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1. (WO2015146656) 磁気センサー
Document

明 細 書

発明の名称 磁気センサー

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017  

図面の簡単な説明

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036  

産業上の利用可能性

0037  

符号の説明

0038  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 磁気センサー

技術分野

[0001]
 本発明は、微弱な磁場を感知することに適した磁気センサーに関する。

背景技術

[0002]
 従来、磁気抵抗素子を用いた磁気センサーは、特許文献1に示すように非破壊検査用の減肉及び探傷、欠陥検出としても提案されている。
 しかし、非破壊検査における磁気抵抗素子(MR)としてはAMR(異方性磁気抵抗)素子の例しかなかった。具体的には、現在AMR素子を利用した配管のCUI(保温材下腐食)を非破壊で検査する手段が提案されているが、磁場に対する抵抗変化率が数%と小さく、出力が少なく、ノイズに弱いという問題がある。そのため、保温材の厚みが厚い場合は出力が得られずにいた。
 また、鉄板の探傷、欠陥検査でもAMR素子を用いた測定法は提案されているが、出力が少なく、ノイズに弱いため、深層部の傷や欠陥は測定できなかった。
[0003]
 磁気抵抗素子として、AMR素子の他はGMR素子(巨大磁気抵抗素子)、トンネル磁気抵抗素子(TMR(Tunnel Magneto Resistive)素子)があるが、磁場に対する抵抗変化率ではTMR素子が群を抜いている。
 TMR素子は、磁化の向きが固定された強磁性金属磁化固定層、外部からの磁場の影響を受けて磁化の向きが変化する強磁性金属磁化自由層、及び、強磁性金属磁化固定層と強磁性金属磁化自由層との間に配置された絶縁層を有し、強磁性金属磁化固定層の磁化の向きと強磁性金属磁化自由層の磁化の向きとの角度差に従ってトンネル効果により絶縁層の抵抗を変化させる。
 磁気抵抗素子を、磁場の強弱を精度よく計測する磁気センサーとして使用していくためには検出磁場ゼロの状態(中立位置)からプラス磁場、マイナス磁場の変化に応じて上下に比例的に抵抗変化を起こす性質(線形性)が求められる。
 通常のTMR素子では固定層の磁化の向きと自由層の磁化の向きが平行もしくは反平行で安定するため、検出磁場ゼロの状態が作れなかった。また、物理的に中立位置を作れたとしてもバラつきが大きく、磁気測定装置としての性能には叶わなかった。
[0004]
 ところが、特許文献2には、TMR素子を生体磁気の計測に適用することが提案されている。
 特許文献2に記載の発明は、トンネル磁気抵抗素子を含む生体磁気センサーにおいて、高感度化を図るために、検出磁場ゼロでの強磁性金属磁化自由層の容易磁化軸は、強磁性金属磁化固定層の容易磁化軸に対してねじれの位置にあることを特徴とする。
 特許文献1に記載の発明によれば、検出磁場ゼロでの自由層の容易磁化軸が、固定層の容易磁化軸に対してねじれの位置にあるため、検出磁場ゼロの状態からプラス磁場、マイナス磁場の変化に応じて上下に比例的に抵抗変化を起こすことができる。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特許第4487082号公報
