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1. (WO2015146394) Sb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット
Document

明 細 書

発明の名称 Sb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012  

先行技術文献

特許文献

0013  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0014  

課題を解決するための手段

0015   0016  

発明の効果

0017  

図面の簡単な説明

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032  

実施例

0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077  

産業上の利用可能性

0078  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : Sb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット

技術分野

[0001]
 この発明は、相変化記録層形成に適したSb-Te基合金焼結体ターゲットに関し、特に酸素や酸化物に起因するスパッタリング際の異常放電やパーティクルの発生の少ないSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲットに関する。

背景技術

[0002]
 近年、相変化記録用材料として、すなわち相変態を利用して情報を記録する媒体としてSb-Te基合金材料からなる薄膜が用いられるようになってきた。このSb-Te基合金材料からなる薄膜を形成する方法としては、真空蒸着法やスパッタリング法などの、一般に物理蒸着法と言われている手段によって行われるのが普通である。特に、操作性や皮膜の安定性からマグネトロンスパッタリング法を用いて形成することが多い。
[0003]
 スパッタリング法による膜の形成は、陰極に設置したターゲットにArイオンなどの正イオンを物理的に衝突させ、その衝突エネルギーでターゲットを構成する材料を放出させて、対面している陽極側の基板にターゲット材料とほぼ同組成の膜を積層することによって行われる。
 スパッタリング法による被覆法は処理時間や供給電力等を調節することによって、安定した成膜速度でオングストローム単位の薄い膜から数十μmの厚い膜まで形成できるという特徴を有している。
[0004]
 相変化記録膜用Sb-Te基合金材料からなる膜を形成する場合に、特に問題となるのは、ノジュール(異常突起物)やクレーター(異常凹み)などの異常組織がターゲット表面に発生し、これらを基点としてマイクロアーキング(異常放電)が発生し、これら自身がパーティクルと呼ばれるクラスター(原子の集合体)状の異物として薄膜に混入することである。
 また、スパッタリングの際にターゲットのクラック又は割れが発生すること、さらには形成された薄膜の不均一性が発生したりすること、この他ターゲット用焼結粉の製造工程で多量に吸収された酸素等のガス成分がスパッタ膜の膜質に影響を与えることなどが挙げられる。
 このようなターゲット又はスパッタリングの際の問題は、記録媒体である薄膜の品質や歩留まりを低下させる大きな原因となっている。
[0005]
 上記の問題は、焼結用粉末の粒径又はターゲットの構造や性状によって大きく影響を受けることが分かっている。しかしながら、従来は相変化記録層を形成するためのSb-Te基合金スパッタリングターゲットを製造する際に、焼結によって得られるターゲットが十分な特性を保有していないということもあって、スパッタリングの際の、パーティクルの発生、異常放電(アーキング)、ターゲット上のノジュールやクレーターの発生、ターゲットのクラック又は割れの発生、さらにはターゲット中に含まれる多量の酸素等のガス成分を避けることができなかった。
[0006]
 従来のSb-Te基合金系スパッタリング用ターゲットの製造方法として、Sb-Te合金、Ge-Sb-Te合金、In-Sb-Te合金、Ag-Sb-Te合金等の合金について、不活性ガスアトマイズ法により急冷した粉末を作製し、これらを均一に混合した後加圧焼結を行って、前記組成のスパッタリング用ターゲットを製造するのが普通である。
 一般に、これらのSb-Te基合金系スパッタリング用ターゲットでは、酸素を少なくすることが必要であると認識されていたが、最近では一定量の酸素を含有させる技術も開示されている。以下に、酸素を含有するSb-Te基合金系スパッタリング用ターゲットの公開技術を紹介する。
[0007]
 下記文献1には、「Sb-Te系合金のガスアトマイズ粉をさらに機械粉砕して得た粉末の最大粒径が90μm以下であることを特徴とする焼結用Sb-Te系合金粉末及びこの粉末を焼結して得た焼結体スパッタリングターゲット及びSb-Te系合金を溶解した後、ガスアトマイズによりアトマイズ粉とし、これをさらに、大気に暴露することなく不活性雰囲気中で機械粉砕することにより、粉末の最大粒径が90μm以下であり、かつ酸素含有量を低減させた粉末を製造することを特徴とする焼結体スパッタリングターゲット用Sb-Te系合金粉末の製造方法。Sb- Te系合金スパッタリングターゲット組織の均一と微細化を図り、焼結ターゲットのクラック発生を抑制し、スパッタリング時にアーキングの発生を防止する。また、スパッタエロージョンによる表面の凹凸を減少させ、良好な品質のSb-Te系合金スパッタリングターゲットを得る。」ことが記載されている。この文献1の請求項2では、酸素濃度は1500wtppm以下であると記載されている。
[0008]
 下記文献2には、「平均粒径が0.1~200μmの粉末からなり、酸素含有量が1000wtppm以下であることを特徴とする焼結用Sb-Te系合金粉末及びSb-Te系合金からなる焼結体ターゲットであって、酸素含有量が1000wtppm以下、抗折力が50MPa以上、相対密度が99%以上であることを特徴とするSb-Te系合金からなる焼結体ターゲット。Sb-Te系合金スパッタリングターゲット組織の均一と微細化を図り、焼結ターゲットのクラック発生を抑制し、スパッタリング時にアーキングの発生を防止する。また、スパッタエロージョンによる表面の凹凸を減少させ、良好な品質のSb-Te系合金スパッタリングターゲットを得る。」ことが記載されている。この文献2では、酸素を1000wtppmであることが記載されている。
[0009]
 下記文献3には、「カルコゲナイド系元素を含み含有酸素の濃度を800ppm以下とした光ディスク用タ-ゲット及びその製造方法の提供を目的とし、タ-ゲットは、組成がSe,Teのうち1種類以上を含むカルコゲナイド系合金から構成され、含有酸素の濃度を800ppm以下としている。また、タ-ゲットの製造方法は、前記組成の混合物を溶融し、この溶融物を鋳造してカルコゲナイド系合金とし、該合金を不活性雰囲気中において粉砕した後、成形・焼結することに特徴があると記載され、このタ-ゲットは、低酸素濃度のスパッタリング膜を成膜し、該膜の酸化速度を抑制し、該膜及び保護膜の付着強度を高めることができる。また、上記の製造方法は、均一な合金相を得ることができ、粉砕工程での酸化を防止し、タ-ゲットの含有酸素の濃度を低下させることができる。」と記載されている。そして、段落0046には、従来のターゲットの酸素含有量が2000~3000ppmであったと記載されている。
[0010]
 下記文献4には、「Sb-Te系合金のほぼ球状の粒子からなるアトマイズ粉を用いたスパッタリングターゲットであって、該球状のアトマイズ粉が押つぶされて扁平になった粒子からなり、扁平粒子の短軸と長軸の比(扁平率)が0.6以下である粒子が全体の50%以上を占めていることを特徴とするSb-Te系合金焼結体ターゲット。長軸の向きがターゲット表面に平行な方向に±45°以内で揃っている粒子が全体の60%以上を占めることを特徴とする前記Sb-T e系合金焼結体ターゲット。ターゲット中の酸素濃度が1500wtppm以下であることを特徴とする前記Sb-Te 系合金焼結体ターゲット。Sb-Te系合金スパッタリングターゲット組織の均一と微細化を図り、焼結ターゲットのクラック発生を抑制し、スパッタリング時にアーキングの発生を防止する。また、スパッタエロージョンによる表面の凹凸を減少させ、良好な品質のSb-Te系合金スパッタリングターゲットを得る。」ことが記載されている。そして、比較例には1800wtppmのターゲット酸素濃度が記載されている。
[0011]
 この他、下記文献5には、Sb-Te系合金焼結体スパッタリングターゲットで、ガス成分含有量を1500ppm以下とすることが、また下記文献6には、Ge-In-Sb-Teスパッタリングターゲットにおいて、酸素が2000wtppm、2500wtppmの比較例が記載されている。また下記文献7には、Ge-Sb-Teターゲットで、酸素が0.3~1.5%を含有することが記載されている。また、下記文献8には、酸素濃度を5000ppm以上とした焼結体ターゲットが記載されている。さらに、文献9、文献10には、Sb-Te系合金焼結体スパッタリングターゲットにおいて、Siを含有させる技術が開示されている。
[0012]
 このように、Sb-Te系合金ターゲットにおいて、酸素濃度1000~15000ppm(1.5%)程度の含有することは、既に知られた技術と言える。しかしながら、これらの酸素が、Sb-Te系合金ターゲットにおいて、どのような形態で存在しているのか全く解明されていないという問題がある。この結果、ターゲットの特性と機能が十分でないと言える。また、酸化物の微細粒子を含有させてSb-Te系合金ターゲットの特性を向上させる技術は存在せず、Sb-Te系合金ターゲットの多様性に欠ける問題がある。

