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1. (WO2018179255) 磁性体検知装置、磁性体検知機能をコンピュータに実現させる為のプログラム、及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
Document

明 細 書

発明の名称 磁性体検知装置、磁性体検知機能をコンピュータに実現させる為のプログラム、及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021  

図面の簡単な説明

0022  

発明を実施するための形態

0023   0024  

実施例

0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069  

符号の説明

0070  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 磁性体検知装置、磁性体検知機能をコンピュータに実現させる為のプログラム、及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

技術分野

[0001]
 本発明は、二つの磁気センサの各出力値を用いて磁性体を検知する技術に関するものである。

背景技術

[0002]
 少なくとも二つの磁気センサと、前記磁気センサの各出力値を用いて磁性体を検知する技術が良く知られている。例えば、特許文献1,2に記載された技術がそれである。特許文献1には、被検出体の移動経路を挟むように二つの磁気センサを設置し、磁気雑音に対する出力信号が最小になるように磁気センサからの信号を演算し、演算結果に基づいて被検出体が磁性体であるか否かを判定する磁性体検出装置が開示されている。又、特許文献2には、筐体と、筐体内に設けられた、検知用センサ及び地磁気成分の補償用センサの二つの磁気センサと、筐体内に設けられた、磁気センサの位置を検出する位置検出部とを備えて、磁気センサの位置データと磁気センサの磁気データとを対応付けて、筐体外に設けられたデータ処理装置へ出力する携帯型磁気検知器が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2003-294704号公報
特許文献2 : 特開2016-130711号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 ところで、特許文献1に示されるように、二つの磁気センサの各出力値を用いることで環境磁界を考慮した磁性体の検知が可能となる。しかしながら、二つの磁気センサの各出力値に個体ばらつきがあったりすると、二つの磁気センサの各出力値の差分は磁性体が存在しなくてもゼロにはならない。その為、二つの磁気センサの各出力値そのものを用いて磁性体を検知する場合、磁性体の検知精度が低下する(例えば小さな磁性体の検知が困難となる)おそれがある。
[0005]
 本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、二つの磁気センサの各出力値を用いて磁性体を検知する際に、磁性体の検知精度を向上することができる、磁性体検知装置、及び磁性体検知機能をコンピュータに実現させる為のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0006]
 第1の発明の要旨とするところは、(a)少なくとも二つの磁気センサと、前記磁気センサの各出力値を用いて磁性体を検知する制御装置とを備えた磁性体検知装置であって、(b)前記磁気センサは、相互の間隔が所定距離とされていると共に、相互の間の空間外に被験体が位置するように配置されており、(c)前記制御装置は、前記被験体と前記磁気センサとの相対位置が変化することによる前記二つの磁気センサの各出力値の時間変化量を用いて前記磁性体を検知することにある。
[0007]
 また、第2の発明は、前記第1の発明に記載の磁性体検知装置において、前記磁気センサは、感磁方向が一方向であるベクトル型磁気センサであると共に、前記感磁方向が同一となる二つの磁気センサを含んでおり、前記制御装置は、前記感磁方向が同一となる二つの磁気センサの各出力値の時間変化量を用いて前記磁性体を検知することにある。
[0008]
 また、第3の発明は、前記第1の発明又は第2の発明に記載の磁性体検知装置において、前記制御装置は、前記二つの磁気センサの各出力値の時間変化量の差分を用いて前記磁性体を検知することにある。
[0009]
 また、第4の発明は、前記第1の発明から第3の発明の何れか1つに記載の磁性体検知装置において、前記制御装置は、前記磁性体を検知した場合には、最新の前記磁気センサの出力値から、前記磁性体を最初に検知した直前に取得した前記磁気センサの出力値を減算した、前記二つの磁気センサにおける前記直前からの各出力値変化量を用いて、前記磁性体と前記磁気センサとの間の距離、及び前記磁性体の磁気モーメントの強さを算出することにある。
[0010]
 また、第5の発明は、前記第4の発明に記載の磁性体検知装置において、前記制御装置は、前記磁性体を検知した場合には、前記出力値変化量が前記出力値変化量の最大値に対して所定割合未満となったか否かに基づいて、前記検知した磁性体が前記磁気センサから遠ざかったか否かを判定することにある。
[0011]
 また、第6の発明は、前記第1の発明から第3の発明の何れか1つに記載の磁性体検知装置において、前記制御装置は、前記磁性体を検知した場合には、磁性体検知モードを成立させるものであり、前記制御装置は、前記磁性体検知モードの成立時に、最新の前記磁気センサの出力値から、前記磁性体を最初に検知した直前に取得した前記磁気センサの出力値を減算した、前記磁気センサにおける前記直前からの出力値変化量が前記出力値変化量の最大値に対して所定割合未満となった場合には、前記磁性体検知モードを解除することにある。
[0012]
 また、第7の発明の要旨とするところは、(a)少なくとも二つの磁気センサの各出力値を用いて磁性体を検知する磁性体検知機能をコンピュータに実現させる為のプログラムであって、(b)前記磁性体検知機能は、相互の間隔が所定距離とされていると共に相互の間の空間外に被験体が位置するように配置されている前記磁気センサと、前記被験体との相対位置が変化することによる前記二つの磁気センサの各出力値の時間変化量を用いて前記磁性体を検知することにある。
[0013]
 また、第8の発明の要旨とするところは、(a)少なくとも二つの磁気センサの各出力値を用いて磁性体を検知する磁性体検知機能をコンピュータに実現させる為のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、(b)前記磁性体検知機能は、相互の間隔が所定距離とされていると共に相互の間の空間外に被験体が位置するように配置されている前記磁気センサと、前記被験体との相対位置が変化することによる前記二つの磁気センサの各出力値の時間変化量を用いて前記磁性体を検知することにある。

