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1. (WO2015147024) エマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物
Document

明 細 書

発明の名称 エマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010  

発明の効果

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043  

実施例

0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054  

産業上の利用可能性

0055  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : エマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物

技術分野

[0001]
 本発明は、エマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物に関する。より詳細に、本発明は、長期保存においても固形分が析出せず、優れた安定性を有するエマルジョンまたはマイクロエマルジョンを水希釈により得ることができるエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物に関する。
 本願は、2014年3月28日に、日本に出願された特願2014-067692号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 農薬あるいは工業用保存剤などの剤型のひとつとして、エマルジョンとマイクロエマルジョンとが知られている。エマルジョン(EW:emulsion, oil in waterまたはCE:concentrated emulsion)は、水に不溶な活性成分を乳化剤により水に平均粒径約0.1μm超のエマルジョン粒子として乳化分散させて成る乳白色の製剤である。マイクロエマルジョン(ME:microemulsion)は、水に不溶な活性成分を乳化剤により水に平均粒径約0.1μm以下のエマルジョン微粒子として乳化分散させて成る透明な製剤である。エマルジョンまたはマイクロエマルジョンは、水に不溶な活性成分と乳化剤とその他成分とを含有する組成物を、農薬または工業用保存剤などとして使用する際に、水にて希釈することによって得ることができる。
[0003]
 エマルジョンまたはマイクロエマルジョンを水希釈で得るための組成物が種々提案されている。
 例えば、特許文献1は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを有効成分として含有する木材防腐・防蟻・防かび剤用の組成物を開示している。
 特許文献2は、農薬活性成分、非アルコール有機溶媒、アニオン系界面活性剤、および、非イオン系界面活性剤(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等)を含有する組成物)を開示している。
 特許文献3は、シクロヘキサンジオン系除草剤、芳香族炭化水素、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびアルキルベンゼンスルホン酸アミン塩を含有する組成物を開示している。
 特許文献4は、農薬活性物質、芳香族炭化水素、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテル、デカノール等のアルコール、およびジアルキルスルホサクシネートを含有する組成物を開示している。
 特許文献5は、農薬活性成分、芳香族炭化水素、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテル、およびラウリルアルコールを含有し、アニオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤のいずれをも含有しない組成物を開示している。
 特許文献6は、除草剤有効成分、乳化剤としてポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、乳化安定化剤としてポリオキシエチレンアルキルアミノエーテルおよび/または高級アルコール、芳香族有機溶剤、および水を含有する組成物を開示している。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2006-199687号公報
特許文献2 : 特表2006-509807号公報
特許文献3 : 特開2006-8601号公報
特許文献4 : WO2008/017378A
特許文献5 : WO2009/063608A
特許文献6 : 特開平09-52810号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 これら先行技術文献に記載の組成物は、得られるエマルジョンまたはマイクロエマルジョンの安定性が十分でなく、固形分が析出することがあり、長期間の保存または長期間の効力維持において難点がある。
 本発明の課題は、長期保存においても固形分が析出せず、優れた安定性を有するエマルジョンまたはマイクロエマルジョンを水希釈により得ることができるエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物を提供することである。

