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1. (WO2017030028) 水質制御装置及び水質制御システム
Document

明 細 書

発明の名称 水質制御装置及び水質制御システム

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012  

発明の効果

0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054  

符号の説明

0055  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 水質制御装置及び水質制御システム

技術分野

[0001]
 本発明は、水道水を供給する水道管路内の水質を制御する水質制御装置及び水質制御システムに関する。

背景技術

[0002]
 水道管路内の水質検査を行うための装置として、例えば、特許文献1では、赤水等の異常濁水の発生を検出する装置が示されている。このような装置を用いて水道管路内の水質検査を行った結果、水質低下が発見された場合には、水道管路内の水道水を強制的に排水することにより、水道管路内の水道水の水質を復帰させることが一般的である。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開平7-284574号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 水道管路内の水道水に係る水質検査については、水道法等で定められていて、水道法に則った水道水の水質検査を定期的に行う必要がある。したがって、例えば、特許文献1に記載のような装置を利用して、水道法の定期検査を行うことも考えられる。
[0005]
 しかしながら、水質低下を検知した場合に水道管路内の水道水の強制的な排水は、従来人力で行われていた。したがって、例えば特許文献1に記載のような装置を用いて水質の監視を行った場合でも、異常が発見された場合には、人力による対応が必要とされていた。また、水道管路内からの水道水の排水量が適切でない場合には、水道管路内に巻き上げ流等を引き起こし、水道管路内の水質の低下を導く可能性がある。
[0006]
 本発明は上記を鑑みてなされたものであり、水道法に則った水質検査において水質低下が確認された場合の水質の復帰を好適に行うことが可能な水質制御装置及び水質制御システムの提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る水質制御装置は、水道管路内を流れる水の水質を制御する水質制御装置において、前記水の濁度を測定する濁度計、前記水の色度を測定する色度計、及び前記水の残留塩素濃度を測定する残留塩素濃度計における測定結果に基づいて、前記水道管路からの排水の要否を判断する第1の判断部と、前記水道管路からの排水を行う場合に、前記水の濁度が閾値を超えないように排水量を制御する第2の判断部と、を備える。
[0008]
 上記の水質制御装置によれば、濁度計、色度計及び残留塩素濃度計における水道法に則った水質検査の結果に基づいて、第1の判断部において、水道管路からの排水の要否を判断することができる。また、水道管路からの排水を行う場合には、水道管路内の水の濁度が閾値を超えないように第2の判断部が排水量の制御を行う。これにより、水道法に則った水質検査において水質低下が確認された場合に、水道管路内に巻き上げ流等を引き起こすことなく水質を復帰させることができるため、水質の復帰を好適に行うことができる。
[0009]
 ここで、第2の判断部は、前記水の状況を示す情報から前記水の濁度を推定した上で、前記排水量を制御する態様とすることができる。
[0010]
 第2の判断部が、水道管路内の水の状況を示す情報から水道管路内の水の濁度を推定した上で、排水量を制御する構成とする。これにより、水道管路内の水の濁度を直接的に測定する場合と比較して、より簡便な装置構成で、排水量の制御を行うことが可能となる。
[0011]
 また、本発明の一形態に係る水質制御システムは、水道管路内を流れる水の水質を制御する水質制御システムにおいて、前記水の濁度を測定する濁度計と、前記水の色度を測定する色度計と、前記水の残留塩素濃度を測定する残留塩素濃度計と、前記水道管路から排水する排水ラインと、前記濁度計、前記色度計、及び前記残留塩素濃度計における測定結果に基づいて前記排水ラインからの排水の要否を判断する第1の判断部と、前記水の濁度が閾値を超えないように前記排水ラインからの排水量を制御する第2の判断部と、を備える。
[0012]
 上記の水質制御システムによれば、濁度計、色度計及び残留塩素濃度計における水道法に則った水質検査の結果に基づいて、第1の判断部において、排水ラインを用いた排水の要否を判断することができる。また、排水ラインを用いた水道管路からの排水を行う場合には、水道管路内の水の濁度が閾値を超えないように第2の判断部が排水量の制御を行う。これにより、水道法に則った水質検査において水質低下が確認された場合に、水道管路内に巻き上げ流等を引き起こすことなく水質を復帰させることができるため、水質の復帰を好適に行うことができる。

