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1. (WO2015146905) 重合性基と架橋性基とを有する化合物及びその製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 重合性基と架橋性基とを有する化合物及びその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017   0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066  

実施例

0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099  

産業上の利用可能性

0100  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 重合性基と架橋性基とを有する化合物及びその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は重合性基と架橋性基とを有する化合物及びその製造方法に関し、より詳細には、N-アルコキシアルキル基を有するアクリル又はメタクリル化合物、及びその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 近年、液晶パネルを用いたテレビ等のディスプレイの分野や、半導体分野においては、ある種の樹脂組成物を基板に塗布した後、光を照射することでパターニングを行う場合が増加している。また、高効率化や機械的特性向上に向けた取り組みとして、そのような樹脂組成物に低分子化合物を添加し、紫外線に対する感度を増加させたり、膜の硬度を増加させる等のことが行われている。
[0003]
 そのような低分子化合物としては、例えば、N-アルコキシアルキル基とアクリル基をそれぞれ同一分子内に1個ずつのみ有するアクリル化合物が挙げられ、具体的には、N-メトキシメチルアクリルアミド等が挙げられる。そして、N-メトキシメチルアクリルアミドは特許文献1及び特許文献2に示すような光学材料用接着成分や、繊維・樹脂などの改質用反応性モノマーなど幅広い分野で使用されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2013-210513号公報
特許文献2 : 特開1997-111153号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 基板に樹脂組成物を塗布する場合において、樹脂組成物中への架橋剤と、架橋剤と反応する低分子化合物の導入により、強固なネットワークを形成させて硬化膜の機能を高める手法はよく用いられるが、低分子化合物が光反応性基を有していない場合、光照射工程後に満足な特性が硬化膜に得られず、膜強度に起因する剥離が見られたり、劣化速度が速いという課題があった。
 さらに、一般的に芳香環を有する化合物は紫外線吸収能を持つため光エネルギーを吸収し、光パターニングを阻害したり、酸化反応による着色によって硬化膜の透明性が損なわれることもあり、好ましくない。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意努力した結果、光反応性基であるアクリル基又はメタクリル基を同一分子内に複数有し、なおかつ、架橋性基であるN-アルコキシアルキル基を複数有する化合物の製造方法を見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記第1の態様及び第2の態様に関する。
[0007]
 本発明の第1の態様は、下記式[1]で表される、N-アルコキシアルキル基を有するアクリル又はメタクリル化合物に関する。
[化1]


[式中、
 R 1は水素原子又はメチル基を表し、
 R 2は炭素原子数2乃至20のアルキレン基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる2価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む2価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキレン基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 3は炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなるr価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含むr価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 4は炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる1価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む1価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 Zは>NCOO-又は-OCON<(ここで「-」は結合手が1つであることを示す。また、「>」「<」は結合手が2つであることを示す。「>」及び「<」のうちいずれか1つは-CH 2OR 4と結合している。)を表し、
 rは2以上9以下の自然数である。]
[0008]
 本発明の第1の態様において、R 2は炭素原子数2乃至10のアルキレン基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる2価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む2価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキレン基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 3は炭素原子数2乃至10のr価の脂肪族基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなるr価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含むr価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 4は炭素原子数1乃至6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、
 rが2乃至6であることが好ましい。
[0009]
 本発明の第1の態様において、R 4がメチル基、エチル基、n-プロピル基又はn-ブチル基であることが好ましい。
[0010]
 本発明の第1の態様において、R 2がエチレン基であることが好ましい。
[0011]
 本発明の第1の態様において、R 3がn-ヘキシレン基であり、rが2であることが好ましい。
[0012]
 本発明の第2の態様は、
 下記式(A)
[化2]


[式中、
 R 1は水素原子又はメチル基を表し、
 R 2は炭素原子数2乃至20のアルキレン基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる2価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む2価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキレン基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 3は炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなるr価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含むr価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 Xは-NHCOO-又は-OCONH-を表し、
 rは2以上9以下の自然数である。]で表される化合物と、パラホルムアルデヒド及びトリメチルシリルクロリドとを反応させた後に、下記式(G)
[化3]


(式中、R 4は炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる1価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む1価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。)で表されるアルコール化合物と反応させることを特徴とする、下記式[1]
[化4]


