する。
[0067]
 図9に示すように、制御盤122Bの下軸モータ制御演算部407は、指令生成部405から出力される下軸指令信号と、下軸モータ301の回転情報検出器302から出力される下軸回転信号と、入力装置404を用いて操作盤121の記憶装置403に記憶されたデータである設定パラメータD2とを入力し、電流制御部502が下軸制御電流を下軸モータ301へ出力し、監視部503が目飛び検知信号を表示器401と下軸偏差抑制部501へ出力する。なお、設定パラメータD2は、操作盤121の外部にある計算機に設定しておき、当該計算機から出力された設定パラメータD2を制御盤122Bへ入力しても良い。
[0068]
 図10に示すように、制御盤122Bの監視部503は、フィルタ処理部701と、記録部702と、比較器703と、比例演算部704とを備え、回転情報検出器302から出力される下軸回転信号と、記憶装置403の設定パラメータD2とを入力し、目飛び検知信号を出力する。制御盤122Bのフィルタ処理部701は、回転情報検出器302から出力される下軸回転信号と、設定パラメータD2を入力し、目飛び検知のために任意のノイズ成分を低減した現在の評価信号を出力する。
[0069]
 制御盤122Bの記録部702は、設定パラメータD2を入力し、評価信号を記録する期間を変更することができ、一針前の縫製作業を行う間に記録した評価信号を現在の縫製タイミングと同期するように時刻を合わせて出力する。制御盤122Bの比較器703は、記録部702から出力される一針前の縫製記録と比例演算部704から出力される比例評価信号とを比較して、目飛び検知信号を出力する。比例演算部704は、フィルタ処理部701から出力される現在の評価信号に対して設定パラメータD2で設定するゲインを乗算して比例評価信号を出力する。設定パラメータD2は、フィルタ処理部701の時定数や遮断周波数を変更したり、記録部702の記録期間を変更したり、比例演算部704で乗じるゲインの値を変更したりする複数の数値である。
[0070]
 実施の形態2の監視部503は、実施の形態1で示した図8における期間taに記録部702に記録された一針前の評価信号に対して、比例演算部704から出力される比例評価信号の値が小さいときに、目飛び検知信号を出力する。又は、監視部503は、図8における期間tbに記録部702に記録された一針前の評価信号に対して、比例演算部704から出力される比例評価信号の値が大きいときに、目飛び検知信号を出力する。
[0071]
 このようにすることで、実施の形態2に係るミシン100は、かま309を駆動する駆動源の動作情報に基づき目飛びの発生を検知するので、追加部品の少ない簡素な構成で、かつメンテナンス工数を少なくできる。
[0072]
 また、実施の形態2に係るミシン100は、記録部702から出力される一針前の評価信号と、設定パラメータD2を設定することで得られる比例評価信号に基づき、監視部503が目飛びを検知する。このため、設定パラメータD2の設定を変更することで、目飛びの検知感度を一針毎にミシン100の使用者が設定できる。
[0073]
 また、設定パラメータD2を設定することにより、フィルタ処理部701の時定数や遮断周波数を一針毎にミシン100の使用者が設定できる。よって、使用者が設定パラメータD2の値を縫製作業の途中で変更することによって、被縫製物の厚みや硬さが縫製の途中で変更され上糸の張力が著しく変更される場合、若しくは縫製作業の速度が縫製の途中で変更される場合であっても、目飛びの検知精度を改善できる。
[0074]
 なお、実施の形態2において、監視部503の記録部702から出力される一針前の評価信号の値は、設定パラメータD2の入力に基づき、随時一定にしても良い。すなわち、該比例評価信号を目飛び検知のための閾値として用いても良い。このようにすれば、一針前の評価信号の変動やばらつきの有無に依らず、現在の評価信号の特徴値が設定パラメータD2の値を上回る又は下回る場合に、目飛びを検知できる。このようにすることで、記録部702の記録領域が大幅に削減され、監視部503の構成を簡素にすることができる。
[0075]
実施の形態3.