特許文献2 : 特開2013-105825号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、以上のような固定層の磁化の向きと自由層の磁気の向きとにねじれを持たせた状態から外部磁場を検出するTMR素子を用いて、生体磁気測定や非破壊検査における被検査材からの漏洩磁気測定を行う場合には、さらに次のような課題がある。
 その測定には、多数の磁気センサーでセンサーアレイを構成し、生体表面や被検査材の表面などにこれを配置して、測定値をマッピングできる測定システムを構成する必要がある。
 TMR素子の上記のねじれの角度、すなわち、ねじれ角が、素子ごとに異なると、磁場に対する抵抗変化の特性が素子ごとに異なることになる。すなわち、磁場抵抗特性に個体差があることになる。磁場抵抗特性に個体差があると、例えば、一のTMR磁気センサーから出力される電圧値と、他のTMR磁気センサーから出力される電圧値とが同じでも、前記一のTMR磁気センサーに作用している外部磁場と、前記他のTMR磁気センサーに作用している外部磁場とが異なることとなる。逆に言えば、一のTMR磁気センサーに作用している外部磁場と、他のTMR磁気センサーに作用している外部磁場とが同じでも、前記一のTMR磁気センサーから出力される電圧値と、前記他のTMR磁気センサーから出力される電圧値とが異なることとなる。したがって、正確な測定できず、マッピングした測定データの信頼性が低下するという問題がある。
 また、TMR素子の磁場抵抗特性には温度特性がある。すなわち、一定の外部磁場がTMR磁気センサーに作用している状態で、そのTMR磁気センサーから出力される電圧値が素子温度によって異なるという温度特性がある。この温度特性に個体差があると、例えば、一定の外部磁場が2つのTMR磁気センサーに作用している状態で、そのうち一方のTMR磁気センサーから出力される電圧値と、他のTMR磁気センサーから出力される電圧値とがある温度で同じであっても、他の温度で異なるという結果となる。したがって、温度変化によって正確な測定ができず、マッピングした測定データの信頼性が低下するという問題がある。もちろん、同じTMR磁気センサーによる測定値についても、測定時の温度によって値が異なるという問題がある。
 また、温度が一定であってもTMR素子の磁場抵抗特性に経時変化が有り得るから、測定時によって値が異なるという問題が起こり得る。
 また、TMRはトンネル効果を用いるため、AMRやGMRに比べて低周波において1/fノイズが大きいが、この1/fノイズを下げることで、S/N比を向上させることが望まれる。
[0007]
 本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、トンネル磁気抵抗素子を利用した磁気センサーにおいて、トンネル磁気抵抗素子の磁場抵抗特性や温度変化等によって生じる得る検知誤差を補正することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、磁化の向きが固定された強磁性金属磁化固定層、外部からの磁場の影響を受けて磁化の向きが変化する強磁性金属磁化自由層、及び、前記強磁性金属磁化固定層と前記強磁性金属磁化自由層との間に配置された絶縁層を有し、前記強磁性金属磁化固定層の磁化の向きと前記強磁性金属磁化自由層の磁化の向きとの角度差に従ってトンネル効果により前記絶縁層の抵抗を変化させるトンネル磁気抵抗素子を含む磁気センサーにおいて、
 前記トンネル磁気抵抗素子が組み込まれたホイートストンブリッジ回路と、
 前記トンネル磁気抵抗素子に印加される電圧を基準値に安定化させるフィードバック回路とを備え、
 変動する検出磁気信号を、前記フィードバック回路から出力することを特徴とする磁気センサーである。
[0009]
 請求項2記載の発明は、前記フィードバック回路は、前記検出磁気信号の変動周波数域外での外乱によって前記電圧が影響を受けないように安定化させ、
