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1. (WO2015146913) 燃焼排ガス浄化用触媒、および燃焼排ガスの浄化方法
Document

明 細 書

発明の名称 燃焼排ガス浄化用触媒、および燃焼排ガスの浄化方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017  

図面の簡単な説明

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033  

実施例

0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062  

符号の説明

0063  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

補正された請求の範囲(条約第19条)

1  *   2   3  *   4  *   5   6  *  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 燃焼排ガス浄化用触媒、および燃焼排ガスの浄化方法

技術分野

[0001]
 本発明は、例えば船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機関などから排出される燃焼排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去するための燃焼排ガス浄化用触媒、および燃焼排ガスの浄化方法に関するものである。

背景技術

[0002]
 船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機関の燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する場合、その方法として、アンモニア選択還元法が主流である。このアンモニア選択還元法は、バナジウムやチタニアを主成分とする脱硝触媒を触媒として用い、アンモニアを還元剤として用いる方法である。
[0003]
 しかしながら、船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機関では、自動車用ディーゼルエンジンの場合と異なり、内燃機関によりC重油等を燃焼させるため、C重油等には硫黄成分が含有されており、窒素酸化物(NOx)と共に硫黄酸化物(SOx)も燃焼排ガス中に生ずることになる。このような燃焼排ガスに対して、アンモニア選択還元法を用いて脱硝をする場合は、燃焼排ガス中において、硫黄酸化物とアンモニアが反応して硫酸アンモニウム〔(NH SO 〕(硫安)が生じる。そして、船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機関では、過給機を通過した後の排ガス温度が約250℃程度の低温になるため、排ガス中の硫黄酸化物と還元剤であるアンモニアが反応した硫酸アンモニウム(硫安)が排気路に析出して、熱交換器の閉塞が生じるという問題があった。
[0004]
 一方、アンモニア以外の還元剤による還元除去方法として、例えば下記の特許文献1には、ゼオライトに金属を担持させた触媒に、アルコールを還元剤として用いる方法が記載されている。
[0005]
 また、下記の特許文献2には、2系統に分岐した排ガス処理流路に脱硝触媒層を配置し、1つの排ガス処理流路を閉鎖して排ガスの供給を停止し且つ他の排ガス処理流路では排ガス処理を続けながら、排ガスの供給を停止した排ガス処理流路の脱硝触媒層をその場で350~800℃で加熱処理することにより、低下した脱硝性能を回復させることが開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2004-358454号公報
特許文献2 : 特開2006-220107号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 しかしながら、上記特許文献1に記載の脱硝触媒では、大量の還元剤が必要となるためコストの増大が避けられなかった。また、ゼオライトに金属を担持させた触媒にアルコールを接触させると、所期の脱硝反応以外に副反応も起こり、このような副反応による副生成物によって触媒表面にいわゆるコーク(カーボン)が析出し、経時的に脱硝性能が低下するという問題があった。
[0008]
 また、上記の特許文献2では、還元剤の量が多い場合には、時間の経過と共に触媒上に炭素類等が堆積して、脱硝性能が低下するという問題があった。
[0009]
 本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される比較的低温域の排ガス中の窒素酸化物除去において、従来よりもアルコール還元剤の脱硝反応への選択率が向上するため、従来と同等の還元剤量でも脱硝性能が向上し、より高効率な排ガス処理が行なえる、燃焼排ガス浄化用触媒、および燃焼排ガスの浄化方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明者らは、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、燃焼排ガス浄化用触媒に用いるゼオライト担体として、X線回折(XRD)分析において、所定の相対ピーク強度比をもった物性を有するゼオライトを用いることで、従来よりも脱硝触媒の脱硝性能を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
[0011]
 上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、還元剤としてアルコールを添加した燃焼排ガスに接触させて、該排ガス中の窒素酸化物を除去する燃焼排ガスの浄化方法に用いられる脱硝触媒であって、前記脱硝触媒が、担体であるゼオライトに触媒金属が担持されたものであり、かつ前記脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)測定において回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比(相対ピーク強度比)r=I/Jが、3.0~5.0の範囲にあることを特徴としている。
[0012]
 請求項2の発明は、請求項1に記載の燃焼排ガス浄化用触媒であって、担体であるゼオライトが、予め不活性ガス雰囲気下において焼成したゼオライトよりなるものであることを特徴としている。
[0013]
 請求項3の発明は、請求項1に記載の燃焼排ガス浄化用触媒であって、触媒金属が、コバルト(Co)であることを特徴としている。
[0014]
 請求項4の発明は、請求項2に記載の燃焼排ガス浄化用触媒であって、触媒金属が、コバルト(Co)であることを特徴としている。
[0015]
 請求項5の発明は、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の燃焼排ガス浄化用触媒であって、還元剤としてのアルコールが、メタノール、またはエタノールであることを特徴としている。
[0016]
 請求項6の発明は、燃焼排ガスの浄化方法であって、予め不活性ガス雰囲気下において焼成したゼオライトよりなる担体に触媒金属が担持されかつ粉末X線回折(XRD)測定において回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比(相対ピーク強度比)r=I/Jが、3.0~5.0の範囲にある脱硝触媒に、還元剤としてアルコールを添加した燃焼排ガスを接触させることにより、排ガス中の窒素酸化物を除去することを特徴としている。