先行技術文献

特許文献

[0013]
特許文献1 : WO2006/077692号公報
特許文献2 : WO2009/107498号公報
特許文献3 : 特開平5-70937号公報
特許文献4 : WO2006/067937号公報
特許文献5 : WO2006/059429号公報
特許文献6 : WO2005/005683号公報
特許文献7 : 特開2004-323919号公報
特許文献8 : WO2010-137485号公報
特許文献9 : 特開2011-26679号公報
特許文献10 : 特開2005-117031号公報

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0014]
 本発明は、相変化記録層形成等に使用するSb-Te基合金焼結体ターゲットにおいて、酸化物を起因とする、スパッタリングの際の異常放電(アーキング)、ノジュールの発生、パーティクルの発生、ターゲットのクラック又は割れの発生等を効果的に抑制できるターゲットを提供するものである。

課題を解決するための手段

[0015]
 上記問題点を解決するための技術的な手段は、安定しかつ均質なSb-Te基合金焼結体ターゲットは、一定量の酸素や酸化物の付加並びにターゲットの構造及び特性を工夫することによって得ることができるとの知見を得た。具体的にはターゲットを構成している酸素量や酸化物のコントロールによって、ターゲットの特性を向上させ、安定したSb-Te基合金の特性を向上することである。また、酸化物の均一性と微細化を向上させることによって、ターゲットの特性を向上させ、安定したスパッタリングを実現することができる。
[0016]
 この知見に基づき、本発明は
 1)Sb含有量が10~60at%、Te含有量が20~60at%、残部がAg、In、Geから選択した一種以上の元素及び不可避的不純物からなるスパッタリングターゲットであって、酸化物の平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とするSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット、を提供する。
 2)酸化物の最大粒径が、1.5μm以下であることを特徴とする上記1)に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。
 3)1μm以上の酸化物粒子数が、全酸化物粒子数の0.5%以下であることを特徴とする上記1)又は2)に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。
 4)さらに、Ga、Ti、Au、Pt、Pd、Bi、B、C、Mo、Siから選択した一種以上の元素を30at%以下含有することを特徴とする上記1)~3)のいずれか一に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。
 5)さらに酸化物として、Ga、Ti、Au、Pt、Pd、Bi、B、C、Mo、Siから選択した一種以上の元素の酸化物を含有することを特徴とする上記1)~4)のいずれか一に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。 
 6)ターゲット中の酸素の平均含有量が1500~2500wtppmであることを特徴とする上記1)~5)のいずれか一に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。
 7)ターゲット中の酸素の最大含有量が3500ppm以下であることを特徴とする上記1)~6)のいずれか一に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。
 8)ターゲット中の酸素の濃度差が2000wtppm以下であることを特徴とする上記1)~7)のいずれか一に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。
 9)さらに、Mg、Al、Si、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、Ce、Cdから選択した1種以上の元素からなる酸化物が0.1~5mol%含有することを特徴とする上記1)~5)のいずれか一項に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。 

発明の効果

[0017]
 本発明のSb-Te基合金焼結体は、ターゲットを構成している酸素量及び酸化物のコントロールによってSb-Te基合金の特性を向上することである。すなわち、酸素濃度の均一性を図り、酸化物粒子を微細化することによって、ターゲットの特性を向上させ、安定したスパッタリングを実現することができる。これにより、酸化物を起点とする異常放電を防止することが可能となり、アーキングによるパーティクルの発生を抑制することができ、さらにスパッタ膜の均一性が向上するという優れた効果を有する。

図面の簡単な説明

[0018]
[図1] ターゲットの断面の4箇所について、SEM(走査型電子顕微鏡)により、視野中の、4箇所の最大の粒子径、1μmを超える粒子数、及び全粒子数を測定する説明図である。

