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1. (WO2015147239) 表面溶融炉及び表面溶融炉の運転方法
Document

明 細 書

発明の名称 表面溶融炉及び表面溶融炉の運転方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

課題を解決するための手段

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039  

発明の効果

0040  

図面の簡単な説明

0041  

発明を実施するための形態

0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082  

符号の説明

0083  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 表面溶融炉及び表面溶融炉の運転方法

技術分野

[0001]
 本発明は、リン及び可燃物を含有する被処理物を溶融処理する表面溶融炉及び表面溶融炉の運転方法に関する。

背景技術

[0002]
 表面溶融炉は、炉天井の略中央部に燃焼バーナ及び空気供給機構が設置されるとともに炉底部に出滓口が形成された炉室と、炉室の周囲に設けられた被処理物収容部から被処理物を炉室に供給する被処理物供給機構とを備えて構成されている。
[0003]
 このような表面溶融炉でリン及び可燃物を含有する被処理物を溶融処理する場合、燃焼及び溶融に必要な空気が炉天井の略中央部に配置された空気供給機構から供給され、可燃分を効率的に燃焼させるために必要な領域に空気が十分に供給されない等の理由で、炉床の単位面積当たりの処理量が少なく、同量の被処理物を処理する場合に大型の炉になるという問題があった。
[0004]
 特許文献1には、未燃焼の炭素を含み、自燃性を有する乾留残渣の溶融処理速度を向上できる表面溶融炉を提供することを目的として、内筒と外筒との間に処理物を充填状態で自重落下させる環状供給路を形成し、環状供給路の下端が燃焼室に連通するように構成され、燃焼室に臨む乾留残渣の環状堆積部分に燃焼用空気を供給する給気機構を備えた表面溶融炉が提案されている。
[0005]
 廃棄物が乾留残渣のような自燃性を有するものである場合に、燃焼バーナで高温化された乾留残渣に燃焼用空気を供給することにより、乾留残渣を効率的に燃焼溶融処理することができるようになる。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開平10-122523号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 特許文献1に開示された表面溶融炉は、主に燃焼バーナが可燃性廃棄物を溶融するための熱源として利用され、燃焼バーナで高温化された乾留残渣に燃焼用空気を供給することにより乾留残渣が効率的に燃焼溶融されるように構成されていた。
[0008]
 そのため、燃焼バーナを熱源に用いることなく可燃性廃棄物の燃焼熱を溶融熱源とする場合に、給気機構から多量の燃焼用空気が供給されると、可燃性廃棄物の表面が冷却されて熱分解及び溶融処理が滞る虞がある。また可燃性廃棄物が炉内に飛散して未溶融の状態で出滓口から排出されるという問題もあった。
[0009]
 結果として、乾留残渣に燃焼用空気を積極的に供給することが困難であり、炉床の単位面積当たりの処理量が少ないという問題が解消されることはなかった。
[0010]
 また、被処理物の表面に沿って螺旋状に降下するように空気が給気機構によって供給されると、炉内での旋回流れが強くなり、出滓口から落下するスラグに旋回力が作用して、二次室の壁面へスラグが付着して堆積するという問題があった。
[0011]
 さらに、可燃性廃棄物の飛散を回避するために、被処理物の表面の傾斜方向に沿うように、或いは被処理物の表面に沿って螺旋降下するように給気機構から供給される空気の供給量を制限すると、炉室に供給された可燃性廃棄物が熱分解されて発生した可燃性ガスが炉天井に向けて上昇するのに伴って給気機構から供給される燃焼用空気が可燃性ガスの燃焼に消費される。そのため、可燃性廃棄物の表面近傍で燃焼用空気が不足するという問題もあった。
[0012]
 特に被処理物としてリン及び可燃物を含有する被処理物を溶融処理する場合に、熱分解後の被処理物の表面に残存する固定炭素分に十分な空気が供給できないために酸素が不足し、リンの排ガス中への揮散を効果的に抑制することができなかった。
[0013]
 そして、揮散したリンは排ガスとともに煙道を流れて排ガス処理設備で処理される過程で冷却・凝縮し、リン酸ダストとして析出し、ボイラや空気予熱器等の排ガス流路の閉塞を招いていた。
[0014]
 本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、リン及び可燃物を含有する被処理物を溶融処理する場合でも、リンの揮散を抑制するとともに溶融処理効率を向上させることができる表面溶融炉及び表面溶融炉の運転方法を提供する点にある。

