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1. (WO2015146673) 太陽光耐久性高透明フィルム、太陽光制御フィルム、赤外線反射フィルム及びフィルムミラー
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明 細 書

発明の名称 太陽光耐久性高透明フィルム、太陽光制御フィルム、赤外線反射フィルム及びフィルムミラー

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025  

発明の効果

0026  

図面の簡単な説明

0027  

発明を実施するための形態

0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279   0280   0281   0282   0283   0284   0285   0286   0287   0288   0289   0290   0291   0292   0293   0294   0295   0296   0297   0298   0299   0300   0301   0302   0303   0304   0305   0306   0307   0308   0309   0310   0311   0312   0313   0314   0315   0316   0317   0318   0319   0320   0321   0322   0323   0324   0325   0326   0327   0328   0329   0330   0331   0332   0333   0334   0335   0336   0337   0338   0339   0340   0341   0342   0343   0344   0345   0346   0347   0348   0349   0350   0351   0352   0353   0354   0355   0356   0357   0358   0359   0360   0361   0362   0363   0364   0365   0366   0367   0368   0369   0370   0371   0372   0373   0374   0375   0376   0377   0378   0379   0380   0381   0382   0383   0384   0385   0386   0387  

実施例

0388   0389   0390   0391   0392   0393   0394   0395   0396   0397   0398   0399   0400   0401   0402   0403   0404   0405   0406   0407   0408   0409   0410   0411   0412   0413   0414   0415   0416   0417   0418   0419   0420   0421   0422   0423   0424   0425   0426   0427   0428   0429   0430   0431   0432   0433   0434   0435   0436   0437   0438   0439   0440   0441   0442   0443   0444   0445   0446   0447   0448   0449   0450   0451   0452   0453   0454   0455   0456   0457   0458   0459   0460   0461   0462   0463   0464   0465   0466   0467   0468   0469   0470   0471   0472   0473   0474   0475   0476   0477  

産業上の利用可能性

0478  

符号の説明

0479  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1   2   3   4A   4B   5A   5B   6A   6B   6C   6D  

明 細 書

発明の名称 : 太陽光耐久性高透明フィルム、太陽光制御フィルム、赤外線反射フィルム及びフィルムミラー

技術分野

[0001]
 本発明は、太陽光耐久性高透明フィルム、太陽光制御フィルム、赤外線反射フィルム及びフィルムミラーに関する。

背景技術

[0002]
 プラスチックフィルムは、食品包装、建材、ディスプレイ用フィルム及び基板フィルムなど種々の用途で幅広く用いられている。特に、透明性が高く、耐熱性が高く、かつ耐久性の高いフィルムは、ディスプレイ用途や太陽光暴露下で用いられる用途でのニーズが高い。しかし、これらの性能を満たすポリマーは、ポリエーテルスルホン(PES)や脂環式ポリイミドのように非常に高価で汎用では使用できない材料が多い。
 特に、太陽光暴露下で使用されるフィルムは、太陽光に対する光透過性と耐久性が必要になる。したがって、主鎖又は側鎖に芳香族基を持つものは、長期の紫外線暴露によって分解するため実質上使用が困難な材料となる。また、赤外線の影響も大きいため、高い耐熱性も求められる。
 さらに、屋外、屋内ともに透明性を維持するためには、砂やほこりなどによる傷の影響が大きいため、耐傷性も必要となる。耐傷性を付与するためには、単純にフィルムの硬度を高くする方法と、柔軟性と靭性(じん性)とを兼備させることで衝撃を吸収し変形した箇所を修復することで耐傷性を付与する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
[0003]
 一方、上記のフィルムは、様々な用途に用いられるためにフィルムの加工性に関して、カール復帰性やせん断加工性等も問題になる。このような性質は、フィルムの硬さに起因しているので、耐傷性を向上するためにフィルムの硬度を高くすると加工性が悪くなるという問題がある。
 上記のように太陽光暴露下で使用でき、加工適正のあるフィルムには光透過性、紫外線耐性、耐熱性、耐傷性及び裁断加工性を持たせる必要がある。しかし、このような性能を満足する透明フィルムは今まで報告されていなかった。
 上記性能を満足するためには、透明であること、使用する樹脂が非芳香族ポリマーであること(紫外線耐性)、剛直な主鎖構造を有すること(耐熱性)及びフィルムが適度な柔軟性と靱性を有すること(耐傷性及び裁断加工性)が必要であると考えられる。しかし、一般的に剛直な主鎖構造を有する樹脂は、柔軟性が低く、靭性も低い樹脂が多く、これらの性能をすべて満足させることは困難であった。
[0004]
 一方、電気電子筐体への使用を目的としてカーボンオフセットに有利なセルロース誘導体と、高分子量の脂肪族ポリエステルを混合して機械物性を向上する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
 しかしながら、上記特許文献2に記載の技術は、セルロース誘導体に熱可塑性と耐衝撃性を付与するだけの技術であり、太陽光暴露下で使用するフィルムに必要となる光透過性、紫外線耐性、耐傷性及び裁断加工性を全て高次元で実現するような記載はない。
[0005]
 また、セルロースエステルと脂肪族ポリエステルを混合して生分解性シートにする技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。これに関しても、セルロース誘導体に生分解性を与えるか、熱可塑性を与える技術であり、太陽光暴露下で使用されるフィルムに必要となる上記性能をすべて高次元で実現するような記載はない。
[0006]
 さらに、セルロースエステルと脂肪族ポリエステルを混合してディスプレイフィルムにする技術が開示されている(例えば、特許文献4及び5参照)。これらの技術では、熱可塑性、低透湿性及びブリードアウト耐性のある可塑剤として脂肪族ポリエステルを用いており、具体的に記載されているのは比較的低分子量のポリマーである。そのため、低分子量のポリマーと高分子量のセルロースエステルとの二種のポリマーを相溶させても、分子鎖同士の絡み合いが少なく、その結果、分子鎖間のひずみが大きくなり、靭性向上を図ることができない。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2012-121984号公報
特許文献2 : 特開2011-148976号公報
特許文献3 : 特開平11-209482号公報
特許文献4 : 特開2009-173742号公報
特許文献5 : 国際公開番号WO 10/047176 A1

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、光透過性、紫外線耐性、耐熱性、透明性、耐傷性に加えて裁断加工性及び靭性(引裂強さ及び破断伸度)に優れた太陽光耐久性高透明フィルム、太陽光制御フィルム、赤外線反射フィルム及びフィルムミラーを提供することである。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、求められる機能を分離、融合することで解決できると考えた。つまり、一つ目の機能としては、芳香族基を持たない剛直な主鎖構造をポリマー成分として有することによって、紫外線による分解が抑制され、かつ耐熱性を付与することである。もう一つの機能は、そのポリマー成分に柔軟性と靭性を付与することである。これら二つの機能を別々のポリマーに持たせ、それらを高度に相溶することによって、光透過性、紫外線耐性、耐熱性、耐傷性及び裁断加工性が向上できると考えた。
 ポリマー成分に柔軟性と靭性を付与するためには、分子鎖自身が柔軟な構造を持つことに加えて、破壊の原因となるポリマーを構成する分子鎖間のひずみを少なくする必要がある。これらを両立するためには、高分子量のポリマーを用い、かつそれらを高度に相溶することによって、異種ポリマーの分子鎖同士の絡み合いを多くすることができ、その結果、当該分子鎖間のひずみを小さくできるという思想に至った。ここで、二種のポリマーを高度に相溶させて絡み合いを多くすることが大きな課題となる。
 異種ポリマーを高度に相溶するためには、同種のポリマー同士が相互作用した際の安定化エネルギーよりも、異種ポリマー間で相互作用した際の安定化エネルギーが大きくなる必要がある。
[0010]
 そこで、安定化エネルギーの調整手段として、ポリマーの分子量と、ポリマー間の相互作用点数の関係に着目した。
 一般的に、高分子量化するにつれて、ポリマーの分子鎖当たりの分子間力は増大するため、同種のポリマー同士の相互作用が強くなり、異種ポリマーと相溶することが困難となる。しかし、逆に考えれば高分子量のポリマーを異種ポリマー間で相互作用させることができれば大きな安定化が得られることになる。
[0011]
 そこで、本発明者は、分子鎖にソフトセグメントを導入して、相互作用に柔軟性を持たせて異種ポリマーとの相互作用点数を多くすることによって、熱力学的な安定化(エントロピーの効果)により異種ポリマー同士の安定化が得られ、高度に相溶すると考え検討した。図1は、各ポリマー成分の相互作用点とエントロピーの関係を示した概念図であり、AよりもBのように、第2のポリマー成分の第1のポリマー成分に対する相互作用点数を多くすることによって(相互作用A<<B)、熱力学的に安定化する(エントロピー関係A<<B)ことを示している。
 具体的には、剛直な主鎖構造を有する非芳香族ポリマー成分である第1のポリマー成分と、ソフトセグメントを有し、かつ重量平均分子量が4000~500000の範囲内である第2のポリマー成分を相溶することによって、光透過性、紫外線耐性、耐熱性、耐傷性及び裁断加工性を満たすフィルムを得ることができることを見出し本発明に至った。
 また、上記のフィルムを、太陽光制御フィルムとして太陽熱を遮断するウィンドウフィルム(赤外線反射フィルム)や、太陽光を反射して集光することにより太陽光発電を行う際に利用する太陽光反射フィルム(フィルムミラー)の一部に用いることで、従来と比較して光透過性、紫外線耐性、耐熱性、耐傷性及び裁断加工性に優れ、かつ太陽光制御フィルムに求められる靭性に優れたフィルムが得られることを見出し本発明に至った。
[0012]
 すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
 1.少なくとも二種の相溶するポリマー成分を含有する太陽光耐久性高透明フィルムであって、
 第1のポリマー成分が、剛直な主鎖構造を有する非芳香族性ポリマー成分であり、
 第2のポリマー成分が、ソフトセグメントを有し、かつ重量平均分子量が4000~500000の範囲内であることを特徴とする太陽光耐久性高透明フィルム。
[0013]
 2.前記第2のポリマー成分の重量平均分子量が、30000~400000の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[0014]
 3.前記第2のポリマー成分のポリマー鎖1本当たりの前記第1のポリマー成分との相互作用点が、1500~15000の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[0015]
 4.前記第1のポリマー成分が、天然高分子であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[0016]
 5.前記第1のポリマー成分が、セルロースエステルであることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[0017]
 6.前記セルロースエステルのアセチル基の置換度をXとし、アセチル基及びプロピオニル基又はブチリル基の合計置換度をYとしたとき、下記式(I)及び式(II)を満たす
ことを特徴とする第5項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
 式(I): 2.5≦X+Y≦3.0
 式(II): 0.0≦Y≦1.5
[0018]
 7.前記第2のポリマー成分が、脂肪族ポリエステル又はポリアルキレンオキシドであることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[0019]
 8.前記第2のポリマー成分が、下記一般式(1)で表される構造を有する脂肪族ポリエステルであることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[化1]


 [式中、R ~R は、それぞれ、水素原子又は置換基を表す。iは0~2の整数を表す。jは0~10の整数を表す。kは3~10の整数を表す。a、b、及びcは、それぞれ、構成割合(モル分率)を表し、a、b及びcの総和が1である。]
[0020]
 9.前記第2のポリマー成分の含有量が、前記第1のポリマー成分に対して5~50質量%の範囲内であることを特徴とする第1項から第8項までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[0021]
 10.引裂強さが、60~350mNの範囲内であり、かつ、破断伸度が、60~200%の範囲内であることを特徴とする第1項から第9項までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[0022]
 11.第1項から第10項までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム上に、少なくとも太陽光制御層が形成されていることを特徴とする太陽光制御フィルム。
[0023]
 12.前記太陽光制御層が、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層、及び第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層を交互に積層した特定の波長の光を選択的に反射する層であることを特徴とする第11項に記載の太陽光制御フィルム。
[0024]
 13.第1項から第10項までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム上に、少なくとも太陽光制御層として、赤外線を反射する層が形成されていることを特徴とする赤外線反射フィルム。
[0025]
 14.第1項から第10項までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム上に、少なくとも太陽光制御層として、銀反射層が形成されていることを特徴とするフィルムミラー。

発明の効果

[0026]
 本発明の上記手段により、光透過性、紫外線耐性、耐熱性、耐傷性、裁断加工性及び靭性(引裂強さ及び破断伸度)に優れた太陽光耐久性高透明フィルム、太陽光制御フィルム、赤外線反射フィルム及びフィルムミラーを提供することができる。
 本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
 剛直な主鎖構造を有する非芳香族ポリマー成分である第1のポリマー成分を含有することによって、紫外線による分解が抑制され、かつ耐熱性を付与することができる。そして、ソフトセグメントを有し、かつ重量平均分子量が4000~500000の範囲内である第2のポリマー成分を用いることによって、分子鎖にソフトセグメントを導入して相互作用に柔軟性を持たせて異種ポリマーとの相互作用点数を多くすることができる。そして、熱力学的な安定化(エントロピーの効果)により、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分の異種ポリマー同士の安定化が得られ、高度に相溶することができる。その結果、光透過性、紫外線耐性、耐熱性、耐傷性、裁断加工性及び靭性(引裂強さ及び破断伸度)を満たす太陽光耐久性高透明フィルムを得ることができると推察される。

図面の簡単な説明

[0027]
[図1] 各ポリマー成分の相互作用点とエントロピーの関係を示した概念図
[図2] 多層膜光反射層を有する本発明の太陽光制御フィルムの構成の一例を示す概略断面図
[図3] 多層膜光反射層を有する本発明の太陽光制御フィルムの構成の別の一例を示す概略断面図
[図4A] 本発明のフィルムミラーの構成を示す図
[図4B] 本発明のフィルムミラーを用いた太陽熱発電用反射装置の構成を示す図
[図5A] 本発明のフィルムミラーの構成の他の例を示す図
[図5B] 本発明のフィルムミラーを用いた太陽熱発電用反射装置の構成の他の例を示す図
[図6A] 内部ヘイズ測定の手順を示す模式図;スライドガラス上にグリセリンを滴下した状態を示す。
[図6B] 内部ヘイズ測定の手順を示す模式図;(b)グリセリン上に試料フィルムを置いた状態を示す。
[図6C] 内部ヘイズ測定の手順を示す模式図;(c)試料フィルム上にグリセリンを滴下した状態を示す。
[図6D] 内部ヘイズ測定の手順を示す模式図;(d)グリセリン上にカバーガラスを置いた状態を示す。

発明を実施するための形態

[0028]
 本発明の太陽光耐久性高透明フィルムは、少なくとも二種の相溶するポリマー成分を含有する太陽光耐久性高透明フィルムであって、第1のポリマー成分が、剛直な主鎖構造を有する非芳香族性ポリマー成分であり、第2のポリマー成分が、ソフトセグメントを有し、かつ重量平均分子量が4000~500000の範囲内であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項14までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
 本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記第2のポリマー成分の重量平均分子量が、30000~400000の範囲内であることが、第1のポリマー成分と相互作用した際の安定化エネルギーが第2のポリマー成分の自己凝集力よりも大きくなり、透明性、破断伸度及び引裂強さが向上する点で好ましい。
[0029]
 また、前記第2のポリマー成分のポリマー鎖1本当たりの前記第1のポリマー成分との相互作用点が、1500~15000の範囲内であることが、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分が相互作用する系が大きく安定化し、その結果、高度に相溶することが可能となる点で好ましい。
 また、前記第1のポリマー成分が、天然高分子であることが、耐光性、耐熱性の点で好ましい。
 また、前記第1のポリマー成分が、セルロースエステルであることが、透明性、耐光性、耐熱性、加工性の点で好ましい。
 また、前記セルロースエステルのアセチル基の置換度をXとし、アセチル基及びプロピオニル基又はブチリル基の合計置換度をYとしたとき、上記式(I)及び上記式(II)を
満たすことが、透明性の点で好ましい。
[0030]
 また、前記第2のポリマー成分が、脂肪族ポリエステル又はポリアルキレンオキシドであることが、透明性、引裂き強度、破断伸度の点で好ましい。
 また、前記第2のポリマー成分が、上記一般式(1)で表される構造を有する脂肪族ポリエステルであることが、透明性、引裂き強度、耐傷性の点で好ましい。
[0031]
 また、前記第2のポリマー成分の含有量が、前記第1のポリマー成分に対して5~50質量%の範囲内であることが、透明性、引裂き強度、破断伸度、耐傷性、の点で好ましい。
[0032]
 さらに、引裂強さが、60~350mNの範囲内であり、かつ、破断伸度が、60~200%の範囲内であることが、耐傷性、裁断加工性及び靱性に優れる点で好ましい。
[0033]
 本発明の太陽光制御フィルムは、前記太陽光耐久性高透明フィルム上に、少なくとも太陽光制御層が形成されていることを特徴とする。これにより、光透過性、紫外線耐性、耐熱性、透明性、耐傷性、裁断加工性及び靱性に優れた太陽光制御フィルムを得ることができる。
[0034]
 また、本発明の前記太陽光耐久性高透明フィルムは、赤外線反射フィルムに好適に用いることができる。
[0035]
 さらに、本発明の前記太陽光耐久性高透明フィルムは、フィルムミラーにも好適に用いることができる。
[0036]
 以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[0037]
[太陽光耐久性高透明フィルム]
 本発明における太陽光耐久性高透明フィルムとは、常に太陽光にさらされる用途で用いられるフィルムであり、ディスプレイフィルムとは区別されるものである。特に、長期の紫外線暴露に対する耐久性、耐熱性、砂及びほこり等による耐傷性に優れ、可視域の光の透過性が高いフィルムである。このようなフィルムは、太陽光に暴露される状態で使用される用途(例えば、ウィンドウフィルム(赤外線反射フィルム)や太陽光反射フィルム(フィルムミラー)等)に好適に用いることが可能である。
 本発明の太陽光耐久性高透明フィルムは、少なくとも二種の相溶するポリマー成分を含有する太陽光耐久性高透明フィルムであって、第1のポリマー成分が、剛直な主鎖構造を有する非芳香族性ポリマー成分であり、第2のポリマー成分が、ソフトセグメントを有し、かつ重量平均分子量が4000~500000の範囲内であることを特徴とする。
[0038]
<第1のポリマー成分>
 本発明における第1のポリマー成分は、剛直な主鎖構造を有する非芳香族性ポリマー成分である。
 本発明における「非芳香族性」とは、芳香族環や複素芳香族環を含まないことを言い、本発明の第1のポリマー成分は、主鎖及び側鎖が非芳香族基等で構成される。
 本発明における「剛直な主鎖構造」とは、主鎖自身の回転が抑制されている構造のことを言い、環構造を含んだ主鎖や立体障害が大きく回転しにくい主鎖、高度に立体規制されている主鎖、又は水素結合や双極子相互作用により主鎖の回転が抑制されている構造である。
 剛直な主鎖構造を有する非芳香族性ポリマーの具体的な例としては、セルロース誘導体、キチン誘導体、キトサン誘導体、ポリ乳酸、タンパク質などの天然高分子やアクリル系樹脂、立体規制されたポリプロピレン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、マレイミドやグルタルイミド、無水マレイン酸など環状構造を主鎖に含むポリマーなどが挙げられる。
[0039]
 本発明における第1のポリマーとして、好ましくは、セルロース誘導体、キチン誘導体、又はキトサン誘導体などの天然高分子であり、特にセルロース誘導体が好ましい。セルロース誘導体の中でも、セルロースエステル、又はセルロースエーテルが好ましく、セルロースエステルが特に好ましい。
[0040]
 下記にセルロースエステルについて詳細に説明する。
 セルロースエステルの総アシル基置換度は、透明性の観点から、1.5~3.0の範囲内であることが好ましく、2.5~2.95の範囲内であることがより好ましい。
 アシル基の置換度の測定方法は、ASTM-D817-96に準じて測定することができる。
[0041]
 また、セルロースエステルのアセチル基の置換度をXとし、アセチル基及びプロピオニル基又はブチリル基の合計置換度をYとしたとき、下記式(I)及び式(II)を満たすことが好ましい。
 式(I):2.5≦X+Y≦3.0
 式(II):0.0≦Y≦1.5
[0042]
 セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなどが含まれる。これらの中でも、特にセルロースアセテート及びセルロースアセテートプロピオネートが好ましい。
[0043]
 本発明において、セルロースエステルは、所望の特性を得るために、置換度の異なる複数のセルロースエステルを含んでもよい。例えば、置換度の異なるセルロースエステルを二種類含む場合、それらの混合比は、質量比で10:90~90:10の範囲内とする。
[0044]
 セルロースエステルの数平均分子量は、得られるフィルムの機械的強度が高いことから、6×10 ~3×10 の範囲内であることが好ましく、7×10 ~2×10 の範囲内であることがより好ましい。
[0045]
 セルロースエステルの重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。測定条件の一例を以下に示すが、これに限らず、同等の測定方法を用いることも可能である。
 溶媒:   メチレンクロライド
 カラム:  Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用する)
 カラム温度:25℃
 試料濃度: 0.1質量%
 検出器:  RI Model 504(GLサイエンス社製)
 ポンプ:  L6000(日立製作所(株)製)
 流量:   1.0ml/min
 校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000~500の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
[0046]
 セルロースエステルは、公知の方法で製造することができる。具体的には、特開平10-45804号に記載の方法を参考にして合成することができる。原料となるセルロースは、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどでありうる。また、それらから得られたセルロースエステルは、前述したように、それぞれ任意の割合で混合して使用することができる。
[0047]
 本発明における第1のポリマー成分に置換できる置換基としては、非芳香族基であれば特に制限はないが、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4-n-ドデシルシクロヘキシル基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert-ブトキシ基、n-オクチルオキシ基、2-メトキシエトキシ基等)、アシル基(アセチル基、ピバロイル基等)、アシルオキシ基(ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基等)、アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基等)、アルキルスルホニルアミノ基(メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、n-ヘキサデシルチオ基等)、スルファモイル基(N-エチルスルファモイル基、N-(3-ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、N-アセチルスルファモイル基等)、スルホ基、又はカルバモイル基(カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N,N-ジ-n-オクチルカルバモイル基、N-(メチルスルホニル)カルバモイル基等)などが含まれる。これらの基は、さらに同様の基で置換されていてもよい。
[0048]
<第2のポリマー成分>
 本発明における第2のポリマー成分は、ソフトセグメントを有し、かつ重量平均分子量が4000~500000の範囲内である。
[0049]
 本発明におけるソフトセグメントとは、主鎖に伸縮性及び回転性を付与できる連結基のことを言い、それらを満たす構造であれば特に制限はないが、具体的には主鎖中に-O-、-COO-、OCOO-、-S-、-SOO-、-OSOO-、-OSiO-、-OSi-、アルキレン基、のような結合を含む部位のことをいう。
[0050]
 また、第2のポリマー成分の重量平均分子量は、4000~500000の範囲内であり、好ましくは、30000~400000の範囲内であり、50000~300000の範囲内であることが特に好ましい。
 第2のポリマー成分の分子量が4000~500000の範囲内であれば、第1のポリマー成分と相互作用した際の安定化エネルギーが、第2のポリマー成分の自己凝集力よりも大きくなり、透明性、破断伸度、及び引裂強さが向上する。
[0051]
 ここで、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定された重量平均分子量である。より詳細には、N-メチルピロリドンを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から、あらかじめ求められた換算分子量較正曲線を用いて求められる。GPC装置は、HLC-8220GPC(東ソー社製)を使用することができる。
[0052]
 本発明においては、高分子量の第2のポリマー成分が、主鎖1本当たりの第1のポリマー成分との相互作用点を多く持ち、第1のポリマー成分と複数箇所で相互作用することが重要である。
[0053]
 第2のポリマー成分が第1のポリマー成分と複数箇所で相互作用できることにより、とりうる状態数が指数関数的に増大してエントロピーが大きくなることでギプスの自由エネルギーが負に大きくなるため、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分が相互作用する系が大きく安定化された結果、高度に相溶することが可能となる。
 本発明における相溶とは、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分とが混ざり合い、透明であることをいう。
 第1のポリマー成分と第2のポリマー成分とが相溶しているかどうかは、例えばガラス転移温度Tgにより判断することが可能である。
[0054]
 例えば、両者のポリマーのガラス転移温度が異なる場合、両者のポリマーを混合したときは、それぞれのポリマーのガラス転移温度が存在するため混合物のガラス転移温度は2つ以上存在するが、両者のポリマーが相溶したときは、それぞれのポリマー固有のガラス転移温度が消失し、一つのガラス転移温度となって相溶したポリマーのガラス転移温度となる。
[0055]
 なお、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(例えば、PerkinElmer社製DSC-7型、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計DSC220)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)にしたがい求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)とする。
[0056]
 本発明における相互作用とは、水素結合、双極子-双極子相互作用、分子間力、CH-π相互作用などが挙げられる。これらのような相互作用をしうる部位を相互作用点といい、相互作用点は主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよく、後述するソフトセグメントに含まれていてもよい。
[0057]
 本発明において、相互作用点数は、ポリマー成分の重量平均分子量と各モノマーの分子量および組成比から下記式で求められる。重量平均分子量を各モノマーユニットの組成比(モル分率)×分子量の和で割り、各モノマーユニット内の相互作用点の数と組成比(モル分率)を掛けた数をすべてのモノマー種で足し合わせた数で表される。
 相互作用点数=Σ{(モノマーの相互作用点数×モノマーの組成比×ポリマー成分のMw/(Σモノマーの組成比×モノマーの分子量))
 近接する相互作用点は、別々に数える。例えば、エステルはカルボニル酸素とエーテル酸素があるため、相互作用点数としては2と数える。また、水酸基は酸素原子が一つ、水素結合しうる水素が一つあるので2と数える。
 上記「モノマーユニット内の相互作用点」とは、モノマー単独の構造ではなく、ポリマー構造中に含まれるモノマー構造の相互作用点のことを言う。たとえばポリエステルの場合は、アルコールとカルボン酸が重縮合しているため、モノマー単独の構造には相互作用点としてアルコールの水酸基の水素及びカルボン酸のカルボキシ基の水素原子が含まれるが、重縮合したポリエステルでは水素原子は無くなるため相互作用点数には数えない。また、重縮合した場合の酸素原子はアルコールとカルボン酸で共有しているためアルコール部位、カルボン酸部位双方で相互作用点数として数える。
[0058]
 本発明では、第1のポリマー成分は、主鎖、又は側鎖に相互作用点を有する必要がある。
 第1のポリマー成分の相互作用点としては、非芳香族であれば特に制限はないが、例えば、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert-ブトキシ基、n-オクチルオキシ基、2-メトキシエトキシ基等)、アシル基(アセチル基等)、アシルオキシ基(ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基等)、アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基等)、アルキルスルホニルアミノ基(メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、n-ヘキサデシルチオ基等)、スルファモイル基(N-エチルスルファモイル基、N-(3-ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、N-アセチルスルファモイル基等)、スルホ基、カルバモイル基(カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N,N-ジ-n-オクチルカルバモイル基、N-(メチルスルホニル)カルバモイル基等)、などが含まれる。これらの基は、さらに同様の基で置換されていてもよい。また、-O-、-COO-、OCOO-、-S-、-SOO-、-OSOO-のような結合部位も相互作用点として挙げられる。
 本発明では、第2のポリマー成分のポリマー鎖1本当たりの第1のポリマー成分との相互作用点が、1500~15000の範囲内であることが好ましく、2000~10000の範囲内であることがさらに好ましい。
 相互作用点が1500以上であれば第1のポリマーと相互作用してエントロピーによる大きな安定化を得ることができ、15000以下であれば自己の凝集エネルギーよりも第1のポリマー成分と相互作用した際のエントロピーによる安定化の方が大きくなり相溶性がより高くなり、光透過性、引裂強さ及び破断伸度に優れたフィルムとなる。
[0059]
 本発明における第2のポリマー成分は、ポリエステル、又はポリアルキレンオキシドであり、脂肪族ポリエステル、又はポリアルキレンオキシドがさらに好ましく、脂肪族ポリエステルが特に好ましい。
[0060]
 本発明における第2のポリマー成分として使用できるポリアルキレンオキシドは、特に制限はないが、例えば、エチレンオキシドを一成分として含むものを挙げることができ、エチレンオキシド単独重合体であるポリエチレンオキシド;エチレンオキシドと他のアルキレンオキシドとの共重合体等が挙げられる。
 前記他のアルキレンオキシドとしては、例えば、プロピレンオキシド、1,2-エポキシブタン、2,3-エポキシブタン、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、トリフルオロメチルエチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシドール、グリシジルアクリレート、ブタジエンモノオキシド、又はブタジエンジオキシド等が挙げられる。中でも好ましくは、ポリエチレンオキシド、又はポリプロピレンオキシドが好ましく、ポリエチレンオキシドがさらに好ましい。
 本発明におけるアルキレンオキシドは、市販品を用いてもよく、ポリエチレンオキシドとして、住友精化(株)のPEO-1(Mw=15~40万)、明成化学工業(株)のアルコ
ックスL-8(Mw=80000)などが挙げられる。
[0061]
 本発明における第2のポリマー成分として使用できる脂肪族ポリエステルについて説明する。
 (脂肪族ポリエステル)
 本発明でいう脂肪族ポリエステルは、重量平均分子量が4000~500000の範囲内の脂肪族ポリエステルであれば特に限定されない。
[0062]
 本発明における脂肪族ポリエステルは、脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸(あるいはそのエステル)との縮合反応により得られるポリエステル、又は環状エステルの開環重合により得られる脂肪族ポリエステルであることが好ましい。
[0063]
 本発明における脂肪族ポリエステルは、主成分が脂肪族ポリエステルであればよく、本発明の効果に影響のない程度であれば芳香族部位が含まれていてもよい。
 これは、第1のポリマー成分により耐熱性及び紫外線耐性を付与できるため、第2のポリマー成分に少量の芳香族部位が含まれても性能に大きな影響を与えないためである。
 第2のポリマー成分に含まれてよい芳香族部位としては、耐傷性の観点からテレフタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体、ビスフェノール誘導体が好ましく、テレフタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体がさらに好ましい。
 第2のポリマー成分に含まれてもよい芳香族部位の比率としては、構成モノマーのモル比で1~20%の範囲内が好ましく、5~10%の範囲内がより好ましい。
[0064]
 本発明における脂肪族ポリエステルは、下記一般式(1)で表される構造を有する脂肪族ポリエステルであることが好ましい。
[化2]


