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1. (WO2018123123) アルカリ乾電池
Document

明 細 書

発明の名称 アルカリ乾電池

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

0007   0008   0009   0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062  

産業上の利用可能性

0063  

符号の説明

0064  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1A   1B   2A   2B   3A   3B   4   5  

明 細 書

発明の名称 : アルカリ乾電池

技術分野

[0001]
 本発明は、アルカリ乾電池に関し、中でも電池ケースの開口を封口する封口ユニットが備えるガスケットの構造に関する。

背景技術

[0002]
 アルカリ乾電池は、開口を有する電池ケースと、電池ケース内に収容された発電要素と、電池ケースの開口を封口する封口ユニットとを備える。封口ユニットは、負極端子板と、負極端子板に接合された負極集電子と、ガスケットとを備える。ガスケットは、負極集電子を貫通させるボス部と、電池ケースの開口端部に接する外周部と、ボス部と外周部とを連結する連結部とを備える。連結部のボス部に隣接する内周領域には、防爆機能を有する薄肉部が形成されている。
[0003]
 電池が誤用されると、電池内圧が異常上昇することがある。電池内圧が異常上昇すると、連結部が負極端子板に向けて膨らみ、薄肉部に張力がかかり、薄肉部が破断する。これにより、電池内で発生したガスは、負極端子板に形成されたガス抜き孔から電池外に排出される。よって、電池の安全性が確保される。
[0004]
 薄肉部が破断するためには、連結部が負極端子板に向けて膨らむための空間が必要である。しかし、電池が誤用されたときに、電池温度が上昇し、ガスケットが軟化すると、軟化したボス部が負極集電子との摩擦力に抗して負極端子板側に押し上げられることがある。これにより、連結部と負極端子板との距離が近くなり、連結部が十分に膨らむ前に負極端子板に接するようになり、薄肉部の破断が困難になる。
[0005]
 なお、特許文献1は、ガスケットのボス部の外径と負極集電子の鍔部の外径との比を4.0以下にすることにより、ボス部が鍔部に埋め込まれるのを防止している。これにより、負極端子板とガスケットの連結部との距離が維持され、連結部が十分に膨らむことが可能になる。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2009-259533号公報

