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1. (WO2015146822) 炭化水素油の水素化脱硫触媒
Document

明 細 書

発明の名称 炭化水素油の水素化脱硫触媒

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005   0006   0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041  

実施例

0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 炭化水素油の水素化脱硫触媒

技術分野

[0001]
 本発明は炭化水素油の水素化脱硫触媒に関する。

背景技術

[0002]
 従来、炭化水素油の水素化処理を目的として広く使用されてきたのは、アルミナ、アルミナ-シリカ、チタニア、アルミナ-チタニアなどの多孔性無機酸化物からなる担体に、周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれた金属成分を担持した触媒である。
 現在、環境保護の観点から燃料油の硫黄分の品質規制が強化されている。特に、軽油中の硫黄分は10質量ppm以下という厳しい規制となっている。このため、この規制に対応できるよう軽油超深度脱硫触媒の開発が進んでいる。
 特許文献1は、シリカ-チタニア-アルミナ担体に周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれた金属成分を担持した触媒を開示している。この触媒は,チタニアの含有量や結晶構造、担体の比表面積や細孔容積などを調整することで高い脱硫活性を実現しているが、さらなる脱硫活性の向上が求められている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2011-072928号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 本発明の目的は、従来よりも高性能な水素化脱硫触媒、特に軽油留分の水素化脱硫触媒およびその製造方法の提供にある。

課題を解決するための手段

[0005]
 本発明者らは鋭意研究した結果、特定の性状を有する担体を用いることにより、脱硫性能が大きく向上し、前記課題を達成し得ることを見出した。
[0006]
 すなわち、本発明は、X線回折分析により測定されるベーマイト(020)面の結晶構造を示す回折ピーク面積が、γ-アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積に対して、1/10以上である担体に、周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれる少なくとも1種の金属成分を担持してなる水素化脱硫触媒であり、前記第VIII族から選ばれる金属成分が第VIA族から選ばれる金属成分に対してモル比で0.13~0.22であることを特徴とする炭化水素油の水素化脱硫触媒である。
[0007]
 また、本発明は、珪酸イオンの存在下で、チタニウム鉱酸塩及び酸性アルミニウム塩の混合水溶液と、塩基性アルミニウム塩水溶液とを、pHが6.5~9.5になるように混合して水和物を得る第1工程と、前記水和物を順次洗浄、成型、乾燥、及び焼成して担体を得る第2工程と、前記担体に、周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれる少なくとも1種の金属成分を担持する第3工程により前記の水素化脱硫触媒を得ることを特徴とする水素化脱硫触媒の製造方法である。

