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1. (WO2018179393) 全熱交換素子、全熱交換素子の製造方法および全熱交換装置
Document

明 細 書

発明の名称 全熱交換素子、全熱交換素子の製造方法および全熱交換装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080  

符号の説明

0081  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : 全熱交換素子、全熱交換素子の製造方法および全熱交換装置

技術分野

[0001]
 本発明は、空気流同士での全熱交換を行わせる全熱交換素子、全熱交換素子の製造方法および全熱交換装置に関する。

背景技術

[0002]
 室外から室内への給気流と、室内から室外への排気流との間の全熱交換を行わせる全熱交換装置が知られている。全熱交換装置を使用した換気を行うことで、室内の冷暖房の効率と除加湿の効率とを向上させ、室内の空調に使用されるエネルギーを低減させることができる。全熱交換装置に備えられた全熱交換素子は、給気流が通過する流路と排気流が通過する流路との間における顕熱の伝達と潜熱の伝達とを行う。全熱交換素子は、全熱交換の効率を高めるために、流路間での熱伝達率の向上による顕熱の効率的な伝達が可能であることに加えて、流路間での透湿率の向上による潜熱の効率的な伝達が可能であることが要求されている。
[0003]
 特許文献1には、間隔を設けて積層された複数の伝熱板の間に形成された流路を備える全熱交換素子において、流路に凹凸形状を設けることが開示されている。特許文献1の技術によると、凹凸形状において空気流の乱れを発生させることで、潜熱の効率的な伝達を図り得る。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2009-210236号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、特許文献1の技術によると、凹凸形状での乱れによって空気流のむらが生じることで、流路内において空気流の通過が少なくなる箇所が部分的に現れることがある。かかる箇所では、顕熱および潜熱の伝達面から空気流が剥離されることにより、伝達面における顕熱および潜熱の伝達が少なくなる。このため、全熱交換素子は、全熱交換効率を向上させる効果が得られにくくなる。
[0006]
 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高い効率での全熱交換を可能とする全熱交換素子を得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる全熱交換素子は、第1の空気流が通過する第1の流路が設けられた第1の層と、第2の空気流が通過する第2の流路が設けられた第2の層とが交互に積層された積層体を備える。積層体は、第1の層と第2の層との間の仕切部材と、第1の層と第2の層とに設けられ、互いに対向する仕切部材同士の間隔を保持する間隔保持部材と、仕切部材において部分的に設けられ、仕切部材を介する第1の空気流と第2の空気流との間の潜熱の伝達を遮蔽する潜熱遮蔽部材とを備える。

発明の効果

[0008]
 本発明にかかる全熱交換素子は、高い効率での全熱交換が可能となるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 本発明の実施の形態1にかかる全熱交換素子の斜視図
[図2] 図1に示す仕切部材と間隔保持部材とを示す斜視図
[図3] 図2に示す潜熱遮蔽部材が設けられたことによる効果についての説明図
[図4] 図1に示す第1の層の断面を示す図
[図5] 図2に示す仕切部材と潜熱遮蔽部材との断面を示す図
[図6] 実施の形態1にかかる全熱交換素子の製造方法の手順の一部を示すフローチャート
[図7] 本発明の実施の形態2にかかる全熱交換素子の一部の構成を示す斜視図
[図8] 図7に示す間隔保持部材を含む第1の層の断面を示す図
[図9] 実施の形態2にかかる全熱交換素子の製造方法の手順の一部を示すフローチャート
[図10] 本発明の実施の形態3にかかる全熱交換素子の斜視図
[図11] 図10に示す第1の層と第2の層とを示す斜視図
[図12] 図10に示す第1の層の断面を示す図
[図13] 実施の形態1にかかる全熱交換素子を備える全熱交換装置の概略構成を示す図

