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1. (WO2018123024) 医療器具
Document

明 細 書

発明の名称 医療器具

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148  

産業上の利用可能性

0149  

符号の説明

0150  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19  

明 細 書

発明の名称 : 医療器具

技術分野

[0001]
 本発明は、医療器具に関する。

背景技術

[0002]
 従来、医療用マニピュレータとして、操作者によって操作されるマスタマニピュレータと、マスタマニピュレータから発せられる信号に基づいて動作するスレーブマニピュレータと、を備えたマスタスレーブ型の医療用マニピュレータが知られている。このような医療用マニピュレータには、遠隔操作によって処置対象部位に対する処置をするための医療器具が取り付けられる。
[0003]
 通常、医療器具の先端には、種々の効果を発揮するエンドエフェクタが設けられる。エンドエフェクタには、一対の鉗子部材を備える把持部のように、開閉動作ができるものがある。また、体内でエンドエフェクタの向きを変えることができるよう、1つまたは複数の関節を備えた医療器具も知られている。
[0004]
 特許文献1には、エンドエフェクタの駆動構造として、ギアを組み合わせたものが開示されている。最も後側に配置されたギアの軸にはプーリが取り付けられている。プーリには2本のワイヤが取り付けられており、第一のワイヤを牽引すると複数のギアが回転して把持部が開く。第二のワイヤを牽引すると、各ギアが逆回転して把持部が閉じる。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 日本国特許第5500715号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 医療器具は、患者の体内において精密な処置に使用されることがある。この場合、医療器具には高い動作精度が求められる。
 詳細は後述するが、発明者は、医療器具の精度向上に取り組む中で、ワイヤによる関節の駆動が困難となる可能性を見出し、これを解決した。
[0007]
 本発明は、高精度な動作を可能とし、かつ動作不能な事態の発生が抑制された医療器具を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明は、回転軸を中心に回転可能なプーリと、細長に形成されて一部が前記プーリの外周面に沿って配置され、一方の端部側が、前記プーリの接線方向かつ前記プーリから離れる方向に延びており、自身の長手方向に進退駆動されることにより前記プーリを回転可能に構成された伝達部材と、前記伝達部材の前記一方の端部側の部位に対して、前記回転軸が延びる方向の少なくとも一方に配置され、前記伝達部材が前記プーリから脱落することを防止する脱落防止部とを備える医療器具である。
[0009]
 前記伝達部材の一方の端部側は、前記プーリから離れるにしたがって前記回転軸の延びる方向に変位してもよい。
[0010]
 本発明の医療器具は、前記プーリより小さいピッチ円直径を有し、前記プーリに対して前記回転軸が延びる方向の少なくとも一方に、かつ前記プーリと同軸に配置され、前記プーリとともに回転するように構成された歯車部をさらに備え、前記脱落防止部は、前記歯車部の周囲の空間の少なくとも一部を埋めるように配置されてもよい。
[0011]
 本発明の医療器具は、前記プーリとの間に前記歯車部を挟むように前記プーリと同軸に配置された第二プーリをさらに備え、前記脱落防止部の少なくとも一部が前記プーリと前記第二プーリとの間に配置されてもよい。
[0012]
 前記脱落防止部は、前記伝達部材のうち前記プーリから離れる方向に延びる領域の延在方向を規定するガイド部を有してもよい。
[0013]
 前記伝達部材の前記長手方向における第一の端部は、前記プーリの外周面上に固定されてもよい。
 このとき、前記脱落防止部の少なくとも一部は、前記回転軸よりも前記第二の端部側に配置されてもよい。

