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1. (WO2015146988) 熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物、光半導体素子搭載用基板、並びに光半導体装置
Document

明 細 書

発明の名称 熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物、光半導体素子搭載用基板、並びに光半導体装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008   0009   0010  

課題を解決するための手段

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024  

発明の効果

0025  

図面の簡単な説明

0026  

発明を実施するための形態

0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118  

実施例

0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129  

産業上の利用可能性

0130  

符号の説明

0131  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物、光半導体素子搭載用基板、並びに光半導体装置

技術分野

[0001]
 本発明は、熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物、該硬化物により形成されたリフレクターを有する光半導体素子搭載用基板、並びに、該基板と光半導体素子とを有する光半導体装置に関する。本願は、2014年3月28日に日本に出願した、特願2014-070224号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 近年、各種の屋内又は屋外表示板、画像読み取り用光源、交通信号、大型ディスプレイ用ユニット等においては、光半導体素子(LED素子)を光源とする発光装置(光半導体装置)の採用が進んでいる。このような光半導体装置としては、一般に、基板(光半導体素子搭載用基板)上に光半導体素子が搭載され、さらに該光半導体素子が透明な封止材により封止された光半導体装置が普及している。このような光半導体装置における基板には、光半導体素子から発せられる光の取り出し効率を高めるため、光を反射させるための部材(リフレクター)が形成されている。
[0003]
 上記リフレクターには、高い光反射性を有することが求められている。従来、上記リフレクターの構成材としては、テレフタル酸単位を必須の構成単位とするポリアミド樹脂(ポリフタルアミド樹脂)中に、無機フィラー等を分散させた樹脂組成物等が知られている(特許文献1~3参照)。
[0004]
 また、上記リフレクターの構成材としては、その他に、例えば、エポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂と、屈折率1.6~3.0の無機酸化物とを特定割合で含有する光反射用熱硬化性樹脂組成物が知られている(特許文献4参照)。さらに、熱硬化性樹脂成分と1以上の充填剤成分とを含有し、熱硬化性樹脂成分全体の屈折率と各充填剤成分の屈折率との差、及び、各充填剤成分の体積割合より算出されるパラメータを特定範囲に制御した光反射用熱硬化性樹脂組成物が知られている(特許文献5参照)。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2000-204244号公報
特許文献2 : 特開2004-75994号公報
特許文献3 : 特開2006-257314号公報
特許文献4 : 特開2010-235753号公報
特許文献5 : 特開2010-235756号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 上述の特許文献1~5に記載の材料より作製したリフレクターは、高出力の青色光半導体や白色光半導体を光源とする発光装置において、半導体素子から発せられる熱によって経時で黄変するなどして劣化し、光反射性が経時で低下するという問題を有していた。このため、リフレクターを形成するための材料としては、熱による光反射率の低下が少ないものが求められているのが現状である。
[0007]
 また、上記リフレクターには、光半導体素子から発せられる熱や光、各種応力(例えば、切削加工や温度変化により加えられる応力等)に対して、クラック(ひび割れ)を生じにくい(このような特性を「耐クラック性」と称する場合がある)等、強靭であることが求められている。特に、上記リフレクターには、低温から高温、高温から低温といった急激な温度変化が連続的に加えられた場合(冷熱サイクル等の温度サイクルに曝露された場合)や、光半導体装置の製造工程における半田リフロー時の高温加熱を経た場合にも、クラックを生じないだけの高い靱性(強靱性)を備えることが求められている。光半導体装置におけるリフレクターにクラックが生じてしまうと、光反射性が低下して(即ち、光の取り出し効率が低下して)、光半導体装置の信頼性を担保することが困難となるためである。
[0008]
 従って、本発明の目的は、高い光反射性を有し、耐熱性及び耐クラック性に優れ、強靱な硬化物を形成できる熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
 また、本発明の他の目的は、高い光反射性を有し、耐熱性及び耐クラック性に優れ、強靱な硬化物を提供することにある。
 さらに、本発明の他の目的は、高い光反射性を有し、耐熱性及び耐クラック性に優れ、強靱なリフレクターを有する高品質な光半導体素子搭載用基板を提供することにある。
 さらに、本発明の他の目的は、光の取り出し効率が高く、耐久性の高い光半導体装置を提供することにある。
[0009]
 なお、上記リフレクターには、さらに有することが望ましい特性として、金属製のリードフレームからの剥離やリードフレームの反り等の不具合を生じさせないため、できるだけ線膨張係数が低いこと等も求められる。
[0010]
 また、上記リフレクターは、一般に、該リフレクターを形成するための材料(樹脂組成物等)を、トランスファー成型やコンプレッション成型等の金型を用いた成型方法(成形方法)に付すことにより作製される。このため、上記リフレクターを形成するための材料には、金型を使用したトランスファー成型やコンプレッション成型における生産性の観点から、成型後の金型からの離型性に優れることも求められる。

課題を解決するための手段

[0011]
 本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のエポキシ化合物と、硬化剤と、白色顔料と、特定のポリカーボネートポリオールと、硬化促進剤と、ウィスカーとを必須成分として含有する熱硬化性樹脂組成物が、高い光反射性(光反射率)を有し、耐熱性及び耐クラック性に優れ、強靱な硬化物を形成でき、特に、光半導体素子搭載用基板及び該基板を有する光半導体装置におけるリフレクターを形成するための樹脂組成物(リフレクター形成用樹脂組成物)として有用であることを見出し、本発明を完成させた。
[0012]
 すなわち、本発明は、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)と、硬化剤(B)と、白色顔料(C)と、2個以上の末端水酸基を有するポリカーボネートポリオール(D)と、硬化促進剤(E)と、ウィスカー(F)とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物を提供する。
[0013]
 さらに、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)が、2個以上のシクロヘキセンオキシド基を有する化合物である前記の熱硬化性樹脂組成物を提供する。
[0014]
 さらに、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)が、下記式(1-1)
[化1]


