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1. (WO2015147127) プラズマ溶射装置
Document

明 細 書

発明の名称 プラズマ溶射装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054  

符号の説明

0055  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : プラズマ溶射装置

技術分野

[0001]
 本発明は、主陽極を備える主トーチ及び副陰極を備える副トーチを有し、主陽極と副陰極との間に形成されるプラズマアークにより溶融された溶射材料を基材に吹き付けて皮膜を形成するプラズマ溶射装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、主陽極を備える主トーチ及び副陰極を備える副トーチを有するプラズマ溶射装置において、主トーチの主陽極の中心軸の先端中央に材料吐出孔を設け、材料吐出孔から主電極の中心軸に沿うように溶射材料を供給し、溶射材料を効率よく溶融させて基材に吹き付け、気孔が少ない緻密な溶射材料の膜を形成することができるプラズマ溶射装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特許第3733461号公報
特許文献2 : 特開2010-110669号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 上記のようなプラズマ溶射装置は、主トーチの電極を陽極とすることにより、高温になるプラズマアークの始点をなす陰極が副トーチ側となるので、主電極側への溶射材料の付着が抑えられるため、主電極に材料吐出孔を設けることが可能である。すなわち、以前は主電極への溶射材料の付着を避けるために、プラズマアークが形成される主電極の中心軸に対して傾斜する方向から溶射材料を供給していたが、主電極の中心軸に沿うように溶射材料を供給することができる。これにより、溶射材料がプラズマ炎の中心に供給されやすくなり、プラズマ炎の高温部に溶射材料をより確実に至らせるとともに周辺への飛散を抑えることが可能となった。すなわち、溶射材料をプラズマ炎の高温部に安定して供給することができるのである。そして、発明者はプラズマ炎の高温部に安定して溶射材料を供給できることにより、これまでパラメータとして扱うことができなかった溶射材料の供給条件をパラメータとして皮膜の特性を制御できると考えた。
 そこで本発明は、溶射材料の供給条件を異ならせて皮膜を形成することが可能なプラズマ溶射装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0005]
 前記目的を達成するために本発明のプラズマ溶射装置は、中心軸に沿って溶射材料を、当該溶射材料を送給するための材料供給ガスと共に送入する材料送入管を有する主陽極を備え、前記中心軸に沿って主プラズマガスを導入する主トーチと、中心軸が前記主陽極の前記中心軸と交差する副陰極を備える副トーチと、を有し、前記主陽極と前記副陰極との間に形成されるプラズマアークと、前記主陽極の前記中心軸に沿うように導入される前記主プラズマガスと、前記副陰極の前記中心軸に沿い前記主陽極の前記中心軸に向かうように導入される前記副プラズマガスと、により前記主陽極の前記中心軸に沿うように形成されるプラズマ炎に、前記材料送入管から前記材料供給ガスと共に前記溶射材料が送入されて前記溶射材料が溶融され基材に吹き付けられて前記溶射材料の皮膜を形成するプラズマ溶射装置において、前記材料供給ガスの供給量を制御する供給量制御部を備えることを特徴とするプラズマ溶射装置である。
[0006]
 このようなプラズマ溶射装置によれば、溶射材料を主陽極の中心軸に沿うように吹き付けて基材に皮膜を形成する材料供給ガスの供給量を制御する供給量制御部を備えているので、材料供給ガスの供給量を制御することにより基材上に到達する際の溶射材料の供給条件としての材料供給ガスの供給量を異ならせて皮膜を形成することが可能である。
[0007]
 かかるプラズマ溶射装置であって、前記供給量制御部は、形成される前記皮膜の特性を変えるべく前記材料供給ガスの供給量を制御することが望ましい。
 このようなプラズマ溶射装置によれば、供給量制御部により材料供給ガスの供給量を制御して互いに特性の異なる皮膜を形成することが可能である。
