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1. (WO2015146680) 鞍乗型車両
Document

明 細 書

発明の名称 鞍乗型車両

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

発明の開示

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025  

図面の簡単な説明

0026  

発明を実施するための形態

0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7A   7B  

明 細 書

発明の名称 : 鞍乗型車両

技術分野

[0001]
 本発明は、左右の前輪を車体フレームに対して接続するリンク機構と、リンク機構をロックまたはロック解除するためのロック機構とを備えた鞍乗型車両に関する。

背景技術

[0002]
 特開2005-313876号公報(特許文献1)に開示されるように、左右の前輪を備えた三輪車において、リンク機構によって左右の前輪を車体フレームに接続する構成が知られている。特許文献1に開示された構成は、リンク機構の動作を止めるアンチロール装置を有する。
[0003]
 特許文献1に開示されているアンチロール装置は、リンク機構の一つの要素と一体的に設けられた1/4円状のブレーキディスクと、車体フレームに取り付けられたキャリパとを有する。アンチロール装置では、キャリパによってブレーキディスクを挟むことにより、ブレーキディスクを車体フレームに対して固定する。これにより、リンク機構の動作を止めることができるため、車両のロール運動を阻止することができる。
[0004]
 また、上述のようなアンチロール装置を有する三輪車において、キャリパによってブレーキディスクをロックする条件として、スロットル開度、エンジン回転数及び車速を考慮する構成が知られている。これらの値が所定の条件を満たす場合には、三輪車が停止または停止直前の状態であると判断して、アンチロール装置を作動させる。
[0005]
 なお、上述の構成では、キャリパのロックを解除する際にも、スロットル開度、エンジン回転数及び車速を考慮する。すなわち、スロットル開度、エンジン回転数及び車速のいずれかによって、三輪車の発進が検出された場合に、キャリパのロックを解除する。具体的には、スロットル開度が閾値よりも大きくなると、キャリパのロックを解除する。エンジン回転数が閾値よりも大きくなると、キャリパのロックを解除する。車速が閾値よりも大きくなると、キャリパのロックを解除する。

発明の開示

[0006]
 上述のように、リンク機構をロックするための装置を有する構成において、ロック解除条件に、スロットル開度やエンジン回転数を用いた場合、スロットル開度やエンジン回転数の上昇を伴う車両発進であれば、車両発進時にリンク機構のロックを解除することができる。しかしながら、例えば、下り坂等では、スロットル開度やエンジン回転数を上昇させずに、車両が発進する場合がある。車速をロック解除条件に加える場合、運転者が車両を押しているときに、リンク機構のロックが解除されないようにするため、閾値をある程度大きな値に設定することがある。この場合、スロットル開度やエンジン回転数を上昇させずに車両が発進すると、車速が閾値に達するまでリンク機構のロックが解除されない。
[0007]
 本発明の目的は、スロットル開度やエンジン回転数を上昇させずに車両が発進する場合であっても、車速がロック解除条件に達する前に、リンク機構のロックを解除できる鞍乗型車両を提供することにある。
[0008]
 本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両は、エンジンと、車体フレームと、左右の前輪と、前記左右の前輪を前記車体フレームに対して接続するリンク機構と、前記リンク機構の動作を規制することにより前記リンク機構をロック状態にする一方、前記リンク機構の動作を許容することにより前記リンク機構をロック解除状態にするロック機構と、前記ロック機構による前記リンク機構のロック及びロック解除を制御するロック機構制御部と、車速を検出する車速検出部と、前記車速の変化率を取得する車速変化率取得部とを備えている。前記ロック機構制御部は、前記ロック機構によって前記リンク機構がロック状態であり、且つ、前記車速検出部によって検出された車速、及び、前記車速変化率取得部によって取得された車速変化率のうち少なくとも一方がロック解除条件を満たしている場合に、前記ロック機構によって前記リンク機構をロック解除状態にする(第1の構成)。
[0009]
 リンク機構のロックを解除する際に、車速だけでなく、車速の変化率も考慮するため、従来と異なる方法でロック解除を行うことができる。車速のロック解除条件は、運転者が車両を押しているときにリンク機構のロックが解除されないように閾値をある程度、大きな値に設定する場合もある。この場合、下り坂でスロットル開度やエンジン回転数を上昇させることなく車両が発進すると、車速が閾値に達するまでリンク機構のロックが解除されない。これに対し、ロック解除条件として、車速だけでなく、車速変化率も考慮することにより、車速がロック解除条件を満たす前であっても、車速変化率がロック解除条件を満たした時点でリンク機構のロックを解除することができる。
[0010]
 したがって、車速を用いてロック解除の判定を行う従来の構成に比べて、車両の発進時にリンク機構のロックを迅速に解除できるとともに、車両が下り坂で発進した場合でもリンク機構のロックを迅速に解除することができる。
[0011]
 前記第1の構成において、前記ロック解除条件は、車速変化率が所定値以上の場合である。前記ロック機構制御部は、前記ロック機構によって前記リンク機構がロック状態であり、且つ、前記車速変化率取得部によって取得された車速変化率が前記所定値以上の場合に、前記ロック機構によって前記リンク機構をロック解除状態にする(第2の構成)。
[0012]
 車速変化率が所定値以上の場合にロック機構によってリンク機構をロック解除状態にすることにより、車両の発進時に、リンク機構のロックを解除することができる。
[0013]
 前記第1または第2の構成において、前記車速変化率取得部は、前記車速検出部によって第1時間に検出された車速と前記車速検出部によって第2時間に検出された車速との差分、または前記車速検出部によって検出された車速の微分値を、前記車速変化率として出力する(第3の構成)。
[0014]
 これにより、車速変化率を容易に求めることができる。
[0015]
 前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成において、鞍乗型車両は、前記エンジンのスロットル開度に対応する値を検出するスロットル開度検出部をさらに備えている。前記ロック機構制御部は、前記ロック機構によって前記リンク機構がロック状態であり、且つ、前記スロットル開度検出部によって検出されたスロットル開度に対応する値がロック解除条件を満たしている場合に、前記ロック機構によって前記リンク機構をロック解除状態にする(第4の構成)。
[0016]
 車速をロック解除条件にする場合、運転者が車両を押しているときにロックが解除されないように、閾値をある程度、大きな値に設定する場合もある。ロック解除条件が車速のみの場合、運転者のアクセルグリップの操作によりエンジンの回転数を上昇させて車両が走行を開始したにもかかわらず、車速が閾値に達するまでは、リンク機構のロックが解除されない。これに対し、上述の構成のようにリンク機構をロック解除状態にする際にスロットル開度に対応する値も考慮することで、運転者がアクセルグリップを操作した時点でリンク機構のロックを解除することができる。よって、車速が閾値に達する前に、リンク機構のロックを解除できる。
[0017]
 しかも、スロットル開度に対応する値を考慮してリンク機構のロック解除を行うことにより、発進時等に、加速度が上昇するよりも前にロック解除を行うことが可能になる。
[0018]
 前記第1の構成において、鞍乗型車両は、前記エンジンのスロットル開度に対応する値を検出するスロットル開度検出部をさらに備えている。前記ロック機構制御部は、前記リンク機構がロック解除状態であり、且つ、前記スロットル開度検出部によって検出されたスロットル開度に対応する値、前記車速検出部によって検出された車速、及び前記車速変化率取得部によって取得された車速変化率がそれぞれロック条件を満たしている場合に、前記ロック機構によって前記リンク機構をロック状態にする(第5の構成)。
[0019]
 スロットル開度に対応する値、車速及び車速変化率のすべてがロック条件を満たしている場合にリンク機構をロック状態にすることで、例えば下り坂で鞍乗型車両の車速が徐々に増加している場合において、スロットル開度に対応する値及び車速がロック条件を満たしている場合でも、車速変化率もロック条件を満たしていない限り、リンク機構がロックされることを防止できる。
[0020]
 前記第1の構成において、鞍乗型車両は、前記ロック機構制御部に対し、前記ロック機構による前記リンク機構のロック解除を指示する指示信号を出力する入力指示部をさらに備えている。前記ロック機構制御部は、前記入力指示部から指示信号が入力された際に、前記リンク機構がロック状態では前記ロック機構によって前記リンク機構をロック解除状態にする(第6の構成)。
[0021]
 入力指示部から出力される指示信号によって、ロック機構によるリンク機構のロック解除を行うことができる。したがって、ロック機構によるリンク機構のロック解除を乗員の指示に基づいて行うことができる。
[0022]
 前記第5の構成において、鞍乗型車両は、前記ロック機構制御部に対し、前記ロック機構による前記リンク機構のロックを指示する指示信号を出力する入力指示部をさらに備えている。前記ロック機構制御部は、前記リンク機構がロック解除状態で、前記入力指示部から指示信号が入力されている間に、前記車速の変化率、スロットル開度に対応する値及び車速がそれぞれ前記ロック条件を満たしていない状態から該ロック条件を満たした状態に変化した際に、前記ロック機構によって前記リンク機構をロック状態にする(第7の構成)。
[0023]
 これにより、車速の変化率、スロットル開度及び車速がロック条件を満たしていることを確認しなくても、入力指示部によって入力指示が行われている間に車速の変化率、スロットル開度及び車速がロック条件を満たした時点で、リンク機構をロック状態にすることができる。すなわち、運転者が前もって入力指示部によって入力指示を行うことにより、各値がロック条件を満たした時点でリンク機構をロック状態にすることができる。したがって、上述の構成により、各値がロック条件を満たしているのを確認した後に入力指示部によって入力指示を行う場合に比べて、リンク機構を迅速にロック状態にすることが可能になる。
[0024]
 前記第1から第7の構成のうちいずれか一つの構成において、鞍乗型車両は、前記左右の前輪に生じる逆位相の振動を減衰可能なダンパ機構をさらに備えている。前記ロック機構は、前記ダンパ機構の動作をロック可能に構成されている(第8の構成)。
[0025]
 これにより、左右の前輪に生じる逆位相の振動を減衰するダンパ機構を用いて、リンク機構の動作をロックするロック機構を構成することができる。したがって、別にロック機構を設ける必要がないので、コンパクトで安価な鞍乗型車両を実現できる。

