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1. (WO2018047903) アクリル系粘着剤組成物、粘着剤及び粘着シート
Document

明 細 書

発明の名称 アクリル系粘着剤組成物、粘着剤及び粘着シート

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012  

発明の効果

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102  

実施例

0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124  

産業上の利用可能性

0125  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : アクリル系粘着剤組成物、粘着剤及び粘着シート

技術分野

[0001]
 本発明は、アクリル系粘着剤組成物、上記アクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤及び粘着シートに関するものであり、詳細には、熱安定性、耐湿熱性に優れ、かつ低誘電率を示し、厚塗り塗工に適したアクリル系粘着剤組成物に関するものである。

背景技術

[0002]
 近年、テレビやパソコン用モニター、ノートパソコンや携帯電話、タブレット端末等のモバイル機器において、液晶ディスプレイと位置入力装置を組み合わせたタッチパネルが広く用いられるようになり、なかでも、静電容量式タッチパネルが増加している。
 タッチパネルは、通常、液晶ディスプレイ、透明電導膜基板(ITO基板)、保護フィルム(ガラス)から構成され、これらの部材の貼り合せには透明粘着シートが用いられている。
[0003]
 このような透明粘着シート用の粘着剤は、粘着力等の粘着物性のみならず、外的衝撃による液晶ディスプレイの破損を防止するための衝撃吸収性や、優れた光学特性(透明性)、さらには、表示部材及びその他周辺部材から発生するノイズにより引き起こされるタッチパネルの誤作動を抑制するために低誘電率等が要求される。
[0004]
 低誘電率の粘着剤として、例えば、炭素数10~18の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレートを主成分として含むモノマー成分を重合することにより得られた(メタ)アクリル系ポリマーを用いた粘着剤(特許文献1参照)や、アルキルエステル部位に炭素数10以上の長鎖のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体と、アルキルエステル部位に炭素数1~9のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体を、それぞれ特定量含有する単量体を含む単量体混合物(A)の共重合体を用いた粘着剤(特許文献2参照)が知られている。
[0005]
 一方、タッチパネル等の光学部材の貼り合せ用の粘着剤において、粘着剤の塗工後に溶媒を揮発させるための乾燥工程が必要なく、厚塗り塗工にも適するため、通常のアクリル系粘着剤で粘度調整等のために用いられる溶媒の代わりに光重合性の不飽和モノマーを希釈モノマーとして用いる、無溶媒型の粘着剤が用いられており、例えば、アクリル系樹脂に希釈モノマーと、硬化成分である多官能化合物を含有してなる無溶媒型の活性エネルギー線硬化型粘着剤が知られている(特許文献3参照)。
 しかしながら、希釈モノマーを使用する方法では、粘着剤層中に残存する未反応のモノマーにより、高温での耐久性が低下するという問題があった。
 そのため、無溶媒型粘着剤のなかでも、希釈モノマーを用いないホットメルト型の粘着剤が用いられるようになっている。上記ホットメルト型の粘着剤は、より効率的に高温での耐久性に優れる厚膜の粘着剤層を得ることができるものである。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2012-246477号公報
特許文献2 : 特開2015-40237号公報
特許文献3 : 特開2009-57550号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 しかしながら、ホットメルト法では樹脂が長時間高温に曝されるため、より熱安定性に優れた樹脂であることが必要となる。
[0008]
 ここで、分岐したアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、分岐位置の水素が引き抜かれやすいため、分岐したアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを多く用いてなるアクリル系樹脂は熱安定性に劣り、特許文献1に記載された粘着剤は、ホットメルト型粘着剤に用いた場合には熱安定性の点で充分でないものであった。
 また、特許文献2に記載されたアクリル系樹脂は、アクリル系樹脂の単量体として、炭素数の少ないメタクリレートを多く用いるものであるため、アクリル系樹脂のガラス転移温度が高く、ホットメルト法でシートに加工する際に、取扱いが難しく、そのために、分子量を高くすることも難しく、粘着剤の信頼性に劣るものであった。
 また、アクリル系樹脂のモノマー成分として水酸基含有モノマーの含有量を多くすると、粘着剤の耐湿熱性は向上するものの、高温条件下においてエステル交換反応等副反応が起こりやすくなり、分子量の増大やゲル化を起こす傾向があり、ホットメルト型粘着剤として使用する場合には、熱安定性に劣るものであった。
[0009]
 そこで、本発明ではこのような背景下において、熱安定性、耐湿熱性に優れ、かつ低誘電率を示す粘着剤を得ることができ、厚塗り塗工にも適したアクリル系粘着剤組成物を提供する。

課題を解決するための手段

[0010]
 しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、アクリル系粘着剤組成物において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとして、炭素数が一定数以上の長鎖かつ直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを主成分として含有し、さらに水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーを特定量含有する共重合成分を共重合してなるアクリル系樹脂を用いることにより、熱安定性、耐湿熱性に優れ、かつ低誘電率を示す粘着剤を得ることができ、厚塗り塗工に適したアクリル系粘着剤組成物を得ることができることを見出した。
[0011]
 即ち、本発明の要旨は、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a1)及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)を含有する共重合成分の共重合物であるアクリル系樹脂(A)を含む粘着剤組成物であって、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)が、炭素数10~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-1)を含有し、上記共重合成分が、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a1)を5~15重量%、炭素数10~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-1)を50~94重量%含有するアクリル系粘着剤組成物である。
[0012]
 さらには、本発明は、上記アクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤、ならびにアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着シートも提供するものである。

発明の効果

[0013]
 本発明のアクリル系粘着剤組成物は、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a1)及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)を含有する共重合成分の共重合物であるアクリル系樹脂(A)を含む粘着剤組成物であって、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)が、炭素数10~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-1)を含有し、上記共重合成分が、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a1)を5~15重量%、炭素数10~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-1)を50~94重量%含有する。そのため、厚塗り塗工が可能であり、このアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤は、加熱による樹脂の黄変がなく熱安定性に優れ、かつ低誘電率を示すものであり、さらに耐湿熱性、衝撃吸収性、段差追従性にも優れる。そして、特にタッチパネルや画像表示装置等を構成する光学部材の貼り合せに用いられる粘着剤として有用である。
[0014]
 また、上記共重合成分がさらに(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)として炭素数4~8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-2)を0.1~20重量%含むと、より誘電率を低く保ちつつ凝集力を高めることができる。
[0015]
 さらに、上記共重合成分中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)において、直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと分岐鎖含有アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの含有割合が重量比で100/0~70/30であると、より熱安定性に優れる。
[0016]
 そして、上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が15万~150万であると、より耐湿熱性、衝撃吸収性、段差追従性に優れる。
[0017]
 また、上記アクリル系樹脂(A)が活性エネルギー線架橋性構造部位を有すると、効率的にアクリル系樹脂(A)を硬化(架橋)し、凝集力を高めることができる。
[0018]
 さらに、上記活性エネルギー線架橋性構造部位がベンゾフェノン系架橋構造であると、反応性に優れ、より凝集力を高めることができる。
[0019]
 そして、上記アクリル系樹脂(A)中の揮発分含有量が2重量%以下であると、より厚塗り塗工が可能となる。