[式中、R 1、R 2、R 3、R 4及びrは前記の意味を表し、Zは>NCOO-又は-OCON<(ここで「-」は結合手が1つであることを示す。また、「>」「<」は結合手が2つであることを示す。「>」及び「<」のうちいずれか1つは-CH 2OR 4と結合している。)を表す。]で表される、N-アルコキシアルキル基を有するアクリル又はメタクリル化合物の製造方法に関する。
[0013]
 本発明の第2の態様において、R 2は炭素原子数2乃至10のアルキレン基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる2価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む2価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキレン基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 3は炭素原子数2乃至10のr価の脂肪族基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなるr価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含むr価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 4は炭素原子数1乃至6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、
 rが2乃至6であることが好ましい。
[0014]
 本発明の第2の態様において、R 4がメチル基、エチル基、n-プロピル基又はn-ブチル基であることが好ましい。
[0015]
 本発明の第2の態様において、R 2がエチレン基であることが好ましい。
[0016]
 本発明の第2の態様において、R 3がn-ヘキシレン基であり、rが2であることが好ましい。

発明の効果

[0017]
 本発明の化合物によれば、樹脂組成物から得られる硬化膜の液晶に対する密着性を向上させることができる。
 また本発明の化合物は、樹脂組成物に用いることにより、耐熱性、耐水性などの耐久性を硬化膜に付与することができ、また芳香環を含まない化合物であることから、硬化膜を着色させるおそれがなく、硬化膜の透明性を維持することができる。
 さらに、本発明の化合物によれば、光照射工程後の架橋効果により、さらなる膜硬化性の向上が期待できる。
[0018]
 本発明の製造方法によれば、上記式[1]で表される、N-アルコキシアルキル基を有するアクリル又はメタクリル化合物を効率的に製造することができる。

発明を実施するための形態

[0019]
 以下、本発明についてさらに詳しく説明する。なお、本明細書において、nはノルマルを、iはイソを、sはセカンダリーを、tはターシャリーを、それぞれ表す。
[0020]
 本発明は、光反応性基であるアクリル基又はメタクリル基を同一分子内に複数有し、なおかつ、架橋性基であるN-アルコキシアルキル基を複数有する化合物に関し、具体的には、下記式[1]で表される、N-アルコキシアルキル基を有するアクリル又はメタクリル化合物(以下、化合物1と略記する)に関する。
 本発明の化合物1は、同一分子内に、光反応性基であるアクリル基又はメタクリル基を複数有し、なおかつ、架橋性基であるN-アルコキシアルキル基を複数有するので、樹脂組成物から形成される硬化膜に密な架橋ネットワークを形成でき、密着性や耐久性の向上に寄与することができる。
[化5]