 かかるプラズマ溶射装置であって、前記供給量制御部は、前記材料供給ガスの供給量を前記溶射材料の供給量とは独立に制御することが望ましい。
[0008]
 また、前記皮膜の前記特性は、形成される前記皮膜の厚みであることが望ましい。
 このようなプラズマ溶射装置によれば、供給量制御部により材料供給ガスの供給量を制御して互いに異なる厚みの皮膜を形成することが可能である。
[0009]
 かかるプラズマ溶射装置であって、前記皮膜の前記厚みを厚くするときほど、前記供給量制御部の制御により前記材料供給ガスの供給量を少なくすることが望ましい。
 このようなプラズマ溶射装置によれば、供給量制御部により材料供給ガスの供給量を少なくすることにより、より厚い皮膜を形成することが可能であり、材料供給ガスの供給量を大きくすることにより、より薄い皮膜を形成することが可能である。
[0010]
 かかるプラズマ溶射装置であって、前記皮膜の前記特性は、形成される前記皮膜の硬度としてもよい。
 このようなプラズマ溶射装置によれば、供給量制御部により材料供給ガスの供給量を制御して互いに異なる硬度の皮膜を形成することが可能である。
[0011]
 かかるプラズマ溶射装置であって、前記皮膜の前記硬度を高くするときほど、前記供給量制御部の制御により前記材料供給ガスの供給量を少なくすることが望ましい。
 このようなプラズマ溶射装置によれば、供給量制御部により材料供給ガスの供給量を少なくすることにより、より硬度が高い皮膜を形成することが可能であり、材料供給ガスの供給量を多くすることにより、より硬度が低い皮膜を形成することが可能である。
[0012]
 かかるプラズマ溶射装置であって、前記皮膜の前記特性と前記材料供給ガスの供給量とを対応付けた特性データベースを生成し、前記供給量制御部は、形成すべき前記皮膜の前記特性と前記特性データベースとに基づいて前記材料供給ガスの供給量を制御することが望ましい。
 このようなプラズマ溶射装置によれば、供給量制御部は、形成すべき皮膜の特性と予め生成した特性データベースとに基づいて、材料供給ガスの供給量を制御するので、皮膜の特性の制御が容易である。
[0013]
 かかるプラズマ溶射装置であって、前記供給量制御部は、前記基材に吹き付けられる前記溶射材料の粒子速度と粒子温度との少なくともいずれか一方を観測し、観測結果と形成すべき前記皮膜の前記特性とに基づいて前記材料供給ガスの供給量を制御することが望ましい。
 このようなプラズマ溶射装置によれば、基材に吹き付けられる溶射材料の粒子速度と粒子温度との少なくともいずれか一方を観測した観測結果に基づいて材料供給ガスの供給量を制御するので、より正確な制御が可能であり所望の特性を備えた皮膜を形成することが可能である。

発明の効果

[0014]
 本発明によれば、溶射材料の供給条件を変更して皮膜を形成することが可能なプラズマ溶射装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 本発明の一実施形態として説明する、複合トーチ型プラズマ溶射装置100の概略構成を示す図である。
[図2] 図1のおけるA-A断面図である。
[図3] 本発明の他の一実施形態として説明する、ツインカソード型プラズマ溶射装置101の概略構成を示す図である。
[図4] 材料供給ガス20の供給量Qfを違えて測定した粒子速度の一例を示す画像である。
[図5] 材料供給ガス20の供給量Qfを変えたときの、溶射材料20aの粒子速度を測定した結果を示すグラフである。
[図6] 材料供給ガス20の供給量Qfを1.0l/minと10.0l/minとに異ならせて形成した皮膜24を示す断面図である。
[図7] 材料供給ガス20の供給量Qfと形成される皮膜24の硬度との関係を示すグラフである。
[図8] 一体型プラズマ溶射装置102の概略構成を示す図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、本発明に本発明に係るプラズマ溶射装置の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
[0017]
 まず、本発明のプラズマ溶射装置として、主トーチと副トーチとを備える複合トーチ型プラズマ溶射装置について説明する。本実施の形態の、主トーチと副トーチとを備える複合トーチ型プラズマ溶射装置は、主トーチに主陽極(アノード)を備え、副トーチに副陰極(カソード)を備えた複合トーチ型プラズマ溶射装置である。図1に、本発明の一実施形態として説明する複合トーチ型プラズマ溶射装置100の概略構成を示す。
[0018]