発明の概要

[0007]
 連結部が負極端子板に向けて膨らむための十分な空間を確保するには、軟化したボス部の負極端子板側への移動を制限することが望ましい。ボス部と負極集電子との摩擦力を高める観点から、ガスケットのボス部の高さは大きいほど有利と考えられている。ボス部の高さは、例えば5mm以上に設定されている。
[0008]
 しかし、アルカリ乾電池用のガスケットは、樹脂の射出成形により形成されるため、樹脂のひけが不可避的に発生する。射出成形においてボス部の中空を型取るコアピンは円柱状であるが、樹脂のひけが生じるため、ボス部の内径が一定になることはない。通常、ボス部の中央部の内径は、ひけによって、ボス部の上下端部の内径よりも大きくなる。そのため、負極集電子とボス部の中央部との篏合が相当に緩くなっており、ボス部と負極集電子との摩擦力が低下しやすい。
[0009]
 本開示の一側面は、開口を有する電池ケースと、前記電池ケース内に収容された発電要素と、前記開口を封口する封口ユニットと、を備える。前記封口ユニットは、負極端子板と、前記負極端子板に接合された負極集電子と、ガスケットと、を備える。前記ガスケットは、前記負極集電子を貫通させるボス部と、前記電池ケースの開口端部に接する外周部と、前記ボス部と前記外周部とを連結する連結部とを備える。前記連結部の前記ボス部に隣接する内周領域に、防爆機能を有する薄肉部を有し、前記ボス部の高さは、1.5mm以上、3.0mm以下であり、前記ボス部の中央部の内径と、前記ボス部の上下端部の最小内径との差が、0.03mm以下である、アルカリ乾電池に関する。
[0010]
 ガスケットのボス部の高さを3.0mm以下とし、ボス部の中央部の内径と上下端部の最小内径との差を0.03mm以下とすることにより、ボス部と負極集電子との篏合が強固になり、ボス部の負極端子板側への移動が制限され、ガスケットの薄肉部による防爆機能が安定化する。また、ガスケット全体の体積が減少するため、電池ケース内に発電要素をより多く収容できるようになり、高容量化が達成される。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1A] 図1Aは、ガスケットを製造するための一般的な金型Bを示す断面図である。
[図1B] 図1Bは、図1Aの金型で製造されたガスケットを示す断面図である。
[図2A] 図2Aは、ガスケットを製造するための改良された金型Bを示す断面図である。
[図2B] 図2Bは、図2Aの金型で製造されたガスケットを示す断面図である。
[図3A] 図3Aは、連結部の開口側の面にリブが形成されたガスケットの平面図である。
[図3B] 図3Bは、図3AのガスケットのIIIB-IIIB線における断面図である。
[図4] 図4は、本発明の実施形態に係るアルカリ乾電池の内部構造の一例を示す半断面図である。
[図5] 図5は、本発明の実施形態に係る封口ユニットの構造の一例を示す部分断面図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 本発明の実施形態に係るアルカリ乾電池は、開口を有する電池ケースと、電池ケース内に収容された発電要素と、電池ケースの開口を封口する封口ユニットとを備える。封口ユニットは、負極端子板と、負極端子板に接合された負極集電子と、ガスケットとを備える。ガスケットは、負極集電子を貫通するボス部と、電池ケースの開口の端部に接する外周部と、ボス部と外周部とを連結する連結部とを備える。連結部のボス部に隣接する内周領域には、防爆機能を有する薄肉部が形成されている。
[0013]
 ここで、ボス部の高さは、1.5mm以上、3.0mm以下であり、かつボス部の中央部の内径と、ボス部の上下端部の最小内径との差(以下、内径差ΔD)は、0.03mm以下に制限されている。ボス部の高さを3.0mm以下とし、内径差ΔDを0.03mm以下に制限することで、ボス部と負極集電子との篏合が強固になり、ガスケットが軟化してもボス部の負極端子板側への移動が制限される。なお、ボス部の上下端部は、アルカリ乾電池の高さ方向におけるボス部の両端部に対応する。どちらを上端部または下端部と考えてもよいが、以下の図示例では、負極端子板が配置される側を上端部とする。
[0014]
 ボス部の中央部の内径とは、ボス部の高さ方向の中央(つまり半分高さ)における内径である。ボス部の内径が最小になるのは、通常、ボス部の上端部近傍または下端部近傍である。なお、樹脂の射出成形により形成されるガスケットには、ボス部の端面の内周縁に、金型のゲート部に起因する環状突起が形成されることがある。この場合は、ボス部の内壁と外壁との丁度中間地点で、環状突起を排除した高さを測定すればよい。
[0015]
 ボス部の上端部とは、ボス部の上端面からボス部の高さの30%の領域であり、ボス部の下端部とは、ボス部の下端面からボス部の高さの30%の領域である。すなわち、ボス部の中央領域40%を除く両端部が、ボス部の上下端部である。
[0016]
 ボス部の高さを3.0mm以下に設定する場合、樹脂のひけが生じにくくなるため、内径差ΔDを0.03mm以下に制限しやすくなる。一方、ボス部の高さが3mmを超える場合、内径差ΔDを0.03mm以下にまで小さくすることは一般に困難である。例えば、ボス部の高さが5mm以上であれば、内径差ΔDは0.05mmを超えてしまう。
