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1. WO2017090753 - 弁制御装置、液圧制御装置及び弁制御方法

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明 細 書

発明の名称 弁制御装置、液圧制御装置及び弁制御方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 弁制御装置、液圧制御装置及び弁制御方法

技術分野

[0001]
 本発明は、弁制御装置、液圧制御装置及び弁制御方法に関する。

背景技術

[0002]
 従来、増圧弁および減圧弁の開閉状態を電気的に制御してパイロット圧を調整することにより、制御対象へ供給する流体の圧力や流量を調整するリニア制御弁(いわゆる電動弁)を有した液圧制御装置が知られている(例えば、特許文献1)。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2005-038314号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 この種の液圧制御装置においては、リニア制御弁においてその出力である流量の制御を行う場合には、例えば、流量を増加させる(例えば、リニア制御弁の開度を大きくする)ために制御出力(例えば、目標電流値)を変化させる場合の増制御特性と、流量を減少させる(例えば、リニア制御弁の開度を小さくする)ために制御出力を変化させる場合の減制御特性と、の間にはヒステリシスが存在していた。
[0005]
 ところで、AHB(Active Hydraulic Boost)制御においては、フィードバック制御のみならず、フィードフォワード制御を行う場合がある。
 このようにフィードフォワード制御を行う場合には、実際のリニア制御弁の開度が制御出力に対応する開度に追いついていないことがあり、正確な弁制御が行えない虞があった。例えば、制御出力を増加から減少に切り替える際に、リニア制御弁の開度が目標の開度にまで増加していないにもかかわらず上記の減制御特性にて制御出力を減少させてしまうことで開度が目標に到達できず、正確な弁制御が行えない虞があった。
[0006]
 そこで、本発明は、上記のような場合であっても、ヒステリシスを考慮しつつリニア制御弁の出力を狙いに近づけることが可能な液圧制御装置を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明の弁制御装置は、制御弁の出力のヒステリシスを制御出力値の増減方向に応じて補正する補正部と、制御出力値に対応する前記制御弁への実出力値を検出する検出部と、制御出力値の増減方向を切り替えた後、制御出力値と前記実出力値との差が所定の範囲内となるまで補正部による補正を禁止する禁止部と、を備える。
[0008]
 上記弁制御装置によれば、禁止部は、制御出力値と検出部が検出した実出力値との差が所定の範囲内となるまで補正部による補正を禁止するので、不要なヒステリシスの補正を抑制して、制御弁の出力を狙いに近づけることができる。
[0009]
 この場合において、弁制御装置は、制御弁の制御を行うとともに、制御弁に駆動電流を供給する制御部を備え、制御弁は、リニア制御弁であり、制御出力値は、制御部が設定したリニア制御弁に対する目標電流の値であり、実出力値は、リニア制御弁に制御部が実際に供給した実電流の値であるようにしても良い。
 上記弁制御装置によれば、制御部は、リニア制御弁に駆動電流を供給するに際し、リニア制御弁の出力をより狙いに近づけることができ、リニア制御弁の性能を確実に発揮できる。
[0010]
 また、上記制御部は、制御対象へ供給する流体の圧力あるいは流量を調整するに際し、流体の圧力あるいは流量を増加させるための増圧側リニア制御弁及び前記制御対象へ供給する流体の圧力あるいは流量を調整するに際し、流体の圧力あるいは流量を減少させるための減圧側リニア制御弁を独立して制御して、パイロット圧を調整するようにしても良い。
 従って、パイロット圧を応答性よく狙いに近づけることができ、制御対象へ供給する流体の圧力あるいは流量の調整をより狙いに近づけることができる。