発明の効果

[0017]
 本発明によれば、船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される比較的低温域の排ガス中の窒素酸化物除去において、従来よりもアルコール還元剤の脱硝反応への選択率が向上するため、従来と同等の還元剤量でも脱硝性能が向上し、より高効率な排ガス処理が行なえるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0018]
[図1] 本発明の実施例2で得られた脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)チャートである。
[図2] 本発明の実施例5で得られた脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)チャートである。
[図3] 比較例1で得られた脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)チャートである。
[図4] 比較例2で得られた脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)チャートである。
[図5] 本発明の実施例において触媒性能試験に用いられる脱硝率測定装置の一例を示すフロー図である。
[図6] MFI(ZSM-5)型ゼオライトにコバルト(Co)を担持させた脱硝触媒についての相対ピーク強度比rと、脱硝率の関係を示すグラフである。
[図7] フェリエライト(FER)型ゼオライトにコバルト(Co)を担持させた脱硝触媒についての相対ピーク強度比rと、脱硝率の関係を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0019]
 つぎに、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0020]
 本発明による燃焼排ガス浄化用触媒は、例えばディーゼルエンジン、油焚きボイラー、およびガスタービン等の内燃機関などから排出される燃焼排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去するために用いられる。
[0021]
 本発明による燃焼排ガス浄化用触媒は、担体であるゼオライトに触媒金属が担持されたものであり、かつ前記脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)測定において回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比(相対ピーク強度比)r=I/Jが、3.0~5.0の範囲にあることを特徴としている。
[0022]
 本発明による燃焼排ガス浄化用触媒において、ゼオライトは、脱硝性能が発揮できれば特に制限はないが、MOR型ゼオライトのように、酸強度が強い構造を有するゼオライトを用いると大量の還元剤が必要になり、また、200℃付近の低温領域でも脱硝性能を発揮させるためにはβ型ゼオライトやY型ゼオライトのように酸強度が弱いゼオライトでは、還元剤が反応し難くなるため、MOR型よりも比較的酸強度が弱く、β型ゼオライトやY型ゼオライトよりも酸強度が強い構造を有するMFI型ゼオライト、またはFER型ゼオライトを用いることが好ましい。
[0023]
 また、本発明による燃焼排ガス浄化用触媒において、担体であるゼオライトは、予め窒素等の不活性ガス雰囲気下において焼成したゼオライトよりなるものであることが好ましい。
[0024]
 そして、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関などから排出される燃焼排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去するために、排ガスを、還元剤であるアルコールの存在下に、ゼオライトに所定の触媒金属を担持させてなる本発明の脱硝触媒と接触させることにより、排ガス中の窒素酸化物が還元除去される。
[0025]
 本発明による燃焼排ガス浄化用触媒において、脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)測定において回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比(相対ピーク強度比)r=I/Jが大きい程、ゼオライトの酸点となる骨格内AlOHが少なく、また、r=I/Jが小さい程、骨格内AlOHが多い傾向にある。
[0026]
 従って、脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)測定において回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比(相対ピーク強度比)r=I/Jが、3.0~5.0の範囲にある本発明の脱硝触媒では、脱硝触媒表面上の酸点が適量となり、アルコール還元剤の選択率が向上し、脱硝率が向上するものと考えられる。
[0027]
 そして、r=I/Jが、3.0~5.0の範囲より小さな物性をもつ脱硝触媒は、触媒表面上の酸点が過多となり、アルコール還元剤の無駄な消費が多く、選択率が低いために、脱硝率が低下し、r=I/Jが、3.0~5.0の範囲より大きな物性をもつ脱硝触媒は、酸点が減少し、アルコール還元剤の選択率は良好となるが、反応性自体も低下するため、脱硝率が低下するものと考えられる。
[0028]
 本発明による燃焼排ガス浄化用触媒において、ゼオライトに担持する触媒金属は、コバルト(Co)であることが好ましい。その前駆体化合物としては、無機酸塩(例えば硝酸塩、塩化物など)や有機酸塩(例えば酢酸塩など)を用いることができる。触媒金属の担持方法は、脱硝性能が発揮できればよく、イオン交換法や含浸担持法などが挙げられる。例えばイオン交換法は、コバルト(Co)の前駆体化合物を含む水溶液に、ゼオライトを懸濁させ、イオン交換により触媒金属が結合したゼオライトを水溶液から取り出して乾燥した後、焼成する方法がある。
[0029]
 本発明による燃焼排ガス浄化用触媒において、還元剤としてのアルコールは、燃焼排ガスの還元処理時の温度において還元力を有するものであれば、特に制限されるものではないが、炭素数の少ないアルコールであるメタノール、エタノールを用いることが好ましい。
[0030]
 本発明による燃焼排ガス浄化用触媒の形状は、粒状、ペレット状、ハニカム状、板状など、適用する反応器や、ガス流通条件により任意に選定することができる。
[0031]
 つぎに、本発明による燃焼排ガスの浄化方法は、予め不活性ガス雰囲気下において焼成したゼオライトよりなる担体に触媒金属が担持されかつ粉末X線回折(XRD)測定において回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比(相対ピーク強度比)r=I/Jが、3.0~5.0の範囲にある脱硝触媒に、還元剤としてアルコールを添加した燃焼排ガスを、180~400℃、好ましくは200~300℃の温度において接触させることにより、排ガス中の窒素酸化物を除去することを特徴としている。
[0032]
 本発明による燃焼排ガスの浄化方法において、燃焼排ガスに還元剤を、還元剤/排ガス中NOxの濃度比は0.1~4、好ましくは1~4である割合で添加することが好ましい。ここで、還元剤/排ガス中NOxの濃度比は、要求される脱硝率に依存し、例えば要求される脱硝率が30%以下であれば、還元剤/排ガス中NOxの濃度比は0.1~1であっても達成可能となる。
