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1. (WO2017043198) 光学フィルムおよびその製造方法

明 細 書

発明の名称

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014   0015   0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085  

実施例

0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 光学フィルムおよびその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、硬化性組成物の硬化物層を有する光学フィルムおよびその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 時計、携帯電話、PDA、ノートパソコン、パソコン用モニタ、DVDプレーヤー、TVなどでは液晶表示装置が急激に市場展開している。液晶表示装置は、液晶のスイッチングによる偏光状態を可視化させたものであり、その表示原理から、偏光子が用いられる。特に、TVなどの用途では、ますます高輝度、高コントラスト、広い視野角が求められ、偏光フィルムにおいてもますます高透過率、高偏光度、高い色再現性などが求められている。
[0003]
 前記偏光フィルムに代表される光学フィルムには、例えば複数の光学フィルムを接着させることにより積層させたものや、光学フィルムの表面を処理したものがあり、このような接着処理や表面処理には、硬化性組成物などを塗工しつつ、これを硬化させることにより、接着剤層や表面処理層などを形成することが多い。これらの場合において、接着剤層や表面処理層などの厚みを管理することは、光学フィルムの物性や外観性などを考慮した場合、非常に重要である。
[0004]
 下記特許文献1では、偏光フィルムの接着性を評価するために、カッターナイフを用いて偏光フィルムを構成する透明保護フィルムのみに切り目を入れ、その切った箇所から透明保護フィルムが剥離できるか否かを評価することにより、間接的に接着剤層が十分な厚みを有するか否かを確認している。しかしながら、かかる評価は所謂、破壊検査であり、簡便に行えるものではなく、さらに正確に目的とする硬化物層の厚みが測定できているわけではない。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2008-80984号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 本発明は、硬化性組成物の硬化物層を有する光学フィルムであって、硬化性組成物の硬化物層の厚みを非破壊検査により簡便かつ正確に測定可能な光学フィルムおよび製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
上記課題は、下記構成により解決可能である。即ち本発明は、硬化性組成物の硬化物層を有する光学フィルムであって、前記硬化性組成物が、波長365nmにおけるモル吸光係数が10000(L/mol・cm)以上である発光材料を含むことを特徴とする光学フィルム、に関する。
[0008]
 上記光学フィルムにおいて、前記硬化性組成物が、活性エネルギー線硬化性成分を含有することが好ましい。
[0009]
 上記光学フィルムにおいて、前記硬化性組成物の全量を100質量部としたとき、前記発光材料の含有量が0.01~10質量部であることが好ましい。
[0010]
 上記光学フィルムにおいて、前記発光材料がクマリンおよびその誘導体であることが好ましく、前記クマリン誘導体がジエチルアミノ基を有することがより好ましい。
[0011]
 上記光学フィルムにおいて、前記光学フィルムが、硬化性組成物の硬化物層からなる接着剤層を介して、偏光子の少なくとも一方の面に透明保護フィルムが積層された偏光フィルムであることが好ましく、前記接着剤層の厚みが3μm以下であることがより好ましい。
[0012]
また、本発明は、硬化性組成物の硬化物層を有する光学フィルムの製造方法であって、光学フィルムの少なくとも一方の面に、前記硬化性組成物を塗工する塗工工程と、前記硬化性組成物を硬化させることにより硬化物層とする硬化物層形成工程とを含み、前記硬化物層形成工程後、前記硬化物層の厚みを測定する工程をさらに含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法に関し、前記塗工工程後、前記硬化性組成物の塗工厚みを測定する工程をさらに含むことが好ましい。
[0013]
さらに、本発明に係る光学フィルムの製造方法は、前記光学フィルムが、硬化性組成物の硬化物層からなる接着剤層を介して、偏光子の少なくとも一方の面に透明保護フィルムが積層された偏光フィルムである光学フィルムの製造方法であって、前記偏光子および前記透明保護フィルムの少なくとも一方の面に、前記硬化性組成物を塗工する塗工工程と、前記偏光子および前記透明保護フィルムを貼り合わせる貼合工程と、前記硬化性組成物を硬化させることにより得られた前記接着剤層を介して、前記偏光子および前記透明保護フィルムを接着させる接着工程とを含み、前記接着工程後、前記接着剤層の厚みを測定する工程をさらに含むことが好ましく、前記塗工工程後または前記貼合工程後、硬化前の前記硬化性組成物の厚みを測定する工程をさらに含むことがより好ましい。

発明の効果

[0014]
 光学フィルムは、様々な機能を発現させることを目的に積層されることが多く、硬化性組成物を塗工・硬化することにより形成した硬化物層を介して層間接着、あるいは最外層に表面処理を施される場合がある。したがって、形成された硬化物層の厚みは各層の接着性や外観性に影響する重要な因子となるため、その厚み管理は重要である。硬化物層の厚み確認方法として、光学フィルム断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)や透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)などで観察する方法が挙げられるが、これらは破壊検査に該当し、さらに厚み測定までに時間を要する欠点がある。また、ダイヤルゲージなどで測定を試みても、特に厚みが数μm程度のものを測定する場合、その精度に問題がある。一方、非接触光学計を用いて、製造工程中、インラインで光学フィルムが有する硬化物層の厚みを測定する方法も考えられるが、光学フィルムと硬化物層との屈折率が近い場合、厚みを正確に測定できない。
[0015]
 一方、本発明に係る光学フィルムでは、波長365nmにおけるモル吸光係数が10000(L/mol・cm)以上である発光材料を含む硬化物層により、硬化物層が形成されている。このため、特定の波長を有する光を照射した場合、光学フィルムと硬化物層との間で、発光量が大きく異なる。さらに、例えば光学フィルムに対し垂直に光を照射した場合、硬化物層の発光量は、硬化物層中に含まれる発光材料含有量、つまり硬化物層の厚みに比例する。したがって、予め任意の厚みを有する硬化物層の発光量を測定後、例えばSEM,TEMなどにより正確に厚みを測定し、硬化物層の厚みと発光量との関係を示す検量線を作成することにより、製造現場ではインラインで硬化物層の発光量のみを測定することで、その厚みを正確に測定することができる。
[0016]
 本発明に係る光学フィルムの製造方法では、前記のとおり硬化物層の厚みをインラインで測定可能であるため、硬化物層の厚みを正確に管理した状態で光学フィルムを製造することができる。特に硬化性組成物を光学フィルムに塗工した後、その塗工厚みを測定することにより、形成される硬化物層の厚みをさらに正確に管理した状態で光学フィルムを製造することができる。

発明を実施するための形態

[0017]
 本発明に係る光学フィルムは、硬化性組成物の硬化物層を有する光学フィルムであって、前記硬化性組成物が、波長365nmにおけるモル吸光係数が10000(L/mol・cm)以上である発光材料を含む。