[0011]
 さらに制御部は、前記制御出力値をフィードフォワード制御により設定するようにしてもよい。
 上記構成によれば、フィードフォワード制御において制御弁の出力を狙いに近づけることができる。
[0012]
 また本発明の液圧制御装置は、制御対象へ供給する流体の圧力あるいは流量を調整するに際し、流体の圧力あるいは流量を増加させるための増圧側リニア制御弁と、制御対象へ供給する流体の圧力あるいは流量を調整するに際し、流体の圧力あるいは流量を減少させるための減圧側リニア制御弁と、増圧側リニア制御弁及び減圧側リニア制御弁を独立して制御して、パイロット圧を調整し、前記制御対象へ供給する流体の圧力あるいは流量を調整する弁制御装置と、を備え、弁制御装置は、出力にヒステリシスを有する増圧側リニア制御弁及び減圧側リニア制御弁に対し、それぞれ独立して制御出力の目標値の増減方向に応じてヒステリシス補正を行う補正部と、制御出力の目標値を逆方向に切り替えた場合に、制御出力の目標値と実出力値との差が所定範囲内となるまでヒステリシス補正を禁止する制御部と、を備える。
[0013]
 上記液圧制御装置によれば、制御部は、増圧側リニア制御弁及び減圧側リニア制御弁に駆動電流を供給するに際し、増圧側リニア制御弁及び減圧側リニア制御弁の出力を狙いに近づけることができ、リニア制御弁の性能を確実に発揮して、パイロット圧ひいては、制御対象へ供給する流体の圧力あるいは流量を狙いに近づけることができる。
[0014]
 また本発明の弁制御方法は、制御弁の出力のヒステリシスを制御出力値の増減方向に応じて補正する補正過程と、制御出力値に対応する制御弁への実出力値を検出する検出過程と、制御出力値の増減方向を切り替えた後、制御出力値と実出力値との差が所定の範囲内となるまで補正を禁止する禁止過程と、を備える。
 上記弁制御方法によれば、禁止過程は、制御出力値と検出部が検出した実出力値との差が所定の範囲内となるまで補正を禁止するので、不要なヒステリシスの補正を抑制して、制御弁の出力を狙いに近づけることができる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 図1は、液圧制御装置の概要構成図である。
[図2] 図2は、ノーマリークローズタイプの制御弁のヒステリシスの説明図である。
[図3] 図3は、ノーマリーオープンタイプの制御弁のヒステリシスの説明図である。
[図4] 図4は、実施形態のECUの液圧制御処理フローチャートである。
[図5] 図5は、ノーマリークローズタイプの制御弁の一動作説明図である。
[図6] 図6は、ノーマリークローズタイプの制御弁の一動作説明図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。また、本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
[0017]
 さて、自動車等の車両用の制動装置(ブレーキ装置)として、油圧導管の途中にモータ駆動されるオイルポンプを設け、当該オイルポンプの吐出側の作動液をアキュムレータに蓄積して、アキュムレータ圧を高圧に保つものが知られている。この高圧の作動液は、運転者のブレーキペダル操作に応じ、各車輪に設けられた制御弁のうち、増圧弁を介してホイルシリンダに導入され、所望の制動力を発揮する構成となっていた。この場合に、ブレーキペダル操作に応じて所望の制動力に対応した目標油圧が決定され、各車輪に設けられた制御弁の開閉を行うことで、実際の油圧が目標油圧に近づくように制御される液圧制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
 本実施形態はこのような液圧制御装置及び液圧制御装置を構成している制御弁を制御する弁制御装置に関するものである。
 以下、詳細に説明する。
[0018]
 まず、液圧制御装置の概要構成について説明する。
 図1は、液圧制御装置の概要構成図である。