発明を実施するための形態

[0010]
 以下に、本発明の実施の形態にかかる全熱交換素子、全熱交換素子の製造方法および全熱交換装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[0011]
実施の形態1.
 図1は、本発明の実施の形態1にかかる全熱交換素子1の斜視図である。全熱交換素子1は、第1の空気流7の進行方向と第2の空気流8の進行方向とが互いに垂直である直交流型の全熱交換素子である。全熱交換素子1は、第1の層3と第2の層4とが交互に積層された積層体2を備える。第1の層3には、第1の空気流7が通過する複数の第1の流路5が設けられている。第2の層4には、第2の空気流8が通過する複数の第2の流路6が設けられている。第1の空気流7は、室外から室内への給気流である。第2の空気流8は、室内から室外への排気流である。
[0012]
 積層体2は、第1の層3と第2の層4との間の仕切部材10と、仕切部材10同士の間隔を保持する間隔保持部材11とを備える。間隔保持部材11は、第1の層3と第2の層4とに設けられている。積層体2には、平坦に加工されたシート部材である仕切部材10と、コルゲート状に成形されたシート部材である間隔保持部材11とが交互に積層されている。仕切部材10と間隔保持部材11とは、接着剤により互いに接着されている。間隔保持部材11は、三角波状に成形されている。図1では、接着剤の図示を省略している。
[0013]
 間隔保持部材11は、第1の方向を長手方向とするコルゲートの凹凸が形成された間隔保持部材11Aと、第1の方向に垂直な第2の方向を長手方向とするコルゲートの凹凸が形成された間隔保持部材11Bとを含む。間隔保持部材11Aと間隔保持部材11Bとは、仕切部材10を介して交互に積み上げられている。
[0014]
 第1の層3は、間隔保持部材11Aが設けられている仕切部材10同士の間の部分である。第1の流路5は、第1の層3における間隔保持部材11Aと仕切部材10とで囲われた空間である。第1の流路5における第1の空気流7の進行方向は、第1の方向である。第2の層4は、間隔保持部材11Bが設けられている仕切部材10同士の間の部分である。第2の流路6は、第2の層4における間隔保持部材11Bと仕切部材10とで囲われた空間である。第2の流路6における第2の空気流8の進行方向は、第2の方向である。第1の方向と第2の方向とは、互いに垂直である。
[0015]
 仕切部材10の材料には、伝熱性、透湿性および気体遮蔽性を持つ材料が使用される。仕切部材10の材料の1つの例は、各種樹脂材料からなる樹脂シートである。間隔保持部材11の材料には、気体遮蔽性を持つ材料が使用される。間隔保持部材11の材料の1つの例は、セルロース繊維を素材とする紙である。
[0016]
 全熱交換素子1は、仕切部材10を介する熱伝導により、第1の空気流7と第2の空気流8との間における顕熱の交換を行う。また、全熱交換素子1では、仕切部材10での水蒸気の透過により、第1の空気流7と第2の空気流8との間における潜熱の交換を行う。
[0017]
 なお、積層体2における第1の層3と第2の層4との数は任意であるものとする。また、第1の層3における第1の流路5の数と第2の層4における第2の流路6の数とは任意であるものとする。間隔保持部材11は、仕切部材10同士の間隔を一定に保持可能であれば良く、矩形波状に成形されたものであっても良い。また、間隔保持部材11は、複数の板片を組み合わせたものであっても良い。間隔保持部材11は、樹脂材料から成形されたリブ材であっても良い。
[0018]
 図2は、図1に示す仕切部材10と間隔保持部材11とを示す斜視図である。図2には、1つの仕切部材10と、仕切部材10に接着される間隔保持部材11A,11Bとを示している。潜熱遮蔽部材12は、仕切部材10において部分的に設けられている。潜熱遮蔽部材12は、仕切部材10を介する第1の空気流7と第2の空気流8との間の潜熱の伝達を遮蔽する。潜熱遮蔽部材12は、図1に示す積層体2の各仕切部材10に設けられている。
[0019]
 潜熱遮蔽部材12は、長手方向が互いに垂直である潜熱遮蔽部材12A,12Bを含む。潜熱遮蔽部材12Aは、第1の方向に交差する帯状の領域である第1の領域14Aに設けられている。第1の領域14Aの長手方向は、第2の方向である。潜熱遮蔽部材12Aは、第1の層3における複数の第1の流路5を横切るように設けられている。図2に示す仕切部材10において、潜熱遮蔽部材12Aは、第1の方向において間隔が設けられた2つの第1の領域14Aに設けられている。第1の流路5の上流側端部13Aと1つの潜熱遮蔽部材12Aが設けられている第1の領域14Aとの間隔と、潜熱遮蔽部材12Aが設けられている2つの第1の領域14Aの間隔とは、どちらも長さXとされている。なお、仕切部材10の1つ当たりにおける潜熱遮蔽部材12Aの数は2つに限られず、1つあるいは3つ以上であっても良い。
[0020]
 潜熱遮蔽部材12Bは、第2の方向に交差する帯状の領域である第2の領域14Bに設けられている。第2の領域14Bの長手方向は、第1の方向である。潜熱遮蔽部材12Bは、第2の層4における複数の第2の流路6を横切るように設けられている。図2に示す仕切部材10において、潜熱遮蔽部材12Bは、第2の方向において間隔が設けられた2つの第2の領域14Bに設けられている。第2の流路6の上流側端部13Bと1つの潜熱遮蔽部材12Bが設けられている第2の領域14Bとの間隔と、潜熱遮蔽部材12Bが設けられている2つの第2の領域14Bの間隔とは、どちらも長さXとされている。なお、仕切部材10の1つ当たりにおける潜熱遮蔽部材12Bの数は2つに限られず、1つあるいは3つ以上であっても良い。
[0021]
 ここで、仕切部材10に潜熱遮蔽部材12が設けられたことによる効果について説明する。図3は、図2に示す潜熱遮蔽部材12が設けられたことによる効果についての説明図である。ここでは、第1の流路5あるいは第2の流路6を円筒流路20に置き換え、円筒流路20の壁面に潜熱遮蔽部材12が設けられた場合について説明する。図3には円筒流路20の垂直断面を示すとともに、円筒流路20内における湿度の変化を、矢印の長さの変化により示している。図3に示す円筒流路20の上下には、水蒸気を含む空気流が通過する流路が設けられており、かかる空気流の潜熱が円筒流路20の壁面を通って、円筒流路20内を通過する空気流へ伝達される。図3では、円筒流路20の上下の流路の図示を省略している。