[0018]
 <発光材料>
 本発明において使用する硬化性組成物は、波長365nmにおけるモル吸光係数が10000(L/mol・cm)以上である発光材料を含む。本発明において「発光材料」とは、365nmの光を照射した際に420nm~480nmの光を発光する物質を意味するものとし、さらに本発明においては、モル吸光係数が前記範囲内の発光材料を使用する。なお、使用する発光材料のモル吸光係数の上限値は特に限定されるものではないが、例えば100000(L/mol・cm)以下、さらには50000(L/mol・cm)以下程度が挙げられる。
[0019]
 本発明で使用する発光材料としては、例えばトリアゾール系、フタルイミド系、ビラゾロン系、スチルベン系、オキサゾール系、ナフタルイミド系化合物、ローダミン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、チオフェン系化合物、クマリン系などが挙げられる。これらは単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。これらの中でも、硬化性組成物中での溶解性向上の観点からクマリンおよびその誘導体が好ましい。あるいは、水溶液としてそのまま硬化性組成物中に添加可能となり、取扱い性に優れることから、スチルベン系化合物も好ましい。
[0020]
 クマリン誘導体は、化学式(C)で表される有機化合物の誘導体であり、芳香環および/または複素環上の任意の位置に有機基を有しても良い。有機基としては例えば、置換基を有してもよい、脂肪族炭化水素基、アリール基、またはヘテロ環基が挙げられ、脂肪族炭化水素基としては例えば、炭素数1~20の置換基またはヘテロ原子を有してもよい直鎖または分岐のアルキル基、炭素数3~20の置換基またはヘテロ原子を有してもよい環状アルキル基、炭素数2~20のアルケニル基が挙げられ、アリール基としては、炭素数6~20の置換基またはヘテロ原子を有してもよいフェニル基、炭素数10~20の置換基またはヘテロ原子を有してもよいナフチル基等が挙げられ、ヘテロ環基としては例えば、少なくとも一つのヘテロ原子を含む、置換基を有してもよい5員環または6員環の基が挙げられる。これらは互いに連結して環を形成してもよい。前記有機基としてジエチルアミノ基を有するクマリン誘導体は、モル吸光係数が高く、少量でも発光特性に優れるため好ましい。
[0021]
 クマリン誘導体としては、例えば、7{[4-クロロ-6-(ジエチルアミノ)-s-トリアジン-2-イル]アミノ}-7-トリアジニルアミノ-3-フェニル-クマリン、8-アミノ-4-メチルクマリン、7-ジエチルジアミノ-4-メチルクマリン、3-シアノ-7-ヒドロクマリン、7-ヒドロキシクマリン-3-カルボン酸、6,8-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-4-メチルクマリン、7-アミノ-4-メチルクマリンなどが挙げられる。
[0022]
 スチルベン系化合物としては、例えば、4,4’-ビス(ジフェニルトリアジニル)スチルベン、4,4’-ビス(ベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベンなどが挙げられる。ナフタルイミド系化合物としては、例えば、N-メチル-5-メトキシナフタルイミドなどが挙げられる。ローダミン系化合物としては、例えば、ローダミンB、ローダミン6Gなどが挙げられる。チオフェン系化合物としては、例えば、2,5-ビス(5’-t-ブチルベンゾオキサゾリル-2’)チオフェン、2,5-ビス(6,6’-ビス(tert-ブチル)-ベンゾオキサゾール-2-イル)チオフェンなどが挙げられる。
[0023]
 なお、硬化性組成物を硬化させるために使用される重合開始剤によっては、活性エネルギー線を照射した場合に蛍光を放射するものがある。しかしながら、重合開始剤から放射される蛍光の強度(発光量)はかなり低く、仮に硬化性組成物中に重合開始剤を配合しても、光を照射した場合の発光量は硬化物層の厚みに殆ど比例しない。さらに、重合開始剤から放射される蛍光強度は、その化学的状態により変化するところ、ラジカル発生と共に重合開始剤は分解・消費されるため、経時的に発光量が低下する。このため、本発明においては発光材料として安定な(消費されない)発光材料を使用することが好ましく、特に安定なクマリンおよびその誘導体が好ましい。なお、本発明において、硬化性組成物が重合開始剤を含有することは特に問題が無く、硬化性組成物が重合開始剤に加えて、好適に例示された前記発光材料を含むことが好ましい。
[0024]
 硬化性組成物中の前記発光材料の含有量は、前記硬化性組成物の全量を100質量部としたとき、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましい。硬化性組成物中、発光材料の含有量が少なすぎると、硬化物層の厚み検知のために必要な発光量を得ることができない場合があり、含有量が多すぎる場合は、硬化性組成物中で発光材料の不溶分が発生する場合や、光学特性や接着特性などに悪影響を及ぼす場合がある。
[0025]
 次に、本発明において使用する硬化性組成物について以下に説明する。
[0026]
 <硬化性組成物>
 本発明では、硬化性組成物を使用して硬化物層を形成する。光学フィルムが有する硬化物層としては、例えば接着剤層、粘着剤層および表面処理層などが挙げられる。以下に、硬化性組成物の例として、接着剤層を形成するための接着剤組成物、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物について説明する。これらは光学的に透明であれば、特に制限されず水系、溶剤系、ホットメルト系、ラジカル硬化型の各種形態のものが用いられる。光学フィルムとして、透明導電性積層体または偏光フィルムを製造する場合には、透明硬化型接着組成物を好適である。
[0027]
 <接着剤組成物>
 接着剤組成物として、例えばラジカル硬化型接着剤組成物が好適に用いられる。ラジカル硬化型接着剤組成物としては、活性エネルギー線硬化性成分を含む、電子線硬化型、紫外線硬化型、可視光硬化型などの活性エネルギー線硬化型の接着剤組成物を例示できる。特に短時間で硬化可能な、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が好ましく、さらには低エネルギーで硬化可能な紫外線硬化型または可視光硬化型の接着剤組成物が好ましい。
[0028]
 紫外線硬化型接着剤組成物としては、大きくラジカル重合硬化型接着剤とカチオン重合型接着剤に区分出来る。その他、ラジカル重合硬化型接着剤組成物は熱硬化型接着剤として用いることができる。
[0029]
 ラジカル重合硬化型接着剤組成物の硬化性成分としては、活性エネルギー線硬化性成分が代表的であり、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物が挙げられる。これら硬化性成分は、単官能または二官能以上のいずれも用いることができる。またこれら硬化性成分は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これら硬化性成分としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好適である。
[0030]
 (メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-ニトロプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、t-ペンチル(メタ)アクリレート、3-ペンチル(メタ)アクリレート、2,2-ジメチルブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、4-メチル-2-プロピルペンチル(メタ)アクリレート、n-オクタデシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸(炭素数1-20)アルキルエステル類が挙げられる。
