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1. (WO2018179270) 回転子及び回転電機
Document

明 細 書

発明の名称 回転子及び回転電機

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044  

符号の説明

0045  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 回転子及び回転電機

技術分野

[0001]
この発明は回転子及び回転電機に関するものである。

背景技術

[0002]
電動機の中でも誘導機は最も多く使用されており、市場においても高効率化として回転子の定常時のトルク増大が求められている。一般的に誘導機は、回転子の二次導体の抵抗(以下二次抵抗)が大きければ、始動時の電流が抑制され配電設備を損傷する可能性は低いが定常時のトルクは小さくなる。逆に二次抵抗が小さければ定常時のトルクは大きくなるが、始動時の電流が増大し配電設備を損傷する可能性がある。つまり、始動時の電流抑制と、高効率化である定常時のトルク増大がトレードオフの関係となっている。ここで、二次抵抗とは、電磁誘導により回転子に流れる電流が受ける抵抗であり、エンドリング及びスロットの形状や材質により変わる値である。
[0003]
従来技術としては、回転子の標準化及び二次抵抗増大の目的で、例えば特許文献1の以下のような技術がある。特許文献1では、回転子鉄心は回転軸に平行に、回転子鉄心の上面視において周方向に互いに離間したスロットを有している。スロットは、導体が鋳込まれるものと鋳込まれないものとが混在する。エンドリングは回転子鉄心の導体が鋳込まれるスロットの内部の導体を導通させるよう環状で上下面に固着される。また、エンドリングは、導体が鋳込まれないスロットがエンドリングの外周側になるよう迂回するための切り欠き部を有した環状である。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 実開平1―76172号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
しかしながら、特許文献1に開示されるエンドリング構造では、導体が鋳込まれないスロットがエンドリングの外周側になるよう迂回するための切り欠き部を有しているため、切り欠き部の動径方向の長さが長くなる。その結果、二次抵抗が大きくなりすぎ、定常時のトルクが小さくなる問題があった。そこで、本発明は、始動時の電流抑制と定常時の高効率化のトレードオフを改善することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
この発明にかかる回転子は、薄板が積層され、回転軸方向に貫通する複数のスロットを周方向に互いに離間して有し、回転軸を中心に回転する回転子鉄心と、回転子鉄心の回転軸方向の端部に底面が固着され、電気抵抗率がρ、絶対透磁率がμの導体からなり、回転軸を中心とした環状のエンドリングと、を備え、前記エンドリングは、エンドリングの上面視において互いに隣接する前記スロットの間の外周に切り欠き部を有し、切り欠き部は、エンドリングの外周から動径方向に(ρ/fμπ) (1/2)以下の深さを有する形状であることを特徴とするものである。ただし、fは回転子の電源周波数、πは円周率とする。

発明の効果

[0007]
本発明にかかる回転子によれば、エンドリングは、エンドリングの上面視において互いに隣接する前記スロットの間の外周に切り欠き部を有し、切り欠き部は、エンドリングの外周から動径方向に(ρ/fμπ) (1/2)以下の深さを有する形状としたので、回転子の始動時の電流抑制と定常時のトルク増大のトレードオフを改善することができる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 実施の形態1に係る回転電機の断面模式図である。
[図2] 実施の形態1に係る回転子100とシャフト101の斜視図である。
[図3] 実施の形態1に係る回転子鉄心の斜視図である。
[図4] 実施の形態1に係るエンドリングと回転子鉄心の固着方法を示す図である。
[図5] 実施の形態1に係るエンドリング及び回転子鉄心の回転軸方向から見た上面図である。
[図6] 実施の形態1の変形例に係るエンドリングの断面図である。
[図7] 実施の形態1の変形例に係るエンドリングの断面図である。
[図8] 実施の形態2に係る回転子鉄心の上面図である。
[図9] 実施の形態2に係る回転子鉄心とエンドリングの断面図である。
[図10] 実施の形態3に係る回転子鉄心の上面図である。
[図11] 実施の形態4に係る回転子鉄心とエンドリングの断面図である。
[図12] 実施の形態4に係る回転子鉄心を構成する2種類の薄板のうちの1種類である薄板の上面図である。