 液圧制御装置10は、液圧制御装置10全体を制御するECU(Electric Control Unit)11と、ECU11により制御電流が供給され、液圧を増加させるための増圧弁として機能する増圧側リニア制御弁12と、ECU11により制御電流が供給され、液圧を減少させるための減圧弁として機能する減圧側リニア制御弁13と、増圧側リニア制御弁12及び減圧側リニア制御弁13が接続されて、所定の液圧を発生するためのレギュレータ14と、ECU11を介して増圧側リニア制御弁12及び減圧側リニア制御弁13に電力を供給するための電源15と、モータ16と、モータ16により駆動される液圧ポンプ17と、高圧の作動液(流体)を蓄えるためのアキュムレータ18と、作動液を貯留するためのリザーバ19と、を備えている。
[0019]
 レギュレータ14は、大別すると、シリンダ21、ボール弁22、付勢部23、弁座部24、制御ピストン25及びサブピストン26を備えている。
 シリンダ21は、略有底円筒状のシリンダケース21Aと、シリンダケース21Aの開口を塞ぐ蓋体21Bと、を備えている。
[0020]
 シリンダケース21Aには、複数のポート21A1~21A8が形成されている。
 また蓋体21Bには、シリンダケース21Aの複数のポート21A4~21A8に対応する複数のポート21B1~21B5が形成されている。
 そして、シリンダケース21Aのポート21A1には、液圧ポンプ17及びアキュムレータ18が接続され、ポート21A2には、増圧側リニア制御弁12の一方の配管が接続されている。
[0021]
 また、シリンダケース21Aのポート21A4には、減圧側リニア制御弁13の一方の配管が接続され、ポート21A6には、減圧側リニア制御弁13の他方の配管が接続されている。
[0022]
 さらに、シリンダケース21Aのポート21A7には、増圧側リニア制御弁12の他方の配管が接続されている。
 さらに、ポート21A6とポート21A7との間には、パイロット室27が形成されている。
[0023]
 このような構成において、パイロット室27における作動液の圧力は、増圧側リニア制御弁12の開度が大きいほど、あるいは、減圧側リニア制御弁13の開度が小さいほど、高くなる。また、パイロット室27における作動液の圧力は、増圧側リニア制御弁12の開度が小さいほど、あるいは、減圧側リニア制御弁13の開度が大きいほど、低くなる。
[0024]
 そして、増圧側リニア制御弁12及び減圧側リニア制御弁13の開度、ひいては増圧側リニア制御弁12及び減圧側リニア制御弁13を通過する作動液の流量は、ECU11によって制御されている。
 また、増圧側リニア制御弁12は、非通電状態では閉じられるいわゆるノーマリークローズタイプ(NCタイプ)の弁である。また減圧側リニア制御弁13は、非通電状態では開かれるいわゆるノーマリーオープンタイプ(NOタイプ)の弁である。
[0025]
 次に実施形態における増圧側リニア制御弁12及び減圧側リニア制御弁13の制御動作について説明する。
 まず、増圧側リニア制御弁12及び減圧側リニア制御弁13の基本的な動作について説明する。
 増圧側リニア制御弁12が閉じられ、かつ、減圧側リニア制御弁13が開かれた状態においては、パイロット室27内の作動液が流出して、パイロット室27の容積が縮小する。ひいては、実際にブレーキを駆動するための図示しないマスタシリンダ内の作動液圧力を減少させることとなる。
[0026]
 一方、増圧側リニア制御弁12が開かれ、かつ、減圧側リニア制御弁13が閉じられた状態においては、モータ16により駆動された液圧ポンプ17を介して高圧とされた作動液がアキュムレータ18に蓄えられる。これとともに、高圧とされた作動液は、ポート21A1、ポート21A2及び増圧側リニア制御弁12を介してパイロット室27内に流入し、パイロット室27の容積が拡大する。ひいては、高圧とされた作動液は、実際にブレーキを駆動するための図示しないマスタシリンダ内の作動液圧力を上昇させ、制動力を発揮させることとなる。
[0027]
 上記動作において、増圧側リニア制御弁12及び減圧側リニア制御弁13は、弁開度を増加させる場合と、弁開度を減少させる場合とで、ヒステリシスが存在している。
 ここで、ヒステリシスについて説明する。
 図2は、ノーマリークローズタイプの制御弁のヒステリシスの説明図である。
 また図3は、ノーマリーオープンタイプの制御弁のヒステリシスの説明図である。
[0028]
