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1. (WO2018179273) フロー制御システム及びその制御方法
Document

明 細 書

発明の名称 フロー制御システム及びその制御方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

先行技術文献

特許文献

0015  

非特許文献

0016  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024  

課題を解決するための手段

0025   0026  

発明の効果

0027  

図面の簡単な説明

0028  

発明を実施するための形態

0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151  

産業上の利用可能性

0152  

符号の説明

0153  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17  

明 細 書

発明の名称 : フロー制御システム及びその制御方法

技術分野

[0001]
 本発明は、フロー制御システム及びその制御方法に関する。

背景技術

[0002]
 生産管理システムや交通制御システム、物流制御システムにおいて、全体のフローが効率よく流れるように、各工程や、各エリアなどで制御が行われている。
[0003]
 たとえば、複数工程からなる生産管理システムにおいては、ある生産目標を満たしながら各工程での処理を調整する必要がある。一般的に、生産ラインは複数の工程が連なっており、ある工程で処理された物品は、次の工程に搬送される。その際、搬送先の工程の能力が充分ある場合には、その工程で直ちに物品への作業が開始される。他方、搬送先の工程の能力が不足している場合には、搬送されてきた物品は、作業待ちとして処理を待つことになる。待ち物品を格納するために、一般的な生産ラインにおいては、各工程に、大小の保管棚、即ちバッファが設けられている。
[0004]
 図1は生産管理システムの一例を模式図で示している。この生産管理システムの構成単位はある一区切りの処理工程であり、図1では10a,10bで示されている。処理工程10aは、処理を行う処理設備3a、処理が済んだ物品を一時的に保管しておくバッファ2a、及びバッファ2aに関する情報を取得する情報取得装置1aから構成される。処理工程10bも同様である。バッファは、一般にはその容量に制限がある。そこで、生産管理システムは全ての処理工程でバッファの容量を超えないように、仕掛量を管理する必要がある。処理工程が連なっている場合においては、現在の処理工程の能力に余裕があるからと言って可能な限り早く処理を行ってしまうと、次の処理工程でバッファ溢れが発生してしまう。次の処理工程でのバッファ溢れが発生してしまうと、現在の処理工程からの物品の搬送が不可能となり、それが持続すればやがては現在の処理工程での処理が止まってしまう。
[0005]
 したがって、現在の処理工程が持っている前段処理工程からのバッファにも物品が滞留し始め、作業工程をさかのぼるようにバッファ溢れが伝播してしまう。一度バッファ溢れが発生してしまうと、物理的なスペースなどの制約から、処理工程の処理能力へも影響が発生してしまう場合が多い。このような、いわゆる作業渋滞のようなものが発生しないように、各処理工程において作業の進捗状況を管理することが求められる。
[0006]
 同様に、前段からの物品が届かず、バッファも空である場合には、現在の処理工程の処理が開始できずに処理工程の物品到着待ちが発生する。これが持続した場合、次の処理工程のバッファも空となり、このような現象が処理工程を下るように伝搬する。これは設備稼働率の観点からは非効率な状態であるのでこれらも避けなければならない状態である。なお、バッファ量が常態的に多い場合ということは在庫管理の観点からも望ましくないため、避けるべきである。
[0007]
 そして、工程管理に求められるのは、生産目標を満たしながら、かつなるべくバッファをためすぎないように各処理工程でのスループットを調整することである。
[0008]
 このように、ある処理が連なり、各処理工程にバッファが存在する系で、フロー効率を最大化することを目的とする制御システムとしては、信号制御のような交通制御システムや、生産工場から卸倉庫、小売店までのサプライチェーン管理システム、物流配送業における、配車管理システムなどがあげられる。これらのシステムの特徴としては、(1)それぞれの構成要素(処理工程、車両、各業者)などはある程度自律的に動作することが可能であること、(2)全体からみると処理に係る要素が多く、予測が困難で不確定性の高い複雑なシステムとなっていること、(3)複雑、自律ゆえにすべての情報を集約するのが困難であること、の3点があげられる。
[0009]
 複雑なシステムの制御方式として、特許文献1に開示された発明が挙げられる。特許文献1に開示された発明では、システムを最上位層、中間層、下位層の3層の階層に分けて構築し、同じ階層のサブシステム間の協調は1つ上の階層のサブシステムが実現することで、複雑な系に対しても処理を分け個々の処理の負荷を軽くすることで制御を可能にしている。
[0010]
 また、生産システムのバッファを管理する手法が特許文献2に開示されている。特許文献2の手法では、各工程でのバッファの容量制約を満たすように、各設備群での作業開始を管理する方法が提案されている。この手法においては、バッファに存在するロットを即着手した場合の、工程手順上連続する有限バッファを有する各設備群での作業時間を、作業着手制御部、スケジューリング部で管理している連続ブロック内の設備群の設備及びバッファの現在及び将来の状況に照らして、連続する工程順に予測を行なう。そして、ロットを即着手した場合に、連続ブロック内の各設備群で作業待ちが生じないことを確認してから、作業予測時間を基にしたロットの作業着手を行なっている。
[0011]
 また、生産ラインの生産量の制御を目的とした技術として、特許文献3があげられる。特許文献3では、状態空間モデルを用いて生産ラインをモデル化し、状態フィードバックを設計し最適制御によるシミュレーションを行い、生産ラインを制御することを提案している。
[0012]
 また、生産システムを自律化分散化した例としては、特許文献4に開示された手法が挙げられる。特許文献4の手法では、複数の工程と工程間で物品を移動する搬送装置とを有する、いわゆる、フリーフローラインシステムにおいて、搬送物品に設けた情報記録媒体にその搬送物品に関しての様々な情報が記憶される。各工程ではその情報記録媒体に記憶された情報を読み取ることでその搬送物品に対する処理を決定する。したがって、この手法では工程が自律的に動作することができ、中央からの指示無しに各々の工程が動作可能である。
[0013]
 一方、非特許文献1によると、生産ラインを微分方程式でモデル化し、バッファの溢れやバッファの枯渇を発生させないような、各工程での制御パラメータを、系の伝達関数のH∞ノルム(H無限大ノルム)を用いて求めている。この非特許文献1においては、すべての工程でパラメータを調節する必要は必ずしもなく、限られた工程だけでパラメータを調整することによってもバッファの溢れや枯渇を防ぐことができることを示している。
[0014]
 また、特許文献5、特許文献6によると、2次元格子におけるフロー制御である、信号制御においても、信号機毎に分散制御装置を導入し、隣接する信号機の制御パラメータを取得し、隣接関係を加味しながら自信号機の点灯(切換)タイミングを制御する手法が提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0015]
特許文献1 : 特開1990-29801号公報
特許文献2 : 特開1998-161708号公報
特許文献3 : 特開2007-206877号公報
特許文献4 : 特開平2-236604号公報
特許文献5 : 特開2004-348370号公報
特許文献6 : 特開2016-91249号公報

非特許文献

[0016]
非特許文献1 : Konishi, Keiji. "A tuning strategy to avoid blocking and starving in a buffered production line" European journal of operational research 200.2 (2010): 616-620.

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0017]
 しかしながら、上述した制御技術においては以下に示すような問題点を有している。
[0018]
 特許文献1の方式においては、基本的にすべての要素からの情報をもとに、それぞれの階層で処理を行い、その統計情報がより上位の層で取り扱われる。しかしながら、特許文献1の方式においては、各階層でそれぞれの要素の情報を確実に取得する必要があり、情報取得のための専用の装置の設置が必要である。この方式を、生産ラインや交通システムへ応用するためにはすべての分散要素からの情報を取得するために、導入のコストが高くなってしまう。
[0019]
 特許文献2及び3においては、システム全体の情報が必要であり、一部の情報が欠けてしまうなどという不確定性の高い状況では安定化が困難となる。特許文献2及び3ではまた、集中制御で行っているため、大規模、複雑なラインにおいては実時間での計算が困難となる。
[0020]
 自律分散を行った特許文献4においても、システム全体の自動化が必要であり、導入に非常に高いコストが生じるという問題が発生する。また特許文献4の手法では、設備の効率や隣接する工程の情報などは取り扱っていないため、効率的にフローを制御することが困難である。
[0021]
 特許文献5、特許文献6においても、基本的に制御対象すべての信号機に高度な分散制御を行うこととなり、導入に非常に高いコストが生じることが考えられる。
[0022]
 一方、非特許文献1においては、H∞ノルムを用いてシステム上の特定の工程のパラメータのみを調整することでもシステム全体の効率を上昇できることを示している。しかし、これは設計時に入力や外乱の最悪値を見積もり、最悪の入力や外乱が来たとしても問題無いように設計したことに他ならない。たとえば、非特許文献1中のパラメータは、前段のバッファ量にどれだけ鋭敏に追従するかというパラメータである。これを高く保持するということは、目標値への追従性を常に高くおいていることとなる。高い追従性を保つためには、一般に制御コストが高くなるため、設計時に固定パラメータを与えている本手法においては、特に追従性能を求められないような平常時においては制御コストが冗長となるという問題を抱えている。
[0023]
 以上のような問題点から、フローを制御するシステムにおいては、不確定性が高い状況であっても、導入コストをなるべく下げ、かつ、平常においては低い制御コストを実現できるような分散制御システムが求められる。
[0024]
 本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、予測が困難で不確定性の高い複雑なシステムであっても、すべての情報を集約することなく、導入コスト、制御コストを低減した、システム全体の効率を制御するフロー制御システム及びその制御方法を提供することである。