発明の効果

[0014]
 前記第1の発明によれば、相互の間隔が所定距離とされていると共に相互の間の空間外に被験体が位置するように配置されている磁気センサと、被験体との相対位置が変化することによる二つの磁気センサの各出力値の時間変化量を用いて磁性体が検知されるので、磁気センサが被る地磁気の変化の影響をできるだけ排除して磁性体を検知することができる。具体的には、磁性体が磁気センサの近くにないような環境磁界中であれば、二つの磁気センサの各出力値の時間変化量は略同じ値となる一方で、磁気センサが磁性体に近づくような場面では、その時間変化量の絶対値は磁性体に近い磁気センサの方が磁性体に遠い磁気センサの方よりも大きくなる。このような現象を利用することで、磁気センサが被る地磁気の変化の影響をできるだけ排除して磁性体を検知することができる。よって、二つの磁気センサの各出力値を用いて磁性体を検知する際に、磁性体の検知精度を向上することができる。
[0015]
 また、前記第2の発明によれば、感磁方向が同一となる二つのベクトル型磁気センサの各出力値の時間変化量を用いて磁性体が検知されるので、磁性体を適切に検知することができる。
[0016]
 また、前記第3の発明によれば、二つの磁気センサの各出力値の時間変化量の差分を用いて磁性体が検知されるので、前述したような現象を利用することで、磁気センサが被る地磁気の変化の影響をできるだけ排除して磁性体を検知することができる。
[0017]
 また、前記第4の発明によれば、磁性体を検知した場合には、最新の磁気センサの出力値から、磁性体を最初に検知した直前に取得した磁気センサの出力値を減算した、二つの磁気センサにおける直前からの各出力値変化量を用いて、磁性体と磁気センサとの間の距離、及び磁性体の磁気モーメントの強さが算出されるので、磁性体の検知時には、磁性体と磁気センサとの相対位置の変化がなくても(つまり磁気センサの各出力値の時間変化量がゼロであっても)、磁性体と磁気センサとの間の距離、及び磁性体の磁気モーメントの強さを算出することができる。この際、磁性体の検知直前の専ら磁気センサが被る地磁気による磁気センサの出力値が減算された各出力値変化量を用いることで、磁気センサが被る地磁気の影響をできるだけ排除することができる。
[0018]
 また、前記第5の発明によれば、磁性体を検知した場合には、磁気センサにおける直前からの出力値変化量がその出力値変化量の最大値に対して所定割合未満となったか否かに基づいて、検知した磁性体が磁気センサから遠ざかったか否かが判定されるので、磁性体の検知後に磁性体と磁気センサとが離れたことが適切に判断される。
[0019]
 また、前記第6の発明によれば、磁性体が検知された場合には磁性体検知モードが成立させられ、又、磁性体検知モードの成立時に、磁気センサにおける直前からの出力値変化量がその出力値変化量の最大値に対して所定割合未満となった場合には、磁性体検知モードが解除されるので、磁性体検知モードの成立後にその磁性体検知モードを適切に解除することができる。
[0020]
 また、前記第7の発明によれば、相互の間隔が所定距離とされていると共に相互の間の空間外に被験体が位置するように配置されている磁気センサと、被験体との相対位置が変化することによる二つの磁気センサの各出力値の時間変化量を用いて磁性体が検知されるので、前述したような現象を利用することで、磁気センサが被る地磁気の変化の影響をできるだけ排除して磁性体を検知することができる。よって、二つの磁気センサの各出力値を用いて磁性体を検知する際に、磁性体の検知精度を向上することができる。
[0021]
 また、前記第8の発明によれば、相互の間隔が所定距離とされていると共に相互の間の空間外に被験体が位置するように配置されている磁気センサと、被験体との相対位置が変化することによる二つの磁気センサの各出力値の時間変化量を用いて磁性体が検知されるので、前述したような現象を利用することで、磁気センサが被る地磁気の変化の影響をできるだけ排除して磁性体を検知することができる。よって、二つの磁気センサの各出力値を用いて磁性体を検知する際に、磁性体の検知精度を向上することができる。

図面の簡単な説明

[0022]
[図1] 本発明が適用される磁性体検知装置の一例を示す外観図である。
[図2] 図1に示した磁性体検知装置のA視外観図である。
[図3] 図1に示した磁性体検知装置のB視外観図である。
[図4] 図3に示したB視外観図におけるC-C断面図である。
[図5] 図4に示したC-C断面図におけるD-D断面図である。
[図6] 図1に示した磁性体検知装置が備える各部相互の電気的な接続関係を示すブロック図である。
[図7] 操作者による磁性体検知装置の使用例を示す図である。
[図8] 制御装置の入出力系統を示す図であり、又、制御装置による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
[図9] 磁性体の信号の強さをディスプレイに表示するときの一例を示す図である。
[図10] 磁性体の磁気モーメントの強さ、及び磁性体までの距離をディスプレイに表示するときの一例を示す図である。
[図11] 制御装置の制御作動の要部すなわち二つの磁気センサの各出力値を用いて磁性体を検知する際に磁性体の検知精度を向上する為の制御作動を説明するフローチャートである。
[図12] 本発明が適用される、磁性体検知機能をコンピュータに実現させる為のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の一例を説明する図である。