課題を解決するための手段

[0015]
 上述の目的を達成するため、本発明による表面溶融炉の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の請求項1に記載した通り、バーナ及び空気供給機構が設置されるとともに出滓口が形成された炉室と、前記炉室に連通して設けられた被処理物収容部から被処理物を前記炉室に供給する被処理物供給機構とを備えて構成され、被処理物を溶融処理する表面溶融炉であって、被処理物はリンと可燃物を含有し、前記炉室と前記被処理物収容部が連通する近傍であって前記炉室内の被処理物の表面に向けて空気を供給する縁部空気供給機構を備えている点にある。
[0016]
 バーナ及び空気供給機構から供給される空気によって被処理物が炉内で加熱し、表面が溶融して出滓口から落下する。炉室に供給された被処理物中の可燃物は炉室内の温度によって熱分解して可燃性ガスが発生し上昇しながら燃焼する。
[0017]
 可燃物の熱分解により被処理物の表面近傍に残存する固定炭素分は、縁部空気供給機構から被処理物の表面に向けて供給される空気によって燃焼する。さらに余った酸素によってリン化合物やリン酸化物の還元反応が抑制されることでリンの揮散が抑制される。従って、可燃性ガス及び固定炭素分に効率的に空気が供給されるようになり、溶融処理効率が著しく上昇し、同じ処理量であれば炉を小型に構成でき、同じサイズの炉であれば溶融処理量が増加する。
[0018]
 同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記縁部空気供給機構は、前記炉室内で被処理物の表面が溶融する溶融領域より上流側の熱分解領域の表面に空気を供給する点にある。
[0019]
 縁部空気供給機構から供給された空気が、溶融領域より上流側の熱分解領域の表面に供給されることにより、被処理物に含有するリンの揮散が効果的に抑制されるようになる。
[0020]
 同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二の特徴構成に加えて、前記縁部空気供給機構は、前記熱分解領域の表面で酸素濃度が1Vol%以上となるように空気を供給する点にある。
[0021]
 熱分解領域の表面で酸素濃度が1Vol%以上となるように縁部空気供給機構から空気が供給されると、リン化合物やリン酸化物の還元反応が効果的に抑制され、リンの揮散が抑制される。
[0022]
 同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記縁部空気供給機構は、被処理物の表面に空気を均一に供給する均一化機構を備えている点にある。
[0023]
 均一化機構によって被処理物の表面にむらなく空気が供給されるので、全域で効果的にリンの揮散が抑制されるようになる。
[0024]
 同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第四の特徴構成に加えて、前記均一化機構は前記縁部空気供給機構に取り付けられたスワラーである点にある。
[0025]
 スワラーによって空気が拡散供給されるので、縁部空気供給機構を構成する例えば空気供給ノズルの設置間隔を密に設定しなくても、被処理物の表面にむらなく空気が供給できるようになる。
[0026]
 同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記縁部空気供給機構は、被処理物の飛散速度より低い流速で空気を供給するように構成されている点にある。
[0027]
 可燃物を含む被処理物が炉内で飛散することなく溶融処理されるように、被処理物の表面に向けて供給される空気の流速が調整される。その結果、溶融処理に影響を与えることなく効果的にリンの揮散が抑制される。
[0028]
 同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一から第六の何れかの特徴構成に加えて、前記縁部空気供給機構は、前記炉室内で被処理物の表面が溶融する溶融領域より上流側の熱分解領域に沿って配列された複数のノズルを備えて構成されている点にある。
