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1. WO2017010402 - 脱硝触媒の再生方法及び脱硝触媒の再生システム、並びに脱硝触媒の洗浄剤

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明 細 書

発明の名称 脱硝触媒の再生方法及び脱硝触媒の再生システム、並びに脱硝触媒の洗浄剤

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

発明の概要

0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018  

図面の簡単な説明

0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068  

実施例

0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100  

産業上の利用可能性

0101  

符号の説明

0102  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14A   14B   15A   15B  

明 細 書

発明の名称 : 脱硝触媒の再生方法及び脱硝触媒の再生システム、並びに脱硝触媒の洗浄剤

技術分野

[0001]
 本発明は、脱硝触媒の再生方法及び脱硝触媒の再生システム、並びに脱硝触媒の洗浄剤に関し、特に、石炭焚きボイラ用の劣化した脱硝触媒の再生方法及び再生システム、並びに洗浄剤に関する。本出願は、2015年7月10日に出願した日本国特願2015-138939号に基づく優先権を主張し、その全ての記載内容を援用する。

背景技術

[0002]
 化石燃料、バイオマス等の燃料を燃焼させる設備は、燃料を燃焼させることで生じる排ガスに含まれる窒素酸化物を除去する脱硝設備を備えている。脱硝設備には、窒素酸化物の除去を促進させる脱硝触媒を備えている設備がある。脱硝触媒は、使用することで性能が劣化する。このため、脱硝設備は、メンテナンスの際に脱硝触媒の交換や、追加が行われている。また、脱硝触媒を再利用するために、性能を回復するための再生を行うことも提案されている。
[0003]
 日本国特許第4870217号公報には、ボイラの排ガスに使用する排煙脱硝装置における触媒活性改良方法において、シリカ・アルミナ・硫酸カルシウム系の被毒物質で活性が低下した脱硝触媒を予め水洗いし、含水させた後に有機酸とフッ化物との混液を用いて同物質を常温で洗浄除去する排煙脱硝装置における触媒活性改良方法が記載されている。日本国特開平10-235209号公報には、触媒性能が低下した脱硝触媒の再生の際に、洗浄液中のフッ化水素酸濃度を0.3~3質量%とし、前記洗浄液の温度を40~80℃に維持して触媒を洗浄することが記載されている。

発明の概要

[0004]
 上記特許文献に記載されているように、脱硝触媒の洗浄に有機酸とフッ化物等のフッ素化合物を用いることで触媒性能を高く回復させることができる。しかしながら、再生処理により、触媒表面にカルシウム等の触媒劣化成分が付着する場合がある。触媒劣化成分であるカルシウムが付着すると、再生処理後の触媒性能が不十分である虞がある。また、再生処理により脱硝触媒の圧壊強度が低下するという問題がある。
[0005]
 本発明は、上述した課題を解決するものであり、触媒の表面に着いた付着物を効率よく除去することができ、触媒性能を高く回復することができ、かつ圧壊強度の低下を抑制できる脱硝触媒の再生方法及び脱硝触媒の再生システム並びに脱硝触媒の洗浄剤を提供することを目的とする。
[0006]
 上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る、脱硝触媒の再生方法は、脱硝触媒を水洗いする予洗いステップと、水洗いをした前記脱硝触媒を無機酸とフッ素化合物とを含む薬液に浸漬させる薬液洗浄ステップと、前記薬液から前記脱硝触媒を取り出すステップと、前記薬液から取り出した前記脱硝触媒を、水又はスルファミン酸含有水を仕上げ洗浄液として洗う仕上げ洗いステップとを少なくとも含む。
[0007]
 前記薬液は、界面活性剤をさらに含むことが好ましい。また、界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤またはアニオン系界面活性剤であることがより好ましい。この界面活性剤により、洗浄液中に溶解しているカルシウムや、ダスト中のカルシウムを高分散させることができ、触媒への再付着抑制効果がある。
[0008]
 また、前記無機酸は、塩酸を含むことが好ましい。前記無機酸は、必要に応じて塩酸にホウ酸を含むことが望ましい。また、無機酸は、スルファミン酸を含むことが好ましい。
[0009]
 また、前記界面活性剤がノニオン系界面活性剤である場合、前記ノニオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン誘導体またはポリアルキレングリコール誘導体を主成分とする界面活性剤であることが好ましい。また、前記界面活性剤がアニオン系界面活性剤である場合、前記アニオン系界面活性剤は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルを主成分とする界面活性剤であることが好ましい。
[0010]
 また、前記薬液洗浄ステップは、前記脱硝触媒を前記薬液に浸漬させることにより、触媒表面のシリカ濃度を6質量%以下にすることが好ましい。
[0011]
 また、前記予洗いステップは、前記脱硝触媒を水槽内の水に浸漬させ、前記水槽を密閉して前記水槽内の空気を吸引することが好ましい。
[0012]
 また、前記薬液洗浄ステップは、前記薬液を繰り返し使用することが好ましい。
[0013]
 上記目的を達成するために、本発明の別の一態様に係る脱硝触媒の再生システムは、脱硝触媒を水洗いする予洗い部と、水洗いをした前記脱硝触媒を無機酸とフッ素化合物とを含む薬液に浸漬させる薬液洗浄部と、前記薬液から取り出した前記脱硝触媒を、水又はスルファミン酸含有水を仕上げ洗浄液として仕上げ洗いする仕上げ洗い部とを少なくとも備える。
[0014]
 少なくとも一態様に係る脱硝触媒の再生方法及び脱硝触媒の再生システムによれば、触媒の表面に付いた付着物を効率よく除去することができ、触媒性能を高く回復し、かつ圧壊強度の低下を抑制することができる。
[0015]
 また、上記目的を達成するために、本発明の別の一態様に係る、洗浄液は、石炭焚きボイラ用の劣化した脱硝触媒を洗浄する洗浄液であって、無機酸とフッ素化合物とを含有する水溶液を少なくとも含む。
[0016]
 前記洗浄液は、界面活性剤をさらに含み、前記界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤またはアニオン系界面活性剤であることが好ましい。
[0017]
 また、前記無機酸は、塩酸を含むことが好ましい。前記無機酸は、必要に応じて塩酸に防錆剤としてホウ酸を含むことが望ましい。また、塩酸以外では、無機酸は、スルファミン酸を含むことが好ましい。
[0018]
 また、前記界面活性剤がノニオン系界面活性剤である場合、前記ノニオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン誘導体またはポリアルキレングリコール誘導体を主成分とする界面活性剤であることが好ましい。また、前記界面活性剤がアニオン系界面活性剤である場合、前記アニオン系界面活性剤は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルを主成分とする界面活性剤であることが好ましい。