[0017]
 ボス部の高さは、3.0mm以下であればよいが、ガスケット全体の体積をできるだけ減少させて、電池ケース内に発電要素をより多く収容する観点からは、2.5mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましい。ただし、ボス部の高さが1.5mmより小さくなると、ボス部と負極集電子との摩擦力が急激に減少し、ガスケットが軟化したときにボス部の負極端子板側への移動を制限することが困難になる。
[0018]
 射出成形においてボス部の中空を型取る円柱状のコアピンの中央部を若干細くすることで、更に容易に内径差ΔDを0.03mm以下に制限することが可能である。内径差ΔDをできるだけ0に近づける観点から、コアピンの中央部は、コアピンの最大径に対して0.3%~2.0%小さくすることが好ましい。コアピンの中央部を細くする場合でも、中央部の内径D cと、ボス部の上端部および下端部の最小内径D tは、D c>D tの関係を満たすことが多いが、D c≦D tの関係が満たされてもよい。ボス部と負極集電子との篏合をより強固にする観点から、内径差ΔDは0.02mm以下が好ましく、0.01mm以下がより好ましい。
[0019]
 ガスケットの連結部の開口側の面には、ボス部側から外周部側に延びるリブ(以下、補強リブ)を形成してもよい。これにより、ガスケットの構造強度が高まり、ガスケットが軟化した場合に、ボス部の負極端子板側への移動が制限されやすくなる。補強リブは複数形成することが好ましい。このとき、複数の補強リブが、連結部の開口側の面を2以上の領域に分割するように形成されていることが好ましく、2以上の領域の大きさは等しいことが好ましい。例えば、連結部の開口側の面を2等分するように2つの補強リブを形成してもよく、連結部の開口側の面を3等分または4等分するように3つまたは4つの補強リブを放射状に形成してもよい。
[0020]
 連結部の内周領域の開口側の面と、ボス部の高さ方向とが成す角度(以下、スカート角度)θは、45度以上であることが好ましい。スカート角度θが大きいほど、ガスケットが軟化したときに、ボス部が負極端子板側に移動する際の抵抗が大きくなる。スカート角度θは、50度以上がより好ましく、90度以上でもよい。ただし、ガスケットの薄肉部による防爆機能の安定化の観点から、スカート角θの上限は130度程度であり、120度以下が好ましい。スカート角θが130度を超えると、連結部が十分に膨らむための空間の確保が困難になることがある。
[0021]
 完成された電池内では、ガスケットに様々な応力がかかっている。そのため、電池の断面をCTスキャンして断面写真を撮影してもボス部の内径を正確に測定することが困難である。そこで、完成された電池内のガスケットのボス部の内径は、以下の手順で測定する。
[0022]
 まず、電池を分解して、封口ユニットを取り出し、負極集電子に溶接されている負極端子板を取り外す。次に、負極集電子をガスケットのボス部から引き抜く。負極集電子とボス部の内壁との間に封止剤が介在している場合には、負極集電子の先端を3秒間70℃で加熱し、封止剤を軟化させてから負極集電子を引き抜けばよい。こうして単離されたガスケットを、35℃、相対湿度90%の恒温槽に入れ、24時間放置する。これにより、マイルドな条件でガスケットが加温されるとともに加湿され、ガスケットの残留応力が開放されて、封口ユニットを組み立てる前のガスケットの状態が再現される。その後、CTスキャンでボス部の断面写真を撮影し、各部の内径を測定すればよい。
[0023]
 以下に、図面を参照しながら本発明の実施形態について更に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
[0024]
 最初に、ガスケットを製造するための一般的な金型について説明する。図1Aは、一般的な金型の構造の一例を示す断面図である。金型は、上金型11A、下金型11Bおよび円柱状のコアピン13を具備する。コアピン13のボス部の中空を型取る部分の直径は一定である。上金型11Aに下金型11Bを篏合させると、上金型11Aと下金型11Bとの間に、ボス部形成空間部14、連結部形成空間部16および外周部形成空間部17が形成される。ボス部形成空間部14の高さH 0は5mm以上になるように設計されている。コアピン13は、下金型11Bに設けられた貫通孔から挿入され、ボス部形成空間部14の中央に植立するように配置される。上金型11Aには、コアピン13の端部に向けて開口するゲート部12が形成されている。溶融樹脂は、ゲート部12から注入され、ボス部形成空間部14、連結部形成空間部16、外周部形成空間部17の順に充填される。
[0025]
 図1Bに、上記のような一般的な金型で製造されたガスケットの一例を断面図で示す。ガスケット7は、負極集電子6が挿入される中空13hを有する円筒状のボス部7aと、電池ケースの開口端部に接する外周部7bと、ボス部7aと外周部7bとを連結する連結部7cとで構成される。
[0026]