[0029]
 熱分解領域に沿って配列された複数のノズルから空気が供給されるので、熱分解領域での被処理物の表面にむらなく均一に空気が供給され、広範囲で効果的でリンの揮散が抑制される。
[0030]
 同第八の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第一から第七の何れかの特徴構成に加えて、前記縁部空気供給機構は、炉天井を形成する耐火物層に形成された管状の空洞と、前記空洞から前記炉室に延出するように設置された複数のノズルで構成されている点にある。
[0031]
 炉天井に複数のノズルを配置する場合には、炉天井の耐火壁を貫通する複数のノズルを設置する作業に加えて、空気供給ヘッダー管等の付属設備の設置作業も必要になり、さらには炉天井の強度が低下する虞もある。
[0032]
 しかし、耐火物層に管状の空洞を形成し、空洞から炉室に延出するように複数のノズルを設置すると、管状の空洞が空気供給ヘッダー管として機能する。そのため、炉天井の上方空間に大きな空気供給ヘッダー管等の付属設備を設置する必要が無くなる。さらに、ノズルが炉天井を貫通することが無いので、炉の強度も十分に確保できる。
[0033]
 同第九の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、上述の第一から第八の何れかの特徴構成に加えて、前記縁部空気供給機構から供給される空気量は、溶融処理に必要な全空気量の10%から50%の範囲に設定されている点にある。
[0034]
 炉室に供給される空気は、炉天井に備えた空気供給機構及び縁部空気供給機構から供給される。被処理物表面で熱分解して炉室を上昇する熱分解ガスは縁部空気供給機構及び空気供給機構から供給される空気で燃焼し、被処理物表面の固定炭素分は主に縁部空気供給機構から供給される空気で燃焼し、余った酸素によってリン化合物やリン酸化物の還元反応が抑制されることでリンの揮散が抑制される。
[0035]
 この場合に、縁部空気供給機構から供給される空気量が溶融処理に必要な全空気量の10%から50%の範囲に設定されていると、空気の消費バランスがよくなり、溶融処理効率が上昇するとともにリンの揮散が効果的に抑制される。
[0036]
 同第十の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第一から第九の何れかの特徴構成に加えて、炉天井の周囲に一体に形成された内筒と炉底部の周囲に一体に形成された外筒とが同心円状に配置され、前記内筒と外筒との間隙に前記被処理物収容部が構成され、前記内筒と外筒との相対回転により被処理物を前記炉室に円環状に供給する被処理物供給機構を備え、前記縁部空気供給機構が円環状の被処理物の表面に向けて空気を供給するように構成されている点にある。
[0037]
 内筒と外筒との相対回転により被処理物が炉室に円環状に供給される回転式表面溶融炉に対して、円環状の被処理物の表面に向けて空気を供給する縁部空気供給機構が配置されていると、均質な溶融処理が可能になる。
[0038]
 本発明による表面溶融炉の運転方法の特徴構成は、同請求項11に記載した通り、バーナ及び空気供給機構が設置されるとともに出滓口が形成された炉室と、前記炉室の周囲に設けられた被処理物収容部から被処理物を前記炉室に供給する被処理物供給機構とを備えて構成される表面溶融炉の運転方法であって、リンと可燃物を含有する被処理物を被処理物収容部に収容し、前記被処理物供給機構により前記炉室に供給された直後の被処理物の表面に、溶融処理に必要な全空気量の一部を供給して、被処理物の表面を酸化雰囲気に維持する点にある。
[0039]
 溶融処理に必要な全空気量の一部が被処理物の表面に酸化雰囲気を維持するように供給される。そのため、熱分解の後に残存する固定炭素分が燃焼し、さらに余った酸素によってリン化合物やリン酸化物の還元反応が抑制されることでリンの揮散が抑制される。

