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1. (WO2017029754) イオンビーム装置、及び試料元素分析方法
Document

明 細 書

発明の名称 イオンビーム装置、及び試料元素分析方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006   0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012  

発明の効果

0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099  

符号の説明

0100  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : イオンビーム装置、及び試料元素分析方法

技術分野

[0001]
 本発明は、イオンビーム装置、及び試料元素分析方法に関する。

背景技術

[0002]
 イオンビームを試料に照射して、試料から放出される二次イオンを質量分析すれば、試料表面を元素分析することができる。これは二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometry以下、SIMSと略記)と呼ばれる。特許文献1には、イオン源としてディオプラズマトロン表面電離型セシウムイオン源およびサイドエントリー形液体金属イオン源を搭載したSIMS装置が開示されている。特許文献2には、SIMS装置でガリウムイオンを試料に照射して中性セシウムを試料に堆積させて試料元素Mとセシウムの複合イオンを検出する手法が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開平5-2644825号公報
特許文献2 : 特表2006-504090号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 従来SIMSでは、主に3種類のイオン源が使われる。1つは酸素プラズマイオン源であり、主に電気的陽性元素を分析するために用いられる。このときに検出するのは正二次イオンである。またもう1つはセシウム表面電離型イオン源であり、主に電気的陰性元素や水素・酸素・炭素などを分析するために用いられる。このときに検出するのは負二次イオンである。また、ガリウム液体金属イオン源やガス電界電離イオン源は、微小部を分析するために用いることができる。
[0005]
 近年、極微細な構造で微量の不純物を元素分析するといったニーズが高まっている。特に極微細なビームを照射して極微量な水素や酸素を検出して三次元の分布を調べることが必要になっている。水素や酸素を高感度で検出するためには、従来は既に述べたようにセシウムイオンを照射する手法を用いる。
[0006]
 しかし、セシウムイオンを発生させる表面電離型イオン源では、イオン源の性能に限界があって微細なビームを形成できないという課題がある。
[0007]
 また、セシウムを試料に中性の状態で供給するという試みがあったが、このときにセシウムと同時に試料に供給される水素や酸素などについては十分考慮されていなかった。すなわち、セシウムをイオンではなくて中性蒸気にして試料に供給する場合には、セシウムを室温に比べて高い温度に加熱する必要がある。そして、発明者らは、このときに高純度の金属セシウムの表面および内部にわずかに含む水素や酸素、さらに加熱した容器表面および内部に含まれるわずかな水素や酸素などが試料表面に到達するということを見出した。つまり、発明者らは、この場合に、試料中の極微量の水素や酸素などを検出しようと試みると、高純度金属セシウム供給システムから極微量の水素や酸素がバックグランドとして供給されるため試料中の水素や酸素の検出下限が高くなってしまうという課題が生じることを突き止めたのである。よって、試料中の極微量の水素や酸素などの分布が調べられなくなってしまう。従来では、セシウムを供給する場合に、高純度の金属セシウムを用いれば不純物が少ないと考えられていてこの課題は発見されていなかった。なお、上述のガリウム液体金属イオン源やガス電界電離イオン源を用いればビームの微細化は可能ではあるものの、これらを用いても酸素や水素がバックグランドとして供給されてしまうという課題を解決することはできないため、試料中の水素や酸素の検出感度を高めることはできない。
[0008]
 以上に述べた理由により、従来は試料極微小部の極微量の水素や酸素を超高感度に検出できる実用的な元素分析装置は実現されていなかった。また、試料中の極微量の水素や酸素の三次元分布を調べる元素分析する装置についても実現されていなかった。
[0009]
 本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、イオンビームを用いる試料元素分析装置において、特に試料極微小部の極微量の水素や酸素を超高感度に検出できる実用的な元素分析技術を提供するものである。また、本発明は、従来は困難であった試料中の極微量の水素や酸素の三次元分布を調べるための元素分析技術を提供するものである。

課題を解決するための手段

[0010]
 上記課題を解決するために、本発明によるイオンビーム装置は、イオン源と、イオン源から放出されるイオンを試料に照射するイオンビーム照射系と、試料を収納する試料室と、イオンビームを試料に照射して試料から放出される二次イオンを検出する検出システムと、アルカリ金属を試料に供給するアルカリ金属供給システムと、試料に供給されるアルカリ金属に起因する水素ガス及び/又は酸素ガスを取り除く特定ガス除去部と、を有する。
[0011]
 本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本発明の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
[0012]
 本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本発明の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではないことを理解する必要がある。

発明の効果

[0013]
 本発明によれば、試料の極微量の水素や酸素を超高感度に検出できる実用的な元素分析を実現することが可能となる。また、従来は困難であった試料中の極微量の水素や酸素の三次元分布を調べることができるようになる。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 本発明の実施形態によるイオンビーム元素分析装置の概略構成例を示す図である。
[図2] 本発明の第1の実施形態によるアルカリ金属供給部の概略構成例を示す図である。
[図3] 本発明の実施形態によるイオンビーム元素分析装置の制御系の例を示す図である。
[図4] 純化室に備えられている非蒸発ゲッタ材料の活性化の手順を示す図である。
[図5] アルカリ金属を試料表面に供給する手順を示す図である。
[図6] 本発明の第2の実施形態によるアルカリ金属供給部の概略構成例を示す図である。
[図7] 本発明の第3の実施形態によるイオンビーム元素分析装置の概略構成例を示す図である。

