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1. (WO2018123931) バインダ組成物
Document

明 細 書

発明の名称 バインダ組成物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011  

発明の効果

0012   0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033  

実施例

0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : バインダ組成物

技術分野

[0001]
 本発明は、アスファルト舗装の再利用に用いられ、特に冬期や寒冷地のような低温時においても良好な流動性を有するバインダ組成物に関する。

背景技術

[0002]
 従来、アスファルト舗装の再利用(リサイクル)において、アスファルト再生用の添加剤が用いられる。この理由として、供用後のアスファルト舗装中に存在する、劣化したアスファルトの性状回復が挙げられる。アスファルトが劣化することで、アスファルト中の芳香族分が減少することが知られている(遠西智次,「改質アスファルトの物理科学的特性に関する研究」,財団法人土木研究センター平成6年度部外研究員報告書概要版,平成7年6月,p.167-170、立石大作,「改質アスファルトの物理科学的特性に関する研究」,財団法人土木研究センター平成6年度部外研究員報告書概要版,平成8年6月,p.229-232)。このため、芳香族分を補うためにエキストラクト等の高芳香族系鉱油等を添加することがある。
[0003]
 しかしながら、芳香族分を多く含む添加剤は、高い粘度を示す。このため、添加剤の流動性が乏しく、作業性が低下するという問題点がある。また、添加剤の粘度を下げる場合、引火点や密度が低下する傾向にあるため、安全性やアスファルトとの混合性に問題が生じる。
[0004]
 この点、特許文献1では、芳香族含有量を減らさずに、常温での流動性を向上させるアスファルトバインダー(バインダ組成物)が提案されている。特許文献1では、25℃における0.1rad/秒での複素弾性率を10.00Pa以下としているため、常温での流動性に優れており、従来の添加剤に比べて作業性を良好にすることができるアスファルトバインダーが開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2008-56742号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、特許文献1に開示されたアスファルトバインダーは、冬期や寒冷地のような低温時(例えば0℃)で使用した場合、増粘に伴い流動性が乏しくなる。これにより、低温時において作業性が低下するという問題が生じる。
[0007]
 そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、冬期等の低温時においても作業性の低下を抑制するバインダ組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0008]
 請求項1記載のバインダ組成物は、上述した課題を解決するために、溶剤抽出油:63.0以上77.0重量%以下と、潤滑油基油:20.0以上25.0重量%以下と、アスファルト:1.0以上12.0重量%以下と、を含有し、上記アスファルトの含有量Yと上記潤滑油基油の含有量Xとの関係が、Y≧-5/2×X+56を満たし、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が10.00Pa以下であることを特徴とする。
[0009]
 請求項2記載のバインダ組成物は、請求項1の発明において、引火点が250℃以上であることを特徴とする。
[0010]
 請求項3記載のバインダ組成物は、請求項1又は2の発明において、上記アスファルトは、溶剤脱れきアスファルトであることを特徴とする。
[0011]
 請求項4記載のバインダ組成物は、請求項1~3の何れか1項記載の発明において、上記潤滑油基油の動粘度が40℃において20.0mm /秒以上、30.0mm /秒以下、及び100℃において3.0mm /秒以上、6.0mm /秒以下であることを特徴とする。

発明の効果

[0012]
 上述した構成からなる本発明を適用したバインダ組成物は、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が10.00Pa以下である。このため、冬期や寒冷地等のような低温時においても、流動性に優れている。これにより、低温時においても、作業性の低下を抑制することが可能である。
[0013]
 また、本発明を適用したバインダ組成物は、溶剤抽出油を多く含有し、芳香族分を多く含む。このため、劣化したアスファルトの芳香族分を補うことが可能である。これにより、新規アスファルト舗装と同等の特性を有する再生アスファルト舗装が得られる。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 図1は、潤滑油基油の含有量と、アスファルトの含有量との関係をプロットした図である。

