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1. WO2017006754 - 繊維積層体、繊維積層体の製造方法、及び繊維強化複合材

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明 細 書

発明の名称 繊維積層体、繊維積層体の製造方法、及び繊維強化複合材

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 繊維積層体、繊維積層体の製造方法、及び繊維強化複合材

技術分野

[0001]
 本発明は、複数の繊維層を積み重ねて構成された繊維積層体、繊維積層体の製造方法、及び繊維強化複合材に関する。

背景技術

[0002]
 繊維強化複合材は、軽量の構造材料として広く使用されている。繊維強化複合材用の強化基材として、繊維積層体がある。繊維強化複合材は、繊維積層体にマトリックス樹脂を含浸させて形成されている。繊維強化複合材は、ロケット、航空機、自動車、船舶及び建築物の構造材として用いられている。また、使用される形状に合わせて厚みを変化させて構成した繊維強化複合材もある。
[0003]
 図7に示すように、特許文献1に開示の繊維積層体80は、複数のシート状補強繊維81を積み重ねて構成されている。繊維積層体80は、ベース82、中間部83、及び表層部84を有する。ベース82では、複数のシート状補強繊維81が積み重ねられて、一様な厚みを有している。中間部83では、複数のシート状補強繊維81が、各シート状補強繊維81の端部を階段状にずらして積み重ねられている。表層部84は、ベース82及び中間部83の表面全体を覆う。この繊維積層体80の厚みは、中間部83で各シート状補強繊維81の端部をずらすことで、徐々に変化する。
[0004]
 また、特許文献2は、繊維積層体の曲面構造等の複雑な構造への賦形性を高めかつ所定の方向への強度を発揮させるために短繊維(非連続繊維)を所定の方向に配向した繊維層を用いた繊維積層体を開示する。
[0005]
 ところが、非連続繊維を所定の方向に配向させた繊維層を用いた繊維積層体において、特許文献1のように繊維積層体の厚みを連続的に変化させると、以下の問題が生じる。即ち、各繊維層の端部をずらして積層した場合、繊維積層体の厚みが連続的に変化する部分では、層方向の位置によって、繊維層の積層数も異なってしまう。よって、各繊維層の端部付近で繊維積層体の厚みが変化する毎に、非連続繊維の配向が変化し、繊維積層体の物性がばらついてしまう。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 実開平4-530号公報
特許文献2 : 特開2013-221114号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 本発明の目的は、厚みが連続的に変化する部分において物性のばらつきを抑えることができる繊維積層体、繊維積層体の製造方法、及び繊維強化複合材を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0008]
 上記問題点を解決するため、本発明の第一の態様によれば、所定の方向の位置によって連続的に厚みが変化するテーパ部を少なくとも一部に備えるとともに、複数の繊維層を積み重ねて構成された繊維積層体が提供される。繊維層は、非連続繊維からなり、かつ非連続繊維の配向角度を一方向に揃えて構成されている。複数の繊維層のうちの少なくとも2つの繊維層の非連続繊維の配向角度が異なり、複数の繊維層のそれぞれは、所定の方向の位置によらず繊維の密度が一定に保たれたまま連続的に厚みが変化する厚み変化部を備える。テーパ部は、複数の厚み変化部が積み重なって構成されるとともに、複数の厚み変化部のそれぞれの厚みの変化量は、所定の方向の位置によらず同じである。
[0009]
 上記問題点を解決するため、本発明の第二の態様によれば、所定の方向の位置によって連続的に厚みが変化するテーパ部を少なくとも一部に備えるとともに、複数の繊維層を積み重ねて構成された繊維積層体の製造方法が提供される。繊維層は、非連続繊維からなり、かつ非連続繊維の配向角度を一方向に揃えて構成されている。複数の繊維層のうちの少なくとも2つの繊維層の非連続繊維の配向角度が異なり、繊維層は、非連続繊維からなるウェブを、複数のローラ群からなるローラ部を有するウェブドラフタによって引き延ばして、製造される。また、所定の方向の位置によらず密度が一定に保たれたまま連続的に厚みが変化するように、複数のローラ群の周速度を相対的に異ならせることで、ローラ部のドラフト倍率を異ならせる。
[0010]
 上記問題点を解決するため、本発明の第三の態様によれば、繊維製の強化基材にマトリックス樹脂を含浸させてなる繊維強化複合材が提供される。強化基材が上記の繊維積層体である。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 本発明の一実施形態の繊維積層体及び繊維強化複合材を模式的に示す斜視図。
[図2] 繊維積層体の分解斜視図。
[図3] 繊維積層体を示す側面図。
[図4] 図3の4-4線に沿った断面図。
[図5] (a)はウェブドラフタを模式的に示す図、(b)は規制部材を模式的に示す図。
[図6] 第1の繊維層の製造装置を模式的に示す図。
[図7] 背景技術を示す図。