発明の効果

[0008]
 本発明の水素化脱硫触媒は、従来の触媒よりも高性能であり、特に軽油留分の水素化脱硫触媒として好適である。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 実施例1で製造した担体aおよび比較例1で製造した担体eのそれぞれのX線回折スペクトルを示す図である。
[図2] 実施例1で製造した担体aおよび比較例1で製造した担体eのそれぞれの透過型フーリエ変換赤外吸収スペクトルを示す図である。
[図3] 担体の酸性OH基に起因する吸収スペクトルの極大ピーク位置および弱塩基性OH基に起因する吸収スペクトルの極大ピーク位置を示す図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、本発明について詳細に説明する。
 本発明の水素化脱硫触媒における担体は、少なくともベーマイトとγ-アルミナの両方の形態を含み、X線回折分析により測定されるベーマイト(020)面の結晶構造を示す回折ピーク面積が、γ-アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積に対して、1/10以上であることを特徴とする。
[0011]
 担体中のベーマイトとγ-アルミナの含有量は、それぞれをAl とした場合の合計で50~96質量%であることが好ましく、より好ましくは58~83質量%、さらに好ましくは70~83質量%である。ここで、アルミナの含有量が50質量%未満の場合には、触媒劣化が大きくなる傾向にあるので好ましくない。また、アルミナの含有量が96質量%より多い場合には、触媒性能が低下する傾向にあるため好ましくない。
[0012]
 担体としては、ベーマイトおよびγ-アルミナのほかは、特に限定されるものではなく、シリカ、チタニア、ボリア、五酸化二リン、ジルコニアなどを含んでもよく、特に好ましいのはシリカおよびチタニアを含むことである。
[0013]
 シリカは、担体基準でSiO として1~10質量%含有することが好ましく、2~7質量%含有することがより好ましく、2~5質量%含有することがさらに好ましい。シリカの含有量が1質量%未満では、比表面積が低くなる上、担体を焼成する際にチタニア粒子が凝集しやすくなり、X線回折分析により測定されるアナターゼ型チタニア及びルチル型チタニアの結晶構造を示す回折ピーク面積が大きくなる。チタニア粒子が凝集すると比表面積が低くなり、周期表第VIA族の金属成分および周期表第VIII族の金属成分の含有量が低くなり、活性が低下してしまう。また、シリカの含有量が10質量%を超える場合には、得られる担体の細孔分布のシャープネスが悪くなり所望の脱硫活性が得られないことがある。
[0014]
 チタニアは、担体基準でTiO として3~40質量%含有することが好ましく、15~35質量%含有することがより好ましく、15~25質量%含有することがさらに好ましい。チタニアの含有量が3質量%より少ない場合には、チタニア成分の添加効果が少なく、得られる触媒は所望の脱硫活性が得られないことがある。また、チタニアの含有量が40質量%より多い場合には、触媒の機械的強度が低くなる虞がある上、担体を焼成したときにチタニア粒子の結晶化が進み易くなるため比表面積が低くなり、チタニア量を増やした分の経済性に見合うだけの脱硫性能が発揮されないため好ましくない。
[0015]
 本発明の水素化脱硫触媒は、前記の担体に周期表第VIA族(IUPAC 第6族)及び第VIII族(IUPAC 第8族~第10族)から選ばれる少なくとも1種以上の金属成分が担持されたものである。
[0016]
 周期表第VIA族の金属成分としては、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等を例示することができ、周期表第VIII族の金属成分としては、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等を例示することができる。これらの金属成分は1種を単独で又は2種以上を組合せて用いても良い。触媒性能の点から、金属成分としては、ニッケル-モリブデン、コバルト-モリブデン、ニッケル-モリブデン-コバルト、ニッケル-タングステン、コバルト-タングステン、ニッケル-タングステン-コバルト等の組合せが好ましく、特に、ニッケル-モリブデン、コバルト-モリブデン、ニッケル-モリブデン-コバルトの組合せがより好ましい。
[0017]
 金属成分の担持量は、触媒基準で、酸化物として、1~35質量%の範囲が好ましく、15~30質量%の範囲がさらに好ましい。特に、周期表第VIA族の金属成分は、酸化物として、好ましくは10~30質量%の範囲、より好ましくは13~24質量%の範囲、周期表第VIII族の金属成分は、酸化物として、2.6~4.4質量%の範囲が好ましく、より好ましくは2.8~4.2質量%の範囲にあることが望ましい。
[0018]