課題を解決するための手段

[0006]
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の実施形態を包含する本発明を完成するに至った。
[0007]
〔1〕 下記成分(A)~(D)を含有する、エマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
 成分(A):20℃の水に対する溶解度が200ppm以下である活性成分、
 成分(B):アルコール基を有しない非水溶性溶媒、
 成分(C):ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテルおよびポリオキシアルキレンアルケニルアミノエーテルからなる群より選ばれる少なくともひとつの非イオン系界面活性剤、および
 成分(D):炭素数8~12の一価アルコール
〔2〕 成分(E):水をさらに含有する、前記〔1〕に記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
[0008]
〔3〕 組成物の質量に対して、成分(A)が1~30質量%、成分(B)が5~40質量%、成分(C)が10~80質量%、成分(D)が1~20質量%、および成分(E)が60質量%以下であり、
 成分(B)の質量に対して、成分(A)が100質量%以下であり、
 成分(G):成分(C)以外の非イオン系界面活性剤を含有してもよく、且つ成分(B)の質量に対して、成分(C)と成分(G)との合計量が100~1000質量%である、前記〔2〕に記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
〔4〕 成分(C)と成分(G)との合計量が、組成物の質量に対して、20~80質量%である、前記〔3〕に記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
[0009]
〔5〕 成分(A)が、殺虫剤、殺菌剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤および除草剤からなる群より選ばれる少なくともひとつの活性成分である、前記〔1〕~〔4〕のいずれかひとつに記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
〔6〕 成分(B)が、芳香族炭化水素である、前記〔1〕~〔5〕のいずれかひとつに記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
〔7〕 成分(D)が、ラウリルアルコールである、前記〔1〕~〔6〕のいずれかひとつに記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
[0010]
〔8〕 成分(F):成分(A)以外の活性成分をさらに含有する、前記〔1〕~〔7〕のいずれかひとつに記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
〔9〕 成分(F)が、ネオニコチノイド系殺虫剤である、前記〔8〕に記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
〔10〕 前記〔1〕~〔9〕のいずれかひとつに記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物からなる木材保存剤。

発明の効果

[0011]
 本発明に係るエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物は、長期保存において固形分が析出せず、優れた安定性を有するエマルジョンまたはマイクロエマルジョンを水希釈により得ることができる。