[式中、
 R 1は水素原子又はメチル基を表し、
 R 2は炭素原子数2乃至20のアルキレン基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる2価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む2価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキレン基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 3は炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなるr価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含むr価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 4は炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる1価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む1価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 Zは>NCOO-又は-OCON<(ここで「-」は結合手が1つであることを示す。また、「>」「<」は結合手が2つであることを示す。「>」及び「<」のうちいずれか1つは-CH 2OR 4と結合している。)を表し、
 rは2以上9以下の自然数である。]
[0021]
 R 2の定義における炭素原子数2乃至20のアルキレン基の具体例としては、炭素原子数2乃至20のアルキル基から、さらに1個の水素原子を取り去った2価の基が挙げられる。
 また、R 3の定義における炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基の具体例としては、炭素原子数2乃至20のアルキル基から、さらに1乃至r-1個の水素原子を取り去ったr価の基が挙げられる。
[0022]
 当該炭素原子数2乃至20のアルキル基の具体例としては、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びそれらの一種又は複数種が炭素原子数20までの範囲で結合した基と、これらの基の一つのメチレン基又は隣り合わない複数のメチレン基がエーテル結合に置き換わった基等が一例として挙げられる。
[0023]
 これらのうち、R 2は炭素原子数2乃至10のアルキレン基が好ましく、またR 3は炭素原子数2乃至10のr価の脂肪族基が好ましく、炭素原子数2乃至10のr価のアルキル基がより好ましく、R 2がエチレン基であり、R 3がn-ヘキシレン基であるのが原料の入手性等の点から特に好ましい。
[0024]
 R 4の定義における炭素原子数1乃至20のアルキル基の具体例としては、R 2の定義の説明における炭素原子数2乃至20のアルキル基の具体例及びメチル基が挙げられる。これらのうち、R 4は炭素原子数1乃至6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基又はn-ブチル基が特に好ましい。
[0025]
 R 2の定義における炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる2価の基としては、例えば、シクロペンチル環又はシクロヘキサン環から、2個の水素原子を取り去った構造からなる2価の基が挙げられる。
 また、R 2の定義における炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む2価の脂肪族基としては、例えば、シクロペンチル環又はシクロヘキサン環を含むアルキレン基が挙げられる。
[0026]
 R 3の定義における炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなるr価の基としては、例えば、シクロペンチル環又はシクロヘキサン環から、r個の水素原子を取り去った構造からなるr価の基が挙げられる。
 また、R 3の定義における炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含むr価の脂肪族基としては、例えば、シクロペンチル環又はシクロヘキサン環を含むr価のアルキル基が挙げられる。
[0027]
 R 4の定義における炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる1価の基としては、例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。
 また、R 4の定義における炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む1価の脂肪族基としては、例えば、シクロペンチル環又はシクロヘキサン環を含むアルキル基が挙げられる。
[0028]
 rとしては、2以上9以下の自然数が挙げられるが、中でも、2乃至6が好ましい。
[0029]
 化合物1は、下記の反応スキームで表される製造方法により得られる。すなわち、下記式(A)で表されるアクリル基又はメタクリル基を有するカルバメート化合物(A)(以下、化合物(A)とも言う)を、トリメチルシリルクロリドとパラホルムアルデヒドとを加えた溶媒中で反応させて下記式(B)で表される中間体(B)を合成し、その反応液へ下記式(G)で表されるアルコール(G)を加えて反応させることにより、目的の化合物1が製造される。
[0030]
[化6]


[0031]
(式中、R 1、R 2、R 3、R 4、Z及びrは前記の意味を表し、Xは-NHCOO-又は-OCONH-を表す。)
[0032]
 化合物(A)に対するトリメチルシリルクロリドとパラホルムアルデヒドの使用量は特に限定されないが、反応を完結させるため、分子中のカルバメート結合1つに対し、トリメチルシリルクロリドは1.0乃至6.0当量倍、パラホルムアルデヒドは1.0乃至3.0当量倍使用することが好ましく、トリメチルシリルクロリドの使用当量はパラホルムアルデヒドの使用当量より多いことがより好ましい。
[0033]
 反応溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定はないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;塩化メチレン、四塩化炭素、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の含窒素非プロトン性極性溶媒;ピリジン、ピコリン等のピリジン類等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、これらのうちの2種類以上を混合して用いても良い。好ましくは塩化メチレン、クロロホルムであり、さらに好ましくは塩化メチレンである。
[0034]
 溶媒の使用量(反応濃度)は特に限定されないが、溶媒を用いずに反応を実施してもよく、また溶媒を使用する場合には化合物(A)に対して0.1乃至100質量倍の溶媒を用いてもよい。好ましくは1乃至30質量倍であり、さらに好ましくは2乃至20質量倍である。
[0035]
 反応温度は特に限定されないが、例えば-90乃至200℃、好ましくは-20乃至100℃で、さらに好ましくは-10乃至50℃である。
[0036]
 反応時間は、通常、0.05乃至200時間、好ましくは0.5乃至100時間である。
[0037]
 反応は、常圧または加圧下で行うことができ、また回分式でも連続式でもよい。
[0038]
 反応させる際に、重合禁止剤を添加してもよい。そのような重合禁止剤としてはBHT(2,6-ジ-ターシャリーブチル-パラ-クレゾール)やハイドロキノン、パラ-メトキシフェノールなどを用いることができ、アクリル基、メタクリル基の重合を阻害するものであれば特に限定はされない。
[0039]
 重合禁止剤を添加する場合の添加量は特に限定されないが、化合物(A)の総使用量(質量)に対し、0.0001乃至10wt%であり、好ましくは0.01乃至1wt%である。本明細書においてwt%とは質量%を意味する。
[0040]
 中間体(B)にアルコール(G)を反応させる工程においては、酸性条件下の加水分解を抑制するため塩基を加えてもよい。塩基の例としてはピリジン、ピコリン等のピリジン類や、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン等の第3級アミンが挙げられる。好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンであり、より好ましくはトリエチルアミンである。塩基を添加する場合の添加量は、特に限定はされないが、反応時に用いたトリメチルシリルクロリドの添加量に対し、0.01乃至2.0当量倍使用すればよく、より好ましくは0.5乃至1.0当量である。
[0041]
 また、化合物(A)から中間体(B)を得た後、中間体(B)を単離することなく、アルコール(G)を添加して反応させてもよい。
[0042]
 化合物(A)の合成法は特に限定されないが、下記式(A-1)で表される化合物については、例えば、下記式(C)で表されるアクリル基又はメタクリル基を有するイソシアネート化合物(C)と、下記式(D)で表されるヒドロキシル基を複数有するアルコール化合物(D)とを反応させることにより製造することができる。
[0043]
[化7]