発明を実施するための形態

[0023]
 本発明の実施形態において、前記第1の発明、前記第7の発明、及び前記第8の発明は、実質的には同じ機能を有する発明である。従って、前記第7の発明及び前記第8の発明においても、前記第1の発明と同様に、前記第2の発明-前記第6の発明に記載された構成要件で特定される発明(態様)にて具現化される。
[0024]
 以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
実施例
[0025]
 図1は、本発明が適用される磁性体検知装置10の一例を示す外観図である。図2は、図1に示した磁性体検知装置10のA視外観図である。図3は、図1に示した磁性体検知装置10のB視外観図である。図4は、図3に示したB視外観図におけるC-C断面図である。図5は、図4に示したC-C断面図におけるD-D断面図である。図6は、磁性体検知装置10が備える各部相互の電気的な接続関係を示すブロック図である。
[0026]
 図1-図6において、磁性体検知装置10は、筐体12と、筐体12の内部に配設された、測定用センサ部14、参照用センサ部16、処理基盤18、充電モジュール20、二次電池22、及びブザー24と、筐体12に設けられた、充電用ジャック26、電源スイッチ28、ボリューム調整スイッチ30、検知実行スイッチ32、及びディスプレイ34とを備えている。
[0027]
 筐体12は、操作者が磁性体検知装置10を持ちやすいように、グリップ部36を備えている。操作者は、例えば図7に示すように、グリップ部36を握ることで磁性体検知装置10を持ち、磁性体検知装置10を被験体38の表面に近づけて動かすことで磁性体40の有無を検知する。このように、磁性体検知装置10は、手で持てるサイズの(ハンドヘルドの)磁性体検知装置である。磁性体検知装置10は、測定用センサ部14及び参照用センサ部16の外部空間の全周が磁性体40の検知範囲であるが、図7に示すような使い方では、グリップ部36の反対側の空間に被験体38を位置させることになる。このようなことから、被験体38との距離が近くなるセンサ部を測定用センサ部14と称し、遠くなるセンサ部を参照用センサ部16と称して、二つのセンサ部を区別している。
[0028]
 測定用センサ部14及び参照用センサ部16は、各々、感磁方向が相互に直交する二つのセンサを有する二軸センサ(二次元センサともいう)である。本実施例では、相互に直交する感磁方向の一方をx方向とし、他方をy方向とする。測定用センサ部14は、感磁方向がx方向である第1磁気センサ14xと、感磁方向がy方向である第2磁気センサ14yとを有している。参照用センサ部16は、感磁方向が第1磁気センサ14xと同じx方向である第3磁気センサ16xと、感磁方向が第2磁気センサ14yと同じy方向である第4磁気センサ16yとを有している。第1-第4磁気センサ14x,14y,16x,16yは、何れも、感磁方向が一方向であるベクトル型磁気センサであり、例えば磁気インピーダンスセンサ(MIセンサ)である。このように、磁性体検知装置10は、第1磁気センサ14xと第3磁気センサ16xとでの一組、及び第2磁気センサ14yと第4磁気センサ16yとでの一組のように、感磁方向が同一となる二つの磁気センサの組を二組備えている。上記一組における二つの磁気センサは、相互の間隔が所定距離pとされていると共に、相互の間の空間外に被験体38が位置するように配置されている(図7参照)。従って、磁性体検知装置10では、上記一組における二つの磁気センサの相互の間の空間に被験体38を通過させることで磁性体40の有無を検知するものではない。よって、磁性体検知装置10を小型化することが可能である。磁性体検知装置10では、上記一組における二つの磁気センサの各々と被験体38との距離を異ならせることを利用して磁性体40の有無を検知する。上記所定距離pは、例えば磁性体40の有無を適切に検知することかできるように予め実験的に或いは設計的に求められた(すなわち予め定められた)二つの磁気センサ間の距離である。
[0029]
 処理基盤18は、制御装置50、駆動/検波回路60、電源回路62、及び残量監視回路64を備えている。制御装置50は駆動/検波回路60と接続されており、又、駆動/検波回路60は第1-第4磁気センサ14x,14y,16x,16yの各々と接続されている。制御装置50は、駆動/検波回路60により測定用センサ部14及び参照用センサ部16を駆動させて、駆動/検波回路60を介して第1-第4磁気センサ14x,14y,16x,16yから出力される各電気信号の処理後の各出力信号Soutを取得し、各出力信号Soutに応じた値(出力値Q kjともいう)を用いて磁性体40の有無を検知する。出力信号Soutは出力電圧として検出される。出力値Q kjは、例えば各出力信号Soutに応じたセンサ部14,16の位置における各磁気量(磁荷)、磁束などであるが、出力電圧そのものでも良い。出力値Q kjにおいて、Qは測定用センサ部14であればMであり、参照用センサ部16であればRである。又、kはx方向であればxであり、y方向であればyである。jは取得した出力値Q kjのデータを時系列で並べたときの順番を自然数で表す数値であり、最新のデータでは「j=1」であり、古いデータ程数値が大きくなる。出力値Q kjは、第1磁気センサ14xではM xjであり、第2磁気センサ14yではM yjであり、第3磁気センサ16xではR xjであり、第4磁気センサ16yではR yjである。
[0030]
 又、制御装置50は電源回路62及び残量監視回路64と接続されており、又、電源回路62及び残量監視回路64は充電モジュール20と接続されいる。充電モジュール20は、充電用ジャック26に接続された充電回路66と、二次電池22に接続された保護回路68とを備えている。制御装置50は、電源回路62などにより、二次電池22の電力を用いて磁性体検知装置10を作動させたり、又は、充電用ジャック26に接続される外部のACアダプタ70を介して家庭用電源などの外部の商用電源等からの電力を用いて磁性体検知装置10を作動させる。又、制御装置50は、電源回路62などにより、充電用ジャック26に接続されるACアダプタ70を介して商用電源等からの電力を用いて二次電池22を充電させる。二次電池22は、例えばリチウム電池である。
[0031]
 又、制御装置50は、ブザー24、電源スイッチ28、ボリューム調整スイッチ30、検知実行スイッチ32、及びディスプレイ34と各々接続されている。ブザー24は、磁性体40を検知したことを知らせる為の音を出す装置である。電源スイッチ28は、磁性体検知装置10の主電源のオンとオフとを切り替える為に操作される操作部材である。ボリューム調整スイッチ30は、ブザー24が出す音の強弱を調整する為の操作部材である。検知実行スイッチ32は、磁性体検知装置10による磁性体40の検知を実行する為の操作部材である。ディスプレイ34は、グリップ部36の近傍に設けられており、出力値Q kjの大きさ、磁性体40と磁気センサ(特には測定用センサ部14)との間の距離、磁性体40の磁気モーメントの強さなどを表示する為の表示器である。
[0032]
 図8は、制御装置50の入出力系統を示す図であり、又、制御装置50による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。制御装置50は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されたコントローラである。CPUは、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより磁性体検知装置10の各種制御を実行する。
[0033]
 図8において、制御装置50は、磁性体検知装置10における各種制御を実現する為に、磁性体検知手段すなわち磁性体検知部52、記憶手段すなわち記憶部54、及び出力制御手段すなわち出力制御部56を備えている。
[0034]
 磁性体検知部52は、操作者によって検知実行スイッチ32がオン状態に操作されているときには、磁性体40の検知を実行する(図7参照)。以下に、磁性体検知部52による磁性体40の検知について詳細に説明する。
[0035]
 磁性体検知部52は、測定用センサ部14及び参照用センサ部16を駆動させる為のセンサ駆動パルス信号Splsを駆動/検波回路60へ出力する。磁性体検知部52は、測定用センサ部14及び参照用センサ部16の駆動と、第1-第4磁気センサ14x,14y,16x,16yから出力される各電気信号の取得とを切り替える為の切替制御信号Ssftを駆動/検波回路60へ出力する。磁性体検知部52は、第1-第4磁気センサ14x,14y,16x,16yの各々から出力される各電気信号に基づく各出力信号Soutを駆動/検波回路60から取得する。磁性体検知部52は、第1-第4磁気センサ14x,14y,16x,16yの各出力信号Soutを所定時間t毎に時間平均し、時間平均した後の各出力信号Soutに応じた値(出力値Q kj)を時系列配列で記憶部54に格納する。上記所定時間tは、例えば出力値Q kjのデータとして用いることが適切なものとなるように予め定められた時間である。
[0036]
 磁性体検知部52は、測定用センサ部14及び参照用センサ部16における各磁気量の絶対値成分を計算し、その各磁気量の絶対値成分も時系列配列で記憶部54に格納する。従って、出力値Q kjにおいて、kは磁界ベクトル成分に対応する「x」,「y」に加えて、絶対値成分((Q xj +Q yj )の正の平方根に相当)に対応する「a」を含んでいる。つまり、出力値Q kjは、前述した、M xj,M yj,R xj,R yjに加えて、測定用センサ部14におけるM ajと、参照用センサ部16におけるR ajとを含んでいる。
[0037]
 磁性体検知部52は、予め定められた次式(1)に、測定用センサ部14及び参照用センサ部16における各出力値Q kjの磁界ベクトル成分(Q xj、Q yj)と絶対値成分(Q aj)との最新のデータからmax 個のデータを適用して、各出力値Q kjの回帰直線の傾きである時間微分値(時間変化量、時間変化の傾きも同意)A Qkを算出する。時間変化量A Qkは、被験体38と磁気センサ(測定用センサ部14、参照用センサ部16)との相対位置が変化することによって生じる。本実施例では、時間変化量A Qkとして、A Mx,A My,A Ma,A Rx,A Ry,A Raの6個が算出される。例えば、時間変化量A Rxは、参照用センサ部16のx方向成分(すなわち第3磁気センサ16xの出力値R xj)の時間変化量である。上記max は、磁性体40の検知の応答性を考慮して予め定められた固定値を用いれば良いが、出力値Q kjの変動に応じて変化させても良いし、又は、磁性体検知装置10の操作速度に応じて変化させても良い。例えば、磁性体検知装置10が素早く操作されている場合にはmax は大きい値が適正である一方で、磁性体検知装置10がゆっくりと操作されている場合にはmax は小さい値が適正である。
[0038]
[数1]


