明 細 書
技術分野
[0001]
本発明は、外部電力線との接触を介しての充電又は給電に用いる通電アームを備える電動車両に関する。
背景技術
[0002]
特開2013-233037号公報(以下「JP 2013-233037 A」という。)では、電動車両10の走行中に、充電アーム18を車幅方向に延出し、正極架線24p及び負極架線24nからなる架線24に接触させて給電装置26から充電を行う(要約)。架線24には、図示しない外部電源装置から直流又は交流の高電圧が印加される([0023])。充電アーム18と架線24との接触は、スライドレール37上でアクチュエータ38を移動させて充電アーム18を延出させることにより行われる([0034]、[0035]、[0045])。
発明の概要
[0003]
上記のように、JP 2013-233037 Aでは、スライドレール37上でアクチュエータ38を移動させて充電アーム18を延出させることにより、充電アーム18と架線24とを接触させる([0034]、[0035]、[0045])。すなわち、充電アーム18と架線24との位置合わせは、運転者がステアリングを操作して電動車両10の姿勢を調整することにより行う。
[0004]
電動車両10の走行中に充電アーム18(通電アーム)を架線24(外部電力線)に接触させる場合、走行に起因する車体の姿勢の変化(移動を含む。)に伴って接触状態が不安定となるおそれがある。接触状態が不安定となると、接触と非接触が交互に生じることで充電アーム18と架線24の間にアークが発生する等の不具合が生じる可能性がある。
[0005]
本発明は、上記のような課題を考慮してなされたものであり、走行中において通電アームと外部電力線との接触状態を安定させることが可能な電動車両を提供することを目的とする。
[0006]
本発明に係る電動車両は、電源と、車体に対して回転可能に連結された固定端と、前記固定端での回転に伴って車幅方向への変位が可能な自由端と、前記固定端と前記自由端との間に配置された導電部材とを有し、前記導電部材のうち前記固定端側が前記電源と電気的に接続された通電アームと、前記通電アームの回転角度を検出する角度検出器と、外部電力線に対する前記自由端の接触を検出する接触検出器と、前記車体の姿勢を制御する姿勢制御装置とを備えるものであって、前記電動車両の走行中に前記接触検出器が前記自由端の接触を検出しているとき、前記姿勢制御装置は、前記通電アームの回転角度が目標回転角度又は目標回転角度範囲に近づくように前記車体の姿勢を制御することを特徴とする。
[0007]
本発明によれば、通電アームの自由端が外部電力線に接触しているとき、通電アームの回転角度が目標回転角度又は目標回転角度範囲に近づくように車体の姿勢を制御する。これにより、外部電力線に対する通電アームの接触を安定させることが可能となる。
[0008]
すなわち、電動車両の走行中に通電アームの自由端を外部電力線に接触させる場合、走行に起因する車体の姿勢の変化(移動を含む。)に伴って接触状態が不安定となるおそれがある。接触状態が不安定となると、接触と非接触が交互に生じることで自由端と外部電力線の間にアークが発生する等の不具合が生じる可能性がある。本発明によれば、このような不具合を防止することが可能となる。
[0009]
前記電動車両は、電動パワーステアリング機構を備え、前記電動パワーステアリング機構は、ステアリングと、前記ステアリングに反力を付与するステアリング反力付与装置と、前記ステアリング反力付与装置を制御するステアリング反力制御装置とを備え、前記ステアリング反力制御装置は、前記回転角度が前記目標回転角度と一致していると判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていると判定した場合、前記ステアリングの舵角の変化を抑制するように前記ステアリング反力を前記ステアリング反力付与装置に発生させ、前記回転角度が前記目標回転角度と一致していないと判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていないと判定した場合、前記回転角度が前記目標回転角度又は前記目標回転角度範囲に近づくように前記ステアリング反力を前記ステアリング反力付与装置に発生させてもよい。
[0010]
これにより、通電アームの自由端と外部電力線との接触状態を保つように運転者のステアリング操作を誘導することが可能となる。
[0011]
