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1. (WO2017033817) 吸気マニホールド
Document

明 細 書

発明の名称 吸気マニホールド

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079  

符号の説明

0080  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4   5   6A   6B   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 吸気マニホールド

技術分野

[0001]
 本発明は、内燃機関に装着される吸気マニホールドに関し、特に吸気通路上に消炎装置が組み込まれる吸気マニホールドに関する。

背景技術

[0002]
 水上バイク等のPWC(Personal Water Craft)や船外機等に搭載される内燃機関に装着される吸気マニホールドとして、従来、少数の樹脂製部材により多岐管構造を実現する一方、スロットルボディより下流側の吸気通路上に火炎抑止構造を有する消炎装置(フレームアレスタ)を組み込んで燃焼室側からの逆火の防止機能を高めているものがある。
[0003]
 この種の吸気マニホールドとしては、例えば吸気通路の径方向に対向するベース部材およびカバー部材のうち、ベース部材に設けた環状の嵌合保持部に消炎装置を軸方向に突当て可能に嵌入し、カバー部材に設けた環状の押圧部によって、消炎装置を嵌合保持部に対し抜止め方向に押圧するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
[0004]
 また、ベース部材に消炎装置を径方向に嵌め込み可能な嵌合凹部を設ける一方、ベース部材上に露出する消炎装置の外周面にバンド状の消炎装置固定部材を当接させ、その外側からカバー部材をベース部材に溶着することで、ベース部材に対する消炎装置の径方向のがたつきを抑制するようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2006-46069号公報
特許文献2 : 特開2015-59431号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、ベース部材の環状の嵌合保持部に消炎装置を軸方向に突当て可能に嵌入し保持させる従来の前者の吸気マニホールドは、消炎装置をベース部材の嵌合保持部内の定位置に容易に嵌入可能にし、かつ、消炎装置を嵌合保持部に確実に嵌合保持させるということが困難であった。
[0007]
 すなわち、消炎装置のベース部材への組込み作業性と、消炎装置のベース部材による嵌合保持の確実性とを両立させることが容易でないという問題があった。
[0008]
 一方、別部品の消炎装置固定部材を用いて消炎装置の径方向のがたつきを抑制する従来の後者の吸気マニホールドは、樹脂製部材に対し相対的に比重が大きい消炎装置を溶着結合部で保持するため、ベース部材およびカバー部材の溶着接合強度が十分でなかった。また、消炎装置のベース部材への組込み方向が径方向で同方向の嵌合深さが浅いため、その嵌合の強さがばらつき易く、その点からも、溶着接合強度が十分とは言えなかった。そのため、ベース部材とカバー部材の溶着接合部が幅広にならざるを得ず、吸気マニホールドのコンパクト化を困難にするものとなっていた。
[0009]
 本発明は、このような課題を解決すべくなされたものであり、消炎装置をベース部材の嵌合保持部内の定位置に容易に嵌入でき、かつ、消炎装置を嵌合保持部に確実に嵌合保持できる、コンパクト化の容易な吸気マニホールドを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明に係る吸気マニホールドは、上記目的達成のため、吸気通路に沿って延在しつつ該吸気通路の径方向に対向する樹脂製のベース部材およびカバー部材と、前記吸気通路上に位置するよう前記ベース部材の一端側部分に組み込まれる火炎抑制構造を有する消炎装置と、を備え、前記ベース部材の前記一端側部分が、略分割筒状の凹状体部と、前記凹状体部と一体に形成され、前記消炎装置を軸方向に突当て可能に嵌合させて保持する嵌合保持部と、を有する吸気マニホールドであって、前記嵌合保持部が、前記消炎装置を前記凹状部材側から突当て可能な突当て面と、前記消炎装置を取り囲みつつ嵌合させる嵌合内周壁面と、を有するとともに、前記消炎装置が、火炎抑制構造体と、該火炎抑制構造体の外周を取り囲む外筒体と、前記外筒体の外周面および両端面を覆う弾性ホルダ部材とによって構成されており、前記弾性ホルダ部材が、前記外筒体の前記外周面に密着しつつ前記嵌合保持部に嵌合する外周嵌合部を有し、前記外周嵌合部は、前記外筒体の外周面に密着する筒状壁部分と、それぞれ前記筒状壁部分の外周面から径方向外方側および軸方向一方側に突出しつつ前記軸方向で互いに離間する複数の環状のリップ部と、を有していることを特徴とするものである。
[0011]
 本発明の吸気マニホールドにおいては、前記弾性ホルダ部材が、前記火炎抑制構造体の一端側の開口部を取り囲みつつ前記嵌合保持部の前記円環板状の突当て面に突当て係合する一方側の突当て部と、前記火炎抑制構造体の他端側の開口部を取り囲みつつ前記ベース部材および前記カバー部材のうち少なくとも一方によって抜止め方向に押圧される他方側の突当て部とを、前記外周嵌合部と一体に有している構成とすることができる。
[0012]
 また、本発明の吸気マニホールドにおいては、前記複数の環状のリップ部は、前記筒状壁部分の中心軸線に対するそれぞれの外周面側の傾斜角度がそれぞれの内周面側の傾斜角度より小さく設定されているものとすることができる。
[0013]
 さらに、本発明の吸気マニホールドにおいては、前記嵌合保持部に保持された前記消炎装置と前記ベース部材および前記カバー部材との間に介装され、前記嵌合保持部に対し前記消炎装置を抜け止めするとともに、前記火炎抑制構造体の下流側の開口部から前記ベース部材および前記カバー部材の内壁面まで段差なく連続する内周面を有する筒状の抜止め整流部材が設けられている構成とすることもできる。