課題を解決するための手段

[0025]
 本発明の第1の態様によれば、
 複数のワークユニットα(以下、WUαと略記する)と、複数のワークユニットβ(以下、WUβと略記する)が連結されたフロー制御システムであって、
 前記WUαはWU毎に独立な制御目的であるα制御目的を有するとともに、α制御目的に対する制御則であるα制御則を有し、
 前記WUβは多くのWUαがそれぞれのα制御目的を達成することを目的とするβ制御目的を有するとともに、β制御目的に対する制御則であるβ制御則を有し、
 前記β制御則は、当該フロー制御システムの部分的な情報に基づいて動的に変更される制御則であり、
 前記WUβは当該フロー制御システムにおいて部分的に配置される、
ことを特徴とするフロー制御システムが提供される。
[0026]
 本発明の第2の態様によれば、
 複数のワークユニットα(以下、WUαと略記する)と、複数のワークユニットβ(以下、WUβと略記する)が連結されたフロー制御システムの制御方法であって、
 前記WUαはWU毎に独立な制御目的であるα制御目的を有するとともに、α制御目的に対する制御則であるα制御則を有し、
 前記WUβは多くのWUαがそれぞれのα制御目的を達成することを目的とするβ制御目的を有するとともに、β制御目的に対する制御則であるβ制御則を有し、
 前記β制御則は、当該フロー制御システムの部分的な情報に基づいて動的に変更される制御則であり、
 前記WUβは当該フロー制御システムにおいて部分的に配置され、
 前記WUαは少なくとも制御対象となる処理工程を含み、
 前記処理工程は少なくともバッファと速度調整可能な処理を含み、
 前記WUαにおいては、
 自身の前記処理工程から処理工程情報を取得し、
 取得した自身の処理工程情報に基づいて前記処理工程の制御を実行し、
 前記WUβは少なくとも制御対象となる処理工程を含み、
 前記処理工程は少なくともバッファと速度調整可能な処理を含み、
 前記WUβにおいては、
 自身の前記処理工程から自身の処理工程情報を取得し、
 前記WUβの近傍の他のWUαまたは他のWUβから近傍の処理工程情報を取得して、取得した前記近傍の処理工程情報と取得した前記自身の処理工程情報を統合し、
 統合された処理工程情報に基づいて前記処理工程の制御を実行することを特徴とする、
制御方法が提供される。

発明の効果

[0027]
 本発明によれば、フローが連なった系において、不確定性が高い状況であっても、導入コストを下げ、かつ、平常においては低い制御コストを実現するようなフロー制御システムが実現される。

図面の簡単な説明

[0028]
[図1] 本発明の適用が考えられるフロー制御システムの一例として、生産管理システムの構成例を示す模式図である。
[図2] 本発明の第1の実施形態に係るフロー制御システムの構成例を示す模式図である。
[図3] 本発明の第1の実施形態におけるWUαの構成例を示すブロック図である。
[図4] 本発明の第1の実施形態におけるWUβの構成例を示すブロック図である。
[図5] 本発明の第1の実施形態におけるWUαの動作を示すフローチャートである。
[図6] 本発明の第1の実施形態におけるWUβの動作を示すフローチャートである。
[図7] 本発明の適用が考えられるフロー制御システムの他の例として、作業管理システムの構成例を示す模式図である。
[図8] 本発明の第2の実施形態に係るフロー制御システムの構成例を示す模式図である。
[図9] 本発明の第2の実施形態におけるWUαの構成例を示すブロック図である。
[図10] 本発明の第2の実施形態におけるWUβの構成例を示すブロック図である。
[図11] 本発明の第2の実施形態におけるWUβの動作を示すフローチャートである。
[図12] 本発明の適用が考えられるフロー制御システムの更に他の例として、格子状の道路に適用された交通制御システムについて説明するための図である。
[図13] 本発明の第3の実施形態におけるWUαの構成例を示すブロック図である。
[図14] 本発明の第3の実施形態におけるWUβの構成例を示すブロック図である。
[図15] 本発明の第3の実施形態におけるWUαの動作を示すフローチャートである。
[図16] 本発明の第3の実施形態におけるWUβの動作を示すフローチャートである。
[図17] 本発明の第3の実施形態における信号タイミングの一例である。

発明を実施するための形態

[0029]
[第1の実施形態]
 本発明の第1の実施形態として、生産工程における、処理工程設備群の管理に本発明を適用した場合の構成及び動作について説明する。
[0030]
[構成の説明]
 図2は本発明が適用される生産工程の一例であって、第1の実施形態に係るフロー制御システム200の全体構成例を示している。図2において、このフロー制御システム200は複数のワークユニットα(以下、WUαと略記する)10a~10fと、複数のワークユニットβ(以下、WUβと略記する)11a~11bから構成される。なお、記号α、βに特別な意味は無く、WUα、WUβをそれぞれ、たとえば「第1WU」、「第2WU」と呼んでも良い。これは、後述されるα制御目的、α制御則、β制御目的、β制御則についても同様であり、それぞれ、第1制御目的、第1制御則、第2制御目的、第2制御則と呼んでも良い。また、以降においては、特に断りがない限り、添え字a、b等を省略し、WUα10、WUβ11のように記述することがある。各WUα10及びWUβ11は生産工程の構成単位となるものである。各WUはワークライン100によって連結されており、生産物品は各WUでの処理を経てワークライン100に沿って生産される。ここで、WUβ11は、あらかじめ決められた分布50にしたがってワークライン100上に部分的に配置される。
[0031]
 図3はWUα10の構成例及び動作を説明するためのブロック図である。WUα10は自身が担当する処理工程10-3、処理工程情報を取得する工程情報取得部10-2、及び処理工程を制御する制御部10-1を少なくとも備える。これらの構成要素の他に、各種情報を記憶するための記憶部を備えるが、記憶部は、WUα10に内蔵せずに外部記憶装置で実現されても良いので、図示は省略している。これは後述するWUβにおいても同様である。処理工程10-3はたとえば、図1で説明したようなある処理設備3aによって製品を加工しバッファ2aに入れる、速度調整可能な工程である。第1の実施形態では処理工程10-3は隣接したWUα10またはWUβ11と工程上連続しているとし、たとえば図1における工程Aのバッファ2aは次の工程Bでの設備3bによって処理される。処理工程情報とは、処理工程の進捗や状態に関する情報であり、第1の実施形態においては、たとえば自工程のバッファ量及び工程設備の処理速度である。バッファの量は前の工程と次工程の設備の処理速度の差によって増加するのか、減少するのかが決定される。たとえば、あるWUαを取り出したとき、そのバッファ量の変化は下記の式(1)のような微分方程式で表すことができる。
[0032]
 ここで、第1の実施形態においてワークライン100においてN個のWUα10が連なっているとする。
[0033]
 製品の流れの最下流、すなわち、当該ワークラインでの出口におけるWUα10を0番とし、最上流をN番目とする。
[数1]


[数2]


[0034]
 ここで変数xi(t)はi番目のWUのバッファ量の満量からの余裕量を表す変数である。
[0035]
 また、式(2)によれば、0番目のWUの出力はある製品出荷目標速度r(t)が存在するとして、その変動により影響を受けることを示している。
[0036]
 変数vi(t)はi番目のWUの処理工程における処理設備の処理速度を表す変数である。
[0037]
 以下、あるWUαがi番目と数えられるとき、WUα10_iのように記述する。すなわち、製品の出口におけるWUがWUα10_0であり、最上流がWUα10_Nと記述する。
[0038]
 式(1)は、i番目のWUα10_iにおけるバッファ量は次工程i-1番目のWUα10_i-1の処理工程の速度vi-1(t)が自工程の処理工程の速度vi(t)よりも早い場合はその差分に応じてバッファ量が減ることを示し、逆に、速度vi-1(t)がvi(t)よりも遅い場合はバッファ量がたまっていくことを示している。
[0039]
 工程情報取得部10-2は、たとえば処理工程内の設備による各種センサなどによって処理工程情報を取得する。
[0040]
 制御部10-1では工程情報取得部10-2によって得られた工程情報を用いて、各WUαがもつα制御目的を満たすように処理工程を制御する。
[0041]
 第1の実施形態では、α制御目的はたとえば、各工程においてバッファが溢れ、または枯渇を起こさないようすることである。処理工程の制御とはたとえば、処理工程での設備の処理速度を調整することである。より具体的には、バッファ量が満量に近づくほど処理速度を低下させ、逆にバッファ量が空に近いのであれば処理速度を増加させることにより、バッファの溢れや枯渇を防ぐように処理速度を調整する。このように目的が達せられるように制御を行う規範を以下では制御則と呼び、第一の実施形態においてはその制御則は、たとえば以下の微分方程式によって表すものとする。
[数3]