[0044]
(式中、R 1、R 2、R 3及びrは前記と同じ意味を表す。)
[0045]
 この反応において、イソシアネート化合物(C)の使用量は、化合物(D)に含まれるヒドロキシル基1つに対し、0.98乃至1.2当量倍を反応させればよい。より好ましくは、1.0乃至1.02当量倍である。
[0046]
 反応溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定はないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;四塩化炭素、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のカルボン酸エステル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の含窒素非プロトン性極性溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄非プロトン性極性溶媒;ピリジン、ピコリン等のピリジン類等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、これらのうちの2種類以上を混合して用いてもよい。好ましくはトルエン、アセトニトリル、酢酸エチルであり、さらに好ましくはトルエン、酢酸エチルである。
[0047]
 溶媒の使用量(反応濃度)は特に限定されないが、溶媒を用いずに反応を実施してもよく、また溶媒を使用する場合にはイソシアネート化合物(C)に対し、0.1乃至100質量倍の溶媒を用いてもよい。好ましくは0.5乃至30質量倍であり、さらに好ましくは1乃至10質量倍である。
[0048]
 反応温度は特に限定されないが、例えば-90乃至150℃、好ましくは-30乃至100℃で、さらに好ましくは0乃至80℃である。
[0049]
 反応時間は、通常0.05乃至200時間、好ましくは0.5乃至100時間である。
[0050]
 反応させる際に、重合禁止剤を添加してもよい。そのような重合禁止剤としてはBHT(2,6-ジ-ターシャリ-ブチル-パラ-クレゾール)やハイドロキノン、パラ-メトキシフェノールなどを用いることができ、アクリル基、メタクリル基の重合を阻害するものであれば特に限定はされない。
[0051]
 重合禁止剤を添加する場合の添加量は特に限定されないが、アクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物の総使用量(質量)に対し、0.0001乃至10wt%であり、好ましくは0.01乃至1wt%である。
[0052]
 反応時間を短縮させるために触媒を添加してもよく、その例としては、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズビス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)、ジブチルスズビス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物;トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、テトラメチルブタンジアミン、N-メチルモルホリン、1,4-ジアザビシクロ-2.2.2-オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5等のアミン類;p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロ硫酸等の有機スルホン酸;硫酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸;テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のチタン化合物;ビスマストリス(2-エチルヘキサノエート)等のビスマス系化合物;四級アンモニウム塩等が挙げられる。これら触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、これら触媒は液体であるか、又は、反応溶媒に溶解するものが好ましい。
[0053]
 触媒を添加する場合、イソシアネート基を有する化合物の総使用量(質量)に対し、0.005乃至100wt%の量で触媒を使用してもよく、好ましくは0.05乃至10wt%、さらに好ましくは0.1乃至5wt%である。触媒として有機スズ化合物、チタン化合物、ビスマス系化合物を使用するのであれば、好ましくは同0.005乃至0.1wt%である。
[0054]
 反応は、常圧又は加圧下で行うことができ、また回分式でも連続式でもよい。
[0055]
 化合物(C)の具体例としては、例えば2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製,商品名:カレンズMOI[登録商標])、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネ-ト(昭和電工(株)製,商品名:カレンズAOI[登録商標])などが挙げられる。
[0056]
 化合物(D)の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどのジオール化合物、グリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール化合物、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジグリセリンなどが挙げられる。
[0057]
 化合物(C)、(D)は一般に市販されており、また、公知の方法によって合成することができる。
[0058]
 また、下記式(A-2)で表される化合物について、合成法は特に限定されないが、例えば、下記式(E)で表されるアクリル基又はメタクリル基を有するヒドロキシアルキルエステル化合物(E)(以下、化合物(E)という)と、下記式(F)で表されるイソシアネート基を複数有する化合物(F)とを反応させることにより合成することができる。
[0059]
[化8]


