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1. (WO2015147192) インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体
Document

明 細 書

発明の名称 インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009   0010   0011   0012  

発明の効果

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067  

実施例

0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081  

産業上の利用可能性

0082  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

明 細 書

発明の名称 : インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体

技術分野

[0001]
 本発明は、インク組成物、これを用いるインクジェット記録方法及び着色体に関する。

背景技術

[0002]
 各種のカラー記録方法の中でも代表的方法の一つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの小滴を発生させこれを種々の被記録材料(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材料とが直接接触しないため音の発生が少なく静かであり、また小型化、高速化が容易という特長の為近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
[0003]
 水系インクを用いるインクジェット記録方法では、被記録材として、インクジェット専用紙;又はインクジェット用光沢紙;等のインク受容層を有する被記録材以外に、インクの吸収能力が低い、汎用普通紙等のインク受容層を有しない被記録材も用いられる。
[0004]
 これらのうちインク受容層を有しない被記録材に対しては、インクが浸透し難いため、着色剤が被記録材の表面に多く留まるため、指で触ったり、紙同士が擦れた場合に、容易に顔料が剥がれたりする擦過性の問題が生じていた。特に水系顔料インクを使用したときにその傾向は顕著であった。
[0005]
 顔料等の水に不溶性の色素は、光やオゾン、水等の各種堅牢性に優れることが知られているが、水に不溶なため、これを含有するインクが乾燥することにより色素が凝集してしまうと、再び水に分散することが困難である。このような性質に起因して、プリンタの記録ヘッドの目詰まり等のトラブルを招き易い欠点があった。このため、インクが乾燥したときであっても、再び水に分散できる性能が強く求められている。
[0006]
 インクジェット記録に用いる擦過性を改良したインク組成物としては、インク組成物中に、特定の高分子材料を加える手法が提案されており、その中でも樹脂エマルションを加えたインクジェットインク組成物が提案されているが、擦過性と吐出安定性を十分に満たすことが困難であった。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2000-34432号公報
特許文献2 : 特開2000-336292号公報
特許文献3 : 特開2009-191133号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 本発明は、耐擦過性を有し、吐出性及び再分散性にも優れる水性顔料インク組成物、これを用いるインクジェット記録方法及び着色体の提供を目的とする。
[0009]
 本発明者等は前記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、水性媒体中に着色剤、樹脂エマルションを含有するインク組成物であって、前記樹脂エマルションが下記式(1)で表されるアクリル変性モノマーから得られる重合物であることを特徴とするインク組成物が、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
[0010]
 すなわち本発明は、以下の1)~12)に関する。
1)
 着色剤、樹脂、及び水を含有するインク組成物であって、
 前記着色剤が、実質的に水に不溶性の色素を含有し、
 前記樹脂が、少なくとも1種類の下記式(1)で表されるモノマーを重合することにより得られる重合体であるインク組成物。
[0011]
[化1]


[0012]
[式(1)中、
 R は、水素原子又はメチル基を表す。
 R は、水素原子、メチル基、又はC8アルキル基を表す。]
2)
 前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーが、R が2-エチルヘキシル基であるモノマーを含む、前記1)に記載のインク組成物。
3)
 前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーが、
が水素原子であり、R が2-エチルヘキシル基であるモノマーA;及び、
及びR がメチル基であるモノマーB;の両者を含み、且つ、
 前記重合体のガラス転移点が、-10℃~20℃である前記1)又は2)に記載のインク組成物。
4)
 前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーが、
が水素原子であり、R が2-エチルヘキシル基であるモノマーAを40~60質量部、及び、
及びR がメチル基であるモノマーBを60~40質量部含有する前記1)乃至3)のいずれか一項に記載のインク組成物。
5)
 前記樹脂が、前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーと、さらにメタクリル酸アリルとを重合することにより得られる重合体である、前記1)乃至4)のいずれか一項に記載のインク組成物。
6)
 さらに、重量平均分子量が10000~60000の分散剤を含有する前記1)乃至5)のいずれか一項に記載のインク組成物。
7)
 インク組成物の総質量中における、着色剤の総含有量が、質量基準で3%~15%である前記1)乃至6)のいずれか一項に記載のインク組成物。
8)
 さらに水溶性有機溶剤を含有する前記1)乃至7)のいずれか一項に記載のインク組成物。
9)
 インクジェット記録に用いる前記1)乃至8)のいずれか一項に記載のインク組成物。
10)
 前記1)乃至8)のいずれか一項に記載のインク組成物のインクジェット記録のための使用。
11)
 前記1)乃至8)のいずれか一項に記載のインク組成物の液滴を、記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させ、記録を行うインクジェット記録方法。
12)
 被記録材が情報伝達用シートである前記11)に記載のインクジェット記録方法。
13)
 情報伝達用シートが普通紙、又は、多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ-トである前記12)に記載のインクジェット記録方法。
14)
 前記11)乃至13)のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体。
15)
 前記1)乃至8)のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。