 前記検出磁気信号の変動周波数域での前記電圧の変動に応じた信号を、前記検出磁気信号として出力することを特徴とする請求項1に記載の磁気センサーである。
[0010]
 請求項3記載の発明は、前記フィードバック回路は、前記検出磁気信号の変動周波数域を含めて外乱によって前記電圧が影響を受けないように安定化させ、
 前記電圧を制御する制御信号から前記検出磁気信号の変動周波数域にある信号を抽出して前記検出磁気信号として出力することを特徴とする請求項1に記載の磁気センサーである。
[0011]
 請求項4記載の発明は、磁化の向きが固定された強磁性金属磁化固定層、外部からの磁場の影響を受けて磁化の向きが変化する強磁性金属磁化自由層、及び、前記強磁性金属磁化固定層と前記強磁性金属磁化自由層との間に配置された絶縁層を有し、前記強磁性金属磁化固定層の磁化の向きと前記強磁性金属磁化自由層の磁化の向きとの角度差に従ってトンネル効果により前記絶縁層の抵抗を変化させるトンネル磁気抵抗素子を含む磁気センサーにおいて、
 前記トンネル磁気抵抗素子に作用する磁場と当該トンネル磁気抵抗素子の磁場抵抗特性に応じた当該トンネル磁気抵抗素子に固有の信号との対応関係を記憶した記憶装置と、
 前記対応関係において、前記トンネル磁気抵抗素子から出力された前記固有の信号に対応する前記トンネル磁気抵抗素子に作用する磁場を特定して検出磁気信号として出力する演算装置と、
 を備えたことを特徴とする磁気センサーである。
[0012]
 請求項5記載の発明は、磁化の向きが固定された強磁性金属磁化固定層、外部からの磁場の影響を受けて磁化の向きが変化する強磁性金属磁化自由層、及び、前記強磁性金属磁化固定層と前記強磁性金属磁化自由層との間に配置された絶縁層を有し、前記強磁性金属磁化固定層の磁化の向きと前記強磁性金属磁化自由層の磁化の向きとの角度差に従ってトンネル効果により前記絶縁層の抵抗を変化させるトンネル磁気抵抗素子を含む磁気センサーにおいて、
 基準信号を出力する基準発信器と、
 前記基準発信器から出力された前記基準信号に基づき、前記トンネル磁気抵抗素子に基準磁場を作用させる磁場発生器と、
 前記基準磁場が作用する前記トンネル磁気抵抗素子の出力信号から前記基準信号に由来する信号を検波する基準信号検波器と、
 前記基準信号検波器が検波した検波信号と前記基準発信器から出力された前記基準信号とを比較して感度補正値を算出する比較回路と、
 前記比較回路が算出した前記感度補正値を、前記基準磁場が作用する前記トンネル磁気抵抗素子の前記出力信号に乗算して検出磁気信号を算出する乗算器と、
 を備えることを特徴とする請求項4に記載の磁気センサーである。
[0013]
 請求項6記載の発明は、2以上のトンネル磁気抵抗素子が直列接続されたトンネル磁気抵抗モジュールを含み、当該トンネル磁気抵抗モジュールに外部磁場を作用させて当該外部磁場を検知することを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の磁気センサーである。
[0014]
 請求項7記載の発明は、前記強磁性金属磁化自由層は、10nm以上100nm以下の層厚に形成された軟磁性層を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載の磁気センサーである。
[0015]
 請求項8記載の発明は、前記絶縁層がMgOからなることを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載の磁気センサーである。
[0016]
 請求項9記載の発明は、前記強磁性金属磁化自由層の容易磁化軸は、前記強磁性金属磁化固定層の容易磁化軸に対してねじれの位置にあることを特徴とする請求項1から請求項8のうちいずれか一に記載の磁気センサーである。