前記電動車両は、操舵輪のトー角を制御するトー角制御アクチュエータと、前記トー角制御アクチュエータを制御するトー角制御装置とを備え、前記トー角制御装置は、前記回転角度が前記目標回転角度と一致していると判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていると判定した場合、前記トー角の変化を抑制するように前記トー角制御アクチュエータを制御し、前記回転角度が前記目標回転角度と一致していないと判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていないと判定した場合、前記回転角度を前記目標回転角度又は前記目標回転角度範囲に近付けるように前記トー角制御アクチュエータを制御してもよい。
[0012]
これにより、通電アームの自由端と外部電力線との接触状態を保つように操舵輪のトー角を自動で調整することが可能となる。
[0013]
前記電動車両は、左右駆動輪の駆動力配分を調整する駆動力配分調整機構を備え、前記駆動力配分調整機構は、前記回転角度が前記目標回転角度と一致していると判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていると判定した場合、前記駆動力配分を維持し、前記回転角度が前記目標回転角度と一致していないと判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていないと判定した場合、前記回転角度を前記目標回転角度又は前記目標回転角度範囲に近付けるように前記駆動力配分を変化させてもよい。
[0014]
これにより、通電アームの自由端と外部電力線との接触状態を保つように左右駆動輪の駆動力配分を自動で調整することが可能となる。
[0015]
前記電動車両は、左右輪の制動力配分を調整する制動力配分調整機構を備え、前記制動力配分調整機構は、前記回転角度が前記目標回転角度と一致していると判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていると判定した場合、前記制動力配分を維持し、前記回転角度が前記目標回転角度と一致していないと判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていないと判定した場合、前記回転角度を前記目標回転角度又は前記目標回転角度範囲に近付けるように前記制動力配分を変化させてもよい。
[0016]
これにより、通電アームの自由端と外部電力線との接触状態を保つように左右輪の制動力配分を自動で調整することが可能となる。
[0017]
本発明に係る電動車両は、電源と、走行路に沿って線状(すなわち、直線状又は曲線状)に配置される外部電力線に接触する受電部を一端に有し、他端が前記電源に電気的に接続される通電アームと、走行中に前記通電アームを車体の外方に向かって変位させるアーム変位機構と、前記外部電力線と前記受電部が接触しながら前記電動車両が走行している際、前記外部電力線と前記受電部との間で所定の接触状態を維持するように又は前記所定の接触状態に誘導するように前記電動車両の姿勢を維持又は変化させる姿勢制御装置とを有することを特徴とする。
[0018]
本発明によれば、外部電力線と充電アームの受電部が接触しながら電動車両が走行している際、外部電力線と受電部との間で所定の接触状態を維持するように又は前記所定の接触状態に誘導するように電動車両の姿勢を維持又は変化させる。これにより、電動車両の走行中において外部電力線に対する電動車両の相対位置を制御し易くすることができる。
[0019]
また、例えば、所定の接触状態を維持するように電動車両の姿勢を維持又は変化させる場合、外部から電源への充電中に又は電源から外部への給電中に外部電力線と受電部の接触圧力を維持し易くなる。従って、外部電力線と受電部の間にアークを発生し難くして、電源への充電又は電源からの給電を安定的に行うことが可能となる。
図面の簡単な説明
[0020]
[図1] 本発明の第1実施形態に係る電動車両を備える充電システムの概略構成図である。
[図2] 第1実施形態における前記充電システムの一部を強調して示す平面図である。
[図3] 第1実施形態における前記充電システムの一部を強調して示す正面図である。
[図4] 第1実施形態における外部給電装置の一部を概略的に示す外観図である。
[図5] 第1実施形態における通電アーム制御のフローチャートである。
[図6] 第1実施形態における車体姿勢制御のフローチャートである。
[図7] 第1実施形態における目標ステアリング反力の算出に関する説明図である。
[図8] 本発明の第2実施形態に係る電動車両を備える充電システムの概略構成図である。
[図9] 第2実施形態における車体姿勢制御のフローチャートである。
[図10] 第2実施形態におけるトー角の補正に関する説明図である。
[図11] 本発明の第3実施形態に係る電動車両を備える充電システムの概略構成図である。
[図12] 第3実施形態における車体姿勢制御のフローチャートである。
[図13] 第3実施形態における駆動力配分比の補正に関する説明図である。