図面の簡単な説明

[0019]
[図1] 図1は、第1実施形態の脱硝触媒の再生システムの概略的な構成を示す模式図である。
[図2] 図2は、第1実施形態の脱硝触媒の再生方法の一例を示すフローチャートである。
[図3] 図3は、第2実施形態の脱硝触媒の再生システムの概略的な構成を示す模式図である。
[図4] 図4は、第2実施形態の脱硝触媒の再生方法の一例を示すフローチャートである。
[図5] 図5は、再生方法の実施例の触媒の性能回復率の計測結果を示すグラフである。
[図6] 図6は、再生方法の実施例の触媒表面シリカ濃度の計測結果をグラフである。
[図7] 図7は、再生方法の実施例の触媒表面カルシウムの計測結果を示すグラフである。
[図8] 図8は、再生方法の実施例の触媒の性能回復率の計測結果を示すグラフである。
[図9] 図9は、再生方法の実施例の触媒表面シリカ濃度の計測結果をグラフである。
[図10] 図10は、再生方法の実施例の触媒表面カルシウムの計測結果を示すグラフである。
[図11] 図11は、薬洗洗浄の処理時間と触媒表面の付着物の濃度との関係の計測結果を示すグラフである。
[図12] 図12は、薬洗洗浄の処理時間と脱硝触媒の性能回復率との関係の計測結果を示すグラフである。
[図13] 図13は、薬液の使用回数と脱硝触媒の性能回復率との関係の計測結果を示すグラフである。
[図14A] 図14Aは、仕上げ洗浄液の使用回数と脱硝触媒の性能回復率との関係の計測結果を示すグラフである。
[図14B] 図14Bは、仕上げ洗浄液の使用回数と脱硝触媒の性能回復率との関係の計測結果を示すグラフである。
[図15A] 図15Aは、仕上げ洗浄液の使用回数と脱硝触媒の性能回復率との関係の計測結果を示すグラフである。
[図15B] 図15Bは、仕上げ洗浄液の使用回数と脱硝触媒の性能回復率との関係の計測結果を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0020]
 以下に添付図面を参照して、好適な実施形態を詳細に説明する。この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせや一部置換して構成するものも含む。
[0021]
1.第1実施形態
1-1.洗浄剤
 第1実施形態の洗浄剤について説明する。本実施形態の洗浄剤は、フッ素化合物と無機酸とを少なくとも含有する水溶液の洗浄剤である。
[0022]
 フッ素化合物として、フッ化水素アンモニウム(NH 4HF 2)、フッ化アンモニウム(NH 4F)が例示される。フッ素化合物は、フッ化水素アンモニウムであることが好ましい。フッ化水素アンモニウムの量は、例えば、洗浄剤全体に対して1~10質量%とすることができ、1~5質量%の範囲が好ましい。
[0023]
 無機酸として、スルファミン酸(H 3NSO 3)、塩酸(HCl)、硫酸(H 2SO 4)、ホウ酸(H 3BO 3)が例示される。無機酸は、塩酸または塩酸とホウ酸であることが好ましい。ホウ酸は、防錆剤としても機能することができる。ホウ酸の量は、例えば洗浄剤に対して0.001~10質量%とすることができる。また、無機酸は、スルファミン酸であることも好ましい。
[0024]
 無機酸の量は、例えば、洗浄剤のpH値がpH1~6の範囲になるように添加することが好ましく、pH1~3の範囲がより好ましい。酸の量が洗浄剤のpH値が前記範囲内となるような量であれば、上記無機酸以外も添加することができる。
[0025]
 洗浄剤は、さらに界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン系またはアニオン系界面活性剤がより好ましい。
[0026]
 ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン誘導体、ポリアルキレングリコール誘導体を主成分とする非リン酸系界面活性剤が好ましい。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールのエチレンオキサイド(EO)含有量は、例えば39質量%とすることができる。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを主成分とする非リン酸系界面活性剤としては、ブラウノンP-101M(青木油脂工業社製)、エマルゲンPP-220(花王社製)、ニューポールPE-61、ニューポールPE-62、ニューポールPE-64、ニューポールPE-68、ニューポールPE-71、ニューポールPE-74、ニューポールPE-75、ニューポールPE-78、ニューポールPE-108等(三洋化成社製)、エバン410、エバン420、エバン450、エバン485、エバン680、エバン710、エバン720、エバン740、エバン750、エバン785、エバンU-103、エバンU-105、エバンU-108等(第一工業製薬社製)、プロノン(登録商標)#056、プロノン#101P、プロノン#105、プロノン#124、プロノン#124P、プロノン#154、プロノン#188P、プロノン#201、プロノン#202、プロノン#204、プロノン#208、プロノン#235、プロノン#235P、プロノン#237P、プロノン#238、プロノン#407P、ユニルーブ(登録商標)70DP-950B、ユニルーブ75DE-2620R等(日油株式会社製)、プリストールEM-440、プリストールEM-640、プリストールRM-183等(ミヨシ油脂社製)が例示される。また、ポリアルキレングリコール誘導体を主成分とする非リン酸系界面活性剤としては、マスターエア404(BASF社製)、フォームキラーM-14(青木油脂工業社製)、ディスパノールWI-115(日油株式会社製)、ユニルーブ50MB-2、ユニルーブ50MB-5、ユニルーブ50MB-11、ユニルーブ50MB-26、ユニルーブ50MB-72、ユニルーブ60MB-2B、ユニルーブ60MB-16、ユニルーブ60MB-26、ユニルーブ75DE-15、ユニルーブ75DE-25、ユニルーブ75DE-60、ユニルーブ75DE-170、ユニルーブ75DE-2620、ユニルーブ75DE-3800、ユニルーブ80DE-40U、ユニセーフAX-22、ユニルーブMB-7、ユニルーブMB-19、ユニルーブMB-700、ユニルーブMB-7X、ユニルーブMB-11X、ユニルーブ10MS-250KB等(日油株式会社製)、トリミンDF-300、トリミン610等(ミヨシ油脂社製)、リケーRK-95(理系化学工業社製)が挙げられる。
[0027]
 アニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステルまたはその塩を主成分とするリン酸エステル系界面活性剤が好ましい。リン酸エステル系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステルを主成分とする界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル・モノエタノールアミン塩を主成分とする界面活性剤がより好ましい。リン酸エステルまたはその塩を主成分とするリン酸エステル系界面活性剤としては、アントックス EHD-PNA、ニューコール 100-FCP、アントックス EHD-400等(日本乳化剤社製)、プライサーフ A208F、プライサーフ A208N、プライサーフA210D、プライサーフM208F等(第一工業社製)等が挙げられる。
[0028]
 界面活性剤の量は、例えば、洗浄剤全体に対して0.001~10質量%とすることができる。
[0029]
1-2.再生システム
 図1に、第1実施形態の脱硝触媒の再生システムの概略的な構成を示す。図1に示す脱硝触媒の再生システム100は、脱硝触媒の触媒性能を回復させる処理を実行する。対象となる脱硝触媒は、例えば、石炭焚きボイラから生じたシリカ、カルシウム、リン、砒素、ナトリウム、カリウム等の被毒物質を含む排ガスの脱硝に使用して被毒し、その触媒性能が低下した使用済みの脱硝触媒である。対象となる脱硝触媒は、格子状(ハニカム状)触媒、板状触媒、コルゲート状触媒を含む。また、脱硝触媒は、例えば、二酸化チタン(TiO 2)を担体とし、活性成分としてバナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mо)の少なくとも1つを含有する。
[0030]
 図1に示すように、脱硝触媒の再生システム100は、予洗い部102と、薬液洗浄部104と、仕上げ洗い部106と、乾燥部108とを備える。予洗い部102は、脱硝触媒を水洗いし、脱硝触媒に付着した異物、灰や可溶性のカルシウム等を除去するように構成されている。予洗い部102としては、水槽と水槽に水を供給する機構とを有し、水を溜めた水槽に脱硝触媒を投入し、脱硝触媒に水を浸漬させる装置を用いることができる。予洗い部102としては、シャワーノズル等を有し、脱硝触媒に水をかけて、脱硝触媒に水を浸漬させる装置を用いることもできる。予洗い部102では、水で脱硝触媒を洗い異物を除去すればよいが、脱硝触媒を洗浄する成分が混合された液体を用いてもよい。
[0031]
 薬液洗浄部104は、脱硝触媒を薬液(洗浄剤)に浸漬させて、脱硝触媒に付着した異物を除去するように構成されている。本実施形態の薬液は、無機酸とフッ素化合物とを少なくとも含有する。つまり、薬液は、無機酸とフッ素化合物の混合液であり、本実施形態の洗浄剤を好適に採用できる。
[0032]
 薬液洗浄部104としては、予洗い部102と同様に、水槽と水槽に薬液を供給する機構とを有し、薬液を溜めた水槽に脱硝触媒を投入し、脱硝触媒に薬液を浸漬させる装置を用いることができる。また、薬液洗浄部104としては、シャワーノズル等を有し、脱硝触媒に薬液をかけて、脱硝触媒に薬液を浸漬させる装置を用いることもできる。
[0033]
 仕上げ洗い部106は、薬液洗浄部104で薬液が浸漬された脱硝触媒を仕上げ洗浄液により仕上げ洗いして、脱硝触媒に付着している薬液を除去、低減するように構成されている。仕上げ洗い部106としては、水槽と水槽に仕上げ洗浄液を供給する機構とを有し、仕上げ洗浄液を溜めた水槽に脱硝触媒を投入し、脱硝触媒に仕上げ洗浄液を浸漬させて、脱硝触媒に付着している薬液を除去、低減する装置を用いることができる。仕上げ洗い部106としては、シャワーノズル等を有し、脱硝触媒に仕上げ洗浄液をかけて、脱硝触媒に付着している薬液を除去、低減する装置を用いることもできる。
[0034]
 仕上げ洗浄液としては、水(H 2O)、スルファミン酸(H 3NSO 3)、これらの混合液が例示される。仕上げ洗浄液は、スルファミン酸を含有することが好ましい。つまり、仕上げ洗浄液は、水と所定の濃度のスルファミン酸との混合液(以降、スルファミン酸含有水ともいう。)が好ましい。スルファミン酸の量は、例えば、水に対して0.5mоl/l~5mоl/lである。
[0035]
 乾燥部108は、仕上げ洗い部106で仕上げ洗いされた脱硝触媒から水分を除去するように構成されている。乾燥部108は、脱硝触媒へ100℃以上に加熱したガス、例えば1 30℃のガスを通気させることで、脱硝触媒に付着した水分を除去するように構成されている。乾燥部108では、水分を除去できればよく、脱硝触媒に乾燥された空気を送り、水分を吹き飛ばしてもよい。また、乾燥部108では、100℃以上に加熱された空間にて脱硝触媒を乾燥してもよい。