[0039]
 ここで、磁性体40が磁気センサ(測定用センサ部14、参照用センサ部16)の近くにないような環境磁界中であれば、二つの磁気センサの各出力値Q kj(M kj、R kj)の時間変化量A Qk(A Mk、A Rk)は略同じ値となる。一方で、磁気センサが磁性体40に近づくような場面では、時間変化量A Qkの絶対値は磁性体40に近い測定用センサ部14の方が磁性体40に遠い参照用センサ部16の方よりも大きくなる。本実施例では、このような現象を利用することで、磁気センサが被る地磁気の変化の影響をできるだけ排除して磁性体40を検知する。つまり、制御装置50は、二つの磁気センサ(測定用センサ部14、参照用センサ部16)の各出力値Q kj(M kj、R kj)の時間変化量A Qk(A Mk、A Rk)を用いて磁性体40を検知する。特には、本実施例の磁気センサはベクトル型磁気センサであるので、制御装置50は、感磁方向が同一となる二つの磁気センサの各出力値の時間変化量である、時間変化量A Mxと時間変化量A Rxとを用いて、又、時間変化量A Myと時間変化量A Ryとを用いて、又、時間変化量A Maと時間変化量A Raとを用いて、磁性体40を検知する。
[0040]
 具体的には、磁性体検知部52は、算出した測定用センサ部14における時間変化量A Mkと、算出した参照用センサ部16における時間変化量A Rkとの差分である評価値B (=A Mk-A Rk)を算出する。磁性体検知部52は、評価値B の絶対値が閾値THbkを超えるか否かに基づいて磁性体40の有無を検知する。つまり、磁性体検知部52は、評価値B (すなわちB ,B ,B )の絶対値の何れかが閾値THbk(すなわち評価値B の各々に対してそれぞれ設定された閾値THbkx,閾値THbky,閾値THbka)を超えるか否かに基づいて磁性体40の有無を検知する。磁性体検知部52は、評価値B の絶対値が閾値THbkを超えた場合には、磁性体40が有ると判断する(すなわち磁性体40を検知したと判断する)。上記閾値THbkは、例えば磁性体40が存在すると判断できる為の予め定められた評価値B の下限値である。このように、制御装置50は、二つの磁気センサの各出力値の時間変化量の差分である評価値B を用いて磁性体40を検知する。
[0041]
 磁性体検知部52は、磁性体40を検知した場合には、磁性体検知モードを成立させる。又、磁性体検知部52は、磁性体40を検知した場合には、ブザー24から音を出す指令を出力制御部56へ出力する。出力制御部56は、ボリューム調整スイッチ30にて設定された音量にて音を出す為の音声信号Sbzrをブザー24へ出力する。又、磁性体検知部52は、磁性体40を検知した場合には、ディスプレイ34に磁性体40の検知の状況を表示する指令を出力制御部56へ出力する。出力制御部56は、磁性体40の検知の状況を表示する為の表示信号Sdpyをディスプレイ34へ出力する。上記磁性体40検知の状況は、例えば出力値Q kjの大きさ、磁性体40と測定用センサ部14との間の距離、磁性体40の磁気モーメントの強さなどである。
[0042]
 ところで、磁性体40の有無の判断に用いた時間変化量A Qkは、仮に磁性体40の近くに磁性体検知装置10があったとしても、操作者が磁性体検知装置10を動かさなければゼロとなってしまう。その為、時間変化量A Qkを用いることでは、磁性体40と測定用センサ部14との間の距離、及び磁性体40の磁気モーメントの強さを算出することはできない。一方で、出力値Q kjを用いること(例えば出力値M kjと出力値R kjとの差分を用いること)も考えられる。しかしながら、測定用センサ部14や参照用センサ部16の個体ばらつきがあったり、又は、環境磁界そのものが分布をもっていたりすると、上記差分は磁性体40が存在しなくてもゼロにはならない。その為、上記差分そのものを用いることでは、算出精度が低下するおそれがある。
[0043]
 そこで、本実施例では、最新の出力値Q k1を、磁性体40が有ると判断した直前の出力値Q kjを用いてセルフリセットし、磁性体40の磁気モーメントの強さなどを算出する。つまり、磁性体40が有ると判断した直前の出力値Q kjを専ら磁気センサが被る地磁気によるものであるとみなし、地磁気の影響をできるだけ排除する為に、磁性体40の検知後の最新の出力値Q k1からその直前の出力値Q kjを減算した出力値変化量Q (セルフリセット値Q ともいう)を用いて、磁性体40の磁気モーメントの強さなどを算出する。すなわち、制御装置50は、磁性体40を検知した場合には、最新の出力値Q k1から、磁性体40を最初に検知した直前に取得した出力値Q kjを減算した、二つの磁気センサにおける直前からの各出力値変化量としてのセルフリセット値Q を用いて、磁性体40と測定用センサ部14との間の距離、及び磁性体40の磁気モーメントの強さを算出する。又、磁性体40検知の状況としてディスプレイ34に表示する出力値Q kjの大きさについては、地磁気の影響ができるだけ排除されたセルフリセット値Q を用いることが適切である。特に、本実施例では、セルフリセット値Q のうちでセルフリセット値M を用いる。
[0044]
 具体的には、磁性体40を検知したと判断したときには、出力値Q kjにおける最新のデータからmax 個のデータが用いられている。その為、検知直前の出力値Q kjとしては、(max +1)個目からのデータを用いる。例えば、磁性体検知部52は、予め定められた次式(2)に示すように、検知直前の出力値Q kjとして、各出力値Q kjの時系列データの(max +1)個目からn個分のデータの平均値(過去平均値Average(Q )という)を用いる。上記nは、例えば検知直前の出力値Q kjのノイズを除去するように平均化する為に十分である個数として予め定められた値であり、max と同等程度であっても良い。磁性体検知部52は、最初に磁性体検知モードを成立させたときの一度だけ過去平均値Average(Q )を算出し、その磁性体検知モードの継続中には、その過去平均値Average(Q )を更新せずにそのまま用いる。その為、磁性体検知部52は、磁性体検知モードを成立させた最初であるか否かを判定し、磁性体検知モードを成立させた最初であると判定した場合には、次式(2)を用いて過去平均値Average(Q )を算出する。磁性体検知部52は、磁性体検知モードの成立中には、最新の出力値Q k1から過去平均値Average(Q )を減算することでセルフリセット値Q (=Q k1-Average(Q ))を算出する。本実施例では、セルフリセット値Q として、M ,M ,M ,R ,R ,R の6個が算出される。
[0045]
[数2]