 上記一般式(1)中、R ~R は、それぞれ、水素原子又は置換基を表し、後述する第2のポリマー成分に置換してもよい置換基である。
 本発明における一般式(1)には、ソフトセグメントである-CO-や、-O-の連結基が多数入っているためR ~R の置換基は、本発明が目的とする効果を阻止しない限りはどのような置換基を導入してもよい。
 また、R ~R 具体的には、水素原子、又はアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、又はエチル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
[0065]
 上記一般式(1)中、iは0~2の整数を表し、0~1が好ましく、1がさらに好まし
い。
 上記一般式(1)中、jは0~10の整数を表し、0~5が好ましく、1~3がさらに好ましい。
 上記一般式(1)中、kは3~10の整数を表し、3~8が好ましく、3~5がさらに好ましく、3が特に好ましい。
[0066]
 上記一般式(1)中、a、b及びcは、それぞれ、構成割合(モル分率)を表し、a、b及びcの総和は1である。
 透明性、破断伸度、及び引裂強さの観点から好ましい構成割合としては、a/b/c=0.10~0.50/0.30~0.60/0.00~0.40が好ましく、a/b/c=0.25~0.40/0.35~0.60/0.05~0.30がさらに好ましく、a/b/c=0.20~0.35/0.45~0.55/0.15~0.25が特に好ましく、a/b/c=0.20~0.35/0.50/0.15~0.25が最も好ましい。
 ジアルコール成分が、0.5に近づくほど高分子量のポリマーが得られることに加えて、a+c>bであると、相互作用のバランスが優れ、透明性が向上する。特に、セルロースエステルと組み合わせた際には、透明性、破断伸度、及び引裂強さが向上する。
[0067]
 本発明における上記一般式(1)で表される構造を有する脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートなどが挙げられる。好ましくは、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、又はポリブチレンサクシネートアジペートである。
[0068]
 脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸(あるいはそのエステル)との縮合反応に用いられる脂肪族多塩基酸としては、例えば、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸ウンデカン二酸、ドデカン二酸、及びこれらの無水物、又はこれらのエステル等が挙げられる。
[0069]
 脂肪族多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4ーブタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリテトラメチレングリコール1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
 また、脂肪族多価アルコールの一部として、ポリオキシアルキレングリコールを使用することも可能であり、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール及びこれらの共重合体が例示される。
[0070]
 脂肪族ポリエステルは、単独、又は二種以上を用いることができる。また、これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体、又はラセミ体のいずれでもよく、形態としては固体、液体、又は水溶液のいずれであってもよい。
[0071]
 上述のうち、前記脂肪族多価アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール1,4-シクロヘキサンジメタノールから選ばれる少なくとも一種であり、前記脂肪族多塩基酸が、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、及びこれらの無水物から選ばれる少なくとも一種の脂肪族多塩基酸であることが好ましい。
[0072]
 また、前記脂肪族多価アルコールが、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコールから選ばれる少なくとも一種であり、前記脂肪族多塩基酸が、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、及びこれらの無水物から選ばれる少なくとも一種の脂肪族多塩基酸であることがより好ましい。
[0073]
 脂肪族ポリエステルの製造に際しては、脂肪族多塩基酸(又はそのエステル)成分及び脂肪族多価アルコール成分の全量を初期混合し、反応させてもよく、又は反応の進行にともなって分割して添加してもさしつかえない。
 重縮合反応としては、通常のエステル交換法又はエステル化法、さらには両方の併用によっても可能であり、また、必要により反応容器内を加圧又は減圧にすることにより重合度を上げることができる。
[0074]
 環状エステルを開環重合する方法で用いられる環状エステルとしては、例えば、β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトンなどが挙げられる。これらのうち、ε-カプロラクトンが特に好ましい。開環重合は、公知の開環重合触媒を用い、溶媒中での重合や塊状重合等の方法により行うことができる。
[0075]
 ヒドロキシアルカン酸を縮合反応する方法で用いられるヒドロキシアルカン酸は、公知の化合物を使用でき、例えば、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ吉草酸、3-ヒドロキシヘキサン酸などが挙げられる。ヒドロキシアルカン酸を縮合反応する際に、二価のカルボン酸や二価のアルコールを併用してもよい。
[0076]
 本発明で使用する脂肪族ポリエステルは、公知の方法で製造することができる。
 例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができる。しかし、経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合でポリエステルを製造する方法が好ましい。
[0077]
 また、重縮合反応は、重合触媒の存在下に行うことが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
 重合触媒としては、一般には、周期表で、水素、炭素を除く1族~14族金属元素を含む化合物である。
[0078]
 縮合反応及び重合反応におけるエステル化触媒、開環重合触媒及び脱グリコール触媒としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、カドミウム、マンガン、鉄、ジルコニウム、バナジウム、イリジウム、ランタン、セレンなどの金属、及びこれらの有機金属化合物、有機酸の塩、金属アルコキシド、金属酸化物などが挙げられる。必要に応じてリン酸等の助触媒と併用することも可能である。
 これらの触媒は、単独、又は二種以上組み合わせて用いることができ、添加量は、全ジカルボン酸100モルに対して0.1モル以下が好ましく、より好ましくは0.8モル以下、さらに好ましくは0.6モル以下である。
[0079]
 これらの触媒として金属化合物を用いる場合の触媒添加量は、生成するポリエステルに対する金属量として、下限値が通常、5ppm以上、好ましくは10ppm以上であり、上限値が通常、30000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは250ppm以下、特に好ましくは130ppm以下である。
 使用する触媒量の上限を上記範囲としたのは、経済的に好ましく、また、ポリマーの熱安定性が高くなるためであり、触媒量の下限を上記範囲とすることによって、重合活性が高くなり、それに伴いポリマー製造中のポリマーの分解を抑制することができるためである。
[0080]
 さらに、必要に応じて鎖延長剤を用いて高分子量化することもできる。
 鎖延長剤としては、2官能以上のイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、並びに多価金属化合物、多官能酸無水物、リン酸エステル、亜リン酸エステル等が挙げられ、一種、又は二種以上を組み合わせてもよい。
[0081]
 ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。
 反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。
 反応圧力は、通常、常圧~10kPaであるが、常圧が好ましい。
 反応時間は、通常1時間以上であり、上限は通常10時間以下、好ましくは、4時間以下である。
[0082]
 その後の重縮合反応は、圧力を、下限が通常0.001×10 Pa以上、好ましくは0.01×10 Pa以上であり、上限が通常1.4×10 Pa以下、好ましくは0.4×10 Pa以下の真空度として行う。
 この時の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上であり、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下の範囲である。
 反応時間は、下限が通常2時間以上であり、上限が通常15時間以下、好ましくは10時間以下である。
[0083]
 本発明において脂肪族ポリエステルを製造する反応装置としては、公知の縦型、又は横型撹拌槽型反応器、回分式反応器、又は二軸押出し機などが用いられ、バルク状、あるいは溶液中での反応が実施されることが好ましい。
 例えば、溶融重合を同一又は異なる反応装置を用いて、エステル化及び/又はエステル交換の工程と減圧重縮合の工程の2段階で行い、減圧重縮合の反応器としては、真空ポンプと反応器を結ぶ減圧用排気管を備えた攪拌槽型反応器を使用する方法が挙げられる。
 また、真空ポンプと反応器とを結ぶ減圧用排気管の間には、凝縮器が結合されており、該凝縮器にて縮重合反応中に生成する揮発成分や未反応モノマーが回収される方法が好んで用いられる。
[0084]
 本発明において、目的とする重合度の脂肪族ポリエステルを得るためのジオール成分とジカルボン酸成分とのモル比は、その目的や原料の種類により好ましい範囲は異なるが、酸成分1モルに対するジオール成分の量が、下限が通常0.8モル以上、好ましくは、0.9モル以上であり、上限が通常1.5モル以下、好ましくは1.3モル以下、特に好ましくは1.2モル以下である。
 また、生分解性に影響を与えない範囲で、ウレタン結合、アミド結合、カーボネート結合、又はエーテル結合等を導入することができる。
[0085]
 本発明の製造方法の途中、又は得られるポリエステルには、特性が損なわれない範囲において各種の添加剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤及び紫外線吸収剤等を重合時に添加してもよい。
[0086]
 本発明における脂肪族ポリエステルは、ポリマー末端が制御されていてもよい。
 通常のポリエステル合成では高分子量体を得るためには、ジカルボン酸成分とジアルコール成分の仕込み比は等モルにする必要があるため、末端を制御しない場合は、末端がカルボン酸、又はアルコールとなる。反応終了時に、カルボン酸成分やアルコール成分を追加することで末端を制御することが可能である。また、末端に機能性の分子を修飾することも可能である。
 末端を制御しない場合は、煩雑な製造操作が必要ではないため、製造適性に優れる。また、通常の重合のみの反応なので均一性に優れる。末端を制御する場合は、所望の性能を均一に付与することが可能となる。
[0087]
 本発明における脂肪族ポリエステルは、市販品を用いてもよく、ポリブチレンサクシネートとして、ビオノーレ1001(Mn=70000)、ビオノーレ1050MD(Mw=100000)、(昭和電工(株)社製)、GSPla AD92W(Mn=4000
0)(三菱化学(株)社製)、ポリブチレンサクシネートアジペートとしてビオノーレ#3001(Mn=34000)、ビオノーレ3001MD(Mw=200000)(昭和電工(株)社製)、ポリカプロラクトンとしてPH7(Mn=45000)(ダイセル(株)社製)などが挙げられる。
[0088]
 本発明における第2のポリマー成分に置換できる置換基としては、特に制限はないが、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4-n-ドデシルシクロヘキシル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、シクロアルケニル基(2-シクロペンテン-1-イル、2-シクロヘキセン-1-イル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(フェニル基、p-トリル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(2-ピロール基、2-フリル基、2-チエニル基、ピロール基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、2-ベンゾチアゾリル基、ピラゾリノン基、ピリジル基、ピリジノン基、2-ピリミジニル基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert-ブトキシ基、n-オクチルオキシ基、2-メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、2-メチルフェノキシ基、4-tert-ブチルフェノキシ基、3-ニトロフェノキシ基、2-テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アシル基(アセチル基、ピバロイルベンゾイル基等)、アシルオキシ基(ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p-メトキシフェニルカルボニルオキシ基等)、アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N-メチル-アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5-トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p-メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、n-ヘキサデシルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基、p-クロロフェニルチオ基、m-メトキシフェニルチオ基等)、スルファモイル基(N-エチルスルファモイル基、N-(3-ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、N-アセチルスルファモイル基、N-ベンゾイルスルファモイル基、N-(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基等)、スルホ基、カルバモイル基(カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N,N-ジ-n-オクチルカルバモイル基、N-(メチルスルホニル)カルバモイル基等)などが含まれる。これらの基は、さらに同様の基で置換されていてもよい。
[0089]
 本発明における第2のポリマー成分は、第1のポリマー成分と同様に、非芳香族性ポリマー成分で構成されることが好ましい。
 ただし、第1のポリマー成分とは異なり、芳香族基及び複素芳香族基を有してもよい。これは第1のポリマー成分が、フィルムとしての耐熱性、紫外線耐性を付与しており、第2の成分は、柔軟性及び靱性を付与するものであるため、紫外線により第2のポリマー成分が若干破壊されたとしてもフィルム性能に大きな影響を与えないためである。
[0090]
 第1のポリマー成分と第2のポリマー成分とは、共有結合で架橋していても架橋していなくてもよい。また、第1のポリマー成分同士や、第2のポリマー成分同士もそれぞれ共有結合で架橋していてもよく、架橋していなくてもよい。
[0091]
 以下、共有結合で架橋されたポリマー成分について説明する。
 本発明でいう共有結合で架橋されたポリマー成分とは、例えば、第1のポリマー成分、又は第2のポリマー成分に残留するヒドロキシ基と反応可能な官能基を少なくとも二つ以上有する架橋剤、又はビニル基を有する架橋剤によって、第1のポリマー成分、又は第2のポリマー成分の残留ヒドロキシ基同士、あるいは、第1のポリマー成分、又は第二のポリマー成分に含まれる炭素原子同士が部分的に共有結合で架橋されているものである。
[0092]
 前記ビニル基を有する架橋剤を用いることで、加熱及び/又は紫外線照射等によってビニル基の開裂によるラジカルが生成し、このラジカルが、第1のポリマー成分又は第2のポリマー成分の有する水素原子を部分的に引き抜き、これによって生成したラジカル部位同士、あるいは、ビニル基を有する架橋剤を介して第1のポリマー成分又は第2のポリマー成分を部分的に共有結合で架橋させることが可能となる。
 架橋されるポリマーは、第1のポリマー成分同士でもよく、第2のポリマー成分同士でもよく、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分でもよい。
[0093]
 また、第1のポリマー成分又は第二のポリマー成分の残留ヒドロキシ基と反応できる官能基とは、例えば、ホルミル基、イソシアナート基、チオイソシアナート基、カルボキシ基、クロロカルボニル基、酸無水物基、スルホン酸基、クロロスルホニル基、スルフィン酸基、クロロスルフィニル基、エポキシ基、ビニル基、ハロゲン原子、エステル基、スルホン酸エステル基、炭酸エステル基、アミド基、イミド基、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩等を挙げることができる。
 好ましくは、エポキシ基、エステル基、ホルミル基、イソシアナート基、チオイソシアナート基、カルボキシ基であり、さらに好ましくはエポキシ基、イソシアナート基、又はチオイソシアナート基である。
 これらの官能基を有する架橋剤は単独で使用してもよいし、二種以上を併用することもできる。
[0094]
 また、別の方法としては、第1のポリマー成分又は第2のポリマー成分の残留ヒドロキシ基と反応可能な官能基を有し、かつ、重合性基を有する化合物を用いて、まず、この化合物を第1のポリマー成分又は第2のポリマー成分の残留ヒドロキシ基と反応させた後に、重合性基同士を重合させることによって、第1のポリマー成分又は第2のポリマー成分を共有結合で架橋させても良い。
 第1のポリマー成分又は第2のポリマー成分の残留ヒドロキシ基と反応可能な官能基とは、上述した通りで、例えば、ホルミル基、イソシアナート基、チオイソシアナート基、カルボキシ基、クロロカルボニル基、酸無水物基、スルホン酸基、クロロスルホニル基、スルフィン酸基、クロロスルフィニル基、エポキシ基、グリシジル基、ビニル基、ハロゲン原子、エステル基、スルホン酸エステル基、炭酸エステル基、アミド基、イミド基、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、又はホスホン酸塩等である。好ましくは、クロロカルボニル基、酸無水物基、イソシアナート基、チオイソシアナート基、グリシジル基、又はエポキシ基である。
[0095]
 重合性基とは、例えば、スチリル基、アリル基、ビニルベンジル基、ビニルエーテル基、ビニルケトン基、ビニル基、イソプロペニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、グリシジル基、又はエポキシ基などの基が挙げられる。
[0096]
 本発明における架橋剤としては、例えば、ポリエステル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ジビニル化合物、ホルムアルデヒドで代表されるモノアルデヒド、ジアルデヒド等のアルデヒド化合物、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1 , 5 - ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;スミジュールN(住化バイエルウレタン社製)のようなビュレットポリイソシアネート化合物; デスモジュールIL 、HL(バイエルA .G .社製)、コロネートEH(日本ポリウレタン工業(株)製)の如きイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物; スミジュールL(住化バイエルウレタン社製)のようなアダクトポ
リイソシアネート化合物、コロネートHL(日本ポリウレタン工業(株)製)、クリスボンNX(DIC(株)製)のようなアダクトポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。
 これらは、単独で使用し得るほか、二種以上を併用することもできる。
[0097]
 また、ブロックイソシアネートを使用しても良い。
 その他、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム、ホウ素化合物、酸化コバルト等の無機架橋剤、リン酸、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノデシルホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホスフェートなどのリン酸又はリン酸エステル類;プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、グリシジルメタクリレート、グリシドール、アクリルグリシジルエーテル、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルの市販品として、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009及びエピコート825(以上、油化シェルエポキシ(株)製商品名)、アラルダイトGY250及びアラルダイトGY6099(以上、BASFジャパン社製商品名)、ERL2774(ユニオンカーバイト社製商品名)、DER332、DER331及びDER661(以上、ダウケミカル社製商品名)等がある。
[0098]
 エポキシフェノールノボラックの市販品として、エピコート152及びエピコート154(以上、油化シェルエポキシ(株)製商品名)、DEN438及びDEN448(以上、ダウケミカル社製商品名)、アラルダイトEPN1138及びアラルダイトEPN1139(以上、BASFジャパン社製商品名)等、エポキシクレゾールノボラックの市販品として、アラルダイトECN1235、アラルダイトECN1273及びアラルダイトECN1280(以上、BASFジャパン社製商品名)等、ブロモ化エポキシ樹脂の市販品として、エピコート5050(油化シェルエポキシ(株)製商品名)、BREN(日本化薬株式会社製商品名)等、その他例えば、以下の化合物がある。
[0099]
 ・ビスフェノールFのジグリシジルエーテル(フタル酸、ジヒドロフタル酸及びテトラヒドロフタル酸等の二塩基酸とエピハロヒドリンとの反応によって得られるジグリシジルエステル)
 ・アミノフェノール、ビス(4-アミノフェニル)メタン等の芳香族アミンとエピハロヒドリンとの反応によって得られるエポキシ化合物
 ・1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン
 ・ジシクロペンタジエン等と過酢酸等との反応により得られる環式脂肪族エポキシ化合物
 ・1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル
 ・1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
 ・エピコート604(油化シェルエポキシ(株)製商品名)
を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
[0100]
 本発明に用いる架橋剤として、好ましくは、ポリエステル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物である。
 さらに、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、特に好ましくはポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステルである。
 ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(新中村化学工業社製:A-200、A-400、A-600、A-1000、1G、2G、3G、4G、9G、14G、23Gなど)、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(新中村化学工業社製:APG-100、APG-200、APG-400、APG-700、3PG、9PGなど)、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(ブロック型)(新中村化学工業社製:A-1206PE、A-0612PE、A-0412PE、1206PEなど)、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(ランダム型)(新中村化学工業社製:A-1000PER、A-3000PER、1000PERなど)などが挙げられる。
[0101]
 これら架橋剤の添加量としては、特に限定されないが、フィルム強度及び平面性の点からはセルロース誘導体に対して0.01~30質量%の範囲内が好ましく、より好ましくは0.1~10質量%の範囲内である。
 添加量を0.01質量%以上とすることによって、セルロース誘導体を十分に架橋でき、十分な耐熱性・機械的強度が得られ、30質量%以下とすることによって、靱性が向上し、ハンドリングにおいて架橋樹脂に割れ等の発生が抑制され、歩留りが悪い等の問題も生じない。
[0102]
 本発明に係る第1のポリマー成分、又は第2のポリマー成分の架橋方法としては、熱、又は紫外線等によって、特に触媒となる開始剤を用いずに架橋してもよいが、必要に応じてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル(BPO)のようなラジカル重合触媒、アニオン重合触媒、又はカチオン重合触媒等を用いてもよい。
[0103]
 また、光重合開始剤を用いる場合に、好ましい例としては、ベンゾイン誘導体、イルガキュア651のようなベンジルケタール誘導体、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)のようなα-ヒドロキシアセトフェノン誘導体、イルガキュア907のようなα-アミノアセトフェノン誘導体などが挙げられる。
 太陽光に対する耐久性の観点から芳香族環を含まない架橋剤が特に好ましい。
[0104]
 本発明における第2のポリマー成分の含有量は、第1のポリマー成分に対して5~50質量%の範囲内であることが好ましい。この範囲内とすることによって、透明性、引裂き強度、破断伸度、及び耐傷性を向上することができる。
[0105]
<添加剤>
 本発明における太陽光耐久性高透明フィルムには、目的とする機能を低下させない程度であれば各種の添加剤を添加することができる。
 添加剤としては、例えば、糖エステル、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、加水分解抑制剤及び微粒子からなる群のうち少なくとも一つ以上が挙げられる。以下、これらの添加剤について説明する。
[0106]
 (糖エステル)
 本発明における太陽光耐久性高透明フィルムの可塑性を向上させる観点から、糖エステルをさらに含有することができる。
[0107]
 糖エステルは、フラノース構造、又はピラノース構造を1~12個有する化合物であって、該化合物中のヒドロキシ基の全部、又は一部がエステル化された化合物である。
 このような糖エステルの好ましい例としては、下記一般式(FA)で表される構造を有するスクロースエステルが含まれる。
[化3]


