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1. (WO2018179120) 位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システム及び部品実装機
Document

明 細 書

発明の名称 位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システム及び部品実装機

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015  

実施例 1

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032  

実施例 2

0033   0034   0035   0036   0037  

実施例 3

0038   0039   0040   0041   0042   0043  

符号の説明

0044  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : 位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システム及び部品実装機

技術分野

[0001]
 本明細書は、単一の機台又は連結された複数の機台に、複数の駆動源で個別に加減速駆動される複数の移動体を搭載し、且つ、いずれかの移動体の加減速駆動により発生した外乱が前記機台を介して隣接する他の移動体に伝達される移動体駆動システムにおける、各移動体の位置をそれぞれ制御する位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システム及び部品実装機に関する技術を開示したものである。

背景技術

[0002]
 単一の機台又は連結された複数の機台に、複数の駆動源で個別に加減速駆動される複数の移動体を搭載した移動体駆動システムとしては、例えば、特許文献1(特開2004-104075号公報)に記載されたモジュール型部品実装ラインが知られている。このモジュール型部品実装ラインは、複数台の実装機モジュールを連結し、各実装機モジュールにそれぞれ2つの実装ヘッドを移動させる2つの移動体(Yスライド)を搭載した構成となっている。この構成では、一方の実装機モジュールの一方の移動体を加減速駆動したときに発生する外乱(振動)が自身の実装機モジュールの機台を介して他方の移動体に伝達されて当該他方の移動体の位置決め精度を悪化させるだけではなく、当該外乱が、隣接する他の実装機モジュールの機台を介して当該他の実装機モジュールの移動体にも伝達されて、当該他の実装機モジュールの移動体の位置決め精度を悪化させる場合がある。
[0003]
 このような課題をソフトウエアの変更又は追加のみで解決する外乱非干渉化補償装置が特許文献2(特許第5382777号公報)に記載されている。この特許文献2の外乱非干渉化補償装置は、移動体の位置を観測(検出)する観測手段と、外乱の影響を受ける側の移動体の観測量に対して該外乱の非干渉化補償を行う外乱非干渉化補償器とを備え、前記外乱非干渉化補償器は、外乱発生側の移動体の操作量を入力として、前記外乱の影響を受ける側の移動体の制御量に対する該外乱の非干渉化補償を行うためのフィードフォワード補償量を出力する第1のフィードフォワード補償器と、前記外乱発生側の移動体の操作量を入力として目標指令補正量を出力する第2のフィードフォワード補償器と、前記外乱の影響を受ける側の移動体の操作量を前記第1のフィードフォワード補償器の出力で補正する第1の演算器と、前記外乱の影響を受ける側の移動体の目標指令を前記第2のフィードフォワード補償器の出力で補正する第2の演算器とを備えた構成となっている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2004-104075号公報
特許文献2 : 特許第5382777号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 上述した特許文献2の外乱非干渉化補償装置は、外乱発生側の移動体の操作量に基づいて外乱の非干渉化補償を行うものであるが、外乱発生側の移動体の操作量には、通常のフィードバック制御による、摩擦力等の機械的特性に対するフィードバック補償量が含まれるため、外乱を非干渉化するための補償量が外乱発生側の移動体の機械的特性の影響を受けやすいという問題があった。
[0006]
 更に、外乱発生側の移動体の操作量には、上述した摩擦力等の機械的特性に対するフィードバック補償量が含まれることに加えて、フィードバック制御による制御遅延も含まれるため、その操作量から外乱の非干渉化補償を行うためのフィードフォワード補償量を出力しても、所望の補償結果を得られないという問題もあった。
[0007]
 また、特許文献2の請求項2や請求項3に記載されているように、外乱の影響を受ける側の移動体の操作量から制御量までの伝達特性のノミナルモデルの逆特性を考慮して非干渉化のためのフィードフォワード補償器を構築すると、そのフィードフォワード補償器は2階微分特性を含むことになる。その結果、フィードフォワード補償量は、位置指令値の4階微分を成分として持つことになる。要するに、操作量(トルク)は、位置指令値の2階微分に制御対象の慣性を乗算したものと等価になり、これに更に操作量から制御量までの伝達特性のノミナルモデルの逆特性(2階微分を含む特性)を乗算するため、結果的に位置指令値の4階微分を成分として持つことになる。このため、フィードフォワード補償量の物理的意味が不明になり、調整が難しい。しかも、外乱非干渉化補償器の構成が複雑になり、外乱非干渉化補償器付きの位置決め制御のソフトウエアが複雑化してCPUの演算負荷が大きくなるという問題もあった。