発明を実施するための形態

[0019]
 本発明のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲットは、Sb含有量が10~60at%、Te含有量が20~60at%、残部がAg、In、Geから選択した一種以上の元素及び不可避的不純物からなるスパッタリングターゲットからなる。上記成分のSb含有量及びTe含有量並びにAg、In、Geから選択した一種以上の元素の含有量については、相変化記録用材料として、すなわち相変態を利用して情報を記録する媒体として使用する場合の、好適な材料と成分組成(組成範囲を含む)を示すものである。
[0020]
 Sb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット中で、酸化物を微細分散させるためには、酸化物の最大粒径を1.5μm以下、平均粒径を0.5μm以下とするのが好ましく、さらに1μm以上の酸化物粒子数が、全酸化物粒子数の1.5%以下、さらには0.5%以下であることが望ましい。これらは、Sb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲットの使用形態に対応させて、任意に調節できる。以上により、微細な酸化物粒子が分散したアーキングの少ないSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲットを得ることができる。
[0021]
 前記1μm以上の酸化物粒子数が、全酸化物粒子数の1.5%以下、さらには0.5%以下であることについては、特定に視野における場合を想定しているが、この測定は、次に方法によって測定できる。すなわち、ターゲットの断面において、SEM(走査型電子顕微鏡)により、2000倍の視野を観察する。この視野中の、最大の粒子径、1μmを超える粒子数、及び全粒子数を測定する。なお、粒子径は粒子の最大径を円とする円の直径として測定する。さらに、ターゲット内での偏りを評価するため、図1に示すように、断面の4箇所について、同様に測定し、4箇所の平均値として算出する。
[0022]
 また、本発明は、副成分として、さらにGa、Ti、Au、Pt、Pd、Bi、B、C、Mo、Siから選択した一種以上の元素を30at%以下含有させることができる。これらの成分も亦、相変化記録用材料として、すなわち相変態を利用して情報を記録する媒体として使用する場合の、好適な材料と成分組成(組成範囲を含む)を示すものである。この場合も、相変化記録用材料からなる薄膜の使用形態に応じて、任意に選択し、添加することができる。
[0023]
 また、これらの元素も、Ag、In、Geと同様に、酸化物を形成する元素となるので、Ga、Ti、Au、Pt、Pd、Bi、B、C、Mo、Si、から選択した一種以上の元素の酸化物の粒子として、Sb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲットに含有させることができる。そして、この場合も同様に、これらの酸化物粒子の微細化のために、平均粒径0.5μm以下、酸化物の最大粒径を1.5μm以下、さらに1μm以上の酸化物粒子数が、全酸化物粒子数の0.5%以下であることが望ましい。
[0024]
 本願発明のターゲットにおいて、酸素の平均含有量を1500~2500wtppmとするのが好ましい。酸素の存在は、スパッタリング成膜の熱安定性を向上させる一方で、ターゲット中に、構成元素と酸素からなる酸化物の粒子が生成する。そして、酸化物粒子は異常放電の原因となり得る。したがって、酸素含有量は上記の範囲をすることが好ましい。また、ターゲット中の酸素量は、場所によって濃度差がある場合がある。多いところでは3500ppmに達する場合がある。スパッタリング膜の均一性から濃度差があることは好ましくないので、2000wtppm以下とすることが望ましいと言える。
[0025]
 酸素の測定は、ターゲット断面の任意の4箇所(図1に示す同じ箇所)について測定し、その4箇所の平均酸素濃度、4箇所のうちの最大の酸素濃度、4箇所の各酸素濃度間の最大の差異を、それぞれ算出及び特定し、酸素の平均含有量、最大含有量、濃度差とする。なお、酸素の分析は、炭素・硫黄・酸素・窒素・水素分析の分野でよく使用されるLECO社製分析装置を用いて実施することができる。
[0026]
 さらに、本発明は、Mg、Al、Si、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、Ce、Cdから選択した1種以上の元素からなる酸化物を0.1~5mol%含有させることができる。酸化物の存在は、スパッタリング成膜の熱安定性を向上させる。しかしながら過剰の存在は、異常放電が発生し易くなるので酸化物は、5mol%以下が望ましい。また、0.1mol%未満では、効果がないので、上記の範囲とする。これらの酸化物も微細に分散させることが好ましく、平均粒径を0.5μm以下、酸化物の最大粒径を1.5μm以下、さらに1μm以上の酸化物粒子数が、全酸化物粒子数の0.5%以下であることが望ましい。
[0027]
 次に、Sb-Te基合金の製造の好適な例を示す。まず、各構成元素の原料ショットを秤量し、過度な酸化を抑制するために粒径を整え(通常5mm以下のものを使用)、ジェットミルなどを用いて微粉砕して得たSb-Te基合金粉末を使用する。次に、これらの粉末を、真空引きした(通常、8.5×10 -3Pa以下に真空引き)溶解炉で、950℃で10分間保持して、真空溶解する。その後、高純度Arガスを用いて粒径20μm程度にガスアトマイズを実施する。
[0028]
 粉末中の酸化物を微細化し、均一分散させるために、ジェットミル粉砕を施す。これにより、通常平均粒径2μm、最大結晶粒径5μmとし、酸素含有量を1500~2800wtppmとする。この原料粉を用いて、ホットプレスを行う。ホットプレスの条件は、通常、真空中、昇温速度:5~10℃/分、最終到達温度:400~600°C、プレス圧力:200~400kgf/cm の範囲で焼結して、ターゲットを作製する。
[0029]
 上記ジェットミルにおける粉砕及びホットプレスの条件を設定して、本願発明の条件に従った、酸化物の平均粒径を0.5μm以下に、さらに1μm以上の酸化物粒子数が、全酸化物粒子数の0.5%以下、平均粒径が2~5μmとなるようにSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲットを製造する。さらには、酸素の平均含有量が1500~2500wtppmとなるように、Sb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲットを製造する。上記ターゲットの条件は、スパッタリングの際の、パーティクルの発生、異常放電(アーキング)、ノジュールの発生、ターゲットのクラック又は割れの発生を好適に抑制する上で必要不可欠な条件である。この条件を備えたターゲットを用いてスパッタリングすることにより、従来に比較して、より均一な膜を形成することが可能となる。