図面の簡単な説明

[0026]
[図1] 本発明の実施形態に係る三輪車両の概略構成を示す左側面図である。
[図2] 三輪車両の車両本体の前部を、車体カバーを外した状態で車両前方から見た図である。
[図3] ダンパ機構の概略構成を示す図である。
[図4] ロック機構制御部の信号の授受を示すブロック図である。
[図5] ロック機構制御部によって行われるロック制御のフローである。
[図6] ロック機構制御部によって行われるロック解除制御のフローである。
[図7A] 平坦地で三輪車両が発進する際の車速の変化とダンパ機構のロック解除との関係を模式的に示す図である。
[図7B] 下り坂で三輪車両が発進する際の車速の変化とダンパ機構のロック解除との関係を模式的に示す図である。

発明を実施するための形態

[0027]
 以下で、実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
[0028]
 また、以下の説明において、前方、後方、左方及び右方は、ハンドル12を握りつつ三輪車両1のシート13に着座した運転者から見た前方、後方、左方及び右方を意味する。
[0029]
 <三輪車両の全体構成>
 図1は、本発明の実施形態に係る三輪車両1(鞍乗型車両)の全体構成を示す左側面図である。この三輪車両1は、車両本体2、車両本体2の前方に配置された左右の前輪3、及び、車両本体2の後方に配置された一つの後輪4を備える。なお、図1中の矢印Fは、三輪車両1の前方向を示し、矢印Uは三輪車両1の上方向を示す。
[0030]
 車両本体2は、車体フレーム11、車体カバー5、ハンドル12、シート13、及び、パワーユニット14を備える。また、車両本体2は、後述する前輪支持機構6を備える。
[0031]
 車体フレーム11は、ヘッドパイプ21を備える。ヘッドパイプ21は、三輪車両1の前部に配置されている。特に図示しないが、ヘッドパイプ21には、車両後方に向かって延びるメインフレーム、及び、該メインフレームよりも車両下側に向かって延びるダウンフレームなどが接続されている。
[0032]
 ヘッドパイプ21内には、ステアリングシャフト22が配置されている。このステアリングシャフト22の上側には、ハンドル12がヘッドパイプ21に対して回転可能に接続されている。ヘッドパイプ21には、車両前方側に、後述する前輪支持機構6が接続されている。なお、ステアリングシャフト22は、特に図示しないが、後述の前輪支持機構6の左ナックルアーム31及び右ナックルアーム32に接続されている。また、後述するように、左右の前輪3は、左ナックルアーム31及び右ナックルアーム32に回転可能に支持されている。よって、ステアリングシャフト22を回転させることにより、上面視で左右の前輪3を回転させることができる。
[0033]
 上述のような構成を有する車体フレーム11は、車体カバー5によって覆われている。車体カバー5は、例えば樹脂材料によって構成されている。車体カバー5の詳しい構成については説明を省略する。
[0034]
 左右の前輪3は、図2に示すように、前輪支持機構6の左右のナックルアーム31,32によって回転可能に支持されている。すなわち、左右の前輪3は、上述のようにヘッドパイプ21に接続された前輪支持機構6を間に挟み込むように、該前輪支持機構6の左右両側に配置されている。
[0035]
 後輪4は、従来の自動二輪車の後輪と同様の構成なので、説明を省略する。また、エンジン及び駆動力伝達装置等を含むパワーユニット14の構成も、従来の自動二輪車のパワーユニットの構成と同様なので、詳しい説明を省略する。
[0036]
 <前輪支持機構>
 次に、左右の前輪3をヘッドパイプ21に対して支持する前輪支持機構6の構成について、図1及び図2を用いて詳細に説明する。
[0037]
 前輪支持機構6は、リンク機構30と、サスペンション40と、ダンパ機構50とを備える。リンク機構30は、ヘッドパイプ21に対して車両前方から見て回転可能に支持されている。また、車両上方から見て、リンク機構30の左右には、左右の前輪3が取り付けられている。すなわち、リンク機構30は、左右の前輪3とヘッドパイプ21とを接続するリンク構造を有する。サスペンション40は、左右の前輪3に生じる同位相の振動を減衰するように、リンク機構30に取り付けられている。ダンパ機構50は、左右の前輪3に生じる逆位相の振動を減衰するように、リンク機構30に取り付けられている。サスペンション40及びダンパ機構50に関する構成については、後述する。
[0038]
 リンク機構30は、車両の左右に位置する左右のナックルアーム31,32と、左右のナックルアーム31,32の上部をヘッドパイプ21に接続する上アーム33と、左右のナックルアーム31,32の下部をヘッドパイプ21に接続する下アーム34とを備える。
[0039]
 左右のナックルアーム31,32は、それぞれの下端側が左右の前輪3に接続されている。すなわち、左右の前輪3は、左右のナックルアーム31,32のそれぞれの下端部に回転可能に支持されている。
[0040]
 左ナックルアーム31と右ナックルアーム32とは、ほぼ左右対称の形状を有する。また、左ナックルアーム31と右ナックルアーム32とは、前輪3、上アーム33及び下アーム34に対する各接続構造も左右対称である。よって、以下の説明では、左ナックルアーム31についてのみ説明する。
[0041]
 左ナックルアーム31は、上下方向に延びていて、その上下中央部分に車両内方に向かって突出するように屈曲した屈曲部31aを有する。左ナックルアーム31は、屈曲部31aよりも上側で、上アーム33に回転可能に接続されている。左ナックルアーム31は、屈曲部31aが前輪3のタイヤの車幅方向内側を径方向に跨ぐように配置される。そして、左ナックルアーム31の屈曲部31aよりも下側には、前輪3の車軸3a(図1参照)が回転可能に接続されている。ここで、前輪3は、概略有底筒状のホイールの外周にゴム製のタイヤが嵌め込まれている。
[0042]
 なお、図2において、符号32aは、右ナックルアーム32に設けられた屈曲部である。この屈曲部32aも、左ナックルアーム31の屈曲部31aと同様、前輪3のタイヤの車幅方向内側を径方向に跨ぐように位置付けられている。
[0043]
 上アーム33は、左ナックルアーム31に回転可能に接続される左上アーム35と、右ナックルアーム32に回転可能に接続される右上アーム36とを備える。左上アーム35及び右上アーム36は、それぞれ、ヘッドパイプ21に回転可能に接続されている。これにより、左上アーム35及び右上アーム36は、それぞれ、ヘッドパイプ21に対して独立して回転するとともに、左右のナックルアーム31,32に対しても回転する。