発明を実施するための形態

[0009]
実施の形態1.
 図1は、実施の形態1に係る回転電機の断面模式図である。回転電機1は、フレーム3の中に、回転子100、固定子2、シャフト101を備える。固定子2はフレーム3に嵌合して固着され、回転子100は回転軸AXを軸に回転するよう設置される。回転子100は、シャフト101に固着される円筒状の回転子鉄心103と、回転子鉄心103の回転軸と平行な方向Z1における両端面それぞれに環状のエンドリング102を備える。
[0010]
図2は実施の形態1に係る回転子100とシャフト101の斜視図、図3は実施の形態1に係る回転子鉄心103の斜視図である。回転子鉄心103は回転軸方向に磁性体の環状の薄板を複数積層され構成される。複数の薄板は、かしめ、溶接又は接着で相互に固定してもよいし、固定しなくてもよい。回転子鉄心103には、回転軸方向に貫通されたスロット105が周方向上に等間隔で設けられ、スロット105の内部にはアルミニウムが鋳込まれる。
[0011]
エンドリング102はスロット105の内部同様アルミニウムで構成される。また、エンドリング102は底面が回転子鉄心103のZ1方向の端面(端部)103-1,103-2それぞれにおいて、スロット105内のアルミニウムに固着されている。また、エンドリング102は、エンドリング102の外周に切り欠き部102-1を有している。なお、ここではエンドリングおよびスロット内の導体をアルミニウムとしたが、磁場を通しにくい非磁性体の性質と導体の性質を併せ持つものであれば、アルミニウム合金、銅又は銅合金といった材料でもよい。
[0012]
なお、本実施の形態では、エンドリング102の外周201とは、切り欠き部102-1を有さない場合のエンドリング102の外周(円周)を言う。
[0013]
次にエンドリング102と回転子鉄心103の固着方法を説明する。図4は、実施の形態1に係るエンドリング102と回転子鉄心103の固着方法を示す図である。回転子鉄心103の中心に芯金4を挿入し、回転子鉄心103の外周を外側から円筒状のバイス5で締め付け固定する。回転子鉄心103の薄板が固定されていない場合、またはスロット105にスキューをかける場合はこの時点で薄板を周方向に変位させて調整する。
[0014]
次に、回転子鉄心103の回転軸方向の両端面103-1、103-2には、環状のエンドリング型6を固定する。エンドリング型6は、切り欠き部102-1を備えたエンドリング102を形成するための凹凸と、アルミニウムを注入するための注入部7を備える。積層された薄板の間にアルミニウムが入り込まないよう、回転子鉄心103の回転軸方向両端部のエンドリング型6で回転子鉄心103を加圧し、注入部7からアルミニウムを注入する。スロット105とエンドリング型の溝に充填されるまでアルミニウムを注入した後、アルミニウムが固まるまで冷却し、エンドリング型6、芯金4、バイス5を取り除く。最後に、注入部7に残ったアルミニウムを削ることで、スロット105内のアルミニウムとエンドリング102が一体形成され、エンドリング102が回転子鉄心103に固着される。なお、回転子を動作させると、電流がスロット内からエンドリング102を伝達して別のスロット内に流れる。
[0015]
図5は、実施の形態1に係るエンドリング102及び回転子鉄心103の回転軸方向から見た上面図である。図5のようにエンドリング102の外周201には、スロット105とそれに隣接するスロット105の間に切り欠き部102-1がある。なお、切り欠き部102-1は、互いに隣接するスロット105間の全てに設けられる。切り欠き部102-1の深さ(すなわち、エンドリング102の外周201から切り欠き部102-1のうち最も回転軸に近い位置までの距離)をXとすると、Xの長さは以下の数式1、2で表される。
[0016]
[数1]


[0017]
[数2]