発明の効果

[0013]
 本発明によれば、水道法に則った水質検査の結果水道水の水質低下が確認された場合の復帰を好適に行うことが可能な水質制御装置及び水質制御システムが提供される。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 本発明の実施形態に係る水質制御装置を含む水質制御システムの概略構成図である。
[図2] 水質制御装置による制御手順を示すフローチャートである。

発明を実施するための形態

[0015]
 以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[0016]
 図1に示すように、水質制御システム100は、水圧計1と、濁度/色度計2と、残留塩素濃度計3と、排水手段4と、水質制御装置5と、を備えている。水質制御システム100を構成する各装置は、水道水を供給する水道管路10から分岐した排水管11(排水ライン)、又は排水管11から分岐するサンプリング管12に設けられる。水質制御システム100は、水道管路10内の水の水質検査を実施すると共に、水道管路10内の水の水質が低下した場合に、これを検知して水質が向上して正常状態に復帰するように排水を行うシステムである。また、水質制御システム100に含まれる水質制御装置5は、各装置からの水道水の水質検査を実施し、検査結果に基づいて、水道水の水質が向上して正常状態に復帰するように排水管11からの排水制御を行う装置である。
[0017]
 水圧計1(PG)は、水道管路10から分岐した排水管11に設けられている。水圧計1は排水管11内の水圧を測定する。水圧計1により測定される排水管11内の水圧は、水道管路10内を流れる水の濁度の推定に用いられるが、その詳細は後述する。
[0018]
 濁度/色度計2(T/C)及び残留塩素濃度計3(Cl)は、水圧計1よりも下流側で排水管11から分岐するサンプリング管12に設けられている。濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3で測定される濁度(濁り)、色度(色)、及び残留塩素濃度(消毒の残留効果)は、水道法施行規則において水道水の水質の確認のために1日1回以上の検査(毎日検査)が求められている項目である。すなわち、濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3で行われる検査は、水道法に則った水質検査である。
[0019]
 濁度/色度計2は、水道管路10からサンプリング管12内に導入された水の濁度及び色度を測定する。正常な水道水は外観がほぼ無色透明であるが、水道管路10内の水に何らかの物質が混ざった場合、濁度又は色度、若しくは濁度及び色度の両方が変化する可能性が考えられる。なお、濁度及び色度を測定する装置はそれぞれ個別に設けられていてもよいが、濁度/色度計2のように一体化されていてもよい。
[0020]
 また、残留塩素濃度計3は、水道管路10からサンプリング管12に導入された水の残留塩素濃度を測定する。残留塩素濃度は、塩素による消毒効果に対応した指標である。正常な水道水は残留塩素濃度が所定値以上で水道管路10内を移動するが、例えば水道管路10内の滞留時間が長くなると、残留塩素濃度が低下し、塩素による消毒効果が薄れる可能性が考えられる。
[0021]
 排水手段4は、排水管11に設けられてモータ(M)により駆動する電動弁7を有し、この電動弁7を開くことにより、水道管路10内から排水管11内に導入された水を排出し、電動弁7を閉じることにより、排水を停止する。電動弁7を通過した水は、排水管11から、例えば、排水枡、側溝、緑地等に排出される。なお、電動弁7は、電磁弁、エアー弁、油圧弁等の他の自動弁に置き換えることができる。
[0022]
 水質制御装置5は、水圧計1、濁度/色度計2、残留塩素濃度計4、及び、排水手段4に入力可能に接続されると共に、排水手段4に出力可能に接続され、後述の手順により排水手段4を制御する。水質制御装置5は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)等の制御装置により実現される。
[0023]
 また、水質制御装置5は、濁度/色度計2からの濁度及び色度の測定結果、並びに、残留塩素濃度計4からの残留塩素濃度の測定結果を蓄積する機能を有する。さらに、水質制御装置5は、図示しない外部装置との通信機能を有し、水質制御装置5に蓄積された濁度及び色度の測定結果、並びに、残留塩素濃度の測定結果を定期的に所定の外部端末(図示せず)に送信する機能を有する。このような構成を備えることで、外部端末において、例えば複数の水質制御装置5から送信される濁度、色度及び残留塩素濃度の測定結果をまとめて管理することが容易となる。なお、水質制御装置5から外部端末に対して濁度、色度及び残留塩素濃度の測定結果を送信する機能を保持していなくてもよい。
[0024]
 また、水質制御装置5は、濁度/色度計2からの濁度及び色度の測定結果、並びに、残留塩素濃度計4からの残留塩素濃度の測定結果のいずれかに異常がある場合や、排水手段4の動作に異常がある場合に、当該異常を水道管路10の設置者等へ通報する機能を備えていてもよい。
[0025]
 水質制御装置5は、本発明において特徴的な機能を実現する機能ブロックとして、第1判断部51(第1の判断部)と第2判断部52(第2の判断部)とを備える。