[0060]
(式中、R 1、R 2、R 3及びrは前記と同じ意味を表す。)
[0061]
 化合物(A-2)の合成は化合物(A-1)の合成と同様の方法にて実施することが可能である。ここで、この反応において、化合物(E)の使用量は、イソシアネート化合物(F)に含まれるイソシアネート基1つに対し、0.98乃至1.2当量倍を反応させればよい。より好ましくは、1.0乃至1.02当量倍である。
[0062]
 この反応における反応条件は、前記した化合物(A-1)の製造における反応条件に準じる。
[0063]
 化合物(E)の具体例としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート等のヒドロキシ基を有するモノマー等が挙げられる。
[0064]
 イソシアネート化合物(F)の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω’-ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等のトリイソシアネート等が挙げられる。
[0065]
 化合物(E)、(F)は一般に市販されており、また、公知の方法によって合成することができる。
[0066]
 反応終了後の反応混合物は、直接濃縮、又は有機溶媒に溶解し、水洗後濃縮、又は氷水に投入、有機溶媒抽出後濃縮といった通常の後処理を行ない、目的の本発明化合物を得ることができる。また、精製の必要が生じたときには、再結晶、カラムクロマトグラフ、薄層クロマトグラフ、液体クロマトグラフ分取等の任意の精製方法によって分離、精製することができる。
実施例
[0067]
 以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0068]
 実施例等における略号はそれぞれ以下の意味を示す。
 CIN1:6-ヒドロキシヘキシルオキシけい皮酸メチルエステル
[化9]


[0069]
<架橋剤>
 HMM:下記の構造式で表されるメラミン架橋剤
[化10]


[0070]
<架橋触媒>
PTSA:パラトルエンスルホン酸
[化11]


[0071]
<N-アルコキシアルキル基及びアクリル基を有する化合物>
DM-1
[化12]


[0072]
DM-2
[化13]


[0073]
BHT:2,6-ジ-ターシャリーブチル-パラ-クレゾール
DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン
[0074]
<溶剤>
 実施例及び比較例の各硬化膜形成組成物は溶剤を含有し、その溶剤として、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を用いた。
[0075]
<重合体の分子量の測定>
 合成例におけるアクリル共重合体の分子量は、(株)Shodex社製常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC-101)、Shodex社製カラム(KD―803、KD-805)を用い以下のようにして測定した。
 カラム温度:50℃
 溶離液:N,N-ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム-水和物(LiBr・H 2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o―リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10mL/L)
 流速:1.0mL/分
 検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
 なお、数平均分子量(以下、Mnと称する。)及び重量平均分子量(以下、Mwと称する。)は、ポリスチレン換算値にて表した。
[0076]
1H-NMRの測定>
  1H-NMR分析に用いた分析装置及び分析条件は、下記の通りである。
 核磁気共鳴装置:Varian NMR System 400 NB(400MHz)
 測定溶媒:CDCl 3
 基準物質:テトラメチルシラン(TMS)(δ0.0ppm for  1H)
[0077]
実施例1:化合物[DM-1]の合成
[化14]


[0078]
 窒素気流下、2Lの四つ口フラスコに酢酸エチル500g、1,6-ヘキサンジオール35.5g(0.300mol)、DBU1.80g(11.8mmol)、BHT0.45g(2.04mmol)を室温にて仕込み、マグネチックスターラー攪拌下にて55℃まで昇温した。反応液へ、2-イソシアナトエチルアクリレート95.9g(0.679mol)を滴下し、2時間攪拌した後に反応液を高速液体クロマトフラフィーにて分析し、中間体が面積百分率で1%以下となったところで反応を完了させた。ヘキサンを328g加え、室温まで冷却させた後、析出した固体をヘキサン229gで2回洗浄し、乾燥させて化合物[A-a]を得た(104g、0.260mol、収率86.7%)。
[0079]
[化15]


