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1. (WO2018109873) 含水ゲルシート
Document

明 細 書

発明の名称 含水ゲルシート

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032  

実施例

0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

明 細 書

発明の名称 : 含水ゲルシート

技術分野

[0001]
 本発明は、含水ゲルシートに関する。

背景技術

[0002]
 従来より、含水高分子ゲル層を含む含水ゲルシートが開発されており、皮膚に貼付した際に水の気化熱によって局所に冷感を及ぼす作用を有する。また、さらに冷感付与効果を高めるべく、こうした含水高分子ゲル層に冷感剤を含有させることもなされている。かかる冷感剤としては、高い冷感効果を発揮することのできるメントールが多用されており、乳酸メンチル等も用い得ることが知られている。
[0003]
 例えば、特許文献1には、含水高分子ゲル層にナノファイバー層が積層されてなる皮膚貼付用シートが開示されており、かかる含水高分子ゲル層には、l-メントールや乳酸メンチル等の冷感剤を0.0001~10質量%の量で含有し得ることが記載されている。冷感剤としてl-メントールを用いれば、高い冷涼感を確保し得るものの、その含有量によっては刺激性や匂いが強まるおそれがある。一方、乳酸メンチルは、刺激性が少なく微香の冷感剤ではあるものの、メントールに比べて冷感効果が低いため、充分な冷涼感を享受するにはその含有量を高める必要がある。
[0004]
  (特許文献1)特開2013-132409号公報
[0005]
 本発明は、次の成分(A)及び(B):
 (A)乳酸メンチル 0.01質量%以上0.6質量%以下、
 (B)非環式モノテルペン及びその誘導体、非環式セスキテルペン及びその誘導体、並びに分子内に環の骨格が炭素原子のみからなる環状構造を1個有する、メントール以外のモノテルペン及びその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の香料成分
を含水高分子ゲル層中に含有し、かつ成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))が0.1以上15以下である含水高分子ゲル層
を含む、包材入り含水ゲルシートに関する。
[0006]
 乳酸メンチルは、含水ゲルシートの製造時や保存時において、かかるシートが封入されてなる包材に吸着されやすいため、含水ゲルシートを包材から取り出して使用する際には、冷感効果が減退してしまうおそれがある。また、乳酸メンチルであっても、その含有量が過剰になるにつれ、刺激の原因となる可能性もある。
 こうしたなか、上記特許文献1等の従来技術において、冷感剤として乳酸メンチルを効果的かつ効率的に用いるための十分な検討はなされておらず、依然として改善の余地がある。
[0007]
 したがって、本発明は、冷感剤として乳酸メンチルを効果的かつ効率的に用い、包材への吸着を有効に抑制して、優れた冷涼感をもたらすとともに低刺激性をも実現することのできる包材入り含水ゲルシートに関する。
[0008]
 そこで本発明者は、種々検討したところ、特定量の乳酸メンチルと特定の種類の香料成分を特定の質量比とする含水高分子ゲル層を用いることにより、乳酸メンチルの包材への吸着を有効に抑制して、使用時に優れた冷涼感をもたらすことのできる包材入り含水ゲルシートが得られることを見出した。
[0009]
 本発明の包材入り含水ゲルシートによれば、乳酸メンチルの包材への吸着が効果的に抑制されるため、乳酸メンチルを過剰に含有させることなく優れた冷涼感を発揮することができ、また低刺激性を良好に保持することも可能である。