[0044]
 下アーム34は、左ナックルアーム31に回転可能に接続される左下アーム37と、右ナックルアーム32に回転可能に接続される右下アーム38とを備える。上述の左上アーム35及び右上アーム36と同様、左下アーム37及び右下アーム38は、それぞれ、ヘッドパイプ21に回転可能に接続されている。これにより、左下アーム37及び右下アーム38は、それぞれ、ヘッドパイプ21に対して独立して回転するとともに、左右のナックルアーム31,32に対しても回転する。
[0045]
 以上のように、本実施形態のリンク機構30は、上下のアーム33,34において各アーム35~38が独立して上下動する、いわゆるダブルウィッシュボーンの構成を有する。
[0046]
 リンク機構30の一部を構成する上アーム33の上側には、左上アーム35と右上アーム36とを接続するようにサスペンション40が取り付けられている。サスペンション40は、図2に示すように、上アーム33に対して略平行に配置されている。
[0047]
 サスペンション40は、円柱状のピストン41と、円筒状のシリンダ42とを備える。特に図示しないが、ピストン41は、ピストンロッドの長手方向の一方の端部に、シリンダ42の内部空間を2つに区画するピストン本体を有する。ピストン41は、長手方向の一方の端部に設けられたピストン本体がシリンダ42内に位置付けられ、該シリンダ42内をその筒軸方向に移動可能に構成されている。シリンダ42内には作動油(流体)が充填されている。シリンダ42内をピストン41が移動することによって、サスペンション40で減衰力が得られる。
[0048]
 ピストン41は、シリンダ42の外方に位置する他方の端部が右上アーム36に回転可能に接続されている。シリンダ42は、ピストン41が挿入される側とは反対側が左上アーム35に回転可能に接続されている。
[0049]
 これにより、サスペンション40のピストン41は、左上アーム35と右上アーム36との相対変位に応じてシリンダ42に対して移動する。よって、サスペンション40によって、左上アーム35及び右上アーム36に相対変位を生じるような振動を減衰することができる。例えば、左上アーム35及び右上アーム36に同位相の振動が生じた場合には、サスペンション40によって振動を減衰することができる。
[0050]
 上アーム33と下アーム34との間には、上アーム33の右上アーム36と下アーム34の左下アーム37とを接続するように、ダンパ機構50が取り付けられている。すなわち、ダンパ機構50は、車両前方から見て、概略矩形状のリンク機構30に対し、ヘッドパイプ21と交差するように配置される。
[0051]
 ダンパ機構50は、詳しくは後述するように、ピストン51が円筒状のシリンダ52を貫通している、いわゆるスルーロッドタイプのダンパである。ダンパ機構50のピストン51の一方の端部が上アーム33の右上アーム36に回転可能に接続されている。シリンダ52における前記一方の端部とは反対側の端部が下アーム34の左下アーム37に回転可能に接続されている。なお、ダンパ機構50は、図1に示すように、ヘッドパイプ21よりも車両前方側に配置されている。
[0052]
 上述のように、ダンパ機構50によって、リンク機構30の右上アーム36と左下アーム37とを接続することにより、右上アーム36と左下アーム37との相対変位を抑制することが可能になる。すなわち、上述の構成により、車体フレーム11が直立状態から側方に傾くような動きに対し、ダンパ機構50による減衰力が得られる。これにより、ダンパ機構50は、後述するように動作をロックすることによりヘッドパイプ21の倒れを防止するロックとして機能するとともに、右上アーム36と左下アーム37とが相対変位を生じるような振動(すなわち、逆位相の振動)を減衰することができる。
[0053]
 <ダンパ機構>
 図3に示すように、ダンパ機構50は、ピストン62と、シリンダ64とを備える。
[0054]
 ピストン62は、ピストン本体62Aと、ピストンロッド62Bとを備える。ピストン本体62Aは、ピストンロッド62Bの軸方向中央部分に配置される。ピストン本体62Aは、シリンダ64内を移動可能に配置される。ピストンロッド62Bは、シリンダ64を軸方向に貫通して配置される。つまり、ダンパ機構50は、所謂スルーロッドタイプのダンパである。
[0055]
 シリンダ64内には、作動油が収容される。シリンダ64内は、ピストン本体62Aにより、2つの空間(第1空間66A及び第2空間66B)に区画される。第1空間66A及び第2空間66Bは、減衰回路68により、相互に接続される。そのため、作動油は、減衰回路68を介して、第1空間66A及び第2空間66Bの間を移動できる。
[0056]
 減衰回路68は、4つの流路70A、70B、70C、70Dと、2つの流量調整部72A、72Bと、1つの温度補償室74とを備える。流量調整部72Aは、流路70Aを介して、第1空間66Aに接続される。流量調整部72Aは、流路70Bを介して、流量調整部72Bに接続される。流量調整部72Bは、流路70Cを介して、第2空間66Bに接続される。温度補償室74は、流路70Dを介して、流路70Bに接続される。
[0057]
 流量調整部72A、72Bは、それぞれ、弁体及びばねを備える。弁体は、ばねの付勢力により、切換弁76内の流路を閉塞する位置に配置される。そのため、作動油が減衰回路66内を流れることが阻止される。つまり、ダンパ機構50の動作が規制される。ダンパ機構50の動作が規制されると、リンク機構36の動作が規制される。つまり、リンク機構36がロック状態になる。
[0058]
 アクチュエータ78は、例えば、モータである。アクチュエータ78は、弁体をばねの付勢力に抗して移動させる。このとき、弁体は、流量調整部72A、72B内の流路を閉塞しない位置に配置される。そのため、作動油が減衰回路66内を流れることが許容される。つまり、ダンパ機構50の動作が許容される。ダンパ機構50の動作が許容されると、振動が減衰する。例えば、左下アーム44Lと右上アーム42Rとに逆位相の振動が生じる場合、つまり、一対の前輪14L、14Rに逆位相の振動が生じる場合には、ダンパ機構50により、振動が減衰する。また、ダンパ機構50の動作が許容されると、リンク機構36の動作が許容される。つまり、リンク機構がロック解除状態になる。
[0059]
 上述の説明から明らかなように、本実施形態では、ダンパ機構50、減衰回路66及びアクチュエータ78を含んで、ロック機構80が実現される。
[0060]
 なお、図3に示す例では、リリーフバルブ82が、流量調整部72Aと並列に配置される。リリーフバルブ82は、ダンパ機構50の動作が規制されているときに、シリンダ64の内圧が上昇するのを阻止する。