 主トーチ1は、主陽極3と、該主陽極3を囲む主外套4と、主陽極3と主外套4とを絶縁する絶縁体27などを備え、主外套4と、絶縁体27によって同心に保持されている。
 主陽極3は、電気伝導率に優れた材料、例えば、銅などの金属により形成されている。主陽極3は、中心軸C1の先端中央に溶射材料吐出孔19aを有する材料送入管19を備えている。材料送入管19には、溶射材料20aを含む材料供給ガス20を送入する自動材料供給装置30が接続されており、自動材料供給装置30は供給量制御部としての制御装置31により制御可能である。
[0019]
 主外套4は、先端部の開口部(ノズル部)4aと、該開口部4aと絶縁体27との間に設けられたテーパー部4bとを備えている。
[0020]
 絶縁体27は、主プラズマガス6を導入する主プラズマガス導入口5と、導入した主プラズマガス6の旋回流形成部50を有している。主プラズマガス6は、図2に示すように、ガス環状室51へ導入され、4個の旋回流形成孔52を通って、絶縁体27の内壁53(内壁53と主陽極3との間の空間)を旋回するようにして主外套4の開口部4aに向かって流れる。なお、上記旋回流形成孔52は、1個配置されていても、複数個配置されていてもよく、複数個配置されている場合には、中心軸C1を中心に均等に配置されていることが好ましい。
[0021]
 図1に示すように、主電源7の正端子は主陽極3に接続され、主電源7の負端子はスイッチ8を介して主外套4に接続される。
[0022]
 副トーチ2は、副陰極(副トーチ起動電極)10と、該副陰極10を囲む副外套11と、副陰極10と副外套11とを絶縁する絶縁体28などを備え、副トーチ2の中心軸C2、すなわち副陰極10の中心軸C2は、主トーチ1の中心軸C1、すなわち主陽極3の中心軸C1と、主陽極3と副陰極10との前方でほぼ直角に交差するように配置されている。
 副陰極10は、融点が高い材料、例えば、タングステンなどの材料により形成されている。副陰極10は、副外套11と、絶縁体28によって同心に保持されている。
[0023]
 副外套11は、先端部に孔11aを備えている。絶縁体28は、副プラズマガス13を導入する副プラズマガス導入口12と、主トーチ1の絶縁体27と同様の旋回流形成部50を有している。
[0024]
 副電源14の正端子は、副外套11に接続され、副電源14の負端子は、スイッチ15を介して副陰極10に接続され、また、スイッチ9を介して主電源7の負端子に接続される。
[0025]
 次に、複合トーチ型プラズマ溶射装置100を用いて、溶射材料20aをプラズマ溶射する方法について説明する。ここで、溶射材料20aとは、例えば、金属等の導電性材料、セラミックス等の絶縁性材料などを示している。
 アルゴン、ヘリウムなどのプラズマ化が可能な不活性ガスを主プラズマガス6として、主プラズマガス導入口5から主トーチ1内に導入し、主プラズマガス6の旋回流を形成させる。また、スイッチ9を開き、スイッチ8を閉じた状態で、主電源7により主陽極3と主外套4との間に高周波電圧を印加する。その結果、主陽極3の先端から主外套4の開口部4aの方に向かう主プラズマアーク16が形成され、これにより主プラズマガス6が加熱され、プラズマとなって主外套4の開口部4aから放出される。
[0026]
 加えて、アルゴン、ヘリウムなどのプラズマ化が可能な不活性ガスを副プラズマガス13として、副プラズマガス導入口12から副トーチ2内に導入し、副プラズマガス13の旋回流を形成させる。また、スイッチ15を閉じた状態で、副電源14により副陰極10と副外套11との間に高周波電圧を印加する。その結果、副陰極10の先端10aから副外套11の孔11aの方に向かう副プラズマアーク17が形成され、これにより副プラズマガス13が加熱され、プラズマとなって副外套11の孔11aから放出される。
[0027]
 主陽極3の中心軸C1と副陰極10の中心軸C2は、主陽極3と副陰極10の前方において、主トーチ1及び副トーチ2の外部で交差するため、スイッチ9を閉じ、スイッチ8,15を開くと、副陰極10の先端10aから主陽極3の陽極点に至るヘアピン状のプラズマ18による導電路が形成される。
[0028]
 この場合、主トーチ1の構造と導入される主プラズマガス6、及び副トーチ2の構造と副トーチ2に導入される副プラズマガス13の量を適切に設定することにより、図1に示されたように、主トーチ1のほぼ同軸上にプラズマ炎23を形成することができる。
[0029]