発明の効果

[0040]
 以上説明した通り、本発明によれば、リン及び可燃物を含有する被処理物を溶融処理する場合でも、リンの揮散を抑制するとともに溶融処理効率を向上させることができる表面溶融炉及び表面溶融炉の運転方法を提供することができるようになった。

図面の簡単な説明

[0041]
[図1] 図1は本発明による回転式表面溶融炉の説明図である。
[図2] 図2(a),図2(b)は回転式表面溶融炉の要部の説明図である。
[図3] 図3(a),図3(b),図3(c)は縁部空気供給機構の説明図である。
[図4] 図4は回転式表面溶融炉の要部の説明図である。
[図5] 図5は縁部空気供給機構の要部の説明図である。
[図6] 図6(a),図6(b)は別実施形態を示し、表面溶融炉の要部の説明図である。

発明を実施するための形態

[0042]
 以下、本発明による表面溶融炉及び表面溶融炉の運転方法の実施形態を説明する。
 図1には、表面溶融炉の一例である回転式表面溶融炉1が示されている。当該表面溶融炉1はリン及び可燃物を含有する被処理物を溶融処理するための炉である。表面溶融炉1は、炉天井2の略中央部に空気供給機構11を備えた2本の助燃バーナ10が設置されるとともに炉底部3に出滓口3aが形成された炉室4と、炉室4の周囲に設けられ炉室4と連通する被処理物収容部7と、被処理物収容部7と連通する炉室4に被処理物を供給する被処理物供給機構8等を備えている。
[0043]
 また、炉天井2の周囲に炉天井2と一体に形成された内筒5と炉底部3の周囲に炉底部3と一体に形成された外筒6とが同心円状に配置され、内筒5と外筒6との間に形成された空間が被処理物収容部7となるように構成されている。
[0044]
 外筒6の下部に駆動機構13との連結部が設けられ、駆動機構13によって外筒6が回転することで内筒5と外筒6とが相対回転するように構成されている。被処理物供給機構を構成する切出し羽根8が内筒5の下部に、周方向に沿って複数設けられている。
[0045]
 切出し羽根8は、外筒6の回転によって被処理物が内筒5の下部で接線方向に移動する被処理物を炉室4に案内する板状の傾斜羽根で構成されている。切出し羽根8と内筒5と外筒6との相対回転によって、被処理物収容部7に収容された被処理物が炉室4に円環状に供給され、炉室4内で被処理物はすり鉢状となる。尚、被処理物の流動性が高い場合は、切出し羽根8がなくても、内筒5と外筒6との相対回転によって被処理物は炉室4に円環状に供給される。
[0046]
 さらに、回転式表面溶融炉1には、炉室4に被処理物が供給された直後、言い換えれば炉室4と被処理物収容部7とが連通する近傍の円環状の被処理物の表面、つまり熱分解領域R1の表面に向けて空気を供給する縁部空気供給機構20が配置されている。
[0047]
 内筒5上部から外筒6方向に延出したカバー体5aの縁部と外筒6との境界部が水封機構14で水封される。カバー体5aの上部に二重ダンパ機構15aを備えたホッパー15が配置され、スクリュウコンベア機構16によって、被処理物が被処理物収容部7に投入される。炉天井2、炉底部3、内筒5及び外筒6は耐火レンガ等が積層された耐火壁で構成され、炉天井2及び炉底部3の出滓口周辺には炉室4の中の耐火壁を外から覆うように水冷ジャケットが配置されている。
[0048]
 出滓口3aの下方には被処理物が溶融した溶融スラグを受け止める水槽が配置されている。出滓口3aの直下には、横方向に煙道が延出形成され、煙道に沿って二次燃焼装置、排熱ボイラや空気予熱器等の熱回収装置、減温塔、バグフィルタ、洗煙装置、白煙防止装置等の排ガス処理設備が配置され、浄化された排ガスが煙突から排気される。
[0049]
 リン及び可燃物を含有する被処理物とは、主に下水汚泥であり、他に家畜糞尿、食品廃棄物等の動植物性残渣、粉砕処理された都市ごみ等が含まれる。
[0050]
 回転式表面溶融炉1の立上時には、助燃バーナ10を点火して炉室4を1000℃以上に予熱した後に、駆動機構13を介して外筒6を回転させて被処理物を供給し、被処理物が溶融開始すると助燃バーナ10を停止する。その後、被処理物は自燃により溶融を継続する。尚、自然による熱量では溶融に必要な熱量が不足する場合は、助燃バーナ10を継続して利用する。
[0051]
 炉室4に投入された被処理物は、炉室への供給位置である内筒5から炉中心である出滓口3aに向かって500mm程度の円環状の領域である熱分解領域R1で、可燃物が炉内温度により熱分解し(図2(a)参照)、発生した熱分解ガスが縁部空気供給機構20及び炉天井2に備えた空気供給機構11から供給される空気で高温に燃焼する(図2(b)参照)。
[0052]
 可燃物の熱分解による残渣である固定炭素及び無機物は、炉天井2で反射する輻射熱等で約1300℃程度に加熱され、縁部空気供給機構20から供給される空気によって固定炭素成分が熱分解領域R1で固体燃焼する(図2(b)参照)。さらに溶融領域R2で無機物が溶融して出滓口3aに向けて溶融しながら流下して出滓口3aから流出する。
[0053]