で表される化合物である前記の熱硬化性樹脂組成物を提供する。
[0015]
 さらに、白色顔料(C)として酸化チタンを含む前記の熱硬化性樹脂組成物を提供する。
[0016]
 さらに、白色顔料(C)としてさらにシリカを含む前記の熱硬化性樹脂組成物を提供する。
[0017]
 さらに、ウィスカー(F)が、酸化亜鉛ウィスカー及び酸化チタンウィスカーからなる群より選択された少なくとも1種である前記の熱硬化性樹脂組成物を提供する。
[0018]
 さらに、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)と2個以上の末端水酸基を有するポリカーボネートポリオール(D)の合計量(100重量%)に対して、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)95~50重量%と、2個以上の末端水酸基を有するポリカーボネートポリオール(D)5~50重量%とを含む前記の熱硬化性樹脂組成物を提供する。
[0019]
 さらに、2個以上の末端水酸基を有するポリカーボネートポリオール(D)が、2個の末端水酸基を有するポリカーボネートジオールである前記の熱硬化性樹脂組成物を提供する。
[0020]
 さらに、トランスファー成型用又はコンプレッション成型用樹脂組成物である前記の熱硬化性樹脂組成物を提供する。
[0021]
 さらに、リフレクター形成用樹脂組成物である前記の熱硬化性樹脂組成物を提供する。
[0022]
 また、本発明は、前記の熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物を提供する。
[0023]
 また、本発明は、前記の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されたリフレクターを有する光半導体素子搭載用基板を提供する。また、本発明は、前記の光半導体素子搭載用基板と、該基板に搭載された光半導体素子とを有する光半導体装置を提供する。
[0024]
 すなわち、本発明は以下に関する。
(1)シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)と、硬化剤(B)と、白色顔料(C)と、2個以上の末端水酸基を有するポリカーボネートポリオール(D)と、硬化促進剤(E)と、ウィスカー(F)とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
(2)シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)が、2個以上のシクロヘキセンオキシド基を有する化合物である(1)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(3)シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)が、後述の式(1)で表される化合物である(1)又は(2)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(4)シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)が、後述の式(1-1)~(1-10)のうちの少なくとも1つで表される化合物である(1)~(3)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(5)シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)が、後述の式(1-1)で表される化合物である(1)~(4)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(6)シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)の含有量(配合量)が、熱硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、2~20重量%である(1)~(5)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(7)熱硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物)の全量(100重量%)に対するシクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)の割合が、50重量%以上(50~100重量%)である(1)~(6)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(8)さらに、後述のその他のエポキシ化合物を含む(1)~(7)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(9)その他のエポキシ化合物が、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、(i)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物、及び(ii)脂環とグリシジル基とを有する化合物等の、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)以外の脂環を有するエポキシ化合物からなる群より選択される少なくとも一つである(8)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(10)その他のエポキシ化合物の含有量(配合量)が、熱硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量%)に対して、50重量%未満(0重量%以上、50重量%未満)である(8)又は(9)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(11)硬化剤(B)が、酸無水物系硬化剤である(1)~(10)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(12)酸無水物系硬化剤が、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、水素化無水ピロメリット酸、水素化ビフェニル二無水物、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、及びメチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物からなる群より選択された少なくとも一つである(1)~(11)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(13)硬化剤(B)の含有量(配合量)が、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)100重量部に対して、50~200重量部である(1)~(12)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(14)白色顔料(C)として酸化チタンを含む(1)~(13)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(15)白色顔料(C)としてさらにシリカを含む(14)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(16)白色顔料(C)の含有量(配合量)が、熱硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、65重量%以上である(1)~(15)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(17)ウィスカー(F)が、酸化亜鉛ウィスカー及び酸化チタンウィスカーからなる群より選択された少なくとも1種である(1)~(16)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(18)ウィスカー(F)の含有量(配合量)が、熱硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、0.5~8重量%である(1)~(17)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(19)ポリカーボネートポリオール(D)の含有量(配合量)が、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)100重量部に対して、5~40重量部である(1)~(18)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(20)シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)と2個以上の末端水酸基を有するポリカーボネートポリオール(D)の合計量(100重量%)に対して、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)95~50重量%と、2個以上の末端水酸基を有するポリカーボネートポリオール(D)5~50重量%とを含む(1)~(19)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(21)2個以上の末端水酸基を有するポリカーボネートポリオール(D)が、2個の末端水酸基を有するポリカーボネートジオールである(1)~(20)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(22)硬化促進剤(E)が、後述の式(6)で表されるホスホニウムイオンと該ホスホニウムイオンとイオン対を形成しうるハロゲンアニオンとのイオン結合体である(1)~(21)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(23)硬化促進剤(E)の含有量(配合量)が、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)100重量部に対して、0.1~10重量部である(1)~(22)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(24)さらに離型剤を含む(1)~(23)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(25)離型剤がフッ素系離型剤である(24)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(26)離型剤の含有量(配合量)が、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)100重量部に対して、1~12重量部である(24)又は(25)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(27)トランスファー成型用又はコンプレッション成型用樹脂組成物である(1)~(26)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(28)リフレクター形成用樹脂組成物である(1)~(27)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(29)(1)~(28)のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物。
(30)(29)に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されたリフレクターを有する光半導体素子搭載用基板。
(31)(29)に記載の光半導体素子搭載用基板と、該基板に搭載された光半導体素子とを有する光半導体装置。

発明の効果

[0025]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は上記構成を有するため、該樹脂組成物を熱硬化させることにより、高い光反射性を有し、耐熱性及び耐クラック性に優れ、強靱な硬化物を形成することができる。従って、本発明の熱硬化性樹脂組成物をリフレクターを形成するための樹脂組成物(リフレクター形成用樹脂組成物)として使用することにより、高い光反射性を有し、耐熱性及び耐クラック性に優れ、なおかつ強靱なリフレクターを有する、高品質な光半導体素子搭載用基板が得られる。さらに、上記光半導体素子搭載用基板を光半導体装置の基板として使用することにより、光の取り出し効率が高く、耐久性の高い光半導体装置が得られる。

図面の簡単な説明

[0026]
[図1] 本発明の光半導体素子搭載用基板の一例を示す概略図である。左側の図(a)は斜視図であり、右側の図(b)は断面図である。
[図2] 本発明の光半導体装置の一例を示す概略図(断面図)である。

発明を実施するための形態

[0027]
<熱硬化性樹脂組成物>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)(以下、単に「脂環式エポキシ化合物(A)」と称する場合がある)と、硬化剤(B)と、白色顔料(C)と、2個以上の末端水酸基を有するポリカーボネートポリオール(D)(以下、単に「ポリカーボネートポリオール(D)」と称する場合がある)と、硬化促進剤(E)と、ウィスカー(F)とを必須成分として含有する熱硬化性組成物(熱硬化性エポキシ樹脂組成物)である。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記必須成分以外にも、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。
[0028]
[脂環式エポキシ化合物(A)]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物における脂環式エポキシ化合物(A)は、分子内に脂環エポキシ基(脂肪族炭化水素環(脂環)を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基)を少なくとも有する化合物であって、シクロヘキセンオキシド基(シクロヘキサン環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基)を少なくとも有する化合物である。
[0029]
 脂環式エポキシ化合物(A)としては、分子内にシクロヘキセンオキシド基を1個以上有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、特に限定されない。中でも、脂環式エポキシ化合物(A)としては、硬化物の透明性、耐熱性の観点で、分子内に2個以上のシクロヘキセンオキシド基を有する化合物が好ましく、より好ましくは下記式(1)で表される化合物である。
[化2]


[0030]
 式(1)中、Xは単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基等が挙げられる。
[0031]
 式(1)中のXが単結合である化合物としては、3,4,3',4'-ジエポキシビシクロヘキサン等が挙げられる。
[0032]
 上記2価の炭化水素基としては、炭素数が1~18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1~18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。上記2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2-シクロペンチレン基、1,3-シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の2価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
[0033]
 上記連結基Xとしては、特に、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、-CO-、-O-CO-O-、-COO-、-O-、-CONH-;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と2価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては上記で例示したものが挙げられる。
[0034]
 上記式(1)で表される化合物の代表的な例としては、下記式(1-1)~(1-10)で表される化合物等が挙げられる。なお、下記式(1-5)、(1-7)中のl、mは、それぞれ1~30の整数を表す。下記式(1-5)中のRは炭素数1~8のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s-ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1~3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(1-9)、(1-10)中のn1~n6は、それぞれ1~30の整数を示す。
[化3]


[化4]


[0035]
 脂環式エポキシ化合物(A)としては、中でも、硬化物の耐熱性をいっそう向上させ、より優れた耐黄変性を発現させる観点で、上記式(1-1)で表される化合物[3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート;例えば、商品名「セロキサイド2021P」((株)ダイセル製)等]が特に好ましい。
[0036]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物において脂環式エポキシ化合物(A)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、脂環式エポキシ化合物(A)は、公知乃至慣用の方法により製造することができる。なお、脂環式エポキシ化合物(A)としては、例えば、商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド2081」(以上、(株)ダイセル製)等の市販品を使用することもできる。
[0037]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物における脂環式エポキシ化合物(A)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、2~20重量%が好ましく、より好ましくは4~15重量%、さらに好ましくは5~10重量%である。脂環式エポキシ化合物(A)の含有量を2重量%以上とすることにより、硬化物の耐熱性がより向上し、いっそう優れた耐黄変性を発現する傾向がある。一方、脂環式エポキシ化合物(A)の含有量を20重量%以下とすることにより、硬化物の線膨張係数を低くすることができ、光半導体素子搭載用基板におけるリードフレームの反り等の不具合の発生が抑制される傾向がある。
[0038]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物)の全量(100重量%)に対する脂環式エポキシ化合物(A)の割合は、特に限定されないが、50重量%以上(例えば、50~100重量%)が好ましく、より好ましくは70重量%以上(例えば、70~95重量%)である。脂環式エポキシ化合物(A)の割合を50重量%以上とすることにより、硬化物の耐熱性及び耐光性がより向上し、いっそう優れた耐黄変性を発現する傾向がある。
[0039]
[その他のエポキシ化合物]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、脂環式エポキシ化合物(A)以外のエポキシ化合物(「その他のエポキシ化合物」と称する場合がある)を含んでいてもよい。上記その他のエポキシ化合物としては、公知乃至慣用のエポキシ化合物が挙げられ、特に限定されないが、例えば、芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物[例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAのクレゾールノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物等]等の芳香族エポキシ化合物;脂肪族グリシジルエーテル系エポキシ化合物[例えば、脂肪族ポリグリシジルエーテル等]等の脂肪族エポキシ化合物;(i)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物、(ii)脂環とグリシジル基とを有する化合物等の、脂環式エポキシ化合物(A)以外の脂環を有するエポキシ化合物等が挙げられる。なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物においてその他のエポキシ化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
[0040]
 上述の(i)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物としては、例えば、下記式(2)で表される化合物等が挙げられる。
[化5]


