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1. (WO2018128078) ドライエッチング方法及びエッチング装置
Document

明 細 書

発明の名称 ドライエッチング方法及びエッチング装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048  

実施例

0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055  

符号の説明

0056  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : ドライエッチング方法及びエッチング装置

技術分野

[0001]
 本発明は、β-ジケトンを含むエッチングガスを用いて金属膜をエッチングする技術に関する。

背景技術

[0002]
 半導体デバイスの製造過程において、配線材料、メタルゲート材料、電極材料、又は磁性材料として、基板上に成膜された金属膜をエッチングすることがある。
[0003]
 半導体デバイスの微細化に伴い、金属膜をエッチングして微細な構造を形成するために、金属膜のエッチングを高度に制御することが求められるようになってきている。具体的には、ウエハの面内においてエッチング量のばらつきが1nm以下に抑えられるように金属膜をエッチングすること、エッチング後の金属膜表面のラフネスを制御すること、金属膜を選択的にエッチングすること等について検討されている。このような高度なエッチング制御を行うためには、薬液によって金属膜をエッチングするウエットエッチングでは困難であり、ガスによって金属膜をエッチングするドライエッチングが検討されている。
[0004]
 例えば、特許文献1には、水及びアルコールの少なくともいずれか一方を含んでいるβ-ジケトンを含むエッチングガスにより基板上に形成された薄膜を基板温度300℃以上、好ましくは450℃以上でエッチングして、前記基板の表面を露出させるエッチング工程を具備するエッチング方法が記載されている。また、特許文献2には、β-ジケトンを含み、水又は過酸化水素を1~20体積%含むエッチングガスを用いて、100℃以上350℃以下の温度領域でβ-ジケトンと金属との錯体を形成することによって金属膜をエッチングする方法が記載されている。特許文献2には、金属膜を構成する金属の例として、亜鉛、コバルト、ハフニウム、鉄、マンガン、バナジウム等が挙げられている。特許文献2によれば、水又は過酸化水素を添加することで、酸素を用いる場合よりも金属膜をエッチングする速度が速くなるとされている。
[0005]
 また、基板上の金属膜を微細にエッチングする方法ではないが、半導体デバイスの製造工程に使用される成膜装置内に付着した金属膜をドライクリーニングする方法として、β-ジケトンを用いる方法が提案されている。
[0006]
 例えば、特許文献3には、β-ジケトンとNO x(NO、N 2Oのいずれか)とを含むクリーニングガスを、200~400℃、好ましくは250~370℃の温度範囲内にある金属膜と反応させることにより、成膜装置に付着した金属膜を除去するドライクリーニング方法が記載されている。特許文献3には、金属膜を構成する金属の例として、ニッケル、マンガン、鉄、コバルト等が挙げられている。特許文献3によれば、NO xを用いることで、酸素を用いる場合よりも金属膜をエッチング除去できる温度範囲が広くなるとされている。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2004-91829号公報
特許文献2 : 特開2014-236096号公報
特許文献3 : 特開2013-194307号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 特許文献3に記載されているβ-ジケトンとNO x(NO、N 2Oのいずれか)を含むクリーニングガスを、金属膜のエッチングガスとして使用することが考えられる。しかしながら、本発明者が検討を行った結果、β-ジケトンガスを基板に供給して金属膜をエッチング処理する場合、金属の持つ触媒効果によってβ-ジケトンが分解され、処理後の基板に炭素を主成分とする膜(以下、カーボン膜と記載する)が残留する場合や、被処理体である半導体デバイスの構造にダメージを与える場合があった。本発明者らは、NO xガスを添加ガスとして用いる場合、エッチング時の基板の温度を低くすることで、カーボン膜の形成や被処理体へのダメージを抑制できることを見出したが、同時に金属膜のエッチング速度も低下してしまうという問題点があった。
[0009]
 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、金属膜をエッチングする速度を向上させることが可能な方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明者らは、β-ジケトンを利用して金属膜をエッチングする際に、NOなどの酸化性のガスだけでなく、水なども添加することにより、エッチング速度が高まることを見出し、本発明に至った。
[0011]
 本発明のエッチング方法は、基板上の金属膜に、エッチングガスを、100℃以上350℃以下の温度領域で接触させてエッチングするドライエッチング方法であって、前記エッチングガスはβ-ジケトンと第一添加ガスと第二添加ガスを含み、前記金属膜が、前記β-ジケトンと錯体を形成可能な金属元素を含み、前記第一添加ガスが、NO、N 2O、O 2及びO 3からなる群から選ばれる少なくとも1種のガスであり、前記第二添加ガスが、H 2O及びH 22からなる群から選ばれる少なくとも1種のガスであり、前記エッチングガスに含まれる前記β-ジケトンの量が前記エッチングガスに対して10体積%以上90体積%以下であり、前記エッチングガスに含まれる前記第二添加ガスの量が前記エッチングガスに対して0.1体積%以上15体積%以下であることを特徴とする。
[0012]
 本発明によれば、金属膜をエッチングする速度を向上させることが可能な方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 本発明の一実施形態に係るエッチング装置の概略図。
[図2] 本発明の一実施形態に係る充填済み容器の断面概略図。
[図3] 実施例・比較例における、エッチングガス中の水含有量とエッチング速度との関係を示すグラフ。