[0061]
 <ロック機構制御部>
 上述のような構成を有するダンパ機構50の動作をロック機構80によって制御するためのロック機構制御部101について、図4を用いて以下で説明する。
[0062]
 ロック機構制御部101は、例えば、エンジン14a等を制御する制御装置100内に設けられている。すなわち、制御装置100は、ロック機構80によってダンパ機構50の動作を制御するロック機構制御部101と、エンジン14aの駆動を制御するエンジン制御部102とを備える。なお、制御装置100内では、ロック機構制御部101とエンジン制御部102との間で信号の授受が可能に構成されている。
[0063]
 ロック機構制御部101は、三輪車両1の車速、車速変化率及びスロットル開度の全てがロック条件の閾値以下であり、且つハンドル12に設けられた指示スイッチ103(指示SW、入力指示部)による入力指示があった場合に、ダンパ機構50をロック状態にする。一方、ロック機構制御部101は、三輪車両1の車速、車速変化率及びスロットル開度の少なくとも一つがロック解除条件の閾値を超えた場合に、ダンパ機構50のロックを解除する。
[0064]
 よって、ロック機構制御部101には、指示スイッチ103から出力される指示信号、車輪速センサ104(車速検出部)から出力される車速信号及びスロットル位置センサ105(TPS、スロットル開度検出部)から出力されるスロットル開度信号がそれぞれ入力される。具体的には、車輪速センサ104から出力された車速信号は、ABS制御ユニット106に一旦、入力された後、ロック機構制御部101に入力される。ロック機構制御部101では、後述するように、入力された車速信号に基づいて車速変化率を演算する。スロットル位置センサ105から出力されたスロットル開度信号は、エンジン制御部102の制御に利用されるため、制御装置100に入力される。
[0065]
 なお、ロック機構制御部101には、バルブ位置センサ107、左アーム角センサ108及び右アーム角センサ109からそれぞれ出力される信号が入力される。バルブ位置センサ107は、ダンパ機構50の流量調整部72A、72B内の弁体の位置を検出する。バルブ位置センサ107によって検出された弁体の位置は、流量調整部72A、72B内の流路の開閉制御に用いられる。なお、図4では、バルブ位置センサ107は1つしか図示していないが、実際には、バルブ位置センサ107は1つの流量調整部に対して1つ設けられている。左アーム角センサ108は、左上アーム35及び左下アーム37の傾きを検出する。右アーム角センサ109は、右上アーム36及び右下アーム38の傾きを検出する。左アーム角センサ108及び右アーム角センサ109によって検出される各アームの傾きは、例えば、ダンパ機構50のロックやロック解除を規制する場合などに用いられる。
[0066]
 また、ロック機構制御部101には、パーキングスイッチ110(パーキングSW)から出力される指令信号も入力される。ロック機構制御部101は、パーキングスイッチ110から指令信号が入力されると、ロック機構80によって、ダンパ機構50をロック状態にする。これにより、リンク機構30の動作を規制する。
[0067]
 ロック機構制御部101は、減衰回路55のアクチュエータ53に対して駆動信号を出力する。この駆動信号は、後述するように、ダンパ機構50をロック状態またはロック解除状態に切り替える際に、ロック機構制御部101から出力される。また、ロック機構制御部101は、ダンパ機構50をロック状態またはロック解除状態に切り替えた際や、指示スイッチ103からの指示信号の出力待ちの状態の際などに、ブザー111及び表示部112に信号を出力する。
[0068]
 ロック機構制御部101は、車速変化率取得部101aと、ロック判定部101bと、ロック解除判定部101cとを備える。車速変化率取得部101aは、車輪速センサ104からABS制御ユニット106を介して入力された車速を用いて車速変化率を算出する。ロック判定部101bは、三輪車両1が所定のロック条件を満たした場合に、ダンパ機構50をロック状態にする駆動信号を生成する。ロック解除判定部101cは、三輪車両1が所定のロック解除条件を満たした場合に、ダンパ機構50をロック解除状態にする駆動信号を生成する。ロック条件及びロック解除条件の詳細は後述する。
[0069]
 車速変化率取得部101aは、車輪速センサ104から出力された車速を用いて、車速変化率を算出する。具体的には、車速変化率取得部101aは、第1時間で車輪速センサ104によって検出された車速と、第2時間で車輪速センサ104によって検出された車速との差分を求め、該差分を車速変化率として出力する。ここで、第1時間と第2時間との時間差は単位時間であってもよいし、所定の時間間隔であってもよい。
[0070]
 なお、車速変化率取得部101aは、車輪速センサ104から出力された車速を微分して、加速度を求めるように構成されていてもよい。すなわち、車速変化率取得部101aは、時間変化に対する車速の変化を算出可能な構成であれば、どのような構成であってもよい。
[0071]
 <ロック制御>
 次に、上述の構成を有するロック機構制御部101によってダンパ機構50をロック状態に切り替えるロック制御について、図5のフローを用いて以下で説明する。
[0072]
 図5に示すフローがスタートすると(スタート)、ステップSA1では、ダンパ機構50がロック解除状態かどうかを判定する。ロック解除状態かどうかは、バルブ位置センサ107によって検出された、流量調整部72A、72B内の弁体の位置に応じて判定される。ステップSA1でダンパ機構50がロック解除状態ではない、すなわちロック状態であると判定された場合(NOの場合)には、このままフローを終了する(エンド)。
[0073]
 一方、ステップSA1において、ダンパ機構50がロック解除状態であると判定された場合(YESの場合)には、ステップSA2に進んで、スロットル開度がゼロであるかどうかを判定する。スロットル開度がゼロであるかどうかは、スロットル位置センサ105によって検出されたスロットル開度信号に基づいて判定される。なお、スロットル開度がゼロとは、ゼロだけでなく、車両に駆動力を与えない程度の低いスロットル開度も含む。また、ステップSA2において、スロットル開度がゼロであるかどうかを判定するのではなく、スロットル開度が車両に駆動力を与えない程度の閾値よりも低いか否かを判定してもよい。
[0074]