課題を解決するための手段

[0008]
 上記課題を解決するために、単一の機台又は連結された複数の機台に、複数の駆動源で個別に加減速駆動される複数の移動体を搭載し、且つ、いずれかの移動体の加減速駆動により発生した外乱が前記機台を介して隣接する他の移動体に伝達される移動体駆動システムにおける、各移動体の位置をそれぞれ2自由度制御系で制御する位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システムにおいて、前記2自由度制御系は、前記移動体の位置を検出する検出部と、前記移動体の位置指令値と前記検出部の検出値との偏差を入力とし、該偏差が小さくなるようにフィードバック操作量を出力するF/B補償器と、前記移動体の位置指令値を入力としてフィードフォワード操作量を出力するF/F補償器と、前記フィードバック操作量と前記フィードフォワード操作量とを加算して前記移動体の操作量を出力する加算器と、前記外乱の影響を受ける側の移動体のF/B補償器の入力と操作量に対して該外乱の非干渉化補償を行う外乱非干渉化補償器とを備え、前記外乱非干渉化補償器は、外乱発生側の移動体の位置指令値を2階微分して加速度指令値を出力する2階微分器と、前記2階微分器の出力である加速度指令値に第1ゲインを乗算して前記外乱の影響を受ける側の移動体のF/B補償器の入力に対する補正量を出力する第1乗算器と、前記2階微分器の出力である加速度指令値に第2ゲインを乗算して前記外乱の影響を受ける側の移動体の操作量に対する補正量を出力する第2乗算器とを備え、前記第1乗算器の出力と前記第2乗算器の出力とによって前記外乱の影響を受ける側の移動体のF/B補償器の入力と操作量を補正して該外乱の非干渉化補償を行うものである。
[0009]
 一般に、外乱の影響を受ける側の移動体は、外乱発生側の移動体の加速度(減速度)の絶対値が大きくなるほど、外乱の影響が大きくなるという特性がある。この特性に着目して、外乱発生側の移動体の位置指令値を2階微分して加速度指令値を求め、この加速度指令値に所定のゲインを乗算することで、外乱の影響を受ける側の移動体のF/B補償器の入力に対する補正量と操作量に対する補正量を求めて外乱の非干渉化補償を行うものである。このように、外乱発生側の移動体の加速度指令値に基づいて外乱の非干渉化補償を行うようにすれば、前述した特許文献2のように、外乱発生側の移動体の操作量に基づいて外乱の非干渉化補償を行うことに起因する課題を解決することができる。
[0010]
 この場合、各移動体の位置を制御する制御系は、2自由度制御系(フィードバック制御とフィードフォワード制御との組み合わせ)に限定されず、フィードバック制御のみによる1自由度制御系であっても良い。
[0011]
 また、複数の移動体を同方向又はその反対方向に加減速駆動する移動体駆動システムに本発明を適用すると良い。位置指令値を2階微分して求める加速度指令値は、移動体の移動方向に依存するため、移動体の移動方向が異なる場合は、移動体の移動方向によって外乱の影響度合が異なることを考慮して、第1ゲインと第2ゲインを移動体の移動方向に応じて変化させるようにしても良い。
[0012]
 また、外乱発生側の移動体の位置や、外乱の影響を受ける側の移動体の位置、或は両者間の距離に応じて移動体に伝達される外乱の大きさが変化する。この点を考慮して、第1ゲインと第2ゲインの少なくとも一方は、外乱発生側の移動体の位置と外乱の影響を受ける側の移動体の位置の少なくとも一方に応じて変化させるようにしても良い。或は、第1ゲインと第2ゲインの少なくとも一方は、外乱発生側の移動体と外乱の影響を受ける側の移動体との間の距離に応じて変化させるようにしても良い。
[0013]