発明の効果

[0017]
 本件請求項1記載の発明によれば、トンネル磁気抵抗素子の検出磁場ゼロ時の抵抗値によらず、検出磁場ゼロでの検知信号をゼロ基準値に補正し、正しく検出磁気信号を算出することができる。
 本件請求項4記載の発明によれば、トンネル磁気抵抗素子の磁場抵抗特性によらず、正しく検出磁気信号を算出することができる。
 本件請求項5記載の発明によれば、トンネル磁気抵抗素子の感度変化によらず、正しく検出磁気信号を算出することができる。

図面の簡単な説明

[0018]
[図1] 本発明の一実施形態に係り、2つのTMR素子が構成されたTMRモジュールの積層構造の断面図である。
[図2] 本発明の一実施形態に係り、6つのTMR素子が構成されたTMRモジュールの積層構造の断面図である。
[図3] 本発明の一実施形態に係り、TMR素子のH-R特性曲線と、この特性曲線上の3点におけるTMR素子の磁化方向の様子を示す模式的斜視図である。
[図4] 本発明の一実施形態に係る磁気センサーの回路ブロック図である。
[図5] 本発明の一実施形態に係る磁気センサーの回路ブロック図である。
[図6] 本発明の一実施形態に係る磁気センサーの構成ブロック図である。
[図7] 本発明の一実施形態に係る磁気センサーの回路ブロック図である。