発明の効果

[0014]
 本発明の医療器具によれば、高精度な動作を可能としつつ、動作不能な事態の発生を抑制することができる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 本発明の一実施形態に係る医療器具とともに使用される医療用マニピュレータの全体図である。
[図2] 前記医療器具の先端側を示す斜視図である。
[図3] 前記医療器具のエンドエフェクタの構成を示す平面図である。
[図4] 図3のA-A線における断面図である。
[図5] 前記医療器具の先端関節部の構成を一部断面で示す図である。
[図6] 前記先端関節部の分解斜視図である。
[図7] 前記先端関節部の中間接続部材および回転伝達部の構成を示す斜視図である。
[図8] 前記先端関節部が真っ直ぐな状態を示す図である。
[図9] 前記先端関節部が屈曲した状態を示す図である。
[図10] 前記医療器具の中間関節部の構成を一部断面で示す図である。
[図11] 前記中間関節部の分解斜視図である。
[図12] 前記中間関節部の中間接続部材および回転伝達部の構成を示す斜視図である。
[図13] 前記中間関節部が真っ直ぐな状態を示す図である。
[図14] 前記中間関節部が屈曲した状態を示す図である。
[図15] 前記医療器具の基端関節部における回転伝達部の構成を示す図である。
[図16] 同回転伝達部におけるプーリとワイヤとの位置関係を示す図である。
[図17] 同回転伝達部およびスペーサを示す図である。
[図18] 同スペーサを示す図である。
[図19] 同スペーサの変形例を示す図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 本発明の一実施形態について、図1から図19を参照して説明する。
[0017]
 図1は、本実施形態に係る医療器具とともに使用される医療用マニピュレータ100の一例を示す全体図である。医療用マニピュレータ100は、マスタスレーブ型の遠隔操作システムを有する。医療用マニピュレータ100は、マスタマニピュレータ101と、スレーブマニピュレータ104と、制御装置106と、を備える。
[0018]
 マスタマニピュレータ101は、術者Opの操作の動きをスレーブマニピュレータ104に伝達するマスタとして機能する。マスタマニピュレータ101は、液晶ディスプレイなどの表示部102と、術者Opが把持して操作を行うマスタアーム103と、を備える。マスタアーム3は、多軸動作可能な公知の構成を有する。マスタアーム103に対してなされる操作は、制御装置106に入力される。
[0019]
 制御装置106は、マスタマニピュレータ101からの入力を受け付けるマスタ制御部(不図示)と、スレーブマニピュレータ104へ駆動信号を出力するスレーブ制御部(不図示)と、を備える。マスタ制御部は、マスタマニピュレータ101からの入力に基づいて、スレーブマニピュレータ104を動作させるための操作指令を生成し、スレーブ制御部に出力する。スレーブ制御部は、マスタ制御部から出力された操作指令に基づいて、スレーブマニピュレータ104を駆動させるための駆動信号を生成し、スレーブマニピュレータ104に出力する。
[0020]
 スレーブマニピュレータ104は、患者Pが載置される手術台108に設置されている。スレーブマニピュレータ104は、スレーブ制御部から出力された駆動信号に従って動作するスレーブアーム105を備える。スレーブアーム105は、複数の多自由度関節を有して構成されており、多軸動作可能である。各多自由度関節は、図示しない動力部によって個別に駆動される。動力部としては、例えばインクリメンタルエンコーダや減速器などを備えたサーボ機構を有するモータ(サーボモータ)などを用いることができる。
[0021]
 スレーブマニピュレータ104には、軟性の内視鏡110が取り付けられている。内視鏡110は、スレーブアーム105の先端部に支持されて、患者Pの体内に挿入される。内視鏡110には、医療器具を挿通可能なチャンネル(不図示)が設けられている。本実施形態に係る医療器具は、内視鏡110の基端側に設けられた挿入口111からチャンネルに挿通されて使用される。また、内視鏡110には、体内の映像を取得する観察手段が設けられている。観察手段により取得された映像は、表示部102に表示される。
[0022]
 次に、本実施形態に係る医療器具1について説明する。図2は、医療器具1の先端側を示す斜視図である。医療器具1は、長手軸O1に沿って長尺に形成されている。
[0023]
 以下の説明では、医療器具1の長手軸O1において、使用時に処置対象部位に近い側を「先端側」と称し、先端側の反対側を「基端側」と称する。また、部材において先端側の端部を「先端部」と称し、基端側の端部を「基端部」と称する。加えて、長手軸O1に直交しかつ互いに直交する2つの方向を、X1方向およびY1方向と称する。また、X1方向と反対の方向をX2方向と称し、Y1方向と反対の方向をY2方向と称する。
[0024]
 図2に示すように、医療器具1は、エンドエフェクタ10と、エンドエフェクタ10に接続された先端腕部20と、先端腕部20の基端側に接続された先端関節部30と、先端関節部30の基端側に接続された中間腕部40と、中間腕部40の基端側に接続された本体50と、を備える。
[0025]
 中間腕部40は、先端関節部30に接続された腕部60と、腕部60の基端側に接続された中間関節部70と、中間関節部70の基端側と本体50とを接続している腕部80と、を有する。腕部80は、基端関節部90を有する。医療器具1において、エンドエフェクタ10、先端腕部20、先端関節部30、腕部60、中間関節部70、基端関節部90(腕部80)、および本体50は、長手軸O1に沿って先端側から基端側にこの順で配置されている。また、先端関節部30、中間関節部70、および基端関節部90は、それぞれ独立して屈曲動作を行う。
[0026]
 図3は、エンドエフェクタ10および先端腕部20の構成を示す平面図である。図4は、図3のA-A線における断面図である。本実施形態では、医療器具1が把持鉗子である例を示している。エンドエフェクタ10は、第一把持片11Aおよび第二把持片11Bから構成され、開閉可能な一対の把持片11を有する。
[0027]
 第一把持片11Aの基端側には、接続部材15Aが設けられている。第一把持片11Aは、接続部材15Aを介して先端腕部20に固定されている。第二把持片11Bの基端側には、接続部材15Bが設けられている。接続部材15Bの基端部には、歯車部16が設けられている。歯車部16は、先端腕部20内で、X1方向に延びて先端腕部20と係合している回動軸22に回動可能に取り付けられている。歯車部16には、長手軸O1に直交しかつX1方向に平行な軸O20Aを中心に歯車部16をX1方向に貫通する円孔16Aが形成されている。円孔16Aには、軸O20Aを中心軸としてX1方向に延びる円柱状に形成された回動軸22が挿通されている。回動軸22の両端は、本体部21の先端部21Aにそれぞれ支持されている。回動軸22は、歯車部16により、円孔16Aを介して軸O20Aを中心に相対的に回動可能に支持されている。すなわち、歯車部16および歯車部16に接続されている第二把持片11Bは、軸O20Aを中心に回動軸22に対して回動可能である。第一把持片11Aに対して第二把持片11Bが回動することにより、一対の把持片11はY1方向およびY2方向に開閉する。また、歯車部16には、円孔16Aよりも基端側において軸O20Aを中心とした扇形の部位を有し、扇形の部位の円弧上に歯が形成されている。歯車部16は、先端腕部20に設けられた歯車部24とかみ合うように構成されている。
[0028]
 先端腕部20は、本体部21と、歯車部24と、プーリ25と、プーリ26とを有する。本体部21は、長手軸O1を中心軸とした略円柱状の外形を有する。本体部21の先端部21Aと基端部21Bとの間には、Y1方向に本体部21を貫通する収容空間27が形成されている。先端部21AのY1方向側の部分21Aaには、第一把持片11Aの接続部材15Aが固定されている。先端部21AのY2方向側の部分21Abには、切り欠き部21Cが形成されている。切り欠き部21Cは、先端部21Aを長手軸O1に沿う方向に貫通し、収容空間27と連通している。切り欠き部21Cは、Y2方向に開口しており、また軸O20AよりもY1方向に延びて形成されている。切り欠き部21CのY1方向側の端面21Caは、先端側から基端側に向かうにしたがってY1方向に向かうように形成されている。この端面21Caは、端面21Caと歯車部16のY1方向側の側面16Bとが当接することにより、第二把持片11Bの回動範囲を規制している。切り欠き部21CのX1方向の寸法は、第二把持片11Bの接続部材15Bおよび歯車部16のX1方向の寸法よりも大きく設定されている。また、先端部21Aには、切り欠き部21Cを挟んだX1方向の両側に軸O20Aを中心軸とする貫通孔が形成されている。回動軸22の両端は、これらの貫通孔により回動可能に支持されている。
[0029]
 収容空間27は、Y1方向から見て矩形状に形成されている。収容空間27には、歯車部24と、プーリ25と、プーリ26と、第二把持片11Bの歯車部16が配置されている。収容空間27のX1方向側の側壁部となる本体部21の側部21Eには、長手軸O1に直交しかつX1方向に平行な軸O20Bを中心軸とする貫通孔が形成されている。また、収容空間27のX2方向側の側壁部となる本体部21の側部21Fには、軸O20Bを中心軸とする貫通孔が形成されている。側部21Eの貫通孔および側部21Fの貫通孔には、軸O20Bを中心軸としてX1方向に延びる円柱状に形成された回動軸23の両端がそれぞれ挿通されて回動可能に支持されている。
[0030]
 歯車部24には、軸O20Bを中心に歯車部24をX1方向に貫通する円孔24Aが形成されている。円孔24Aには、回動軸23が軸O20B回りに相対的に回動可能に挿通されている。歯車部24は、軸O20Bを中心とした円柱状に形成されている。歯車部24の軸O20B回りの外周面には、歯が形成されている。歯車部24は第二把持片11Bの歯車部16とかみ合っているため、歯車部24を軸O20B回りに回動させることで第二把持片11Bを軸O20A回りに回動させることができる。
[0031]
 プーリ25は、軸O20Bを中心軸とする円板状に形成され、軸O20Bを中心にプーリ25をX1方向に貫通する円孔(不図示)を有している。プーリ25において軸O20B回りの外周面には、プーリ溝25Aが形成されている。また、プーリ26は、プーリ25と同様の構成を有している。プーリ25の円孔およびプーリ26の円孔には、回動軸23が軸O20B回りに相対的に回動可能に挿通されている。プーリ25は、歯車部24にX1方向に隣接して設けられ、歯車部24とともに回動するように歯車部24に固定されている。プーリ26は、歯車部24にX2方向に隣接して設けられ、歯車部24とともに回動するように歯車部24に固定されている。
[0032]
 プーリ25のプーリ溝25Aには、操作ワイヤ25Wが巻き付けられている。操作ワイヤ25Wの一端は、固定部(不図示)によりプーリ溝25Aに固定されている。操作ワイヤ25Wの他端は、医療器具1の基端側に設けられた不図示の動力伝達部に接続されている。操作ワイヤ25Wは、操作ワイヤ25Wの他端から一端に向かうにしたがって、X2方向から見て反時計回りにプーリ溝25Aに巻き付けられている。また、プーリ26のプーリ溝26Aには、操作ワイヤ26Wが巻き付けられている。操作ワイヤ26Wの一端は、固定部26Bによりプーリ溝26Aに固定されている。操作ワイヤ26Wの他端は、動力伝達部に接続されている。操作ワイヤ26Wは、操作ワイヤ26Wの他端から一端に向かうにしたがって、X2方向から見て時計回りにプーリ溝26Aに巻き付けられている。
[0033]
 上述の構成により、操作ワイヤ25Wを基端側に引くとプーリ25とともに歯車部24がX2方向から見て時計回りに回動する。この歯車部24の回動に伴い、歯車部24とかみ合っている歯車部16は、第二把持片11BとともにX2方向から見て反時計回りに回動する。これにより、一対の把持片11が開く。また、操作ワイヤ26Wを基端側に引くとプーリ26とともに歯車部24がX2方向から見て反時計回りに回動する。この歯車部24の回動に伴い、歯車部16は、第二把持片11BとともにX2方向から見て時計回りに回動する。これにより、一対の把持片11が閉じる。このように、操作ワイヤ25Wおよび操作ワイヤ26Wの操作により、一対の把持片11が開閉動作する。
[0034]
 本体部21の基端部21Bには、操作ワイヤ25Wおよび操作ワイヤ26Wを通すための切り欠き部21Haおよび切り欠き部21Hbが形成されている。切り欠き部21Haは、基端部21BのY1方向側の端部においてX1方向側の部分に形成されている。切り欠き部21Haには、操作ワイヤ25Wが通されている。また、切り欠き部21Hbは、基端部21BのY2方向側の端部においてX2方向側の部分に形成されている。切り欠き部21Hbには、操作ワイヤ26Wが通されている。
[0035]