 上記のような金型は、ボス部形成空間部14の高さが大きいことに加え、コアピン13の直径が一定であるため、かなりの樹脂ひけを生じる。よって、ボス部7aの中央部の内径は、樹脂のひけにより、上下端部の最小内径よりも0.05mm以上も大きくなる。なお、ガスケット7には、ボス部7aの端面の内周縁に、ゲート部12に対応する環状突起7eが形成される。環状突起7eを除いたボス部7aの高さH 0は、ボス部形成空間部14の高さに対応し、5mm以上になる。よって、電池の更なる高容量化の妨げにもなり得る。
[0027]
 一方、図2Aには、改良された金型の構造の一例を断面図で示す。図2Bには、改良された金型で製造されたガスケットの一例を断面図で示す。図1A、Bの構成要素に対応する構成要素には同じ符号を付している。
[0028]
 改良された金型のボス部形成空間部14の高さH 1は1.5mm以上、3.0mm以下になるように設計されている。また、コアピン13は、上下端部よりも中央部が若干細くなった略円柱状である。
[0029]
 改良された金型で成形されたガスケット7のボス部7aは、環状突起7eを除いた高さH 1が、ボス部形成空間部14の高さに対応して、1.5mm以上、3.0mm以下になる。また、ボス部7aの中央部の内径と上下端部の最小内径との差ΔDは、容易に0.03mm以下に制限することができる。
[0030]
 なお、図示例の場合、スカート角θは、ガスケットの断面における薄肉部8の開口側の面と、ボス部7aの周面の連結部7cよりも下方(発電要素側)側の領域とが成す角度として求められる。
[0031]
 図3Aに、改良された金型で製造されたガスケットの他の一例の平面図を示す。図3Bは、同ガスケットのIIIB-IIIB線における断面図である。ガスケットには、連結部の開口側の面に4つの補強リブ7dが放射状に形成されている。図3Bでは、ボス部7aの内径の違いを強調して記載する。中央部の内径が最も大きく、上端部および下端部がそれぞれ最小径を有することが示されている。
[0032]
 図4に、本発明の実施形態に係るアルカリ乾電池の内部構造の一例を半断面図で示す。図5には、同実施形態に係る封口ユニットの構造の一例を部分断面図で示す。有底円筒状の電池ケース1内には、セパレータ4を介して、正極2およびゲル状負極3が収納されている。電池ケース1は、例えばニッケルめっき鋼板を所定形状にプレス成形して得られる。電池ケース1の内面には、導電性被膜を形成してもよい。
[0033]
 電池ケース1の開口は、負極端子板5と、負極集電子6と、ガスケット7とが一体に組み立てられた封口ユニット9で密閉されている。負極端子板5は、例えば、ニッケルめっき鋼板やスズめっき鋼板を所定形状にプレス成形して得られる。負極端子板5の周縁部には、ガスケット7の薄肉部8による防爆機能が作動した際にガスを外部に逃がすためのガス抜き孔(図示せず)が設けられている。負極集電子6の端部には、鍔部6aが形成されており、鍔部6aが負極端子板5に溶接で接合されている。負極集電子6は、例えば真鍮の線材を所定寸法の釘形状にプレス加工して得られる。電池ケース1の外周面は、外装ラベル10で被覆されている。
[0034]
 ガスケット7のボス部7aには、負極集電子6が貫通されている。ガスケットの外周部7bは、電池ケース1の開口端部に挟まれるように接しており、負極端子板5の周縁にかしめられている。ボス部7aと外周部7bとを連結する環状の連結部7cは、ボス部7a寄りの内周領域に、防爆機能を有する薄肉部8を有する。薄肉部8における最小厚さは、例えば0.10mm~0.35mmに設定される。ガスケット7の材質には、例えば6,6-ナイロンなどのポリアミド樹脂が用いられる。
[0035]
 ボス部7aの内径および外径は、負極集電子6を中空13h(図2B)に貫通させて固定する際にアルカリ電解液の漏液が生じない程度の締め付けが可能であり、かつボス部7aの割れが生じないように設計される。上記観点から、負極集電子6の胴径(D i)とボス部7aの中央部の内径(D c)との比(D i/D c)は、例えば1.02≦D i/D c≦1.20に設定される。
[0036]
 負極集電子6の胴径は、例えば2.0mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましい。また、優れた集電性を確保する観点から、負極集電子6の胴径は、1.1mm以上が好ましく、1.15mm以上がより好ましい。
[0037]
 ボス部の外径は、例えば3.0mm~4.5mmが好ましい。なお、ガスケットの外周部7bの外径は、電池サイズにより決定される。
[0038]
 ボス部7aと負極集電子6との篏合が強固である場合、ボス部7aと負極集電子6との摩擦力を十分に確保できるため、負極集電子6の表面粗さ(R max)は小さくてもよく、例えば0.3~3.0μmであればよい。負極集電子6の表面には、スズ、インジウムなどのめっき層を形成してもよいが、表面粗さ(R max)が小さくてもよいため、めっき層を形成しなくてもよい。
[0039]
 負極集電子6は真鍮により形成されているが、真鍮の銅の含有率を少なくしてもよい。例えば真鍮の銅含有量を50~60%質量%以下とすると、負極集電子6の電気伝導度が低下し、電池の誤用時における負極集電子の発熱は増大する。このような場合でも、ボス部7aと負極集電子6との篏合が強固であるため、ボス部の負極端子板側への移動は十分に制限される。