 図11に基づき、実施の形態3に係るミシン100の構成について説明する。図11は、実施の形態3に係るミシンの下軸モータ制御演算部の詳細を示すブロック図である。符号122Cで示す制御盤は図1に示す制御盤122に相当する。
[0076]
 実施の形態3に係るミシン100は、制御盤122Cの下軸モータ制御演算部407が備える監視部503の構成と、操作盤121の記憶装置403に記憶されるデータとが実施の形態2に係るミシン100と異なり、その他の構成及び動作については実施の形態1及び実施の形態2に係るミシン100と同じである。このため、同様の部分については説明を省略する。
[0077]
 図11に示すように、制御盤122Cの監視部503は、下軸偏差抑制部501から出力される下軸モータ駆動信号と、操作盤121の記憶装置403に記憶されたデータである設定パラメータD3とを入力し、目飛び検知信号を表示器401と下軸偏差抑制部501へ出力する。なお、設定パラメータD3は、操作盤121の外部にある計算機に設定しておき、当該計算機から出力された設定パラメータD3を制御盤122Cへ入力しても良い。
[0078]
 実施の形態3では、図10に示す監視部503のフィルタ処理部701に、回転情報検出器302から出力される下軸回転信号の代わりに下軸モータ駆動信号が入力される。
[0079]
 次に、図12に基づき、実施の形態3に係るミシン100の動作について説明する。図12は、実施の形態3に係るミシンで目飛びを検知する際の信号波形を示す図である。図12の上段は、制御盤122Cのフィルタ処理部701から出力される評価信号の波形であり、下段は、制御盤122Cの比較器703から出力される目飛び検知信号である。
[0080]
 上段を参照すると、下軸モータ駆動信号をフィルタ処理部701へ入力することにより評価信号が得られた場合、回転情報を入力する場合と同様に、期間taの評価信号に対して期間tcの評価信号の方が最大値と最小値の差分が小さいことが分かる。期間taでは、かま309の剣先が上糸ループを捕捉しているため、下軸モータ301を回転させるために必要となるトルクが多いのに対して、期間tcでは、かま309の剣先が上糸ループを捕捉できていないためである。
[0081]
 一方、下段には、目飛び検知信号の出力タイミングが示されており、監視部503の比較器703は期間tcの評価信号を監視し終えた後に目飛びが発生したことを示す信号を出力する。
[0082]
 このようにすることで、実施の形態3に係るミシン100は、かま309を駆動する駆動源の動作情報に基づき目飛びの発生を検知するので、追加部品の少ない簡素な構成で、かつメンテナンス工数を少なくできる。
[0083]
 また、実施の形態3に係るミシン100は、下軸モータ駆動信号と設定パラメータD3に基づき、監視部503が目飛びを検知する。実施の形態1では、下軸回転信号として下軸モータ301の回転角度を微分して求めた角速度を用いたが、下軸モータ駆動信号を監視部503の入力とすることでこの微分演算に要する計算コストを削減できる。
[0084]
 また、下軸モータ301としてサーボモータを使用する場合は、下軸モータ駆動信号がdq軸ベクトル電流制御系のq軸電流指令に相当するため角加速度又はトルクの次元となり、角速度を監視部503へ入力する場合に比べて評価信号の変化を検出し易くなるので、目飛びの検知精度を向上させることができる。
[0085]
 なお、実施の形態3において、監視部503は、下軸モータ駆動信号を入力して目飛び検知信号を出力するが、かま309の剣先が上糸を捕捉している期間に下軸回転信号の変動が反映される制御盤122Cの内部信号であれば、下軸モータ駆動信号以外の信号を入力しても目飛びを検知できる。例えば、図6に示す下軸偏差抑制部501の差分器602から出力される偏差信号を監視部503に入力しても良い。また、下軸モータ301に通電する電流値を監視部503へ入力しても良い。
[0086]
実施の形態4.