[0022]
 円筒流路20の上流側端部である位置Aへ、ある絶対湿度W0の空気が円筒流路20外から流入したとする。位置Aから下流側へ空気流が進行するにしたがい、円筒流路20の上下の流路を通過する空気流の水蒸気が円筒流路20内の空気流へ取り込まれることにより、円筒流路20の上下の壁面付近における湿度境界層21が発達していく。湿度境界層21は、円筒流路20の中心を通過する空気流の主流より高湿度な空気の層である。円筒流路20内において、位置Aからの空気流は、潜熱の伝達を受けながら、位置Aより下流の位置BおよびCへと進行する。位置Aへの空気の流入時における絶対湿度W0に加わる増加分ΔWは、下流へ進むにしたがって増加する。円筒流路20の上下の壁面付近の絶対湿度Wtも、位置Aから下流へ進むにしたがい増加する。
[0023]
 位置Aから長さXの地点では、湿度境界層21が定常状態に達する。位置Aからかかる地点までの区間は、物質伝達における助走区間と称される。長さXは、助走区間の距離である助走距離と称される。仮に、円筒流路20に潜熱遮蔽部材12が設けられていない場合、円筒流路20のうち助走区間より下流では、湿度境界層21が定常状態となる。空気流は、円筒流路20における上下の壁面付近の絶対湿度Wtが、主流の絶対湿度より高い状態のまま、円筒流路20内を進行する。円筒流路20の上下の流路を通過する空気流の水蒸気は、円筒流路20のうち上下の壁面付近における絶対湿度Wtが低いほど、円筒流路20内の空気流へ効率良く取り込まれる。助走区間より下流における上下の壁面付近の絶対湿度Wtが高いままとなることで、円筒流路20内の空気流への潜熱の伝達効率が低下することとなる。
[0024]
 潜熱遮蔽部材12は、円筒流路20の上下の流路から円筒流路20内の空気流への潜熱の伝達を遮蔽する。位置Aから長さXの位置の潜熱遮蔽部材12にて潜熱の伝達が遮蔽されることにより、定常状態となった湿度境界層21がいったんリセットされる。これにより、潜熱遮蔽部材12の下流側部分である位置Dにおける上下の壁面付近の絶対湿度Wtを、湿度境界層21が定常状態であるときの絶対湿度Wtから大幅に低下させることができる。円筒流路20を通過する空気流は、位置Dから次の助走区間において、上下の流路からの水蒸気を効率良く取り込むことが可能となる。
[0025]
 全熱交換素子1は、部分領域に設けられた潜熱遮蔽部材12での潜熱の伝達の遮蔽により、潜熱遮蔽部材12が設けられた部分領域以外での効率的な潜熱の伝達を可能とする。全熱交換素子1は、流路内での空気流の乱れを生じさせることにより潜熱の効率的な伝達が図られる場合とは異なり、流路内での空気流の乱れを少なくできることで、圧力損失を低減させるとともに、潜熱の伝達効率を向上させることができる。全熱交換素子1は、潜熱の伝達効率の向上により、全熱交換効率を向上させることができる。全熱交換素子1は、既存の全熱交換素子と同様の構成に潜熱遮蔽部材12が追加されたものとすることで、既存の全熱交換素子と同等のサイズの構成により全熱交換効率の向上を図り得る。さらに、全熱交換素子1の圧力損失を低減できることで、既存の全熱交換装置と同様のレイアウトの全熱交換装置に全熱交換素子1を適用できる。
[0026]
 図2に示す上流側端部13Aと1つの潜熱遮蔽部材12Aとの間隔と、潜熱遮蔽部材12A同士の間隔とは、第1の流路5の物質伝達における助走距離である長さXとされている。これにより、全熱交換素子1は、第2の空気流8から第1の空気流7への潜熱の伝達効率を向上させることができる。なお、上流側端部13Aと1つの潜熱遮蔽部材12Aとの間隔と、潜熱遮蔽部材12A同士の間隔とのうちの少なくとも1つが、助走距離である長さXに一致していれば良いものとする。
[0027]
 また、上流側端部13Bと1つの潜熱遮蔽部材12Bとの間隔と、潜熱遮蔽部材12B同士の間隔とは、第2の流路6の物質伝達における助走距離である長さXとされている。これにより、全熱交換素子1は、第1の空気流7から第2の空気流8への潜熱の伝達効率を向上させることができる。なお、上流側端部13Bと1つの潜熱遮蔽部材12Bとの間隔と、潜熱遮蔽部材12B同士の間隔とのうちの少なくとも1つが、助走距離である長さXに一致していれば良いものとする。
[0028]
 1つの例では、潜熱遮蔽部材12Aについての長さXは、次の式(1)の関係を満足する。Deは、第1の流路5の等価直径とする。第1の流路5の等価直径とは、空気流の流動の観点から、第1の流路5と等価とみなし得る円筒流路の内径である。Reは、第1の空気流7のレイノルズ数とする。Prは、第1の空気流7のプラントル数とする。
X=0.06×Re×De×Pr  ・・・(1)
[0029]
 図4は、図1に示す第1の層3の断面を示す図である。図4に示す断面は、第2の方向に平行な断面である。第1の流路5は、高さH、底辺Mの二等辺三角形をなしているとする。第1の流路5の等価直径Deは、次の式(2)で表される。Sは、第1の流路5の断面積とする。Lは、第1の流路5の断面の周長とする。
De=4×S/L  ・・・(2)
[0030]
 レイノルズ数Reは、次の式(3)で表される。Vは、第1の流路5における第1の空気流7の平均流速とする。Vの単位はメートル毎秒とする。νは、第1の流路5における第1の空気流7の動粘性係数とする。νの単位は平方メートル毎秒とする。
Re=De×V/ν  ・・・(3)
[0031]
 第1の流路5の底辺Mが6mmかつ高さHが2mmであるとき、断面積Sは6mm 、周長Lはおよそ13.2mmとなる。式(2)により、等価直径Deはおよそ1.8mmとなる。20℃の空気の場合、動粘性係数νは1.5×10 -5/sとなる。式(3)により、レイノルズ数Reは121×Vとなる。式(1)から、長さXは、平均流速Vを変数とする関数であるX=0.0092×V(m)と求められる。なお、潜熱遮蔽部材12Bについても、潜熱遮蔽部材12Aと同様に長さXを求め得る。
[0032]