 尚、外乱発生側の移動体は1つのみに限定されず、外乱発生側の移動体が複数存在し、複数の外乱発生側の移動体の加減速駆動により発生した複数の外乱が1つの移動体に伝達される移動体駆動システムにも本発明を適用可能である。この場合は、複数の外乱発生側の移動体の各々に前記2階微分器、前記第1乗算器及び前記第2乗算器を設け、前記複数の外乱発生側の移動体における複数の第1乗算器の出力の和と複数の第2乗算器の出力の和とによって外乱の影響を受ける側の移動体のF/B補償器の入力と操作量を補正して該外乱の非干渉化補償を行うようにすれば良い。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 図1は実施例1の部品実装機の構成を概略的に示す平面図である。
[図2] 図2は実施例1の位置決め制御装置とその外乱非干渉化補償システムの構成を示すブロック図である。
[図3] 図3は実施例1の外乱非干渉化補償による相対変位抑制効果を説明する相対変位波形図である。
[図4] 図4は実施例2の位置決め制御装置とその外乱非干渉化補償システムの構成を示すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0015]
 以下、部品実装機に適用して具体化した3つの実施例1~3を説明する。
実施例 1
[0016]
 実施例1を図1乃至図3に基づいて説明する。
 まず、図1に基づいて部品実装機11の構成を説明する。
[0017]
 部品実装機11の機台12の中央側には、回路基板13をX方向に搬送するコンベア14が設けられ、該機台12のY方向(X方向と直交する方向)の両側には、部品を供給する部品供給装置15,16が設置されている。機台12上のX方向両側には、2本のYスライドベース17,18がY方向に沿って平行に設けられ、2本のYスライドベース17,18上に、Y方向に移動する2本のYスライド19,20(移動体)が設けられている。各Yスライド19,20には、それぞれXスライド(図示せず)を介して実装ヘッド21,22が設けられ、各実装ヘッド21,22には、それぞれ1本又は複数本の吸着ノズル(図示せず)が保持されて、部品供給装置15,16から供給される部品を吸着ノズルで吸着して回路基板13に実装する。図示はしないが、各Yスライド19,20には、それぞれボールねじ駆動装置やリニアモータ駆動装置等の駆動源23,24(図2参照)が備えられており、その駆動源23,24によって各Yスライド19,20が個別にY方向に加減速駆動される。
[0018]
 次に、図2に基づいて2本のYスライド19,20の位置(Y座標)を個別に制御する位置決め制御回路31の構成を説明する。
[0019]
 本実施例1の位置決め制御回路31は、フィードバック制御とフィードフォワード制御とを組み合わせた2自由度制御系で構成されている。以下、説明の便宜上、「フィードバック」を「F/B」と表記し、「フィードフォワード」を「F/F」と表記する。
[0020]
 各Yスライド19,20の位置は、それぞれエンコーダやリニアスケール(リニアエンコーダとも呼ばれる)等の検出部32,33で検出される。各検出部32,33の検出特性は、それぞれ伝達関数H1 ,H2 で表される。各Yスライド19,20の位置を個別に制御する2自由度制御系は、各Yスライド19,20の位置指令値1,2と検出部32,33の検出値との偏差を入力とし、該偏差が小さくなるようにF/B操作量を出力するF/B補償器34,35(伝達関数C1 ,C2 )と、各Yスライド19,20の位置指令値1,2を入力としてF/F操作量を出力するF/F補償器36,37(伝達関数FF1 ,FF2 )と、前記F/B操作量と前記F/F操作量とを加算して各Yスライド19,20の駆動源23,24の操作量を出力する加算器38,39とを備え、各加算器38,39の出力(操作量)によって制御対象である各Yスライド19,20の駆動源23,24(伝達関数P1 ,P2 )が駆動される。P1 ,P2 は、駆動源23,24も含む各Yスライド19,20の伝達特性を表している。
[0021]