[図14] 本発明の第4実施形態に係る電動車両を備える充電システムの概略構成図である。
[図15] 第4実施形態における車体姿勢制御のフローチャートである。
[図16] 第4実施形態における制動力配分比の補正に関する説明図である。
発明を実施するための形態
[0021]
I.第1実施形態
1A.構成
[1A-1.全体構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電動車両12を備える充電システム10の概略構成図である。図2は、充電システム10の一部を強調して示す平面図である。図3は、充電システム10の一部を強調して示す正面図である。図1~図3に示すように、充電システム10は、電動車両12(以下「車両12」ともいう。)に加え、外部給電装置14(以下「給電装置14」ともいう。)を含む。図2及び図3における方向(「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」)は、いずれも車両12を基準とした方向である(図4も同様である。)。
[0022]
第1実施形態では、給電装置14から車両12に対して電力を供給し、車両12の走行用バッテリ24(図1)の充電等が行われる。反対に、車両12から外部装置(給電装置14等)に電力を供給してもよい。
[0023]
[1A-2.電動車両12]
(1A-2-1.車両12の全体構成)
図1~図3に示すように、車両12は、走行モータ20(以下「モータ20」ともいう。)と、インバータ22と、走行用バッテリ24(以下「バッテリ24」ともいう。)と、SOCセンサ26と、通電アーム28と、DC/DCコンバータ30と、コンデンサ32と、電圧センサ34と、電流センサ36と、アーム展開機構38(以下「展開機構38」ともいう。)と、アーム展開スイッチ40と、車速センサ42と、ヨーレートセンサ44と、電動パワーステアリング機構46(以下「EPS機構46」という。)と、通電電子制御装置48(以下「通電ECU48」又は「ECU48」という。)とを有する。
[0024]
(1A-2-2.走行モータ20)
モータ20は、3相交流ブラシレス式であり、インバータ22を介してバッテリ24から供給される電力に基づいて車両12の駆動力F[N](又はトルク[N・m])を生成する。また、モータ20は、回生を行うことで生成した電力(回生電力Preg)[W]をバッテリ24に出力することでバッテリ24の充電を行う。回生電力Pregは、図示しない降圧型コンバータ、低電圧バッテリ及び補機に出力してもよい。
[0025]
(1A-2-3.インバータ22)
インバータ22は、3相フルブリッジ型の構成とされて、バッテリ24からの直流を3相の交流に変換してモータ20に供給する一方、回生動作に伴う交流/直流変換後の直流をバッテリ24等に供給する。
[0026]
(1A-2-4.バッテリ24及びSOCセンサ26)
バッテリ24は、複数のバッテリセルを含む蓄電装置(エネルギストレージ)であり、例えば、リチウムイオン2次電池、ニッケル水素電池等を利用することができる。或いは、バッテリ24の代わりに又はバッテリ24に加えて、キャパシタ等の蓄電装置を用いることも可能である。なお、インバータ22とバッテリ24との間に図示しないDC/DCコンバータを設け、バッテリ24の出力電圧又はモータ20の出力電圧を昇圧又は降圧してもよい。
[0027]
SOCセンサ26は、バッテリ24の残容量(SOC:State of Charge)を検出してECU48に出力する。
[0028]
(1A-2-5.通電アーム28)
通電アーム28(以下「アーム28」ともいう。)は、給電装置14からの電力によりバッテリ24を充電する際に給電装置14と接触する部位である。図2に示すように、アーム28は、前輪Wf及び後輪Wrの間において、その一端(固定端)が回転軸50を中心として回動可能に車体52に連結されている。このため、アーム28は、給電装置14との接触時に車両12の車幅方向又は側方(本実施形態では右側)に向かって展開(変位)可能である。
[0029]
通電アーム28の先端には、受電部62(通電部)及び接触センサ63を有する通電ヘッド60が設けられる。受電部62は、正極端子64p及び負極端子64nを含む。正極端子64p及び負極端子64nは、それぞれ図示しない導電部材を介して固定端側と電気的に接続される。受電部62が給電装置14の外部電力線170と接触することにより車両12と給電装置14が電気的に接続される。
[0030]
接触センサ63は、通電ヘッド60と外部給電装置14(後述する外部電力線170)との接触を検出するものであり、例えば、通電ヘッド60の一部に配置された圧力センサからなる。或いは、接触センサ63は、受電部62とコンバータ30との間に配置された電圧センサとして構成してもよい。