発明の効果

[0013]
 本発明により、耐擦過性を有し、吐出性・再分散性に優れる水性顔料インク組成物、これを用いるインクジェット記録方法及び着色体が提供できた。

発明を実施するための形態

[0014]
 本明細書においては、特に断りの無い限り、「%」及び「部」は質量基準で記載する。また、本明細書において「C.I.」とは、「カラーインデックス」を意味する。
[0015]
 前記の着色剤は、少なくとも実質的に水に不溶性の色素を含有する。実質的に水に不溶性の色素とは、25℃において、100部の水に対する色素の溶解量が通常2g以下、好ましくは1g以下、より好ましくは0.1g以下の色素を意味する。そのような色素としては、例えば、公知の顔料、及び分散染料等が挙げられる。これらの着色剤は、必要に応じて併用することができる。
 前記のインク組成物が含有する着色剤としては、2種類以内の併用が好ましく、1種類のみを使用するのがより好ましい。
[0016]
 前記の顔料としては、無機顔料、有機顔料及び体質顔料等が挙げられる。
 無機顔料としては、例えばカーボンブラック、金属酸化物、水酸化物、硫化物、フェロシアン化物、及び金属塩化物等が挙げられる。
 カーボンブラックとしては、例えば、サーマルブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、ランプブラック、ガスブラック、及びチャンネルブラック等が挙げられる。
 前記のうち、カーボンブラックとしてはファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が好ましい。
 カーボンブラックの具体例としては、例えばRaven760ULTRA、Raven780ULTRA、Raven790ULTRA、Raven1060ULTRA、Raven1080ULTRA、Raven1170、Raven1190ULTRA II、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven2500ULTRA、Raven3500、Raven5000ULTRA II、Raven5250、Raven5750、Raven7000(コロンビア・カーボン社製);Monarch700、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Regal1330R、Regal1400R、Regal1660R、Mogul L(キャボット社製);Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、 Printex 140U、 Printex 140V、 SpecIal Black 4、SpecIal Black 4A、SpecIal Black 5、Special Black 6(デグサ社製);MA7、MA8、MA100、MA600、MCF-88、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300(三菱化学社製);等が挙げられる。
[0017]
 有機顔料として、例えば溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、不溶性ジアゾ顔料、縮合アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンスラキノン顔料及びキノフタロン顔料が挙げられる。
[0018]
 有機顔料の具体例としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、24、55、73、74、75、83、93、94、95、97、98、108、114、128、129、138、139、150、151、154、180、185、193、199、202等のイエロー顔料;C.I.Pigment Red 5、7、12、48、48:1、57、88、112、122、123、146、149、166、168、177、178、179、184、185、202、206、207、254、255、257、260、264、272等のレッド顔料;C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、25、60、66、80等のブルー顔料;C.I.Pigment Violet19、23、29、37、38、50等のバイオレット顔料;C.I.Pigment Orange13、16、68、69、71、73等のオレンジ~ブラウン顔料;C.I.Pigment Green7、36、54等のグリーン顔料;C.I.Pigment Black 1等のブラック顔料が挙げられる。
[0019]
 体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、硫酸バリウム、ホワイトカーボン等が挙げられる。これらの体質顔料は単独で使用するよりも、無機顔料又は有機顔料と併用することが多い。
[0020]
 分散染料としては、例えば、アゾベンゼン系分散染料やアントラキノン系分散染料等が挙げられる。
[0021]
 分散染料の具体例としては、例えば、C.I.Dispers Yellow9、23、33、42、49、54、58、60、64、66、71、76、79、83、86、90、93、99、114、116、119、122、126、149、160、163、165、180、183、186、198、200、211、224、226、227、231、237等のイエロー;C.I.Dispers Red60、73、88、91、92,111、127、131、143、145、146、152、153、154、167、179、191、192、206、221、258、283等のレッド;C.I.Dispers Orange9、25、29、30、31、32、37、38、42、44、45、53、54、55、56、61、71、73、76、80、96、97等のオレンジ;C.I.Dispers Violet25、27、28、54、57、60、73、77、79、79:1等のバイオレット;C.I.Dispers Blue27、56、60、79:1、87、143、165、165:1、165:2、181、185、197、202、225、257、266、267、281、341、353、354、358、364、365、368等のブルー;等の各分散染料が挙げられる。
 前記インク組成物の総質量中における、着色剤の総含有量は、質量基準で通常3%~15%、好ましくは3%~10%、より好ましくは3%~7.5%である。
[0022]
 前記の樹脂エマルションは、前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーを重合することにより得られる樹脂のエマルション、すなわち、変性アクリル樹脂のエマルションである。前記式(1)で表されるモノマーは、2種類以上を併用することが好ましい。本明細書において、前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーを重合することにより得られる樹脂を「重合体」ということがあり、該「重合体」は単独重合体(ホモポリマー)及び共重合体(コポリマー)を含む概念である。
 樹脂エマルションの調製方法は特に制限されない。その一例としては、樹脂を機械的に水性媒体中で微細化し、分散する方法;乳化重合、分散重合、懸濁重合等により樹脂エマルションを調製する方法;等が挙げられる。乳化重合は、乳化剤を用いることも、ソープフリーで行うこともできる。前記の樹脂エマルションの調製方法としては、例えば、特許文献2の製造例1に開示された方法が挙げられる。
 前記の樹脂としては、親水性の部分と疎水性の部分とを合わせ持つ重合体であることが好ましい。また、その粒子形状は、特に限定されない。一例としては、球形が挙げられるが、球形以外の任意の形状とすることもできる。
[0023]
 前記の樹脂の平均粒径は通常10nm~1μm、好ましくは、30nm~500nmである。平均粒径がこの範囲であると、インクジェットヘッドで詰りを生じにくく、また、樹脂の再凝集が生じにくい。
[0024]
 前記式(1)中、R におけるC8アルキル基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基が挙げられ、分岐鎖アルキル基が好ましい。
 その具体例としてはn-オクチル、2,2-ジメチルヘキシル、2-エチルヘキシル、1-メチルへプチル、5-メチルへプチル、1-エチル-1-メチルペンチル、シクロオクチル等の各基が挙げられる。これらの中では2-エチルヘキシル基が好ましい。
[0025]
 前記式(1)の具体的な例としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。これらの中から選択される2種類以上のモノマーから得られる樹脂エマルションが好ましい。具体例の中ではアクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、及びアクリル酸2-エチルヘキシルが好ましく、少なくともアクリル酸2-エチルヘキシルを含有するモノマーがより好ましく、少なくともメタクリル酸メチル及びアクリル酸2-エチルヘキシルを含有するモノマーがさらに好ましい。
[0026]
 前記の樹脂は、式(1)で表されるモノマー以外に、さらにメタクリル酸アリルを式(1)で表されるモノマー100部に対し通常5部以下、好ましくは0.2~3部、より好ましくは0.5~2部程度を加えて重合することにより得るのが好ましい。
 メタクリル酸アリルを加えるとき、前記の樹脂は、式(1)で表されるメタクリル酸(MAA)、メタクリル酸メチル(MMA)及びアクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)の3種類のモノマーと、メタクリル酸アリル(AMA)とを重合することにより得るのが好ましい。これらの使用量は特に制限されないが、表1にこれらの使用量の範囲の一例を示す。これらの合計が100部となるように、表1の範囲で使用量を調整することができる。表1中の数値は「部」を意味する。
 メタクリル酸アリル(AMA)に代えてアクリル酸を用いる場合、表1に記載されたメタクリル酸アリル(AMA)の使用量の範囲と同様の範囲の使用量でアクリル酸を用いることができる。
 前記の樹脂は、式(1)で表されるモノマーがメタクリル酸メチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸及びアクリル酸の4種類のモノマーから構成され、他のモノマーを重合しないで得られる重合体、及び、式(1)で表されるモノマーがメタクリル酸、メタクリル酸メチル、及びアクリル酸2-エチルヘキシルから構成され、さらにメタクリル酸アリルとの計4種類のモノマーを、他のモノマーを含まないで重合することにより得られる重合体が好ましく、後者のメタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸2-エチルヘキシル及びメタクリル酸アリルから構成される4種類のモノマーのみを重合することにより得られる重合体が特に好ましい。
[0027]
[表1]