発明を実施するための形態

[0014]
 以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
[0015]
 (金属膜のエッチング方法)
 本発明は、基板上の金属膜をエッチングガスを用いてエッチングするドライエッチング方法であって、エッチングガスが、β-ジケトンと第一添加ガスと第二添加ガスを含み、金属膜が、β-ジケトンと錯体を形成可能な金属元素を含むことを特徴とするドライエッチング方法である。
[0016]
 本発明において、金属膜を含む処理対象物を配置したエッチング装置内にエッチングガスを導入し、加熱した状態の処理対象物の金属膜にエッチングガスを接触させると、β―ジケトンと金属原子が金属錯体を生成する。この金属錯体は蒸気圧が高いため、金属錯体が気化することにより金属膜を除去することができる。本発明は、エッチングガス中に第一添加ガスと第二添加ガスを含むことで、金属膜のエッチング速度を高速化することを特徴としている。
[0017]
 本発明では、酸化性を持つ第一添加ガスが金属膜を酸化し、さらに、β-ジケトンと金属膜を構成する金属原子と結合して金属錯体を形成可能な第二添加ガスを加えることで、エッチング速度が高速化すると考えられる。
[0018]
 なお、本発明においてエッチング速度の測定には、エッチング後の被処理体の重さと処理前の被処理体の重さとの差(重量変化)と、金属膜の比重から、単位時間当たりの膜厚の減少量(nm/min)を求める方法を用いた。
[0019]
 本発明のドライエッチング方法の対象となる金属膜は、β-ジケトンと錯体を形成可能な金属元素で成膜される。具体的には、Co、Fe、Ni、Zn、Hf、V及びCuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素が挙げられる。金属膜は上記の元素の何れか一種類からなる膜のみならず複数の元素で構成された金属膜でもよい。例えば、NiSi、CoSi、HfSi、NiCo、FeCo、CoPt、MnZn、NiZn、CuZn、FeNiなどの金属、及びそれらの酸化物膜が挙げられる。中でも、Coが含まれる金属膜に対して、本発明は有効である。なお、本発明において、基材は、公知の半導体基板やガラス基板等を用いることができる。
[0020]
 第一添加ガスとしては、NO、N 2O、O 2及びO 3からなる群から選ばれる少なくとも1種のガスである。また、第二添加ガスとしては、H 2O及びH 22からなる群から選ばれる少なくとも1種のガスである。
[0021]
 本発明に用いるβ-ジケトンとしては、例えば、ヘキサフルオロアセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセチルアセトン等が挙げられ、1種類だけでなく2種類以上の複数の種類を用いることができる。特に、高速にエッチング可能な点で、ヘキサフルオロアセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトンが好適である。金属膜のエッチング速度はエッチングガス中に含まれるβ-ジケトンの濃度上昇と共に上昇する。但し、β-ジケトンの蒸気圧が低く、成膜装置内で液化が生じる可能性が懸念される場合には、希釈ガスにより適宜濃度を調整することが好ましい。
[0022]
 エッチングガス中に含まれるβ-ジケトンの含有率は、十分なエッチング速度を得る観点から、エッチングガス組成中において、10体積%以上90体積%以下とすることが好ましく、30体積%以上60体積%以下であることがより好ましい。
[0023]
 エッチングガス中に含まれる第一添加ガスの含有率は、十分なエッチング速度を得る観点から、エッチングガス組成中において、0.01体積%以上10体積%以下とすることが好ましく、0.05体積%以上8体積%以下であることがより好ましく、0.1体積%以上5体積%以下であることがさらに好ましい。
[0024]
 エッチングガス中に含まれる第二添加ガスの含有率は、エッチングガス組成中において、0.1体積%以上15体積%以下であり、0.5体積%以上10質量%以下であることが好ましく、2体積%以上8質量%以下であることがより好ましい。なお、エッチングガス中に含まれる第二添加ガスのβ-ジケトンに対する割合は、0.5体積%以上50体積%以下であることが好ましく、1体積%以上20体積%以下であることがより好ましい。
[0025]