[0031]
通電アーム28の主な構成については、例えば、JP 2013-233037 Aに記載のものを用いることができる。
[0032]
(1A-2-6.DC/DCコンバータ30)
DC/DCコンバータ30(以下「コンバータ30」又は「車両側コンバータ30」ともいう。)は、給電装置14の出力電圧(以下「出力電圧Vs」又は「給電電圧Vs」という。)を変圧してインバータ22及びバッテリ24に出力する。本実施形態では、コンバータ30は、給電電圧Vsを降圧して車両12側に出力する。しかしながら、コンバータ30は、給電電圧Vsの昇圧のみを行うもの又は昇圧及び降圧を行うものであってもよい。
[0033]
(1A-2-7.コンデンサ32)
コンデンサ32は、アーム28の受電部62とコンバータ30との間に配置される。コンデンサ32は、例えば、給電装置14からの電力を一時的に蓄えて電圧変動を抑制する。
[0034]
(1A-2-8.電圧センサ34及び電流センサ36)
電圧センサ34は、DC/DCコンバータ30と分岐点70p、70nとの間に配置され、DC/DCコンバータ30の2次側(出力側)の電圧(以下「コンバータ出力電圧Vc2」、「コンバータ2次電圧Vc2」又は「2次電圧Vc2」という。)を検出する。
[0035]
電流センサ36は、DC/DCコンバータ30と分岐点70pとの間に配置され、DC/DCコンバータ30の2次側の電流(以下「コンバータ出力電流Ic2」、「コンバータ2次電流Ic2」又は「2次電流Ic2」という。)を検出する。
[0036]
(1A-2-9.アーム展開機構38及びアーム展開スイッチ40)
アーム展開機構38(アーム変位機構)は、アーム28を展開させるものであり、図2に示すように、スライダユニット80と、ダンパユニット82と、アーム角度センサ84(以下「角度センサ84」又は「センサ84」ともいう。)とを有する。スライダユニット80は、スライダ90及びスライダ支持部92を含む。スライダ90は、ECU48からの指令に基づき、スライダ支持部92に対して摺動可能である。スライダ90は、例えば、電磁式又は空気圧式のリニアアクチュエータである。
[0037]
ダンパユニット82は、その一端(第1端)がスライダ90に回動自在に連結され、他端(第2端)がアーム28に回動自在に連結されている。アーム28を展開する際には、スライダ90を車両12の前側に変位させてダンパユニット82の第1端を前方に変位させる。アーム28を収納する際には、スライダ90を車両12の後ろ側に変位させてダンパユニット82の第1端を後方に変位させる。
[0038]
角度センサ84は、アーム28の回転角度(以下「回転角度θarm」、「アーム角度θarm」又は「検出角度θarm」という。)[度]を検出するものであり、例えば、ポテンショメータにより構成される。ここでの回転角度θarmは、例えば、アーム28の初期位置(図2において2点鎖線で示す位置)を基準とする角度とすることができる。或いは、回転角度θarmは、車両12の前後方向において回転軸50を通過する仮想直線(図示せず)に対する角度としてもよい。
[0039]
アーム展開スイッチ40(以下「展開スイッチ40」、「スイッチ40」ともいう。)は、ユーザの操作によりアーム28の展開を指令するものである。スイッチ40は、例えば、ステアリング100(特にステアリングホイール)(図1)の一部に形成される。スイッチ40がオンのとき、展開機構38を介してアーム28を展開させ、スイッチ40がオフのとき、展開機構38を介してアーム28を収納させる。
[0040]
(1A-2-10.車速センサ42及びヨーレートセンサ44)
車速センサ42は、車両12の車速V[km/h]を検出する。ヨーレートセンサ44は、車両12のヨーレートYr[度/sec]を検出する。
[0041]
(1A-2-11.EPS機構46)
EPS機構46は、ステアリング100(ここでは、ステアリングコラムを含む。)に加え、EPSモータ102と、ステアリング舵角センサ104(以下「舵角センサ104」又は「センサ104」ともいう。)と、EPS電子制御装置106(以下「EPS ECU106」という。)とを有する。
[0042]
EPSモータ102は、EPS ECU106からの指令に基づいて、ステアリング100に対して反力Fstr(以下「操舵反力Fstr」ともいう。)を付与する。ステアリング舵角センサ104は、ステアリング100の舵角θstr(以下「ステアリング舵角θstr」ともいう。)を検出する。
[0043]
EPS ECU106は、EPSモータ102が生成する操舵反力Fstrを、ステアリング舵角θstr、車速V及びヨーレートYr等に基づいて制御する。EPS ECU106は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部を有する。