[0108]
 上記一般式(FA)中、R ~R は、それぞれ、水素原子、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアリールカルボニル基を表す。R ~R は、互いに同じであっても、異なってもよい。
[0109]
 置換又は無置換のアルキルカルボニル基は、炭素原子数2以上の置換又は無置換のアルキルカルボニル基であることが好ましい。置換又は無置換のアルキルカルボニル基としては、メチルカルボニル基(アセチル基)が挙げられる。アルキル基が有する置換基としては、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
[0110]
 置換又は無置換のアリールカルボニル基は、炭素原子数7以上の置換又は無置換のアリールカルボニル基であることが好ましい。アリールカルボニル基としては、フェニルカルボニル基が挙げられる。アリール基が有する置換基としては、メチル基等のアルキル基、又はメトキシ基等のアルコキシル基等が挙げられる。
[0111]
 スクロースエステルのアシル基の平均置換度は、3.0~7.5の範囲内であることが好ましい。アシル基の平均置換度が、上記範囲内であると、十分な相溶性が得られやすい。特に、セルロースエステルを第1のポリマー成分として用いた際には相溶性が高くなる点で好ましい。
[0112]
 上記一般式(FA)で表される構造を有するスクロースエステルの具体例としては、下記例示化合物(FA-1)~(FA-24)が挙げられる。下記表は、例示化合物(FA-1)~(FA-24)の一般式(FA)におけるR ~R と、アシル基の平均置換度を示している。
[0113]
[化4]


[0114]
[化5]


[0115]
[化6]


