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1. (WO2017026519) 積層造形用Ni基超合金粉末
Document

明 細 書

発明の名称 積層造形用Ni基超合金粉末

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030  

実施例

0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041  

請求の範囲

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : 積層造形用Ni基超合金粉末

技術分野

[0001]
 本発明は、積層造形用Ni基超合金粉末に関する。

背景技術

[0002]
 従来より、粉末材料にレーザや電子ビームを照射して三次元形状造形物を製造する方法(以下、粉末焼結積層法と呼ぶ)が知られている。かかる方法として、例えば特許第4661842号(特許文献1)に開示されているように、金属粉末からなる粉末層に光ビームを照射して焼結層を形成し、三次元形状造形物を得る金属光造形用金属粉末であるFe系粉末、Ni、Ni系、Cu、Cu系合金、および黒鉛からなる1種類以上の粉末の製造方法が提案されている。
[0003]
 このような粉末焼結積層法で用いられる粉末のひとつに、Ni基超合金粉末がある。例えば特許第5579839号(特許文献2)に開示されているように、Ni基超合金はTi、Alなどを添加、熱処理して金属間化合物を析出させることで、耐熱性に優れることから、宇宙・航空機分野のエンジン部品素材などの用途に、鋳造材、鍛造材の形で使用されているが、加工性が悪いことから、ニアネットシェイプで部品を作製できる粉末焼結積層法の適用が進められている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特許第4661842号
特許文献2 : 特許第5579839号

発明の概要

[0005]
 一方、Ni基超合金は粉末積層造形法などの急速溶融急冷凝固プロセスを適用すると、高合金組成かつ耐熱性向上のための金属間化合物の析出により、内部に微小なクラックが生じ、密度、強度が低下するという問題がある。
[0006]
 上述したような課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、Ni基超合金の成分規格JIS F 4901では、Sは0.015%以下、Nは規格無しと定められているが、S、Nをより低い値に制御を行うことで、粉末積層造形法などの急速溶融急冷凝固プロセスを適用し焼結された組織においても、微小クラックなどが生じることなく健全な焼結体を得ることができることを見出し、本発明に至った。
[0007]
 すなわち、Ni基超合金の部品を一般の鋳造、鍛造プロセスを母材に作製した際には、割れは発生しないが、急速溶融急冷凝固プロセスで部品を造形した場合には、部品内部に割れが生じる。この割れの状況を調査した結果、凝固中に不純物成分偏析による濃化が生じ一部分に液相を生じるため、ここが再凝固するときに収縮し割れが生じることが分かった。
[0008]
 急速急冷プロセスでは、一般の鋳造、鍛造プロセスよりも、短時間で溶融、凝固が繰り返されることから、不純物元素が拡散しきる前に、溶融、凝固に至る。そのため、凝固時に不純物元素が偏析する領域のみ液相が存在する状態となり、この液相、凝固領域の間にひずみが働くことにより割れが生じると考えた。そこで、Ni基超合金の造形実験における不純物成分と密度、強度の影響を鋭意検討した結果、Sを0.002%以下及び/又はNを0.10%以下に制御することにより、割れが抑制できることが分かった。
[0009]
 そして、急速溶融急冷凝固プロセスにおいて、Sは凝固時に低融点の液相を生じ凝固割れを発生しやすいこと、Nは顕著に固溶強化に寄与することにより造形体自身の硬さを上げ、延性が低下し、凝固割れを助長することを明らかにした。本発明は、このように、急速溶融急冷凝固プロセスにおける割れの原因から、Ni基超合金粉末中のS、Nの低下が有効であることを見出し、割れの少ないNi基超合金の造形を実現したものである。
[0010]
 したがって、本発明の目的は、積層造形法などの急速溶融急冷凝固プロセスで焼結を行っても、内部に割れを生じにくく健全な焼結体を得られるNi基超合金粉末を提供することである。このNi基超合金粉末は、焼結させるための高エネルギー照射方式を問わず積層造形用母材として用いることができる。その特徴は、不純物成分であるS、Nを低く制御することにより、急速溶融急冷凝固プロセスでも健全な造形を可能とし、積層造形密度、強度を改善し、健全な焼結組織を得られるようにしたことにある。
[0011]
 本発明の一態様によれば、質量%で、
   C :0~0.2%、
   Si:0.05~1.0%、
   Mn:0.05~1.0%、
   Cr:10.0~25.0%、
   Fe:0.01~10%、
   Al:0.1~8.0%、
   Ti:0.1~8.0%、
   S :≦0.002%及び/又はN:≦0.10%、
残部Niおよび不可避的不純物からなる、積層造形用Ni基超合金粉末が提供される。
[0012]
 本発明のNi基超合金粉末によれば、急速溶融急冷凝固プロセスにより焼結を用いても割れの少ない造形を実現することができる。