[0040]
 負極集電子とボス部との間には、封止剤を介在させてもよい。封止剤により、負極集電子とボス部との間からのアルカリ電解液の漏液が発生しにくくなる。封止剤には、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミドアミンが添加されたエポキシ樹脂などを用いることができる。
[0041]
 アルカリ乾電池のタイプは、特に限定されないが、中でも誤用による発熱が大きくなりやすい単1形電池、単2形電池、単3形電池または単4形電池の実施形態において、上記封口ユニットを用いることによる防爆機能を安定化させる効果が大きくなる。
[0042]
 以下、アルカリ乾電池の発電要素の具体的な構成について更に説明する。
[0043]
 正極2には、例えば、正極活物質、導電剤およびアルカリ電解液を含む混合物の成形体が用いられる。混合物には、ポリエチレン粉末などの結着剤、ステアリン酸塩などの滑沢剤を添加してもよい。正極活物質には、二酸化マンガン粉末、オキシ水酸化ニッケル粉末などが用いられる。導電剤には、黒鉛粉末などが用いられる。
[0044]
 ゲル状負極3には、例えば、負極活物質、アルカリ電解液およびゲル化剤を含む混合物が用いられる。負極活物質には、亜鉛合金粉末が用いられる。ゲル化剤には、ポリアクリル酸ナトリウムなどが用いられる。混合物には、亜鉛合金の耐食性を向上させるために、インジウム、ビスマスなどの水素過電圧の高い金属化合物や界面活性剤を添加してもよい。
[0045]
 セパレータ4には、例えば、ポリビニルアルコール繊維およびレーヨン繊維を主体とする不織布が用いられる。
[0046]
 正極2、ゲル状負極3およびセパレータ4は、それぞれがアルカリ電解液を含んでいる。アルカリ電解液には、例えば、水酸化カリウムを30~40質量%含有し、酸化亜鉛を1~3質量%含有する水溶液が用いられる。
[0047]
 以下、本発明の実施形態について実施例に基づいて更に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。ここでは、図4に示されるような構造の単4形のアルカリ乾電池を作製した。
[0048]
 《実施例1》
 (1)封口ユニットの作製
 複数種類の金型を用いて6,6-ナイロンを所定形状に射出成形してガスケット7を作製した。ガスケット7のボス部7aの高さHと、ボス部7aの中央部の内径と上下端部の最小内径との差ΔDとを表1のように変化させた。
[0049]
 全てのガスケット7において、ボス部7aの中央部の内径D cと、ボス部7aの上端部および下端部における最小内径D tはD c>D tの関係を満たしていた。ガスケット7のボス部7aの中央部の内径の目標は1.10mmに設定した。ガスケット7の連結部7cの開口側の面に補強リブは形成しなかった。スカート角θは45度とした。
[0050]
 銅含有量58質量%の真鍮を、全長30mm、胴径1.20mmの釘形状に加工して負極集電子6を作製した。負極集電子6の表面にはめっき層を形成せず、表面粗さ(R max)は1.0μmであった。一方、厚さ0.4mmのニッケルめっき鋼板を所定形状にプレス加工して負極端子板5を作製し、負極集電子6の鍔部6aを負極端子板5に溶接した。そして、ガスケット7のボス部7aの中空13hに負極集電子6を圧入して、封口ユニット9を組み立てた。
[0051]
 (2)正極の作製
 平均粒径35μmの電解二酸化マンガン粉末と平均粒径15μmの黒鉛粉末とを94:6の質量比で混合し、混合物100質量部に対してアルカリ電解液を2質量部添加し、充分に攪拌した後、圧縮成形して、フレーク状の正極合剤を得た。フレーク状の正極合剤を顆粒状に粉砕した後、中空円筒状ペレットに加圧成形し、得られた成形体を正極2とした。
[0052]
 アルカリ電解液には、35質量%の水酸化カリウムと2質量%の酸化亜鉛とを含有する水溶液を用いた。
[0053]
 (3)負極の調製
 ゲル化剤(ポリアクリル酸ナトリウム粉末)と、アルカリ電解液と、平均粒径160μmの亜鉛合金粉末とを、質量比0.8:33.6:65.6で混合し、ゲル状負極3を得た。
[0054]
 (4)電池の組み立て
 正極2を電池ケース1内に挿入し、加圧治具により正極2を電池ケース1の内壁に密着させた。正極2の中空に有底円筒形のセパレータ4を配置した。セパレータ4には、ポリビニルアルコール繊維およびレーヨン繊維を主体とする不織布を用いた。セパレータ4内にアルカリ電解液を注入して所定時間経過後、ゲル状負極3をセパレータ4内に充填した。封口ユニットのガスケットの外周部を電池ケース1の開口付近に配置し、電池ケース1の開口端部を内方へ折り曲げて封口し、電池を完成させた。
[0055]
 <短絡試験>
 ガスケット7のボス部7aの構成が表1のように異なる複数のアルカリ電池をそれぞれ120個ずつ準備し、4個の電池を直列接続した組を30組ずつ作製した。常温(20℃)で30組の電池を閉回路状態で24時間放置し、その後、開回路状態に戻し、1週間放置した。防爆機能が作動せず、4個中のいずれかの電池が破損した組の割合を表1に示す。
[0056]
[表1]