 また、周期表第VIII族から選ばれる金属成分の割合は、周期表第VIA族から選ばれる金属成分に対してモル比で0.13~0.22であることが必要であり、0.14~0.21が好ましく、0.16~0.18がさらに好ましい。周期表第VIA族の硫化物のエッジサイトに第VIII族の金属が配位する構造(CoとMoの場合CoMoS相)が高活性種と言われている。周期表第VIII族から選ばれる金属成分の割合が、周期表第VIA族から選ばれる金属成分に対してモル比で0.13未満だと、CoMoS相が十分に形成されず好ましくない。一方、周期表第VIII族から選ばれる金属成分の割合が、周期表第VIA族から選ばれる金属成分に対してモル比で0.22を超えると、CoMoS相を不活性な硫化コバルト種が覆ってしまうため好ましくない。
[0019]
 本発明の水素化脱硫触媒の担体に周期表第VIA族の金属成分を担持・含有させる場合は、酸を用いて該金属成分を溶解させることが好ましい。ここで酸としては、リン酸および/または有機酸を使用することが好ましい。
[0020]
 リン酸を用いる場合、周期表第VIA族の金属成分100質量%に対してリンは酸化物換算で3~25質量%のリン酸を担持させることが好ましく、より好ましくは10~15質量%の範囲で担持されることが好ましい。担持量が25質量%を超えると触媒性能が低下する傾向にあるので好ましくなく、3質量%未満だと担持金属溶液の安定性が悪くなり好ましくない。
[0021]
 なお、上記担体に、上記金属成分、あるいはさらにリンを担持・含有させる方法は特に限定されず、含浸法(平衡吸着法、ポアフィリング法、初期湿潤法)、イオン交換法等の公知の方法を用いることができる。ここで、含浸法とは、担体に活性金属を含む溶液を含浸させた後、乾燥、焼成する方法のことである。
[0022]
 含浸法では、周期表第VIA族の金属成分と周期表第VIII族の金属成分とを同時に担持することが好ましい。別々に金属を担持すると、脱硫活性または脱窒素活性が不充分になることがある。担持を含浸法により行う場合には、担体上での周期表第VIA族の金属成分の分散性が高くなって、得られる触媒の脱硫活性および脱窒素活性がより高くなることから、酸の共存下、好ましくはリン酸または有機酸の共存下で行う。その際、周期表第VIA族の金属成分100質量%に対して3~25質量%のリン酸を添加することが好ましい。
[0023]
 本発明の水素化脱硫触媒は、BET法で測定した比表面積(SA)が150m /g以上であることが好ましく、より好ましくは170m /g以上である。比表面積(SA)が150m /g未満では、脱硫反応の活性点が少なくなり、脱硫性能が低下する虞があるため好ましくない。一方、上限については特に制限はないが、比表面積(SA)が300m /gを超えると触媒強度が低下する傾向にあるので、300m /g以下であることが好ましく、280m /g以下がより好ましい。
[0024]
 本発明の水素化脱硫触媒の担体は、X線回折分析により測定されるベーマイト(020)面の結晶構造を示す回折ピーク面積が、γ-アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積に対して、1/10以上であることが必要であり、1/5以上であるのが好ましく、1/4以上であるのがより好ましい。上限については特に限定されないが、1以下であることが好ましく、4/5以下がより好ましい。X線回折分析により測定されるベーマイト(020)面の結晶構造を示す回折ピーク面積が、γ-アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積に対して、1/10未満であると、周期表第VIA族の金属成分と周期表第VIII族の金属成分の分散度が低くなり、その結果として十分な活性が得られなくなってしまう。一方、1を超えると、ベーマイトの割合が多くなり過ぎ、強度が低下するため好ましくない。
 ここで、ベーマイト(020)面の結晶構造を示す回折ピークは2θ=14°で測定したものであり、γ-アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピークは2θ=67°で測定したものである。
[0025]
 それぞれの回折ピーク面積の算出方法は、X線回折装置でX線回折分析によって得られたグラフを最小二乗法によりフィッティングしベースライン補正を行い、最大ピーク値からベースラインまでの高さを求め(ピーク強度W)得られたピーク強度の半分の値(1/2W)のときのピーク幅(半値幅)を求め、この半値幅とピーク強度との積を回折ピーク面積とした。求めた各回折ピーク面積から、「ベーマイト回折ピーク面積/γ-アルミナ回折ピーク面積」を算出した。
[0026]
 本発明の水素化脱硫触媒の担体は、透過型フーリエ変換赤外吸収スペクトル測定装置(FT-IR)によって測定される酸性OH基に起因する本担体単位表面積当たりの吸光度と弱塩基性OH基に起因する当該担体単位表面積当たりの吸光度の比が0.9以上であることが好ましく、より好ましくは1.0以上であり、さらに好ましくは1.1以上である。酸性OH基の割合が多くなると、周期表第VIA族の金属成分と周期表第VIII族の金属成分が担体上に高分散に担持され、その結果活性点の数が増えて活性が上がり好ましい。
 ここで、前記酸性OH基に起因する吸収スペクトルの極大ピーク位置の波数は3670~3695cm -1の範囲にあり、前記弱塩基性OH基に起因する吸収スペクトルの極大ピーク位置の波数は3720~3740cm -1の範囲にある(図3参照)。
 なお、上記したFT-IRによる測定法に関しては後述する。
[0027]