発明を実施するための形態

[0012]
 以下、本発明の繊維積層体、繊維積層体の製造方法、及び繊維強化複合材を具体化した一実施形態を図1~図6にしたがって説明する。
 図1に示すように、繊維強化複合材Mは、強化基材としての繊維積層体Wにマトリックス樹脂Maを含浸させて形成されている。繊維積層体Wは、4枚の繊維層11~14を積み重ねて構成されている。以下、4枚の繊維層11~14について、繊維積層体Wの最下層を構成する繊維層を第1の繊維層11とし、最下層の第1の繊維層11上に積み重ねられた繊維層を第2の繊維層12とする。また、第2の繊維層12の上に積み重ねられた繊維層を第3の繊維層13とし、第3の繊維層13上に積み重ねられかつ繊維積層体Wの最上層を構成する繊維層を第4の繊維層14とする。
[0013]
 繊維積層体Wにおいて、第1~第4の繊維層11~14が積み重ねられた方向を積層方向とする。また、第1~第4の繊維層11~14の積層方向を厚み方向とし、厚み方向に沿う寸法を各繊維層11~14の厚みとする。第1~第4の繊維層11~14は、平面視で、矩形状の表面を有する。また、第1~第4の繊維層11~14の表面の長辺に沿う方向を長手方向とし、短辺に沿う方向を短手方向とする。
[0014]
 図2に示すように、第1~第4の繊維層11~14のそれぞれでは、非連続繊維10が1軸配向となるように一方向に引き揃えられている。非連続繊維10を引き揃える方法としては、カード機を用いたカード方式、抄紙機を用いた抄紙方式、ギル機を用いたギル方式等、いずれを採用してもよい。
[0015]
 非連続繊維10は、例えば、炭素繊維で構成されている。第1の繊維層11における非連続繊維10の配向角度は90度であり、非連続繊維10は第1の繊維層11の短手方向に延びた状態に引き揃えられている。第2の繊維層12における非連続繊維10の配向角度は45度であり、非連続繊維10は第2の繊維層12の長手方向に対し45度傾いた状態に引き揃えられている。第3の繊維層13における非連続繊維10の配向角度は-45度であり、非連続繊維10は第3の繊維層13の長手方向に対し-45度傾いた状態に引き揃えられている。第4の繊維層14における非連続繊維10の配向角度は0度であり、非連続繊維10は第4の繊維層14の長手方向に引き揃えられている。よって、第1~第4の繊維層11~14における非連続繊維10の4方向への配向角度に基づき、繊維積層体Wは4方向に擬似等方性を有する。
[0016]
 図3又は図4に示すように、第1~第4の繊維層11~14の各厚みは、長手方向の第1端部21で最も小さく、長手方向の第2端部22で最も大きい。第1~第4の繊維層11~14は、第1端部21から第2端部22に向かうに従い厚みが一定である第1厚み非変化部24aを備える。また、第1~第4の繊維層11~14は、第1厚み非変化部24aに対して長手方向に連続しかつ厚みが連続的に変化する厚み変化部23を備える。さらに、第1~第4の繊維層11~14は、厚み変化部23に対して長手方向に連続しかつ厚みが一定である第2厚み非変化部24bを、第2端部22近傍に備える。
[0017]
 第1厚み非変化部24aの厚みは、長手方向の位置によらず一定である。また、第2厚み非変化部24bの厚みは、長手方向の位置によらず一定であるとともに、第1厚み非変化部24aの厚みに比べて大きい。
[0018]
 厚み変化部23は、第1厚み非変化部24aと第2厚み非変化部24bとの間の部分である。厚み変化部23の厚みは、第1厚み非変化部24aから第2厚み非変化部24bに向かうに従い、連続的に大きくなる。
[0019]
 第1~第4の繊維層11~14の繊維の密度は、長手方向のいずれの位置であっても、同じである。すなわち、第1厚み非変化部24aであっても、厚み変化部23であっても、第2厚み非変化部24bであっても、第1~第4の繊維層11~14の繊維の密度は、同じである。
[0020]
 厚み変化部23では、第1~第4の繊維層11~14の厚みが、長手方向の位置によって異なる。しかしながら、第1~第4の繊維層11~14の繊維の密度は、厚み変化部23のいずれの位置でも、それぞれ同じである。したがって、繊維積層体Wにおいて厚み変化部23での厚みの変化量は、長手方向のいずれの位置であっても、同じである。これは、非連続繊維10のウェブをウェブドラフタ50で引き延ばして第1~第4の繊維層11~14の厚みを変化させているからである。
[0021]
 また、第1~第4の繊維層11~14の厚みは、厚み変化部23のいずれの位置でも、同じである。第1~第4の繊維層11~14の厚みは、第1厚み非変化部24aのいずれの位置でも、同じであり、第1~第4の繊維層11~14の厚みは、第2厚み非変化部24bのいずれの位置でも、同じである。よって、第1~第4の繊維層11~14の物性は、厚み変化部23、第1厚み非変化部24a、及び第2厚み非変化部24bのいずれの位置でも、同じである。