[0028]
 前記の樹脂のガラス転移点(Tg)は通常-10℃~20℃、好ましくは-5℃~15℃である。樹脂のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)等の方法により測定される値である。
[0029]
 前記の樹脂の酸価は通常、前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーの比率を調整することで所望の値の樹脂エマルションを得ることができる。その酸価としては通常0~25KOHmg/g、好ましくは5~15KOHmg/gである。
[0030]
 前記の樹脂のテトラヒドロフランに対する不溶解度は通常80~100%、好ましくは100%、すなわち不溶であることが好ましい。それにより、樹脂の平均分子量を制御し、遊離のモノマー等を含有しない樹脂とすることができる。
 前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーを重合することにより得られる重合体(樹脂)は、好ましくは樹脂エマルションとして得られ、該樹脂エマルションの固形分は、下限値として、通常10%、好ましくは15%、より好ましくは18%、さらに好ましくは24%であり、上限値として、通常45%、好ましくは40%、より好ましくは35%である。該固形分は、通常、前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーを重合することにより得られる重合体(樹脂)の総質量に相当する。
 前記インク組成物の総質量中、樹脂エマルションの総質量は、下限値として、通常0.6%、好ましくは1.3%、より好ましくは1.4%であり、上限値として、通常29%、好ましくは18%、より好ましくは11%、さらに好ましくは7%である。
 前記インク組成物の総質量中、前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーを重合することにより得られる樹脂(重合体)の総質量は、下限値として、通常0.1%、好ましくは0.2%、より好ましくは0.3%であり、上限値として、通常10%、好ましくは7%、より好ましくは5%、さらに好ましくは3%である。
[0031]
 前記の着色剤は、分散剤で水中に分散された着色分散液として配合するのが好ましい。分散剤の重量平均分子量は、通常8000~60000、好ましくは10000~30000である。
 重量平均分子量が8000以上であるときは、耐擦過性に優れ、重量平均分子量が60000以下であるときは、インク組成物の粘度が上昇せず、正常に吐出することができる。
[0032]
 分散剤により、着色剤を水に分散させる方法としては、サンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いる公知の方法が挙げられる。これらの中ではサンドミル(ビーズミル)が好ましい。サンドミルを用いた着色分散液の調製は、径の小さいビーズ(0.01mm~1mm径)を使用し、ビーズの充填率を大きくすること等により、分散効率を高めた条件で着色分散液を調製することが望ましい。
 また、着色分散液の調製後に、濾過及び/又は遠心分離等により、ビーズ等を除去するのとともに、目的とする平均粒径からのかい離が大きい粒子成分を除去することも好ましく行われる。
 また、着色分散液の調製時に泡立ち等が生じるときは、これを抑える目的で、公知のシリコーン系、アセチレングリコール系等の消泡剤を極微量添加しても良い。消泡剤は、着色剤の分散や微粒子化及び分散後の安定性に影響を及ぼさないものを適宜使用するのが好ましい。
[0033]
 前記の分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体等が挙げられる。
[0034]
 また、分散剤として市販の水溶性樹脂を使用しても良い。その具体例としては、例えば、いずれもジョンソンポリマー社製のジョンクリル62、ジョンクリル67、ジョンクリル68、ジョンクリル678等のスチレン-アクリル系樹脂;モビニールS-100A(ヘキスト合成社製の変性酢酸ビニル樹脂);ジュリマーAT-210(日本純薬株式会社製のポリアクリル酸エステル共重合体);等が挙げられる。これらの中では、その分子内にカルボキシ基を含有する樹脂が好ましい。
[0035]
 分散剤を使用するときは、分散剤の種類・酸価等を適宜選択し、着色剤の平均粒径を通常30nm~300nm、好ましくは50nm~200nm、より好ましくは60nm~120nmとすることができる。これによってインク組成物中における着色剤の分散安定性、及びインクジェット記録時における吐出安定性が優れるとともに、記録画像の印字濃度を高くすることができる。着色剤の平均粒径は、レーザ光散乱法を用いて測定できる。
 前記インク組成物の総質量中における、分散剤の総含有量は、質量基準で通常0.1%~4.0%、好ましくは0.5%~3.0%である。
[0036]
 前記インク組成物は、有機溶剤を含有していてもよい。前記インク組成物が含有する有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が挙げられる。前記インク組成物は、水溶性有機溶剤を含有するのが好ましい。
 その具体例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等の直鎖又は分岐鎖C1-C3アルコール;1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、p-ジオキサン等のエーテル化合物;アセトン等のケトン類;多価アルコール;及び酢酸;等が挙げられる。水溶性有機溶剤は1種類を使用することも、複数を併用することもできる。
[0037]
 前記の多価アルコールとしては、例えば1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサン-1,2,6-トリオール等の、ヒドロキシ基を2つ又は3つ有する脂肪族C1-C6アルカノール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール又はジチオジグリコール等の、C2-C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ又はポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ジグリセリン、等のグリセリン類;等が挙げられる。
 これらの中ではグリセリン類(好ましくはグリセリン)、C2-C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ又はポリアルキレングリコール(好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール及び1,2-プロピレングリコール)が好ましい。
[0038]