発明を実施するための形態

[0020]
 以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
 なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものであり、アクリル系樹脂とは(メタ)アクリル系モノマーを少なくとも1種含有するモノマー成分を重合して得られる樹脂である。また、「シート」とは、シート、フィルム、テープを概念的に包含するものである。
[0021]
<アクリル系粘着剤組成物>
 本発明のアクリル系粘着剤組成物は、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a1)を5~15重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)として、炭素数10~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-1)を50~94重量%含む共重合成分の共重合物であるアクリル系樹脂(A)を含有する。
[0022]
 上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a1)としては、通常、耐湿熱性の点などから、炭素数5~12、好ましくは5~10、特に好ましくは5~8の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーが挙げられ、具体的には例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーが挙げられる。
 これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
[0023]
 上記の中でも、架橋剤との反応性に優れる点、耐湿熱白化性が向上する点で1級水酸基含有モノマーが好ましく、さらには、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好ましい。なかでも、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、製造しやすい点で、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートが好ましく、特には4-ヒドロキシブチルアクリレートが好ましい。
[0024]
 上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a1)の共重合成分中における含有割合としては、共重合成分全体に対して5~15重量%であることが好ましく、特に好ましくは8~14重量%、さらに好ましくは10~13重量%である。
 かかる含有量が少なすぎると、耐湿熱白化性が低下する傾向があり、多すぎると誘電率が高くなる傾向がある。
[0025]
 水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a1)中に含有する遊離酸は、1.0%以下が好ましく、特に好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。
 かかる含有量が多すぎると、熱安定性の低下や、粘着シートとした際に金属系被着体の腐食が進行し易くなる傾向がある。
[0026]
 上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソテトラコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[0027]
 本発明においては、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)として炭素数10~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-1)を含有することが必要であり、例えば、デシル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数10)、ラウリル(メタ)アクリレート(炭素数12)、トリデシル(メタ)アクリレート(炭素数13)、ヘキサデシル(メタ)アクリレート(炭素数16)、ステアリル(メタ)アクリレート(炭素数18)、ベヘニル(メタ)アクリレート(炭素数22)等が挙げられる。
 これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
[0028]
 また、炭素数10~24のアルキル基を有する直鎖の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-1)のなかでも、低誘電率化やアクリル系樹脂(A)のガラス転移温度を下げられる点から、アルキルメタクリレートを用いることが好ましく、特に好ましくはステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレートである。
[0029]
 炭素数10~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-1)の含有量は、共重合成分全体に対して50~94重量%であり、好ましくは60~83重量%、特に好ましくは70~80重量%である。
 かかる含有量が少なすぎると、誘電率が高くなったり、アクリル系樹脂(A)の熱安定性が低下する傾向がある。
[0030]
 さらに、本発明においては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)として、炭素数4~8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-2)を含有することが凝集力を向上させる点で好ましい。また、炭素数4~8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-2)のアルキル基は、直鎖のアルキル基であっても分岐鎖含有アルキル基であってもよい。
[0031]
 炭素数4~8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-2)としては、例えば、iso-ブチルメタクリレート(アルキル基の炭素数4)、tert-ブチルメタクリレート(炭素数4)、2-エチルヘキシルメタクリレート(炭素数8)等が挙げられる。
 これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
 これらのうち、アルキル基中に3級炭素を有するモノマーは、光架橋時の水素引き抜きを効率よく行い凝集力を高めることができ、その他のモノマーはガラス転移温度が高いことで凝集力を向上させることができるものである。
[0032]
 また、炭素数4~8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-2)の中でも、誘電率を低く保ちつつ凝集力を高めることできる点から、tert-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレートを用いることが好ましい。
[0033]
 炭素数4~8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-2)の含有量は、共重合成分全体に対して0.1~20重量%であることが好ましく、特に好ましくは1~18重量%、さらに好ましくは5~15重量%である。
 かかる含有量が少なすぎると、凝集力が低下する傾向があり、多すぎると熱安定性の低下やハンドリング性が悪化する傾向がある。
[0034]
 本発明においては、共重合成分中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)において、直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと分岐鎖含有アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの含有割合が重量比で100/0~70/30であることが好ましく、特に好ましくは100/0~80/20、さらに好ましくは90/10~85/15である。
 分岐鎖含有アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの含有割合が多すぎると樹脂の熱安定性が低下する傾向があり、直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの含有割合が多すぎると粘着物性が低下する傾向がある。
[0035]
 なお、本発明においては、誘電率を低く保ちつつ凝集力を効率よく高める点から、共重合成分として、アルキル基中に3級炭素を有する分岐鎖含有モノマーや、tert-ブチル基を有する分岐鎖含有モノマー等の、分岐鎖含有アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)を少量含有することが好ましい。
 アルキル基中に3級炭素を有する分岐鎖含有モノマーは、光架橋時の水素引き抜きを効率よく行い凝集力を高めることができるものであり、tert-ブチル(メタ)アクリレート等のtert-ブチル基を有する分岐鎖含有モノマーは、ガラス転移温度を高めることで凝集力を向上させることができるものである。