発明を実施するための形態

[0015]
 本発明の実施形態は、高純度アルカリ金属供給システムからバックグランドとして供給されてしまう極微量の水素や酸素を除去するために、2種類の不純物除去構成を提供する。1つはアルカリ金属を収納する収納室の内部の不純物を排気する第1の排気機構であり、もう1つは第1の排気機構によって不純物が取り除かれた後のアルカリ金属から残存する水素及び/又は酸素を排気する第2の排気機構である。
[0016]
 以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
[0017]
 本実施形態では、当業者が本発明を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本発明の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
[0018]
(1)第1の実施形態
 <イオンビーム装置の構成>
 図1は、本発明の実施形態によるイオンビーム装置の構成例を示す図である。以下では、イオンビーム装置として、イオンビーム元素分析装置の第1の例を説明する。
[0019]
 本例のイオンビーム元素分析装置は、ガス電界電離イオン源1と、イオンビーム照射系カラム2と、試料室3と、冷却機構4と、飛行時間型質量分析カラム(質量分析計)6と、アルカリ金属供給部30と、イオン源ガス供給部26と、を有する。ここで、ガス電界電離イオン源1、イオンビーム照射系カラム2、試料室3、及び飛行時間型質量分析カラム6などは真空容器である。なお、イオンビーム元素分析装置によれば、試料の元素の同定および特定の元素の二次元分布像取得、三次元分布解析陥などが可能である。
[0020]
 図1に示すように、イオンビーム照射系カラム2は、例えば、イオンビーム元素分析装置設置面20すなわち床に対して直立して設置され、飛行時間型質量分析カラム6は傾斜する。また、試料室3には、アルカリ金属供給部30が取り付けられている。アルカリ金属供給部30は、試料9の表面に、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムなどのアルカリ金属を供給する。なお、本実施形態では、一例として、アルカリ金属にセシウムを用いた例について説明する。
[0021]
 まず、ガス電界電離イオン源1は、針状のエミッタティップ21と、当該エミッタティップ21に対向して設けられ、イオンが通過する開口部27を有する引き出し電極24と、細線状のフィラメント22と、円柱状のフィラメントマウント23と、円柱状のエミッタベースマウント64と、を有する。
[0022]
 また、ガス電界電離イオン源1は、真空容器15を真空排気するイオン源真空排気用ポンプ12を備えている。イオン源真空排気用ポンプ12は、真空遮断可能なバルブ29を介して真空容器15と接続されている。
[0023]
 さらに、ガス電界電離イオン源1は、エミッタティップ21の傾斜を変える傾斜機構61を含む。傾斜機構61は、エミッタベースマウント64に固定されている。この傾斜機構61は、エミッタティップ先端の方向をイオンビーム照射軸62に精度良く合わせるために用いる。本実施形態のように、イオンビーム照射系カラム2がイオンビーム元素分析装置設置面20すなわち床に対して直立、すなわちガス電界電離イオン源1が直立する場合には、傾斜機構61を設けることにより、エミッタティップ21の傾斜精度を高められ、かつ傾斜方向のドリフト移動が無く、好適なイオン元素分析装置を実現できるという効果を奏する。
[0024]
 また、ガス電界電離イオン源1は、少なくとも3種以上のガス容器と接続されている。第1のガス容器81は、少なくとも酸素ガスを含み、第2のガス容器82はネオン、アルゴン、キセノン、クリプトンの内すくなくとも1種を含み、第3のガス容器83は水素、ヘリウムのいずれかを含んでいる。
[0025]
 イオンビーム照射系は、ガス電界電離イオン源1から放出されたイオンビームを集束する集束レンズ5と、パルス化電極7と、対物レンズ8と、を有している。なお、集束レンズ5および対物レンズ8は複数の電極からなる静電型レンズである。また、パルス化電極7は、例えば、対向する平行電極である。また、イオンビーム照射系には、図示はしていないが、集束レンズ5を通過したイオンビーム14を制限する可動なアパーチャや、当該アパーチャを通過したイオンビームを走査あるいはアラインメントする偏向器なども内包されている。これらは、イオン源1からのエミッションパターン観察や、走査イオンビーム像取得の場合に使用される。
[0026]
 試料室3は、その内部に、試料9を載置する試料ステージ10と、イオンビームを試料に衝突させた場合に、試料から放出される二次電子などを検出する荷電粒子検出器(図示せず)と、試料9のチャージアップを中和するための電子銃(図示せず)と、を含んでいる。本例のイオン元素分析装置は、更に、試料室3を真空排気する試料室真空排気用ポンプ13を有する。本実施例では、さらに非蒸発ゲッタ材料51を内包する真空排気ポンプ52を有しており、試料室3と真空排気ポンプ52との間には真空遮断可能なバルブ53および加熱機構54が配置されている。
[0027]
 飛行時間型質量分析カラム6は真空容器であり、二次イオンを集束するためのイオンレンズ71、及び二次イオンを結像するイオンレンズ72などを内包している。また、二次イオン検出部55は、マイクロチャネルプレート56と、二次元電気検出器などによって構成されている。本実施形態では、飛行時間型質量分析カラム6は、さらに、非蒸発ゲッタ材料73を内包する真空排気ポンプ74を有している。この真空排気ポンプ74は、大気側に非蒸発ゲッタ材料の加熱機構76(真空排気ポンプ74に加熱機構76を挿入するための凹部が設けられており、加熱機構76が真空排気ポンプ74の内部とは隔離された構造となっている)を備える。さらに、試料室3と真空排気ポンプ74との間には真空遮断可能なバルブ75が配置されている。
[0028]
 さらに、試料近傍(試料室3の内部)には非蒸発ゲッタ材料77が設置されている。また、試料室3の容器の大気側には、この非蒸発ゲッタ材料を加熱するための加熱機構78が設置されている。さらに、床20の上に配置された装置架台17の上には、例えば防振機構19を介して、ベースプレート18が配置されている。ガス電界電離イオン源1、イオンビーム照射系カラム2、及び試料室3は、ベースプレート18によって支持されている。
[0029]
 次に、ガス電界電離イオン源1に接続された冷却機構4について説明する。冷却機構4は、ガス電界電離イオン源1の内部、及びエミッタティップ21を冷却する。なお、冷却機構4は、例えばギフォード・マクマホン型(GM型)冷凍機を用いることができる。パルルス管冷凍機を用いることもできるが、この場合、床20には、図示してないがヘリウムガスを作業ガスとする圧縮機ユニット(コンプレッサ)が設置される。圧縮機ユニット(コンプレッサ)の振動は、床20を経由して、装置架台17に伝達される。そのため、上述のように装置架台17とベースプレート18との間には除振機構19が配置されている。これにより、電界電離イオン源1、イオンビーム照射系カラム2、及び真空試料室3などに床の高周波数の振動が伝達しにくくなる。ここでは、床20の振動の原因として、冷凍機及びコンプレッサを説明したが、床20の振動の原因はこれに限定されるものではなく、設置環境による振動であっても良い。また、防振機構19は、防振ゴム、バネ、ダンパ、又は、これらの組合せによって構成されてよい。
[0030]
 <アルカリ金属供給部の詳細な構成>
 次に、アルカリ金属供給部30について説明する。図2は、アルカリ金属供給部30の詳細構成を示す図である。
[0031]