[0044]
(1A-2-12.ECU48)
ECU48は、車両側通信線110(図1)を介して車両12の各部からの入力を受け付け又は各部を制御するものであり、入出力部120、演算部122及び記憶部124を含む。本実施形態において、ECU48の演算部122は、アーム制御部130と、姿勢制御部132と、通電制御部134とを有する。アーム制御部130は、アーム展開機構38を介して通電アーム28を制御する。姿勢制御部132は、EPS機構46を介して車両12(車体52)の姿勢を制御する。通電制御部134は、バッテリ24への充電又はバッテリ24からの給電を制御する。
[0045]
[1A-3.外部給電装置14]
図4は、外部給電装置14の一部を概略的に示す外観図である。図1~図4に示すように、給電装置14は、直流電源150、接触給電部152、DC/DCコンバータ154(以下「コンバータ154」又は「外部コンバータ154」ともいう。)、ダイオード156、電圧センサ158、入力装置160及び制御装置162を有する。以下では、直流電源150、コンバータ154、ダイオード156、電圧センサ158、入力装置160及び制御装置162を電圧印加部164ともいう。電圧印加部164は、接触給電部152に対して電圧を印加する部位である。
[0046]
(1A-3-1.直流電源150)
直流電源150(以下「電源150」ともいう。)は、車両12に対して電力を供給する。本実施形態の電源150は、例えば、複数のバッテリが直列に接続されて構成される。或いは、電源150は、単一のバッテリとして構成されてもよい。或いは、電源150は、交流の商用電源とAC/DCコンバータとの組合せ(図示せず)により構成することも可能である。
[0047]
(1A-3-2.接触給電部152)
(1A-3-2-1.接触給電部152の全体)
接触給電部152(以下「給電部152」ともいう。)は、車両12のアーム28と接触して電源150からの電力を車両12側に供給する部位である。図1~図4に示すように、本実施形態の接触給電部152は、外部電力線170と、電力線保持部172と、複数の支柱174とを含む。
[0048]
(1A-3-2-2.外部電力線170)
外部電力線170(以下「電力線170」ともいう。)は、正極端子180p及び負極端子180nを備える。図3及び図4に示すように、一対の正極端子180p及び負極端子180nは、電力線保持部172に形成された溝部182内に形成される。このため、外部電力線170は、走行路190(図2等)の上方に配置された架線として構成される。また、図2に示すように、正極端子180p及び負極端子180nは、車両12の走行路190に沿って配置されている。特に本実施形態の正極端子180p及び負極端子180nは、直線状に配置される。車両12の進行方向における正極端子180p及び負極端子180nの長さは、例えば、1~100mの範囲におけるいずれかの値とすることができる。
[0049]
(1A-3-2-3.電力線保持部172及び支柱174)
上記のように、電力線保持部172は、その溝部182において外部電力線170を保持する。支柱174は、走行路190の側方において垂直に設けられ、外部電力線170及び電力線保持部172を支持する。
[0050]
(1A-3-3.外部コンバータ154)
コンバータ154は、電源150からの入力電圧(電源電圧Vcc)を変圧して外部電力線170に出力する。コンバータ154は、例えば、昇降圧式コンバータである。或いは、電源電圧Vccに依存して、コンバータ154は、昇圧式又は降圧式のコンバータとすることも可能である。
[0051]
コンバータ154の変圧率は、制御装置162が制御する。すなわち、コンバータ154に対する駆動信号Sd2のデューティ比を調整することにより、電源電圧Vccを変圧して給電電圧Vsを制御する。本実施形態の電源電圧Vccは、比較的高圧であり、コンバータ154は、電源電圧Vccを降圧して給電電圧Vsとする。或いは、コンバータ154は、電源電圧Vccの昇圧のみを行うもの又は昇圧及び降圧を行うものであってもよい。給電電圧Vsが目標値に到達した後、制御装置162は、給電電圧Vsを一定に保つ。
[0052]
(1A-3-4.ダイオード156)
ダイオード156は、コンバータ154と正極端子180pの間に配置され、車両12側から給電装置14側に電流が流れることを防止する。
[0053]
(1A-3-5.電圧センサ158)
電圧センサ158は、DC/DCコンバータ154の2次側(出力側)に配置され、コンバータ154の出力電圧Vsを検出して、制御装置162に出力する。
[0054]