[0042]
 ここで、定数Viはi番目のWUの処理設備の処理速度の最大値を表す定数であり、定数hiはi番目のWUのバッファの満量を表す定数であり、定数kiはi番目のWUの処理設備の制御量にかかる処理速度調整係数である。
[0043]
 制御則の式(3)は、WUα10_iにおいては、各設備の処理速度viを調整可能であり、自工程のバッファ量が満量に近づくほど処理速度を低下させ、逆にバッファ量が空に近いのであれば処理速度を増加させることを示している。また、その処理速度の限界値はViによって決まっており、バッファ量の差分に対してどれほど敏感に速度を変化させるかの係数がkによって決まっている。
[0044]
 ワークライン100の、それぞれのWUにおいてバッファが溢れたり、枯渇させたりしないようにすることを考える。ワークライン全体においてバッファのバイオレーションが起きないようなkiの値は、たとえばr(t)に対しての伝達関数を求めることにより設計することができる。たとえば、r(t)の摂動の幅に対して、あるWUα10_iでの摂動の幅が、上限(hi)、または下限(0)に達しなければよい。すなわち、伝達関数をもとに、そのゲインがある基準を満たしているかどうかにより、あるWUα10_iにおけるkiの値を決定できる。いかなる周波数に対してもゲインを設計するために、たとえは伝達関数のH∞ノルムを用いることにより、それぞれの適切なkiを設計することができる。しかし、ここで、すべてのWUにおいて適切なkiを設定するということは、すべてのWUにおいて調整可能な設備を導入することにほかならず、設備投資のコストか過剰となる。
[0045]
 なお、一部のみのWUが調整可能とした場合においても同様に伝達関数に基づきkiを設定することはできる。しかしながら、H∞ノルムを用いるということは、ある最悪値を見積もって、その最悪値においても基準を満たしているかどうかを見積もっていることに他ならない。つまり、H∞ノルムを用いるということは、最悪値に対しても堅牢であるパラメータで固定し、常にそのパラメータで動作することに他ならない。たとえば第1の実施形態においては、微妙な摂動に対しても、非常に早く追従しようと設備機器が動くことに相当する。したがって、最悪値に基づいたパラメータで固定的に動作するのは、平常時も含めた制御の効率を考えた場合に無駄であるといえる。
[0046]
 したがって、本発明における第1の実施形態では、まず、一部のみのWUを調整可能とし、かつそのパラメータを動的に変更する。
[0047]
 調整可能なパラメータを持ったWUがWUβ11である。WUβの具体的な構成は後で説明する。ここでは定性的な動作を先に説明する。
[0048]
 WUβ11は付近のWUαの情報に基づき、制御パラメータを変更するかどうかを制御する。具体的には、近傍の複数のWUα10から得られた処理工程情報から、たとえば局所的な伝達関数を求め、そのゲインが基準を超えそうであれば自工程の制御則(式3)のパラメータkβを変化させる。
[0049]
 この操作は、自工程の設備の処理速度調整係数kβの変更に他ならないが、kβを変化させることにより、当該WUβを含んだ、ある範囲のWUの伝達関数が変化することになる。ここで、適切にkβを設計することにより、その範囲における伝達関数のゲインが抑えられることになる。すなわち、kβの調整により上記範囲内のWUαにおけるバッファの溢れ、枯渇が起きないように調整されていることになる。
[0050]
 ここで、通常WUβの設備のスペックに依存して設定可能なパラメータkβの値の最大値kβmaxは制限される。これは、あるWUβをシステム上の特定の位置に配置した場合において、ある基準を満たす伝達関数を実現可能なWUβからのホップ数(WUβから次のWUβまでに経由するWUの数)がkβmaxによって制限されることを意味する。
[0051]
 つまり、WUβの最大パラメータkβmaxにより、ある基準を満たす伝達関数を実現可能なシステム上の範囲が求められるため、ワークラインシステム100として生産目標の摂動幅が決まっていた場合に、WUβをライン上に何個置きに配置すればよいかも求めることができる。
[0052]
 以下、WUβの具体的な構成について説明する。
[0053]
 図2において、WUβはあらかじめ決められた分布50にしたがってワークライン100上に配置される。第1の実施形態では、分布50は、たとえばシステム上での伝達関数をもとに、システム全体でゲイン基準を満たすことができるような分布をあらかじめ求めておく。
[0054]
 第1の実施形態では、WUβは近傍のWUαにネットワーク30によって結合されており、近傍のWUαからの処理工程情報を取得することが出来る。第1の実施形態では、近傍の範囲をすべて足し合わせることでライン全体が覆われている必要はない。たとえば、図2における1次元のワークラインにおいて、WUα10c、WUα10dの処理工程情報はいずれのWUβにも取得されない。
[0055]
 図4はWUβ11の構成例及び動作を説明するためのブロック図である。図4において、WUβ11は、自身が担当する処理工程11-3及び、工程情報取得部11-2及び、工程情報統合部11-4を少なくとも備える。処理工程11-3、工程情報取得部11-2は、図3で説明したWUαにおける処理工程10-3、工程情報取得部10-2の定義と同じであるので説明は省略する。第1の実施形態における工程情報統合部11-4は、近傍の1つ以上のWUα10とネットワーク30によって接続されており、近傍のWUα10の処理工程情報を取得し、自工程の工程情報取得部11-2によって得られた処理工程情報と統合する。
[0056]
 制御部11-1は工程情報統合部11-4で得られた統合情報を用いて、β制御目的が達成されるように処理工程11-3を制御する。ここで、β制御目的とはできるだけ多くのWUα及びWUβにおいてα制御目標を達成することである。すなわち、第1の実施形態において、WUβ11は自工程でバッファに溢れや枯渇が起きないように制御するのに加え、システム全体においてできるだけ多くのWUα10においてもその工程でのバッファ溢れや枯渇が起きないように、自処理工程11-3を制御する。
[0057]
[動作の説明]
 具体例を用いて動作について説明する。第1の実施形態において、ワークライン100においてN個のWUが連なっているとする。製品の流れの最下流、すなわち、当該ワークラインでの出口におけるWUを0番とし、最上流をN番目とする。以下、i番目のWUαを、WUα10_iのように記述する。すなわち、製品の出口におけるWUαであれば、WUα10_0であり、最上流にあるWUαであればWUα10_Nと記述する。
[0058]
 図5はあるWUα10_iの動作を説明するためのフローチャートである。なお、図5に示した処理手順はあくまで一例である。図5に示した処理の前後関係について整合がとれていれば、処理手順を組み替えても同様の作用及び効果となる。
[0059]
 WUα10_iは、動作を開始すると、まず工程情報取得部10-2での処理として、処理工程情報を取得する(ステップS101)。
[0060]
 第1の実施形態では、あるWUα10_iにおいて、処理工程情報はバッファの量及び処理工程の設備の処理速度であり、その得られたバッファ量の値をxi(t)、設備の処理速度をvi(t)とする。次に、制御部10-1の動作として、得られた処理工程情報及び制御則から処理工程制御の制御変数を算出する。
[0061]
 第1の実施形態では、たとえば上述の式(2)によってWUα_iにおける設備の処理速度の変化量dvi/dtが決定される(ステップS102)。次に、求めた処理速度の変化量をもとに処理工程の設備に制御入力を印加する(ステップS103)。以上を繰り返すことでWUαは自身のバッファを溢れさせないように制御を行う。
[0062]
 図6はWUβ11の動作を説明するためのフローチャートである。なお、図6に示した処理手順はあくまで一例である。図6に示した処理の前後関係について整合がとれていれば、処理手順を組み替えても同様の作用及び効果となる。以下では、あるj番目のWUβをWUβ11_jと記述する。
[0063]
 WUβ11_jは、動作を開始すると、まず工程情報取得部11-2での処理として、自工程の処理工程情報を取得する(ステップS111)。第1の実施形態において、あるWUβ11_jにおいて、処理工程情報はバッファの量及び処理工程の設備の処理速度であり、その得られたバッファ量の値をxj(t)、設備の処理速度vj(t)とする。
[0064]
 また同時に、近傍のWUα10における工程情報取得部10-2の動作として、処理工程情報をそれぞれ取得する(ステップS112)。これは非同期に取得されていてもよく、その場合は記憶保持装置などによりそれぞれのWUαの処理工程情報を保持しておく。
[0065]
 次に、工程情報統合部11-4の動作として、ステップS111で取得した自工程の処理工程情報と、ステップS112で取得した近傍のWUα10の処理工程情報を統合する(ステップS115)。たとえば、いまあるL番目からM番目までのWUの処理工程情報を取得しているとする。ここでL<Mとする(つまりL番目のほうが製品出口に近い)。第1の実施形態においては、たとえばそれぞれのバッファの振幅の最大値を比較する。ある時間幅におけるバッファ量の推移を記録しておき、それぞれのWUにおけるその極大値xLmax~xMmax及び極小値xLmin~xMminを記録する。
[0066]
 制御部11-1においては、ステップS115において統合された処理工程情報をもとに、自工程の制御則を変更するかどうかを判断する(ステップS116)。たとえば、第1の実施形態においては、制御部11-1は、ステップS115で得られた極大値、極小値を比較し、LからMの方向へ振幅が増大しているような傾向が見られた場合、つまりxLmax<xMmaxであり、その差分xMmax - xLmaxがある閾値を超えた場合に制御則の変更が必要と判断する。あるいは、制御部11-1は、パラメータを上昇させた結果、システムが安定化し、十分少ない摂動になった場合にはパラメータを少しずつ下げていくように制御則の変更が必要と判断する。