[0116]
 その他の糖エステルとしては、特開昭62-42996号公報、及び特開平10-237084号公報に記載の化合物が挙げられる。
[0117]
 糖エステルの含有量は、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分の総量に対して0.5~35.0質量%の範囲内であることが好ましく、5.0~30.0質量%の範囲内であることがより好ましい。
[0118]
 (可塑剤)
 本発明の太陽光耐久性高透明フィルムは、フィルム製造時の組成物の流動性や、フィルムの柔軟性を向上するために、可塑剤をさらに含有してもよい。
 可塑剤としては、ポリエステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤(フタル酸エステル系可塑剤を含む)、グリコレート系可塑剤、又はエステル系可塑剤(クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤などを含む)などが含まれる。中でも、ポリエステル系可塑剤やリン酸エステル系可塑剤が好ましい。これらは、単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0119]
 ポリエステル系可塑剤は、1~4価のカルボン酸と、1~6価のアルコールとを反応させて得られた化合物であり、好ましくは2価カルボン酸と、グリコールとを反応させて得られた化合物である。
[0120]
 2価カルボン酸としては、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、フタル酸、アゼライン酸、又はセバシン酸等が挙げられる。特に、2価カルボン酸として、アジピン酸、又はフタル酸等を用いた化合物は、可塑性を良好に付与することができる点で好ましい。
[0121]
 グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、又はジプロピレングリコール等が挙げられる。2価カルボン酸、及びグリコールは、それぞれ一種類であってもよいし、二種類以上を併用してもよい。
[0122]
 ポリエステル系可塑剤は、エステル、オリゴエステル、又はポリエステルのいずれであってもよい。
 ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量は、100~10000の範囲内が好ましく、可塑性を付与する効果が大きいことから、600~3000の範囲内がより好ましい。
[0123]
 ポリエステル系可塑剤の粘度は、分子構造や分子量にもよるが、アジピン酸系可塑剤の場合、可塑性を付与する効果が高いこと等から、200~5000MPa・s(25℃)の範囲内であることが好ましい。ポリエステル系可塑剤は、一種類であっても、二種類以上を併用してもよい。
[0124]
 リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、又はトリブチルホスフェート等が挙げられる。
[0125]
 可塑剤の含有量は、第1のポリマー成分に対して0.5~30.0質量%の範囲内であることが好ましい。可塑剤の含有量が上記範囲内であれば、太陽光耐久性高透明フィルムがブリードアウトを生じにくい。
[0126]
 (紫外線吸収剤)
 本発明の太陽光耐久性高透明フィルムは、紫外線吸収剤をさらに含有してもよい。
 紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、2-ヒドロキシベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系等が挙げられる。
 具体的には、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、又は2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類等が挙げられる。
[0127]
 中でも、分子量が400以上である紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくい。そのため、比較的添加量が少なくても、得られたフィルムに耐候性を付与することができる。
[0128]
 分子量が400以上である紫外線吸収剤としては、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2-ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系;
 ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系;
 2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、1-[2-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系;
 等が挙げられる。
 好ましくは、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2-ベンゾトリアゾールや2,2-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]である。これらは、一種類であっても、二種類以上を併用してもよい。
[0129]
 (酸化防止剤)
 酸化防止剤は、公知のものを使用することができ、ラクトン系化合物、イオウ系化合物、フェノール系化合物、二重結合系化合物、ヒンダードアミン系化合物、又はリン系化合物などが挙げられる。
[0130]
 ラクトン系化合物としては、IrgafosXP40、IrgafosXP60(BASFジャパン株式会社)等が挙げられる。
 イオウ系化合物としては、Sumilizer TPL-R、又はSumilizer
 TP-D(住友化学株式会社)が挙げられる。
 フェノール系化合物としては、2,6-ジアルキルフェノール構造を有するものが好ましく、例えば、Irganox1076、Irganox1010(BASFジャパン株式会社)、アデカスタブAO-50((株)ADEKA)等が挙げられる。
[0131]
 二重結合系化合物としては、Sumilizer GM、又はSumilizer GS(住友化学株式会社)等が挙げられる。
 ヒンダードアミン系化合物としては、Tinuvin144、Tinuvin770(BASFジャパン株式会社)、又はADK STAB LA-52(株式会社ADEKA)が挙げられる。
 リン系化合物としては、SumilizerGP(住友化学株式会社)、ADK STAB PEP-24G、ADK STAB PEP-36、ADK STAB 3010(株式会社ADEKA)、IRGAFOS P-EPQ(BASFジャパン株式会社)、又はGSY-P101(堺化学工業株式会社)が挙げられる。
[0132]
 酸化防止剤の含有量は、上述の第1のポリマー成分と第2のポリマー成分の総量に対して0.05~5質量%の範囲内とすることができ、好ましくは0.1~4質量%の範囲内である。
[0133]
 (微粒子)
 本発明の太陽光耐久性高透明フィルムは、無機化合物又は有機化合物からなる微粒子を含有してもよい。
[0134]
 無機化合物としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、又はリン酸カルシウム等が挙げられる。
[0135]
 有機化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、アクリルスチレン系樹脂、又はシリコーン系樹脂等が挙げられる。
[0136]
 中でも、得られるフィルムのヘイズが増大しにくいことから、二酸化ケイ素の微粒子が好ましい。
 二酸化ケイ素の微粒子としては、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、又はTT600(以上、日本アエロジル(株)製)等が挙げられる。中でも、アエロジル200V、又はアエロジルR972Vが、太陽光耐久性高透明フィルムのヘイズを低く保ちつつ、フィルム表面の滑り性を高めやすいため、特に好ましい。
[0137]
 微粒子の一次粒子の平均粒径は、好ましくは5~400nmの範囲内であり、より好ましくは10~300nmの範囲内である。
 微粒子は、主に粒径が0.05~0.30μmの範囲内にある二次凝集体を形成していてもよい。微粒子の平均粒径が100~400nmの範囲内であれば、凝集せずに一次粒子として存在しうる。
[0138]
 微粒子の含有量は、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分の総量に対して0.01~1.00質量%の範囲内であることが好ましく、0.05~0.50質量%の範囲内であることがより好ましい。
[0139]
 (加水分解抑制剤)
 本発明の太陽光高耐久性高透明フィルムは、加水分解抑制剤を含有してもよい。
 加水分解抑制剤としては、ポリカルボジイミド化合物やモノカルボジイミド化合物等のカルボジイミド化合物が挙げられ、引裂強さ及び破断伸度の観点からポリカルボジイミド化合物が好ましく、せん断加工性観点からモノカルボジイミド化合物が好ましい。
 また、引裂強さ、破断伸度及びせん断加工性をより向上させる観点から、モノカルボジイミドとポリカルボジイミドを併用することが好ましい。
[0140]
 ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5-トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,3,5-トリイソプロピルベンゼン、又は1,5-ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド等が挙げられる。
 モノカルボジイミド化合物としては、N,N’-ジ-2,6-ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。
[0141]
 前記カルボジイミド化合物は、単独、又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
 また、ポリ(4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)は、カルボジライトLA-1(日清紡ケミカル社製)を、ポリ(1,3,5-トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド及びポリ(1,3,5-トリイソプロピルベンゼン及び1,5-ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミドは、スタバクゾールP及びスタバクゾールP-100(Rhein Chemie社製)を、N,N’-ジ-2,6-ジイソプロピルフェ
ニルカルボジイミドは、スタバクゾールI(Rhein Chemie社製)を使用する
ことができる。これらの中でもフィルムの透明性向上の観点から、ポリ(4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(製品名:カルボジライトLA-1、日清紡ケミカル社製)を使用することが好ましい。
[0142]
 加水分解抑制剤の含有量は、太陽光耐久性高透明性フィルムの光透過性及び裁断加工性を向上させる観点から、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分の総量100質量部に対して、0.05~3質量部の範囲内が好ましく、0.10~2質量部の範囲内がより好ましく、0.2~1質量部範囲内がさらに好ましい。
[0143]
<引裂強さ>
 本発明における太陽光耐久性高透明フィルムは、引裂強さが60~350mNの範囲内であることが好ましい。
 引裂強さは、本発明に係る太陽光耐久性高透明フィルムを、JIS K 7128-2:1998(プラスチック-フィルム及びシートの引裂強さ試験方法-第2部:エルメンドルフ引裂法)に準拠して、(株)東洋精機製作所製の軽荷重引裂試験機により、エルメンドルフ引裂法により、搬送方向と直交する方向(TD方向)又は搬送方向(MD方向)での支持体の引き裂き荷重を測定することによって求められる。引裂強さの測定は、一定の温度・湿度条件下(本発明では、温度23℃、相対湿度55%の条件下)で行う。
本発明においては、特に断りがない限り、試料の引裂長さ及び厚さを、それぞれ同一の条件で、搬送方向と直交する方向(TD方向)及び搬送方向(MD方向)の平均値を引裂強さとした。
[0144]
<破断伸度>
 本発明における太陽光耐久性高透明フィルムは、破断伸度が60~200%の範囲内であることが、破断伸度を増強する手段の効果や生産性の観点から好ましい。
[0145]
 破断伸度とは、フィルムが引っ張られたときに耐えられる最大の力(引張強さ)とその時どれだけ伸びたか(引張伸び)を表す。
 具体的には、引張試験における、試験片の決められた標点間での破断直前の伸びをいう。破断後には、一部は弾性ひずみとして回復するが、その他は永久ひずみ、又は残留ひずみとして材料内に残存する。単位は%で表す。
 測定方法は、JIS K 7127に準じる。
[0146]
 本発明に係る破断伸度は、例えば、第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分を溶媒に溶解したドープを、測定に適する乾燥膜厚となるように流延して製膜し、得られた試料フィルムを用いて市販の引張試験機を用いて測定することができる。
[0147]
[太陽光耐久性高透明フィルムの製造方法]
 本発明の太陽光耐久性高透明フィルムは、溶液流延法又は溶融流延法で製造することができる。太陽光耐久性高透明フィルムの着色や異物欠点、ダイライン等の光学欠点を抑制する観点では、溶液流延法が好ましく、太陽光耐久性高透明フィルムに溶媒が残留するのを抑制する観点では、溶融流延法が好ましい。第1のポリマー成分としてセルロース誘導体を用いる場合は、溶液流延法が好ましい。
[0148]
 A)溶液流延法
 太陽光耐久性高透明フィルムを溶液流延法で製造する方法は、A1)少なくとも第1のポリマー成分と、第2のポリマー成分とを溶剤に溶解させてドープを得る工程、A2)ドープを無端の金属支持体上に流延する工程、A3)流延したドープから溶媒を蒸発させてウェブを得る工程、A4)ウェブを金属支持体から剥離する工程、及びA5)ウェブを乾燥してフィルム得る工程を有する。必要により乾燥中、又は乾燥後に延伸してもよい。
[0149]
 A1)ドープを得る工程
 溶解釜において、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分と、必要に応じて他の添加剤とを溶剤に溶解させてドープを調製する。
[0150]
 溶剤は、第1のポリマー成分、第2のポリマー成分、及びその他の添加剤等を溶解するのであれば、制限なく用いることができる。
 例えば、塩素系有機溶媒としては、メチレンクロライド、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3-ヘキサフルオロ-1-プロパノール、1,3-ジフルオロ-2-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、又はニトロエタン等を挙げることができる。好ましくは、メチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、又はアセトン等を用いることができる。
[0151]
ドープは、1~40質量%の範囲内の炭素原子数1~4の直鎖、又は分岐鎖状の脂肪族アルコールをさらに含有することが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高いと、ドープ膜を乾燥して得られるフィルムがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になる。一方、ドープ中のアルコールの比率が少ないと、第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分の溶解を促進することができる。
[0152]
 炭素原子数1~4の直鎖、又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、又はtert-ブタノール等が含まれる。中でも、ドープの安定性が高く、沸点が比較的低く、乾燥性が高いこと等から、エタノールが好ましい。
 また、ドープは、溶剤のメチレンクロライドと、炭素数1~4の直鎖、又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとを含有することが好ましい。
[0153]
 ドープにおける第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分の濃度は、乾燥負荷を低減するためには高い方が好ましいが、第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分の濃度が高すぎるとろ過しにくい。そのため、ドープにおける第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分の濃度は、好ましくは10~35質量%の範囲内であり、より好ましくは15~25質量%の範囲内である。
[0154]
 第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分を溶剤に溶解させる方法は、例えば、加熱、及び加圧下で溶解させる方法が挙げられる。
 加熱温度は、第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分の溶解性を高める観点では、高い方が好ましい。加熱温度は、45~120℃の範囲内であることが、圧力を高めることなく、また、生産性向上の点から好ましい。
[0155]
 添加剤は、ドープにバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に、微粒子は、ろ過材への負荷を減らすために、全部、又は一部をインライン添加することが好ましい。
[0156]
 添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープと混合しやすくするため、少量の第1のポリマー成分又は第2のポリマー成分を溶解するのが好ましい。
 好ましい第1のポリマー成分又は第2のポリマー成分の含有量は、溶剤100質量部に対して1~10質量部の範囲内であり、より好ましくは3~5質量部の範囲内である。
[0157]
 インライン添加、及び混合には、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi-Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
[0158]
 得られたドープには、例えば、第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分に含まれる不純物等の不溶物が含まれることがある。このような不溶物は、得られたフィルムにおいて輝点異物となり得る。不溶物を除去するため、得られたドープをさらにろ過することが好ましい。
[0159]
 ドープのろ過は、得られたフィルムにおける輝点異物の数が一定以下となるように行うことが好ましい。具体的には、径が0.01mm以上である輝点異物の数が、200個/cm 以下、好ましくは100個/cm 以下、より好ましくは50個/cm 以下、さらに好ましくは30個/cm 以下、特に好ましくは10個/cm 以下となるようにろ過する。
[0160]
 径が、0.01mm以下である輝点異物も200個/cm 以下であることが好ましく、100個/cm 以下であることがより好ましく、50個/cm 以下であることがさらに好ましく、30個/cm 以下であることがさらに好ましく、10個/cm 以下であることが特に好ましく、皆無であることが最も好ましい。
[0161]
 フィルムの輝点異物の数は、以下の手順で測定することができる。
 1)2枚の偏光板をクロスニコル状態に配置し、それらの間に得られたフィルムを配置する。
 2)一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察したときに、光が漏れてみえる点を異物として数をカウントする。
[0162]
 A2)流延工程
 ドープを、加圧ダイのスリットから無端状の金属支持体上に流延させる。
[0163]
 金属支持体としては、ステンレススティールベルト、又は鋳物で表面がメッキ仕上げされたドラム等が好ましく用いられる。金属支持体の表面は、鏡面仕上げされていることが好ましい。
[0164]
 キャストの幅は、1~4mの範囲内とすることができる。
 流延工程の金属支持体の表面温度は、-50℃以上、溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、ウェブの発泡、平面性の低下を防ぐことができる温度の範囲内とする。
[0165]
 金属支持体の表面温度は、好ましくは0~100℃の範囲内であり、より好ましくは5~30℃の範囲内である。
 また、金属支持体を冷却して、ウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離できるようにしてもよい。
[0166]
 金属支持体の温度の調整方法は、特に制限されないが、温風、又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
[0167]
 温風を用いる場合は、溶媒の蒸発潜熱によるフィルムの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で金属支持体の温度、及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
[0168]
 A3)溶媒蒸発工程
 金属支持体上に流延されたドープ膜を金属支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させて、フィルムを得る。ドープ膜の乾燥方法や乾燥条件は、上述のA2)流延工程と同様とすることができる。
[0169]
 A4)剥離工程
 金属支持体上で溶媒を蒸発させて得られたフィルムを、金属支持体上の剥離位置で剥離する。
 金属支持体上の剥離位置で剥離する際のフィルムの残留溶媒量は、フィルムの平面性を高めるためには、10~150質量%の範囲内とすることが好ましく、20~40質量%又は60~130質量%の範囲内とすることがより好ましく、20~30質量%又は70~120質量%の範囲内とすることがさらに好ましい。
[0170]
 フィルムの残留溶媒量は、下記式で定義される。 残留溶媒量(%)=(フィルムの加熱処理前質量-フィルムの加熱処理後質量)/(フィルムの加熱処理後質量)×100
 なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理は、115℃で1時間の加熱処理を意味する。
[0171]
 A5)乾燥、及び延伸工程
 金属支持体から剥離されたフィルムを、必要に応じて乾燥させた後、延伸することができる。
 延伸方法は、一軸延伸、二軸延伸、又は斜め延伸など任意の方法であってよい。
 フィルムの乾燥は、フィルムを、上下に配置した多数のローラーにより搬送しながら乾燥させてもよいし、フィルムの両端部をクリップで固定して搬送しながら乾燥させてもよい。
 フィルムの乾燥方法は、熱風、赤外線、加熱ローラー、又はマイクロ波等で乾燥する方法であってよく、簡便であることから熱風で乾燥する方法が好ましい。
[0172]
 そして、フィルムの延伸により、所望の位相差や収縮性、フィルム幅手長さを有するフィルムを得る。フィルムの位相差や収縮性、幅手長さは、ウェブに対する張力の大きさや延伸倍率を調整することで制御することができる。
[0173]
 本発明では、太陽光耐久性高透明フィルムを延伸した場合の遅相軸は、任意の方向であってよい。
本発明の太陽光耐久性高透明フィルムの面内の遅相軸を、フィルムの幅方向(又は搬送方向)に対して斜め方向とするために、フィルムの幅方向(又は搬送方向)に対して斜め方向に延伸する(斜め延伸する)こともできる。
 斜め方向は、任意の方向に調整することができる。
[0174]
 延伸倍率は、延伸前後のフィルムの幅の比の値W/W0(Wは延伸前、W0は延伸後の幅を表す。)で表され、得られた光学フィルムの膜厚や、求められる位相差にもよるが、好ましくは、1.3~3.0倍の範囲内、より好ましくは1.5~2.8倍の範囲内である。
[0175]
 延伸温度は、好ましくは80~230℃の範囲内とし、より好ましくは100~220℃の範囲内とし、さらに好ましくは110℃より大きく210℃以下とすることができる。
[0176]
 延伸操作は、多段階に分割して実施してもよい。
 また、二軸延伸を行う場合には、同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
[0177]
 すなわち、例えば、次のような延伸ステップも可能である:
 ・流延方向に延伸→幅手方向に延伸→流延方向に延伸→流延方向に延伸
 ・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→流延方向に延伸→流延方向に延伸
 また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。
[0178]
 延伸開始時のフィルムの残留溶媒は、好ましくは20質量%以下とし、より好ましくは15質量%以下とし得る。
 当該残留溶媒量は、2質量%以上であれば、膜厚偏差が小さくなり、平面性の観点から好ましく、15質量%以内であれば、表面の凹凸が減り、平面性が向上し好ましい。
[0179]
 本発明に係る太陽光耐久性高透明フィルムは、ガラス転移温度をTgとしたときに、(Tg+15)~(Tg+50)℃の温度範囲で延伸することが好ましい。
 上記温度範囲で延伸すると、破断の発生を抑制し、平面性、及びフィルム自身の着色性に優れた太陽光耐久性高透明フィルムが得られる。延伸温度は、(Tg+20)~(Tg+40)℃の範囲で行うことが好ましい。
[0180]
 なお、ここでいうガラス転移温度Tgとは、市販の示差走査熱量測定器を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)にしたがって求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。
 具体的な太陽光耐久性高透明フィルムのガラス転移温度Tgの測定方法は、JIS K7121(1987)にしたがって、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計DSC220を用いて測定する。
[0181]
 B)溶融流延法
 本発明の太陽光耐久性高透明フィルムを溶融流延法で製造する方法は、B1)溶融ペレットを製造する工程(ペレット化工程)、B2)溶融ペレットを溶融混練した後、押し出す工程(溶融押出し工程)、B3)溶融樹脂を冷却固化してフィルムを得る工程(冷却固化工程)、及びB4)フィルムを延伸する工程(延伸工程)、を有する。
[0182]
 B1)ペレット化工程
 太陽光耐久性高透明フィルムの第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分を含む樹脂組成物は、あらかじめ混練してペレット化しておくことが好ましい。
 ペレット化は、公知の方法で行うことができ、例えば、上述の第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分と、必要に応じて可塑剤等の添加剤とを含む樹脂組成物を、押し出し機にて溶融混錬した後、ダイからストランド状に押し出す。ストランド状に押し出された溶融樹脂を、水冷又は空冷した後、カッティングしてペレットを得ることができる。
[0183]
 ペレットの原材料は、分解を防止するために、押し出し機に供給する前に乾燥しておくことが好ましい。
[0184]
 酸化防止剤と第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分の混合は、固体同士で混合してもよいし、溶剤に溶解させた酸化防止剤を、第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分に含浸させて混合してもよいし、酸化防止剤を、第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分に噴霧して混合してもよい。
 また、押し出し機のフィーダー部分やダイの出口部分の周辺の雰囲気は、ペレットの原材料の劣化を防止するため等から、除湿した空気又は窒素ガス等の雰囲気とすることが好ましい。
[0185]
 押し出し機では、樹脂の劣化(分子量の低下、着色、ゲルの生成等)が生じないように、低いせん断力又は低い温度で混練することが好ましい。例えば、2軸押し出し機で混練する場合、深溝タイプのスクリューを用いて、2つのスクリューの回転方向を同方向にすることが好ましい。均一に混錬するためには、2つのスクリュー形状が互いに噛み合うようにすることが好ましい。
[0186]
 第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分を含む樹脂組成物をペレット化せずに、溶融混練していない第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分をそのまま原料として押し出し機にて溶融混練して太陽光耐久性高透明フィルムを製造してもよい。
[0187]
B2)溶融押出し工程
 得られた溶融ペレットと、必要に応じて他の添加剤とを、ホッパーから押し出し機に供給する。
 ペレットの供給は、ペレットの酸化分解を防止するため等から、真空下、減圧下又は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。そして、押し出し機にて、フィルム材料である溶融ペレット、必要に応じて他の添加剤を溶融混練する。
[0188]
 押し出し機内のフィルム材料の溶融温度は、フィルム材料の種類にもよるが、フィルムのガラス転移温度をTg(℃)としたときに、好ましくはTg~(Tg+100)℃の範囲内であり、より好ましくは(Tg+10)~(Tg+90)℃の範囲内である。
[0189]
 さらに、可塑剤や微粒子等の添加剤を、押し出し機の途中で添加する場合、これらの成分を均一に混合するために、押し出し機の下流側に、スタチックミキサー等の混合装置をさらに配置してもよい。
[0190]
 押し出し機から押し出された溶融樹脂を、必要に応じてリーフディスクフィルター等でろ過した後、スタチックミキサー等でさらに混合して、ダイからフィルム状に押し出す。
[0191]
 押し出し流量は、ギヤポンプを用いて安定化させることが好ましい。また、異物の除去に用いるリーフディスクフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターであることが好ましい。
 ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合わせたうえで圧縮し、接触箇所を焼結して一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、ろ過精度を調整できる。
[0192]
 ダイの出口部分における樹脂の溶融温度は、200~300℃程度の範囲内とし得る。
[0193]
 B3)冷却固化工程
 ダイから押し出された樹脂を、冷却ローラーと弾性タッチローラーとでニップして、フィルム状の溶融樹脂を所定の厚さにする。そして、フィルム状の溶融樹脂を、複数の冷却ローラーで段階的に冷却して固化させる。
[0194]
 冷却ローラーの表面温度は、フィルムのガラス転移温度をTg(℃)としたとき、Tg(℃)以下とすることができる。
 複数の冷却ローラーの表面温度は異なっていてもよい。
[0195]
 弾性タッチローラーは、挟圧回転体ともいう。弾性タッチローラーは、市販のものを用いることもできる。
 弾性タッチローラー側のフィルム表面温度は、フィルムのTg~(Tg+110)℃の範囲内とすることができる。
[0196]
 冷却ローラーから固化したフィルム状の溶融樹脂を剥離ローラー等で剥離してフィルムを得る。
 フィルム状の溶融樹脂を剥離する際は、得られるフィルムの変形を防止するために、張力を調整することが好ましい。
[0197]
 B4)延伸工程
 溶液流延法と同様に、冷却中のフィルム又は得られたフィルムを、延伸機にて延伸してフィルムを得ることも可能である。
 フィルムの延伸方法、延伸倍率及び延伸温度についても、溶液流延法と同様としうる。 
[0198]
[太陽光制御フィルム]
 本発明に係る太陽光制御フィルムは、上述の太陽光耐久性高透明フィルム上に、少なくとも太陽光制御層が形成されているフィルムである。
 具体的に、本発明における太陽光制御フィルムとは、太陽光の全波長、あるいは一部の波長の光を吸収又は反射する機能や光を集光する機能、光の方向を変える機能を有するフィルムのことをいう。
 太陽光を吸収する手段としては、フィルム中に染料を均一に溶解又は染色させる方法や顔料を均一に分散させる方法、又は金属のプラズモン吸収を用いる方法が挙げられる。
 太陽光を反射する方法としては、金属膜などにより太陽光を反射する方法や、樹脂の薄膜多層膜又は微粒子の配列による選択反射により太陽光を反射する方法を挙げることができる。
[0199]
<太陽光制御層>
 本発明に係る太陽光制御層は、上記太陽光耐久性高透明フィルム上に積層される機能層であり、光学的な特性を制御する機能を有する層であれば、特に限定されないが、例えば、反射率や透過率を制御する層、マイクロレンズやマイクロプリズム、散乱層など光の方向を変える、又は集光する層、などを挙げることができる。
 中でも、太陽光の全波長の光を反射させる層(例えば、銀反射層)や、特定の波長の光を選択的に透過又は遮蔽する光学反射層(例えば、赤外線反射層や赤外線吸収層)とすることが好ましい。
 本発明では、太陽光制御層が赤外線反射層であるフィルムを赤外線反射フィルムとし、太陽光制御層が銀反射層であるフィルムを、本発明ではフィルムミラーとする。
[0200]
 特定の波長の光を選択的に透過又は遮蔽する層としては、染料や顔料によって特定の波長を吸収する層、金属薄膜を設けて赤外光を反射する層(赤外線反射層)、低屈折率層と高屈折率層とを交互に積層してその膜厚に応じた波長の光のみを反射する層(多層膜光反射層:赤外線反射層)などを挙げることができる。
[0201]
 特に、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層、及び第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層を交互に積層した特定の波長の光を選択的に反射する層とすることが好ましい。
[0202]
 この方法においては、低屈折率層と高屈折率層の界面混合が少ないほど、界面反射がアップしてより高い反射率が得られるが、本発明のようにセルロース誘導体を支持体(太陽光耐久性高透明フィルム)とすると塗布時の溶媒をセルロース誘導体が吸収するため、また、塗布層の上面(空気側)だけでなく、支持体側(太陽光耐久性高透明フィルム側)からも溶媒が揮発できるために、塗布層がすばやく固化され、低屈折率層と高屈折率層の界面混合が少なくなり、高い反射率が得られる。この点からセルロース誘導体を支持体(太陽光耐久性高透明フィルム)に適用することが好ましく、一方で、層構成が複雑で、保存時の劣化の影響が出やすいことから、本発明を非常に好ましく適用できる。
[0203]
[赤外線反射フィルム]
 本発明に係る赤外線反射フィルムは、本発明の太陽光耐久性高透明フィルム上に、太陽光制御層として少なくとも赤外線反射層が形成されたフィルムである。
 赤外線反射層としては、下記に示す(1)多層構成の光学反射層、及び(3)金属薄膜を設けて赤外線を反射する層が挙げられる。
[0204]
 (1)多層構成の光学反射層
 多層構成の光学反射層は、太陽光線、例えば赤外線成分を反射して遮断する機能を発現するもので、屈折率の異なる複数の屈折率層で構成されている。
 具体的には、高屈折率層及び低屈折率層を積層して構成される。本発明に用いられる光学反射層は、高屈折率層と低屈折率層とから構成される積層体(ユニット)を少なくとも一つ含む構成を有するものであればよいが、高屈折率層及び低屈折率層とから構成される上記積層体が二つ以上複数で積層された構成を有することが好ましい。
 この場合、光学反射層の最上層及び最下層は高屈折率層及び低屈折率層のいずれであってもよいが、最上層及び最下層の両者が低屈折率層であることが好ましい。最上層が低屈折率層であると塗布性が良くなり、最下層が低屈折率層であると密着性が良くなる観点から好ましい。
[0205]
 ここで、光学反射層の任意の屈折率層が、高屈折率層であるか低屈折率層であるかは、隣接する屈折率層との屈折率の対比によって判断される。
 具体的には、ある屈折率層を基準層としたとき、当該基準層に隣接する屈折率層が基準層より屈折率が低ければ、基準層は高屈折率層である(隣接層は低屈折率層である。)と判断される。
 一方、基準層より隣接層の屈折率が高ければ、基準層は低屈折率層である(隣接層は高屈折率層である。)と判断される。
 したがって、屈折率層が高屈折率層であるか低屈折率層であるかは、隣接層が有する屈折率との関係で定まる相対的なものであり、ある屈折率層は、隣接層との関係によって高屈折率層にも低屈折率層にもなりうる。
[0206]
 ここで、高屈折率層を構成する成分(以下、「高屈折率層成分」とも称する。)と低屈折率層を構成する成分(以下、「低屈折率層成分」とも称する。)が二つの層の界面で混合され、高屈折率層成分と低屈折率層成分とを含む層(混合層)が形成される場合がある。
 この場合、混合層において、高屈折率層成分が50質量%以上である部位の集合を高屈折率層とし、低屈折率層成分が50質量%を超える部位の集合を低屈折率層とする。
 具体的には、低屈折率層が、例えば、低屈折率層及び高屈折率層がそれぞれ異なる金属酸化物粒子を含む場合、これらの積層膜における層厚方向での金属酸化物粒子の濃度プロファイルを測定し、その組成によって、形成されうる混合層が、高屈折率層であるか低屈折率層であるかを決定することができる。
[0207]
 積層膜の金属酸化物粒子の濃度プロファイルは、スパッタ法を用いて表面から深さ方向へエッチングを行い、XPS表面分析装置を用いて、最表面を0nmとして、0.5nm/minの速度でスパッタし、原子組成比を測定することで観測することができる。
 また、低屈折率成分又は高屈折率成分に金属酸化物粒子が含有されておらず、水溶性樹脂のみから形成されている場合においても、同様にして、水溶性樹脂の濃度プロファイルにて、例えば、層厚方向での炭素濃度を測定することにより混合領域が存在していることを確認し、さらに、その組成をEDX(エネルギー分散型X線分光法)より測定することで、スパッタでエッチングされた各層が、高屈折率層又は低屈折率層とみなすことができる。
[0208]
 XPS表面分析装置としては、特に限定なく、いかなる機種も使用することができるが、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB-200Rを用いた。
 X線アノードには、Mgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定する。
[0209]
 一般に、光学反射層においては、低屈折率層と高屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で、例えば赤外光反射率を高くすることができるという観点から好ましい。 本発明では、低屈折率層及び高屈折率層から構成される積層体(ユニット)の少なくとも一つにおいて、隣接する低屈折率層と高屈折率層との屈折率差が0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.35以上であることがさらに好ましく、0.4を超えることが特に好ましい。
 光学反射層が、高屈折率層及び低屈折率層の積層体(ユニット)を2以上の複数有する場合には、全ての積層体(ユニット)における高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が上記好適な範囲内にあることが好ましい。ただし、この場合でも光学反射層の最上層や最下層を構成する屈折率層に関しては、上記好適な範囲外の構成であってもよい。
[0210]
 光学反射層の屈折率層の層数(高屈折率層及び低屈折率層のユニット)としては、上記の観点から、100層以下、すなわち50ユニット以下であることが好ましく、40層(20ユニット)以下であることがより好ましく、20層(10ユニット)以下であることがさらに好ましい。
[0211]
 上記隣接した層界面での反射は、層間の屈折率比に依存するので、この屈折率比が大きいほど、反射率が高まる。
 また、単層膜でみたとき層表面における反射光と、層底部における反射光の光路差を、n・d=波長/4、で表される関係にすると、位相差により反射光を強めあうよう制御でき、反射率を上げることができる。
 ここで、nは屈折率、dは層の物理膜厚、n・dは光学膜厚である。
 この光路差を利用することで、反射を制御できる。この関係を利用して、各層の屈折率と膜厚を制御して、可視光や、近赤外光の反射を制御する。
[0212]
 すなわち、各層の屈折率、各層の膜厚、各層の積層のさせ方で、特定波長領域の反射率をアップさせることができる。
[0213]
 本発明に用いられる光学反射層は、反射率をアップさせる特定波長領域を変えることにより、紫外線反射フィルム、可視光反射フィルム、又は近赤外光反射フィルムとすることができる。すなわち、反射率をアップさせる特定波長領域を紫外線領域に設定すれば、紫外線反射フィルムとなり、可視光領域に設定すれば可視光反射フィルムとなり、近赤外領域に設定すれば近赤外光反射フィルムとなる。
[0214]
 本発明に用いられる光学反射層を有する光学フィルムを遮熱フィルムに用いる場合は、近赤外光反射フィルムとすればよい。
 高分子フィルムに互いに屈折率が異なる膜を積層させた多層膜を形成し、JIS R3106-1998で示される可視光領域の透過率が50%以上で、かつ、波長900~1400nmの領域に反射率40%を超える領域を有するように光学膜厚とユニットを設計することが好ましい。
[0215]
 〈屈折率層:高屈折率層及び低屈折率層〉
 〔高屈折率層〕
 高屈折率層は、第1の水溶性バインダー樹脂及び第1の金属酸化物粒子を含有し、必要に応じて、硬化剤、その他のバインダー樹脂、界面活性剤、及び各種添加剤等を含んでもよい。
[0216]
 本発明に係る高屈折率層の屈折率は、好ましくは1.80~2.50の範囲内であり、より好ましくは1.90~2.20の範囲内である。
[0217]
 (第1の水溶性バインダー樹脂)
 本発明に係る第1の水溶性バインダー樹脂は、該水溶性バインダー樹脂が最も溶解する温度で、0.5質量%の濃度に水に溶解させた際、G2グラスフィルタ(最大細孔40~50μm)で濾過した場合に濾別される不溶物の質量が、加えた該水溶性バインダー樹脂の50質量%以内であるものをいう。
[0218]
 本発明に係る第1の水溶性バインダー樹脂の重量平均分子量は、1000~200000の範囲内であることが好ましい。さらには、3000~40000の範囲内がより好ましい。
[0219]
 ここで、重量平均分子量は、公知の方法によって測定することができ、例えば、静的光散乱、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)、又は飛行時間型質量分析法(TOF-MASS)などによって測定することができ、本発明では一般的な公知の方法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によって測定する。
[0220]
 高屈折率層における第1の水溶性バインダー樹脂の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、5~50質量%の範囲内であることが好ましく、10~40質量%の範囲内であることがより好ましい。
[0221]
 高屈折率層に適用する第1の水溶性バインダー樹脂としては、ポリビニルアルコールであることが好ましい。また、後述する低屈折率層に存在する水溶性バインダー樹脂も、ポリビニルアルコールであることが好ましい。したがって、以下においては、高屈折率層及び低屈折率層に含まれるポリビニルアルコールを併せて説明する。
[0222]
 〈ポリビニルアルコール〉
 本発明において、高屈折率層と低屈折率層とは、ケン化度の異なる2種以上のポリビニルアルコールを含むことが好ましい。
 ここで、区別するために、高屈折率層で用いる水溶性バインダー樹脂としてのポリビニルアルコールをポリビニルアルコール(A)とし、低屈折率層で用いる水溶性バインダー樹脂としてのポリビニルアルコールをポリビニルアルコール(B)という。
 なお、各屈折率層が、ケン化度や重合度が異なる複数のポリビニルアルコールを含む場合には、各屈折率層中で最も含有量の高いポリビニルアルコールをそれぞれ高屈折率層におけるポリビニルアルコール(A)、及び低屈折率層におけるポリビニルアルコール(B)と称する。
[0223]
 本発明でいう「ケン化度」とは、ポリビニルアルコール中のアセチルオキシ基(原料の酢酸ビニル由来のもの)とヒドロキシ基との合計数に対するヒドロキシ基の割合のことである。
[0224]
 また、ここでいう「屈折率層中で最も含有量の高いポリビニルアルコール」という際には、ケン化度の差が3mol%以内のポリビニルアルコールは同一のポリビニルアルコールであるとし、重合度を算出する。
 ただし、重合度1000以下の低重合度ポリビニルアルコールは、異なるポリビニルアルコールとする(仮にケン化度の差が3mol%以内のポリビニルアルコールがあったとしても同一のポリビニルアルコールとはしない。)。
 具体的には、ケン化度が90mol%、ケン化度が91mol%、ケン化度が93mol%のポリビニルアルコールが同一層内にそれぞれ10質量%、40質量%、50質量%含まれる場合には、これら三つのポリビニルアルコールは同一のポリビニルアルコールとし、これら三つの混合物をポリビニルアルコール(A)又は(B)とする。
 また、上記「ケン化度の差が3mol%以内のポリビニルアルコール」とは、いずれかのポリビニルアルコールに着目した場合に3mol%以内であれば足り、例えば、90mol%、91mol%、92mol%、94mol%のポリビニルアルコールを含む場合には、91mol%のポリビニルアルコールに着目した場合に、いずれのポリビニルアルコールのケン化度の差も3mol%以内なので、同一のポリビニルアルコールとなる。
[0225]
 同一層内にケン化度が3mol%以上異なるポリビニルアルコールが含まれる場合、異なるポリビニルアルコールの混合物とみなし、それぞれに重合度とケン化度を算出する。例えば、PVA203:5質量%、PVA117:25質量%、PVA217:10質量%、PVA220:10質量%、PVA224:10質量%、PVA235:20質量%、PVA245:20質量%が含まれる場合、最も含有量の多いPVA(ポリビニルアルコール)は、PVA217~245の混合物であり(PVA217~245のケン化度の差は3mol%以内なので同一のポリビニルアルコールである)、この混合物がポリビニルアルコール(A)又は(B)となる。そうして、PVA217~245の混合物(ポリビニルアルコール(A)又は(B))において、重合度が、(1700×0.1+2000×0.1+2400×0.1+3500×0.2+4500×0.7)/0.7=3200であり、ケン化度は、88mol%となる。
[0226]
 ポリビニルアルコール(A)とポリビニルアルコール(B)とのケン化度の絶対値の差は、3mol%以上であることが好ましく、5mol%以上であることがより好ましい。このような範囲であれば、高屈折率層と低屈折率層との層間混合状態が好ましいレベルになるため好ましい。
 また、ポリビニルアルコール(A)とポリビニルアルコール(B)とのケン化度の差は、離れていれば離れているほど好ましいが、ポリビニルアルコールの水への溶解性の観点から、20mol%以下であることが好ましい。
[0227]
 また、ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のケン化度は、水への溶解性の観点で、75mol%以上であることが好ましい。
 さらに、ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のうち一方がケン化度90mol%以上であり、他方が90mol%以下であることが、高屈折率層と低屈折率層との層間混合状態を好ましいレベルにするために好ましい。
 ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のうち一方が、ケン化度95mol%以上であり、他方が90mol%以下であることがより好ましい。
 なお、ポリビニルアルコールのケン化度の上限は特に限定されるものではないが、通常100mol%未満であり、99.9mol%以下程度である。
[0228]
 また、ケン化度の異なる2種のポリビニルアルコールの重合度は、1000以上のものが好ましく用いられ、特に、重合度が1500~5000の範囲内のものがより好ましく、2000~5000の範囲内のものがさらに好ましく用いられる。
 ポリビニルアルコールの重合度が、1000以上であると塗布膜のひび割れがなく、5000以下であると塗布液が安定するからである。
 なお、本明細書において、「塗布液が安定する」とは、塗布液が経時的に安定することを意味する。
 ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)の少なくとも一方の重合度が、2000~5000の範囲内であると、塗膜のひび割れが減少し、特定の波長の反射率が向上するため好ましい。
 ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)の双方が、2000~5000の範囲内であると、上記効果はより顕著に発揮できるため好ましい。
[0229]
 本明細書でいう「重合度P」とは、粘度平均重合度を指し、JIS K6726(1994)に準じて測定され、PVAを完全に再ケン化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から、下式(a)により求められるものである。
[0230]
式(a)
   P=(〔η〕×10 /8.29) (1/0.62)
 低屈折率層に含まれるポリビニルアルコール(B)は、ケン化度が75~90mol%の範囲内で、かつ重合度が2000~5000の範囲内であることが好ましい。このような特性を備えたポリビニルアルコールを低屈折率層に含有させると、界面混合がより抑制される点で好ましい。これは塗膜のひび割れが少なく、かつセット性が向上するためであると考えられる。
[0231]
 本発明で用いられるポリビニルアルコール(A)及び(B)は、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。ポリビニルアルコール(A)及び(B)として用いられる市販品の例としては、例えば、PVA-102、PVA-103、PVA-105、PVA-110、PVA-117、PVA-120、PVA-124、PVA-203、PVA-205、PVA-210、PVA-217、PVA-220、PVA-224、PVA-235(以上、株式会社クラレ製)、JC-25、JC-33、JF-03、JF-04、JF-05、JP-03、JP-04JP-05、JP-45(以上、日本酢ビ・ポバール株式会社製)等が挙げられる。
[0232]
 本発明に係る第1の水溶性バインダー樹脂は、本発明の効果を損なわない限りでは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、一部が変性された変性ポリビニルアルコールを含んでもよい。このような変性ポリビニルアルコールを含むと、膜の密着性や耐水性、柔軟性が改良される場合がある。
 このような変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、又はビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
[0233]
 カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61-10483号公報に記載されているような、第一~第三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
[0234]
 カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル-(2-アクリルアミド-2,2-ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル-(3-アクリルアミド-3,3-ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N-ビニルイミダゾール、N-ビニル-2-メチルイミダゾール、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル-(2-メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N-(1,1-ジメチル-3-ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
 カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1~10モル%の範囲内、好ましくは0.2~5モル%の範囲内である。
[0235]
 アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1-206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61-237681号公報及び同63-307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7-285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
[0236]
 また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7-9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキシド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8-25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシ基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
[0237]
 また、ビニルアルコール系ポリマーとして、エクセバール(登録商標、株式会社クラレ製)やニチゴGポリマー(登録商標、日本合成化学工業株式会社製)などが挙げられる。
[0238]
 変性ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することができる。
[0239]
 変性ポリビニルアルコールの含有量は、特に限定されるものではないが、各屈折率の全質量(固形分)に対し、好ましくは1~30質量%の範囲内である。このような範囲内であれば、上記効果がより発揮される。
[0240]
 本発明においては、屈折率の異なる層間ではケン化度の異なる二種のポリビニルアルコールがそれぞれ用いられることが好ましい。
[0241]
 例えば、高屈折率層に低ケン化度のポリビニルアルコール(A)を用い、低屈折率層に高ケン化度のポリビニルアルコール(B)を用いる場合には、高屈折率層中のポリビニルアルコール(A)が層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40~100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60~95質量%の範囲内で含有されることがより好ましい。そして、低屈折率層中のポリビニルアルコール(B)が低屈折率層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40~100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60~95質量%の範囲内がより好ましい。
 また、高屈折率層に高ケン化度のポリビニルアルコール(A)を用い、低屈折率層に低ケン化度のポリビニルアルコール(B)を用いる場合には、高屈折率層中のポリビニルアルコール(A)が層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40~100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60~95質量%の範囲内がより好ましい。そして、低屈折率層中のポリビニルアルコール(B)が低屈折率層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40~100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60~95質量%の範囲内がより好ましい。含有量が40質量%以上であると、層間混合が抑制され、界面の乱れが小さくなるという効果が顕著に現れる。一方、含有量が100質量%以下であれば、塗布液の安定性が向上する。
[0242]
 (その他のバインダー樹脂)
 本発明において、高屈折率層では、ポリビニルアルコール以外の第1の水溶性バインダー樹脂としては、第1の金属酸化物粒子を含有した高屈折率層が塗膜を形成することができれば、いかなるものでも制限なく使用可能である。
 また、後述する低屈折率層においても、ポリビニルアルコール(B)以外の第2の水溶性バインダー樹脂としては、上記と同様に、第2の金属酸化物粒子を含有した低屈折率層が塗膜を形成することができれば、どのようなものでも制限なく使用可能である。
 ただし、環境の問題や塗膜の柔軟性を考慮すると、水溶性高分子(特にゼラチン、増粘多糖類、反応性官能基を有するポリマー)が好ましい。これらの水溶性高分子は単独で用いても構わないし、二種類以上を混合して用いても構わない。
[0243]
 高屈折率層において、水溶性バインダー樹脂として好ましく用いられるポリビニルアルコールとともに、併用する他のバインダー樹脂の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、5~50質量%の範囲内で用いることもできる。
[0244]
 本発明においては、有機溶媒を用いる必要がなく、環境保全上好ましいことから、バインダー樹脂は水溶性高分子から構成されることが好ましい。
 すなわち、本発明ではその効果を損なわない限りにおいて、上記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールに加えて、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール以外の水溶性高分子をバインダー樹脂として用いてもよい。
 前記水溶性高分子とは、該水溶性高分子が最も溶解する温度で、0.5質量%の濃度に水に溶解させた際、G2グラスフィルター(最大細孔40~50μmの範囲内)で濾過した場合に濾別される不溶物の質量が、加えた該水溶性高分子の50質量%以内であるものをいう。そのような水溶性高分子の中でも特にゼラチン、セルロース類、増粘多糖類、又は反応性官能基を有するポリマーが好ましい。これらの水溶性高分子は単独で用いても構わないし、2種類以上を混合して用いても構わない。
[0245]
 (第1の金属酸化物粒子)
 本発明において、高屈折率層に適用可能な第1の金属酸化物粒子としては、屈折率が2.0~3.0の範囲内である金属酸化物粒子が好ましい。
 さらに、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズなどが挙げられる。
 また、複数の金属で構成された複合酸化物粒子やコア・シェル状に金属構成が変化するコア・シェル粒子等を用いることもできる。
[0246]
 透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成するために、高屈折率層には、チタン、ジルコニウム等の高屈折率を有する金属の酸化物微粒子、すなわち、酸化チタン微粒子及び/又は酸化ジルコニア微粒子を含有させることが好ましい。
 これらの中でも、高屈折率層を形成するための塗布液の安定性の観点から、酸化チタンがより好ましい。また、酸化チタンの中でも、特にアナターゼ型よりルチル型(正方晶形)の方が、触媒活性が低いために、高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高くなることからより好ましい。
[0247]
 また、高屈折率層に、第1の金属酸化物粒子としてコア・シェル粒子を用いた場合では、シェル層の含ケイ素の水和酸化物と第1の水溶性バインダー樹脂との相互作用により、高屈折率層と隣接層の層間混合が抑制される効果から、酸化チタン粒子が含ケイ素の水和酸化物で被覆されたコア・シェル粒子がさらに好ましい。
[0248]
 本発明に用いられるコア・シェル粒子のコアに用いられる酸化チタン粒子を含む水溶液は、25℃で測定したpHが1.0~3.0の範囲内であり、かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルの表面を、疎水化して有機溶剤に分散可能な状態にしたものを用いることが好ましい。
[0249]
 本発明に係る第1の金属酸化物粒子の含有量が、高屈折率層の固形分100質量%に対して、15~80質量%の範囲内であると、低屈折率層との屈折率差を付与するという観点で好ましい。さらに、20~77質量%の範囲内であることがより好ましく、30~75質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
 なお、当該コア・シェル粒子以外の金属酸化物粒子が、高屈折率層に含有される場合の含有量は、本発明の効果を奏することができる範囲であれば特に限定されるものではない。
[0250]
 本発明においては、高屈折率層に適用する第1の金属酸化物粒子の体積平均粒径は、30nm以下であることが好ましく、1~30nmの範囲内であることがより好ましく、5~15nmの範囲内であることがさらに好ましい。体積平均粒径が1~30nmの範囲内であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
[0251]
 なお、本発明に係る第1の金属酸化物粒子の体積平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、又は電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する粒子状の金属酸化物の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、体積平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた平均粒径である。
[0252]
 さらに、本発明に係る第1の金属酸化物粒子は、単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式(b)で求められる単分散度が40%以下であることをいう。この単分散度は、さらに好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1~20%の範囲内である。
[0253]
 式(b)
   単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100(%)
[0254]
 〈コア・シェル粒子〉
 本発明に係る高屈折率層に適用する第1の金属酸化物粒子としては、「含ケイ素の水和酸化物で表面処理された酸化チタン粒子」を用いることが好ましく、このような形態の酸化チタン粒子を「コア・シェル粒子」、又は「Si被覆TiO 」と称する場合もある。
[0255]
 本発明に用いられるコア・シェル粒子は、酸化チタン粒子が含ケイ素の水和酸化物で被覆されており、好ましくはコアの部分である平均粒径が1~30nmの範囲内、より好ましくは平均粒径が4~30nmの範囲内にある酸化チタン粒子の表面を、コアとなる酸化チタンに対して、含ケイ素の水和酸化物の被覆量がSiO として3~30質量%の範囲内となるように含ケイ素の水和酸化物からなるシェルが被覆した構造である。
[0256]
 すなわち、本発明では、コア・シェル粒子を含有させることで、シェル層の含ケイ素の水和酸化物と第1の水溶性バインダー樹脂との相互作用により、高屈折率層と低屈折率層との層間混合が抑制される効果、及びコアとして酸化チタンを用いる場合の酸化チタンの光触媒活性によるバインダーの劣化やチョーキングなどの問題を防げるという効果を奏する。
[0257]
 本発明において、コア・シェル粒子は、コアとなる酸化チタンに対して、含ケイ素の水和酸化物の被覆量がSiO として3~30質量%の範囲内であること好ましく、より好ましくは3~10質量%の範囲内であり、さらに好ましくは3~8質量%の範囲内である。被覆量が30質量%以下であれば、高屈折率層の高屈折率化を達成することができ、また、被覆量が3質量%以上であれば、コア・シェル粒子の粒子を安定に形成することができる。
[0258]
 さらに、本発明において、コア・シェル粒子の平均粒径は、好ましくは1~30nmの範囲内であり、より好ましくは5~20nmの範囲内であり、さらに好ましくは5~15nmの範囲内である。コア・シェル粒子の平均粒径が1~30nmの範囲内であれば、近赤外線反射率や、透明性、ヘイズといった光学特性がより向上させることができる。
[0259]
 なお、本発明でいう平均粒径とは、一次平均粒径をいい、透過型電子顕微鏡(TEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。
[0260]
 また、電子顕微鏡から求める場合、一次粒子の平均粒径は、粒子そのもの、又は屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
[0261]
 本発明に適用可能なコア・シェル粒子の製造方法は、公知の方法を採用することができ、例えば、特開平10-158015号公報、特開2000-053421号公報、特開2000-063119号公報、特開2000-204301号公報、特許第4550753号公報などを参照することができる。
[0262]
 本発明において、コア・シェル粒子に適用する含ケイ素の水和酸化物とは、無機ケイ素化合物の水和物、有機ケイ素化合物の加水分解物又は縮合物のいずれでもよく、本発明においては、シラノール基を有する化合物であることが好ましい。
[0263]
 本発明に係る高屈折率層には、コア・シェル粒子以外にも、その他の金属酸化物粒子が含まれていてもよい。
 その他の金属酸化物粒子を併用する場合には、上記説明したコア・シェル粒子が電荷的に凝集しないよう、各種のイオン性分散剤や保護剤を用いることができる。
 コア・シェル粒子以外に用いることのできる金属酸化物粒子は、例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第2鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズなどが挙げられる。
[0264]
 本発明に用いられるコア・シェル粒子は、コアである酸化チタン粒子の表面全体を含ケイ素の水和酸化物で被覆したものでもよく、また、コアである酸化チタン粒子の表面の一部を含ケイ素の水和酸化物で被覆したものでもよい。
[0265]
 (硬化剤)
 本発明においては、高屈折率層に適用する第1の水溶性バインダー樹脂を硬化させるため、硬化剤を使用することもできる。
 第1の水溶性バインダー樹脂と共に用いることができる硬化剤としては、当該水溶性バインダー樹脂と硬化反応を起こすものであれば特に制限はない。
 例えば、第1の水溶性バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールを用いる場合では、硬化剤として、ホウ酸及びその塩が好ましい。ホウ酸及びその塩以外にも公知のものが使用でき、一般的には、ポリビニルアルコールと反応し得る基を有する化合物あるいはポリビニルアルコールが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、適宜選択して用いられる。
 硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ジグリシジルシクロヘキサン、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4-ジクロロ-4-ヒドロキシ-1,3,5,-s-トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5-トリスアクリロイル-ヘキサヒドロ-s-トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明ばん等が挙げられる。
[0266]
ホウ酸及びその塩とは、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及び八ホウ酸及びそれらの塩が挙げられる。
[0267]
 硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸及びその塩は、単独の水溶液でも、また、二種以上を混合して使用してもよい。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。
[0268]
 ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することができないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることができ、塗布液を濃縮化することができる。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることができる利点がある。
[0269]
 本発明では、ホウ酸及びその塩、又はホウ砂を用いることが本発明の効果を得るためにはより好ましい。
 ホウ酸及びその塩、又はホウ砂を用いた場合には、金属酸化物粒子と水溶性バインダー樹脂であるポリビニルアルコールのOH基と水素結合ネットワークがより形成しやすく、その結果として高屈折率層と低屈折率層との層間混合が抑制され、好ましい近赤外遮断特性が達成されると考えられる。
 特に、高屈折率層及び低屈折率層の多層重層を湿式コーターで塗布後、一旦塗膜の膜面温度を15℃程度に冷やした後、膜面を乾燥させるセット系塗布プロセスを用いた場合には、より好ましく効果を発現することができる。
[0270]
 高屈折率層における硬化剤の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、1~10質量%の範囲内であることが好ましく、2~6質量%の範囲内であることがより好ましい。
[0271]
 特に、第1の水溶性バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールを使用する場合の上記硬化剤の総使用量は、ポリビニルアルコール1g当たり1~600mgの範囲内が好ましく、ポリビニルアルコール1g当たり100~600mgの範囲内がより好ましい。
[0272]
 〔低屈折率層〕
 本発明に係る低屈折率層は、第2の水溶性バインダー樹脂及び第2の金属酸化物粒子を含み、更は、硬化剤、表面被覆成分、粒子表面保護剤、バインダー樹脂、界面活性剤、各種添加剤等を含んでもよい。
[0273]
 本発明に係る低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.10~1.60の範囲内であり、より好ましくは1.30~1.50である。
[0274]
 (第2の水溶性バインダー樹脂)
 本発明に係る低屈折率層に適用する第2の水溶性バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
 さらに、前記高屈折率層に存在するポリビニルアルコール(A)のケン化度とは異なるポリビニルアルコール(B)が、本発明に係る低屈折率層に用いられることがより好ましい。
 なお、ここでの第2の水溶性バインダー樹脂の好ましい重量平均分子量等、ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)についての説明は、上記高屈折率層の水溶性バインダー樹脂にて説明されており、ここでは説明を省略する。
[0275]
 低屈折率層における第2の水溶性バインダー樹脂の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%の範囲内に対して、20~99.9質量%の範囲内であることが好ましく、25~80質量%の範囲内であることがより好ましい。
[0276]
 本発明に係る低屈折率層において適用が可能な、ポリビニルアルコール以外の水溶性バインダー樹脂としては、第2の金属酸化物粒子を含有した低屈折率層が塗膜を形成することができればどのようなものでも制限なく使用可能である。
 ただし、環境の問題や塗膜の柔軟性を考慮すると、水溶性高分子(特にゼラチン、増粘多糖類、反応性官能基を有するポリマー)が好ましい。これらの水溶性高分子は単独で用いても構わないし、二種類以上を混合して用いても構わない。
[0277]
 低屈折率層において、第2の水溶性バインダー樹脂として好ましく用いられるポリビニルアルコールとともに、併用する他のバインダー樹脂の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、0~10質量%の範囲内で用いることもできる。
[0278]
 本発明に係る低屈折率層において、セルロース類、増粘多糖類及び反応性官能基を有するポリマー類等の水溶性高分子を含有することもできる。これらセルロース類、増粘多糖類及び反応性官能基を有するポリマー類等の水溶性高分子は、上述した高屈折率層で説明した水溶性高分子と同様のものが用いられるため、ここでは説明を省略する。
[0279]
 (第2の金属酸化物粒子)
 本発明に係る低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子としては、シリカ(二酸化ケイ素)を用いることが好ましく、具体的な例として合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。
 これらのうち、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましく、有機溶媒に分散させたコロイダルシリカゾルを用いることがさらに好ましい。
 また、屈折率をより低減させるためには、低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子として、粒子の内部に空孔を有する中空微粒子を用いることができ、特にシリカ(二酸化ケイ素)の中空微粒子が好ましい。
[0280]
 低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子(好ましくは二酸化ケイ素)は、その平均粒径が3~100nmの範囲内であることが好ましい。
 一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、3~50nmの範囲内であることがより好ましく、3~40nmの範囲内であることがさらに好ましく、3~20nmであることが特に好ましく、4~10nmの範囲内であることが最も好ましい。
 また、二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
[0281]
 低屈折率層に適用する金属酸化物粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
[0282]
 本発明で用いられるコロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、例えば、特開昭57-14091号公報、特開昭60-219083号公報、特開昭60-219084号公報、特開昭61-20792号公報、特開昭61-188183号公報、特開昭63-17807号公報、特開平4-93284号公報、特開平5-278324号公報、特開平6-92011号公報、特開平6-183134号公報、特開平6-297830号公報、特開平7-81214号公報、特開平7-101142号公報、特開平7-179029号公報、特開平7-137431号公報、及び国際公開第94/26530号などに記載されているものである。
[0283]
 このようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、Mg又はBa等で処理された物であってもよい。
[0284]
 低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子として、中空粒子を用いることもできる。中空粒子を用いる場合には、平均粒子空孔径が、3~70nmの範囲内であるのが好ましく、5~50nmの範囲内がより好ましく、5~45nmの範囲内がさらに好ましい。
 なお、中空粒子の平均粒子空孔径とは、中空粒子の内径の平均値である。
 本発明において、中空粒子の平均粒子空孔径は、上記範囲であれば、十分に低屈折率層の屈折率が低屈折率化される。平均粒子空孔径は、電子顕微鏡観察で、円形、楕円形又は実質的に円形は楕円形として観察できる空孔径を、ランダムに50個以上観察し、各粒子の空孔径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。