 図5は、医療器具1の先端関節部30の構成を一部断面で示す図である。図6は、先端関節部30の分解斜視図である。図7は、先端関節部30の中間接続部材34および回転伝達部35の構成を示す斜視図である。先端関節部30は、Y1方向回りに屈曲するダブルジョイント関節である。先端関節部30は、軸O30Aと、軸O30Bと、軸O30Cと、を有する。軸O30Bは、軸O30Aと離間して設けられ、軸O30Aと平行に配置されている。また、軸O30Bは、軸O30Aよりも基端側に配置されている。軸O30Cは、軸O30Aおよび軸O30Bと離間して設けられ、軸O30Aおよび軸O30Bと平行に配置されている。また、軸O30Cは、軸O30Bよりも基端側に配置され、軸O30Bに対して位置が固定されている。本実施形態では、軸O30A、軸O30B、および軸O30Cは、長手軸O1に直交しかつY1方向に平行である。
[0036]
 また、先端関節部30は、先端接続部材31と、基端接続部材32と、中間接続部材34と、回転伝達部35と、を有する。
[0037]
 先端接続部材31は、本体部21の基端部21Bの基端側に固定されている(図4参照)。先端接続部材31は、基端側に設けられた回転伝達部31Aを有する。回転伝達部31Aは、軸O30Aを中心に回動可能に構成されている。回転伝達部31Aには、軸O30Aを中心に回転伝達部31AをY1方向に貫通する円孔31Bが形成されている。円孔31Bには、軸O30Aを中心軸としてY1方向に延びる円柱状に形成された回動軸33Aが挿通されている。回動軸33Aは、回転伝達部31Aにより、円孔31Bを介して軸O30Aを中心に相対的に回動可能に支持されている。すなわち、回転伝達部31Aは、軸O30Aを中心に回動軸33Aに対して回動可能である。
[0038]
 回転伝達部31Aは、軸O30Aに沿う方向、すなわちY1方向(またはY2方向)において上側回転伝達部31Aaと下側回転伝達部31Abとに分割されている。上側回転伝達部31Aaと下側回転伝達部31Abとは、Y1方向に離間しかつ長手軸O1を挟むように互いに平行に配置されている。上側回転伝達部31Aaは長手軸O1よりもY1方向側に配置され、下側回転伝達部31Abは長手軸O1よりもY2方向側に配置されている。また、円孔31Bとして、上側回転伝達部31Aaには、軸O30Aを中心に上側回転伝達部31AaをY1方向に貫通する円孔31Baが形成され、下側回転伝達部31Abには、軸O30Aを中心に下側回転伝達部31AbをY1方向に貫通する円孔31Bbが形成されている。円孔31Baおよび円孔31Bbには、回動軸33Aが挿通されている。
[0039]
 回転伝達部31Aは、軸O30Aを中心とした扇形の部位31Csを有し、扇形の部位31Csの円弧上に歯が形成された歯車部31Cを有する。歯車部31Cとして、上側回転伝達部31Aaは、軸O30Aを中心とした扇形の部位31Casを有し、扇形の部位31Casの円弧上に歯が形成された上側歯車部31Caを有する。また、下側回転伝達部31Abは、軸O30Aを中心とした扇形の部位31Cbsを有し、扇形の部位31Cbsの円弧上に歯が形成された下側歯車部31Cbを有する。歯車部31Cは、後述する回転伝達部32Aの歯車部32Cとかみ合うように構成されている。具体的には、上側歯車部31Caは歯車部32Cの上側歯車部32Caとかみ合い、下側歯車部31Cbは歯車部32Cの下側歯車部32Cbとかみ合っている。これによって、回転伝達部31Aと回転伝達部32Aとは、互いに連動して回動するように接続されている。
[0040]
 基端接続部材32は、中間腕部40の先端側に設けられ、中間腕部40に固定されている。本実施形態では、中間腕部40のうち腕部60の先端部61に固定されている。基端接続部材32は、先端側に設けられた回転伝達部32Aを有する。回転伝達部32Aは、軸O30Bを中心に回動可能に構成されている。具体的には、回転伝達部31Aと同様に、回転伝達部32Aに形成された軸O30Bを中心に回転伝達部32AをY1方向に貫通する円孔32Bに、軸O30Bを中心軸としてY1方向に延びる円柱状に形成された回動軸33Bが挿通され、回転伝達部32Aに対して回動可能に支持されている。
[0041]
 回転伝達部32Aは、軸O30Bに沿う方向、すなわちY1方向(またはY2方向)において上側回転伝達部32Aaと下側回転伝達部32Abとに分割されている。上側回転伝達部32Aaおよび下側回転伝達部32Abは、それぞれ回転伝達部31Aの上側回転伝達部31Aaおよび下側回転伝達部31Abと同様な態様で配置されている。また、円孔32Bとして、上側回転伝達部32Aaには円孔32Baが形成され、下側回転伝達部32Abには円孔32Bbが形成されている。
[0042]
 回転伝達部32Aは、軸O30Bを中心とした扇形の部位32Csを有し、扇形の部位32Csの円弧上に歯が形成された歯車部32Cを有する。歯車部32Cとして、上側回転伝達部32Aaは上側歯車部32Caを有し、下側回転伝達部32Abは下側歯車部32Cbを有する。なお、扇形の部位32Csとして、上側歯車部32Caは扇形の部位32Casを有し、下側歯車部32Cbは扇形の部位32Cbsを有する。
[0043]
 本実施形態では、歯車部31C(上側歯車部31Caおよび下側歯車部31Cb)のピッチ円直径は、歯車部32C(上側歯車部32Caおよび下側歯車部32Cb)のピッチ円直径と同一である。また、歯車部31CのY1方向の寸法は、歯車部32CのY1方向の寸法と同一である。すなわち、上側歯車部31CaのY1方向の寸法と上側歯車部32CaのY1方向の寸法とは等しく、下側歯車部31CbのY1方向の寸法と下側歯車部32CbのY1方向の寸法とは等しい。
[0044]
 中間接続部材34は、軸O30Aを中心に回動可能でありかつ軸O30Bを中心に回動可能に構成されている。本実施形態では、中間接続部材34は、Y1方向から見て略長円形状を有する板状の部材である。中間接続部材34の先端側には、軸O30Aを中心に中間接続部材34をY1方向に貫通する円孔34Aが形成されている。円孔34Aには、回動軸33Aが挿通されている。回動軸33Aは、中間接続部材34により、円孔34Aを介して軸O30Aを中心に相対的に回動可能に支持されている。すなわち、中間接続部材34は、軸O30Aを中心に回動軸33Aに対して回動可能である。また、中間接続部材34の基端側には、軸O30Bを中心に中間接続部材34をY1方向に貫通する円孔34Bが形成されている。円孔34Bには、回動軸33Bが挿通されている。回動軸33Bは、中間接続部材34により、円孔34Bを介して軸O30Bを中心に相対的に回動可能に支持されている。すなわち、中間接続部材34は、軸O30Bを中心に回動軸33Bに対して回動可能である。
[0045]
 本実施形態では、中間接続部材34の先端側は、回転伝達部31Aの上側回転伝達部31Aaと下側回転伝達部31Abとの間に配置されている。中間接続部材34の基端側は、回転伝達部32Aの上側回転伝達部32Aaと下側回転伝達部32Abとの間に配置されている。よって、中間接続部材34は長手軸O1を含むように配置されている。また、中間接続部材34のY1方向の寸法は、上側回転伝達部31Aaと下側回転伝達部31Abとの間の寸法および上側回転伝達部32Aaと下側回転伝達部32Abとの間の寸法よりも小さい。
[0046]
 中間接続部材34は、中間接続部材34の基端部(端部)に設けられた回転伝達部34Cを有する。回転伝達部34Cは、回転伝達部35と連動して軸O30Bを中心に回動するように回転伝達部35に接続されている。本実施形態では、回転伝達部34Cは、軸O30Bを中心とした扇形の部位34Dsを有し、扇形の部位34Dsの円弧上に歯が形成された歯車部34Dを有する。歯車部34Dは、後述する回転伝達部35の歯車部35Bとかみ合うように構成されている。このため、歯車部35Bおよび歯車部34Dを介して回転伝達部35の回転運動が回転伝達部34Cに伝達される。これによって、回転伝達部34Cは、回転伝達部35と連動して軸O30Bを中心に回動することができる。
[0047]
 回転伝達部31AのY1方向における両側には、プーリ36Aおよびプーリ36Bが設けられている。プーリ36Aは、軸O30Aを中心軸とする円板状に形成され、軸O30Aを中心にプーリ36AをY1方向に貫通する円孔を有している。プーリ36Aにおいて軸O30A回りの外周面には、プーリ溝が形成されている。また、プーリ36Bは、プーリ36Aと同様に構成されている。
[0048]
 プーリ36Aの円孔およびプーリ36Bの円孔には、回動軸33Aが軸O30A回りに相対的に回動可能に挿通されている。プーリ36Aは、上側回転伝達部31AaのY1方向側に配置されており、プーリ36Bは、下側回転伝達部31AbのY2方向側に配置されている。よって、回転伝達部31Aは、Y1方向においてプーリ36Aとプーリ36Bとの間に配置されている。プーリ36Aのプーリ溝には、プーリ25から延びる操作ワイヤ25Wが巻き掛けられている。プーリ36Bのプーリ溝には、プーリ26から延びる操作ワイヤ26Wが巻き掛けられている。
[0049]
 回転伝達部32AのY1方向における両側には、プーリ36Cおよびプーリ36Dが設けられている。プーリ36Cおよびプーリ36Dは、軸O30Aに代えて軸O30Bを中心軸とした点を除いて、プーリ36Aと同様に構成されている。
[0050]
 プーリ36Cの円孔およびプーリ36Dの円孔には、回動軸33Bが軸O30B回りに相対的に回動可能に挿通されている。プーリ36Cは、上側回転伝達部32AaのY1方向側に配置されており、プーリ36Dは、下側回転伝達部32AbのY2方向側に配置されている。よって、回転伝達部32Aは、Y1方向においてプーリ36Cとプーリ36Dとの間に配置されている。プーリ36Cのプーリ溝には、プーリ36Aから延びる操作ワイヤ25Wが巻き掛けられている。プーリ36Dのプーリ溝には、プーリ36Bから延びる操作ワイヤ26Wが巻き掛けられている。
[0051]
 プーリ36Aとプーリ36Cとは、Y1方向において同じ位置に配置されている。同様に、プーリ36Bとプーリ36Dとは、Y1方向において同じ位置に配置されている。操作ワイヤ25Wは、Y2方向から見てプーリ36Aとプーリ36Cとの間で長手軸O1と交差するように、プーリ36AのX1方向側からプーリ36CのX2方向側に巻き掛けられている。操作ワイヤ26Wは、Y2方向から見てプーリ36Bとプーリ36Dとの間で長手軸O1と交差するように、プーリ36BのX2方向側からプーリ36DのX1方向側に巻き掛けられている。
[0052]
 プーリ36Aおよびプーリ36CのY1方向側には、支持部材37Aが設けられている。支持部材37Aは、Y1方向から見て略長円形状を有する板状の部材である。支持部材37Aには、軸O30Aを中心に支持部材37AをY1方向に貫通する円孔37Aaと、軸O30Bを中心に支持部材37AをY1方向に貫通する円孔37Abと、が形成されている。円孔37Aaには、回動軸33Aが軸O30Aを中心に相対的に回動可能に挿通されている。円孔37Abには、回動軸33Bが軸O30Bを中心に相対的に回動可能に挿通されている。
[0053]
 プーリ36Bおよびプーリ36DのY2方向側には、支持部材37Bが設けられている。支持部材37Bは、支持部材37Aと同一の構成を有している。支持部材37Bの円孔37Baには、回動軸33Aが軸O30Aを中心に相対的に回動可能に挿通されている。支持部材37Bの円孔37Bbには、回動軸33Bが軸O30Bを中心に相対的に回動可能に挿通されている。
[0054]
 回動軸33Aの両端は、円孔37Aaおよび円孔37Baを介して支持部材37Aおよび支持部材37Bにそれぞれ支持されている。同様に、回動軸33Bの両端は、円孔37Abおよび円孔37Bbを介して支持部材37Aおよび支持部材37Bにそれぞれ支持されている。
[0055]
 上述した構成により、回動軸33Aは、支持部材37A、プーリ36A、回転伝達部31A(上側回転伝達部31Aaおよび下側回転伝達部31Ab)、中間接続部材34、プーリ36B、および支持部材37Bを、軸O30Aを中心に互いに相対的に回動可能に接続している。同様に、回動軸33Bは、支持部材37B、プーリ36C、回転伝達部32A(上側回転伝達部32Aaおよび下側回転伝達部32Ab)、中間接続部材34、プーリ36D、および支持部材37Bを、軸O30Bを中心に互いに相対的に回動可能に接続している。また、軸O30Aと軸O30Bとの間の距離は、支持部材37A、中間接続部材34、および支持部材37Bにより、一定に保持されている。
[0056]
 回転伝達部35は、軸O30Cを中心に回動可能に構成されている。具体的には、軸O30Cを中心に回転伝達部35をY1方向に貫通する円孔35Aが形成されている。円孔35Aには、軸O30Cを中心軸としてY1方向に延びる円柱状に形成された回動軸33Cが挿通されている。回動軸33Cは、回転伝達部35により、円孔35Aを介して軸O30Cを中心に相対的に回動可能に支持されている。すなわち、回転伝達部35は、軸O30Cを中心に回動軸33Cに対して回動可能である。
[0057]
 回転伝達部35は、軸O30Cを中心とした円柱状に形成され、軸O30C回りの外周面に歯が形成された歯車部35Bを有する。上述したように、歯車部35Bは歯車部34Dとかみ合っている。また、歯車部35Bのピッチ円直径は、歯車部34Dのピッチ円直径よりも小さい。このため、歯車部34Dの回転数は歯車部35Bの回転数よりも減速されるとともに、歯車部34Dのトルクを歯車部35Bのトルクよりも増加させることができる。