[0036]
1-3.再生方法
 図2に、第1実施形態の脱硝触媒の再生方法の一例をフローチャートで示す。図2に示す脱硝触媒の再生方法は、脱硝触媒の再生システム100の各部で処理を実行することで、実現することができる。本実施形態の脱硝触媒の再生方法は、予洗いステップと、薬液洗浄ステップと、脱硝触媒を取り出すステップと、仕上げ洗いステップとを含む。
[0037]
 図2に示すように、予洗いステップとして、脱硝触媒の再生システム100では、予洗い部102で脱硝触媒を水洗いする(ステップS12)。脱硝触媒の再生システム100では、予洗い部102内で脱硝触媒を水洗いすることで、表面に付着した異物を除去し、脱硝触媒の内部に液体が侵入しやすい状態にする。
[0038]
 薬液洗浄ステップとして、脱硝触媒の再生システム100では、脱硝触媒を予洗いしたら、薬液洗浄部104内で水洗いをした脱硝触媒を無機酸とフッ素化合物とを含有する薬液に浸漬させる(ステップS14)。脱硝触媒の再生システム100では、脱硝触媒を薬液に15分以上60分以下浸漬させる。脱硝触媒の再生システム100では、脱硝触媒を薬液に浸漬させることで、脱硝触媒に付着している物質、具体的には、シリカ(SiO 2)等を除去する。
[0039]
 脱硝触媒を取り出すステップとして、脱硝触媒の再生システム100では、脱硝触媒を薬液に浸漬させたら、薬液から脱硝触媒を取り出す。その後、仕上げ洗いステップとして、脱硝触媒の再生システム100では、薬液から取り出した脱硝触媒を仕上げ洗い部106内で仕上げ洗浄液を用いて仕上げ洗いを行う(ステップS16)。脱硝触媒の再生システム100では、仕上げ洗い部106で仕上げ洗いすることで、脱硝触媒に付着している薬液を除去する。
[0040]
 次に、脱硝触媒の再生システム100では、仕上げ洗い部106内で仕上げ洗浄液を用いて仕上げ洗いを行った後、乾燥部108内で脱硝触媒に付着している水を蒸発させ、脱硝触媒を乾燥させる。
[0041]
 本実施形態によれば、薬液として、無機酸とフッ素化合物とを含有する混合液を用いることで、バナジウム等活性成分が脱硝触媒から溶出することを抑制しつつ、難溶性のシリカを効率よく除去することができ、脱硝触媒の性能の回復率を高くすることができる。つまり、高い触媒性能の脱硝触媒に再生することができる。これにより、仕上げ洗い部で仕上げ洗いを行った後に、触媒の活性成分を含浸させる処理を行わなくても触媒性能を高くすることができる。例えば、薬液としてアルカリ性の水酸化ナトリウム(NaOH)を用いる再生方法と比較すると、硫酸等による中和工程、溶出したバナジウムを硫酸バナジル(VOSO 4)水溶液に浸漬して再度担持させる含浸工程、含浸工程後の乾燥工程等の工程を省略することができる。これにより、活性成分の含浸処理による再生処理の工数増加を抑制できる。
[0042]
 また、再生処理時に付着するカルシウム等を少なくすることができる。これにより、再生処理時に薬液を繰り返し使用しても、脱硝触媒の性能の回復率を高くすることができる。つまり、薬液を複数回使用することができる。
[0043]
 薬液は、無機酸として塩酸を含有することが特に好ましい。無機酸として塩酸を用いることで、カルシウムを溶解させることができ、再生処理時にカルシウムが脱硝触媒に付着することを抑制できる。
[0044]
 薬液は、さらに無機酸として、塩酸にホウ酸を含有することが特に好ましい。薬液にホウ酸を加えることで、脱硝触媒のパック枠から鉄が溶出することを抑制することができ、薬液中のSO 2酸化率の上昇を抑制することができる。
[0045]
 薬液は、フッ素化合物として、フッ化水素アンモニウムを用いることが好ましい。これにより、毒物であるフッ化水素水溶液を用いずに、脱硝触媒の触媒性能の回復率を高くすることができる。
[0046]
 また、本実施形態によれば、薬液は、さらに、界面活性剤を含有することが好ましい。薬液は、無機酸とフッ素化合物と界面活性剤の混合液であることが好ましい。薬液は、界面活性剤を含有することで、再生処理時にカルシウムが脱硝触媒に付着することを抑制できる。その結果、脱硝触媒の性能の回復率をより高くし、かつ脱硝触媒の圧壊強度の低下を抑制することができる。つまり、より高い触媒性能の脱硝触媒に再生することができ、つまり、薬液の使用回数を増やすことができる。また、薬洗工程に要する温度を低くしたり、薬洗工程に要する時間も短縮したりできる。その結果、再生処理の処理コストを削減できる。
[0047]
 界面活性剤としては、リン酸系界面活性剤、非リン酸系界面活性剤、が例示される。リン酸系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステルまたはその塩が例示される。非リン酸界面活性剤としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン誘導体が例示される。
[0048]
 無機酸とフッ素化合物とを含有する薬液としては、無機酸として塩酸及びホウ酸とフッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムとを混合した混合液;無機酸としてスルファミン酸とフッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムとを混合した混合液;または無機酸として塩酸とフッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムとを混合した混合液が例示される。
[0049]
 また、無機酸とフッ素化合物と界面活性剤を含有する薬液としては、無機酸としてスルファミン酸と界面活性剤としてリン酸エステルとフッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムとを混合した混合液;無機酸としてスルファミン酸と界面活性剤としてポリオキシエチレン誘導体とフッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムとを混合した混合液;無機酸として塩酸及びホウ酸と界面活性剤としてリン酸エステルとフッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムとを混合した混合液;または無機酸として塩酸及びホウ酸と界面活性剤としてポリオキシエチレン誘導体とフッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムとを混合した混合液とが例示される。
[0050]
 さらに、本実施形態によれば、仕上げ洗浄液は、スルファミン酸を含有することが好ましい。つまり、仕上げ洗浄液は、水とスルファミン酸との混合液が好ましい。スルファミン酸を含有する仕上げ洗浄液を用いることで、再生処理後の触媒表面上のカルシウム、アルミナを低減することができる。このため、触媒性能の回復率をより高くすることができる。これにより、薬液や仕上げ洗浄液を繰り返し使用しても、脱硝触媒の性能の高い回復率を維持することができる。つまり、薬液の使用回数を増やすことができる。
[0051]
2.第2実施形態
2-1.再生システム
 図3に、第2実施形態の脱硝触媒の再生システムの概略的な構成を示す。図3に示す第2実施形態の脱硝触媒の再生システム100aは、脱硝触媒の再生システム100や他の実施形態と組み合わせることができる。この点は他の実施形態も同様であり、各実施形態は一例であり、その一部に他の実施形態を組み合わせることができる。
[0052]
 図3に示すように、脱硝触媒の再生システム100aは、予洗い部102aと、薬液洗浄部104aと、仕上げ洗い部106aと、乾燥部108と、触媒搬送装置112とを備える。触媒搬送装置112は、脱硝触媒が設置されている脱硝設備から、脱硝触媒を取り外し、取り外した脱硝触媒を搬送する装置である。触媒搬送装置112は、触媒を搬送するクレーン、車両、人力で移動させる台車等を含むことができる。
[0053]
 予洗い部102aは、予備水洗槽114と、水供給装置116と、廃液タンク117と、真空引き槽118と、廃液タンク119と、真空ポンプ120とを備える。予備水洗槽114は、再生処理対象の脱硝触媒よりも大きく、液体が貯留可能な容器である。水供給装置116は、水を貯留するタンク及び水の供給を制御する弁等を有し、予洗い、真空引きに使用する水を予備水洗槽114、真空引き槽118のそれぞれに供給するように構成されている。廃液タンク117は、予備水洗槽114から排出される水を貯留する容器である。真空引き槽118は、再生処理対象の脱硝触媒よりも大きく、液体が貯留可能な容器である。本実施形態の真空引き槽118は、蓋等を有し、脱硝触媒を出し入れ可能であり、かつ、内部を密閉状態にすることができるように構成されている。廃液タンク119は、真空引き槽118から排出される水を貯留する容器である。予洗い部102aは、廃液タンク117と廃液タンク119とを1つのタンクとしてもよい。真空ポンプ120は、真空引き槽118内の空気を吸引するように構成されている。
[0054]
 薬液洗浄部104aは、薬洗槽122と、薬液供給装置123と、廃液タンク129とを備える。薬洗槽122は、再生処理対象の脱硝触媒よりも大きく、液体が貯留可能な容器である。薬液供給装置123は、薬液を貯留するタンク及び薬液の供給を制御する弁等を有し、薬液洗浄に使用する薬液を薬洗槽122に供給するように構成されている。廃液タンク129は、薬洗槽122から排出される薬液を貯留する容器である。
[0055]
 仕上げ洗い部106aは、仕上げ水洗槽130と、供給装置132と、廃液タンク134とを備える。仕上げ水洗槽130は、再生処理対象の脱硝触媒よりも大きく、液体が貯留可能な容器である。供給装置132は、本明細書に記載の仕上げ洗浄液を貯留するタンク及び仕上げ洗浄液の供給を制御する弁等を有し、仕上げ水洗槽130に仕上げ洗浄液を供給するように構成されている。廃液タンク134は、仕上げ水洗槽130から排出される仕上げ洗浄液を貯留する容器である。
[0056]
 乾燥部108は、脱硝触媒の再生システム100の乾燥部108と同様の構成である。
[0057]
2-2.再生方法
 図4に、第2実施形態の脱硝触媒の再生方法の一例をフローチャートで示す。図4に示す脱硝触媒の再生方法は、脱硝触媒の再生システム100aの各部で処理を実行することで、実現することができる。本実施形態の脱硝触媒の再生方法は、予洗いステップと、薬液洗浄ステップと、仕上げ洗いステップと、乾燥ステップとを含む。
[0058]
 図4に示すように、予洗いステップとして、脱硝触媒の再生システム100aでは、触媒搬送装置112で脱硝設備から脱硝触媒を取り出し、取り出した脱硝触媒を予備水洗槽114に移動させる(ステップS22)。次に、脱硝触媒の再生システム100aでは、脱硝触媒を予備水洗槽114内で水洗浄する(ステップS24)。脱硝触媒の再生システム100aでは、脱硝触媒を空の予備水洗槽114に搬送した後、水供給装置116で予備水洗槽114に水を供給してもよいし、水供給装置116で予備水洗槽114に水を供給して、水が貯留された状態の予備水洗槽114に脱硝触媒を投入してもよい。
[0059]