 図13と図14に基づき、実施の形態4に係るミシン100の構成と動作について説明する。図13は、実施の形態4に係るミシンの下軸モータ制御演算部の詳細を示すブロック図である。図14は、実施の形態4に係るミシンの監視部の詳細を示すブロック図である。図13の符号122Dで示す制御盤は図1に示す制御盤122に相当する。
[0087]
 実施の形態4に係るミシン100は、制御盤122Dの下軸モータ制御演算部407が備える監視部503の構成と、操作盤121の記憶装置403に記憶されるデータとが実施の形態1から実施の形態3に係るミシン100と異なり、その他の構成及び動作については実施の形態1から実施の形態3に係るミシン100と同じである。このため、同様の部分については説明を省略する。
[0088]
 図13に示すように、制御盤122Dの下軸モータ制御演算部407は、指令生成部405から出力される下軸指令信号と、下軸モータ301の回転情報検出器302から出力される下軸回転信号と、入力装置404を用いて操作盤121の記憶装置403に記憶されたデータである設定パラメータD4とを入力し、電流制御部502が下軸制御電流を下軸モータ301へ出力し、監視部503が目飛び検知信号を表示器401と下軸偏差抑制部501へ出力する。なお、設定パラメータD4は、操作盤121の外部にある計算機に設定しておき、当該計算機から出力された設定パラメータD4を制御盤122Dへ入力しても良い。
[0089]
 図14に示すように、制御盤122Dの監視部503は、モータ駆動信号を入力とするフィルタ処理部701と、記録部702と、比較器703と、比例演算部704と、下軸回転信号を入力とするフィルタ処理部705と、状態推定部706と、差分器707とを備え、記憶装置403の設定パラメータD4と、下軸偏差抑制部501から出力される下軸モータ駆動信号と、回転情報検出器302から出力される下軸回転信号を入力し、目飛び検知信号を出力する。
[0090]
 制御盤122Dのフィルタ処理部701は、下軸モータ駆動信号と設定パラメータD4を入力し、目飛び検知のために任意のノイズ成分を低減した評価信号を出力する。設定パラメータD4を変更することにより、ノイズ成分を低減するために用いるフィルタの時定数や遮断周波数を調整できる。
[0091]
 制御盤122Dの記録部702は、設定パラメータD4と、差分器707から出力される推定外乱信号を入力し、一針前の縫製作業を行う間に記録した推定外乱信号を現在の縫製タイミングと同期するように時刻を合わせて出力する。記録部702では、設定パラメータD4の値を変更することで、評価信号を記録する期間を変更できる。
[0092]
 制御盤122Dの比較器703は、記録部702から出力される一針前の推定外乱信号と比例演算部704から出力される比例評価信号とを比較して、目飛び検知信号を出力する。制御盤122Dの比例演算部704は、差分器707から出力される推定外乱信号に対して設定パラメータD4で設定するゲインを乗算して比例評価信号を出力する。
[0093]
 下軸回転信号を入力とするフィルタ処理部705は、フィルタ処理部701と同じノイズ成分を低減するためのフィルタ演算処理を行う。設定パラメータD4を変更することにより、ノイズ成分を低減するために用いるフィルタの時定数や遮断周波数を調整できる。状態推定部706は、下軸モータ駆動信号から下軸モータ回転信号までの伝達関数の逆特性を模擬することで、下軸回転信号からモータ駆動信号を推定し、推定駆動信号を出力する。例えば、下軸モータ駆動信号から下軸モータ回転信号までの伝達関数Gm(s)は、下記(1)式で表現できる。ここで、Jmはモータ軸の慣性、Jlはモータ軸に連結された回転部の慣性、Dはモータの粘性摩擦係数、sはラプラス演算子である。状態推定部706は、下軸モータ301で回転させる回転部の少なくとも慣性成分、すなわち慣性Jlを模擬したモデルの逆特性を有する。
[0094]
[数1]


[0095]
 差分器707は、フィルタ処理部701から出力される評価信号と、状態推定部706から出力される推定駆動信号との差分を計算し、推定外乱信号を出力する。推定外乱信号は、かま309の剣先308に加わる上糸ループの張力を含む、下軸モータ301に対する外乱を推定する信号である。
[0096]
 設定パラメータD4は、フィルタ処理部701と705の時定数や遮断周波数を変更したり、記録部702の記録期間を変更したり、比例演算部704で乗じるゲインの値を変更したりする複数の数値である。
[0097]