 なお、平均粒子空孔径としては、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる空孔径の外縁を、2本の平行線で挟んだ距離のうち、最小の距離を意味する。
[0285]
 本発明に係る第2の金属酸化物粒子は、表面被覆成分により表面コーティングされていてもよい。特に、本発明に係る第1の金属酸化物粒子としてコア・シェル状ではない金属酸化物粒子を用いる際に、第2の金属酸化物粒子の表面をポリ塩化アルミニウムなどの表面被覆成分によりコーティングすると、第1の金属酸化物粒子と凝集しにくくなる。
[0286]
 低屈折率層における第2の金属酸化物粒子の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、0.1~70質量%の範囲内であることが好ましく、30~70質量%の範囲内であることがより好ましく、45~65質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
[0287]
 (硬化剤)
 本発明に係る低屈折率層において、前記高屈折率層と同様に、硬化剤をさらに含むことができる。低屈折率層に含まれる第2の水溶性バインダー樹脂と硬化反応を起こすものであれば、特に制限されない。
 特に、低屈折率層に適用する第2の水溶性バインダー樹脂としてポリビニルアルコールを用いた場合の硬化剤としては、ホウ酸及びその塩及び/又はホウ砂が好ましい。また、ホウ酸及びその塩以外にも公知のものが使用できる。
[0288]
 低屈折率層における硬化剤の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、1~10質量%の範囲内であることが好ましく、2~6質量%の範囲内であることがより好ましい。
[0289]
 特に、第2の水溶性バインダー樹脂としてポリビニルアルコールを使用する場合の上記硬化剤の総使用量は、ポリビニルアルコール1g当たり1~600mgの範囲内が好ましく、ポリビニルアルコール1g当たり100~600mgの範囲内がより好ましい。
[0290]
 また、硬化剤の具体例などは、上述した高屈折率層と同様であるため、ここでは説明を省略する。
[0291]
 〔各屈折率層のその他の添加剤〕
 本発明に係る高屈折率層及び低屈折率層には、必要に応じて各種の添加剤を用いることができる。また、高屈折率層における添加剤の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、0~20質量%の範囲内であることが好ましい。当該添加剤の例を以下に記載する。
[0292]
 (界面活性剤)
 本発明においては、高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも1層が、さらに界面活性剤を含有してもよい。
 界面活性剤としては、両性イオン系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系のいずれの種類も使用することができる。より好ましくは、ベタイン系両性イオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩系カチオン性界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸塩系アニオン性界面活性剤、アセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤、又はフッ素系カチオン性界面活性剤が好ましい。
[0293]
 本発明に用いられる界面活性剤の添加量としては、高屈折率層用塗布液又は低屈折率層用塗布液の全質量を100質量%としたとき、0.005~0.30質量%の範囲内であることが好ましく、0.01~0.10質量%の範囲内であることがより好ましい。
[0294]
 (アミノ酸)
 本発明において、高屈折率層又は低屈折率層は、等電点が6.5以下のアミノ酸を含有していてもよい。アミノ酸を含むことにより、高屈折率層又は低屈折率層中の金属酸化物粒子の分散性が向上しうる。
[0295]
 ここで、アミノ酸とは、同一分子内にアミノ基とカルボキシ基とを有する化合物であり、α-、β-、γ-などいずれのタイプのアミノ酸でもよい。アミノ酸には光学異性体が存在するものもあるが、本発明においては光学異性体による効果の差はなく、いずれの異性体も単独であるいはラセミ体でも使用することができる。
[0296]
 アミノ酸の詳しい解説は、化学大辞典1縮刷版(共立出版;昭和35年発行)268頁~270頁の記載を参照することができる。
[0297]
 具体的に好ましいアミノ酸として、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、セリン、等を挙げることができ、特にグリシン、セリンが好ましい。
[0298]
 アミノ酸の等電点とは、アミノ酸は特定のpHにおいて分子内の正・負電荷が釣り合い、全体としての電荷が0となるので、このpH値をいう。各アミノ酸の等電点については、低イオン強度での等電点電気泳動で求めることができる。
[0299]
 (エマルジョン樹脂)
 本発明に係る高屈折率層又は低屈折率層は、エマルジョン樹脂をさらに含有していてもよい。エマルジョン樹脂を含むことにより、膜の柔軟性が高くなりガラスへの貼りつけ等の加工性がよくなる。
[0300]
 エマルジョン樹脂とは、水系媒体中に微細な、例えば、平均粒径が0.01~2.0μm程度の樹脂粒子がエマルジョン状態で分散されている樹脂で、油溶性のモノマーを、ヒドロキシ基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合して得られる。
 用いる分散剤の種類によって、得られるエマルジョン樹脂のポリマー成分に基本的な違いは見られない。
 エマルジョンの重合時に使用される分散剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子分散剤が挙げられる。
 ヒドロキシ基を有する高分子分散剤を用いて乳化重合すると、微細な微粒子の少なくとも表面にヒドロキシ基の存在が推定され、他の分散剤を用いて重合したエマルジョン樹脂とはエマルジョンの化学的、物理的性質が異なる。
[0301]
 ヒドロキシ基を含む高分子分散剤とは、重量平均分子量が10000以上の高分子の分散剤で、側鎖又は末端にヒドロキシ基が置換されたものであり、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミドのようなアクリル系の高分子で2-エチルヘキシルアクリレートが共重合されたもの、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリエーテルなどが挙げられる。
[0302]
 (リチウム化合物)
 本発明においては、高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも1層が、さらにリチウム化合物を含有してもよい。該リチウム化合物を含む高屈折率層用塗布液、又は低屈折率層用塗布液は、粘度の制御がより容易となり、その結果、ガラスに本発明の太陽光制御フィルムを加える際の製造安定性がより向上する。
[0303]
 本発明に適用可能なリチウム化合物としては、特に制限はなく、例えば、炭酸リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、オロト酸リチウム、クエン酸リチウム、モリブデン酸リチウム、塩化リチウム、水素化リチウム、水酸化リチウム、臭化リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、ステアリン酸リチウム、リン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化トリエチルホウ酸リチウム、水素化トリエトキシアルミニウムリチウム、タンタル酸リチウム、次亜塩素酸リチウム、酸化リチウム、炭化リチウム、窒化リチウム、ニオブ酸リチウム、硫化リチウム、ホウ酸リチウム、LiBF 、LiClO 、LiPF 、LiCF SO 等が挙げられる。これらリチウム化合物は、単独でも又は二種以上組み合わせても用いることができる。
[0304]
 これらの中でも、水酸化リチウムが本願発明の効果を十分に発揮できる観点から好ましい。
[0305]
 リチウム化合物の添加量は、屈折率層中に存在する金属酸化物粒子1g当たり、0.005~0.05gの範囲内が好ましく、より好ましくは0.01~0.03gの範囲内である。
[0306]
 (その他の添加剤)
 本発明に係る高屈折率層及び低屈折率層に適用可能な各種の添加剤を、以下に列挙する。
 例えば、特開昭57-74193号公報、特開昭57-87988号公報、及び特開昭62-261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57-74192号、特開昭57-87989号公報、特開昭60-72785号公報、特開昭61-146591号公報、特開平1-95091号公報、及び特開平3-13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭59-42993号公報、特開昭59-52689号公報、特開昭62-280069号公報、特開昭61-242871号公報、及び特開平4-219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
[0307]
 〔光学反射層群の形成方法〕 本発明に用いられる光学反射層群の形成方法は、湿式塗布方式を適用して形成することが好ましい。
 さらには、本発明に係る支持体(太陽光耐久性高透明フィルム)上に、第1の水溶性バインダー樹脂及び第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液と、第2の水溶性バインダー樹脂及び第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層用塗布液と、を湿式塗布する工程を含む製造方法が好ましい。
[0308]
 湿式塗布方法は、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、又は米国特許第2761419号明細書、米国特許第2761791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。また、複数の層を重層塗布する方式としては、逐次重層塗布方式でもよいし、同時重層塗布方式でもよい。
[0309]
 以下、本発明に用いられる好ましい製造方法(塗布方法)であるスライドホッパー塗布法による同時重層塗布について詳細に説明する。
[0310]
 (溶媒)
 高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液を調製するために適用可能な溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、又はその混合溶媒が好ましい。
[0311]
 有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でも又は二種以上混合して用いてもよい。
[0312]
 環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、特に水、又は水とメタノール、エタノール、あるいは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましい。
[0313]
 (塗布液の濃度)
 高屈折率層用塗布液中の水溶性バインダー樹脂の濃度は、1~10質量%の範囲内であることが好ましい。また、高屈折率層用塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、1~50質量%の範囲内であることが好ましい。
[0314]
 低屈折率層用塗布液中の水溶性バインダー樹脂の濃度は、1~10質量%の範囲内であることが好ましい。また、低屈折率層用塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、1~50質量%の範囲内であることが好ましい。
[0315]
 (塗布液の調製方法)
 高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、水溶性バインダー樹脂、金属酸化物粒子、及び必要に応じて添加されるその他の添加剤を添加し、撹拌混合する方法が挙げられる。
 この際、水溶性バインダー樹脂、金属酸化物粒子、及び必要に応じて用いられるその他の添加剤の添加順も特に制限されず、撹拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、撹拌しながら一度に添加し混合してもよい。必要に応じて、さらに溶媒を用いて、適当な粘度に調製される。 
[0316]
 本発明においては、コア・シェル粒子を添加、分散して調製した水系の高屈折率層塗布液を用いて、高屈折率層を形成することが好ましい。このとき、前記コア・シェル粒子としては、25℃で測定したpHが5.0~7.5の範囲内で、かつ粒子のゼータ電位が負であるゾルとして、高屈折率層塗布液に添加して調製することが好ましい。
[0317]
 (塗布液の粘度)
 スライドホッパー塗布法により同時重層塗布を行う際の、高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の40~45℃における粘度は、5~150mPa・sの範囲内が好ましく、10~100mPa・sの範囲内がより好ましい。
 また、スライド型カーテン塗布法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の40~45℃における粘度は、5~1200mPa・sの範囲内が好ましく、25~500mPa・s内の範囲内がより好ましい。
[0318]
 また、高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の15℃における粘度は、100mPa・s以上が好ましく、100~30000mPa・sの範囲内がより好ましく、3000~30000mPa・sの範囲内がさらに好ましく、10000~30000mPa・sの範囲内が特に好ましい。
[0319]
 (塗布及び乾燥方法)
 塗布及び乾燥方法は、特に制限されないが、高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液を30℃以上に加温して、支持体(太陽光耐久性高透明フィルム)上に高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を好ましくは1~15℃の範囲内に一旦冷却(セット)する。その後、10℃以上で乾燥することが好ましい。
 より好ましい乾燥条件は、湿球温度5~50℃の範囲内、膜面温度10~50℃の範囲内の条件である。
 また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜の均一性向上の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
[0320]
 高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の塗布厚は、上記で示したような好ましい乾燥時の厚さとなるように塗布すればよい。
[0321]
 ここで、前記セットとは、冷風等を塗膜に当てて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め各層間及び各層内の物質の流動性を低下させる工程のことを意味する。冷風を塗布膜に表面から当てて、塗布膜の表面に指を押し付けたときに指に何もつかなくなった状態を、セット完了の状態と定義する。
[0322]
 塗布した後、冷風を当ててからセットが完了するまでの時間(セット時間)は、5分以内であることが好ましく、2分以内であることが好ましい。また、下限の時間は特に制限されないが、45秒以上の時間をとることが好ましい。セット時間を45秒以上とすることによって、層中の成分の混合が十分となる。一方、セット時間を5分以内とすることによって、金属酸化物粒子の層間拡散が進むことにより高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が不十分となることを防止することができる。
 なお、高屈折率層と低屈折率層との間の熱線遮断フィルムユニットの高弾性化が素早く起こるのであれば、セットさせる工程は設けなくてもよい。
[0323]
 セット時間の調整は、水溶性バインダー樹脂の濃度や金属酸化物粒子の濃度を調整し、ゼラチン、ペクチン、寒天、カラギーナン、ゲランガム等の各種公知のゲル化剤など、他の成分を添加することにより調整することができる。 
[0324]
 冷風の温度は、0~25℃の範囲内であることが好ましく、5~10℃の範囲内であることがより好ましい。また、塗膜が冷風に晒される時間は、塗膜の搬送速度にもよるが、10~120秒の範囲内であることが好ましい。
[0325]
 図2は、多層膜光反射層を有する本発明の赤外線反射フィルムであり、支持体である太陽光耐久性高透明フィルムの一方の面側に反射層群を有する反射層ユニットを備えた構成を示す概略断面図である。
[0326]
 図2において、本発明の赤外線反射フィルム1aは、反射層ユニットUを有する。さらに、反射層ユニットUは、支持体(太陽光耐久性高透明フィルム)2a上に、一例として、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子を含有する高屈折率の反射層と、第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子を含有する低屈折率の反射層とを交互に積層した反射層群MLを有している。
 反射層群MLは、反射層T ~T のn層で構成され、例えば、T 、T 、T 、(中略)、T n-2、T を屈折率が1.10~1.60の範囲内にある低屈折率層で構成し、T 、T 、T 、(中略)、T n-1を屈折率が1.80~2.50の範囲内にある高屈折率層とする構成が一例として挙げられる。
 本発明でいう屈折率とは、25℃の環境下、測定光波長550nmで測定した値である。
[0327]
 また、図示していないが、反射層ユニットの最外層上には、耐傷性を向上するためのハードコート層を設けることが好ましく、支持体の反射層ユニットを設けていない面には、太陽光耐久性高透明フィルムを他の基材に貼合する接着層又は粘着層を設けることも好ましい。
[0328]
 図3は、多層膜光反射層を有する本発明の赤外線反射フィルムの別の構成で、支持体の両面に、反射層群を有する反射層ユニットを設けた構成を示す概略断面図である。
[0329]
 (2)染料や顔料によって特定の波長を吸収する太陽光制御層
 染料や顔料によって特定の波長を吸収する太陽光制御層として、赤外線吸収層を例にして説明する。
[0330]
 赤外線吸収層に含まれる材料としては、特に制限されないが、例えば、バインダー成分である紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、赤外線吸収剤などが挙げられる。
 赤外線吸収層は、含まれるバインダー成分が硬化していることが好ましい。
 ここで、硬化とは、紫外線などの活性エネルギー線や熱などにより反応が進み硬化することを指す。
[0331]
 紫外線硬化樹脂は、他の樹脂よりも硬度や平滑性に優れ、さらにはITO、ATOや熱伝導性の金属酸化物の分散性の観点からも有利である。
 紫外線硬化樹脂としては、硬化によって透明な層を形成する物であれば特に制限なく使用でき、例えば、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、アリルエステル樹脂等が挙げられる。より好ましくは、硬度、平滑性、透明性の観点からアクリル樹脂である。
[0332]
 前記アクリル樹脂は、硬度、平滑性、及び透明性の観点から、国際公開2008/035669号に記載されているような、表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカ粒子(以下、単に「反応性シリカ粒子」ともいう)を含むことが好ましい。
 ここで、光重合性を有する感光性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基に代表される重合性不飽和基などを挙げることができる。
 また、紫外線硬化樹脂は、この反応性シリカ粒子の表面に導入された光重合反応性を有する感光性基と光重合反応可能な化合物、例えば、重合性不飽和基を有する有機化合物を含むものであってもよい。
 また、重合性不飽和基修飾加水分解性シランが、加水分解性シリル基の加水分解反応によって、シリカ粒子との間に、シリルオキシ基を生成して化学的に結合しているようなものを、反応性シリカ粒子として用いることができる。
 ここで、反応性シリカ粒子の平均粒子径は、0.001~0.1μmの範囲内であることが好ましい。平均粒子径をこのような範囲にすることにより、透明性、平滑性、硬度をバランスよく満たすことができる。
[0333]
 また、前記アクリル樹脂は、屈折率を調整するという観点から、フッ素を含むことが好ましい。すなわち、赤外線吸収層はフッ素を含むことが好ましい。
 このようなアクリル樹脂としては、含フッ素ビニルモノマーに由来する構成単位を含むアクリル樹脂が挙げられる。
 含フッ素ビニルモノマーとしては、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学工業株式会社製)やR-2020(商品名、ダイキン工業株式会社製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。
[0334]
 光重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、単独でも又は二種以上の組み合わせでも使用することができる。
[0335]
 赤外線吸収層に含まれうる無機赤外線吸収剤としては、可視光線透過率、赤外線吸収性、及び樹脂中への分散適性等の観点から、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、アンチモン酸亜鉛、6ホウ化ランタン(LaB )、セシウム含有酸化タングステン(Cs 0.33WO )等が好ましい。これらは単独でも又は二種以上組み合わせても用いることができる。
 無機赤外線吸収剤の平均粒径は、5~100nmの範囲内が好ましく、10~50nmの範囲内がより好ましい。5nm以上とすることによって、樹脂中の分散性や、赤外線吸収性が向上するところがある。また、100nm以下とすることによって、可視光線透過率が向上するところがある。
 なお、平均粒径の測定は、透過型電子顕微鏡により撮像し、無作為に、例えば50個の粒子を抽出して該粒径を測定し、これを平均したものである。また、粒子の形状が球形でない場合には、長径を測定して算出したものと定義する。
[0336]
 前記無機赤外線吸収剤の赤外線吸収層における含有量は、赤外線吸収層の全質量に対して1~80質量%の範囲内であることが好ましく、5~50質量%の範囲内であることがより好ましい。含有量が1%以上であれば、十分な赤外線吸収効果が現れ、80%以下であれば、十分な量の可視光線を透過できる。
[0337]
 また、有機物の赤外線吸収材料としては、ポリメチン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、金属錯体系、アミニウム系、イモニウム系、ジイモニウム系、アンスラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリアリルメタン系の化合物などが挙げられる。
 金属錯体系化合物、アミニウム系化合物(アミニウム誘導体)、フタロシアニン系化合物(フタロシアニン誘導体)、ナフタロシアニン系化合物(ナフタロシアニン誘導体)、ジイモニウム系化合物(ジイモニウム誘導体)、スクワリウム系化合物(スクワリウム誘導体)等が特に好ましく用いられる。 
[0338]
 赤外線吸収層においては、本発明の効果を奏する範囲内で、上記以外の金属酸化物や、有機系赤外線吸収剤、金属錯体等の他の赤外線吸収剤を含んでもよい。
 このような他の赤外線吸収剤の具体例としては、例えば、ジイモニウム系化合物、アルミニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、有機金属錯体、シアニン系化合物、アゾ化合物、ポリメチン系化合物、キノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物等が挙げられる。
[0339]
 赤外線吸収層の厚さは0.1~50μmの範囲内が好ましく、1~20μmの範囲内がより好ましい。0.1μm以上であれば、赤外線吸収能力が向上する傾向にあり、一方、50μm以下であれば塗膜の耐クラック性が向上する。
[0340]
 該赤外線吸収層の形成方法は特に制限されず、例えば、上記各成分を含む赤外線吸収層用塗布液を調製した後、ワイヤーバー等を用いて塗布液を塗布し、乾燥することにより形成する方法等が挙げられる。
[0341]
 (3)金属薄膜を設けて赤外光を反射する太陽光制御層
 当該金属薄膜は、金属層、又は金属層と金属酸化物層及び/又は金属窒化物層とからなることが好ましい。金属を含有する金属層で赤外線反射機能を発現し、さらに、必須ではないが、金属酸化物層及び/又は金属窒化物層を併用することにより、可視光透過率を上昇させることができる。
[0342]
 本発明で用いる金属層については、赤外線反射性能に優れる銀を主成分とし、少なくとも金及び/又はパラジウムを、金原子及びパラジウム原子の合計として2~5質量%の範囲内で含むことが好ましい。
 これら金属の含有量が上記範囲内であれば、硫化による銀の腐食、亀裂を抑制する効果を発現し、かつコストと当該改善効果のバランスの観点で有利である。さらに、金、パラジウムは、銀と比較して可視光の吸収が大きく、添加量が上がるにしたがい積層フィルムとしての可視光透過性能が低下するため好ましくない。
 金とパラジウムの比率については、金のみ、あるいはパラジウムのみを添加しても良いし、2~5質量%の範囲内でこれらを併用しても良い。
 金属層は上述した比率で金、パラジウムを添加した銀合金1層でも良いし、金、パラジウムの比率が異なる銀合金を2層以上積層した多層構成としても良い。
 金属層の総厚さについては、特に制限はないが、必要とする赤外線反射性能と可視光透過性能を考慮し、5~20nmの範囲内で適宜選択することが好ましい。厚さが薄いと透明性に優れるが、赤外線反射性能が低下してしまう。逆に厚すぎると透明性が低下し、金属の使用量が増加し経済的にも好ましくない。
[0343]
 上述した金属層の金属組成は、ICP発光、XPS、XRFなど既知の分析方法を用いて定量することができる。例えば、ICP発光分析を用いれば、金属層の上にハードコート層などの保護層を設けた場合においても、各金属の組成を正確に分析することができ好ましい。
[0344]
 また、上述した金属層の上に金属酸化物層及び/又は金属窒化物層を積層したり、金属層を金属酸化物層及び/又は金属窒化物層でサンドイッチした構成であっても良い。
 本構成を採用することで、銀を含む金属層とハードコート層、又は銀を含む金属層と基材の界面反射を抑制することができ、可視光透過率を向上させることが可能となる。つまり、銀単体の屈折率が0.3以下と低く、他の層との間で界面反射がおこり、可視光透過性能が低下するのに対し、屈折率が1.5~3程度の金属酸化物、金属窒化物を積層した構成とすることにより、可視光線の界面反射を低減することができるためである。 これら物質としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、スズドープ酸化インジウム(ITO)などの金属酸化物、窒化ケイ素などの金属窒化物を挙げることができ、適宜選択して用いることができる。
 層の厚さについては、10~100nmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは30~60nmの範囲内である。厚さが薄い場合、可視光透過性能の大幅な向上は見られない。逆に厚く積層しても可視光透過性能の更なる向上は得られないばかりか、経済的に劣り好ましくない。これら金属酸化物(あるいは金属窒化物)については、金属層と併せて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など公知の技術を用い形成することができる。
 (4)易接着層
 本発明に係る赤外線反射層や赤外線吸収層(太陽光制御層)を設ける前に、本発明に係る太陽光耐久性高透明フィルムは易接着層を設けることが好ましい。
[0345]
 易接着層を形成する樹脂は、高透明で耐久性があるものであれば特に限定されることはない。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂などを単独、又は混合物として使用することができる。
 これら易接着層は、樹脂又は樹脂組成物の溶液を、グラビアコーティング法、リバースロールコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法などの公知の技術で塗布し、乾燥した後、必要に応じて紫外線、電子線などを照射し硬化させることにより形成することができる。
 易接着層の厚さについては、0.5~5μmの範囲内であることが好ましく、1~3μmの範囲内であることがより好ましい。易接着層の厚さが薄いと、基材表面を均一に被覆することができないばかりか、耐腐食性を向上させる効果が十分に得られない傾向がある。逆に、過度に厚く形成しても、さらなる耐擦過性向上は見られない。
[0346]
 太陽光制御層に親水性の樹脂を用いる場合は、易接着層の素材としてはゼラチン、ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、酢酸ビニル~無水マレイン酸共重合体等の親水性樹脂、セルロースジアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル樹脂が好ましく、これらを単独あるいは混合して用いてもよい。
[0347]
 易接着層の塗布液に有効な溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、イソプロパノール、メチレンクロライド、エチレンクロライド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、エチルアセテート、ジメチルホルムアミド等を用いることができ、これらを必要に応じて混合して用いるのがよい。
[0348]
 (5)粘着層
 粘着層に用いる粘着剤は、ゴム系、アクリル系、シリコン系、ウレタン系等の粘着剤から選ばれる。経時での黄変がないことでアクリル系、シリコン系が好ましく、汎用離型シートが使用できる点でアクリル系がもっとも好ましい。
 また、粘着層の厚さは5μm~30μmの範囲内が好ましい。5μm以上とすることによって粘着性が安定であり、30μm以下とすることによって粘着剤がフィルムのわきからはみ出したりすることがなく、取扱い上不都合が生じることがない。
 粘着層に貼り合わせるセパレータ(剥離シート)の種類については、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、紙等の基材にシリコンコート、ポリアルキレンコート、フッ素樹脂コートしたものが使用できるが、寸法安定性、平滑性、剥離安定性の点からポリエステルフィルムにシリコンコートしたものが特に好ましい。
 また、セパレータの厚さは、10~100μmの範囲内が好ましく、さらに好ましくは20~60μmの範囲内である。10μm以上とすることによって、塗布及び乾燥時の熱絵によりフィルムに搬送じわが生じることがなくなる。また、100μm以下とすることによって、経済性の観点から好ましい。
[0349]
 (6)他の機能層
 本発明の赤外線反射フィルムは、太陽光耐久性高透明フィルム上に、さらなる機能の付加を目的として、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、接着層等を設けてもよい。
[0350]
[フィルムミラー]
 本発明に係るフィルムミラーは、支持体上に銀反射層を有し、太陽光入射面側にも樹脂フィルム層を有してもよい。支持体又は太陽光入射面側の樹脂フィルム層が、本発明における太陽光耐久性高透明フィルムであることを特徴とする。
 本発明においては、当該太陽光耐久性高透明フィルムが、前記銀反射層に対し光の入射面側に位置し、当該銀反射層に対し光の入射面と反対側にガスバリア層を有することが好ましい。また、当該太陽光耐久性高透明フィルムが、前記銀反射層に対し光の入射面側に位置し、当該銀反射層に対し光の入射面と反対側の隣接層に腐食防止剤を含有する層を有することが好ましい。
[0351]
(1)太陽熱発電用フィルムミラーの構成概要
 本発明のフィルムミラー及び太陽熱発電用反射装置の構成を図4A、図4B、図5A及び図5Bに示す。
 図4Aに示す太陽熱発電用のフィルムミラー20は、構成層として少なくとも保護層としてのポリマーフィルム(例えば太陽光耐久性高透明フィルム)2と、接着層3と、銀反射層5と、を備えている。
 また、接着層3と銀反射層5との間には、腐食防止層4が備えられており、銀反射層5の光反射側とは反対側には、アンカー層6と、支持体としてのポリマーフィルム(例えば太陽光耐久性高透明フィルム)7と、粘着層8とが備えられ、さらに、最外層には剥離シート9が剥離可能に備えられている。
[0352]
 また、図5Aに示すフィルムミラー21のように、他の構成層として、銀反射層5の光反射側には、保護層としてのポリマーフィルム2のさらに上面の最外層に、ハードコート層1を備えることとしても良い。
[0353]
 なお、ここでは、フィルムミラー20、21から剥離シート9を剥離したものをフィルムミラー本体としている。フィルムミラー20、21を用いて太陽熱発電用反射装置30、31を製造する際には、剥離シート9を剥離したフィルムミラー本体のみが用いられる。又は、粘着層8及び剥離シート9を含まないフィルムミラー20、21と金属支持体10とが粘着剤を用いて貼付されることとしてもよい。
[0354]
(2)銀反射層
 銀反射層5は、金属銀を主成分(純銀又は銀を60質量%以上含有する合金)として含有する太陽光反射層であり、入射した太陽光を高い反射率で反射する。
 銀反射層5の形成方法としては、湿式法(めっき法)、及び乾式法(真空成膜法)のいずれの方法も適用することができる。
[0355]
 湿式法(めっき法)は、溶液から金属を析出させて銀膜を形成する方法である。この湿式法の具体例としては、銀鏡反応を挙げることができる。
 また、湿式法の一つとして、有機銀錯体化合物を含む溶液をフィルムに塗布し、焼成することにより銀反射層を形成する方法が挙げられる。有機銀錯体化合物を焼成することにより、有機銀錯体化合物を形成する配位子が分解、脱離、気化し、金属銀が析出する。
[0356]
 一方、乾式法(真空成膜法)の具体的な方法としては、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法等が挙げられる。本発明においては、連続的に成膜するロールツーロール方式を適用することが可能な蒸着法が好ましく用いられる。
[0357]
 本発明に係る銀反射層5の厚さは、反射率等の観点から10~200nmの範囲内が好ましく、より好ましくは30~150nmの範囲内である。
[0358]
(3)腐食防止層
 腐食防止層4は、銀反射層5の銀に対する腐食を防ぐための層であり、腐食防止剤が含有されたフィルム状の樹脂コート層である。ここで、「腐食」とは、銀(金属)がその周囲を取り囲む環境物質によって化学的又は電気化学的に浸食されるか、若しくは、材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103-2004参照)。
[0359]
 この腐食防止層4は、銀反射層5に隣接して設けられることが好ましい。
 腐食防止層4に含有される腐食防止剤の分子量は、800以下であることが好ましい。このような低分子の腐食防止剤を添加することによって、銀反射層5との界面に腐食防止剤が移動しやすくなり、これにより、腐食防止機能が向上して銀反射層5の劣化が抑制されると考えられる。また、腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量が異なるが、0.01~1.0g/m の範囲内であることが好ましい。
[0360]
 (腐食防止剤)
 腐食防止剤は、銀に対する吸着性基を有することが好ましい。
 銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、アミン類及びその誘導体、ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系の少なくとも一種又はこれらの混合物から選ばれることが望ましい。
[0361]
(4)保護層用ポリマーフィルム
 保護層として用いるポリマーフィルム2は、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。
 例えば、本発明の太陽光耐久性高透明フィルム、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。
[0362]
 中でも、本発明の太陽光耐久性高透明フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルムが好ましく、特に、本発明の太陽光耐久性高透明フィルムを用いることが好ましい。
 また、このポリマーフィルム2は、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
 ポリマーフィルム2の厚さは、10~125μmの範囲内であることが好ましい。ポリマーフィルム2が10μm以上であると、引っ張り強度、引裂強さが強くなる傾向にあり、125μm以下であると、波長1600nm~2500nmの範囲の光(赤外線)に対する平均反射率が80%を上回る。
[0363]
 保護層用ポリマーフィルム2の表面には、ハードコート層1との密着性を向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理等が施されていてもよい。
 また、ポリマーフィルム2は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、シアノアクリレート系、ポリマー型の紫外線吸収剤のうちいずれかを含むことが好ましい。
[0364]
 このポリマーフィルム2としては、溶液流延法(キャスティング法)を用いて製造したものを用いることが好ましい。
 この溶液流延法を用いて製造したポリマーフィルム2を用いることで、従来用いられていた溶融流延法によるポリマーフィルム2と比較して、厚み精度、及び、平滑性を高めることができる。
[0365]
(5)接着層
 接着層3は、樹脂(「ポリマー」ともいう。)からなり、腐食防止層4と、紫外線吸収剤が含有された保護層用ポリマーフィルム2とを密着するものである。したがって、接着層3には、腐食防止層4とポリマーフィルム2とを密着する密着性、及び、銀反射層5が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性、及び透明性が要求される。
[0366]
 接着層3に使用される樹脂は、上記の密着性、耐熱性、及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独又はこれらの混合樹脂が使用できる。
 耐候性の点から、ポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂が特に好ましく、さらに、イソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂がより好ましい。
[0367]
 接着層3の厚さは、0.05~3μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1~1μmの範囲内である。接着層3の厚さが上記範囲内であると、密着性が向上して接着層を形成した効果が増すとともに、ポリマーフィルム2の表面に存在する凹凸を覆うことができ、平滑性が向上する。
[0368]
 接着層3の形成方法としては、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
[0369]
(6)支持体用ポリマーフィルム
 支持体として用いるポリマーフィルム7としては、従来公知の種々のポリマーフィルムを用いることができる。
 例えば、本発明の太陽光耐久性高透明フィルム、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。
 中でも、本発明の太陽光耐久性高透明フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルムが好ましく、特に、本発明の太陽光耐久性高透明フィルムを用いることが好ましい。
[0370]
 また、この支持体用ポリマーフィルム7は、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
 この支持体用ポリマーフィルム7の厚さは、ポリマー(樹脂)の種類に応じて適切な厚さにすることが好ましい。例えば、一般的には、10~300μmの範囲内である。好ましくは20~200μmの範囲内、さらに好ましくは30~100μmの範囲内である。
 また、このポリマーフィルム7は、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
[0371]
(7)アンカー層
 銀反射層5と支持体用ポリマーフィルム7とを接着するアンカー層6には、銀反射層5とポリマーフィルム7とを密着させる密着性、銀反射層5を真空蒸着法等で形成する場合の際の熱に耐え得る耐熱性、及び、銀反射層5が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性が必要とされる。
 アンカー層6の材料としては、これらの条件を満たすものであれば特に制限はないが、樹脂からなることが好ましく、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独又はこれらの混合樹脂を用いることができる。特に、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂であればより好ましい。
 アンカー層6の厚さは、密着性、平滑性、及び銀反射層5の反射率等の観点から、0.01~3μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1~1μmの範囲内である。
 このアンカー層6の形成方法としては、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
[0372]
(8)粘着層
 粘着層8は、後述する太陽熱発電用反射装置(30、31)を造る際に、銀反射層5を備えるフィルムミラー本体を金属支持体10に貼り付けるための層であり、支持体用ポリマーフィルム7の裏側(アンカー層6とは反対側の面)に設けられる。
 この粘着層8の材料としては、特に制限されないが、例えば、ドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤などを使用することができる。また、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトリルゴムなどを用いてもよい。
 粘着層8の具体的な材料としては、例えば、綜研化学社製「SKダインシリーズ」、東洋インキ社製「Oribain BPWシリーズ、BPSシリーズ」、荒川化学社製「ア
ルコン」「スーパーエステル」「ハイペール」等の粘着剤を好適に用いることができる。
[0373]
 粘着層8の厚さは、粘着効果、乾燥速度等の観点から、通常1~50μm程度の範囲内であることが好ましい。
 フィルムミラーに粘着層8を設ける方法としては、特に制限されないが、例えば、ロール式で連続的に行うラミネート方法が経済性及び生産性の点から好ましい。又は、剥離シート9に積層して形成された粘着層8を、剥離シート9とともにフィルムミラー20、フィルムミラー21の裏面側(ポリマーフィルム7の側)に貼り合わせるように設けてもよい。
[0374]
(9)剥離シート
 剥離シート9は、所定量(例えば、20~50質量%の範囲内)の微粒子を含有してなるポリマーフィルムであり、75~125μmの範囲内の厚さを有するフィルム層である。より好ましくは、剥離シート9は、100~125μmの範囲内の厚さを有する。
 この剥離シート9を構成する樹脂フィルムには、従来公知の種々のフィルム材料(シート材料)として、例えば、アクリルフィルム又はシート、ポリカーボネートフィルム又はシート、ポリアリレートフィルム又はシート、ポリエチレンナフタレートフィルム又はシート、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はシート、フッ素樹脂等のプラスチックフィルム又はシート、等を用いることができる。
 剥離シート9に用いることができる具体的な材料としては、例えば、三井化学東セロ社製「セパレータSP-PET」、王子タック社製フィルムタック、リンテック社製剥離フィルム等を挙げることができる。
[0375]
(10)ハードコート層
 ハードコート層1は、フィルムミラーの表面における損傷を防止するために、フィルムミラーの最外層に設けられる。
 このハードコート層1を形成する材料としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコン系樹脂等を用いることができる。特に、硬度と耐久性の点では、シリコン系樹脂やアクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、硬化性、可撓性及び生産性の点では、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、又は熱硬化型のアクリル系樹脂を用いることが好ましい。
[0376]
 ここで、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂又は熱硬化型のアクリル系樹脂とは、重合硬化成分として多官能アクリレート、アクリルオリゴマー又は反応性希釈剤を含む組成物である。
 その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤又は改質剤等を含有しているものを用いてもよい。
[0377]
 アクリルオリゴマーとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート等であり、また、メラミンやイソシアヌール酸等の剛直な骨格にアクリル基を結合したもの等も用いることができる。
 また、反応性希釈剤とは、塗工剤の媒体として塗工工程での溶剤の機能を担うとともに、それ自体が一官能性又は多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
[0378]
 なお、市販されている多官能アクリル系硬化塗料としては、三菱レイヨン株式会社;(商品名“ダイヤビーム(登録商標)”シリーズ等)、長瀬産業株式会社;(商品名“デナコール(登録商標)”シリーズ等)、新中村株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズ等)、DIC株式会社;(商品名“UNIDIC(登録商標)”シリーズ等)、東亞合成化学工業株式会社;(商品名“アロニックス(登録商標)”シリーズ等)、日本油脂株式会社;(商品名“ブレンマー(登録商標)”シリーズ等)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD(登録商標)”シリーズ等)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズ、“ライトアクリレート”シリーズ等)等の製品を利用することができ、アクリル系樹脂のハードコート層1を形成できる。
[0379]
 ハードコート層1中には、本発明の効果が損なわれない範囲で、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、上記した腐食防止層4に用いた腐食防止剤やアクリルフィルム2に用いた紫外線吸収剤の他に、酸化防止剤、光安定剤、界面活性剤、レベリング剤及び帯電防止剤等を用いることができる。
[0380]
(11)太陽熱発電用反射装置
 太陽熱発電用反射装置30は、図4Bに示すように、フィルムミラー20の剥離シート9を剥離して露出させた粘着層8を金属支持体10に貼り付けることで製造することができる。
 同様に、太陽熱発電用反射装置31は、図5Bに示すように、フィルムミラー21の剥離シート9を剥離して露出させた粘着層8を金属支持体10に貼り付けて製造することができる。
[0381]
 太陽熱発電用反射装置の一形態としては、例えば、樋状(半円筒状)の形状のものが挙げられる。この半円筒形状の内側を反射面側とし、内部に流体を有する筒状部材が半円筒の軸位置に設けられて、筒状部材に太陽光を集光させて流体を加熱する。そして、この加熱された流体の熱エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電を行う。
[0382]
 また、太陽熱発電用反射装置の他の一形態としては、平板状の太陽熱発電用反射装置を複数個所に設置し、それぞれの反射装置で反射された太陽光を一枚の反射鏡(中央反射鏡)に集光させて、さらに、反射鏡により反射されて得られた熱エネルギーを発電部で電気エネルギーに変換することで発電する形態が挙げられる。
[0383]
(12)金属支持体
 金属支持体10としては、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板など熱伝導率の高い金属材料、また樹脂と金属板とを組み合わせた鋼板を用いることができる。
 本発明においては、特に耐食性の良好なめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板などを用いることが好ましい。さらに好ましくは、樹脂と金属板とを組み合わせた鋼板を用いることが好ましい。
[0384]
 以上のように、本発明に係るフィルムミラー20、21によれば、アクリルフィルム2として溶液流延法により作成されたものを用いているので、太陽光に対して良好な正反射率を有するフィルムミラーを製造することができる。
[0385]
 特に、接着層3の厚さを0.05μm~3μmの範囲内、より好ましくは、0.1μm~1μmの範囲内に設定することでアクリルフィルム2と銀反射層5との密着性及び平滑性を向上させることができ、太陽光に対して良好な正反射率を有するフィルムミラーを製造することができる。
[0386]
 また、反射率の高い銀を反射層として用いるとともに、蒸着法や有機銀錯体化合物を焼成する方法を用いることで、銀反射層を容易且つ安定的に形成することができる。
[0387]
 また、上述のようにして製造されたフィルムミラー20、21を金属支持体10と貼り合わせて太陽熱発電用反射装置30、31を製造することで、正反射率の高い、すなわち、集光効率の良い太陽熱発電用反射装置を得ることができる。
実施例
[0388]
 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
(1)実施例1
[太陽光耐久性高透明フィルムの作製]
<第1のポリマー成分>
 第1のポリマー成分として、下記セルロースエステルA~E、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状アクリレート及びマレイミド・イソブテン共重合体を準備した。
 セルロースエステルA:アセチル基置換度2.40のセルロースジアセテート(重量平均分子量=190000)
 セルロースエステルB:アセチル基置換度1.68、プロピオニル基置換度0.9、総アシル基置換度2.58のセルロースアセテートプロピオネート(重量平均分子量=20
0000)
 セルロースエステルC:アセチル基置換度2.85のセルローストリアセテート(重量平均分子量=300000)
 セルロースエステルD:アセチル置換度0.20、プロピオニル置換度2.50、総ア
シル置換度2.70のセルロースアセテートプロピオネート(重量平均分子量=240000)
 セルロースエステルE:特開2011-148976号公報の合成例1に記載のアセトキシプロピルメチルアセチルセルロース
 ポリエチレンテレフタレート:厚さ50μm、帝人デュポン製、テイジンテトロンフィルム高透明グレード
[0389]
 (環状アクリレートの合成)
 攪拌装置、温度センサー、冷却管、及び窒素導入管を備えた容量30Lの釜型反応器に、7700gのメタクリル酸メチル(MMA)、1950gの2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、10,000gのトルエンを仕込んだ。そして、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、重合開始剤として9.8gのt-アミルパーオキシイソノナノエート(ルパゾール570、アトフィナ吉富(株)製)を添加すると同時に、20.0gのt-アミルパーオキシイソノナノエートと100gのトルエンとからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下、約105~110℃で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
 得られた重合体溶液に、10gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(Phoslex A-18、堺化学工業(株)製)を加え、還流下、約90~110℃で5時
間、環化縮合反応を行い、重合体溶液(A-1)を製造した。
 次に、濾過精度が5μmのリーフディスク型ポリマーフィルタ(5inch、5枚、長瀬産業製)を備え、リアベント数1個、フォアベント数4個を備えたベントタイプスクリュー二軸押出し機に、樹脂量換算で2.0kg/hの処理速度で上記重合体(熱可塑性樹脂)溶液(A-1)を導入し、脱気処理行うと同時にポリマーフィルタ処理を行った。
 なお、上記処理の際に、第三フォアベントと第四フォアベントとの中間で、発泡抑制剤(失活剤)としてオクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛18%、日本化学産業(株)製)のトルエン溶液を、得られる熱可塑性樹脂組成物に対してオクチル酸亜鉛が重量比で700ppmとなるように注入した。
 この時のポリマーフィルタ内の温度は280℃であり、せん断速度100/secにおける樹脂溶融粘度が400Pa・secであった。
 二軸押出し機の先端部に備えたダイスを通過後、孔径1μmのフィルター(オルガノ社製、製品名:ミクロポアフィルタ1EU)で濾過し、60±5℃の範囲内の温度に保持した冷却水を満たした水槽により、ストランドを冷却した。
 さらに、切断機(ペレタイザ)に導入することで熱可塑性樹脂組成物(A-2)(環状アクリレート)のペレットを得た。
 なお、ペレットの生産中、ダイスから切断機までの環境清浄度は、5000以下(米国連邦規格 FED-STD-209E)となるようにクリーンスペースを設けた。
[0390]
 (マレイミド・イソブテン共重合体の合成)
 1リッターオートクレーブ中に溶媒としてトルエン400ml、重合開始剤としてパーブチルネオデカノエート0.0014モル、N-シクロヘキシルマレイミド0.53モル、イソブテン0.55モルとを仕込み、重合温度70℃、重合時間7時間の重合条件にて重合反応を行い、N-シクロヘキシルマレイミド・イソブテン共重合体(重量平均分子量=187000)を得た。
[0391]
<第2のポリマー成分>
 第2のポリマー成分として、下記に示す脂肪族ポリエステルを準備した。なお、各脂肪族ポリエステルの重量平均分子量、及び脂肪族ポリエステルのセルロースエステルに対する含有量を下記表1及び2に示した。なお、一部の脂肪族ポリエステルについては、相互作用点数を下記表2に示した。
[0392]
 製造例1(脂肪族ポリエステルの合成:PBS-1)
 コンデンサー付き水分定量受器、温度計、曲管及びSUS製攪拌羽根を付けたガラス製1Lセパラブルフラスコに、琥珀酸354.3g(3.0mol)及び1,4-ブタンジオール270.4g(3.0mol)を入れ、窒素気流下で180℃まで段階的に反応温度を上げた。180℃で生成水がほとんど認められなくなった時点で、1%2-エチルヘキサン酸すず(II)トルエン溶液1.32g(2-エチルヘキサン酸すず(II):0.033mmol、和光純薬工業株式会社製)を加え反応を継続した。さらに、200℃まで反応温度を上げ、反応系内を減圧にした。反応物の重量平均分子量が100000になるまで反応を継続し、反応終了時に溶融物をSUS製バットに排出し、PBS-1を得た。
[0393]
 製造例2(脂肪族ポリエステルの合成:PBSA-1)
 コンデンサー付き水分定量受器、温度計、曲管及びSUS製攪拌羽根を付けたガラス製1Lセパラブルフラスコに、琥珀酸236.2g(2.0mol)及びアジピン酸146.1g(1.0mol)、及び1,4-ブタンジオール270.4g(3.0mol)を入れ、窒素気流下で180℃まで段階的に反応温度を上げた。180℃で生成水がほとんど認められなくなった時点で、1%2-エチルヘキサン酸すず(II)トルエン溶液1.32g(2-エチルヘキサン酸すず(II):0.033mmol、和光純薬工業株式会社製)を加え反応を継続した。さらに、200℃まで反応温度を上げ、反応系内を減圧にした。反応物の重量平均分子量が200000になるまで反応を継続し、反応終了時に溶融物をSUS製バットに排出し、PBSA-1を得た。
[0394]
 製造例3(脂肪族ポリエステルの合成:PES-1)
 コンデンサー付き水分定量受器、温度計、曲管及びSUS製攪拌羽根を付けたガラス製1Lセパラブルフラスコに、琥珀酸354.3g(3.0mol)、及びエチレングリコール186.21g(3.0mol)を入れ、窒素気流下で180℃まで段階的に反応温度を上げた。180℃で生成水がほとんど認められなくなった時点で、1%2-エチルヘキサン酸すず(II)トルエン溶液1.32g(2-エチルヘキサン酸すず(II):0.033mmol、和光純薬工業株式会社製)を加え反応を継続した。さらに、200℃まで反応温度を上げ、反応系内を減圧にした。反応物の重量平均分子量が47000になるまで反応を継続し、反応終了時に溶融物をSUS製バットに排出し、PES-1を得た。
[0395]
 製造例4(脂肪族ポリエステルの合成:PESA-1)
 コンデンサー付き水分定量受器、温度計、曲管及びSUS製攪拌羽根を付けたガラス製1.5Lセパラブルフラスコに、琥珀酸118.1g(1.0mol)及びアジピン酸584.6g(4.0mol)、及びエチレングリコール450.6g(5.0mol)を入れ、窒素気流下で180℃まで段階的に反応温度を上げた。180℃で生成水がほとんど認められなくなった時点で、1%2-エチルヘキサン酸すず(II)トルエン溶液1.32g(2-エチルヘキサン酸すず(II):0.033mmol、和光純薬工業株式会社製)を加え反応を継続した。さらに、200℃まで反応温度を上げ、反応系内を減圧にした。反応物の重量平均分子量が47000になるまで反応を継続し、反応終了時に溶融物をSUS製バットに排出し、PESA-1を得た。
[0396]
 製造例5(脂肪族ポリエステルの合成:PBS-2~PBS-8、PES-2及びPESA-2)
 上記製造例1~4と同様の方法で反応時間と減圧度を調整して表1に記載の重量平均分子量の脂肪族ポリエステルPBS-2~PBS-8、PES-2及びPESA-2を得た。
[0397]
 製造例6(脂肪族ポリエステルの合成:PBSA-2)
 コンデンサー付き水分定量受器、温度計、曲管及びSUS製攪拌羽根を付けたガラス製1Lセパラブルフラスコに、琥珀酸118.1g(1.0mol)及びアジピン酸292.3g(2.0mol)、及び1,4-ブタンジオール270.4g(3.0mol)を入れ、窒素気流下で180℃まで段階的に反応温度を上げた。180℃で生成水がほとんど認められなくなった時点で、1%2-エチルヘキサン酸すず(II)トルエン溶液1.32g(2-エチルヘキサン酸すず(II):0.033mmol、和光純薬工業株式会社製)を加え反応を継続した。さらに、200℃まで反応温度を上げ、反応系内を減圧にした。反応物の重量平均分子量が150000になるまで反応を継続し、反応終了時に溶融物をSUS製バットに排出し、PBSA-2を得た。
[0398]
 製造例7(脂肪族ポリエステルの合成:PBSA-3)
 コンデンサー付き水分定量受器、温度計、曲管及びSUS製攪拌羽根を付けたガラス製1Lセパラブルフラスコに、琥珀酸236.2g(2.0mol)及びアジピン酸146.1g(1.0mol)、及び1,4-ブタンジオール270.4g(3.3mol)を入れ、窒素気流下で180℃まで段階的に反応温度を上げた。180℃で生成水がほとんど認められなくなった時点で、1%2-エチルヘキサン酸すず(II)トルエン溶液1.32g(2-エチルヘキサン酸すず(II):0.033mmol、和光純薬工業株式会社製)を加え反応を継続した。さらに、200℃まで反応温度を上げ、反応物の重量平均分子量が8000になるまで反応を継続し、反応終了時に溶融物をSUS製バットに排出し、PBSA-3を得た。
[0399]
 製造例8(脂肪族ポリエステルの合成:PBSA-4)
 コンデンサー付き水分定量受器、温度計、曲管及びSUS製攪拌羽根を付けたガラス製1Lセパラブルフラスコに、琥珀酸118.1g(1.0mol)及びアジピン酸292.3g(2.0mol)、及び1,4-ブタンジオール270.4g(2.7mol)を入れ、窒素気流下で180℃まで段階的に反応温度を上げた。180℃で生成水がほとんど認められなくなった時点で、1%2-エチルヘキサン酸すず(II)トルエン溶液1.32g(2-エチルヘキサン酸すず(II):0.033mmol、和光純薬工業株式会社製)を加え反応を継続した。さらに、200℃まで反応温度を上げ、反応物の重量平均分子量が7000になるまで反応を継続し、反応終了時に溶融物をSUS製バットに排出し、PBSA-4を得た。
[0400]
 製造例9(脂肪族ポリエステルの合成:PBSA-5)
 コンデンサー付き水分定量受器、温度計、曲管及びSUS製攪拌羽根を付けたガラス製1Lセパラブルフラスコに、琥珀酸236.2g(2.0mol)及びアジピン酸146.1g(1.0mol)、及び1,4-ブタンジオール297.4g(3.3mol)を入れ、窒素気流下で180℃まで段階的に反応温度を上げた。180℃で生成水がほとんど認められなくなった時点で、1%2-エチルヘキサン酸すず(II)トルエン溶液1.32g(2-エチルヘキサン酸すず(II):0.033mmol、和光純薬工業株式会社製)を加え反応を継続した。さらに、200℃まで反応温度を上げ、反応物の重量平均分子量が3000になるまで反応を継続し、反応終了時に溶融物をSUS製バットに排出し、PBSA-5を得た。
[0401]
 製造例10(脂肪族ポリエステルの合成:PBSA-6)
 コンデンサー付き水分定量受器、温度計、曲管及びSUS製攪拌羽根を付けたガラス製1Lセパラブルフラスコに、琥珀酸236.2g(2.0mol)及びアジピン酸146.1g(1.0mol)、及び1,4-ブタンジオール270.4g(3.0mol)を入
れ、窒素気流下で180℃まで段階的に反応温度を上げた。180℃で生成水がほとんど認められなくなった時点で、1%2-エチルヘキサン酸すず(II)トルエン溶液1.32g(2-エチルヘキサン酸すず(II):0.033mmol、和光純薬工業株式会社製)を加え反応を継続した。さらに、200℃まで反応温度を上げ、反応系内を減圧にした。反応物の重量平均分子量が530000になるまで反応を継続し、反応終了時に溶融物をSUS製バットに排出し、PBSA-6を得た。
[0402]
 製造例11(脂肪族ポリエステルの合成:PHB-1)
 コンデンサー付き水分定量受器、温度計、曲管及びSUS製攪拌羽根を付けたガラス製1Lセパラブルフラスコに、3-ヒドロキシ酪酸500g(4.8mol)を入れ、窒素気流下で180℃まで段階的に反応温度を上げた。180℃で生成水がほとんど認められなくなった時点で、1%2-エチルヘキサン酸すず(II)トルエン溶液1.32g(2-エチルヘキサン酸すず(II):0.033mmol、和光純薬工業株式会社製)を加え反応を継続した。さらに、200℃まで反応温度を上げ、反応系内を減圧にした。反応物の重量平均分子量が80000になるまで反応を継続し、反応終了時に溶融物をSUS製バットに排出し、PHB-1を得た。
[0403]
 製造例12(脂肪族ポリエステルの合成:PHBH-1)
 コンデンサー付き水分定量受器、温度計、曲管及びSUS製攪拌羽根を付けたガラス製1Lセパラブルフラスコに、3-ヒドロキシ酪酸312.3g(3.0mol)、3-ヒドロキシヘキサン酸396.5g(3.0mol)を入れ、窒素気流下で180℃まで段階的に反応温度を上げた。180℃で生成水がほとんど認められなくなった時点で、1%2-エチルヘキサン酸すず(II)トルエン溶液1.32g(2-エチルヘキサン酸すず(II):0.033mmol、和光純薬工業株式会社製)を加え反応を継続した。さらに、反応系内を減圧にした。200℃まで反応温度を上げ、反応物の重量平均分子量が90000になるまで反応を継続し、反応終了時に溶融物をSUS製バットに排出し、PHBH-1を得た。
[0404]
 製造例12(脂肪族ポリエステルの合成:PHBV-1)
 コンデンサー付き水分定量受器、温度計、曲管及びSUS製攪拌羽根を付けたガラス製1Lセパラブルフラスコに、3-ヒドロキシ酪酸312.3g(3.0mol)、3-ヒドロキシ吉草酸354.5g(3.0mol)を入れ、窒素気流下で180℃まで段階的に反応温度を上げた。180℃で生成水がほとんど認められなくなった時点で、1%2-エチルヘキサン酸すず(II)トルエン溶液1.32g(2-エチルヘキサン酸すず(II):0.033mmol、和光純薬工業株式会社製)を加え反応を継続した。さらに、200℃まで反応温度を上げ、反応系内を減圧にした。反応物の重量平均分子量が70000になるまで反応を継続し、反応終了時に溶融物をSUS製バットに排出し、PHBV-1を得た。
[0405]
 製造例13(脂肪族-芳香族ポリエステルの合成:PBST-1)
 コンデンサー付き水分定量受器、温度計、曲管及びSUS製攪拌羽根を付けたガラス製1Lセパラブルフラスコに、琥珀酸354.3g(2.7mol)及び、テレフタル酸
49.8g(0.3mol)、1,4-ブタンジオール270.4g(3.0mol)を入れ、窒素気流下で180℃まで段階的に反応温度を上げた。180℃で生成水がほとんど認められなくなった時点で、1%2-エチルヘキサン酸すず(II)トルエン溶液1.32g(2-エチルヘキサン酸すず(II):0.033mmol、和光純薬工業株式会社製)を加え反応を継続した。さらに、200℃まで反応温度を上げ、反応系内を減圧にした。反応物の重量平均分子量が100000になるまで反応を継続し、反応終了時に溶融物をSUS製バットに排出し、PBST-1を得た。
 なお、PEGとしては、明成化学工業(株)のアルコックスL-8(Mw=80000)
を用いた。
 PMMA-1としては、三菱レイヨン社製のアクリペットVH(Mw=100000、T
g=115℃)を用いた。
[0406]
<微粒子分散液の調製>
 微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製)   9質量部
 エタノール                         89質量部
 微粒子及びエタノールを上記の割合で、ディゾルバーを用いて50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散させて、微粒子分散液を調製した。
[0407]
<微粒子添加液の調製>
 メチレンクロライド                    100質量部
 微粒子分散液                       4.3質量部
 メチレンクロライドを溶解タンクに投入し、調製した微粒子分散液を上記の添加量で、十分攪拌しながらゆっくりと添加した。次いで、微粒子の二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散させた後、ファインメットNF(日本精線(株)製)でろ過して、微粒子添加液を得た。
[0408]
<主ドープの調製>
 メチレンクロライド:                   500質量部
 エタノール:                        50質量部
 セルロースエステルC:                   70質量部
 PBS-1(重量平均分子量=100000、ブチレングリコール:コハク酸=1:1(モル比)):                         30質量部
 微粒子添加液:                        1質量部
 上記メチレンクロライドとエタノールを加圧溶解タンクに投入した。次いで、上記セルロースエステルC、調製した微粒子添加液、及び脂肪族ポリエステル(PBS-1)を攪拌しながら投入し、加熱、攪拌して完全に溶解させた。得られた溶液を、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用してろ過し、主ドープを調製した。
[0409]
<太陽光耐久性高透明フィルム101の作製>
 得られた主ドープを、無端ベルト流延装置を用いて、ステンレスベルト支持体上に均一に流延させた。ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)した主ドープ膜中の溶媒を、残留溶媒量が75%になるまで蒸発させ、得られたウェブをステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したウェブを、テンター延伸装置のクリップで把持しながら搬送した。
 次いで、得られたフィルムを、乾燥ゾーン内で、多数のローラーで搬送させながら乾燥させた。テンタークリップで把持していたフィルムの幅方向端部をレーザーカッターでスリット除去した後、巻き取って原反フィルム(太陽光耐久性高透明フィルム101(以下、単に「フィルム101」という。))を得た。膜厚は、55μmであった。
[0410]
<太陽光耐久性高透明フィルム102~138の作製>
 上記フィルム101の作製において、第1のポリマー成分であるセルロースエステルCと、第2のポリマー成分である上記PBS-1を下記表1及び表2に示す第1のポリマー成分及び第2のポリマー成分に変更し、かつ、第2のポリマー成分の含有量を下記表1及び表2に示す含有量に変更した以外は、同様の方法でフィルム102~138を作製した。なお、比較例であるフィルム130のPETフィルムは、市販のフィルム(厚さ50μm、帝人デュポン製、テイジンテトロンフィルム高透明グレード)を用いた。
[0411]
<太陽光耐久性高透明フィルム139の作製>
 上記フィルム101の作製において、第1のポリマー成分として上記環状アクリレートを使用した以外は、上記と同様の方法でフィルム139を作製した。
[0412]
<太陽光耐久性高透明フィルム140の作製>
 上記フィルム101の作製において、第1のポリマー成分として上記N-シクロヘキシルマレイミド・イソブテン共重合体を使用した以外は、上記と同様の方法でフィルム140を作製した。
[0413]
[評価方法]
 上記で作製したフィルムについて、下記の評価を行い、その結果を下記表1及び表2に示す。
<光透過性>
 上記で作製したフィルムを、23℃55%RHの環境にて5時間以上調湿した後、下記方法により内部ヘイズ値で光透過性を評価した。
[0414]
 (内部ヘイズ測定装置)
 ヘイズメーター(濁度計):型式NDH 2000、日本電色(株)製
 光源:5V9Wハロゲン球、受光部は、シリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)
[0415]
 本発明の太陽光耐久性高透明フィルムは、この装置にてフィルム屈折率±0.05の屈折率の溶剤をフィルム上に滴下した場合のフィルムのヘイズ測定において、その値が0.05以下であることが好ましい。測定はJIS K-7136に準じて測定した。
[0416]
 内部ヘイズ測定は以下のように行う。図6A~図6Dを参照しながら説明する。
[0417]
 まず、フィルム以外の測定器具のブランクヘイズ1を測定する。
 1.きれいにしたスライドガラス40の上に、グリセリン41を一滴(0.05ml)たらす。このとき液滴に気泡が入らないように注意する。スライドガラス40は見た目がきれいでも汚れていることがあるので必ず洗剤で洗浄したものを使用する(図6A参照)。
 2.その上にカバーガラスを乗せる。カバーガラスは押さえなくてもグリセリンは広がる。
 3.ヘイズメーターにセットしブランクヘイズ1を測定する。
[0418]
 次いで以下の手順で、試料フィルムを含めたヘイズ2を測定する。
 4.スライドガラス40上にグリセリン41を0.05ml滴下する(図6A参照。)。
 5.その上に測定する試料フィルム42を気泡が入らないように乗せる(図6B参照。)。
 6.試料フィルム42上にグリセリン43を0.05ml滴下する(図6C参照。)。
 7.その上にカバーガラス44を載せる(図6D参照。)。
 8.上記のように作製した積層体(上から、カバーガラス44/グリセリン43/試料フィルム42/グリセリン41/スライドガラス40)をヘイズメーターにセットし、ヘイズ2を測定する。
 9.(ヘイズ2)-(ヘイズ1)=(試料フィルムの内部ヘイズ)を算出する。
[0419]
 上記ヘイズの測定は、全て23℃・55%RHにて行った。
 また、上記測定において使用したガラス及びグリセリンは以下の通りである。
[0420]
 ガラス:MICRO SLIDE GLASS S9213 MATSUNAMI
 グリセリン: 関東化学製 鹿特級(純度>99.0%) 屈折率1.47 
[0421]
 下記の基準により評価を行い、A~Cを合格とした。
 A:測定した内部ヘイズが、0.040以下
 B:測定した内部ヘイズが、0.041~0.060
 C:測定した内部ヘイズが、0.061~0.080
 D:測定した内部ヘイズが、0.081以上
[0422]
<引裂強さ>
 JIS K 7128-2(1998)に準拠して、(株)東洋精機製作所製の軽荷重引裂試験機により、エルメンドルフ引裂法により以下の条件で測定した。
 サンプルを63mm×75mmの切り出し、温度23℃、相対湿度55%の条件下で1日放置した後に同条件下で測定した。サンプルは搬送方向と直交する方向(TD方向)及び搬送方向(MD方向)それぞれ5枚、合計10枚の引き裂き荷重(mN)を測定し、その平均値(同一の、引裂長さ及び厚さとして換算)を引裂強さとして求めた。
[0423]
<破断伸度>
 製膜方向(MD方向)、幅手方向(TD方向)それぞれ5枚ずつ幅25mmに切り取ったフィルムを準備し、23℃・55%RHの環境下で24時間放置した後、島津オートグラフAGS-1000(島津製作所製)を用い、23℃・55%RHの環境下で、チャック間距離100mm、引っ張り速度300mm/minで引っ張り試験を行って下記式より破断伸度を測定し、10枚の平均値を破断伸度とした。
 破断伸度(%)=(L-Lo)/Lo×100
 Lo:試験前の試料長さ L:破断時の試料長さ
[0424]
<耐熱性評価>
 DSC装置(示差走査熱量分析装置)により、ガラス転移温度(Tg)を測定した。DSC装置としては、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計DSC220を使用した。測定したガラス転移温度を下記基準で評価し、A~Cを合格とした。
 なお、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分が相溶していることの確認も同時に行った。
 A:Tgが120℃以上
 B:Tggが100℃以上120℃未満
 C:Tgが80℃以上100℃未満
 D:Tgが80℃未満
[0425]
<紫外線耐性)
 作製したフィルムを、スガ社製耐光性評価試験機に500時間投入し、投入前後での380nmにおける光の透過率を測定し、減衰率△T(%)を評価した。下記基準で評価し、A~Cを実用上問題ないレベルとした。
 A:減衰率△Tが2%未満
 B:減衰率△Tが2%以上10%未満
 C:減衰率△Tが10%以上20%未満
 D:減衰率△Tが20%以上
[0426]
<裁断加工性>
 20cm×20cmの大きさに裁断したフィルム試料を、10等分に折り畳んで20cm×2.0cmにし、押し切り式のペーパーカッターDN-3(コクヨ株式会社製)で10cm×2.0cmに切断し、その断面を評価した。また、この作業を1000回繰り返してカッターの刃の部分の傷を目視で評価した。評価結果を下記のレベルに分けた。レベルB以上であれば、実用上使用できるレベルである。
 A:切断面が透明で、指で触ってもざらつき感がなく、1000回裁断後も目視でカッターに傷が無い。
 B:切断面が透明で、指で触ってもざらつき感がなく、1000回裁断後に目視でカッターに傷が少しついている。
 C:切断面は透明だが、指で触るとややざらつき感があり、1000回裁断後に目視でカッターに傷が無い。
 D:切断面は透明だが、指で触るとややざらつき感があり、1000回裁断後に目視でカッターに傷が少しついている。
[0427]
<耐傷性>
 作製したA4サイズの各フィルムをガラスに張り付け、乾燥した海砂10gを風速10m/Sで1000回吹き付けた後の全ヘイズを測定した。測定は、日本電色工業のNDH2000を用いて、JIS K7136に従い測定を行った。3枚値の測定である。得られた値を用いて下記式から耐傷性を算出した。得られた値をA~Dにランク付けし、A~Cを合格とした。
 耐傷性=100×耐久試験後の全ヘイズ/耐久試験前の全ヘイズ
 A:耐傷性が、95以上100以下
 B:耐傷性が、90以上95未満
 C:耐傷性が、85以上90未満
 D:耐傷性が、85未満
[0428]
[表1]