[0030]
 特に、パーティクル発生の原因は、Sb-Te基合金ターゲットに含有する酸化物粒子の径や酸素濃度によって、大きな影響を受ける。上記ターゲットの条件は、アーキング及びパーティクルの発生を大きく抑制できる効果がある。また、ターゲットに含まれる酸化物の粒子径を小さくすることにより、エロージョンされたターゲットの表面を、エロージョン後も平滑とすることができ、従前のエロージョン面に発生した凹凸にリデポが付着し、それがノジュールに成長し、これが崩壊することによって発生するパーティクルも抑制することが可能となるという利点がある。
[0031]
 また、本願発明のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲットは、副成分として、Ga、Ti、Au、Pt、Pd、Bi、B、C、Mo、Siから選択した1種以上の元素を含有させることができる。これは、ガスアトマイズの段階で原料に投入するのが好ましい。また、Mg、Al、Si、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、Ce、Cdから選択した1種以上の元素からなる酸化物を含有させることができる。これは、ジェットミル粉砕後の段階で原料に投入するのが好ましい。
[0032]
 また、Sb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲットの純度を上げることにより、主成分及び酸素又は添加副成分以外の不純物は、それを起点とする異常放電(アーキング)の原因となる。本願発明では、主成分は4N以上の純度を有することが望ましい。そして、この不純物によるアーキングを効果的に防止することが可能となり、アーキングによるパーティクルの発生を抑制することができる。純度はさらに5N以上であることが望ましい。
実施例
[0033]
 本発明の実施例について説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲内で、実施例以外の態様あるいは変形を全て包含するものである。
[0034]
(実施例1-1)
 表1に示すように、ガス成分を除く純度が99.999%(5N)であるTe,Sb,Geの各原料ショットを、Ge:9.5at%、Sb:55.1at%、Te:35.4at%、となるように秤量した。原料は、酸化防止の目的で粒径が5mm以下のものを選定した。次に、これら粉末を真空度8.5×10 -3Pa以下まで真空引きした溶解炉にて950℃10分間保持して高周波溶解した。溶解後、高純度Arガスを用いて粒径20μmを目標としてガスアトマイズを施した。
[0035]
 粉末中の酸化物を微細化、均一分散させるために、ジェットミル粉砕を施した。これにより、平均粒径2μm、最大結晶粒径5μm、酸素含有量が2000wtppmの原料粉が得られた。この原料粉をホットプレス(真空、昇温速度5℃/分、最終到達温度:570℃、プレス圧力200kgf/cm )にて焼結した。
 このようにして得られたターゲットを、上記のような評価を行ったところ、酸素濃度の平均値は2000ppm、最大濃度は3000ppm、酸素濃度の差異は1200ppmであった。酸化物としては、Sb 、GeO が確認された。酸化物の平均粒径は0.2μm、最大粒径は1.2μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.4%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は53個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0036]
(実施例1-2)
 表1に示すような組成にて、実施例1-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。得られたターゲットの平均酸素濃度は1600ppm、酸素濃度の最大値は2500ppm、酸素濃度の差異は1300ppmであった。酸化物としては、Sb 、GeO が確認された。また、酸化物の平均粒径は0.1μm、最大粒径は1.1μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.2%であった。
 このようにして得られたターゲットのスパッタを行った際のパーティクル数は37個と、実施例1よりもパーティクル数がさらに減少し、良好な結果であった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0037]
(実施例1-3)
 表1に示すように、Inを添加したこと以外は、実施例1-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、酸素濃度の平均値は1800ppm、最大濃度は2000ppm、酸素濃度の差異は1500ppmであった。酸化物としては、GeO 、TeO が確認された。酸化物の平均粒径は0.2μm、最大粒径は1.3μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.1%であった。
 また、スパッタを行った際のパーティクル数は80個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0038]
(実施例1-4)
 表1に示すように、Geの代わりにInを添加したこと以外は、実施例1-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、酸素濃度の平均値は2500ppm、最大濃度は3500ppm、酸素濃度の差異は2000ppmであった。酸化物としては、In 、Sb 、TeO が確認された。酸化物の平均粒径は0.1μm、最大粒径は1.3μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.4%であった。
 また、スパッタを行った際のパーティクル数は66個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0039]
(実施例1-5)
 表1に示すように、組成比をGe:70.5、Sb:10.5、Te:19.0に変更したこと以外は、実施例1-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、酸素濃度の平均値は1600ppm、最大濃度は3000ppm、酸素濃度の差異は1000ppmであった。酸化物としては、GeO が確認された。酸化物の平均粒径は0.1μm、最大粒径は1.1μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.4%であった。
 また、スパッタを行った際のパーティクル数は61個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0040]
(実施例1-6)