 実施の形態4の監視部503は、実施の形態1で示した図8における期間taに記録部702が記録した一針前の外乱推定信号に対して、比例演算部704から出力される比例評価信号の値が小さいときに目飛び検知信号を出力する。また、監視部503は、図8における期間tbに記録部702が記録した一針前の推定外乱信号に対して、比例演算部704から出力される比例評価信号の値が大きいときに目飛び検知信号を出力する。目飛びの検知感度は、設定パラメータD4で変更する比例演算部704のゲインを調整することで変更できる。
[0098]
 このようにすることで、実施の形態4に係るミシン100は、かま309を駆動する駆動源の動作情報に基づき目飛びの発生を検知するので、追加部品の少ない簡素な構成で、かつメンテナンス工数を少なくできる。
[0099]
 また、実施の形態4に係るミシン100は、状態推定部706で計算する下軸機構のモデルに基づき下軸モータ301に付与される外乱を推定する。このため、高精度な下軸機構のモデルを構築できる場合に目飛びの検知精度を向上できる。
[0100]
 なお、実施の形態4において、監視部503の記録部702から出力される一針前の評価信号の値は、設定パラメータD4の入力に基づき、随時一定にしても良い。すなわち、該推定外乱信号を目飛び検知のための閾値として用いても良い。このようにすれば、一針前の推定外乱信号の変動やばらつきに依らず、単純に現在の推定外乱信号が設定パラメータD4で設定する閾値を上回る又は下回る場合に、目飛びを検知できる。このようにすることで、記録部702の記録領域が大幅に削減され、制御盤122Dの監視部503の構成を簡素にできる。
[0101]
実施の形態5.
 図15と図16に基づき、実施の形態5に係るミシン100の構成と動作について説明する。図15は、実施の形態5に係るミシンの下軸モータ制御演算部の詳細を示すブロック図である。図16は、実施の形態5に係るミシンの回転情報検出器の詳細を示すブロック図である。符号122Eで示す制御盤は図1に示す制御盤122に相当する。
[0102]
 実施の形態4に係るミシン100と実施の形態5に係るミシン100との相違点は、実施の形態5に係るミシン100では、下軸モータ301の回転情報を検出する回転情報検出器504を、制御盤122Eの下軸モータ制御演算部407の内部に構成したことと、電流制御部502が下軸モータ301へ下軸制御電流を流すと共に電圧指令信号と下軸電流信号を出力することである。その他の構成及び動作については実施の形態4に係るミシン100と同じである。このため、同様の部分については説明を省略する。
[0103]
 図15に示すように、制御盤122Eの下軸モータ制御演算部407は、指令生成部405から出力される下軸指令信号と、設定パラメータD4と、を入力として受ける。設定パラメータD4は、入力装置404を用いて操作盤121の記憶装置403に記憶されたデータである。また、下軸モータ制御演算部407の電流制御部502は、下軸制御電流を下軸モータ301へ出力し、下軸モータ制御演算部407の監視部503は、目飛び検知信号を表示器401と下軸偏差抑制部501へ出力する。
[0104]
 制御盤122Eの電流制御部502は、下軸モータ301へ下軸制御電流を流すために、図示しないインバータ回路と、下軸モータ301に流れる下軸制御電流の値を下軸電流信号として検出する電流検出部505を備える。電流制御部502は、下軸モータ駆動信号を入力として、インバータ回路を駆動する電圧指令信号を計算し、下軸制御電流と電圧指令信号と下軸電流信号とを出力する。制御盤122Eの回転情報検出器504は、電圧指令信号と下軸制御信号を入力として下軸回転信号を出力する。図16に示すように、制御盤122Eの回転情報検出器504は、モータモデル506と、速度推定器507と、差分器508と、位置推定器509を備える。モータモデル506は、電流制御部502が出力する電圧指令信号と、速度推定器507が出力する推定速度と、差分器508の出力信号と、を入力とする磁束オブザーバであり、下軸モータ301のインピーダンスを固有値として与えることで、下軸モータ301の電流と磁束を推定し電流推定値と磁束推定値を出力する。速度推定器507は、モータモデル506が出力する磁束推定値を入力として、下軸モータ301の回転速度を推定し速度推定値を出力する。差分器508は、電流推定値と下軸電流信号を入力として両者の差分を出力する。差分器508の出力が0になるようにモータモデルを更新すれば、モータモデル506が出力する磁束推定値の推定精度を改善することができる。位置推定器509は、磁束推定値と速度推定値との何れか1つ又は両方を入力として下軸モータ301の位置を推定し、下軸回転信号を出力する。回転情報検出器504は、速度推定値を下軸回転信号として出力しても良い。