 前記インク組成物は、水溶性有機溶剤として多価アルコールを少なくとも1種類含有するのが好ましい。多価アルコールを含有することにより、インク組成物の粘度の調整;乾燥の防止;等の効果が得られることがある。
[0039]
 前記インク組成物の総質量中、水溶性有機溶剤の総含有量は通常10~60%、好ましくは10~40%である。
[0040]
 前記インク組成物のpHとしては、保存安定性を向上させる目的で通常pH5~11好ましくはpH7~10である。
 また、静的表面張力は通常10~36mN/mで、好ましくは20~36mN/mである。
 また、粘度は通常3~20mPa・s、好ましくは3~10mPa・sである。
 これらはいずれも25℃における測定値であり、インク組成物のpH及び表面張力は、後記するpH調整剤、界面活性剤等により適宜調整できる。
[0041]
 前記のインク組成物は、少なくとも前記の着色分散液、及び水を含有し、必要に応じ水溶性有機溶剤、インク調製剤を含有してもよい。このインク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用するときは、金属陽イオンの塩化物(例えば塩化ナトリウム)、硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム)等の無機不純物の含有量の少ないものを用いるのが好ましい。その無機不純物の含有量の目安は、インク組成物における着色剤の総質量に対して、おおよそ1%以下程度であり、下限は分析機器の検出限界以下、すなわち0%でよい。
 無機不純物の少ないインク組成物を製造する方法としては、例えば、着色剤又はインク組成物に対してイオン交換樹脂を使用し、無機不純物を交換吸着する方法等が挙げられる。
[0042]
 前記インク調製剤としては、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、酸化防止剤及び/又は界面活性剤等が挙げられる。
[0043]
 防黴剤の具体例としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン-1-オキシド、p-ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン及びその塩等が挙げられる。
[0044]
 防腐剤の例としては、例えば有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8-オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系又は無機塩系等の化合物が挙げられる。
 有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。
 ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウムが挙げられる。
 イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンマグネシウムクロライド、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロライド、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
 その他の防腐防黴剤の具体例として、無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム又は安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製、商品名プロクセルGXL(S)やプロクセルXL-2(S)等が挙げられる。
[0045]
 pH調整剤としては、調製されるインク組成物に悪影響を及ぼさずに、そのpHを前記の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;リン酸二ナトリウム等の無機塩基;等が挙げられる。
[0046]
 キレート試薬の具体例としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム又はウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
[0047]
 防錆剤の具体例としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール又はジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
[0048]
 水溶性紫外線吸収剤の例としては、例えばスルホ化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物又はトリアジン系化合物が挙げられる。
[0049]
 水溶性高分子化合物の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン又はポリイミン等が挙げられる。
[0050]
 酸化防止剤の例としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類又は複素環類等が挙げられる。
[0051]
 界面活性剤の例としては、例えばアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の公知の界面活性剤が挙げられる。
[0052]
 アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N-アシルアミノ酸又はその塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
[0053]
 カチオン界面活性剤としては2-ビニルピリジン誘導体、ポリ4-ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
[0054]
 両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
[0055]
 ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;日信化学社製 商品名サーフィノール104PG50、105PG50、82、420、440、465、485、オルフィンSTG;ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA-ALDRICH社製のTergitol15-S-7等);等が挙げられる。これらの中ではサーフィノールシリーズ(好ましくはサーフィノール104PG50、サーフィノール440、サーフィノール465)が好ましい。
[0056]
 シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。市販品として入手できるものの具体例としては、例えば、いずれもビックケミー社製の、BYK-347(ポリエーテル変性シロキサン);BYK-345、BYK-348(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン);等が挙げられる。