[0057]
 《実施例2》
 ガスケット7の連結部7cの開口側の面に、ボス部側から外周部側に延びる2つまたは4つの補強リブ7dを形成したこと以外、実施例1と同様に、ボス部7aの長さが1.5mm、内径差ΔDが0.03mmのガスケット7を具備する電池を作製した。
[0058]
 <過酷短絡試験>
 ガスケット7の構成が表2のように異なる複数のアルカリ電池をそれぞれ120個ずつ準備し、4個の電池を直列接続した組を30組ずつ作製した。30組の電池を60℃の恒温槽で8時間保管し、その後、同じく60℃で、閉回路状態で24時間放置し、その後、開回路状態に戻し、1週間放置した。防爆機能が作動せず、4個中のいずれかの電池が破損した組の割合を表2に示す。
[0059]
[表2]


[0060]
 《実施例3》
 ガスケット7のスカート角を表3に示すように変更したこと以外、実施例1と同様に、ボス部7aの長さが1.5mm、内径差ΔDが0.03mmのガスケット7を具備する電池を作製し、実施例2と同様に60℃での過酷短絡試験を行った。結果を表3に示す。
[0061]
[表3]


[0062]
 以上のように、ボス部7aの高さを1.5mm以上、3.0mm以下とし、内径差ΔDを0.03mm以下に制限することにより、防爆機能が安定化することが示された。また、ガスケット7に補強リブ7dを設け、もしくはスカート角を大きくすることにより、より過酷な環境下でも防爆機能が安定化することが示された。

産業上の利用可能性

[0063]
 本発明の実施形態に係るアルカリ乾電池は、防爆機能の安定性に優れるとともに高容量化できるため、種々の電子機器の電源として有用である。

符号の説明

[0064]
 1:電池ケース
 2:正極
 3:ゲル状負極
 4:セパレータ
 5:負極端子板
 6:負極集電子
 6a:鍔部
 7:ガスケット
 7a:ボス部
 7b:外周部
 7c:連結部
 7d:リブ
 7e:環状突起
 8:薄肉部
 9:封口ユニット
 10:外装ラベル
 11A:上金型
 11B:下金型
 12:ゲート部
 13:コアピン
 13h:中空
 14:ボス部形成空間部
 16:連結部形成空間部
 17:外周部形成空間部

請求の範囲

[請求項1]
 開口を有する電池ケースと、
 前記電池ケース内に収容された発電要素と、
 前記開口を封口する封口ユニットと、を備え、
 前記封口ユニットは、負極端子板と、前記負極端子板に接合された負極集電子と、ガスケットと、を備え、
 前記ガスケットは、前記負極集電子を貫通させるボス部と、前記電池ケースの開口端部に接する外周部と、前記ボス部と前記外周部とを連結する連結部とを備え、
 前記連結部の前記ボス部に隣接する内周領域に、防爆機能を有する薄肉部を有し、
 前記ボス部の高さは、1.5mm以上、3.0mm以下であり、
 前記ボス部の中央部の内径と、前記ボス部の上下端部の最小内径との差が、0.03mm以下である、アルカリ乾電池。
[請求項2]
 前記連結部の前記開口側の面に、前記ボス部側から前記外周部側に延びるリブが形成されている、請求項1に記載のアルカリ乾電池。
[請求項3]
 複数の前記リブが、前記連結部の前記開口側の面を2以上の領域に分割するように形成されている、請求項2に記載のアルカリ乾電池。
[請求項4]
 前記連結部の前記内周領域の前記開口側の面と、前記ボス部の高さ方向とが成す角度θが、45度以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のアルカリ乾電池。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 3A]

[ 図 3B]

[ 図 4]

[ 図 5]