[0031]
 また、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレートなど)、アラルキル(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど)、多環式(メタ)アクリレート(例えば、2-イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、5-ノルボルネン-2-イル-メチル(メタ)アクリレート、3-メチル-2-ノルボルニルメチル(メタ)アクリレートなど)、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメチル-ブチル(メタ)メタクリレートなど)、アルコキシ基またはフェノキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類(2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなど)、ハロゲン含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなど)、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど)等が挙げられる。
[0032]
 また、前記以外の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー等が挙げられる。また、アクリロイルモルホリン等の窒素含有モノマー等が挙げられる。
[0033]
 また、前記ラジカル重合硬化型接着剤組成物の硬化性成分としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性二重結合を複数個有する化合物を例示することができ、当該化合物は、架橋成分として接着剤成分に混合することもできる。かかる架橋成分になる硬化性成分としては、例えば、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、EO変性ジグリセリンテトラアクリレート、アロニックスM-220(東亞合成社製)、ライトアクリレート1,9ND-A(共栄社化学社製)、ライトアクリレートDGE-4A(共栄社化学社製)、ライトアクリレートDCP-A(共栄社化学社製)、SR-531(Sartomer社製)、CD-536(Sartomer社製)等が挙げられる。また必要に応じて、各種のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートや、各種の(メタ)アクリレート系モノマー等が挙げられる。
[0034]
 ラジカル重合硬化型接着剤組成物は、前記硬化性成分を含むが、前記成分に加えて、硬化のタイプに応じて、ラジカル重合開始剤を添加する。前記接着剤組成物を電子線硬化型で用いる場合には、前記接着剤組成物にはラジカル重合開始剤を含有させることは特に必要ではないが、紫外線硬化型、熱硬化型で用いる場合には、ラジカル重合開始剤が用いられる。ラジカル重合開始剤の使用量は硬化性成分100質量部あたり、通常0.1~10質量部程度、好ましくは、0.5~3質量部である。また、ラジカル重合硬化型接着剤には、必要に応じて、カルボニル化合物などで代表される電子線による硬化速度や感度を上がる光増感剤を添加することもできる。光増感剤の使用量は硬化性成分100質量部あたり、通常0.001~10質量部程度、好ましくは、0.01~3質量部である。
[0035]
 カチオン重合硬化型接着剤組成物の硬化性成分としては、エポキシ基やオキセタニル基を有する化合物が挙げられる。エポキシ基を有する化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するものであれば特に限定されず、一般に知られている各種の硬化性エポキシ化合物を用いることができる。好ましいエポキシ化合物として、分子内に少なくとも2個のエポキシ基と少なくとも1個の芳香環を有する化合物や、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有し、そのうちの少なくとも1個は脂環式環を構成する隣り合う2個の炭素原子との間で形成されている化合物等が例として挙げられる。
[0036]
 前記接着剤組成物は、必要であれば適宜添加剤を含むものであっても良い。添加剤の例としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤、エチレンオキシドで代表される接着促進剤、透明フィルムとの濡れ性を向上させる添加剤、アクリロキシ基化合物や炭化水素系(天然、合成樹脂)などに代表され、機械的強度や加工性などを向上させる添加剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤(金属化合物フィラー以外)、可塑剤、レベリング剤、発泡抑制剤、帯電防止割、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤等の安定剤等が挙げられる。
[0037]
 ラジカル重合硬化型接着剤組成物は、電子線硬化型、紫外線硬化型の態様で用いることができる。
[0038]
 電子線硬化型において、電子線の照射条件は、上記ラジカル重合硬化型接着剤組成物を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。例えば、電子線照射は、加速電圧が好ましくは5kV~300kVであり、さらに好ましくは10kV~250kVである。加速電圧が5kV未満の場合、電子線が接着剤まで届かず硬化不足となるおそれがあり、加速電圧が300kVを超えると、試料を通る浸透力が強すぎて、透明保護フィルムや偏光子にダメージを与えるおそれがある。照射線量としては、5~100kGy、さらに好ましくは10~75kGyである。照射線量が5kGy未満の場合は、接着剤が硬化不足となり、100kGyを超えると、透明保護フィルムや偏光子にダメージを与え、機械的強度の低下や黄変を生じ、所定の光学特性を得ることができない。
[0039]
 電子線照射は、通常、不活性ガス中で照射を行うが、必要であれば大気中や酸素を少し導入した条件で行ってもよい。透明保護フィルムの材料によるが、酸素を適宜導入することによって、最初に電子線があたる透明保護フィルム面にあえて酸素阻害を生じさせ、透明保護フィルムへのダメージを防ぐことができ、接着剤にのみ効率的に電子線を照射させることができる。
[0040]
 一方、紫外線硬化型において、紫外線吸収能を付与した透明保護フィルムを使用する場合、およそ380nmより短波長の光を吸収するため、380nmより短波長の光は活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に到達しないため、その重合反応に寄与しない。さらに、透明保護フィルムによって吸収された380nmより短波長の光は熱に変換され、透明保護フィルム自体が発熱し、偏光フィルムのカール・シワなど不良の原因となる。そのため、本発明において紫外線硬化型を採用する場合、紫外線発生装置として380nmより短波長の光を発光しない装置を使用することが好ましく、より具体的には、波長範囲380~440nmの積算照度と波長範囲250~370nmの積算照度との比が100:0~100:50であることが好ましく、100:0~100:40であることがより好ましい。このような積算照度の関係を満たす紫外線としては、ガリウム封入メタルハライドランプ、波長範囲380~440nmを発光するLED光源が好ましい。あるいは、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、白熱電球、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザーまたは太陽光を光源とし、バンドパスフィルターを用いて380nmより短波長の光を遮断して用いることもできる。