[0105]
 このようにすることで、実施の形態5に係るミシン100は、下軸モータ301の軸端にエンコーダやレゾルバ等のセンサを設置する必要がなく、センサレスモータを使用して、すなわち追加部品の少ない簡素な構成で目飛びを検知することができ、かつセンサを設置する場合に比べて検出精度の較正作業などに費やす工数を無くすことができる。なお、実施の形態1から実施の形態4に係るミシン100で使用される下軸モータ301の回転情報検出器302は、実施の形態5と同様に、回転情報検出器504へ置き換えることができる。
[0106]
 実施の形態1から5に係るミシン100の制御盤が備える各機能は処理回路を用いて実現することができる。各機能とは、指令生成部405及び下軸モータ制御演算部407である。図17は、実施の形態1から5に係るミシンの制御盤の第1のハードウェア構成例を示す図である。図18は、実施の形態1から5に係るミシンの制御盤の第2のハードウェア構成例を示す図である。図17には専用処理回路60のような専用のハードウェアにより上記の処理回路を実現する例が示される。図18にはプロセッサ61及び記憶装置62により上記の処理回路を実現する例が示される。
[0107]
 図17に示すように専用のハードウェアを利用する場合、専用処理回路60は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。上記の各機能のそれぞれを、処理回路で実現しても良いし、まとめて処理回路で実現しても良い。
[0108]
 図18に示すようにプロセッサ61及び記憶装置62を利用する場合、上記の各機能のそれぞれは、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組合せにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして記述され、記憶装置62に記憶される。プロセッサ61は記憶装置62に記憶されたプログラムを読み出して実行する。またこれらのプログラムは、上記の各機能のそれぞれが実行する手順及び方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。記憶装置62は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(登録商標)(Erasable Programmable Read Only Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった半導体メモリが該当する。半導体メモリは不揮発性メモリでも良いし揮発性メモリでも良い。また記憶装置62は、半導体メモリ以外にも、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク又はDVD(Digital Versatile Disc)が該当する。
[0109]
 以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。

符号の説明

[0110]
 60 専用処理回路、61,402 プロセッサ、62,403 記憶装置、100 ミシン、101 アーム、102 上軸モータケース、103 ミシン頭部、104 ベッド、105 支持脚、106 滑り板、111 XYステージ、112 保持装置、113 エアシリンダ、121 操作盤、122,122A,122B,122C,122D,122E 制御盤、123 フットスイッチ、201 上軸モータ、202,302,411,413,504 回転情報検出器、203,303 カップリング、204 上軸シャフト、205 中押さえ駆動機構、206 中押さえ、207 天秤駆動機構、208 小孔、209 天秤、210 針棒駆動機構、211 針棒、212 縫い針、301 下軸モータ、304 下軸モータシャフト、305 大径ギヤ、306 小径ギヤ、307 下軸かまシャフト、308 剣先、309 かま、401 表示器、404 入力装置、405 指令生成部、406 上軸モータ制御演算部、407 下軸モータ制御演算部、408 X軸モータ制御演算部、409 Y軸モータ制御演算部、410 X軸モータ、412 Y軸モータ、501 下軸偏差抑制部、502 電流制御部、503 監視部、505 電流検出部、506 モータモデル、507 速度推定器、508,602,707 差分器、509 位置推定器、601 スイッチ、603 偏差抑制補償器、701,705 フィルタ処理部、702 記録部、703 比較器、704 比例演算部、706 状態推定部。

