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1. (WO2015147186) オレフィン系樹脂およびその製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 オレフィン系樹脂およびその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033  

発明の効果

0034  

図面の簡単な説明

0035  

発明を実施するための形態

0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279   0280   0281   0282   0283   0284   0285   0286   0287   0288   0289   0290   0291   0292   0293   0294   0295   0296   0297   0298   0299   0300   0301   0302   0303   0304   0305   0306   0307   0308   0309   0310   0311   0312   0313   0314   0315   0316   0317   0318   0319   0320   0321   0322   0323   0324   0325   0326   0327   0328   0329   0330   0331   0332   0333   0334   0335   0336   0337   0338   0339   0340   0341   0342   0343   0344   0345   0346   0347   0348   0349   0350   0351   0352   0353   0354   0355   0356   0357   0358   0359   0360   0361   0362   0363   0364   0365   0366   0367   0368   0369   0370   0371   0372   0373   0374   0375   0376   0377   0378   0379   0380   0381   0382   0383   0384   0385   0386   0387   0388   0389   0390   0391   0392   0393   0394   0395   0396   0397   0398   0399   0400   0401   0402   0403   0404   0405   0406   0407   0408   0409   0410   0411   0412   0413   0414   0415   0416   0417   0418   0419   0420   0421   0422   0423   0424   0425   0426   0427   0428   0429   0430   0431  

実施例

0432   0433   0434   0435   0436   0437   0438   0439   0440   0441   0442   0443   0444   0445   0446   0447   0448   0449   0450   0451   0452   0453   0454   0455   0456   0457   0458   0459   0460   0461   0462   0463   0464   0465   0466   0467   0468   0469   0470   0471   0472   0473   0474   0475   0476   0477   0478   0479   0480   0481   0482   0483   0484   0485   0486   0487   0488   0489   0490   0491   0492   0493   0494   0495   0496   0497   0498   0499   0500   0501   0502   0503   0504   0505   0506   0507   0508   0509   0510   0511   0512   0513   0514  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : オレフィン系樹脂およびその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、オレフィン系樹脂およびその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 オレフィン系樹脂は、様々な成形方法により成形され、様々な用途に用いられている。これら成形方法や用途に応じて、オレフィン系樹脂に要求される特性は異なる。
[0003]
 オレフィン系樹脂のうち、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体などのエチレン・α-オレフィン系共重合体は、軽量、低比重で柔軟、低融点、他のオレフィン系樹脂との相容性に優れ、リサイクルが容易といった優れた特性から、バンパーやインストルメントパネルなどの自動車部品、包装材料(低温ヒートシーラブルフィルム、イージーピールフィルムなど)、スポーツ用品(スポーツシューズのミッドソールなど)、電線被覆材などに幅広く用いられている。その一方で、エチレン・α-オレフィン系共重合体は、非晶もしくは低結晶性の重合体ゆえ耐熱性が劣るという問題点や、エチレンの構成単位割合によっては得られる成形体がべたつくといった問題点が存在し、改善が求められていた。
[0004]
 上記問題点を解決する手段として、オレフィン系共重合体を製造する重合段階にて、結晶性のセグメントと非晶もしくは低結晶性のセグメントをブロック的に配列させる試みが報告されている。特許文献1には、特定のリビング重合触媒を用い、結晶性のエチレン単独重合体セグメントとエチレン系共重合体セグメントが直鎖上に配列したオレフィン系ブロック共重合体を製造する技術が報告されている。また、特許文献2には、共重合性の異なる2種の遷移金属錯体触媒を用い、さらに亜鉛化合物を存在させることで亜鉛化合物を介して可逆的な連鎖移動反応を起こさせ、マルチブロック構造を有するオレフィン系ブロック共重合体が得られることが報告されている。
[0005]
 これらの文献に記載の共重合体は、結晶性のセグメントを重合体中に有することにより、耐熱性の改善が図られている。しかしながら、特に特許文献2に記載の共重合体は、連鎖移動剤として用いる亜鉛化合物が最終ポリマー成分に残る問題が新たに発生し、また、ブロック化されていない共重合成分の生成によりベタつきの改善は限定的であるという問題を抱えている。また、上に挙げた特許文献1および特許文献2の手法で得られる共重合体は、原理的に1分子あたりの結晶性セグメントの自由末端数が2以下に限定されるため、結晶化の過程で生成する球晶の大きさを制御できず、そのことが機械的性能や光学的性能の低下に繋がると懸念される。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2004-204058公報
特許文献2 : 特表2007-529617公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 前記背景技術から鑑みた、本発明が解決しようとする課題は、既存のオレフィン系共重合体で問題となっていた耐熱性およびベタつきが改善され、さらには光学特性や低温特性に優れ、これらの物性のバランスが向上したオレフィン系樹脂を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討をした結果、特定の要件を満たすオレフィン系樹脂が、既存のオレフィン系共重合体で問題となっていた耐熱性およびベタつきが改善され、さらには光学特性や低温特性に優れ、これらの物性のバランスが向上することを見出し、本発明を完成させた。
[0009]
 すなわち、本発明は、以下の[1]~[7]に関する。
[0010]
 [1]下記要件(I)~(V)を満たすオレフィン系樹脂。
[0011]
 (I)60℃~130℃の範囲に示差走査熱量分析(DSC)により測定される融解ピーク(Tm)を示し、該融解ピークにおける融解熱量ΔHが5~150J/gの範囲にある。
[0012]
 (II)クロス分別クロマトグラフ(CFC)により測定した20℃以下のオルトジクロロベンゼン可溶成分の割合E(wt%)と上記(I)における融解熱量ΔHが以下の関係を満たす。
[0013]
 ・ΔHが5J/g以上、15J/g未満の場合、Eが45wt%以下
 ・ΔHが15J/g以上、30J/g未満の場合、Eが40wt%以下
 ・ΔHが30J/g以上の場合、Eが30wt%以下
 (III)示差走査熱量分析(DSC)により測定したガラス転移温度(Tg)が-80~-30℃の範囲にある。
[0014]
 (IV)200℃でのパルス核磁気共鳴測定(パルスNMR)において、Carr Purcell Meiboom Gill法で得られた自由誘導減衰曲線を、ローレンツ関数にて4成分近似した場合のもっとも運動性の高い成分のスピンスピン緩和時間(T2)が150~500msの範囲にあって、該成分の存在比が15~50%の範囲にある。
[0015]
 (V)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1~12dl/gの範囲にある。
[0016]
 [2]ASTM D638に準拠した引張弾性率が2~120MPaの範囲にある[1]に記載のオレフィン系樹脂。
[0017]
 [3]下記要件を満たす主鎖高分子および側鎖高分子から構成されるオレフィン系重合体(R1)。
[0018]
 (i)主鎖が、エチレンと、炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位からなり、前記α-オレフィンから導かれる単位が主鎖中5~40mol%の範囲である。
[0019]
 (ii)主鎖の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5~5dl/gの範囲にある。
[0020]
 (iii)側鎖が、エチレン、および必要に応じて炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位からなり、前記エチレンから導かれる単位が側鎖中95~100mol%の範囲である。
[0021]
 (iv)側鎖の重量平均分子量が、500~10000の範囲である。
[0022]
 (v)側鎖が、主鎖炭素原子1000個あたり0.5~20の本数で主鎖に結合している。
[0023]
 [4]下記(A)~(C)の各成分を含むオレフィン重合用触媒の存在下、エチレンと、炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンを共重合する工程を含む[1]または[2]に記載のオレフィン系樹脂の製造方法。
[0024]
 (A)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物;
 (B)下記一般式[B0],[B1],[B2]から選ばれる少なくとも1つの遷移金属化合物;
 (C)(C-1)有機金属化合物、(C-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(C-3)遷移金属化合物(A)または遷移金属化合物(B)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
[0025]
[化1]


[0026]
(一般式[B0]中、Mは周期表第4または5族の遷移金属原子を示し、mは1~4の整数を示し、R 1は、炭素原子数1~20の非環式炭化水素基(C n'2n'+1,n’=1~20)または水素原子を示し、R 2~R 6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、mが2以上の場合にはR 2~R 6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよく、また、Xで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
[0027]
[化2]


[0028]
(一般式[B1]中、Mは周期律表第4~5族の遷移金属を示し、mは1~4の整数を示し、R 1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい3~10員環の脂環式炭化水素基を示し、R 2~R 6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、mが2以上の場合にはR 2~R 6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
[0029]
[化3]


[0030]
(一般式[B2]中、Mは周期律表第4~5族の遷移金属を示し、mは1~4の整数を示し、R 1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい炭素原子数4~20の少なくとも1つ以上の炭素を共有する2環性脂肪族炭化水素基であり、R 2~R 6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、mが2以上の場合にはR 2~R 6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
 [5]前記遷移金属化合物(A)が下記一般式(1)で表される架橋メタロセン化合物である[4]に記載のオレフィン系樹脂の製造方法。
[0031]
[化4]


[0032]
(式(I)中、R 1、R 2、R 3、R 4、R 5、R 8、R 9およびR 12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、R 1~R 4のうち隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
6およびR 11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R 7およびR 10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R 6およびR 7は互いに結合して環を形成していてもよく、R 10およびR 11は互いに結合して環を形成していてもよく;ただし、R 6、R 7、R 10およびR 11が全て水素原子であることはない。
13およびR 14はそれぞれ独立にアリール基を示す。
Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を示す。
1は炭素原子またはケイ素原子を示す。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素数4~10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1~4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
 [6]前記共重合する工程が、80~300℃の温度範囲における溶液重合法による、[4]または[5]に記載のオレフィン系樹脂の製造方法。
[0033]
 [7][1]または[2]に記載のオレフィン系樹脂から得られる成形体。

発明の効果

[0034]
 本発明に係るオレフィン系樹脂は、既存の柔軟性および低温特性に優れるオレフィン系共重合体に比べて、耐熱性に優れ、かつ、ベタつきが著しく少ないという特長を有する。また、本発明に係るオレフィン系樹脂は、既存のオレフィン系共重合体では、上記特長部を伸ばすことにより犠牲となっていた光学特性を現行品同等若しくは現行品よりも向上させることができているという特長を有する。さらに、本発明に係るオレフィン系樹脂は、柔軟性および低温特性にも優れる。

図面の簡単な説明

[0035]
[図1] 実施例7で製造されたオレフィン系樹脂の透過型電子顕微鏡観察結果(倍率4000倍)である。
[図2] 比較例6で製造されたオレフィン系樹脂の透過型電子顕微鏡観察結果(倍率4000倍)である。
[図3] 実施例7で製造されたオレフィン系樹脂の 13C-NMRスペクトルである。
[図4] 実施例7で製造されたオレフィン系樹脂の 13C-NMRスペクトル(33~44ppmの拡大図)である。
[図5] 比較例6で製造されたオレフィン系樹脂の 13C-NMRスペクトルである。
[図6] 比較例6で製造されたオレフィン系樹脂の 13C-NMRスペクトル(33~44ppmの拡大図)である。
[図7] 実施例7、実施例10、比較例9で製造されたオレフィン系樹脂の 13C-NMRスペクトルの38ppm付近の拡大スペクトル(上段:実施例7、中段:実施例10、下段:比較例9)である。