発明を実施するための形態

[0015]
 以下、本発明を適用したバインダ組成物の実施の形態について、詳細に説明する。
[0016]
 本発明者は、アスファルト再生用の軟化剤、ゴム伸展油及びゴム配合油等として使用されるバインダ組成物について、低温時においても良好な流動性を有し、作業性の低下を抑制するために、鋭意実験研究を行った。その結果、このような使用状況下、特に、流動を開始するときは、バインダ組成物に極めてゆっくりとした力(保存容器からの流出であれば重力、ポンプによる移送であれば圧力)が作用することから、0℃において、0.1rad/秒(0.0159Hz)というゆっくりとした周波数での複素弾性率を測定し、その値が10.00Pa以下であれば、こられの作業において求められている流動性が得られることを見出した。さらに、従来、アスファルト用添加剤として使用されていた溶剤抽出油に、潤滑油基油及びアスファルトを添加すると、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が10.00Pa以下となることを見出し、本発明に至った。
[0017]
 即ち、本発明を適用したバインダ組成物は、溶剤抽出油:63.0以上77.0重量%以下と、潤滑油基油:20.0以上25.0重量%以下と、アスファルト:1.0以上12.0重量%以下とを含有する。また、アスファルトの含有量Yと潤滑油基油の含有量Xとの関係が、Y≧-5/2×X+56を満たす。そして、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が10.00Pa以下である。
[0018]
 以下、本発明を適用したバインダ組成物における数値限定理由について説明する。
[0019]
溶剤抽出油:63.0以上77.0重量%以下
 溶剤抽出油は、芳香族分を多く含み、主に劣化したアスファルトの芳香族分を補うために添加され、軟化剤として作用する成分である。溶剤抽出油は、原油から潤滑油を製造する際の溶剤抽出過程で生成される抽出油であり、芳香族分及びナフテン分に富んだ油状物質である(「石油製品のできるまで」,図6-1“一般的な潤滑油製造工程”,石油連盟発行,昭和46年11月,p.99、及び「新石油辞典」,石油学会編,1982年,p.304参照)。溶剤抽出油の含有量は、63.0以上77.0重量%以下であり、本発明を適用したバインダ組成物のベース材として用いられる。このため、本発明を適用したバインダ組成物は、芳香族分を多く含むことができる。
[0020]
 溶剤抽出油の含有量が77.0重量%を超える場合、バインダ組成物の複素弾性率が高くなる。このため、低温時におけるバインダ組成物の流動性が乏しく、作業性が低下する。溶剤抽出油の含有量が63.0重量%未満の場合、バインダ組成物の芳香族分が少なくなる。このため、劣化したアスファルトの芳香族分を補うことができず、新規アスファルト舗装と同等の特性を達成できない。また、溶剤抽出油の含有量が63.0重量%未満の場合、潤滑油基油又はアスファルトの含有量が多くなる。潤滑油基油の含有量が多くなる場合、バインダ組成物の引火点が低下し、250℃未満となる。このため、作業時における安全性の悪化、及び保管の難易度が高まる。また、アスファルトの含有量が多くなる場合、バインダ組成物の複素弾性率が高くなる。このため、低温時におけるバインダ組成物の流動性が乏しく、作業性が低下する。よって、溶剤抽出油の含有量は、63.0以上77.0重量%以下とする。なお、溶剤抽出油は、60℃における動粘度が400.0~600.0mm /秒、及び15℃における密度が0.9600~0.9900g/cm の少なくとも何れかであることが望ましい。
[0021]
潤滑油基油:20.0以上25.0重量%以下
 潤滑油基油は、主に溶剤抽出油の動粘度を低下させるために添加される。潤滑油基油の生成方法として、例えば、プロパン脱れき法を用いて減圧蒸留残油から脱れき油を抽出し、溶剤抽出法を用いて脱れき油から精製油を抽出し、溶剤脱ろう法を用いて精製油から脱ろう油を抽出し、水素化精製法を用いて脱ろう油から潤滑油基油を生成する方法が用いられる。潤滑油基油の含有量は、20.0以上25.0重量%以下である。このため、本発明を適用したバインダ組成物の引火点は、250℃以上を保ち、溶剤抽出油の動粘度を十分に低下させることができる。
[0022]
 潤滑油基油の含有量が25.0重量%を超える場合、バインダ組成物の引火点が250℃未満となる。このため、危険物(第4類第四石油類)に該当し、作業時における安全性の悪化、及び保管の難易度が高まる。潤滑油基油の含有量が20.0重量%未満の場合、溶剤抽出油の動粘度を十分に低下させることができず、バインダ組成物の複素弾性率が高くなる。このため、低温時におけるバインダ組成物の流動性が乏しく、作業性が低下する。よって、潤滑油基油の含有量は、20.0以上25.0重量%以下とする。なお、潤滑油基油は、動粘度が40℃において20.0mm /秒以上、30.0mm /秒以下、及び100℃において3.0mm /秒以上、6.0mm /秒以下、15℃における密度が0.8500~0.8700g/cm 、並びに引火点が210℃以上の少なくとも何れかであることが望ましい。