 ステップSA2において、スロットル開度がゼロでないと判定された場合(NOの場合)には、このままフローを終了する(エンド)。一方、ステップSA2において、スロットル開度がゼロであると判定された場合(YESの場合)には、続くステップSA3に進んで車速が閾値P以下かどうかを判定する。この閾値Pは、例えば三輪車両1が停止する直前など、通常走行時に比べて低い車速に設定される。
[0075]
 ステップSA3において、車速が閾値Pよりも大きいと判定された場合(NOの場合)には、このままフローを終了する(エンド)。一方、ステップSA3において、車速が閾値P以下であると判定された場合(YESの場合)には、続くステップSA4に進んで車両の車速変化率が閾値Q以下であるかどうかを判定する。この閾値Qは、例えば三輪車両1が停止する直前など、通常走行時に比べて低い値に設定される。
[0076]
 ステップSA4において、車速変化率が閾値Qよりも大きいと判定された場合(NOの場合)には、このままフローを終了する(エンド)。一方、ステップSA4において、車速変化率が閾値Q以下であると判定された場合(YESの場合)には、続くステップSA5に進んで指示スイッチ103に対する入力指示があるかどうかを判定する。指示スイッチ103に対する入力指示の有無は、指示スイッチ103から出力される指示信号を検出することにより判定される。
[0077]
 ステップSA5において、指示スイッチ103に対する入力指示がないと判定された場合(NOの場合)には、このままフローを終了する(エンド)。一方、ステップSA5において、指示スイッチ103に対する入力指示があると判定された場合(YESの場合)には、ステップSA6に進んで、ダンパ機構50をロック状態にする駆動信号を生成する。
[0078]
 なお、指示スイッチ103は、スイッチ入力されている間、指示信号を出力し続けるように構成されている。そのため、指示スイッチ103に対して入力指示が継続されている間に、スロットル開度、車速及び車速変化率がロック条件を満たした場合(ステップSA2からSA4においてYESの場合)にも、ステップSA5でYESと判定され、ステップSA6に進む。よって、スロットル開度、車速及び車速変化率がロック条件を満たしたことを運転者が確認した後、指示スイッチ103に対して入力指示を行う場合に比べて、迅速にダンパ機構50をロック状態にすることができる。
[0079]
 以上のように、ロック機構制御部101は、ダンパ機構50がロック解除状態のときに、スロットル開度がゼロ、車速及び車速変化率が閾値以下で、指示スイッチ103に対して入力指示があった場合に、ダンパ機構50をロック状態にする。このように、スロットル開度及び車速だけでなく、車速変化率がロック条件を満たしている場合にダンパ機構50をロック状態にすることで、車両が停止直前であるとより確実に判定される場合にのみ、ダンパ機構50をロック状態にすることができる。したがって、上述の構成により、車両の停止直前でリンク機構30を迅速にロック状態にすることができる。
[0080]
 また、上述の構成にすることで、例えば下り坂で三輪車両1の車速が徐々に増加している場合において、スロットル開度及び車速がロック条件を満たしている場合でも、車速変化率もロック条件を満たしていない限り、ダンパ機構50はロックされない。これにより、三輪車両1が下り坂で発進した際に、リンク機構30がロックされるのをより確実に防止できる。
[0081]
 なお、上述のロック制御の例では、ロック機構80によってダンパ機構50をロックする際には指示スイッチ103による入力指示が必要である。しかしながら、指示スイッチ103による入力指示がなくても、スロットル開度、車速及び車速変化率がロック条件を満たした場合に、ロック機構80によってダンパ機構50をロック状態にしてもよい。
[0082]
 <ロック解除制御>
 次に、上述の構成を有するロック機構制御部101によってダンパ機構50をロック解除状態に切り替えるロック解除制御について、図6のフローを用いて以下で説明する。
[0083]
 図6に示すフローがスタートすると(スタート)、ステップSB1で、ダンパ機構50がロック状態であるかどうかを判定する。ダンパ機構50がロック状態であるかどうかは、バルブ位置センサ107によって検出された、流量調整部72A、72B内の弁体の位置に応じて判定される。ステップSB1でダンパ機構50がロック状態ではない、すなわちロック解除状態であると判定された場合(NOの場合)には、このままフローを終了する(エンド)。
[0084]
 一方、ステップSB1において、ダンパ機構50がロック状態であると判定された場合(YESの場合)には、ステップSB2に進んで、スロットル開度が閾値A以上であるかどうかを判定する。スロットル開度が閾値A以上であるかどうかは、スロットル位置センサ105によって検出されたスロットル開度信号に基づいて判定される。なお、閾値Aは、例えば車両発進時のスロットル開度など、車両が加速していると判定可能なスロットル開度に設定される。
[0085]
 ステップSB2において、スロットル開度が閾値A以上であると判定された場合(YESの場合)には、ステップSB5に進んでダンパ機構50をロック解除状態にする駆動信号を生成する。一方、ステップSB2において、スロットル開度が閾値Aよりも小さいと判定された場合(NOの場合)には、続くステップSB3に進んで車速が閾値B以上であるかどうかを判定する。なお、閾値Bは、車両が走行していると判定可能な所定の車速に設定される。
[0086]
 ステップSB3において、車速が閾値B以上であると判定された場合(YESの場合)には、ステップSB5に進んでダンパ機構50をロック解除状態にする駆動信号を生成する。一方、ステップSB3において、車速が閾値Bよりも小さいと判定された場合(NOの場合)には、続くステップSB4に進んで車両の車速変化率が閾値C(所定値)以上であるかどうかを判定する。なお、閾値Cは、車両が走行のために加速していると判定可能な所定の値に設定される。
[0087]
 ステップSB4において、車速変化率が閾値C以上であると判定された場合(YESの場合)には、ステップSB5に進んでダンパ機構50をロック解除状態にする駆動信号を生成する。一方、ステップSB4において、車速変化率が閾値Cよりも小さいと判定された場合(NOの場合)には、このフローを終了する(エンド)。
[0088]
 ステップSB5において、ダンパ機構50をロック解除状態にする駆動信号を生成した後は、このフローを終了する(エンド)。
[0089]
 以上のように、ロック機構制御部101は、ダンパ機構50がロック状態のときに、スロットル開度が閾値A以上、車速が閾値B以上、及び、車速変化率が閾値C以上のいずれかを満たす場合に、ダンパ機構50をロック解除状態にする。このように車速変化率を考慮することにより、スロットル開度及び車速を考慮してダンパ機構50をロック解除状態にする構成に比べて、迅速にダンパ機構50をロック解除状態にすることができる。