発明を実施するための形態

[0036]
 以下、本発明にかかるオレフィン系樹脂[R]、および当該樹脂の製造方法について詳説する。
[0037]
 <オレフィン系樹脂[R]>
 本発明のオレフィン系樹脂[R]は、オレフィン系重合体一種のみで構成されていてもよいし、二種以上のオレフィン系重合体から構成されていてもよいが必ず下記要件(I)~(V)を全て満たすことを特徴としている。
[0038]
 (I)示差走査熱量分析(DSC)により測定される融解ピーク(Tm)が60℃~130℃の範囲に存在し、該融解ピーク面積から算出される融解熱量(ΔH)が5~150J/gの範囲にある。
[0039]
 (II)クロス分別クロマトグラフ(CFC)により測定した20℃以下のオルトジクロロベンゼン可溶成分の割合E(wt%)と上記(I)における融解熱量ΔHが以下の関係を満たす。
[0040]
 ・ΔHが5J/g以上、15J/g未満の場合、Eが45wt%以下
 ・ΔHが15J/g以上、30J/g未満の場合、Eが40wt%以下
 ・ΔHが30J/g以上の場合、Eが30wt%以下
 (III)示差走査熱量分析(DSC)により測定したガラス転移温度(Tg)が-80~-30℃の範囲にある。
[0041]
 (IV)200℃でのパルス核磁気共鳴測定(パルスNMR)において、Carr Purcell Meiboom Gill法で得られた自由誘導減衰曲線を、ローレンツ関数にて4成分近似した場合のもっとも運動性の高い成分のスピンスピン緩和時間(T2)が150~500msの範囲にあって、該成分の存在比が15~50%の範囲にある。
[0042]
 (V)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1~12dl/gの範囲にある。
[0043]
 本発明のオレフィン系樹脂[R]は後述するオレフィン系重合体[R1]を含むことが好ましく、オレフィン系重合体[R1]は後述する重合方法によって効率的に製造される。本発明のオレフィン系樹脂[R]が一種のみのオレフィン系重合体から構成される場合は、該オレフィン系重合体は前記オレフィン系重合体[R1]であることが好ましい。本発明のオレフィン系樹脂[R]が二種以上のオレフィン系重合体から構成される場合は、前記オレフィン系重合体[R1]を含むことが好ましく、オレフィン系重合体[R1]以外のオレフィン系重合体[R2]としては、例えば、メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒又はチーグラー触媒を用いて得られる、エチレン、および炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる1種以上のオレフィンの重合体若しくは共重合体や高圧ラジカル重合法によって製造される高圧法低密度ポリエチレンを挙げることができる。さらにオレフィン系重合体[R2]として、オレフィン系重合体[R1]を製造する重合工程において副生する重合体を挙げることが出来、具体的にはエチレン重合体やエチレン・α-オレフィン共重合体である。オレフィン系樹脂[R]が二種以上のオレフィン系重合体から構成される場合はオレフィン系重合体[R1]とオレフィン系重合体[R2]の組成比率やオレフィン系重合体[R2]の種類については、[R1]と[R2]のブレンド処理が可能であり、且つブレンドされた樹脂が前記要件(I)~(V)を同時に満たす限りは特に限定されるものではないが、通常、オレフィン系樹脂[R]中のオレフィン系重合体[R1]の組成比率は40~99wt%、好ましくは45~95wt%、さらに好ましくは50~90wt%になるように設定される。本発明のオレフィン系樹脂[R]は、ブレンド等の処理工程を省略できるという視点から、通常、オレフィン系重合体[R1]のみから構成されることが好ましい態様の一形態である。一方、オレフィン系重合体[R1]が持つ特定性能を更に顕著に促進させたい場合や、オレフィン系重合体[R1]が本来保有しない新たな性能を付加させたい場合は、前記したようなオレフィン系重合体[R2]を併用しブレンド形態として用いられるのである。
[0044]
 本発明の好適かつ典型的な態様において、本発明のオレフィン系樹脂[R]は、後述する重合方法によって製造されるオレフィン系重合体[R1]を構成成分として含む。該オレフィン系重合体[R1]は、エチレンと、炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる1種以上のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位をからなる、いわゆるエチレン・α-オレフィン共重合体ユニットを主鎖として有し、さらに実質的にエチレンから導かれる繰り返し単位からなる、いわゆるエチレン重合体ユニットを特定の数、側鎖として有するグラフト共重合体の構造を示す。
[0045]
 なお、本発明において「グラフト共重合体」という語は、主鎖に対し側鎖が1本以上結合した、いわゆる櫛形ポリマーである。側鎖が1本の場合はT形ポリマーである。ただし、側鎖には本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、エチレン以外の繰り返し単位を含むことができる。
[0046]
 本発明のオレフィン系樹脂[R]は、前記した要件(I)~(V)を同時に満たすことを特徴としている。以下、これらの要件(I)~(V)について具体的に説明する。
[0047]
 〔要件(I):融解ピーク(Tm)および融解熱量(ΔH)〕
 本発明のオレフィン系樹脂は、示差走査熱量分析(DSC)により測定される融解ピーク(Tm)が、60~130℃、好ましくは80~125℃、より好ましくは90~120℃の範囲に存在する。
[0048]
 また上記融解ピークにおける融解熱量ΔH、具体的には上記融解ピーク面積から算出される融解熱量(ΔH)が5~150J/g、好ましくは10~120J/g、より好ましくは15~100J/g、さらにより好ましくは20~80J/gの範囲にある。
[0049]
 上記融解ピーク(Tm)および融解熱量(ΔH)は、DSCにより一度昇温工程を経て試料が融解した後、30℃までの冷却工程により結晶化させ、2度目の昇温工程(昇温速度10℃/分)で現れる吸熱ピークを解析したものである。
[0050]
 上記範囲に観測される前記融解ピーク(Tm)は、主にオレフィン系樹脂中に含まれるオレフィン系重合体[R1]のエチレン重合体部位に由来しており、前記融解熱量(ΔH)が上記範囲に観測されるということは、オレフィン系樹脂中に含まれるオレフィン系重合体[R1]のエチレン重合体部位、すなわちオレフィン系重合体[R1]の側鎖部位を相当量含んでいることを示している。本発明のオレフィン系樹脂において、オレフィン系重合体[R1]のエチレン重合体部位が樹脂全体として、耐熱性を付与し、さらには樹脂のベタつきを抑える役割を果たす。特に融解熱量(ΔH)が前記範囲にあることで、柔軟性や低温特性などの特性を保持しながら耐熱性を与えベタつきを抑えることができる。一方、融解熱量(ΔH)が上記範囲を下回る場合には、前記エチレン重合体部位の含量が少ないことを意味し、十分な耐熱性は付与されず、ベタつきも十分に低減できない。また、融解熱量(ΔH)が上記範囲を上回る場合には、十分な耐熱性とベタつきの低減は達成されるが、柔軟性や低温特性などの特性が著しく損なわれる場合がある。
[0051]
 なお、本発明にかかるオレフィン系樹脂が上記規定する融解ピーク(Tm)および融解熱量(ΔH)であるためには、オレフィン系重合体[R1]が、エチレン重合体部位からなる成分の含量として概ね2~60重量%の範囲で存在する必要がある。当該範囲を調整するためには、側鎖の原料となる末端二重結合を有するエチレン重合体の重合器内への添加量や、該末端二重結合を有するエチレン重合体を主鎖に取り込む能力に優れたオレフィン重合用触媒を重合反応に用いることが好ましい。具体的な添加量、オレフィン重合用触媒については後述する。
[0052]
 〔要件(II):オルトジクロロベンゼン可溶成分〕
 本発明のオレフィン系樹脂は、クロス分別クロマトグラフ(CFC)により測定した20℃以下のオルトジクロロベンゼン可溶成分の割合E値が、上記要件(I)における融解熱量(ΔH)との関係で以下の要件を満たす。
[0053]
 ・ΔHが5J/g以上、15J/g未満の場合、Eが45wt%以下
 ・ΔHが15J/g以上、30J/g未満の場合、Eが40wt%以下
 ・ΔHが30J/g以上の場合、Eが30wt%以下
 本発明の好適かつ典型的な態様において、本発明のオレフィン系樹脂は、オレフィン系重合体[R1]を含む。該オレフィン系重合体[R1]は、非晶もしくは低結晶性成分であるエチレン・α-オレフィン共重合体を主鎖、結晶性成分であるエチレン重合体を側鎖として有するグラフト共重合体の構造を示す。
[0054]
 通常、エチレン・α-オレフィン共重合体は非晶もしくは低結晶性成分であることから、20℃以下のオルトジクロロベンゼンに対して大半が可溶である。また、エチレン重合体は結晶性成分であることから、20℃以下のオルトジクロロベンゼンに対して不溶である。それに対して、該オレフィン系重合体[R1]は、側鎖のエチレン重合体部位が20℃以下のオルトジクロロベンゼンに対して不溶解であるため、その側鎖と化学的に結合している主鎖のエチレン・α-オレフィン共重合体部位もほとんど溶出しない。
[0055]
 本発明のオレフィン系樹脂がオレフィン系重合体[R1]を含む場合、その製造過程においてオレフィン系重合体[R1]を製造する際に、エチレン重合体やエチレン・α-オレフィン共重合体が副生する。
[0056]
 したがって、本発明のオレフィン系樹脂がオレフィン系重合体[R1]を含む場合、本発明のオレフィン系樹脂のE値は、本発明のオレフィン系樹脂全体からエチレン重合体のみからなる結晶成分とオレフィン系重合体[R1]を引いた成分の含量に対応し、換言すれば、本発明のオレフィン系樹脂に含まれるエチレン・α-オレフィン共重合体のみからなる非晶もしくは低結晶成分の含量に対応していると言える。
[0057]
 すなわち、本発明のオレフィン系樹脂は、前述の通り、好適かつ典型的な態様において、オレフィン系重合体[R1]を相当量含んで成るため、実際に含まれる非晶もしくは低結晶成分(エチレン・α-オレフィン共重合体およびオレフィン系重合体[R1]の主鎖に相当するエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる成分)の割合よりも20℃以下のオルトジクロロベンゼン可溶成分の割合が小さくなる。
[0058]
 前述の通り、結晶成分(エチレン重合体およびオレフィン系重合体[R1]の側鎖に相当するエチレン重合体部位からなる成分)の融解熱量ΔHを該結晶成分の含量の指標とすることができ、さらには非晶もしくは低結晶成分(エチレン・α-オレフィン共重合体およびオレフィン系重合体[R1]の主鎖に相当するエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる成分)の含量は、全体量から前記結晶成分(エチレン重合体およびオレフィン系重合体[R1]の側鎖に相当するエチレン重合体部位からなる成分)の含量を引いた量となるので、前記ΔHはまた非晶もしくは低結晶成分(エチレン・α-オレフィン共重合体およびオレフィン系重合体[R1]の主鎖に相当するエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる成分)の含量の指標に用いることができる。すなわちΔHの値が大きい場合には、エチレン・α-オレフィン共重合体およびオレフィン系重合体[R1]の主鎖に相当するエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる成分の割合は小さく、ΔHの値が小さい場合には、エチレン・α-オレフィン共重合体およびオレフィン系重合体[R1]の主鎖に相当するエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる成分の割合が多いことを示す。
[0059]
 本発明のオレフィン系樹脂は、前述の通り、好適かつ典型的な態様においてオレフィン系重合体[R1]を相当量含んで成ることに由来して、ΔHとE値の関係が以下の範囲にある。
[0060]
 ・ΔHが5J/g以上、15J/g未満の場合、Eが45wt%以下であり、好ましくは40wt%以下、さらに好ましくは10~35wt%の範囲である。
[0061]
 エチレン重合体あるいはオレフィン系重合体[R1]の側鎖に相当するエチレン重合体部位の分子量およびオレフィン系重合体[R1]含量に依るが、ΔHが5J/g以上、15J/g未満の場合、エチレン重合体およびオレフィン系重合体[R1]の側鎖に相当するエチレン重合体部位からなる結晶成分の含量は概ね3~10wt%程度と見積もることができる。したがってエチレン・α-オレフィン共重合体およびオレフィン系重合体[R1]の主鎖に相当するエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる非晶もしくは低結晶成分の含量は90~97wt%程度となる。前記ΔHの範囲において、本発明のオレフィン系樹脂のE値は45wt%以下と設定され、ΔHから見積もられる前記非晶もしくは低結晶成分の含量と比較して大幅に少ない。
[0062]
 ・ΔHが15J/g以上、30J/g未満の場合、Eが40wt%以下であり、好ましくは35wt%以下、さらに好ましくは5~30wt%の範囲である。
[0063]
 エチレン重合体あるいはオレフィン系重合体[R1]の側鎖に相当するエチレン重合体部位の分子量およびオレフィン系重合体[R1]含量に依るが、ΔHが15J/g以上、30J/g未満の場合、エチレン重合体およびオレフィン系重合体[R1]の側鎖に相当するエチレン重合体部位からなる結晶成分の含量は概ね10~25wt%程度と見積もることができる。したがってエチレン・α-オレフィン共重合体およびオレフィン系重合体[R1]の主鎖に相当するエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる非晶もしくは低結晶成分の含量は75~90wt%程度となる。前記ΔHの範囲において、本発明のオレフィン系樹脂のE値は40wt%以下と設定され、ΔHから見積もられる前記非晶もしくは低結晶成分の含量と比較して大幅に少ない。
[0064]
 ・ΔHが30J/g以上の場合、Eが30wt%以下であり、好ましくは25wt%以下である。
[0065]
 エチレン重合体あるいはオレフィン系重合体[R1]の側鎖に相当するエチレン重合体部位の分子量およびオレフィン系重合体[R1]含量に依るが、ΔHが30J/g以上、150J/g以下の場合、エチレン重合体およびオレフィン系重合体[R1]の側鎖に相当するエチレン重合体部位からなる結晶成分の含量は概ね25~60wt%程度と見積もることができる。したがってエチレン・α-オレフィン共重合体およびオレフィン系重合体[R1]の主鎖に相当するエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる非晶もしくは低結晶成分の含量は40~75wt%程度となる。前記ΔHの範囲において、本発明のオレフィン系樹脂のE値は30wt%以下と設定され、ΔHから見積もられる非晶もしくは低結晶成分含量と比較して大幅に少ない。
[0066]
 一方、オレフィン系重合体[R1]を実質含まない、単なるエチレン重合体のみからなる成分とエチレン・α-オレフィン共重合体のみからなる成分のブレンド物では、非晶もしくは低結晶性であるエチレン・α-オレフィン共重合体のみからなる成分の割合がE値に近い値となり、ΔHとE値の関係が前記の範囲には該当しない。
[0067]
 通常、エチレン・α-オレフィン共重合体は低温特性や柔軟性に優れるが、成形体表面に該共重合体が移動し滲み出る現象、いわゆるブリードアウトを起こし、ペレットにした場合にはブロッキングの問題が生じたり、成形体にした場合には表面のべたつきなどの問題を引き起こしたりする原因となる。しかしながら、非晶もしくは低結晶性であるエチレン・α-オレフィン共重合体に結晶性のエチレン重合体部位が化学的に結合している場合、該共重合体のポリマー鎖は、該結晶性のエチレン重合体部位の融点以下では自由に動くことが出来ないため、成形体表面に滲み出ることはない。
[0068]
 既に説明したように、本発明のオレフィン系樹脂は、ΔHとE値の関係が前記の範囲にあることから、エチレン・α-オレフィン共重合体に結晶性のエチレン重合体部位が化学的に結合している成分を相当量含んでいる。
[0069]
 そのため、本発明のオレフィン系樹脂は、柔軟性や低温特性などの特性を十分に発現するだけのエチレン・α-オレフィン共重合体およびオレフィン系重合体[R1]の主鎖に相当するエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる非晶もしくは低結晶成分を含んでいるにもかかわらず、べたつきやブロッキングを抑えることができる。
[0070]
 〔要件(III):ガラス転移温度(Tg)〕
 本発明のオレフィン系樹脂は、示唆熱量分析(DSC)により測定したガラス転移温度が、-80℃~-30℃の範囲であり、好ましくは-80℃~-40℃、より好ましくは-80℃~-50℃にある。
[0071]
 本発明のオレフィン系樹脂は、エチレン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる非晶もしくは低結晶成分を含んでなり、ガラス転移温度(Tg)は該非晶もしくは低結晶成分に由来する。ガラス転移温度(Tg)が、-80℃~-30℃、例えば、-80℃~-40℃の範囲にあることにより、柔軟性や低温特性などエラストマーとしての特性が発現する。前記範囲のガラス転移温度(Tg)はコモノマーであるα-オレフィンの種類や組成を制御することで達成される。
[0072]
 〔要件(IV):パルスNMR〕
 本発明のオレフィン系樹脂は、200℃でのパルス核磁気共鳴測定(パルスNMR)において、Carr Purcell Meiboom Gill(CPMG)法で得られた自由誘導減衰曲線を、ローレンツ関数にて4成分近似した場合のもっとも運動性の高い成分のスピンスピン緩和時間(T2)が150~500msの範囲にあって、該成分の存在比が15~50%の範囲にあることを特徴としている。
[0073]
 パルスNMRはポリマー分子鎖の運動性や異成分間の相互作用状態を評価する方法として一般的に行われている分析であり、樹脂を構成する全成分の 1H横緩和時間を測定することで評価される。ポリマー鎖の運動性が低いほど緩和時間は短くなるため、シグナル強度の減衰は早くなり、初期シグナル強度を100%としたときの相対シグナル強度は少ない時間で低下する。また、ポリマー鎖の運動性が高いほど緩和時間は長くなるため、シグナル強度の減衰は遅くなり、初期シグナル強度を100%としたときの相対シグナル強度は長時間かけて緩やかに低下する。
[0074]
 CPMG法により、測定温度200℃、観測パルス幅2.0μsec、繰り返し時間4secで行うパルスNMR測定において、求められる 1H核の自由誘導減衰曲線(FID)をローレンツ関数で4成分近似した場合、最もT2の長いものがポリマーの運動性の高いものに由来すると考えることができ、特にT2が150~500msである場合は、T2はポリマー鎖の自由末端の運動性に由来すると言える。
[0075]
 本発明のオレフィン系樹脂は、非晶もしくは低結晶成分であるエチレン・α-オレフィン共重合体部位を主鎖に、結晶成分であるエチレン重合体部位を側鎖として化学的に結合している、いわゆるグラフトポリマーを相当量含んで成るため、直鎖型のポリマーと比較して、多くの末端構造を有している。
[0076]
 そのため本発明のオレフィン系樹脂は、該成分の存在比が15~50%の範囲であり、好ましくは15~40%の範囲にある。
[0077]
 このようにエチレン重合体部位に由来する結晶性ポリマー鎖の自由末端の割合が多いことで、成形時の冷却過程で起こるエチレン重合体部位の結晶化速度が早くなり、結果として結晶化時に生じるエチレン重合体の球晶が微細化すると考えられる。これにより本発明のオレフィン系樹脂は、高い光線透過率を達成し光学特性に優れる。
[0078]
 〔要件(V):極限粘度[η]〕
 本発明のオレフィン系樹脂は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1~12dl/gの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.2~10dl/g、さらに好ましくは0.5~5dl/g、である。上記の範囲にあることで実用上の物性と成形性をバランスする。
[0079]
 〔その他物性〕
 ・弾性率
 本発明のオレフィン系樹脂は、ASTM D638に準拠した引張弾性率が2~120MPaの範囲にあることが好ましく、より好ましくは3~100MPa、さらに好ましくは5~90MPaである。上記の範囲にあることで十分な柔軟性と実用的な強度を有することになる。
[0080]
 エチレン・α-オレフィン共重合体およびオレフィン系重合体[R1]の主鎖に相当するエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる成分の割合が大きいと弾性率は低くなり、エチレン・α-オレフィン共重合体およびオレフィン系重合体[R1]の主鎖に相当するエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる成分の割合が小さく、代わってエチレン重合体およびオレフィン系重合体[R1]の側鎖に相当するエチレン重合体部位からなる成分の割合が大きくなると弾性率は高くなる。
[0081]
 本発明のオレフィン系樹脂は、エチレン・α-オレフィン共重合体およびオレフィン系重合体[R1]の主鎖に相当するエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる成分を多く含むため、柔軟性に富む。すなわち、本発明のオレフィン系樹脂の弾性率は上記範囲にあり、柔軟性や低温特性などの特性が発現する。
[0082]
 ・透過型電子顕微鏡観察
 本発明のオレフィン系樹脂は、透過型電子顕微鏡で観測される結晶性成分を示す相がマイクロメートルオーダーの非連続相であることが好ましい。なお、前述の相構造を有しているかどうかの観察にあたっては、たとえば以下のようにして実施する。
[0083]