 1つの例では、平均流速Vが、全熱交換素子1において一般的な流速である2m/sであるとして、長さXはおよそ18mmと算出される。底辺Mが6mmとされた第1の流路5を備える全熱交換素子1では、3つの第1の流路5ごとに1つの潜熱遮蔽部材12Bが設けられている。また、底面Mが6mmとされた第2の流路6を備える全熱交換素子1では、3つの第2の流路6ごとに1つの潜熱遮蔽部材12Aが設けられている。潜熱遮蔽部材12の配置は、第1の流路5および第2の流路6のサイズと、第1の空気流7および第2の空気流8の流速とにより最適化し得る。
[0033]
 なお、全熱交換素子1の第1の流路5あるいは第2の流路6に、平均流速が互いに異なる流路が含まれている場合、長さXは、流路の平均流速にしたがって設定されても良い。平均流速がV1,V2,V3である各流路に設けられる潜熱遮蔽部材12には、平均流路V1,V2,V3に対応する長さX1,X2,X3がそれぞれ適用されても良い。
[0034]
 図5は、図2に示す仕切部材10と潜熱遮蔽部材12との断面を示す図である。図2には、1つの潜熱遮蔽部材12と、仕切部材10のうち潜熱遮蔽部材12が設けられた部分と、かかる部分の周辺の部分との断面を示している。仕切部材10の表面からの潜熱遮蔽部材12の厚みIは、0.2mm以下とされている。
[0035]
 厚みIが大きくなるほど、潜熱遮蔽部材12において流路は絞られるとともに、潜熱遮蔽部材12の下流において流路は拡大する。流路の下面のうち潜熱遮蔽部材12の下流側には、空気流の到達が少なくなりいわば潜熱遮蔽部材12の影となる部分が生じることになる。顕熱および潜熱の伝達面から空気流が剥離されることにより、伝達面の実効面積が少なくなることから、全熱交換素子1における全熱交換の効率が低減することとなる。また、空気流の剥離が生じることで、助走距離に合わせた長さXは、より長く見積もることが必要となる。全熱交換素子1での効率的な全熱交換を可能とするために、長さXはより小さいことが望まれている。
[0036]
 全熱交換素子1は、厚みIを0.2mm以下とすることで、潜熱遮蔽部材12が設けられている箇所での空気流の乱れを極力抑制させる。顕熱および潜熱の伝達面からの空気流の剥離をできるだけ少なくすることで、伝達面の実効面積を広くすることができ、全熱交換素子1は、全熱交換の効率を向上させることができる。また、全熱交換素子1は、風路での空気流の乱れを抑制させることで、圧力損失を低減できる。なお、厚みIは、0.1mm以下に限定されても良い。これにより、全熱交換素子1は、全熱交換の効率をさらに向上させることができ、かつ圧力損失を低減できる。
[0037]
 潜熱遮蔽部材12は、幅Nの部分領域に設けられている。図2に示す潜熱遮蔽部材12Aは、第1の方向における幅がNである第1の領域に設けられている。かかる幅Nは、第2の方向における第1の流路5の幅の0.2倍から2倍の範囲に含まれる。また、潜熱遮蔽部材12Bは、第2の方向における幅がNである第2の領域に設けられている。かかる幅Nは、第1の方向における第2の流路6の幅の0.2倍から2倍の範囲に含まれる。
[0038]
 仮に、第1の流路5あるいは第2の流路6の幅の0.2倍より幅Nが小さい場合、潜熱遮蔽部材12の下流での潜熱の伝達効率を向上し得るまで、図3に示す湿度境界層21を変化させることが困難となる。また、第1の流路5あるいは第2の流路6の幅の2倍より幅Nが大きい場合、潜熱遮蔽部材12が設けられた部分領域以外の領域が減少して、潜熱の伝達面の実効面積が狭くなったことによる伝達効率の低下が顕著となる場合がある。全熱交換素子1は、幅Nを流路の幅の0.2倍から2倍の範囲内とすることで、潜熱の伝達効率を効果的に向上させることができる。
[0039]
 潜熱遮蔽部材12には、非透湿性の材料である防湿材料のシートが使用される。潜熱遮蔽部材12の1つの例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、あるいはその他の樹脂材料からなるシート部材である。シート部材は、0.1mm以下の厚みにおいて、5000秒/100cm 以上の透気抵抗度が得られることが望ましい。透気抵抗度は、秒/100cm は、JIS P 8117に準じた評価試験において、100cm の空気の透過に要した時間を表す。実施の形態1では、透気抵抗度が5000秒/100cm 以上である場合を、非透湿性を有するものとみなす。
[0040]
 潜熱遮蔽部材12には、非透湿性に加えて熱伝導性を持つ材料の薄膜が使用されても良い。潜熱遮蔽部材12には、仕切部材10よりも高い熱伝導率の部材を使用することができる。潜熱遮蔽部材12は、高い熱伝導性を持つアルミニウム、あるいはその他の金属材料の薄膜であっても良い。アルミニウム薄膜の場合、5μm以下の厚みで、5000秒/100cm 以上の透気抵抗度を得ることができる。潜熱遮蔽部材12の熱伝導率は、0.2W/m・Kから30W/m・Kの範囲に含まれる。これにより、全熱交換素子1は、潜熱遮蔽部材12における顕熱の伝達効率を向上できる。潜熱遮蔽部材12の熱伝導率は、0.5W/m・Kから25W/m・Kの範囲に含まれるものであっても良く、さらには1W/m・Kから10W/m・Kに含まれるものであっても良い。
[0041]
 潜熱遮蔽部材12は、仕切部材10へ貼り付けられたシート部材に限られない。潜熱遮蔽部材12は、仕切部材10への防湿材料のプリントあるいは塗布によって得られたものであっても良い。仕切部材10へ塗布される潜熱遮蔽部材12の材料には、建築用途におけるアクリル系のコーキング材、あるいは耐水化された酢酸ビニル共重合体が使用される。0.1mm程度の厚みで塗布された材料を乾燥させることで、潜熱遮蔽部材12が得られる。
[0042]
 図6は、実施の形態1にかかる全熱交換素子1の製造方法の手順の一部を示すフローチャートである。ステップS1では、仕切部材10に潜熱遮蔽部材12の層を形成する。潜熱遮蔽部材12は、防湿材料からなるシート部材の貼り付け、防湿材料のプリントあるいは塗布によって形成される。ステップS2では、接着剤を使用して、仕切部材10に間隔保持部材11を接着する。仕切部材10を介して間隔保持部材11Aと間隔保持部材11Bとが交互に積み上げられることにより、図1に示す全熱交換素子1が形成される。
[0043]