 さらに、エッチングガス中には、β-ジケトン、第一添加ガス、第二添加ガスに加えて、N 2、He、Ar、Ne、Kr等の不活性ガスを添加することも可能である。不活性ガスを添加する場合、適当な濃度に希釈して使用すれば濃度は限定されるものではないが、エッチングガス組成中において、通常、1体積%以上90体積%以下、好ましくは10体積%以上80体積%以下、より好ましくは30体積%以上50体積%以下の含有率で使用される。
[0026]
 (エッチング装置)
 本発明のドライエッチング方法は、例えば、図1に示すような半導体製造工程に使用される一般的なエッチング装置を使用することにより実現することができる。一実施形態において、本発明に係るエッチング装置100は、例えば、β-ジケトンと錯体を形成可能な金属元素を含む金属膜が形成された基材(被処理体112)を配置する処理容器110と、処理容器110に接続してβ-ジケトンを供給するβ-ジケトン供給部130と、第一添加ガスを供給する第一添加ガス供給部140と、第二添加ガスを供給する第二添加ガス供給部150と、不活性ガスを供給する不活性ガス供給部160と、処理容器110を加熱する加熱手段170と、を備える。ガス流量の制御部(図示せず)はβ-ジケトン供給部130、第一添加ガス供給部140、第二添加ガス供給部150などと接続し、β-ジケトンなどを被処理体112に供給するようにバルブの制御信号を出力する。
[0027]
 処理容器110は、被処理体112を配置するために、載置部111を具備する。処理容器110は、使用するβ-ジケトンに対する耐性があり、所定の圧力に減圧できるものであれば特に限定されるものではないが、通常、半導体のエッチング装置に備えられた一般的な処理容器などが適用される。また、エッチングガスを供給する供給管やその他の配管などもβ-ジケトンに対する耐性にあるものであれば特に限定されるものではなく一般的なものを使用することができる。
[0028]
 処理容器110には、β-ジケトン供給部130が接続する。β-ジケトン供給部130は、配管121を介して、β-ジケトンを処理容器110に供給する。図1において、バルブ135と流量調整手段133により、β-ジケトンの供給量が調整され、配管131から配管121に供給される。また、希釈ガスとして不活性ガスが、不活性ガス供給部160より、バルブ165と流量調整手段163により、供給量が調整され、配管161から配管121に供給される。また、第一添加ガス供給部140は、バルブ145と流量調整手段143で供給量を調整して、第一添加ガスを配管141から配管121に供給する。さらに、第二添加ガス供給部150は、バルブ155と流量調整手段153で供給量を調整して、第二添加ガスを配管151から配管121に供給する。
[0029]
 エッチング装置100において、β-ジケトンは、不活性ガス供給部160から供給される不活性ガスにより所定の濃度に希釈され、第一添加ガス供給部140から供給される第一添加ガス、第二添加ガス供給部150から供給される第二添加ガスと所定の濃度で混合した状態で、処理容器110に供給されることが好ましい。但し、β-ジケトンは不活性ガスにより希釈されなくても良い。
[0030]
 処理容器110の外部には、処理容器110を加熱する加熱手段170が配設される。また、載置部111の内部には、第2の加熱手段として、ヒーター(図示せず)を備えてもよい。なお、複数の載置部を処理容器110に配置する場合は、載置部毎にヒーターを備えることにより、それぞれの載置部を個別に所定の温度に設定することができる。
[0031]
 処理容器110の一方には、反応後のガスを排出するためのガス排出手段が配設される。ガス排出手段の真空ポンプ173により、配管171aを介して処理容器110から反応後のガスが排出される。反応後のガスは、配管171aと171bの間に配設された液体窒素トラップ175により回収される。配管171aと171bには、バルブ177aとバルブ177bを配設して、圧力を調整することができる。また、図1中、PI123及び125は、圧力計であり、その指示値を基に制御部が各流量調整手段及び各バルブを制御することができる。
[0032]
 エッチング装置100を例として、具体的にエッチング方法を説明する。β-ジケトンと錯体を形成可能な金属元素を含む金属膜が形成された基材(被処理体112)を配置する。真空ポンプ173により、処理容器110、配管121、配管131、配管141、配管151、配管161、液体窒素トラップ175、配管171a及び171bの内部を所定の圧力まで真空置換後、加熱手段170により、被処理体112を加熱する。所定の温度に到達したら、β-ジケトン供給部130と第一添加ガス供給部140と第二添加ガス供給部150と不活性ガス供給部160とからβ-ジケトンと第一添加ガスと第二添加ガスと希釈ガスを所定の流量で配管121に供給する。