 まず、170℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、5分余熱後、10MPa加圧下、1分間で成形したのち、20℃で10MPaの加圧下で3分間冷却することにより所定の厚みのシートを作製することにより試験片を得る。
[0084]
 上記のプレスシートを0.5mm角の小片とし、ルテニウム酸(RuO 4)によって染色する。さらにダイヤモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで得られた小片を約100nmの膜厚の超薄切片とする。この超薄切片にカーボンを蒸着させて透過型電子顕微鏡(加速電圧100kV)で観察する。
[0085]
 このように観察方法によると、エチレン重合体およびオレフィン系重合体[R1]の側鎖に相当するエチレン重合体部位からなる成分は、該成分が形成するラメラ構造の結晶間非晶部位が選択的にオスニウム酸に染色にされるため、より高いコントラストとして観察される。
[0086]
 本発明のオレフィン系樹脂は、このようにして観察されるエチレン重合体およびオレフィン系重合体[R1]の側鎖に相当するエチレン重合体部位からなる結晶性成分を示す相がマイクロメートルオーダーの非連続相であることが好ましく、このような微細に結晶成分が分散していることで、試料全体の耐熱性が向上する。
[0087]
 前述の通りオレフィン系樹脂は、好適かつ典型的な態様において、非晶もしくは低結晶性の主鎖と結晶性側鎖が共有結合で繋がったオレフィン系重合体[R1]を相当量含んでいるため、エチレン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる非晶もしくは低結晶成分とエチレン重合体およびオレフィン系重合体[R1]の主鎖に相当するエチレン重合体部位からなる結晶成分の相溶効果が高く、上記のようなミクロ相分離構造が形成されると考えられる。
[0088]
 <オレフィン系重合体[R1]>
 本発明の好適かつ典型的な態様において、本発明のオレフィン系樹脂[R]にはオレフィン系重合体[R1]が含まれる。本発明のオレフィン系樹脂[R]に含まれるオレフィン系重合体[R1]は、上述のとおり、主鎖および側鎖を有するグラフト共重合体を示す。本発明において、オレフィン系重合体[R1]の主鎖および側鎖は、下記(i)~(v)の要件を満たすものから構成されることが好ましい。
[0089]
 (i)主鎖が、エチレンと、炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα-オレフィンとの共重合体からなり、前記エチレンから導かれる繰り返し単位が60~97mol%、α-オレフィンから導かれる繰り返し単位が3~40mol%の範囲にある。
[0090]
 (ii)主鎖部位の極限粘度[η]が0.5~5.0dl/gである。
[0091]
 (iii)側鎖が、エチレンから導かれる繰り返し単位からなる。
[0092]
 (iv)側鎖の重量平均分子量が500~10000の範囲にある。
[0093]
 (v)主鎖炭素原子1000個あたり、側鎖が0.5~20の本数で主鎖に結合している。
[0094]
 以下、これらの要件(i)~(v)について具体的に説明する。
[0095]
 〔要件(i)〕
 オレフィン系重合体[R1]の主鎖はエチレン・α-オレフィン共重合体からなり、エチレン・α-オレフィン共重合体ユニットとして、柔軟性や低温特性などの特性を担う部位となる。そのため、オレフィン系重合体[R1]の主鎖は、エチレンと、炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位からなる。
[0096]
 ここでエチレンと共重合する炭素原子数3~20のα-オレフィンとして好ましくは、炭素原子数3~10のα-オレフィンであり、より好ましくは炭素原子数3~8のα-オレフィンである。これらのα-オレフィンとして具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどの直鎖状オレフィンや、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン等の分岐状オレフィンを挙げることができ、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテンが好ましい。
[0097]
 オレフィン系重合体[R1]の主鎖中のエチレンから導かれる繰り返し単位の全繰り返し単位に対するモル比は60~97mol%、好ましくは60~95mol%、より好ましくは65~90mol%の範囲である。また、α-オレフィンから導かれる繰り返し単位の全繰り返し単位に対するモル比は3~40mol%、好ましくは5~40mol%、より好ましくは10~35mol%の範囲である。なお、本明細書において、ある(共)重合体を構成するオレフィン(例えば、エチレンやα-オレフィン)をXとしたときに、「Xから導かれる構成単位」なる表現が用いられることがあるが、これは「Xに対応する構成単位」、すなわち、Xの二重結合を構成するπ結合が開くことにより形成される、一対の結合手を有する構成単位をいう。
[0098]
 主鎖中のエチレンおよびα-オレフィンから導かれる繰り返し単位のモル比が上記範囲にあることで、オレフィン系重合体[R1]の主鎖を成す部位が柔軟性に富み低温特性に優れた性質となるため、本発明のオレフィン系樹脂も、同様の特性を発現する。一方、エチレンおよびα-オレフィンから導かれる繰り返し単位が上記範囲を下回ると、柔軟性や低温特性に劣る樹脂となる。また、エチレンおよびα-オレフィンから導かれる繰り返し単位が上記範囲を上回ると、後述する側鎖を形成するマクロモノマーを共重合するうえで不利に働くため、所望の量の側鎖を導入できない。
[0099]
 上記、主鎖中のエチレンおよびα-オレフィンから導かれる繰り返し単位は、主鎖を製造する際の重合反応系中に存在させるエチレンの濃度とα-オレフィン濃度を制御することにより調整できる。
[0100]
 なお、主鎖のα-オレフィンから導かれる単位のモル比(mol%)、すなわち主鎖中のα-オレフィン組成割合は、以下の方法により算出・定義することができる。
[0101]
 (1)オレフィン系樹脂[R]の製造過程によって副生するエチレン・α-オレフィン共重合体のみからなる成分のα-オレフィン組成を主鎖のα-オレフィンから導かれる単位と定義する。副生するエチレン・α-オレフィン共重合体は、オレフィン系樹脂[R]をオルトジクロロベンゼン中に装入し、20℃以下の温度での溶出成分に相当するので、当該溶出成分中のα-オレフィン組成を、炭素核磁気共鳴分析( 13C-NMR)を用いた公知の方法により算出することで求めることができる。
[0102]
 (2)オレフィン系樹脂[R]の製造条件に照らし合理的な条件で主鎖部位のみとなる重合体を別途合成し、得られたエチレン・α-オレフィン共重合体のα-オレフィン組成を分析することにより、間接的にオレフィン系重合体[R1]の主鎖のα-オレフィン組成と定義する。合理的な条件とは、重合系中のエチレンおよびα-オレフィンの濃度、エチレンと水素の分子存在比など、原理的にオレフィン系重合体[R1]の主鎖部位と同等の重合体が生成する条件である。特にオレフィン系樹脂[R]を製造する方法として、予め側鎖に相当するエチレン系重合体部位(マクロモノマー)を合成し、該マクロモノマーとエチレンとα-オレフィンを共重合して製造する方法を採用する場合は、マクロモノマーを添加しないこと以外は同一の条件とした重合を別途実施し、得られたエチレン・α-オレフィン共重合体のα-オレフィン組成を分析することにより、間接的にオレフィン系重合体[R1]の主鎖のα-オレフィン組成と定義する。
[0103]
 〔要件(ii)〕
 オレフィン系重合体[R1]の主鎖の分子量の指標として、デカリン溶媒中135℃で測定した極限粘度[η]が0.1~12dl/gの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.2~10dl/g、さらにより好ましくは0.5~5dl/gである。
[0104]
 オレフィン系重合体[R1]の極限粘度[η]は主に主鎖の極限粘度に支配的であるため、上記範囲にあることにより実用上の物性と加工性のバランスが向上する。
[0105]
 オレフィン系重合体[R1]の主鎖の極限粘度[η]は、後述する製造工程において、重合系中のエチレン濃度を制御することで調整できる。エチレン濃度の制御方法としては、エチレン分圧調整や重合温度の調整が挙げられる。主鎖の極限粘度[η]の調整は重合系中に水素を供給することでも可能である。
[0106]
 なお、主鎖の極限粘度[η]は、上述した「要件(i)」の箇所でα-オレフィンから導かれる単位のモル比(mol%)を算出・定義する方法によってエチレン・α-オレフィン共重合体を得て、当該重合体の極限粘度[η]を常法にて測定することができる。
[0107]
 〔要件(iii)〕
 オレフィン系重合体[R1]の側鎖は、実質エチレンから導かれる繰り返し単位からなるエチレン重合体部位であり、結晶性のエチレン重合体鎖である。
[0108]
 実質エチレンから導かれる繰り返し単位からなるエチレン重合体とは、エチレンから導かれる繰り返し単位のみからなるエチレン重合体(すなわち、エチレン単独重合体)、並びに、エチレンから導かれる繰り返し単位と、少量の、エチレン以外のコモノマーから導かれる繰り返し単位とを有するエチレン共重合体をいい、好ましくはエチレンから導かれる繰り返し単位のモル比が、該エチレン重合体に含まれる全繰り返し単位に対し95.0~100mol%、さらに好ましくは98.0~100mol%、さらにより好ましくは99.5~100mol%からなる重合体を示す。すなわち、オレフィン系重合体[R1]の側鎖を構成する「実質エチレンから導かれる繰り返し単位からなるエチレン重合体部位」は、その役割と特徴を損なわない範囲でエチレン以外のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位の1種以上を含んでいてもよい。このようなエチレン以外のα-オレフィンの例として、炭素原子数3~20のα-オレフィンが挙げられる。
[0109]
 オレフィン系重合体[R1]の側鎖は、本発明のオレフィン系樹脂[R]において、べたつきの抑制および物理架橋部位の形成による耐熱性発現の役割を担う。
[0110]
 オレフィン系重合体[R1]の側鎖が、結晶性のエチレン重合体鎖であることは、本発明のオレフィン系樹脂の示差走査熱量分析(DSC)において60℃~130℃の範囲に融解ピーク(Tm)が観測されること、すなわち60℃~130℃の範囲に融解ピーク(Tm)を有することで確認できる。
[0111]
 〔要件(iv)〕
 オレフィン系重合体[R1]の側鎖の重量平均分子量は、500~10000の範囲にあることを特徴し、好ましくは500~5000の範囲であり、さらに好ましくは500~3000の範囲である。
[0112]
 オレフィン系重合体[R1]の側鎖の重量平均分子量が上記範囲にあることで、べたつきの抑制を図ることができ、さらには、物理架橋部位による耐熱性の発現として有効に作用することができる。
[0113]
 オレフィン系重合体[R1]は、エチレン重合体鎖であるマクロモノマーとエチレンおよびα-オレフィンを共重合することにより得ることができる。すなわち、マクロモノマーの重量平均分子量が、オレフィン系重合体[R1]の側鎖の重量平均分子量に相当する。
[0114]
 側鎖の重量平均分子量が前記範囲を下回ると、オレフィン系重合体[R1]中のエチレン重合体部位からなる結晶成分の融点が低下し、耐熱性が低下するとともに、該結晶成分が形成する物理架橋点の脆弱化により、機械物性に劣る重合体となるおそれがある。
[0115]
 一方、側鎖の重量平均分子量が前記範囲を上回ると、主鎖に当たるエチレン・α-オレフィン共重合体部位からなる非晶もしくは低結晶成分の相対量が低下するため、重合体全体として柔軟性が確保できないおそれがある。
[0116]
 なお、側鎖の重量平均分子量は、上述した「要件(iii)」において記載した方法によりGPCにおける低分量側の溶出成分として分離された側鎖に相当するエチレン系重合体部位(マクロモノマー)、若しくは予め合成された、側鎖に相当するエチレン系重合体部位(マクロモノマー)のGPC分析を行うことで測定することができる。
[0117]
 側鎖の重量平均分子量の調整は、後述するビニル末端マクロモノマー生成用触媒に用いる遷移金属化合物の種類を変更する方法や、重合条件を調整する方法が挙げられる。
[0118]
 〔要件(v)〕
 オレフィン系重合体[R1]の側鎖は、主鎖炭素原子、すなわち主鎖に含まれる炭素原子1000個あたり、側鎖が0.5~20、好ましくは0.5~15、さらに好ましくは0.5~10の本数で主鎖に結合している。より厳密に言うと、オレフィン系重合体[R1]の側鎖は、主鎖重合体分子鎖中の炭素原子、すなわち主鎖に含まれる炭素原子1000個あたり0.3~20の平均頻度で存在することを特徴とし、好ましくは0.5~15の平均頻度であり、さらに好ましくは0.5~10の平均頻度である。
[0119]
 側鎖が上記範囲の平均頻度で主鎖に導入されていることで、オレフィン系樹脂[R]は、べたつきが抑制され耐熱性に優れた特徴を持つことができる。
[0120]
 一方で、側鎖が上記範囲を下回る平均頻度で主鎖に導入されている場合、エチレン・α-オレフィン共重合体に相当する非晶もしくは低結晶成分の相対量が大きくなる。そのためべたつきやすく耐熱性の劣った材料となる。また、側鎖が上記範囲を上回る平均頻度で主鎖に導入されている場合、エチレン重合体部位からなる結晶成分の相対量が大きくなるため、柔軟性や低温特性などの特性を十分に示さなくなる。
[0121]
 上記側鎖の平均頻度を算出する方法は、例えば[a]後述する同位体炭素核磁気共鳴スペクトル( 13C-NMR)を用いる方法、あるいは[b]ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による方法を用いることができる。
[0122]
 以下、[a]、[b]について説明する。
[0123]
 [a]オレフィン系重合体[R1]は、主鎖がエチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位からなり、同位体炭素核磁気共鳴スペクトル( 13C-NMR)による測定において、37.8~38.1ppmの範囲に前記α-オレフィンに由来するメチン炭素とは別に、側鎖と主鎖の接合部分のメチン炭素に帰属できるシグナルが観測されることが好ましい。
[0124]
 該シグナルが観測される場合、次式にて側鎖平均頻度をもとめることが出来る。
[側鎖平均頻度]=1000x[I PE-methine]/{[I all-C]x(100-[R2’]-[M])/100};
 [I PE-methine]:側鎖と主鎖の接合部分のメチン炭素の積分値、
 [I all-C]:全炭素積分値、
 [R2’]:[R1]製造時に副生する重合体以外の[R2]のオレフィン系樹脂[R]に占める重量比(wt%)、
 [M]:[R1]製造時に添加あるいは生成するマクロモノマーのオレフィン系樹脂[R]に占める重量比(wt%)。
[0125]
 [b]前述の通り、オレフィン系樹脂[R]をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分析した場合に得られる低分子量側のピークは、共重合反応時に共重合せずに残存したエチレン系重合体部位(マクロモノマー)に由来する。したがってその面積比からオレフィン系樹脂[R]中に含まれる残存したマクロモノマーの重量比を求めることが出来る。[R1]製造時に添加あるいは生成するマクロモノマーの重量組成が明らかな場合、その重量組成と残存したマクロモノマーの重量比の差分から側鎖平均頻度を求めることができる。具体的には次式で求めることが出来る。
[側鎖平均頻度]=([M]-[M’])/(100-[M’])x(1/[Mn -M])x14/{1-([M]-[M’])/(100-[M’])}x(1/1000);
 [M]:[R1]製造時に添加あるいは生成するマクロモノマーの[R1]製造時に得られる樹脂全量[R’]に占める重量比(wt%)、
 [M’]:GPCから求められる残存したマクロモノマーの[R1]製造時に得られる樹脂全量[R’]に占める重量比(wt%)、
 [Mn -M]:マクロモノマーの数平均分子量。
[0126]
 なお、上記方法[a]、[b]により求められる平均頻度は、副生するエチレン・α-オレフィン共重合体が存在する場合、該重合体を側鎖本数0本としてカウントした時の値である。
[0127]
 側鎖の本数は重合系中のマクロモノマーのモル濃度を制御することで調整可能である。例えば、側鎖分子量を一定とした場合、マクロモノマーの仕込み量(あるいは生成量)を多くしたり、マクロモノマーの仕込み量(あるいは生成量)を一定とした場合、側鎖分子量小さくしたりすることで、生成するグラフトポリマーの側鎖本数を多くすることができる。また、側鎖分子量を一定とした場合、マクロモノマーの生成量(あるいは仕込み量)を少なくしたり、マクロモノマーの仕込み量(あるいは生成量)を一定とした場合、側鎖分子量を大きくしたりすることで、生成するグラフトポリマーの側鎖本数を減らすことができる。また、後述する遷移金属化合物(A)の種類を選択することによっても、側鎖の本数を調整することができ、例えば高温で高分量の重合体を生成する遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒を選択することで、側鎖本数を多くすることができる。
[0128]
 本発明のオレフィン系樹脂[R]に含まれるオレフィン系重合体[R1]は、上述した(i)~(v)の要件を満たすことにより、オレフィン系樹脂[R]として、耐熱性に優れ、かつ、ベタつきが著しく少ないという特長を有するが、より好ましくはさらに下記(vi)の要件を満たす。
[0129]
 〔要件(vi)〕
 オレフィン系重合体[R1]の側鎖のメチル分岐数は、側鎖炭素、すなわち側鎖に含まれる炭素1000個あたり0.1未満である。
[0130]
 側鎖のメチル分岐数が上記範囲にあることにより、側鎖のエチレン重合体部位の結晶性がより高まり、オレフィン系樹脂[R]として耐熱性をより高めることができる。
[0131]
 なお、メチル分岐数は上述した「要件(iii)」において記載した方法によりGPCにおける低分量側の溶出成分として分離された側鎖に相当するエチレン系重合体部位(マクロモノマー)、若しくは予め合成された、側鎖に相当するエチレン系重合体部位(マクロモノマー)について、同位体炭素核磁気共鳴分析( 13C-NMR)を用いた公知の方法、例えば特開2006-233207公報に公開されている方法によって測定することができる。
[0132]
 上記要件を満たす側鎖エチレン系重合体部位は、後述するビニル末端マクロモノマー生成用触媒に用いる遷移金属化合物の種類を特定のものを使用することにより得ることができる。
[0133]
 <オレフィン系樹脂[R]の製造方法>
 本発明のオレフィン系樹脂[R]の製造方法は、下記(A)~(C)をそれぞれ、その製造方法に適した方法で組み合わせて用いられるオレフィン重合用触媒、すなわち、下記(A)~(C)の各成分を含むオレフィン重合用触媒の存在下、特定のオレフィンを重合することを特徴とする。
[0134]
 以下、(A)~(C)の各成分について説明した後、具体的な製造方法、製造条件等について説明する。
[0135]
 [遷移金属化合物(A)]
 本発明で用いられる遷移金属化合物(A)は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の化合物であり、後述する化合物(C)の存在下でオレフィン重合用触媒として機能する。
[0136]
 遷移金属化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒は、エチレンと、炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィン、さらに、後述する(B)および(C)からなるオレフィン重合用触媒によって合成されるビニル末端マクロモノマーを共重合する役割を果たす。
[0137]
 したがって、遷移金属化合物(A)は、エチレンと、炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンと、前述したビニル末端マクロモノマーとを共重合することができるものであれば特に限定することなく公知の化合物を用いることができるが、α-オレフィンの共重合性が高いものを使用することが、オレフィン系樹脂[R]中に前記特徴を満たすオレフィン系重合体[R1]を多く含有させることができるので好ましい。また後述する溶液重合によりオレフィン系樹脂[R]を製造する場合、エチレン重合体鎖であるマクロモノマーが溶媒中に溶解するような比較的高温条件下においても十分に高いオレフィン重合活性を示し、十分に高い分子量の重合体を生成するものが好ましい。
[0138]
 以下、本発明で用いられる遷移金属化合物(A)の化学構造上の特徴について説明する。
[0139]
 本発明で用いられる遷移金属化合物(A)は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む化合物であり、下記一般式[A0]で表される遷移金属化合物である。
[0140]
 M 1x  [A0]
 式[A0]中、M 1は、周期表第4族の遷移金属であり、具体的には、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムである。
[0141]
 Lは、遷移金属に配位する配位子(基)であり、少なくとも1個のLは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLは、炭素原子数が1~12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基、-SO 3R(ただし、Rはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素原子数1~8の炭化水素基である。)または水素原子である。
[0142]
 xは、遷移金属の原子価であり、Lの個数を示す。
[0143]
 前記一般式[A0]で表される遷移金属化合物として、好ましくは、下記一般式[A1]で表される化合物(非架橋型メタロセン化合物)および下記一般式[A2]で表される化合物(架橋型メタロセン化合物)から選ばれる少なくとも1種のメタロセン化合物である。
[0144]
[化5]