 実施の形態1によると、全熱交換素子1は、潜熱遮蔽部材12を備えることで、潜熱の伝達効率を向上可能とし、全熱交換効率を向上させることができる。これにより、全熱交換素子1は、高い効率での全熱交換が可能となるという効果を奏する。また、全熱交換素子1は、潜熱遮蔽部材12を備えることで、圧力損失を低減できる。
[0044]
実施の形態2.
 図7は、本発明の実施の形態2にかかる全熱交換素子1の一部の構成を示す斜視図である。実施の形態2にかかる全熱交換素子1は、仕切部材10と間隔保持部材11との間に充填された潜熱遮蔽部材31を備える。実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図7には、1つの仕切部材10と、仕切部材10に接着される間隔保持部材11A,11Bとを示している。
[0045]
 潜熱遮蔽部材31は、長手方向が互いに垂直である潜熱遮蔽部材31A,31Bを含む。潜熱遮蔽部材31Aは、第1の方向に直交する帯状の領域である第1の領域34Aに設けられている。潜熱遮蔽部材31Aの長手方向は、第2の方向である。潜熱遮蔽部材31Aは、仕切部材10と間隔保持部材11Bとの間に設けられている。潜熱遮蔽部材31Aは、図1に示す第2の層4に設けられた複数の第2の流路6のうちの2つに充填されている。図7に示す潜熱遮蔽部材31Aのうちの1つは、図7に示す仕切部材10の第1の領域34Aに設けられており、もう1つは、図7に示す仕切部材10の上方にある仕切部材10の第1の領域34Aに設けられている。潜熱遮蔽部材31Aは、第1の方向において間隔が設けられた2つの第1の領域34Aに設けられている。
[0046]
 潜熱遮蔽部材31Bは、第2の方向に直交する帯状の領域である第2の領域34Bに設けられている。潜熱遮蔽部材31Bの長手方向は、第1の方向である。潜熱遮蔽部材31Bは、仕切部材10と間隔保持部材11Aとの間に設けられている。潜熱遮蔽部材31Bは、図1に示す第1の層3に設けられた複数の第1の流路5のうちの2つに充填されている。図7に示す潜熱遮蔽部材31Bのうちの1つは、図7に示す仕切部材10の第2の領域34Bに設けられており、もう1つは、図7に示す仕切部材10の下方にある仕切部材10の第2の領域34Bに設けられている。潜熱遮蔽部材31Bは、第2の方向において間隔が設けられた2つの第2の領域34Bに設けられている。
[0047]
 図8は、図7に示す間隔保持部材11Aを含む第1の層3の断面を示す図である。1つの潜熱遮蔽部材31Bは、図7に示す第2の流路6の上流側端部13Aから長さXの位置を頂点とする三角形の断面をもつ部分に充填されている。仕切部材10上では、上流側端部13Bと1つの潜熱遮蔽部材31Bとの間隔は、長さXとされている。また、かかる1つの潜熱遮蔽部材31Bの端部から第2の方向へ長さXの位置を頂点とする三角形の断面をもつ部分に、もう1つの潜熱遮蔽部材31Bが充填されている。仕切部材10上では、2つの潜熱遮蔽部材31B同士の間隔は、長さXとされている。なお、仕切部材10の1つ当たりにおける潜熱遮蔽部材31Bの数は2つに限られず、1つあるいは3つ以上であっても良い。
[0048]
 実施の形態1と同様に、長さXはおよそ18mmと算出されたとする。図4に示すように底辺Mが6mmとされた第1の流路5を備える全熱交換素子1では、3つの第1の流路5ごとに1つの潜熱遮蔽部材31Bが設けられている。
[0049]
 図8に示す第1の層3における潜熱遮蔽部材31Bと同様に、図7に示す潜熱遮蔽部材31Aは、間隔保持部材11Bを含む第2の層4に設けられている。仕切部材10の1つ当たりにおける潜熱遮蔽部材31Aの数は2つに限られず、1つあるいは3つ以上であっても良い。潜熱遮蔽部材31の配置は、第1の流路5および第2の流路6のサイズと、第1の空気流7および第2の空気流8の流速とにより最適化し得る。
[0050]
 潜熱遮蔽部材31の材料には、非透湿性の材料である防湿材料が使用される。潜熱遮蔽部材31の材料には、非透湿性に加えて熱伝導性を持つ材料が使用されても良い。潜熱遮蔽部材31の材料には、仕切部材10より高い熱伝導率の材料を使用することができる。潜熱遮蔽部材31の材料の1つの例は、電子部品の接着に使用されるシーリング剤である。シーリング剤は、電子部品と放熱フィンとの接着に使用される。潜熱遮蔽部材31の熱伝導率は、0.2W/m・Kから30W/m・Kの範囲に含まれる。これにより、全熱交換素子1は、潜熱遮蔽部材31における顕熱の伝達効率を向上できる。潜熱遮蔽部材31の熱伝導率は、0.5W/m・Kから25W/m・Kの範囲に含まれるものであっても良く、さらには1W/m・Kから10W/m・Kの範囲に含まれるものであっても良い。
[0051]
 図9は、実施の形態2にかかる全熱交換素子1の製造方法の手順の一部を示すフローチャートである。ステップS11では、接着剤を使用して、仕切部材10に間隔保持部材11を接着する。仕切部材10を介して間隔保持部材11Aと間隔保持部材11Bとが交互に積み上げられる。
[0052]
 ステップS12では、仕切部材10と間隔保持部材11との間に防湿材料を充填して、潜熱遮蔽部材31の層を形成する。仕切部材10と間隔保持部材11Aとの間への防湿材料の充填により、潜熱遮蔽部材31Bが形成される。第1の層3のうち潜熱遮蔽部材31Bが形成された部分以外の部分が、第1の流路5となる。仕切部材10と間隔保持部材11Bとの間への防湿材料の充填により、潜熱遮蔽部材31Aが形成される。第2の層4のうち潜熱遮蔽部材31Aが形成された部分以外の部分が、第2の流路6となる。これにより、実施の形態2にかかる全熱交換素子1が形成される。
[0053]
 実施の形態2によると、全熱交換素子1は、潜熱遮蔽部材31を備えることで、潜熱の伝達効率を向上可能とし、全熱交換効率を向上させることができる。これにより、全熱交換素子1は、高い効率での全熱交換が可能となるという効果を奏する。
[0054]
実施の形態3.
 図10は、本発明の実施の形態3にかかる全熱交換素子50の斜視図である。全熱交換素子50は、全熱交換素子50内における第1の空気流57の進行方向と第2の空気流58の進行方向とを180度異ならせた対向流型の全熱交換素子である。実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[0055]