[0033]
 本発明の燃焼排ガスの浄化方法によれば、船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される比較的低温域の排ガス中の窒素酸化物除去において、従来よりもアルコール還元剤の脱硝反応への選択率が向上するため、従来と同等の還元剤量でも脱硝性能が向上し、より高効率な排ガス処理が行うことができる。
実施例
[0034]
 つぎに、本発明の実施例を比較例と共に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[0035]
(実施例1)
(Co/MFIゼオライト触媒の調製)
 本発明の燃焼排ガス浄化用脱硝触媒として、MFI(ZSM-5)型ゼオライトにコバルト(Co)を担持させた触媒を製造した。
[0036]
 まず、市販のMFI型ゼオライト(東ソー製、HSZ-830NHA)を、N 雰囲気下で、650℃で12時間焼成した。焼成後のゼオライト10gを、硝酸コバルト(キシダ化学株式会社製)0.1モル(M)の水溶液200mlに入れて、温度80℃で、12時間以上、浸漬攪拌し、イオン交換した。イオン交換後、濾過し、440mlのイオン交換水で水洗した後、100℃で12時間乾燥することにより、コバルト(Co)イオン交換ゼオライトよりなる脱硝触媒を得た。
[0037]
 この脱硝触媒のCo含有量を、蛍光X線分析(XRF)測定により求めたところ、Co担持量は0.5重量%であった。
[0038]
 つぎに、この脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)測定において、回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比(相対ピーク強度比)r=I/Jを測定したところ、r=3.2であった。
[0039]
 下記の表1に、使用した担体ゼオライトの種類、焼成条件、脱硝触媒のCo含有量(重量%)、および相対ピーク強度比r=I/Jを示した。
[0040]
(実施例2~4)
 上記実施例1の場合と同様にして、本発明の燃焼排ガス浄化用脱硝触媒を製造するが、上記実施例1の場合と異なる点は、実施例2では、市販のMFI型ゼオライトの焼成条件を、700℃で12時間とし、実施例3では、市販のMFI型ゼオライトの焼成条件を、700℃で24時間とし、実施例4では、市販のMFI型ゼオライトの焼成条件を、700℃で36時間とした点にある。
[0041]
 そして、上記実施例1の場合と同様にして、実施例2~4の脱硝触媒のCo含有量を求めるとともに、実施例2~4の脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)測定(商品名:MultiFlex 株式会社リガク社製)において、回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比(相対ピーク強度比)r=I/Jを測定し、得られた結果を、使用した担体ゼオライトの種類、および焼成条件と共に、下記の表1にあわせて示した。
[0042]
 なお、本発明の実施例2で得られた燃焼排ガス浄化用脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)チャートを示せば、図1の通りである。
[0043]
(実施例5)
 上記実施例2の場合と同様にして、本発明の燃焼排ガス浄化用脱硝触媒を製造するが、上記実施例2の場合と異なる点は、ゼオライトとして市販のフェリエライト(FER)型ゼオライト(商品名HSZ-720NHA、東ソー株式会社製)を用い、Co/FERゼオライトの脱硝触媒を製造して使用した点にある。
[0044]
 そして、上記実施例1の場合と同様にして、実施例5の脱硝触媒のCo含有量を求めるとともに、実施例5の脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)測定(商品名:UltimaIV 株式会社リガク社製)において、回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比(相対ピーク強度比)r=I/Jを測定し、得られた結果を、使用した担体ゼオライトの種類、および焼成条件と共に、下記の表1にあわせて示した。
[0045]
 また、本発明の実施例5で得られた燃焼排ガス浄化用脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)チャートを示せば、図2の通りである。
[0046]
(比較例1)
 比較のために、上記実施例1の場合と同様にして、燃焼排ガスの浄化用脱硝触媒を製造するが、上記実施例1の場合と異なる点は、市販のMFI型ゼオライトの焼成を行わず、未焼成のMFI型ゼオライトを使用した点にある。
[0047]
 そして、上記実施例1の場合と同様にして、比較例1の脱硝触媒のCo含有量を求めるとともに、比較例1の脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)測定(商品名:MultiFlex 株式会社リガク社製)において、回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比(相対ピーク強度比)r=I/Jを測定し、得られた結果を、使用した担体ゼオライトの種類、および焼成条件と共に、下記の表1にあわせて示した。
[0048]
(比較例2)
 比較のために、上記実施例5の場合と同様にして、燃焼排ガスの浄化用脱硝触媒を製造するが、上記実施例5の場合と異なる点は、市販のフェリエライト(FER)型ゼオライトの焼成を行わず、未焼成のFER型ゼオライトを使用した点にある。
[0049]
 そして、上記実施例1の場合と同様にして、比較例2の脱硝触媒のCo含有量を求めるとともに、比較例2の脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)測定(商品名:UltimaIV 株式会社リガク社製)において、回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比(相対ピーク強度比)r=I/Jを測定し、得られた結果を、使用した担体ゼオライトの種類、および焼成条件と共に、下記の表1にあわせて示した。
[0050]
 なお、比較例1と比較例2で得られた燃焼排ガス浄化用脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)チャートを示せば、図3と図4の通りである。
[0051]
(比較例3と4)
 比較のために、上記実施例1の場合と同様にして、燃焼排ガスの浄化用脱硝触媒を製造するが、上記実施例1の場合と異なる点は、比較例3では、市販のMFI型ゼオライトの焼成条件を、600℃で12時間とし、比較例4では、市販のMFI型ゼオライトの焼成条件を、800℃で12時間とした点にある。
[0052]
 そして、上記実施例1の場合と同様にして、比較例3と4の脱硝触媒のCo含有量を求めるとともに、比較例3と4の脱硝触媒の粉末X線回折(XRD)測定(商品名:MultiFlex 株式会社リガク社製)において、回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比(相対ピーク強度比)r=I/Jを測定し、得られた結果を、使用した担体ゼオライトの種類、および焼成条件と共に、下記の表1にあわせて示した。
[表1]