[0145]
[化6]


[0146]
 式[A1]および[A2]中、Mは周期表第4族原子を示す。Mの具体例としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。
[0147]
 式[A1]および[A2]中、Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基(すなわち、前記炭化水素基が有する少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換された基)、中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示す。
[0148]
 ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
[0149]
 炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1~30、好ましくは炭素原子数1~20の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基;炭素原子数3~30、好ましくは炭素原子数3~20の脂環族炭化水素基;炭素原子数6~30、好ましくは炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
[0150]
 脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20、更に好ましくは1~10の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基などの炭素原子数2~30、好ましくは2~20、更に好ましくは2~10の直鎖状または分岐状のアルキニル基が挙げられる。
[0151]
 脂環族炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数3~30、好ましくは3~20、更に好ましくは3~10の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素原子数5~30の環状不飽和炭化水素基が挙げられる。
[0152]
 芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6~30、好ましくは6~20、更に好ましくは6~10の非置換アリール基;トリル基、イソプロピルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基などのアルキル基置換アリール基;などのアリール基が挙げられる。
[0153]
 炭化水素基は、少なくとも一つの水素原子が他の炭化水素基で置換されていてもよい。少なくとも一つの水素原子が他の炭化水素基で置換された炭化水素基としては、例えば、ベンジル基、クミル基などのアリール基置換アルキル基が挙げられる。
[0154]
 ハロゲン化炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
[0155]
 中性の共役または非共役ジエンとしては、例えば、炭素原子数4~10の中性の共役または非共役ジエンが挙げられる。具体的には、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-3-メチル-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-2,4-ヘキサジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジトリル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ブタジエンが挙げられる。
[0156]
 アニオン配位子としては、例えば、メトキシ、tert-ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシなどのアリーロキシ基;アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基;メシレート、トシレートなどのスルフォネート基が挙げられる。
[0157]
 孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル類が挙げられる。
[0158]
 式[A1]および[A2]中、jは1~4の整数、好ましくは2~4の整数、更に好ましくは2または3を示す。jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
[0159]
 式[A1]および[A2]中、Cp 1およびCp 2は、互いに同一でも異なっていてもよく、Mと共にサンドイッチ構造を形成することができるシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基を示す。置換シクロペンタジエニル基とは、シクロペンタジエニル基が有する少なくとも1つの水素原子が置換基で置換された基である。
[0160]
 置換シクロペンタジエニル基における置換基としては、例えば、炭化水素基(好ましくは炭素原子数1~20の炭化水素基、以下「炭化水素基(f1)」として参照することがある。)またはケイ素含有基(好ましくは炭素原子数1~20のケイ素含有基、以下「ケイ素含有基(f2)」として参照することがある。)が挙げられる。その他、置換シクロペンタジエニル基における置換基としては、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基などのヘテロ原子含有基(ケイ素含有基(f2)を除く)を挙げることもできる。
[0161]
 炭化水素基(f1)としては、好ましくは炭素原子数1~20の炭化水素基であり、例えば、直鎖状または分岐状の炭化水素基(例:アルキル基、アルケニル基、アルキニル基)、環状飽和炭化水素基(例:シクロアルキル基)、環状不飽和炭化水素基(例:アリール基)が挙げられる。炭化水素基(f1)としては、前記例示の基のうち互いに隣接する炭素原子に結合した任意の二つの水素原子が同時に置換されて脂環または芳香環を形成している基も含む。
[0162]
 炭化水素基(f1)としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基、アリル(allyl)基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、アミル基、3-メチルペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基およびこれらの核アルキル置換体;ベンジル基、クミル基などの、飽和炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子がアリール基で置換された基が挙げられる。
[0163]
 ケイ素含有基(f2)としては、好ましくは炭素原子数1~20のケイ素含有基であり、例えば、シクロペンタジエニル基の環炭素にケイ素原子が直接共有結合している基が挙げられ、具体的には、アルキルシリル基(例:トリメチルシリル基)、アリールシリル基(例:トリフェニルシリル基)が挙げられる。
[0164]
 ヘテロ原子含有基(ケイ素含有基(f2)を除く)としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基N-メチルアミノ基、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
[0165]
 炭化水素基(f1)の中でも、炭素原子数1~20の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などが好適な例として挙げられる。
[0166]
 置換シクロペンタジエニル基は、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基およびこれらが有する一つ以上の水素原子が上記炭化水素基で置換された基も包含し、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基の場合はシクロペンタジエニル基に縮合する不飽和環の二重結合の一部または全部が水添されていてもよい。
[0167]
 式[A2]中、Yは炭素原子数1~30の2価の炭化水素基、炭素原子数1~20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO 2-、-Ge-、-Sn(スズ)-、-NR a-、-P(R a)-、-P(O)(R a)-、-BR a-または-AlR a-を示す。ただし、R aは炭素原子数1~20の炭化水素基、炭素原子数1~20のハロゲン化炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子または窒素原子に炭素原子数1~20の炭化水素基が1個または2個結合した窒素化合物残基(-NRHまたは-NR 2;Rは炭素原子数1~20の炭化水素基)である。
[0168]
 遷移金属化合物(A)としては、一般式[A2]で表される化合物が好ましく、一般式(I)で表される架橋型メタロセン化合物(以下「架橋型メタロセン化合物[I]」ともいう。)が更に好ましい。
[0169]
[化7]


[0170]
 架橋型メタロセン化合物[I]は、構造上、次の特徴[m1]~[m3]を備える。
[0171]
 [m1]二つの配位子のうち、一つは置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、他の一つは置換基を有するフルオレニル基(以下「置換フルオレニル基」ともいう。)である。
[0172]
 [m2]二つの配位子が、アリール(aryl)基を有する炭素原子またはケイ素原子からなるアリール基含有共有結合架橋部(以下「架橋部」ともいう。)によって結合されている。
[0173]
 [m3]メタロセン化合物を構成する遷移金属(M)が周期表第4族の原子、具体的には、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である。
[0174]
 以下、架橋型メタロセン化合物[I]が有する、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基、置換フルオレニル基、架橋部およびその他特徴について、順次説明する。
[0175]
 (置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基)
 式[I]中、R 1、R 2、R 3およびR 4はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましく、隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
[0176]
 例えば、R 1、R 2、R 3およびR 4は全て水素原子であるか、またはR 1、R 2、R 3およびR 4のいずれか一つ以上が炭化水素基(好ましくは炭素原子数1~20の炭化水素基)またはケイ素含有基(好ましくは炭素原子数1~20のケイ素含有基)である。その他、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基などのヘテロ原子含有基を挙げることもできる。
[0177]
 R 1、R 2、R 3およびR 4のうちの二つ以上が水素原子以外の置換基である場合は、前記置換基は互いに同一でも異なっていてもよく;R 1、R 2、R 3およびR 4のうちの隣接する二つの基同士は互いに結合して脂環または芳香環を形成していてもよい。
[0178]
 R 1~R 4における炭化水素基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)が挙げられる。R 1~R 4におけるケイ素含有基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義したケイ素含有基(f2)が挙げられる。R 1~R 4におけるヘテロ原子含有基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて例示した基が挙げられる。
[0179]
 (置換フルオレニル基)
 式[I]中、R 5、R 8、R 9およびR 12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましい。R 6およびR 11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R 7およびR 10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R 6およびR 7は互いに結合して環を形成していてもよく、R 10およびR 11は互いに結合して環を形成していてもよく;ただし、“R 6、R 7、R 10およびR 11が全て水素原子であること”はない。
[0180]
 重合活性の視点からは、R 6およびR 11がいずれも水素原子でないことが好ましく;R 6、R 7、R 10およびR 11がいずれも水素原子ではないことが更に好ましく;R 6およびR 11が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であり、且つR 7とR 10が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であることが特に好ましい。また、R 6およびR 7が互いに結合して脂環または芳香環を形成し、R 10およびR 11が互いに結合して脂環または芳香環を形成していることも好ましい。
[0181]
 R 5~R 12における炭化水素基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)が挙げられる。R 5~R 12におけるケイ素含有基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義したケイ素含有基(f2)が挙げられる。R 5~R 12におけるヘテロ原子含有基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて例示した基が挙げられる。
[0182]
 R 6およびR 7(R 10およびR 11)が互いに結合して脂環または芳香環を形成した場合の置換フルオレニル基としては、後述する一般式[II]~[VI]で表される化合物に由来する基が好適な例として挙げられる。
[0183]
 (架橋部)
 式[I]中、R 13およびR 14はそれぞれ独立にアリール基を示し、Y 1は炭素原子またはケイ素原子を示す。本発明のオレフィン重合体の製造方法において重要な点は、架橋部の架橋原子Y 1に、互いに同一でも異なっていてもよいアリール(aryl)基[R 13およびR 14]を有することである。製造上の容易性から、R 13およびR 14は互いに同一であることが好ましい。
[0184]
 アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびこれらが有する芳香族水素(sp2型水素)の一つ以上が置換基で置換された基が挙げられる。置換基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)およびケイ素含有基(f2)や、ハロゲン原子およびハロゲン化炭化水素基が挙げられる。また、このアリール基は、これらの置換基とともに、アルコキシ基を置換基として有していてもよい。ここで、このアルコキシ基を構成するアルキル基として、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)が挙げられる。
[0185]
 アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基などの炭素原子数6~14、好ましくは6~10の非置換アリール基;トリル基、イソプロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基などのアルキル基置換アリール基;p-メトキシ-m-メチルフェニル基などのアルキル基アルコキシ基置換アリール基;シクロヘキシルフェニル基などのシクロアルキル基置換アリール基;クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニル基などのハロゲン化アリール基;(トリフルオロメチル)フェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基などのハロゲン化アルキル基置換アリール基が挙げられる。置換基の位置は、メタ位および/またはパラ位が好ましい。これらの中でも、置換基がメタ位および/またはパラ位に位置する置換フェニル基が更に好ましい。
[0186]
 (架橋型メタロセン化合物のその他の特徴)
 式[I]中、Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数4~10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1~4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
[0187]
 Qにおけるハロゲン原子、炭素原子数4~10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、式[A1]および[A2]中におけるQと同様の原子または基を挙げることができる。
[0188]
 Qにおける炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1~10の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素原子数3~10の脂環族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、2-メチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジエチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、1,1,2,2-テトラメチルプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,1,3-トリメチルブチル基、ネオペンチル基が挙げられる。脂環族炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、1-メチル-1-シクロヘキシル基が挙げられる。
[0189]
 Qにおけるハロゲン化炭化水素基としては、Qにおける上記炭化水素基が有する少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
[0190]
 (好ましい架橋型メタロセン化合物[I]の例示)
 以下に架橋型メタロセン化合物[I]の具体例を示す。なお、例示化合物中、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニルとは式[II]で示される構造の化合物に由来する基を指し、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[III]で示される構造の化合物に由来する基を指し、ジベンゾフルオレニルとは式[IV]で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[V]で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[VI]で示される構造の化合物に由来する基を指す。
[0191]
[化8]


[0192]
[化9]


[0193]
[化10]


[0194]
[化11]


[0195]
[化12]


[0196]
 架橋型メタロセン化合物[I]としては、例えば、
 ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(トリメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(ジメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(トリメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(ジメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(トリメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(ジメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(m-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(トリメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(ジメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(p-ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(トリメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(ジメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(m-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(トリメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(ジメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(p-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(トリメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(ジメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリフルオロメチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(p-tert-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(トリメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(ジメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-tert-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(p-n-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-n-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-n-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-n-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-n-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-n-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-n-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-n-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-n-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-n-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(トリメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-n-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(ジメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-n-ブチル-フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(p-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(トリメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(ジメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(1-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(1-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(1-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(トリメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(ジメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(1-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(2-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(トリメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(ジメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(2-ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(m-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(m-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(p-イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジ(p-メトキシ-m-メチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-メトキシ-m-メチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-メトキシ-m-メチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-メトキシ-m-メチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
 ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(トリメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7-(ジメチルフェニル)-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7-テトラtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドが挙げられる。
[0197]
 架橋型メタロセン化合物[I]としては、上記例示の化合物の「ジルコニウム」を「ハフニウム」または「チタニウム」に変えた化合物、「ジクロリド」を「ジフロライド」、「ジブロミド」、「ジアイオダイド」、「ジメチル」、「メチルエチル」または「ジベンジル」などに代えた化合物、「シクロペンタジエニル」を「3-tert-ブチル-5-メチル-シクロペンタジエニル」、「3,5-ジメチル-シクロペンタジエニル」、「3-tert-ブチル-シクロペンタジエニル」または「3-メチル-シクロペンタジエニル」などに変えた化合物を挙げることもできる。
[0198]
 以上のメタロセン化合物は公知の方法によって製造可能であり、特に製造方法が限定されるわけではない。公知の方法としては、例えば、本出願人による国際公開第01/27124号パンフレット、国際公開第04/029062号パンフレットに記載の方法が挙げられる。
[0199]
 また、本発明では、遷移金属化合物(A)として下記式[A3]で表される化合物を用いることもできる。
[0200]
 L 215 2  [A3]
 式[A3]中、M 1は周期表第4族の遷移金属原子を示す。
[0201]
 L 2は、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M 1活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、X 5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または20個以下の炭素原子、ケイ素原子もしくはゲルマニウム原子を含有する炭化水素基、シリル基もしくはゲルミル基である。
[0202]
 このような一般式[A3]で表される化合物のうちでは、下記式[A4]で表される化合物が好ましい。
[0203]
[化13]


[0204]
 式[A4]中、M 1は周期表第4族の遷移金属原子を示し、具体的にはジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。Cpは、M 1にπ結合しており、かつ置換基Z 1を有する置換シクロペンタジエニル基またはその誘導体を示す。
[0205]
 Z 1は、酸素原子、イオウ原子、ホウ素原子または周期表第14族の元素を含む配位子を示し、たとえば-Si(R 55 2)-、-C(R 55 2)-、-Si(R 55 2)Si(R 55 2)-、-C(R 55 2)C(R 55 2)-、-C(R 55 2)C(R 55 2)C(R 55 2)-、-C(R 55)=C(R 55)-、-C(R 55 2)Si(R 55 2)-、-Ge(R 55 2)-などである。
[0206]
 Y 1は、窒素原子、リン原子、酸素原子またはイオウ原子を含む配位子を示し、たとえば-N(R 52)-、-O-、-S-、-P(R 52)-などである。またZ 1とY 1とで縮合環を形成してもよい。
[0207]
 上記R 55は水素原子または20個までの非水素原子をもつアルキル、アリール、シリル、ハロゲン化アルキル、およびハロゲン化アリール基、並びにそれらの組合せから選ばれた基であり、R 52は炭素原子数1~10のアルキル、炭素原子数6~10のアリール基若しくは炭素原子数7~10のアラルキル基であるか、または1個若しくはそれ以上のR 55と30個までの非水素原子の縮合環系を形成してもよい。
[0208]
 上記一般式[A4]で表される遷移金属化合物の具体的な例としては、(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルジルコニウムジクロリド、(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルチタンジクロリド、(メチルアミド)(テトラメチル-η5 -シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルジルコニウムジクロリド、(メチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルチタンジクロリド、(エチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-メチレンチタンジクロリド、(tert-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド、(tert-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロリド、(ベンジルアミド)ジメチル-(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド、(フェニルホスフィド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジルなどが挙げられる。
[0209]
 以上のような遷移金属化合物(A)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
[0210]
 [遷移金属化合物(B)]
 本発明で用いられる遷移金属化合物(B)は下記一般式[B0],[B1],[B2]で表される構造を有する特定の化合物であり、後述する化合物(C)の存在下でオレフィン重合用触媒として機能する。
[0211]
 遷移金属化合物(B)を含むオレフィン重合用触媒は、主にエチレンを重合し、ビニル末端マクロモノマーを生成する特徴を有している。
[0212]
 さらに、オレフィン系樹脂[R]を一つの反応器内において単段で製造する方法を採用する場合、遷移金属化合物(B)を含むオレフィン重合用触媒は、エチレンを高選択的に重合する性能をさらに有することが好ましい。また、遷移金属化合物(B)を含むオレフィン重合用触媒は、重合体鎖内部にオレフィン構造(いわゆる内部オレフィン)を実質的に生成しない性能を有することが、耐光性や耐着色性などの観点から好ましい。
[0213]
 以下、本発明で用いられる遷移金属化合物(B)の化学構造上の特徴について説明する。
[0214]
 本発明で用いられる遷移金属化合物(B)は、下記一般式[B0],[B1],[B2]で表される遷移金属化合物である。
[0215]
[化14]