[0046]
 セルフリセット値Q (本実施例では絶対値成分に対応するQ を用いる)を1つの磁気双極子(磁気モーメント)が作る磁場とみなして、次式(3)の一般式を用いて磁気モーメントを近似する。次式(3)において、b はz方向(本実施例では、磁性体検知装置10と磁性体40との距離方向)に配置した磁気センサのi番目の出力であり、M は最も磁性体40と近接した磁気センサと磁性体40との距離であり、k を吸収したmは磁気モーメントの強さに比例した値であり、Δzは磁気センサ間の間隔である。磁性体検知装置10における各数値を次式(3)に当てはめると、次式(4)及び次式(5)に示す関係式が成立する。本実施例では、次式(3)における「i」は1であり、「Δz」はp(つまり前記所定距離p)である。次式(4)及び次式(5)に示す連立方程式を解くと、次式(6)及び次式(7)に示す関係式が導かれる。磁性体検知部52は、次式(6)及び次式(7)に示す関係式を用いて、距離M と、磁気モーメントの強さに比例した値mとを算出する。距離M は、磁性体40と測定用センサ部14との間の距離に相当する。又、値mは、磁性体40の磁気モーメントの強さに相当する。但し、値mについては、磁気モーメント量に比例する値であり、絶対値ではない。その為、ディスプレイ34への表示では、絶対値としての表示ではなく、磁気モーメントの強さを段階的に示すようなレベル値での表示が好適である。
[0047]
[数3]