[0023]
アスファルト:1.0以上12.0重量%以下
 アスファルトは、主に溶剤抽出油と潤滑油基油との混合物における流動性を向上させるために添加される。アスファルトとして、例えば、ストレートアスファルト(JIS K 2207 参照)、ブローンアスファルト(JIS K 2207 参照)セミブローンアスファルト(「アスファルト舗装要綱」,社団法人日本道路協会発行,平成9年1月13日,p.51,表-3.3.4 参照)、溶剤脱れきアスファルト(「新石油辞典」,石油学会編,1982年,p.308 参照)等のアスファルト又はこれらの混合物が用いられる。アスファルトの含有量は、1.0以上12.0重量%以下である。このため、本発明を適用したバインダ組成物の0℃における0.1rad/秒での複素弾性率を10.00Pa以下に保つことができる。
[0024]
 アスファルトの含有量が12.0重量%を超える場合、バインダ組成物内に占めるアスファルトの含有量が多過ぎるため、溶剤抽出油と潤滑油基油との混合物における流動性の向上を阻害する。このため、バインダ組成物の複素弾性率が高くなり、流動性が乏しく、作業性が低下する。アスファルトの含有量が1.0重量%未満の場合、バインダ組成物内に占めるアスファルトの含有量が少な過ぎるため、溶剤抽出油と潤滑油基油との混合物における流動性の向上に寄与できない。このため、バインダ組成物の複素弾性率が高くなり、流動性が乏しく、作業性が低下する。よって、アスファルトの含有量は、1.0以上12.0重量%以下とする。
[0025]
 なお、本発明を適用したバインダ組成物では、溶剤脱れきアスファルトを用いることが望ましい。溶剤脱れきアスファルトは、他のアスファルトに比べて密度が高いため、バインダ組成物の密度を向上させることが可能である。また、溶剤脱れきアスファルトは、他のアスファルトに比べて、芳香族分が多い。このため、劣化したアスファルトの芳香族分を補うことができる。なお、溶剤脱れきアスファルトは、針入度が3~20(0.1mm)、軟化点が56.0~70.0℃、及び15℃における密度が1.0600~1.0700g/cm の少なくとも何れかであることが望ましい。
[0026]
アスファルトの含有量Yと潤滑油基油の含有量Xとの関係が、Y≧-5/2×X+56を満たす
 本発明を適用したバインダ組成物は、アスファルトの含有量Yと潤滑油基油の含有量Xとの関係が、Y≧-5/2×X+56を満たす。このため、本発明を適用したバインダ組成物の0℃における0.1rad/秒での複素弾性率を10.00Pa以下に保つことができる。
[0027]
 アスファルトの含有量Yと潤滑油基油の含有量Xとの関係が、Y<-5/2×X+56の場合、バインダ組成物の複素弾性率の低下に寄与するアスファルト及び潤滑油基油の少なくとも何れかが少なくなる。アスファルトの含有量が少ない場合、溶剤抽出油と潤滑油基油との混合物における流動性の向上に寄与できない。潤滑油基油が少ない場合、溶剤抽出油の動粘度を十分に低下させることができず、バインダ組成物の複素弾性率が高くなる。これらのため、低温時におけるバインダ組成物の流動性が乏しく、作業性が低下する。よって、バインダ組成物におけるアスファルトの含有量Yと潤滑油基油の含有量Xとの関係は、Y≧-5/2×X+56を満たすこととする。なお、バインダ組成物におけるアスファルトの含有量Yと潤滑油基油の含有量Xとの関係が、Y≧-11/2.8×X+90.4を満たす場合、アスファルト及び潤滑油基油の含有量が多くなり、安定した複素弾性率を有するバインダ組成物を形成させることができる。
[0028]
0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が10.00Pa以下
 前述したように、本発明において作業性低下の抑制を目指しているのは、0℃付近の低温時においてゆっくりとした力が作用する作業時である。この作業を実現するためには、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が10.00Paを超えると、低温ではほとんど流動しなくなる。このため、例えば保存容器から流出及びポンプ移送時の作業性が低下する。よって、本発明を適用したバインダ組成物では、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率を10.00Pa以下とする。
[0029]
 なお、複素弾性率G は、舗装調査・試験法便覧(社団法人日本道路協会編)に規定されているダイナミックシアレオメータ(DSR)試験方法に準拠して測定した。本試験の測定原理は、バインダ組成物を2枚の平行円盤(直径が50mm)間に挟み、一方の円盤に所定の周波数の正弦波歪み(歪みが10%)を加え、バインダ組成物(厚さが1mm)を介して他方の円盤に伝わる正弦的応力σを測定し、正弦的応力と正弦波歪みから複素弾性率を求めるというものである。そして、その測定結果に基づき、下記数式(1)から複素弾性率G を求める。ここで、下記数式(1)におけるγは平行円盤に加えた最大歪みである。
[0030]
[数1]