 本発明の水素化脱硫触媒は、炭化水素油、特に軽油留分の水素化処理に好適に使用される。該触媒を使用した水素化脱硫処理は、固定床反応装置に触媒を充填して水素雰囲気下、高温高圧条件で行なわれる。
 軽油留分としては、原油の常圧蒸留装置から得られる直留軽油、常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を接触分解して得られる接触分解軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を水素化分解して得られる水素化分解軽油等が挙げられる。
[0028]
 反応圧力(水素分圧)は3~15MPaであることが好ましく、より好ましくは4~10MPaである。反応圧力が3MPa未満では脱硫および脱窒素が著しく低下する傾向にあり、また、15MPaを超えると水素消費が大きくなり運転コストが増加するので好ましくない。
[0029]
 反応温度は300~420℃であることが好ましく、より好ましくは320~380℃である。反応温度が300℃未満では脱硫および脱窒素活性が著しく低下する傾向にあり実用的でない。また、420℃を超えると触媒劣化が顕著になると共に、反応装置の耐熱温度(通常約425℃)に近づくため好ましくない。
[0030]
 液空間速度は特に制限されないが、0.5~4.0h -1であることが好ましく、より好ましくは0.5~2.0h -1である。液空間速度が0.5h -1未満では処理量が低いので生産性が低くなり実用的ではない。また、液空間速度が4.0h -1を超えると反応温度が高くなり、触媒劣化が速くなるので好ましくない。
[0031]
 水素/油比は120~420NL/Lであることが好ましく、より好ましくは170~340NL/Lである。水素/油比が120NL/L未満では脱硫率が低下するので好ましくない。また、420NL/Lを超えても脱硫活性に大きな変化がなく、運転コストが増加するだけなので好ましくない。
[0032]
 次に、本発明の水素化脱硫触媒の製造方法について説明する。
 本発明の水素化脱硫触媒の製造方法は、珪酸イオンの存在下で、チタニウム鉱酸塩及び酸性アルミニウム塩の混合水溶液(以下、単に「混合水溶液」ともいう。)と、塩基性アルミニウム塩水溶液とを、pHが6.5~9.5になるように混合して水和物を得る第1工程と、前記水和物を順次洗浄、成型、乾燥、及び焼成して担体を得る第2工程と、前記担体に、周期表第VIA族(IUPAC 第6族)及び第VIII族(IUPAC 第8族~第10族)から選ばれる少なくとも1種の金属成分を担持する第3工程とを有する。以下、それぞれの工程について説明する。
[0033]
(第1工程)
 まず、珪酸イオンの存在下で、チタニウム鉱酸塩及び酸性アルミニウム塩の混合水溶液(これは酸性の水溶液である。)と、塩基性アルミニウム塩水溶液(これはアルカリ性の水溶液である。)とを、pHが6.5~9.5、好ましくは6.5~8.5、より好ましくは6.5~7.5になるように混合して、シリカ、チタニア及びアルミナを含む水和物を得る。
[0034]
 この工程では、(1)珪酸イオンを含む塩基性アルミニウム塩水溶液に、混合水溶液を添加する場合と、(2)珪酸イオンを含む混合水溶液に、塩基性アルミニウム塩水溶液を添加する場合とがある。
 ここで、(1)の場合、塩基性アルミニウム塩水溶液に含有される珪酸イオンは、塩基性または中性のものが使用できる。塩基性の珪酸イオン源としては、珪酸ナトリウムなどの水中で珪酸イオンを生じる珪酸化合物が使用可能である。また、(2)の場合、チタニウム鉱酸塩及び酸性アルミニウム塩水溶液の混合液に含有される珪酸イオンは、酸性または中性のものが使用できる。酸性の珪酸イオン源としては、珪酸などの水中で珪酸イオンを生じる珪酸化合物が使用可能である。
[0035]
 塩基性アルミニウム塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどが好適に使用される。また、酸性アルミニウム塩としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどが好適に使用され、チタニウム鉱酸塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、硫酸チタン、硝酸チタンなどが例示され、特に硫酸チタンは安価であるので好適に使用される。
[0036]
 例えば、所定量の塩基性の珪酸イオンを含有する塩基性アルミニウム塩水溶液を攪拌機付きタンクに張り込み、通常40~90℃、好ましくは50~70℃に加温して保持し、この溶液の温度±5℃、好ましくは±2℃、より好ましくは±1℃に加温した所定量のチタニウム鉱酸塩及び酸性アルミニウム塩水溶液の混合水溶液をpHが6.5~9.5、好ましくは6.5~8.5、より好ましくは6.5~7.5になるように、通常5~20分、好ましくは7~15分で連続添加し沈殿を生成させ、水和物のスラリーを得る。ここで、塩基性アルミニウム塩水溶液への混合水溶液の添加は、時間が長くなると擬ベーマイトの他にバイヤライトやギブサイトなどの好ましくない結晶物が生成することがあるので、15分以下が望ましく、13分以下がさらに望ましい。バイヤライトやギブサイトは、焼成した時に比表面積が低下するので、好ましくない。