[0048]
 磁性体検知部52は、磁性体40検知時に、磁性体40の信号の強さ(例えば測定用センサ部14の位置における磁気量の大きさ)としてのセルフリセット値M をディスプレイ34に表示する指令を出力制御部56へ出力する。出力制御部56は、例えば図9に示すように、セルフリセット値M をバーグラフに対応付けて表示する為の表示信号Sdpyをディスプレイ34へ出力する。又、磁性体検知部52は、磁性体40検知時に、磁性体40の磁気モーメントの強さとしての値m、及び磁性体40と測定用センサ部14との間の距離としての距離M をディスプレイ34に表示する指令を出力制御部56へ出力する。出力制御部56は、例えば図10に示すように、値mに応じたレベル値(図10中の「LV1」参照)、及び距離M を示す数値(図10中の「100mm」参照)を表示する為の表示信号Sdpyをディスプレイ34へ出力する。磁性体40検知時には、例えば図9に示すような表示と図10に示すような表示とを所定間隔で交互に表示しても良いし、又は、検知実行スイッチ32がオン状態に操作されているときには図9に示すような表示を行う一方で、検知実行スイッチ32がオフ状態であるときには図10に示すような表示を行っても良い。
[0049]
 次に、磁性体40の検知後に、磁性体40から磁性体検知装置10が離れたこと(つまり磁性体検知装置10の近くに磁性体40がないこと)を判断する方法について説明する。
[0050]
 制御装置50は、磁性体40を検知した場合には、セルフリセット値Q がそのセルフリセット値Q の最大値(セルフリセット最大値MAX Qkともいう)に対して所定割合Th未満となったか否かに基づいて、検知した磁性体40が磁気センサから遠ざかったか否かを判定する。制御装置50は、磁性体検知モードの成立時に、セルフリセット値Q がセルフリセット最大値MAX Qkに対して所定割合Th未満となった場合には、磁性体検知モードを解除する。上記所定割合Thは、例えば磁性体40が磁気センサから離れたと判断する為の予め定められた閾値である。
[0051]
 具体的には、磁性体検知モードの解除を判断する際に用いるセルフリセット値Q としては、測定用センサ部14におけるセルフリセット値M とする。セルフリセット値M における「k」としては、磁界ベクトル成分に対応する「x」,「y」、及び絶対値成分に対応する「a」のうちで、磁性体検知モードが成立したと判断したときの成分に対応する「k」とする。本実施例では、この磁性体検知モードが成立したと判断したときの成分に対応する「k」を「u」とする。磁性体検知モードの解除を判断する際に用いるセルフリセット値Q は、セルフリセット値M である。
[0052]
 磁性体検知部52は、磁性体検知モードの成立中には、セルフリセット値M の最大値(セルフリセット最大値MAX Muともいう)が必要に応じて更新される。磁性体検知部52は、次式(8)を用いて、磁性体検知モードの解除を判断する。次式(8)中の「ABS」は絶対値を表している。磁性体検知部52は、次式(8)が成立した場合には(すなわちセルフリセット値M がセルフリセット最大値MAX Muに対して所定割合Th未満となった場合には)、磁性体検知モードを解除する。尚、磁性体検知部52は、検知実行スイッチ32がオン状態からオフ状態とされた場合にも、磁性体検知モードを解除する。
[0053]
[数4]