発明を実施するための形態

[0012]
 本発明のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、および成分(D)、並びに必要に応じて成分(E)および/または成分(F)を含有する。
[0013]
(エマルジョンまたはマイクロエマルジョン)
 エマルジョンは水に希釈した液が乳白色の乳化粒子を生じた状態であり、マイクロエマルジョンは水に希釈した液が透明になり乳化粒子よりも細かく可溶化物を多く生じた状態である。本発明の「エマルジョンまたはマイクロエマルジョン」とは、水に希釈してエマルジョンを生じてもよく、または、マイクロエマルジョンを生じてもよいことを示していて、水に希釈した液が乳白色であってもよく、または、透明であってもよいことも示している。また、「エマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物」とは、水に希釈するとエマルジョンまたはマイクロエマルジョンが生じることを示していて、乳白色であってもよく、または、透明であってもよいことも示している。
[0014]
(成分(A))
 成分(A)は、液体であっても固体であってもよく、20℃の水に対する溶解度が200ppm以下である活性成分である。成分(A)は、水に対する溶解度が非常に低いため、エマルジョンまたはマイクロエマルジョンにしない限り水に均一化しにくい。また、成分(A)をエマルジョンまたはマイクロエマルジョンにすることができたとしても、すぐに凝集物が発生して結晶の成長が生じやすい。成分(A)は、殺虫剤、殺菌剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、および除草剤からなる群より選ばれる少なくともひとつの活性成分であることが好ましい。
[0015]
 成分(A)の具体例として以下のようなものを挙げることができる。
 殺虫剤:ホサロン、カルバリル、トラロメトリン、デルタメトリン、ビフェントリン、デルタメスリン、エトフェンプロックス、シフルトリン、アクリナトリン、シペルメトリン、フェンプロパトリン、テフルトリン、フェンバレレート、フィプロニル、ノバルロン、ビストリフルロン、ブプロフェジン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、トリフルムロン、フルフェノクスロン、クロマフェノジド、テブフェノジド、フェンピロキシメート、メトキシフェノジド、ヒドラメチルノン;
[0016]
 殺菌剤・防黴剤・防腐剤:ヘキサコナゾール、テブコナゾール、シプロコナゾール、プロピコナゾール、メトコナゾール、エポキシコナゾール、ミクロブタニル、トリフルミゾール、イマザリル、トリホリン、フルジオキソニル、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン、クレソキシムメチル、チオシアナトメチルチオベンゾチアゾール(ベンチアゾール、TCMTB)、2-(4-チアゾリル)ベンズイミダゾール(チアベンダゾール)、ベンズイミダゾール-2-イルカルバミン酸メチル(カルベンダジム、BCM)、1-ブチルカルバモイルベンズイミダゾール-2-イルカルバミン酸メチル(ベノミル)、チオファネートメチル、シプロジニル、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル(クロロタロニル)、イミノクタジンアルベシル酸塩、イプロジオン、プロシミドン、ジエトフェンカルブ、フルオロフォルペット、ジクロフルアニド、シフルフェナミド、ボスカリド、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート(IPBC)、ジヨードメチル-p-トリルスルホン(DIMPTS)、2-ブチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(BBIT)、4,5-ジクロロ-2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、2,3,5,6-テトラクロロ-4-スルホニルメチルピリジン(TCMSP)、ビフェニル;
[0017]
 防藻剤・除草剤:ジウロン(DCMU)、ダイムロン、メトベンズロン、クミルロン、ニコスルフロン、シブトリン、テルブトリン、シマジン、アトラジン、プロパジン、シアナジン、ジメタメトリン、プロメトリン、ブトラリン、ベンフルラリン、プロジアミン、ベンゾフェナップ、ピラフルフェン-エチル、ビフェノックス、ブロモブチド、ブロモキシニル、プロパニル、ジフルフェニカン、メフェナセット、クロメプロップ、ジクロスラム、ジチオピル、イソキサベン、レナシル、ピリブチカルブ、ピリミノバック-メチル、オキサジアゾン、オリザリン、オキサジアルギル、フルチアセット-メチル、ピリベンゾキシム、ペントキサゾン;
[0018]
 これらのうち、成分(A)は、ビフェントリン、エトフェンプロックス、フィプロニル、ノバルロン、ヘキサコナゾール、シプロコナゾール、プロピコナゾール、テブコナゾール、チアベンダゾール、フルジオキソニル、IPBC、BBIT、DCOIT、TCMTB、TCMSP、DCMU、およびシブトリンが好ましく、IPBCおよびヘキサコナゾールが特に好ましい。
[0019]
 成分(A)は、成分(B)に溶解するものであることが好ましい。よって、成分(B)に対する溶解度の観点から、成分(B)の質量に対して、成分(A)を、100質量%以下とすることが好ましい。
[0020]
 成分(A)の含有量は、組成物の質量に対して、好ましくは1~30質量%、より好ましくは5~15質量%である。組成物の質量とは、成分(A)~(G)および他の成分を全て加えた組成物の全量を示している。以下、組成物の質量は同じ意味を示す。
[0021]
(成分(B))
 成分(B)は、アルコール基を有しない非水溶性溶媒である。成分(B)は、20℃において液体であり且つ20℃の水に対する溶解度が1000ppm以下であるものが好ましい。