 図2に示すように、本実施形態における増圧側リニア制御弁12のようにノーマリークローズタイプの制御弁は、流量Qを同一とした場合、より開度を小さくする方向に動作している場合(減特性時)の方が、より開度を大きくする方向に動作している場合(増特性時)と比較して、制御電流iの電流量が小さくなっている。
[0029]
 一方、図3に示すように、本実施形態における減圧側リニア制御弁13のようにノーマリーオープンタイプの制御弁は、流量Qを同一とした場合、より開度を大きくする方向に動作している場合(増特性時)の方が、開度を小さくする方向に動作している場合(減特性時)と比較して、制御電流iの電流量が小さくなっている。
[0030]
 したがって、いずれの場合においても、開度を変化させる方向を変更した場合(例えば、開度を大きくする方向から、開度を小さくする方向に制御方向を変更した場合)、ヒステリシスを考慮する(例えば、増特性から減特性に切り替える)ことで増圧側リニア制御弁12の出力あるいは減圧側リニア制御弁13の出力を狙い(目標値)に近づけることができる。
[0031]
 ところで、例えば、リニア制御弁をフィードフォワード制御により制御する場合において、実際のリニア制御弁の開度が制御出力に対応する開度に追いついていないことがあり、正確なリニア制御弁の制御が行えない虞があった。具体的には、制御出力を増加から減少に切り替える際に、リニア制御弁の開度が目標の開度にまで増加していないにもかかわらず上記の減制御特性にて制御出力を減少させてしまうことでリニア制御弁の開度が目標に到達できず、正確なリニア制御弁の制御が行えない虞があった。
[0032]
 そこで、本実施形態においては、実電流値が目標電流値とほぼ等しくなるまではヒステリシス補正(目標電流の増減方向に応じた上記増特性あるいは上記減特性を適用する)を禁止し、実電流値が目標電流値とほぼ等しくなってからヒステリシス補正を行うことで、フィードバック制御のみならずフィードフォワード制御を行う場合、あるいは、フィードバック制御を行わず、フィードフォワード制御のみを行う場合でもヒステリシスを考慮しつつ不要なヒステリシスの補正を抑制して、リニア制御弁の出力を狙いに近づけることができるようにしている。
 以下、より具体的に説明する。
[0033]
 図4は、実施形態のECUの液圧制御処理フローチャートである。
 まず、本実施形態における増圧側リニア制御弁12のようにノーマリークローズタイプの制御弁の制御について説明する。
 図5は、ノーマリークローズタイプの制御弁の増特性から減特性へのヒステリシス補正にかかる動作説明図である。
[0034]
 まず当初において、弁開度を増加させる増制御を行っている場合を想定するものとする。
 ECU11は、まず、増圧側リニア制御弁12の開度変更が必要であることを検出すると、図5(a)に示すように、増圧側リニア制御弁12の目標流量Qtである目標流量Qt1を設定する(ステップS11)。
 そして、ECU11は、図5(b)に示すように、目標流量Qtから目標電流値Itを設定する(ステップS12)。
[0035]
 すなわち、増圧側リニア制御弁12については、目標流量Qt1から目標電流値It1を設定する。
 そして、ECU11は、電源15から供給された電力を目標電流値It1となるように増圧側リニア制御弁12への供給を時刻t1から開始する。
[0036]
 そして、ECU11は、増圧側リニア制御弁12への電力供給(駆動電流供給)と並行して、増圧側リニア制御弁12へ供給している実電流値Irealである実電流値Ireal1を検出(あるいは監視)する(ステップS13)。
[0037]
 次にECU11は、前回設定した目標流量Qt1(以下、識別のため目標流量Qtpと表記する)及び今回の目標流量Qt1の設定に基づいて前回の目標電流値It1(以下、識別のため目標電流値Itpと表記する)の変位方向(増方向あるいは減方向)と今回の目標電流値It1の変位方向とが逆方向になったか否かを判別する(ステップS14)。
[0038]
 より具体的には、ECU11は、増制御を行っている場合、前回の目標流量Qtpが今回の目標流量Qt1に対して小さい(増方向)あるいは等しい場合には、ECU11は、前回の目標電流値Itpの変位方向(増方向あるいは減方向)と今回の目標電流値It1の変位方向とが同方向であると判別する。