発明の詳細な説明

[0010]
 以下、本発明について詳細に説明する。
 本発明の包材入り含水ゲルシートは、次の成分(A)及び(B):
 (A)乳酸メンチル 0.01質量%以上0.6質量%以下、
 (B)非環式モノテルペン及びその誘導体、非環式セスキテルペン及びその誘導体、並びに分子内に環の骨格が炭素原子のみからなる環状構造を1個有する、メントール以外のモノテルペン及びその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の香料成分
を含水高分子ゲル層中に含有し、かつ成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))が0.1以上15以下である含水高分子ゲル層
を含む。
[0011]
 本発明の包材入り含水ゲルシートに含まれる含水高分子ゲル層は、成分(A)として、乳酸メンチルを0.01質量%以上0.6質量%以下含有する。使用時において、本発明の含水ゲルシートを包材から取り出して皮膚に貼付した際、含水高分子ゲル層中の水分が蒸散し、水の気化熱によって皮膚の熱が奪われて冷却されるとともに、成分(A)の乳酸メンチルによっても冷感が増強され、快適な冷涼感をもたらすことができる。
[0012]
 成分(A)の含有量は、含水高分子ゲル層中の水分とも相まって有効に冷涼感をもたらす観点から、含水高分子ゲル層中に、0.01質量%以上であって、好ましくは0.03質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.06質量%以上である。また、成分(A)の含有量は、低刺激性を確保する観点から、含水高分子ゲル層中に、0.6質量%以下であって、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以下である。そして、成分(A)の含有量は、含水高分子ゲル層中に、0.01質量%以上0.6質量%以下であって、好ましくは0.03~0.5質量%であり、より好ましくは0.05~0.3質量%であり、さらに好ましくは0.06~0.2質量%である。含水高分子ゲル層における含有量がかかる値となる量で、成分(A)を後述するゲル原液に配合するとよい。
[0013]
 本発明の包材入り含水ゲルシートに含まれる含水高分子ゲル層は、成分(B)として、非環式モノテルペン及びその誘導体、非環式セスキテルペン及びその誘導体、並びに分子内に環の骨格が炭素原子のみからなる環状構造を1個有する、メントール以外のモノテルペン及びその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の香料成分を含有する。このように、成分(A)の乳酸メンチルやメントールとは異なる成分として、かかる成分(B)のような特定の香料成分を含有することにより、後述する成分(A)と成分(B)との間における特定の質量比((A)/(B))を有することとも相まって、包材への成分(A)の吸着を有効に抑制し、成分(A)の冷感効果を有効に発揮させることができる。
[0014]
 成分(B)の非環式モノテルペン及びその誘導体とは、2つのイソプレン単位からなり、線形構造を有するテルペン及びその誘導体であり、例えば、オシメン、ミルセン、ゲラニオール、β-シトロネロール、リナロール、ネロール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、ラバンジュロール、ギ酸リナリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸シトロネリル、酢酸ネリル、酢酸ラバンジュリル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸シトロネリル、酪酸リナリル、酪酸ゲラニル、酪酸シトロネリル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ゲラニル、イソ酪酸シトロネリル、安息香酸リナリル、安息香酸ゲラニル、シトラール、シトロネラール等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
 成分(B)の非環式セスキテルペン及びその誘導体とは、3つのイソプレン単位からなり、線形構造を有するテルペン及びその誘導体であり、例えば、ネロリドール、ファルネソール、シネンサール、酢酸ネロリドール等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
 成分(B)の分子内に環の骨格が炭素原子のみからなる環状構造を1個有するモノテルペン及びその誘導体とは、ヘテロ原子を含まない、芳香族環であってもよい環状構造を1個有しており、メントール以外のモノテルペン及びその誘導体であり、例えば、リモネン、フェランドレン、テルピネン、テルピノレン、シメン、チモール、カルバクロール、1,8-シネオール、1,4-シネオール、アスカリドール、オイゲノール、テルピネオール、カルベオール、カルボン、ピペリトンから選ばれる1種又は2種以上等が挙げられる。
[0015]
 かかる成分(B)としては、具体的には、ゲラニオール、β-シトロネロール、ネロール、リナロール、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、シトラール、シトロネラール、ネロリドール、オイゲノール、チモール、及び1,8-シネオールから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ゲラニオール、β-シトロネロール、リナロール、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、シトラール、及びネロリドールから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、リナロール及び酢酸リナリルから選ばれる1種又は2種がさらに好ましい。
[0016]