発明を実施するための形態

[0019]
 以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
[0020]
 まず、図1に2つのTMR素子が構成されたTMRモジュール1の積層構造の例を示す。図1に示すようにTMRモジュール1は、シリコン基板2上に、下地層3、強磁性金属磁化自由層4、絶縁層5、強磁性金属磁化固定層6、ピンド層7、バッファー層8、上部電極層9が順次積層された積層構造を有する。強磁性金属磁化自由層4は軟磁性層41、バリア層42、強磁性層43からなる。強磁性金属磁化固定層6は、強磁性層61、バリア層62、強磁性層63からなる。軟磁性層41の層厚は10nm以上100nm以下に形成することが好ましい。軟磁性層41の層厚を10nm以上、好ましくは30nm以上とすることで、良好な磁場抵抗特性の線形性を有したTMR素子を形成することができる。一方、軟磁性層41の層厚が100nmを超えると、線形性の改善はほとんど見られないので、軟磁性層41の層厚を100nm以下に形成することが好ましい。
[0021]
 図1に示すように強磁性金属磁化固定層6、ピンド層7、バッファー層8及び上部電極層は、互いに独立した2つの上部積層体11,12を構成する。一方の上部積層体11に構成された強磁性金属磁化固定層6と、その下の絶縁層5と強磁性金属磁化自由層4とで、1つのTMR素子が構成される。同様に他方の上部積層体12に構成された強磁性金属磁化固定層6と、その下の絶縁層5と強磁性金属磁化自由層4とで、1つのTMR素子が構成される。
 印加電圧の陽極側及び陰極側のうち一方を、上部積層体11に構成された上部電極層9に接続し、他方を上部積層体12に構成された上部電極層9に接続することで、以上の2つのTMR素子を直列にして利用する。
 さらに図1に示した構成を複数配置し、図2に示すように隣接する上部電極層9で導体13で繋いで直列に接続することで、4つ以上のTMR素子を直列にしたTMRモジュール1を構成することができ、これを使用することができる。図2には6つのTMR素子が直列に繋がった構成を示す。
 TMR素子を直列に数多く繋ぐほど、1/fノイズを低減することができる。1/fノイズを例えば1/10に低減するには、100のTMR素子を直列にする接続する。
[0022]
 絶縁層5は、強磁性金属磁化固定層6と強磁性金属磁化自由層4との間に配置される。絶縁層5としては、各種の絶縁材料を用いることができ、例えば、MgO、AlOx等が使用できる。素子の感度を向上させるという観点からはMgOが好ましく、特に、生体磁気信号のような微弱磁場をTMR素子で検出するためには、絶縁層5としてMgO膜を用いることが好ましい。絶縁層5の層厚は、1nm~10nm程度にすることが望ましい。
[0023]
 自由層4の容易磁化軸は、固定層6の容易磁化軸と平行である場合、固定層6の磁化の向きc2と自由層4の磁化の向きc6は平行状態か反平行状態になっている。この状態を磁場計測上のゼロ点として外部磁界を検出する場合、抵抗下限値Rb付近及び抵抗上限値Ra付近では、磁場Hと抵抗Rとの関係は非線形であり磁場を定量することができない。
 そのため、図3に示すような検出磁場Hが無い状態(H=0)を抵抗の中間値に対応させ、磁場計測上のゼロ点とすることを行う。
 これを可能にする1つの方法として、特許文献2に記載されるように、磁場中熱処理を2度行い、最初は自由層4の容易磁化軸を決める温度で熱処理し、2回目の熱処理は最初の熱処理温度より低い温度において印加磁場をねじれの位置に変えて熱処理を施す。その結果、自由層4の容易磁化軸は、固定層6の容易磁化軸に対してねじれの位置となる。
 このとき、固定層6より先に自由層4が積層されている構造にする必要がある。固定層6の面積を、自由層4の面積に対して小さくするためである。固定層6の面積を相対的に小さくすることで、固定層6から自由層4への漏れ磁界の影響が小さくなり、磁気検出の感度をさらに向上させることができる。
[0024]
 以上のような方法において検出磁場Hが無い状態を抵抗の中間値に対応させるが、2度の磁場中熱処理によって中間位置にする場合は、ねじり角のバラつきに応じて中間抵抗値にバラつきが生じる。
 そこで、検出磁場Hが無い状態に対応した中間抵抗値を一定にするために図4に示す磁気センサー10A又は図5に示す磁気センサー10Bを構成する。
[0025]
 すなわち、TMRモジュール1を用いて、図4又は図5に示すようにブリッジを構成し、フィードバック回路を備えた磁気センター10A又は10Bを構成する。