[0031]
潤滑油基油の動粘度が40℃において20.0mm /秒以上、30.0mm /秒以下、及び100℃において3.0mm /秒以上、6.0mm /秒以下
 潤滑油基油の動粘度は、動粘度が40℃において20.0mm /秒以上、30.0mm /秒以下、及び100℃において3.0mm /秒以上、6.0mm /秒以下であることが望ましい。潤滑油基油の動粘度が40℃において30.0mm /秒、及び100℃において6.0mm /秒の少なくとも何れかを超える場合、溶剤抽出油の動粘度を十分に低下させることができず、バインダ組成物の複素弾性率が高くなり得る。このため、低温時におけるバインダ組成物の流動性が乏しく、作業性が低下し得る。また潤滑油基油の動粘度が40℃において20.0mm /秒、及び100℃において3.0mm /秒の少なくとも何れかを下回る場合、潤滑油基油の引火点が低くなりすぎ、バインダ組成物の引火点が250℃未満となり、作業時における安全性の悪化や、保管の難易度が高くなる。
[0032]
上述したように、本発明を適用したバインダ組成物において、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率を10.00Pa以下としている。このため、低温時において流動性に優れており、保存容器からの流出及びポンプ移送といったゆっくりとした力が作用する作業における作業性を良好にすることができる。
[0033]
 なお、本発明を適用したバインダ組成物は、ベース材の溶剤抽出油、潤滑油基油、及びアスファルトに加え、例えば炭素数3~18である飽和脂肪酸若しくは不飽和脂肪酸、又はこれらの混合物若しくは2量体を含有してもよい他、ポリマー等を含有してもよい。
実施例
[0034]
 以下、本発明を適用したバインダ組成物の特性について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。
[0035]
 本実施例において、溶剤抽出油と、潤滑油基油と、アスファルトとを、下記表1の割合で混合し、実施例及び比較例のバインダ組成物を作製し、複素弾性率、引火点、及びアニリン点を測定した。
[0036]
 溶剤抽出油として、15℃における密度が0.9750g/cm 、40℃における粘度が2830mPa・秒、60℃における粘度が473mPa・秒、引火点が332℃、芳香族分が73.2%、アニリン点が70.2℃のものを使用した。
[0037]
 潤滑油基油として、動粘度が40℃において24.6mm /秒、及び100℃において4.69mm /秒、15℃における密度が0.8619g/cm 、流動点が-15.0℃、引火点が228℃、芳香族分が6.7%、アニリン点が101.7℃のもの(表1の潤滑油基油1)を使用した。
[0038]
 アスファルトとして、針入度12、軟化点65.0℃、15℃における密度が1.0600g/cm 、引火点が362℃の溶剤脱れきアスファルト(表1のアスファルト1)、及び針入度68、軟化点47.5℃、15℃における密度が1.0360g/cm 、引火点が366℃のストレートアスファルト(表1のアスファルト2)を使用した。
[0039]
 また、潤滑油基油の比較例として、動粘度が40℃において489.0mm /秒、及び100℃において32.5mm /秒、15℃における密度が0.9022g/cm 、流動点が-10.0℃、引火点が320℃、芳香族分が13.1%、アニリン点が121.5℃のもの(表1の潤滑油基油2)を使用した。
[0040]
 なお、複素弾性率は、上記のDSR試験方法に準拠して測定した。引火点は、JIS K2265-4「引火点の求め方-第4部:クリーブランド開放法」の条件の下、クリーブランド開放式(COC)自動引火点測定装置によって測定した。アニリン点は、JIS K2256「石油製品-アニリン点及び混合アニリン点の求め方」の条件の下、測定した。
[0041]
 なお、流動点は、JIS K2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」の条件の下、動粘度はJIS K2283「原油及び石油製品-動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」の条件の下、測定した。
[0042]
[表1]