[0057]
 フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。市販品として入手できるものの具体例としては、例えば、Zonyl TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、Capstone FS-30、FS-31(DuPont社製);PF-151N、PF-154N(オムノバ社製);等が挙げられる。
[0058]
 前記インク調製剤は、それぞれ単独もしくは混合して用いることができる。
[0059]
 前記インク組成物の調製方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。一例としては、以下の調製方法が挙げられる。
 前記インク組成物が含有する着色剤を、必要に応じて分散剤等を用いて水溶液中に分散し、着色分散液を得る。得られた着色分散液に、必要に応じて前記水溶性有機溶剤、及びインク調整剤を加えて混合することにより、前記インク組成物を調製することができる。
[0060]
 前記インクジェット記録方法としては、前記インク組成物の液滴を記録信号に応じて吐出させて、被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法が挙げられる。
 該記録方法は、公知のいずれの方式も使用することができる。例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式;ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式);電気信号を音響ビームに変えインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式;インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、すなわちバブルジェット(登録商標)方式;等が挙げられる。
 なお、前記インクジェット記録方法には、フォトインクと称する、インク中の着色剤の含有量の少ないインクを、小さい体積で多数射出する方式;実質的に同じ色相で、インク中の着色剤の含有量が異なる複数のインクを併用して画質を改良する方式;及び無色透明のインクを用いることにより、着色剤の定着性を向上させる方式;等も含まれる。
[0061]
 前記インクジェット記録方法により着色された着色体が得られる。前記着色体は、前記インク組成物により着色された物質を意味し、好ましくはインクジェットプリンタを用いるインクジェット記録方法によって着色された被記録材が挙げられる。該被記録材としては特に制限はないが、例えば普通紙等の紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。これらの中では、情報伝達用シートが好ましい。
 情報伝達用シートは、インク受容層を有するものと、有しないものとに大別することができる。
 インク受容層を有するものとしては、例えば、紙、合成紙、フィルム等を基材とし、これらにインク受容層を設けたものが挙げられる。インク受容層は、例えば前記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工する方法;又は、多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーとともに前記基材表面に塗工する方法;等により設けられる。
 インク受容層を有する情報伝達用シートは、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙等と呼ばれる。その代表的な市販品の例としては、キヤノン株式会社製の商品名:プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、光沢ゴールド及びマットフォトペーパー;セイコーエプソン株式会社製の商品名:写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード株式会社製の商品名:アドバンスフォト用紙(光沢);富士フイルム株式会社製の商品名:画彩写真仕上げPro;等が挙げられる。
[0062]
 インク受容層を有しない情報伝達用シートとしては、普通紙が挙げられる。普通紙としては、PPC用紙;グラビア印刷、オフセット印刷等の用途に用いられるコート紙、アート紙等の各種の用紙;ラベル印刷用途に用いられるキャストコート紙;等が挙げられる。
[0063]
 インク受容層を有しない情報伝達用シートを被記録材として用いるときは、着色剤の定着性等を向上させる目的で、被記録材に対して表面改質処理を施すことも好ましく行われる。
[0064]
 表面改質処理としては、公知のコロナ放電処理、プラズマ処理及びフレーム処理から選択される、少なくとも1つの処理を施すことが好ましい。これらの処理については、公知のいずれの方法を用いても良い。また、これらの処理の効果は、経時的に減弱することが一般的に知られている。このため、情報伝達用シートに表面改質処理を施したときは、時間を置かずにインクジェット記録を連続して行うことが好ましい。
 前記の表面改質処理は、所望の効果が得られるように処理の回数;処理の時間;及び、印加する電圧;等を適宜調整して行うことも可能である。
 情報伝達用シートとしては、普通紙、又は、多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ-トが好ましい。
[0065]
 前記インクジェット記録方法で被記録材に記録するときは、例えば、前記のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定の位置に装填し、前記の記録方法で被記録材に記録する方法が挙げられる。
 前記インクジェット記録方法は、前記インク組成物と、例えば公知のマゼンタ、シアン、イエロー、ブラック、及び必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)及びオレンジ等の各色のインク組成物とを併用することもできる。
 各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その各容器をインクジェットプリンタのそれぞれの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用される。
[0066]
 本発明のインク組成物を用いることで、印字濃度、及び彩度がいずれも高い記録画像が得られ、視覚的にも濃度感があり、鮮明で色域の広い記録物を得ることができる。
さらに、耐擦過性、耐水性、耐光性、耐熱性、耐酸化ガス(例えばオゾンガス)性等の各種堅牢性に優れた画像を得ることができる。