発明の効果

[0014]
 本発明によれば、消炎装置をベース部材の嵌合保持部内の定位置に容易に嵌入でき、かつ、消炎装置を嵌合保持部に確実に嵌合保持できる、コンパクト化の容易な吸気マニホールドを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 本発明の一実施の形態に係る吸気マニホールドの要部分解斜視図である。
[図2] 本発明の一実施の形態に係る吸気マニホールドの要部配置説明図を含む平面図である。
[図3] 本発明の一実施の形態に係る吸気マニホールドの上流端側部分を吸気枝管方向に向かって見る縦断面側面図である。
[図4] 本発明の一実施の形態に係る吸気マニホールドのベース部材の一端側部分の部分拡大平面図である。
[図5] 図4のV-V矢視断面図である。
[図6A] 本発明の一実施の形態に係る吸気マニホールドのベース部材に組み付けられる消炎装置の弾性ホルダ部材を示すその突当て部の正面図である。
[図6B] 図6AのVIB-VIB矢視断面図である。
[図7] 図6B中のB部を消炎構造体の一部と共に示す部分拡大図である。
[図8] 本発明の一実施の形態に係る吸気マニホールドのベース部材に消炎装置および抜止め整流部材を組み付けた状態を示す要部斜視図である。
[図9] 本発明の一実施の形態に係る吸気マニホールドの抜止め整流部材の斜視図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
[0017]
 図1ないし図9に、一実施の形態の吸気マニホールドを示している。この吸気マニホールドは、水上を滑走するPWC用の3気筒の内燃機関(以下、単にエンジンという)に吸気装置の主要部として装着されるものである。
[0018]
 図2に示すように多岐管形状をなす吸気マニホールド10は、上流側部分11aが開口する主管部11と、その主管部11から分岐して前述のエンジンの3つの吸気ポートに接続される複数の枝管部12、13、14とを有しており、これらの内部に図外の吸気管から取り込んだ吸入空気をエンジンの複数の気筒に吸入させることができる吸気通路15を形成している。
[0019]
 主管部11は、サージタンクとして機能し得る形状をなしており、複数の枝管部12、13、14は、この主管部11から互いに略平行に分岐しつつそれぞれ略同一方向に湾曲している。
[0020]
 図1および図8に示すように、主管部11の上流側部分11aには、図示しないスロットルボディにボルト結合される複数のボルト結合部16が設けられるとともに、図3に示すように、主管部11とスロットルボディとの結合部をシールするシールリング17が設けられている。複数のボルト結合部16には、例えばインサート成形等の手法でナットが埋め込まれている。
[0021]
 これら主管部11および枝管部12、13、14は、吸気通路15に沿って延在しつつその吸気通路15の径方向に対向する樹脂製の凹状のベース部材21およびカバー部材22を振動溶着等により一体に接合することで、多岐管状に形成されている。
[0022]
 また、図1ないし図5に示すように、主管部11および枝管部12、13、14の大部分の通路長さ領域において、ベース部材21およびカバー部材22は、それぞれ略半円状横断面の内壁面形状を有するとともに、それぞれの両側壁から外方に拡幅しつつ互いにその幅方向中央部で溶着等により一体に接合されたつば状接合部21r、22rを有している。また、つば状接合部21r、22rは、それぞれの幅方向中央部のリブ状突出部分で互いに溶着接合されている。
[0023]
 図1および図2に示すように、ベース部材21には、エンジン側部材へのボルト締結のための複数の取付ブラケット部21bが設けられており、カバー部材22には、複数のインジェクタ取付孔部22hが形成されている。
[0024]