 次に、脱硝触媒の再生システム100aでは、脱硝触媒を予備水洗槽114内で水洗浄したら、触媒搬送装置112で脱硝触媒を真空引き槽118に移動させる(ステップS26)。脱硝触媒の再生システム100aでは、真空引き槽118に脱硝触媒を移動させたら、真空ポンプ120で真空引き槽118内の空気を吸引して真空状態とする(ステップS28)。脱硝触媒の再生システム100aでは、真空引き槽118内を真空状態とすることで、脱硝触媒の内部が異物で詰まっている場合、異物を吸引することができる。脱硝触媒の再生システム100aでは、真空引き槽118内を真空状態としたら、真空引き槽118を大気圧開放し、触媒搬送装置112で脱硝触媒を真空引き槽118から薬液槽122に移動させる(ステップS30)。脱硝触媒の再生システム100aでは、ステップS24からステップS28までの処理で予洗いを実行し、表面に付着した異物を除去し、脱硝触媒の内部に液体が侵入しやすい状態にする。
[0060]
 薬液洗浄ステップとして、脱硝触媒の再生システム100aでは、脱硝触媒を薬洗槽122に移動させたら、薬洗槽122内で脱硝触媒を薬液に浸漬させる(ステップS32)。脱硝触媒の再生システム100aでは、脱硝触媒を薬洗槽122に移動させた後、薬洗槽122内に薬液を供給することで、薬洗槽122内に配置された脱硝触媒を薬液に浸漬させても、薬液を貯留させた薬洗槽122に脱硝触媒を移動させて、薬洗槽122内に配置された脱硝触媒を薬液に浸漬させてもよい。脱硝触媒の再生システム100aでは、ステップS32の処理が薬液洗浄となる。
[0061]
 仕上げ洗いステップとして、脱硝触媒の再生システム100aでは、脱硝触媒を薬液に浸漬させたら、触媒搬送装置112で脱硝触媒を薬洗槽122から仕上げ水洗槽130に移動させる(ステップS34)。脱硝触媒の再生システム100aでは、脱硝触媒を仕上げ水洗槽130に移動させたら、仕上げ水洗槽130内で脱硝触媒を洗浄する(仕上げ洗いを行う)(ステップS36)。具体的には、供給装置132から仕上げ水洗槽130内に仕上げ洗浄液を供給し、仕上げ洗浄液で脱硝触媒を洗浄する。この時、脱硝触媒の再生システム100aでは、仕上げ水洗槽130内の仕上げ洗浄液を排出しながら処理をおこなっても、仕上げ水洗槽130内に仕上げ洗浄液を貯留させてもよい。
[0062]
 次に、脱硝触媒の再生システム100aでは、脱硝触媒の仕上げ洗浄を行ったら、乾燥部108に移動させ、乾燥部108で脱硝触媒を乾燥させる(ステップS38)。
[0063]
 本実施形態によれば、脱硝触媒の再生システム100aにて、予洗い時に真空引き槽118内の空気を吸引することで、真空引き槽118内の空気圧を下げて、真空に近づける。これにより、脱硝触媒内に残った空気を吸引し、脱硝触媒の隙間を塞いでいる異物をより確実に除去することができる。脱硝触媒の再生システム100aにて、予洗い時に真空引き槽118内の空気を吸引することで、真空引き槽118内の空気圧を-600mmHg以下まで低下させることが好ましい。水槽内の空気圧を-600mmHg以下まで低下させることで、脱硝触媒を塞いでいる異物を除去することができ、脱硝触媒の全域を水に浸漬させることができる。
[0064]
 本実施形態によれば、脱硝触媒の再生システム100aにて、薬液を繰返し使用することで、薬液を効率よく使用することができる。また、上述したように、無機酸とフッ素化合物を含有する薬液は、カルシウムの再付着を抑制できるため、複数回使用してもシリカの除去性能を維持することができる。具体的には、脱硝触媒の再生システム100aでは、薬洗槽122で脱硝触媒を薬液に浸漬させ、その後薬洗槽122から脱硝触媒を取り出した後も、脱硝触媒を浸漬させた薬液を廃液タンク129に排出せず、薬洗槽122に貯留する。その後、薬液を貯留した薬洗槽122に次の脱硝触媒を移動させる。これにより、脱硝触媒の再生システム100aでは、薬液を繰り返し使用することができる。脱硝触媒の再生システム100aは、薬液を繰り返し使用する場合、2回目以降の薬液の使用時、つまり、2つ目以降の脱硝触媒を浸漬させる際に、薬液の成分を調整してもよい。例えば、無機酸やフッ素化合物を追加投入してもよい。
[0065]
 本実施形態によれば、脱硝触媒の再生システム100aにて、脱硝触媒を薬液から取り出した後も、薬洗槽122から廃液タンク129に薬液を排出せずに貯留した状態を維持し、次の脱硝触媒を投入することで薬液を繰り返し使用したが、繰り返し使用する方法はこれに限定されない。薬液洗浄部104aは、薬液を一時貯留するタンクや薬液を循環させる循環機構を設け、薬洗槽122から薬液を一度タンクに排出し、使用する際に循環機構によりタンクから薬洗槽122内に薬液を再度投入してもよい。また、この場合、循環機構にフィルタ等を設け、薬液中の異物を除去するようにしてもよい。
[0066]
 また、本実施形態によれば、脱硝触媒の再生システム100aにて、仕上げ洗浄液を水とした場合、予洗いや仕上げ洗いを行う際に使用する水を繰返し使用することで、水も効率よく使用することができる。水を効率よく利用することで、廃液の量を減少させることができる。具体的には、薬液洗浄部104aと同様に、水洗いをした脱硝触媒を予備水洗槽114、真空引き槽118、仕上げ水洗槽130から取り出した後も、予備水洗槽114、真空引き槽118、仕上げ水洗槽130に水を貯留した状態を維持し、次の脱硝触媒を移動させ、水洗いを行うようにしてもよい。さらに、再生処理時の触媒性能の回復率をより高くするために仕上げ洗浄液をスルファミン酸含有水とし、仕上げ水洗槽130内だけスルファミン酸含有水として、スルファミン酸含有水を貯留した状態を維持してもよい。また、予備水洗槽114、真空引き槽118、仕上げ水洗槽130に対しても水を一時貯留するタンクや水を循環させる循環機構を設け、予備水洗槽114、真空引き槽118、仕上げ水洗槽130から水を一度タンクに排出し、使用する際に循環機構によりタンクから予備水洗槽114、真空引き槽118、仕上げ水洗槽130に水を再度投入してもよい。また、この場合、循環機構にフィルタ等を設け、水の中に含まれる異物を除去するようにしてもよい。さらに、再生処理時の触媒性能の回復率をより高くするために仕上げ洗浄液をスルファミン酸含有水とし、仕上げ水洗槽130に対してだけスルファミン酸含有水を一時貯留するタンクやスルファミン酸含有水を循環させる循環機構を設け、仕上げ水洗槽130からスルファミン酸含有水を一度タンクに排出し、使用する際に循環機構によりタンクから予仕上げ水洗槽130にスルファミン酸含有水を再度投入してもよい。また、この場合も、循環機構にフィルタ等を設け、スルファミン酸含有水の中に含まれる異物を除去するようにしてもよく、循環機構に濃度計を設けて、仕上げ洗浄液中のスルファミン酸の濃度に応じてスルファミン酸含有水を追加してもよい。
[0067]
 また、脱硝触媒の再生システム100aは、予洗いと、真空引きと、薬液洗浄と、仕上げ洗いの処理を行う水槽として別々の水槽として備えているが、それぞれの工程を行うことができる1つの水槽を設けてもよい。また、上記処理方法では、脱硝設備から脱硝触媒を取り外して処理を行う場合として説明したが、脱硝触媒に設置した状態のまま、脱硝触媒の再生処理を行ってもよい。この場合、脱硝設備に水や薬液を供給し、脱硝設備から廃液を回収する。
[0068]
 また、脱硝触媒の再生システム100aには、さらに薬液の温度を調整する薬液温度調整機構を設けてもよい。薬液温度調整機構を設けることで、脱硝触媒に含浸させた薬液洗浄の温度を制御することができる。これにより、脱硝触媒に含浸させた薬液洗浄の温度を薬液温度調整機構で常温に維持することも、薬液を加熱し常温よりも高くすることができる。
実施例
[0069]
 以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明に係る脱硝触媒の再生方法及び脱硝触媒の再生システム、並びに脱硝触媒の洗浄剤は、以下の実施例によって限定されるものではない。
[0070]
1.薬液の検討I
 先ず、混合する無機酸とフッ素化合物を変化させた複数の薬液で脱硝触媒の再生方法を実施し、それぞれの薬液を用いた場合の脱硝触媒の触媒性能回復率(再生処理後の触媒性能/新品時の触媒性能:K/K0)、脱硝触媒の表面のシリカ濃度(質量%)、脱硝触媒の表面のカルシウム濃度(質量%)を計測した。触媒性能の指標として、触媒の反応速度定数を用いた。また、比較のために、有機酸とフッ素化合物を混合させた薬液で再生処理を行った例(比較例1)、有機酸とフッ素化合物と界面活性剤を混合させた薬液で再生処理を行った例(比較例2)についても、同様の計測を行った。また、比較のために、新品、再生前の脱硝触媒についても各値を計測した。
[0071]
1-1.薬液の調製I
 実施例1では、無機酸として塩酸(HCl)を0.8質量%、フッ素化合物としてフッ化水素アンモニウム(NH 4HF 2)をフッ化水素分が0.9質量%となる割合で混合した薬液を用いた。実施例2では、無機酸として塩酸を0.8質量%、無機酸としてホウ酸(H 3BO 3)を0.15質量%、フッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が0.9質量%となる割合で混合した薬液を用いた。実施例3では、無機酸としてスルファミン酸を3.5質量%、フッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1質量%となる割合で混合した薬液を用いた。
[0072]
 比較例1では、有機酸としてシュウ酸(C 224)を2.0質量%、フッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1質量%となる割合で混合した薬液を用いた。比較例2では、有機酸としてシュウ酸を2.0質量%、界面活性剤としてリン酸エステルを0.05質量%、フッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1質量%となる割合で混合した薬液を用いた。
[0073]
1-2.性能I
 図5から図7に、実施例1から実施例3、比較例1及び比較例2で再生した脱硝触媒、新品の脱硝触媒、再生前の脱硝触媒について計測した結果を示す。図5には、再生方法の実施例の触媒の触媒性能回復率(K/K0)の計測結果を示す。図6には、再生方法の実施例の触媒表面シリカ濃度(質量%)の計測結果を示す。図7には、再生方法の実施例の触媒表面カルシウム濃度(質量%)の計測結果を示す。
[0074]
 図5に示すように、実施例1から実施例3、比較例1及び比較例2のいずれの場合も、再生前と比較して触媒の性能回復率は高くなっている。つまり、再生前と比較して触媒性能が高くなっていることがわかった。また、図6に示すように、実施例1から実施例3、比較例1及び比較例2のいずれの場合も、再生前と比較して脱硝触媒の表面のシリカ濃度が低くなっており、再生処理でシリカを除去できていることがわかった。また、図7に示すように、実施例1から実施例3の薬液を用いることで、比較例1及び比較例2の薬液を用いるよりもカルシウム濃度を低くできている。これにより、カルシウムの再付着を抑制できていることがわかった。
[0075]
 さらに、実施例1及び実施例2に示すように、無機酸として塩酸用いることで、比較例1、2及び実施例3に比べて、触媒の性能回復率を高くし、かつ、カルシウムの付着を飛躍的に低減させることができることがわかった。
[0076]
2.薬液の検討II