[0022]
 繊維積層体Wの長手方向及び短手方向のいずれの位置であっても、繊維の密度は同じであり、繊維積層体Wの強度、賦形性等の物性に差がない。また、繊維積層体Wは、厚み変化部23が積み重なったテーパ部W1を備えるとともに、第1厚み非変化部24aが積み重なった位置と第2厚み非変化部24bが積み重なった位置とにそれぞれ定厚部W2を備える。テーパ部W1の所定の方向である長手方向のいずれの位置であっても、繊維の密度は同じであり、強度、賦形性等の物性に差がない。また、積層方向に見て非連続繊維10が45度おきに配向されているため、繊維積層体Wは四方向に疑似等方性を有する。
[0023]
 また、各定厚部W2の所定の方向である長手方向のいずれの位置であっても、厚みが一定であり、繊維の密度が同じであり、強度、賦形性等の物性に差がない。また、積層方向に見て非連続繊維10が45度おきに配向されているため、繊維積層体Wは四方向に疑似等方性を有する。
[0024]
 次に、第1~第4の繊維層11~14の製造方法について説明する。
 まず、第4の繊維層14の製造方法について説明する。図5(a)に示すように、第4の繊維層14は、非連続繊維からなる幅広の繊維束(以下、ウェブと記載する)をウェブドラフタ50で引き延ばして形成されている。ウェブドラフタ50は、ウェブ40から製造された繊維層を搬送する搬送コンベア55と、ウェブ40を引き延ばす(ドラフトする)ローラ部51と、ローラ部51で引き延ばされたウェブ40を搬送コンベア55に向けてガイドするガイドローラ53と、ローラ部51の下流側でウェブ40の幅を規制する規制部材60とを備える。ウェブ40は、ローラ部51を通過し、規制部材60を通過した後、ガイドローラ53によって搬送コンベア55に送り出される。ウェブドラフタ50においてウェブ40の流れる方向を流通方向Xとする。
[0025]
 ローラ部51は、複数のローラ群52を有する。各ローラ群52は、3本のローラ52a,52b,52cからなる。ローラ群52は、2本の上ローラ52a,52bと、ローラ52a,52b間に位置する1本の下ローラ52cとからなる。3本のローラ52a,52b,52cは、同一周速度で駆動されることで、ウェブ40を下ローラ52cと上ローラ52a,52bとにより挟みながら移送する。また、各ローラ群52の周速度は変更可能である。上流側のローラ群52の周速度より下流側のローラ群52の周速度を速くすることで、所望のドラフト倍率を得る。
[0026]
 ウェブドラフタ50の規制部材60は、ウェブ40の幅を規制する。
 図5(a)又は図5(b)に示すように、規制部材60は、ウェブ40の幅方向両端に位置する矩形板状の一対のガイド61を備える。一対のガイド61には、第1ローラ62及び第2ローラ63が回転可能に支持されている。各ガイド61は、長手方向に延びるガイド溝61aを備える。
[0027]
 第1ローラ62の回転軸62aは、ガイド61のガイド溝61aに挿入されている。回転軸62aの両端は、支持部材64によって回転可能に支持されている。支持部材64は、図示しない駆動部により、第1ローラ62を第2ローラ63に対し接離させる方向へ移動可能である。第2ローラ63の回転軸63aは、ガイド61に回転可能に支持されている。第2ローラ63は、第1ローラ62と異なり、ガイド61の長手方向に移動不能である。よって、支持部材64によって第1ローラ62をガイド溝61aの長手方向に移動させることで、第1ローラ62と第2ローラ63の間隔の大きさが調節可能である。このように、第1ローラ62を第2ローラ63に対し接離させることで、第1ローラ62と第2ローラ63の間隔を、ウェブ40の厚みに対応可能である。
[0028]
 ウェブドラフタ50によって第4の繊維層14を製造する場合、まず、ウェブ40の供給側(流通方向Xの上流)において、ウェブ40中の非連続繊維10を任意の方法で一方向に引き揃える。詳細には、非連続繊維10を流通方向Xに沿って引き揃える。
[0029]
 次に、各ローラ群52を駆動させて、ウェブ40を搬送する。このとき、最上流のローラ群52の周速度を一定とし、下流側のローラ群52の周速度を最上流のローラ群52よりも速くする。これにより、最下流のローラ群52から出てくるウェブ40の厚みは、最上流のローラ群52を通過する時点でのウェブ40の厚みよりも、小さくなる。よって、下流側のローラ群52の周速度を最上流のローラ群52の周速度より速くするほど、最下流のローラ群52から出てくるウェブ40の厚みを小さくできる。したがって、下流側のローラ群52の周速度を連続的に速くすれば、ウェブ40の厚みを連続的に小さくできる。しかも、ウェブ40を圧縮して薄くする方法とは異なり、ウェブ40の厚みを小さくするのに従って単位面積当たりの繊維の数が減少し、非連続繊維10の密度は一定に保たれる。