 材料送入管19には、溶射材料20aが、アルゴン、ヘリウムなどのプラズマ化が可能な不活性ガスであって当該溶射材料20aを送給するための材料供給ガス20と共に,制御装置31により制御された自動材料供給装置30から送入される。材料送入管19から主外套4の開口部4aを介して材料供給ガス20と共に吐出された溶射材料20aは、主陽極3と副陰極10により、主陽極3の中心軸C1上に形成されるプラズマ18の軸中心に供給され、プラズマ炎23によって溶融される。なお、自動材料供給装置30は、材料供給ガス20の供給量を溶射材料20aの供給量とは独立に制御できることが好ましい。
[0030]
 溶射材料20aが溶融された溶融物21は、プラズマ炎23とともに基材25に向かって進行する。このとき、基材25の直前で、連結管26上に設けられたプラズマトリミング部22から、溶融物を含むプラズマ炎の一部に対して選択的にガスを噴出することで、不適切な状態の溶融物を除去すると同時にプラズマ炎を適切な形状に変化させてもよい。これにより、成膜に適した溶融物をより適切な温度の基材25に堆積させ、気孔が少ない緻密な溶射材料20aの皮膜24を効率よく形成することができる。
[0031]
 上記実施の形態では、主トーチ1と副トーチ2とが1つずつ設けられたプラズマ溶射装置100を例に挙げて説明したが、1つの主トーチと複数の副トーチとを備えたプラズマ溶射装置であっても構わない。たとえば、図3に示すような、主トーチと2つの副トーチを備えるプラズマ溶射装置101であっても構わない。図3は、本発明の他の一実施形態としてのツインカソード型プラズマ溶射装置101の概略構成を示す図である。
 プラズマ溶射装置101は、主トーチにおける電極が主陽極(アノード)であって、副トーチにおける電極が副陰極(カソード)であるツインカソード型プラズマ溶射装置101である。
[0032]
 ツインカソード型プラズマ溶射装置101が備える主トーチ1及び副トーチ2の構成は、複合トーチ型プラズマ溶射装置100における主トーチ1及び副トーチ2と同じであるため、ここでは説明を省略する。
 なお、主電源7の正端子は、主陽極3及びスイッチ55、スイッチ45を介して副外套11に接続され、主電源7の負端子はスイッチ8を介して主外套4に接続される。また、副電源42からの副トーチ2の正端子は、スイッチ45を介して副外套11に接続され、副電源42からの副トーチ2の負端子は、スイッチ46を介して副陰極10に接続され、また、スイッチ9を介して主電源7の負端子に接続される。
[0033]
 本実施の形態においては、主トーチ1の中心軸C1に対して副トーチ2に対向する位置に、別の副トーチ39を配置させている。副トーチ39は、副陰極(副トーチ起動電極)40と、該副陰極40を囲む副外套41と、副陰極40と副外套41とを絶縁する絶縁体47などを備え、副トーチ39の中心軸C2、すなわち副陰極40の中心軸C2は、主トーチ1の中心軸C1、すなわち主陽極3の中心軸C1と、主陽極3と副陰極40との前方で交差するように配置されている。
[0034]
 副陰極40は、融点が高い材料、例えば、タングステンなどの材料により形成されている。副陰極40は、副外套41と、絶縁体47によって同心に保持されている。
[0035]
 副外套41は、先端部に孔41aを備えている。絶縁体47は、副プラズマガス49を導入する副プラズマガス導入口48と、主トーチ1の絶縁体27と同様の旋回流形成部50を有している。
[0036]
 副電源42からの副トーチ39の正端子は、スイッチ44を介して副外套41に接続され、副電源14からの副トーチ39の負端子は、スイッチ43を介して副陰極40に接続され、また、スイッチ9,46を介して主電源7の負端子に接続される。
[0037]
 次に、ツインカソード型プラズマ溶射装置101を用いて溶射材料をプラズマ溶射する方法について説明する。
 アルゴン、ヘリウムなどのプラズマ化が可能な不活性ガスを主プラズマガス6として、主プラズマガス導入口5から主トーチ1内に導入し、主プラズマガス6の旋回流を形成させる。また、スイッチ9を開き、スイッチ8を閉じた状態で、主電源7により主陽極3と主外套4との間に高周波電圧を印加する。その結果、主陽極3の先端から主外套4の開口部4aの方に向かう主プラズマアーク16が形成され、これにより主プラズマガス6が加熱され、プラズマとなって主外套4の開口部4aから放出される。
[0038]