 この場合、2本のYスライド19,20は、それぞれ互いに相手側が外乱発生側となり、相手側のYスライドの加減速駆動によって発生した外乱の影響を受ける。そこで、本実施例1では、各Yスライド19,20の位置を個別に制御する2自由度制御系は、それぞれ相手側のYスライドの加減速駆動によって発生した外乱の影響を受ける側のYスライド19,20のF/B補償器34,35の入力と操作量に対して該外乱の非干渉化補償を行う外乱非干渉化補償器41,42を備えている。
[0022]
 例えば、Yスライド19の加減速駆動によって発生した外乱が機台12を介してYスライド20に伝達される場合に、その外乱の非干渉化補償を行う外乱非干渉化補償器41は、外乱発生側のYスライド19の位置指令値1を2階微分して加速度指令値を出力する2階微分器43と、この2階微分器43の出力である加速度指令値に第1ゲイン(Kp1)を乗算して外乱の影響を受ける側のYスライド20のF/B補償器35の入力に対する補正量を出力する第1乗算器45と、前記2階微分器43の出力である加速度指令値に第2ゲイン(Kt1)を乗算して外乱の影響を受ける側のYスライド20の操作量に対する補正量を出力する第2乗算器47とを備え、第1乗算器45の出力と第2乗算器47の出力とによって外乱の影響を受ける側のYスライド20のF/B補償器35の入力と操作量を補正して該外乱の非干渉化補償を行う。
[0023]
 尚、図2の構成例では、外乱の影響を受ける側のYスライド20の加算器39の出力である操作量に第2乗算器47の出力を加算する加算器50を設けて該操作量を補正するようにしているが、この加算器50を省略して、第2乗算器47の出力を加算器39に入力して該操作量を補正するようにしても良い。
[0024]
 一方、Yスライド20の加減速駆動によって発生した外乱が機台12を介してYスライド19に伝達される場合に、その外乱の非干渉化補償を行う外乱非干渉化補償器42は、外乱発生側のYスライド20の位置指令値2を2階微分して加速度指令値を出力する2階微分器44と、この2階微分器44の出力である加速度指令値に第1ゲイン(Kp2)を乗算して外乱の影響を受ける側のYスライド19のF/B補償器34の入力に対する補正量を出力する第1乗算器46と、前記2階微分器44の出力である加速度指令値に第2ゲイン(Kt2)を乗算して外乱の影響を受ける側のYスライド19の操作量に対する補正量を出力する第2乗算器48とを備え、第1乗算器46の出力と第2乗算器48の出力とによって外乱の影響を受ける側のYスライド19のF/B補償器34の入力と操作量を補正して該外乱の非干渉化補償を行う。
[0025]
 尚、図2の構成例では、外乱の影響を受ける側のYスライド19の加算器38の出力である操作量に第2乗算器48の出力を加算する加算器49を設けて該操作量を補正するようにしているが、この加算器49を省略して、第2乗算器48の出力を加算器38に入力して該操作量を補正するようにしても良い。
[0026]
 要するに、外乱の影響を受ける側のYスライドは、外乱発生側のYスライドの加速度(減速度)の絶対値が大きくなるほど、外乱の影響が大きくなるという特性がある。この特性に着目して、本実施例1では、外乱発生側のYスライドの位置指令値を2階微分して加速度指令値を求め、この加速度指令値に所定のゲイン(第1ゲインと第2ゲイン)を乗算することで、外乱の影響を受ける側のYスライドのF/B補償器の入力に対する補正量と操作量に対する補正量を求めて外乱の非干渉化補償を行うものである。
[0027]
 また、外乱発生側のYスライドの位置や、外乱の影響を受ける側のYスライドの位置、或は両者間の距離に応じてYスライドに伝達される外乱の大きさが変化する。この点を考慮して、第1ゲインと第2ゲインの少なくとも一方は、外乱発生側のYスライドの位置と外乱の影響を受ける側のYスライドの位置の少なくとも一方に応じて変化させるようにしても良い。或は、第1ゲインと第2ゲインの少なくとも一方は、外乱発生側のYスライドと外乱の影響を受ける側のYスライドとの間の距離に応じて変化させるようにしても良い。但し、外乱の非干渉化補償を行うソフトウエアを簡単化するために、第1ゲインと第2ゲインは、予め設定された一定値としても良い。