 表1に示すように、アスファルトを含有しない比較例3では、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が39.60Paである。また、アスファルトの含有量が13.5重量%の比較例5では、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が10.40Paである。このため、アスファルトの含有量が1.0重量%未満の比較例3、及び12.0重量%を超える比較例5のバインダ組成物では、低温時における流動性が乏しく、作業性が低下する。
[0043]
 これに対し、アスファルトの含有量が1.0以上12.0重量%以下の実施例1~11では、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が10.00Pa以下である。このため、実施例1~11のバインダ組成物では、低温時における流動性に優れており、作業性の低下を抑制することが可能である。また、溶剤脱れきアスファルトの代わりに、ストレートアスファルトを3.5重量%含む実施例12においても、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が4.81Paである。このため、実施例12のバインダ組成物においても、低温時における流動性に優れており、作業性の低下を抑制することが可能である。
[0044]
 また、潤滑油基油の含有量が26.0重量%の比較例4では、バインダ組成物の引火点が250℃未満となる。このため、作業時における安全性の悪化や、保管の難易度が高くなる。また、例えば比較例5に示すように、潤滑油基油の含有量が20.0重量%未満の場合、上述したアスファルトの含有量が上限値を超える他、潤滑油基油の含有量に対する溶剤抽出油の含有量の割合が多くなる。このため、溶剤抽出油の動粘度を十分に低下させることができない。これにより、バインダ組成物の複素弾性率が高くなり、低温時における流動性が乏しく、作業性が低下する。
[0045]
 これに対し、潤滑油基油の含有量が20.0以上25.0%以下の実施例1~12では、バインダ組成物の引火点が250℃以上となる。このため、実施例1~12のバインダ組成物では、作業時における安全性の向上、及び保管の難易度を容易にすることが可能である。
[0046]
 図1は、各実施例1~11及び比較例1~7における潤滑油基油の含有量と、アスファルトの含有量との関係をプロットした図である。プロット周辺の数値は、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率(単位のPaは省略している)を示す。図1の実線及び破線は、潤滑油基油及びアスファルトの含有量における下限及び上限の境界線を示す。図1の一点鎖線及び二点鎖線は、アスファルトの含有量と、潤滑油基油の含有量との関係における下限の境界線を示す。
[0047]
 図1に示すように、アスファルトの含有量Yと、潤滑油基油の含有量Xとの関係における下限の境界線Y=-5/2×X+56よりも下にプロットされた比較例1、2、6、及び7は、それぞれ0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が15.20Pa、15.00Pa、11.10Pa、及び17.80Paである。このため、Y≧-5/2×X+56の関係を満たさない比較例1、2、6、及び7のバインダ組成物では、低温時における流動性が乏しく、作業性が低下する。
[0048]
 これに対し、実施例1~11は、アスファルトの含有量Yと、潤滑油基油の含有量Xとの関係における下限の境界線Y=-5/2×X+56上、並びに潤滑油基油及びアスファルトの含有量における上限及び下限の境界線上、又は各境界線に囲まれた領域内にプロットされる。実施例1~11は、それぞれ0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が10.00Pa以下である。すなわち、各境界線上、又は各境界線に囲まれた領域内にプロットされたバインダ組成物では、低温時における流動性に優れており、作業性の低下を抑制することが可能である。