[0216]
 一般式[B0]中、N……Mは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
[0217]
 一般式[B0]において、Mは周期表第4または5族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、好ましくは周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはジルコニウムである。
[0218]
 mは1~4の整数を示し、好ましくは1~2であり、特に好ましくは2である。
[0219]
 R 1は、炭素原子数1~20の非環式炭化水素基(C n'2n'+1,n’=1~20)または水素原子を示す。好ましくは、炭素原子数1~10の直鎖炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。これらの中では、メチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。R 1として、より好ましくは、メチル基、エチル基、及び水素原子である。
[0220]
 R 2~R 6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、mが2以上の場合にはR 2~R 6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
[0221]
 炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数が1~30、好ましくは1~20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数が2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基など炭素原子数が2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3~30、好ましくは3~20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素原子数5~30の環状不飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数が6~30、好ましくは6~20のアリール基;トリル基、イソプロピルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基などのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
[0222]
 上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル基、クミル基などのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
[0223]
 さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
[0224]
 これらのうち、特に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1~30、好ましくは1~20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1~5個置換した置換アリール基などが好ましい。
[0225]
 酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記例示したものと同様のものが挙げられる。ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1~30、好ましくは1~20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
[0226]
 ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基など、具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル-t-ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などが挙げられる。これらの中では、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などが好ましい。特にトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシ基などが挙げられる。
[0227]
 ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
[0228]
 次に上記で説明したR 2~R 6の例について、より具体的に説明する。アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基などが挙げられる。
[0229]
 アルキルチオ基として具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基などが挙げられる。アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
[0230]
 アシル基として具体的には、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p-クロロベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基などが挙げられる。エステル基として具体的には、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p-クロロフェノキシカルボニル基などが挙げられる。
[0231]
 チオエステル基として具体的には、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などが挙げられる。アミド基として具体的には、アセトアミド基、N-メチルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド基などが挙げられる。イミド基として具体的には、アセトイミド基、ベンズイミド基などが挙げられる。アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。
[0232]
 イミノ基として具体的には、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基、フェニルイミノ基などが挙げられる。スルホンエステル基として具体的には、スルホン酸メチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸フェニル基などが挙げられる。スルホンアミド基として具体的には、フェニルスルホンアミド基、N-メチルスルホンアミド基、N-メチル-p-トルエンスルホンアミド基などが挙げられる。
[0233]
 R 6としては特に、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が3~30、好ましくは3~20の分岐状アルキル基、より好ましくはこれらの基の水素原子を炭素原子数が6~20のアリール基で置換した基であるフェニルエチル基、ジフェニルメチル基、クミル基、ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、更にアダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素原子数が3~30、好ましくは3~20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、あるいはフェニル、ナフチル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基、または炭化水素置換シリル基であることも好ましい。
[0234]
 R 2~R 6は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは互いに隣接する2個以上の基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。また、mが2以上の場合には、R 2~R 6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。さらに、mが2以上の場合にはR 1同士、R 2同士、R 3同士、R 4同士、R 5同士、R 6同士は、互いに同一でも異なっていてもよい。
[0235]
 nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0~5、好ましくは1~4、より好ましくは1~3の整数である。
[0236]
 Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
[0237]
 ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
[0238]
 炭化水素基としては、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3~30のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1~20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。
[0239]
 これらのうち、炭素原子数が1~20のものが好ましい。
[0240]
 ヘテロ環式化合物残基としては、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられる。
[0241]
 酸素含有基としては、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0242]
 イオウ含有基としては、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p-トルエンスルフォネート基、トリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p-クロルベンゼンスルフォネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基;メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p-トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0243]
 窒素含有基として具体的には、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0244]
 ホウ素含有基として具体的には、BR 4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0245]
 ケイ素含有基として具体的には、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、フェニルシリル基、ジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチル基などのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
[0246]
 ゲルマニウム含有基として具体的には、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。スズ含有基として具体的には、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、より具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
[0247]
 ハロゲン含有基として具体的には、PF 6、BF 4などのフッ素含有基、ClO 4、SbCl 6などの塩素含有基、IO 4などのヨウ素含有基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルミニウム含有基として具体的には、AlR 4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0248]
 なお、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
[0249]
[化15]


[0250]
 一般式[B1]中、N……Mは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
[0251]
 一般式[B1]において、Mは周期律表第4~5族の遷移金属を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルであり、好ましくは4族の金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはジルコニウムである。
[0252]
 mは1~4の整数を示し、好ましくは1~2であり、特に好ましくは2である。
[0253]
 R 1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい3~10員環の脂環式炭化水素基を示す。脂環式炭化水素基として具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
[0254]
 R 1の置換基としては特に制限はないが、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基から選ばれる基であるか、それらの基を含有する炭化水素基または炭化水素置換シリル基が挙げられる。
[0255]
 上記R 1に有していても良い置換基として、具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、フェノキシメチル基、エトキシエチル基、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ニトロメチル基、ニトロエチル基、シアノメチル基、シアノエチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、などが挙げられる。
[0256]
 上記R 1の置換基を2つ以上有する3~5員環の脂環式炭化水素基においては、2つ以上の置換基の位置に特に制限はない。
[0257]
 R 2~R 6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、mが2以上の場合にはR 2~R 6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
[0258]
 炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数が1~30、好ましくは1~20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数が2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基など炭素原子数が2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3~30、好ましくは3~20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素原子数5~30の環状不飽和炭化水素基;フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数が6~30、好ましくは6~20のアリール基;トリル基、イソプロピルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基などのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
[0259]
 上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル基、クミル基などのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
[0260]
 さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
[0261]
 これらのうち、特に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1~30、好ましくは1~20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1~5個置換した置換アリール基などが好ましい。
[0262]
 酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記例示したものと同様のものが挙げられる。ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1~30、好ましくは1~20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
[0263]
 ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基など、具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル-t-ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などが挙げられる。これらの中では、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などが好ましい。特にトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。
[0264]
 ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
[0265]
 次に上記で説明したR 2~R 6の例について、より具体的に説明する。アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基などが挙げられる。
[0266]
 アルキルチオ基として具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基などが挙げられる。アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
[0267]
 アシル基として具体的には、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p-クロロベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基などが挙げられる。エステル基として具体的には、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p-クロロフェノキシカルボニル基などが挙げられる。
[0268]
 チオエステル基として具体的には、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などが挙げられる。アミド基として具体的には、アセトアミド基、N-メチルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド基などが挙げられる。イミド基として具体的には、アセトイミド基、ベンズイミド基などが挙げられる。
[0269]
 アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。イミノ基として具体的には、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基、フェニルイミノ基などが挙げられる。スルホンエステル基として具体的には、スルホン酸メチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸フェニル基などが挙げられる。
[0270]
 スルホンアミド基として具体的には、フェニルスルホンアミド基、N-メチルスルホンアミド基、N-メチル-p-トルエンスルホンアミド基などが挙げられる。本発明では、R 6としては特に、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が3~30、好ましくは3~20の分岐状アルキル基、より好ましくはこれらの基の水素原子を炭素原子数が6~20のアリール基で置換した基であるフェニルエチル基、ジフェニルメチル基、クミル基、ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、更にアダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素原子数が3~30、好ましくは3~20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、あるいはフェニル、ナフチル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基、または炭化水素置換シリル基であることも好ましい。
[0271]
 R 2~R 6は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは互いに隣接する2個以上の基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。また、mが2以上の場合には、R 2~R 6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。さらに、mが2以上の場合にはR 1同士、R 2同士、R 3同士、R 4同士、R 5同士、R 6同士は、互いに同一でも異なっていてもよい。
[0272]
 nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0~5、好ましくは1~4、より好ましくは1~3の整数である。
[0273]
 Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
[0274]
 ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
[0275]
 炭化水素基としては、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3~30のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1~20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。
[0276]
 これらのうち、炭素原子数が1~20のものが好ましい。
[0277]
 ヘテロ環式化合物残基としては、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられる。
[0278]
 酸素含有基としては、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0279]
 イオウ含有基としては、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p-トルエンスルフォネート基、トリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p-クロルベンゼンスルフォネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基;メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p-トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0280]
 窒素含有基として具体的には、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0281]
 ホウ素含有基として具体的には、BR 4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0282]
 ケイ素含有基として具体的には、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、フェニルシリル基、ジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
[0283]
 ゲルマニウム含有基として具体的には、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。スズ含有基として具体的には、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、より具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
[0284]
 ハロゲン含有基として具体的には、PF 6、BF 4などのフッ素含有基、ClO 4、SbCl 6などの塩素含有基、IO 4などのヨウ素含有基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルミニウム含有基として具体的には、AlR 4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0285]
 なお、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
[0286]
[化16]


[0287]
 一般式[B2]中、N……Mは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
[0288]
 一般式[B2]において、Mは周期律表第4~5族の遷移金属を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルであり、好ましくは4族の金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはジルコニウムである。
[0289]
 mは1~4の整数を示し、好ましくは1~2であり、特に好ましくは2である。
[0290]
 R 1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい炭素原子数4~20の少なくとも1つ以上の炭素を共有する2環性脂肪族炭化水素基であり、2環性脂肪族炭化水素基として具体的には、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2.]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、などが挙げられる。
[0291]
 好ましくは、R 1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい炭素原子数4~20の2つの炭素を共有する2環性脂肪族炭化水素基であり、2環性脂肪族炭化水素基として具体的には、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2.]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、などが挙げられる。
[0292]
 より好ましくは、R 1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい炭素原子数5~20の2つの炭素を共有する橋かけ2環性脂肪族炭化水素基であり、2環性脂肪族炭化水素基として具体的には、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2.]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、などが挙げられる。
[0293]
 特に好ましくは、R 1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよいビシクロ[2.2.1]ヘプタンである。R 1の置換基としては特に制限はないが、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基から選ばれる基であるか、それらの基を含有する炭化水素基または炭化水素置換シリル基が挙げられる。
[0294]
 上記R 1に有していても良い置換基として、具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、フェノキシメチル基、エトキシエチル基、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ニトロメチル基、ニトロエチル基、シアノメチル基、シアノエチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、などが挙げられる。
[0295]
 上記R 1の置換基を2つ以上有する2環性炭化水素基においては、2つ以上の置換基の位置に特に制限はない。
[0296]
 R 2~R 6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、mが2以上の場合にはR 2~R 6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
[0297]
 炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数が1~30、好ましくは1~20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数が2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基など炭素原子数が2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3~30、好ましくは3~20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素原子数5~30の環状不飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数が6~30、好ましくは6~20のアリール基;トリル基、イソプロピルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基などのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
[0298]
 上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル基、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
[0299]
 さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
[0300]
 これらのうち、特に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1~30、好ましくは1~20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1~5個置換した置換アリール基などが好ましい。
[0301]
 酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記例示したものと同様のものが挙げられる。ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1~30、好ましくは1~20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
[0302]
 ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基など、具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル-t-ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などが挙げられる。これらの中では、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などが好ましい。特にトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシ基などが挙げられる。
[0303]
 ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
[0304]
 次に上記で説明したR 2~R 6の例について、より具体的に説明する。アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基などが挙げられる。
[0305]
 アルキルチオ基として具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基などが挙げられる。アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
[0306]
 アシル基として具体的には、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p-クロロベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基などが挙げられる。エステル基として具体的には、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p-クロロフェノキシカルボニル基などが挙げられる。
[0307]
 チオエステル基として具体的には、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などが挙げられる。アミド基として具体的には、アセトアミド基、N-メチルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド基などが挙げられる。イミド基として具体的には、アセトイミド基、ベンズイミド基などが挙げられる。
[0308]
 アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。イミノ基として具体的には、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基、フェニルイミノ基などが挙げられる。スルホンエステル基として具体的には、スルホン酸メチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸フェニル基などが挙げられる。
[0309]
 スルホンアミド基として具体的には、フェニルスルホンアミド基、N-メチルスルホンアミド基、N-メチル-p-トルエンスルホンアミド基などが挙げられる。
[0310]
 R 2~R 6は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは互いに隣接する2個以上の基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
[0311]
 また、mが2以上の場合には、R 2~R 6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。さらに、mが2以上の場合にはR 1同士、R 2同士、R 3同士、R 4同士、R 5同士、R 6同士は、互いに同一でも異なっていてもよい。
[0312]
 nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0~5、好ましくは1~4、より好ましくは1~3の整数である。
[0313]
 Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
[0314]
 ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
[0315]
 炭化水素基としては、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3~30のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1~20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。
[0316]
 これらのうち、炭素原子数が1~20のものが好ましい。
[0317]
 ヘテロ環式化合物残基としては、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられる。
[0318]
 酸素含有基としては、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0319]
 イオウ含有基としては、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p-トルエンスルフォネート基、トリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p-クロルベンゼンスルフォネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基;メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p-トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0320]
 窒素含有基として具体的には、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0321]
 ホウ素含有基として具体的には、BR 4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0322]
 ケイ素含有基として具体的には、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、フェニルシリル基、ジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチル基などのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
[0323]
 ゲルマニウム含有基として具体的には、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。スズ含有基として具体的には、前記R 2~R 6で例示したものと同様のものが挙げられ、より具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
[0324]
 ハロゲン含有基として具体的には、PF 6、BF 4などのフッ素含有基、ClO 4、SbCl 6などの塩素含有基、IO 4などのヨウ素含有基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルミニウム含有基として具体的には、AlR 4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0325]
 なお、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
[0326]
 上記一般式[B0],[B1],[B2]で表される遷移金属化合物の好ましい化合物構造の例示としては、特開2003-73412公報に開示されている遷移金属化合物を挙げることができる。
[0327]
 以上のような、上記一般式[B0],[B1],[B2]で表される遷移金属化合物(B)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
[0328]
 [遷移金属化合物(B)の好ましい態様]
 遷移金属化合物(B)として好ましくは、上記一般式[B0]で表される構造を有する化合物である。上記一般式[B0]の好ましい態様については上記した通りであるが、特に好ましい態様は、次の通りである。
[0329]
 一般式[B0]中、Mは周期表第4族の遷移金属原子を示し、
 mは1~4の整数を示し、
 R 1は、炭素数1~10の直鎖炭化水素基であり、
 R 2~R 5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
 R 6は炭素原子数が3~20の分岐状アルキル基であって、少なくとも一つの水素原子を、炭素原子数が6~20のアリール基で置換した基であり、
 nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の整数である場合には、複数のXは互いに同一であっても、異なっていてもよく、また、Xで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。


 [化合物(C)]
 本発明で用いられる化合物(C)は、化合物(A)および(B)と反応して、オレフィン重合用触媒として機能するものであり、具体的には、(C-1)有機金属化合物、(C-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(C-3)遷移金属化合物(A)または遷移金属化合物(B)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種である。以下、(C-1)~(C-3)の化合物について順次説明する。
[0330]
 ((C-1)有機金属化合物)
 本発明で用いられる(C-1)有機金属化合物として、具体的には下記の一般式(C-1a)で表わされる有機アルミニウム化合物、一般式(C-1b)で表わされる周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物、および一般式(C-1c)で表わされる周期律表第2族または第12族金属のジアルキル化合物が挙げられる。なお、(C-1)有機金属化合物には、後述する(C-2)有機アルミニウムオキシ化合物は含まないものとする。
[0331]
 R a pAl(OR bqrs  (C-1a)
 上記一般式(C-1a)中、R aおよびR bは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、rは0≦r<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+r+s=3である。
[0332]
 M 3AlR c 4  (C-1b)
 上記一般式(C-1b)中、M 3はLi、NaまたはKを示し、R cは炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示す。
[0333]
 R de4  (C-1c)
 上記一般式(C-1c)中、R dおよびR eは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示し、M 4はMg、ZnまたはCdである。
[0334]
 前記一般式(C-1a)で表わされる有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物を例示できる。
[0335]
 R a pAl(OR b3-p
(式中、R aおよびR bは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示し、pは好ましくは1.5≦p≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
 R a pAlY 3-p
(式中、R aは炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは好ましくは0<p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
 R a pAlH 3-p
(式中、R aは炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示し、pは好ましくは2≦p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
 R a pAl(OR bqs
(式中、R aおよびR bは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+s=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
[0336]
 一般式(C-1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn-アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニウム、トリ2-メチルブチルアルミニウム、トリ3-メチルブチルアルミニウム、トリ2-メチルペンチルアルミニウム、トリ3-メチルペンチルアルミニウム、トリ4-メチルペンチルアルミニウム、トリ2-メチルヘキシルアルミニウム、トリ3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
(i-C 49xAl y(C 510z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
a 2.5Al(OR b0.5で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム(式中、R aおよびR bは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示す);
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
[0337]
 また(C-1a)に類似する化合物も本発明に使用することができ、そのような化合物として例えば、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C 252AlN(C 25)Al(C 252などを挙げることができる。
[0338]
 前記一般式(C-1b)に属する化合物としては、LiAl(C 254、LiAl(C 7154などを挙げることができる。
[0339]
 前記一般式(C-1c)に属する化合物としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジ-n-プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ-n-ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛、ジメチルカドミウム、ジエチルカドミウムなどを挙げることができる。
[0340]
 またその他にも、(C-1)有機金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリドなどを使用することもできる。
[0341]
 また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、例えばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組み合わせ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組み合わせなどを、前記(C-1)有機金属化合物として使用することもできる。
[0342]
 上記のような(C-1)有機金属化合物は、1種類単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
[0343]
 ((C-2)有機アルミニウムオキシ化合物)
 本発明で用いられる(C-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。(C-2)有機アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン等が挙げられる。
[0344]
 従来公知のアルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
[0345]
 (1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
[0346]
 (2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
[0347]
 (3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
[0348]
 なお前記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、得られたアルミノキサンを溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
[0349]
 アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(C-1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
[0350]
 これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
[0351]
 上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
[0352]
 アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
[0353]
 また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であることが好ましい。
[0354]
 本発明で用いられる(C-2)有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(III)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
[0355]
[化17]