 表1に示すように、Geの代わりにAgを添加したこと以外は、実施例1-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、酸素濃度の平均値は2000ppm、最大濃度は3500ppm、酸素濃度の差異は500ppmであった。酸化物としては、Ag O、Sb 、TeO が確認された。酸化物の平均粒径は0.2μm、最大粒径は1.1μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.3%であった。
 また、スパッタを行った際のパーティクル数は75個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0041]
(実施例1-7)
 表1に示すように、Biを添加したこと以外は、実施例1-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、酸素濃度の平均値は2300ppm、最大濃度は3400ppm、酸素濃度の差異は1700ppmであった。酸化物としては、Bi 、GeO 、TeO が確認された。酸化物の平均粒径は0.2μm、最大粒径は1.2μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.3%であった。
 また、スパッタを行った際のパーティクル数は79個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0042]
(実施例1-8)
 表1に示すように、Geの一部をGaに置換したこと以外は、実施例1-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、酸素濃度の平均値は1900ppm、最大濃度は2600ppm、酸素濃度の差異は800ppmであった。酸化物の平均粒径は0.2μm、最大粒径は0.9μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.2%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は48個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0043]
(実施例1-9)
 表1に示すように、原料としてSb:20.0at%、Te:55.0at%、Ge:15.0at%、Si:10.0at%を使用し、実施例1-1と同様の条件で焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、酸素濃度の平均値は1700ppm、最大濃度は2000ppm、酸素濃度の差異は900ppmであった。酸化物としては、TeO 、SiO 、が確認された。酸化物の平均粒径は0.1μm、最大粒径は1.0μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.2%であった。
 また、スパッタを行った際のパーティクル数は31個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0044]
(実施例1-10)
 表1に示すように、原料としてSb:18.9at%、Te:47.2at%、Ge:18.9at%、C:15.0at%を使用し、実施例1-1と同様の条件で焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、酸素濃度の平均値は2200ppm、最大濃度は3200ppm、酸素濃度の差異は1000ppmであった。酸化物としては、GeO 、TeO が確認された。酸化物の平均粒径は0.2μm、最大粒径は1.1μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.2%であった。
 また、スパッタを行った際のパーティクル数は52個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0045]
(実施例1-11)
 表1に示すように、原料としてSb:18.9at%、Te:47.2at%、Ge:18.9at%、B:15.0at%を使用し、実施例1-1と同様の条件で焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、酸素濃度の平均値は2100ppm、最大濃度は2900ppm、酸素濃度の差異は900ppmであった。酸化物としては、GeO 、TeO が確認された。酸化物の平均粒径は0.3μm、最大粒径は1.4μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.4%であった。
 また、スパッタを行った際のパーティクル数は68個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0046]
(実施例1-12)
 表1に示すように、原料としてSb:60.0at%、Te:22.0at%、Ge:10.0at%、Ti:8.0at%を使用し、実施例1-1と同様の条件で焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、酸素濃度の平均値は2400ppm、最大濃度は3600ppm、酸素濃度の差異は1500ppmであった。酸化物としては、Sb 、TiO が確認された。酸化物の平均粒径は0.3μm、最大粒径は1.5μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.3%であった。
 また、スパッタを行った際のパーティクル数は54個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0047]
(実施例1-13)
 表1に示すように、原料としてSb:60.0at%、Te:22.0at%、Ge:10.0at%、Mo:8.0at%を使用し、実施例1-1と同様の条件で焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、酸素濃度の平均値は1800ppm、最大濃度は2700ppm、酸素濃度の差異は1200ppmであった。酸化物としては、Sb 、MoO が確認された。酸化物の平均粒径は0.2μm、最大粒径は1.0μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.2%であった。
 また、スパッタを行った際のパーティクル数は65個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0048]
(比較例1-1)
 原料粉を大気中に6時間以上放置することでターゲット中の酸素量を増加させたこと以外は、実施例1-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、表1に示すように、酸素濃度の平均値は5000ppm、最大濃度は10000ppm、酸素濃度の差異は1800ppmであった。酸化物としては、Sb 、GeO が確認された。