 全熱交換素子50は、対向流路部65と、第1の分離流路部66と、第2の分離流路部67とを備える。対向流路部65は、直方体形状をなしている。対向流路部65内には、第1の空気流57の進行方向と第2の空気流58の進行方向とを180度異ならせた流路が形成されている。第1の分離流路部66は、対向流路部65のうち、第1の空気流57の上流側かつ第2の空気流58の下流側の端部に接続されている。第2の分離流路部67は、対向流路部65のうち、第1の空気流57の下流側かつ第2の空気流58の上流側の端部に接続されている。第1の分離流路部66と第2の分離流路部67とは、三角柱形状をなしている。
[0056]
 全熱交換素子50は、第1の層53と第2の層54とが交互に積層された積層体52を備える。積層体52は、第1の層53と第2の層54との間の仕切部材60と、仕切部材60同士の間隔を保持する間隔保持部材である間隔リブ61とを備える。間隔リブ61は、矩形の断面形状を備える。1つの例では、間隔リブ61は、樹脂材料から成形された部材である。
[0057]
 間隔リブ61Aは、第1の層53に設けられている。第1の流路55は、第1の層53における間隔リブ61Aと仕切部材60とで囲われた空間である。対向流路部65に形成された第1の流路55における第1の空気流57の進行方向は、第1の方向である。
[0058]
 間隔リブ61Bは、第2の層54に設けられている。第2の流路56は、第2の層54における間隔リブ61Bと仕切部材60とで囲われた空間である。対向流路部65に形成された第2の流路56における第2の空気流58の進行方向は、第1の方向とは180度異なる方向である第2の方向である。
[0059]
 第1の分離流路部66において、第1の流路55の上流側端部と第2の流路56の下流側端部とは互いに異なる方向へ向けられている。第2の分離流路部67において、第1の流路55の下流側端部と第2の流路56の上流側端部とは互いに異なる方向へ向けられている。
[0060]
 全熱交換素子50は、仕切部材60を介する熱伝導により、第1の空気流57と第2の空気流58との間における顕熱の交換を行わせる。また、全熱交換素子50は、仕切部材60での水蒸気の透過により、第1の空気流57と第2の空気流58との間における潜熱の交換を行わせる。なお、積層体52における第1の層53と第2の層54との数は任意であるものとする。また、第1の層53における第1の流路55の数と第2の層54における第2の流路56の数とは任意であるものとする。
[0061]
 図11は、図10に示す第1の層53と第2の層54とを示す斜視図である。潜熱遮蔽部材62は、仕切部材60において部分的に設けられている。潜熱遮蔽部材62は、仕切部材60を介する第1の空気流57と第2の空気流58との間の潜熱の伝達を遮蔽する。潜熱遮蔽部材62は、図10に示す積層体52の各仕切部材60に設けられている。
[0062]
 潜熱遮蔽部材62は、第1の層53の下面を構成する仕切部材60に設けられた潜熱遮蔽部材62Aと、第2の層54の下面を構成する仕切部材60に設けられた潜熱遮蔽部材62Bとを備える。潜熱遮蔽部材62Aは、第1の方向に交差する帯状の領域である第1の領域64Aに設けられている。第1の領域64Aの長手方向は、第1の方向に垂直な方向である。潜熱遮蔽部材62Aは、第1の層53における複数の第1の流路55を横切るように設けられている。図11に示す第1の層53の仕切部材60において、潜熱遮蔽部材62Aは、第1の方向において間隔が設けられた3つの第1の領域64Aに設けられている。
[0063]
 3つの第1の領域64Aの間隔は、いずれも長さXとされている。長さXは、第1の流路55の物質伝達における助走距離に相当する。複数の第1の流路55のうちの1つについて、第1の流路55の上流側端部と1つの潜熱遮蔽部材62Aとの間隔が長さXとされていても良い。なお、潜熱遮蔽部材62A同士の間隔のうちの少なくとも1つが、助走距離である長さXに一致していれば良いものとする。仕切部材60の1つ当たりにおける潜熱遮蔽部材62Aの数は3つに限られず、1つか2つ、あるいは4つ以上であっても良い。
[0064]
 潜熱遮蔽部材62Bは、第2の方向に交差する帯状の領域である第2の領域64Bに設けられている。第2の領域64Bの長手方向は、第2の方向に垂直な方向であって、第1の領域64Aの長手方向と同じである。潜熱遮蔽部材62Bは、第2の層54における複数の第2の流路56を横切るように設けられている。図11に示す第2の層54の仕切部材60において、潜熱遮蔽部材62Bは、第2の方向において間隔が設けられた3つの第2の領域64Bに設けられている。
[0065]
 3つの第2の領域64Bの間隔は、いずれも長さXとされている。長さXは、第2の流路56の物質伝達における助走距離に相当する。複数の第2の流路56のうちの1つについて、第2の流路56の上流側端部と1つの潜熱遮蔽部材62Bとの間隔が長さXとされていても良い。なお、潜熱遮蔽部材62B同士の間隔とのうちの少なくとも1つが、助走距離である長さXに一致していれば良いものとする。仕切部材60の1つ当たりにおける潜熱遮蔽部材62Bの数は3つに限られず、1つか2つ、あるいは4つ以上であっても良い。
[0066]
 1つの例では、潜熱遮蔽部材62A,62Bについての長さXは、実施の形態1と同様に、上記の式(1)の関係を満足する。
[0067]
 図12は、図10に示す第1の層53の断面を示す図である。図12に示す断面は、対向流路部65における断面であって、第1の方向に垂直な断面である。第1の流路55は、高さH、幅Mの長方形をなしているとする。高さHが1.8mmかつ幅Mが6mmであるとき、第1の流路55の断面積Sは10.8mm 、周長Lは15.6mmとなる。上記の式(2)により、等価直径Deはおよそ2.8mmとなる。20℃の空気の場合、動粘性係数νは1.5×10 -5/sとなる。上記の式(3)により、レイノルズ数Reは185×Vとなる。式(1)から、長さXは、平均流速Vを変数とする関数であるX=0.0107×V(m)と求められる。なお、潜熱遮蔽部材62Bについても、潜熱遮蔽部材62Aと同様に長さXを求め得る。
[0068]