 アルカリ金属供給部30は、アルカリ金属29を内部に収めるアルカリ金属収納室31と、アルカリ金属収納室31を加熱する第1の加熱機構32と、アルカリ金属収納室31と第1のバルブ37を介して接続される純化室34と、アルカリ金属収納室31と第2のバルブ38を介して接続され、アルカリ金属収納室31及び純化室34内を真空にすることにより不純物を取り除く第1の排気部33と、純化室34を加熱する第2の加熱機構35と、純化室34内部に残存する水素及び/又は酸素(アルカリ金属表面や内部に含まれていた水素や酸素)を取り除く第2の排気部36と、第3のバルブ39を介して純化室34と接続され、アルカリ金属を試料9の表面に導くノズル40と、を有している。また、純化室34にはアルカリ金属を溜める開口容器41が設けられている。第1の排気部33は、ターボ分子ポンプ42とドライポンプ43との組み合わせで構成される。また、第2の排気部は、非蒸発ゲッタ材料44と、その加熱機構45とを有しており、加熱機構45により非蒸発ゲッタ材料44を加熱することにより純化室34内の水素や酸素を除去する。当該加熱機構45は、真空容器外側の大気中に配置される。
[0032]
 また、アルカリ金属収納室31は接続管46によって純化室34と繋がっている。各々のバルブは、例えば、真空遮断可能である。また、アルカリ金属29としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが利用可能であるが、本実施形態ではセシウムを用いている。セシウムは酸素や水などと反応するためガラスアンプルに封じられている。
[0033]
 <イオンビームの微細化について>
 ガス電界電離イオン源1のエミッタティップ21先端は、例えば、原子によるナノメートルオーダのピラミッド型構造で形成されている。これをナノピラミッドと呼ぶことにする。ナノピラミッドは、典型的には、先端に1個の原子を有し、その下に3個又は6個の原子の層を有し、さらにその下に10個以上の原子の層を有する。
[0034]
 エミッタティップ21の材質としては、タングステン、モリブデン細線などを用いる。また、エミッタティップ21の先端にナノピラミッドを形成する方法としては、イリジウム、白金、レニウム、オスミウム、パラジュウム、ロジュウム等を被覆させた後に、フィラメントに通電してエミッタティップを高温加熱する方法や、他に、真空中での電界蒸発、ガスエッチィング、イオンビーム照射、リモデリング方法等がある。このような方法によれば、タングステン線、モリブデン線先端に原子のナノピラミッドを形成することができる。例えば、<111>のタングステン線を用いた場合、先端が1個または3個のタングステン原子あるいはイリジウムなどの原子で構成される。また、これとは別に、白金、イリジウム、レニウム、オスミウム、パラジュウム、ロジュウムなどの、細線の先端に真空中でのエッチングあるいはリモデリングにより、同様なナノピラミッドを形成することもできる。
[0035]
 このように、本実施形態によるガス電界電離イオン源1のエミッタティップ21の特徴は、ナノピラミッド(三角錐形状)にある。エミッタティップ21の先端に形成される電界強度を調整する(印加する数kVの高電圧の値を調整するによりエミッタティップ21の先端に強電界を形成する。電圧を高くすればするほど強電界となるわけではなく、所定値以上の印加電圧値だと電界が弱くなってしまう。)ことによって、エミッタティップの先端の1個の原子の近傍でイオンを生成させることができる。従って、イオンが放出される領域、即ち、イオン光源は極めて狭い領域であり、ナノメータ以下である。このように、非常に限定された領域からイオンを発生させることによって、ビーム径を1nm以下(サブナノメータ)とすることができる。そのため、イオン源の単位面積及び単位立体角当たりの電流値は大きくなる。これは試料上で微細径・大電流のイオンビームを得るためには重要な特性である。
[0036]
 なお、白金、レニウム、オスミウム、イリジウム、パラジュウム、ロジュウム、などを用いて、先端原子1個のナノピラミッドが形成された場合には、同様に単位面積・単位立体角から放出される電流すなわちイオン源輝度を大きくすることができ、イオン元素分析装置の試料上のビーム径を小さくしたり、電流を増大したりするのに好適となる。ただし、エミッタティップが十分冷却され、かつガス供給が十分な場合には、必ずしも先端を1個に形成する必要はなく、3個、6個、7個、10個などの原子数であっても十分な性能を発揮できる。特に、4個以上の10個未満の原子で先端を構成する場合(エミッタティップ21の先端を尖らせない構成の場合)には、イオン源輝度を高くでき、かつ先端原子が蒸発しにくく安定した動作が可能である。
[0037]
 <イオン元素分析装置の制御系>
 図3は、本発明の実施形態によるイオン元素分析装置(図1)に各制御系を取り付けた構成例を示す図である。本例の制御系は、ガス電界電離イオン源1を制御するガス電界電離イオン源制御装置91と、冷却機構4を制御する冷却機構制御装置92と、集束レンズ5および対物レンズ8を制御するレンズ制御装置93と、パルス化電極制御装置94と、飛行時間型質量分析カラム6に内包されるイオンレンズ71と72を制御する飛行時間型質量分析計制御装置95と、二次イオン検出器制御装置96と、試料ステージ10を制御する試料ステージ制御装置97と、試料室真空排気用ポンプ13を制御する真空排気用ポンプ制御装置98と、イオン化ガス制御装置191と、アルカリ金属供給部制御装置192と、計算処理能力をもつ本体制御装置99と、を含むものである。
[0038]
 本体制御装置99は、一般的なコンピュータで構成され、例えば、演算処理部、記憶部、及び画像表示部等を備える。画像表示部は、荷電粒子検出器11の検出信号から生成された画像、及び、入力手段によって入力した情報を表示する。
[0039]
 試料ステージ10は、試料9を試料載置面内にて直交2方向へ直線移動させる機構、試料9を試料載置面に垂直な方向への直線移動させる機構、及び試料9を試料載置面内にて回転させる機構を有する。試料ステージ10は、更に、試料9を傾斜軸周りに回転させることによりイオンビーム14の試料9への照射角度を可変できる傾斜機能を備える。これらの制御は本体制御装置(計算処理装置)99からの指令によって、試料ステージ制御装置97によって実行される。
[0040]
 また、イオン元素分析装置(図1)の各部に対する動作条件は、本体制御装置99から入力される。本体制御装置99には、予めイオンビーム発生時の加速電圧、イオンビーム偏向幅・偏向速度、ステージ移動速度、画像検出素子からの画像信号取り込みタイミング等々の諸条件が入力されている。そして、本体制御装置99は、各要素の制御装置を総括的に制御し、ユーザーとのインターフェースとなる。なお、本体制御装置99は、役割を分担し通信回線で結合された複数の計算機から構成される場合もある。
[0041]
 <ガス電界電離イオン源の動作>
 次に、本例のガス電界電離イオン源1の動作について説明する。真空容器15を真空排気し、十分な時間が経過した後、冷却機構(冷凍機)4を運転する。冷却機構4が動作することによってエミッタティップ21が冷却される。
[0042]
 エミッタティップ21を冷却した後、エミッタティップ21にイオンの加速電圧として、正の高電圧を印加する。次に、エミッタティップ21に対して負電位となるように引き出し電極24に高電圧を印加する。すると、エミッタティップ21の先端に強電界が形成される。そして、イオン化ガスの供給部26からイオン化ガスを供給すると、イオン化ガスは強電界によってエミッタティップ面に引っ張られる。さらに、イオン化ガスは最も電界の強いエミッタティップ21の先端近傍に到達する。そこで、イオン化ガスは電界電離し、イオンビームが生成される。
[0043]
 生成されたイオンビームは、引き出し電極24の孔27を経由して、イオンビーム照射系カラム2に導かれる。なお、実施形態では、イオン化ガスとしてアルゴンガスを導入している。