 酸化物の平均粒径は0.5μm、最大粒径は2.1μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.6%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は434個と、目標の100個以下を大きく上回ってしまった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0049]
(比較例1-2)
 原料粉に対し水素還元処理を施すことでターゲット中の酸素量を低下させたこと以外は、実施例1-2と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、表1に示すように、酸素濃度の平均値は500ppm、最大濃度は1000ppm、酸素濃度の差異は800ppmであった。酸化物としては、Sb 、GeO が確認された。
 酸化物の平均粒径は0.6μm、最大粒径は2.4μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.65%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は408個と、目標の100個以下を大きく上回ってしまった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0050]
(比較例1-3)
 原料粉を大気中に6時間以上放置し、更に通常の工程で製造した粉末と混合した以外は実施例1-3と同様の製造条件とし、ターゲット中の酸素量、最大酸素濃度、酸素濃度の差異いずれも増加した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、表1に示すように、酸素濃度の平均値は4000ppm、最大濃度は6000ppm、酸素濃度の差異は3500ppmであった。酸化物としては、GeO 、TeO が確認された。
 酸化物の平均粒径は0.6μm、最大粒径は2.8μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.2%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は458個と、目標の100個以下を大きく上回ってしまった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0051]
(比較例1-4)
 通常の工程で製造した粉末と水素還元処理した粉末を混合することとした以外は実施例1-4と同様の製造条件とし、ターゲット中の酸素量、最大酸素濃度、酸素濃度の差異いずれも増加した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、表1に示すように、酸素濃度の平均値は3000ppm、最大濃度は4000ppm、酸素濃度の差異は4000ppmであった。酸化物としては、In 、Sb 、TeO が確認された。
 酸化物の平均粒径は0.1μm、最大粒径は1.1μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.5%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は416個と、目標の100個以下を大きく上回ってしまった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0052]
(比較例1-5)
 原料粉を大気中に6時間以上放置することとした以外は実施例1-5と同様の製造条件とし、ターゲット中の酸素量、最大酸素濃度、酸素濃度の差異いずれも増加した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、表1に示すように、酸素濃度の平均値は3500ppm、最大濃度は5000ppm、酸素濃度の差異は1800ppmであった。酸化物としては、GeO が確認された。
 酸化物の平均粒径は0.2μm、最大粒径は1.8μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.4%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は314個と、目標の100個以下を大きく上回ってしまった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0053]
(比較例1-6)
 原料粉を大気中に6時間以上放置し、更に通常の工程で製造した粉末と混合することとした以外は実施例1-6と同様の製造条件とし、ターゲット中の酸素量、最大酸素濃度、酸素濃度の差異いずれも増加した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、表1に示すように、酸素濃度の平均値は10000ppm、最大濃度は15000ppm、酸素濃度の差異は8000ppmであった。酸化物としては、Ag O、Sb 、TeO が確認された。
 酸化物の平均粒径は0.2μm、最大粒径は2.4μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.3%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は354個と、目標の100個以下を大きく上回ってしまった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0054]
(比較例1-7)
 原料粉を大気中に6時間以上放置し、更に通常の工程で製造した粉末と混合することとした以外は実施例1-7と同様の製造条件とし、ターゲット中の酸素量、最大酸素濃度、酸素濃度の差異いずれも増加した。このようにして得られたターゲットの評価を行ったところ、表1に示すように、酸素濃度の平均値は6300ppm、最大濃度は9400ppm、酸素濃度の差異は4000ppmであった。酸化物としては、Bi 、Ge 、TeO が確認された。
 酸化物の平均粒径は0.6μm、最大粒径は2.5μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.6%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は398個と、目標の100個以下を大きく上回ってしまった。以上の結果を、表1に示す。表1には、ターゲット中に存在する主な酸化物も示す。
[0055]
 上記実施例及び比較例の対比から明らかなように、酸素濃度の均一性を図り、酸化物粒子の微細化することによって、パーティクルの発生を抑制することができることが分かる。これによって、安定したスパッタリングを実現ができ、スパッタ膜の均一性が向上する効果を有する。
[0056]
[表1]