[0090]
 また、上述の構成により、例えば下り坂で三輪車両1が発進した際でも、ダンパ機構50を迅速且つより確実にロック解除状態にすることができる。すなわち、三輪車両1が下り坂で発進した場合、スロットル開度及び車速は低いが、徐々に加速している状態が考えられる。このような場合でも、上述の構成のように、三輪車両1の車速変化率を考慮してダンパ機構50をロック解除状態にすることで、三輪車両1の発進時に迅速且つより確実にリンク機構30のロックを解除することができる。
[0091]
 図7Aに、平坦路で三輪車両1が発進する場合にダンパ機構50をロック解除状態に切り替えるタイミングを示す。図7Bに、下り坂で三輪車両1が発進する場合にダンパ機構50をロック解除状態に切り替えるタイミングを示す。
[0092]
 図7A及び図7Bに示すように、三輪車が発進する場合に、車速の変化がほぼ同様であっても、平坦路で発進する場合(図7A)にはスロットル開度が大きくなるため、スロットル開度が閾値A以上になってロック解除条件を満たす。一方、三輪車1が下り坂で発進する場合、スロットル開度はほとんど変化せず、車速も緩やかに上昇する。そのため、スロットル開度及び車速のみを考慮した場合(車速変化率を考慮していない場合)、車速が閾値B以上になるまでダンパ機構50のロックは解除されない。
[0093]
 これに対し、上述のように、三輪車両1の車速変化率も考慮してダンパ機構50のロックを解除することで、車速が閾値B以上になる前に、車速変化率が閾値C以上になった時点でダンパ機構50のロックを解除することができる。したがって、上述の構成を有するロック機構制御部101は、スロットル開度及び車速を考慮した場合に比べて、下り坂でも三輪車両1の発進を迅速且つより確実に検出することができる。よって、三輪車両1の発進に応じて迅速且つより確実にダンパ機構50をロック解除状態に切り替えることができる。
[0094]
 なお、上述のロック解除制御の例では、ロック機構制御101は、スロットル開度、車速及び車速変化率のいずれかがロック解除条件を満たした場合(ステップSB2からSB4のいずれかでYESの場合)に、ダンパ機構50をロック解除状態に切り替える。しかしながら、ロック機構制御部101は、スロットル開度、車速及び車速変化率のいずれかがロック解除条件を満たしていない場合でも、指示スイッチ103の入力指示によって、ダンパ機構50をロック解除状態に切り替えるように構成されていてもよい。
[0095]
 本実施形態では、エンジン14aと、車体フレーム11と、左右の前輪3と、左右の前輪3を車体フレーム11に対して接続するリンク機構30と、リンク機構30の動作を規制することによりリンク機構30をロック状態にする一方、リンク機構30の動作を許容することによりリンク機構30をロック解除状態にするロック機構80と、ロック機構80によるリンク機構30のロック及びロック解除を制御するロック機構制御部101と、車速を検出する車輪速センサ104と、車速の変化率を取得する車速変化率取得部101aとを備えている。ロック機構制御部101は、ロック機構80によってリンク機構30がロック状態であり、且つ、車輪速センサ104によって検出された車速、及び、車速変化率取得部101aによって取得された車速の変化率のうち少なくとも一方がロック解除条件を満たしている場合に、ロック機構80によってリンク機構30をロック解除状態にする。
[0096]
 これにより、リンク機構30のロックを解除する際に、車速だけでなく、車速の変化率も考慮するため、車両の発進時をより確実に検出してリンク機構30のロック解除を迅速に行うことができる。すなわち、車速をロック解除条件にする場合、運転者が車両を押しているときにリンク機構30のロックが解除されないように閾値をある程度、大きな値に設定することが考えられる。この場合、車速が閾値に達するまでリンク機構30のロックが解除されない。これに対し、ロック解除条件として、車速だけでなく、車速変化率も考慮することにより、車速変化率がロック解除条件を満たした時点でリンク機構30のロックを迅速に解除することができる。
[0097]
 また、例えば下り坂で車両が発進した際でも、車両の発進を車速変化率によって精度良く判定することができる。よって、下り坂で車両が発進した際にも、リンク機構30のロックを迅速に解除することができる。
[0098]
 したがって、車速を用いてロック解除の判定を行う従来の構成に比べて、車両の発進時にリンク機構30のロックを迅速に解除できるとともに、下り坂で車両が発進した場合でもリンク機構30のロックを迅速に解除することができる。
[0099]
 本実施形態では、前記ロック解除条件は、車速変化率が所定値以上の場合である。前記ロック機構制御部は、ロック機構80によってリンク機構30がロック状態であり、且つ、車速変化率取得部101aによって取得された車速変化率が前記所定値以上の場合に、ロック機構80によってリンク機構30をロック解除状態にする。
[0100]
 車速変化率が所定値以上の場合にロック機構80によってリンク機構30をロック解除状態にすることにより、車両の発進時に、より確実にリンク機構30のロックを解除することができる。
[0101]
 本実施形態では、車速変化率取得部101aは、車輪速センサ104によって第1時間に検出された車速と車輪速センサ104によって第2時間に検出された車速との差分を、前記車速変化率として出力する。これにより、車速を微分して車速変化率を求める場合に比べて、車速変化率を容易に求めることができる。
[0102]
 なお、車速変化率取得部101aは、前記車速検出部によって検出された車速の微分値を、前記車速変化率として出力してもよい。
[0103]
 本実施形態では、三輪車両1は、エンジン14aのスロットル開度を検出するスロットル位置センサ105をさらに備えている。ロック機構制御部101は、ロック機構80によってリンク機構30がロック状態であり、且つ、スロットル位置センサ105によって検出されたスロットル開度がロック解除条件を満たしている場合に、ロック機構80によってリンク機構30をロック解除状態にする。
[0104]
 車速をロック解除条件にする場合、運転者が車両を押しているときにロックが解除されないように、閾値をある程度、大きな値に設定することが考えられる。この場合、運転者のアクセルグリップの操作によりエンジンの回転数を上昇させて車両が走行を開始したにもかかわらず、車速が閾値に達していないため、リンク機構30のロックが解除されない可能性がある。これに対し、上述の構成のようにスロットル開度も考慮することで、運転者がアクセルグリップを操作した時点でリンク機構30のロックを解除することができる。よって、車両が走行中であるにもかかわらずリンク機構30のロックが解除されないという状態を生じにくくすることができる。