発明を実施するための形態

[0013]
 次に、本発明のNi基超合金粉末の組成についての限定理由を説明する。なお、以下の説明において、組成の成分量は質量%での値である。
[0014]
 本発明のNi基超合金粉末において、Sは凝固時に低融点の液相を生じることにより、急速溶融急冷凝固プロセスにおける焼結での割れを助長する。上記割れを抑制することができるため、S含有量を0.002%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは、S含有量が0.0015%以下、より好ましくは0.001%以下である。
[0015]
 本発明のNi基超合金粉末において、Nは顕著に固溶強化に寄与することにより、造形体自身の硬さを上げ、延性が低下することにより割れを助長する。上記割れを抑制することができるため、N含有量を0.10%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは、N含有量が0.08%以下、より好ましくは0.06%以下である。
[0016]
 本発明のNi基超合金粉末において、Siは溶解時の脱酸材として働くとともに、高温での耐酸化性を付与する元素であり、そのために0.05%以上添加する。しかし、多量に添加すると高温での耐酸化性が劣化するため、1.0%以下とする。好ましくは、Si含有量が0.1~0.8%であり、特に好ましくは0.2~0.6%である。
[0017]
 本発明のNi基超合金粉末において、MnはSiと同様に溶解時の脱酸材として働くとともに、合金の固溶体強化に寄与する元素であり、0.05%以上添加する。しかし、多量に添加すると高温での耐酸化性が劣化するため、Mn含有量を1.0%以下とする。好ましくは、Mn含有量が0.1~0.8%であり、特に好ましくは0.2~0.6%である。
[0018]
 本発明のNi基超合金粉末において、Crは合金の固溶体強化と耐酸化性の向上に寄与する必須元素である。Cr含有量が10%未満では上記効果が得られず、また、25%を超えるとδ相が生成し、高温強度と靭性が低下するため、その含有量を10.0~25.0%とする。好ましくは、Cr含有量が12.5%を超え20%未満であり、特に好ましくは14~20%である。
[0019]
 本発明のNi基超合金粉末において、FeはNiの代替によるコスト低減に有効な元素であり、0.01%以上添加してもよい。しかし、10%を超える添加はσ相の生成により、延性が低下するため、その含有量を0.01~10%とする。好ましくは、Fe含有量が0.01~8.0%であり、特に好ましくは0.01~6.0%である。
[0020]
 本発明のNi基超合金粉末において、Alはγ’相を形成し、クリープ破断強さと耐酸化性を上げる元素であり、0.1%以上添加してもよい。しかし、Al含有量が8.0%を超えると高温割れが発生しやすくなり、積層造形時に割れが発生しやすくなるため、その含有量を0.1~8.0%とする。好ましくは、Al含有量が0.1~5.0%であり、特に好ましくは0.1~3.0%である。
[0021]
 本発明のNi基超合金粉末において、TiはAlと同様にγ’相を形成し、クリープ破断強さと耐酸化性を上げる元素であり、0.1%以上添加してもよい。しかし、Ti含有量が8.0%を超えると高温割れが発生しやすくなり、積層造形時に割れが発生しやすくなるため、その含有量を0.1~8.0%とする。好ましくは、Ti含有量が0.1~5.0%であり、特に好ましくは0.1~3.0%である。
[0022]
 本発明のNi基超合金粉末において、Mo、W、Cuは、固溶体強化に寄与し強度を高めるのに有効な元素であるため、必要に応じて0.1%以上含有させてもよい。しかし、含有量が多すぎるとμ相またはσ相の生成を助長し、脆化の一因となるため、Moの含有量は12%以下、W及びCuの含有量はそれぞれ10%以下とする。好ましくは、Mo含有量が1.0~8.0%であり、特に好ましくは、Mo含有量が1.0~6.0%である。
[0023]
 本発明のNi基超合金粉末において、Coはγ’相のNi固溶体に対する溶解度をまし、高温延性と高温強度を改善するため、必要に応じて0.1%以上含有させてもよい。しかし、含有量が多すぎると脆化するため、その含有量を20%以下とする。好ましくは、Co含有量が0.1~15.0%であり、特に好ましくは0.1~10.0%である。