[0041]
 また、接着剤層を形成するための硬化性組成物として、水系の接着剤組成物も使用可能である。水系接着剤組成物としては例えば、ビニルポリマー系、ゼラチン系、ビニル系ラテックス系、ポリウレタン系、イソシアネート系、ポリエステル系、エポキシ系等を例示できる。このような水系接着剤組成物からなる接着剤層は、水溶液の塗布乾燥層などとして形成し得るが、その水溶液の調製に際しては、必要に応じて、架橋剤や他の添加剤、酸等の触媒も配合することができる。
[0042]
 前記水系接着剤組成物としては、ビニルポリマーを含有する接着剤などを用いることが好ましく、ビニルポリマーとしては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。またポリビニルアルコール系樹脂としては、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂を含む接着剤が耐久性を向上させる点からより好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂に配合できる架橋剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物が好ましく使用できる。例えば、ホウ酸やホウ砂、カルボン酸化合物、アルキルジアミン類;イソシアネート類;エポキシ類;モノアルデヒド類;ジアルデヒド類;アミノ-ホルムアルデヒド樹脂;さらに二価金属、または三価金属の塩およびその酸化物が挙げられる。
[0043]
 また、硬化性組成物を使用して接着剤層を形成する場合、その厚みは5μm以下であることが好ましい。より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。前記接着剤層の厚みの下限としては、例えば0.01μm以上、さらには0.1μm以上が例示可能である。
[0044]
 <粘着剤組成物>
 粘着剤組成物としては各種の粘着剤を用いることができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などが挙げられる。前記粘着剤組成物の種類に応じて粘着性のベースポリマーが選択される。前記粘着剤組成物のなかでも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れる点から、アクリル系粘着剤組成物が好ましく使用される。
[0045]
 本発明の光学フィルムは、以下の製造方法;
 硬化性組成物の硬化物層を有する光学フィルムの製造方法であって、
 光学フィルムの少なくとも一方の面に、硬化性組成物を塗工する塗工工程と、
 硬化性組成物を硬化させることにより硬化物層とする硬化物層形成工程とを含み、
 硬化物層形成工程後、硬化物層の厚みを測定する工程をさらに含む光学フィルムの製造方法、により製造可能である。特に、前記塗工工程後、前記硬化性組成物の塗工厚みを測定する工程をさらに含む場合、形成される硬化物層の厚みをさらに正確に管理した状態で光学フィルムを製造することができる。
[0046]
 硬化性組成物を塗工する方法としては、硬化性組成物の粘度や目的とする厚みによって適宜選択され、例えば、リバースコーター、グラビアコーター(ダイレクト,リバースやオフセット)、バーリバースコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ロッドコーターなどが挙げられる。本発明において使用する硬化性組成物の粘度は3~100mPa・sであることが好ましく、より好ましくは5~50mPa・sであり、最も好ましくは10~30mPa・sである。硬化性組成物の粘度が高い場合、塗工後の表面平滑性が乏しく外観不良が発生するため好ましくない。本発明において使用する硬化性組成物は、該組成物を加熱または冷却して好ましい範囲の粘度に調整して塗布することができる。
[0047]
 上記のように塗工した硬化性組成物を介して、偏光子と透明保護フィルムとを貼り合わせる。偏光子と透明保護フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーターなどにより行う事ができる。
[0048]
 本発明において、光学フィルムの種類は特に限定はないが、光学フィルムとして好適には、硬化性組成物の硬化物層からなる接着剤層を介して、偏光子の少なくとも一方の面に透明保護フィルムが積層された偏光フィルムが挙げられる。以下に光学フィルムとして偏光フィルムを例に挙げて説明する。
[0049]
 本発明において偏光フィルムは、以下の製造方法;
 偏光子および透明保護フィルムの少なくとも一方の面に、硬化性組成物を塗工する塗工工程と、
 偏光子および透明保護フィルムを貼り合わせる貼合工程と、
 硬化性組成物を硬化させることにより得られた接着剤層を介して、偏光子および透明保護フィルムを接着させる接着工程とを含み、
 接着工程後、接着剤層の厚みを測定する工程をさらに含む光学フィルムの製造方法、により製造可能である。特に、前記塗工工程後または前記貼合工程後、硬化前の前記硬化性組成物の厚みを測定する工程をさらに含む場合、形成される硬化物層の厚みをさらに正確に管理した状態で光学フィルムを製造することができる。
[0050]
 硬化性組成物として活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を使用する場合、前記接着工程において、偏光子と透明保護フィルムを貼り合わせた後に、活性エネルギー線(電子線、紫外線、可視光線など)を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化して接着剤層を形成する。活性エネルギー線(電子線、紫外線、可視光線など)の照射方向は、任意の適切な方向から照射することができる。好ましくは、透明保護フィルム側から照射する。偏光子側から照射すると、偏光子が活性エネルギー線(電子線、紫外線、可視光線など)によって劣化するおそれがある。
[0051]
 偏光フィルムの製造工程において、接着剤層の発光量のみを測定することで、その厚みをインラインで測定する方法としては、例えば偏光フィルムの製造ラインにおいて、所定の波長を有する光、例えば365nmの波長を有する光をフィルム面に対し垂直方向に照射し、その際に発光される420nm~480nmの光の発光量(蛍光量)を蛍光測定装置を用いて計測する方法が挙げられる。このような蛍光測定装置としては、例えば特開2011-145191号公報に記載の、センテック社製蛍光測定装置が挙げられる。
[0052]
 偏光子および/または透明保護フィルムは、上記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗布する前に、表面改質処理を行ってもよい。具体的な処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、ケン化処理による処理などが挙げられる。
[0053]
 なお偏光フィルムにおいては、偏光子と透明保護フィルムとが、好適には上記ラジカル重合硬化型接着剤組成物の硬化物層により形成された接着剤層を介して貼り合されるが、偏光子と透明保護フィルムとの間には、易接着層を設けることができる。易接着層は、例えば、ポリエステル骨格、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリウレタン骨格、シリコーン系、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリビニルアルコール骨格などを有する各種樹脂により形成することができる。これらポリマー樹脂は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また易接着層の形成には他の添加剤を加えてもよい。具体的にはさらには粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤などを用いてもよい。
[0054]