[0058]
 また、先端関節部30は、軸O30Cを中心に回動可能なプーリ38と、プーリ38に巻き付けられた操作ワイヤ38Wとを有する。プーリ38は、歯車部35Bと一体に回動するように接続されている。本実施形態では、プーリ38として、プーリ38Aおよびプーリ38Bが設けられている。操作ワイヤ38Wとして、操作ワイヤ38AWおよび操作ワイヤ38BWが設けられている。
[0059]
 プーリ38Aは、軸O30Cを中心軸とする円板状に形成され、軸O30Cを中心にプーリ38AをY1方向に貫通する円孔(不図示)を有している。プーリ38Aにおいて軸O30C回りの外周面には、プーリ溝38Aaが形成されている。プーリ38Bは、プーリ38Aと同様の構成を有している。プーリ38Aの円孔およびプーリ38Bの円孔には、回動軸33Cが軸O30C回りに相対的に回動可能に挿通されている。プーリ38Aは、歯車部35BにY1方向に隣接して設けられ、歯車部35Bとともに回動するように歯車部35Bに固定されている。プーリ38Bは、歯車部35BにY2方向に隣接して設けられ、歯車部35Bとともに回動するように歯車部35Bに固定されている。
[0060]
 プーリ38Aのプーリ溝38Aaには、操作ワイヤ38AWが巻き付けられている。操作ワイヤ38AWの一端は、固定部38Ab(図8参照)によりプーリ溝38Aaに固定されている。操作ワイヤ38AWの他端は、医療器具1の基端側に設けられた不図示の動力伝達部に接続されている。操作ワイヤ38AWは、操作ワイヤ38AWの他端から一端に向かうにしたがって、Y2方向から見て反時計回りにプーリ溝38Aaに巻き付けられている。また、プーリ38Bのプーリ溝38Baには、操作ワイヤ38BWが巻き付けられている。操作ワイヤ38BWの一端は、固定部38Bbによりプーリ溝38Baに固定されている。操作ワイヤ38BWの他端は、医療器具1の基端側に設けられた不図示の動力伝達部に接続されている。操作ワイヤ38BWは、操作ワイヤ38BWの他端から一端に向かうにしたがって、Y2方向から見て時計回りにプーリ溝38Baに巻き付けられている。
[0061]
 上述の構成により、操作ワイヤ38AWを基端側に引くとプーリ38Aとともに歯車部35BがY2方向から見て反時計回りに回動する。また、操作ワイヤ38BWを基端側に引くとプーリ38Bとともに歯車部35BがY2方向から見て時計回りに回動する。
[0062]
 本実施形態では、プーリ38Aおよびプーリ38Bの外径は、歯車部35Bのピッチ円直径よりも大きい。これにより、歯車部35Bを回動させるために必要な操作ワイヤ38AWおよび操作ワイヤ38BWの張力を小さくすることができる。また、プーリ38と歯車部35Bとの間で減速を生じさせている。
[0063]
 腕部60は、長手軸O1を中心軸とする円筒状に形成されている。腕部60の先端部61の内部には、長手軸O1に沿って延びる収容空間61Aが形成されている。収容空間61Aは、先端部61に固定された基端接続部材32の基端側に配置されている。収容空間61Aは、回転伝達部32Aの上側回転伝達部32Aaと下側回転伝達部32Abとの間に形成された空間と、開口61Aaを介して長手軸O1に沿う方向に連通している。また、先端部61には、軸O30Cを中心に先端部61を貫通する円孔61Baおよび円孔61Bbが形成されている。円孔61Baおよび円孔61Bbは、それぞれ収容空間61Aと連通し、収容空間61Aを挟んで配置されている。
[0064]
 回転伝達部35、プーリ38A、およびプーリ38Bは、収容空間61Aに配置されている。回転伝達部34Cの歯車部34Dは、開口61Aaを通過して収容空間61A内に配置され、回転伝達部35の歯車部35Bとかみ合っている。回動軸33Cの両端は、軸O30Cを中心に相対的に回動可能に円孔61Baおよび円孔61Bbにそれぞれ支持されている。回動軸33Cは、円孔61Baおよび円孔61Bbにより先端部61に支持されており、回動軸33Bは、先端部61に固定された基端接続部材32の回転伝達部32Aに支持されている。したがって、軸O30Cは、軸O30Bに対して位置が固定されている。
[0065]
 上述した構成を備える先端関節部30の動作について、図8および図9を参照して説明する。図8は、先端関節部30が真っ直ぐな状態を示す図である。図9は、先端関節部30が屈曲した状態を示す図である。図8および図9は、先端関節部30をY2方向から見た図である。なお、図8および図9では、先端関節部30の構成を簡略化して示している。また、図8および図9に示すように、Y1方向回りの回転方向として、Ya1方向とYa1方向とは反対のYa2方向を設定する。
[0066]
 図8に示すように、先端関節部30が真っ直ぐな状態で、操作ワイヤ38AWを基端側に引くと、プーリ38Aに固定された歯車部35BがY2方向から見て反時計回りに、すなわちYa1方向に軸O30Cを中心に回動する。歯車部35Bは中間接続部材34の歯車部34Dとかみ合っているため、歯車部35Bの回動に伴って、歯車部34DがYa2方向に軸O30Bを中心に回動する。すなわち、中間接続部材34は、基端接続部材32に対してYa2方向に軸O30Bを中心に回動する。このとき、中間接続部材34とともに回動軸33A、すなわち軸O30Aも、Ya2方向に軸O30Bを中心に回転移動する。また、先端接続部材31の歯車部31Cは基端接続部材32の歯車部32Cとかみ合っているため、中間接続部材34の回動に伴って、歯車部31CがYa2方向に軸O30Aを中心に回動する。すなわち、先端接続部材31は、中間接続部材34に対してYa2方向に軸O30Aを中心に回動する。上述した動作により、図9に示すように、先端関節部30がYa2方向に屈曲した状態になる。この状態から先端関節部30を真っ直ぐな状態にする場合、または先端関節部30を真っ直ぐな状態からYa1方向に屈曲させる場合には、操作ワイヤ38BWを基端側に引く。これにより、プーリ38Bに固定された歯車部35Bが上述の動作とは逆にYa2方向に軸O30Cを中心に回動する。そして、各部材が上述の動作とはそれぞれ逆方向に動作することで、先端関節部30がYa1方向に屈曲する。
[0067]
 上述の先端関節部30の屈曲動作について、さらに詳細に説明する。ここで、歯車部31Cのピッチ円の半径をRaとし、歯車部32Cのピッチ円の半径をRbとし、歯車部34Dのピッチ円の半径をRcとし、歯車部35Bのピッチ円の半径をRdとする。歯車部35Bが軸O30Cを中心にYa1方向に角度θdだけ回動したときに、歯車部34Dが基端接続部材32に対して軸O30Bを中心にYa2方向に角度θcだけ回動した場合、角度θcは次式で表される。
 θc=θd×Rd/Rc   ・・・(1)
 このとき、歯車部31Cが中間接続部材34に対して軸O30Aを中心にYa2方向に回動する角度をθa、歯車部32Cが中間接続部材34に対して軸O30Bを中心にYa1方向に回動する角度をθbとすると、角度θaは次式で表される。
 θa=θb×Rb/Ra   ・・・(2)
 本実施形態では、歯車部31Cのピッチ円直径と歯車部32Cのピッチ円直径とは等しい。また、角度θbの大きさは角度θcの大きさと同一である。よって、(2)式は次のようになる。
 θa=θb=θc   ・・・(3)
 したがって、先端接続部材31が基端接続部材32に対して回動する角度θ1は、次式で表される。
 θ1=θa+θc=2θc   ・・・(4)
 すなわち、先端接続部材31が基端接続部材32に対して回動する角度θ1は、中間接続部材34が基端接続部材32に対して回動する角度θcの2倍となる。
[0068]
 また、歯車部34Dが回動する際のトルクをTcとし、歯車部35Bが回動する際のトルクをTdとすると、トルクTcは次式で表される。
 Tc=Td×Rc/Rd   ・・・(5)
 本実施形態では、歯車部35Bのピッチ円直径は歯車部34Dのピッチ円直径よりも小さいため、Rc/Rd(減速比)>1となる。このように減速比を大きくすることで、歯車部34DのトルクTcに対して歯車部35BのトルクTdを小さくすることができる。よって、歯車部35Bを回動させる際に操作ワイヤ38AWおよび操作ワイヤ38BWに加わる張力を小さくすることができる。
[0069]
 なお、ダブルジョイント関節では、関節の屈曲は操作ワイヤの経路長に影響しない。例えば、プーリ36Aおよびプーリ36Cに巻き掛けられた操作ワイヤ25Wにおいて、図8に示されるPa点とPb点との間の経路長は、図9に示されるような先端関節部30が屈曲した状態でのPa点とPb点との経路長と等しい。このため、一対の把持片11の操作とは独立して、先端関節部30を屈曲させることができる。
[0070]
 先端関節部30は上述のように構成されているため、関節の軸を傾ける外力が作用する場合など外乱に対する耐性を有する。例えば、一対の把持片11で対象物を把持する力が大きい場合、操作ワイヤ26Wに加わる張力も大きくなる。この張力により、操作ワイヤ26Wが巻き掛けられたプーリ36Bおよびプーリ36Dを介して、回動軸33Aと回動軸33Bとの間隔を広げるように回動軸33Aおよび回動軸33Bを傾かせる力が、回動軸33Aおよび回動軸33Bに作用する。回動軸33Aおよび回動軸33Bが傾いて、互いに非平衡の位置関係に配置された場合、歯車部31Cと歯車部32Cとが互いに傾いた状態でかみ合うため、歯車部間での摩擦力が大きくなる。この結果、エンドエフェクタ10の制御性や操作性が低下してしまう。
[0071]
 従来のダブルジョイント関節では、主として、一方の回動軸が挿通された先端接続部材の歯車部と他方の回動軸が挿通された基端接続部材の歯車部とが互いにかみ合って支持することにより、上述したような回動軸に働く力およびこの力によるモーメントに対抗し、回動軸の姿勢を維持している。上述した点を踏襲しつつ、本実施形態に係る先端関節部30では、さらに、先端接続部材31の回転伝達部31Aは、上側歯車部31Caを有する上側回転伝達部31Aaと下側歯車部31Cbを有する下側回転伝達部31Abとに分割され、基端接続部材32の回転伝達部32Aは、上側歯車部32Caを有する上側回転伝達部32Aaと下側歯車部32Cbを有する下側回転伝達部32Abとに分割されている。中間接続部材34は、上側回転伝達部31Aaと下側回転伝達部31Abとの間に配置され、かつ上側回転伝達部32Aaと下側回転伝達部32Abとの間に配置されている。これにより、回転伝達部31Aの歯車部31CのY1方向の寸法および回転伝達部32Aの歯車部32CのY1方向の寸法を、実質的に大きくすることができる。すなわち、上側歯車部31Caおよび上側歯車部32Caは、中間接続部材34が配置される空間のY1方向の寸法に応じてY1方向側に移動して配置され、下側歯車部31Cbおよび下側歯車部32Cbは、前記空間の寸法に応じてY2方向側に移動して配置されている。その結果、歯車部31Cの全体としてのY1方向の寸法および歯車部32Cの全体としてのY1方向の寸法は大きくなっている。また、回動軸33Aおよび回動軸33BのY1方向の端部により近い位置で、上側歯車部31Caと上側歯車部32Caとが互いにかみ合っており、回動軸33Aおよび回動軸33BのY2方向の端部により近い位置で、下側歯車部31Cbと下側歯車部32Cbとが互いにかみ合っている。よって、歯車部31Cおよび歯車部32Cにより、上述した力により回動軸33Aおよび回動軸33Bに作用するモーメントに対抗して、回動軸33Aおよび回動軸33Bの姿勢をより確実に維持することができる。このように、先端関節部30は外乱に強い構成を有している。
[0072]
 加えて、本実施形態では、中間接続部材34は、上側回転伝達部31Aaと下側回転伝達部31Abとの間、および上側回転伝達部32Aaと下側回転伝達部32Abとの間に配置されており、同時に、回動軸33Aおよび回動軸33BのY1方向の中央部分を支持している。したがって、歯車部35Bにより中間接続部材34が軸O33Bを中心に回動されたときに、中間接続部材34が回動軸33Aを移動させるために回動軸33Aに加える力により回動軸33Aを回動軸33Bに対して傾けるように働くモーメントを小さくすることができる。
[0073]
 続いて、中間関節部70について図10から図14を参照して説明する。図10は、中間関節部70の構成を一部断面で示す図である。図11は、中間関節部70の分解斜視図である。図12は、中間関節部70の中間接続部材74および回転伝達部75の構成を示す斜視図である。
[0074]
 中間関節部70は、Y1方向回りに屈曲するダブルジョイント関節である。中間関節部70は、軸O70Aと、軸O70Bと、軸O70Cとを有する。軸O70Bは、軸O70Aと離間して設けられ、軸O70Aと平行に配置されている。また、軸O70Bは、軸O70Aよりも基端側に配置されている。軸O70Cは、軸O70Aおよび軸O70Bと離間して設けられ、軸O70Aおよび軸O70Bと平行に配置されている。また、軸O70Cは、軸O70Aよりも先端側に配置され、軸O70Aに対して位置が固定されている。本実施形態では、軸O70A、軸O70B、および軸O70Cは、長手軸O1に直交しかつY1方向に平行である。
[0075]