 また、前回の目標流量Qtpが今回の目標流量Qt1に対して大きい(減方向)場合には、ECU11は、前回の目標電流値Itpの変位方向(増方向あるいは減方向)と今回の目標電流値It1の変位方向とが逆方向であると判別する。
[0039]
 より具体的には、図5に示す時刻t1~時刻t2の期間においては、前回の目標流量Qtp及び今回の目標流量Qt1の設定によれば、前回の目標流量Qtpが今回の目標流量Qt1と等しく、前回の目標電流値Itpの変位方向と今回の目標電流値It1の変位方向とが逆方向になってはいないので(ステップS14;No)、ECU11は、再び同一の目標流量Qt1を設定して(あるいは、同一の目標流量Qt1を保持して)、増特性のまま上述同様の処理を繰り返すこととなる。
[0040]
 そして時刻t2に至ると、ステップS14の判別において、前回の目標流量Qtpが今回の目標流量Qt1に対して大きいと判別されるので、ECU11は、前回の目標電流値Itpの変位方向(増方向あるいは減方向)と今回の目標電流値It1の変位方向とが逆方向であると判別する(ステップS14;Yes)。
[0041]
 次にECU11は、実電流値Ireal1が目標電流値It1に対して所定の値範囲内、すなわち、
  It1-α≦Ireal1≦It+β (所定値α,β>0)
を満たしているか否かを判別する(ステップS15)。
 ここで所定値αは、電流値変動を吸収するための値であり、所定値βは、オーバーシュートを吸収するための値である。
[0042]
 ステップS15の判別において、増制御中の実電流値Ireal1が、
  It1-α>Ireal1
である場合には(ステップS15;No)、実電流値Ireal1が目標電流値It1に対して所定の値範囲外であるとして、処理を再びステップS11に移行して以下、同様の処理を繰り返す。より詳細には、時刻t2~時刻t3の期間このような処理が繰り返される。
[0043]
 図5において、時刻t3に示すように、ステップS15の判別において、増制御中の実電流値Ireal1が、
  It1-α≦Ireal1(≦It+β)
となると、ECU11は、実電流値Ireal1が目標電流値It1と等しくなったとみなす。
[0044]
 この結果、ECU11は、ヒステリシス補正を開始し、目標流量Qtに対応する電流iを、減特性に対応してヒステリシスを補正した目標電流値Ithys(図5(b)参照)とするヒステリシス補正を行う(ステップS16)。
 そして、再び処理をステップS11に移行して、上述同様の処理を行う。
[0045]
 これらの結果、増圧側リニア制御弁12のようにノーマリークローズタイプの制御弁の増制御時においては、ECU11により、図5(c)に示すように、実電流値Ireal1が目標電流値It1と等しくなったとみなす時刻t3に至るまでは、実電流値Ireal1は増制御時の特性で制御される。したがって、図5(d)に示す従来例とは異なり時刻t2~時刻t3においては、ヒステリシス補正禁止期間Tihbとされてヒステリシス補正が行われることはない。
[0046]
 この結果、ECU11は、実電流値Ireal1が目標電流値It1と等しくなったとみなす時刻t3から減特性へのヒステリシス補正を行うので、ヒステリシスを考慮しつつ不要なヒステリシスの補正を抑制して、増圧側リニア制御弁12の開度を確実に制御して増圧側リニア制御弁12の出力を狙いに近づけることができる。
[0047]
 次に当初において、弁開度を減少させる減制御を行っている場合を想定するものとする。
 図6は、ノーマリークローズタイプの制御弁の減特性から増特性へのヒステリシス補正にかかる動作説明図である。
 ECU11は、まず、増圧側リニア制御弁12の開度変更が必要であることを検出すると、図6(a)に示すように、増圧側リニア制御弁12の目標流量Qtである目標流量Qt1を設定する(ステップS11)。
[0048]
 そして、ECU11は、図6(b)に示すように、目標流量Qtから目標電流値Itを設定する(ステップS12)。
 すなわち、ECU11は、増圧側リニア制御弁12については、目標流量Qt1から目標電流値It1を設定する。
[0049]
 そして、ECU11は、電源15から供給された電力を目標電流値It1となるように増圧側リニア制御弁12への供給を時刻t1から開始する。