[0026]
 第1判断部51は、排水管11からの水道水の排水要否を判断する機能を有する。排水管11からの水道水の排水要否は、水道水の水質検査の結果に基づいて行われる。すなわち、濁度/色度計2と、残留塩素濃度計3とから得られる情報に基づいて排水の要否を判断する。
[0027]
 上述したように、濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3では、水道法施行規則において毎日検査を行うことが決められている項目の検査が行われる。これらの検査項目の検査結果が所定の範囲から逸脱している場合には、水道管路10内の水の水質が低下している可能性があると考えられる。したがって、第1判断部51では、濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3における検査結果を取得し、これらの検査結果の少なくとも1つが所定の範囲から逸脱している場合には、排水管11からの強制的な排水が必要であると判断する。第1判断部51において排水管11からの排水が必要であると判断した場合には、第1判断部51から排水手段4に対して排水の開始を指示する。
[0028]
 また、第1判断部51では、排水中も濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3における検査結果を取得し、これらの検査結果が所定の範囲に含まれているかを判断する。そして、これらの検査結果の全てが所定の範囲以内に復帰した場合には、水道管路10内の水質が向上したため、排水管11からの排水が不要となったと判断する。第1判断部51において排水管11からの排水が不要となったと判断した場合には、第1判断部51から排水手段4に対して排水の停止を指示する。なお、水道管路10内の水質が向上したか(正常状態に復帰したか)否かを判断する際には、濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3とは別の位置に取り付けられた計器を用いて水質を評価する構成としてもよい。
[0029]
 一方、第2判断部52は、第1判断部51による判断結果に基づいて、排水管11からの排水を行っている間、水道管路10内の水の濁度が閾値を超えないように排水量を制御する機能を有する。
[0030]
 具体的には、第2判断部52では、水道管路10内の状態に係る情報を取得し、水道管路10内の水の濁度を推定する。そして、その結果が予め定められた値(閾値)を超えないように排水量を制御する。第2判断部52による排水量の制御は、排水手段4の電動弁7の開き量を制御することによって行われる。
[0031]
 水道管路10内の水の濁度に係る情報を取得する方法としては、水道水の濁度を直接的に測定する方法と、水道管路10内の水の濁度に関連する情報を取得して濁度を推定する方法とが挙げられる。
[0032]
 水道管路10内の水の濁度を直接的に測定することは可能であるが、高コストの設備が必要となる。
[0033]
 一方、水道管路10内の水の濁度に関連する情報を取得して濁度を推定する方法は、水道管路10内の水の濁度を直接的に測定する必要がないため、直接的に測定する場合と比較してより低コストに実現することができる。このような方法の一例として、本実施形態に係る水質制御システム100では、水圧計1により排水管11内の水の水圧を測定し、これに基づいて水道管路10内の水の状況(ここでは、水圧)を示す情報を取得する。そして、この水道管路10内の水の水圧から濁度を推定する方法が用いられている。
[0034]
 水圧計1により排水管11内の水道水の水圧を測定し、これに基づいて水道管路10内の水の濁度を推定するために、水質制御装置5では、水圧計1により測定される排水管11内の水道水の水圧と水道管路10内の水の濁度との対応関係を特定するテーブル又は関係式等を保持する。これらの情報を用いることで、排水管11内の水道水の水圧の測定結果から、水道管路10内の水の濁度を求めると共に、当該濁度が閾値を超えないように排水量を制御する。
[0035]
 水道管路10内の水の濁度が閾値を超えないように排水量を制御する理由について説明する。
[0036]
 水道管路10内の水動水の水質低下を検知して、排水管11を開放している場合、排水管11からの排出を行いながら上流から新鮮な水道水を水道管路10内に供給する。したがって、通常は水道管路10内の水の水質は向上する方向に変化する。しかしながら、排水管11を開放している間も水道管路10内の水の濁度が上昇することがある。この場合の濁度上昇の原因としては、そもそもの水質低下を引き起こしていたものと、排水管11の開放により新たに水質低下の原因となったものと、が考えられる。
[0037]
 排水管11を開放することによる水道管路10内の水の水圧の変化は、上記の2つの原因のうちの後者、すなわち、新たな水質低下の原因となる可能性がある。水道管路10内の水の水圧が大きく変化する場合、水圧の変化を契機として水道管路10内に巻き上げや乱流が生じ、水道管路10の内壁に付着していた何らかの物質が水道管路10内を移動する可能性がある。この場合、新たに移動を開始した物質が濁度の上昇、すなわち水質の低下を引き起こすことも考えられる。
[0038]