 成分(B)としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、デカン、デカリン、流動パラフィンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メチルナフタレン、ジメチルモノイソプロピルナフタレン、ジメチルジイソプロピルナフタレン、フェニルキシリルエタン、石油芳香族炭化水素などの芳香族炭化水素;植物油、高級脂肪酸エステルなどのカルボン酸エステル;以上の非水溶性溶媒の混合物等が挙げられる。これらのうち、成分(B)は、芳香族炭化水素が好ましい。成分(B)として用いられる好ましい芳香族炭化水素としては、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200(ソルベッソはエクソンモービルコーポレーションの登録商標)、日石ハイゾールSAS296(日石ハイゾールはJX日鉱日石エネルギー株式会社の登録商標)等を挙げることができる。これらのうち、日石ハイゾールSAS296が好ましい。
[0022]
 成分(B)の含有量は、組成物の質量に対して、好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~20質量%である。
[0023]
(成分(C))
 成分(C)は、ポリオキシアルキレン鎖と、アルキル基、アルケニル基、アルキルアミノ基またはアルケニルアミノ基からなる群より選ばれる一種の基とが酸素原子によって結合されたエーテル構造を有している。具体的には、成分(C)は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテルおよびポリオキシアルキレンアルケニルアミノエーテルからなる群より選ばれる少なくともひとつの非イオン系界面活性剤である。これらのうち、成分(C)は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテルが好ましい。
 成分(C)中のポリオキシアルキレン鎖の重合度は、好ましくは4~50、より好ましくは4~25である。
 ポリオキシアルキレン鎖としては、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシブチレン鎖、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンからなるコポリマー鎖などが挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレン鎖が好ましい。
[0024]
 成分(C)中の、アルキル基、アルケニル基、アルキルアミノ基またはアルケニルアミノ基は、炭素数6~30であるものが好ましく、炭素数10~18であるものがより好ましい。
 また、成分(C)は成分(D)と共に成分(A)及び成分(B)を安定に水に均一化させるために有用な成分である。したがって、成分(C)は成分(D)と共に成分(A)及び成分(B)を安定に水に均一化させる界面活性剤として、非イオン性界面活性剤の中から選抜された化合物である。
[0025]
 成分(C)の含有量は、組成物の質量に対して、好ましくは10~80質量%、より好ましくは15~70質量%である。
[0026]
(成分(G):成分(C)以外の非イオン系界面活性剤)
 成分(G)は成分(C)以外の非イオン系界面活性剤であり、本発明のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物は、成分(G)を含有してもよい。また、成分(G)は安定化に単独で寄与する成分ではないが、成分(C)と共に安定化に寄与する。成分(G)としては、ポリオキシエチレンひまし油エーテル等のポリオキシアルキレン植物油エーテルなどが挙げられる。
[0027]
 成分(G)の含有量は本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲の量である。具体的には、成分(C)と成分(G)との合計量が、成分(B)の質量に対して、好ましくは100~1000質量%、より好ましくは100~800質量%、さらに好ましくは200~800質量%である。
 また、成分(C)と成分(G)との合計含有量は、組成物の質量に対して、好ましくは20~80質量%、より好ましくは40~70質量%である。
[0028]
(成分(D))
 成分(D)は、炭素数8~12の一価アルコールである。成分(D)は、直鎖アルコール、分岐鎖アルコールのいずれでもよい。成分(D)としては、カプリルアルコール(別名:n-オクタノール)、イソオクタノール、s-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール、イソデカノール、s-デカノール、n-ウンデカノール、イソウンデカノール、s-ウンデカノール、ラウリルアルコール(別名:n-ドデカノール)、s-ドデカノール等が挙げられる。これらのうちラウリルアルコールが好ましい。
[0029]
 成分(D)の含有量は、組成物の質量に対して、好ましくは1~20質量%、より好ましくは5~15質量%である。
[0030]
(成分(E))
 成分(E)は、水である。水は、軟水でも、硬水でもよい。成分(E)の含有量は、組成物の質量に対して、好ましくは60質量%以下、より好ましくは10~30質量%である。水を含有させることにより、エマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物の消防上の安全性を高めることができる。消防上の安全性の具体例としては、成分(E)を加えている組成物は、成分(E)を加えていない組成物よりも引火点を低くすることができるため、成分(E)は組成物を引火しにくくすることができる。
[0031]
(成分(F))
 成分(F)は、成分(A)以外の活性成分であり、液体であっても、固体であってもよく、20℃の水に対する溶解度が200ppmより高い活性成分である。成分(F)は、例えば、殺虫剤、殺菌剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、および除草剤からなる群より選ばれる少なくともひとつの活性成分であることができる。成分(F)としては、ネオニコチノイド系殺虫剤が好ましい。ネオニコチノイド系殺虫剤としては、ニテンピラム、イミダクロプリド、アセタミプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、チアクロプリド、ジノテフラン等が挙げられる。これらネオニコチノイド系殺虫剤のうち、成分(F)は、シロアリ等に対して高い殺虫効果を有する、アセタミプリドが特に好ましい。