[0067]
 制御部11-1は、制御則の変更が必要と判断した場合には、たとえば、式(3)における制御パラメータkβをある決められた値分増加させる(ステップS117)。
[0068]
 次に、制御部11-1は、パラメータが変更されていても、されていなくても処理工程に制御を実行する。制御部11-1は、たとえば式(3)に従い、自工程のバッファ量に応じて処理設備の処理速度を調整する(ステップS118)。
[0069]
 以上を繰り返すことでWUβは、周囲の情報を取得し、自身の制御則を変更することで、自身のバッファのみならず、近傍のWUαのバッファを溢れさせないように制御を行う。
[0070]
[第1の実施形態の効果]
 第1の実施形態によれば、かかる構成をとることにより、すべてのWUの情報を取らずとも、WUβ近傍の局所的な情報を用いて、ライン全体の伝達関数においてあるゲイン特性を守るようなワークラインを構成することが出来る。また、上述した手法を用いることで、もともとの摂動が小さく、ゲインの抑制が必要でないような状況ではWUβはパラメータを変更することなく制御を行う。一方、摂動が大きく、ゲインの抑制が必要となってきた場合にはWUβは近傍のWUαの情報からそれを察知し、WUβの制御パラメータを変更し、周囲の局所的な伝達関数のゲインを下げる。
[0071]
 以上により、すべてのWUの情報を集約することなく、また最悪値による見積もりのために、過剰なスペックで処理設備が稼働することなく、局所的な情報をもとに効率的に動作するワークラインを構築することができる。
[0072]
 なお、本実施形態においては、式(1)、式(2)及び、式(3)に基づき、制御の手法を説明したが、本発明は特にこれらの式に基づいて動作する環境に限定されるものではない。一般的に、数理モデルによってWUαの動作が近似的に記述できる場合、WUβ周りの局所的な動作も数理モデルとして近似的に記述できる。また、非線形な微分方程式で表される場合においても、平衡点周りの線形近似などを用いてシステムのダイナミクスを記述してもよい。
[0073]
 また、WUβ付近のダイナミクスを、状態空間モデルを用いてモデル化してもよい。その場合、WUβの制御パラメータとダイナミクスの固有値との関係性を用いることで、WUβの制御パラメータを変化させた場合の近傍のダイナミクスを定性的に理解することが出来る。たとえばその関係を用いて、WUβの近傍の情報から所望の方向にシステムが向かうように、WUβのパラメータを調整することが出来る。
[0074]
 また、多次元状態方程式によってシステムが記述された場合には、固有値の大きさの大きいペアを用いた近似によってシステムのダイナミクスを近似的に推定しても良い。また、状態空間モデルではなくペトリネットモデルなどの別の表現を用いてシステムをモデル化してもよい。
[0075]
 また、たとえば本発明の実施形態において、WUβ付近の伝達関数を推定し、システムが安定化するようにWUβの制御則を変更してもよい。例えば、あらかじめわかっている業務の特性や装置の特性などからWUの数理モデルを仮定し、それらの伝達関数を求める。それらの伝達関数が連結することで局所的な伝達関数を求めることができる。あるいは、例えばリアルタイムに局所的な入出力の情報から、ある時間幅における伝達関数を推定してもよい。例えばその伝達関数の安定余裕が所望の安定余裕となるようにWUβの制御側を変更してもよい。あるいはその伝達関数のゲイン余裕、位相余裕などが所望の値となるようにWUβの制御則を変更してもよい。
[0076]
 本実施形態においては、処理工程情報としてバッファ量情報及び設備の処理速度情報を用いたが、たとえば処理の加速度情報、バッファ量のN階微分した情報などを用いてもよい。また、本実施形態では、WUαの処理工程情報として、次工程のバッファ量及び処理速度情報を取得したが、近傍のWUαの各種情報を取得することで、WUαの制御に用いてもよい。
[0077]
 また、本実施形態においてWUβの近傍の処理工程情報として、ある時間幅におけるバッファ量の極値を用いたが、例えば各種処理工程情報を統計的に処理した2次的情報でも良い。たとえば、適当な時間幅における平均値や適当な時間幅で平滑化を行った処理工程情報でも良い。またあるいは、たとえば得られた処理工程情報から推定される予測値などを用いてもよい。たとえば、ある数理モデルによってWUαの動作を仮定した場合、測定されたデータを最もよく表すWUαのパラメータを推定し、次のWUαの処理工程情報の予測値を用いてもよい。また、ノイズなどの除去のために測定値にカルマンフィルタなど各種フィルタ処理をかけた情報などでも良い。
[0078]
[第2の実施形態]
[構成の説明]
 次に、本発明の第2の実施形態に係るフロー制御システムの構成及び動作について説明する。第2の実施形態では、組立工による処理ラインのような、人員の移動によって処理工程の処理速度の調整を行うラインに対して本発明を適用した場合について説明する。つまり、本実施形態においても、処理工程は速度調整可能である。なお、第1の実施形態と同様の構成及び動作については、同一の参照番号で示し、説明を省略する。
[0079]
 図7は、本発明の第2の実施形態の適用が考えられるフロー制御システムの別の例として、作業管理システムの構成例を示す。第1の実施形態と同様に、1次元のワークライン上にワークセルが連なっている。処理は上流から下流へと、一方向へ流れる。ワークセルではそれぞれのセルでの作業を担当する作業員が配置され、上流から流れてくる物品に対しての当該ワークセル固有の作業を行い、次のワークセルへのバッファへと物品を積む。作業員はバッファ量が溢れたり、枯渇したりしないよう、作業(特に、作業速度)の調整を行う。
[0080]
 第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、設備ではなく、人手によって、処理速度を調整する点と、WUβを実現するために、WUαにWUβとして必要な要素を付加することで実現する点、WUβの配置間隔を数値的に求めるのではなく測定値をもとに決定する点と、WUβ同士が連携しあい情報を交換する点である。
[0081]
 図8は第2の実施形態に係るフロー制御システム200の全体構成例を示す。図8において、第1の実施形態と同様、このフロー制御システム200は複数のワークユニットα(以下、WUαと略記する)10a~10fと、複数のワークユニットβ(以下、WUβと略記する)11a~11bから構成される。各WUはワークライン100によって連結されており、生産物品は各WUでの処理を経てワークラインに沿って生産される。ここで、WUβ11は、あらかじめ決められた分布50にしたがってワークライン100上に部分的に配置される。WUβ11同士はネットワーク60によって接続されており、それぞれの処理工程情報を共有することが出来る。
[0082]
 図9は第2の実施形態におけるWUα10の構成例及び動作を説明するためのブロック図である。WUα10は自身が担当する処理工程10-3、処理工程情報を取得する工程情報取得部10-2及び、処理工程を制御する制御部10-1を少なくとも備える。処理工程10-3はたとえば、図7のようにある作業エリア3aを担当する作業員が、当該エリアでの固有の作業を行い、バッファ2aに入れる工程である。第2の実施形態でも処理工程10-3は隣接したWUα10またはWUβ11と工程上連続しているものとし、たとえば図7におけるワークセルAのバッファ2aは次のワークセルBの作業エリア3bによって処理される。処理工程情報とは、処理工程の進捗や状態に関する情報であり、第2の実施形態においてはたとえば、自工程のバッファ量やワークセルでの処理速度である。第1の実施形態と同様、バッファの量は前の工程と次工程の設備の処理速度の差によって増加するのか、減少するのかが決定される。
[0083]
 ここで、大まかな動作としては第1の実施形態における式(1)~(3)が第2の実施形態でも成り立つものとする。
[0084]
 第1の実施形態のように工程情報取得部10-2は、たとえばセンサなどで、バッファ量、処理速度などを取得する。制御部10-1は、式(3)の制御則に基づき目標作業速度を算出するが、実際の速度調整は作業人員によって行われる。たとえば、式(3)に基づき目標とする作業速度を算出し、表示装置などで作業員に伝達する。作業員は表示装置に示された指示に基づき、作業速度を調整する。
[0085]
 なお、第2の実施形態においても、式(1)~(3)において、定数hiは第1の実施形態と同様に、たとえばバッファ量の最大値を表す。最大処理速度パラメータViは、たとえばエリア内に作業する作業人員の人数及び、個々の作業人員の能力の総和によって定められるとする。また、速度調整係数kiは、たとえばその作業エリアにおける作業目標速度の表示の更新頻度によって影響を受ける指標であり、また作業人員の人数にも依存する。
[0086]
 第2の実施形態においては、WUβ11の分布50を、ラインのデータ測定の結果をもとに算出する。たとえば、ラインの目標生産量にある周期入力を与え、ある平衡状態へ置く。この時、ライン全体が安定であればある周期応答を示す。特定のWUβ11においてあるパラメータを設定する。たとえばWUβ11で作業する人数を標準的な人数、P人で固定する。そのWUβ11の周辺のWUα10の処理工程情報を測定する。たとえばWUβ11のひとつ前のWUαのバッファ量の変化と比べ、あるWUαのバッファ量の変化を測定する。あるWUβによる制御でのゲインの変化が、ある閾値以内に収まる、当該WUβからの連結数を記録する。次に、先ほどのP人をさらに増加させQ人とした場合の、連結数を記録する。
[0087]
 これによってWUβの制御パラメータをQ人とした時の制御が影響する範囲を求めることが出来る。あるWUβの最大作業人数が作業エリアなどの制約からおおむね決まっている場合、その人数における制御の影響範囲を求め、その影響範囲をこえない範囲でWUβを配置する。これにより、WUβの制御パラメータを調整することで、ライン全体のゲインをある基準を保つようにWUβを配置することが出来る。