[0067]
 前記インク組成物は、普通紙及びインク受容層を有する情報伝達用シートといった被記録材上で非常に鮮明で、発色性(印字濃度)が高い記録画像を与える。このため、写真調のカラー画像を紙の上に忠実に再現させることも可能である。
 前記インク組成物は長期間保存後の固体の析出、物性変化、色相変化等もなく、保存(貯蔵)安定性が極めて良好である。
 前記インク組成物はインクジェット記録用、筆記具用として用いられ、特にインクジェットインクとして使用すると、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による固体の析出は非常に起こりにくく、噴射器(記録ヘッド)を閉塞することもなく、吐出性が良好である。
 前記インク組成物は、連続式インクジェットプリンタを用い、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用するとき;又は、オンデマンド式インクジェットプリンタにより断続的に使用するとき;のいずれにおいても、物理的性質の変化を起こさず、再分散性も良い。
 前記インク組成物により、インク受容層を有する情報伝達用シートに記録された画像は、耐擦過性、耐水性、耐湿性、耐オゾンガス性、耐擦性、耐光性等の各種堅牢性が良好である。
実施例
[0068]
 以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
 各調製例中で使用したポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、花王ケミカル株式会社製のエマルゲン1150S-60を使用した。
[0069]
[調製例1]マゼンタ分散液の調製。
 ジョンクリル68(MW:13000)11.3部、及びトリエタノールアミン6部をイオン交換水95.2部に溶解し、1時間撹拌した。得られた溶液にC.I.Pigment Red 122(クラリアント社製、Inkjet Magenta E02)37.5部を加え、1500rpmの条件下で20時間、サンドグラインダーで分散処理を行った。得られた分散液にイオン交換水150部を滴下した後、この液をろ過して分散用ビーズを取り除くことにより、固形分の含有量が15.8%のマゼンタ分散液を得た。得られた分散液を「分散液1」とする。
 [調製例2]ポリマーエマルション1の調製。
 撹拌機付きガラス製反応容器(容量3リットル)にコンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付け、イオン交換水60重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル0.3重量部、過硫酸アンモニウム0.3重量部を仕込んだ。内部の空気を窒素で置換した後、撹拌しつつ内部温度を70℃に調整し、あらかじめ別容器でイオン交換水70重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル10重量部とメタクリル酸メチル50重量部、アクリル酸2-エチルヘキシル47重量部、メタクリル酸2部、及びアクリル酸1部それぞれを混合撹拌して乳化物とし、それを3時間連続滴下した。滴下中は、窒素を導入しながら70℃で反応を行なった。滴下終了後、さらに70℃で2時間撹拌した後、40℃に冷却した。冷却後、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを150重量部添加し、共重合体を得た。
 得られたポリマーエマルションは白色懸濁液で、固形分は33.5%であった。
[調製例3]ポリマーエマルション2の調製。
 前記の調製例2において、乳化剤をポリオキシエチレンドデシルエーテルとし、40℃に冷却後に乳化剤を添加しない以外は、前記調製例2と同様にして共重合体を調製した。得られたポリマーエマルションは白色懸濁液で、酸価は13KOHmg/g、Tgは1.2℃、固形分は24.9%であった。
[調製例4]ポリマーエマルション3の調製。
 前記の調製例2において、メタクリル酸メチルを51部、メタクリル酸を1部にそれぞれ変更し、アクリル酸1部の代わりにメタクリル酸アリル1部を使用した以外は、前記調製例2と同様にして共重合体を得た。得られたポリマーエマルションは白色懸濁液で、酸価は6KOHmg/g、Tgは0℃、固形分は25%であった。
[調製例5]ポリマーエマルション4の調製。
 前記の調製例2において、メタクリル酸メチルを52部、アクリル酸2-エチルヘキシルを44部にそれぞれ変更し、アクリル酸1部の代わりにメタクリル酸アリル1部を使用した以外は、前記調製例2と同様にして共重合体を得た。得られたポリマーエマルションは白色懸濁液で、酸価は13KOHmg/g、Tgは15℃、固形分は25%であった。
[調製例6]ポリマーエマルション5の調製。
 前記の調製例2において、アクリル酸1部の代わりにメタクリル酸アリル1部を使用した以外は、前記調製例2と同様にして共重合体を得た。得られたポリマーエマルションは白色懸濁液で、酸価は13KOHmg/g、Tgは1.2℃、固形分は33.5%であった。
[0070]
[実施例1乃至4及び比較例1乃至7]
 下記表2に記載の各成分を混合し、おおよそ1時間撹拌した後、1.20μmのメンブランフィルター(商品名、酢酸セルロース系濾紙、ザルトリウス・ジャパン社製)で濾過することにより、評価試験用の実施例1乃至4、及び比較例1乃至7のインク組成物を調製した。この時、いずれのインク組成物も、フィルターを用いたろ過で残渣を生じなかった。
[0071]
 下記表2中の略号等は、以下の意味を表す。
PG:プロピレングリコール。
1,2-HD:1,2-ヘキサンジオール。
DEG:ジエチレングリコール。
TEA:トリエタノールアミン。
DF100D:エアープロダクツジャパン製サーフィノールDF-100D(界面活性剤)。
GXL(s):アーチケミカル社製プロクセルGXL(S)(防黴剤)。
PEM1:ポリマーエマルション1。
PEM2:ポリマーエマルション2。
WLS-201:DIC株式会社製ハイドランWLS-201(ポリウレタン変性樹脂エマルション、固形分35%)。
AP-20:DIC株式会社製ハイドランAP-20(ポリウレタン変性樹脂エマルション、固形分30%)。
UA-310:三洋化成工業株式会社製パーマリンUA-310(ポリウレタン変性樹脂エマルション、固形分39%)。
SF150:第一工業製薬株式会社製スーパーフレックス420(ポリウレタン変性樹脂エマルション、固形分、30%)。
PDX7687:BASFジャパン製PDX7687(スチレン-アクリル変性樹脂エマルション、固形分42%)。
AE104:イーテック製AE-104(アクリル変性樹脂エマルション、固形分35%)。
 また、表2中の「水」はイオン交換水を使用した。
 なお、下記表2中、各エマルションについては固形分に換算せず、使用したエマルションの部数をそのまま記載した。
[0072]
[表2]