 また、中間関節部70は、先端接続部材71と、基端接続部材72と、中間接続部材74と、回転伝達部75とを有する。先端関節部30では、回転伝達部35は中間接続部材34よりも基端側に配置されているのに対して、中間関節部70では、回転伝達部75は中間接続部材74よりも先端側に配置されている。
[0076]
 先端接続部材71は、腕部60の基端部62の基端側に固定されている。先端接続部材71は、基端側に設けられた回転伝達部71Aを有する。回転伝達部71Aは、軸O70Aを中心に回動可能に構成されている。回転伝達部71Aには、軸O70Aを中心に回転伝達部71AをY1方向に貫通する円孔71Bが形成されている。円孔71Bには、軸O70Aを中心軸としてY1方向に延びる円柱状に形成された回動軸73Aが挿通されている。回動軸73Aは、回転伝達部71Aにより、円孔71Bを介して軸O70Aを中心に相対的に回動可能に支持されている。すなわち、回転伝達部71Aは、軸O70Aを中心に回動軸73Aに対して回動可能である。
[0077]
 回転伝達部71Aは、軸O70Aに沿う方向、すなわちY1方向(またはY2方向)において上側回転伝達部71Aaと下側回転伝達部71Abとに分割されている。上側回転伝達部71Aaと下側回転伝達部71Abとは、Y1方向に離間しかつ長手軸O1を挟むように互いに平行に配置されている。上側回転伝達部71Aaは長手軸O1よりもY1方向側に配置され、下側回転伝達部71Abは長手軸O1よりもY2方向側に配置されている。また、円孔71Bとして、上側回転伝達部71Aaには、軸O70Aを中心に上側回転伝達部71AaをY1方向に貫通する円孔71Baが形成され、下側回転伝達部71Abには、軸O70Aを中心に下側回転伝達部71AbをY1方向に貫通する円孔71Bbが形成されている。円孔71Baおよび円孔71Bbには、回動軸73Aが挿通されている。
[0078]
 回転伝達部71Aは、軸O70Aを中心とした扇形の部位71Csを有し、扇形の部位71Csの円弧上に歯が形成された歯車部71Cを有する。歯車部71Cとして、上側回転伝達部71Aaは上側歯車部71Caを有し、下側回転伝達部71Abは下側歯車部71Cbを有する。なお、扇形の部位71Csとして、上側歯車部71Caは扇形の部位71Casを有し、下側回転伝達部71Abは扇形の部位71Cbsを有する。歯車部71Cは、後述する回転伝達部72Aの歯車部72Cとかみ合うように構成されている。具体的には、上側歯車部71Caは歯車部72Cの上側歯車部72Caとかみ合い、下側歯車部71Cbは歯車部72Cの下側歯車部72Cbとかみ合っている。これによって、回転伝達部71Aと回転伝達部72Aとは、互いに連動して回動するように接続されている。
[0079]
 基端接続部材72は、腕部80の先端側に設けられ、腕部80に固定されている。本実施形態では、腕部80の基端関節部90の先端部91に固定されている。基端接続部材72は、先端側に設けられた回転伝達部72Aを有する。回転伝達部72Aは、軸O70Bを中心に回動可能に構成されている。具体的には、回転伝達部72Aには、軸O70Bを中心に回転伝達部72AをY1方向に貫通する円孔72Bが形成されている。円孔72Bには、軸O70Bを中心軸としてY1方向に延びる円柱状に形成された回動軸73Bが挿通されている。回動軸73Bは、回転伝達部72Aにより、円孔72Bを介して軸O70Bを中心に相対的に回動可能に支持されている。すなわち、回転伝達部72Aは、軸O70Bを中心に回動軸73Bに対して回動可能である。
[0080]
 回転伝達部72Aは、軸O70Bに沿う方向、すなわちY1方向(またはY2方向)において上側回転伝達部72Aaと下側回転伝達部72Abとに分割されている。上側回転伝達部72Aaおよび下側回転伝達部72Abは、それぞれ回転伝達部71Aの上側回転伝達部71Aaおよび下側回転伝達部71Abと同様な態様で配置されている。また、円孔72Bとして、上側回転伝達部72Aaには円孔72Baが形成され、下側回転伝達部72Abには円孔72Bbが形成されている。
[0081]
 回転伝達部72Aは、軸O70Bを中心とした扇形の部位72Csを有し、扇形の部位72Csの円弧上に歯が形成された歯車部72Cを有する。歯車部72Cとして、上側回転伝達部72Aaは上側歯車部72Caを有し、下側回転伝達部72Abは下側歯車部72Cbを有する。なお、扇形の部位72Csとして、上側歯車部72Caは扇形の部位72Casを有し、下側歯車部72Cbは扇形の部位72Cbsを有する。
[0082]
 本実施形態では、歯車部71C(上側歯車部71Caおよび下側歯車部71Cb)のピッチ円直径は、歯車部72C(上側歯車部72Caおよび下側歯車部72Cb)のピッチ円直径と同一である。また、歯車部71CのY1方向の寸法は、歯車部72CのY1方向の寸法と同一である。すなわち、上側歯車部71CaのY1方向の寸法と上側歯車部72CaのY1方向の寸法とは等しく、下側歯車部71CbのY1方向の寸法と下側歯車部72CbのY1方向の寸法とは等しい。
[0083]
 中間接続部材74は、軸O70Aを中心に回動可能でありかつ軸O70Bを中心に回動可能に構成されている。本実施形態では、中間接続部材74は、回転伝達部74Cが先端側に設けられている点を除いて、先端関節部30の中間接続部材34と同様に構成されている。中間接続部材74の先端側に形成された円孔74Aには、回動軸73Aが挿通され、軸O70Aを中心に相対的に回動可能に支持されている。また、中間接続部材74の基端側に形成された円孔74Bには、回動軸73Bが挿通され、軸O70Bを中心に相対的に回動可能に支持されている。
[0084]
 本実施形態では、中間接続部材74の先端側は、回転伝達部71Aの上側回転伝達部71Aaと下側回転伝達部71Abとの間に配置されている。中間接続部材74の基端側は、回転伝達部72Aの上側回転伝達部72Aaと下側回転伝達部72Abとの間に配置されている。
[0085]
 中間接続部材74は、中間接続部材74の先端部に設けられた回転伝達部74Cを有する。回転伝達部74Cは、回転伝達部75と連動して軸O70Aを中心に回動するように回転伝達部75に接続されている。本実施形態では、回転伝達部74Cは、軸O70Bを中心とした扇形の部位74Dsを有し、扇形の部位74Dsの円弧上に歯が形成された歯車部74Dを有する。歯車部74Dは、後述する回転伝達部75の歯車部75Bとかみ合うように構成されている。このため、歯車部75Bおよび歯車部74Dを介して回転伝達部75の回転運動が回転伝達部74Cに伝達される。これによって、回転伝達部74Cは、回転伝達部75と連動して軸O70Aを中心に回動することができる。
[0086]
 回転伝達部71Aの上側回転伝達部71AaのY1方向側には、プーリ76Ai、プーリ76Aj、およびプーリ76Akが、Y1方向に沿ってこの順で設けられている。回転伝達部71Aの下側回転伝達部71AbのY2方向側には、プーリ76Bi、プーリ76Bj、およびプーリ76Bkが、Y2方向に沿ってこの順で設けられている。回転伝達部72Aの上側回転伝達部72AaのY1方向側には、プーリ76Ci、プーリ76Cj、およびプーリ76Ckが、Y1方向に沿ってこの順で設けられている。回転伝達部72Aの下側回転伝達部72AbのY2方向側には、プーリ76Di、プーリ76Dj、およびプーリ76Dkが、Y2方向に沿ってこの順で設けられている。プーリ76Ai、プーリ76Aj、プーリ76Ak、プーリ76Bi、プーリ76Bj、プーリ76Bk、プーリ76Ci、プーリ76Cj、プーリ76Ck、プーリ76Di、プーリ76Dj、およびプーリ76Dkには、先端関節部30のプーリ36A、プーリ36B、プーリ36C、またはプーリ36Dと同様の構成を有するプーリを用いることができる。
[0087]
 プーリ76Aiの円孔、プーリ76Ajの円孔、プーリ76Akの円孔、プーリ76Biの円孔、プーリ76Bjの円孔、およびプーリ76Bkの円孔には、回動軸73Aが軸O70A回りに相対的に回動可能に挿通されている。プーリ76Ciの円孔、プーリ76Cjの円孔、プーリ76Ckの円孔、プーリ76Diの円孔、プーリ76Djの円孔、およびプーリ76Dkの円孔には、回動軸73Bが軸O70B回りに相対的に回動可能に挿通されている。
[0088]
 プーリ76Aiのプーリ溝およびプーリ76Ciのプーリ溝には、後述するプーリ78Aから延びる操作ワイヤ78AWが巻き掛けられている。プーリ76Ajのプーリ溝およびプーリ76Cjのプーリ溝には、先端関節部30のプーリ38Aから延びる操作ワイヤ38AWが巻き掛けられている。プーリ76Akのプーリ溝およびプーリ76Ckのプーリ溝には、先端関節部30のプーリ36Aから延びる操作ワイヤ25Wが巻き掛けられている。
[0089]
 プーリ76Biのプーリ溝およびプーリ76Diのプーリ溝には、後述するプーリ78Bから延びる操作ワイヤ78BWが巻き掛けられている。プーリ76Bjのプーリ溝およびプーリ76Djのプーリ溝には、先端関節部30のプーリ38Bから延びる操作ワイヤ38BWが巻き掛けられている。プーリ76Bkのプーリ溝およびプーリ76Dkのプーリ溝には、先端関節部30のプーリ36Bから延びる操作ワイヤ26Wが巻き掛けられている。
[0090]
 本実施形態では、図10に示されるように、プーリ76Aiおよびプーリ76Ci、プーリ76Ajおよびプーリ76Cj、プーリ76Akおよびプーリ76Ck、プーリ76Biおよびプーリ76Di、プーリ76Bjおよびプーリ76Dj、ならびにプーリ76Bkおよびプーリ76Dkは、それぞれY1方向において同じ位置に配置されている。
[0091]
 加えて、プーリ76Ajおよびプーリ76Cjは、プーリ38AとY1方向において同じ位置に配置されている。プーリ76Akおよびプーリ76Ckは、プーリ36Aおよびプーリ36CとY1方向において同じ位置に配置されている。プーリ76Bjおよびプーリ76Djは、プーリ38BとY1方向において同じ位置に配置されている。プーリ76Bkおよびプーリ76Dkは、プーリ36Bおよびプーリ36DとY1方向において同じ位置に配置されている。上述のように構成されているため、先端関節部30から中間関節部70にまたがる操作ワイヤ25W、26W、38AW、38BWをよりスムーズに駆動させることができる。
[0092]
 また、操作ワイヤ78AWは、Y2方向から見てプーリ76Aiとプーリ76Ciとの間で長手軸O1と交差するように、プーリ76AiのX2方向側からプーリ76CiのX1方向側に巻き掛けられている。操作ワイヤ38AWは、Y2方向から見てプーリ76Ajとプーリ76Cjとの間で長手軸O1と交差するように、プーリ76AjのX1方向側からプーリ76CjのX2方向側に巻き掛けられている。操作ワイヤ25Wは、プーリ76Aiおよびプーリ76Ciに巻き掛けられた操作ワイヤ78AWと同様に、プーリ76Akおよびプーリ76Ckに巻き掛けられている。操作ワイヤ78BWは、プーリ76Ajおよびプーリ76Cjに巻き掛けられた操作ワイヤ38AWと同様に、プーリ76Biおよびプーリ76Diに巻き掛けられている。操作ワイヤ38BWは、プーリ76Aiおよびプーリ76Ciに巻き掛けられた操作ワイヤ78AWと同様に、プーリ76Bjおよびプーリ76Djに巻き掛けられている。操作ワイヤ26Wは、プーリ76Ajおよびプーリ76Cjに巻き掛けられた操作ワイヤ38AWと同様に、プーリ76Bkおよびプーリ76Dkに巻き掛けられている。
[0093]
 プーリ76Akおよびプーリ76CkのY1方向側には、支持部材77Aが設けられている。支持部材77Aは、先端関節部30の支持部材37Aと同様の構成とすることができる。また、プーリ76Bkおよびプーリ76DkのY2方向側には、支持部材77Bが設けられている。支持部材77Bは、先端関節部30の支持部材37Bと同様の構成とすることができる。
[0094]
 支持部材77Aの円孔77Aaおよび支持部材77Bの円孔77Baには、回動軸73Aが軸O70Aを中心に相対的に回動可能に挿通されている。支持部材77Aの円孔77Abおよび支持部材77Bの円孔77Bbには、回動軸73Bが軸O70Bを中心に相対的に回動可能に挿通されている。
[0095]
 回動軸73Aの両端は、円孔77Aaおよび円孔77Baを介して支持部材77Aおよび支持部材77Bに支持されている。同様に、回動軸73Bの両端は、円孔77Abおよび円孔77Bbを介して支持部材77Aおよび支持部材77Bに支持されている。
[0096]
 上述した構成により、回動軸73Aは、支持部材77A、プーリ76Ai、プーリ76Aj、プーリ76Ak、回転伝達部71A(上側回転伝達部71Aaおよび下側回転伝達部71Ab)、中間接続部材74、プーリ76Bi、プーリ76Bj、プーリ76Bk、および支持部材77Bを、軸O70Aを中心に互いに相対的に回動可能に接続している。同様に、回動軸73Bは、支持部材77A、プーリ76Ci、プーリ76Cj、プーリ76Ck、回転伝達部72A(上側回転伝達部72Aaおよび下側回転伝達部72Ab)、中間接続部材74、プーリ76Di、プーリ76Dj、プーリ76Dk、および支持部材77Bを、軸O70Bを中心に互いに相対的に回動可能に接続している。また、軸O70Aと軸O70Bとの間の距離は、支持部材77A、中間接続部材74、および支持部材77Bにより、一定に保持されている。
[0097]