 図4及び図5に示すように、基準電圧V1が印加される電極間に、定抵抗R1,R2,R3とTMRモジュール1とによりホイートストンブリッジ回路を構成する。但し、TMRモジュール1の一端を電圧制御部a5に接続し、R3とTMRモジュール1に印加する電圧を制御する。
 定抵抗R1と定抵抗R2の間の電極、及び定抵抗R3とTMRモジュール1の間の電極が計装増幅器a1に取り出され、計装増幅器a1がそれらの電極間の電位差を検出し、電圧増幅器a2に出力する。
 以上のTMRモジュール1、計装増幅器a1、電圧増幅器a2、電圧制御部a5を含めて、TMRモジュール1に印加される電圧を、基準値に安定化させるフィードバック回路を構成する。基準値は、検出磁場ゼロの状況下で上記電位差が一定値(例えば、ゼロ)となるように設定される。これにより、検出磁場Hが無い状態を抵抗の中間値が、TMR素子によらず一定となる。
[0026]
 図4に示す磁気センター10Aにあっては、さらに次の構成を有する。
 電圧増幅器a2の出力信号は、ローパスフィルターa3及びバッファー回路a7に出力される。ローパスフィルターa3の出力信号は比較器a4で基準値と比較され、基準値との比較結果に応じた制御信号が電圧制御部a5に出力される。
 電圧制御部a5が制御信号に基づき、定抵抗R3とTMRモジュール1からなるブリッジに印加する電圧を制御する。
[0027]
 図5に示す磁気センター10Bにあっては、さらに次の構成を有する。
 電圧増幅器a2の出力信号は、比較器a4で基準値と比較され、基準値との比較結果に応じた制御信号が電圧制御部a5に出力される。
 電圧制御部a5が制御信号に基づき、制御信号に基づき、定抵抗R3とTMRモジュール1からなるブリッジに印加する電圧を制御する。
[0028]
 磁気センサー10A、10Bは、脳磁気などの生体磁気信号や、非破壊検査装置において検査対象物に印加され当該検査対象物から漏れてくる所定周波のパルス波形などを形成する磁気信号を測定することができる。
 一方、温度変化等の外乱により緩やかに変化する磁場変動についてはこれを検出しないように除去する。
 測定対象とする頭蓋などの生体外面や、配管、壁などの非破壊検査装置における検査対象物の外面に、本磁気センサー10A、10Bを多数配置して、各センサーの検出値をマッピングできるように測定システムを構成して実施する。
[0029]
 図4に示した磁気センサー10Aにあっては、温度変化等の外乱により緩やかに変化する磁場変動については、TMR素子抵抗が変化しようとしても、ローパスフィルターa3を通過する信号となるので、上述したフィードバック制御により安定化させる。
 ローパスフィルターa3を通過しない比較的高周波の磁気変動については、電圧制御部a5までフィードバクされないので、TMR素子抵抗の変化を許し、その変化に応じた信号が計装増幅器a1、電圧増幅器a2、バッファー回路a7を介して、検出磁気信号として出力される。
 ローパスフィルターa3のカットオフ周波数の設定により、温度変化等の外乱を除外し測定対象とする磁気信号を検出することができる。
 以上のように、磁気センサー10Aのフィードバック回路は、検出磁気信号の変動周波数域外での外乱によってTMR素子に印加される電圧が影響を受けないように安定化させる。そして、磁気センサー10Aは、検出磁気信号の変動周波数域での当該電圧の変動に応じた信号を、検出磁気信号として出力する。
[0030]
 図5に示した磁気センサー10Bにあっては、TMRモジュール1から比較器a4までの間にフィルターを設けていないので、検出磁気信号の変動周波数域を含めて外乱によってTMR素子に印加される電圧が影響を受けないように上述したフィードバック制御により安定化する。
 さらに磁気センサー10Bは、TMR素子に印加される電圧を制御する制御信号から比較的高周波の信号成分をハイパスフィルターb1で通過させ、バッファー回路b2を介して検出磁気信号として出力する。
 ハイパスフィルターb1のカットオフ周波数の設定により、温度変化等の外乱による信号成分を除外し測定対象とする磁気信号を検出することができる。
 以上のように、磁気センサー10Bのフィードバック回路は、検出磁気信号の変動周波数域を含めて外乱によってTMR素子に印加される電圧が影響を受けないように安定化させる。そして、磁気センサー10Bは、TMR素子に印加される電圧を制御する制御信号から検出磁気信号の変動周波数域にある信号を抽出して検出磁気信号として出力する。
[0031]
 次に、図6に示す磁気センサーJにつき説明する。
 図6に示す磁気センサーJは、TMR基本回路J1と、演算装置J2と、記憶装置J3とを備える。