[0030]
 各ローラ群52の周速度の変更によりウェブ40の厚みが連続的に変化させられると、次に、ウェブ40の幅が規制部材60の一対のガイド61によって規制される。したがって、ウェブドラフタ50では、規制部材60を通過した後に得られる繊維層の幅が、所望の幅に規制される。ウェブ40の幅が規制されると、ウェブ40の厚みが大きくなる。これに応じて、第2ローラ63に対する第1ローラ62の位置が制御される。その結果、ウェブ40の繊維の密度は、長手方向の位置によらず一定に保たれる。一方で、ウェブ40は、長手方向の位置によって厚みが変化する厚み変化部23と、厚みが一定である第1及び第2厚み非変化部24a,24bとを備える形状に、製造される。
[0031]
 次に、第1~第3の繊維層11~13を製造するウェブドラフタ70について説明する。
 図6に示すように、ウェブドラフタ70は、ウェブ40の長手方向に配置される第1ローラ組71と第2ローラ組72とをそれぞれ複数組備えたローラ部51を有する。第1ローラ組71は、第1の繊維層11の厚み変化部23を製造し、第2ローラ組72は、第1の繊維層11の厚み非変化部24a,24bを製造する。
[0032]
 各第1ローラ組71は、ウェブ40を支持する第1支持ローラ66と、第1支持ローラ66と共にウェブ40を挟む異径ローラ67とを備える。各第1支持ローラ66は、回転軸線L1の軸線方向の位置によらず同径であるローラである。一方、異径ローラ67は、回転軸線L2の軸線方向の位置によって直径が徐々に変化するローラである。各異径ローラ67は、ウェブ40の長手方向の一方の端部から他方の端部に向けて直径が徐々に大きくなる状態で配置されている。複数の異径ローラ67は、それらの周面をウェブ40の長手方向に連続させるように配置されている。
[0033]
 各第2ローラ組72は、ウェブ40を支持する第2支持ローラ68と、第2支持ローラ68と共にウェブ40を挟むローラ69とを備える。各第2支持ローラ68及びローラ69は、回転軸線L1,L2の軸方向の位置によらず同径であるローラである。各第2支持ローラ68の周面は、ウェブ40の長手方向に連続するように配置されている。各ローラ69の各周面も、ウェブ40の長手方向に連続するように配置されている。
[0034]
 第1の繊維層11を製造する場合、複数のローラ組71の第1支持ローラ66と異径ローラ67との間に、ウェブ40において厚み変化部23となる部位を配置する。また、複数の第2ローラ組72の第2支持ローラ68とローラ69との間に、ウェブ40において厚み非変化部24a,24bとなる部位を配置する。このとき、非連続繊維10が第1の繊維層11の表面に沿ってかつ各回転軸線L1,L2と直交する方向に延びる状態で、ウェブ40がウェブドラフタ70に供給される。そして、複数の第1ローラ組71及び第2ローラ組72をそれぞれ駆動させる。
[0035]
 複数の第1ローラ組71間では、第1端部21に近い第1ローラ組71の周速度を相対的に速くする。すなわち、第1端部21に近い第1ローラ組71のドラフト倍率を相対的に高くする。すると、第1端部21に近い第1ローラ組71から第2端部22に近い第1ローラ組71に向かうほど、ウェブ40の厚みが徐々に大きくなる。こうして、第1の繊維層11の厚み変化部23が製造される。また、第1端部21に近い第2ローラ組72によって第1厚み非変化部24aが製造され、第2端部22に近い第2ローラ組72によって第2厚み非変化部24bが製造される。
[0036]
 第2及び第3の繊維層12,13も、ウェブドラフタ70と同様に、ローラ組がウェブ40の幅方向に分割されたウェブドラフタを用いて、製造される。ただし、ウェブドラフタ70とは異なり、各分割区域においてウェブ40が所望の厚みとなるように、分割された各ローラ組の周速度(ドラフト倍率)を、第2及び第3の繊維層12,13の長手方向の位置に応じて変更する。
[0037]
 製造された第1~第4の繊維層11~14が積み重ねられ、繊維積層体Wが製造される。その後、繊維積層体Wに、熱硬化性のマトリックス樹脂Maを含浸し、硬化させる。マトリックス樹脂Maの含浸硬化は、RTM(レジン・トランスファー・モールディング)法で行われる。
[0038]
 上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