[0028]
 本発明者らは、本実施例1の外乱非干渉化補償の効果を確認するために、2つのYスライド19,20を同時に駆動して、外乱の影響を受ける側のYスライドの実装ヘッドの吸着ノズル先端とコンベア14(回路基板13)との相対変位を測定したので、その測定結果を図3に示す。図3には、外乱発生側のYスライドの位置指令値を2階微分した加速度指令値(2階微分器の出力)と、本実施例1の外乱非干渉化補償を行った場合の相対変位と、外乱非干渉化補償を行わない比較例の相対変位とを比較して示している。吸着ノズル先端とコンベア14(回路基板13)との相対変位の絶対値が大きくなるほど、外乱発生側のYスライドの加減速駆動によって発生する外乱の影響を大きく受けて、部品実装精度が悪化したり、部品吸着率が低下する。
[0029]
 図3の相対変位の測定結果によれば、本実施例1の外乱非干渉化補償を行った場合の相対変位は、外乱非干渉化補償を行わない比較例の相対変位に対して半減している。従って、本実施例1では、2つのYスライド19,20を同時に駆動しても、外乱発生側のYスライドの加減速駆動によって発生する外乱による部品実装精度の悪化や部品吸着率の低下を防ぐことができる。また、この外乱非干渉化補償の効果によって部品実装機11の機台12やYスライドベース17,18等の剛性を必要以上に大きくする必要がなくなり、部品実装機11を軽量化できる利点もある。
[0030]
 以上説明した本実施例1の外乱非干渉化補償器41,42は、外乱発生側のYスライドの位置指令値を2階微分して加速度指令値を求め、この加速度指令値に所定のゲイン(第1ゲインと第2ゲイン)を乗算することで、外乱の影響を受ける側のYスライドのF/B補償器の入力に対する補正量と操作量に対する補正量を求めて外乱の非干渉化補償を行うようにしたので、前述した特許文献2のように、外乱発生側の移動体の操作量に基づいて外乱の非干渉化補償を行うことに起因する課題を解決することができる。
[0031]
 つまり、本実施例1の外乱非干渉化補償器41,42は、外乱発生側のYスライドの摩擦力等の機械的特性に対するフィードバック補償量を使用しないため、外乱を非干渉化するための補償量が外乱発生側のYスライドの機械的特性の影響を受け難い。しかも、フィードバック制御による制御遅延が含まれないため、上述した外乱発生側のYスライドの機械的特性の影響を受け難いことと相待って、外乱を非干渉化するための補償量を精度良く算出することができて、前述した特許文献2よりも外乱の非干渉化補償の効果を大きくすることができる。
[0032]
 更に、本実施例1の外乱非干渉化補償器41,42は、外乱発生側のYスライドの位置指令値を2階微分してゲインを乗算するだけの簡単な構成であるため、外乱非干渉化補償器41,42付きの2自由度制御系の位置決め制御のソフトウエアを簡単化することができて、CPUの演算負荷を軽減できる。しかも、本実施例1の外乱非干渉化補償器41,42は、位置指令値の2階微分を含むだけで4階微分を含まないため、調整が容易であるという利点もある。
実施例 2
[0033]
 次に、図4を用いて実施例2を説明する。但し、上述した実施例1と実質的に同一部分については同一符号を付して説明を省略又は簡略化し、主として異なる部分について説明する。
[0034]
 前記実施例1では、2つのYスライド19,20の位置を個別に制御する位置決め制御回路31を2自由度制御系(F/B制御とF/F制御との組み合わせ)で構成したが、本実施例2では、2つのYスライド19,20の位置を個別に制御する位置決め制御回路51をF/B制御のみによる1自由度制御系で構成している。