 吸気マニホールド10の内部の吸気通路15の上流側端部付近には、公知の火炎抑制構造を有するフレームアレスタ25(消炎装置)が組み込まれている。
[0025]
 図1ないし図4に示すように、フレームアレスタ25は、火炎抑制構造体26と、その火炎抑制構造体26の外周を取り囲む外筒体27と、フレームアレスタ25の外周面25eとなる外筒体27の外周面および両端面27b、27cを覆う弾性ホルダ部材51とによって構成されている。
[0026]
 火炎抑制構造体26は、例えば波板状に成形されたステンレス製の薄板を巻き付けて並列する多数の細隙通路をハニカム状に形成した波板型の短円柱体形状をなしており、短円筒状の外筒体27によって短円柱体形状に拘束されている。この火炎抑制構造体26は、吸気抵抗が少なく、かつ、火炎の上流側への通過を遮断できる程度に細い多数の細隙通路を有しており、各細隙通路が吸入空気との熱交換により冷却される金属面によって形成される構造となっている。
[0027]
 また、フレームアレスタ25は、図2中で吸気マニホールド10の右端側に位置するベース部材21の一端側部分21cに組み込まれて、吸気通路15上に位置するように保持されている。
[0028]
 図1ないし図5および図8に示すように、ベース部材21の一端側部分21cは、略分割筒状の凹状体部31と、この凹状体部31に対し一体に形成された環状の嵌合保持部32とを有している。これら凹状体部31および嵌合保持部32は、フレームアレスタ25の半径に近い曲率半径で湾曲した内壁面形状を有しており、環状の嵌合保持部32は、フレームアレスタ25を軸方向に突当て可能に嵌入させて保持することができるようになっている。
[0029]
 また、吸気通路15の一部を形成する主管部11の上流側部分11aは、フレームアレスタ25の下流側に隣接する吸気通路15の所定区間内で、その中心軸線に対し緩やかに傾斜する内壁面形状をなしている。
[0030]
 具体的には、嵌合保持部32は、火炎抑制構造体26の上流端側であるフレームアレスタ25の一端側の開口部25aの周囲でフレームアレスタ25を軸方向に突当て可能な円環板状の突当て面32aと、フレームアレスタ25を外周側で取り囲みつつ嵌合させる短円筒状の嵌合内周壁面32bとを有している。
[0031]
 図3ないし図5に示すように、凹状体部31は、嵌合保持部32の嵌合内周壁面32bの約半分に連続する半円形横断面の第1内壁面31aと、第1内壁面31aに対し円弧状の径方向の段差面31bを介して段付き接続する半円形横断面の第2内壁面31cとを有している。
[0032]
 嵌合保持部32に保持されたフレームアレスタ25と凹状体部31の径方向の段差面31bとの間には、ベース部材21およびカバー部材22と同一の樹脂材料からなる樹脂製の抜止め整流部材23が設けられている。
[0033]
 この抜止め整流部材23は、フレームアレスタ25の他端面25dと凹状体部31の径方向の段差面31bとの間の全域に延び、嵌合保持部32に対してフレームアレスタ25を抜け止めすることができる軸方向長さを有している。
[0034]
 また、図9に示すように、抜止め整流部材23は、上流端側よりも下流端側で内径および外径が大きくなる筒状に形成されており、その内周面23aによって、フレームアレスタ25の他端側の開口部25bから凹状体部31の第2内壁面31cまで段差なく連続する第3内壁面を形成している。すなわち、抜止め整流部材23は、フレームアレスタ25とベース部材21およびカバー部材22との間に介装されており、嵌合保持部32に対しフレームアレスタ25を抜け止めするとともに、火炎抑制構造体26の下流側の開口部25aからベース部材21およびカバー部材22の内壁面31c、22cまで段差なく連続する内周面23aを形成している。
[0035]
 さらに、抜止め整流部材23は、凹状体部31の第1内壁面31aより吸気通路15の径方向外方側に突出する板状突出部23b、23cを有しており、これら板状突出部23b、23cには、板厚方向に貫通する貫通孔23d、23eが形成されている。