[0018]
ここで、ρはエンドリングを構成する導体の電気抵抗率、fは電源周波数、μは絶対透磁率、πは円周率である。以下、d1というときは数式2を満たす値を指す。なお、本実施の形態では、Xはスロット105の動径方向の長さより短い。
[0019]
次に、本実施の形態における回転子100の仕組みについて説明するが、始動時、定常時でそれぞれ分けて説明する。
[0020]
始動時には電流を抑える必要があるため、二次抵抗を大きくしたい。また、始動時には、スロット105内の電流はスロット105のうち外周に近い領域に集中し、エンドリング102内の電流は回転子鉄心103に接する面以外の表面に近い領域に集中するという特性(一般に表皮効果という)がある。定量的には、スロット105のうち、回転子鉄心105の外周からの距離がd1の領域、及びエンドリング102の回転子鉄心103に接する面以外の表面からの距離がd1の領域に全電流のおよそ63%が集中する。
[0021]
スロット105(例えば図5のスロット105-1)からエンドリング102に流れた電流は、別のスロット105(例えば図5のスロット105-2)に流れる。ここで、仮にエンドリング102に切り欠き部102-1が無ければ、スロット105-1から別のスロット105-2に電流がエンドリング102内を流れる経路は、図5の経路aのように、エンドリング102の外周に近い領域で円弧を描くような経路となる。本実施の形態では、エンドリング102に深さが数式1,2で示される切り欠き部102-1を設けたことで、始動時にスロット105-1から別のスロット105-2に流れる電流は、表皮効果で流れやすい経路aで流れることができず、切り欠き部102-1をエンドリング内側(回転軸に近づく側)に回り込むような経路bを通る必要がある。経路bは、経路aより抵抗が大きくなるため、始動時の電流抑制が可能となる。
[0022]
次に定常時について説明する。定常時には、始動時のような表皮効果はなく、エンドリング102を流れる電流は回転子鉄心103及びエンドリング102内を一様に通過する。また、高効率化のためにはスロットを流れる電流を増やしたい。つまり、エンドリング102の形状は、スロット105からエンドリング102に電流が流れ込みやすい形状がよい。仮に切り欠き部102-1を、エンドリング102の上面視において、スロットに重なる位置に設けた場合、スロット105からエンドリング102に電流が流れにくくなる。したがって、本実施の形態では、エンドリング102の上面視において、エンドリング102の切り欠き部102-1を、スロット105-1とそれに隣接するスロット105-2の間に設けたことで、始動時の電流抑制と、定常時のトルク増大のトレードオフの改善が可能となる。
[0023]
また、もし仮に深さXがd1より大きい場合、始動時の電流抑制の効果は見込めるが、定常時のトルクを増大させることができない。本実施の形態では、外周部の大きさを数式1,2で示される値で構成したので、始動時と定常時とのトレードオフを改善することができる。
[0024]
なお、本実施の形態では、スロット105とそれに隣接するスロット105間の全てに切り欠き部102-1を設けたが、一部のスロット105とそれに隣接するスロット105間では切り欠き部102-1がない構成としてもよい。本実施の形態のように、隣接するスロット105間の全てに切り欠き部102-1を設けると、一部のスロット105とそれに隣接するスロット105間に切り欠き部102-1がない構成よりも、始動時の二次抵抗をより増大させることができるため、始動時の電流抑制と定常時のトルク増大のトレードオフをより改善することができる。
[0025]
図6、図7は本実施の形態に係るエンドリング102の変形例である。実施の形態1では切り欠き部102-1の面がエンドリング102上面に対し垂直に設けられたが、図6は、切り欠き部102-1の深さXがエンドリング102上面に向かうにつれ深くなるテーパ状となっている。なお、深さXは数式1を満たす。
[0026]
図7のエンドリング102は、切り欠き部102-1を回転軸方向である高さ方向の上面に近い領域に有している。つまり、切り欠き部102-1は、回転軸方向の面と、回転軸に垂直な方向の面で構成される。切り欠き部102-1はエンドリング102を高さ方向に貫通していない。エンドリング102は、エンドリング102の上端面から、エンドリング102の高さより短い高さまでの領域に切り欠き部102-1を有する。エンドリング102の上端面とは、エンドリング102の高さ方向の端面のうち、回転子鉄心103に接していない面をいう。
[0027]
この場合、エンドリング102は、切り欠き部102-1の下部(回転子鉄心103に近い領域)である外周部102-2と内周部102-3で構成される。外周部102-2は、エンドリングの外周201から深さがXまでの領域であり、内周部102-3は、エンドリングの外周部102-2の内周側である。ここで、外周部102-2の高さYは、d1より小さい。始動時には、エンドリング102内の電流は、エンドリング102の回転子鉄心103に接する面以外の表面からの距離がd1の領域に集中する。このため、図6又は図7で示される変形例では、始動時に電流が通過する領域を小さくできるため、始動時の電流抑制が可能となる。一方、定常時には、エンドリング102内の電流はエンドリング102内を一様に通過する。このため、図6又は図7で示される変形例における、始動時に電流が通過しない領域ではエンドリング102を削らない構成によれば、定常時のトルク増大と、始動時の電流抑制のトレードオフの改善が可能となる。
[0028]
実施の形態2.
実施の形態1では、エンドリング102に切り欠き部102-1を備えたことで始動時の電流抑制と定常時のトルク増大のトレードオフを改善した。本実施の形態では、スロットを実施の形態1と異なる形状とし、その他は実施の形態1と同じである。本実施の形態によれば、実施の形態1の場合と比べトレードオフがさらに改善される。
[0029]
図8は、実施の形態2に係る回転子鉄心103の上面図である。本実施の形態におけるスロット302は、外周側領域302-1と内周側領域302-3とそれらを繋ぐブリッジ部302-2とを備える。外周側領域302-1は、外周側に一つの頂点を持ち、内周側に底辺を持つような略三角形で構成される。ここで、外周側領域302-1は、例えば頂点に丸みを帯びた三角形であってもよい。内周側領域302-3は、外周側の辺と内周側の辺が平行である略台形で、外周側の辺の長さは内周側の辺の長さより長い。ここで、内周側領域302-3は、例えば頂点に丸みを帯びた台形であってもよい。ブリッジ部302-2は、外周から内周に向かう方向に対し垂直となる方向の長さが、内周側領域302-2の外周側または外周側領域302-1の底辺よりも短い。
[0030]
なお、本実施の形態で、スロットの内周とは、スロットのうち回転子鉄心の動径方向内側の位置を示す。同様に、スロットの外周とは、スロットのうち回転子鉄心の動径方向外側の位置を示す。
[0031]
図9は、実施の形態2に係る回転子鉄心103とエンドリング102の断面図である。エンドリング102は実施の形態1と同様の構成のためここでの説明は省略する。回転子鉄心103の外周から内周側領域302-3の外周側までの距離d2は、回転子鉄心103の外周からブリッジ部302-2の内周側までの距離と同一であり以下の数式3で表される。
[0032]
[数3]