 そして、ECU11は、増圧側リニア制御弁12への電力供給(駆動電流供給)と並行して、増圧側リニア制御弁12へ供給している実電流値Irealである実電流値Ireal1を検出(あるいは監視)する(ステップS13)。
[0050]
 次にECU11は、前回設定した目標流量Qt1(以下、識別のため目標流量Qtpと表記する)及び今回の目標流量Qt1の設定に基づいて前回の目標電流値It1(以下、識別のため目標電流値Itpと表記する)の変位方向(増方向あるいは減方向)と今回の目標電流値It1の変位方向とが逆方向になったか否かを判別する(ステップS14)。
[0051]
 より具体的には、図6に示す時刻t1~時刻t2の期間においては、前回の目標流量Qtp及び今回の目標流量Qt1の設定によれば、前回の目標流量Qtpが今回の目標流量Qt1と等しく、前回の目標電流値Itpの変位方向と今回の目標電流値It1の変位方向とが逆方向になってはいないので(ステップS14;No)、ECU11は、再び同一の目標流量Qt1を設定して(あるいは、同一の目標流量Qt1を保持して)、減特性のまま上述同様の処理を繰り返すこととなる。
[0052]
 そして時刻t2に至ると、ステップS14の判別において、前回の目標流量Qtpが今回の目標流量Qt1に対して小さいと判別されるので、ECU11は、前回の目標電流値Itpの変位方向(増方向あるいは減方向)と今回の目標電流値It1の変位方向とが逆方向であると判別する(ステップS14;Yes)。
[0053]
 次にECU11は、実電流値Ireal1が目標電流値It1に対して所定の値範囲内、すなわち、
  It1-α≧Ireal1≧It+β (所定値α,β>0)
を満たしているか否かを判別する(ステップS15)。
 ここで所定値αは、電流値変動を吸収するための値であり、所定値βは、オーバーシュートを吸収するための値である。
[0054]
 ステップS15の判別において、増制御中の実電流値Ireal1が、
  It1-α<Ireal1
である場合には(ステップS15;No)、ECU11は、実電流値Ireal1が目標電流値It1に対して所定の値範囲外であるとして、処理を再びステップS11に移行して以下、同様の処理を繰り返す。より詳細には、時刻t2~時刻t3の期間このような処理が繰り返される。
[0055]
 図6において、時刻t3に示すように、ステップS15の判別において、減制御中の実電流値Ireal1が、
  It1-α≧Ireal1(≧It+β)
となると、ECU11は、実電流値Ireal1が目標電流値It1と等しくなったとみなす。
[0056]
 この結果、ECU11は、ヒステリシス補正を開始し、目標流量Qtに対応する電流iを増特性に対応してヒステリシスを補正した目標電流値Ithys(図6(b)参照)とするヒステリシス補正を行う(ステップS16)。
 そして、ECU11は、再び処理をステップS11に移行して、上述同様の処理を行う。
[0057]
 これらの結果、増圧側リニア制御弁12のようにノーマリークローズタイプの制御弁の増制御時Tincにおいては、図6(c)に示すように、実電流値Ireal1が目標電流値It1と等しくなったとみなす時刻t3に至るまでは、ECU11により、実電流値Ireal1は減制御時の特性で制御されて、図6(d)に示す従来例とは異なり時刻t2~時刻t3においては、ヒステリシス補正禁止期間Tihbとされてヒステリシス補正が行われることはない。
[0058]
 そしてECU11は、実電流値Ireal1が目標電流値It1と等しくなったとみなす時刻t3から増特性へのヒステリシス補正を行うので、ヒステリシスを考慮しつつ不要なヒステリシスの補正を抑制して、増圧側リニア制御弁12の開度を確実に制御して増圧側リニア制御弁12の出力を狙いに近づけることができる。
[0059]
 以上の説明は、ノーマリークローズタイプの制御弁の動作であったが、本実施形態の減圧側リニア制御弁13のようにノーマリーオープンタイプの制御弁においては、図5(a)に対応する流量制御を行う場合に、図6(b)及び図6(c)で示した制御と同様の制御を行い、図6(a)に対応する流量制御を行う場合に、図5(b)及び図5(c)で示した制御と同様の制御を行うことにより減圧側リニア制御弁13の開度を確実に制御して減圧側リニア制御弁13の出力を狙いに近づけることができる。