 水圧の変化と水道管路10内に巻き上げや乱流の発生(すなわち濁度の上昇)との関係は、管径及び長さ等の水道管路10の大きさを特定する情報に基づいて、予めシミュレーション等によって求めることができる。したがって、第2判断部52では、水道管路10内の水の水圧の変化が所定の範囲に収まるようにすることで、水道管路10内の水の濁度が閾値を超えないように排水量を制御する。これにより、排水管11の開放により新たに水質低下の原因が生じることを抑制することができる。
[0039]
 なお、水道管路10内の水の濁度が閾値を超えないように排水量を制御するために利用する水道管路10内の水の状況を示す情報としては、水道管路10内の水の水圧のほかに、水道管路10内の水の水量、及び、水道管路10内の水の水質が挙げられる。
[0040]
 水道管路10内の水の水量は、管径及び長さ等の水道管路10の大きさを特定する情報と、排水管11からの排水量(電動弁7の開き量)と、に基づいて容易に推定することができる。水道管路10内に巻き上げや乱流が生じる(すなわち濁度が閾値を超える)水量の変化は、管径及び長さ等の水道管路10の大きさを特定する情報に基づいて、予めシミュレーション等によって求めることができる。したがって、第2判断部52では、水道管路10内の水の水量の変化が所定の範囲に収まるようにすることで、水道管路10内の水の濁度が閾値を超えないように排水量を制御することができる。上述したように、水道管路10内の水の水量は、排水管11からの排水量から推定することができるため、水圧計11のように第2判断部52での判断に用いるための情報を濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3とは別の計測機器を用いて取得することは不要である。
[0041]
 また、水道管路10内の水の水質は、水質制御システム100における水圧計1に代えて導電率計を設け、当該導電率計において取得される排水管11内の水道水の導電率から容易に推定することができる。水道管路10内に巻き上げや乱流が生じる(すなわち濁度が閾値を超える)場合、水道水の導電率が変化する。したがって、第2判断部52では、導電率の変化が所定の範囲に収まるようにすることで、水道管路10内の水の濁度が閾値を超えないように排水量を制御することができる。なお、水道管路10内の水の水質に係る情報は、導電率に限定されない。
[0042]
 このように、水道管路10内の水の状況を示す情報は、本実施形態で説明する水圧に係る情報に限定されず、種々の情報を利用することができる。水質制御装置5では、利用する情報と水道管路10内の水の濁度との対応関係を特定する情報を保持しておくことで、水道管路10内の水の濁度の推定が可能となる。
[0043]
 次に、水質制御装置5による水道管路10内の水の水質を制御するための手順を説明する。図2は、図1の水質制御システムにおける制御手順を示すフローチャートである。
[0044]
 図2に示すように、濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3における測定を開始する(S01)。水質制御装置5の第1判断部51では、濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3における測定結果を取得し、これらの結果が所定の範囲内であるか、すなわち、測定結果が正常であるかを判断する(S02)。測定結果が正常である場合には(S02-YES)、測定終了か否かを判断し(S07)測定終了まで電気伝導率の測定を継続する(S07-NO)。一方、測定結果が正常ではない、すなわち、測定結果の一部が所定の範囲から逸脱している場合には(S02-NO)、第1判断部51は、排水管11の開放を排水手段4に指示する(S03)。排水手段4では、電動弁7を動作させることで排水を開始する。
[0045]
 次に、水質制御装置5の第2判断部52では、水圧計1からの水圧の測定結果を取得し、水道管路10内の水の水圧の変化が所定の範囲に収まるようにすることで、水道管路10内の水の濁度が閾値を超えないように排水量を制御する(S04)。
[0046]
 濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3による測定結果を取得し、これらの結果が所定の範囲内であるか、すなわち、測定結果が正常であるかを判断する(S05)。排水を行うことで水質が回復した場合には、測定結果が正常に復帰すると考えられる。測定結果が正常ではない、すなわち、測定結果の一部が所定の範囲から逸脱している場合には(S05-NO)、引き続き排水量の制御を行いながら排水を行い、測定結果の確認を継続する。一方、測定結果が正常である場合には(S05-YES)、水道管路10内の水の水質が正常状態に復帰したと判断し、排水管11からの排水停止を排水手段4に指示する(S06)。排水手段4では、電動弁7を動作させることで排水管11からの排水を停止する。
[0047]
 その後、測定を継続する場合には(S07-NO)、濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3による測定結果を引き続き取得して、水質の監視を行う。また、測定を終了する場合には(S07-YES)、一連の処理を終了する。
[0048]