 また、成分(F)の防腐剤としては、特に限定されないが、ベストサイド-750(日本曹達社製)を用いることができる。
 成分(F)の含有量は、組成物の質量に対して、0~10質量%であり、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。
[0032]
(他の成分)
 本発明のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物は、成分(A)~(F)以外に、他の成分として、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、水溶性有機溶媒、消泡剤、酸化防止剤等が含有されていてもよい。
 他の成分の含有量は、組成物の質量に対して、0~30質量%であり、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは1~20質量%である。
[0033]
 アニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、アニオン界面活性剤としては、ジアルキルスルホカルボン酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル、高級脂肪酸アルカリ塩、ポリカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸塩等を挙げることができる。塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム並びに、アルキルアミン、シクロアルキルアミンおよびアルカノールアミン等のアミンを用いることができる。
 アニオン系界面活性剤の含有量は、組成物の質量に対して、0~5質量%であり、好ましくは0.2~3質量%、より好ましくは0.5~2質量%である。
[0034]
 カチオン系界面活性剤としては、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム(C CH (CH RCl )R=C8~C18、臭化ベンザルコニウム(C CH (CH RBr )R=C8~C18、塩化ベンゼトニウム(C CH (CH (CH CH O) 17Cl )、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩、塩化アルキルピリジニウム(アルキル基は炭素数4~18)などを用いることができる。
 カチオン系界面活性剤の含有量は、組成物の質量に対して、0~10質量%であり、好ましくは0.5~5質量%、より好ましくは1~3質量%である。
[0035]
 両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン(RN (CH CH COO )、アルキルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン(RN (CH (CH SO )、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(RC (C OH)CH COO )、アルキルジメチルアミンN-オキシド(アルキル基は炭素数4~18)などを用いることができる。
 両性界面活性剤の含有量は、組成物の質量に対して、0~10質量%であり、好ましくは0.5~5質量%、より好ましくは1~3質量%である。
[0036]
 水溶性有機溶媒としては、特に限定されないが、凍結防止剤としての効果、および成分(A)を溶解する効果を有するものが好ましい。本発明に好ましく用いられる水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、アセチレングリコール、グリセリン等のポリオール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類等が挙げられる。これらのうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
 水溶性有機溶媒の含有量は、組成物の質量に対して、0~30質量%であり、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは1~20質量%である。
[0037]
 消泡剤としては、特に限定されないが、シリコーン系消泡剤(KS-538:信越化学工業社製)、アセチレングリコール系消泡剤等を用いることができる。
 アセチレングリコール系消泡剤としては、サーフィノール104Eが好ましい。
 消泡剤の含有量は、組成物の質量に対して、0~1質量%であり、好ましくは、0.01~0.7質量%、より好ましくは、0.1~0.6質量%である。
[0038]
 酸化防止剤としては、特に限定されないが、L-アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソールなどを用いることができる。
 酸化防止剤の含有量は、組成物の質量に対して、0~10質量%であり、好ましくは0.5~5質量%、より好ましくは1~3質量%である。
[0039]
 エマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物を、調製用の水にて希釈することによって、エマルジョンまたはマイクロエマルジョンを得ることができる。エマルジョンまたはマイクロエマルジョンの調製に使用する水は、硬水であっても、軟水であってもよい。
[0040]
 本発明において、エマルジョンまたはマイクロエマルジョンは、エマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物と調製用の水とを含有してなる。エマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物に含まれていた水と調製用の水との合計量は、エマルジョンまたはマイクロエマルジョンの質量に対して、好ましくは60質量%より多く、より好ましくは80質量%以上である。また、調製用の水による希釈倍率は、体積比として、5倍~1000倍であることが好ましく、10倍~200倍であることが好ましい。