[0060]
 以上の説明のように、本実施形態によれば、増圧側リニア制御弁12の出力及び減圧側リニア制御弁13の出力を狙い(目標値)に近づけることができるので、液圧制御装置においては、パイロット圧を応答性よく狙いに近づけることができる。したがって、制御対象へ供給する流体の圧力や流量、ひいては、制御対象が車両の制動装置の場合には、制動装置において応答性よく狙いの制動動作を行わせることができる。
[0061]
 以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
[0062]
 例えば、ECU11は、例えば、ソフトウェアにしたがって動作するCPU(Central Processing Unit)である。なお、ECU11の少なくとも一部は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)や、PLD(Programmable Logic Device)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウエアであってもよい。
 また、以上の説明では、液圧制御装置をフィードフォワード制御する場合を例として説明したが、フィードバック制御を行う場合であっても、同様に適用可能であり、より一層正確な制御が行える。

請求の範囲

[請求項1]
 制御弁の出力のヒステリシスを制御出力値の増減方向に応じて補正する補正部と、
 前記制御出力値に対応する前記制御弁への実出力値を検出する検出部と、
 前記制御出力値の増減方向を切り替えた後、前記制御出力値と前記実出力値との差が所定の範囲内となるまで前記補正部による補正を禁止する禁止部と、
 を備えた弁制御装置。
[請求項2]
 前記制御弁の制御を行うとともに、前記制御弁に駆動電流を供給する制御部を備え、
 前記制御弁は、リニア制御弁であり、
 前記制御出力値は、前記制御部が設定した前記リニア制御弁に対する目標電流の値であり、
 前記実出力値は、前記リニア制御弁に前記制御部が実際に供給した実電流の値である、
 請求項1記載の弁制御装置。
[請求項3]
 前記制御部は、制御対象へ供給する流体の圧力あるいは流量を調整するに際し、流体の圧力あるいは流量を増加させるための増圧側リニア制御弁及び前記制御対象へ供給する流体の圧力あるいは流量を調整するに際し、流体の圧力あるいは流量を減少させるための減圧側リニア制御弁を独立して制御して、パイロット圧を調整する、
 請求項2記載の弁制御装置。
[請求項4]
 前記制御部は、前記制御出力値をフィードフォワード制御により設定している、
 請求項2又は請求項3記載の弁制御装置。
[請求項5]
 制御対象へ供給する流体の圧力あるいは流量を調整するに際し、流体の圧力あるいは流量を増加させるための増圧側リニア制御弁と、
 前記制御対象へ供給する流体の圧力あるいは流量を調整するに際し、流体の圧力あるいは流量を減少させるための減圧側リニア制御弁と、
 前記増圧側リニア制御弁及び前記減圧側リニア制御弁を独立して制御して、パイロット圧を調整し、前記制御対象へ供給する流体の圧力あるいは流量を調整する弁制御装置と、を備え、
 前記弁制御装置は、出力にヒステリシスを有する前記増圧側リニア制御弁及び前記減圧側リニア制御弁に対し、それぞれ独立して前記制御出力の目標値の増減方向に応じてヒステリシス補正を行う補正部と、
 前記制御出力の目標値を逆方向に切り替えた場合に、前記制御出力の目標値と実出力値との差が所定範囲内となるまで前記ヒステリシス補正を禁止する制御部と、
 を備えた液圧制御装置。
[請求項6]
 制御弁の出力のヒステリシスを制御出力値の増減方向に応じて補正する補正過程と、
 前記制御出力値に対応する前記制御弁への実出力値を検出する検出過程と、
 前記制御出力値の増減方向を切り替えた後、前記制御出力値と前記実出力値との差が所定の範囲内となるまで前記補正を禁止する禁止過程と、
 を備えた弁制御方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]