 なかでも、分岐鎖含有アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)として、iso-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、特に好ましくは、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートまたはtert-ブチル(メタ)アクリレートである。
[0036]
 (メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)の含有量としては、共重合成分全体に対して、51~95重量%であることが好ましく、さらには70~90重量%、特には80~88重量%であることが好ましい。
 (メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)の含有量が少なすぎると、粘着力が不足する傾向にある。
[0037]
 また、本発明で用いるアクリル系樹脂(A)は、活性エネルギー線架橋性構造部位を有することが、効率的にアクリル系樹脂を硬化(架橋)し、凝集力を高めることができる点で好ましい。
 活性エネルギー線架橋性構造部位は、活性エネルギー線照射により、アクリル系樹脂(A)の一部分、または、アクリル系樹脂組成物中に含まれるその他硬化成分と反応し、架橋構造を形成し得る構造部位である。
 本発明において活性エネルギー線架橋性構造部位としては、ベンゾフェノン系架橋構造であることが、反応性が高く、凝集力向上に優れる点で好ましい。
[0038]
 したがって、本発明においては、アクリル系樹脂(A)の共重合成分として、さらに、活性エネルギー線架橋性構造部位含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)を用いることが好ましい。
 活性エネルギー線架橋性構造部位含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)としては、ベンゾフェノン構造を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有することが、紫外線、電子線等の活性エネルギー線により効率的な架橋構造形成が可能となる点で好ましく、具体的には、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
[0039]
 活性エネルギー線架橋性構造部位含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)の含有量としては、共重合成分全体に対して、0.01~5重量%であることが好ましく、なかでも、ベンゾフェノン構造を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量としては、共重合成分全体に対して、0.01~5重量%であることが好ましく、特に好ましくは0.1~2重量%、さらに好ましくは0.2~1重量%である。かかる含有量が少なすぎると、活性エネルギー線により架橋構造を形成する際の保持力が低下する傾向があり、さらには、加工可能な粘着シートを作成するため、架橋構造を形成する際、活性エネルギー線量が多く必要となり、粘着シート作成時にエネルギーを多量に必要とし、効率の良い製造が困難となる傾向にある。また、含有量が多すぎると系全体の凝集力が上がりすぎ、粘着力が低下する傾向がある。
[0040]
 本発明においては、必要に応じて共重合成分として、さらにその他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)を含有してもよい。
 その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート、オルトフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香環含有モノマー;シクロへキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシアルキル(メタ)アクリレート、tert-ブチルシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環含有モノマー;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエーテル鎖含有モノマー;(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチルアクリレート等のアクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、N-グリコール酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブトキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物等のアミノ基含有モノマー;その他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。
 これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
[0041]
 また、アクリル系樹脂(A)の高分子量化を目的とする場合、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物等を併用することもできる。
[0042]
 その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)の含有量は、共重合成分全体に対して0~20重量%であることが好ましく、特に好ましくは0~10重量%、さらに好ましくは0~5重量%である。
 かかる含有量が多すぎると熱安定性が低下したり、粘着力が低下する傾向がある。
[0043]
 なお、その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)としてカルボキシル基含有モノマーを用いる場合には、かかる含有量は、共重合成分全体に対して、0~0.1重量%であることが好ましく、特には0~0.07重量%、さらには0~0.05重量%であることが好ましい。かかる含有量が多すぎると、ITO膜等の被着体の金属または金属酸化物を腐食または劣化させる恐れがある。
[0044]
 本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、前記の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a1)及び炭素数10~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-1)を必須成分とし、上記の任意重合成分を適宜選択して重合することにより製造することができる。
 アクリル系樹脂(A)の重合方法としては、例えば、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の重合方法を用いることができるが、本発明においては、溶液重合で製造することが、安全に、安定的に、任意のモノマー組成でアクリル系樹脂(A)を製造できる点で好ましい。
 以下、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)の好ましい製造方法の一例を示す。
[0045]
 まず、有機溶媒中に、共重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し、溶液重合してアクリル系樹脂(A)溶液を得る。
[0046]
〔有機溶媒〕
 上記重合反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類、塩化メチレン、塩化エチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等が挙げられる。これらの溶媒の中でも、溶液重合により得られるアクリル系樹脂溶液から溶媒を留去して、無溶媒型のアクリル系樹脂を効率よく製造できる点で、沸点が70℃以下である溶媒を用いることが好ましい。
[0047]
 沸点が70℃以下である有機溶媒としては、例えば、n-ヘキサン(67℃)のような炭化水素類、メタノール(65℃)のような脂肪族アルコール系類、酢酸メチル(54℃)のようなエステル類、アセトン(56℃)のようなケトン類、ジエチルエーテル(35℃)のような脂肪族エーテル類、塩化メチレン(40℃)のような脂肪族ハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン(66℃)のような環状エーテル類等を挙げることができ、なかでも、汎用性や安全性の点で、アセトン、酢酸メチルを用いることが好ましく、特にはアセトンを用いることが好ましい。
 なお、上記各有機溶媒名に続いて記載された( )内の数値は沸点である。
[0048]
〔重合開始剤〕
 上記重合反応に用いられる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であるアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤等を用いることができ、アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、(1-フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、過酸化物系重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert-ブチルペルオキシピバレート、tert-ヘキシルペルオキシピバレート、tert-ヘキシルペルオキシネオデカノエート、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、ジイソブチリルペルオキシド等が挙げられる。