[0041]
(木材保存剤等)
 本発明のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物は、農薬、工業用保存剤、工業用防腐剤、木材保存剤等として使用することができる。これらのうち、木材保存剤としての使用が好ましい。
[0042]
 本発明の木材保存剤は、木材を処理するのに用いられる。前記処理は、本発明の木材保存剤の木材表面への塗布または散布(表面処理)、本発明の木材保存剤の木材への加圧注入または含浸などで行う。本発明の木材保存剤は表面処理に特に適している。塗布または散布処理では、刷毛、スプレー、ディッピングなどの手段を採用することができる。
[0043]
 本発明のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物を使用して得られたエマルジョンまたはマイクロエマルジョンは、長期間にわたって固形分が析出せず安定性に優れるので、大量に調製したエマルジョンまたはマイクロエマルジョンを長期間に亘って使い続けても木材保護の効力が低下しない。よって、新たなエマルジョンまたはマイクロエマルジョンを頻繁に調製する必要がない。
実施例
[0044]
 以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明する。これら実施例は本発明の範囲を限定するものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本実施例において「部」は「質量部」を意味する。
 「芳香族炭化水素系溶媒」は、スチレンとキシレン・エチルベンゼン混合物の反応生成物(CAS:1029912-90-0)であり、1-フェニル-1-キシリルエタンとフェニルエチルフェニルエタンを主成分とする。この反応生成物はJX日鉱日石エネルギー社製の商品名:日石ハイゾールSAS296である。以下、芳香族炭化水素系溶媒はこの製品のことを示す。
 「シリコーン系消泡剤」は、信越化学工業社製の消泡剤であり、商品名はKS-358である。以下、シリコーン系消泡剤はこの製品のことを示す。
 「アセチレングリコール系消泡剤」は、アセチレン系ジアルコール組成物であり、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールとエタン-1,2-ジオールの混合物である。この組成物はエアープロダクツジャパン社製の商品名:サーフィノール(登録商標)104Eである。以下、シリコーン系消泡剤はこの製品のことを示す。
[0045]
[実施例1]
 ジエチレングリコールモノブチルエーテル4.825部、芳香族炭化水素系溶媒 15部、シリコーン系消泡剤 0.015部、アセチレングリコール系消泡剤 0.5部、水15部、ラウリルアルコール10部、POE(6)ラウリルエーテル(ニューカルゲンD-1106;竹本油脂社製)20部、POE(25)ひまし油エーテル(ニューカルゲンD-225;竹本油脂社製)25部および防腐剤(ベストサイド-750:日本曹達社製、イソチアゾリン系化合物の水溶液、濃度約4質量%)0.05部を均一に混ぜ合わせた。前記混合液に、アセタミプリド(日本曹達社製)1.02部、IPBC(アーチケミカルズ社製)2.06部およびヘキサコナゾール(Rallis India社製)6.53部を溶解させ、攪拌して、マイクロエマルジョン調製用組成物(1)を得た。
[0046]
 110mlのスクリュー管に水道水99mlを入れ、マイクロエマルジョン調製用組成物(1) 1mlを添加した。蓋をしてスクリュー管を逆さにして10回激しく振って、マイクロエマルジョン(100倍希釈液)を得た。
 13.5mlのスクリュー管に水道水9.5mlを入れ、マイクロエマルジョン調製用組成物(1) 0.5mlを添加した。蓋をしてスクリュー管を逆さにして10回激しく振ってマイクロエマルジョン(20倍希釈液)を得た。
[0047]
 各スクリュー管を直立して5℃にて150日間静置した。スクリュー管内の希釈液の状態を、毎日、目視観察した。固形分が析出するまでの日数を記録した。前記100倍希釈液および20倍希釈液は150日間のうちに固形分の析出が観察されなかった。結果を表1に示す。
[0048]
[実施例2]
 POE(6)ラウリルエーテルをPOE(10)ラウリルエーテル(ニューカルゲンD-1110;竹本油脂社製)に変えた以外は、実施例1と同じ方法でマイクロエマルジョン調製用組成物(2)を得た。
 前記組成物(2)について、実施例1と同じ方法で、固形分が析出するまでの日数を記録した。結果を表1に示す。
[0049]
[実施例3]
 POE(6)ラウリルエーテルをPOE(8)オレイルエーテル(ニューカルゲンD-1508;竹本油脂社製)に変え、POE(25)ひまし油エーテルの量を40部に変え、且つ水の量を0部に変えた以外は、実施例1と同じ方法でマイクロエマルジョン調製用組成物(3)を得た。
 前記組成物(3)について、実施例1と同じ方法で、固形分が析出するまでの日数を記録した。結果を表1に示す。
[0050]
[実施例4~7]
 表1に示す配合レシピに変えた以外は実施例1と同じ方法でマイクロエマルジョン調製用組成物(4)~(7)を得た。
 前記組成物(4)~(7)について、実施例1と同じ方法で、固形分が析出するまでの日数を記録した。結果を表1に示す。
[0051]
[実施例8]
 POE(8)オレイルエーテル20部をPOE(15)アルキルアミノエーテル(ニューカルゲンD-3615T;竹本油脂社製)40部に変え、POE(25)ひまし油エーテルの量を15部に変え、且つジエチレングリコールモノブチルエーテルの量を9.825部に変えた以外は、実施例3と同じ方法でマイクロエマルジョン調製用組成物(8)を得た。
 前記組成物(8)について、実施例1と同じ方法で、固形分が析出するまでの日数を記録した。結果を表1に示す。
[0052]
[比較例1~4]
 表1に示す配合レシピに変えた以外は実施例1と同じ方法でマイクロエマルジョン調製用組成物(9)~(12)を得た。
 前記組成物(9)~(12)について、実施例1と同じ方法で、固形分が析出するまでの日数を記録した。結果を表1に示す。
[0053]
[表1]