[0088]
 逆に、WUβにすることのできるWUαの位置がシステム上であらかじめ決められていた場合には、その配置から逆算し、すべてのWUβの影響範囲によって、システム全体が覆われるように、WUβの調整可能なパラメータの上限を決める。第2の実施形態では、たとえばそのエリアの最大人数の値を決定し、それが実現可能な作業エリアを確保する。これにより、WUβの制御パラメータを調整することで、ライン全体のゲインをある基準を保つことが出来る。
[0089]
 図10は第2の実施形態における、WUβ11の構成例及び動作を説明するためのブロック図である。WUβ11は、図9のWUα10と同様のWUα構成部10-5及び、拡張制御モジュール11-5を少なくとも含む。拡張制御モジュール11-5は、WUα構成部10-5とのインターフェース11-53、工程情報統合部11-52及び、制御部11-51を少なくとも含む。WUα構成部10-5における処理工程10-53、工程情報取得部10-52、制御部10-51は上述したWUαにおける定義と同様のため説明は省略する。なお、工程情報取得部10-52から制御部10-51へ直接情報のやり取りがあってもよい。その場合、例えば拡張制御モジュール11-5内では、WUαのように自工程情報のみで制御信号を決める。ただし、その制御パラメータは非同期的に制御部11-51によって定められた値に書き換えられる。
[0090]
 第2の実施形態における工程情報統合部11-52は、1つ以上のWUβ11とネットワーク60によって接続されている。工程情報統合部11-52は、近傍のWUα10の処理工程情報を取得し、自工程の工程情報取得部10-52によって得られた処理工程情報をインターフェース11-53経由で取得したものと統合する。またさらに、第1の実施形態と同様、周辺のWUαの処理工程情報を取得してもよい。制御部11-51は工程情報統合部11-52で得られた統合情報を用いて、β制御目的が達成されるようにWUα構成部10-5をインターフェース11-53経由で制御する。
[0091]
[動作の説明]
 第2の実施形態において、WUαの動作は図5で説明した第1の実施形態のWUαの動作とおおむね同じである。あるi番目のWUα10_iは、動作を開始すると、まず工程情報取得部10-52での処理として、処理工程情報を取得する(図5のステップS101に対応)。第2の実施形態では、あるWUα10_iにおいて、処理工程情報はバッファ量及び処理工程のワークエリアの処理速度であり、その得られたバッファ量の値をxi(t)、ワークエリアでの処理速度vi(t)とする。バッファ量の値は、たとえば設備に付帯したセンサから取得する。ワークエリアでの処理速度は、たとえばセンサから取得する。あるいはバッファ量を取得し、その変化量から速度を算出してもよい。次に、制御部10-1は、得られた処理工程情報及び内蔵あるいは外部の記憶部(図示省略)に格納されている制御則から処理工程制御の制御変数を算出する。
[0092]
 第2の実施形態では、たとえば式(2)によってWUα_iにおける設備の処理速度の変化量dvi/dtが決定される(図5のステップS102に対応)。次に、求めた処理速度の変化量をもとにワークエリアにおける目標処理速度を提示する。作業員は逐次表示された目標速度になるよう各自の作業速さを調整する(図5のステップS103に対応)。以上を繰り返すことでWUαは自身のバッファを溢れさせないように制御を行う。
[0093]
 図11は第2の実施形態におけるWUβ11の動作を説明するためのフローチャートである。ここでは、あるj番目のWUβをWUβ11_jと記述する。
[0094]
 図11において、WUβ11_jは、動作を開始すると、まずWUα構成部10-5における、工程情報取得部10-52での処理として、自工程の処理工程情報を取得する(ステップS211)。第2の実施形態においては、あるWUβ11_jにおける処理工程情報はバッファの量及び処理工程の設備の処理速度であり、その得られたバッファ量の値をxj(t)、設備の処理速度をvj(t)とする。
[0095]
 次に、ネットワーク60によって接続された他のWUβ11の工程情報も取得する(ステップS212)。また、ここで第1の実施形態のように近傍のWUαからの処理工程情報も併せて取得してもよい。
[0096]
 次に、工程情報統合部11-52の動作として、まず、工程情報統合部11-52はステップS211で得られた自工程処理情報をインターフェース11-53経由で取得する。工程情報統合部11-52は、続いて、ステップS211で得られた自工程の処理工程情報とステップS212で得られた他のWUβ11の工程情報とを統合する(ステップS215)。たとえば、いま、L番目からM番目までのWUの情報を取得しているとする。ここでL<Mとする(つまりL番目のWUのほうが製品出口に近い)。第2の実施形態においては、制御部11-51が、たとえばそれぞれのバッファの振幅の最大値を比較する。制御部11-51は、ある時間幅におけるバッファ量の推移を記録しておき、それぞれのWUにおけるその極大値xLmax~xMmax及び極小値xLmin~xMminを記憶部に記録する。
[0097]
 制御部11-51は、ステップS215において統合した処理工程情報をもとに、自工程の制御則を変更するかどうかを判断する(ステップS216)。制御部11-51は、たとえばステップS215で得られた極大値、極小値を比較し、LからMの方向へ振幅が増大しているような傾向が見られた場合、つまりxLmax<xMmaxであり、その差分xMmax - xLmaxがある閾値を超えた場合に変更が必要と判断する。制御部11-51は、変更が必要と判断した場合には、たとえば、式(3)における制御パラメータkβをある決められた値分増加させる(ステップS217)。
[0098]
 次に、制御部10-51は、制御部11-51の判断結果を受け、パラメータが変更されていても、されていなくても処理工程10-53に制御を実行する。制御部10-51は、たとえば式(3)に従い、自工程のバッファ量に応じてワークエリア内の作業人員数の変更指示を行う(ステップ218)。たとえば、WUβ11_jの制御則が式(3)に基づいて与えられた場合は、その調整係数に基づき、ワークエリア内に作業員を増加させるか、減少させるかの指示が提示される。以上を繰り返すことでWUβは自身のバッファのみならず、近傍のWUαを溢れさせないように制御を行う。
[0099]
[第2の実施形態の効果]
 第2の実施形態によれば、かかる構成をとることにより、すべてのWUの情報を取らずとも、WUβの近傍の局所的な情報を用いて、ライン全体の伝達関数においてあるゲイン特性を守るようなワークラインを構成することが出来る。第2の実施形態の手法を用いることで、もともとの摂動が小さく、ゲインの抑制が必要でないような状況ではWUβはパラメータを変更することなく制御を行う。一方、摂動が大きく、ゲインの抑制が必要となってきた場合には、WUβは近傍のWUαの情報からそれを察知し、WUβの制御パラメータを変更し、周囲の局所的な伝達関数のゲインを下げる。以上により、すべてのWUの情報を集約することなく、また最悪値による見積もりのために、過剰なスペックで処理設備が稼働することなく、局所的な情報をもとに効率的に動作するワークラインを構築することができる。
[0100]
 本第2の実施形態では、WUβのパラメータが決まっていた場合には、測定をもとにWUβの範囲位置を決めることを示した。これはたとえば、1日乃至数日ごとにデータを取得、分析し、そのデータをもとに、より適切なWUβの位置を決めてもよい。
[0101]
 また、WUβの位置があらかじめ指定があった場合には、測定をもとにWUβのパラメータの最大値を決めることを示した。これも、データをもとに、ある程度の時間間隔でWUβの最大値を設計しなおしてもよい。
[0102]
[第3の実施の形態]
 次に、本発明の第3の実施形態に係るフロー制御システムの構成及び動作について説明する。第3の実施形態では、交差点における信号機のタイミングを調整することにより、2次元格子状道路での車両のフロー制御に本発明を適用した場合について説明する。なお、第1、第2の実施形態と同様の構成要素及び動作については、同一の参照番号で示し、説明を省略する。
[0103]
 本実施形態は、道路網においても、道路にたまる車両を滞りなく流すことが目的であり、2次元においても1次元同様、本発明が適用できることを示す。
[0104]
 図12は、格子状の道路に適用された交通制御システムについて説明するための図である。この格子状の道路においては、東西方向に延びる3本の幹線道路a,b,cと、南北方向に延びる3本の幹線道路01,02,03が、九つの交差点(a1~a3,b1~b3,c1~c3)において交わっている。各交差点には1つの信号制御ユニットが設置してあり、1つの信号制御ユニットは、東西南北方向に各4機の信号機をもち、それぞれの方向の信号を制御している。東西方向及び南北方向の信号機は基本的には同期して赤信号と青信号、そして遷移途中の黄色信号を適当な周期で点灯を繰り返しているものとする。例えば、この種の信号制御ユニットは、サイクル長、スプリット(1サイクルの時間のうち一方向に割り当てられる信号時間の配分)、及びオフセットを調整することにより、表示される信号の切り替えを制御する。第3の実施形態では、交差点は2つの道路が交差している場合について説明するが、3つ以上の道路が交差していてもよい。この場合、信号制御ユニットは5つ以上の信号機を含んでもよい。なお、信号制御ユニットが備える信号機の数は3つ以下でも良い。
[0105]
 格子状の道路に対して四方向から車両が流入してくることを考える。各交差点に差し掛かった車両は適当な確率で左右に曲がるものとする。いま、図12に示した九つの交差点(a1~c3)においては、基本的な制御である感応式信号機が設置されているとする。
[0106]