[0041]
 式(2)中、R'は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(-OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、qはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R'(OH) p]としては、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノール等の多価アルコール(炭素数1~15のアルコール等)等が挙げられる。pは1~6が好ましく、qは1~30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの( )内(外側の括弧内)の基におけるqは同一でもよく異なっていてもよい。上記式(2)で表される化合物としては、具体的には、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
[0042]
 上述の(ii)脂環とグリシジル基とを有する化合物としては、例えば、2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2-ビス[3,5-ジメチル-4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、ビスフェノールA型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物)等;ビス[o,o-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[o,p-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[p,p-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5-ジメチル-4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビスフェノールF型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物)等;水添ビフェノール型エポキシ化合物;水添フェノールノボラック型エポキシ化合物;水添クレゾールノボラック型エポキシ化合物;ビスフェノールAの水添クレゾールノボラック型エポキシ化合物;水添ナフタレン型エポキシ化合物;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物の水添エポキシ化合物等が挙げられる。
[0043]
 中でも、その他のエポキシ化合物としては、熱硬化性樹脂組成物の取り扱い性(特に打錠性に優れた固体としての取り扱い性)の観点で、(i)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物が好ましく、より好ましくは式(2)で表される化合物である。
[0044]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物におけるその他のエポキシ化合物の含有量(配合量)は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量%)に対して、50重量%未満(例えば、0重量%以上、50重量%未満)が好ましく、より好ましくは30重量%未満(例えば、5重量%以上、30重量%未満)である。その他のエポキシ化合物の含有量を50重量%未満とすることにより、例えば、硬化物の耐熱性や耐光性がより向上する傾向がある。一方、その他のエポキシ化合物の種類によっては、含有量を5重量%以上とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の取り扱い性(特に打錠性に優れた固体としての取り扱い性)がより向上する傾向がある。
[0045]
[硬化剤(B)]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物における硬化剤(B)は、脂環式エポキシ化合物(A)等のエポキシ基を有する化合物と反応して熱硬化性樹脂組成物を硬化させる働きを有する化合物である。硬化剤(B)としては、エポキシ樹脂用硬化剤として公知乃至慣用の硬化剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤等が挙げられる。なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物において硬化剤(B)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。中でも、硬化物の耐熱性、耐黄変性の観点で、硬化剤(B)としては、酸無水物系硬化剤が好ましい。
[0046]
 上記酸無水物系硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等の25℃で液状の酸無水物や、無水コハク酸、水素化無水ピロメリット酸、水素化ビフェニル二無水物、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸(例えば、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸)、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等の25℃で固体(固体状)の酸無水物等が挙げられる。また、上記酸無水物系硬化剤としては、特開2011-219534号公報に記載の多価カルボン酸縮合体等を使用することもできる。なお、酸無水物系硬化剤は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
[0047]
 硬化剤(B)は、公知乃至慣用の方法により製造することができる。また、硬化剤(B)としては、市販品を使用することもできる。例えば、上記酸無水物系硬化剤の市販品として、商品名「リカシッド MH-700」、「リカシッド MH-700F」、「リカシッド MH-700G」、「リカシッド TH」、「リカシッドHH」(以上、新日本理化(株)製);商品名「HN-5500」(日立化成工業(株)製)等が挙げられる。
[0048]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物における硬化剤(B)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、脂環式エポキシ化合物(A)100重量部に対して、50~200重量部が好ましく、より好ましくは70~150重量部である。より具体的には、硬化剤(B)は、本発明の熱硬化性樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ基を有する化合物におけるエポキシ基1当量あたり、0.5~1.5当量となる割合で使用することが好ましく、より好ましくは0.8~1.2当量となる割合である。硬化剤(B)の含有量を50重量部以上とすることにより、効率的に硬化反応を進行させることができ、硬化物の強靱性や耐黄変性が極大となる傾向がある。一方、硬化剤(B)の含有量を200重量部以下とすることにより、効率的に硬化反応を進行させることができ、着色の少ない色相が良好な硬化物が得られやすい傾向がある。
[0049]
[白色顔料(C)]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物における白色顔料(C)は、特に、熱硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物に対して高い光反射性を付与し、また、その含有量を制御することにより硬化物の線膨張率を低減させる役割を担う。白色顔料(C)としては、公知乃至慣用の白色顔料を使用することができ、特に限定されないが、例えば、ガラス、クレー、雲母、タルク、カオリナイト(カオリン)、ハロイサイト、ゼオライト、酸性白土、活性白土、ベーマイト、擬ベーマイト、無機酸化物、アルカリ土類金属塩等の金属塩等の無機白色顔料;スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、尿素-ホルマリン系樹脂、メラミン-ホルマリン系樹脂、アミド系樹脂等の樹脂顔料等の有機白色顔料(プラスチックピグメント等);中空構造(バルーン構造)を有する中空粒子等が挙げられる。
[0050]
 上記無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン(ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素(シリカ)等が挙げられる。また、上記アルカリ土類金属塩としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。また、アルカリ土類金属塩以外の金属塩としては、例えば、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫化亜鉛等が挙げられる。
[0051]
 上記中空粒子としては、特に限定されないが、例えば、無機ガラス(例えば、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、石英等)、シリカ、アルミナ等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ニッケル、珪酸カルシウム等の金属塩等の無機物により構成された無機中空粒子(シラスバルーン等の天然物も含む);スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル-スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン-共役ジエン系樹脂、アクリル-共役ジエン系樹脂、オレフィン系樹脂等のポリマー(これらポリマーの架橋体も含む)等の有機物により構成された有機中空粒子;無機物と有機物のハイブリッド材料により構成された無機-有機中空粒子等が挙げられる。なお、上記中空粒子は、単一の材料より構成されたものであってもよいし、2種以上の材料より構成されたものであってもよい。また、上記中空粒子の中空部(中空粒子の内部の空間)は、真空状態であってもよいし、媒質で満たされていてもよいが、特に、硬化物の光反射性向上の観点では、屈折率が低い媒質(例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガスや空気等)で満たされた中空粒子が好ましい。
[0052]
 なお、白色顔料(C)は、公知乃至慣用の表面処理(例えば、金属酸化物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の表面処理剤による表面処理等)が施されたものであってもよい。このような表面処理を施すことにより、熱硬化性樹脂組成物における他の成分との相溶性や分散性を向上させることができる場合がある。
[0053]
 白色顔料(C)の形状は、特に限定されないが、例えば、球状、破砕状、繊維状、針状、鱗片状等が挙げられる。中でも、白色顔料(C)の分散性の観点で、球状の白色顔料が好ましく、特に真球状の白色顔料(例えば、アスペクト比が1.2以下の球状の白色顔料)が好ましい。
[0054]
 白色顔料(C)の中心粒径は、特に限定されないが、硬化物の光反射性向上の観点で、0.1~50μmが好ましい。特に、白色顔料(C)として無機酸化物を用いる場合、該無機酸化物の中心粒径は、特に限定されないが、0.1~50μmが好ましく、より好ましくは0.1~30μmである。なお、上記中心粒径は、レーザー回折・散乱法で測定した粒度分布における積算値50%での粒径(メディアン径)を意味する。
[0055]
 中でも、白色顔料(C)としては、入手性、耐熱性、耐光性の観点で、無機酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素等)が好ましく、より好ましくは酸化チタン、酸化ケイ素(シリカ)である。特に、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化物に対してより高い光反射性を発現させることができる点で、白色顔料(C)として酸化チタンを少なくとも含むことが好ましく、酸化チタンに加えてさらにシリカを含むことがより好ましい。
[0056]