 易接着層の形成は、易接着層の形成材をフィルム上に、公知の技術により塗布、乾燥することにより行われる。易接着層の形成材は、乾燥後の厚み、塗布の円滑性などを考慮して適当な濃度に希釈した溶液として、通常調整される。易接着層は乾燥後の厚みは、好ましくは0.01~5μm、さらに好ましくは0.02~2μm、さらに好ましくは0.05~1μmである。なお、易接着層は複数層設けることができるが、この場合にも、易接着層の総厚みは上記範囲になるようにするのが好ましい。
[0055]
 偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性材料を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などポリエン系配向フィルムなどが挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚みは特に制限されないが、一般的に80μm程度以下である。
[0056]
 ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3~7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
[0057]
 また偏光子としては厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いることができる。薄型化の観点から言えば当該厚みは1~7μmであるのが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため耐久性に優れ、さらには偏光フィルムとしての厚みも薄型化が図れる点が好ましい。
[0058]
 薄型の偏光子としては、代表的には、特開昭51-069644号公報や特開2000-338329号公報や、WO2010/100917号パンフレット、PCT/JP2010/001460の明細書、または特願2010-269002号明細書や特願2010-263692号明細書に記載されている薄型偏光子を挙げることができる。これら薄型偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂ともいう)層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法による得ることができる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断などの不具合なく延伸することが可能となる。
[0059]
 前記薄型偏光子としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、WO2010/100917号パンフレット、PCT/JP2010/001460の明細書、または特願2010-269002号明細書や特願2010-263692号明細書に記載のあるようなホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特に特願2010-269002号明細書や特願2010-263692号明細書に記載のあるホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。
[0060]
 上記のPCT/JP2010/001460の明細書に記載の薄型高機能偏光子は、樹脂基材に一体に製膜される、二色性物質を配向させたPVA系樹脂からなる厚みが7μm以下の薄型高機能偏光子であって、単体透過率が42.0%以上および偏光度が99.95%以上の光学特性を有する。
[0061]
 上記薄型高機能偏光子は、少なくとも20μmの厚みを有する樹脂基材に、PVA系樹脂の塗布および乾燥によってPVA系樹脂層を生成し、生成されたPVA系樹脂層を二色性物質の染色液に浸漬して、PVA系樹脂層に二色性物質を吸着させ、二色性物質を吸着させたPVA系樹脂層を、ホウ酸水溶液中において、樹脂基材と一体に総延伸倍率を元長の5倍以上となるように延伸することによって、製造することができる。
[0062]
 また、二色性物質を配向させた薄型高機能偏光子を含む積層体フィルムを製造する方法であって、少なくとも20μmの厚みを有する樹脂基材と、樹脂基材の片面にPVA系樹脂を含む水溶液を塗布および乾燥することによって形成されたPVA系樹脂層とを含む積層体フィルムを生成する工程と、樹脂基材と樹脂基材の片面に形成されたPVA系樹脂層とを含む前記積層体フィルムを、二色性物質を含む染色液中に浸漬することによって、積層体フィルムに含まれるPVA系樹脂層に二色性物質を吸着させる工程と、二色性物質を吸着させたPVA系樹脂層を含む前記積層体フィルムを、ホウ酸水溶液中において、総延伸倍率が元長の5倍以上となるように延伸する工程と、二色性物質を吸着させたPVA系樹脂層が樹脂基材と一体に延伸されたことにより、樹脂基材の片面に、二色性物質を配向させたPVA系樹脂層からなる、厚みが7μm以下、単体透過率が42.0%以上かつ偏光度が99.95%以上の光学特性を有する薄型高機能偏光子を製膜させた積層体フィルムを製造する工程を含むことで、上記薄型高機能偏光子を製造することができる。
[0063]
 上記の特願2010-269002号明細書や特願2010-263692号明細書
薄型偏光子は、二色性物質を配向させたPVA系樹脂からなる連続ウェブの偏光子であって、非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材に製膜されたPVA系樹脂層を含む積層体が空中補助延伸とホウ酸水中延伸とからなる2段延伸工程で延伸されることにより、10μm以下の厚みにされたものである。かかる薄型偏光子は、単体透過率をT、偏光度をPとしたとき、P>-(100.929T-42.4-1)×100(ただし、T<42.3)、およびP≧99.9(ただし、T≧42.3)の条件を満足する光学特性を有するようにされたものであることが好ましい。
[0064]
 具体的には、前記薄型偏光子は、連続ウェブの非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材に製膜されたPVA系樹脂層に対する空中高温延伸によって、配向されたPVA系樹脂層からなる延伸中間生成物を生成する工程と、延伸中間生成物に対する二色性物質の吸着によって、二色性物質(ヨウ素またはヨウ素と有機染料の混合物が好ましい)を配向させたPVA系樹脂層からなる着色中間生成物を生成する工程と、着色中間生成物に対するホウ酸水中延伸によって、二色性物質を配向させたPVA系樹脂層からなる厚みが10μm以下の偏光子を生成する工程とを含む薄型偏光子の製造方法により製造することができる。
[0065]
 この製造方法において、空中高温延伸とホウ酸水中延伸とによる非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材に製膜されたPVA系樹脂層の総延伸倍率が、5倍以上になるようにするのが望ましい。ホウ酸水中延伸のためのホウ酸水溶液の液温は、60℃以上とすることができる。ホウ酸水溶液中で着色中間生成物を延伸する前に、着色中間生成物に対して不溶化処理を施すのが望ましく、その場合、液温が40℃を超えないホウ酸水溶液に前記着色中間生成物を浸漬することにより行うのが望ましい。上記非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材は、イソフタル酸を共重合させた共重合ポリエチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノールを共重合させた共重合ポリエチレンテレフタレートまたは他の共重合ポリエチレンテレフタレートを含む非晶性ポリエチレンテレフタレートとすることができ、透明樹脂からなるものであることが好ましく、その厚みは、製膜されるPVA系樹脂層の厚みの7倍以上とすることができる。また、空中高温延伸の延伸倍率は3.5倍以下が好ましく、空中高温延伸の延伸温度はPVA系樹脂のガラス転移温度以上、具体的には95℃~150℃の範囲であるのが好ましい。空中高温延伸を自由端一軸延伸で行う場合、非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材に製膜されたPVA系樹脂層の総延伸倍率が、5倍以上7.5倍以下であるのが好ましい。また、空中高温延伸を固定端一軸延伸で行う場合、非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材に製膜されたPVA系樹脂層の総延伸倍率が、5倍以上8.5倍以下であるのが好ましい。