 以上のように、本実施形態に係る水質制御システム100及び水質制御装置5によれば、濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3における水道法に則った水質検査の結果に基づいて、第1判断部51において、水道管路10からの排水の要否を判断することができる。また、水道管路10からの排水を行う場合には、水道管路10内の水の濁度が閾値を超えないように第2判断部52が排水量の制御を行う。これにより、水道法に則った水質検査において水質低下が確認された場合に、水道管路10内に巻き上げ流等を引き起こすことなく水質を復帰させることができるため、水質の復帰を好適に行うことができる。
[0049]
 従来から、水道管路10内の水質を監視するための装置は知られていたが、水質が低下した場合に、これを復帰させるための機構は検討されていなかった。すなわち、水質が低下した水を強制的に外部に排出することで、水道管路10内の水を上流から供給される良好な水に置換するためには人力で排水ライン(排水管11)の開閉を操作することが一般的であった。特に、水道法上で1日1回以上の検査(毎日検査)が求められている検査項目で所定範囲からの逸脱が確認された場合に、水道管路10からの排水を自動的に行うことで水質を制御する装置については、これまで知られていなかった。また、強制的に排水を行う際の排水量の制御が適切ではない場合には、水道管路10内に乱流を引き起こし、水道管路10内の水の水質をさらに低下させる可能性があるが、その点を考慮した排水量の制御について、従来は検討されていなかった。これに対して、本実施形態に係る水質制御装置5では、第1判断部51において毎日検査に係る測定結果に基づいて排水管11を介した排水の要否を判断すると共に、第2判断部52において水道管路10内の濁度を考慮した排水量の制御を行うことから、水道法に則った水質検査において水質低下が確認された場合に、水道管路10内に巻き上げ流れ等の乱流を引き起こすことなく水質を復帰させることが実現可能となる。
[0050]
 また、第2判断部52が、水道管路10内の水の状況を示す情報(例えば、水圧計1において測定される排水管11内の水の水圧から求められる水道管路10内の水の水圧)から水道管路10内の水の濁度を推定した上で、排水手段4による排水量を制御する構成とすることで、水道管路10内の水の濁度を直接的に測定する場合と比較して、より簡便な装置構成で、排水量の制御を行うことが可能となる。
[0051]
 以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、水質制御装置5では、濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3からの情報に基づいて、排水の要否を判断しているが、これらは水道法に則った水質検査に基づいた水質制御を行うために最低限必要な情報である。したがって、これらの装置による測定結果に加えて、水道管路10内の水の水質に係る他の情報(例えば、pH、臭気等)を取得し、これらの測定結果も利用して第1判断部51における排水の要否に利用する構成としてもよい。
[0052]
 また、上記実施形態では、1台の水質制御装置5が含まれた水質制御システム100について説明をしたが、水質制御装置5は、複数台の装置の組み合わせによって実現されていてもよい。また、水質制御装置5は、濁度計、色度計及び残留塩素濃度計による毎日検査に対応した測定が行われ、且つ、強制排水のための排水ラインを有する既存の水道管路に対して適用することもできる。この場合には、水質制御装置5は、既存の水道管路に取り付けられた濁度計、色度計及び残留塩素濃度計における測定結果を取得し、これに基づいて、排水ラインの開閉を行うバルブ等を制御することにより、当該水道管路における水質の制御を実現することができる。
[0053]
 また、上記実施形態では、サンプリング管12には開閉バルブ等が設けられていない構成について説明したが、排水管11から分岐するサンプリング管12においても開閉弁を設ける構成とすることができる。この場合、サンプリング管12において、濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3よりも上流に排水手段4と同様の電動弁を設ける構成とすることができる。
[0054]
 サンプリング管12側に電動弁を設ける場合、この電動弁は、下流側の濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3を保護する機能を有する。すなわち、水質の低下を検知した場合に、電動弁を閉鎖することで、水質が低下した水が濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3側へ流れることを防ぐ。また、ある程度水質が回復したことを検知した場合には、再度開放して濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3側に水を流す。このような構成を実現するためには、例えば、水質制御装置5がサンプリング管12に設ける開閉弁の開閉を判断する方法が挙げられるが、水質制御装置5とは異なる装置が開閉弁の制御を行う構成としてもよい。また、サンプリング管12に設ける開閉弁の開閉の判断には、濁度/色度計2及び残留塩素濃度計3から取得する情報を用いてもよいが、開閉弁よりも上流側で測定される水質の情報(例えば、水の濁りに係る情報等)を利用することができる。このように、上記実施形態で示された排水手段4とは異なる位置に開閉弁を追加する構成としてもよい。