[0105]
 しかも、スロットル開度を考慮してリンク機構30のロック解除を行うことにより、発進時等に、速度変化率が上昇するよりも前に迅速にロック解除を行うことが可能になる。
[0106]
 本実施形態では、三輪車両1は、エンジン14aのスロットル開度を検出するスロットル位置センサ105をさらに備えている。ロック機構制御部101は、リンク機構30がロック解除状態であり、且つ、スロットル位置センサ105によって検出されたスロットル開度、車輪速センサ104によって検出された車速、及び車速変化率取得部101aによって取得された車速変化率がそれぞれロック条件を満たしている場合に、ロック機構80によってリンク機構30をロック状態にする。
[0107]
 スロットル開度、車速及び車速変化率のすべてがロック条件を満たしている場合にリンク機構30をロック状態にすることで、車両が停止直前であるとより確実に判定される場合にのみ、リンク機構30はロックされる。したがって、上述の構成により、車両の停止直前でリンク機構30を迅速にロック状態にすることができる。また、上述の構成にすることで、例えば下り坂で三輪車両1の車速が徐々に増加している場合において、スロットル開度及び車速がロック条件を満たしている場合でも、車速変化率もロック条件を満たしていない限り、リンク機構30はロックされない。これにより、下り坂で車両が発進した際に、リンク機構30がロックされるのをより確実に防止できる。
[0108]
 本実施形態では、三輪車両1は、ロック機構制御部101に対し、ロック機構80によるリンク機構30のロック解除を指示する指示信号を出力する指示スイッチ103をさらに備えている。ロック機構制御部101は、指示スイッチ103から指示信号が入力された際に、リンク機構30がロック状態ではロック機構80によってリンク機構30をロック解除状態にする。
[0109]
 指示スイッチ103から出力される指示信号によって、ロック機構80によるリンク機構30のロック解除を行うことができる。したがって、ロック機構80によるリンク機構30のロック解除を容易に行うことができる。
[0110]
 本実施形態では、三輪車両1は、ロック機構制御部101に対し、ロック機構80によるリンク機構30のロックを指示する指示信号を出力する指示スイッチ103をさらに備えている。ロック機構制御部101は、リンク機構30がロック解除状態で、指示スイッチ103から指示信号が入力されている間に、前記車速の変化率、スロットル開度及び車速がそれぞれ前記ロック条件を満たしていない状態から該ロック条件を満たした状態に変化した際に、ロック機構80によってリンク機構30をロック状態にする。
[0111]
 これにより、車速の変化率、スロットル開度及び車速がロック条件を満たしていることを確認しなくても、指示スイッチ103によって入力指示が行われている間に車速の変化率、スロットル開度及び車速がロック条件を満たした時点で、リンク機構30をロック状態にすることができる。すなわち、運転者が前もって指示スイッチ103によって入力指示を行うことにより、各値がロック条件を満たした時点でリンク機構30をロック状態にすることができる。したがって、上述の構成により、各値がロック条件を満たしているのを確認した後に指示スイッチ103によって入力指示を行う場合に比べて、リンク機構30を迅速にロック状態にすることが可能になる。
[0112]
 本実施形態では、三輪車両1は、左右の前輪3に生じる逆位相の振動を減衰可能なダンパ機構50をさらに備えている。ロック機構80は、ダンパ機構50の動作をロック可能に構成されている。
[0113]
 これにより、左右の前輪3に生じる逆位相の振動を減衰するダンパ機構50を用いて、リンク機構30の動作をロックするロック機構80を構成することができる。したがって、別にロック機構を設ける必要がないので、コンパクトで安価な三輪車両1を実現できる。
[0114]
 (その他の実施形態)
 以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
[0115]
 前記実施形態では、ダンパ機構50、左ダンパ110及び右ダンパ120として、ピストンロッド51aがシリンダ52の両端を貫通した、いわゆるスルーロッドタイプのダンパを用いている。しかしながら、ダンパ機構を、スルーロッドタイプ以外の構成としてもよい。
[0116]
 前記実施形態では、リンク機構30は、左ナックルアーム31及び右ナックルアーム32にそれぞれ接続される左右のアームがそれぞれ別部材であり、各アームがヘッドパイプ21に対して回転可能に接続された、いわゆるダブルウィッシュボーン式のリンク機構である。しかしながら、リンク機構は、左ナックルアーム31と右ナックルアーム32とを車両側方に延びる連結部材によって接続した、いわゆる平行リンク機構など、どのような構成のリンク機構であってもよい。
[0117]
 前記実施形態では、ダンパ機構50を、リンク機構30の左下アーム37と右上アーム36との間に設けている。しかしながら、ダンパ機構50は、左右の前輪3に生じる逆位相の振動を減衰可能な位置であれば、左上アーム35と右下アーム38との間、他のアーム同士の間、または、アームと車体フレーム11との間に設けられていてもよい。
[0118]
 前記実施形態では、ロック機構制御部101は、スロットル位置センサ105から出力されたスロットル開度信号を用いてロック制御またはロック解除制御を行うように構成されている。しかしながら、ロック機構制御部101は、例えばアクセルグリップの回転角度の検出結果など、スロットル開度に対応する値であれば、どのような値を用いてロック制御またはロック解除制御を行ってもよい。よって、スロットル開度検出部は、スロットル開度に対応する値を検出可能な構成であれば、スロットル位置センサ以外の構成であってもよい。
[0119]
 前記実施形態では、ロック機構制御部101の車速変化率取得部101aによって、車速の変化率を算出している。しかしながら、車両の加速度を検出し、その検出結果を用いてロック機構制御部101がロック制御またはロック解除制御を行ってもよい。
[0120]
 前記実施形態では、三輪車両1の車速を検出するために車輪速センサ104を用いている。しかしながら、三輪車両1の車速を検出可能な構成であれば、車輪速センサ104以外のセンサを用いてもよい。