 次に、界面活性剤を混合した複数の薬液を用いた脱硝触媒の再生方法を実施し、それぞれの薬液を用いた場合の脱硝触媒の触媒性能回復率(再生処理後の触媒性能/新品時の触媒性能:K/K0)、脱硝触媒の表面のシリカ濃度([質量%])、脱硝触媒の表面のカルシウム濃度(質量%)を計測した。
[0077]
2-1.薬液の調製II
 実施例4では、塩酸を0.8質量%、ホウ酸を0.15質量%、界面活性剤としてリン酸エステルを0.05質量%、フッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が0.9質量%となる割合で混合した薬液を用いた。実施例5では、塩酸を0.8質量%、界面活性剤としてリン酸エステルを0.05質量%、フッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が0.9質量%となる割合で混合した薬液を用いた。 実施例6では、塩酸を0.8質量%、ホウ酸を0.15質量%、界面活性剤としてポリオキシエチレン誘導体を0.05質量%、フッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が0.9質量%となる割合で混合した薬液を用いた。実施例7では、スルファミン酸を3.5質量%、界面活性剤としてリン酸エステルを0.05質量%、フッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1質量%となる割合で混合した薬液を用いた。実施例8では、スルファミン酸を3.5質量%、界面活性剤として実施例7とは別の種類のリン酸エステルを0.05質量%、フッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1質量%となる割合で混合した薬液を用いた。実施例9では、スルファミン酸を3.5質量%、界面活性剤としてポリオキシエチレン誘導体を0.05質量%、フッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1質量%となる割合で混合した薬液を用いた。
[0078]
2-2.性能II
 図8から図10に、実施例4から実施例9、比較例1及び比較例2で再生した脱硝触媒、新品の脱硝触媒、再生前の脱硝触媒について計測した結果を示す。図8には、再生方法の実施例の触媒の触媒性能回復率の計測結果を示す。図9には、再生方法の実施例の触媒表面シリカ濃度の計測結果を示す。図10には、再生方法の実施例の触媒表面カルシウム濃度の計測結果を示す。
[0079]
 図8から図10に示すように、実施例4から実施例9では、界面活性剤を薬液に含めることで、比較例1、2に比べて、触媒の性能回復率を高くし、かつ、カルシウムの付着を飛躍的に低減できることがわかった。また、実施例4から実施例9に示すように、無機酸として、塩酸のみを用いた場合、塩酸とホウ酸を用いた場合、スルファミン酸を用いたいずれの場合も、カルシウムの付着を飛躍的に低減できることがわかった。つまり、無機酸として塩酸を用いた場合、界面活性剤を含有する薬液を含まない実施例1よりも、界面活性剤を含有する薬液を用いた実施例4の方がカルシウムの付着を飛躍的に低減できることがわかった。また、無機酸として塩酸とホウ酸を用いた場合、界面活性剤を含有する薬液を含まない実施例2よりも、界面活性剤を含有する薬液を用いた実施例5の方がカルシウムの付着を飛躍的に低減できることがわかった。また、無機酸としてスルファミン酸を用いた場合、界面活性剤を含有する薬液を含まない実施例3よりも、界面活性剤を含有する薬液を用いた実施例6、7、8の方がカルシウムの付着を飛躍的に低減できることがわかった。以上より、界面活性剤を用いることで、無機酸の種類によらずカルシウムの付着を飛躍的に低減できることがわかった。また、リンは触媒の劣化成分であることが知られているが、実施例4、5、7、8に示すように界面活性剤にリンを含有する薬剤を用いても、触媒性能を高くすることができ、カルシウムの付着を飛躍的に低減できることがわかった。
[0080]
3.処理時間の検討
 次に、1回の再生処理において、脱硝触媒を薬液に浸漬させる時間(処理時間:分)と脱硝触媒の触媒性能回復率(再生処理後の触媒性能/新品時の触媒性能:K/K0)、脱硝触媒の表面のシリカ濃度(質量%)、脱硝触媒の表面のカルシウム濃度(質量%)との関係を計測した。
[0081]
3-1.性能IV
 計測結果を図11及び図12に示す。図11には、処理時間と触媒表面の付着物の濃度との関係の計測結果を示す。図12には、処理時間と脱硝触媒の性能回復率との関係の計測結果を示す。図11及び図12に示すように、処理時間を15分以上とすることで、カルシウムの濃度を低く維持しつつ、脱硝触媒の性能回復率を0.8、つまり新品の80%以上に回復するできることがわかった。また、処理時間を60分以下とすることで、処理時間が長くなることを抑制することができる。また、触媒に含まれるガラス繊維の溶出を抑制でき、触媒の強度低下を抑制できることがわかった。以上より、処理時間を15分以上60分以下とすることで、処理時間が長くなりすぎることを抑制し、触媒表面シリカ濃度を6質量%以下となることにより、脱硝触媒の性能回復率を高くできることがわかった。
[0082]
4.使用回数の検討
 次に、薬液を繰り返し使用し、使用回数と脱硝触媒の触媒性能回復率(再生処理後の触媒性能/新品時の触媒性能:K/K0)との関係を計測した。繰り返し薬液を利用する場合も、使用するごとに前回の再生処理によって反応した分に相当する量の無機酸及びフッ素化物を追加した。実施例10では、無機酸としてスルファミン酸を3.5質量%、界面活性剤として実施例8と同じリン酸エステルを0.05質量%、フッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1質量%となる割合で混合した薬液を用いた。実施例11では、実施例10と同じ薬液を用い、使用するごとに追加する無機酸及びフッ素化合物の量を2倍とした。実施例12では、無機酸として塩酸を0.8質量%、無機酸としてホウ酸を0.15質量%、フッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が0.9質量%となる割合で混合した薬液を用いた。
[0083]
4-1.性能V
 計測結果を図13に示す。図13には、実施例10から実施例12について、薬液の使用回数と脱硝触媒の触媒性能回復率との関係の計測結果を示す。図13に示すように、薬液を繰り返し使用しても、触媒性能を同じ程度まで回復できることがわかった。従って、薬液の使用量及び廃棄量の低減が可能であることがわかった。
[0084]
5.仕上げ洗浄液の検討I
 次に、実機スケールにて、界面活性剤を含有した薬液を用い、成分を変化させた複数の仕上げ洗浄液で脱硝触媒の再生方法を繰り返し実施し、洗浄液の繰返し使用回数と脱硝触媒の触媒性能回復率(再生処理後の触媒性能/新品時の触媒性能)との関係を計測した。実施例13では、仕上げ洗浄液としてスルファミン酸0.5mоl/lとなるように調製した洗浄液を用いた。また、実施例13では、薬液として実施例10と同様の薬液を用いた。実施例14では、仕上げ洗浄液としてスルファミン酸1mоl/lとなるように調製した洗浄液を用いた。また、実施例14では、無機酸としてスルファミン酸を5.3質量%、界面活性剤としてリン酸エステルを0.075質量%、フッ素化合物としてフッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1.5質量%となる割合で混合した薬液を用いた。
[0085]
5-1.性能VI
 計測結果を図14A及び図14Bに示す。図14Aには、実施例13について、洗浄液を2回と8回繰り返し使用した場合の触媒性能回復率を、仕上げ洗浄液を水とした場合を1として示す。図14Bには、実施例13及び実施例14について、洗浄液を1回と5回繰り返し使用した場合の脱硝触媒の触媒性能回復率を示す。図14Aに示すように、スルファミン酸を含有する実施例13の方が、仕上げ洗浄液を水のみとした場合よりも、洗浄液を2回繰り返し使用しても脱硝触媒の性能回復を15%以上高くでき、洗浄液を8回繰り返し使用しても脱硝触媒の性能回復率を10%以上高く維持できることがわかった。また、図14Bに示すように、スルファミン酸1mоl/lを含有する実施例14で、洗浄液を5回繰り返し使用しても、実施例13と同程度の触媒性能回復率を維持できることがわかった。結果より、仕上げ洗浄液中のスルファミン酸の濃度が少なくとも0.5mоlであれば、洗浄液を繰り返し使用したとしても、脱硝触媒の触媒性能回復率を高く維持できることがわかった。
[0086]
6.薬液の検討III
 次に、ラボスケールにて、界面活性剤を変化させた複数の薬液(洗浄剤)を用いて脱硝触媒の再生方法を実施し、それぞれの薬液を用いた場合の脱硝触媒の圧壊強度と性能回復率を計測した。脱硝触媒として、実機発電プラントで50,000時間脱硝処理した後の脱硝触媒を供試試料とした。また、脱硝触媒は、二酸化チタン(TiO 2)を主成分として、これに五酸化バナジウム(V 25)と酸化タングステン(WO 3)とを担持させたハニカム触媒とした。
[0087]
6-1.薬液の調製III
 実施例15では、スルファミン酸を3.2質量%、ノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを主成分とする市販の界面活性剤Aを0.05質量%、フッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1.75質量%となる割合で混合した薬液を用いた。実施例16では、塩酸を2.4質量%、ホウ酸を0.15質量%、ノニオン系界面活性剤として界面活性剤Aを0.05質量%、フッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1.26質量%となる割合で混合した薬液を用いた。実施例17では、塩酸を2.4質量%、ホウ酸を0.15質量%、ノニオン系界面活性剤としてポリアルキレングリコール誘導体を主成分とする市販の界面活性剤Bを0.05質量%、フッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1.26質量%となる割合で混合した薬液を用いた。実施例18では、塩酸を2.4質量%、ホウ酸を0.15質量%、アニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル・モノエタノールアミン塩を主成分とする市販の界面活性剤Cを0.05質量%、フッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1.26質量%となる割合で混合した薬液を用いた。
[0088]
 比較例3では、スルファミン酸を3.2質量%、フッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1.75質量%となる割合で混合した薬液を用いた。比較例4では、塩酸を2.4質量%、ホウ酸を0.15質量%、フッ化水素アンモニウムをフッ化水素分が1.26質量%となる割合で混合した薬液を用いた。
[0089]
6-2.触媒性能の計測
 各触媒の触媒性能について、管式流通反応試験装置を用いて下記表1に示す性状のガスで計測した。
[0090]
[表1]