[0044]
 ガス電界電離イオン源1から放出されたイオンビーム14は、集束レンズ5および対物レンズ8によって集束されて、試料9に照射される。このときに、ガス電界電離イオン源1の径はナノメータ程度に小さく、かつイオンビームの持つエネルギーの幅が1eV程度に小さいため、これらの特性を活かせば、試料9上のイオンビーム14の直径をサブナノメータまで小さくすることができる。このようにしてイオンビーム14の微細化を実現することが可能となる。
[0045]
 なお、ガス電界電離イオン源1を用いることにより、他のイオン源である、デュオプラズマイオン源、ペニング型イオン源、誘導結合プラズマ(ICP: Inductively Coupled Plasma)プラズマイオン源、マイクロ波プラズマ(MIP:Microwave Induced Plasma)プラズマイオン源を用いた場合と比べて解像度の高いイオン元素分析装置像が得られるという効果を奏する。
[0046]
 <アルカリ金属供給部の動作>
 図4及び5は、アルカリ金属供給部の動作を説明するため図である。図4は、純化室34に備えられている第2の排気部36である非蒸発ゲッタ材料の活性化の手順を示す図である。図5は、アルカリ金属を試料表面に供給する手順を示す図である。
[0047]
(図4:非蒸発ゲッタ材料の活性化について)
(i)ステップ101及び102
 第3のバルブ39を閉めて、次に第1のバルブ37及び第2のバルブ38を開けた状態にする。
(ii)ステップ103
 純化室34を第1の排気部33によって真空排気する。
(iii)ステップ104
 純化室34を第2の加熱機構35によって約150℃に加熱する。当該加熱は10時間程度継続される。
(iv)ステップ105
 純化室34の加熱を約10時間程度継続したら、非蒸発ゲッタ材料44を加熱機構45により約400℃に加熱する。当該加熱は1時間程度継続される。なお、純化室34の加熱は非蒸発ゲッタ材料44の加熱中も継続される。
(v)ステップ106
 非蒸発ゲッタ材料44の加熱を約1時間程度継続させた後、非蒸発ゲッタ材料44および純化室34の加熱を停止する。
[0048]
 以上のような処理を実行することにより、純化室34を超高真空状態にすることができる。
[0049]
(図5:アルカリ金属の試料表面への供給について)
(i)ステップ201及び202
 第1のバルブ37を閉めた状態で収納室31を大気開放する。
(ii)ステップ203
 アルカリ金属であるセシウム入りガラスアンプルを収納室31に入れる。
(iii)ステップ204及び205
 収納室31の蓋を閉じた後に、収納室31を第1の排気部33により真空排気する。
(iv)ステップ206
 ガラスアンプルを真空の収納室31内で割る。なお、ガラスアンプルを割るには直線導入機構あるいは、回転機構などを用いればよい。
(v)ステップ207
 第1のバルブ37を開けて収納室31と純化室34とを接続する。
(vi)ステップ208
 収納室31を第1の加熱機構32により約200℃に加熱する。すると、セシウムは蒸気になって真空中に拡散する。セシウム蒸気は接続管46を通過して純化室34にまで拡散する。純化室34には接続管46の終端近傍にセシウムを溜める開口容器41が配置されている。予めこの開口容器41を20℃程度に冷却しておけば、効率良くセシウムを凝縮させることができる。また、収納室31から拡散された水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、水蒸気なども同様に拡散して純化室34に導入されるが、非蒸発ゲッタ材料44によって高効率に吸収される。以上の作用によって、セシウムは高度に純化されるとともに純化室34は超高真空に維持される。
(vii)ステップ209
 第1のバルブ37を閉める。
(viii)ステップ210及び211
 第3のバルブ39を開けて、セシウムを第2の加熱機構35によって加熱するとノズル40を通して高純度のセシウムが試料9の表面に供給される。純化室34は超高真空に維持されているため、水素ガスや酸素ガスなどは、ほとんど試料9の表面には到達しない。
(ix)ステップ212
 高純度のセシウムが試料9の表面に供給されている状態で、サブナノメータ直径に集束されたアルゴンイオンビーム14を試料9に照射する。
(x)ステップ213
 試料9から放出される二次イオン16の質量分析を行う。
[0050]
 <二次イオンの質量分析>
 本実施形態では、飛行時間型質量分析計6において質量分析している。そのため、パルス化電極7でイオンビーム14をパルス化して試料9に照射する。イオンビーム14を試料9に照射することによって試料9から放出された二次イオン16は、飛行時間型質量分析計6に取り込まれる。このとき、水素などの軽い元素は二次元電気検出器57に早く到達して、金などの重い元素は遅くに到達する。この原理(元素によって到達時間が異なること)によって元素分析が可能になる。
[0051]
 以上のように、セシウムを試料9の表面に供給することにより、水素や酸素の負の二次イオン収率が増大する効果と水素や酸素のバックグラウンドが低下する効果によって水素および酸素の超高感度の元素分析を実現することが可能となる。
[0052]
 そして、エミッタティップ21の先端に形成される電界強度を調整してイオンビーム14の微細化を図り、サブナノメータ直径で集束させてイオンビーム14を試料9に照射しながら走査すれば、サブナノメータ分解能の二次元元素分布像を得ることができる。また、ガスイオンビーム14を照射して走査を継続すると時間経過とともに試料9の深さ方向に試料9を削ることができる。このようにすると、試料9中の元素の三次元元素分布解析ができる。特に、ネオンビームやアルゴンビームを用いると、水素のバックグラウンド残存量を減少させて高感度の分析ができることが分かった。つまり、発明者らは、イオンを引き出す時の電界が強く水素などの不純物イオンがエミッタティップ21の先端まで到達せずに試料9の方向とは大きくずれた方向にエミッションすることからであることを突き止めたのである。換言すれば、水素イオンビームが試料9に照射されて試料9中に埋め込まれ、その水素が検出されてしまうのを防ぐのである。このように、高純度のセシウムを試料9の表面に供給していることから水素および酸素の負二次イオン収集効率が向上する効果と、水素ガスおよび酸素ガスを極めて少ない状態にすることの効果によって、水素および酸素の超高感度分析が実現されるのである。さらに、アルゴンイオンビームの直径がブナノメータに集束されていることから、極微細の二次元元素分布像が得られ、三次元元素分布解析が可能になるという効果を奏する。
[0053]
 なお、従来は、セシウム蒸気を発生させるのにクロム酸セシウムを還元させる際の大量の不純物低減が課題とされており、その課題解決に純金属を用いることによって解決されると考えられていた。そして試料室の真空度が劣化しないことを根拠にされていた。ところが、純金属を用いた場合でも、極微量の水素ガス、酸素ガス、水蒸気などが水素や酸素を分析する際には、バックグラウンドを高めるため高感度分析を阻害することを発明者らは突き止めたのである。すなわち、セシウムを蒸発させて試料9の表面に搬送する際に加熱するが、このときに微量の水素ガス、酸素ガス、水蒸気などが容器やセシウムから発生してセシウムと同時に試料9の表面に供給されてしまうのである。試料室3の真空度を計測していてもその課題には想到しない新たに発見された事実であった。
[0054]
 <試料近傍の設けられた非蒸発ゲッタ材料の作用効果>