[0037]
 (第2工程)
 第1工程で得られた水和物のスラリーを、所望により熟成した後、洗浄して副生塩を除き、シリカ、チタニア及びアルミナを含む水和物のスラリーを得る。得られた水和物のスラリーを、所望によりさらに加熱熟成した後、慣用の手段により、例えば、加熱捏和して成型可能な捏和物とした後、押出成型などにより所望の形状に成型し、通常70~150℃、好ましくは90~130℃で乾燥した後、好ましくは400~500℃、より好ましくは400~480℃、さらに好ましくは430~470℃、最も好ましくは440~460℃で、通常0.5~10時間、好ましくは2~5時間焼成することにより、シリカ、チタニア及びアルミナを含むシリカ-チタニア-アルミナ担体を得る。
 このときの焼成条件、特に焼成温度を制御することで、X線回折分析により測定されるベーマイト(020)面の結晶構造を示す回折ピーク面積が、γ-アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積に対して、1/10以上である担体を調製することができる。
[0038]
 (第3工程)
 得られたシリカ-チタニア-アルミナ担体に、周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれた少なくとも1種の金属成分を上述したとおり、慣用の手段(含浸法、浸漬法など)で担持した後、好ましくは400~500℃、より好ましくは400~480℃、さらに好ましくは430~470℃で、通常0.5~10時間、好ましくは2~5時間焼成し、本発明の水素化脱硫触媒を製造する。
 金属成分の原料としては、例えば、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸コバルト、炭酸コバルト、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモン、パラタングステン酸アンモンなどが好ましく使用される。
[0039]
<酸性OH基の吸光度、弱塩基性OH基の吸光度>
 透過型フーリエ変換赤外分光計(日本分光(株)製:FT-IR/6100)にて、以下のようにして酸性OH基の極大ピーク波数、その波数における吸光度、弱塩基性OH墓の極大ピーク波数、その波数における吸光度を測定した。
[0040]
 (測定法)
 試料20mgを成型容器(内径20mm)に充填して4ton/cm (39227N/cm )で加圧圧縮し、薄い円盤状に成型した。この成型体を、真空度が1.0×10 -3Pa以下の条件下、400~500℃で2時間保持した後、室温に冷却して吸光度を測定した。
 具体的には、TGS検出器にて、分解能4cm -1、積算回数を200回とし、波数範囲3000~4000cm -1でベースライン補正し、その後、比表面積で補正した。吸光度は、単位表面積当りに換算した。
 単位表面積当たりの吸光度(m -2)=(吸光度)/(成型体質量×比表面積)
[0041]
 なお、以下の実施例・比較例いずれにおいても酸性OH基に起因する吸収スペクトルの極大ピーク位置の波数は3670~3695cm -1の範囲にあり、弱塩基性OH基に起因する吸収スペクトルの極大ピーク位置の波数は3720~3740cm -1の範囲にあった。
実施例
[0042]
 以下、本発明の内容を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明
はこれらに何ら限定されるものではない。
[0043]
[実施例1:水素化脱硫触媒aの調製]
 容量が100Lのスチームジャケット付のタンクに、Al 濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液(日揮触媒化成(株)製)8.16kgを入れ、イオン交換水41kgで希釈後、SiO 濃度換算で5質量%の珪酸ナトリウム溶液(AGCエスアイテック(株)製;SiO 濃度24質量%)1.80kgを攪拌しながら添加し、60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩水溶液を作成した。また、Al 濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液(日揮触媒化成(株)製)7.38kgを13kgのイオン交換水で希釈した酸性アルミニウム塩水溶液と、TiO 濃度換算で33質量%の硫酸チタニル(テイカ(株)製)1.82kgを10kgのイオン交換水に溶解したチタニウム鉱酸塩水溶液とを混合し、60℃に加温して、混合水溶液を作成した。塩基性アルミニウム塩水溶液が入ったタンクに、ローラーポンプを用いて混合水溶液をpHが7.2となるまで一定速度で添加(添加時間:10分)し、シリカ、チタニア、及びアルミナを含む水和物のスラリーaを調製した。
[0044]