[0073]
[吐出性評価試験]
 前記の各実施例、及び各比較例のインク組成物をインクジェットプリンタ(EPSON株式会社製、商品名PX-205)に充填し、吐出性試験を実施した。評価としては、プログラムとして導入されている「ノズルチェック」機能及び「パージ」機能を用い、以下A~Dの4段階の基準で評価した。結果を下記表3に示す。
 A:パージ機能3回以内で、ノズルチェックでピン欠けなし。
 B:パージ機能4回で、ノズルチェックでピン欠けなし。
 C:パージ機能4回で、ノズルチェックで5ノズル未満のピン欠けあり。
 D:パージ機能4回で、ノズルチェックで5ノズル以上のピン欠けあり。
[0074]
[インクジェット記録]
 前記の各実施例、及び比較例のインク組成物を使用し、インクジェットプリンタ(EPSON株式会社製、商品名PX-205)により、下記の被記録材にインクジェット記録を行った。
 コート紙:Sword i-Jet(三菱製紙株式会社)。
 インクジェット記録は、100%濃度の画像パターンが得られるように行った。得られた各記録物を24時間自然乾燥し、これらを試験片とし、以下の評価試験を実施した。
[0075]
[耐擦過性評価試験]
 各試験片の擦過性を、安田精機製作所製No.428学振形染色摩擦堅ろう度試験機を用いて評価した。評価基準は、300gの荷重を掛けた状態で、インクジェット記録した部分を20回擦り合わせ、画像の劣化具合をA~Cの3段階で評価した。結果を下記表3に示す。
 A:ほとんど画像の擦れが確認できない
 B:着色剤が擦り取られ、被記録材の白地が3割程度確認できる
 C:着色剤が擦り取られ、被記録材の白地が7割程度確認できる
[0076]
[再分散性評価試験]
 前記の各実施例、及び各比較例のインク組成物を、それぞれ50mlのビーカーに40μl滴下し、そのまま18時間、室温で乾燥させた。18時間後、イオン交換水30gを加えて、乾燥した液滴が、水中に再分散するか否かを以下A~Dの4段階で評価した。結果を下記表3に示す。
A:静置した状態で、完全に水に再分散した状態。
B:軽くゆすると完全に水に再分散した状態。
C:軽くゆすっても多少、水に再分散しない粒子がある状態。
D:まったく水中に再分散しない状態。
[0077]
[表3]