 成分(B)の含有量は、成分(A)の包材への吸着を有効に抑制し、優れた冷感効果を確保する観点から、含水高分子ゲル層中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.15質量%以上である。また、成分(B)の含有量は、低刺激性を確保する観点から、含水高分子ゲル層中に、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である。そして、成分(B)の含有量は、含水高分子ゲル層中に、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.1~5質量%であり、さらに好ましくは0.15~1質量%である。
[0017]
 成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))は、成分(B)による成分(A)の包材への吸着抑制効果を充分に発揮させる観点から、0.1以上であって、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.3以上である。また、成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))は、成分(A)による良好な冷感効果を確保しつつ低刺激性を保持する観点から、15以下であって、好ましくは10以下であり、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは3以下である。そして、成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))は、0.1以上15以下であって、好ましくは0.2~10であり、より好ましくは0.3~5であり、さらに好ましくは0.3~3である。
[0018]
 含水高分子ゲル層を形成する高分子としては、水を保持して適度な弾力性や柔軟性を有するゲルを形成し得るものであれば良く、例えば、カルボキシル基、硫酸基、又はリン酸基なる官能基を有する高分子が挙げられる。具体的には、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等のポリ(メタ)アクリル酸及びその塩;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のアニオン性セルロース誘導体及びその塩;ジェランガム、ペクチン、キサンタンガム、カラギーナン、寒天、アルギン酸及びその塩、アニオン性の澱粉誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の高分子を使用できる。なかでも、充分な保水量を保持しつつ、適切なゲル強度、及び皮膚に貼付した際における皮膚の凹凸やその動きに追従可能な柔軟性も兼ね備える観点から、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、アニオン性セルロース誘導体及びその塩、並びにカラギーナンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、カルボキシメチルセルロース及びその塩から選ばれる1種又は2種がより好ましい。これら高分子の含有量は、十分な水分量を供給し続ける観点から、含水高分子ゲル層中に、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上である。これら高分子の含有量は、同様の観点から、含水高分子ゲル層中に、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。また、これら高分子の含有量は、含水高分子ゲル層中に、好ましくは0.1~30質量%であり、より好ましくは0.5~20質量%であり、さらに好ましくは1~15質量%である。含水高分子ゲル層における含有量がかかる値となる量で、高分子を後述するゲル原液に配合するとよい。
[0019]
 含水高分子ゲル層中における水分含有量は、水の気化熱により持続的に貼付部位に冷感をもたらす観点から、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは68質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。含水高分子ゲル層中における水分含有量は、同様の観点から、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは92質量%以下である。また、含水高分子ゲル層中における水分含有量は、好ましくは65~95質量%であり、より好ましくは68~92質量%であり、さらに好ましくは70~92質量%である。含水高分子ゲル層中の水分量がかかる値となる量で、後述するゲル原液に水を配合するとよい。
[0020]
 上記高分子によりゲルを形成する際、さらに架橋剤を用いて高分子が有する官能基と反応させるのがよい。かかる架橋剤としては、アルミニウム、マグネシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、カドミウム、鉛、カルシウム、カリウム等を含む酸化物や水酸化物、塩類のような金属イオン化合物;ポリリジン等のポリアミノ酸のようなカチオン性ポリマー;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の多官能性エポキシ化合物から選ばれる1種又は2種以上を併用してもよい。なかでも、アルミニウム及び/又はマグネシウムを含む酸化物、水酸化物、並びに塩類等の金属イオン化合物から選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。かかる金属イオン化合物としては、具体的には、水酸化アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
[0021]
 本発明の包材入り含水ゲルシートは、従来より多用されていた冷感剤であるメントールを必ずしも含有せずとも、優れた冷感を長時間にわたり持続させることができる。そのためメントールの含有量を適宜低減しながら用いることができ、かかる含有量が増大するにつれて増強し得る刺激性や匂い等を考慮する必要がなく、良好な使用感を確保することが可能である。かかるメントールとしては、l-メントール、d-メントール、及びdl-メントールが挙げられる。これらメントールの含有量は、上記含水高分子ゲル層中に、好ましくは0.05質量%以下であり、さらに好ましくは0.02質量%以下であり、また刺激性を有効かつ効果的に低減する観点から、不可避的に混入する場合を除き、メントールを含有しなくともよい。