[0033]
次に動作について説明する。始動時には、スロット302のうち外周に近い領域に電流が集中するが、ブリッジ部302-2から漏れ磁束が発生するため、二次抵抗が大きくなる。つまり、エンドリング102に切り欠き部102-1を備えるだけでなく、スロット302を外周側領域302-1とブリッジ部302-2と内周側領域302-3とに分け、回転子鉄心103の外周から内周側領域302-3の外周までの距離d2を数式3を満たすようにしたため、実施の形態1と比べ、始動時と定常時のトレードオフをより改善することができる。
[0034]
実施の形態3.
本実施の形態では、スロットを実施の形態1と異なる形状とし、その他は実施の形態1と同じである。本実施の形態によれば、実施の形態1の場合と比べトレードオフがさらに改善される。
[0035]
図10は、実施の形態3に係る回転子鉄心の上面図である。本実施の形態のスロット105は、実施の形態2と同様の内周側領域302-3を持ち、内周側領域302-3の外周側に狭小部302-4を有している。狭小部302-4は、外周側から内周側に向かう方向すなわち動径方向が長辺で、周方向の長さが短辺の略長方形である。狭小部の短辺の長さは、内周側領域302-3の外周側の辺の長さよりも短い。回転子鉄心の外周から狭小部302-4の内周までの距離d3は以下の数式4を満たす。
[0036]
[数4]


[0037]
また、エンドリングについては、本実施の形態においても、実施の形態1と同様の切り欠き部102-1をもつ構成となっている。
[0038]
次に動作について説明する。始動時にはスロット内を通る電流は、スロット内の外周に近い領域に集中するため、狭小部302-4により電流通過面積が小さくなり始動時の電流を抑制することができる。したがって、本実施の形態によれば、始動時と定常時のトレードオフを実施の形態1と比べさらに改善できるという効果を奏する。
[0039]
実施の形態4.
実施の形態2では、スロット105を外周側領域302-1と内周側領域302-3とをブリッジ部302-2で連結した形状の薄板を積層することで、回転子鉄心103を構成した。本実施の形態は、回転子鉄心103を構成するため薄板を2種類積層する点が異なり、その他は実施の形態2と同様である。本実施の形態によれば、実施の形態2の効果に加え、実施の形態2に比べ、始動時と定常時のトレードオフをさらに改善するものである。
[0040]
図11は、実施の形態4に係る回転子鉄心103とエンドリング102の断面図である。回転子鉄心103は図11に示すように、回転軸方向Z1に薄板が積層されることで構成されるが、本実施の形態では、スロット形状の異なる2種類の薄板が交互に積層される。積層に用いられる2種類の薄板は、図8で示される実施の形態3と同様の第一のスロット形状の薄板と、図12で示される第二のスロット形状の薄板である。
[0041]
図12のスロットは、外周側領域302-1と、内周側領域302-3と、ブリッジ部302-5を備える。外周側領域302-1と内周側領域302-3は、図8の外周側領域302-1と、内周側領域302-3とそれぞれ、同じ大きさで、周方向に対し同じ間隔で、外周からの距離が同じ位置に設けられる。ブリッジ部302-5は、図8のブリッジ部302-2と動径方向に対し垂直な方向の長さは同じである。
[0042]
また、回転子鉄心103の外周からブリッジ部302-5の外周側の端までの距離は、実施の形態2におけるブリッジ部302-2と同じであるが、ブリッジ部302-5の内周側の端はブリッジ部302-2の内周側の端よりも外周側となっている。したがって、図12の薄板は、外周側領域302-1と内周側領域302-3の間をブリッジ部302-5で連結せず、ブリッジ部302-5と内周側領域302-3に間が空く(鉄心がつながっている)形状となっている。回転子鉄心103の外周から内周側領域302-3の外周側の端までの距離は図10と同様d2である。また、図11に示すように、スロットの外周側領域302-1及び内周側領域302-3はそれぞれ、回転軸方向に回転子鉄心103を貫通している。
[0043]
 動作について以下説明する。図12の薄板の場合、始動時には電流が外周側領域302-1を通る。ブリッジ部302-5と内周側領域302-3が隔離されているため、ブリッジ部302-5と内周側領域302-3の間を通る磁束が、図8のブリッジ部302-2での漏れ磁束よりも増加する。したがって、始動時に回転子鉄心103を流れる電流を抑えることができる。ここで、もし仮に、図12の薄板のみで回転子鉄心103を構成すれば、定常時にも磁束がブリッジ部302-5と内周側領域302-3の間を通ることで回転子鉄心103を通る電流が減少し、定常時のトルク増大が図れない。そこで、図10の薄板と図12の薄板を交互に積層することで、実施の形態2と比べ始動時と定常時のトレードオフをさらに改善することができる。
[0044]
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。