[0356]
(一般式(III)中、R 17は炭素原子数が1~10の炭化水素基を示し、4つのR 18は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1~10の炭化水素基を示す。)
 前記一般式(III)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(IV)で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、-80℃~室温の温度で1分~24時間反応させることにより製造できる。
[0357]
 R 19-B(OH) 2  (IV)
(一般式(IV)中、R 19は前記一般式(III)におけるR 17と同じ基を示す。)
 前記一般式(IV)で表されるアルキルボロン酸の具体的な例としては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n-プロピルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n-ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
[0358]
 このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(C-1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
[0359]
 前記有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
[0360]
 上記のような(C-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
[0361]
 ((C-3)遷移金属化合物(A)または遷移金属化合物(B)と反応してイオン対を形成する化合物)
 本発明で用いられる、遷移金属化合物(A)または遷移金属化合物(B)と反応してイオン対を形成する化合物(C-3)(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP-5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
[0362]
 具体的には、前記ルイス酸としては、BR 3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどである。
[0363]
 前記イオン性化合物としては、例えば下記一般式(V)で表される化合物が挙げられる。
[0364]
[化18]


[0365]
(一般式(V)中、R 20はH +、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオンまたは遷移金属を有するフェロセニウムカチオンであり、R 21~R 24は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。)
 前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
[0366]
 前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
[0367]
 前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
[0368]
 R 20としては、カルボニウムカチオンおよびアンモニウムカチオンが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
[0369]
 またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
[0370]
 前記トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、例えばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素などが挙げられる。
[0371]
 前記N,N-ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、例えばN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N,2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
[0372]
 前記ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、例えばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
[0373]
 さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N-ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(VI)または(VII)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
[0374]
[化19]


[0375]
(式(VI)中、Etはエチル基を示す。)
[0376]
[化20]


[0377]
(式(VII)中、Etはエチル基を示す。)
 イオン化イオン性化合物(化合物(C-3))の例であるボラン化合物として具体的には、例えば、デカボラン;
ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
[0378]
 イオン化イオン性化合物の例であるカルボラン化合物として具体的には、例えば4-カルバノナボラン、1,3-ジカルバノナボラン、6,9-ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド-1-フェニル-1,3-ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド-1-メチル-1,3-ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド-1,3-ジメチル-1,3-ジカルバノナボラン、7,8-ジカルバウンデカボラン、2,7-ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド-11-メチル-2,7-ジカルバウンデカボラン、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバドデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-トリメチルシリル-1-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムブロモ-1-カルバドデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム6-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム6-カルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム7-カルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム7,8-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム2,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムドデカハイドライド-8-メチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-エチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-ブチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-アリル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-9-トリメチルシリル-7,8-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-4,6-ジブロモ-7-カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-1,3-ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
[0379]
 イオン化イオン性化合物の例であるヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子とを含む化合物である。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ゲルマノタングストバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の、例えば周期律表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
[0380]
 イオン化イオン性化合物の例であるイソポリ化合物は、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種の原子の金属イオンから構成される化合物であり、金属酸化物の分子状イオン種であるとみなすことができる。具体的には、バナジン酸、ニオブ酸、モリブデン酸、タングステン酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の例えば周期律表第1族または第2族の金属、具体的にはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
[0381]
 上記のようなイオン化イオン性化合物((C-3)遷移金属化合物(A)、遷移金属化合物(B)と反応してイオン対を形成する化合物)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
[0382]
 遷移金属化合物(A)、遷移金属化合物(B)に加えて、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの(C-2)有機アルミニウムオキシ化合物を併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示す。
[0383]
 上記のような(C-3)イオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
[0384]
 また、本発明のオレフィン系樹脂[R]の製造方法に用いるオレフィン重合用触媒は、上記(A)~(C)の各成分とともに、必要に応じて下記の担体(D)を含んでもよい。
[0385]
 [担体(D)]
 本発明で用いることができる担体(D)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。担体(D)に上記遷移金属化合物(A)および化合物(B)を担持させることで、良好なモルフォロジーのポリマーが得られる。
[0386]
 前記無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物または固体状有機アルミニウムオキシ化合物が好ましい。
[0387]
 前記多孔質酸化物として、具体的にはSiO 2、Al 23、MgO、ZrO、TiO 2、B 23、CaO、ZnO、BaO、ThO 2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用することができ、さらに、例えば天然または合成ゼオライト、SiO 2-MgO、SiO 2-Al 23、SiO 2-TiO 2、SiO 2-V 25、SiO 2-Cr 23、SiO 2-TiO 2-MgOなどを使用することができる。これらのうち多孔質酸化物としては、SiO 2および/またはAl 23を主成分とするものが好ましい。
[0388]
 なお、上記多孔質酸化物は、少量のNa 2CO 3、K 2CO 3、CaCO 3、MgCO 3、Na 2SO 4、Al 2(SO 43、BaSO 4、KNO 3、Mg(NO 32、Al(NO 33、Na 2O、K 2O、Li 2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
[0389]
 このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる多孔質酸化物は、粒径が10~300μm、好ましくは20~200μmであって、比表面積が50~1000m 2/g、好ましくは100~700m 2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3~3.0cm 3/gの範囲にあることが望ましい。このような多孔質酸化物は、必要に応じて100~1000℃、好ましくは150~700℃で焼成して使用される。
[0390]
 上記無機ハロゲン化物としては、MgCl 2、MgBr 2、MnCl 2、MnBr 2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
[0391]
 上記粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、上記イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
[0392]
 また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl 2型、CdI 2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
[0393]
 さらに、粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、
 イオン交換性層状化合物としては、α-Zr(HAsO 42・H 2O、α-Zr(HPO 42、α-Zr(KPO 42・3H 2O、α-Ti(HPO 42、α-Ti(HAsO 42・H 2O、α-Sn(HPO 42・H 2O、γ-Zr(HPO 42、γ-Ti(HPO 42、γ-Ti(NH 4PO 42・H 2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
[0394]
 このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上であることが好ましく、0.3~5cc/gであることが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20~30000Åの範囲について測定される。
[0395]
 半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
[0396]
 本発明で用いられる粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
[0397]
 本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl 4、ZrCl 4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR) 4、Zr(OR) 4、PO(OR) 3、B(OR) 3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al 134(OH) 247+、[Zr 4(OH) 142+、[Fe 3O(OCOCH 36+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR) 4、Al(OR) 3、Ge(OR) 4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基などを示す)などを加水分解して得た重合物、SiO 2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物なども挙げられる。
[0398]
 本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0399]
 固体状有機アルミニウムオキシ化合物としては、前記(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物を不溶化させて得られる固体成分であり、特開平11-140113号公報、特開2000-38410号公報、特開2000-95810号公報、国際公開2010/55652号パンフレットなどに記載の方法により得ることができる。
[0400]
 前述のように担体(D)は無機または有機の化合物であるが、有機化合物としては、粒径が10~300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素原子数が2~14のα-オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
[0401]
 さらに、本発明のオレフィン系樹脂[R]の製造方法に用いるオレフィン重合用触媒は、上記(A)~(C)の各成分とともに、必要に応じて下記の特定の有機化合物成分(E)を含むこともできる。
[0402]
 [有機化合物成分(E)]
 有機化合物成分(E)は、必要に応じて、本発明のオレフィン重合用触媒の重合性能(例えば、触媒活性)および生成ポリマーの物性(例えば、生成ポリマーの高分子量化)を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
[0403]
 前記アルコール類および前記フェノール性化合物としては、通常、R 25-OHで表されるものが使用され、ここで、R 25は炭素原子数1~50の炭化水素基(フェノール類の場合、炭素原子数は6~50)または炭素原子数1~50(フェノール類の場合、炭素原子数は6~50)のハロゲン化炭化水素基を示す。
[0404]
 アルコール類としては、R 25がハロゲン化炭化水素基のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α’-位が炭素数1~20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
[0405]
 上記カルボン酸としては、通常、R 26-COOHで表されるものが使用される。R 26は炭素原子数1~50の炭化水素基または炭素原子数1~50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1~50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
[0406]
 上記リン化合物としては、P-O-H結合を有するリン酸類、P-OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。
[0407]
 上記スルホン酸塩としては、下記一般式(VIII)で表されるものが挙げられる。
[0408]
[化21]


[0409]
(一般式(VIII)中、M 2は周期律表第1~14族の元素であり、R 27は水素、炭素原子数1~20の炭化水素基または炭素原子数1~20のハロゲン化炭化水素基であり、Zは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1~20の炭化水素基または炭素原子数が1~20のハロゲン化炭化水素基であり、tは1~7の整数であり、uは1≦u≦7となる整数である。また、t-uはt-u≧1となる整数である。)
 [重合方法]
 以下、前述の(A),(B),(C)を含むオレフィン重合用触媒存在下でオレフィンを重合し、オレフィン系樹脂[R]を製造する方法について説明する。
[0410]
 重合は溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合などの液相重合法あるいは気相重合法のいずれにおいても実施できる。
[0411]
 液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などが挙げられ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
[0412]
 オレフィン系樹脂[R]の製造に当たり、上述したオレフィン重合用触媒を用いる場合、遷移金属化合物(A)は、反応容積1リットル当たり、通常10 -8~1モル、好ましくは10 -7~0.5モルになるような量で用いられ、遷移金属化合物(B)は、反応容積1リットル当たり、通常10 -12~10 -2モル、好ましくは10 -10~10 -3モルになるような量で用いられる。また、遷移金属化合物(A)および遷移金属化合物(B)は、遷移金属化合物(B)と遷移金属化合物(A)とのモル比(B/A)が、通常0.00001~100、好ましくは0.00005~10、さらに好ましくは0.000075~1、より好ましくは0.0001~0.5となるような量で用いられる。
[0413]
 有機金属化合物(C-1)は、有機金属化合物(C-1)と、遷移金属化合物(A)および遷移金属化合物(B)中の遷移金属原子(M)とのモル比(C-1/M)が、通常0.01~100000、好ましくは0.05~50000となるような量で用いられる。
[0414]
 有機アルミニウムオキシ化合物(C-2)は、有機アルミニウムオキシ化合物(C-2)中のアルミニウム原子と、遷移金属化合物(A)および遷移金属化合物(B)中の遷移金属原子(M)とのモル比(C-2/M)が、通常10~500000、好ましくは20~100000となるような量で用いられる。
[0415]
 イオン化イオン性化合物(C-3)は、イオン化イオン性化合物(C-3)と、遷移金属化合物(A)および遷移金属化合物(B)中の遷移金属原子(M)とのモル比(C-3/M)が、通常1~10、好ましくは1~5となるような量で用いられる。
[0416]
 また、このようなオレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常-50~+300℃、好ましくは0~170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧~9.8MPa(100kg/cm2)、好ましくは常圧~4.9MPa(50kg/cm2)の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。
[0417]
 得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する成分(A)(B)および(C)のいずれかの成分の選択、あるいは組み合わせの選択により調節することもできる。
[0418]
 重合に用いられるオレフィンとしては、エチレンおよび上述した炭素原子数3~20のα-オレフィンが挙げられる。これらのオレフィンは、エチレンを必須のモノマーとして、そのほかのモノマーを1種以上組み合わせて用いることができる。
[0419]
 本発明において、オレフィン系樹脂[R]は、次の重合方法[a]あるいは重合方法[b]いずれかの方法によって製造することができる。
[0420]
 ・重合方法[a]
 遷移金属化合物(B)と化合物(C)の存在下でエチレンを重合してビニル末端マクロモノマーを得る前工程[a-1]と、次いで、前工程[a-1]の反応生成物存在下、遷移金属化合物(A)と化合物(C)存在下で、エチレンと炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンを共重合する後工程[a-2]を含む方法。
[0421]
 ・重合方法[b]
 遷移金属化合物(A)、遷移金属化合物(B)、化合物(C)の存在下でエチレンと炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンを共重合する方法。
[0422]
 以下、重合方法[a]および重合方法[b]について、好ましい形態を説明する。
[0423]
 ・重合方法[a]
  前工程[a-1]
 遷移金属化合物(B)および化合物(C)からなるオレフィン重合用触媒により、主にエチレンを重合し、実質的にエチレン重合体であるビニル末端マクロモノマーを得る工程であり、重合方法は前述の範囲で特に制限は無い。液相重合の場合、得られる反応液をそのまま後工程に導入しても良いし、ビニル末端マクロモノマーを取り出した後、該ビニル末端マクロモノマーを塊のままあるいは紛体で後工程に導入しても良いし、スラリーや再溶解して後工程に導入しても良い。
[0424]
  後工程[a-2]
 遷移金属化合物(A)および化合物(C)存在下で、エチレンと炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンと前工程[a-1]で得たビニル末端マクロモノマーとを共重合する後工程を含む方法である。重合方法は前述の範囲で特に制限は無いが、非晶もしくは低結晶性のエチレン・α-オレフィン共重合体部位を生成させる工程であることから、液相重合法が好ましく、特に各モノマー濃度を制御し所望の構造のオレフィン系樹脂[R]を得るうえでは、溶液重合が好ましい。
[0425]
 重合反応は、前工程[a-1]を回分式で行い後工程[a-2]も回分式で行っても良いし、前工程[a-1]を回分式で行い、取り出したビニル末端マクロモノマーを導入することで後工程[a-2]を連続式で行っても良い。さらに前工程[a-1]を連続式で行い、生成物をそのまま導入することで後工程[a-2]も連続式で行うこともできる。また、前工程[a-1]を連続式で行い、後工程[a-2]も回分式で行うこともできる
 ・重合方法[b]
 遷移金属化合物(A)、遷移金属化合物(B)、化合物(C)の存在下で、エチレンと炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンを単段で重合する方法であり、一つの重合器で行うことができる。遷移金属化合物(B)、化合物(C)からなるオレフィン重合用触媒は、重合系中にエチレン以外のα-オレフィンが存在していても、エチレンを高選択的に重合する傾向がある。さらに、当該触媒は比較的分子量の小さな重合体を製造する傾向にあり、得られる重合体はビニル末端を有する。したがって、遷移金属化合物(B)、化合物(C)からなるオレフィン重合用触媒は実質エチレン重合体であるビニル末端マクロモノマーを生成することができる。
[0426]
 一方、遷移金属化合物(A)、化合物(C)からなるオレフィン重合用触媒は、分子量の大きな重合体を製造することができ、エチレン、α-オレフィン、さらに、遷移金属化合物(B)、化合物(C)からなるオレフィン重合用触媒を用いて得られたビニル末端マクロモノマーを共重合することができる。このようにして、一つの重合反応条件下で、オレフィン系樹脂[R]中にオレフィン系重合体[R1]を含むことができる。
[0427]
 本発明のオレフィン系樹脂[R]の製造方法において、重合方法[a]の後工程[a-2]および重合方法[b]の重合工程は、80~300℃の温度範囲において溶液重合法により実施されることが好ましい。
[0428]
 本発明に係る「溶液重合」とは、後述する不活性炭化水素溶媒中に重合体が溶解した状態で重合を行う方法の総称である。本発明に係る溶液重合の重合温度は通常80℃~300℃、好ましくは90℃~250℃である。溶液重合においては重合温度が80℃に満たない場合、ビニル末端マクロモノマーが十分に溶解しない恐れがあり、オレフィン系重合体[R1]を効率よく製造できない場合がある。さらに重合温度が80℃に満たない場合、その重合活性は極端に低下するので生産性の点でも実用的でない場合がある。また、80℃以上の重合温度領域では温度が高くなるに従い、重合時の溶液粘度が低下し、重合熱の除熱も容易となり、得られるオレフィン重合体の高分子量化が達成できる。しかし、重合温度が300℃を超えると、得られる重合体の劣化が起こる場合があるので好ましくない。重合圧力は、通常常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~8MPaゲージ圧の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。得られるオレフィン重合体の分子量は、本発明の範囲内において、重合系中の水素濃度や重合温度を変化させることによっても調節することができる。さらに、使用する化合物(C)の量により調節することもできる。水素を添加する場合、その量は生成するオレフィン重合体1kgあたり0.001~5,000NL程度が適当である。
[0429]
 本発明に係る溶液重合において用いられる溶媒は通常、不活性炭化水素溶媒であり、好ましくは常圧下における沸点が50~200℃の飽和炭化水素である。具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素が挙げられる。なおベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類やエチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素も不活性炭化水素溶媒の範疇に入り、その使用を制限するものではない。
[0430]
 [その他の成分]
 本発明のオレフィン系樹脂[R]は本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂、ゴム、無機充填剤などを配合することができ、また耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等、結晶核剤などの添加剤を配合することができる。本発明にかかるオレフィン系樹脂においては、前記他の樹脂、他のゴム、無機充填剤、添加剤等の添加量は本発明の目的を損なわない範囲であれば、特に限定されるものではないが、例えばオレフィン系樹脂[R]が全体のうちの5~100重量%、好ましくは25重量%~100重量%、より好ましくは50~100重量%、さらに好ましくは70~100重量%となるように含まれている態様を例示することができる。
[0431]
 [成形体]
 本発明のオレフィン系樹脂[R]は、上述のとおり、耐熱性およびベタつきが改善され、さらには光学特性や低温特性に優れ、これらの物性のバランスが向上したオレフィン系樹脂であるので、オレフィン系樹脂が用いられる様々な成形体に適用することができる。公知の各種成形方法により、各種成形体に成形して用いることができる。
実施例
[0432]
 以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[0433]
 (融解ピークTm・融解熱量ΔHの測定)
 融解ピークTm・融解熱量ΔHの測定は、以下の条件でDSC測定を行い求めた。
[0434]
 示差走査熱量計〔SII社 RDC220〕を用いて、約10mgの試料を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度50℃/minで200℃まで昇温し、その温度で10分間保持した。さらに降温速度10℃/minで30℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温した。この2度目の昇温の際に観測される吸熱ピークを融解ピーク(Tm)として求めた。また、融解熱量ΔHは前記融解解ピーク(Tm)の面積を算出し求めた。なお融解ピークが多峰性の場合は、全体の融解ピークの面積を算出し求めた。
[0435]
 (ガラス転移温度(Tg)の測定)
 ガラス転移温度(Tg)の測定は、以下の条件でDSC測定を行い求めた。
[0436]
 示差走査熱量計〔SII社 RDC220〕を用いて、約10mgの試料を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度50℃/minで200℃まで昇温し、その温度で10分間保持した。さらに降温速度10℃/minで-100℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温した。ガラス転移温度(Tg)は、2度目の昇温の際に、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラインが平行移動する形で感知される。この屈曲より低温のベースラインの接線と、屈曲した部分で傾きが最大となる点の接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
[0437]
 (CFCによるオルトジクロロベンゼン可溶成分の測定)
 20℃以下のオルトジクロロベンゼン可溶成分の割合E(wt%)は次の条件でCFC測定を行い求めた。装置:クロス分別クロマトグラフ CFC2(Polymer ChAR)、検出器(内蔵):赤外分光光度計 IR 4(Polymer ChAR)、検出波長:3.42μm(2,920cm-1);固定、試料濃度:120mg/30mL、注入量:0.5mL、降温時間: 1.0℃/min、溶出区分: 4.0℃間隔(-20℃~140℃)、GPCカラム:Shodex HT-806M×3本(昭和電工社)、GPCカラム温度:140℃、GPCカラム較正:単分散ポリスチレン(東ソー社)、分子量較正法:汎用較正法(ポリスチレン換算)、移動相:o-ジクロロベンゼン(BHT添加)、流量:1.0mL/min。
[0438]
 (パルスNMR測定)
 パルスNMR測定は次の条件で行った。装置:JEOL製JNM-MU25、測定手法:Carr Purecell Meiboom Gill法(CPMG法)、パルス幅:90℃pluse,2.0μs、繰り返し時間:4sec、積算回数:8回、測定温度:200℃。
[0439]
 (引張試験)
 弾性率はプレス成型(200℃x5min)した厚み3.0mmの試験片を、ASTM D638に準拠し測定した。
[0440]
 ( 13C-NMR測定)
 ポリマーのα-オレフィンの組成分析、マクロモノマーのメチル分岐数およびグラフト構造の確認を目的に次の条件で 13C-NMR測定を実施した。装置:ブルカーバイオスピン社製AVANCEIII500CryoProbe Prodigy型核磁気共鳴装置、測定核: 13C(125MHz)、測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅:45°(5.00μ秒)、ポイント数:64k、測定範囲:250ppm(-55~195ppm)、繰り返し時間:5.5秒、積算回数:512回、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/ベンゼン-d 6(4/1 v/v)、試料濃度:ca.60mg/0.6mL、測定温度:120℃、ウインドウ関数:exponential(BF:1.0Hz)、ケミカルシフト基準:ベンゼン-d 6(128.0ppm)。
[0441]
 (透過型電子顕微鏡観察)
 オレフィン系樹脂の相構造の観察は透過型電子顕微鏡を用いて以下の通り実施した。オレフィン系樹脂40g、酸化防止剤Irganox(40mg)を(東洋精機社製)に投入し、200℃、60rpmで5分間溶融混練し、ブレス加工によりシート状に成形した。得られた成形体を、透過型電子顕微鏡(日立製作所製H-7650)を用い前述の方法で相構造を観察した。
[0442]
 (GPC分析)
 ポリマーの分子量分析および残存マクロモノマー量の見積もりのために、次の条件でGPC分析を実施した。装置:Waters社製 Alliance GPC 2000型、カラム:TSKgel GMH6-HTx2 TSKgel GMH6-HTLx2(いずれも東ソー社製、内径7.5mmx長さ30cm)、カラム温度:140℃、移動相:オルトジクロロベンゼン(0.025%ジブチルヒドロキシトルエン含有)、検出器:示差屈折計、流量:1.0mL/min、試料濃度:0.15%(w/v)、注入量:0.5mL、サンプリング時間間隔:1秒、カラム校正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)。
[0443]
 (固体粘弾性測定)
 オレフィン系樹脂の耐熱性評価として、固体粘弾性測定を実施した。耐熱性の指標として、20℃の貯蔵弾性率(G’ 20℃)と80℃の貯蔵弾性率の比(G’ 20℃/G’ 80℃)を算出した。G’ 20℃/G’ 80℃の値が小さい場合、温度依存性が小さく耐熱性優れていると言え、G’ 20℃/G’ 80℃の値が大きい場合、温度依存性が大きく耐熱性劣ると言える。
[0444]
 固体粘弾性測定はプレス成型(200℃x5min)した試験片を次の条件により実施した。装置:TA instruments社製RSA-III、測定モード:引張モード(Auto tension, Auto strain制御)、測定温度:-100℃~150℃(測定可能なところまで)、昇温速度:3℃/min、測定周波数:1Hz、測定雰囲気:窒素。
[0445]
 (光線透過率)
 オレフィン系樹脂の光学特性の評価として、該樹脂シートの光線透過率の測定を下記の通り行った。まず厚み300μmのプレスシートサンプルを作成した。3cm×5cmのサイズに切断した前記プレスシートサンプルを、日立製作所社製の分光光度計(商品名「U-4100」)にφ60mmの積分球を取り付けたものを使用し、300~800nmの波長域における、上記のプレスシートサンプルの全光線透過率を測定した。
[0446]
 (粘着性試験)
 オレフィン系樹脂のべたつきの評価として、該樹脂シートの粘着性試験を下記の通り行った。剥離強度が大きいと、べたつきが大きく、剥離強度が小さいとべたつきの少ない樹脂と言える。まず、厚み0.1mmのプレスシートサンプルを作成し、2枚のプレスシートサンプルを重ね合わせ40℃で24時間、500Kgf/m2の荷重をかけ処理した。測定温度:23.0℃、試験速度:200.0mm/min、試験片幅:80.0mmでT型剥離試験を実施し、粘着力を測定した。なお、粘着力が著しく強く、剥離せず試料が伸びたり、チャッキング部で試料が破断したりした場合は剥離不可した。
[0447]
 (使用試薬)
 トルエンはGlassContour社製有機溶媒精製装置を用いて精製したものを用いた。メチルアルミノキサンは、東ソーファインケム社製の10wt%メチルアルミノキサン/ヘキサン溶液MMAO-3Aを用いた。トリイソブチルアルミは東ソー・ファインケム社製のものをトルエンで希釈(1.0M)して用いた。
[0448]
 (オレフィン系重合体[R1]の構造および組成比率)
 オレフィン系重合体[R1]の構造は、前述の方法で判定した。
[0449]
 オレフィン系重合体[R1]のオレフィン系樹脂[R]に占める組成比率は次式に基づき見積もった。
[0450]
 [R1](wt%)=100-MM-E [R]*(100/(E [主鎖]);
 [R1](wt%):オレフィン系重合体[R1]組成比率(wt%)、
 MM:GPCより測定される残存マクロモノマー割合 (wt%)、
 E [R]:オレフィン系樹脂[R]におけるCFCにより測定した20℃以下のオルトジクロロベンゼン可溶成分の割合(wt%)、
 E [主鎖]:前述の方法により合成したオレフィン系重合体[R1]の主鎖のみに対応するエチレン・α-オレフィン共重合体のCFCにより測定した20℃以下のオルトジクロロベンゼン可溶成分の割合(wt%)
 以下、実施例および比較例の重合について説明する。なお、分析および比較サンプルの合成のため、複数回実施していることがある。
[0451]
 [実施例1]
 <マクロモノマー(P-1)の合成(前工程[a-1])>
 触媒として使用した化合物(1)は国際特許公報WO2006/057229号の[合成例3]にしたがって合成し、マクロモノマーは同公報[実施例1]にしたがって合成した。生成物はポリエチレン換算でMw=1550、Mw/Mn=2.32、 1H-NMRで測定した片末端不飽和率=99.0mol%であった。
[0452]
[化22]