[0036]
 抜止め整流部材23は、また、図8中の右端側部分のリブ高さを含む肉厚が他の部分のそれより大きくなるように形成されている。
[0037]
 さらに、図2および図4に示すように、抜止め整流部材23の上流側端面23fが平坦であるのに対して、抜止め整流部材23の下流側端面23gおよびベース部材21側の円弧状の径方向の段差面31bは、それぞれ上流側端面23fに対して傾斜した部分と上流側端面23fに対して平行な部分とを有している。
[0038]
 一方、ベース部材21には、板状突出部23b、23cを収納する凹部21d、21eと、これら凹部21d、21eの内底壁面側から凹部21d、21e内に突出して板状突出部23b、23cの貫通孔23d、23eに嵌合する固定用のピン21f、21gが突設されている。
[0039]
 弾性ホルダ部材51は、フレームアレスタ25の使用条件に適したゴム弾性や硬度、耐熱性、耐薬品性等に調製した材料、例えばニトリルゴム(NBR)にPVC(塩化ビニル)を所定のブレンド比でブレンドした弾性材料からなるものである。
[0040]
 図6A、図6Bおよび図7に示すように、弾性ホルダ部材51は、フレームアレスタ25の外周面25eに密着しつつ嵌合保持部32に嵌合する外周嵌合部52を有している。
[0041]
 この外周嵌合部52は、外筒体27の外周面25eに密着する筒状壁部分52hと、それぞれ筒状壁部分52hの外周面52eから突出する複数、例えば3つの環状のシールリップ52a、52b、52c(リップ部)とを有している。これらシールリップ52a、52b、52cは、それぞれ外周嵌合部52の径方向外方側および軸方向一方側に突出しており、互いに軸方向に等間隔に離間している。
[0042]
 また、複数のシールリップ52a、52b、52cは、それぞれフレームアレスタ25の中心軸線および外周面25eに対して傾斜したテーパリップ形状を有しており、それぞれの外周面側で傾斜角度θaを、内周面側で傾斜角度θbをなしている。
[0043]
 外周面側の傾斜角度θaは、例えば45度、内周面側の傾斜角度θbは、例えば60度である。すなわち、外周面側の傾斜角度θaが内周面側の傾斜角度θbより小さく設定されていることにより、シールリップ52a、52b、52cは、それぞれ半径が大きくなるほど肉厚が小さくなって撓み易くなるリップ形状を有している。
[0044]
 複数のシールリップ52a、52b、52cの突出方向である軸方向一方側とは、吸気方向の下流側であり、複数のシールリップ52a、52b、52cは吸気方向の上流側になるほど外径が小さくなるテーパ形状となっている。したがって、弾性ホルダ部材51がフレームアレスタ25に一体に装着されて嵌合保持部32内に嵌入されるとき、複数のシールリップ52a、52b、52cはそれぞれが先細りする軸方向他方側から嵌合保持部32内に嵌入されることになる。
[0045]
 さらに、シールリップ52a、52b、52cの自由形状における外径は、嵌合保持部32の嵌合内周壁面32bの内径よりも大きくなっており、一方、フレームアレスタ25の外筒体27に密着する筒状壁部分52hの外周面52eは、嵌合保持部32の嵌合内周壁面32bの内径よりも小さくなっている。
[0046]
 したがって、弾性ホルダ部材51がフレームアレスタ25に一体に装着されて嵌合保持部32内に嵌入されるとき、シールリップ52a、52b、52cの外周側部分は、それぞれ所定の接触面圧および接触幅で嵌合保持部32の嵌合内周壁面32bに気密的に接触する。一方、この嵌入に際して、筒状壁部分52hの外周面52eと嵌合保持部32の嵌合内周壁面32bとの間には、微小隙間が形成されるようになっている。
[0047]
 弾性ホルダ部材51は、また、一方側の突当て部53と他方側の突当て部54とを、外周嵌合部52と一体に有している。