 なお、白色顔料(C)は、公知乃至慣用の製造方法により製造することができる。また、白色顔料(C)としては、市販品を用いることもでき、例えば、商品名「SR-1」、「R-42」、「R-45M」、「R-650」、「R-32」、「R-5N」、「GTR-100」、「R-62N」、「R-7E」、「R-44」、「R-3L」、「R-11P」、「R-21」、「R-25」、「TCR-52」、「R-310」、「D-918」、「FTR-700」(以上、堺化学工業(株)製)、商品名「タイペークCR-50」、「CR-50-2」、「CR-60」、「CR-60-2」、「CR-63」、「CR-80」、「CR-90」、「CR-90-2」、「CR-93」、「CR-95」、「CR-97」(以上、石原産業(株)製)、商品名「JR-301」、「JR-403」、「JR-405」、「JR-600A」、「JR-605」、「JR-600E」、「JR-603」、「JR-805」、「JR-806」、「JR-701」、「JRNC」、「JR-800」、「JR」(以上、テイカ(株)製)、商品名「TR-600」、「TR-700」、「TR-750」、「TR-840」、「TR-900」(以上、富士チタン工業(株)製)、商品名「KR-310」、「KR-380」、「KR-380N」、「ST-410WB」、「ST-455」、「ST-455WB」、「ST-457SA」、「ST-457EC」、「ST-485SA15」、「ST-486SA」、「ST-495M」(以上、チタン工業(株)製)等のルチル型酸化チタン;商品名「A-110」、「TCA-123E」、「A-190」、「A-197」、「SA-1」、「SA-1L」、「SSPシリーズ」、「CSBシリーズ」(以上、堺化学工業(株)製)、商品名「JA-1」、「JA-C」、「JA-3」(以上、テイカ(株)製)、商品名「KA-10」、「KA-15」、「KA-20」、「STT-65C-S」、「STT-30EHJ」(以上、チタン工業(株)製)、商品名「DCF-T-17007」、「DCF-T-17008」、「DCF-T-17050」(以上、レジノカラー工業(株)製)等のアナターゼ型酸化チタン;商品名「FB910」、「FB940」等のFBシリーズ(以上、電気化学工業(株)製)、「MSR-2212」、「MSR25」(以上、(株)龍森製)、「HS-105」、「HS-106」、「HS-107」(以上、マイクロン社製)等のシリカ等が使用できる。
[0057]
 中でも、白色顔料(C)における酸化チタンとしては、特に硬化物の光反射性と耐黄変性に優れる点で、商品名「R-62N」、「CR-60」、「DCF-T-17008」、「DCF-T-17050」が好ましい。
[0058]
 なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物において白色顔料(C)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
[0059]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物における白色顔料(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、65重量%以上(例えば、65~90重量%)が好ましく、より好ましくは75重量%以上(例えば、75~90重量%)である。白色顔料(C)の含有量を65重量%以上とすることにより、硬化物の光反射性がより向上し、さらに、硬化物の線膨張係数がより低くなって、光半導体素子搭載用基板におけるリードフレームの反り等の不具合が生じにくくなる傾向がある。一方、白色顔料(C)の含有量を90重量%以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物が良好な流動性を有し、成型(特に、トランスファー成型)時の未充填等の問題が抑制される傾向がある。
[0060]
 なお、白色顔料(C)として酸化チタンを使用する場合、該酸化チタンの含有量(配合量)は、硬化物の耐黄変性と光反射性のバランスの観点で、白色顔料(C)の全量(100重量%)に対して、5~40重量%が好ましく、より好ましくは10~35重量%である。酸化チタンの含有量を5重量%以上とすることにより、硬化物の光反射性がより向上する傾向がある。一方、酸化チタンの含有量を40重量%以下とすることにより、酸化チタンの添加による流動性低下が抑えられる傾向がある。上述のように、白色顔料(C)として酸化チタンを使用する場合には、シリカを併用することが好ましい。
[0061]
[ポリカーボネートポリオール(D)]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物におけるポリカーボネートポリオール(D)は、分子内に2個以上の末端水酸基(末端に位置する水酸基)を有するポリカーボネートポリオールである。なお、ポリカーボネートポリオール(D)が有する末端水酸基は、アルコール性水酸基であってもよいし、フェノール性水酸基であってもよい。中でも、ポリカーボネートポリオール(D)としては、分子内に2個の末端水酸基を有するポリカーボネートジオール(特に、ポリカーボネート骨格の両末端にそれぞれ水酸基を有するポリカーボネートジオール)が好ましい。
[0062]
 ポリカーボネートポリオール(D)の数平均分子量は、特に限定されないが、200~10000が好ましく、より好ましくは300~5000、さらに好ましくは400~4000である。数平均分子量を200以上とすることにより、硬化物の弾性率や曲げ強度が向上し、より強靱性が向上する傾向がある。一方、数平均分子量を10000以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物が25℃で液状を呈しやすく、取り扱い性がより向上する傾向がある。なお、ポリカーボネートポリオール(D)の数平均分子量は、ポリカーボネートポリオール(D)の水酸基価を用いて、下記式により算出することができる。
  [数平均分子量]= 56.11×n/[水酸基価]×1000
  但し、nは1分子のポリカーボネートポリオール(D)に含まれる水酸基の数を表し、例えば、ポリカーボネートジオールの場合には、n=2として数平均分子量を算出する。
[0063]
 ポリカーボネートポリオール(D)は、通常のポリカーボネートポリオールを製造する方法と同じく、ホスゲン法、又は、ジアルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等)若しくはジフェニルカーボネートを用いるカーボネート交換反応(例えば、特開昭62-187725号公報、特開平2-175721号公報、特開平2-49025号公報、特開平3-220233号公報、特開平3-252420号公報等参照)等によって、製造することができる。ポリカーボネートポリオール(D)が分子内に有するカーボネート結合は熱分解を受けにくいため、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、高温高湿下においても優れた安定性を示す。
[0064]
 上述のカーボネート交換反応においてジアルキルカーボネート若しくはジフェニルカーボネートと共に用いられるポリオール(ポリカーボネートポリオール(D)の原料としてのポリオール)としては、特に限定されないが、例えば、1,6-ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,12-ドデカンジオール、ブタジエンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。このようなポリオールとしては、例えば、商品名「クラレポリオールND」、「クラレポリオールMPD」(以上、(株)クラレ)等の市販品を使用することもできる。
[0065]
 ポリカーボネートポリオール(D)としては、例えば、商品名「プラクセルCD205」、「プラクセルCD210」、「プラクセルCD220」、「プラクセルCD205PL」、「プラクセルCD205HL」、「プラクセルCD210PL」、「プラクセルCD210HL」、「プラクセルCD220PL」、「プラクセルCD220HL」、「プラクセルCD220EC」、「プラクセルCD221T」(以上、(株)ダイセル製);商品名「ETERNACOLL UH-CARB50」、「ETERNACOLL UH-CARB100」、「ETERNACOLL UH-CARB300」、「ETERNACOLL UH-CARB90(1/3)」、「ETERNACOLL UH-CARB90(1/1)」、「ETERNACOLL UH-CARB100」(以上、宇部興産(株)製);商品名「デュラノールT6002」、「デュラノールT5652」、「デュラノールT4672」、「デュラノールT4692」、「デュラノールG3452」(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)等の市販品を用いることもできる。
[0066]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物においてポリカーボネートポリオール(D)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
[0067]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物におけるポリカーボネートポリオール(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、脂環式エポキシ化合物(A)100重量部に対して、5~40重量部が好ましく、より好ましくは10~35重量部、さらに好ましくは15~30重量部である。ポリカーボネートポリオール(D)の含有量を5重量部以上とすることにより、硬化物の強靱性がいっそう向上する傾向がある。一方、ポリカーボネートポリオール(D)の含有量を40重量部以下とすることにより、硬化物の耐熱性、耐黄変性がいっそう向上する傾向がある。
[0068]
 特に限定されないが、硬化物の耐クラック性、強靱性の観点で、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)とポリカーボネートポリオール(D)の合計量(100重量%)に対して、脂環式エポキシ化合物(A)95~50重量%と、ポリカーボネートポリオール(D)5~50重量%とを含むことが好ましく、特に、脂環式エポキシ化合物(A)90~60重量%と、ポリカーボネートポリオール(D)10~40重量%とを含むことが好ましい。
[0069]
[硬化促進剤(E)]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物における硬化促進剤(E)は、脂環式エポキシ化合物(A)等のエポキシ基を有する化合物が硬化剤(B)と反応する際の反応速度(硬化速度)を促進する機能を有する化合物である。硬化促進剤(E)としては、公知乃至慣用の硬化促進剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩);1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩);ベンジルジメチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン等の3級アミン;2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール;リン酸エステル、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p-トリル)ボレート、第四級ホスホニウムブロマイド等のホスホニウム化合物;オクチル酸亜鉛やオクチル酸スズ等の有機金属塩;金属キレート等が挙げられる。
[0070]
 特に、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、下記式(6)で表されるホスホニウムイオンと該ホスホニウムイオンとイオン対を形成しうるハロゲンアニオンとのイオン結合体を、必須の硬化促進剤(E)として含有することが好ましい。硬化促進剤(E)として上記イオン結合体を含有することにより、本発明の熱硬化性樹脂組成物の保存性が向上するために可使時間(ポットライフ)が長く、なおかつ硬化性(反応性)が向上するため硬化させる際には優れた硬化速度で硬化させることができる。さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物の耐熱性がさらに向上し、熱による着色等の劣化がいっそう抑制される傾向がある。
[化6]