[0080]
 窒素気流下、2Lの四つ口フラスコにジクロロメタン1330g、化合物[A-a]100g(0.250mol)、パラホルムアルデヒド22.5g(0.749mol)を仕込み、氷浴中、トリメチルシリルクロリド122g(1.12mol)を滴下した。2時間攪拌後、トリエチルアミン63.2g(0.625mol)とメタノール240gの混合液を滴下した。30分攪拌後、5Lの分液ロートに移し、水1500gを加えて分液操作を行った。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムをろ過により除去して得られたろ液を濃縮、乾燥させて化合物[DM-1]を得た(110g、0.226mol、収率90.3%)。
 化合物[DM-1]の構造は、 1H-NMR分析により以下のスペクトルデータを得て確認した。
[0081]
  1H-NMR(CDCl 3):δ6.42(d,2H J=17.2),6.17-6.08(m,2H),5.86(d,2H J=10.0),4.77(d,4H J=19.6),4.30(m,4H),4.12(t,4H J=6.4),3.61(m,4H),3.30(d,6H J=12.8),1.67(m,4H),1.40(m,4H).
[0082]
実施例2:化合物[DM-2]の合成
[化16]


[0083]
 窒素気流下、500mLの四つ口フラスコに酢酸エチル35.0g、トルエン87.0g、ヘキサメチレンジイソシアネート8.41g(50.0mmol)、DBU0.345g(2.27mmol)、BHT70.0mg(0.318mmol)を室温にて仕込み、マグネチックスターラー攪拌下にて60℃まで昇温した。反応液へ、2-ヒドロキシエチルアクリレート12.8g(111mmol)とトルエン26.0gの混合液を滴下し、1時間攪拌した後、室温で24時間攪拌した。131gのヘキサンを加え氷浴に漬けて冷却させた後、析出した結晶をろ過、乾燥させて化合物[A-b]を得た(15.0g、37.4mmol、収率74.8%)。
[0084]
[化17]


[0085]
 窒素気流下、300mLの四つ口フラスコにジクロロメタン200g、化合物[A-b]14.6g(36.4mmol)、パラホルムアルデヒド3.28g(109mmol)を仕込み、氷浴中、トリメチルシリルクロリド23.7g(218mmol)を滴下した。1時間攪拌後、メタノール35.6gを滴下し1時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300mLで有機層を洗浄し、得られた水層はジクロロメタン200gでさらに洗浄した。この2種の有機層を混合した溶液をさらにブライン170gで洗浄し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ過により除去し、得られたジクロロメタン溶液を濃縮、乾燥させて目的の[DM-2]を得た(16.2g、33.1mmol、収率91.0%)。
 化合物[DM-2]の構造は、 1H-NMR分析により以下のスペクトルデータを得て確認した。
[0086]
  1H-NMR(CDCl 3):δ6.33(d,2H J=17.2),6.20-6.14(m,2H),5.96(d,2H J=10.4),4.63(s,4H),4.33(m,4H),4.27(m,4H),3.16-3.14(br,10H),1.47(m,4H),1.20(m,4H).
[0087]
<合成例1>
 MMA(メタクリル酸メチル)100.0g、HEMA(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)11.1g、重合触媒としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)5.6gをPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)450.0gに溶解し、80℃にて20時間反応させることによりアクリル共重合体溶液(固形分濃度20質量%)(P1)を得た。得られたアクリル共重合体のMnは4,200、Mwは7,600であった。
[0088]
<基材フィルムの作製>
 基材として用いたアクリルフィルムは、以下の方法で作製した。即ち、メチルメタクリレートを主成分とした共重合体等からなる原料ペレットを250℃にて押出機で溶融、T-ダイに通過させ、キャスティングロール及び乾燥ロールなどを経て厚さ40μmのアクリルフィルムを作製した。
[0089]
<実施例3乃至4、比較例1>
 表1に示す組成で(A)乃至(E)の各成分及び溶剤を混合し、最終組成物の固形分濃度が5質量%となるように溶剤の添加量を調整することで実施例3乃至4、比較例の各硬化膜形成組成物を調製した。得られた組成物について、配向感度、パターン形成性、密着性の評価を行った。なお、表1中の組成比は固形分での比を表すものとする。
[0090]
[表1]