 感応式信号機は、車両感応器によって路線の交通状態を検出する。すなわち、感応式信号機は、車両感応器によってある方向における車両の停止を感知し、一定時間後に車両用信号とそれに付随する歩行者用信号を青にする。たとえば、図12の交差点a2における車両の進入を考える。時刻t0において、交差点a2の信号制御ユニットは、東西方向の信号が青、南北方向の信号は赤であったとする。ここで、幹線道路02において北方向から車両が一台やってきたとする。交差点a2における北方向から南方向への信号が赤だったため車両は停止する。交差点a2における信号制御ユニットがもつ車両感応器が反応し、信号制御ユニットは自身が持つ時間パラメータτ時間後に東西方向の信号を赤に変え、南北方向の信号を青に変えるように制御する。
[0107]
 以上の制御動作により、交差点a2においては、北方向から最初の車両が到達してからτ時間後には信号が青になり、通行することが出来る。特に、車両の流量が少ない場合は、感応式制御で十分な場合が多い。しかしながら、感応式制御は単純な仕組み故、車両の台数や交通量の多さなどの統計的な情報を取得することが出来ず、複雑な道路網や車両の流量が増えてきた場合においては、交通網において車両フローの最適性を保つことは難しい。
[0108]
 一般に、交差点における青信号の点灯時間は縦(例えば南北)方向と横(例えば東西)方向の流量比に比例するように時間配分することで、その交差点における最大の流量となることが知られている。しかしながら、感応式制御では、縦方向、横方向それぞれの車両の流量に応じた信号の点灯時間比にすることは難しい。
[0109]
 ところで、前述した特許文献5、6においては、上記複雑な道路網における制御方法として、各交差点において上記車両の台数、交通量の多さ、車両の加速度情報など種々の情報を取得し、隣接する信号機と情報を交換しながら制御する分散制御手法が提案されている。しかしながら、すべての交差点に高度な制御を導入するためには多くの導入コストが必要である。
[0110]
 したがって、第3の実施形態においては、感応式制御による信号制御の道路網において、一部の交差点のみにおいて高度な制御方式による信号制御ユニットを導入した例を説明する。第3の実施形態では、たとえば感応式の信号制御ユニットをWUαとし、たとえば車両の流量センサや行き先取得装置が付帯された高度な信号制御ユニットをWUβとする。
[0111]
[構成の説明]
 図13は、第3の実施形態におけるWUαの構成例を示したブロック図である。第3の実施形態におけるWUαは、たとえば感応式の信号制御ユニットである。第3の実施形態におけるWUα3-10は、少なくとも交差点(処理工程に対応)3-10-3を持ち、交差点3-10-3からの交差点情報を取得する交差点情報取得部(工程情報取得部に対応)3-10-2、及び交差点情報取得部3-10-2が取得した交差点情報をもとに交差点の信号機を制御する制御部3-10-1を持つ。交差点情報というのは第3の実施形態においては、たとえば信号制御ユニットが持つ車両感応器によって得られる車両到着情報である。交差点は道路によって隣接する交差点と結合している。たとえば図12における南北方向について言えば、交差点b2の北側の道路は交差点a2の南側の道路と結合しており、交差点b2の南側の道路は交差点c2の北側の道路と結合している。東西方向も同様である。いま自交差点の赤信号によって停まっている車両は、自交差点のその方向の信号が青に変わった場合に、隣接する交差点のいずれかに向かう。
[0112]
 自交差点から隣接する交差点までの距離は固定であるため、車両の速度がある程度一定の場合は、青信号になったタイミングからあるオフセット時間をもち隣接する交差点へ到達する。したがって、隣接する交差点でオフセット時間を加味した制御を行うことで隣接する交差点で車両が止まることなく通過することも可能であり、交通網全体のフロー効率の上昇が見込める。しかし、すべての交差点が協調するためには、高度な信号制御ユニットによる設備投資をすべての交差点に行う必要があり、投資コストが嵩んでしまう。
[0113]
 そこで、一部の交差点のみの協調により、その近傍の通常の交差点においても協調的に制御することを考える。たとえば具体的には、図12において、交差点b2を中心として考える。この交差点b2と接する交差点a2,b1,b3,c2を考えた時、それぞれの交差点間の距離はあらかじめわかっているとし、交差点b3から交差点b2へ移動する車両の速度プロファイルはあらかじめモデル化できているとする。速度プロファイルとは、信号が青になった後、車両がどの程度の加速度で加速し、その後どのくらいの速度で走行するかというモデルである。
[0114]
 たとえば交差点b3において東西方向の信号が赤であり、停車している車両があったとする。この時、東西方向の車両は、東から西へ直進することがわかっているとき、交差点b3の東西方向の信号を青にしたタイミングによって、この停車していた車両が発進して交差点b2に到着するタイミングを制御することができる。同様に、北方向の交差点a2に北から南に向かう車両があった場合、南北方向の信号を青にするタイミング制御により、交差点a2を発進した車両が交差点b2に到着するタイミングを制御することが出来る。交差点b2は感応式信号機であるため、交差点b2に到着する車両のタイミングで、青信号になるタイミングが間接的に制御される。特に、車両の流量密度が高い場合、常にどの方向へも待ち車両が存在していることが考えられるため、交差点b2に隣接する4つの交差点が協調的に制御されることにより、交差点b2の信号の切換タイミングも制御できることがわかる。
[0115]
 以上の説明では、1つのWUαに対して、隣接する4つのWUβが協調することでWUαを間接的に制御できることを示した。逆の見方をすると、一つのWUβに対して、少なくとも隣接する4つのWUαが制御の影響を受けるということである。
[0116]
 十分な車両の流量密度があるとき、ある交差点のWUβの制御を考えると、たとえばその東方向に隣接するWUαは上記説明により、WUβの東西方向の信号の切換タイミングに強い影響を受ける。そのさらにもう一つ東の交差点においてWUαが存在するとする。便宜的にこのWUαをWUα3とし、WUα3とWUβの間に存在するWUαをWUα2とする。すなわち、WUがWUβ→WUα2→WUα3の順番で西からある道路上に連なっているとする。WUβを西から東へ通過した車両群を考えると、これらの車両群は、ある速度プロファイルを持ちながらWUα3方向へ進む。ある一定の確率で右折や左折などを行い、また長距離を走ることで車両群の分散は高くなるが、ある一定量はWUα3へ到達する。そして、その到着タイミングはWUβの信号切換タイミングに相関をもつ。つまり、WUα2は上記のとおりWUβから強い影響を受けるが、同一道路上に存在するWUα3もWUα2ほどではないが、WUβから影響を受ける。また、その影響の度合いは道路の距離や、道路の車線数、あるいはWUβからのホップ数(経由するWU、すなわち交差点の数)などに依存する。一般的に、WUβからの影響の度合いは、WUβから離れるほど弱くなる。上記では西から東の方向への議論を行ったが、東から西あるいは、南北方向についても同様である。つまり、WUβの影響範囲は、隣接する交差点を2次元方向にある広がりを持って(同心円状)規定することができる。
[0117]
 ここで、ある基準を用いてWUβの影響範囲がある程度の閾値の範囲内に収まるように、2次元格子場へ分布させることを考える。ある基準とは上記のWUβの影響の度合いが、ある閾値を下回らない範囲である。たとえば図12のように、交差点a2,b1,b3,c2にWUβを配置するものとする。
[0118]
 図14は、第3の実施形態におけるWUβの構成例を示したブロック図である。第3の実施形態におけるWUβは、少なくとも交差点(処理工程に対応)3-11-3、交差点情報を取得する交差点情報取得部(工程情報取得部に対応)3-11-2、ネットワーク60によって接続された複数のWUβ3-11b、WUβ3-11cからの他交差点情報を取得し、交差点情報取得部3-11-2で取得した自交差点情報と統合する交差点情報統合部(工程情報統合部に対応)3-11-4、制御則や隣接するWUα及びWUβの固有情報を記憶する記憶部3-11-5、及び記憶部3-11-5と交差点情報統合部3-11-4からの情報をもとに交差点(信号制御ユニット)の制御を行う制御部3-11-1を少なくとも含む。
[0119]
 交差点情報とは、たとえば、自交差点に並んでいる車両の台数、その行き先情報等である。車両の台数は、たとえば各種重量センサ、超音波センサ、誘電センサなどによって検出する。行き先情報は、たとえばカメラにより待機中の車両の画像を取得し、画像処理などによって右左折専用レーンにいる車両台数や、ウィンカーの点灯有無などを取得して得ることができる。
[0120]
 また、ネットワーク60を通して取得される他交差点情報とは、たとえば他交差点の直近の信号切換タイミング情報や、他交差点に並んでいる車両の台数やその行先情報である。記憶部3-11-5において記憶される固有情報とは、他交差点から当該交差点までの距離や、そこまでの平均的な車両の速度プロファイルや車両の平均流量などである。たとえば朝や夕方など、時間帯別の繁忙時間帯あるいは閑散時間帯ごとに速度プロファイルや、平均流量情報を用意しておいてもよい。
[0121]
 制御部3-11-1は、上記記憶部3-11-5及び、交差点情報統合部3-11-4から得られた情報をもとに、交差点の制御を行う。
[0122]
 WUβの制御則はたとえば、東西方向の青信号点灯時間をτt秒、南北方向の青信号点灯時間をτh秒とし、東西方向の車両の流量をft台/分、南北方向の車両の流量をfh台/分とした時に、ある時間Toを考えた時、時間Toにおいて東西方向の信号が青になったとする。そこからτt秒間信号を青に保ち、τt秒経過後、東西方向の信号を黄色に変え、一定時間呈示後(τk秒後)、赤に変える。ある切り換えオフセット時間Toff秒後、南北方向の信号を青に変え、τh秒間青に保つ。τh秒経過後、南北方向の信号を黄色に変え、一定時間呈示後(τk秒後)、赤に変える。
[0123]
 上記の切換制御を繰り返す。ここで、WUβは内部的な時間測定装置などによりタイミング制御を行うものとする。
[数4]