[0429]
[表2]


[0430]
 上記表1及び表2に示した結果より、フィルム101~129及び135~138は、フィルム130~134に比較して、光透過性、引裂強さ、破断伸度、耐熱性、紫外線耐性、裁断加工性及び耐傷性の点で優れていることが認められる。なお、比較例のフィルム133~134は、剛直なポリマー成分同士を混合した比較例であるが、本発明のような引裂強さ、破断伸度を向上するような効果は得られなかった。
 また、表には示さないが、フィルム139及び140も、フィルム130~134に比較して、光透過性、引裂強さ、破断伸度、耐熱性、紫外線耐性、裁断加工性及び耐傷性の点で優れていた。
[0431]
(2)実施例2
 上記実施例1のフィルム101~138の作製で使用したドープを、ベルト流延装置を用い、ステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶剤を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。セルロースエステルフィルムのウェブを38℃で溶剤を蒸発させ、1.65m幅にスリットし、テンターでTD方向(フィルムの幅手方向)に1.17倍、MD方向(フィルムの長手方向)の延伸倍率は1.02倍で延伸しながら、162℃の乾燥温度で乾燥させた。乾燥を始めたときの残留溶剤量は22%であった。その後、120℃の乾燥装置内を多数のローラーで搬送させながら15分間乾燥させた後、1.33m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ10μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻取り、膜厚50μmの支持体(太陽光耐久性高透明フィルム)101~138を作製した。
[0432]
[太陽光制御フィルム:多層膜赤外線反射フィルムの作製]
 太陽光制御層(赤外線反射層)として、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層、及び第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層を交互に積層した、図2で示した多層膜赤外線反射フィルムを以下のように作製した。
[0433]
 各支持体101~138に下引層塗布液1をエクストルージョンコータで16ml/m となるように塗布し、塗布後50℃の無風ゾーン(1秒)を経た後、122℃で30秒乾燥し、下引層塗布済み支持体を得た。
[0434]
 〈下引層塗布液1の調製〉
 脱イオン化ゼラチン              10.1g
 純水                     30ml
 酢酸                     20.3g
 下記架橋剤                  0.2モル/gゼラチン
 下記ノニオン系フッ素含有界面活性剤      0.2g
 メタノール/アセトン=2/8の有機溶媒で1000mlにし、下引層塗布液1とした。
[0435]
[化7]