 (1)繊維積層体Wは、長手方向の位置によって厚みが連続的に変化するテーパ部W1を備える。テーパ部W1は、第1~第4の繊維層11~14の厚み変化部23が積み重なって形成されている。各厚み変化部23では、厚みが連続的に変化しながらも、繊維の密度が同じであり、厚みの変化量も同じである。したがって、テーパ部W1では、厚みが変化するものの、長手方向の位置によらず、繊維層の積層数も、繊維配向も同じである。よって、繊維積層体Wのテーパ部W1では賦形性や強度といった物性のばらつきを抑えることができる。
[0039]
 (2)第1~第4の繊維層11~14それぞれの厚みを変えることで、繊維積層体Wのテーパ部W1の厚みを変化させている。この構成によれば、繊維積層体Wの厚みを変化させるために繊維層の積層数を変えておらず、テーパ部W1に繊維層の端部が存在していない。このため、繊維層の端部付近にマトリックス樹脂Maのみが存在する樹脂リッチな部分が、テーパ部W1に形成されない。よって、樹脂リッチな部分によって繊維強化複合材Mの強度が低下することがない。
[0040]
 (3)第1~第4の繊維層11~14間で、各繊維層の非連続繊維10の配向角度を、0度、45度、-45度、90度とした。このため、繊維積層体Wは、平面視で、四方向に疑似等方性を有することができる。
[0041]
 (4)ウェブドラフタ50,70において、ローラ部51のドラフト倍率を変化させることで、ウェブ40の厚みを異ならせることができる。その結果、第1~第4の繊維層11~14に、厚みが変化する厚み変化部23を製造することができる。また、ローラ部51のドラフト倍率を同じにすることで、第1~第4の繊維層11~14に、第1及び第2厚み非変化部24a,24bを製造することができる。よって、ウェブドラフタ50,70を使用すれば、厚み変化部23及び各厚み非変化部24a,24bを有する第1~第4の繊維層11~14を容易に製造することができる。
[0042]
 (5)ウェブドラフタ50,70は、ウェブ40の幅方向への延びを規制する規制部材60を備える。このため、ウェブドラフタ50,70によってウェブ40を引き延ばしつつも、規制部材60によってウェブ40の幅を所定寸法に規制することができる。
[0043]
 (6)繊維積層体Wは、厚み変化部23を有する繊維層を積み重ねて構成されている。よって、繊維層の積層数を調整することで、得られる繊維積層体Wの強度を調節することができる。よって、厚みが連続的に変化するテーパ部W1を有する繊維積層体Wにおいて、テーパ部W1での物性のばらつきを抑えつつ、強度も調節することができる。
[0044]
 上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
 上記実施形態では、第1~第4の繊維層11~14の非連続繊維10の配向角度を全て異ならせたが、4枚の繊維層うち、2又は3枚の繊維層の非連続繊維10の配向角度のみを異ならせてもよい。
[0045]
 繊維積層体Wは、四方向に疑似等方性を有していたが、三方向や六方向に疑似当方性を有していてもよい。
 繊維積層体Wは、疑似等方性を有していなくてもよい。
[0046]
 繊維積層体Wでは、長手方向の位置によってテーパ部W1の厚みを変化させ、定厚部W2の厚みを一定としたが、これに限らない。つまり、繊維積層体Wの厚みを長手方向全体に亘って連続的に変化させることで、繊維積層体Wの長手方向全体をテーパ部W1としてもよい。
[0047]
 実施形態では、繊維積層体Wの所定方向を長手方向としたが、繊維積層体Wの所定方向を短手方向としてもよい。
 実施形態では、第1端部21から第2端部22に向かうに従いテーパ部W1の厚みが連続的に大きくなるように、繊維積層体Wを構成したが、これに限らない。つまり、第1端部21から第2端部22に向かうに従いテーパ部W1の厚みが連続的に小さくなるように、繊維積層体Wを構成してもよい。
[0048]
 ウェブドラフタ50,70におけるローラ群52の数は、適宜変更してもよい。
 第1~第4の繊維層11~14の厚み変化部23を、ウェブドラフタ50,70によりウェブ40を引き延ばす方法以外の方法によって、製造してもよい。例えば、繊維層の厚みが一定であるベースと、ベースとは別の繊維シートとを準備し、それらを接合して、繊維積層体の厚みを連続的に変化させてもよい。この場合、繊維シートでは、繊維層の長手方向の位置によらず、繊維の密度が一定である。
[0049]
 ウェブドラフタ50,70から規制部材60を省略してもよい。この場合、第1~第4の繊維層11~14の幅が不揃いな状態で各繊維層を積層し、積層後に、各繊維層の端部をカットして、各繊維層の幅を備えてもよい。