[数5]


[0124]
 ここで、τの関係式を式(4)、式(5)のようにとる。Kijは適当な定数である。
[0125]
 すると、WUβが受け持つ交差点においては、南北方向と東西方向の車両の流量の比に応じて、青信号の点灯時間の比率を変化させることができる。
[0126]
 ここで、上記の制御則では、τk及びToffの定数により、赤信号と青信号の比率は、厳密には車両の流量と同一の比率とはならないが、適当な補正を行ってもよい。
[0127]
 しかしながら、上記制御則のみでは、自身の交差点の信号切換タイミングを車両の流量に応じて制御することはできるが、隣接するWUαの信号切換タイミングの制御は行うことが出来ない。
[0128]
 たとえば、今、図12の道路網において、車両の流量が、道路aが4台/分,道路bが10台/分,道路cが20台/分,道路01が5台/分,道路02が20台/分,道路03が10台/分であるとする。単純化のため車両の向きによらない流量とする(たとえば道路01において、南向きの車両の流量と北向きの車両の流量は等しいとする)。簡単のため、各交差点で車両は曲がることを考慮せず、各交差点での南北と東西の流量比は上記道路の流量比と等しいとする。
[0129]
 すると、いま注目している交差点a2,c2,b2,b1,b3の流量比は[南北:東西]と書いたとき、それぞれ[5:1],[1:1],[2:1],[1:2],[1:1]となる。交差点a2,c2,b1,b3はWUβであるとすると、それぞれの車両の流量比に保つことが出来、図17(A)のような信号切換タイミングになる。
[0130]
 ここで、WUαである交差点b2では、感応式信号機であるためそれぞれ隣接する交差点a2,c2,b1,b3の信号切換タイミングに依存して、信号が切り換わる。たとえば交差点a2の青に切り換わった瞬間に、交差点a2からb2に北方向から車両が向かってくる。ある到達オフセット時間を持って交差点b2に到着した車両は、交差点b2の南北方向の信号が赤だった場合、停止し、車両の感知信号を送り、ある切り換えオフセット時間後に交差点b2の南北方向の信号を青にする。
[0131]
 今、到達オフセット時間、切り換えオフセット時間を無視できるほど小さいとすると、図17(A)のように交差点a2の南北方向の信号が青になったタイミングに依存して、交差点b2の南北方向が青になる。同様に、交差点c2の南北方向が青になったタイミングで、交差点b2の南北方向の信号が青になる。同じく、交差点b1,b3の東西方向が青になったタイミングで、交差点b2の東西方向の信号が青になる。
[0132]
 なお、上記はオフセット時間を無視できるとしたが、無視できない場合でも、それぞれのオフセット時間後に車両が到着したり、信号が変化したりするため、定性的には同様の現象である。
[0133]
 図17(A)を見ると、交差点b2の南北方向、東西方向の車両の流量比は[2:1]であるにもかかわらず、隣接する交差点a2,c2,b1,b3の信号切換タイミングに依存して交差点b2の信号が変化するため、その青信号点灯時間比は車両の流量比と比例していない。
[0134]
 ここで、交差点a2,c2,b1,b3におけるWUβがネットワーク60でそれぞれの信号切り換えタイミング情報を共有できたとする。この場合、たとえば交差点a2,c2は南北方向が青になるタイミングが同期し、交差点b1,b3は東西方向が青信号になるタイミングが同期し、かつ、交差点a2,c2の南北方向の信号を青にするタイミングと、交差点b1,b3の東西方向を青にするタイミングを適切にずらすことで、交差点b2の点灯タイミングを交差点b2における車両の流量比に等しい[2:1]に調整することが出来る(図17(B))。実際には、各交差点間の距離や、速度プロファイルなど、各道路や交差点間に固有の情報を用いて制御を行う。また、上記制御則はある程度の車両流量があることを前提としているが、それ以下の場合はそれぞれが感応式制御で動作しても十分である。
[0135]
[動作の説明]
 図15は第3の実施形態におけるWUαの動作を説明するためのフローチャートである。図15において、ある交差点において動作を開始したWUαはまず交差点情報取得部3-10-2により自交差点の交差点情報を取得する(ステップS301)。第3の実施形態では、交差点情報は、たとえば車両感応器による車両の感知信号及びその取得した時刻である。
[0136]
 次に、制御部3-10-1は、交差点情報取得部3-10-2からの交差点情報と、記憶部(図示省略)にあらかじめ記憶している制御則から制御入力を算出する(ステップS302)。たとえば、車両を感知した時刻を制御則と照らし合わせ、今の時刻では何色の信号を灯火するかを決定する。ここでの制御則は、たとえば車両を感知した場合τ1秒待った後、車両を感知した側の信号を青にする、青にした後τ2秒後、信号を青から黄色にし、τ3秒後信号を黄色から赤にする、といった制御則であったとする。ここで、WUαは内部的な時間測定装置などにより信号切換タイミング制御を行うものとする。
[0137]
 次に制御部3-10-1によって、決定した信号の色をもとに交差点における信号の色の制御が行われる(ステップS303)。たとえば、信号機の表示処理装置(図示省略)に表示色を指示する。
[0138]
 図16は、第3の実施形態におけるWUβの動作を説明するためのフローチャートである。一般に、交差点における青信号の点灯時間は縦(たとえば南北)方向と横(たとえば東西)方向の車両の流量比に比例するように時間配分することで、その交差点における最大の流量となることが知られている。したがってWUβの制御目的は、たとえば自交差点の信号の点灯(切換)タイミングを、南北方向及び東西方向の車両の流量に比例させること、及び、他のWUαにおいても当該WUαの交差点における南北方向及び東西方向の車両の流量になるべく合わせて当該WUαの信号の点灯(切換)タイミングを制御することである。
[0139]
 図16において、WUβは動作を開始すると、まず交差点情報取得部3-11-2の動作により、自交差点の交差点情報を取得する(ステップS311)。ここでの交差点情報とは、たとえば自交差点に並んでいる車両の台数及び、その行き先情報である。車両の台数は、たとえば各種重量センサ、超音波センサ、誘電センサなどによって検出する。行き先情報は、たとえばカメラにより待機中の車両の画像を取得し、画像処理などに右左折専用レーンにいる車両台数や、ウィンカーの点灯有無などを取得して得ることができる。
[0140]
 次に、交差点情報統合部3-11-4において、他の複数のWUβからそれぞれの他交差点情報を取得する(ステップS312)。他交差点情報とは、たとえば他交差点の直近の点灯(切換)タイミング情報や、他交差点に並んでいる車両の台数やその行先情報や、統計的な車両の平均流量などである。
[0141]
 次に、交差点情報統合部3-11-4は、自交差点情報及び他交差点情報を統合する(ステップS314)。統合とはたとえば、それぞれの交差点で取得した情報を、それぞれの交差点を示す情報、たとえば交差点名などと結びつけてひとまとまりの情報とすることである。
[0142]
 第3の実施形態ではたとえば、ここで、それぞれの交差点における通行車両の流量情報を取得する。
[0143]
 次に、上記で取得した情報が記憶部3-11-5に記憶されている固有情報と統合される。記憶部3-11-5に記憶されている固有情報とは、自交差点から各隣接する交差点までの距離や、そこまでの平均的な速度プロファイルや車両の平均流量などである。なお、たとえば交差点情報統合部3-11-4によって取得された情報を必要に応じて記憶部3-11-5に記憶してもよい。このようにして、制御部3-11-1は、得られた自交差点情報及び他交差点情報と記憶部3-11-5からの記憶情報を統合する(ステップS315)。たとえば、具体的には隣接する他の交差点流量情報および、隣接する他交差点との距離や速度プロファイルなどの各種固有情報から、自交差点の方向(東西南北)毎に、見込まれる車両の平均流量を計算する。
[0144]
 制御部3-11-1は、ステップS315までに得られた周辺のWUβの情報や道路情報から、自交差点において点灯(切換)タイミングや点灯持続時間を変更する必要があるかを判断する(ステップS316)。たとえば、交差点b1、b3の同期のタイミングがずれていた場合などは、制御部3-11-1は、変更が必要と判断し制御則を変更し同期を維持する(ステップS317)。制御部3-11-1は、制御則が変更された場合、されなかった場合のいずれにおいても現在の制御則に合わせて自交差点の制御を行う(ステップ318)。
[0145]
[第3の実施形態の効果]
 第3の実施形態によれば、かかる構成及び動作を採用することにより、一部の交差点のWUβのみが周辺の情報を取得し、自交差点と連携しあうことで、近傍の単純な制御を行っている交差点のWUαも制御することが出来る。
[0146]
 なお、たとえば偏微分方程式によって、車両の流量を近似したモデルを用いて、格子上を伝わる流体として車両のフローを考えてもよい。その場合は、格子点(交差点)における信号機の制御によって周りに与える伝達関数を規定することができる。WUβの影響範囲を決める場合、その伝達関数のゲインがある一定値に収まるような範囲を求め、その範囲を超えないようにWUβを配置してもよい。周囲のWUβが協調することで、周囲の局所的な伝達関数をモニターし、そのゲインがある基準を超えた場合は、信号の点灯(切換)間隔を制御することで、それ以上ゲインが増幅されるのを防ぐ制御を行ってもよい。
[0147]
 なお、本実施形態においては2次元上においてWUβの影響範囲を求め、WUβを特定の間隔でシステム上に配置することで、一部のWUβの制御によってほかのWUαについても間接的に制御を行う発明の実施例を説明した。ここで、第1、第2の実施形態での1次元トポロジへの適用例及び第3の実施形態における2次元トポロジへの適用の議論は一般的にN次元へ拡張することが出来ることがわかる。したがって、本発明はN次元のトポロジをもつフローネットワークに関しても適用可能である。
[0148]
 以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等が可能である。
[0149]
 たとえば、本発明の実施形態では、生産設備でのフロー制御、セル生産でのフロー制御、及び交通網でのフロー制御例を挙げて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。たとえばサプライチェーンにおいては、生産工場、物流拠点、卸倉庫、小売店など、さまざまなノード、すなわちWUがそれぞれバッファを持ちながら、需要に応じて製品のフローを調整している。このとき、サプライチェーン全体は超多変数であり、各小売店や卸倉庫はすべての情報を取ることはできない。しかしながら、本発明によるフロー制御システムを用いることにより、局所的な情報をもとに、WUβに相当する特定の制御拠点、たとえば特定の卸倉庫や物流拠点のみで、制御則すなわち製品をどのぐらいの速度で小売店に流すかの調整を行うことで、直接には制御しないWUαに相当する卸倉庫や小売店にも制御の影響を及ぼし、全体の効率を上昇させることが可能である。同様に、物流業における集荷、配送フローの制御に本発明を適用しても良い。同様に、倉庫における入庫作業や、工場における組立工程、港湾における積荷の上げ下ろし、トラックの入出庫を含めたサプライチェーン管理など、さまざまな領域に本発明を適用することが可能である。
[0150]
 上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限定されない。
[0151]
(付記1)
 複数のワークユニットα(以下、WUαと略記する)と、複数のワークユニットβ(以下、WUβと略記する)が連結されたフロー制御システムであって、
 前記WUαはWU毎に独立な制御目的であるα制御目的を有するとともに、α制御目的に対する制御則であるα制御則を有し、
 前記WUβはできるだけ多くのWUαがそれぞれのα制御目的を達成することを目的とするβ制御目的を有するとともに、β制御目的に対する制御則であるβ制御則を有し、
 前記β制御則は、当該フロー制御システムの部分的な情報に基づいて動的に変更される制御則であり、
 前記WUβは当該フロー制御システムにおいて部分的に配置される、
ことを特徴とするフロー制御システム。
(付記2)
 前記WUαは少なくとも制御対象となる処理工程を含み、
 前記処理工程は少なくともバッファと速度調整可能な処理を含み、
 前記WUαは更に、自身の前記処理工程から処理工程情報を取得する工程情報取得部と、
 取得した自身の処理工程情報に基づいて前記処理工程を制御する制御部と、を含む、
ことを特徴とする付記1に記載のフロー制御システム。
(付記3)
 前記WUβは少なくとも制御対象となる処理工程を含み、
 前記処理工程は少なくともバッファと速度調整可能な処理を含み、
 前記WUβは更に、自身の前記処理工程から自身の処理工程情報を取得する工程情報取得部と、
 前記WUβの近傍の他のWUαまたは他のWUβから近傍の処理工程情報を取得し、取得した前記近傍の処理工程情報と取得した前記自身の処理工程情報を統合する工程情報統合部と、
 統合された処理工程情報に基づいて前記処理工程を制御する制御部と、を含む、
ことを特徴とする付記1又は2に記載のフロー制御システム。
(付記4)
 前記WUβは取得した前記近傍の処理工程情報の一部、またはすべて、あるいは取得した前記近傍の処理工程情報を処理することによって得られた2次的情報を、一部または複数のWUβで共有することができ、
 各WUβの制御部は共有する前記処理工程情報または前記2次的情報に基づいて制御を実行する、
ことを特徴とする付記3に記載のフロー制御システム。
(付記5)
 前記WUβの配置位置が、β制御則による制御によって、個別のWUβが当該フロー制御システムに与える影響範囲によってあらかじめ決定される、
ことを特徴とする付記1~4のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記6)
 前記WUβの配置位置が、拘束条件としてあらかじめ与えられた場合に、
 β制御則が当該フロー制御システムに与える影響範囲がシステム全体を被覆するように、β制御則を決定する、
ことを特徴とする付記1~4のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記7)
 前記β制御則の影響範囲は、当該フロー制御システムを数理モデルによって表現し、その制御の影響範囲を解析的に求める、
ことを特徴とする付記1~6のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記8)
 前記β制御則の影響範囲は、特定のWUβに特定の大きさの制御入力を入力したときに、連結するWUαの応答を測定し、所定の基準を満たす応答を示さなかったWUαの制御入力を加えたWUβから数えたWUの連結数によって定められる、
ことを特徴とする付記1~6のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記9)
 前記WUβは、WUαにWUβに必要な装置を付加することで実現する、
ことを特徴とする付記1~8のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記10)
 前記WUβの配置位置は、動的に変更することもできる、
付記1~9のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記11)
 WUα及びWUβがN次元的に連結されたシステムである、
ことを特徴とする付記1~10のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記12)
 前記複数のWUα及び前記複数のWUβが一次元的または2次元的に連結されたフロー制御システムであって、
 特定のWUαまたはWUβに隣接するWUαまたはWUβの処理により、前記特定のWUαまたはWUβが影響を受けるフロー制御システムである、
ことを特徴とする付記11に記載のフロー制御システム。
(付記13)
 前記α制御目的は、WUα自身の工程に関しての状態空間を考えた時に、状態空間内の特定の範囲に自身の状態が保持されることを目的とすることを特徴とする付記1~12のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記14)
 前記β制御目的は、システム全体の状態空間を考えた時に、状態空間内の特定の範囲にシステム全体の状態が保持されることを目的とすることを特徴とする付記1~13のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記15)
 前記β制御則の影響範囲は、システムを状態空間モデルによって表現し、その制御の影響範囲を、制御によって張られる状態空間の変化により定めることを特徴とする付記1~14のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記16)
 前記β制御則の影響範囲は、システムをペトリネットモデルによって表現し、その制御の影響範囲を、制御によってペトリネット上での到達可能なマーキング集合によって定めることを特徴とする付記1~14のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記17)
 前記β制御則の影響範囲は、システムが平衡状態にある場合に、
 特定のWUβに特定の大きさの制御入力を入力したときに、連結するWUαの持つ制御対象の平衡点からの変位の最大値が、あらかじめ決められた閾値以下に減衰する、制御入力を加えたWUβから数えたWUの連結数によって定められることを特徴とする付記1~16のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記18)
 WUα及びWUβは、生産管理制御ユニットであることを特徴とする付記1~17のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記19)
 WUα及びWUβは、セル生産制御ユニットであることを特徴とする付記1~17のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記20)
 WUα及びWUβは、交通信号制御ユニットであることを特徴とする付記1~17のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記21)
 前記WUβはα制御則及びα制御目的を持つことも可能であることを特徴とする付記1~20のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
(付記22)
 複数のワークユニットα(以下、WUαと略記する)と、複数のワークユニットβ(以下、WUβと略記する)が連結されたフロー制御システムの制御方法であって、
 前記WUαはWU毎に独立な制御目的であるα制御目的を有するとともに、α制御目的に対する制御則であるα制御則を有し、
 前記WUβは多くのWUαがそれぞれのα制御目的を達成することを目的とするβ制御目的を有するとともに、β制御目的に対する制御則であるβ制御則を有し、
 前記β制御則は、当該フロー制御システムの部分的な情報に基づいて動的に変更される制御則であり、
 前記WUβは当該フロー制御システムにおいて部分的に配置され、
 前記WUαは少なくとも制御対象となる処理工程を含み、
 前記処理工程は少なくともバッファと速度調整可能な処理を含み、
 前記WUαにおいては、
 自身の前記処理工程から処理工程情報を取得し、
 取得した自身の処理工程情報に基づいて前記処理工程の制御を実行し、
 前記WUβは少なくとも制御対象となる処理工程を含み、
 前記処理工程は少なくともバッファと速度調整可能な処理を含み、
 前記WUβにおいては、
 自身の前記処理工程から自身の処理工程情報を取得し、
 前記WUβの近傍の他のWUαまたは他のWUβから近傍の処理工程情報を取得して、取得した前記近傍の処理工程情報と取得した前記自身の処理工程情報を統合し、
 統合された処理工程情報に基づいて前記処理工程の制御を実行することを特徴とする
制御方法。
(付記23)
 前記WUβにおいて、
 取得した前記近傍の処理工程情報と取得した前記自身の処理工程情報の統合の後に、統合された処理工程情報に基づいて前記β制御則の変更が必要であるかを判定し、
 変更が必要であると判定すると、前記β制御則を変更したうえで、前記処理工程の制御を実行することを特徴とする付記22に記載の制御方法。