[0091]
[配向感度の評価]
 実施例及び比較例の各硬化膜形成組成物をアクリルフィルム上にバーコータを用いて塗布した後、温度100℃で2分間、熱循環式オーブン中で加熱乾燥を行い、硬化膜を形成した。この各硬化膜に313nmの直線偏光を垂直に照射し、配向材を形成した。基板上の配向材の上に、メルク株式会社製の水平配向用重合性液晶溶液RMS03-013Cを、バーコータを用いて塗布し、次いで、70℃で60秒間ホットプレート上において加熱乾燥を行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。この基板上の塗膜を300mJ/cm 2で露光し、位相差材を作製した。作製した基板上の位相差材を一対の偏光板で挟み込み、位相差材における位相差特性の発現状況を観察し、配向材が液晶配向性を示すのに必要な偏光UVの露光量を配向感度とした。評価結果は、表2にまとめて示した。
[0092]
[パターン形成性の評価]
 実施例及び比較例の各硬化膜形成組成物をアクリルフィルム上にバーコータを用いて塗布した後、温度100℃で1分間、熱循環式オーブン中で加熱乾燥を行い、硬化膜を形成した。この硬化膜に350μmのラインアンドスペースマスクを介し313nmの直線偏光を20mJ/cm 2垂直に照射した。次に、マスクを取り外し、基板を90度回転させた後、313nmの直線偏光を10mJ/cm 2垂直に照射し、液晶の配向制御方向が90度異なる2種類の液晶配向領域が形成された配向材を得た。基板上の配向材の上に、メルク株式会社製の水平配向用重合性液晶溶液RMS03-013Cを、バーコータを用いて塗布し、次いで、70℃で60秒間ホットプレート上において加熱乾燥を行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。この基板上の塗膜を300mJ/cm 2で露光し、異なる位相差特性を有する2種類の領域が規則的に配列されたパターン化位相差材を作製した。作製した基板上のパターン化位相差材を、偏光顕微鏡を用いて観察し、配向欠陥なく位相差パターンが形成されているものを○、配向欠陥が見られるものを×として評価した。評価結果は、表2にまとめて示した。
[0093]
[密着性の評価]
 実施例及び比較例の各硬化膜形成組成物をアクリルフィルム上にバーコータを用いて塗布した後、温度100℃で1分間、熱循環式オーブン中で加熱乾燥を行い、硬化膜を形成した。この硬化膜に350μmのラインアンドスペースマスクを介し313nmの直線偏光を20mJ/cm 2垂直に照射した。次に、マスクを取り外し、基板を90度回転させた後、313nmの直線偏光を10mJ/cm 2垂直に照射し、液晶の配向制御方向が90度異なる2種類の液晶配向領域が形成された配向材を得た。基板上の配向材の上に、メルク株式会社製の水平配向用重合性液晶溶液RMS03-013Cを、バーコータを用いて塗布し、次いで、70℃で60秒間ホットプレート上において加熱乾燥を行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。この基板上の塗膜を300mJ/cm 2で露光し、異なる位相差特性を有する2種類の領域が規則的に配列されたパターン化位相差材を作製した。
 このパターン化位相差材に縦横1mm間隔で5×5マスとなるようカッターナイフで切込みをつけた。この切り込みの上にセロハンテープ剥離試験を行った。評価結果は「初期」の欄に記載し、25マス全て剥がれずに残っているものを○、1マスでも剥がれているものを×とした。評価結果は、表2にまとめて示した。
[0094]
[耐久密着性の評価]
 上述の密着性の評価と同様の方法で作製したアクリルフィルム上の位相差材を、温度80℃湿度90%に設定されたオーブンに入れ、72時間以上静置した。その後、位相差材を取り出し、上述の密着性の評価と同様の方法で、密着性を評価した。評価結果は、「耐久」の欄に記載し、表2にまとめて示した。
[0095]
[評価の結果]
 以上の評価を行った結果を、上述したように、表2に示した。
[表2]