請求の範囲

[請求項1]
所定の方向の位置によって連続的に厚みが変化するテーパ部を少なくとも一部に備えるとともに、複数の繊維層を積み重ねて構成された繊維積層体であって、
 前記繊維層は、非連続繊維からなり、かつ前記非連続繊維の配向角度を一方向に揃えて構成され、
 前記複数の繊維層のうちの少なくとも2つの繊維層の前記非連続繊維の配向角度が異なり、
 前記複数の繊維層のそれぞれは、前記所定の方向の位置によらず繊維の密度が一定に保たれたまま連続的に厚みが変化する厚み変化部を備え、
 前記テーパ部は、複数の厚み変化部が積み重なって構成されるとともに、前記複数の厚み変化部のそれぞれの厚みの変化量は、前記所定の方向の位置によらず同じである、繊維積層体。
[請求項2]
請求項1に記載の繊維積層体は、更に、
 前記所定の方向の位置によらず前記繊維層の厚みが変化しない定厚部を備える、繊維積層体。
[請求項3]
所定の方向の位置によって連続的に厚みが変化するテーパ部を少なくとも一部に備えるとともに、複数の繊維層を積み重ねて構成された繊維積層体の製造方法であって、
 前記繊維層は、非連続繊維からなり、かつ前記非連続繊維の配向角度を一方向に揃えて構成され、
 前記複数の繊維層のうちの少なくとも2つの繊維層の前記非連続繊維の配向角度が異なり、
 前記繊維層は、前記非連続繊維からなるウェブを、複数のローラ群からなるローラ部を有するウェブドラフタによって引き延ばして、製造され、
 前記所定の方向の位置によらず密度が一定に保たれたまま連続的に厚みが変化するように、前記複数のローラ群の周速度を相対的に異ならせることで、前記ローラ部のドラフト倍率を異ならせる、繊維積層体の製造方法。
[請求項4]
請求項3に記載の繊維積層体の製造方法において、
 前記ローラ部の下流側で、前記ウェブの幅を規制部材で規制する、繊維積層体の製造方法。
[請求項5]
繊維製の強化基材にマトリックス樹脂を含浸させてなる繊維強化複合材であって、
 前記強化基材が請求項1に記載の繊維積層体である、繊維強化複合材。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]