[0035]
 本実施例2においても、各Yスライド19,20の位置を個別に制御する1自由度制御系(F/B制御系)は、それぞれ相手側のYスライドの加減速駆動によって発生した外乱の影響を受ける側のYスライドのF/B補償器の入力と操作量に対して該外乱の非干渉化補償を行う外乱非干渉化補償器41,42を備えている。各外乱非干渉化補償器41,42の構成は前記実施例1と同じである。
[0036]
 以上の説明した本実施例2のように、2つのYスライド19,20の位置を個別に制御する位置決め制御回路51をF/B制御のみによる1自由度制御系で構成した場合でも、前記実施例1と同様の外乱非干渉化補償器41,42を設けることで、前記実施例1と同様の効果を得ることができる。
[0037]
 尚、上記実施例1,2では、1台の部品実装機11の機台12に設けられた2本のYスライド19,20間で外乱の非干渉化補償を行うようにしたが、1台の部品実装機の機台に1本のYスライドのみが設けられ、複数台の部品実装機が連結されて、隣接する部品実装機のYスライドの加減速駆動により発生した外乱が機台を介して隣接する他の部品実装機のYスライドに伝達される場合がある。この場合には、隣接する2台の部品実装機のYスライド間で本実施例1,2と同様の外乱の非干渉化補償を行うようにすれば良い。
実施例 3
[0038]
 上述した実施例1,2は、外乱発生側のYスライドが1つのみであったが、実施例3では、外乱発生側のYスライドが複数存在し、複数の外乱発生側のYスライドの加減速駆動により発生した複数の外乱が1つのYスライドに伝達される。例えば、図1に示すように、1台の部品実装機11の機台12に2本のYスライド19,20が設けられ、複数台の部品実装機11が連結されて、隣接する部品実装機11のYスライド19,20の加減速駆動により発生した外乱が機台12を介して隣接する他の部品実装機11のYスライド19,20に伝達される場合がある。
[0039]
 この場合は、複数の外乱発生側のYスライドの各々に、前記実施例1,2と同様の2階微分器、第1乗算器及び第2乗算器を設け、複数の外乱発生側のYスライドにおける複数の第1乗算器の出力の和と複数の第2乗算器の出力の和とによって外乱の影響を受ける側のYスライドのF/B補償器の入力と操作量を補正して該外乱の非干渉化補償を行うようにすれば良い。
[0040]
 このようにすれば、外乱発生側のYスライドが複数存在し、複数の外乱発生側のYスライドの加減速駆動により発生した複数の外乱が1つのYスライドに伝達される場合でも、複数の外乱発生側のYスライドの加減速駆動により発生した複数の外乱の非干渉化補償を行うことができ、複数の外乱による部品実装精度の悪化や部品吸着率の低下を防ぐことができる。
[0041]
[その他の実施例]
 上記実施例1~3では、複数の移動体を同方向又はその反対方向に加減速駆動する移動体駆動システムとしてYスライド駆動システムを用いて説明したが、Yスライド以外の複数の移動体を同方向又はその反対方向に加減速駆動する移動体駆動システムに本発明を適用して実施しても良い。位置指令値を2階微分して求める加速度指令値は、移動体の移動方向に依存するため、複数の移動体を同方向又はその反対方向に加減速駆動する移動体駆動システムに対して本発明を適用すれば、上記実施例1~3と同様に、外乱の非干渉化補償を行うことができる。
[0042]
 また、複数の移動体の移動方向が互いに異なる移動体駆動システムに本発明を適用する場合は、移動体の移動方向によって外乱の影響度合が異なることを考慮して、第1ゲインと第2ゲインを移動体の移動方向に応じて変化させるようにすれば良い。
[0043]
 その他、本発明は、前記実施例1~3に限定されず、例えば、部品実装機以外の工作機械や生産ラインの各装置に適用して実施しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。