[0022]
 含水高分子ゲル層のpHは3.5~7が好ましい。通常、ヒトの正常な皮膚のpHは上記範囲内にあり、皮膚のpHが必要以上に変動すると皮膚の機能が妨げられてしまうことから、皮膚に直接接し得る含水ゲルシートのpHも上記範囲であることが好ましい。かかるpHは、適宜pH調整剤を用いることによって調整すればよい。pH調整剤としては、例えばコハク酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸又はこれらの塩、或いはリン酸又はその塩等が好適に使用される。上記含水高分子ゲル層のpHは、より好ましくは4~7であり、さらに好ましくは4~6.5である。
 なお、含水高分子ゲル層のpHは、含水高分子ゲル層中の含水高分子ゲル0.5gを分取し、純水4.5gに溶解するまで混合撹拌し、その分散液のpHをpHメーター(B-212,HORIBA)にて測定した値である。
[0023]
 含水高分子ゲル層には、上記成分のほか、通常、化粧品や医薬品等で用いられる他の成分、例えば、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類、尿素、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;油剤;アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;薬効成分;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;溶解剤;着色料;「合成香料化学と商品知識」、印藤元一著、1996年化学工業日報社刊;「パフューム アンド フレバー ケミカルス(Perfume and Flavor Chemicals)」、ステファンアークタンダー(STEFFENARCTAMDER)著、1969年等の文献に記載された香料等であり、かつ上記成分(A)及び成分(B)以外の香料成分を適宜含有させてもよい。また、これらの成分は、後述する支持体層を用いる場合、これに含有させてもよい。
[0024]
 含水高分子ゲル層の厚みは、皮膚に貼付した際の蓄熱を回避する観点、及び後述するように、本発明の包材入り含水ゲルシートが含水高分子ゲル層に特定の坪量を有するような支持体層が積層されてなる場合、かかる支持体層がもたらす作用とも相まって、十分な水分量を貼付した皮膚や支持体層へ移行させ続ける観点から、好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.3mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上である。含水高分子ゲル層の厚みは、同様の観点から、好ましくは4mm以下であり、より好ましくは3mm以下であり、さらに好ましくは2mm以下である。また、含水高分子ゲル層の厚みは、好ましくは0.1~4mmであり、より好ましくは0.3~3mmであり、さらに好ましくは0.5~2mmである。
[0025]
 本発明の包材入り含水ゲルシートは、上記含水高分子層を良好に担持させる観点から、上記含水高分子層を含むほか、支持体層を含んでもよい。この場合、含水高分子ゲル層の少なくとも一方の面に、支持体層が積層されてなるのが好ましい。かかる支持体層としては、シート状透湿性基材が挙げられる。なかでも、含水高分子ゲル層から支持体層へと水分を移行させ、かかる支持体層から徐々に水分が蒸発することでも冷却効果を増強させる観点から、支持体層の坪量は、3g/m 2以上であるのが好ましく、10g/m 2以上であるのがより好ましく、70g/m 2以下であるのが好ましく、60g/m 2以下であるのがより好ましい。かかる坪量を有する支持体層としては、具体的には、繊維シートが好ましく、例えば不織布、織布、編布及び紙から選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、好ましくは不織布であり、より具体的には、芯部と鞘部とからなる芯鞘構造を有する繊維や、綿、パルプ、レーヨン、セルロース、アクリル繊維等の吸水性繊維、或いは繊維内部に水分を保持する空隙が形成されてなる多孔質構造を呈している繊維等を含有する不織布が好ましい。
[0026]
 支持体層の厚みは、含水高分子ゲル層に含まれる水分の蒸散を阻害せず、かつこの効果を長時間に亘って持続させる観点から、好ましくは0.01mm以上であり、より好ましくは0.05mm以上である。支持体層の厚みは、同様の観点から、好ましくは0.8mm以下であり、より好ましくは0.6mm以下である。また、支持体層の厚みは、好ましくは0.01~0.8mmであり、より好ましくは0.05~0.6mmである。
[0027]
 含水高分子ゲル層を形成し、かかるゲル層を含む本発明の包材入り含水ゲルシートを製造するには、まず、成分(A)、成分(B)、高分子、水、及び必要に応じて他の成分を含有するゲル原液を調製する。次いで、剥離可能なフィルムにゲル原液を挟み込み、ベーカー式アプリケーター等を用いて展延して、含水高分子ゲル層を含む架橋前含水ゲルシートを形成する。このとき、ゲル原液を挟み込む一方の面に上記支持体層を積層してもよい。そして、後述する最内層がポリエチレンである包材に、得られた架橋前の含水ゲルシートを封入し、50℃加温下で数日間熟成させることによってゲルを架橋させ、包材入り含水ゲルシートを得る。なお、かかる包材入り含水ゲルシートは、従来公知の方法にしたがって製造することができ、これに限られるものではない。
[0028]
 上記含水ゲルシートを封入する包材は、単一層又は複数層から構成される積層体であってもよい。なかでも、乳酸メンチルの吸着性が顕在化しやすく、本発明の効果が顕著に発揮される等の観点から、包材の最内層がポリオレフィン樹脂で形成されてなるのが好ましい。かかるポリオレフィン樹脂としては、少なくともポリエチレン又はポリプロピレンを含む樹脂であるのが好ましい。