 加えて、アルゴン、ヘリウムなどのプラズマ化が可能な不活性ガスを副プラズマガス13として、副プラズマガス導入口12から副トーチ2内に導入し、副プラズマガス13の旋回流を形成させる。また、スイッチ43,44を開き、スイッチ45,46を閉じた状態で、副電源42により副陰極10と副外套11との間に高周波電圧を印加する。その結果、副陰極10の先端10aから副外套11の孔11aの方に向かう副プラズマアーク17が形成され、これにより副プラズマガス13が加熱され、プラズマとなって副外套11の孔11aから放出される。
[0039]
 主陽極3の中心軸C1と副陰極10の中心軸C2は、主陽極3と副陰極10の前方において、主トーチ1及び副トーチ2の外部で交差するため、スイッチ9を閉じた後に、スイッチ45,46を開くと、副陰極10の先端10aから主陽極3の陽極点に至るヘアピン状のプラズマ18による導電路が形成される。
[0040]
 その後、アルゴン、ヘリウムなどのプラズマ化が可能な不活性ガスを副プラズマガス49として、副プラズマガス導入口48から副トーチ39内に導入し、副プラズマガス49の旋回流を形成させる。また、スイッチ43、44を閉じた状態で、副電源42により副陰極40と副外套41との間に高周波電圧を印加する。その結果、副陰極40の先端40aから副外套41の孔41aの方に向かう副プラズマアーク56が形成され、これにより副プラズマガス49が加熱され、プラズマとなって副外套41の孔41aから放出される。
[0041]
 主陽極3の中心軸C1と副陰極40の中心軸C2は、主陽極3と副陰極40の前方において、主トーチ1及び副トーチ39の外部で交差するため、副外套41の孔41aから放出されたプラズマは、副陰極10の先端10aから主陽極3の陽極点に至るヘアピン状のプラズマ18と交差する。この状態において、スイッチ55を閉じた後に、スイッチ44を開くと、副陰極10,40の先端10a,40aから主陽極3の陽極点に至るT字状のプラズマ18による導電路が形成され、主トーチ1の同軸上にプラズマ炎23が形成される。
[0042]
 材料送入管19には、アルゴン、ヘリウムなどのプラズマ化が可能な不活性ガスである材料供給ガス20に溶射材料20aが混合されたガスが、制御装置31により制御された自動材料供給装置30から送入される。材料送入管19から主外套4の開口部4aを介して吐出された溶射材料20aは、主陽極3と副陰極10により、主陽極3の中心軸C1上に形成されるプラズマ18の軸中心に供給され、プラズマ炎23によって溶融される。
[0043]
 溶射材料20aが溶融された溶融物21は、プラズマ炎23とともに基材25に向かって進行する。このとき、基材25の直前で、連結管26上に設けられたプラズマトリミング部22から、溶融物を含むプラズマ炎の一部に対して選択的にガスを噴出することで、不適切な状態の溶融物を除去すると同時にプラズマ炎を適切な形状に変化させてもよい。これにより、成膜に適した溶融物をより適切な温度の基材25に堆積させ、気孔が少ない緻密な溶射材料20aの皮膜24を効率よく形成することができる。
[0044]
 なお、本実施の形態においては、プラズマ溶射装置101において副トーチを2つ設けることとしているが、副トーチを3つ以上設けてもよい。副トーチを2つ以上設ける場合には、これらの副トーチは、副トーチが有する電極の中心軸C2が、主トーチ1の外部において、主陽極3の前方かつ中心軸C1の一点で交差するように、配置されていることが好ましく、その交差する点を中心とした、中心軸C1に垂直な円の円周上に均等に配置されていることがより好ましい。また、プラズマ溶射装置101において副トーチを2つ以上設ける場合には、各副トーチの中心軸が上記交差する点で主トーチ1の中心軸に垂直に交差するように、各副トーチが配置されていることが好ましい。
[0045]
 上記実施の形態にて説明した、プラズマ溶射装置100、101は、従来、主電極が、プラズマアークの始点となる陰極であったために高温となり、主電極が溶融する、或いは、供給された溶射材料が主電極に付着しまうことを防ぐため、主電極を陽極としている。更に、主電極を備える主トーチ内に供給する主プラズマガスにて旋回流を発生させ、主トーチ内への溶射材料の付着を抑えることにより、溶射材料吐出孔19aが溶射材料により塞がれることを防止している。
[0046]
 このように主電極及び主トーチ内への溶射材料の付着を抑えることにより、従来、主電極への溶射材料の付着を避けるために、プラズマアークが形成される主電極の中心軸に対して傾斜する方向から溶射材料を供給していたが、本実施形態のプラズマ溶射装置100、101のように主電極の中心軸に沿うように供給することが可能となった。これにより、溶射材料がプラズマ炎の中心に供給されやすくなり、プラズマ炎の高温部に溶射材料をより確実に至らせるとともに周辺への飛散を抑えることが可能となった。すなわち、溶射材料をプラズマ炎の高温部に安定して供給することが可能となった。