[0033]
 希釈されたβ-ジケトンと添加剤は所定の組成で混合され、処理容器110に供給される。混合されたエッチングガスを処理容器110内に導入しながら、処理容器110内部を所定の圧力に制御する。所定の時間エッチングガスと金属膜を反応させることにより、金属膜のエッチングを行う。本発明ではプラズマレスでエッチング可能であり、エッチングの際、プラズマ等でのエッチングガスの励起は不要である。
[0034]
 エッチング終了後、加熱手段170による加熱を停止し降温するとともに、真空ポンプ173を停止し、真空を開放する。以上により、本発明に係る金属膜のエッチングを行うことができる。
[0035]
 (エッチング条件)
 次に本発明のエッチング方法において、エッチングの際の温度については、錯体が気化可能な温度であればよく、特に、除去対象の金属膜の温度が、100℃以上350℃以下であることが好ましく、150℃以上250℃未満の温度範囲であることがより好ましい。また、エッチング中の処理容器内の圧力は、特に制限されることはないが、通常、0.1kPa以上101.3kPa以下の圧力範囲である。
[0036]
 なお、除去対象の金属膜がコバルトを含み、β-ジケトンがヘキサフルオロアセチルアセトンであり、添加ガスが一酸化窒素である場合、300~400℃程度の高温でエッチングすると、ヘキサフルオロアセチルアセトンが分解してカーボン膜が形成される場合や、素子の構造にダメージを与える場合があるため、被処理体が150℃以上250℃未満に加熱されることが好ましく、200℃以上250℃未満に加熱されることがより好ましく、220℃以上250℃未満に加熱されることがさらに好ましい。上記の温度範囲であれば、充分なエッチング速度を得る観点から、処理容器内の圧力は、20Torr以上300Torr以下(2.67kPa以上39.9kPa以下)であることが好ましく、50Torr以上250Torr以下(6.67kPa以上33.3kPa以下)であることがより好ましく、100Torr以上200Torr以下(13.3kPa以上26.7kPa以下)であることがさらに好ましい。
[0037]
 エッチング時間は特に制限されるものではないが、半導体デバイス製造プロセスの効率を考慮すると、60分以内であることが好ましい。ここに、エッチング時間とは、エッチング処理が行われる内部に基板が設置されている処理容器の内部にエッチングガスを導入し、その後、エッチング処理を終える為に処理容器の内のエッチングガスを真空ポンプ等により排気するまでの時間を指す。
[0038]
 (被処理体の前処理)
 必要に応じて、被処理体の前処理を行っても良い。例えば、除去対象の金属膜がコバルトを含む場合、コバルト自然酸化膜を還元することで、自然酸化膜の厚さによるエッチング速度のばらつきを改善することができる。
[0039]
 還元性ガス供給部(図示せず)より、還元性ガスを被処理体112に供給することにより前処理を行うことができる。
[0040]
 還元性ガス供給工程において、還元性ガスは、水素ガスに限定されず、例えば、一酸化炭素(CO)、ホルムアルデヒド(HCHO)等のガスを用いることもできる。
[0041]
 還元性ガス供給工程においては、水素ガス等の還元性ガスのみが供給されてもよいが、窒素ガス等の希釈ガスによって還元性ガスが希釈されることが好ましい。
[0042]
 また、還元性ガス供給工程においては、β-ジケトン及び一酸化窒素ガスは供給されないことが好ましい。具体的には、還元性ガス供給工程において供給されるガスの全量に対するβ-ジケトン及び一酸化窒素ガスの量の割合は、それぞれ、0.01体積%未満であることが好ましく、0.001体積%未満であることがより好ましく、0体積%であることが特に好ましい。
[0043]
 還元性ガス供給工程の処理温度は、自然酸化膜を還元可能な温度であれば特に限定されないが、還元性ガス供給工程の処理温度が低いと、還元反応がほとんど進行しない。また、還元性ガス供給工程の処理温度は高くてもよいが、エッチング装置の運用上、第1混合ガス供給工程の処理温度と同じであることが好ましい。以上より、還元性ガス供給工程では、被処理体が100℃以上350℃以下に加熱されることが好ましく、150℃以上250℃以下に加熱されることがより好ましく、200℃以上250℃以下に加熱されることがさらに好ましい。