 本実施形態では、図1に示されるように、試料9の近傍(試料室内)に非蒸発ゲッタ材料77が配置されている。このため、非蒸発ゲッタ材料77によって水素ガスおよび酸素ガスなどが吸着されると、バックグラウンドに存在する水素や酸素の濃度が低下して高感度分析が実現することが分かった。なお、試料室容器の大気側には、この非蒸発ゲッタ材料の加熱機構78が設置されており、非蒸発ゲッタ材料77の再活性をすることができる。すなわち、高感度分析可能な状態を長期間継続できるという効果を奏する。
[0055]
 <試料室に接続された、非蒸発ゲッタ材料を内包する真空排気ポンプの作用効果>
 本実施形態においては、図1に示されるように、試料室3に、非蒸発ゲッタ材料51を内包する真空排気ポンプ52が真空遮断可能なバルブ53を介して接続されている。このような構成を採る場合、排気コンダクタンスは低くなるものの、非蒸発ゲッタ材料51を試料9の近傍に配置した時と同様な効果を得ることができる。
[0056]
 さらに、試料9に照射させるときに一次イオン14として酸素イオンを選択している場合には、真空遮断可能なバルブ53を閉じておく。開けた状態では、非蒸発ゲッタ材料51が酸素ガスを吸着してしまうため、非蒸発ゲッタ材料51の再度活性化するまでの時間が短くなってしまうが、真空遮断可能なバルブ53を閉じておけば、非蒸発ゲッタ材料51の再度活性化するまでの時間を長くすることができるからである。すなわち、効率良く高感度分析可能な状態を長期間継続できるという効果を奏する。
[0057]
 <質量分析計に接続された、非蒸発ゲッタ材料を内包する真空排気ポンプの作用効果>
 本実施形態において、質量分析計6には、非蒸発ゲッタ材料73を内包する真空排気ポンプ74が真空遮断可能なバルブ75を介して接続されている。従来、質料分析計6から拡散して試料9の表面に供給される水素ガスや酸素ガスについては考慮されていなかった。
[0058]
 しかし、非蒸発ゲッタ材料73を内包する真空排気ポンプ74を動作させると、バックグラウンドに存在する水素や酸素の量が低下し、試料9中に存在する水素や酸素の高感度分析を実現することができるようになる。
[0059]
 以上の場合には、図1に示したように照射イオンビームを供給するイオンビーム照射系カラム2は、イオンビーム元素分析装置設置面20すなわち床に対して直立して、二次イオンビームを結像するイオン検出系カラム(飛行時間型質量分析カラム)6は傾斜させて設置されている。このような構造にすると、イオンビーム照射系の構造ひずみが少なく、レンズの収差が少なくなり、極微細なイオンビーム14が試料9に向かうことになる。この結果、二次元元素分布像の解像度が高くなることがわかった。
[0060]
 <投射型質量分析>
 本実施形態による飛行時間型質量分析計6では、投射型質量分析を実施している。つまり、試料9から放出された二次イオン16を2つのイオンレンズ71と72によってマイクロチャネルプレート56上に結像させる。そして、マイクロチャネルプレートの二次元信号強度を画像信号として出力する。ただし、イオンビーム14は必ずしも試料9の上を走査する必要はない。なお、本実施形態では質量分析計6として飛行時間型質量分析計を用いているが、四重極質量分析計およびセクター型質量分析計を適用することは可能である。
[0061]
 <イオンガスの種類>
 本実施形態ではアルゴンイオンを用いているが、キセノン、クリプトンなどによっても同様な効果を得ることができる。また、キセノン、クリプトンを用いる場合には、特に磁場ノイズに対して影響を受けにくいという効果を期待することができる。さらに、2種類の混合ガスや3種の混合ガスなどの複数のガス種を含む混合ガスであっても良い。
[0062]
 また、本実施形態では、ガス電界電離イオン源1は、少なくとも3種以上のガス容器と接続されている。第1のガス容器81は少なくとも酸素ガスを含み、第2のガス容器82はネオン、アルゴン、キセノン、及びクリプトンのうち少なくとも一種を含み、第3のガス容器83は水素、ヘリウムのいずれかを含んでいる。
[0063]
 このようにすると、第1のガス容器81の酸素ガスを用いれば、酸素ガスイオンビームを試料9に照射して、正の二次イオンを検出することにより電気的陽性元素の高感度分析が実現することができる。また、第2のガス容器82のネオン、アルゴン、キセノン、及びクリプトンのうち何れかのガスを用いる。そして、アルカリ金属供給部30からアルカリ金属を試料に供給しながら、ガスイオンビーム14を試料9に照射し、負の二次イオンを検出することにより、試料9に含まれる水素および酸素の高感度分析を実現することができる。さらに、第3のガス容器83の水素またはヘリウムいずれかのイオンビーム14を試料9に照射して二次電子を検出すれば、試料に大きなダメージを与えることなく試料9の表面の走査イオン像を得ることができる。すなわち、試料9の表面の構造情報と元素情報が得られる元素分析装置が提供される。
[0064]
 なお、本実施形態によるイオンビーム装置(イオンビーム元素分析装置)では、2種類の混合ガスや3種の混合ガスなどの複数のガス種を含む混合ガス容器を用いても良いし、3種類のガスを交互に使用できるようにしても良い。
[0065]
(2)第2の実施形態
 第2の実施形態によるイオンビーム元素分析装置は、第1の実施形態によるそれとはアルカリ金属供給部30の構成が異なっている。その他の構成は第1の実施形態によるイオンビーム元素分析装置(図1)と同じである。
[0066]
 <アルカリ金属供給部の構成>
 図6は、第2の実施形態によるアルカリ金属供給部30の構成例を示す図である。
[0067]
 アルカリ金属供給部30は、アルカリ金属29を内部に収めるアルカリ金属収納室31と、アルカリ金属収納室31を加熱する第1の加熱機構32と、アルカリ金属収納室31と第1のバルブ37を介して接続される純化室34と、アルカリ金属収納室31と第2のバルブ38を介して接続され、アルカリ金属収納室31内を真空にすることにより不純物を取り除く第1の排気部33と、純化室34を加熱する第2の加熱機構35と、純化室34内部に残存する水素及び/又は酸素(アルカリ金属表面や内部に含まれていた水素や酸素)を取り除く第2の排気部36と、第3のバルブ39を介して純化室34と接続され、アルカリ金属を試料9の表面に導くノズル40と、純化室34と第4のバルブ48を介して接続される第3の排気部49と、を有している。
[0068]
 アルカリ金属収納室31では、金属網47の上にアルカリ金属(例えばルビジウム)29が載置される。また、純化室34にはアルカリ金属29を溜める開口容器41が設置されている。第1の排気部33は、例えば、ターボ分子ポンプ42とロータリポンプ50との組み合わせで構成される。また、第2の排気部36は、非蒸発ゲッタ材料44と、その加熱機構45によって構成される。なお、上述したように、加熱機構45は真空容器外側の大気中に配置される。各々のバルブは真空遮断可能である。
[0069]
 アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが利用可能であるが、本実施形態では例えばルビジウムを用いている。
[0070]
 純化室34に設けられる第2の排気部36である非蒸発ゲッタ材料44は、第1の実施形態と同様の活性化手順によって超高真空状態にされる。また、本実施形態では、純化室34と第4のバルブ48を介して接続された第3の排気部49を使って純化室34を直接真空排気することができるようになっている。
[0071]
 <アルカリ金属の純化処理>
 次に、本実施形態によるアルカリ金属供給部30において実行されるアルカリ金属を純化する処理について説明する。
[0072]
 まず、第1のバルブ37を閉めた状態で収納室31を大気開放する。アルカリ金属であるルビジウム29は酸素や水などと反応するため、本実施形態では窒素パージされた雰囲気で収納室の金属網47の上に配置した。
[0073]