[0436]
 〈脱イオン化ゼラチンの調製〉
 石灰処理、水洗、及び中和処理を行い、石灰を除去したオセインを55~60℃の熱水中で抽出処理を行い、オセインゼラチンを得た。得られたオセインゼラチン水溶液を、アニオン交換樹脂(ダイヤイオンPA-31G)とカチオン交換樹脂(ダイヤイオンPK-218)の混合ベッドで両イオン交換を行った。
[0437]
 〔赤外線反射層の形成〕
 重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置(スライドコーター)を用い、下記に示す低屈折率層用塗布液L1及び下記に示す高屈折率層用塗布液H1を43℃に保温しながら、43℃に加温した、上記の下引層塗布済み支持体に、高屈折率層及び低屈折率層のそれぞれの乾燥時の膜厚が130nmになるように、低屈折率層6層、高屈折率層5層を交互に計11層の同時重層塗布を行った。
[0438]
 塗布直後、6℃の冷風を6分間吹き付けてセットさせた。その後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、11層からなる赤外線反射層を形成した。さらに、赤外線反射層上に下記HC層1を形成して、多層膜赤外線反射フィルム101~138を得た。
[0439]
 〔低屈折率層用塗布液L1の調製〕
 まず、10質量%の第2の金属酸化物粒子としてのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、スノーテックス(登録商標)OXS)水溶液680質量部と、4.5質量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA-103:重合度300、ケン化度98.5mol%)水溶液30質量部と、2.8質量%のホウ酸水溶液150質量部とを混合し、分散した。純水を加え、全体として1000質量部のコロイダルシリカ分散液L1を調製した。
[0440]
 次いで、得られたコロイダルシリカ分散液L1を45℃に加熱し、その中に4.0質量%のポリビニルアルコール(B)としてのポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール株式会社製、JP-45:重合度4500、ケン化度86.5~89.5mol%)水溶液760部とを順次に、撹拌しながら添加した。その後、1質量%のベタイン系界面活性剤(川研ファインケミカル株式会社製、ソフダゾリン(登録商標)LSB-R)水溶液40部を添加し、低屈折率層用塗布液L1を調製した。
[0441]
 〔高屈折率層用塗布液H1の調製〕
 (コア・シェル粒子のコアとするルチル型酸化チタンの調製)
 水中に、酸化チタン水和物を懸濁させ、TiO に換算した時の濃度が100g/Lになるように、酸化チタンの水性懸濁液を調製した。10L(リットル)の該懸濁液に、30Lの水酸化ナトリウム水溶液(濃度10モル/L)を撹拌しながら加えた後、90℃に加熱し、5時間熟成させた。次いで、塩酸を用いて中和し、濾過後水を用いて洗浄した。
[0442]
 なお、上記反応(処理)において、原料である酸化チタン水和物は、公知の手法に従い、硫酸チタン水溶液を熱加水分解処理によって得られたものである。
[0443]
 純水中に、上記塩基処理したチタン化合物をTiO に換算した時の濃度が20g/Lになるように、懸濁させた。その中に、TiO 量に対し0.4モル%のクエン酸を撹拌しながら加えた。その後、加熱し、混合ゾル液の温度が92℃になるところで、塩酸濃度が31g/Lになるように濃塩酸を加えた、液温を95℃に維持しながら、3時間撹拌させ、酸化チタンゾル液を調製した。
[0444]
 上記のように、得られた酸化チタンゾル液のpH及びゼータ電位を測定したところ、pHは1.4であり、ゼータ電位は+39mVであった。また、マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測定を行ったところ、単分散度は17%であった。
[0445]
 さらに、酸化チタンゾル液を105℃で3時間乾燥させ、酸化チタンの粉体微粒子を得た。日本電子データム株式会社製、JDX-3530型を用いて、該粉体微粒子をX線回折測定し、ルチル型の酸化チタン微粒子であることが確認された。また、該微粒子の体積平均粒径は10nmであった。
[0446]
 そして、純水4kgに、得られた体積平均粒径10nmのルチル型の酸化チタン微粒子を含む20.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液を添加して、コア粒子となるゾル液を得た。
[0447]
 (シェル被覆によるコア・シェル粒子の調製)
 2kgの純水に、10.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液0.5kgを加え、90℃に加熱した。次いで、SiO に換算した時の濃度が2.0質量%であるように調製したケイ酸水溶液1.3kgを徐々に添加し、オートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、さらに濃縮して、コア粒子としてはルチル型構造を有する酸化チタンであり、被覆層としてはSiO であるコア・シェル粒子(平均粒径:10nm)のゾル液(固形分濃度20質量%)を得た。
[0448]
 (高屈折率層用塗布液H1の調製)
 上記で得られた固形分濃度20.0質量%の第1の金属酸化物粒子としてのコア・シェル粒子を含むゾル液28.9部と、1.92質量%のクエン酸水溶液10.5部と、10質量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA-103:重合度300、ケン化度98.5mol%)水溶液2.0部と、3質量%のホウ酸水溶液9.0部とを混合して、コア・シェル粒子分散液H1を調製した。
[0449]
 次いで、コア・シェル分散液H1を撹拌しながら、純水16.3部及び5.0質量%のポリビニルアルコール(A)としてのポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA-124:重合度2400、ケン化度98~99mol%)水溶液33.5部を加えた。さらに、1質量%のベタイン系界面活性剤(川研ファインケミカル株式会社製、ソフダゾリン(登録商標)LSB-R)水溶液0.5部を添加し、純水を用いて全体として1000部の高屈折率層用塗布液H1を調製した。
[0450]
 <ハードコート層(HC層1)の形成>
 紫外線硬化性樹脂として、ビームセット577(荒川化学工業株式会社製)を用い、溶媒としてメチルエチルケトンを添加した。さらに、フッ素系界面活性剤(商品名:フタージェント(登録商標)650A、株式会社ネオス製)を0.08質量%添加し、全固形分が40質量部、となるように調製して、ハードコート層用塗布液Aを作製した。
[0451]
 赤外線反射層上に上記調製したハードコート層用塗布液Aを、グラビアコーターにて、乾燥層厚が5μmとなる条件で塗工後、乾燥区間温度90℃で1分間乾燥後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm で、照射量を0.5J/cm としてハードコート層を硬化させ、ハードコート層を形成した。
[0452]
(3)実施例3
[太陽光制御フィルム:Ag薄膜赤外線反射フィルムの作製]
 太陽光制御層として、金属薄膜を設けて赤外光を反射する赤外線反射層を有するAg薄膜赤外線反射フィルムを以下のように作製した。
[0453]
 実施例2で使用した支持体(太陽光耐久性高透明フィルム)101~138に、下記の下引層塗布液2を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して下引層塗布液2を調製し、これをマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm で、照射量を100mJ/cm として塗布層を硬化させ、厚さ1μmの下引層を形成した。
[0454]
 下引層上に銀中に金を2質量%含有するスパッタリングターゲット材を用いて厚さ14nmの熱線反射層を形成した。さらに、当該熱線反射層上にアクリル系樹脂「オプスターZ7535(JSR(株)製)」をマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後に紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm で、照射量を100mJ/cm として塗布層を硬化させ、厚さ0.8μmのハードコート層を形成し、Ag薄膜赤外線反射フィルム101~138を作製した。
[0455]
 (下引層塗布液2)
 下記材料を撹拌、混合し下引層塗布液2とした。
[0456]
 アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製)                      201質量部
 イルガキュア184(BASFジャパン(株)製)         19質量部
 プロピレングリコールモノメチルエーテル            115質量部
 酢酸エチル                          105質量部
[0457]
[評価方法]
 上記で作製した多層膜赤外線反射フィルム101~138及びAg薄膜赤外線反射フィルム101~138について、下記の評価を行い、その結果を下記表3及び表4に示す。<保存性>
 得られた各多層膜赤外線反射フィルム及びAg薄膜赤外線反射フィルムを10cm角に切り出し、保存性の評価として各試料を下記保存加速試験を行い、ヘイズと近赤外反射率を下記の方法により測定した。
[0458]
 3台のサーモ機を準備し、それぞれを90℃(加湿なし)、-25℃、60℃-相対湿度80%に調整し、各試料を(90℃-1時間)→(-35℃-1時間)→(60℃-相対湿度80%-1時間)、これを3回繰り返す(サーモ機間の移動は1分以内とする。)。その後、メタルハライドランプ式耐候性試験機(スガ試験機製 M6T)により、放射照度1kW/m の光を15時間照射する。これを1サイクルとして、3サイクルの保存加速試験を行い、その後、再度、各試料のヘイズと近赤外反射率を測定し、保存加速試験の前後の変化を以下の指標で評価した。
[0459]
 〈ヘイズ値の測定〉
 光照射後のヘイズ値(%)は、23℃・50%RHの環境下ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH2000)により、フィルムの幅手方向に等間隔で10点の測定を行い、その平均値を求めた。
[0460]
 〈近赤外反射率の測定〉
 分光光度計として、U-4000型(日立製作所社製)を用い、各近赤外線反射フィルムの800~1400nmの領域における反射率を23℃・50%RHの環境下、フィルムの幅手方向に等間隔で10点の測定を行い、その平均値を求め、これを近赤外反射率(%)とした。
[0461]
 ヘイズ変化幅(Δヘイズ;単位%);保存加速試験後のヘイズ値-保存加速試験前のヘイズ値
 C以上を実用性として合格とした。
 A:0.5%未満
 B:0.5%以上1.0%未満
 C:1.0%以上2.0%未満
 D:2.0%以上5.0%未満
 E:5.0%以上10.0%未満
[0462]
 近赤外反射率変化幅(Δ近赤外反射率;単位%);保存加速試験前の近赤外反射率-保存加速試験後の近赤外反射率
 C以上を実用性として合格とした。
 A:1%未満
 B:1%以上3%未満
 C:3%以上5%未満
 D:5%以上10%未満
 E:10%以上20%未満
 以上の評価結果を、表3及び表4に示す。また、表3及び表4では、上記ヘイズ変化幅及び近赤外反射率変化幅の結果をA~Dで示した。
[0463]
[表3]