符号の説明

[0044]
 11…部品実装機、12…機台、13…回路基板、14…コンベア、15,16…部品供給装置、17,18…Yスライドベース、19,20…Yスライド(移動体)、21,22…実装ヘッド、23,24…駆動源、31…位置決め制御回路、32,33…検出部、34,35…F/B補償器、36,37…F/F補償器、38,39…加算器、41,42…外乱非干渉化補償器、43,44…2階微分器、45,46…第1乗算器、47,48…第2乗算器、49,50…加算器、51…位置決め制御回路

請求の範囲

[請求項1]
 単一の機台又は連結された複数の機台に、複数の駆動源で個別に加減速駆動される複数の移動体を搭載し、且つ、いずれかの移動体の加減速駆動により発生した外乱が前記機台を介して隣接する他の移動体に伝達される移動体駆動システムにおける、各移動体の位置をそれぞれ2自由度制御系で制御する位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システムにおいて、
 前記2自由度制御系は、
 前記移動体の位置を検出する検出部と、
 前記移動体の位置指令値と前記検出部の検出値との偏差を入力とし、該偏差が小さくなるようにフィードバック操作量を出力するF/B補償器と、
 前記移動体の位置指令値を入力としてフィードフォワード操作量を出力するF/F補償器と、
 前記フィードバック操作量と前記フィードフォワード操作量とを加算して前記移動体の操作量を出力する加算器と、
 前記外乱の影響を受ける側の移動体のF/B補償器の入力と操作量に対して該外乱の非干渉化補償を行う外乱非干渉化補償器と
 を備え、
 前記外乱非干渉化補償器は、
 外乱発生側の移動体の位置指令値を2階微分して加速度指令値を出力する2階微分器と、
 前記2階微分器の出力である加速度指令値に第1ゲインを乗算して前記外乱の影響を受ける側の移動体のF/B補償器の入力に対する補正量を出力する第1乗算器と、
 前記2階微分器の出力である加速度指令値に第2ゲインを乗算して前記外乱の影響を受ける側の移動体の操作量に対する補正量を出力する第2乗算器とを備え、
 前記第1乗算器の出力と前記第2乗算器の出力とによって前記外乱の影響を受ける側の移動体のF/B補償器の入力と操作量を補正して該外乱の非干渉化補償を行う、位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システム。
[請求項2]
 単一の機台又は連結された複数の機台に、複数の駆動源で個別に加減速駆動される複数の移動体を搭載し、且つ、いずれかの移動体の加減速駆動により発生した外乱が前記機台を介して隣接する他の移動体に伝達される移動体駆動システムにおける、各移動体の位置をそれぞれフィードバック制御系で制御する位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システムにおいて、
 前記フィードバック制御系は、
 前記移動体の位置を検出する検出部と、
 前記移動体の位置指令値と前記検出部の検出値との偏差を入力とし、該偏差が小さくなるように前記移動体の操作量を出力するF/B補償器と、
 前記外乱の影響を受ける側の移動体のF/B補償器の入力と操作量に対して該外乱の非干渉化補償を行う外乱非干渉化補償器と
 を備え、
 前記外乱非干渉化補償器は、
 外乱発生側の移動体の位置指令値を2階微分して加速度指令値を出力する2階微分器と、
 前記2階微分器の出力である加速度指令値に第1ゲインを乗算して前記外乱の影響を受ける側の移動体のF/B補償器の入力に対する補正量を出力する第1乗算器と、
 前記2階微分器の出力である加速度指令値に第2ゲインを乗算して前記外乱の影響を受ける側の移動体の操作量に対する補正量を出力する第2乗算器とを備え、
 前記第1乗算器の出力と前記第2乗算器の出力とによって前記外乱の影響を受ける側の移動体のF/B補償器の入力と操作量を補正して該外乱の非干渉化補償を行う、位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システム。
[請求項3]
 前記複数の移動体は、同方向又はその反対方向に加減速駆動される、請求項1又は2に記載の位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システム。
[請求項4]
 前記第1ゲインと前記第2ゲインの少なくとも一方は、前記外乱発生側の移動体の位置と前記外乱の影響を受ける側の移動体の位置の少なくとも一方に応じて変化する、請求項1乃至3のいずれかに記載の位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システム。
[請求項5]
 前記第1ゲインと前記第2ゲインの少なくとも一方は、前記外乱発生側の移動体と前記外乱の影響を受ける側の移動体との間の距離に応じて変化する、請求項1乃至3のいずれかに記載の位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システム。
[請求項6]
 前記外乱発生側の移動体が複数存在し、複数の外乱発生側の移動体の加減速駆動により発生した複数の外乱が1つの移動体に伝達され、
 前記外乱非干渉化補償器は、前記複数の外乱発生側の移動体の各々に前記2階微分器、前記第1乗算器及び前記第2乗算器が設けられ、
 前記複数の外乱発生側の移動体における複数の前記第1乗算器の出力の和と複数の前記第2乗算器の出力の和とによって前記外乱の影響を受ける側の移動体のF/B補償器の入力と操作量を補正して該外乱の非干渉化補償を行う、請求項1乃至5のいずれかに記載の位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システム。
[請求項7]
 請求項1乃至6のいずれかに記載の位置決め制御装置の外乱非干渉化補償システムを搭載した部品実装機であって、
 前記移動体は、実装ヘッドを移動させるスライドである、部品実装機。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]