 次に、第2のバルブ38を開け、収納室31を第1の排気部33により真空排気する。そして、収納室31を第1の加熱機構32により約50℃に加熱する。すると、ルビジウム29は溶融する。ルビジウム29が溶解したら、第1のバルブ37を開けて収納室31と純化室34を接続する。溶融したルビジウム29は接続管46を通過して純化室34にまで落下する。
[0074]
 純化室34には接続管46の終端近傍にルビジウムを溜める開口容器41が配置されている。また、収納室31から純化室34にルビジウム20が供給されると、水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、水蒸気なども収納室31から拡散して純化室34に導入される。しかし、これらのガスは、非蒸発ゲッタ材料44によって高効率に吸収される。
[0075]
 以上の作用によって、ルビジウム29は高度に純化されるとともに、純化室34は超高真空に維持される。
[0076]
 そして、第3のバルブ39を開けて、ルビジウム29を第2の加熱機構35によって加熱するとノズル40を通して高純度のルビジウム29が試料9の表面に供給される。このときに純化室34で発生する水素ガスおよび酸素ガスは非蒸発ゲッタ材料44に吸収されるため、試料9にはそれらのガスはほとんど到達しない。
[0077]
 <元素分析について>
 高純度のルビジウム29が試料9の表面に供給されている状態で、アルゴンイオンビーム14を試料9に照射して、試料9から放出される二次イオンを検出する。このようにすると、水素や酸素の負の二次イオン収率が増大する効果と、水素や酸素のバックグラウンドが低下する効果によって、試料9に含まれる水素および酸素の超高感度の元素分析を実現することができる。
[0078]
 また、エミッタティップ21の先端に形成される電界強度を調整してイオンビーム14の微細化を図り、サブナノメータ直径で集束させてイオンビーム14を試料9に照射しながら走査すれば、サブナノメータ分解能の二次元元素分布像を得ることができる。さらに、ガスイオンビーム14を試料9に照射して走査を継続すると時間経過とともに深さ方向に試料9を削ることができる。このようにすると、試料9中の元素の三次元元素分布解析ができる。
[0079]
 なお、純化室34に内蔵される非蒸発ゲッタ材料44の活性化は、第4のバルブ48と第3の排気部49を使って行うこともできる。すなわち、非蒸発ゲッタ材料44を加熱機構45で加熱し、第1のバルブ37と第3のバルブ39は閉めた状態、第4のバルブ48を開けた状態で非蒸発ゲッタ材料44から発生する水素ガスや酸素ガスなどを第3の排気部49によって排気する。そして、再活性化後には第4のバルブ48を閉じる。このようにすることにより、非蒸発ゲッタ材料44を活性化することができる。
[0080]
(3)第3の実施形態
 第3の実施形態によるイオンビーム装置は、第1及び第2の実施形態におけるアルカリ金属供給部30の代わりに、アルカリ金属イオン照射系カラム200を有することを特徴としている。
[0081]
 <イオンビーム装置の構成>
 図7は、第3の実施形態によるイオンビーム装置の構成例を示す図である。以下、イオンビーム装置として、イオンビーム元素分析装置を例にして説明する。
[0082]
 本例のイオンビーム元素分析装置は、ガス電界電離イオン源1と、イオンビーム照射系カラム2と、試料室3と、冷却機構4と、飛行時間型質量分析カラム6と、セシウムイオン照射系カラム200と、イオン源ガス供給部26と、を有する。ここで、ガス電界電離イオン源1、イオンビーム照射系カラム2、試料室3、飛行時間型質量分析カラム6、及びセシウムイオン照射系カラム200などは真空容器である。当該イオンビーム元素分析装置によれば、試料9の元素の同定および特定の元素の二次元分布像取得、三次元分布解析陥などが可能である。
[0083]
 なお、ガス電界電離イオン源の動作、イオンビーム照射系の動作、質量分析計の動作ななどは第1の実施形態と同じである。また、本実施形態では、試料9に照射するガスイオン種として、ネオンを用いることとする。
[0084]
 図7に示されるように、イオンビーム照射系カラム2はイオンビーム元素分析装置設置面20すなわち床に対して直立しており、飛行時間型質量分析カラム6は傾斜している。また、セシウムイオン照射系カラム200では、セシウムイオンビーム照射方向が試料9の表面にほぼ平行になるように、好適には、試料9表面からの照射方向の角度が0度以上で大きくとも10度以下になるように配置されている。
[0085]
 セシウムイオン照射系カラム200は、セシウム液体金属イオン源201、イオン電位電極202、集束レンズ203、及び対物レンズ204などを構成として含んでいる。例えば、セシウム液体金属イオン源201には正の0.5kVが印加されており、イオン電位電極202には負の3kVが印加されている。このようにすると0.5kVという低いエネルギーのセシウムイオンが試料9に照射される。本実施形態のように、エネルギーの低いイオンビームが試料9の表面にほぼ平行に照射されると、垂直方向から照射されるネオンイオンビームで形成された試料9の表面の凹凸がなくなり、かつ、試料9の表面に適量のセシウムが供給されることが発明者らによって見いだされた。すなわち、発明者らは、セシウムが試料9に適量供給されるため、水素や酸素の負の二次イオン収率が増大することを突き止めたのである。
[0086]
 従来は、セシウムイオンビームを試料9に照射したときに発生する二次イオンを検出していたため、試料9の極微小部の元素分析は困難であった。また、試料9に予めセシウムを照射してガリウムイオンを照射しても表面第一層の感度は高まるものの、その後で感度が低下してしまい、高感度な深さ分析や三次元分析は実現されていなかった。
[0087]
 第3の実施形態によれば、セシウム濃度を常に最適状態に保つことができるため、水素や酸素の感度が変化しないようにセシウム濃度を調整することができる。また、イオン電位電極を用いて、セシウムを極低エネルギーで試料9に照射する。このため、セシウムイオンによるスパッタ損傷を少なくできるとういう効果を期待することができる。なお、セシウム以外のアルカリ金属であるリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、フランシウムでも同様な効果を得ることができる。また、ネオンのほかにアルゴンを用いると、イオン源で水素や酸素のイオンビーム発生が少なく超高感度の分析が可能になることも分かった。
[0088]
 以上、第3の実施形態は、ガス電界電離イオン源1と、イオン源1から放出されるガスイオンビーム14を試料9に照射するイオンビーム照射系と、アルカリ金属イオンを試料9に照射するイオンビーム照射系と試料9を収納する試料室3と、アルカリ金属イオンビームを試料9に対して略平行方向から照射可能な時に、ガスイオンビーム14を試料9に対して略垂直方向から照射して、試料9から放出される二次イオンを検出できるシステムと、を有するイオンビーム元素分析装置を提供する。このようにすると、ガスイオンビームを試料9に対して略垂直方向から照射して試料9の三次元分析をする際に、試料9の表面にイオンスパッタによって凹凸が生じてしまう。そこで、アルカリ金属イオンビームを試料9に対して略平行方向から照射することにより、試料9の表面の凹凸を少なくすることができる。すなわち、分析結果から三次元再構築する場合にひずみの少なくすることができるという効果を期待することができる。また、水素および酸素の二次イオン収率が増大して、水素および酸素の検出感度が向上するという効果を奏する。
[0089]
 <試料室に載置される非蒸発ゲッタ材料の作用効果>
 当該イオンビーム装置においては、試料室3に載置された試料9の近傍に非蒸発ゲッタ材料77が設置されている。また、試料室3の容器の大気側には、この非蒸発ゲッタ材料77を加熱するための加熱機構78が設置されている。
[0090]