[0453]
 <グラフト共重合(後工程[b-1])>
 触媒として使用した化合物(2)は公知の方法によって合成した。
[0454]
 充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製反応器に、マクロモノマー(P-1)5.0gとキシレン500mlを装入したのち、100℃に昇温しマクロモノマーを溶解させた。そこにエチレン 100リットル/hrおよび1-ブテン 68リットル/hrを連続的に供給し液相および気相を飽和させた。引き続きエチレンおよび1-ブテンを連続的に供給した状態で、トリイソブチルアルミニウム(iBu 3Alとも記す)のデカン溶液(1.0mol/L)を1.6mL(1.6mmol)、前記化合物(2)のトルエン溶液(0.0020mol/L)を4.0mL(0.0080mmol)、ついでトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph 3CB(C 654とも記す)のトルエン溶液(4.0mmol/L)を2.5mL(0.010mmol)加え、常圧下、100℃で15分間重合を行った。重合の停止は少量のイソブタノールを添加することにより行った。得られた重合反応液を少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノール中に加え重合体を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、オレフィン系樹脂24.0gを得た。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表1に、オレフィン系重合体の分析結果を表6にそれぞれ示す。
[0455]
[化23]


[0456]
 [実施例2]
 実施例1においてマクロモノマー(P-1)の仕込み量を15.0gに変更した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂は33.5gであった。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表1に、オレフィン系重合体の分析結果を表6にそれぞれ示す。
[0457]
 [実施例3]
 <マクロモノマー(P-2)の合成(前工程[a-1])>
 触媒として使用した化合物(3)およびマクロモノマーは特開2013-220992号の[合成例2]にしたがって合成した。生成物はポリエチレン換算でMw=4770、Mw/Mn=2.25、 1H-NMRで測定した片末端不飽和率=97.0mol%であった。下記化合物(3)においてEtはエチル基を示す。
[0458]
[化24]


[0459]
 <グラフト共重合(後工程[b-1])>
 実施例1においてマクロモノマー(P-1)に変えてマクロモノマー(P-2)を使用した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂は24.5gであった。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表1に、オレフィン系重合体の分析結果を表6にそれぞれ示す。
[0460]
 [実施例4]
 実施例3においてマクロモノマー(P-2)の仕込み量を15.0gに変更した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂は34.4gであった。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表1に、オレフィン系重合体の分析結果を表6にそれぞれ示す。
[0461]
 [比較例1]
 実施例1においてマクロモノマーを加えずに重合した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂は19.6gであった。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表1に、オレフィン系重合体の分析結果を表6にそれぞれ示す。
[0462]
 [比較例2]
 充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製反応器に、マクロモノマー(P-1)5.0gと比較例1で得られた重合体19.6gとキシレン500mlを装入したのち、100℃に昇温しマクロモノマーおよび比較例1で得られた重合体を溶解させた。得られたポリマー溶液を1.5リットルのメタノール中に加え重合体を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、オレフィン系樹脂24.6gを得た。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表1に、オレフィン系重合体の分析結果を表6にそれぞれ示す。
[0463]
 [比較例3]
 比較例2においてマクロモノマー(P-1)に変えてマクロモノマー(P-2)を使用した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂は24.6gであった。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表1に、オレフィン系重合体の分析結果を表6にそれぞれ示す。
[0464]
 [実施例5]
 <グラフト共重合(後工程[b-1])>
 充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製反応器に、マクロモノマー(P-1)5.0gとキシレン500mlを装入したのち、100℃に昇温しマクロモノマーを溶解させた。その後、85℃まで降温しそこにエチレン100リットル/hrおよび1-ブテン68リットル/hrを連続的に供給し液相および気相を飽和させた。引き続きエチレンおよび1-ブテンを連続的に供給した状態で、トリイソブチルアルミニウム(iBu 3Alとも記す)のデカン溶液(1.0mol/L)を1.6mL(1.6mmol)、前記化合物(2)のトルエン溶液(0.0020mol/L)を1.0mL(0.0020mmol)、ついでトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph 3CB(C 654とも記す)のトルエン溶液(4.0mmol/L)を1.25mL(0.005mmol)加え、常圧下、85℃で15分間重合を行った。重合の停止は少量のイソブタノールを添加することにより行った。得られた重合反応液を少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノール中に加え重合体を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、オレフィン系樹脂18.7gを得た。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表2に、オレフィン系重合体の分析結果を表7にそれぞれ示す。
[0465]
 [実施例6]
 実施例5においてマクロモノマー(P-1)に変えてマクロモノマー(P-2)を使用した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂は18.2gであった。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表2に、オレフィン系重合体の分析結果を表7にそれぞれ示す。
[0466]
 [比較例4]
 実施例4においてマクロモノマーを加えずに重合した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表2に、オレフィン系重合体の分析結果を表7にそれぞれ示す。
[0467]
 [実施例7]
 実施例1においてマクロモノマー(P-1)の仕込み量を5.0gに変更した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂は26.5gであった。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表2に、オレフィン系重合体の分析結果を表7にそれぞれ示す。
[0468]
 また、透過型電子顕微鏡で観察された相構造(倍率4000倍)を図1に示す。また、 13C-NMRスペクトルを図3および図4に示す(図4は33~44ppmの拡大図、図3の上段はDEPT135)。該 13C-NMRスペクトルの38ppm付近をさらに拡大したスペクトルを図7の上段に示す。
[0469]
 [比較例5]
 実施例4においてマクロモノマーを加えずに重合した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂は21.4gであった。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表2に、オレフィン系重合体の分析結果を表7にそれぞれ示す。
[0470]
 [比較例6]
 充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製反応器に、マクロモノマー(P-1)5.0gと比較例5で得られた重合体21.4gとキシレン500mlを装入したのち、100℃に昇温しマクロモノマーおよび比較例1で得られた重合体を溶解させた。得られたポリマー溶液を1.5リットルのメタノール中に加え重合体を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、オレフィン系樹脂26.4gを得た。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表2に、オレフィン系重合体の分析結果を表7にそれぞれ示す。
[0471]
 また、透過型電子顕微鏡で観察された相構造(倍率4000倍)を図2に示す。また 13C-NMRスペクトルを図5および図6(図6は33~44ppmの拡大図)に示す。
[0472]
 [実施例8]
 <グラフト共重合(後工程[b-1])>
 充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製反応器に、マクロモノマー(P-2)6.0gとキシレン500mlを装入したのち、100℃に昇温しマクロモノマーを溶解させた。そこにエチレン100リットル/hrおよびプロピレン50リットル/hrを連続的に供給し液相および気相を飽和させた。引き続きエチレンおよびプロピレンを連続的に供給した状態で、メチルアルミノキサン(MMAOとも記す)のデカン溶液を2.72mL(アルミニウム原子換算4.0mmol)、前記化合物(2)のトルエン溶液(0.0020mol/L)を4.0mL(0.0080mmol)加え、常圧下、100℃で15分間重合を行った。重合の停止は少量のイソブタノールを添加することにより行った。得られた重合反応液を少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノール中に加え重合体を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、オレフィン系樹脂32.0gを得た。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表3に、オレフィン系重合体の分析結果を表8にそれぞれ示す。
[0473]
 [比較例7]
 実施例8においてマクロモノマーを加えずに重合した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂は27.9gであった。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表3に、オレフィン系重合体の分析結果を表8にそれぞれ示す。
[0474]
 [実施例9]
 実施例8において、マクロモノマー(P-2)の仕込み量を5.0gに変更し、プロピレンの供給量を15リットル/hrに変更した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂は25.5gであった。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表3に、オレフィン系重合体の分析結果を表8にそれぞれ示す。
[0475]
 [比較例8]
 実施例9においてマクロモノマーを加えずに重合した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂は20.4gであった。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表3に、オレフィン系重合体の分析結果を表8にそれぞれ示す。
[0476]
 [実施例10]
 触媒として使用した化合物(4)は公知の方法によって合成した。
[0477]
 充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、窒素流通下でマクロモノマー(P-1)5.0gとヘプタン500mLと1-オクテン10mLおよびトリイソブチルアルミニウム(iBu 3Alとも記す)のデカン溶液(1.0mol/L)を0.5mL(0.5mmol)、を装入した。その後オートクレープを閉鎖し、120℃に昇温し30分間維持した。次にエチレン分圧を0.3MPaに昇圧し、引き続き120℃を維持した。そこに前記化合物(4)のトルエン溶液(0.00010mol/L)を3.6mL(0.00036mmol)圧入し、ついでトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph 3CB(C 654とも記す)のトルエン溶液(4.0mmol/L)を1.25mL(0.005mmol)圧入し、重合を開始した。エチレンガスを連続的に供給しながら圧力を保ち、120℃で60分間重合を行った後、5mLのメタノールを圧入することにより重合を停止した。得られた重合反応液は少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノール(750mL)とアセトン(750mL)の混合液中に加え重合体を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、オレフィン系樹脂10.4gを得た。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表3に、オレフィン系重合体の分析結果を表8にそれぞれ示す。
[0478]
 また、 13C-NMRスペクトルの38ppm付近の拡大スペクトルを図7の中段に示す。
[0479]
[化25]