[0048]
 一方側の突当て部53は、火炎抑制構造体26の上流端側の開口部であるフレームアレスタ25の一端側の開口部25aを取り囲みつつ、嵌合保持部32の円環板状の突当て面32aに突当て係合するようになっている。他方側の突当て部54は、火炎抑制構造体26の下流端側の開口部であるフレームアレスタ25の他端側の開口部25bを取り囲みつつ、抜止め整流部材23によって抜止め方向に押圧されるようになっている。
[0049]
 一方、図3に示すように、カバー部材22は、ベース部材21の嵌合保持部32の嵌合内周壁面32bに連続する位置に配置される略半円形横断面のカバー側第1内壁面22aと、カバー側第1内壁面22aに対し径方向のカバー側段差面22bを介して接続するカバー側第2内壁面22cとを有している。
[0050]
 また、抜止め整流部材23は、嵌合保持部32に保持されたフレームアレスタ25の他端とカバー側段差面22bとの間でも、ベース部材21に対し溶着等により固定されたカバー部材22を介して、嵌合保持部32に対しフレームアレスタ25を抜け止めする。さらに、抜止め整流部材23の内周面23aは、その上半部が、フレームアレスタ25の他端側の開口部25bからカバー部材22のカバー側第2内壁面22cまで段差なく連続するカバー側第3内壁面となっている。
[0051]
 すなわち、抜止め整流部材23の内周面23aにより、ベース部材21側の第3内壁面とカバー側第3内壁面とが一体に形成され、フレームアレスタ25の他端側の開口部25bからベース部材21の第2内壁面31cおよびカバー部材22のカバー側第2内壁面22cまで段差なく連続する吸気通路15の内壁面が形成されている。
[0052]
 ここで第1内壁面31aとこれに径方向の段差面31bを介して段付き接続する半円形横断面の第2内壁面31cとの関係について説明する。
[0053]
 凹状体部31の上方が開放されるのに対して、環状の嵌合保持部32は、フレームアレスタ25を凹状体部31側から軸方向に突当て可能に嵌入する形状をなしている。すなわち、凹状体部31が図2中の上下方向を型開閉方向とする簡素な成形金型で成形できるのに対して、環状の嵌合保持部32は、凹状体部31は図2中の左右方向に移動するスライドコアを用いるような成形金型を必要とする。
[0054]
 しかも、環状の嵌合保持部32の内径は、突当て面32aを有する外端側(ベース部材21の上流端側)では小さく、嵌合内周壁面32bが形成された内端側では大きくなっている。そのため、成形したベース部材21を離型させる際には、スライドコアを凹状体部31側にスライドさせる必要がある。
[0055]
 このような理由から、凹状体部31には、嵌合保持部32の嵌合内周壁面32bの下半部に連続する同一半径の半円形横断面の第1内壁面31aが形成されており、この第1内壁面31aと吸気通路15を形成する内周壁面となる第2内壁面31cとの間に、円弧状の径方向の段差面31bが形成されている。
[0056]
 次に、作用について説明する。
[0057]
 上述のように構成された本実施形態の吸気マニホールド10においては、ベース部材21の嵌合保持部32に対して、フレームアレスタ25を軸方向に突当て可能に嵌入させると、フレームアレスタ25が嵌合保持部32に同心的に保持される。
[0058]
 この嵌入作業に際しては、フレームアレスタ25の外周面25eに密着しつつ嵌合保持部32に嵌合する弾性ホルダ部材51の外周嵌合部52が、嵌合内周壁面32bの内径よりも大きいシールリップ52a、52b、52cの外周側部分で、それぞれ所定の接触面圧および接触幅にて嵌合保持部32の嵌合内周壁面32bに気密的に接触する。
[0059]