[0029]
 本発明の包材入り含水ゲルシートは、包材から取り出した後、皮膚に貼付することによって用いるのが好ましい。かかる含水ゲルシートは、成分(A)の乳酸メンチルの包材への吸着が効果的に抑制されるため、貼付した皮膚に対し、効果的かつ持続的に冷涼感をもたらすとともに、刺激性も低減される。すなわち、外皮(頭皮を含む)に貼付するための化粧料、医薬品、医薬部外品及び雑貨として、その用途は多岐に亘る。例えば、急な発熱時に額や首元に冷感を付与したい場合、夏場の暑くて寝苦しい夜の就寝前に四肢や体、頸、顔面、頭部に対し、低刺激性でありながら心地よい冷涼感を有効かつ持続的に付与したい場合、夏場の高温多湿時の屋内外で頻繁にシートを取り換える必要なく、所望の部位の皮膚上に貼付して用いることができ、刺激に弱い敏感な皮膚にも安心して用いることができる。
[0030]
 上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の冷感シートを開示する。
 [1]次の成分(A)及び(B):
 (A)乳酸メンチル 0.01質量%以上0.6質量%以下、
 (B)非環式モノテルペン及びその誘導体、非環式セスキテルペン及びその誘導体、並びに分子内に環の骨格が炭素原子のみからなる環状構造を1個有する、メントール以外のモノテルペン及びその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の香料成分
を含水高分子ゲル層中に含有し、かつ成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))が0.1以上15以下である含水高分子ゲル層
を含む、包材入り含水ゲルシート。
 [2]含水高分子ゲル層中における成分(A)の含有量が、好ましくは0.03質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.06質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以下である上記[1]の包材入り含水ゲルシート。
 [3]成分(B)が、好ましくはゲラニオール、β-シトロネロール、ネロール、リナロール、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、シトラール、シトロネラール、ネロリドール、オイゲノール、チモール、及び1,8-シネオールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはゲラニオール、β-シトロネロール、リナロール、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、シトラール、及びネロリドールから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはリナロール及び酢酸リナリルから選ばれる1種又は2種である上記[1]又は[2]の包材入り含水ゲルシート。
 [4]成分(B)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.15質量%以上であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である上記[1]~[3]いずれか1の包材入り含水ゲルシート。
[0031]
 [5]成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))は、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.3以上であり、好ましくは10以下であり、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは3以下である上記[1]~[4]いずれか1の包材入り含水ゲルシート。
 [6]含水高分子ゲル層中における水分含有量が、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは68質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは92質量%以下である上記[1]~[5]いずれか1の包材入り含水ゲルシート。
 [7]含水高分子ゲル層が、アルミニウム及び/又はマグネシウムを含む酸化物、水酸化物、並びに塩類から選択される1種又は2種以上の金属イオン化合物を含有する上記[1]~[6]いずれか1の包材入り含水ゲルシート。
 [8]含水高分子ゲル層中におけるメントールの含有量が、好ましくは0.05質量%以下であり、さらに好ましくは0.02質量%以下であり、或いはメントールを含有しなくともよい上記[1]~[7]いずれか1の包材入り含水ゲルシート。
[0032]
 [9]含水高分子ゲル層のpHが、好ましくは3.5~7であり、より好ましくは4~7であり、さらに好ましくは4~6.5である上記[1]~[8]いずれか1の包材入り含水ゲルシート。
 [10]含水高分子ゲル層の厚みが、好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.3mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上であり、好ましくは4mm以下であり、より好ましくは3mm以下であり、さらに好ましくは2mm以下である上記[1]~[9]いずれか1の包材入り含水ゲルシート。
 [11]含水高分子ゲル層に積層されてなる支持体層を含み、支持体層の坪量が、好ましくは3g/m 2以上であり、より好ましくは10g/m 2以上であり、好ましくは70g/m 2以下であり、より好ましくは60g/m 2以下である上記[1]~[12]いずれか1の包材入り含水ゲルシート。
 [12]支持体層の厚みが、好ましくは0.01~0.8mmであり、より好ましくは0.05~0.6mmである上記[11]の包材入り含水ゲルシート。
 [13]包材の最内層が、好ましくはポリオレフィン樹脂で形成されてなり、より好ましくは少なくともポリエチレン又はポリプロピレンを含む樹脂で形成されてなる上記[1]~[12]いずれか1の包材入り含水ゲルシート。