[0044]
 還元性ガス供給工程において、還元性ガスの流量は、処理容器の容積に依存する。還元性ガス供給工程において、処理容器内の圧力は特に限定されないが、例えば10~500Torr(1.33~66.5kPa)の範囲で装置に合わせて適宜設定すればよい。
[0045]
 還元性ガス供給工程の処理時間は、基板に形成した金属膜の成膜方法等に応じて適宜調整すればよい。
[0046]
 (充填済み容器)
 本発明のβ-ジケトン供給部130には、図2に示すような密閉容器201中にβ-ジケトンを充填したβ-ジケトン充填済み容器200を使用できる。β-ジケトン充填済み容器200は、液体状態のβ-ジケトンを密閉容器201に充填して得られ、密閉容器201中ではβ-ジケトンは液相213と気相211に分かれている。密閉容器201には、β-ジケトンの充填と取出が可能な取出口203が取り付けられており、気相211のβ-ジケトンをガス状態で供給することができる。なお、β-ジケトン充填済み容器200からガス状態のβ-ジケトンを供給する場合、β-ジケトン充填済み容器200を加熱し、液相213のβ-ジケトンの揮発熱を補う必要がある。
[0047]
 また、密閉容器201に充填する液体状態のβ-ジケトン中のβ-ジケトン含有量(純度)は、99質量%以上が好ましく、99.5質量%以上がより好ましく、99.9質量%以上がさらに好ましい。液体状態のβ-ジケトン中のβ-ジケトン含有量(純度)をガスクロマトグラフィーにて測定することができる。
[0048]
 (半導体デバイス)
 本発明に係るエッチング方法は、従来の半導体デバイスの金属膜に所定のパターンを形成するためのエッチング方法として使用可能である。本発明に係る半導体デバイスは、本発明に係るエッチング方法によりエッチングした金属膜を用いることにより、安価に製造することができる。このような半導体デバイスとして、例えば、太陽電池、ハードディスクドライブ、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ、相変化型メモリ、強誘電体メモリ、磁気抵抗メモリ、抵抗変化型メモリ、MEMS等を挙げることができる。
実施例
[0049]
 以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は係る実施例に限定されるものではない。金属膜のエッチング試験において、エッチングガス中の水含有量とエッチング速度との関係について検討した。
[0050]
 まず、純度99.9質量%以上の液体状態のヘキサフルオロアセチルアセトン(HFAc)を、密閉容器に充填し、β-ジケトン充填済み容器を得た。
[0051]
 エッチング装置は、図1に示したエッチング装置100に準じ、被処理体112としてコバルト箔(形状2cm×2cm、厚さ0.1mm)を用いた。また、前述のβ-ジケトン充填済み容器を、β-ジケトン供給装置に使用した。
[0052]
 処理容器110及び配管121、配管131、配管141、配管151、配管161、液体窒素トラップ175、配管171a及び171bの内部を10Pa未満まで真空置換後、加熱手段170及び載置部111の内部に配設したヒーターにより載置部111に乗せてある、重さを測定した被処理体を加熱した。加熱手段170及び載置部111の内部に配設したヒーターが220℃に達したことを確認後、図示しない水素ガス供給部より水素ガス10sccmを圧力50Torrで5分間供給し、前処理である還元ガス供給工程を行った。前処理終了後再び10Pa未満まで真空置換した後、β-ジケトンと第一添加ガスと第二添加ガスと不活性ガスを所定の流量で配管121に供給することで、エッチングガスを処理容器110内に導入しながら、処理容器110内部を所定の圧力に制御した。導入開始後、所定時間経過した後、エッチングガスの導入を停止し、処理容器110内部を真空開放後、被処理体を取り出して重さを測定し、試験前後の被処理体の重量変化に基づく厚さの減少量とエッチング時間よりエッチング速度を算出した。
[0053]
 本実施例のエッチング試験において、被処理体の温度は220℃、導入するエッチングガスの総量は100sccm、第一添加ガスはNO、第二添加ガスはH 2O、希釈ガスはN 2、圧力は100Torr、エッチング時間は2.5分とした。
[0054]
 表1に、実施例および比較例における各エッチング条件のエッチング速度について示した。また、図3に、エッチングガス中の水含有量と、エッチング速度との関係を示した。
[表1]