請求の範囲

[請求項1]
 エンジンと、
 車体フレームと、
 左右の前輪と、
 前記左右の前輪を前記車体フレームに対して接続するリンク機構と、
 前記リンク機構の動作を規制することにより前記リンク機構をロック状態にする一方、前記リンク機構の動作を許容することにより前記リンク機構をロック解除状態にするロック機構と、
 前記ロック機構による前記リンク機構のロック及びロック解除を制御するロック機構制御部と、
 車速を検出する車速検出部と、
 前記車速の変化率を取得する車速変化率取得部とを備え、
 前記ロック機構制御部は、前記ロック機構によって前記リンク機構がロック状態であり、且つ、前記車速検出部によって検出された車速、及び、前記車速変化率取得部によって取得された車速変化率のうち少なくとも一方がロック解除条件を満たしている場合に、前記ロック機構によって前記リンク機構をロック解除状態にする、鞍乗型車両。
[請求項2]
 請求項1に記載の鞍乗型車両において、
 前記ロック解除条件は、車速変化率が所定値以上の場合であり、
 前記ロック機構制御部は、前記ロック機構によって前記リンク機構がロック状態であり、且つ、前記車速変化率取得部によって取得された車速変化率が前記所定値以上の場合に、前記ロック機構によって前記リンク機構をロック解除状態にする、鞍乗型車両。
[請求項3]
 請求項1または2に記載の鞍乗型車両において、
 前記車速変化率取得部は、前記車速検出部によって第1時間に検出された車速と前記車速検出部によって第2時間に検出された車速との差分、または前記車速検出部によって検出された車速の微分値を、前記車速変化率として出力する、鞍乗型車両。
[請求項4]
 請求項1から3のいずれか一つに記載の鞍乗型車両において、
 前記エンジンのスロットル開度に対応する値を検出するスロットル開度検出部をさらに備え、
 前記ロック機構制御部は、前記ロック機構によって前記リンク機構がロック状態であり、且つ、前記スロットル開度検出部によって検出されたスロットル開度に対応する値がロック解除条件を満たしている場合に、前記ロック機構によって前記リンク機構をロック解除状態にする、鞍乗型車両。
[請求項5]
 請求項1に記載の鞍乗型車両において、
 前記エンジンのスロットル開度に対応する値を検出するスロットル開度検出部をさらに備え、
 前記ロック機構制御部は、前記リンク機構がロック解除状態であり、且つ、前記スロットル開度検出部によって検出されたスロットル開度に対応する値、前記車速検出部によって検出された車速、及び前記車速変化率取得部によって取得された車速変化率がそれぞれロック条件を満たしている場合に、前記ロック機構によって前記リンク機構をロック状態にする、鞍乗型車両。
[請求項6]
 請求項1に記載の鞍乗型車両において、
 前記ロック機構制御部に対し、前記ロック機構による前記リンク機構のロック解除を指示する指示信号を出力する入力指示部をさらに備え、
 前記ロック機構制御部は、前記入力指示部から指示信号が入力された際に、前記リンク機構がロック状態では前記ロック機構によって前記リンク機構をロック解除状態にする、鞍乗型車両。
[請求項7]
 請求項5に記載の鞍乗型車両において、
 前記ロック機構制御部に対し、前記ロック機構による前記リンク機構のロックを指示する指示信号を出力する入力指示部をさらに備え、
 前記ロック機構制御部は、前記リンク機構がロック解除状態で、前記入力指示部から指示信号が入力されている間に、前記車速の変化率、スロットル開度に対応する値及び車速がそれぞれ前記ロック条件を満たしていない状態から該ロック条件を満たした状態に変化した際に、前記ロック機構によって前記リンク機構をロック状態にする、鞍乗型車両。
[請求項8]
 請求項1から7のいずれか一つに記載の鞍乗型車両において、
 前記左右の前輪に生じる逆位相の振動を減衰可能なダンパ機構をさらに備え、
 前記ロック機構は、前記ダンパ機構の動作をロック可能に構成されている、鞍乗型車両。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7A]

[ 図 7B]