[0053]
 つぎに、本発明による実施例1~5および比較例1~4の脱硝触媒を用いて、燃焼排ガスの浄化方法に対応する脱硝触媒性能評価試験を実施した。図5に脱硝触媒の性能評価試験装置のフロー図を示す。
[0054]
 まず、上記のようにして得られたCo/MFI型ゼオライトよりなる触媒をプレス成形後に粉砕し、メッシュサイズ26から16に整粒して、ペレット触媒とした。これを、図5にフロー図を示す試験装置において、内径10.6mmのステンレス製反応管よりなる脱硝反応器(1)に充填した。
[0055]
 上記の脱硝触媒が充填された脱硝反応器(1)の上部から脱硝試験用のガスが導入され、脱硝反応器(1)の下部から排出された処理済のガスは、外部に排出されるとともに、一部についてはガス分析に供される。
[0056]
 脱硝反応器(1)に導入される試験用のガスは、空気、N ガス、およびNO/N ガスを混合することにより調製される。混合後のガスは、蒸発器(2)の上端部に導入される。この蒸発器(2)の上端寄り部分には、アルコール水溶液槽(4)から定量送液ポンプ(3)で汲み上げられた還元剤としてのアルコールの水溶液が供給される。蒸発器(2)ではヒーターの加熱によりアルコール水溶液を蒸発させて、蒸発器(2)の下部からNO/N 混合ガスと共に脱硝反応器(1)へと供給される。脱硝反応器(1)において温度250℃の脱硝反応の処理後に脱硝反応器(1)から排出された脱硝処理済のガスは、外部に排出されるとともに、一部についてはガス分析に供される。
[0057]
 NO濃度が1000ppmの試験用排ガスに対して、還元剤/排ガス中NO濃度比=2で、還元剤としてのメタノール(MeOH)を濃度2000ppmで用い、かつ下記の表2に示す試験条件で、評価試験を行った。
[表2]