 1つの例では、平均流速Vが、全熱交換素子50において一般的な流速である2m/sであるとして、長さXはおよそ21mmと算出される。幅Mが6mmとされた第1の流路55を備える全熱交換素子50では、幅Mの3.5倍の長さごとに潜熱遮蔽部材62Aが設けられている。また、幅Mが6mmとされた第2の流路56を備える全熱交換素子50では、幅Mの3.5倍の長さごとに潜熱遮蔽部材62Bが設けられている。潜熱遮蔽部材62の配置は、第1の流路55および第2の流路56のサイズと、第1の空気流57および第2の空気流58の流速とにより最適化し得る。
[0069]
 実施の形態1と同様に、仕切部材60の表面からの潜熱遮蔽部材62の厚みIは、0.2mm以下とされている。全熱交換素子50は、厚みIを0.2mm以下とすることで、潜熱遮蔽部材62が設けられている箇所での空気流の乱れを極力抑制させる。顕熱および潜熱の伝達面からの空気流の剥離をできるだけ少なくすることで、伝達面の実効面積を広くすることができ、全熱交換素子50は、全熱交換の効率を向上させることができる。また、全熱交換素子50は、風路での空気流の乱れを抑制させることで、圧力損失を低減できる。なお、厚みIは、0.1mm以下に限定されても良い。これにより、全熱交換素子50は、全熱交換の効率をさらに向上させることができ、かつ圧力損失を低減できる。
[0070]
 実施の形態1と同様に、潜熱遮蔽部材62Aは、第1の方向における幅がNである第1の領域64Aに設けられている。かかる幅Nは、第1の流路55の幅Mの0.2倍から2倍の範囲に含まれる。また、潜熱遮蔽部材62Bは、第2の方向における幅がNである第2の領域64Bに設けられている。かかる幅Nは、第2の流路56の幅Mの0.2倍から2倍の範囲に含まれる。全熱交換素子50は、幅Nを流路の幅の0.2倍から2倍の範囲内とすることで、潜熱の伝達効率を効果的に向上させることができる。
[0071]
 実施の形態1の潜熱遮蔽部材12と同様に、潜熱遮蔽部材62には、非透湿性の材料である防湿材料のシートが使用される。また、潜熱遮蔽部材62には、非透湿性に加えて熱伝導性を持つ材料の薄膜が使用されても良い。潜熱遮蔽部材62には、仕切部材60より高い熱伝導率の部材を使用することができる。潜熱遮蔽部材62の熱伝導率は、0.2W/m・Kから30W/m・Kの範囲に含まれる。これにより、全熱交換素子50は、潜熱遮蔽部材62における顕熱の伝達効率を向上できる。
[0072]
 潜熱遮蔽部材62は、仕切部材60へ貼り付けられたシート部材に限られない。潜熱遮蔽部材62は、仕切部材60への防湿材料のプリントあるいは塗布によって得られたものであっても良い。潜熱遮蔽部材62は、実施の形態1の潜熱遮蔽部材12と同様に形成することができる。
[0073]
 全熱交換素子50は、間隔リブ61に代えて、実施の形態1および2と同様に、コルゲート状に成形されたシート部材である間隔保持部材を備えても良い。シート部材は、三角波状、矩形波状、あるいはその他の形状に成形されたものであっても良い。また、実施の形態1および2の全熱交換素子1は、間隔保持部材11に代えて、実施の形態3における間隔保持部材である間隔リブ61を備えていても良い。全熱交換素子1,50は、いずれの場合であっても、高い効率での全熱交換が可能となるという効果を得ることができる。
[0074]
 実施の形態3によると、全熱交換素子50は、潜熱遮蔽部材62を備えることで、潜熱の伝達効率を向上可能とし、全熱交換効率を向上させることができる。これにより、全熱交換素子50は、高い効率での全熱交換が可能となるという効果を奏する。また、実施の形態1と同様に、全熱交換素子50は、潜熱遮蔽部材62を備えることで、圧力損失を低減できる。
[0075]
 次に、実施の形態1、2および3にかかる全熱交換素子1,50を備える全熱交換装置について説明する。図13は、実施の形態1にかかる全熱交換素子1を備える全熱交換装置70の概略構成を示す図である。
[0076]
 全熱交換装置70は、第1の空気流76が通過する給気流路72と、第2の空気流77が通過する排気流路73とが設けられたケーシング71を備える。第1の空気流76は、室外から室内への給気流である。第2の空気流77は、室内から室外への排気流である。また、全熱交換装置70は、給気流路72に第1の空気流76を発生させる給気送風機74と、排気流路73に第2の空気流77を発生させる排気送風機75とを備える。図13には、ケーシング71の内部に設けられている構成要素を上から見た状態を模式的に表している。
[0077]
 ケーシング71のうち室内側の側面には、給気吹出口82と排気吸込口81とが設けられている。ケーシング71のうち室外側の側面には、給気吸込口80と排気吹出口83とが設けられている。全熱交換装置70は、給気送風機74を動作させることで、室外の空気を給気吸込口80から給気流路72へ取り込んで第1の空気流76を発生させる。第1の空気流76は、給気流路72を進行して、給気吹出口82から室内へ向けて吹き出される。また、全熱交換装置70は、排気送風機75を動作させることで、室内の空気を排気吸込口81から排気流路73へ取り込んで第2の空気流77を発生させる。第2の空気流77は、排気流路73を進行して、排気吹出口83から室外へ向けて吹き出される。
[0078]
 全熱交換素子1は、給気流路72と排気流路73とが交差する位置に設けられている。全熱交換素子1は、給気流路72を進行する第1の空気流76と排気流路73を進行する第2の空気流77との全熱交換を行う。全熱交換装置70は、全熱交換素子1での全熱交換により、室内からの排気流の顕熱と潜熱とを回収して、回収された顕熱と潜熱とを給気流へ伝達させる。また、全熱交換装置70は、全熱交換素子1での全熱交換により、室外からの給気流の顕熱と潜熱とを回収して、回収された顕熱と潜熱とを排気流へ伝達させる。全熱交換装置70は、室内の冷暖房の効率と除加湿の効率とを向上させ、室内の空調に使用されるエネルギーを低減させることができる。
[0079]
 全熱交換装置70は、実施の形態1の全熱交換素子1に代えて、実施の形態2の全熱交換素子1あるいは実施の形態3の全熱交換素子50を備えていても良い。全熱交換装置70は、全熱交換素子1,50を備えることで、高い効率での全熱交換が可能となるという効果を奏する。
[0080]
 以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。