 TMR基本回路J1は、外部磁場の感知手段としてTMR素子を含んだ回路である。ここでは、上述したTMRモジュール1が適用されているとする。TMRモジュール1に構成される個々のTMR素子の磁場抵抗特性に応じて、TMRモジュール1全体の磁場抵抗特性にも個性が生じる。TMR基本回路J1としては、例えば図4に示した回路から、ローパスフィルターa3、比較器a4及び電圧制御部a5を排し、定抵抗R3とTMRモジュール1からなるブリッジを基準電圧V1間に掛けたものである。
[0032]
 したがって、TMR基本回路J1は、TMRモジュール1の磁場抵抗特性に応じたTMRモジュール1に固有の信号(電圧値)J11を演算装置J2に出力する。
 記憶装置J3は、TMRモジュール1に作用する磁場と当該TMR素子の磁場抵抗特性に応じたTMRモジュール1に固有の信号J11との対応関係を記憶している。この対応関係は、予めTMRモジュール1を既知の磁場中に置き、その磁場を変化させながらTMR基本回路J1からの出力を得て作成したものである。
 演算装置J2は、記憶装置J3から読み出した対応関係J31において、固有の信号J11に対応する磁場を特定して検出磁気信号J21として出力する。
 また、上述のマッピングを行う場合などのように、複数のセンサーの検出値を扱う磁気測定システムにあっては、TMR基本回路J1が複数となるので、個々のTMR基本回路J1に識別情報を付与し、その識別情報に結びづけてその固有の対応関係を記憶装置J2に記憶して実施する。
[0033]
 次に、図7に示す磁気センサーKについて説明する。
 図7に示す磁気センサーKは、TMR基本回路K1と、電圧増幅器K2と、「基準信号検波器及び比較回路」K3と、「増幅器及びローパスフィルター」K4と、乗算器K5と、バッファー回路K6と、基準発信器K7と、磁場発生器K8とを備える。
 TMR基本回路K1としては、例えば図4に示した回路から、電圧増幅器a2、ローパスフィルターa3、比較器a4、電圧制御部a5及びバッファー回路a7を排し、定抵抗R3とTMRモジュール1からなるブリッジを基準電圧V1間に掛けたものであり、計装増幅器a1の出力を電圧増幅器K2に接続する。
[0034]
 基準発信器K7から基準信号K9が磁場発生器K8及び「基準信号検波器及び比較回路」K3に出力される。
 磁場発生器K8は、図6に示すような磁場を発生するコイルを含む。磁場発生器K8は、基準発信器K7から出力された基準信号K9を増幅して、含まれるコイルに電流を流すための電力を生成して当該コイルに電流を流し、当該コイルからTMR基本回路K1内のTMR素子に基準磁場K9を作用させる。
 TMR基本回路K1から基準磁界K10に応答した成分が含まれる電圧信号K12が出力され、電圧増幅器K2に入力される。
 この電圧信号K12は電圧増幅器K2で検波誤差が少なくなるように十分な増幅後、「基準信号検波器及び比較回路」K3に入力され、「基準信号検波器及び比較回路」K3は入力された信号から基準信号を検波する。
 次に、「基準信号検波器及び比較回路」K3は、電圧増幅器K2から入力された信号K13から検波した基準信号と、基準発信器K7から直接入力された基準信号K9とを比較して、感度補正値を算出する。
[0035]
 基準磁場K10は常に一定であり、TMR素子の感度が一定していれば、検波した基準信号も一定である。
 しかし、温度変化等によりTMR素子の感度が変化し、上記の比較結果に現れる。
 例えば、入力された基準信号K9に対する検波した基準信号の比率が、低温時より高温時に高くなる場合には、低温時より高温時にTMR素子の感度が高くなった結果である。この場合、外部磁界K11の検出信号も過大になる。また、経年変化によりTMR素子の感度が変化することが考えられる。
 そこで、この感度変化を感度補正値により補正して、一定した感度で検知した場合と同等の検出磁気信号が出力されるようにする。
 すなわち、乗算器K5において、電圧増幅器K2が出力した信号K13と、「基準信号検波器及び比較回路」K3が算出した感度補正値K14を乗算して補正し、バッファー回路K6から補正後の検出磁気信号を出力する。なお、「増幅器及びローパスフィルター」K4により感度補正値K14は、増幅され、比較的高周波の変化成分がカットされる。
[0036]
 ある温度を基準温度と定め、初期設定時にTMR素子を基準温度下に置き、「基準信号検波器及び比較回路」K3が検波した基準信号に対して感度補正値を「1」とする。この初期設定時に検波した基準信号に対して、その後の磁気測定において「基準信号検波器及び比較回路」K3が検波する基準信号に増減があれば、その増減率の逆数を感度補正値とする。これにより、その後の磁気測定において、TMR素子の感度に変化がなかったとした場合の検出磁気信号がバッファー回路K6から出力される。感度補正値による補正後、初期設定時に検波した基準信号分を差し引いてもよい。