[0071]
 上記式(6)で表されるホスホニウムイオンとハロゲンアニオンとのイオン結合体(第4級有機ホスホニウム塩)は、ホスホニウムイオンとハロゲンアニオンが少なくとも1個のイオン対を形成したものである。上記イオン結合体は、高温にさらされる硬化時にすみやかに解離し、ホスホニウムイオンが硬化を促進する作用を有する。
[0072]
 式(6)中のR 8、R 9、R 10、及びR 11は、同一又は異なって、炭素数1~20の炭化水素基を示す。上記炭素数1~20の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~20のアラルキル基、炭素数6~20のアリール基等が挙げられる。上記炭素数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基等の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基等が挙げられる。上記炭素数7~20のアラルキル基としては、ベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、ジメチルベンジル基、ジエチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、エチルフェネチル基、メチルフェネチル基、エチルフェネチル基等が挙げられる。上記炭素数6~20のアリール基としては、例えば、フェニル基;メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等の置換フェニル基;ナフチル基等が挙げられる。これらの中でも、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数2~4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基;ベンジル基、エチルベンジル基、フェネチル基、エチルフェネチル基等の炭素数7~10のアラルキル基;フェニル基、メチルフェニル基等の炭素数6~8のアリール基等が好ましく、より好ましくは炭素数7~10のアラルキル基、炭素数6~8のアリール基である。
[0073]
 即ち、上記式(6)で表されるホスホニウムイオンとしては、特に、R 8、R 9、R 10、及びR 11が、同一又は異なって、炭素数7~10のアラルキル基、又は炭素数6~8のアリール基であるものが好ましく;より好ましくは、R 8、R 9、R 10、及びR 11として、炭素数7~10のアラルキル基及び炭素数6~8のアリール基の両方を有するもの;さらに好ましくは、R 8、R 9、R 10、及びR 11のうち、1つ又は2つ(好ましくは1つ)が炭素数7~10のアラルキル基であり、R 8、R 9、R 10、及びR 11のうち、3つ又は2つ(好ましくは3つ)が炭素数6~8のアリール基であるものである。
[0074]
 上記式(6)で表されるホスホニウムイオンとイオン対を形成しうるハロゲンアニオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が挙げられる。中でも、臭素イオン、ヨウ素イオンが好ましい。
[0075]
 上記式(6)で表されるホスホニウムイオンとハロゲンアニオンとのイオン結合体(第4級有機ホスホニウム塩)としては、具体的には、例えば、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムヨージド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨージド、エチルトリフェニルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、プロピルトリフェニルホスホニウムクロリド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロミド、プロピルトリフェニルホスホニウムヨージド、ブチルトリフェニルホスホニウムクロリド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ブチルトリフェニルホスホニウムヨージド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムヨージド、テトラメチルホスホニウムヨージド、テトラエチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムヨージド等が挙げられる。中でも、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨージド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムヨージドが好ましい。特に、上述の効果(上記イオン結合体を含有することによる効果)が顕著に得られる観点で、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムヨージドがより好ましく、さらに好ましくはベンジルトリフェニルホスホニウムブロミドである。
[0076]
 なお、上記式(6)で表されるホスホニウムイオンとハロゲンアニオンとのイオン結合体(第4級有機ホスホニウム塩)として、例えば、商品名「U-CAT 5003」(サンアプロ(株)製)等を使用することもできる。また、その他の硬化促進剤(E)としては、例えば、商品名「U-CAT SA 506」、「U-CAT SA 102」、「U-CAT 18X」、「12XD」(開発品)(以上、サンアプロ(株)製);商品名「TPP-K」、「TPP-MK」(以上、北興化学工業(株)製);商品名「PX-4ET」(日本化学工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。
[0077]
 なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物において硬化促進剤(E)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
[0078]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物における硬化促進剤(E)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、脂環式エポキシ化合物(A)100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましく、より好ましくは0.3~8重量部である。硬化促進剤(E)の含有量を0.1重量部以上とすることにより、特に、トランスファー成型においても十分に硬化反応を進行させることができ、硬化物をより効率的に生成させやすい傾向がある。一方、硬化促進剤(E)の含有量を10重量部以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の保存性がより向上し、また、着色の少ない色相が良好な硬化物が得られやすい傾向がある。
[0079]
 また、本発明の熱硬化性樹脂組成物が硬化促進剤(E)として上記式(6)で表されるホスホニウムイオンとハロゲンアニオンとのイオン結合体を含有する場合、該イオン結合体の含有量(配合量)は、特に限定されないが、脂環式エポキシ化合物(A)100重量部に対して、0.5~10重量部が好ましく、より好ましくは1~8重量部である。上記イオン結合体の含有量を0.5重量部以上とすることにより、熱硬化性樹脂組成物がポットライフと硬化時の反応性のバランスにより優れるものとなり、また、硬化物の耐熱性(特に、耐黄変性)がより向上する傾向がある。一方、イオン結合体の含有量を10重量部以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物のポットライフがより長くなったり、硬化物の着色が抑制されてより色相が良好な硬化物が得られやすくなる傾向がある。
[0080]
[ウィスカー(F)]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物におけるウィスカー(F)は、特に、熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物に対して優れた強靭性を付与し、また、金型からの離型性を向上させる役割を担う。また、成型時のバリ発生を抑制する効果を奏する。ウィスカー(F)としては、公知乃至慣用のウィスカーを使用することができ、特に限定されないが、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、酸化マグネシウムウィスカー、ホウ酸マグネシウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、二ホウ化チタンウィスカー、グラファイトウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー、α-アルミナウィスカー、クリソタイルウィスカー、ワラストナイトウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ケイ酸アルミニウムウィスカー、ケイ酸カルシウムウィスカー、酸化チタンウィスカー、酸化ジルコニウムウィスカー等が挙げられる。
[0081]
 中でも、ウィスカー(F)としては、硬化物の強靭性と金型からの離型性の観点で、酸化亜鉛ウィスカー又は酸化チタンウィスカーが好ましい。
[0082]
 なお、ウィスカー(F)は、公知乃至慣用の表面処理(例えば、金属酸化物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の表面処理剤による表面処理等)が施されたものであってもよい。このような表面処理を施すことにより、熱硬化性樹脂組成物における他の成分との相溶性や分散性をより向上させることができる場合がある。
[0083]
 ウィスカー(F)の針状繊維長さは、特に限定されないが、0.1~100μmが好ましく、より好ましくは1~80μmである。ウィスカー(F)の針状繊維径(直径)は、特に限定されないが、0.05~10μmが好ましく、より好ましくは0.1~5μmである。なお、ウィスカー(F)の針状繊維長さ、針状繊維径は、アルコール等の溶剤に分散させた状態での電子顕微鏡(例えば、TEM等)による観察によって測定することができる。また、熱硬化性樹脂組成物やその硬化物を燃焼させ、残渣を電子顕微鏡(例えば、SEM等)により観察することによっても測定することができる。
[0084]
 なお、ウィスカー(F)としては、例えば、商品名「パナテトラWZ-0501」、「パナテトラWZ-0501L」、「パナテトラWZ-0511」、「パナテトラWZ-0511L」、「パナテトラWZ-0531」、「パナテトラWZ-05E1」、「パナテトラWZ-05F1」(以上、酸化亜鉛ウィスカー、(株)アムテック製);商品名「FTL-100」、「FTL-110」、「FTL-200」、「FTL-300」(以上、酸化チタンウィスカー、石原産業(株)製);商品名「TOFIX-P」(酸化チタンウィスカー、東邦チタニウム(株)製)等の市販品を使用することもできる。
[0085]
 なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物においてウィスカー(F)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
[0086]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物におけるウィスカー(F)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、0.5~8重量%が好ましく、より好ましくは1~4重量%である。ウィスカー(F)の含有量を0.5重量%以上とすることにより、成型時のバリがいっそう抑制され、また、硬化物の強靱性や金型からの離型性がいっそう向上する傾向がある。一方、ウィスカー(F)の含有量を8重量%以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物が良好な流動性を有し、成型(特に、トランスファー成型)時の未充填等の問題がいっそう抑制される傾向がある。
[0087]
[酸化防止剤]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、さらに、酸化防止剤を含んでいてもよい。上記酸化防止剤としては、公知乃至慣用の酸化防止剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、フェノール系酸化防止剤(フェノール系化合物)、ヒンダードアミン系酸化防止剤(ヒンダードアミン系化合物)、リン系酸化防止剤(リン系化合物)、イオウ系酸化防止剤(イオウ系化合物)等が挙げられる。
[0088]
 上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-p-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール類;2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-{β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のビスフェノール類;1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3'-ビス-(4'-ヒドロキシ-3'-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5-トリス(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンジル)-s-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類等が挙げられる。
[0089]
 上記ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、メチル-1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
[0090]
 上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2、4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2-t-ブチル-6-メチル-4-{2-(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類;9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類等が挙げられる。
[0091]
 上記イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ドデカンチオール、ジラウリル-3,3'-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3'-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3'-チオジプロピオネート等が挙げられる。
[0092]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物において酸化防止剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、酸化防止剤としては、例えば、商品名「Irganox1010」(BASF製、フェノール系酸化防止剤)、商品名「AO-60」((株)ADEKA製、フェノール系酸化防止剤)、商品名「Irgafos168」(BASF製、リン系酸化防止剤)、商品名「アデカスタブ HP-10」((株)ADEKA製、リン系酸化防止剤)等の市販品を使用することもできる。
[0093]
 中でも、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましく、特に、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤又はイオウ系酸化防止剤とを併用することが好ましく、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用することが最も好ましい。
[0094]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物における酸化防止剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、脂環式エポキシ化合物(A)100重量部に対して、0.1~5重量部が好ましく、より好ましくは0.5~3重量部である。酸化防止剤の含有量を0.1重量部以上とすることにより、硬化物の酸化が効率的に防止され、耐黄変性がより向上する傾向がある。一方、酸化防止剤の含有量を5重量部以下とすることにより、硬化物の着色が抑制され、色相がより良好となる傾向がある。
[0095]
 特に、本発明の熱硬化性樹脂組成物においてフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用する場合、これら酸化防止剤の割合(重量比;フェノール系酸化防止剤/リン系酸化防止剤)は、硬化物の耐黄変性の観点で、20/80~80/20が好ましく、より好ましくは40/60~60/40である。
[0096]
[離型剤]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、さらに、離型剤を含んでいてもよい。離型剤を含むことにより、トランスファー成型等の金型を使用した成形法による連続成型が容易となり、高い生産性で硬化物(特に、リフレクター)を製造することが可能となる。離型剤としては、硬化物の耐熱性や耐黄変性の観点で、特にフッ素系離型剤を好ましく使用できる。上記フッ素系離型剤としては、公知乃至慣用のフッ素系離型剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、分子内にフッ素原子と反応性基(例えば、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、アルコキシシリル基等)とを有する化合物等が挙げられる。より具体的には、フッ素系離型剤としては、例えば、フルオロアルキル基(水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルキル基)を有するエポキシ化合物;フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート;フルオロアルキル基を有するアミン;フルオロアルキル基を有する加水分解性基含有シリケート等が挙げられる。中でも、フルオロアルキル基を有するエポキシ化合物、フルオロアルキル基を有する加水分解性基含有シリケートが好ましい。
[0097]
 上記フルオロアルキル基を有するエポキシ化合物としては、例えば、エポキシ基を有するフッ素置換炭化水素(エポキシ基含有フッ素置換炭化水素)等が挙げられ、より具体的には、例えば、下記式(3)で表される化合物(フルオロアルキルを有する単官能エポキシ化合物)等が挙げられる。
[化7]