符号の説明

[0045]
AX 回転軸、102 エンドリング、103 回転子鉄心、102-1 切り欠き部、105 スロット、102-2 外周部、102-3 内周部、302-1 外周側領域、302-2、302-5 ブリッジ部、302-3 内周側領域、302-4 狭小部。

請求の範囲

[請求項1]
薄板が積層され、回転軸方向に貫通する複数のスロットを周方向に互いに離間して有し、前記回転軸を中心に回転する回転子鉄心と、
前記回転子鉄心の回転軸方向の端部に底面が固着され、電気抵抗率がρ、絶対透磁率がμの導体からなり、前記回転軸を中心とした環状のエンドリングと、
を備え、
前記エンドリングは、前記エンドリングの上面視において互いに隣接する前記スロットの間の外周に切り欠き部を有し、
前記切り欠き部は、電源周波数をf、円周率をπとして、前記エンドリングの外周から動径方向に(ρ/fμπ) (1/2)以下の深さを有する形状であること
を特徴とする回転子。
[請求項2]
前記切り欠き部は、互いに隣接する前記スロット間全てに設けられることを特徴とする請求項1に記載の回転子。
[請求項3]
前記エンドリングは、外周側に外周部、内周側に内周部を有し、前記外周部の動径方向の長さは、前記切り欠き部の動径方向の深さに等しく、前記外周部の回転軸方向の高さは、(ρ/fμπ) (1/2)以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の回転子。
[請求項4]
前記薄板は第一の外周側領域と、第一の内周側領域と、前記第一の外周側領域と前記第一の内周側領域を繋ぐブリッジ部を含む第一のスロット形状のスロットを有し、
前記第一の外周側領域は、外周側に一つの頂点を有し、内周側に底辺を有するような三角形で、
前記ブリッジ部は動径方向に対し垂直となる方向の長さが、前記底辺よりも短く、
前記薄板の外周から前記ブリッジ部の内周までの長さは前記切り欠き部の深さ以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回転子。
[請求項5]
前記スロットは、狭小部と、前記狭小部の内周側に前記狭小部と接する内周側領域を備え、
前記狭小部の内周における周方向の長さは、前記内周側領域の外周における周方向の長さよりも短く、
前記回転子鉄心の外周から前記狭小部の内周までの長さが前記切り欠き部の深さ以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回転子。
[請求項6]
 複数の前記薄板は前記第一のスロット形状を備える第一の薄板と、第二のスロット形状を備える第二の薄板を有し、
前記第二のスロット形状は、第二の外周側領域と、第二の内周側領域を備え、前記第二の外周側領域と前記第二の内周側領域の間が連結されておらず、
前記第二の外周側領域は前記第一の外周側領域と同じ形状であり、
前記第二の内周側領域は前記第一の外周側領域と同じ形状であることを特徴とする請求項4に記載の回転子。
[請求項7]
 請求項1から6のいずれか一項に記載の回転子を備えた回転電機。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]