符号の説明

[0081]
 1,50 全熱交換素子、2,52 積層体、3,53 第1の層、4,54 第2の層、5,55 第1の流路、6,56 第2の流路、7,57,76 第1の空気流、8,58,77 第2の空気流、10,60 仕切部材、11,11A,11B 間隔保持部材、12,12A,12B,31,31A,31B,62,62A,62B 潜熱遮蔽部材、13A,13B 上流側端部、14A,34A,64A 第1の領域、14B,34B,64B 第2の領域、21 湿度境界層、61,61A,61B 間隔リブ、65 対向流路部、66 第1の分離流路部、67 第2の分離流路部、70 全熱交換装置、71 ケーシング、72 給気流路、73 排気流路、74 給気送風機、75 排気送風機、80 給気吸込口、81 排気吸込口、82 給気吹出口、83 排気吹出口。

請求の範囲

[請求項1]
 第1の空気流が通過する第1の流路が設けられた第1の層と、第2の空気流が通過する第2の流路が設けられた第2の層とが交互に積層された積層体を備え、
 前記積層体は、
 前記第1の層と前記第2の層との間の仕切部材と、
 前記第1の層と前記第2の層とに設けられ、互いに対向する仕切部材同士の間隔を保持する間隔保持部材と、
 前記仕切部材において部分的に設けられ、前記仕切部材を介する前記第1の空気流と前記第2の空気流との間の潜熱の伝達を遮蔽する潜熱遮蔽部材と
 を備えることを特徴とする全熱交換素子。
[請求項2]
 前記潜熱遮蔽部材は、前記第1の空気流の進行方向である第1の方向に交差する帯状の領域である第1の領域と、前記第2の空気流の進行方向である第2の方向に交差する帯状の領域である第2の領域とに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の全熱交換素子。
[請求項3]
 前記潜熱遮蔽部材は、前記第1の方向において間隔が設けられた複数の前記第1の領域と、前記第2の方向において間隔が設けられた前記第2の領域とに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の全熱交換素子。
[請求項4]
 前記第1の流路の上流側端部と前記第1の領域との間隔と、前記第1の領域同士の間隔とのうちの少なくとも1つが、前記第1の流路の等価直径Deと前記第1の空気流のレイノルズ数Reおよびプラントル数Prと
 X=0.06×Re×De×Pr
 の関係を満足する長さXであることを特徴とする請求項3に記載の全熱交換素子。
[請求項5]
 前記第2の流路の上流側端部と前記第2の領域との間隔と、前記第2の領域同士の間隔とのうちの少なくとも1つが、前記第2の流路の等価直径Deと前記第2の空気流のレイノルズ数Reおよびプラントル数Prと
 X=0.06×Re×De×Pr
 の関係を満足する長さXであることを特徴とする請求項3に記載の全熱交換素子。
[請求項6]
 前記潜熱遮蔽部材は、前記仕切部材へ貼り付けられた防湿材料のシート部材であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の全熱交換素子。
[請求項7]
 前記仕切部材からの前記潜熱遮蔽部材の厚みが、0.2mm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の全熱交換素子。
[請求項8]
 前記潜熱遮蔽部材は、前記仕切部材と前記間隔保持部材との間に充填されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の全熱交換素子。
[請求項9]
 前記第1の方向における前記第1の領域の幅は、前記第1の方向に垂直な方向における前記第1の流路の幅の0.2倍から2倍の範囲に含まれることを特徴とする請求項2から5のいずれか1つに記載の全熱交換素子。
[請求項10]
 前記第2の方向における前記第2の領域の幅は、前記第2の方向に垂直な方向における前記第2の流路の幅の0.2倍から2倍の範囲に含まれることを特徴とする請求項2から5のいずれか1つに記載の全熱交換素子。
[請求項11]
 前記第1の方向と前記第2の方向とは、互いに垂直であることを特徴とする請求項2から5のいずれか1つに記載の全熱交換素子。
[請求項12]
 前記第1の方向と前記第2の方向とは、互いに180度異なることを特徴とする請求項2から5のいずれか1つに記載の全熱交換素子。
[請求項13]
 前記潜熱遮蔽部材の熱伝導率は、0.2W/m・Kから30W/m・Kの範囲に含まれることを特徴とする請求項1から12のいずれか1つに記載の全熱交換素子。
[請求項14]
 第1の空気流が通過する第1の流路が設けられた第1の層と第2の空気流が通過する第2の流路が設けられた第2の層との間の仕切部材と、前記第1の層と前記第2の層とに設けられ、互いに対向する仕切部材同士の間隔を保持する間隔保持部材とを備える全熱交換素子の製造方法であって、
 前記仕切部材における帯状の領域に潜熱遮蔽部材の層を形成する工程と、
 前記仕切部材に前記間隔保持部材を接着する工程と
 を含むことを特徴とする全熱交換素子の製造方法。
[請求項15]
 前記領域へ防湿材料を塗布することにより前記潜熱遮蔽部材の層を形成することを特徴とする請求項14に記載の全熱交換素子の製造方法。
[請求項16]
 前記領域へ防湿材料のシートを貼り付けることにより前記潜熱遮蔽部材の層を形成することを特徴とする請求項14に記載の全熱交換素子の製造方法。
[請求項17]
 前記仕切部材と前記間隔保持部材との間に防湿材料を充填することにより前記潜熱遮蔽部材の層を形成することを特徴とする請求項14に記載の全熱交換素子の製造方法。
[請求項18]
 第1の空気流を発生させる第1の送風機と、
 第2の空気流を発生させる第2の送風機と、
 前記第1の空気流が通過する第1の流路が設けられた第1の層と、前記第2の空気流が通過する第2の流路が設けられた第2の層とが交互に積層された積層体を備え、前記第1の空気流と前記第2の空気流との全熱交換を行う全熱交換素子と
 を備え、
 前記積層体は、
 前記第1の層と前記第2の層との間の仕切部材と、
 前記第1の層と前記第2の層とに設けられ、互いに対向する仕切部材同士の間隔を保持する間隔保持部材と、
 前記仕切部材において部分的に設けられ、前記仕切部材を介する前記第1の空気流と前記第2の空気流との間の潜熱の伝達を遮蔽する潜熱遮蔽部材と
 を備えることを特徴とする全熱交換装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]