[0098]
 上記式(3)におけるrは1~15の整数を示す。また、sは1~5の整数を示す。Yは、水素原子、フッ素原子、又はフルオロアルキル基を示す。上記フルオロアルキル基としては、例えば、水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換された炭素数1~20(好ましくは1~10)のアルキル基[例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロイソプロピル基等]等が挙げられる。なお、式(3)における-(CH 2r-は、水素原子の一部がヒドロキシル基に置換されたものであってもよく、また、途中にエーテル結合が含まれたものであってもよい。式(3)で表される化合物としては、より具体的には、下記式で表される化合物(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロヘプチルオキシラン)等が挙げられる。
[化8]


[0099]
 上記フルオロアルキル基を有するエポキシ化合物としては、例えば、商品名「E-1430」、「E-1630」、「E-1830」、「E-2030」、「E-3430」、「E-3630」、「E-3830」、「E-4030」、「E-5244」、「E-5444」、「E-5644」、「E-5844」(以上、ダイキン工業(株)製)等の市販品(フルオロアルキル基を有するエポキシ化合物を含む市販品)を使用することもできる。
[0100]
 上記フルオロアルキル基を有する加水分解性基含有シリケートとしては、例えば、下記式(4)で表される化合物(4官能含フッ素オルガノシリケート)又はその縮合物(オリゴマー);下記式(5)で表される化合物(2又は3官能含フッ素オルガノシリケート)又はその縮合物(オリゴマー);さらには4官能含フッ素オルガノシリケートと2又は3官能含フッ素オルガノシリケートとの共縮合物(コオリゴマー)等が挙げられる。
[化9]


[化10]