[0055]
 図3より、エッチングガスに第二添加ガスを加えた実施例1~6においては、加えなかった比較例1のエッチング速度に対して、エッチング速度が21nm/min以上であり、2倍程度以上に高まった。特に、水含有量が2~8体積%である実施例3~5において、エッチング速度が特に高くなった。なお、各実施例及び比較例において、被処理体の温度が220℃と低いことから、カーボン膜の生成は確認されなかった。

符号の説明

[0056]
 100:エッチング装置
 110:処理容器
 111:載置部
 112:被処理体
 121:配管
 130:β-ジケトン供給部
 131:配管
 133:流量調整手段
 135:バルブ
 140:第一添加ガス供給部
 141:配管
 143:流量調整手段
 145:バルブ
 150:第二添加ガス供給部
 151:配管
 153:流量調整手段
 155:バルブ
 160:不活性ガス供給部
 161:配管
 163:流量調整手段
 165:バルブ
 170:加熱手段
 171a、b:配管
 173:真空ポンプ
 175:液体窒素トラップ
 177a、b:バルブ
 200:β-ジケトン充填済み容器
 201:密閉容器
 203:取出口
 211:気相
 213:液相

請求の範囲

[請求項1]
 基板上の金属膜に、エッチングガスを、100℃以上350℃以下の温度領域で接触させてエッチングするドライエッチング方法であって、
 前記エッチングガスが、β-ジケトンと第一添加ガスと第二添加ガスを含み、
 前記金属膜が、前記β-ジケトンと錯体を形成可能な金属元素を含み、
 前記第一添加ガスが、NO、N 2O、O 2及びO 3からなる群から選ばれる少なくとも1種のガスであり、
 前記第二添加ガスが、H 2O及びH 22からなる群から選ばれる少なくとも1種のガスであり、
 前記エッチングガスに含まれる前記β-ジケトンの量が、前記エッチングガスに対して10体積%以上90体積%以下であり、
 前記エッチングガスに含まれる前記第二添加ガスの量が、前記エッチングガスに対して0.1体積%以上15体積%以下であることを特徴とするドライエッチング方法。
[請求項2]
 前記エッチングガスを、150℃以上250℃未満の温度領域で、前記金属膜と接触させることを特徴とする請求項1に記載のドライエッチング方法。
[請求項3]
 前記エッチングガスに含まれる前記第二添加ガスの量が、前記エッチングガスに対して0.5体積%以上10体積%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のドライエッチング方法。
[請求項4]
 前記エッチングガスに含まれる前記第二添加ガスの量が、前記エッチングガスに対して2体積%以上8体積%以下であることを特徴とする請求項3に記載のドライエッチング方法。
[請求項5]
 前記エッチングガスに含まれる前記第二添加ガスの量が、前記エッチングガスに含まれる前記β-ジケトンに対して0.5体積%以上50体積%以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のドライエッチング方法。
[請求項6]