 本実施形態では、外周嵌合部52の筒状壁部分52hの外周面52eが嵌合保持部32の嵌合内周壁面32bの内径よりも小さくなっているので、弾性ホルダ部材51を一体に装着したフレームアレスタ25を嵌合保持部32内に嵌入させるように押し込む押圧力は、シールリップ52a、52b、52cの外周側部分を所定量撓ませる程度に制限されることになり、フレームアレスタ25のベース部材21への組込み作業性が良い。
[0060]
 また、複数のシールリップ52a、52b、52cが、嵌合保持部32内への嵌入時に先端側となる軸方他方側で外径が小さくなっている点からも、フレームアレスタ25のベース部材21への組込み作業性が良い。
[0061]
 本実施形態では、弾性ホルダ部材51を一体に装着したフレームアレスタ25を嵌合保持部32内に嵌入させた後、フレームアレスタ25とベース部材21の凹状体部31の径方向の段差面31bとの間に、抜止め整流部材23が組み込まれる。
[0062]
 このとき、抜止め整流部材23によって、嵌合保持部32に対しフレームアレスタ25がさらに押し込まれることで、フレームアレスタ25の組込み嵌合姿勢が嵌合保持部32に対し同軸に補正されるとともに、嵌合保持部32に対してフレームアレスタ25が抜け止めされる。
[0063]
 また、抜止め整流部材23の内周面23aによって、フレームアレスタ25の他端側の開口部25bから凹状体部31の第2内壁面31cまで段差なく連続する第3内壁面が構成されることで、フレームアレスタ25の下流側の吸気通路15の内壁面における段差がなくなるとともに、最適な通路形状が容易にかつ精度良く形成可能となる。
[0064]
 本実施形態で、複数のシールリップ52a、52b、52cが、それぞれ半径が大きくなるほど肉厚が小さくなって撓み易くなるテーパリップ形状を有し、軸方向等間隔に配置されている。したがって、複数のシールリップ52a、52b、52cによってフレームアレスタ25を嵌合保持部32内の定位置に適度のダンパ特性をもって弾性支持できることとなる。
[0065]
 また、弾性ホルダ部材51を装着したフレームアレスタ25が環状の嵌合保持部32に嵌入されるので、フレームアレスタ25の周囲の気密性を十分に確保しながらも、フレームアレスタ25をベース部材21に固定するために押え板等を用いる必要がない。また、フレームアレスタ25を環状の嵌合保持部32で保持するので、ベース部材21とカバー部材22の溶着接合部がフレームアレスタ25の重量や慣性力を受けることがなく、ベース部材21とカバー部材22の溶着接合幅を狭めることができる。
[0066]
 その結果、吸気マニホールド10は、フレームアレスタ25の保持強度、ベース部材21およびカバー部材22の結合強度等を十分に確保しながらも、フレームアレスタ25の収納部分で大径にならず、その実装サイズや実装高さを有効に抑えることができる。
[0067]
 また、本実施形態では、フレームアレスタ25に対する抜止め整流部材23の突当て姿勢をベース部材21と板状突出部23b、23cとの当接姿勢に安定保持でき、フレームアレスタ25のベース部材21への組込み姿勢をより安定させることができる。
[0068]
 さらに、本実施形態では、フレームアレスタ25に弾性ホルダ部材51が一体的に装着されているので、フレームアレスタ25および抜止め整流部材23の双方をベース部材21に対しがたつきなく組み付け可能となる。
[0069]
 加えて、本実施形態では、フレームアレスタ25の他端側の開口部25bからカバー部材22のカバー側第2内壁面22cまでの間にも、段差なく連続するカバー側第3内壁面として、抜止め整流部材23の内周面23aを形成している。したがって、ベース部材21の第2内壁面31c、カバー部材22のカバー側第2内壁面22cおよび抜止め整流部材23の内周面23aにより、吸気通路15の周方向の全域で内壁面に段差が形成されるのを確実に防止できる。したがって、吸気通路15を通した吸気の抵抗を抑えることができ、エンジンの出力向上や燃費低減に寄与できることとなる。
[0070]