 これらは単独で用いるか、または2種以上を併用することができる。
[0049]
 本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)の製造においては、溶液重合の反応溶媒として沸点が70℃以下の有機溶媒を使用し比較的低い温度で重合を行うことが好ましく、この際に10時間半減期温度が高い重合開始剤を使用すると、重合開始剤が残存しやすくなる。重合開始剤が残存すると、後述の、アクリル系樹脂(A)溶液から溶媒を留去する工程においてアクリル系樹脂(A)のゲル化が発生する傾向がある。
[0050]
 したがって、本発明においては溶液重合で得られるアクリル系樹脂(A)溶液から溶媒を留去する工程を安定的に行う点から、上記重合開始剤の中でも10時間半減期温度が60℃未満である重合開始剤を用いることが好ましく、なかでも2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(52℃)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)(49.6℃)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ2,4-ジメチルバレロニトリル)(30℃)、tert-ブチルペルオキシピバレート(54.6℃)、tert-ヘキシルペルオキシピバレート(53.2℃)、tert-ヘキシルペルオキシネオデカノエート(44.5℃)、ジイソプロピルペルオキシカーボネート(40.5℃)、ジイソブチリルペルオキシド(32.7℃)が好ましく、特には2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(52℃)、tert-ヘキシルペルオキシピバレート(53.2℃)が好ましい。
 なお、上記各化合物名に続いて記載された( )内の数値は各化合物の10時間半減期温度である。
[0051]
 上記重合開始剤の使用量としては、共重合成分100重量部に対して、通常0.001~10重量部であり、好ましくは0.1~8重量部、特に好ましくは0.5~6重量部、さらに好ましくは1~4重量部、殊に好ましくは1.5~3重量部、最も好ましくは2~2.5重量部である。上記重合開始剤の使用量が少なすぎると、アクリル系樹脂(A)の重合率が低下し、残存モノマーが増加したり、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が高くなる傾向があり、使用量が多すぎると、後述するアクリル系樹脂(A)溶液から溶媒を留去する工程において、アクリル系樹脂(A)のゲル化が発生する傾向がある。
[0052]
〔重合条件等〕
 溶液重合の重合条件については、従来公知の重合条件にしたがって重合すればよく、例えば、溶媒中に、(メタ)アクリル系モノマーを含有する共重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し所定の重合条件にて重合することができる。
[0053]
 上記重合反応における重合温度は、通常40~120℃であるが、本発明においては、安定的に反応できる点から50~90℃が好ましく、さらには55~75℃、特には60~70℃が好ましい。重合温度が高すぎるとアクリル系樹脂(A)がゲル化しやすくなる傾向があり、低すぎると重合開始剤の活性が低下するため、重合率が低下し、残存モノマーが増加する傾向がある。
[0054]
 また、重合反応における重合時間(後述の追い込み加熱を行う場合は、追い込み加熱開始までの時間)は特に制限はないが、最後の重合開始剤の添加から0.5時間以上、好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上、殊に好ましくは5時間以上である。
 なお、重合反応は、除熱がしやすい点で溶媒を還流しながら行うことが好ましい。
[0055]
 本発明のアクリル系樹脂(A)の製造においては、残存重合開始剤の量を低減させるため、重合開始剤を加熱分解させるために追い込み加熱を行うことが好ましい。
[0056]
 上記追い込み加熱温度は、上記重合開始剤の10時間半減期温度より高い温度で行うことが好ましく、具体的には通常40~150℃、ゲル化抑制の点から55~130℃であることが好ましく、特には75~95℃であることが好ましい。追い込み加熱温度が高すぎると、アクリル系樹脂(A)が黄変する傾向があり、低すぎると重合モノマーや重合開始剤が残存し、アクリル系樹脂(A)の経時安定性や熱安定性が低下する傾向がある。
[0057]
 かくして、アクリル系樹脂(A)溶液を得ることができる。
 上記のアクリル系樹脂(A)溶液は、溶媒を多少含んだ状態でも本発明のアクリル系粘着剤組成物に用いることが可能であるが、本発明ではアクリル系粘着剤組成物から溶媒を実質的に全て留去し、無溶媒型粘着剤として利用することにより、より優れた効果を発揮する。そのため、通常、得られたアクリル系樹脂(A)溶液から溶媒を留去する。
 アクリル系樹脂(A)溶液から溶媒を留去する工程は、公知一般の方法で行うことができ、溶媒を留去する方法としては、加熱することにより溶媒を留去する方法や、減圧することにより溶媒を留去する方法等があるが、溶媒の留去を効率的に行う点から、減圧下で加熱することにより留去する方法が好ましい。
[0058]
 加熱して溶媒を留去する場合の温度としては、60~150℃で行うことが好ましく、特には、アクリル系樹脂(A)を重合した後の反応溶液を60~80℃で保持して溶媒を留出させ、次いで、80~150℃で溶媒を留出させることが、残存溶媒量を極めて少なくする点で好ましい。なお、アクリル系樹脂(A)のゲル化を抑制する点から、溶媒留去の際の温度は150℃以上で行わないことが好ましい。
[0059]
 減圧して溶媒を留去する場合の圧力としては、20~101.3kPaで行うことが好ましく、特には、50~101.3kPaの範囲で保持して反応溶液中の溶媒を留出させた後、20~50kPaで残存溶媒を留出させることが、残存溶媒量を極めて少なくする点で好ましい。
 かくして本発明に用いるアクリル系樹脂(A)を製造することができる。
[0060]
 本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、重量平均分子量が10万以上であることが好ましく、さらに好ましくは15万~150万、特に好ましくは20万~100万、殊に好ましくは25万~80万、なかでも特に好ましくは30万~60万である。かかる重量平均分子量が大きすぎると粘度が高くなりすぎて、塗工性やハンドリングが低下する傾向があり、小さすぎると凝集力が低下し、耐久性が低下する傾向がある。
 なお、上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、製造完了時の重量平均分子量であり、製造後に加熱等がされていないアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量である。
[0061]
 また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、15以下であることが好ましく、さらには10以下、特には7以下、殊には5以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると粘着剤層の耐久性能が低下し、発泡等が発生しやすくなる傾向にあり、低すぎると取り扱い性が低下する傾向がある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
[0062]
 なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF-806L(排除限界分子量:2×10 7、分離範囲:100~2×10 7、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法を用いて測定することができる。また、分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。
[0063]
 本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、ガラス転移温度(Tg)が-100~50℃であることが好ましく、特には-50~20℃、さらには-20~0℃であることが好ましい。かかるガラス転移温度が高すぎると、アクリル系樹脂(A)の溶融粘度が高くなるため、塗工時に必要な加熱温度が高くなり、アクリル系樹脂(A)の安定性を損なう恐れがあり、また段差追従性や粘着力が低下する傾向がある。ガラス転移温度が低すぎると、熱耐久性が低下する傾向がある。
[0064]
 なお、ガラス転移温度(Tg)は、下記の測定法により求められるものである。
 後述する活性エネルギー線照射前の粘着シートから離型シートを剥離し、複数の粘着シートを積層して、未架橋状態で厚さ約650μmの粘着シートを作成する。作成したシートの動的粘弾性を以下条件にて測定し、損失正接(損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’=tanδ)が最大となった温度を読み取り、アクリル系樹脂のTgとする。