[0054]
 上記の結果が示すとおり、本発明のマイクロエマルジョン調製用組成物は、希釈後、低温で150日間静置したままにしておいても、固形分の析出がなく、安定性が非常に高い。

産業上の利用可能性

[0055]
 長期保存において固形分が析出せず、優れた安定性を有するエマルジョンまたはマイクロエマルジョンを水希釈により得ることができるエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物を提供することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 下記成分(A)~(D)を含有する、エマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
 成分(A):20℃の水に対する溶解度が200ppm以下である活性成分、
 成分(B):アルコール基を有しない非水溶性溶媒、
 成分(C):ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテルおよびポリオキシアルキレンアルケニルアミノエーテルからなる群より選ばれる少なくともひとつの非イオン系界面活性剤、および
 成分(D):炭素数8~12の一価アルコール
[請求項2]
 成分(E):水をさらに含有する、請求項1に記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
[請求項3]
 組成物の質量に対して、成分(A)が1~30質量%、成分(B)が5~40質量%、成分(C)が10~80質量%、成分(D)が1~20質量%、および成分(E)が60質量%以下であり、
 成分(B)の質量に対して、成分(A)が100質量%以下であり、
 成分(G):成分(C)以外の非イオン系界面活性剤を含有してもよく、且つ成分(B)の質量に対して、成分(C)と成分(G)との合計量が100~1000質量%である、請求項2に記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
[請求項4]
 成分(C)と成分(G)との合計量が、組成物の質量に対して、20~80質量%である、請求項3に記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
[請求項5]
 成分(A)が、殺虫剤、殺菌剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤および除草剤からなる群より選ばれる少なくともひとつの活性成分である、請求項1~4のいずれかひとつに記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
[請求項6]
 成分(B)が、芳香族炭化水素である、請求項1~5のいずれかひとつに記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
[請求項7]
 成分(D)が、ラウリルアルコールである、請求項1~6のいずれかひとつに記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
[請求項8]
 成分(F):成分(A)以外の活性成分をさらに含有する、請求項1~7のいずれかひとつに記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
[請求項9]
 成分(F)が、ネオニコチノイド系殺虫剤である、請求項8に記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物。
[請求項10]
 請求項1~9のいずれかひとつに記載のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン調製用組成物からなる木材保存剤。