 燃焼ガスは煙道の下流側に備えた誘引送風機で煙突に向けて誘引され、上述した排ガス処理設備で減温、浄化処理されて煙突から排煙される。空気供給機構11から炉内に供給される空気はボイラ蒸気や空気予熱器もしくは別途の熱風発生機によって約200℃程度に予熱されている。
[0054]
 縁部空気供給機構20は、炉室4に投入された直後の被処理物の表面に向けて空気を供給して被処理物に含まれるリンの揮散を抑制するように機能する。縁部空気供給機構20から供給される空気量は、溶融処理に必要な全空気量の10%から50%の範囲に設定されていることが好ましい。
[0055]
 縁部空気供給機構20により供給される空気は、炉内で旋回する方向ではなく被処理物の表面に向けて真直ぐに供給される。そのため、炉室4で旋回流れが生じ難いため出滓口から落下するスラグに旋回力が作用することがほとんどなく、二次室の壁面へ付着する虞が減少する。
[0056]
 炉室4に供給される空気は、炉天井2に備えた空気供給機構11及び縁部空気供給機構20から供給される。被処理物の表面で可燃物の熱分解により生じて炉室を上昇する熱分解ガスは縁部空気供給機構20及び空気供給機構11から供給される空気で燃焼する。被処理物表面の固定炭素分は主に縁部空気供給機構20から供給される空気で燃焼するとともに、リンの揮散の抑制に用いられる。
[0057]
 つまり、熱分解して被処理物の表面近傍に残存する固定炭素分が、縁部空気供給機構20から被処理物の表面に向けて供給される空気によって燃焼する。さらに余った酸素によってリン化合物やリン酸化物の還元反応が抑制されることでリンの揮散が抑制される。
[0058]
 縁部空気供給機構20から供給される空気量が溶融処理に必要な全空気量の10%から50%の範囲に設定されていると、空気の消費バランスがよくなり、溶融処理効率が上昇するとともにリンの揮散が効果的に抑制される。溶融処理に必要な全空気量とは、被処理物及びバーナの燃焼に必要な理論空気量の1.0倍から1.2倍程度の値で、被処理物の性状によって適宜設定される値である。尚、全空気量の50%を超えると、空気は熱分解領域R1での雰囲気温度を下げる方向に作用するので処理効率は低下する。
[0059]
 このように、炉室4内で被処理物の表面が溶融する溶融領域R2より上流側の熱分解領域R1に沿って配列された複数のノズルで構成される縁部空気供給機構20を備えることによって、熱分解領域R1に均一に空気が供給され、固定炭素分に効率的に空気が供給されるようになる。
[0060]
 そのため、リンの揮散が抑制されるとともに、熱分解領域R1における燃焼速度が上昇し、燃焼による発熱で温度が上昇する。この温度上昇によりさらに被処理物の乾燥、可燃物の熱分解、燃焼、溶融のそれぞれの速度が上がる。
[0061]
 結果として、溶融処理効率が上昇し、同じ処理量であれば炉を小型に構成でき、同じサイズの炉であれば溶融処理量が増加する。
[0062]
 縁部空気供給機構20は、熱分解領域R1の表面で酸素濃度が1Vol%以上となるように空気を供給するように構成されていることが好ましく、被処理物の飛散速度より低い流速で、より好ましくは可燃物の飛散速度より低い流速で空気を供給するように構成されていることが好ましい。
[0063]
 縁部空気供給機構20から供給された空気が、溶融領域R2より上流側の熱分解領域R1の表面で酸素濃度が1Vol%%以上となるように供給されると、リン化合物やリン酸化物の還元反応が効果的に抑制され、その結果リンの揮散が抑制される。
[0064]
 また、可燃物を含む被処理物が炉内で飛散することなく溶融処理されるように、被処理物の表面に向けて供給される空気の流速が調整される結果、効果的にリン化合物やリン酸化物の還元反応が抑制され、リンの揮散が抑制される。
[0065]
 つまり、揮散したリンの付着で排ガス処理設備や煙道等が閉塞に到るのを防止し、或いは閉塞に到るまでの期間を延ばすことによって、溶融設備を清掃等することなく長期な運転することが可能となり、メンテナンス費用も低減するようになる。また、熱交換器へのリンの付着が減少すると、熱回収量が減ることなく安定した熱回収もでき、ファンの負荷も低下して省エネルギー化にも寄与するようになる。
[0066]
 被処理物が炉内で飛散することがない空気の流速とは、一定の値に固定される数値ではなく、被処理物の平均粒径、平均密度、含水率等によって様々に異なる値で、被処理物に応じて適宜設定される値である。例えば、被処理物が下水汚泥を乾燥処理した含水率20~30%程度の乾燥汚泥である場合、乾燥汚泥の表面に沿った空気の流速が約5m/秒から6m/秒の範囲であれば、飛散が抑制される。
[0067]
 具体的に、縁部空気供給機構20は、平面視で炉中心から等距離となる円周上であって、炉天井2の外周縁部に位置するように配列された複数本の筒状ノズル20aと、各ノズル20aに空気を供給する円環状の空気ヘッダー管21と、空気予熱器等で約200℃に予熱された空気を空気ヘッダー管21に供給する空気供給管22を備えて構成されている。尚、空気供給機構11に供給する空気も空気供給管22から流量調整機構を介して供給されている。