[0058]
 なお、反応器出口のガス分析は、窒素酸化物(NOx)計を用いて、出口NOx濃度を測定した。NOx計での測定値から、下記の数式(1)によって触媒のNOx除去性能である脱硝率を算出した。
[0059]
 脱硝率(%)=(NOx in-NOx out)/NOx in×100  …(1)
 得られた脱硝触媒性能の評価試験の結果を、上記の表1にあわせて示した。
[0060]
 また、各焼成条件での、粉末X線回折(XRD)相対ピーク強度比rと、脱硝率の関係を図6と図7に示した。ここで、図6は、MFI(ZSM-5)型ゼオライトにコバルト(Co)を担持させた実施例1~実施例4の脱硝触媒、および比較例1、比較例3と比較例4の脱硝触媒についての相対ピーク強度比rと、脱硝率の関係を示すものであり、図7は、フェリエライト(FER)型ゼオライトにコバルト(Co)を担持させた実施例5の脱硝触媒、および比較例2の脱硝触媒についての相対ピーク強度比rと、脱硝率の関係を示すものである。
[0061]
 なお、上記表1、および図6と図7では、粉末X線回折(XRD)装置由来の測定誤差の影響を無視するため、変化の見られた2θ=7.8~8.0°のピーク強度を、サンプル間でほとんど変化の見られない2θ=28.0°~31.0°のピーク強度で割って算出した相対ピーク強度比r((2θ=7.8~8.0°付近のピーク強度I)/(2θ=28.0°~31.0°のピーク強度J))を用いた。
[0062]
 上記表1、および図6と図7の結果から明らかなように、本発明の実施例1~5で得られた、粉末X線回折(XRD)測定において回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比r=I/Jが、3.0~5.0の範囲にある脱硝触媒は、比較例1~4の脱硝触媒に比べて、優れた脱硝性能を有するものであることがわかる。