産業上の利用可能性

[0152]
 本発明は、複数の自律的なシステムが結合したフロー制御システム、システム全体の効率を制御する自律分散型フロー制御システム等の、フロー制御システム全般に適用可能である。

符号の説明

[0153]
 1a,1b  情報取得装置
 2a,2b  バッファ
 3a,3b  処理設備
 10a~10f  WUα
 11a~11b  WUβ
 30,60  ネットワーク
 10-1,11-1,10-51,11-51  制御部
 10-2,11-2,10-52  工程情報取得部
 10-3,11-3,10-53  処理工程
 11-4,11-52  工程情報統合部
 100  ワークライン
 200  フロー制御システム
 10-5  WUα構成部
 11-5  WUβモジュール
 11-52  インターフェース
 a, b, c, 01, 02, 03   幹線道路
 a1, a2, a3, b1, b2, b3, c1, c2, c3   交差点
 301~305  車両
 3-10  WUα
 3-10-1,3-11-1  制御部
 3-10-2,3-11-2  交差点情報取得部
 3-10-3,3-11-3  交差点
 3-11a~3-11c  WUβ
 3-11-4  交差点情報統合部
 3-11-5  記憶部


請求の範囲

[請求項1]
 複数のワークユニットα(以下、WUαと略記する)と、複数のワークユニットβ(以下、WUβと略記する)が連結されたフロー制御システムであって、
 前記WUαはWU毎に独立な制御目的であるα制御目的を有するとともに、α制御目的に対する制御則であるα制御則を有し、
 前記WUβは多くのWUαがそれぞれのα制御目的を達成することを目的とするβ制御目的を有するとともに、β制御目的に対する制御則であるβ制御則を有し、
 前記β制御則は、当該フロー制御システムの部分的な情報に基づいて動的に変更される制御則であり、
 前記WUβは当該フロー制御システムにおいて部分的に配置される、
ことを特徴とするフロー制御システム。
[請求項2]
 前記WUαは少なくとも制御対象となる処理工程を含み、
 前記処理工程は少なくともバッファと速度調整可能な処理を含み、
 前記WUαは更に、自身の前記処理工程から処理工程情報を取得する工程情報取得部と、
 取得した自身の処理工程情報に基づいて前記処理工程を制御する制御部と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のフロー制御システム。
[請求項3]
 前記WUβは少なくとも制御対象となる処理工程を含み、
 前記処理工程は少なくともバッファと速度調整可能な処理を含み、
 前記WUβは更に、自身の前記処理工程から自身の処理工程情報を取得する工程情報取得部と、
 前記WUβの近傍の他のWUαまたは他のWUβから近傍の処理工程情報を取得し、取得した前記近傍の処理工程情報と取得した前記自身の処理工程情報を統合する工程情報統合部と、
 統合された処理工程情報に基づいて前記処理工程を制御する制御部と、を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフロー制御システム。
[請求項4]
 前記WUβは取得した前記近傍の処理工程情報の一部、またはすべて、あるいは取得した前記近傍の処理工程情報を処理することによって得られた2次的情報を、一部または複数のWUβで共有することができ、
 各WUβの制御部は共有する前記処理工程情報または前記2次的情報に基づいて制御を実行する、
ことを特徴とする請求項3に記載のフロー制御システム。
[請求項5]
 前記WUβの配置位置が、β制御則による制御によって、個別のWUβが当該フロー制御システムに与える影響範囲によってあらかじめ決定される、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
[請求項6]
 前記WUβの配置位置が、拘束条件としてあらかじめ与えられた場合に、
 β制御則が当該フロー制御システムに与える影響範囲がシステム全体を被覆するように、β制御則を決定する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
[請求項7]
 前記β制御則の影響範囲は、当該フロー制御システムを数理モデルによって表現し、その制御の影響範囲を解析的に求める、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
[請求項8]
 前記β制御則の影響範囲は、特定のWUβに特定の大きさの制御入力を入力したときに、連結するWUαの応答を測定し、所定の基準を満たす応答を示さなかったWUαの制御入力を加えたWUβから数えたWUの連結数によって定められる、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
[請求項9]
 前記複数のWUα及び前記複数のWUβが一次元的または2次元的に連結されたフロー制御システムであって、
 特定のWUαまたはWUβに隣接するWUαまたはWUβの処理により、前記特定のWUαまたはWUβが影響を受けるフロー制御システムである、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のフロー制御システム。
[請求項10]
 複数のワークユニットα(以下、WUαと略記する)と、複数のワークユニットβ(以下、WUβと略記する)が連結されたフロー制御システムの制御方法であって、
 前記WUαはWU毎に独立な制御目的であるα制御目的を有するとともに、α制御目的に対する制御則であるα制御則を有し、
 前記WUβは多くのWUαがそれぞれのα制御目的を達成することを目的とするβ制御目的を有するとともに、β制御目的に対する制御則であるβ制御則を有し、
 前記β制御則は、当該フロー制御システムの部分的な情報に基づいて動的に変更される制御則であり、
 前記WUβは当該フロー制御システムにおいて部分的に配置され、
 前記WUαは少なくとも制御対象となる処理工程を含み、
 前記処理工程は少なくともバッファと速度調整可能な処理を含み、
 前記WUαにおいては、
 自身の前記処理工程から処理工程情報を取得し、
 取得した自身の処理工程情報に基づいて前記処理工程の制御を実行し、
 前記WUβは少なくとも制御対象となる処理工程を含み、
 前記処理工程は少なくともバッファと速度調整可能な処理を含み、
 前記WUβにおいては、
 自身の前記処理工程から自身の処理工程情報を取得し、
 前記WUβの近傍の他のWUαまたは他のWUβから近傍の処理工程情報を取得して、取得した前記近傍の処理工程情報と取得した前記自身の処理工程情報を統合し、
 統合された処理工程情報に基づいて前記処理工程の制御を実行する、
ことを特徴とする制御方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]