[0096]
 実施例3乃至4の硬化膜形成組成物を用いて得られた配向材は、比較例の硬化膜形成組成物を用いて得られた配向材と同様に、液晶配向性を示すのに必要な偏光UVの露光量はいずれも10mJ/cm 2と低い値であり、良好な配向感度を示した。
[0097]
 実施例3乃至4の硬化膜形成組成物を用いて得られた配向材は、比較例の硬化膜形成組成物を用いて得られた配向材と同様に、良好なパターン形成性を示した。
[0098]
 実施例3乃至4の硬化膜形成組成物を用いて得られた硬化膜は、高温高湿処理しても高い密着性を維持し、優れた密着耐久性を示した。
 それに対し、比較例の硬化膜形成組成物を用いて得られた硬化膜は、高温高湿処理後、初期の密着性を維持することが困難であった。
[0099]
 以上の実施例と比較例により、本発明の化合物は、硬化膜形成組成物の密着耐久性を向上させる効果を有しており、また、パターン形成性等の特性には影響を与えないことが確認された。

産業上の利用可能性

[0100]
 本発明の化合物は、液晶パネルを用いたテレビ等のディスプレイの分野や、半導体分野において用いられる樹脂組成物、フォトレジスト等の感光性樹脂、熱架橋性や光架橋性を利用する塗料に添加することで、得られる硬化膜等の性能を向上させ、透明性等の特性には影響を与えない添加剤等として有用である。

請求の範囲

[請求項1]
 下記式[1]で表される、N-アルコキシアルキル基を有するアクリル又はメタクリル化合物。
[化1]


[式中、
 R 1は水素原子又はメチル基を表し、
 R 2は炭素原子数2乃至20のアルキレン基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる2価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む2価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキレン基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 3は炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなるr価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含むr価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 4は炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる1価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む1価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 Zは>NCOO-又は-OCON<(ここで「-」は結合手が1つであることを示す。また、「>」「<」は結合手が2つであることを示す。「>」及び「<」のうちいずれか1つは-CH 2OR 4と結合している。)を表し、
 rは2以上9以下の自然数である。]
[請求項2]
 R 2は炭素原子数2乃至10のアルキレン基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる2価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む2価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキレン基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 3は炭素原子数2乃至10のr価の脂肪族基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなるr価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含むr価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 4は炭素原子数1乃至6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、
 rが2乃至6である、請求項1に記載の化合物。
[請求項3]
 R 4がメチル基、エチル基、n-プロピル基又はn-ブチル基である、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
[請求項4]
 R 2がエチレン基である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の化合物。
[請求項5]
 R 3がn-ヘキシレン基であり、rが2である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の化合物。
[請求項6]
 下記式(A)
[化2]


[式中、
 R 1は水素原子又はメチル基を表し、
 R 2は炭素原子数2乃至20のアルキレン基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる2価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む2価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキレン基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 3は炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなるr価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含むr価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 Xは-NHCOO-又は-OCONH-を表し、
 rは2以上9以下の自然数である。]で表される化合物と、パラホルムアルデヒド及びトリメチルシリルクロリドとを反応させた後に、下記式(G)
[化3]


(式中、R 4は炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる1価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む1価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。)で表されるアルコール化合物と反応させることを特徴とする、下記式[1]
[化4]


[式中、R 1、R 2、R 3、R 4及びrは前記の意味を表し、Zは>NCOO-又は-OCON<(ここで「-」は結合手が1つであることを示す。また、「>」「<」は結合手が2つであることを示す。「>」及び「<」のうちいずれか1つは-CH 2OR 4と結合している。)を表す。]で表される、N-アルコキシアルキル基を有するアクリル又はメタクリル化合物の製造方法。
[請求項7]
 R 2は炭素原子数2乃至10のアルキレン基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなる2価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む2価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該アルキレン基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 3は炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基、炭素原子数5乃至6の脂肪族環からなるr価の基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含むr価の脂肪族基を表し、これらの基はその構造中にエーテル結合を含んでいてもよく、当該炭素原子数2乃至20のr価の脂肪族基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、
 R 4は炭素原子数1乃至6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、
 rが2乃至6である、請求項6に記載の製造方法。
[請求項8]
 R 4がメチル基、エチル基、n-プロピル基又はn-ブチル基である、請求項6又は請求項7に記載の製造方法。
[請求項9]
 R 2がエチレン基である、請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項10]
 R 3がn-ヘキシレン基であり、rが2である、請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の製造方法。