 前記エッチングガスに含まれる前記第一添加ガスの量が、前記エッチングガスに対して0.01体積%以上10体積%以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のドライエッチング方法。
[請求項7]
 前記金属元素が、Co、Fe、Ni、Zn、Hf、V及びCuからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のドライエッチング方法。
[請求項8]
 前記β-ジケトンが、ヘキサフルオロアセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン及びアセチルアセトンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のドライエッチング方法。
[請求項9]
 前記金属膜はコバルトを含み、
 前記エッチングガスはβ-ジケトンとしてヘキサフルオロアセチルアセトンと、第一添加ガスとしてNOと、第二添加ガスとしてH 2Oを含み、
 前記エッチングガスに含まれるH 2Oガスの量が、前記エッチングガスに対して0.5体積%以上10体積%以下であり、
 前記エッチングガスを、150℃以上250℃未満の温度領域で、前記金属膜と接触させることを特徴とする請求項1に記載のドライエッチング方法。
[請求項10]
 さらに、前記エッチングガスが、N 2、Ar、He、Ne及びKrからなる群から選ばれる少なくとも1種の不活性ガスを含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のドライエッチング方法。
[請求項11]
 前記エッチングの前に、基板上の金属膜に、還元性ガスを供給する前処理工程を含む請求項1に記載のドライエッチング方法。
[請求項12]
 基板上の金属膜を請求項1~11のいずれか1項に記載のドライエッチング方法でエッチングする工程を含む半導体デバイスの製造方法。
[請求項13]
 加熱可能な処理容器内に設けられ、金属膜が表面に形成された被処理体を載置する載置部と、
 β-ジケトンを前記被処理体に供給するβ-ジケトン供給部と、
 NO、N 2O、O 2及びO 3からなる群から選ばれる少なくとも1種のガスである第一添加ガスを前記被処理体に供給する第一添加ガス供給部と、
 H 2O及びH 22からなる群から選ばれる少なくとも1種のガスである第二添加ガスを前記被処理体に供給する第二添加ガス供給部と、
 前記β-ジケトンと前記第一添加ガスと前記第二添加ガスを、前記β-ジケトン及び前記第二添加ガスの量が、被処理体に供給されるガスの合計に対して、それぞれ10体積%以上90体積%以下及び0.1体積%以上15体積%以下であるように、100℃以上350℃以下の温度領域に加熱した前記被処理体に供給するように制御信号を出力する制御部と、を備えることを特徴とするエッチング装置。
[請求項14]
 還元性ガスを前記被処理体に供給する還元性ガス供給部をさらに備え、
 前記制御部は、前記エッチングガスと前記添加ガスを被処理体に供給する前に、前記還元性ガスを前記被処理体に供給するようにバルブの制御信号を出力する請求項13に記載のエッチング装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]