産業上の利用可能性

[0037]
 本発明は、有用な磁気センサーを構成することに利用することができる。

符号の説明

[0038]
1 TMRモジュール
2 シリコン基板
3 下地層
4 強磁性金属磁化自由層
5 絶縁層
6 強磁性金属磁化固定層
7 ピンド層
8 バッファー層
9 上部電極層
10A 磁気センター
10B 磁気センター
J 磁気センター
K 磁気センター
41 軟磁性層
42 バリア層
43 強磁性層
61 強磁性層
62 バリア層
63 強磁性層
R1 定抵抗
R2 定抵抗
R3 定抵抗

請求の範囲

[請求項1]
 磁化の向きが固定された強磁性金属磁化固定層、外部からの磁場の影響を受けて磁化の向きが変化する強磁性金属磁化自由層、及び、前記強磁性金属磁化固定層と前記強磁性金属磁化自由層との間に配置された絶縁層を有し、前記強磁性金属磁化固定層の磁化の向きと前記強磁性金属磁化自由層の磁化の向きとの角度差に従ってトンネル効果により前記絶縁層の抵抗を変化させるトンネル磁気抵抗素子を含む磁気センサーにおいて、
 前記トンネル磁気抵抗素子が組み込まれたホイートストンブリッジ回路と、
 前記トンネル磁気抵抗素子に印加される電圧を基準値に安定化させるフィードバック回路とを備え、
 変動する検出磁気信号を、前記フィードバック回路から出力することを特徴とする磁気センサー。
[請求項2]
 前記フィードバック回路は、前記検出磁気信号の変動周波数域外での外乱によって前記電圧が影響を受けないように安定化させ、
 前記検出磁気信号の変動周波数域での前記電圧の変動に応じた信号を、前記検出磁気信号として出力することを特徴とする請求項1に記載の磁気センサー。
[請求項3]
 前記フィードバック回路は、前記検出磁気信号の変動周波数域を含めて外乱によって前記電圧が影響を受けないように安定化させ、
 前記電圧を制御する制御信号から前記検出磁気信号の変動周波数域にある信号を抽出して前記検出磁気信号として出力することを特徴とする請求項1に記載の磁気センサー。
[請求項4]
 磁化の向きが固定された強磁性金属磁化固定層、外部からの磁場の影響を受けて磁化の向きが変化する強磁性金属磁化自由層、及び、前記強磁性金属磁化固定層と前記強磁性金属磁化自由層との間に配置された絶縁層を有し、前記強磁性金属磁化固定層の磁化の向きと前記強磁性金属磁化自由層の磁化の向きとの角度差に従ってトンネル効果により前記絶縁層の抵抗を変化させるトンネル磁気抵抗素子を含む磁気センサーにおいて、
 前記トンネル磁気抵抗素子に作用する磁場と当該トンネル磁気抵抗素子の磁場抵抗特性に応じた当該トンネル磁気抵抗素子に固有の信号との対応関係を記憶した記憶装置と、
 前記対応関係において、前記トンネル磁気抵抗素子から出力された前記固有の信号に対応する前記トンネル磁気抵抗素子に作用する磁場を特定して検出磁気信号として出力する演算装置と、
 を備えたことを特徴とする磁気センサー。
[請求項5]
 磁化の向きが固定された強磁性金属磁化固定層、外部からの磁場の影響を受けて磁化の向きが変化する強磁性金属磁化自由層、及び、前記強磁性金属磁化固定層と前記強磁性金属磁化自由層との間に配置された絶縁層を有し、前記強磁性金属磁化固定層の磁化の向きと前記強磁性金属磁化自由層の磁化の向きとの角度差に従ってトンネル効果により前記絶縁層の抵抗を変化させるトンネル磁気抵抗素子を含む磁気センサーにおいて、
 基準信号を出力する基準発信器と、
 前記基準発信器から出力された前記基準信号に基づき、前記トンネル磁気抵抗素子に基準磁場を作用させる磁場発生器と、
 前記基準磁場が作用する前記トンネル磁気抵抗素子の出力信号から前記基準信号に由来する信号を検波する基準信号検波器と、
 前記基準信号検波器が検波した検波信号と前記基準発信器から出力された前記基準信号とを比較して感度補正値を算出する比較回路と、
 前記比較回路が算出した前記感度補正値を、前記基準磁場が作用する前記トンネル磁気抵抗素子の前記出力信号に乗算して検出磁気信号を算出する乗算器と、
 を備えることを特徴とする請求項4に記載の磁気センサー。
[請求項6]
 2以上のトンネル磁気抵抗素子が直列接続されたトンネル磁気抵抗モジュールを含み、当該トンネル磁気抵抗モジュールに外部磁場を作用させて当該外部磁場を検知することを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の磁気センサー。
[請求項7]
 前記強磁性金属磁化自由層は、10nm以上100nm以下の層厚に形成された軟磁性層を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載の磁気センサー。
[請求項8]
 前記絶縁層がMgOからなることを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載の磁気センサー。
[請求項9]
 前記強磁性金属磁化自由層の容易磁化軸は、前記強磁性金属磁化固定層の容易磁化軸に対してねじれの位置にあることを特徴とする請求項1から請求項8のうちいずれか一に記載の磁気センサー。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]