(1A-3-6.入力装置160)
入力装置160は、給電装置14の管理者の指令を制御装置162に入力するためのものである。入力装置160は、例えば、複数の操作ボタン、キーボード等の入力手段により構成することができる。
[0055]
(1A-3-7.制御装置162)
制御装置162は、給電装置14全体を制御するものであり、本実施形態では、主として外部コンバータ154を制御する。
[0056]
1B.各種制御
[1B-1.概要]
次に、給電装置14から車両12に対して電力を供給し、車両12のバッテリ24を充電する際の各種制御について説明する。ここでの制御には、通電アーム制御と、車体姿勢制御と、充電制御とが含まれる。
[0057]
通電アーム制御は、バッテリ24の充電前、充電中及び充電後における通電アーム28の制御であり、通電ECU48のアーム制御部130により実行される。車体姿勢制御は、通電アーム28の展開に伴う車体52(車両12)の姿勢の制御であり、ECU48の姿勢制御部132により実行される。第1実施形態の車体姿勢制御は、主としてEPS機構46を制御対象とする。充電制御は、車両12のバッテリ24を充電するための制御である。充電制御には、給電装置14の制御装置162が実行する給電制御と、車両12のECU48の通電制御部134が実行する受電制御とが含まれる。
[0058]
第1実施形態では、通電アーム制御と車体姿勢制御を組み合わせることで、充電制御中における給電装置14の接触給電部152と車両12の受電部62の接触状態を良好に保つことが可能となる。
[0059]
[1B-2.通電アーム制御]
図5は、第1実施形態における通電アーム制御のフローチャートである。図5のステップS1において、ECU48は、通電アーム28の展開開始条件が成立したか否かを判定する。当該展開開始条件としては、例えば、展開スイッチ40がオンされたことを挙げることができる。
[0060]
これに加えて又はこれの代わりに、車両12の進行方向における車両12と接触給電部152との距離(走行方向距離)が所定の閾値(距離閾値)以下となったことを展開開始条件としてもよい。走行方向距離を判定するためには、例えば、図示しない現在位置検出装置(例えば、ナビゲーション装置)と、給電装置14(給電部152)の位置情報を記憶した地図データベースとを車両12に設けておく。そして、車両12の現在位置と給電部152の位置との距離として走行方向距離を算出することができる。
[0061]
或いは、車両12及び給電装置14それぞれに近距離通信用の通信装置を設けておき、両通信装置間に通信が確立されたときに展開開始条件が成立したと判定することも可能である。
[0062]
展開開始条件が不成立である場合(S1:NO)、今回の処理を終了し、所定期間の経過後に再びステップS1から開始する。展開開始条件が成立した場合(S1:YES)、ステップS2に進む。
[0063]
ステップS2において、ECU48は、収納状態にある通電アーム28を展開するための展開処理を実行する。具体的には、ECU48は、スライダ90を展開時目標位置Pinitarまで移動させる。これにより、通電アーム28が所定の角速度で展開する。この際、通電アーム28が給電部152(外部電力線170)に接触していない場合、通電アーム28の回転角度(アーム角度θarm)が初期展開目標角度θinitarに到達する。初期展開目標角度θinitarは、例えば、アーム角度θarmの最大値を設定する。これにより、通電アーム28は、車両12の車体52から最も突出した状態で外部電力線170に接近することとなる。
[0064]
ステップS3において、ECU48は、通電アーム28の展開終了条件が成立したか否かを判定する。当該展開終了条件としては、例えば、展開スイッチ40がオフされたことを挙げることができる。
[0065]
これに加えて又はこれの代わりに、バッテリ24の充電が完了したことを展開終了条件としてもよい。充電の完了は、SOCが所定の閾値(SOC閾値)に到達したことで判定することができる。
[0066]
或いは、車両12及び給電装置14それぞれに近距離通信用の通信装置を設けておき、両通信装置間に通信が確立された後、通信が途絶えたときに展開終了条件が成立したと判定することも可能である。
[0067]
展開終了条件が成立した場合(S3:YES)、ステップS4において、ECU48は、展開状態にある通電アーム28を収納するための収納処理を実行する。収納処理が終了すると、所定期間の経過後に再びステップS1から開始する。展開終了条件が不成立である場合(S3:NO)、ステップS3を繰り返す。
[0068]
[1B-3.車体姿勢制御]
(1B-3-1.車体姿勢制御の全体的な流れ)