〔測定条件〕
 測定機器:DVA-225(アイティ-計測制御社製)
 変形モード:せん断
 歪み:0.1%
 測定温度:-100~20℃
 測定周波数:1Hz
[0065]
 上記アクリル系樹脂(A)の100℃における溶融粘度(mPa・s)は、好ましくは1,000~10,000,000mPa・s、特に好ましくは50,000~1,000,000mPa・s、さらに好ましくは200,000~600,000mPa・sである。粘度が低すぎると、分子量低下による耐久性の低下を招く傾向があり、粘度が高すぎると取り扱い性が低下し、塗工が困難になる傾向がある。
[0066]
 なお、上記の粘度は、島津製作所社製「高化式フローテスター」を用いて、荷重30kg、オリフィス径1.0mm、ダイ長さ10mm、測定温度を100℃で測定した値である。
[0067]
 本発明のアクリル系樹脂(A)は、実質的に溶媒を含有しない無溶媒型アクリル系樹脂として用いることが好ましく、その場合、アクリル系樹脂(A)の溶媒含有量が2重量%以下であることが好ましく、さらには0.00001~2重量%、特には0.0001~1重量%、殊には0.001~0.1重量%であることが好ましい。溶媒含有量が多すぎると、粘着剤として用いた際に粘着剤層に気泡が発生し、耐久性が低下する傾向がある。
[0068]
 また、本発明のアクリル系樹脂(A)中の残存モノマー量が2重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは0.00001~1.5重量%、さらに好ましくは0.0001~1.0重量%である。残存モノマー量が多すぎると、加熱した際に分子量が増加し、塗工性や粘着物性が低下したり、粘着剤に気泡が発生し、耐久性が低下する傾向がある。
[0069]
 なお、上記のアクリル系樹脂(A)中の溶媒含有量及び残存モノマー量は、アクリル系樹脂(A)をトルエンで20倍希釈し、ガスクロマトグラフ/マスフラグメントディテクター(GC:AgilentTechnologies社製 7890A GCsystem、MSD:AgilentTechnologies社製 5975inert)を用いて測定した値である。
[0070]
 また、本発明においては、アクリル系樹脂(A)中の揮発分含有量(通常、溶媒と残存モノマーが主成分である)が2重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは0.00001~1.5重量%、さらに好ましくは0.0001~1.0重量%である。残存モノマー量が多すぎると、加熱した際にアクリル系樹脂(A)の分子量が増加し、塗工性が低下したり、粘着剤とした際に粘着物性が低下したり、気泡が発生して、耐久性が低下する傾向がある。
[0071]
 なお、上記のアクリル系樹脂(A)中の揮発分含有量は、アクリル系樹脂を直径50mmの円形のアルミ箔上に1.5g乗せ、熱風乾燥器中で、130℃で1時間加熱し、加熱前と加熱後の重量変化より算出した値である。
[0072]
 本発明のアクリル系粘着剤組成物は、上記アクリル系樹脂(A)をアクリル系粘着剤組成物全体に対しての90重量%以上含有することが好ましく、さらには95~99.9重量%、特には98~99.9重量%、殊には99~99.9重量%含有することが好ましい。
[0073]
 また、本発明のアクリル系粘着剤組成物は、後述するように活性エネルギー線照射処理を行ない、さらにエージングすることでアクリル系粘着剤組成物が硬化(架橋)してなる粘着剤とすることができるが、活性エネルギー線による硬化を行う場合には、活性エネルギー線照射時の反応を安定化させることができる点で光重合開始剤(B)を添加してもよい。
[0074]
 かかる光重合開始剤(B)としては、光の作用によりラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、アシルフォスフィンオキサイド系等の光重合開始剤が挙げられるが、分子間または分子内で効率的に架橋できる点から水素引き抜き型のベンゾフェノン系の光重合開始剤を用いることが好ましい。
[0075]
 ベンゾフェノン系の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン等が挙げられる。
 これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
[0076]
 また、これら光重合開始剤(B)の助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-ジメチルアミノエチル安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。これらの助剤も単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
[0077]
 かかる光重合開始剤(B)の配合量については、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01~10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.1~5重量部、さらに好ましくは0.5~2重量部である。かかる配合量が少なすぎると硬化速度が低下したり、硬化が不充分となる傾向があり、多すぎても硬化性は向上せず経済性が低下する傾向がある。
[0078]
 また、活性エネルギー線による硬化を行う場合には、さらに単官能モノマーや多官能モノマー等の活性エネルギー線硬化性モノマーを含有させることができる。これにより、粘着剤層全体の凝集力を調整し、安定した粘着物性を得ることができる。
 活性エネルギー線硬化性モノマーとしては、1分子内に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能モノマーが好ましく、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、上記多官能性モノマーは単独で、または2種以上を併用することができる。
[0079]
 かかる多官能モノマーは、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0~5重量部で用いることが好ましく、特に好ましくは0.01~2重量部、さらに好ましくは0.1~1重量部である。
[0080]
 また、本発明のアクリル系粘着剤組成物は、必要に応じて、その他の粘着剤を配合したり、架橋剤、架橋促進剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、粘着付与剤、機能性色素等の従来公知の添加剤を配合してもよい。
[0081]
 かくしてアクリル系樹脂(A)必要に応じて光重合開始剤(B)及びその他の任意成分を混合することにより本発明のアクリル系粘着剤組成物を得ることができる。なお、混合方法については、特に限定されるものではなく、各成分を一括で混合する方法や、任意の成分を混合した後、残りの成分を一括または順次混合する方法等、種々の方法を採用することができる。
[0082]
 本発明のアクリル系粘着剤組成物の100℃における溶融粘度(mPa・s)は、好ましくは1,000~10,000,000mPa・s、特に好ましくは50,000~1,000,000mPa・s、さらに好ましくは200,000~600,000mPa・sである。粘度が低すぎると、分子量低下による耐久性不足となる傾向があり、粘度が高すぎると取り扱い性が低下し、塗工が困難になる傾向がある。
[0083]
 本発明のアクリル系粘着剤組成物は、溶媒含有量が2重量%以下であることが好ましく、さらには0.00001~2重量%、特には0.0001~1重量%、殊には0.001~0.1重量%であることが好ましい。溶媒含有量が多すぎると、粘着剤として用いた際に粘着剤層に気泡が発生し、耐久性が低下する傾向がある。
[0084]
 また、アクリル系粘着剤組成物中の残存モノマー量が2重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは0.00001~1.5重量%、さらに好ましくは0.0001~1.0重量%である。残存モノマー量が多すぎると、加熱した際に分子量が増加し、塗工性や粘着物性が低下したり、粘着剤に気泡が発生し、耐久性が低下する傾向がある。
[0085]
 本発明においては、アクリル系粘着剤組成物中の揮発分含有量(通常、溶媒と残存モノマーが主成分である)が2重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは0.00001~1.5重量%、さらに好ましくは0.0001~1.0重量%である。残存モノマー量が多すぎると、加熱した際にアクリル系樹脂(A)の分子量が増加し、塗工性が低下したり、粘着剤とした際に粘着物性が低下したり、気泡が発生して、耐久性が低下する傾向がある。
[0086]
 なお、上記アクリル系粘着剤組成物の溶融粘度、溶媒含有量、残存モノマー量及び揮発成分含有量は、前記アクリル系樹脂(A)と同様の方法で測定することができる。
[0087]
 本発明のアクリル系粘着剤組成物は、ホットメルト用粘着剤成分として有用である。また、本発明のアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤は、光学部材用無溶媒型粘着剤として特に有用である。