 回転伝達部75は、軸O70Cを中心に回動可能に構成されている。具体的には、軸O70Cを中心に回転伝達部75をY1方向に貫通する円孔75Aが形成されている。円孔75Aには、軸O70Cを中心軸としてY1方向に延びる円柱状に形成された回動軸73Cが挿通されている。回動軸73Cは、回転伝達部75により、円孔75Aを介して軸O70Cを中心に相対的に回動可能に支持されている。すなわち、回転伝達部75は、軸O70Cを中心に回動軸73Cに対して回動可能である。
[0098]
 回転伝達部75は、軸O70Cを中心とした円柱状に形成され、軸O70C回りの外周面に歯が形成された歯車部75Bを有する。上述したように、歯車部75Bは歯車部74Dとかみ合っている。また、歯車部75Bのピッチ円直径は、歯車部74Dのピッチ円直径よりも小さい。このため、歯車部74Dの回転数は歯車部75Bの回転数よりも減速されるとともに、歯車部74Dのトルクを歯車部75Bのトルクよりも増加させることができる。
[0099]
 また、中間関節部70は、軸O70Cを中心に回動可能なプーリ78と、プーリ78に巻き付けられた操作ワイヤ78Wと、を有する。プーリ78は、歯車部75Bと一体に回動するように接続されている。本実施形態では、プーリ78として、プーリ78Aおよびプーリ78Bが設けられている。操作ワイヤ78Wとして、操作ワイヤ78AWおよび操作ワイヤ78BWが設けられている。
[0100]
 プーリ78Aおよびプーリ78Bには、先端関節部30のプーリ38Aまたはプーリ38Bと同様の構成を有するプーリを用いることができる。プーリ78Aの円孔(不図示)およびプーリ78Bの円孔(不図示)には、回動軸73Cが軸O70C回りに相対的に回動可能に挿通されている。プーリ78Aは、歯車部75BにY1方向に隣接して設けられ、歯車部75Bとともに回動するように歯車部75Bに固定されている。プーリ78Aは、プーリ76Aiおよびプーリ76CiとY1方向において同じ位置に配置されている。また、プーリ78Bは、歯車部75BにY2方向に隣接して設けられ、歯車部75Bとともに回動するように歯車部75Bに固定されている。プーリ78Bは、プーリ76Biおよびプーリ76DiとY1方向において同じ位置に配置されている。
[0101]
 プーリ78Aのプーリ溝78Aaには、操作ワイヤ78AWが巻き付けられている。操作ワイヤ78AWの一端は、固定部78Abによりプーリ溝78Aaに固定されている。操作ワイヤ78AWの他端は、医療器具1の動力伝達部に接続されている。操作ワイヤ78AWは、操作ワイヤ78AWの他端から一端に向かうにしたがって、Y2方向から見て反時計回りにプーリ溝78Aaに巻き付けられている。また、プーリ78Bのプーリ溝78Baには、操作ワイヤ78BWが巻き付けられている。操作ワイヤ78BWの一端は、固定部(不図示)によりプーリ溝78Baに固定されている。操作ワイヤ78BWの他端は、医療器具1の動力伝達部に接続されている。操作ワイヤ78BWは、操作ワイヤ78BWの他端から一端に向かうにしたがって、Y2方向から見て時計回りにプーリ溝78Baに巻き付けられている。
[0102]
 上述の構成により、操作ワイヤ78AWを基端側に引くとプーリ78Aとともに歯車部75BがY2方向から見て時計回りに回動する。また、操作ワイヤ78BWを基端側に引くとプーリ78Bとともに歯車部75BがY2方向から見て反時計回りに回動する。
[0103]
 本実施形態では、プーリ78Aおよびプーリ78Bの外径は、歯車部75Bのピッチ円直径よりも大きい。これにより、歯車部75Bを回動させるために必要な操作ワイヤ78AWおよび操作ワイヤ78BWの張力を小さくすることができる。また、プーリ78と歯車部75Bとの間で減速を生じさせている。
[0104]
 腕部60の基端部62の内部には、長手軸O1に沿って延びる収容空間62Aが形成されている。収容空間62Aは、基端部62に固定された先端接続部材71の先端側に配置されている。収容空間62Aは、回転伝達部71Aの上側回転伝達部71Aaと下側回転伝達部71Abとの間に形成された空間と、開口62Aaを介して長手軸O1に沿う方向に連通している。また、基端部62には、軸O70Cを中心に基端部62を貫通する円孔62Baおよび円孔62Bbが形成されている。円孔62Baおよび円孔62Bbは、それぞれ収容空間62Aと連通し、収容空間62Aを挟んで配置されている。
[0105]
 回転伝達部75、プーリ78A、およびプーリ78Bは、収容空間62Aに配置されている。回転伝達部74Cの歯車部74Dは、開口62Aaを通過して収容空間62A内に配置され、回転伝達部75の歯車部75Bとかみ合っている。回動軸73Cの両端は、軸O70Cを中心に相対的に回動可能に円孔62Baおよび円孔62Bbにそれぞれ支持されている。回動軸73Cは、円孔62Baおよび円孔62Bbにより基端部62に支持されており、回動軸73Aは、基端部62に固定された先端接続部材71の回転伝達部71Aに支持されている。したがって、軸O70Cは、軸O70Aに対して位置が固定されている。
[0106]
 上述した構成を備える中間関節部70の動作について、図13および図14を参照して説明する。図13は、中間関節部70が真っ直ぐな状態を示す図である。図14は中間関節部70が屈曲した状態を示す図である。図13および図14は、中間関節部70をY2方向から見た図である。なお、図13および図14では、中間関節部70の構成を簡略化して示している。
[0107]
 図13に示すように、中間関節部70が真っ直ぐな状態で、操作ワイヤ78AWを基端側に引くと、プーリ78Aに固定された歯車部75BがY2方向から見て時計回りに、すなわちYa2方向に軸O70Cを中心に回動する。歯車部75Bは中間接続部材74の歯車部74Dとかみ合っているため、歯車部75Bの回動に伴って、歯車部74DがYa1方向に軸O70Aを中心に回動する。すなわち、中間接続部材74は、先端接続部材71に対してYa1方向に軸O70Aを中心に回動する。このとき、中間接続部材74とともに回動軸73B、すなわち軸O70Bも、Ya1方向に軸O70Aを中心に回転移動する。また、基端接続部材72の歯車部72Cは先端接続部材71の歯車部71Cとかみ合っているため、中間接続部材74の回動に伴って、歯車部72CがYa1方向に軸O70Bを中心に回動する。すなわち、基端接続部材72は、中間接続部材74に対してYa1方向に軸O70Bを中心に回動する。上述した動作により、図14に示すように、中間関節部70は先端接続部材71に対してYa1方向に屈曲した状態、言い換えると基端接続部材72に対してYa2方向に屈曲した状態になる。この状態から中間関節部70を真っ直ぐな状態にする場合、または中間関節部70を真っ直ぐな状態からYa1方向に屈曲させる場合には、操作ワイヤ78BWを基端側に引く。これにより、プーリ78Bに固定された歯車部75Bが上述の動作とは逆にYa1方向に軸O70Cを中心に回動する。そして、各部材が上述の動作とはそれぞれ逆方向に動作することで、中間関節部70がYa1方向に屈曲する。
[0108]
 上述の中間関節部70の屈曲動作について、さらに詳細に説明する。ここで、歯車部71Cのピッチ円の半径をReとし、歯車部72Cのピッチ円の半径をRfとし、歯車部74Dのピッチ円の半径をRgとし、歯車部75Bのピッチ円の半径をRhとする。歯車部75Bが軸O70Cを中心にYa2方向に角度θhだけ回動したときに、歯車部74Dが先端接続部材71に対して軸O70Aを中心にYa1方向に角度θgだけ回動した場合、角度θgは次式で表される。
 θg=θh×Rh/Rg   ・・・(6)
 このとき、歯車部71Cが中間接続部材74に対して軸O70Aを中心にYa2方向に回動する角度をθeとし、歯車部72Cが中間接続部材74に対して軸O70Bを中心にYa1方向に回動する角度をθfとすると、角度θeは次式で表される。
 θf=θe×Re/Rf   ・・・(7)
 本実施形態では、歯車部71Cのピッチ円直径と歯車部72Cのピッチ円直径とは等しい。また、角度θeの大きさは角度θgの大きさと同一である。よって、(7)式は次のようになる。
 θf=θe=θg   ・・・(8)
 したがって、基端接続部材72が先端接続部材71に対して回動する角度、言い換えると先端接続部材71が基端接続部材72に対して回動する角度θ2は、次式で表される。
 θ2=θg+θf=2θg   ・・・(9)
 すなわち、先端接続部材71が基端接続部材72に対して回動する角度θ2は、中間接続部材74が先端接続部材71に対して回動する角度θgの2倍となる。
[0109]
 また、歯車部74Dが回動する際のトルクをTgとし、歯車部75Bが回動する際のトルクをThとすると、トルクTgは次式で表される。
 Tg=Th×Rg/Rh   ・・・(10)
 本実施形態では、歯車部75Bのピッチ円直径は歯車部74Dのピッチ円直径よりも小さいため、Rg/Rh(減速比)>1となる。このように減速比を大きくすることで、歯車部74DのトルクTgに対して歯車部75BのトルクThを小さくすることができる。よって、歯車部75Bを回動させる際に操作ワイヤ78AWおよび操作ワイヤ78BWに加わる張力を小さくすることができる。
[0110]
 なお、中間関節部70においても、先端関節部30と同様に、関節の屈曲は操作ワイヤの経路長に影響しない。
[0111]
 また、中間関節部70において、先端接続部材71の回転伝達部71A(上側回転伝達部71Aaおよび下側回転伝達部71Ab)、基端接続部材72の回転伝達部72A(上側回転伝達部72Aaおよび下側回転伝達部72Ab)、および中間接続部材74は、先端関節部30の構成と同様に配置されている。よって、中間関節部70は、先端関節部30と同様に、関節の軸を傾ける外力が作用する場合など外乱に対する耐性を有する。
[0112]
 基端関節部90は、Y1方向回りに屈曲するダブルジョイント関節である。基端関節部90の関節構造は、先端関節部30を長手軸O1回りに90度回転させた関節構造と同様であるため、その詳細な説明をひとまず省略する。なお、先端関節部30では、各回動軸に二つのプーリが設けられていたが、基端関節部90では、操作ワイヤ25W、26W、38AW、38BW、78AW、78BWをそれぞれ案内するために各回動軸に六つのプーリが設けられている。基端関節部90の基端側は、本体50に接続されている。
[0113]
 本体50は、長手軸O1に沿って延びる円筒状に形成された軟性の長尺部51(図2参照)と、長尺部51の基端に設けられた動力伝達部(不図示)と、を有する。操作ワイヤ25W、26W、38AW、38BW、78AW、78BWおよび基端関節部90を駆動させるための操作ワイヤは、長尺部51の内部を挿通し、動力伝達部に接続されている。動力伝達部は、各操作ワイヤを駆動する駆動力を発生する駆動源を有する。動力伝達部により各操作ワイヤを適宜駆動することで、先端関節部30、中間関節部70、および基端関節部90を屈曲させることができる。動力伝達部としては、例えば、モータ等を用いることができる。
[0114]
 本実施形態に係る医療器具1によれば、先端関節部30、中間関節部70、および基端関節部90は上述の構成を有するため、関節に加えられる外乱の影響を低減することができ、外乱に強いダブルジョイント関節を構成することができる。
[0115]
 先端関節部30において、軸O30Cは軸O30Bよりも基端側に配置されている。このため、先端関節部30の先端側に他の関節を隣接して設けることができる。また、中間関節部70において、軸O70Cは軸O70Aよりも先端側に配置されている。このため、中間関節部70の基端側に他の関節、例えば基端関節部90を隣接して設けることができる。本実施形態に係る医療器具1では、上述のように各関節間の距離を短くすることができる。なお、中間関節部70の構成を有する関節が先端関節部30の位置に配置されてもよいし、先端関節部30の構成を有する関節が中間関節部70の位置に配置されてもよい。
[0116]
 先端関節部30において、歯車部35Bのピッチ円直径は歯車部34Dのピッチ円直径よりも小さいため、歯車部34Dを回動させるために操作ワイヤ38AWおよび操作ワイヤ38BWに加えられる張力を低減することができる。加えて、プーリ38Aおよびプーリ38Bの外径は歯車部35Bのピッチ円直径よりも大きいため、歯車部34Dを回動させるために操作ワイヤ38AWおよび操作ワイヤ38BWに加えられる張力をさらに低減することができる。これにより、先端関節部30の基端側の関節、例えば中間関節部70の回動軸73Aおよび回動軸73Bにプーリ76Aj、76Bj、76Cj、76Djを介して加わる力を低減することができる。
[0117]
 以上が医療器具1の主な構造である。発明者は、医療器具1において、各関節部の動作精度を高めるべく検討を進める中で、基端関節部90に強い外力を加えて屈曲させた際に、基端関節部90を駆動するためのワイヤが脱落し、動力伝達部による基端関節部90の駆動が不能となる可能性を見出した。この可能性について、以下、詳細に説明する。
[0118]
 図15は、基端関節部90を駆動するための回転伝達部200を示す図である。回転伝達部200の構造は、上述した回転伝達部35と概ね同様であり、歯車部201と、歯車部201を軸線方向に挟むように配置されたプーリ205およびプーリ(第二プーリ)206とを備える。
[0119]