 得られた水和物スラリーaを攪拌しながら60℃で1時間熟成した後、平板フィルターを用いて脱水し、更に、0.3質量%アンモニア水溶液150Lで洗浄した。洗浄後のケーキ状のスラリーをAl 濃度換算で10質量%となるようにイオン交換水で希釈した後、15質量%アンモニア水でpHを10.5に調整した。これを還流機付熟成タンクに移し、攪拌しながら95℃で10時間熟成した。熟成終了後のスラリーを脱水し、スチームジャケットを備えた双腕式ニーダーにて練りながら所定の水分量まで濃縮捏和した。得られた捏和物を押出成型機にて直径が1.8mmの円柱形状に成型し、110℃で乾燥した。乾燥した成型品は電気炉で450℃の温度で3時間焼成し、担体aを得た。担体aは、シリカがSiO 濃度換算で3質量%(担体基準)、チタニアがTiO 濃度換算で20質量%(担体基準)、アルミニウムがAl 濃度換算で77質量%(担体基準)含有されていた。
[0045]
 また、担体aをリガク社製のX線回折装置RINT2100にて、X線回折分析を行った(以下の実施例についても同様である)。その結果を図1に示す。ここで、得られたグラフを最小二乗法によりフィッティングし、ベースライン補正を行い2θ=14°に示されるベーマイト(020)面の結晶構造を示す回折ピークの半値幅を求め、この半値幅とベースラインからのピーク強度との積をベーマイト回折ピーク面積とした。同様に2θ=67°に示されるγ-アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピークの半減値を求め、この半減値とベースラインからのピーク強度との積をγ-アルミナ回折ピーク面積とした。ベーマイトの結晶構造を示す回折ピーク面積が、γ-アルミナに帰属される結晶構造を示す回折ピーク面積に対して、1/3であった(ベーマイト回折ピーク面積/γ-アルミナ回折ピーク面積=1/3。以下同様)。
 また、図2に担体aの透過型フーリエ変換赤外吸収スペクトルを示す。
[0046]
 更に、三酸化モリブデン(Climax(株)製;MoO 濃度99質量%)268gと炭酸コバルト((株)田中化学研究所製;CoO濃度61質量%)66gとを、イオン交換水500mlに懸濁させ、この懸濁液を95℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸(関東化学(株)製;P 濃度62質量%)54gを加えて溶解させ、含浸液を作製した。この含浸液を、担体a1000gに噴霧含浸させた後、250℃で乾燥し、更に電気炉にて450℃で1時間焼成して水素化脱硫触媒a(以下、単に「触媒a」ともいう。以下の実施例についても同様である。)を得た。表1に触媒aの性状を示す。
[0047]
[実施例2:水素化脱硫触媒bの調製]
 担体aを用いて、含浸液調製において、三酸化モリブデンを270g、炭酸コバルトを78g、リン酸を55g用いたこと以外は触媒aと同様の調製を行い、触媒bを得た。表1に触媒bの性状を示す。
[0048]
[実施例3:水素化脱硫触媒cの調製]
 担体aを用いて、含浸液調製において、三酸化モリブデンを272g、炭酸コバルトを90g、リン酸を55g用いたこと以外は触媒aと同様の調製を行い、触媒cを得た。表1に触媒cの性状を示す。
[0049]
[実施例4:水素化脱硫触媒dの調製]
 担体調製において、乾燥した成型品を電気炉で480℃で焼成したこと以外は担体aと同様の調製を行い、担体dを得た。実施例1と同様にX線回折分析を行った結果(図示せず)、ベーマイト回折ピーク面積/γ-アルミナ回折ピーク面積は1/9であった。含浸液は触媒aと同様の調製を行い、触媒dを得た。表1に触媒dの性状を示す。
[0050]
[比較例1:水素化脱硫触媒eの調製]
 担体調製において、乾燥した成型品を電気炉で550℃で焼成したこと以外は担体aと同様の調製を行い、担体eを得た。実施例1と同様にX線回折分析を行った結果、図1に示すようにベーマイト回折ピークは存在せず、ベーマイト回折ピーク面積/γ-アルミナ回折ピーク面積は0であった。含浸液は触媒aと同様の調製を行い、触媒eを得た。表1に触媒eの性状を示す。
[0051]
[比較例2:水素化脱硫触媒fの調製]
 担体eを用い、含浸液は触媒bと同様の液を用いて、触媒fを得た。表1に触媒fの性状を示す。
[0052]
[比較例3:水素化脱硫触媒gの調製]
 担体eを用い、含浸液は触媒cと同様の液を用いて、触媒gを得た。表1に触媒gの性状を示す。
[0053]
[比較例4:水素化脱硫触媒hの調製]
 担体aを用い、含浸液調製において、三酸化モリブデンを267g、炭酸コバルトを55g用いたこと以外は触媒aと同様の調製を行い、触媒hを得た。表1に触媒hの性状を示す。
[0054]
[比較例5:水素化脱硫触媒iの調製]
 担体aを用い、含浸液調製において、三酸化モリブデンを274g、炭酸コバルトを101g、リン酸を56g用いたこと以外は触媒aと同様の調製を行い、触媒iを得た。表1に触媒iの性状を示す。
[0055]
[水素化脱硫試験]
 触媒a~iを使用して、次の性状を有する原料油をザイテル社製の水素化脱硫装置により水素化処理した。水素化処理反応は以下の条件で行った。各触媒について反応温度330℃および340℃における反応速度定数を求め、330℃、340℃それぞれについて触媒cの反応速度定数を100として求めた相対脱硫活性の平均を表1に示す。
《原料油の性状》
 原料油:直留軽油(沸点範囲208~390℃)
 密度@15℃:0.8493g/cm
 硫黄分:1.32質量%
 窒素分:105質量ppm
《反応条件》
 反応温度:330℃、340℃
 液空間速度:1.36hr -1
 水素圧力:6.0MPa
 水素/油比:250NL/L
[0056]
[表1]