更に具体的には、次のような方法により、薄型偏光子を製造することができる。
[0066]
 イソフタル酸を6mol%共重合させたイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(非晶性PET)の連続ウェブの基材を作製する。非晶性PETのガラス転移温度は75℃である。連続ウェブの非晶性PET基材とポリビニルアルコール(PVA)層からなる積層体を、以下のように作製する。ちなみにPVAのガラス転移温度は80℃である。
[0067]
 200μm厚の非晶性PET基材と、重合度1000以上、ケン化度99%以上のPVA粉末を水に溶解した4~5%濃度のPVA水溶液とを準備する。次に、200μm厚の非晶性PET基材にPVA水溶液を塗布し、50~60℃の温度で乾燥し、非晶性PET基材に7μm厚のPVA層が製膜された積層体を得る。
[0068]
 7μm厚のPVA層を含む積層体を、空中補助延伸およびホウ酸水中延伸の2段延伸工程を含む以下の工程を経て、3μm厚の薄型高機能偏光子を製造する。第1段の空中補助延伸工程によって、7μm厚のPVA層を含む積層体を非晶性PET基材と一体に延伸し、5μm厚のPVA層を含む延伸積層体を生成する。具体的には、この延伸積層体は、7μm厚のPVA層を含む積層体を130℃の延伸温度環境に設定されたオーブンに配備された延伸装置にかけ、延伸倍率が1.8倍になるように自由端一軸に延伸したものである。この延伸処理によって、延伸積層体に含まれるPVA層を、PVA分子が配向された5μm厚のPVA層へと変化させる。
[0069]
 次に、染色工程によって、PVA分子が配向された5μm厚のPVA層にヨウ素を吸着させた着色積層体を生成する。具体的には、この着色積層体は、延伸積層体を液温30℃のヨウ素およびヨウ化カリウムを含む染色液に、最終的に生成される高機能偏光子を構成するPVA層の単体透過率が40~44%になるように任意の時間、浸漬することによって、
延伸積層体に含まれるPVA層にヨウ素を吸着させたものである。本工程において、染色液は、水を溶媒として、ヨウ素濃度を0.12~0.30重量%の範囲内とし、ヨウ化カリウム濃度を0.7~2.1重量%の範囲内とする。ヨウ素とヨウ化カリウムの濃度の比は1対7である。ちなみに、ヨウ素を水に溶解するにはヨウ化カリウムを必要とする。より詳細には、ヨウ素濃度0.30重量%、ヨウ化カリウム濃度2.1重量%の染色液に延伸積層体を60秒間浸漬することによって、PVA分子が配向された5μm厚のPVA層にヨウ素を吸着させた着色積層体を生成する。
[0070]
 さらに、第2段のホウ酸水中延伸工程によって、着色積層体を非晶性PET基材と一体にさらに延伸し、3μm厚の高機能偏光子を構成するPVA層を含む光学フィルム積層体を生成する。具体的には、この光学フィルム積層体は、着色積層体をホウ酸とヨウ化カリウムを含む液温範囲60~85℃のホウ酸水溶液に設定された処理装置に配備された延伸装置にかけ、延伸倍率が3.3倍になるように自由端一軸に延伸したものである。より詳細には、ホウ酸水溶液の液温は65℃である。それはまた、ホウ酸含有量を水100質量部に対して4質量部とし、ヨウ化カリウム含有量を水100質量部に対して5質量部とする。本工程においては、ヨウ素吸着量を調整した着色積層体をまず5~10秒間ホウ酸水溶液に浸漬する。しかる後に、その着色積層体をそのまま処理装置に配備された延伸装置である周速の異なる複数の組のロール間に通し、30~90秒かけて延伸倍率が3.3倍になるように自由端一軸に延伸する。この延伸処理によって、着色積層体に含まれるPVA層を、吸着されたヨウ素がポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向した3μm厚のPVA層へと変化させる。このPVA層が光学フィルム積層体の高機能偏光子を構成する。
[0071]
 光学フィルム積層体の製造に必須の工程ではないが、洗浄工程によって、光学フィルム積層体をホウ酸水溶液から取り出し、非晶性PET基材に製膜された3μm厚のPVA層の表面に付着したホウ酸をヨウ化カリウム水溶液で洗浄するのが好ましい。しかる後に、洗浄された光学フィルム積層体を60℃の温風による乾燥工程によって乾燥する。なお洗浄工程は、ホウ酸析出などの外観欠点を解消するための工程である。
[0072]
 同じく光学フィルム積層体の製造に必須の工程というわけではないが、貼合せおよび/または転写工程によって、非晶性PET基材に製膜された3μm厚のPVA層の表面に接着剤を塗布しながら、80μm厚のトリアセチルセルロースフィルムを貼合せたのち、非晶性PET基材を剥離し、3μm厚のPVA層を80μm厚のトリアセチルセルロースフィルムに転写することもできる。
[0073]
 [その他の工程]
 上記の薄型偏光子の製造方法は、上記工程以外に、その他の工程を含み得る。その他の工程としては、例えば、不溶化工程、架橋工程、乾燥(水分率の調節)工程等が挙げられる。その他の工程は、任意の適切なタイミングで行い得る。上記不溶化工程は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。不溶化処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100質量部に対して、好ましくは1質量部~4質量部である。不溶化浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃~50℃である。好ましくは、不溶化工程は、積層体作製後、染色工程や水中延伸工程の前に行う。上記架橋工程は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。架橋処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100質量部に対して、好ましくは1質量部~4質量部である。また、上記染色工程後に架橋工程を行う場合、さらに、ヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の配合量は、水100質量部に対して、好ましくは1質量部~5質量部である。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。架橋浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃~50℃である。好ましくは、架橋工程は上記第2のホウ酸水中延伸工程の前に行う。好ましい実施形態においては、染色工程、架橋工程および第2のホウ酸水中延伸工程をこの順で行う。
[0074]
 上記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または上記ポリマーのブレンド物なども上記透明保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などが挙げられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50~100重量%、より好ましくは50~99重量%、さらに好ましくは60~98重量%、特に好ましくは70~97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性などが十分に発現できないおそれがある。
[0075]