実施例

[0033]
 以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
[0034]
 [実施例1~21、比較例1~6]
 表1~2に示す処方にしたがい、下記方法により厚み0.8mmの含水高分子ゲル層を製造した。
[0035]
 具体的には、まずグリセリン、パラオキシ安息香酸メチルを加温溶解させたプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース(実施例21のみ使用せず)、水酸化アルミニウム(「乾燥水酸化アルミニウムゲル」、協和化学工業株式会社)との混合液を混練機に投入し、次にコハク酸水溶液、ポリエチレングリコール400(比較例3のみ使用せず)を添加して、未架橋ゲル原液を調製した。次いで、得られた未架橋ゲル原液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに挟み込み、ベーカー式アプリケーターによってゲル原液の厚さを0.8mmに調整して展延し、シート状にした。シート状の一方の面に厚み0.2mm、坪量20g/m 2の透湿性不織布(PET+パルプ=80+20質量%)を押し付けて積層し、得られたシートをアルミピローに封入して密封した後、50℃で2日間熟成し、ゲル原液中の架橋反応を進行させて含水ゲルシートを形成した。なお、調製したゲル原液のpHは、4.5~6.5であった。得られた含水ゲルシートを長方形(面積50cm 2)に型抜きして完成させた。
[0036]
 得られた含水ゲルシートを用い、下記方法にしたがって乳酸メンチルの残存率(%)を算出するとともに、刺激感及び冷涼感の評価を行った。
[0037]
 《乳酸メンチルの残存率》
 含水ゲルシート中に含有する乳酸メンチルを定量することを目的に、以下の方法にて乳酸メンチルの抽出を行った。
 まず、ゲル化させた含水ゲルシートをガラス瓶に入れ、次いでエタノール100mLを入れたのち密栓し、30分間超音波処理を行い、さらに60分間振盪撹拌(60℃)を行った。次に、このサンプル液をガスクロマトグラフィー(Agilent7890A(アジレント・テクノロジー株式会社), カラム:J&W Ultra-1 25m×0.2mmid×0.11μmdf, カラム温度:100℃(0min)→(5℃)→200℃→(20℃)→240℃(5min), 注入口温度:240℃, 注入量1μL, 検出器温度:260℃, 検出器:FID)にて分析し、乳酸メンチル量の定量を行った。残存率は、このガスクロマトグラフィーにて定量した含水ゲルシート中の乳酸メンチル量に対する配合量の割合から、下記式を元に算出した。
  残存率(%)=含水ゲルシート中に含まれる乳酸メンチル量(g)/配合量(g)×100
 結果を表1~2に示す。
[0038]
 得られた含水ゲルシートの片面のPETフィルムを剥離した後、かかる面を額に貼付し、温度28℃、湿度60%の環境下、貼付直後から30分経過するまでの刺激感について、下記基準にしたがって評価を行った。
 《刺激感》
  A:刺激感が全く感じられなかった
  B:刺激感が若干感じられた
  C:刺激感が強く感じられた
 結果を表1~2に示す。
[0039]
 《冷涼感》
 実施例12、14、19、及び比較例1~3で得られた含水ゲルシートの片面のPETフィルムを剥離した後、かかる面を額に貼付し、温度28℃、湿度60%の環境下、貼付直後から10分、20分、30分経過した時点での冷涼感について、下記基準にしたがってモニター3人による評価を行い、その平均値を求めた。本評価は、値が「3」に近いほど良好な冷涼感が得られることを示す。
 結果を表3に示す。
  0:何も感じない
  1:かすかな冷涼感を感じる
  2:弱い冷涼感を感じる
  3:心地よい冷涼感を感じる
  4:強い冷涼感を感じる
  5:冷涼感よりも刺激感が強く勝るように感じる
[0040]
[表1]