[0024]
 本発明のNi基超合金粉末において、Zrは粒界に偏析してクリープ強度を高めるのに有効な元素であり、必要に応じて0.01%以上含有させてもよい。しかし、多すぎると靭性を劣化させるので、その含有量を0.2%以下とする。好ましくは、Zr含有量が0.01~0.15%であり、特に好ましくは0.01~0.1%である。
[0025]
 本発明のNi基超合金粉末において、Nb、Taは炭化物を形成するとともにγ’相を強化し強度を向上させるので、必要に応じて0.1%以上含有させてもよい。しかし、多すぎるとラーベス相を生成して、強度を低下させるので、それぞれの含有量を6.0%以下とする。好ましくは、Nb含有量が1.2~6.0%、特に好ましくは、Nb含有量が3.0~6.0%である。
[0026]
 本発明のNi基超合金粉末において、Bは粒界を強化して強度を向上させる効果があるため、必要に応じて0.001%以上含有させてもよい。しかし、多すぎるとホウ化物が析出し靭性が低下するので、その含有量を0.01%以下とする。
[0027]
 本発明のNi基超合金粉末において、Hfは耐酸化性を向上させる効果があるため、必要に応じて0.1%以上含有させてもよい。しかし、多すぎると脆化相を生成して、強度、靭性を低下させるので、その含有量を2.0%以下とする。
[0028]
 本発明のNi基超合金粉末において、Cは、Nb、TiなどとMC型炭化物を形成するほか、Cr、Mo、WなどとM  C、M  C  、M 12 などの炭化物をつくり、合金の高温強さを高める効果がある。そのため、その含有量を0%以上、好ましくは0.001%以上とする。しかし、Cを多量に添加すると、炭化物が結晶粒界に連続的に析出し、結晶粒界がぜい弱になり、耐食性、靭性が劣化するので、その含有量を0.2%以下とする。さらに好ましくは、C含有量が0.03~0.15%であり、より好ましくは0.03~0.1%である。
[0029]
 本発明の硬質粉末を積層造形用粉末として用いる場合、平均粒径は10~100μmでかつD90が150μm以下であるのが好ましい。平均粒径を10μm以上とすることで、微粉化による粉末の流動性低下を抑制し、100μm以下とすることで、充填率低下及び造形体の密度低下を抑制する。さらに好ましくは、平均粒径が10~90μmであり、より好ましくは30~90μmである。また、D90を150μm以上とすることで、積層造形時に粉末の一部が溶け残って焼結され、欠陥として残存することを抑制する。さらに好ましくは、D90が130μm以下であり、より好ましくは120μm以下である。
[0030]
 本発明のNi基超合金粉末において、OはFe、Ti、Alなどと酸化物を生成し、強度、延性低下につながるため、その含有量を0.02%以下にすることが好ましい。
実施例
[0031]
 本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
[0032]
(1)合金粉末及びブロックの作製
 表1~3に示す供試材の作製に当たり、ガスアトマイズ法により所定の成分の粉末を作製し63μm以下に分級した。ガスアトマイズは、真空中にてアルミナ製坩堝で所定の配分となる様にした原料を高周波誘導加熱で溶解し、坩堝下の直径5mmのノズルから溶融した合金を落下させ、これに高圧アルゴンまたは高圧窒素を噴霧することで実施した。これを原料粉末とし、3次元積層造形装置(EOS-M280)を用いて角10mmのブロックを作製した。その供試材についての不純物S、Nの造形時割れに対する影響を詳細に評価した。その時の割れ数、相対密度に対する挙動を評価し、表1~3に示す。
[0033]
(2)割れの評価
 角10mmブロックを造形方向に対して平行に切断した試験片を用い、光学顕微鏡を用いて、ブロック断面を×100で5視野撮影し、割れの数を画像解析により算出した。
[0034]
(3)相対密度の評価
 相対密度は、角10mmブロックをアルキメデス法により測定した密度を、成分分析値から求められる計算比重で割った値とし、算出した。
[0035]
[表1]