[0049]
 なお、実施例3~5、7~11は、アスファルトの含有量Yと、潤滑油基油の含有量Xとの関係における下限の境界線Y=-11/2.8×X+90.4上、並びに潤滑油基油及びアスファルトの含有量における上限及び下限の境界線上、又は各境界線に囲まれた領域内にプロットされる。このため、実施例3~5、7~11のバインダ組成物には、アスファルト及び潤滑油基油の含有量が多くなり、安定した複素弾性率を有するバインダ組成物を形成させることができる。
[0050]
 なお、表1に示した比較例8は、潤滑油基油2を含有する。潤滑油基油2は、上述したように潤滑油基油1に比べて動粘度が高く、40℃において30.0mm /秒、及び100℃において6.0mm /秒を大幅に超える。このため、溶剤抽出油、潤滑油基油、及びアスファルトの含有量が各実施例1~12と同様の範囲内においても、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が10.00Pa以上となり得る。
[0051]
 また、実施例1~12における溶剤抽出油の含有量は、63.0以上77.0重量%以下であり、これらのアニリン点は、何れも80.0℃以下である。これにより、実施例1~12のバインダ組成物には、芳香族分が多く含まれることがわかる。
[0052]
 上記より、本発明を適用したバインダ組成物は、溶剤抽出油:63.0以上77.0重量%以下と、潤滑油基油:20.0以上25.0重量%以下と、アスファルト:1.0以上12.0重量%以下とを含有する。また、アスファルトの含有量Yと潤滑油基油の含有量Xとの関係が、Y≧-5/2×X+56を満たす。そして、0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が10.00Pa以下である。このため、冬期や寒冷地等のような低温時においても、流動性に優れている。これにより、低温時においても、作業性の低下を抑制することが可能である。
[0053]
 また、本発明を適用したバインダ組成物は、ベース材として溶剤抽出油を多く含有し、アニリン点が80.0℃以下であり、芳香族分を多く含む。このため、劣化したアスファルトの芳香族分を補うことが可能である。これにより、新規アスファルト舗装と同等の特性を有する再生アスファルト舗装が得られる。
[0054]
 また、本発明を適用したバインダ組成物は、引火点が250℃以上である。これにより、アスファルトの安全性が増すため、取り扱いや保管が容易になる。
[0055]
 また、本発明を適用したバインダ組成物に含有される潤滑油基油の動粘度は、40℃において20.0mm /秒以上、30.0mm /秒以下、及び100℃において3.0mm /秒以上、6.0mm /秒以下である。これにより、材料特性のバラつきを抑制することができ、低温時における作業性の低下の抑制を、容易に達成することが可能である。
[0056]
 なお、本発明を適用したバインダ組成物は、低温時以外の環境において用いられてもよい。
[0057]
 本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

請求の範囲

[請求項1]
 溶剤抽出油:63.0以上77.0重量%以下と、
 潤滑油基油:20.0以上25.0重量%以下と、
 アスファルト:1.0以上12.0重量%以下と、
 を含有し、
 上記アスファルトの含有量Yと上記潤滑油基油の含有量Xとの関係が、Y≧-5/2×X+56を満たし、
 0℃における0.1rad/秒での複素弾性率が10.00Pa以下であること
 を特徴とするバインダ組成物。
[請求項2]
 引火点が250℃以上であること
 を特徴とする請求項1記載のバインダ組成物。
[請求項3]
 上記アスファルトは、溶剤脱れきアスファルトであること
 を特徴とする請求項1又は2記載のバインダ組成物。
[請求項4]
 上記潤滑油基油の動粘度が40℃において20.0mm /秒以上、30.0mm /秒以下、及び100℃において3.0mm /秒以上、6.0mm /秒以下であること
 を特徴とする請求項1~3の何れか1項記載のバインダ組成物。

図面

[ 図 1]