[0068]
 図3(a)に示すように、筒状ノズル20aを用いて熱分解領域R1に均一に空気を供給するためには、例えば、円筒状ノズル20aを用いて被処理物表面での空気の流速が約5m/秒となるように供給すると、円筒状ノズルの軸心方向距離1に対してその径方向に0.6の比率で拡散するので約420mmの高さに円筒状ノズル20aの先端が位置するように配置すればよい。炉底部3の直径が4mの表面溶融炉であれば、約25本の円筒状ノズル20aを配置すればよい。
[0069]
 図3(b)に示すように、筒状ノズルの内部に旋回羽根20cが内挿されたスワラーノズル20bを用いれば、空気が旋回しながら拡径して被処理物表面に均一に供給されるので、同じ量の空気を吹き込む際には筒状ノズル20aを用いる場合よりも数を少なくすることができる。当該スワラーノズル20bが、被処理物の表面に空気を均一に供給する均一化機構の一例となる。尚、均一化機構として、筒状ノズルの数を増やして配置した構成を採用することも可能である。
[0070]
 さらに、図3(c)に示すように、均一化機構の他の例であるノズル先端がスリット状に形成される扁平ノズル20dを用いると、環状の熱分解領域R1により均一に空気を供給しながら、ノズルの本数を削減することができる。
[0071]
 図4には、縁部空気供給機構20を構成する複数のノズル20aが炉天井2の周縁部に配列された状態が示されている。各ノズル20aがその上方空間に配置された空気ヘッダー管に接続される。
[0072]
 各ノズル20aは、鉛直姿勢に設置されていてもよいし、内筒5と熱分解領域R1とが交差する切出し部、つまり炉室4と被処理物収容部7が連通する部位で、被処理物が炉室4に切出されて供給される切出し部に向けた姿勢で設置されていてもよい。
[0073]
 上述した実施形態では、各ノズル20aに空気を供給するために、炉天井2の上方空間に円環状の空気ヘッダー管21を配置した例を説明したが、この場合炉天井2を貫通するように各ノズル20aを配置する必要があり、炉天井2の強度が低下する虞もある。
[0074]
 そこで、図5に示すように、炉天井2を構成する耐火壁2aに環状の空洞2bを形成し、その空洞2bを空気ヘッダー管21に構成してもよい。そして、空洞2bの下面に所定ピッチで炉室を臨む開口2cを形成し、開口2cに到る耐火壁の経路2dをノズル20aとして機能するように構成してもよい。
[0075]
 このように構成すると、炉天井2の上面側の一か所に形成した貫通孔を経由して空洞2bに空気を供給することができ、炉天井2の強度の低下を回避することができる。
[0076]
 上述した実施形態では、表面溶融炉が回転式表面溶融炉1である場合を例に説明したが、本発明による表面溶融炉は、回転式表面溶融炉1に限定するものではなく、他のタイプの表面溶融炉にも適用できることは言うまでもない。
[0077]
 例えば、図6(a)に示すように、炉底部3の中央部に出滓口3aが形成され、被処理物を投入する複数の押込み投入機構30を炉底部3の周囲に配置された表面溶融炉1に適用することも可能である。当該表面溶融炉は、炉底部3と一体に構成された外筒6と、炉天井2と一体に構成された内筒5の双方が固定され、押込み投入機構30によって炉室内に被処理物が供給されるタイプである。
[0078]
 また、図6(b)に示すように、炉底部3の端部に出滓口3aが形成され、対向側に被処理物を投入する複数の押込み投入機構30が配置された表面溶融炉1に適用することも可能である。何れの例も押込み投入機構30が被処理物供給機構となる。
[0079]
 つまり、本発明は、被処理物供給機構によって炉室に投入された直後のリン及び可燃物を含有する被処理物の表面に向けて、被処理物に含まれるリン化合物やリン酸化物の還元を抑制するとともに可燃物をガス化する空気を供給する縁部空気供給機構を備えている表面溶融炉であればよい。
[0080]
 以上説明した通り、本発明による表面溶融炉の運転方法は、バーナ及び空気供給機構が設置されるとともに出滓口が形成された炉室と、炉室の周囲に設けられた被処理物収容部から被処理物を炉室に供給する被処理物供給機構とを備えて構成される表面溶融炉の運転方法であって、リンと可燃物を含有する被処理物を被処理物収容部に収容し、被処理物供給機構により炉室に供給された直後の被処理物の表面に、溶融処理に必要な全空気量の一部を供給して、被処理物の表面を酸化雰囲気に維持する表面溶融炉の運転方法である。
[0081]
 尚、上述した実施形態では、酸素を含むガスとして空気を用いる例を説明したが、空気として酸素を含んでいればよく大気をそのまま利用してもよいし、酸素を富化させたり、窒素を減らしたりするような加工された空気であってもよい。
[0082]
 上述した各実施形態は、本発明の一例に過ぎず、各部の具体的構成は、本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計することが可能である。