 また、本実施形態では、抜止め整流部材23の下流側端面23gおよびベース部材21側の径方向の段差面31bは、それぞれ上流側端面23fに対して傾斜した部分を有している。したがって、抜止め整流部材23がフレームアレスタ25とベース部材21の段差面31bとの間に嵌め込まれると、抜止め整流部材23が弾性ホルダ部材51からの反力を受けつつ特定の径方向一方側に付勢されることになる。その結果、抜止め整流部材23が径方向にがたつき無く定位置に位置決め保持され、抜止め整流部材23の組込位置精度、フレームアレスタ25への突当て姿勢、ベース部材21に対する固定姿勢等が向上する。
[0071]
 このように、本実施形態においては、フレームアレスタ25をベース部材21の嵌合保持部32内の定位置に容易に嵌入でき、かつ、フレームアレスタ25を嵌合保持部32に確実に嵌合保持できる、コンパクト化の容易な吸気マニホールド10を提供することができるものである。
[0072]
 この吸気マニホールド10の実装時には、主管部11の上流側部分11aにスロットルボディがボルト締結されるとともに、シールリング17によってその接合部がシールされる。そして、吸気マニホールド10が装着されたエンジンが運転されるときには、そのエンジンの吸気動作に応じ、フレームアレスタ25を通して吸気マニホールド10内に空気が導入される。また、スロットルボディ内のスロットルバルブより下流側の吸入空気中にインジェクタから燃料がポート噴射されて混合気が形成され、その混合気がエンジン内の燃焼室内で燃焼する。
[0073]
 本実施形態のエンジンは、水上バイク等のPWCや船外機等に搭載されるものであるため、その運転時には、バックファイヤが生じる可能性がある。すなわち、燃焼室内の燃料が希薄であったり水が吸い込まれて点火不良等が生じたりすることで、燃焼室内の燃焼が爆発行程で正常に終了せず、次に吸気バルブが開いた際に、吸気マニホールド10内の混合気にまで着火してしまう現象が生じ得る。しかし、吸気マニホールド10内の吸気通路15の上流側では、バックファイヤによる火炎がフレームアレスタ25に達すると、その火炎がフレームアレスタ25によって遮断される。したがって、バックファイヤによる火炎が吸気マニホールド10よりも上流側に伝播されることが有効に抑制され、吸気系部品やセンサ類等にダメージを与えることが確実に防止される。
[0074]
 なお、上述の一実施の形態においては、ベース部材21およびカバー部材22を溶着によって接合するものとしたが、他の任意の接合方法を採用し得ることはいうまでもない。
[0075]
 また、弾性ホルダ部材51の外周嵌合部52に複数の環状のシールリップ52a、52b、52cが設けられていたが、外周嵌合部52の外方に環状のシールリップ52a、52b、52cより低い高さに突出しつつ周方向に等間隔に離間する縦リブ等が併設されてもよい。
[0076]
 さらに、本実施の形態では、フレームアレスタ25を短円柱状としたが、その形状は任意であって、多角柱形状としてもよいし、その両端面が平行でなくともよい。また、フレームアレスタ25の両端面が平坦でなくてもよいし、吸気方向に対して傾斜する面となってもよい。
[0077]
 また、フレームアレスタ25は、波板型の火炎抑制構造を有するものとしたが、金網型その他の任意の火炎抑制構造を有するものとすることができることは勿論である。
[0078]
 本発明の吸気マニホールドが、PWCや船外機等に用いられるマリンエンジン以外のエンジンにも適用可能であることは、いうまでもない。
[0079]
 以上説明したように、本発明は、消炎装置をベース部材の嵌合保持部内の定位置に容易に嵌入でき、かつ、消炎装置を嵌合保持部に確実に嵌合保持できる、コンパクト化の容易な吸気マニホールドを提供することができるものである。かかる本発明は、吸気通路上に消炎装置が組み込まれる吸気マニホールド全般に有用である。