[0047]
 本願の発明者は、プラズマ炎の高温部に安定して溶射材料20aを供給することにより、これまでパラメータとして扱うことができなかった溶射材料20aの供給条件をパラメータとして、形成される皮膜24の特性の変化を試験した。そして、溶射材料20aの供給条件として、材料供給ガス20の供給量を変化させることを試みた。図4は、材料供給ガス20の供給量Qfを違えて測定した粒子速度の一例を示す画像である。図5は、材料供給ガス20の供給量Qfを変えたときの、溶射材料20aの粒子速度を測定した結果を示すグラフである。
[0048]
 図4に示すように、主トーチ1の開口部4aから100mmの位置におけるプラズマ炎を高速度カメラ等により撮影して粒子速度を測定すると、材料供給ガス20の供給量Qfにより粒子速度が相違している。複数の材料供給ガス20の供給量Qfにおける粒子速度を測定すると、図5に示すように、材料供給ガス20の供給量Qfを増やすと粒子速度が高まるという結果が得られた。
[0049]
 図6は、材料供給ガス20の供給量Qfを1.0l/minと10.0l/minとに異ならせて形成した皮膜24を示す断面図である。
 図6に示すように、材料供給ガス20の供給量が10.0l/minの場合には、材料供給ガス20の供給量が1.0l/minの場合より皮膜24が薄くなる。この結果から、材料供給ガス20の供給量Qfを制御して形成される皮膜24の特性として厚みを変え得ることがわかる。すなわち、材料供給ガス20の供給量をより多くして厚さの薄い皮膜24をより速く形成する、或いは、材料供給ガス20の供給量をより少なくして厚さの厚い皮膜24を形成することが可能となる。
[0050]
 また、発明者は、材料供給ガス20の供給量Qfを違えて皮膜24の硬度を測定した。
 図7は、材料供給ガス20の供給量Qfと形成される皮膜24の硬度との関係を示すグラフである。図7に示すように、材料供給ガス20の供給量Qfが多い場合には、材料供給ガス20の供給量Qfが少ない場合より皮膜24の硬度が低くなる。このため、発明者は、材料供給ガス20の供給量Qfを制御して形成される皮膜24の特性として硬度を変えることを可能とした。すなわち、材料供給ガス20の供給量Qfをより多くして硬度が低い皮膜24をより速く形成する、或いは、材料供給ガス20の供給量Qfをより少なくして硬度が高い皮膜24を形成することを可能とした。
[0051]
 本実施形態のプラズマ溶射装置100、101によれば、溶射材料20a含む材料供給ガス20を主陽極3の中心軸に沿うように吹き付けて基材25に皮膜24を形成する材料供給ガス20の供給量を制御する制御装置31を備えているので、材料供給ガス20の供給量を制御することにより基材25上に到達する際の溶射材料20aの供給条件としての材料供給ガス20の供給量を異ならせて皮膜24を形成することが可能である。そして、制御装置31により材料供給ガス20の供給量を制御して互いに特性、すなわち、皮膜24の厚み及び硬度の異なる皮膜24を形成することが可能である。
[0052]
 制御装置31による自動材料供給装置30の制御は、例えば、図5,図7のグラフに示すようなデータに基づくデータベース、すなわち、形成される皮膜24の厚みまたは硬度と材料供給ガス20の供給量とを対応付けた特性データベースを予め生成しておき、形成すべき皮膜24の厚みまたは硬度と特性データベースとに基づいて材料供給ガス20の供給量を制御することにより、容易に制御することが可能である。
 このとき、基材25に吹き付けられる溶射材料20aの粒子速度と粒子温度との少なくともいずれか一方をCCDカメラ等により観測し、観測結果と形成すべき皮膜24の厚みまたは硬度とに基づいて制御装置31により材料供給ガス20の供給量を制御すると、より正確な制御が可能であり所望の厚みまたは硬度を備えた皮膜24を形成することが可能である。
[0053]
 図8は、主トーチ1と副トーチ2とが一体となったプラズマ溶射装置102の概略構成を示す図である。
 上記実施の形態においては、主トーチ1と副トーチ2とが別個に分離しているプラズマ溶射装置100、101について説明したが、図8に示すように、主トーチ1の外套における開口部4aの出口側に副トーチ2、39が絶縁体60を介して一体に設けられた、主トーチ1と副トーチ2、39の一体型プラズマ溶射装置102であっても構わない。