 また、透明保護フィルムとしては、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が挙げられる。具体例としてはイソブチレンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムが挙げられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光フィルムの歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
[0076]
 透明保護フィルムの厚みは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性などの作業性、薄層性などの点より1~500μm程度である。特に20~80μmが好ましく、30~60μmがより好ましい。
[0077]
 なお、偏光子の両面に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる透明保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料などからなる透明保護フィルムを用いてもよい。
[0078]
 上記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、硬化性組成物の硬化物層からなるハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層ないしアンチグレア層などの表面処理層を設けることができる。
[0079]
 本発明の偏光フィルムは、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4などの波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置などの形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の偏光フィルムに更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光フィルムまたは半透過型偏光フィルム、偏光フィルムに更に位相差板が積層されてなる楕円偏光フィルムまたは円偏光フィルム、偏光フィルムに更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光フィルム、あるいは偏光フィルムに更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光フィルムが好ましい。
[0080]
 偏光フィルムに上記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置などの製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業などに優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着剤層などの適宜な接着手段を用いうる。上記の偏光フィルムやその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
[0081]
 前述した偏光フィルムや、偏光フィルムを少なくとも1層積層されている光学フィルムには、液晶セルなどの他部材と接着するための粘着剤層を設けることができる。粘着剤層を形成する粘着剤組成物としては、前述したものが使用可能である。
[0082]
 粘着剤層は、異なる組成または種類などのものの重畳層として偏光フィルムや光学フィルムの片面または両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光フィルムや光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚みなどの粘着剤層とすることもできる。粘着剤層の厚みは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1~500μmであり、1~200μmが好ましく、特に1~100μmが好ましい。
[0083]
 粘着剤層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止などを目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着剤層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚み条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体などの適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデンなどの適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
[0084]
 本発明の偏光フィルムまたは光学フィルムは液晶表示装置などの各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光フィルムまたは光学フィルム、および必要に応じての照明システムなどの構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光フィルムまたは光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
[0085]
 液晶セルの片側または両側に偏光フィルムまたは光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光フィルムまたは光学フィルムは液晶セルの片側または両側に設置することができる。両側に偏光フィルムまたは光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
実施例
[0086]
 以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。
[0087]
 <モル吸光係数>
 モル吸光係数の測定方法は、発光材料を溶媒(特に、メタノールが好ましい)に溶解させ、Agilent Technologies社製UV-Vis-NIRスペクトルメーター(Cary5000)を用いて波長365nmにおける吸光度を測定し、下記式;
 A=εLc
(Aは吸光度、εはモル吸光係数(mol-1・L・cm-1)、cは測定物の溶液中の濃度(mol/L)、Lは光路長(cm)を示す)より求められる。
[0088]
 実施例1
 光学フィルムである三酢酸セルロースフィルム(富士フィルム社製)に対して、発光材料である7{[4-クロロ-6-(ジエチルアミノ)-s-トリアジン-2-イル]アミノ}-7-トリアジニルアミノ-3-フェニル-クマリン(「Hakkol PY1800」;昭和化学工業社製)を0.2wt%添加したポリ酢酸ビニル(ゴーセニール)(日本合成株式会社)の50wt%酢酸エチル溶液をアプリケーターで塗工し、60℃で20分間乾燥させた。その後、365nmの波長を有する光をフィルム面に対し垂直方向に照射し、その際に発光される420nm~480nmの光の発光量(蛍光量)を、特開2011-145191記載のセンテック社製蛍光測定装置を用いて計測した。この時、塗工厚みはアプリケーターのゲージを変えることにより乾燥後の厚みを1μm、2μm、3μmと変化させ、発光量の増減を確認した。膜厚はダイヤルゲージにより実厚みを測定実施した。
[0089]
 実施例2、比較例1~7
発光材料を表に記載のものに変更すること以外は同様の方法で実施した。
[0090]
[表1]


[0091]
 表1および表2中、
 Hakkol Pは、8-アミノ-4-メチルクマリン;昭和化学工業社製、
 IRGACURE 369は、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノンー1;BASF社製、
 IRGACURE 1173は、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン;BASF社製、