[0091]
 先ず、上記触媒性能の計測により、実機で未使用の脱硝触媒(新品時の脱硝触媒)の反応速度定数K0を求めた。 次に、脱硝処理により触媒性能が低下した各触媒について、各例の洗浄液を用いた洗浄処理を行った。洗浄処理は、各触媒を3分間予洗いした後、洗浄液に60分間浸漬して薬洗した。その後、薬洗後の各触媒を30分間仕上げ水洗し、110℃で一晩乾燥させた。乾燥後の再生処理後の各触媒について、上記触媒性能の計測と同様の方法により反応速度定数Kを求めた。そして、各触媒について、実施例1から実施例15と同様に、触媒性能回復率(再生処理後の触媒性能/新品時の触媒性能:K/K0)を求めた。
[0092]
6-3.圧壊強度の計測
 洗浄処理後の各触媒について、木屋式硬度計により圧壊強度を下記表2の要領で計測した。表2に示すように、触媒の壁方向の圧壊強度の値については、それぞれ5個の同様の触媒を準備して圧壊強度を計測し、それらの平均値(N/cm 2)とした。触媒の壁方向の圧壊強度は、ハニカム形状の触媒のうちの流通孔のない壁面側から圧縮した強度とした。
[0093]
[表2]


          
[0094]
6-3.性能VI
 計測結果を下記表3に示す。また、表中には、参照例として、上記洗浄処理を実施する前の使用済触媒(未洗浄触媒)の壁方向圧壊強度および触媒性能回復率を表中に示す。
[0095]
[表3]