符号の説明

[0083]
1: 表面溶融炉
2:炉天井
3:炉底部
3a:出滓口
4:炉室
5:内筒
6:外筒
8:被処理物供給機構
20:縁部空気供給機構

請求の範囲

[請求項1]
 バーナ及び空気供給機構が設置されるとともに出滓口が形成された炉室と、前記炉室に連通して設けられた被処理物収容部から被処理物を前記炉室に供給する被処理物供給機構とを備えて構成され、被処理物を溶融処理する表面溶融炉であって、
 被処理物はリンと可燃物を含有し、前記炉室と前記被処理物収容部が連通する近傍であって前記炉室内の被処理物の表面に向けて空気を供給する縁部空気供給機構を備えている表面溶融炉。
[請求項2]
 前記縁部空気供給機構は、前記炉室内で被処理物の表面が溶融する溶融領域より上流側の熱分解領域の表面に空気を供給する請求項1記載の表面溶融炉。
[請求項3]
 前記縁部空気供給機構は、前記熱分解領域の表面で酸素濃度が1Vol%以上となるように空気を供給する請求項2記載の表面溶融炉。
[請求項4]
 前記縁部空気供給機構は、被処理物の表面に空気を均一に供給する均一化機構を備えている請求項1から3の何れかに記載の表面溶融炉。
[請求項5]
 前記均一化機構は前記縁部空気供給機構に取り付けられたスワラーである請求項4に記載の表面溶融炉。
[請求項6]
 前記縁部空気供給機構は、被処理物の飛散速度より低い流速で空気を供給するように構成されている請求項1から5の何れかに記載の表面溶融炉。
[請求項7]
 前記縁部空気供給機構は、前記炉室内で被処理物の表面が溶融する溶融領域より上流側の熱分解領域に沿って配列された複数のノズルを備えて構成されている請求項1から6の何れかに記載の表面溶融炉。
[請求項8]
 前記縁部空気供給機構は、炉天井を形成する耐火物層に形成された管状の空洞と、前記空洞から前記炉室に延出するように設置された複数のノズルで構成されている請求項1から7の何れかに記載の表面溶融炉。
[請求項9]
 前記縁部空気供給機構から供給される空気量は、溶融処理に必要な全空気量の10%から50%の範囲に設定されている請求項1から8の何れかに記載の表面溶融炉。
[請求項10]
 炉天井の周囲に一体に形成された内筒と炉底部の周囲に一体に形成された外筒とが同心円状に配置され、前記内筒と外筒との間隙に前記被処理物収容部が構成され、前記内筒と外筒との相対回転により被処理物を前記炉室に円環状に供給する被処理物供給機構を備え、前記縁部空気供給機構が円環状の被処理物の表面に向けて空気を供給するように構成されている請求項1から9の何れかに記載の表面溶融炉。
[請求項11]
 バーナ及び空気供給機構が設置されるとともに出滓口が形成された炉室と、前記炉室の周囲に設けられた被処理物収容部から被処理物を前記炉室に供給する被処理物供給機構とを備えて構成される表面溶融炉の運転方法であって、
 リンと可燃物を含有する被処理物を被処理物収容部に収容し、
 前記被処理物供給機構により前記炉室に供給された直後の被処理物の表面に、溶融処理に必要な全空気量の一部を供給して、被処理物の表面を酸化雰囲気に維持する表面溶融炉の運転方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]