 IRGACURE 651は、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン;BASF社製、
 IRGACURE 784は、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム;BASF社製、
 IRGACURE 379は、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン;BASF社製、
 IRGACURE OXE01は、1.2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(o-ベンゾイルオキシム)];BASF社製、
 IRGACURE OXE02は、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム);BASF社製、を示す。
[0092]
 <表1および表2における厚み検量線の作成に関する〇、×の評価方法>
〇:硬化物層の厚みを1μmから3μmに変化させた場合に発光量が10以上変化したもの
 →厚み検量線の作成が可能と判断して〇とした。
×:硬化物層の厚みを1μmから3μmに変化させた場合に発光量が10以上変化しなかったもの
 →厚み検量線の作成が不可能と判断して×とした。
[0093]
 実施例1および2では、硬化物層の発光量が十分であり、その厚みに比例して発光量が変化することから、発光量を測定することで厚みが計算できることがわかる。一方、比較例1~7では、重合開始剤を含有する硬化性組成物の硬化物層であるため、厚みが変化しても発光量がほとんど変化しない。このため、発光量に基づき、硬化物層の厚みが計算できないことがわかる。
[0094]
 実施例3
[0095]
 <偏光子の作製>
 平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬し膨潤させた。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=0.5/8)の濃度0.3%の水溶液に浸漬し、3.5倍まで延伸させながらフィルムを染色した。その後、65℃のホウ酸エステル水溶液中で、トータルの延伸倍率が6倍となるように延伸を行った。延伸後に、40℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、PVA系偏光子(厚み23μm)を得た。
[0096]
 <透明保護フィルム>
 透明保護フィルム1:厚み60μmのトリアセチルセルロースフィルムを、ケン化・コロナ処理等を行わずに用いた。
 透明保護フィルム2:厚み40μmのラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂にコロナ処理を施して用いた。
[0097]
 <活性エネルギー線>
 活性エネルギー線として、可視光線(ガリウム封入メタルハライドランプ) 照射装置:Fusion UV Systems,Inc社製Light HAMMER10 バルブ:Vバルブ ピーク照度:1600mW/cm、積算照射量1000/mJ/cm(波長380~440nm)を使用した。なお、可視光線の照度は、Solatell社製Sola-Checkシステムを使用して測定した。
[0098]
 活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の作製
 3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(「セロキサイド2021P」;ダイセル社製)5g、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン(「アロンオキセタンOXT221」;東亜合成社製)5gと光カチオン重合開始剤(トリアリールスルホニウム塩タイプの光酸発生剤である「CPI-100P」;サンアプロ社製)1g、さらに発光材料であるHakkol PY-1800 0.04gを褐色スクリュー管(No.5)中で混合して、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を調製した。
[0099]
 <偏光フィルムの作製>
 上記透明保護フィルム1および2上に、MCDコーター(富士機械工業株式会社製)を用いて、上記活性エネルギー線硬化型接着剤を厚み1μm、2μm、3μmになるように塗工し、上記偏光子の両面にロール機で貼り合わせた。その後、透明保護フィルム1側から片面づつ、活性エネルギー線照射装置により上記可視光線を照射して活性エネルギー線硬化型接着剤を硬化させた後、70℃で3分間熱風乾燥して、偏光子の両側に透明保護フィルムを有する偏光フィルムを得た。貼り合わせのライン速度は15m/minで行った。厚みは断面SEM観察により測定実施した。
[0100]
実施例4、比較例8~14
 発光材料を表に記載のものに変更すること以外は同様の方法で実施した。
[0101]
[表2]


 実施例3および4では、硬化物層の発光量が十分であり、その厚みに比例して発光量が変化することから、発光量を測定することで厚みが計算できることがわかる。一方、比較例8~14では、重合開始剤を含有する硬化性組成物の硬化物層であるため、厚みが変化しても発光量がほとんど変化しない。このため、発光量に基づき、硬化物層の厚みが計算できないことがわかる。

請求の範囲

[請求項1]
 硬化性組成物の硬化物層を有する光学フィルムであって、
 前記硬化性組成物が、波長365nmにおけるモル吸光係数が10000(L/mol・cm)以上である発光材料を含むことを特徴とする光学フィルム。
[請求項2]
 前記硬化性組成物が、活性エネルギー線硬化性成分を含有する請求項1に記載の光学フィルム。
[請求項3]
 前記硬化性組成物の全量を100質量部としたとき、前記発光材料の含有量が0.01~10質量部である請求項1または2に記載の光学フィルム。
[請求項4]
 前記発光材料がクマリンおよびその誘導体である請求項1~3のいずれかに記載の光学フィルム。
[請求項5]
 前記クマリン誘導体がジエチルアミノ基を有する請求項4に記載の光学フィルム。
[請求項6]
 前記光学フィルムが、硬化性組成物の硬化物層からなる接着剤層を介して、偏光子の少なくとも一方の面に透明保護フィルムが積層された偏光フィルムである請求項1~5のいずれかに記載の光学フィルム。
[請求項7]
 前記接着剤層の厚みが3μm以下である請求項6に記載の光学フィルム。
[請求項8]
 硬化性組成物の硬化物層を有する光学フィルムの製造方法であって、
 光学フィルムの少なくとも一方の面に、前記硬化性組成物を塗工する塗工工程と、
 前記硬化性組成物を硬化させることにより硬化物層とする硬化物層形成工程とを含み、
 前記硬化物層形成工程後、前記硬化物層の厚みを測定する工程をさらに含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
[請求項9]
 前記塗工工程後、前記硬化性組成物の塗工厚みを測定する工程をさらに含む請求項8に記載の光学フィルムの製造方法。
[請求項10]
 前記光学フィルムが、硬化性組成物の硬化物層からなる接着剤層を介して、偏光子の少なくとも一方の面に透明保護フィルムが積層された偏光フィルムである請求項8または9に記載の光学フィルムの製造方法であって、
 前記偏光子および前記透明保護フィルムの少なくとも一方の面に、前記硬化性組成物を塗工する塗工工程と、
 前記偏光子および前記透明保護フィルムを貼り合わせる貼合工程と、
 前記硬化性組成物を硬化させることにより得られた前記接着剤層を介して、前記偏光子および前記透明保護フィルムを接着させる接着工程とを含み、
 前記接着工程後、前記接着剤層の厚みを測定する工程をさらに含む光学フィルムの製造方法。
[請求項11]
 前記塗工工程後または前記貼合工程後、硬化前の前記硬化性組成物の厚みを測定する工程をさらに含む請求項10に記載の光学フィルムの製造方法。