[0464]
[表4]


[0465]
 上記表3及び表4に示した結果より、本発明の太陽光耐久性高透明フィルムを支持体として用いた多層薄膜赤外線フィルム101~129、135~138、及びAg薄膜赤外線反射フィルム101~129、135~138は、比較例である多層薄膜赤外線フィルム130~134及びAg薄膜赤外線反射フィルム130~134に比較して、保存性に優れていることが認められる。
 また、このような本発明の多層薄膜赤外線フィルム及びAg薄膜赤外線反射フィルムは、支持体となる太陽光耐久性高透明フィルムの引裂強さ、破断伸度及び裁断加工性が良好であるため、ウィンドウフィルムとして自動車や屋内の窓に施工する際にも破断せずに、施工性に優れていた。
[0466]
(4)実施例4
[フィルムミラー101の作製]
 太陽熱発電用ミラーの支持体用ポリマーフィルムとして、実施例1のフィルム101を用いた。フィルム101の片面に、ポリエステル系樹脂としてエスペル9940A(日立化成工業株式会社製)、メラミン樹脂、ジイソシアネート架橋剤としてトリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)(三井化学ファイン株式会社製)を質量比で19.5:1.0:1.0:2.5に混合した樹脂分散液を、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmのアンカー層を形成し、さらに、銀反射層として真空蒸着法により厚さ80nmの銀反射層を形成した。
 この銀反射層上に、エスペル9940Aとトリレンジイソシアネートとを樹脂固形分比率(質量比)で8.2:1.8に混合した樹脂中に、腐食防止剤としてTinuvin234(チバ・ジャパン社製)を樹脂固形分に対して10.2質量%となる量を添加し、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmの腐食防止層を形成した。
[0467]
 続いて、接着層としてビニロール92T(アクリル樹脂接着剤;昭和高分子社製)を0.1μmの厚さでコートし、実施例1のフィルム101を保護層として積層させ、フィルムミラーを作製した。
[0468]
[フィルムミラー102~138の作製]
 実施例1のフィルム101を実施例1のフィルム102~138に変更した以外は、フィルムミラー101の作製と同様の方法でフィルムミラー102~138を作製した。
[0469]
[太陽熱発電用反射装置101の作製]
 支持体用ポリマーフィルムのアンカー層とは反対側の面に、SE-6010(アクリル樹脂接着剤;昭和高分子社製)を1μmの厚さでコートした粘着層を形成し、厚さ0.1mmで、縦4cm×横5cmのアルミ板(住友軽金属社製)にこの粘着層を介してフィルムミラー101を貼り付け、太陽熱発電用反射装置101を作製した。
[0470]
[太陽熱発電用反射装置102~138の作製]
 フィルムミラー101をフィルムミラー102~138に変更した以外は、太陽熱発電用反射装置101と同様の方法で太陽熱発電用反射装置102~138を作製した。
[0471]
[評価方法]
 上記のように作製したフィルムミラー101~138に係る太陽熱発電用反射装置101~138について、下記評価を行い、その結果を下記表5及び表6に示す。
[0472]
<正反射率の測定>
 日立製作所社製の分光光度計「U-4100」に、積分球反射付属装置を取り付けたものを用いて、反射面の法線に対して、入射光の入射角を5°となるように調整し、反射角5°の正反射率を測定した。評価は、400nmから700nmまでの平均反射率として測定した。
 A:正反射率の平均値が、93%以上
 B:正反射率の平均値が、90%以上93%未満
 C:正反射率の平均値が、87%以上90%未満
 D:正反射率の平均値が、84%以上87%未満
 E:正反射率の平均値が、81%以上84%未満
[0473]
<耐久性(正反射率の耐候性試験)>
 3ヵ月間屋外に放置したフィルムミラーをキセノンランプ照射下、温度85℃、湿度85%RHの条件で45日間放置後のフィルムミラーの正反射率を、上記正反射率の測定と同様の方法により測定し、強制劣化前の太陽熱発電用反射装置の正反射率と強制劣化後の太陽熱発電用反射装置の正反射率から、強制劣化試験前後における正反射率の低下率を算出した。
 以下に耐候性試験の評価基準を示す。
 A:正反射率の低下率が5%未満
 B:正反射率の低下率が5%以上10%未満
 C:正反射率の低下率が10%以上15%未満
 D:正反射率の低下率が15%以上20%未満
 E:正反射率の低下率が20%以上
[0474]
[表5]


[0475]
[表6]


[0476]
 上記表5及び表6に示した結果より、本発明の太陽光耐久性高透明フィルムを用いたフィルムミラーを備えた太陽熱発電用反射装置101~129及び135~138は、比較例である太陽熱発電用反射装置130~134に比較して、正反射率と耐久性に優れていることが認められる。
 また、このような本発明のフィルムミラーは、本発明の太陽光耐久性高透明フィルムを支持体や太陽光が入射する面の樹脂フィルムとして用いているため、引裂強さ、破断伸度及び裁断加工性に優れている。そのため、フィルムミラーを湾曲した形の太陽熱発電用反射装置に施工した際にも破断が起こらず良好な施工性であった。また、太陽熱発電用反射装置は、定期的に水で洗浄しており、その際の耐傷性にも優れていた。
[0477]
(5)実施例5
 実施例1で使用した本発明の太陽光耐久性高透明フィルムを、土壌に1年間埋めたところ生分解性が見られた。このため、第1のポリマー成分が天然高分子であり、第2のポリマー成分がポリエステル等の生分解性ポリマーであれば、屋外で使用され、耐傷性、耐久性、紫外線耐性、及び加工性が求められ、かつ生分解性が求められる用途の農業用フィルム、農業用光反射フィルム、皮膚や医療用品上に貼りつける医療用のフィルムや医療用透明テープ基材にも使用することができる。
 本発明の太陽光耐久性高透明フィルムは、実施例1の結果から高透明性であり、耐傷性があるので、長期の使用でも透過性を維持できる。このため、比較的太陽光にさらされ、傷の影響を受けやすいスマートフォン及びタブレット端末のディスプレイ上に張り付けて使用する保護フィルムや窓ガラスの飛散防止用保護フィルム、ラミネート用フィルム、クリアケースにも利用することができる。
 また、実施例1で使用した本発明の太陽光耐久性高透明フィルムに印刷、塗装、蒸着、転写、圧着により加飾を施したところ良好な加飾性を示した。セルロース誘導体は、一般的に加飾性に優れていることが知られており、第1のポリマー成分がセルロース誘導体である場合は、耐熱性、紫外線耐性、耐傷性、及び加工性が求められる建材や自動車用の加飾フィルムとしても使用することができる。

産業上の利用可能性

[0478]
 本発明の太陽光耐久性高透明フィルムは、光透過性、紫外線耐性、耐熱性、耐傷性、裁断加工性及び靭性(引裂強さ及び破断伸度)に優れ、太陽光制御フィルム、赤外線反射フィルム及びフィルムミラーに好適に利用することができる。

符号の説明

[0479]
 1a 太陽光制御フィルム(例えば、赤外線反射フィルム)
 2a 支持体(太陽光耐久性高透明フィルム)
 ML、MLa、MLb 反射層群
 T1~T 、Ta ~Ta 、Tb ~Tb  反射層
 U 反射層ユニット
 1 ハードコート層
 2 保護層(ポリマーフィルム)
 3 接着層
 4 腐食防止層
 5 銀反射層
 6 アンカー層
 7 支持体(ポリマーフィルム)
 8 粘着層
 9 剥離シート
10 金属支持体
20、21 フィルムミラー
30、31 太陽熱発電用反射装置

請求の範囲

[請求項1]
 少なくとも二種の相溶するポリマー成分を含有する太陽光耐久性高透明フィルムであって、
 第1のポリマー成分が、剛直な主鎖構造を有する非芳香族性ポリマー成分であり、
 第2のポリマー成分が、ソフトセグメントを有し、かつ重量平均分子量が4000~500000の範囲内であることを特徴とする太陽光耐久性高透明フィルム。
[請求項2]
 前記第2のポリマー成分の重量平均分子量が、30000~400000の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[請求項3]
 前記第2のポリマー成分のポリマー鎖1本当たりの前記第1のポリマー成分との相互作用点が、1500~15000の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[請求項4]
 前記第1のポリマー成分が、天然高分子であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[請求項5]
 前記第1のポリマー成分が、セルロースエステルであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[請求項6]
 前記セルロースエステルのアセチル基の置換度をXとし、アセチル基及びプロピオニル基又はブチリル基の合計置換度をYとしたとき、下記式(I)及び式(II)を満たすこと
を特徴とする請求項5に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
 式(I): 2.5≦X+Y≦3.0
 式(II): 0.0≦Y≦1.5
[請求項7]
 前記第2のポリマー成分が、脂肪族ポリエステル又はポリアルキレンオキシドであることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[請求項8]
 前記第2のポリマー成分が、下記一般式(1)で表される構造を有する脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[化1]


 [式中、R ~R は、それぞれ、水素原子又は置換基を表す。iは0~2の整数を表す。jは0~10の整数を表す。kは3~10の整数を表す。a、b、及びcは、それぞれ、構成割合(モル分率)を表し、a、b及びcの総和が1である。]
[請求項9]
 前記第2のポリマー成分の含有量が、前記第1のポリマー成分に対して5~50質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[請求項10]
 引裂強さが、60~350mNの範囲内であり、かつ、破断伸度が、60~200%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム。
[請求項11]
 請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム上に、少なくとも太陽光制御層が形成されていることを特徴とする太陽光制御フィルム。
[請求項12]
 前記太陽光制御層が、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層、及び第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層を交互に積層した特定の波長の光を選択的に反射する層であることを特徴とする請求項11に記載の太陽光制御フィルム。
[請求項13]
 請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム上に、少なくとも太陽光制御層として、赤外線を反射する層が形成されていることを特徴とする赤外線反射フィルム。
[請求項14]
 請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の太陽光耐久性高透明フィルム上に、少なくとも太陽光制御層として、銀反射層が形成されていることを特徴とするフィルムミラー。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4A]

[ 図 4B]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 6C]

[ 図 6D]