図6は、第1実施形態における車体姿勢制御のフローチャートである。ステップS11において、ECU48は、通電アーム28が展開中であるか否かを判定する。アーム28が展開中でない場合(S11:NO)、ECU48は、今回の処理を終了し、所定期間の経過後に再びステップS11から開始する。アーム28が展開中である場合(S11:YES)、ステップS12に進む。
[0069]
ステップS12において、ECU48は、アーム28が外部電力線170との接触を開始したか否かを判定する。当該判定は、例えば、接触センサ63の出力に基づいて行う。アーム28が電力線170との接触を開始していない場合(S12:NO)、ステップS13において、ECU48は、アーム28の展開を終了するか否かを判定する。当該判定は、例えば、展開スイッチ40がオフにされたか否かにより行う。アーム28の展開を終了しない場合(S13:NO)、ステップS12に戻る。アーム28の展開を終了する場合(S13:YES)、今回の処理を終了し、所定期間の経過後に再びステップS11から開始する。
[0070]
ステップS12において、アーム28が電力線170との接触を開始した場合(S12:YES)、ステップS14において、ECU48は、アーム角度θarmの目標値(以下「目標アーム角度θarmtar」又は「目標角度θarmtar」という。)を設定する。なお、目標角度θarmtarは、固定値又は変数のいずれとしてもよい。続くステップS15において、ECU48は、角度センサ84からアーム角度θarm(検出角度θarm)を取得する。ステップS16において、ECU48は、目標角度θarmtarと検出角度θarmの差(以下「差Δθarm」という。)を算出する。
[0071]
ステップS17において、ECU48は、EPS ECU106を介して舵角センサ104からステアリング舵角θstrを取得する。ステップS18において、ECU48は、単位時間当たりのステアリング舵角θstrの変化量Δθstr[度/sec]を算出する。変化量Δθstrは、舵角θstr(今回)と舵角θstr(前回)の差として定義され、ステアリング100の操舵方向Dstrを示す。なお、ここにいう「今回」は、今回の演算周期で取得した値を示し、「前回」は、前回の演算周期で取得した値を示す。
[0072]
ステップS19において、ECU48は、差Δθarm及び変化量Δθstrに基づいて目標ステアリング反力Fstrtarを算出する。目標ステアリング反力Fstrtarの算出方法については、図7を参照して後述する。
[0073]
ステップS20において、ECU48は、ステップS19で算出した目標ステアリング反力Fstrtarに基づいてステアリング反力Fstrを制御する。具体的には、ECU48は、目標ステアリング反力Fstrtarに基づいてEPSモータ102の目標入力電流(目標電流Imottar)を算出し、当該目標電流Imottarに対応させてEPSモータ102への入力電流を制御する。
[0074]
ステップS21において、ECU48は、アーム28の展開を終了するか否かを判定する。当該判定は、ステップS13と同様に行うことができる。
[0075]
これに加えて又はこれの代わりに、バッテリ24の充電が完了したことを展開終了条件としてもよい。充電の完了は、SOCが所定の閾値(SOC閾値)に到達したことで判定することができる。
[0076]
展開終了条件が成立した場合(S21:YES)、今回の処理を終了し、所定期間の経過後に再びステップS11から開始する。展開終了条件が不成立である場合(S21:NO)、ステップS14に戻る。なお、目標アーム角度θarmとして固定値を用いる場合、ステップS14ではなく、ステップS15に戻ってもよい。
[0077]
(1B-3-2.目標ステアリング反力Fstrtarの算出)
(1B-3-2-1.概要)
図7は、目標ステアリング反力Fstrtarの算出に関する説明図である。上記のように、ECU48は、差Δθarm及び変化量Δθstrに基づいて目標ステアリング反力Fstrtarを算出する(図6のS19)。より具体的には、ECU48は、外部電力線170に対する車両12の位置関係を差Δθarmに基づいて判定する。また、ECU48は、ステアリング100の操舵方向Dstrを変化量Δθstrに基づいて判定する。そして、ECU48は、これらの判定結果に基づいて目標反力Fstrtarを設定する。
[0078]
(1B-3-2-2.外部電力線170に対して車両12が近すぎる場合)
検出角度θarmが目標角度θarmtarよりも小さく(θarm<θarmtar)、差Δθarmが正の値である場合(Δθarm>0)、車両12は、外部電力線170に近すぎであると判定可能である。
[0079]