[0036]
[表2]


[0037]
[表3]


[0038]
 No.32は、SおよびNの含有量が高いために、割れ数が129と高く、かつ相対密度が100以下である。No.33は、Si含有量が高く、かつSの含有量が高いために、割れ数が95と高く、かつ相対密度が100以下である。
[0039]
 No.34は、Mn含有量が高く、かつSの含有量が高いために、割れ数が110と高く、かつ相対密度が100以下である。No.35は、Mo含有量が高く、かつSの含有量が極めて高く、D90が高いために、割れ数が125と高く、かつ相対密度が極めて低い。No.36は、Fe含有量が高く、かつSの含有量が高いために、割れ数が62とやや高く、かつ相対密度が100以下である。
[0040]
 No.37は、Alの含有量が高く、特にSの含有量が極めて高いために、割れ数が174とやや高く、かつ相対密度が100以下である。No.38は、Crの含有量が低く、Ti、Nの含有量が高いために、割れ数が98とやや高い。No.39は、Crの含有量が低く、かつSの含有量が極めて高いために、割れ数が111と高く、かつ相対密度が100以下である。これに対し、No.1~31はいずれも割れ数は少なく、かつ相対密度は100を超していることが分かる。
[0041]
 以上のように、本発明のNi基超合金粉末により、積層造形法などの急速溶融急冷凝固プロセスで焼結を行っても、内部に割れを生じにくく健全な焼結体が得られ、このNi基超合金粉末は焼結させるための高エネルギー照射方式を問わず積層造形用母材として用いることができる。その特徴は、不純物成分であり、特にSを0.002%以下、Nを0.1%以下の低いレベルに制御することによって、割れを抑制し、内部クラックの生じない良好な造形体を作製することを可能とし、積層造形密度、強度を改善し、健全な焼結組織が得られる。

請求の範囲

[請求項1]
 質量%で、
   C :0~0.2%、
   Si:0.05~1.0%、
   Mn:0.05~1.0%、
   Cr:10.0~25.0%、
   Fe:0.01~10%、
   Al:0.1~8.0%、
   Ti:0.1~8.0%、
   S :≦0.002%及び/又はN:≦0.10%、
残部Niおよび不可避的不純物からなる、積層造形用Ni基超合金粉末。
[請求項2]
 質量%で、
   C :0.001~0.2%、
である、請求項1に記載の積層造形用Ni基超合金粉末。
[請求項3]
 請求項1又は2のいずれか1項の成分に加え、更にMo、W、Cu、Co、Zr、Nb、Ta及びHfの何れか1種または2種以上を
   Mo:0.1~12%、
   W :0.1~10%、
   Cu:0.1~10%、
   Co:0.1~20%、
   Zr:0.01~0.2%、
   Nb:0.1~6.0%、
   Ta:0.1~6.0%、
   B :0.001~0.01%、
   Hf:0.1~2.0%、
の量で含有させた、積層造形用Ni基超合金粉末。
[請求項4]
 平均粒径(D50)が10~100μmかつD90が150μm以下である、請求頂1~3のいずれか1項に記載の積層造形用Ni基超合金粉末。