符号の説明

[0080]
 10 吸気マニホールド(インテークマニホールド)
 11 主管部
 11a 上流側部分
 12、13、14 枝管部
 15 吸気通路
 21 ベース部材
 21d、21e 凹部
 21f、21g ピン
 21r、22r つば状接合部
 22 カバー部材
 22a カバー側第1内壁面
 22b カバー側段差面
 22c カバー側第2内壁面
 22h インジェクタ取付孔部
 23 整流部材
 23a 内周面
 23b、23c 板状突出部
 23d、23e 貫通孔
 23f 上流側端面
 23g 下流側端面
 25 フレームアレスタ(消炎装置)
 25a 開口部
 25b 開口部
 26 火炎抑制構造体
 27 外筒体
 27b、27c 両端面
 31 凹状体部
 31a 第1内壁面
 31b 段差面
 31c 第2内壁面
 32 嵌合保持部
 32a 突当て面
 32b 嵌合内周壁面
 51 弾性ホルダ部材
 52 外周嵌合部
 52a、52b、52c シールリップ
 52e 外周面
 52h 筒状壁部分
 53 一方側の突当て部
 54 他方側の当て部
 θa 傾斜角度
 θb 傾斜角度

請求の範囲

[請求項1]
 吸気通路に沿って延在しつつ該吸気通路の径方向に対向する樹脂製のベース部材およびカバー部材と、前記吸気通路上に位置するよう前記ベース部材の一端側部分に組み込まれる火炎抑制構造を有する消炎装置と、を備え、前記ベース部材の前記一端側部分が、略分割筒状の凹状体部と、前記凹状体部と一体に形成され、前記消炎装置を軸方向に突当て可能に嵌合させて保持する嵌合保持部と、を有する吸気マニホールドであって、
 前記嵌合保持部が、前記消炎装置を前記凹状部材側から突当て可能な突当て面と、前記消炎装置を取り囲みつつ嵌合させる嵌合内周壁面と、を有するとともに、
 前記消炎装置が、火炎抑制構造体と、該火炎抑制構造体の外周を取り囲む外筒体と、前記外筒体の外周面および両端面を覆う弾性ホルダ部材とによって構成されており、
 前記弾性ホルダ部材が、前記外筒体の前記外周面に密着しつつ前記嵌合保持部に嵌合する外周嵌合部を有し、前記外周嵌合部は、前記外筒体の外周面に密着する筒状壁部分と、それぞれ前記筒状壁部分の外周面から径方向外方側および軸方向一方側に突出しつつ前記軸方向で互いに離間する複数の環状のリップ部と、を有していることを特徴とする吸気マニホールド。
[請求項2]
 前記弾性ホルダ部材が、前記火炎抑制構造体の一端側の開口部を取り囲みつつ前記嵌合保持部の前記円環板状の突当て面に突当て係合する一方側の突当て部と、前記火炎抑制構造体の他端側の開口部を取り囲みつつ前記ベース部材および前記カバー部材のうち少なくとも一方によって抜止め方向に押圧される他方側の突当て部とを、前記外周嵌合部と一体に有していることを特徴とする請求項1に記載の吸気マニホールド。
[請求項3]
 前記複数の環状のリップ部は、前記筒状壁部分の中心軸線に対するそれぞれの外周面側の傾斜角度がそれぞれの内周面側の傾斜角度より小さく設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の吸気マニホールド。
[請求項4]
 前記嵌合保持部に保持された前記消炎装置と前記ベース部材および前記カバー部材との間に介装され、前記嵌合保持部に対し前記消炎装置を抜け止めするとともに、前記火炎抑制構造体の下流側の開口部から前記ベース部材および前記カバー部材の内壁面まで段差なく連続する内周面を有する筒状の抜止め整流部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の吸気マニホールド。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]