[0096]
 表3に示すように、ノニオン系界面活性剤である界面活性剤Aを含む実施例15では、壁方向圧壊強度が109.2N/cm 2と、未洗浄触媒に対して74%程度に低下を抑制できることがわかった。また、実施例15では、新品の脱硝触媒に対する触媒性能が98%程度まで回復できることがわかった。一方、界面活性剤を含まない比較例3では、壁方向圧壊強度が75.1N/cm 2と、未洗浄触媒に対して51%程度まで低下することがわかった。また、比較例3では、新品の脱硝触媒に対する触媒性能が81%程度まで低下することがわかった。従って、ノニオン系界面活性剤である界面活性剤Aを含む実施例15は、比較例3と比べて、壁方向圧壊強度の低下を改善することができ、かつ触媒性能の回復率も高くできることがわかった。また、ノニオン系界面活性剤である界面活性剤Aを含む実施例16では、壁方向圧壊強度が114.4N/cm 2と、未洗浄触媒に対して77%程度に低下を抑制できることがわかった。一方、無機酸として塩酸を含み、界面活性剤を含まない比較例3では、壁方向圧壊強度が94.6N/cm 2と、未洗浄触媒に対して64%程度まで低下することがわかった。従って、ノニオン系界面活性剤である界面活性剤Aを含む実施例15及び実施例16は、同様の無機酸とフッ素化合物を含むものの、界面活性剤を含まない比較例3および比較例4と比べて、壁方向圧壊強度の低下を改善できることがわかった。
[0097]
 また、ノニオン系界面活性剤である界面活性剤Bを含む実施例17では、壁方向圧壊強度が136.6N/cm 2と、未洗浄触媒に対して壁方向圧壊強度を92%程度に低下を抑制できることがわかった。また、実施例17では、新品の脱硝触媒に対する触媒性能を108%程度まで回復できることがわかった。従って、ノニオン系界面活性剤である界面活性剤Bを含む実施例17は、比較例3および比較例4に比べて、壁方向圧壊強度の低下を改善することができ、かつ、触媒性能の回復率も高くできることがわかった。
[0098]
 アニオン系界面活性剤である界面活性剤Cを含む実施例18では、壁方向圧壊強度が122.4N/cm 2と、未洗浄触媒に対して83%程度に低下を抑制できることがわかった。従って、アニオン系界面活性剤である界面活性剤Cを含む実施例18は、比較例3および比較例4に比べて、壁方向圧壊強度の低下を改善できることがわかった。
[0099]
7.仕上げ洗浄液の検討II
 次に、同一の薬液と同一の仕上げ洗浄液を用いて脱硝触媒の再生方法を繰り返し実施し、洗浄液の使用回数と脱硝触媒の触媒性能回復率(K/K0)との関係を計測した。実施例19では、仕上げ洗浄液として実施例14と同様の仕上げ洗浄液を用い、実施例15と同様の薬液を用いた。
[0100]
7-1.性能VII
 計測結果を図15A及び図15Bに示す。図15Aには、実施例19について、洗浄液を1回と5回繰り返し使用した脱硝触媒の触媒性能回復率を、仕上げ洗浄液を水とした場合を1として示す。図15Bには、実施例19について、洗浄液の使用回数と脱硝触媒の触媒性能回復率との関係を示す。図15Aに示すように、スルファミン酸を含有する実施例19の方が、仕上げ洗浄液を水のみとした場合と比較して、洗浄液を5回繰り返し使用しても、脱硝触媒の触媒性能回復率を5%以上高くできることがわかった。また、図15Bに示すように、測定数値に誤差があるものの、洗浄液を3回繰り返し使用しても、脱硝触媒の触媒性能回復率を90%以上まで高く維持でき、洗浄液を6回繰り返し使用しても、脱硝触媒の触媒性能回復率を90%程度まで高く維持できることがわかった。