符号の説明

[0055]
 1…水圧計、2…濁度/色度計、3…残留塩素濃度計、4…排水手段、5…水質制御装置、51…第1判断部、52…第2判断部、100…水質制御システム。

請求の範囲

[請求項1]
 水道管路内を流れる水の水質を制御する水質制御装置において、
 前記水の濁度を測定する濁度計、前記水の色度を測定する色度計、及び前記水の残留塩素濃度を測定する残留塩素濃度計における測定結果に基づいて、前記水道管路からの排水の要否を判断する第1の判断部と、
 前記水道管路からの排水を行う場合に、前記水の濁度が閾値を超えないように排水量を制御する第2の判断部と、を備える水質制御装置。
[請求項2]
 第2の判断部は、前記水の状況を示す情報から前記水の濁度を推定した上で、前記排水量を制御する請求項1に記載の水質制御装置。
[請求項3]
 水道管路内を流れる水の水質を制御する水質制御システムにおいて、
 前記水の濁度を測定する濁度計と、
 前記水の色度を測定する色度計と、
 前記水の残留塩素濃度を測定する残留塩素濃度計と、
 前記水道管路から排水する排水ラインと、
 前記濁度計、前記色度計、及び前記残留塩素濃度計における測定結果に基づいて前記排水ラインからの排水の要否を判断する第1の判断部と、
 前記水の濁度が閾値を超えないように前記排水ラインからの排水量を制御する第2の判断部と、
 を備える水質制御システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]