[0480]
 [比較例9]
 実施例10において、化合物(4)の装入量を0.00025mmolとし、マクロモノマーを加えずに重合した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表3に、オレフィン系重合体の分析結果を表8にそれぞれ示す。
[0481]
 また、 13C-NMRスペクトルの38ppm付近の拡大スペクトルを図7の下段に示す。
[0482]
 [実施例11]
 触媒として使用した化合物(5)は公知の方法によって合成した。
[0483]
 圧力制御バルブを備えた内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタンを1048mL/hr、オクテンを66mL/hr、化合物(5)とトリイソブチルアルミニウム(iBu 3Alとも記す)を混合したトルエン溶液(化合物(5):0.025mmol/L、iBu 3Al:2.5mmol/L)を112mL/hr、トリイソブチルアルミニウム(iBu 3Alとも記す)のヘプタン溶液(12.5mmol/L)を34mL/hr、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph 3CB(C 654とも記す)のトルエン溶液(0.1mmol/L)を122mL/hr、化合物(1)のトルエン溶液(0.01mmol/L)を28mL/hr、エチレンを300g/L、水素を12mL/h(42秒間隔の間欠装入)でそれぞれ連続的に装入し、圧力制御バルブは0.74MPaに設定し、重合器内部の温度を110℃に保ちながら、重合器内の液量が700mLになるよう連続的に重合反応液を抜き出した。上記全ての溶媒、モノマーおよび触媒等の装入を開始してから2時間後、重合反応液を30分間採取した。得られた重合反応液を少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノール(750mL)とアセトン(750mL)の混合液中に加え重合体を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、オレフィン系樹脂29.8gを得た。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表4に、オレフィン系重合体の分析結果を表9にそれぞれ示す。
[0484]
[化26]


[0485]
 [実施例12]
 実施例11において、化合物(1)のトルエン溶液の流量を56mL/hrとし、全液流量を実施例11と同じにするためヘプタンの流量を1020mL/hrに調整した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂は34.5gであった。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表4に、オレフィン系重合体の分析結果を表9にそれぞれ示す。
[0486]
 [比較例10]
 実施例11において、化合物(1)のトルエン溶液の装入を省き、全液流量を実施例11と同じにするためヘプタンの流量を1076mL/hrに調整した以外は同様に実施した。得られたオレフィン系樹脂は21.9gであった。得られたオレフィン系樹脂の分析結果を表4に、オレフィン系重合体の分析結果を表9にそれぞれ示す。
[0487]
 [比較例11]
 ダウケミカル社製、オレフィンブロックコポリマー、商品名「INFUSE9007」の分析結果を表5に示す。
[0488]
 [比較例12]
 ダウケミカル社製、オレフィンブロックコポリマー、商品名「INFUSE9100」の分析結果を表5に示す。
[0489]
 表6~9に示した比較例1~10の重合体の分析結果は、エチレン・α-オレフィン共重合体、あるいはエチレン・α-オレフィン共重合体と混合したエチレン重合体を示すものであり、当該比較例で得られた樹脂はオレフィン系重合体[R1]を含まない。なお、表6~7に示した比較例2~3および比較例6の「側鎖:エチレン重合体ユニット」に括弧書きで記載の数値は、混合したエチレン重合体の分析結果である。
[0490]
[表1]


[0491]
[表2]


[0492]
[表3]


[0493]
[表4]


[0494]
[表5]


[0495]
[表6]


[0496]
[表7]


[0497]
[表8]


[0498]
[表9]


[0499]
 上記、実施例と比較例の対比について、以下詳細に説明する。
[0500]
 (実施例1~4と比較例1の対比)
 比較例1は実施例1~4に含まれるオレフィン系重合体の主鎖ユニットと同等のエチレン・α-オレフィン共重合体である。実施例1~4はオレフィン系重合体[R1]を相当量含むことで、本発明の要件を満たしているが、比較例1は融解ピークTm、および融解熱量ΔH、20℃以下の溶出成分量Eについて本発明の要件を満たさない。そのため実施例1~4は比較例1と比較して、耐熱性に優れべたつきの少ないことが、固体粘弾性試験と粘着性試験においてそれぞれ分かる。
[0501]
 (実施例1と比較例2の対比)
 比較例2は実施例1に含まれるエチレン・α-オレフィン共重合体成分とエチレン重合体成分を同じ重量比で混合したものである。実施例1はオレフィン系重合体[R1]を相当量含むことで、本発明の要件を満たしているが、比較例2は20℃以下の溶出成分量Eについて本発明の要件を満たさない。そのため実施例1は比較例2と比較して、耐熱性に優れ、べたつきが少なく、光線透過性に優れることが、固体粘弾性試験、粘着性試験、光線透過率測定においてそれぞれ分かる。
[0502]
 (実施例3と比較例3の対比)
 比較例3は実施例3に含まれるエチレン・α-オレフィン共重合体成分とエチレン重合体成分を同じ重量比で混合したものである。実施例3はオレフィン系重合体[R1]を相当量含むことで、本発明の要件を満たしているが、比較例3は20℃以下の溶出成分量Eについて本発明の要件を満たさない。そのため実施例3は比較例3と比較して、耐熱性に優れべたつきの少なく、光線透過性に優れることが、固体粘弾性試験、粘着性試験、光線透過率測定においてそれぞれ分かる。
[0503]
 (実施例5~6と比較例4の対比)
 比較例4は実施例5~6に含まれるオレフィン系重合体[R1]の主鎖ユニットと同等のエチレン・α-オレフィン共重合体である。実施例5~6はオレフィン系重合体[R1]を相当量含むことで、本発明の要件を満たしているが、比較例4は融解ピークTm、および融解熱量ΔH、20℃以下の溶出成分量Eについて本発明の要件を満たさない。そのため実施例5~6は比較例4と比較して、べたつきの少ないことが粘着性試験において分かる。
[0504]
 (実施例7と比較例5の対比)
 比較例5は実施例7に含まれるオレフィン系重合体[R1]の主鎖ユニットと同等のエチレン・α-オレフィン共重合体である。実施例7はオレフィン系重合体[R1]を相当量含むことで、本発明の要件を満たしているが、比較例5は融解ピークTm、および融解熱量ΔH、20℃以下の溶出成分量Eについて本発明の要件を満たさない。そのため実施例7は比較例5と比較して、べたつきの少ないことが粘着性試験において分かる。
[0505]
 (実施例7と比較例6の対比)
 比較例6は実施例7に含まれるエチレン・α-オレフィン共重合体成分とエチレン重合体成分を同じ重量比で混合したものである。実施例7はオレフィン系重合体[R1]を相当量含むことで、本発明の要件を満たしているが、比較例3は20℃以下の溶出成分量Eについて本発明の要件を満たさない。そのため実施例7は比較例6と比較して、べたつきが少なく、光線透過性に優れることが、粘着性試験、光線透過率測定においてそれぞれ分かる。
[0506]
 また、図2に示される比較例6の相構造は結晶性成分を示すラメラ構造が視野全体に広がり連続相となっているのに対し、図1に示される実施例7の相構造は結晶性成分を示す相がマイクロメートルオーダーの非連続相となっていることが分かる。これは、実施例7はオレフィン系重合体[R1]を相当量含んでいるため、エチレン・α-オレフィン共重合体成分からなる非晶もしくは低結晶成分とエチレン重合体成分からなる結晶性成分の相溶効果が高く、上記のようなミクロ相分離構造が形成されるからと考えられる。
[0507]
 また、図3、図4および図7上段に示すように、実施例7の 13C-NMRスペクトルにおいて、1-ブテンの挿入に由来するメチン炭素に帰属されるシグナル(39.41ppm)とは別に、マクロモノマーの挿入に由来するメチン炭素に帰属されるシグナル(37.94ppm)が観測される。一方、図5および図6に示すように比較例6の 13C-NMRスペクトルにおいては、1-ブテンの挿入に由来するメチン炭素に帰属されるシグナルは観察されるが、マクロモノマーの挿入に由来するメチン炭素に帰属されるシグナルは観測されない。このことから、マクロモノマー存在下でエチレンおよび1-ブテンを共重合することで、エチレン重合体ユニットを側鎖に持つグラフト型重合体が相当量生成していることを確認できる。
[0508]
 (実施例8と比較例7の対比)
 比較例7は実施例8に含まれるオレフィン系重合体[R1]の主鎖ユニットと同等のエチレン・α-オレフィン共重合体である。実施例8はオレフィン系重合体[R1]を相当量含むことで、本発明の要件を満たしているが、比較例7は融解ピークTm、および20℃以下の溶出成分量Eについて本発明の要件を満たさない。そのため実施例8は比較例7と比較して、べたつきの少ないことが粘着性試験において分かる。
[0509]
 (実施例9と比較例8の対比)
 比較例8は実施例9に含まれるオレフィン系重合体[R1]の主鎖ユニットと同等のエチレン・α-オレフィン共重合体である。実施例9はオレフィン系重合体[R1]を相当量含むことで、本発明の要件を満たしているが、比較例8は融解ピークTm、および20℃以下の溶出成分量Eについて本発明の要件を満たさない。そのため実施例9は比較例8と比較して、べたつきの少ないことが粘着性試験において分かる。
[0510]
 (実施例10と比較例9の対比)
 比較例9は実施例10に含まれるオレフィン系重合体[R1]の主鎖ユニットと同等のエチレン・α-オレフィン共重合体である。実施例10はオレフィン系重合体[R1]を相当量含むことで、本発明の要件を満たしているが、比較例9は融解ピークTm、および融解熱量ΔH、20℃以下の溶出成分量Eについて本発明の要件を満たさない。そのため実施例10は比較例9と比較して、べたつきの少ないことが粘着性試験において分かる。
[0511]
 また、図7中段に示すように、実施例10の 13C-NMRスペクトルにおいて、1-オクテンの挿入に由来するメチン炭素に帰属されるシグナル(37.97ppm)とは別に、マクロモノマーの挿入に由来するメチン炭素に帰属されるシグナル(37.95ppm)が観測される(矢印で印したシグナル)。一方、図7下段に示すように比較例9の 13C-NMRスペクトルにおいては、1-ブテンの挿入に由来するメチン炭素に帰属されるシグナルは観察されるが、マクロモノマーの挿入に由来するメチン炭素に帰属されるシグナルは観測されない。このことから、マクロモノマー存在下でエチレンおよび1-オクテンを共重合することで、エチレン重合体ユニットを側鎖に持つグラフト型重合体が相当量生成していることを確認できる。
[0512]
 (実施例11~12と比較例10の対比)
 比較例10は実施例11~12において、マクロモノマーを生成する触媒成分を挿入せずに実施している。製造条件およびそれぞれのガラス転移温度は同等程度であることを鑑みると、比較例10は実施例11~12に含まれるオレフィン系重合体[R1]の主鎖ユニットと同等のエチレン・α-オレフィン共重合体であると推察される。実施例11~12はオレフィン系重合体[R1]を相当量含むことで、本発明の要件を満たしているが、比較例10は融解ピークTm、および融解熱量ΔH、20℃以下の溶出成分量Eについて本発明の要件を満たさない。そのため実施例11~12は比較例10と比較して、べたつきの少ないことが粘着性試験において分かる。
[0513]
 (実施例1~12と比較例11の対比)
 比較例11は、エチレン重合体鎖とエチレン・1-オクテン共重合体鎖のマルチブロック構造の重合体を含む樹脂であることが知られている。実施例11~12はオレフィン系重合体[R1]を相当量含むことで、本発明の要件を満たしているが、比較例11は前述のパルスNMRにおける自由誘導減衰曲線を4成分近似した場合のもっとも運動性の高い成分のスピンスピン緩和時間(T2)および該成分の存在比が本発明の要件を満たさない。そのため実施例1~12は比較例11と比較して、べたつきの少ないことが粘着性試験において分かる。また、実施例1~12は比較例11と比較して光線透過性も同等以上であることが光線透過率測定において分かる。
[0514]
 (実施例1~12と比較例12の対比)
 比較例12は、エチレン重合体鎖とエチレン・1-オクテン共重合体鎖のマルチブロック構造の重合体を含む樹脂であることが知られている。実施例11~12はオレフィン系重合体[R1]を相当量含むことで、本発明の要件を満たしているが、比較例11は前述のパルスNMRにおける自由誘導減衰曲線を4成分近似した場合のもっとも運動性の高い成分のスピンスピン緩和時間(T2)および該成分の存在比が本発明の要件を満たさない。そのため実施例1~12は比較例11と比較して、光線透過性に優れていることが光線透過率測定において分かる。またべたつきの少なさについても同等、あるいは上回っているが粘着性試験において分かる。

請求の範囲

[請求項1]
 下記要件(I)~(V)を満たすオレフィン系樹脂。
 (I)60℃~130℃の範囲に示差走査熱量分析(DSC)により測定される融解ピーク(Tm)を示し、該融解ピークにおける融解熱量ΔHが5~150J/gの範囲にある。
 (II)クロス分別クロマトグラフ(CFC)により測定した20℃以下のオルトジクロロベンゼン可溶成分の割合E(wt%)と上記(I)における融解熱量ΔHが以下の関係を満たす。
 ・ΔHが5J/g以上、15J/g未満の場合、Eが45wt%以下
 ・ΔHが15J/g以上、30J/g未満の場合、Eが40wt%以下
 ・ΔHが30J/g以上の場合、Eが30wt%以下
 (III)示差走査熱量分析(DSC)により測定したガラス転移温度(Tg)が-80~-30℃の範囲にある。
 (IV)200℃でのパルス核磁気共鳴測定(パルスNMR)において、Carr Purcell Meiboom Gill法で得られた自由誘導減衰曲線を、ローレンツ関数にて4成分近似した場合のもっとも運動性の高い成分のスピンスピン緩和時間(T2)が150~500msの範囲にあって、該成分の存在比が15~50%の範囲にある。
 (V)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1~12dl/gの範囲にある。
[請求項2]
 ASTM D638に準拠した引張弾性率が2~120MPaの範囲にある請求項1に記載のオレフィン系樹脂。
[請求項3]
 下記要件を満たす主鎖高分子および側鎖高分子から構成されるオレフィン系重合体(R1)。
 (i)主鎖が、エチレンと、炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位からなり、前記α-オレフィンから導かれる単位が主鎖中5~40mol%の範囲である。
 (ii)主鎖の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5~5dl/gの範囲にある。
 (iii)側鎖が、エチレン、および必要に応じて炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位からなり、前記エチレンから導かれる単位が側鎖中95~100mol%の範囲である。
 (iv)側鎖の重量平均分子量が、500~10000の範囲である。
 (v)側鎖が、主鎖炭素原子1000個あたり0.5~20の本数で主鎖に結合している。
[請求項4]
 下記(A)~(C)の各成分を含むオレフィン重合用触媒の存在下、エチレンと、炭素原子数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンを共重合する工程を含む請求項1または2に記載のオレフィン系樹脂の製造方法。
 (A)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物;
 (B)下記一般式[B0],[B1],[B2]から選ばれる少なくとも1つの遷移金属化合物;
 (C)(C-1)有機金属化合物、(C-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(C-3)遷移金属化合物(A)または遷移金属化合物(B)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
[化1]


(一般式[B0]中、Mは周期表第4または5族の遷移金属原子を示し、mは1~4の整数を示し、R 1は、炭素原子数1~20の非環式炭化水素基(C n'2n'+1,n’=1~20)または水素原子を示し、R 2~R 6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、mが2以上の場合にはR 2~R 6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよく、また、Xで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
[化2]


(一般式[B1]中、Mは周期律表第4~5族の遷移金属を示し、mは1~4の整数を示し、R 1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい3~10員環の脂環式炭化水素基を示し、R 2~R 6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、mが2以上の場合にはR 2~R 6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
[化3]


(一般式[B2]中、Mは周期律表第4~5族の遷移金属を示し、mは1~4の整数を示し、R 1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい炭素原子数4~20の少なくとも1つ以上の炭素を共有する2環性脂肪族炭化水素基であり、R 2~R 6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、mが2以上の場合にはR 2~R 6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
[請求項5]
 前記遷移金属化合物(A)が下記一般式(I)で表される架橋メタロセン化合物である請求項4に記載のオレフィン系樹脂の製造方法。
[化4]


(式(I)中、R 1、R 2、R 3、R 4、R 5、R 8、R 9およびR 12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、R 1~R 4のうち隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
6およびR 11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R 7およびR 10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R 6およびR 7は互いに結合して環を形成していてもよく、R 10およびR 11は互いに結合して環を形成していてもよく;ただし、R 6、R 7、R 10およびR 11が全て水素原子であることはない。
13およびR 14はそれぞれ独立にアリール基を示す。
Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を示す。
1は炭素原子またはケイ素原子を示す。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素数4~10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1~4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
[請求項6]
 前記共重合する工程が、80~300℃の温度範囲における溶液重合法による、請求項4または5に記載のオレフィン系樹脂の製造方法。
[請求項7]
 請求項1または2に記載のオレフィン系樹脂から得られる成形体。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]