[0088]
<粘着シート>
 本発明のアクリル系粘着剤組成物は、これを用いてなる粘着剤層を基材シート上に設けた粘着シート、粘着剤層を離型シート上に設けた両面粘着シート、粘着剤層を光学部材上に設けた粘着剤層付き光学部材として用いられることが好ましい。
 なお、上記粘着剤層は、本発明のアクリル系粘着剤組成物そのものであっても、本発明のアクリル系粘着剤組成物が硬化(架橋)されてなるものであってもよい。
 硬化方法としては、活性エネルギー線により硬化する方法が挙げられ、活性エネルギー線を照射することにより、アクリル系粘着剤組成物中のアクリル系樹脂(A)が分子内及び分子間の少なくとも一方で架橋構造を形成する。
[0089]
 粘着シートは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
 まず、アクリル系粘着剤組成物を加熱により溶融した状態で基材シートの片面もしくは両面に塗工し、その後冷却する方法や、アクリル系粘着剤組成物を加熱により溶融させ、Tダイ等により基材シート上に押出しラミネートする方法等で基材シート上の片面もしくは両面に所定の厚みとなるように粘着剤層を形成する。ついで、必要に応じて上記粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより粘着シートを作製することができる。
 また、基材シート上に粘着剤層を形成した後、必要に応じて活性エネルギー線照射処理を行ない、さらにエージングすることで粘着剤組成物が硬化(架橋)してなる粘着剤層を有する粘着シートを作製することができる。
 さらに、離型シートに粘着剤層を形成し、反対側の粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより、基材レスの両面粘着シートを作製することもできる。
 得られた粘着シートや両面粘着シートは、使用時には、上記離型シートを粘着剤層から剥離して使用に供される。
[0090]
 基材シートとしては、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド等の合成樹脂シート,アルミニウム、銅、鉄の金属箔,上質紙、グラシン紙等の紙,硝子繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布が挙げられる。これらの基材シートは、単層体としてまたは2種以上が積層された複層体として用いることができる。これらのなかでも、軽量化等の点から、合成樹脂シートが好ましい。
[0091]
 さらに、上記離型シートとしては、例えば、上記基材シートで例示した各種合成樹脂シート、紙、織物、不織布等に離型処理したものを使用することができる。離型シートとしては、シリコン系の離型シートを用いることが好ましい。
[0092]
 また、上記アクリル系粘着剤組成物の塗工方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スロットコーティング、スクリーン印刷等の方法が挙げられる。
[0093]
 活性エネルギー線照射をするに際しては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
[0094]
 そして、本発明においては、上記粘着剤層を光学部材上に積層形成することにより、粘着剤層付き光学部材を得ることができる。また、上記の両面粘着シートを用いて光学部材同士を貼合することもできる。
[0095]
 上記光学部材としては、タッチパネルや画像表示装置を構成する、液晶ディスプレイ、透明電導膜基板(ITO基板)、保護フィルム(ガラス)等が挙げられる。
[0096]
 上記粘着シートの粘着剤層のゲル分率については、耐久性能と粘着力の点から10~100重量%であることが好ましく、特には30~90重量%が好ましく、殊には50~80重量%であることが好ましい。ゲル分率が低すぎると凝集力が低下することにより耐久性が低下する傾向がある。また、ゲル分率が高すぎると凝集力の上昇により粘着力が低下する傾向がある。
 また活性エネルギー線による硬化によって粘着剤層を形成する場合は、低照射量で、ゲル分率が上昇することが経済性と加工性の点から好ましい。具体的には積算光量1000mJ/cm 2でゲル分率が10~90重量%となることが好ましく、特には30~85重量%が好ましく、さらには50~80重量%が好ましい。低照射量でのゲル分率が低すぎると、粘着層を形成するまでに多くの活性エネルギー線量を必要とするため、効率の良い製造が困難となる傾向にある。一方経済性のためゲル分率が低いまま粘着シートとする場合は、粘着シートの加工性が低下する傾向にある。
[0097]
 なお、ゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、例えば、活性エネルギー線照射量やアクリル系樹脂(A)中の活性エネルギー線架橋性構造部位の含有量を調整したり、光開始剤量や活性エネルギー線硬化性モノマーの種類や量を調整することにより達成される。
[0098]
 上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、基材となる高分子シート(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等)に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(離型シートを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、23℃に保持したトルエン中に24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。ただし、基材の重量は差し引いておく。
[0099]
 上記粘着シートの粘着剤層の厚みは、通常、50~3000μmであることが好ましく、さらには100~1000μmがあることが好ましく、殊には175~350μmであることが好ましい。上記粘着剤層の厚みが薄すぎると衝撃吸収性が低下する傾向があり、厚すぎると光学部材全体の厚みが増して実用性が低下する傾向がある。
[0100]
 なお、本発明における粘着剤層の厚みは、ミツトヨ社製「ID-C112B」を用いて、粘着剤層含有積層体全体の厚みの測定値から、粘着剤層以外の構成部材の厚みの測定値を差し引くことにより求めた値である。
[0101]
 また本発明の粘着シートの粘着剤層は、粘着剤層の厚さが175μmの場合のヘイズ値が2%以下であることが好ましく、特には0~1.5%、さらには0~1%であることが好ましい。ヘイズ値が2%を超えると粘着剤層が白化して透明性が低下する傾向がある。
[0102]
 本発明の粘着剤層は100Hzにおける比誘電率が3.5以下であることが好ましく、特には3.0以下であることがより好ましい。なお、比誘電率の下限値は通常1.0である。
 比誘電率が高すぎるとタッチパネルに搭載される電極間の静電容量が大きくなり、誤作動の原因となる傾向があり、低すぎると静電容量が小さくなり、検出感度が低下する傾向がある。
実施例
[0103]
 以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、ヘイズ値を除いて重量基準を意味する。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
[0104]
〔製造例1〕
 冷却器付きの2Lフラスコに、重合溶媒としてアセトン100部(沸点56℃)、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN:10時間半減期温度52℃)0.6部、あらかじめ混合したモノマー溶液(ステアリルメタクリレート(SMA:a2-1)50部(共重合成分全体に対して15%)、ラウリルメタクリレートとトリデシルメタクリレートの混合物(SLMA:a2-1)192部(共重合成分全体に対して57.6%)、2-エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA:a2-2)50部(共重合成分全体に対して15%)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA:a1)40部(共重合成分全体に対して12%)、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン(MBP:a3)1.5部(共重合成分全体に対して0.4%)の混合溶液)の20%を入れ、フラスコ内で加熱還流し、前述のモノマー溶液の残り80%を2時間かけて滴下した。滴下後、1時間、3時間後にそれぞれADVN0.2部、0.6部を添加して反応させ、アクリル系樹脂[A-1]溶液を得た。
[0105]
 上記で得られたアクリル系樹脂[A-1]溶液をトの字連結管を使用することで溶媒を系外に留去できる形にしたフラスコにて、ジャケット温度80℃にて1時間、さらに10kPaに減圧しジャケット温度90℃にて2時間保持して溶媒の留去を行い、アクリル系樹脂[A-1](重量平均分子量:33.9万、揮発分含有量:0.9%、ガラス転移温度-8.9℃)を得た。
[0106]
〔製造例2、比較製造例1~2〕
 アクリル系樹脂の共重合成分を表1の通りとした以外は製造例1と同様にしてアクリル系樹脂[A-2]、[A’-1]、[A’-2]を製造した。
[0107]
[表1]