[0101]
 上記式(4)におけるR 4は、同一又は異なって、酸素原子、窒素原子、及びケイ素原子からなる群より選択された少なくとも1種が含まれていてもよい炭素数1~20(好ましくは1~10)の含フッ素炭化水素基を示す。含フッ素炭化水素基としては、例えば、炭素数1~10のアルキル基[例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、i-ヘキシル基、n-オクチル等の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基]、炭素数1~10のアリール基[例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基等の置換又は無置換のアリール基]等の炭化水素基における水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。tは、1~4の整数を示す。R 5は、同一又は異なって、炭素数1~10の炭化水素基を示す。炭化水素基としては、例えば、炭素数1~10のアルキル基[例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、i-ヘキシル基、n-オクチル等の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基]、炭素数1~10のアリール基[例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基等の置換又は無置換のアリール基]等が挙げられる。
[0102]
 上記式(5)におけるR 6は、同一又は異なって、炭素数1~10の炭化水素基を示し、例えば、R 5と同様のものが例示される。uは、1又は2を示す。R 7は、同一又は異なって、酸素原子、窒素原子、及びケイ素原子からなる群より選択された少なくとも1種が含まれていてもよい炭素数1~20(好ましくは1~10)の含フッ素炭化水素基を示し、例えば、R 4と同様のものが例示される。vは、1~3の整数を示す。uとvの合計(u+v)は、2~4の整数である。
[0103]
 式(4)及び(5)におけるR 4~R 7としては、より具体的には、国際公開第97/11130号パンフレットの7~8頁に記載の、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロカルボニル基、フルオロエーテル基等が挙げられ、中でも、-(CH 2wH(式中、wは0~6の整数である)、-CH(CH 32、-CH 2(CF 22H、-CH 2(CF 23H、-CH 2(CF 24H、-CHFCF 2CF 2H、-CH 2CF 3、-CH 2CF 2CF 3、-CH 2CF 2CHFCF 3、-CH 2(CF 22CF 3、-CH 2CH 2(CF 23CF 3、-CH 2CH 2(CF 27CF 3、-C(=O)CF 3、-C(=O)CF 2CF 3、-C(=O)(CF 26CF 3、-C(=O)(CF 27CF 3等が特に好ましい。
[0104]
 上記フルオロアルキル基を有する加水分解性基含有シリケートとしては、例えば、商品名「ゼッフルGH701」(ダイキン工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。また、上記フルオロアルキル基を有する加水分解性基含有シリケートとしては、例えば、国際公開第96/26254号パンフレット、国際公開第97/11130号パンフレット等に記載の含フッ素オルガノシリケートの1種又は2種以上;これらの1種又は2種以上の(共)縮合物等を使用することもできる。
[0105]
 なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物において離型剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
[0106]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物における離型剤(特に、フッ素系離型剤)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、脂環式エポキシ化合物(A)100重量部に対して、1~12重量部が好ましく、より好ましくは3~10重量部である。離型剤の含有量を1重量部以上とすることにより、硬化物の離型性がより向上する傾向がある。一方、離型剤の含有量を12重量部以下とすることにより、光半導体素子搭載用基板におけるリフレクター(硬化物)のリードフレームに対するより良好な密着性を確保できる傾向がある。
[0107]
[添加剤]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上述の成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤を含有していてもよい。上記添加剤として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の水酸基を有する化合物を含有させると、反応を緩やかに進行させることができる。その他にも、粘度や透明性を損なわない範囲内で、消泡剤、レベリング剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランや3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、界面活性剤、難燃剤、着色剤、イオン吸着体、顔料、蛍光体(例えば、YAG系の蛍光体微粒子、シリケート系蛍光体微粒子等の無機蛍光体微粒子等)等の慣用の添加剤を使用することができる。
[0108]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、特に限定されないが、上述の各成分を、必要に応じて加熱した状態で配合及び混練することにより調製することができる。上記混練の方法は、特に限定されず、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザー等の各種ミキサー、ニーダー、ロール、ビーズミル、自公転式撹拌装置等の公知乃至慣用の混練手段を使用できる。
[0109]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物が室温(例えば、25℃)で固体として得られる場合、該熱硬化性樹脂組成物は、特に、トランスファー成型用樹脂組成物やコンプレッション成型用樹脂組成物として好ましく使用できる。具体的には、例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物を調製する際にタブレット状に成型することによって、これらトランスファー成型又はコンプレッション成型用樹脂組成物として使用できる。また室温で固体として得られない場合であっても、30℃から80℃の温度で3時間から24時間の加熱処理(エージング処理)を行うことによりタブレット状に成型できるようになる。
[0110]
 なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物をさらに加熱して、該熱硬化性樹脂組成物におけるエポキシ基を有する化合物の一部を反応させることによって、Bステージ化した熱硬化性樹脂組成物(Bステージ状態の熱硬化性樹脂組成物)を得ることもできる。
[0111]
<硬化物>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物(又はBステージ状態の熱硬化性樹脂組成物)を加熱によって硬化させることにより、高い光反射性を有し、耐熱性及び耐クラック性に優れ、強靱な硬化物を得ることができる。硬化の際の加熱温度(硬化温度)は、特に限定されないが、100~200℃が好ましく、より好ましくは150~190℃である。また、硬化の際に加熱する時間(加熱時間)は、特に限定されないが、40~300秒が好ましく、より好ましくは70~240秒である。硬化温度と硬化時間が上記範囲の下限値より低い場合は硬化が不十分となり、逆に上記範囲の上限値より高い場合は熱分解による黄変が発生したり、タクトタイムが長くなり生産性が低下するので、いずれも好ましくない。硬化条件は種々の条件に依存するが、例えば、硬化温度を高くした場合は硬化時間を短く、硬化温度を低くした場合は硬化時間を長くする等により、適宜調整することができる。また、加熱硬化処理は1段階(例えば、トランスファー成型のみ)で行ってもよいし、例えば、トランスファー成型後にポストキュアー(2次硬化)としてオーブン等でさらに加熱してもよい。
[0112]
<リフレクター形成用樹脂組成物>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、光半導体装置における光半導体素子の基板(光半導体素子搭載用基板)が有するリフレクター(光反射部材)を形成するための材料(リフレクター形成用樹脂組成物)として好ましく使用できる。本発明の熱硬化性樹脂組成物をリフレクター形成用樹脂組成物として使用することにより、高い光反射性を有し、耐熱性及び耐クラック性に優れ、強靱なリフレクターを有する、高品質な光半導体素子搭載用基板を製造することができる。
[0113]
<光半導体素子搭載用基板>
 本発明の光半導体素子搭載用基板は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物(本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物)により形成されたリフレクターを少なくとも有する基板である。図1は、本発明の光半導体素子搭載用基板の一例を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図を示す。図1における100はリフレクター、101は金属配線(リードフレーム)、102は光半導体素子の搭載領域を示す。本発明の光半導体素子搭載用基板においてリフレクター100は、光半導体素子の搭載領域102の周囲を環状に取り囲み、上方に向かってその環の径が拡大するように傾斜した凹状の形状を有している。本発明の光半導体素子搭載用基板は、上記凹状の形状の内側の表面が少なくとも本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されていればよい。但し、本発明の光半導体素子搭載用基板は、図1に示す態様に限定されない。
[0114]
 本発明の光半導体素子搭載用基板におけるリフレクターを形成する方法としては、公知乃至慣用の成型方法を利用することができ、特に限定されないが、例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物(リフレクター形成用樹脂組成物)を、トランスファー成型、コンプレッション成型、インジェクション成型、LIM成型(インジェクション成型)、ディスペンスによるダム成型等の各種成型方法に付す方法等が挙げられる。
[0115]
 具体的には、例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物(リフレクター形成用樹脂組成物)を所定の金型(トランスファー成型用金型、コンプレッション成型用金型等)内に注入し、加熱硬化することにより、リフレクターを形成することができる。この際の加熱硬化条件としては、例えば、上述の硬化物を形成する際の条件から適宜選択することができる。
[0116]
 本発明の光半導体素子搭載用基板を光半導体装置の基板として使用し、該基板に対して光半導体素子を搭載することによって、本発明の光半導体装置が得られる。
[0117]
<光半導体装置>
 本発明の光半導体装置は、本発明の光半導体素子搭載用基板と、該基板に搭載された光半導体素子とを少なくとも有する光半導体装置である。本発明の光半導体装置は、リフレクターとして本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されたリフレクターを有するため、光の取り出し効率が高く、また、経時で光度が低下しにくい等、耐久性にも優れる。図2は、本発明の光半導体装置の一例を示す概略図(断面図)である。図2における100はリフレクター、101は金属配線(リードフレーム)、103はボンディングワイヤ、104は封止材、105はダイボンディング材、106は光半導体素子(LED素子)を示す。図2に示す光半導体装置においては、光半導体素子106から発せられた光がリフレクター100の表面(反射面)で反射されるため、高い効率で光半導体素子106からの光が取り出される。なお、図2に示すように、本発明の光半導体装置における光半導体素子は、通常、透明な封止材(図2における104)によって封止されている。但し、本発明の光半導体装置は、図2に示す態様に限定されない。
[0118]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上述のリフレクター形成用樹脂組成物としての用途に限定されず、例えば、接着剤、電気絶縁材、積層板、コーティング、インク、塗料、シーラント、レジスト、複合材料、基材、シート、フィルム、光学素子、光学レンズ、光学部材、光造形、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリ等のその他の各種用途にも使用することができる。
実施例
[0119]
 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、表1における熱硬化性樹脂組成物の各成分の配合量の単位は、重量部である。
[0120]
実施例1
 表1に示すように、脂環式エポキシ化合物(商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製)80重量部、酸無水物系硬化剤(商品名「リカシッドMH-700G」、新日本理化(株)製)80重量部、ポリカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD205PL」、(株)ダイセル製)20重量部、硬化促進剤(商品名「U-CAT 5003」、サンアプロ(株)製)3重量部、硬化促進剤(商品名「U-CAT SA 102」、サンアプロ(株)製)1重量部、酸化防止剤(商品名「Sumilizer BHT」、住友化学(株)製)1重量部、酸化防止剤(商品名「アデカスタブPEP-36」、(株)ADEKA製)1重量部、フッ素系離型剤(商品名「E-1630」、ダイキン工業(株)製)6重量部、酸化チタン(商品名「DCF-T-17008」、レジノカラー工業(株)製)250重量部、酸化チタンウィスカー(商品名「TOFIX-P」、東邦マテリアル(株)製)40重量部、及び、シリカ(商品名「FB910」、電気化学工業(株)製)700重量部を、プラネタリーミキサーを用いて90℃で10分間混合し、得られた混合物を40℃で12時間エージングした後、冷却後に粉砕することによって、粉体状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
[0121]
実施例2~9、比較例1~4
 熱硬化性樹脂組成物の配合組成を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして粉体状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
[0122]
 <評価>
 実施例及び比較例で得られた熱硬化性樹脂組成物について、下記の評価を実施した。なお、下記の評価において用いた各試験片(熱硬化性樹脂組成物の硬化物)は、トランスファー成型機を使用してトランスファー成型により作製した(硬化条件:180℃×180秒)。
[0123]
[初期反射率]
 熱硬化性樹脂組成物を用いて、長さ30mm×幅30mm×3mm厚の試験片(硬化物)を作製し、分光光度計を用いて、上記試験片の波長450nmの光の反射率を測定した。そして、初期反射率を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
 測定装置:分光光度計 UV-2450 (株)島津製作所製
 反射率が95%未満:×(初期反射率が低く不良)
 反射率が95%以上:○(初期反射率が高く良好)
[0124]
[温度サイクル試験]
 0.2mm厚みの銅素材(SHカッパープロダクト社製 C1020)にエッチングにより回路を形成した後、銀メッキを施して、基板を作製した。その後、この基板上に、トランスファー成形(成型温度:180℃、成型時間:180秒)にてMAPタイプ(縦12個×横8個 計96個)の成型物を成形した後、ダイシングにより5mm×3mmで厚さ0.5mmの成型物とした。
 上記成型物(基板上に作製した成型物)について、冷熱サイクル試験をESPEC(株)製装置「TSE-11」を使用して、-40℃~120℃の加熱及び120℃~-40℃の冷却サイクルを1サイクルとして1000サイクルの試験を行った。
 1000サイクル試験後に成形物にクラックの発生が見られたものを×(不良)、見られなかったものを○(良好)とした。
[0125]
[耐熱試験後反射率]
 初期反射率の評価において使用したものと同様の試験片(硬化物;長さ30mm×幅30mm×3mm厚)を用いて、当該試験片を150℃の乾燥機に入れて500時間放置する試験(耐熱試験)を行った後、波長450nmの光の反射率を測定した。そして、耐熱試験後の反射率から、硬化物の耐熱性を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
 反射率(150℃500時間後の反射率)が80%未満:×(耐熱性が不良)
 反射率(150℃500時間後の反射率)が80%以上:○(耐熱性が良好)
[0126]
[靭性]
 熱硬化性樹脂組成物を用いて作製した試験片(硬化物)について、ASTM#D5045に基づき、常温の壊靭値K 1cの評価を行った。そして、靭性を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
 K 1cが3MPa・m 0.5未満:×(靭性が不良)
 K 1cが3MPa・m 0.5以上:○(靭性が良好)
[0127]
[総合評価]
 上述の初期反射率、温度サイクル試験、耐熱試験後反射率、及び靭性の評価結果がいずれも○(良好)であったものを総合評価○(優れている)とし、それ以外を×(劣っている)と評価した。
[0128]
[表1]