符号の説明

[0063]
1:脱硝反応器
2:蒸発器
3:定量送液ポンプ
4:アルコール水溶液槽

請求の範囲

[請求項1]
 還元剤としてアルコールを添加した燃焼排ガスに接触させて、該排ガス中の窒素酸化物を除去する燃焼排ガスの浄化方法に用いられる脱硝触媒であって、前記脱硝触媒が、担体であるゼオライトに触媒金属が担持されたものであり、かつ前記脱硝触媒の粉末X線回折測定において回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比r=I/Jが、3.0~5.0の範囲にあることを特徴とする、燃焼排ガス浄化用触媒。
[請求項2]
 担体であるゼオライトが、予め不活性ガス雰囲気下において焼成したゼオライトよりなるものであることを特徴とする、請求項1に記載の燃焼排ガス浄化用触媒。
[請求項3]
 触媒金属が、コバルト(Co)であることを特徴とする、請求項1に記載の燃焼排ガス浄化用触媒。
[請求項4]
 触媒金属が、コバルト(Co)であることを特徴とする、請求項2に記載の燃焼排ガス浄化用触媒。
[請求項5]
 還元剤としてのアルコールが、メタノール、またはエタノールであることを特徴とする、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の燃焼排ガス浄化用触媒。
[請求項6]
 燃焼排ガスの浄化方法であって、予め不活性ガス雰囲気下において焼成したゼオライトよりなる担体に触媒金属が担持されかつ粉末X線回折測定において回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比r=I/Jが、3.0~5.0の範囲にある脱硝触媒に、還元剤としてアルコールを添加した燃焼排ガスを接触させることにより、排ガス中の窒素酸化物を除去することを特徴とする、燃焼排ガスの浄化方法。

補正された請求の範囲(条約第19条)
[ 2015年7月30日 ( 30.07.2015 )  国際事務局受理 ]

[1]
[補正後] 還元剤としてアルコールを添加した燃焼排ガスに接触させて、該排ガス中の窒素酸化物を除去する燃焼排ガスの浄化方法に用いられる脱硝触媒であって、前記脱硝触媒が、担体であるゼオライトに触媒金属 コバルト(Co)が担持されたものであり、かつ前記脱硝触媒の粉末X線回折測定において回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比r=I/Jが、3.0~5.0の範囲にあることを特徴とする、燃焼排ガス浄化用触媒。
[2]
 担体であるゼオライトが、予め不活性ガス雰囲気下において焼成したゼオライトよりなるものであることを特徴とする、請求項1に記載の燃焼排ガス浄化用触媒。
[3]
[削除]
[4]
[削除]
[5]
 還元剤としてのアルコールが、メタノール、またはエタノールであることを特徴とする、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の燃焼排ガス浄化用触媒。
[6]
[補正後] 燃焼排ガスの浄化方法であって、予め不活性ガス雰囲気下において焼成したゼオライトよりなる担体に触媒金属 コバルト(Co)が担持されかつ粉末X線回折測定において回折角(2θ)=7.8~10.0°の回折ピーク高さIと、同回折角(2θ)=28.0~31.0°の回折ピーク高さJとの比r=I/Jが、3.0~5.0の範囲にある脱硝触媒に、還元剤としてアルコールを添加した燃焼排ガスを接触させることにより、排ガス中の窒素酸化物を除去することを特徴とする、燃焼排ガスの浄化方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]