[0078]
 表3の結果より、各実施例は、吐出性、耐擦過性、及び再分散性の全ての評価において、各比較例よりも優れた結果を示した。
[0079]
[実施例5及び実施例6]
 前記の表2の実施例1において、PEM1の代わりに、調製例4で得たポリマーエマルション3を使用する以外は実施例1と同様にして、評価試験用の実施例5のインク組成物を得た。
 同様に、実施例3において、PEM1の代わりに、調製例5で得たポリマーエマルション4を使用する以外は実施例3と同様にして、評価試験用の実施例6のインク組成物を得た。
 得られたインク組成物を用い、前記と同様にして「[吐出性評価試験]」、「[インクジェット記録]」、「[耐擦過性評価試験]」、「[再分散性評価試験]」をそれぞれ実施した。試験結果を下記表4に示す。
[0080]
[表4]


[0081]
 表4の結果より、各実施例は、吐出性、耐擦過性、及び再分散性の全ての評価において優れた結果を示した。

産業上の利用可能性

[0082]
 本発明のインク組成物は、耐擦過性を有し、吐出性及び再分散性にも優れるため、筆記用具等の各種記録用、特にインクジェット記録用のインクとして好適に用いられる。

請求の範囲

[請求項1]
 着色剤、樹脂、及び水を含有するインク組成物であって、
 前記着色剤が、実質的に水に不溶性の色素を含有し、
 前記樹脂が、少なくとも1種類の下記式(1)で表されるモノマーを重合することにより得られる重合体であるインク組成物。
[化1]


[式(1)中、
 R は、水素原子又はメチル基を表す。
 R は、水素原子、メチル基、又はC8アルキル基を表す。]
[請求項2]
 前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーが、R が2-エチルヘキシル基であるモノマーを含む、請求項1に記載のインク組成物。
[請求項3]
 前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーが、
が水素原子であり、R が2-エチルヘキシル基であるモノマーA;及び、
及びR がメチル基であるモノマーB;の両者を含み、且つ、
 前記重合体のガラス転移点が、-10℃~20℃である請求項1又は2に記載のインク組成物。
[請求項4]
 前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーが、
が水素原子であり、R が2-エチルヘキシル基であるモノマーAを40~60質量部、及び、
及びR がメチル基であるモノマーBを60~40質量部含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインク組成物。
[請求項5]
 前記樹脂が、前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーと、さらにメタクリル酸アリルとを重合することにより得られる重合体である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインク組成物。
[請求項6]
 さらに、重量平均分子量が10000~60000の分散剤を含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインク組成物。
[請求項7]
 インク組成物の総質量中における、着色剤の総含有量が、質量基準で3%~15%である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインク組成物。
[請求項8]
 さらに水溶性有機溶剤を含有する請求項1乃至7のいずれか一項に記載のインク組成物。
[請求項9]
 インクジェット記録に用いる請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインク組成物。
[請求項10]
 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインク組成物のインクジェット記録のための使用。
[請求項11]
 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインク組成物の液滴を、記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させ、記録を行うインクジェット記録方法。
[請求項12]
 被記録材が情報伝達用シートである請求項11に記載のインクジェット記録方法。
[請求項13]
 情報伝達用シートが普通紙、又は、多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ-トである請求項12に記載のインクジェット記録方法。
[請求項14]
 請求項11乃至13のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体。
[請求項15]
 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。