 当該装置では、この非蒸発ゲッタ材料77によって水素ガス及び酸素ガスなどが吸着されるため、バックグラウンドに存在する水素及び酸素の濃度が低下し、試料9に含まれる水素及び酸素を高感度分析することが可能となる。なお、試料室3の容器の大気側には、この非蒸発ゲッタ材料77の加熱機構78が設置されている。これにより、非蒸発ゲッタ材料77の再活性をすることができる。すなわち、高感度分析可能な状態を長期間継続できるという効果を奏する。
[0091]
(4)実施形態のまとめ
(i)本実施形態によるイオンビーム装置(イオンビーム元素分析装置)は、アルカリ金属を試料に供給する供給部を有する。そして、当該供給部は、第1の排気部と、第1の排気部の作動後に、水素ガスまたは酸素ガスを排気する第2の排気部(特定ガス除去部)と、を有する。このようにすることにより、極微量の水素や酸素を超高感度に検出できる実用的なイオンビーム装置を提供することができる。特に、第1の排気部によって供給部の大気およびアルカリ金属から発生する不純物ガスを排気する。また、第2の排気部によって極微量の水素ガスまたは酸素ガス(特定ガス)を排気する。このため、試料に水素ガスや酸素ガスをほとんど供給することなくアルカリ金属を供給することが可能となる。従って、水素および酸素二次イオンバックグランドが低く、水素および酸素の負の二次イオン収率が大きい状況で分析が可能になる。よって、試料に含まれる極微量の水素や酸素を超高感度に検出できる。
[0092]
 第2の排気部は、非蒸発ゲッタ材料を含むようにしても良い。第1の排気部によって供給部の大気およびアルカリ金属から発生する不純物ガスを排気して、さらに第2の排気部に含まれる非蒸発ゲッタ材料によって、純粋アルカリ金属を加熱する際に容器などから発生する水素ガス、酸素ガスを取り除く。非蒸発ゲッタ材料は、水素ガスや酸素ガスの排気(除去)速度が高いため、水素および酸素ガスを少なくでき、二次イオンバックグランドを低くすることができる。よって、試料に含まれる極微量の水素や酸素を超高感度に検出できる。
[0093]
 供給部は、純化室と、アルカリ金属を収納する収納室と、を有する。純化室と試料室は第1のバルブで、収納室と純化室は第2のバルブでそれぞれ接続されている。まず、収納室にアルカリ金属を含む材料を配置し、第2のバルブを閉めた状態で収納室の大気およびアルカリ金属から発生する不純物ガスを排気することによりアルカリ金属を真空中で収納する。次に、第1のバルブを開けた状態、及び第2のバルブを閉じた状態で、アルカリ金属を加熱蒸発させる。これにより純化室にアルカリ金属の一部を移すことができる。そして、第2の排気部が非蒸発ゲッタ材料を含むことから、純粋アルカリ金属を加熱する際に容器などから発生する水素ガス、酸素ガスを取り除くことができる。なお、純化室の内部に、非蒸発ゲッタ材料と加熱部を設けるようにしても良い。これにより、純化室を第1の排気部によって排気した後に、第2の排気部の非蒸発ゲッタ材料を加熱して活性化することができる。すなわち、非蒸発ゲッタ材料の水素ガスおよび酸素ガスに対する排気速度を高い状態に保持することが可能になる。
[0094]
 イオン源は、ガス電界電離イオン源であっても良い。ガス電界電離イオン源から放出されたガスイオンビームを試料に照射することができる。特に、ガスイオンビームを極微細に細束化して試料に照射すれば、二次元および三次元元素分析が可能になる。すなわち、極微量の水素や酸素の三次元分布を調べることが可能となる。また、従来のガリウム金属を用いた場合に比べて試料損傷が少なく、試料の構造を調べるのに好適である。
[0095]
 当該イオンビーム装置では、ガス電界電離イオン源が少なくとも3種以上のガス容器と接続されている。第1のガス容器は少なくとも酸素ガスを含み、第2のガス容器はネオン、アルゴン、キセノン、クリプトンのうち少なくとも一種を含み、第3のガス容器は水素、ヘリウムのいずれかを含む。これにより、ガス電界電離イオン源から様々な種類のガスイオンビームを試料に照射することができる。例えば、第1のガス容器の酸素ガスを用いれば、酸素ガスイオンビームを試料に照射して、正の二次イオンを検出することにより電気的陽性元素の高感度分析を実現することができる。第2のガス容器のネオン、アルゴン、キセノン、クリプトンの内いずれかのガスを用い、アルカリ金属供給部からアルカリ金属を試料に供給しながら、ガスイオンビームを試料に照射して、負の二次イオンを検出することにより、水素および酸素の高感度分析を実現することができる。さらに、第3のガス容器の水素またはヘリウムいずれかのイオンビームを試料に照射して二次電子を検出すれば、試料に大きなダメージを与えることなく試料表面の走査イオン像を得ることができる。すなわち、試料表面の構造情報と元素情報を得ることができる。
[0096]
(ii)本実施形態によるイオンビーム装置においては、上述のように供給部内に極微量の水素ガスまたは酸素ガス(特定ガス)を取り除くための非蒸発ゲッタ材料を配置しても良いが、それとは別に、或いはそれに加えて、試料室内に非蒸発ゲッタ材料を収納する容器を接続するようにしても良い。このようにしても、非蒸発ゲッタ材料によって試料室内の水素ガスおよび酸素ガスを高速に排気し、水素および酸素ガスを少なくでき、二次イオンバックグランドを低くできる。よって、試料に含まれる極微量の水素や酸素を超高感度に検出できる。なお、非蒸発ゲッタ材料を収納する容器と試料室とはバルブを介して接続されている。これにより、水素および酸素分析以外の元素分析の際にバルブを閉じておけば非蒸発ゲッタ材料の活性化間隔を長くすることができる。すなわち、装置の効率的な動作が実現される。
[0097]
(iii)本実施形態によるイオンビーム装置においては、上述のように供給部内に極微量の水素ガスまたは酸素ガス(特定ガス)を取り除くための非蒸発ゲッタ材料を配置し、試料室内に非蒸発ゲッタ材料を収納する容器を接続するようにしても良いが、それとは別に、或いはそれに加えて、試料室内(試料近傍)に非蒸発ゲッタ材料を設置するようにしてもよい。このようにしても、試料室内の水素ガスおよび酸素ガスを少なくできて、二次イオンバックグランドを低くできる。そして、ガス電界電離イオン源から放出されたガスイオンビームを極微細に細束化して試料に照射すれば、水素および酸素の超高感度の二次元および三次元元素分析が可能になる。
[0098]
(iv)本実施形態によるイオンビーム装置は、イオン源から放出されるガスイオンビームを試料に照射するイオンビーム照射系と、アルカリ金属イオンを試料に照射するイオンビーム照射系と、試料から放出される二次イオンを検出できるシステムと、を有している。アルカリ金属イオンビームは、試料に対して略平行方向から照射可能となっており、ガスイオンビームを試料に対して略垂直方向から照射するように構成されている。ガスイオンビームを試料に対して略垂直方向から照射して試料の三次元分析をする際に、試料表面にイオンスパッタによる凹凸が生じるという課題がある。そこで、アルカリ金属イオンビームを試料に対して略平行方向から照射することにより、試料表面の凹凸が少なくすることができる。すなわち、分析結果から三次元再構築する場合にひずみを少なくすることができるという効果を奏する。
[0099]
(v)本実施形態における試料元素分析は、ガスイオンビームを試料に照射すること、アルカリ金属原料を蒸発させること、非蒸発ゲッタ材料によって水素または酸素を吸着させること、アルカリ金属蒸気を試料に供給すること、ガスイオンビームを試料に照射して試料から放出された二次イオンを検出すること、によって実行される。このようにすることにより、アルカリ金属蒸気を試料に供給する際に、試料に水素および酸素を供給することが極めて少ないため、試料中の水素および酸素を超高感度で分析できるようになる。なお、アルカリ金属としては、セシウム、リチウム、ナトリウムのいずれかを用いることが可能である。