請求の範囲

[請求項1]
 被縫製物に挿針された縫い針が下死点から上死点へと移動することで形成される上糸のループを捕捉する剣先を有するかまと、
 前記かまを回転させるモータの回転情報を検出する回転情報検出器と、
 前記かまの剣先が前記上糸を捕捉する期間に検出された前記回転情報に基づき目飛びの発生を監視し、目飛びを検知したときに目飛び検知信号を出力する監視部と、
 を備えることを特徴とするミシン。
[請求項2]
 前記モータの回転指令と前記回転情報の差が小さくなるように前記モータを駆動するモータ駆動信号を生成するモータ制御部を備え、
 前記監視部は、前記かまの剣先が前記上糸を捕捉する期間に、前記モータ駆動信号に対して特定の演算を施すことで算出した評価信号の増減を監視することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
[請求項3]
 前記監視部は、前記監視部の外部からの設定パラメータを前記評価信号が上回る又は下回るときに前記目飛び検知信号を出力することを特徴とする請求項2に記載のミシン。
[請求項4]
 前記モータ駆動信号に対して、前記かまの回転周波数よりも高い周波数成分を低減する演算と、前記かまの回転周波数よりも低い周波数成分を低減する演算と、前記回転情報の位相を変更するオールパスフィルタによる演算と、ゲインを乗じて振幅を変更する演算と、の何れか1つ又は複数の演算を施すことにより、前記評価信号を算出するフィルタ処理部を備え、
 前記監視部は、前記監視部の外部から入力される1つ以上の設定パラメータにより、前記フィルタ処理部の時定数又はゲインを変更することを特徴とする請求項2又は3に記載のミシン。
[請求項5]
 前記かまの剣先が一針前に前記上糸の捕捉を解除した後から前記かまの剣先が再び前記上糸を捕捉するまでの期間に前記評価信号を記録する記録部を備え、
 前記監視部は、前記記録部の記録に比べて、前記フィルタ処理部から出力される前記評価信号が特定の値よりも小さいときに前記目飛び検知信号を出力することを特徴とする請求項4に記載のミシン。
[請求項6]
 前記監視部は、前記回転情報に対して前記フィルタ処理部による演算を施した信号を前記モータで回転させる駆動部の少なくとも慣性を模擬したモデルへ入力することにより、前記モータの回転状態を推定する状態推定部を備え、
 前記監視部は、前記モータ駆動信号に対して前記フィルタ処理部による演算を施した信号と、前記状態推定部の出力信号と、の差分により求める推定外乱信号を前記評価信号とすることを特徴とする請求項4又は5に記載のミシン。
[請求項7]
 前記モータ制御部は、前記目飛び検知信号にもとづき前記回転指令の値の変化を停止させるスイッチを備えることを特徴とする請求項2から6の何れか1項に記載のミシン。
[請求項8]
 前記回転情報検出器は、前記モータ駆動信号にもとづき算出される前記モータの電圧指令値と前記モータの電流値を入力として、前記モータの磁束を模擬し出力する前記モータのモデルを備え、前記磁束にもとづき前記モータの前記回転情報を検出することを特徴とする請求項2から7の何れか一項に記載のミシン。
[請求項9]
 前記監視部と、
 前記上糸を挿通する小孔を有し、前記小孔の下死点から上死点までの上昇により前記上糸を前記被縫製物から引き上げることで縫い目を形成する天秤と、
 前記被縫製物の浮き上がりを防止する押さえと、
 前記被縫製物を搬送する搬送部と、
 前記目飛び検知信号に基づき、前記縫い針と、前記かまと、前記天秤と、前記押さえと、前記搬送部との何れか一つ又は複数の駆動方法を変更する指令生成部と
 を備えること特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載のミシン。
[請求項10]
 前記指令生成部は、前記目飛び検知信号に基づき、前記縫い針と、前記かまと、前記天秤と、前記押さえと、前記搬送部との何れか一つ又は複数を停止させる信号を出力することを特徴とする請求項9に記載のミシン。
[請求項11]
 前記目飛び検知信号に基づき目飛びが発生したことを表示する表示器を備えることを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載のミシン。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]