[0054]
 また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。

符号の説明

[0055]
1 主トーチ、2 副トーチ、3 主陽極、4 主外套、4a 開口部、
4b テーパー部、5 主プラズマガス導入口、6 主プラズマガス、7 主電源、
8,9 スイッチ、10 副陰極、10a 副陰極の先端、11 副外套、
11a 孔、12 副プラズマガス導入口、13 副プラズマガス、14 副電源、
15 スイッチ、16 主プラズマアーク、17 副プラズマアーク、18 プラズマ、
19 材料送入管、19a 溶射材料吐出孔、20 材料供給ガス、20a 溶射材料、
21 溶融物、22 プラズマトリミング部、23 プラズマ炎、24 皮膜、25 基材、
26 連結管、27,28 絶縁体、30 自動材料供給装置、31 制御装置、
39 副トーチ、40 副陰極、40a 副陰極の先端、41 副外套、41a 孔、
42 副電源、43,44,45,46 スイッチ、47 絶縁体、
48 副プラズマガス導入口、49 副プラズマガス、50 旋回流形成部、
51 ガス環状室、52 旋回流形成孔、53 内壁、55 スイッチ、
56 副プラズマアーク、60 絶縁体、100 複合トーチ型プラズマ溶射装置、
101 ツインカソード型プラズマ溶射装置、102 一体型プラズマ溶射装置、
C1 主陽極の中心軸、C2 副陰極の中心軸

請求の範囲

[請求項1]
 中心軸に沿って溶射材料を、当該溶射材料を送給するための材料供給ガスと共に送入する材料送入管を有する主陽極を備え、前記中心軸に沿って主プラズマガスを導入する主トーチと、
 中心軸が前記主陽極の前記中心軸と交差する副陰極を備える副トーチと、
を有し、
 前記主陽極と前記副陰極との間に形成されるプラズマアークと、
 前記主陽極の前記中心軸に沿うように導入される前記主プラズマガスと、
 前記副陰極の前記中心軸に沿い前記主陽極の前記中心軸に向かうように導入される前記副プラズマガスと、により前記主陽極の前記中心軸に沿うように形成されるプラズマ炎に、前記材料送入管から前記材料供給ガスと共に前記溶射材料が送入されて前記溶射材料が溶融され基材に吹き付けられて前記溶射材料の皮膜を形成するプラズマ溶射装置において、
 前記材料供給ガスの供給量を制御する供給量制御部を備えることを特徴とするプラズマ溶射装置。
[請求項2]
 前記供給量制御部は、前記材料供給ガスの供給量を前記溶射材料の供給量とは独立に制御することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ溶射装置。
[請求項3]
 前記供給量制御部は、形成される前記皮膜の特性を変えるべく前記材料供給ガスの供給量を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ溶射装置。
[請求項4]
 前記皮膜の前記特性は、形成される前記皮膜の厚みであることを特徴とする請求項3に記載のプラズマ溶射装置。
[請求項5]
 前記皮膜の前記厚みが厚いほど、前記供給量制御部の制御により前記材料供給ガスの供給量を少なくすることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ溶射装置。
[請求項6]
 前記皮膜の前記特性は、形成される前記皮膜の硬度であることを特徴とする請求項3に記載のプラズマ溶射装置。
[請求項7]
 前記皮膜の前記硬度が高いほど、前記供給量制御部の制御により前記材料供給ガスの供給量を少なくすることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ溶射装置。
[請求項8]
 前記皮膜の前記特性と前記材料供給ガスの供給量とを対応付けた特性データベースを生成し、
 前記供給量制御部は、形成すべき前記皮膜の前記特性と前記特性データベースとに基づいて前記材料供給ガスの供給量を制御することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のプラズマ溶射装置。
[請求項9]
 前記供給量制御部は、前記基材に吹き付けられる前記溶射材料の粒子速度と粒子温度との少なくともいずれか一方を観測し、観測結果と形成すべき前記皮膜の前記特性とに基づいて前記材料供給ガスの供給量を制御することを特徴とする請求項3~7のいずれか1項に記載のプラズマ溶射装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]