[0057]
 コバルト/モリブデン比が0.13~0.22の範囲の場合、担体にベーマイトが含まれることで脱硫活性が向上していることがわかる。担体上にベーマイトが含まれることで酸性OH基が比較的多く残存し、その結果モリブデンが高分散担持される。脱硫触媒の活性点は硫化モリブデンのエッジサイトに配位したコバルト、いわゆるCoMoS構造であることから、モリブデンが高分散することでCoも高分散となり、CoMoSの数が増えて活性が向上する。ただしベーマイトが含まれていても、コバルトが少ないところではCoMoSの数が十分ではないため活性が低く、コバルトが多いところでは硫化モリブデンに配位しない不活性なコバルト種が活性点を覆うため、活性が低くなる。

請求の範囲

[請求項1]
 X線回折分析により測定されるベーマイト(020)面の結晶構造を示す回折ピーク面積が、γ-アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積に対して、1/10以上である担体に、周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれる少なくとも1種の金属成分を担持してなる水素化脱硫触媒であり、前記第VIII族から選ばれる金属成分が第VIA族から選ばれる金属成分に対してモル比で0.13~0.22であることを特徴とする炭化水素油の水素化脱硫触媒。
[請求項2]
 担体にシリカおよびチタニアから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の炭化水素油の水素化脱硫触媒。
[請求項3]
 前記周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれる金属成分が、モリブデン、タングステン、コバルトおよびニッケルから選ばれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の炭化水素油の水素化脱硫触媒。
[請求項4]
 前記第VIII族から選ばれる金属成分が酸化物として2.6~4.4質量%含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の炭化水素油の水素化脱硫触媒。
[請求項5]
 珪酸イオンの存在下で、チタニウム鉱酸塩及び酸性アルミニウム塩の混合水溶液と、塩基性アルミニウム塩水溶液とを、pHが6.5~9.5になるように混合して水和物を得る第1工程と、前記水和物を順次洗浄、成型、乾燥、及び焼成して担体を得る第2工程と、前記担体に、周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれる少なくとも1種の金属成分を担持する第3工程により請求項1に記載の水素化脱硫触媒を得ることを特徴とする水素化脱硫触媒の製造方法。
[請求項6]
 前記第2工程における焼成温度が400~500℃であることを特徴とする請求項5に記載の水素化脱硫触媒の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]