[0054]
 図11は、制御装置50の制御作動の要部すなわち二つの磁気センサの各出力値Q kjを用いて磁性体40を検知する際に磁性体40の検知精度を向上する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば検知実行スイッチ32がオン状態とされているときに繰り返し実行される。
[0055]
 図11において、先ず、磁性体検知部52の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、第1-第4磁気センサ14x,14y,16x,16yの各出力信号Soutが所定時間t毎に時間平均され、時間平均された後の各出力信号Soutに応じた出力値Q xj(M xj,R xj),Q yj(M yj,R yj)が時系列配列で記憶部54に格納される。次いで、磁性体検知部52の機能に対応するS20において、測定用センサ部14及び参照用センサ部16における各磁気量の絶対値成分が計算され、その各磁気量の絶対値成分の出力値Q aj(M aj,R aj)が時系列配列で記憶部54に格納される。次いで、磁性体検知部52の機能に対応するS30において、前記式(1)に、測定用センサ部14及び参照用センサ部16における各出力値Q kjの磁界ベクトル成分(Q xj、Q yj)と絶対値成分(Q aj)との最新のデータからmax 個のデータが適用されて、各時間微分値(時間変化量)A Qk(A Mk、A Rk)が算出される。次いで、磁性体検知部52の機能に対応するS40において、各評価値B (=A Mk-A Rk)の絶対値の何れかが各々の閾値THbkを超えるか否かに基づいて磁性体40の有無が検知される。このS40の判断が否定される場合(すなわち磁性体40が無いと判断される場合)は本ルーチンが終了させられる。このS40の判断が肯定される場合(すなわち磁性体40が有ると判断される場合)は磁性体検知部52の機能に対応するS50において、磁性体検知モードの成立中であるとされる。次いで、磁性体検知部52の機能に対応するS60において、磁性体検知モードを成立させた最初であるか否かが判定される。このS60の判断が肯定される場合は磁性体検知部52の機能に対応するS70において、前記式(2)を用いてセルフリセット用の過去平均値Average(Q )が算出される。上記S60の判断が否定される場合は、又は、上記S70に次いで、磁性体検知部52の機能に対応するS80において、最新の出力値Q k1から過去平均値Average(Q )が減算されることでセルフリセット値Q が算出される。次いで、磁性体検知部52の機能に対応するS90において、磁性体検知モードが成立したと判断したときの成分に対応する測定用センサ部14におけるセルフリセット値M の最大値MAX Muが必要に応じて更新される。次いで、磁性体検知部52の機能に対応するS100において、M /MAX Muの絶対値が閾値(所定割合Th)未満となった否かが判定される(前記式(8)参照)。このS100の判断が否定される場合は磁性体検知部52の機能に対応するS110において、前記式(6)及び前記式(7)に示す関係式を用いて、磁性体40の磁気モーメントの強さに相当する値m、及び磁性体40と測定用センサ部14との間の距離に相当する距離M が算出される。次いで、磁性体検知部52及び出力制御部56の機能に対応するS120において、例えば図9に示されるように、測定用センサ部14におけるセルフリセット値M のうちの絶対値成分に対応するセルフリセット値M がバーグラフに対応付けてディスプレイ34に表示される。次いで、磁性体検知部52の機能に対応するS130において、上記S10と同様に、時間平均された後の各出力信号Soutに応じた出力値Q xj,Q yjが時系列配列で記憶部54に格納される。このS130では、上記S20と同様に、絶対値成分の出力値Q ajも時系列配列で記憶部54に格納される。次いで、上記S50に戻される。一方で、上記S100の判断が肯定される場合は磁性体検知部52の機能に対応するS140において、磁性体検知モードから脱出される(すなわち磁性体検知モードが解除される)。この際、セルフリセット値M の最大値MAX Muがゼロにリセットされる。次いで、磁性体検知部52及び出力制御部56の機能に対応するS150において、例えば図10に示されるように、値mに応じたレベル値、及び距離M を示す数値がディスプレイ34に表示される。
[0056]
 上述のように、本実施例によれば、相互の間隔が所定距離pとされていると共に、相互の間の空間外に被験体38が位置するように配置されている二つの磁気センサ(測定用センサ部14、参照用センサ部16)の各出力値Q kj(M kj、R kj)の時間変化量A Qk(A Mk、A Rk)を用いて磁性体40が検知されるので、磁気センサが被る地磁気の変化の影響をできるだけ排除して磁性体40を検知することができる。具体的には、磁性体40が磁気センサの近くにないような環境磁界中であれば、二つの磁気センサの時間変化量A Qkは略同じ値となる一方で、磁気センサが磁性体40に近づくような場面では、時間変化量A Qkの絶対値は磁性体40に近い測定用センサ部14の方が磁性体40に遠い参照用センサ部16の方よりも大きくなる、というような現象を利用することで、磁気センサが被る地磁気の変化の影響をできるだけ排除して磁性体40を検知することができる。よって、二つの磁気センサの各出力値Q kjを用いて磁性体40を検知する際に、磁性体40の検知精度を向上することができる。
[0057]
 また、本実施例によれば、感磁方向が同一となる二つのベクトル型磁気センサの各出力値Q kjの時間変化量A Qkを用いて磁性体40が検知されるので、磁性体40を適切に検知することができる。
[0058]
 また、本実施例によれば、二つの磁気センサの各出力値の時間変化量の差分である評価値B を用いて磁性体40が検知されるので、前述したような現象を利用することで、磁気センサが被る地磁気の変化の影響をできるだけ排除して磁性体40を検知することができる。
[0059]
 また、本実施例によれば、磁性体40を検知した場合には、最新の出力値Q k1から、磁性体40を最初に検知した直前に取得した出力値Q kjを減算した、二つの磁気センサにおける直前からの各出力値変化量としてのセルフリセット値Q を用いて、磁性体40と測定用センサ部14との間の距離、及び磁性体40の磁気モーメントの強さが算出されるので、磁性体40の検知時には、磁性体40と磁気センサとの相対位置の変化がなくても(つまり磁気センサの各出力値Q kjの時間変化量A Qkがゼロであっても)、磁性体40と磁気センサとの間の距離、及び磁性体40の磁気モーメントの強さを算出することができる。この際、磁性体40の検知直前の専ら磁気センサが被る地磁気による磁気センサの出力値Q kjが減算されたセルフリセット値Q を用いることで、磁気センサが被る地磁気の影響をできるだけ排除することができる。
[0060]
 また、本実施例によれば、磁性体40を検知した場合には、セルフリセット値Q がセルフリセット最大値MAX Qkに対して所定割合Th未満となったか否かに基づいて、検知した磁性体40が磁気センサから遠ざかったか否かが判定されるので、磁性体40の検知後に磁性体40と磁気センサとが離れたことが適切に判断される。
[0061]
 また、本実施例によれば、磁性体検知モードの成立時に、セルフリセット値Q がセルフリセット最大値MAX Qkに対して所定割合Th未満となった場合には、磁性体検知モードが解除されるので、磁性体検知モードの成立後にその磁性体検知モードを適切に解除することができる。
[0062]
 又、磁性体検知装置10は、パッシブ型の磁性体検知装置であり、金属探知機と違って、他の機器に影響を与えない為、ペースメーカを付けた人のスクリーニングが可能である。又、磁性体検知装置10の使用用途としては、MRI室に入る前の人のスクリーニング、空港などでの検査などが想定される。又、磁性体検知装置10は、磁性体40を検知した後、磁性体検知装置10が磁性体40の近傍にある限り、磁性体検知装置10又は磁性体40が動いていなくても磁性体40が近傍にあることを検知し続けることが可能である。又、磁性体検知装置10では、測定用センサ部14及び参照用センサ部16の外部空間の全周を磁性体40の検知範囲とすることが可能である。又、磁性体検知装置10では、測定用センサ部14における出力値M kjの時間変化量A Mkの絶対値が参照用センサ部16よりも相対的に大きい場合に磁性体40の検知を有効とするなどにより、測定用センサ部14側の空間のみを検知範囲とすることができる。又、磁性体検知装置10を用いることで、磁性体40の位置を特定することが容易となる。又、磁性体検知装置10は、二次電池22を内蔵しているので、ポータブルとして使用することが可能である。又、磁性体検知装置10は、ACアダプタ70を接続したままでの使用も可能である。
[0063]
 以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
[0064]
 例えば、本発明は、磁性体検知装置10が有すると同様の、二つの磁気センサの各出力値Q kjの時間変化量A Qkを用いて磁性体40の有無を検知する磁性体検知機能(つまり制御装置50が有する磁性体検知部52に対応する磁性体検知機能)を、図12に示すような、駆動/検波回路60などが接続されたコンピュータ80に実現させる為のプログラムProgramを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体90にも適用され得る。図12において、コンピュータ80は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた制御装置50と同様の所謂マイクロコンピュータ、及び読み取り装置82などを含んで構成されている。コンピュータ80は、記録媒体90に予め記録されたプログラムProgramを読み取り装置82によって読み込むことでそのプログラムProgramを実行することが可能である。つまり、本発明は、制御装置50が有する磁性体検知部52に対応する磁性体検知機能をコンピュータ80に実現させる為のプログラムProgramを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体90にも適用され得る。このようにしても前述の実施例と同様の効果が得られることは言うまでもない。又、記録媒体90は、CD、DVD等の光ディスク、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ等の記憶装置、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリなどの、プログラムProgramを記録することができる媒体である。又、サーバ(これも一種の記録媒体90)に保存されたプログラムProgramを通信を介してダウンロードすることでそのプログラムProgramをコンピュータ80が実行する態様など、プログラムProgramをコンピュータ80に実現させる態様は種々の態様がある。従って、本発明は、制御装置50が有する磁性体検知部52に対応する磁性体検知機能をコンピュータ80に実現させる為のプログラムProgramにも適用され得る。このようにしても前述の実施例と同様の効果が得られることは言うまでもない。
[0065]
 また、前述の実施例では、磁性体検知装置10は、感磁方向が同一となる二つの磁気センサの組を二組備えていたが、この態様に限らない。例えば、磁性体検知装置10は、第1磁気センサ14xと第3磁気センサ16xとでの一組、及び第2磁気センサ14yと第4磁気センサ16yとでの一組のうちの少なくとも一組を備えていれば良い。又、磁性体検知装置10は、ベクトル型磁気センサではなく、磁界の絶対値を検出するようなスカラー型の磁気センサを二個備えていても良い。このように、少なくとも二つの磁気センサを備える磁性体検知装置10であれば、本発明を適用することができる。
[0066]
 また、前述の実施例では、磁性体検知装置10を被験体38の表面に近づけて動かすことで磁性体40の有無を検知したが、被験体38を動かすことで磁性体40の有無を検知しても良い。
[0067]
 また、前述の実施例では、測定用センサ部14におけるセルフリセット値M を用いて磁性体検知モードの解除を判断したが、この態様に限らない。例えば、常に、測定用センサ部14における絶対値成分のセルフリセット値M を用いて磁性体検知モードの解除を判断しても良い。このセルフリセット値M を用いる場合には、セルフリセット値M の最大値MAX Maが必要に応じて更新され、M /MAX Maが閾値(所定割合Th)未満となった否かに基づいて、磁性体検知モードを解除するか否かが判断される。又は、測定用センサ部14におけるセルフリセット値M と参照用センサ部16におけるセルフリセット値R との差分S (=M -R )を用いて、磁性体検知モードの解除を判断しても良い。又は、セルフリセット値M を用いた判断と、差分S を用いた判断とを組み合わせて、磁性体検知モードの解除を判断しても良い。
[0068]
 また、前述の実施例では、第1-第4磁気センサ14x,14y,16x,16yは、磁気インピーダンスセンサ(MIセンサ)とされたが、感磁方向が一方向であるベクトル型磁気センサであれば、他の形式の磁気センサであってもよい。
[0069]
 尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。