[0108]
<実施例1>
 上記で得られたアクリル系樹脂[A-1]を、2枚のポリエステル系離型シート(厚み176μm)で挟み、粘着層の厚みが175μmとなるように100℃で加熱しながらプレスし、さらに高圧水銀UV照射装置にてピーク照度:150mW/cm 2,積算露光量:1000mJ/cm 2(500mJ/cm 2×2パス)で紫外線照射を行うことで基材レス両面粘着シートを得た。
 また、上記で得られた基材レス両面粘着シートの粘着剤層から一方の面の離型シートを剥がし、易接着処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み125μm)に押圧し、粘着剤層の厚みが175μmの粘着剤層付きPETフィルムを得た。
[0109]
<実施例2>
 上記実施例1において、アクリル系樹脂[A-1]をアクリル系樹脂[A-2]に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の基材レス両面粘着シートおよび粘着剤層付きPETフィルムを得た。
[0110]
<比較例1>
 上記実施例1において、アクリル系樹脂[A-1]をアクリル系樹脂[A’-1]に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の基材レス両面粘着シートおよび粘着剤層付きPETフィルムを得た。
[0111]
<比較例2>
 上記実施例1において、アクリル系樹脂[A-1]をアクリル系樹脂[A’-2]に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の基材レス両面粘着シートおよび粘着剤層付きPETフィルムを得た。
[0112]
〔ゲル分率(1)〕
 上記基材レス両面粘着シートを40mm×40mmに裁断した後、23℃×50%RHの条件下で30分放置した後、一方の離型シートを剥がし、粘着剤層側を50mm×100mmのSUSメッシュシート(200メッシュ)に貼り合あわせた後、もう一方の離型シートを剥離し、SUSメッシュシートの長手方向に対して中央部より折り返してサンプルを包み込んだ後、23℃に保持したトルエン250gの入った密封容器にて24時間浸漬した際の重量変化にてゲル分率(%)の測定を行った。
[0113]
〔ゲル分率(2)〕
 上記基材レス両面粘着シートを40mm×40mmに裁断した後、高圧水銀UV照射装置にてピーク照度:150mW/cm 2,積算露光量:2000mJ/cm 2(1000mJ/cm 2×2パス)で紫外線照射を行い、23℃×50%RHの条件下で30分放置した後、一方の離型シートを剥がし、粘着剤層側を50mm×100mmのSUSメッシュシート(200メッシュ)に貼合した後、もう一方の離型シートを剥離し、SUSメッシュシートの長手方向に対して中央部より折り返してサンプルを包み込んだ後、23℃に保持したトルエン250gの入った密封容器にて24時間浸漬した際の重量変化にてゲル分率(%)の測定を行った。
[0114]
〔粘着力〕
 上記粘着剤層付きPETフィルムについて、幅25mm×長さ100mmに裁断し、離型シートを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」、厚み1.1mm)に23℃×50%RHの雰囲気下で2kgゴムローラーを2往復させて加圧貼付し、オートクレーブで50℃×0.5MPa×20分の加圧加熱処理を行った後、PETフィルム側から高圧水銀UV照射装置にてピーク照度:150mW/cm 2,積算露光量:2000mJ/cm 2(1000mJ/cm 2×2パス)で紫外線照射を行い、23℃×50%RHの条件下で30分放置した後、常温(23℃)で剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
[0115]
 〔粘着剤層の光学特性〕
 上記基材レス両面粘着シートを25mm×25mmに裁断し、高圧水銀UV照射装置にてピーク照度:150mW/cm 2,積算露光量:2000mJ/cm 2(1000mJ/cm 2×2パス)で紫外線照射を行った。その後、粘着剤層から一方の面の離型シートを剥がし、粘着剤層側を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」、厚み1.1mm)に貼り合わせた後、オートクレーブ処理(50℃×0.5MPa×20分)を行い、23℃×50%RHの条件下で30分放置した。最後にもう一方の離型シートを剥がし「無アルカリガラス/粘着剤層」の構成を有する試験片を作製した。
[0116]
 得られた試験片を用いてヘイズ値、全光線透過率、色差b *値、YI値を測定した。
[ヘイズ値及び全光線透過率]
 ヘイズ値は、拡散透過率及び全光線透過率を、HAZE MATER NDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定し、得られた拡散透過率と全光線透過率の値を下記式に代入して、ヘイズ値を算出した。なお、本機はJIS K7361-1に準拠している。
 ヘイズ値(%)=(拡散透過率/全光線透過率)×100
[色差]
 色差b *値は、JIS K7105に準拠して測定したものであり、測定は、分光色差計(SE6000:日本電色工業社製)を用いて、透過条件で行った。
[YI値]
 YI値は、JIS K7373に準拠して測定したものであり、測定は、分光色差計(SE6000:日本電色工業社製)を用いて、透過条件で行った。
 なお、実施例における、ヘイズ、全光線透過率、色差b *値、YI値の測定は、粘着剤層のみを、無アルカリガラス(全光線透過率=93%、ヘイズ=0.06%、b *値=0.16)に貼着し測定した値である。
[0117]
〔耐湿熱性〕
 上記粘着剤層付きPETフィルムを30mm×50mmに裁断し、離型シートを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」、厚み1.1mm)に貼り合わせた後、オートクレーブ処理(50℃×0.5MPa×20分)を行い、PETフィルム側から高圧水銀UV照射装置にてピーク照度:150mW/cm 2,積算露光量:2000mJ/cm 2(1000mJ/cm 2×2パス)で紫外線照射を行い、23℃×50%RHの条件下で30分放置し、「無アルカリガラス/粘着剤層/PETフィルム」の構成を有する試験片を作製した。
[0118]
 得られた試験片を用いて、60℃×90%RH雰囲気下で168時間の耐湿熱性試験を行い、耐湿熱性試験開始前と、耐湿熱性試験後のヘイズ値の測定し、下記の基準で評価した。ヘイズ値は、上記粘着剤層の光学特性測定と同様の方法で測定した。
 (評価)
 ○・・・耐湿熱性試験後のヘイズ値が2.0%未満であり、
     耐湿熱性試験前後でヘイズ値の上昇率が20%以下
 △・・・耐湿熱性試験直後のヘイズ値が2.0%未満であり、
     耐湿熱性試験前後でヘイズ値の上昇割合が20%よりも大きい。
 ×・・・耐湿熱性試験直後のヘイズ値が2.0%以上
 なお、耐湿熱性試験前後のヘイズ値の上昇率(%)は、下記式で求められるものである。
上昇率(%)=(試験後ヘイズ値-試験前ヘイズ値)/試験前ヘイズ値×100
[0119]
〔熱安定性〕
 上記基材レス両面粘着シートを30mm×50mmに裁断し、高圧水銀UV照射装置にてピーク照度:150mW/cm 2,積算露光量:2000mJ/cm 2(1000mJ/cm 2×2パス)で紫外線照射を行った。その後、粘着剤層から一方の面の離型シートを剥がし、粘着剤層側を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」、厚み1.1mm)に貼り合わせた後、もう一方の離型シートを剥がし、もう一方も無アルカリガラス(コーニング社製、イーグルXG)を貼り合わせ、オートクレーブ処理(50℃×0.5MPa×20分)を行い、「無アルカリガラス/粘着層/無アルカリガラス」の構成を有する試験片を作成した。
[0120]
 得られた試験片を用いて、150℃雰囲気下で168時間の熱安定性試験を行い、熱安定性試験後のb *値を測定し、下記の基準で評価した。b *値は、上記粘着剤層の光学特性測定と同様の方法で測定した。
(評価)
 ○・・・熱安定性試験直後のb *値が0.5以下
 ×・・・熱安定性試験直後のb *値が0.5より大きい
[0121]
〔比誘電率〕
 上記基材レス両面粘着シートの粘着剤層から一方の面の離型シートを剥がし未処理PETフィルム(厚み50μm)に押圧した後、さらにもう一方の離型シートを剥がし上記と同じ未処理PETフィルムに押圧し、「PETフィルム/粘着剤層/PETフィルム」の構成を有する粘着剤層付きPETフィルムを得た。
 上記粘着剤層付きPETフィルムを7cm×7cmに裁断し、高圧水銀UV照射装置にてピーク照度:150mW/cm 2,積算露光量:2000mJ/cm 2(1000mJ/cm 2×2パス)で紫外線照射を行った。
 上記誘電率測定用試験片について、HP4284AプレシジョンLCRメータ(Agilent社製)を用いて、23℃×50%RHの雰囲気下で試験片を電極間に挟み周波数100Hzで電場を与えて電気容量の測定を行い、電極間の電気容量変化から、粘着層の誘電率を算出した。その後、得られた誘電率から比誘電率を算出した。
(評価)
 ○・・・粘着層の100KHzにおける比誘電率が3.0以下
 ×・・・粘着層の100KHzにおける比誘電率が3.0より大きい
[0122]
[表2]