産業上の利用可能性

[0101]
 本発明に係る脱硝触媒の再生方法及び脱硝触媒の再生システム並びに脱硝触媒の洗浄液によれば、触媒の表面に着いた付着物を効率よく除去することができ、触媒性能を高く回復することができ、かつ圧壊強度の低下を抑制することができる。

符号の説明

[0102]
 10:微粉炭焚きボイラ
 50:脱硝設備
 82a、84a、86a:脱硝触媒
 100、100a:脱硝触媒の再生システム
 102、102a:予洗い部
 104、104a:薬液洗浄部
 106、106a:仕上げ洗い部
 108、108a:乾燥部
 112:触媒搬送装置
 114:予備水洗槽
 116:水供給装置
 118:真空引き槽
 120:真空ポンプ
 122:薬洗槽
 130:仕上げ水洗槽

請求の範囲

[請求項1]
 脱硝触媒を水洗いする予洗いステップと、
 水洗いをした前記脱硝触媒を無機酸とフッ素化合物とを含む薬液に浸漬させる薬液洗浄ステップと、
 前記薬液から前記脱硝触媒を取り出すステップと、
 前記薬液から取り出した前記脱硝触媒を、水又はスルファミン酸含有水を仕上げ洗浄液として洗う仕上げ洗いステップと
を含む脱硝触媒の再生方法。
[請求項2]
 前記薬液は、界面活性剤をさらに含み、
 前記界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤またはアニオン系界面活性剤である請求項1に記載の脱硝触媒の再生方法。
[請求項3]
 前記ノニオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン誘導体またはポリアルキレングリコール誘導体を主成分とする界面活性剤である請求項2に記載の脱硝触媒の再生方法。
[請求項4]
 前記アニオン系界面活性剤は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルを主成分とする界面活性剤である請求項2に記載の脱硝触媒の再生方法。
[請求項5]
 前記無機酸は、塩酸を含む、または塩酸及びホウ酸を含む請求項1~4のいずれか一項に記載の脱硝触媒の再生方法。
[請求項6]
 前記無機酸は、スルファミン酸を含む請求項1~4のいずれか一項に記載の脱硝触媒の再生方法。
[請求項7]
 前記脱硝触媒再生後の表面シリカ濃度を6質量%以下にする請求項1~6のいずれか一項に記載の脱硝触媒の再生方法。
[請求項8]
 前記予洗いステップでは、前記脱硝触媒を水槽内の水に浸漬させ、前記水槽を密閉して前記水槽内の空気を吸引する請求項1~7のいずれか一項に記載の脱硝触媒の再生方法。
[請求項9]
 前記薬液洗浄ステップでは、前記薬液を繰り返し使用する請求項1~8のいずれか一項に記載の脱硝触媒の再生方法。
[請求項10]
 脱硝触媒を水洗いする予洗い部と、
 水洗いをした前記脱硝触媒を無機酸とフッ素化合物とを含む薬液に浸漬させる薬液洗浄部と、
 前記薬液から取り出した前記脱硝触媒を、水又はスルファミン酸含有水を仕上げ洗浄液として仕上げ洗いする仕上げ洗い部と
を備える脱硝触媒の再生システム。
[請求項11]
 石炭焚きボイラ用の劣化した脱硝触媒を洗浄する洗浄剤であって、無機酸とフッ素化合物とを含有する水溶液を含む洗浄剤。
[請求項12]
 界面活性剤をさらに含み、
 前記界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤またはアニオン系界面活性剤である請求項11に記載の洗浄剤。
[請求項13]
 前記ノニオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン誘導体またはポリアルキレングリコール誘導体を主成分とする界面活性剤である請求項12に記載の洗浄剤。
[請求項14]
 前記アニオン系界面活性剤は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルを主成分とする界面活性剤である請求項12に記載の洗浄剤。
[請求項15]
 前記無機酸は、塩酸を含む、または塩酸及びホウ酸を含む請求項11~14のいずれか一項に記載の洗浄剤。
[請求項16]
 前記無機酸は、スルファミン酸を含む請求項11~14のいずれか一項に記載の洗浄剤。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14A]

[ 図 14B]

[ 図 15A]

[ 図 15B]