符号の説明

[0070]
10:磁性体検知装置
14:測定用センサ部(磁気センサ)
14x:第1磁気センサ(ベクトル型磁気センサ)
14y:第2磁気センサ(ベクトル型磁気センサ)
16:参照用センサ部(磁気センサ)
16x:第3磁気センサ(ベクトル型磁気センサ)
16y:第4磁気センサ(ベクトル型磁気センサ)
38:被験体
40:磁性体
50:制御装置
80:コンピュータ
90:記録媒体

請求の範囲

[請求項1]
 少なくとも二つの磁気センサと、前記磁気センサの各出力値を用いて磁性体を検知する制御装置とを備えた磁性体検知装置であって、
 前記磁気センサは、相互の間隔が所定距離とされていると共に、相互の間の空間外に被験体が位置するように配置されており、
 前記制御装置は、前記被験体と前記磁気センサとの相対位置が変化することによる前記二つの磁気センサの各出力値の時間変化量を用いて前記磁性体を検知することを特徴とする磁性体検知装置。
[請求項2]
 前記磁気センサは、感磁方向が一方向であるベクトル型磁気センサであると共に、前記感磁方向が同一となる二つの磁気センサを含んでおり、
 前記制御装置は、前記感磁方向が同一となる二つの磁気センサの各出力値の時間変化量を用いて前記磁性体を検知することを特徴とする請求項1に記載の磁性体検知装置。
[請求項3]
 前記制御装置は、前記二つの磁気センサの各出力値の時間変化量の差分を用いて前記磁性体を検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性体検知装置。
[請求項4]
 前記制御装置は、前記磁性体を検知した場合には、最新の前記磁気センサの出力値から、前記磁性体を最初に検知した直前に取得した前記磁気センサの出力値を減算した、前記二つの磁気センサにおける前記直前からの各出力値変化量を用いて、前記磁性体と前記磁気センサとの間の距離、及び前記磁性体の磁気モーメントの強さを算出することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の磁性体検知装置。
[請求項5]
 前記制御装置は、前記磁性体を検知した場合には、前記出力値変化量が前記出力値変化量の最大値に対して所定割合未満となったか否かに基づいて、前記検知した磁性体が前記磁気センサから遠ざかったか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の磁性体検知装置。
[請求項6]
 前記制御装置は、前記磁性体を検知した場合には、磁性体検知モードを成立させるものであり、
 前記制御装置は、前記磁性体検知モードの成立時に、最新の前記磁気センサの出力値から、前記磁性体を最初に検知した直前に取得した前記磁気センサの出力値を減算した、前記磁気センサにおける前記直前からの出力値変化量が前記出力値変化量の最大値に対して所定割合未満となった場合には、前記磁性体検知モードを解除することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の磁性体検知装置。
[請求項7]
 少なくとも二つの磁気センサの各出力値を用いて磁性体を検知する磁性体検知機能をコンピュータに実現させる為のプログラムであって、
 前記磁性体検知機能は、相互の間隔が所定距離とされていると共に相互の間の空間外に被験体が位置するように配置されている前記磁気センサと、前記被験体との相対位置が変化することによる前記二つの磁気センサの各出力値の時間変化量を用いて前記磁性体を検知することを特徴とする磁性体検知機能をコンピュータに実現させる為のプログラム。
[請求項8]
 少なくとも二つの磁気センサの各出力値を用いて磁性体を検知する磁性体検知機能をコンピュータに実現させる為のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
 前記磁性体検知機能は、相互の間隔が所定距離とされていると共に相互の間の空間外に被験体が位置するように配置されている前記磁気センサと、前記被験体との相対位置が変化することによる前記二つの磁気センサの各出力値の時間変化量を用いて前記磁性体を検知することを特徴とする磁性体検知機能をコンピュータに実現させる為のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]