 歯車部201は、基端関節部90において歯車部34Dに相当する歯車部91とかみ合っている。プーリ205および206には、それぞれ細長に形成されたワイヤ(伝達部材)207および208が、ワイヤ38AWおよび38BWと同様の態様で一端を固定されて掛け回されている。ワイヤ207および208において、プーリに固定されていない端部(一方の端部)側の部位は、プーリ205、206の接線方向かつプーリ205、206から離れる方向に延びている。
[0120]
 図16に、回転伝達部200とワイヤ207および208との位置関係を模式的に示す。ワイヤ207および208は、長尺部51内に形成されたルーメン51aおよび51bに挿通されている。ルーメン51aおよび51bは、長尺部51の軸線X1に近い位置に形成されているため、プーリ205および206から延びるワイヤ207および208は、プーリ205および206から遠ざかるにつれて、プーリ205および206の回転軸202の延びる方向の一方に変位して、軸線X1に接近している。
[0121]
 医療器具1が動力伝達部により駆動されている状態では、ワイヤ207および208が弛むことは殆どないため、ワイヤ207あるいはワイヤ208が取り付けられたプーリから脱落することはほぼない。
 一方、使用者が手で直接基端関節部90に外力を加えるなどして屈曲させた場合、屈曲の外側で延びるワイヤには、プーリの回転により伸展する力が作用するため弛まない。しかし、屈曲の内側で延びるワイヤは、動力伝達部により牽引されないため、プーリの回転により弛みを生じる。
[0122]
 ワイヤ207および208の弛んだ部位には、回転伝達部200内で移動する余地が生じる。ここで、減速を生じさせるべく歯車部201のピッチ円直径がプーリ205および206の径よりも小さく設定されていると、プーリ205とプーリ206との間であって歯車部201の周囲にワイヤが移動可能なスペースが存在する。歯車部201の周囲のうち、医療器具1の先端側の領域は、歯車部91と噛み合っているため、比較的スペースが小さいが、医療器具1の基端側の領域には、ワイヤ207および208が延びているのみで、ワイヤ207および208の移動を妨げる他の部材が存在しないため、弛んだ部位が変位しやすい。これに加えて、ワイヤ207および208の基端側は、上述したように軸線X1に近づくように変位しているため、歯車部201に接近する方向に変位しやすい。
 ワイヤの弛んだ部位が大きく変位すると、やがてワイヤはプーリから外れる。ワイヤがプーリから外れると、動力伝達部によりワイヤを駆動してもプーリが回転しないため、基端関節部90は動作しなくなる。以上が、上述した可能性の概要である。
[0123]
 上述した可能性を低減するためには、まず歯車部201のピッチ円直径を大きくして歯車部周囲のスペースを小さくすることが考えられる。しかし、このようにすると、プーリと歯車部との間で減速を生じさせることが困難になり、医療器具1の動作精度向上には好ましくない。
[0124]
 プーリに掛け回したワイヤが外れることを抑制する先行技術として、プーリ溝を深くすることや、プーリ溝の幅方向両側に壁部を設けることが知られている。
 しかし、プーリ溝を深くすると、プーリの実質的な径が小さくなるため、プーリと歯車部との間で減速を生じさせることが困難になり、医療器具1の動作精度図向上には好ましくない。
 また、壁部を設ける方法では、プーリの外径が大きくなるため、医療器具1の細径化の観点からは好ましくない。さらに、壁部によりワイヤの移動が防止できるのは、プーリの近傍に限られ、プーリの接線方向かつプーリから離れる方向に延びるワイヤ基端側が、回転軸202の延びる方向に移動することを十分に抑制することは困難である。プーリから離れたワイヤ基端側の移動は、弛んだワイヤがプーリから外れるきっかけになる。
[0125]
 このように、医療器具1の細径化と動作精度の向上とを両立させる前提に鑑みると、上述した対策は、いずれも十分とは言えない。そこで、発明者は、上述した各方法とは全く異なる方法によりワイヤの脱落を防止することで、細径化と動作精度の向上とを両立できるように医療器具1を構成することに成功した。
[0126]
 図17に示すように、本実施形態の医療器具1においては、回転伝達部200におけるプーリ205とプーリ206との間、すなわち、プーリ205、206に対してプーリ205、206の回転軸202(図15、図16等参照)の延びる方向にずれた位置にスペーサ(脱落防止部)210を配置することにより、プーリ205、206、および歯車部201の形状や寸法を変更せずにワイヤ207、208のプーリ205、206からの脱落を防止している。
 配置されたスペーサ210は、ワイヤ207、208のうち、プーリ205、206の接線方向かつプーリ205、206から離れる方向に延びる部位に対しても、回転軸202の延びる方向にずれた位置に配置される。
[0127]
 図18に、スペーサ210を示す。スペーサ210は、歯車部201の周囲に配置される前側部211と、歯車部201よりも基端側に配置される後側部216とを備えている。
[0128]
 前側部211の厚みt1は、プーリ205とプーリ206との間に進入できるように、プーリ205、206間の距離以下に設定されている。厚みt1の寸法が小さくなるにつれてスペーサ210によるワイヤ脱落防止効果が低下する。この観点からは、前側部211がプーリ205とプーリ206との間に配置された際に、前側部211とプーリ205およびプーリ206との間にワイヤ207、208の径以上の隙間が生じない程度に厚みt1の値が設定されることが好ましい。前側部211の高さh1は、歯車部201の周囲のスペースを十分埋めることができるように適宜設定されてよい。医療器具1の細径化の観点からは、高さh1をプーリ205、206の直径と同程度とするのが好ましい。
[0129]
 前側部211は、前端部に円弧状部分212を有する。円弧状部分の曲率半径rは、歯車部201の歯を含めた半径よりも大きく設定されており、プーリ205とプーリ206との間に配置された際に、歯車部201の動作を妨げない。
[0130]
 本実施形態において、後側部216は、前側部211の高さh1を保持しつつ、前側部の後端から後側へ延びている。後側部216は、高さ方向の両側において厚みが増している。これにより、後側部216の高さ方向の両側にワイヤガイド(ガイド部)217および218が設けられている。ワイヤガイドが設けられた部位以外の後側部216の厚みは、適宜設定できるが、前側部211と同様の理由から、前側部211の厚みt1と同程度が好ましい。後側部216は、プーリ205および206が存在しない位置に配置されるため、ワイヤ207および208と接触しない範囲で後側部216の厚みを厚みt1より大きい値に設定してもよい。
[0131]
 ワイヤガイド217および218は、スペーサ210の後端に近づくにつれて高さ方向中央に接近する斜面217aおよび218aを厚さ方向の両側に有する。斜面217aおよび218aの傾斜角度は、プーリと動力伝達部との間に張られたワイヤの変位の程度と略同一に設定されている。
[0132]
 スペーサ210の材質に特に制限はなく、例えば、樹脂や金属等を用いることができる。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のように、表面が滑りやすい材質を選択すると、スペーサ210がプーリ、ワイヤ、歯車部等に接触しても過大な摩擦が生じず、医療器具の駆動を妨げないため、好ましい。
[0133]
 スペーサ210がプーリ205と206との間に介装されて配置されると、歯車部201周囲であって歯車部91が存在しない部分のスペースが前側部211によって埋められる。その結果、ワイヤ207、208が弛んでも、プーリ205と206との間に移動することはできなくなる。
[0134]
 さらに、後側部216が歯車部201の後方、より具体的には、回転軸202およびプーリ205、206の後端よりも後側に存在するスペースを埋めるため、プーリ205、206から離れた位置においても、弛んだワイヤが回転軸202の延びる方向に移動することが制限され、ワイヤ207、208がプーリから外れるきっかけとなる事象の発生も抑制される。
[0135]
 また、プーリ205、206から離れるにつれて軸線X1に接近するように張られたワイヤ207、208に対して、軸線X1から離れる方向にワイヤガイド217、218が存在する。したがって、弛んだワイヤが軸線X1から離れる方向に移動しようとすると、斜面217aまたは斜面218aと接触し、それ以上軸線X1から離れる方向には移動しない。したがって、プーリ205、206から離れる方向に延びるワイヤ207、208の基端側の延在方向は、ワイヤガイド217、218によって所定の範囲に規定される。その結果、ワイヤが弛んでも軸線X1から離れる方向に過度に移動することがなく、プーリから外れることが好適に抑制される。
[0136]
 以上説明したように、本実施形態の医療器具1においては、スペーサ210を備えることにより、回転伝達部200におけるプーリや歯車部の寸法を変更することなく、ワイヤ207、208がプーリ205、206から脱落することを防止できる構成を有する。したがって、医療器具1において、高精度な動作と、動作不能な事態の発生の抑制とを両立することができる。
[0137]
 以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
[0138]
 例えば、基端関節部90以外の部位にスペーサが配置されてもよい。図19に、先端関節部30と中間関節部70との間に配置されるスペーサの一例として、スペーサ220を示す。スペーサ220は、スペーサ210と同様の前側部211と、前側部211に接続された後側部226とを備えている。
[0139]
 スペーサ220は、スペーサ210と同様に、前側部211で回転伝達部35の歯車部35B周囲のスペースを埋める。さらに、回転伝達部75の歯車部75B周囲のスペースを埋めることができるよう、後側部226にも円弧状部分212が設けられている。
[0140]
 さらに、スペーサ220には、ワイヤガイド217および218に代えてワイヤガイド227および228が設けられている。基端関節部と異なり、中間関節部においては、ワイヤは長手軸O1と略平行に延びているため、ワイヤガイド227および228は斜面を有さず、ワイヤの変位を防止するガイド溝227aおよび228aのみを有している。
[0141]
 また、本発明に係るスペーサにおいて、ワイヤガイドは必須ではない。したがって、プーリ周囲のスペースを十分埋めることができれば、ワイヤガイドが設けられなくてもよい。
[0142]
 また、医療器具1においては、ワイヤの一端がプーリの外周面に固定されているため、ワイヤの他端が延びる側であるプーリの後側のうち、ワイヤの一端が固定されている側ではワイヤの弛みが生じにくい。したがって、前側部および後側部の形状を、ワイヤの基端側が延出する側のスペースのみを埋める形状にしてもよい。
[0143]
 加えて、本発明に係るスペーサにおいて、他の部位から独立した部材であることは必須ではない。例えば、回転伝達部が収容されるカバーとスペーサとが、射出成型や切削加工等により一体の部材として形成されてもよい。
[0144]
 本実施形態では、医療器具1が把持鉗子でありエンドエフェクタ10が一対の把持片11を有する例を説明したが、これに限られない。エンドエフェクタ10は、高周波ナイフなど他の処置具を有していてもよいし、撮像素子等を備えた観察手段であってもよい。
[0145]
 本実施形態では、先端関節部30において、回転伝達部31Aと回転伝達部32Aとは、歯車部31Cおよび歯車部32Cにより、互いに連動して回動するように接続されており、回転伝達部31Aと回転伝達部32Aとの間の回転運動の伝達を行っているが、これに限られない。歯が形成されていない二つのローラを摩擦接触させることで回転運動を伝達してもよいし、ワイヤとプーリを用いて回転運動を伝達してもよい。また、その他回転運動を伝達する公知の方法を用いてもよい。なお、回転伝達部34Cと回転伝達部35との間の回転運動の伝達、および中間関節部70についても同様である。
[0146]
 本実施形態では、本体50の長尺部51は軟性であるとして説明したが、長尺部51は硬性であってもよい。
[0147]
 さらに、本発明に係るスペーサの適用対象は、上述した構成を備えた医療器具1に限られない。医療器具1と異なる構成の医療器具であっても、プーリ等の回転体にワイヤが掛け回された構造を有し、かつプーリの回転軸の延びる方向のいずれかにワイヤが移動可能なスペースを有する構造であれば、スペーサの形状を適宜変更しつつ配置することで同様にワイヤの脱落を防止することができる。
 例えば、一つのプーリに1本のワイヤが掛け回され、ワイヤの両端がプーリの後側に延びて動力伝達部に接続されるような構成でも、本発明に係るスペーサを好適に適用することができる。また、歯車部を備えず、プーリとワイヤのみを有する駆動機構を備えた医療器具にも、本発明に係るスペーサを好適に適用することができる。
[0148]
 また、本発明の医療器具において、伝達部材は、断面が円形のワイヤでなくてもよい。例えば、断面が矩形のワイヤや、断面が扁平な形状のベルト等であってもよい。