[0041]
[表2]


[0042]
[表3]


請求の範囲

[請求項1]
 次の成分(A)及び(B):
 (A)乳酸メンチル 0.01質量%以上0.6質量%以下、
 (B)非環式モノテルペン及びその誘導体、非環式セスキテルペン及びその誘導体、並びに分子内に環の骨格が炭素原子のみからなる環状構造を1個有する、メントール以外のモノテルペン及びその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の香料成分
を含水高分子ゲル層中に含有し、かつ成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))が0.1以上15以下である含水高分子ゲル層
を含む、包材入り含水ゲルシート。
[請求項2]
 包材の最内層が、ポリオレフィン樹脂で形成されてなる請求項1に記載の包材入り含水ゲルシート。
[請求項3]
 含水高分子ゲル層における水分含有量が、65質量%以上95質量%以下である請求項1又は2に記載の包材入り含水ゲルシート。
[請求項4]
 成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))が、0.2以上10.0以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の包材入り含水ゲルシート。
[請求項5]
 成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))が、0.3以上5.0以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の包材入り含水ゲルシート。
[請求項6]
 成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))が、0.3以上3.0以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の包材入り含水ゲルシート。
[請求項7]
 含水高分子ゲル層が、さらにアルミニウム及び/又はマグネシウムを含む酸化物、水酸化物、並びに塩類から選択される1種又は2種以上の金属イオン化合物を含有する請求項1~6のいずれか1項に記載の包材入り含水ゲルシート。
[請求項8]
 含水高分子ゲル層におけるメントールの含有量が、0.05質量%以下である請求項1~7のいずれか1項に記載の包材入り含水ゲルシート。
[請求項9]
 成分(A)の含有量が、0.03質量%以上0.50質量%以下である請求項1~8のいずれか1項に記載の包材入り含水ゲルシート。
[請求項10]
 成分(A)の含有量が、0.06質量%以上0.20質量%以下である請求項1~8のいずれか1項に記載の包材入り含水ゲルシート。
[請求項11]
 含水高分子ゲル層に積層されてなる、坪量3g/m 2以上70g/m 2以下の支持体層を含む請求項1~10のいずれか1項に記載の包材入り含水ゲルシート。
[請求項12]
 成分(B)が、ゲラニオール、β-シトロネロール、ネロール、リナロール、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、シトラール、シトロネラール、ネロリドール、オイゲノール、チモール、及び1,8-シネオールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1~11のいずれか1項に記載の包材入り含水ゲルシート。
[請求項13]
 含水高分子ゲル層のpHが、3.5~7.0である請求項1~12のいずれか1項に記載の包材入り含水ゲルシート。
[請求項14]
 含水高分子ゲル層のpHが、4.0~6.5である請求項1~12のいずれか1項に記載の包材入り含水ゲルシート。