[0129]
 実施例において使用した成分は以下の通りである。
(脂環式エポキシ化合物)
 2021P:商品名「セロキサイド2021P」(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(株)ダイセル製)
(脂環とエポキシ基含有化合物)
 EHPE3150:商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)
(水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
 YX8034:商品名「YX8034」(水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製)
(酸無水物系硬化剤)
 リカシッドMH-700G:商品名「リカシッドMH-700G」(4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30、新日本理化(株)製)
 リカシッドTH:商品名「リカシッドTH」(1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、新日本理化(株)製)
(ポリカーボネートジオール)
 CD205PL:商品名「プラクセルCD205PL」(ポリカーボネートジオール、(株)ダイセル製)
 CD210:商品名「プラクセルCD210」(ポリカーボネートジオール、(株)ダイセル製)
 CD210PL:商品名「プラクセルCD210PL」(ポリカーボネートジオール、(株)ダイセル製)
 CD220:商品名「プラクセルCD220」(ポリカーボネートジオール、(株)ダイセル製)
 CD220PL:商品名「プラクセルCD220PL」(ポリカーボネートジオール、(株)ダイセル製)
 CD220HL:商品名「プラクセルCD220HL」(ポリカーボネートジオール、(株)ダイセル製)
(硬化促進剤)
 U-CAT 5003:商品名「U-CAT 5003」(第4級ホスホニウムブロマイド、サンアプロ(株)製)
 U-CAT SA 102:商品名「U-CAT SA-102」(DBU-オクチル酸塩、サンアプロ(株)製)
(酸化防止剤)
 Sumilizer BHT:商品名「Sumilizer BHT」(フェノール系酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン)、住友化学(株)製)
 アデカスタブPEP-36:商品名「アデカスタブPEP-36」(リン系酸化防止剤(3.9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン)、(株)ADEKA製)
(離型剤)
 E-1630:商品名「E-1630」(フッ素系離型剤、ダイキン工業(株)製)
 ゼッフルGH701:商品名「ゼッフルGH701」(フッ素系離型剤、ダイキン工業(株)製)
(酸化チタン)
 DCF-T-17008:商品名「ホワイト DCF-T-17008」(酸化チタン、レジノカラー工業(株)製)
(ウィスカー)
 TOFIX-P:商品名「TOFIX-P」(酸化チタンウィスカー、東邦マテリアルズ(株))
(シリカ)
 FB910:商品名「FB910」(シリカ、電気化学工業(株)製)
 HS-106:商品名「HS-106」(シリカ、マイクロン社製)

産業上の利用可能性

[0130]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、該樹脂組成物を熱硬化させることにより、高い光反射性を有し、耐熱性及び耐クラック性に優れ、強靱な硬化物を形成することができる。従って、本発明の熱硬化性樹脂組成物をリフレクターを形成するための樹脂組成物(リフレクター形成用樹脂組成物)として使用することにより、高い光反射性を有し、耐熱性及び耐クラック性に優れ、なおかつ強靱なリフレクターを有する、高品質な光半導体素子搭載用基板が得られる。さらに、上記光半導体素子搭載用基板を光半導体装置の基板として使用することにより、光の取り出し効率が高く、耐久性の高い光半導体装置が得られる。

符号の説明

[0131]
 100:リフレクター
 101:金属配線
 102:光半導体素子の搭載領域
 103:ボンディングワイヤ
 104:光半導体素子の封止材
 105:ダイボンディング材
 106:光半導体素子

請求の範囲

[請求項1]
 シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)と、硬化剤(B)と、白色顔料(C)と、2個以上の末端水酸基を有するポリカーボネートポリオール(D)と、硬化促進剤(E)と、ウィスカー(F)とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
[請求項2]
 シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)が、2個以上のシクロヘキセンオキシド基を有する化合物である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項3]
 シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)が、下記式(1-1)
[化1]


で表される化合物である請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項4]
 白色顔料(C)として酸化チタンを含む請求項1~3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項5]
 白色顔料(C)としてさらにシリカを含む請求項4に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項6]
 ウィスカー(F)が、酸化亜鉛ウィスカー及び酸化チタンウィスカーからなる群より選択された少なくとも1種である請求項1~5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項7]
 シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)と2個以上の末端水酸基を有するポリカーボネートポリオール(D)の合計量(100重量%)に対して、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物(A)95~50重量%と、2個以上の末端水酸基を有するポリカーボネートポリオール(D)5~50重量%とを含む請求項1~6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項8]
 2個以上の末端水酸基を有するポリカーボネートポリオール(D)が、2個の末端水酸基を有するポリカーボネートジオールである請求項1~7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項9]
 トランスファー成型用又はコンプレッション成型用樹脂組成物である請求項1~8のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項10]
 リフレクター形成用樹脂組成物である請求項1~9のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項11]
 請求項1~10のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物。
[請求項12]
 請求項10に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されたリフレクターを有する光半導体素子搭載用基板。
[請求項13]
 請求項12に記載の光半導体素子搭載用基板と、該基板に搭載された光半導体素子とを有する光半導体装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]