産業上の利用可能性

[0149]
 本発明は、医療器具に好適に適用することができる。

符号の説明

[0150]
 1 医療器具
201 歯車部
202 回転軸
205 プーリ
206 プーリ(第二プーリ)
207、208 ワイヤ(伝達部材)
210、220 スペーサ(脱落防止部)
217、218、227、228 ワイヤガイド(ガイド部)

請求の範囲

[請求項1]
 回転軸を中心に回転可能なプーリと、
 細長に形成されて一部が前記プーリの外周面に沿って配置され、一方の端部側が、前記プーリの接線方向かつ前記プーリから離れる方向に延びており、自身の長手方向に進退駆動されることにより前記プーリを回転可能に構成された伝達部材と、
 前記伝達部材の前記一方の端部側の部位に対して、前記回転軸が延びる方向の少なくとも一方に配置され、前記伝達部材が前記プーリから脱落することを防止する脱落防止部と、
 を備える医療器具。
[請求項2]
 前記伝達部材の一方の端部側は、前記プーリから離れるにしたがって前記回転軸の延びる方向に変位している、
 請求項1に記載の医療器具。
[請求項3]
 前記プーリより小さいピッチ円直径を有し、前記プーリに対して前記回転軸が延びる方向の少なくとも一方に、かつ前記プーリと同軸に配置され、前記プーリとともに回転するように構成された歯車部をさらに備え、
 前記脱落防止部は、前記歯車部の周囲の空間の少なくとも一部を埋めるように配置されている、
 請求項1に記載の医療器具。
[請求項4]
 前記プーリとの間に前記歯車部を挟むように前記プーリと同軸に配置された第二プーリをさらに備え、
 前記脱落防止部の少なくとも一部が前記プーリと前記第二プーリとの間に配置されている、
 請求項1に記載の医療器具。
[請求項5]
 前記脱落防止部は、前記伝達部材のうち前記プーリから離れる方向に延びる領域の延在方向を規定するガイド部を有する、
 請求項1に記載の医療器具。
[請求項6]
 前記伝達部材の前記長手方向における第一の端部は、前記プーリの外周面上に固定されている、
 請求項1に記載の医療器具。
[請求項7]
 前記脱落防止部の少なくとも一部は、前記回転軸よりも前記第二の端部側に配置されている、
 請求項6に記載の医療器具。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]