[0057]
(実施例2-1)
 ガス成分を除く純度が99.999%(5N)であるTe,Sb,Geの各原料ショットを、Ge:9.5、Sb:55.1、Te:35.4となるように秤量した。原料は、酸化防止の目的で粒径が5mm以下のものを選定した。次に、これら粉末を真空度8.5×10 -3Pa以下まで真空引きした溶解炉にて950℃10分間保持して高周波溶解した。溶解後、高純度Arガスを用いて粒径20μmを目標としてガスアトマイズを施した。
[0058]
 粉末中の酸化物を微細化、均一分散させるために、ジェットミル粉砕を施した。これにより、平均粒径2μm、最大結晶粒径5μm、酸素含有量が2000wtppmの原料粉が得られた。この原料粉に、SiO を5mol%添加した後、ホットプレス(真空、昇温速度5℃/分、最終到達温度:570℃、プレス圧力200kgf/cm )にて焼結した。
 このようにして得られたターゲットを、上記のような評価を行ったところ、酸化物の平均粒径は0.1μm、最大粒径は1.3μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.4%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は42個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0059]
(実施例2-2)
 SiO を添加しない以外は、実施例2-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.1μm、最大粒径は1.0μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.2%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は59個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0060]
(実施例2-3)
 Inを添加し、組成比をGe:16.0、In:9.1、Sb:16.1、Te:53.8に変更、SiO を3mol%添加した。それ以外は、実施例2-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.5μm、最大粒径は0.8μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.1%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は75個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0061]
(実施例2-4)
 Geに代わってInを添加し、組成比をIn:11.2、Sb:33.5、Te:50.3に変更、SiO を4mol%添加した。それ以外は、実施例2-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.3μm、最大粒径は1.1μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.3%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は60個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0062]
(実施例2-5)
 組成比をGe:70.5、Sb:10.5、Te:19.0に変更、TiO を2mol%添加した。それ以外は、実施例2-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.45μm、最大粒径は0.5μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.4%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は83個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0063]
(実施例2-6)
 組成比をAg:21.1、Sb:21.1、Te:52.8に変更、MgO を1mol%添加した。それ以外は、実施例2-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.1μm、最大粒径は0.7μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.5%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は61個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0064]
(実施例2-7)
 SiO の代わりにAl を添加したこと以外は、実施例2-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.1μm、最大粒径は0.6μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.3%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は64個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0065]
(実施例2-8)
 SiO の代わりにZrO を添加したこと以外は、実施例2-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.3μm、最大粒径は0.9μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.4%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は73個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0066]
(実施例2-9)
 SiO の代わりにNb を添加したこと以外は、実施例2-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.2μm、最大粒径は1.1μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.5%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は79個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0067]
(実施例2-10)
 SiO の代わりにHfO を添加したこと以外は、実施例2-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.2μm、最大粒径は0.8μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.3%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は62個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0068]
(実施例2-11)
 SiO の代わりにTa を添加したこと以外は、実施例2-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.3μm、最大粒径は1.0μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.4%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は62個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0069]
(実施例2-12)
 SiO の代わりにNb とTa を比率1:1で添加したこと以外は、実施例2-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.3μm、最大粒径は1.0μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.4%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は75個と、目標の100個以下となり、良好な結果であった。
[0070]
(比較例2-1)
 SiO の添加量を6mol%まで増加、更には酸化物の粒径を増加させた。それ以外は、実施例2-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.7μm、最大粒径は1.8μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.6%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は382個と、目標の100個以下を大きく上回ってしまった。
[0071]
(比較例2-2)
 SiO を添加しなかったこと以外は、比較例2-1と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.8μm、最大粒径は1.9μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.65%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は429個と、目標の100個以下を大きく上回ってしまった。
[0072]
(比較例2-3)
 SiO の添加量を0.08mol%まで減らしたこと以外は、実施例2-3と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.05μm、最大粒径は1.1μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.2%であった。また、スパッタを行った際のパーティクル数は74個と、目標の100個以下とはなったものの、膜の熱的安定性が得られなかった。
[0073]
(実施例2-13)
 原料粉の粒径を選定することで、酸化物の粒径を粗くした。それ以外は、実施例42-と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は1.0μm、最大粒径は2.5μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.7%であった。スパッタを行った際のパーティクル数は124個と、上記比較例1~3に比べてパーティクル数が大きく低減している。しかし、実施例1~12と対比すると、目標の100個よりもやや増加しているので、目的・用途に応じて、添加する酸化物の粒子径を調整することが必要であることが分かる。
[0074]
(実施例2-14)
 添加元素であるTiO を、原料粉の粒径を選定することで粒径を粗くした。それ以外は、実施例2-5と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.6μm、最大粒径は2.1μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.4%であった。スパッタを行った際のパーティクル数は148個と、上記比較例2-1~2-3に比べてパーティクル数が大きく低減している。しかし、実施例2-1~2-12と対比すると、目標の100個よりもやや増加しているので、実施例13と同様に、目的・用途に応じて、添加する酸化物の粒子径を調整することが必要であることが分かる。
[0075]
(実施例2-15)
 ホットプレス温度のみを30℃高くし、それ以外は、実施例2-6と同様の製造条件として焼結体を作成した。このようにして得られたターゲットの断面を観察した結果、酸化物の平均粒径は0.9μm、最大粒径は1.1μm、1μm以上の粒子数は全粒子数に対し0.65%であった。スパッタを行った際のパーティクル数は116個と、上記比較例2-1~2-3に比べてパーティクル数が大きく低減している。しかし、実施例2-1~2-12と対比すると、目標の100個よりもやや増加しているので、実施例2-13と同様に、目的・用途に応じて、添加する酸化物の粒子径を調整することが必要であることが分かる。
[0076]
 以上の結果を、表2に示す。上記実施例と比較例の対比から明らかなように、Sb-Te基合金焼結体にMg、Al、Si、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、Ce、Cdから選択した1種以上の元素からなる酸化物を適度な量を含有させることが、スパッタリング時のパーティクルの発生を抑制することができ、スパッタ膜の均一性を向上させることに有効であることが分かる。また、さらに酸化物の粒子径を調整することにより、この効果をさらに向上させることができる。
[0077]
[表2]