[0123]
 実施例1、2の粘着剤組成物を用いてなる粘着シートは、低誘電でありながら、熱安定性、耐湿熱性にバランスよく優れるものであった。
 一方、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a1)の含有量が少ない比較例1では、耐湿熱性に劣るものであった。
 また、炭素数10~24のアルキル基を有する直鎖の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-1)の含有量が少ない比較例2においては、熱安定性に劣り、また比誘電率も高いものであった。
[0124]
 上記実施例においては、本発明における具体的な形態について示したが、上記実施例は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。当業者に明らかな様々な変形は、本発明の範囲内であることが企図されている。

産業上の利用可能性

[0125]
 本発明のアクリル系粘着剤組成物は厚塗り塗工が可能であり、これを用いてなる粘着剤は、加熱による樹脂の黄変がなく熱安定性に優れ、かつ低誘電率を示すものであり、さらに耐湿熱性、衝撃吸収性、段差追従性にも優れるため、特にタッチパネルや画像表示装置等を構成する光学部材の貼り合せや有機ELディスプレイ封止用途等に用いられる粘着剤として有用である。

請求の範囲

[請求項1]
 水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a1)及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)を含有する共重合成分の共重合物であるアクリル系樹脂(A)を含む粘着剤組成物であって、
 上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)が、炭素数10~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-1)を含有し、
 上記共重合成分が、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a1)を5~15重量%、炭素数10~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-1)を50~94重量%含有することを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
[請求項2]
 上記共重合成分がさらに(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)として炭素数4~8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2-2)を0.1~20重量%含むことを特徴とする請求項1記載のアクリル系粘着剤組成物。
[請求項3]
 上記共重合成分中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)において、直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと分岐鎖含有アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの含有割合が重量比で100/0~70/30であることを特徴とする請求項1または2記載のアクリル系粘着剤組成物。
[請求項4]
 上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が15万~150万であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のアクリル系粘着剤組成物。
[請求項5]
 上記アクリル系樹脂(A)が活性エネルギー線架橋性構造部位を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のアクリル系粘着剤組成物。
[請求項6]
 上記活性エネルギー線架橋性構造部位がベンゾフェノン系架橋構造であることを特徴とする請求項5記載のアクリル系粘着剤組成物。
[請求項7]
 上記アクリル系樹脂(A)中の揮発分含有量が2重量%以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のアクリル系粘着剤組成物。
[請求項8]
 請求項1~7のいずれか一項に記載のアクリル系粘着剤組成物からなることを特徴とする粘着剤。
[請求項9]
 請求項1~7のいずれか一項に記載のアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
[請求項10]
 上記粘着剤層が、アクリル系粘着剤組成物が活性エネルギー線により硬化されてなる粘着剤層であることを特徴とする請求項9記載の粘着シート。