符号の説明

[0100]
1 ガス電界電離イオン源,2 イオンビーム照射系カラム,3 試料室,4 冷却機構,5 集束レンズ,6 飛行時間型質量分析カラム,7 パルス化電極,8 対物レンズ,9 試料,10 試料ステージ,11 荷電粒子検出器,12 イオン源真空排気用ポンプ,13 試料室真空排気用ポンプ,14 イオンビーム(ガスイオンビーム),15 真空容器,16 二次イオン,17 装置架台,18 ベースプレート,19 防振機構,20 床(イオンビーム元素分析装置設置面),21 エミッタティップ,22 フィラメント,23 フィラメントマウント,24 引き出し電極,26 イオン源ガス供給部,29 アルカリ金属,30 アルカリ金属供給部,31 アルカリ金属収納室,32 第1の加熱機構,33 第1の排気部,34 純化室,35 第2の加熱機構,36 第2の排気部,37 第1のバルブ,38 第2のバルブ,39 第3のバルブ,40 アルカリ金属を試料表面に導くノズル,41 開口容器,42 ターボ分子ポンプ,43 ドライポンプ,44 非蒸発ゲッタ材料,45 加熱機構,46 接続管,47 金属網,48 第4のバルブ,49 第3の排気部,50 ロータリポンプ,51 非蒸発ゲッタ材料,52 真空排気ポンプ,53 真空遮断可能なバルブ,54 加熱機構,55 二次イオン検出部,56 マイクロチャンルプレート,57 二次元電気検出器,61 傾斜機構,62 イオンビーム照射軸,64 エミッタベースマウント,71 イオンレンズ,72 イオンレンズ,73 非蒸発ゲッタ材料,74 真空排気ポンプ,75 真空遮断可能なバルブ,76 非蒸発ゲッタ材料の加熱機構,77 非蒸発ゲッタ材料,78 非蒸発ゲッタ材料の加熱機構,81 第1のガス容器,82 第2のガス容器,83 第3のガス容器,91 ガス電界電離イオン源制御装置,92 冷却機構制御装置,93 レンズ制御装置,94 パルス化電極制御装置,95 飛行時間型質量分析計制御装置,96 二次イオン検出器制御装置,97 試料ステージ制御装置,98 真空排気用ポンプ制御装置,99 本体制御装置,191 イオン化ガス制御装置,192 アルカリ金属供給部制御装置,200 セシウムイオン照射系カラム,201 セシウム液体金属イオン源,202 イオン電位電極,203 集束レンズ,204 対物レンズ

請求の範囲

[請求項1]
 イオン源と、
 前記イオン源から放出されるイオンビームを試料に照射するイオンビーム照射系と、
 前記試料を収納する試料室と、
 前記イオンビームを前記試料に照射して前記試料から放出される二次イオンを検出する検出システムと、
 アルカリ金属を前記試料に供給するアルカリ金属供給システムと、
 前記試料に供給される前記アルカリ金属に起因する水素ガス及び/又は酸素ガスを取り除く特定ガス除去部と、
を有する、イオンビーム装置。
[請求項2]
 請求項1において、
 前記特定ガス除去部は、前記アルカリ金属供給システムに含まれ、
 前記アルカリ金属供給システムは、さらに、当該アルカリ金属供給システム内を排気する排気部と、を含み、
 前記アルカリ金属供給システムは、前記排気部による排気動作の作動後に、前記特定ガス除去部によって、前記アルカリ金属に起因する水素ガス及び/又は酸素ガスを取り除く、イオンビーム装置。
[請求項3]
 請求項1において、
 前記特定ガス除去部は、非蒸発ゲッタ材料を含む、イオンビーム装置。
[請求項4]
 請求項2において、
 前記アルカリ金属供給システムは、第1のバルブを介して前記排気部と接続され、アルカリ金属を収納するための収納室と、第2のバルブを介して前記収納室と接続され、アルカリ金属を純化するための純化室と、を有する、イオンビーム装置。
[請求項5]
 請求項4において、
 前記特定ガス除去部は、非蒸発ゲッタ材料と、当該非蒸発ゲッタ材料を加熱する加熱部と、を有し、
 前記非蒸発ゲッタ材料は、前記純化室内部に設置されている、イオンビーム装置。
[請求項6]
 請求項1において、
 前記イオン源は、ガス電界電離イオン源である、イオンビーム装置。
[請求項7]
 請求項6において、
 前記ガス電界電離イオン源は、少なくとも3種のガス容器と接続されており、
 第1のガス容器は、少なくとも酸素ガスを含み、
 第2のガス容器は、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトンのうち、少なくとも1種のガスを含み、
 第3のガス容器は、水素及びヘリウムのいずれかのガスを含む、イオンビーム装置。
[請求項8]
 請求項1において、
 前記特定ガス除去部は、前記試料室に取り付けられている、イオンビーム装置。
[請求項9]
 請求項1において、
 前記イオン源は、ガス電界電離イオン源であり、
 前記イオンビーム照射系は、前記イオンビームを前記試料に対して略垂直方向から照射し、
 前記アルカリ金属供給システムは、前記アルカリ金属のイオンビームを前記試料に対して略平行方向から照射する、イオンビーム装置。
[請求項10]
 請求項9において、
 前記特定ガス除去部は、非蒸発ゲッタ材料を含み、かつ前記試料室の内側に設置されている、イオンビーム装置。
[請求項11]
 請求項9において、
 前記試料にイオンビーム照射することにより前記試料から放出された二次イオンの質量を分析する質量分析計カラムを有し、
 前記質量分析計カラムは、前記イオンビーム装置設置面に対して傾斜している、イオンビーム装置。
[請求項12]
 ガス電界電離イオン源と、
 前記ガス電界電離イオン源から放出されるイオンビームを試料に照射するイオンビーム照射系と、
 前記試料を収納する試料室と、
 前記イオンビームを照射して前記試料から放出される二次イオンを検出できるシステムと、
 前記試料近傍に設置された非蒸発ゲッタ材と有することを特徴とするイオンビーム装置。
[請求項13]
 請求項12において、
 非蒸発ゲッタ材は容器に納められており、前記容器はバルブを介して前記試料室に接続さているイオンビーム装置。
[請求項14]
 ガスイオンビームを試料に照射することと、
 アルカリ金属を蒸発させてアルカリ金属蒸気を生成することと、
 非蒸発ゲッタ材料によって水素または酸素を吸着させることと、
 前記アルカリ金属蒸気を前記試料に供給することと、
 前記ガスイオンビームを前記試料に照射して前記試料から放出された二次イオンを検出することと、
を含む試料元素分析方法。
[請求項15]
 請求項14において、
 前記アルカリ金属は、セシウム、リチウム、ナトリウム、カリウムのいずれかである、試料元素分析方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]