産業上の利用可能性

[0078]
 本発明のSb-Te基合金焼結体は、本発明のSb-Te基合金焼結体は、ターゲットを構成している酸化物粒子及び酸素量のコントロールによってSb-Te基合金の特性を向上することである。すなわち、酸化物粒子の微細化を図り、酸素濃度を均一化することによって、ターゲットの特性を向上させ、安定したスパッタリングを実現することができる。これにより、酸化物を起点とする異常放電を防止することが可能となり、アーキングによるパーティクルの発生を抑制することができ、さらにスパッタ膜の均一性が向上するという優れた効果を有する。本発明は、相変化記録用材料、すなわち相変態を利用して情報を記録する媒体として極めて有用である。

請求の範囲

[請求項1]
 Sb含有量が10~60at%、Te含有量が20~60at%、残部がAg、In、Geから選択した一種以上の元素及び不可避的不純物からなるスパッタリングターゲットであって、酸化物の平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とするSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。
[請求項2]
 酸化物の最大粒径が、1.5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。
[請求項3]
 1μm以上の酸化物粒子数が、全酸化物粒子数の0.5%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。
[請求項4]
 さらに、Ga、Ti、Au、Pt、Pd、Bi、B、C、Mo、Siから選択した一種以上の元素を30at%以下含有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。
[請求項5]
 さらに酸化物として、Ga、Ti、Au、Pt、Pd、Bi、B、C、Mo、Siから選択した一種以上の元素の酸化物を含有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。 
[請求項6]
 ターゲット中の酸素の平均含有量が1500~2500wtppmであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。
[請求項7]
 ターゲット中の酸素の最大含有量が3500ppm以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。
[請求項8]
 ターゲット中の酸素の濃度差が2000wtppm以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。
[請求項9]
 さらに、Mg、Al、Si、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、Ce、Cdから選択した1種以上の元素からなる酸化物が0.1~5mol%含有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のSb-Te基合金焼結体スパッタリングターゲット。 

図面

[ 図 1]