ここで、ステアリング100の操舵方向Dstrが、外部電力線170に対して車両12が近づく方向である場合、ECU48は、目標反力Fstrtarを大きくする。また、操舵方向Dstrが、外部電力線170に対して車両12が遠ざかる方向である場合、ECU48は、目標反力Fstrtarを小さくする。さらに、変化量Δθstrがゼロであり、舵角θstrが維持されている場合、ECU48は、目標反力Fstrtarを中くらいの大きさとする。このように目標反力Fstrtarを設定することにより、車両12が外部電力線170から遠ざかるように(換言すると、検出角度θarmが目標角度θarmtarに近づくように)ステアリング100の操舵を誘導することができる。
[0080]
(1B-3-2-3.外部電力線170に対して車両12が遠すぎる場合)
検出角度θarmが目標角度θarmtarよりも大きく(θarm>θarmtar)、差Δθarmが負の値である場合(Δθarm<0)、ECU48は、外部電力線170に対して車両12が遠すぎると判定可能である。
[0081]
ここで、操舵方向Dstrが、外部電力線170に対して車両12が近づく方向である場合、ECU48は、目標反力Fstrtarを小さくする。また、操舵方向Dstrが、外部電力線170に対して車両12が遠ざかる方向である場合、ECU48は、目標反力Fstrtarを大きくする。さらに、変化量Δθstrがゼロであり、舵角θstrが維持されている場合、ECU48は、目標反力Fstrtarを中くらいの大きさとする。このように目標反力Fstrtarを設定することにより、車両12が外部電力線170に近づくように(換言すると、検出角度θarmが目標角度θarmtarに近づくように)ステアリング100の操舵を誘導することができる。
[0082]
(1B-3-2-4.車両12と外部電力線170の距離Lsが適切である場合)
検出角度θarmが目標角度θarmtarと等しく(θarm=θarmtar)、差Δθarmがゼロである場合(Δθarm=0)、車両12と外部電力線170との距離Ls(図2)は適切であると判定可能である。
[0083]
ここで、操舵方向Dstrが、外部電力線170に対して車両12が近づく方向又は遠ざかる方向である場合、ECU48は、目標反力Fstrtarを大きくする。また、変化量Δθstrがゼロであり、舵角θstrが維持されている場合、ECU48は、目標反力Fstrtarを小さくする。このように目標反力Fstrtarを設定することにより、車両12と外部電力線170の距離Lsを維持するように(すなわち、検出角度θarmが目標角度θarmtarと一致又は近似している状態を維持するように)ステアリング100の操舵を誘導することができる。
[0084]
[1B-4.給電装置14での給電制御]
外部給電装置14の制御装置162は、入力装置160を介して入力された管理者からの指令に基づいて外部電力線170を給電可能状態とする。具体的には、制御装置162は、外部コンバータ154のスイッチング素子(図示せず)に駆動信号Sd2(図1)を断続的に又は連続的に出力して電源150と電力線170とを接続する。これにより、電力線170は給電可能状態となる。そして、アーム28の受電部62が電力線170に接触したとき、当該電力線170を介して給電装置14から車両12への給電が行われる。
[0085]
[1B-5.車両12での受電制御]
受電制御は、アーム28が展開しているときに行われる。例えば、ECU48は、展開スイッチ40が押されたことを契機として受電制御を開始する。
[0086]
受電制御において、ECU48は、バッテリ24等への入力電流、入力電圧及び入力電力の少なくとも1つに関して目標値又は制限値を設定する。そして、ECU48は、当該目標値又は制限値に基づいてDC/DCコンバータ30を制御する。受電制御は、例えば、特開2013-208008号公報の第1DC/DCコンバータ31に対する制御(同公報の図4~図6参照)と同様に行うことが可能である。
[0087]
1C.第1実施形態の効果
以上のように、第1実施形態によれば、通電アーム28の通電ヘッド60(自由端)が外部電力線170に接触しているとき、通電アーム28の回転角度θarmが目標回転角度θarmtarに近づくように車体52の姿勢を制御する(図6のS19、S20及び図7)。これにより、電力線170に対する通電アーム28の接触を安定させることが可能となる。
[0088]
すなわち、電動車両12の走行中に通電ヘッド60を外部電力線170に接触させる場合、走行に起因する車体52の姿勢の変化(移動を含む。)に伴って接触状態が不安定となるおそれがある。接触状態が不安定となると、接触と非接触が交互に生じることで通電ヘッド60と外部電力線170の間にアークが発生する等の不具合が生じる可能性がある。本実施形態によれば、このような不具合を防止することが可能となる。
[0089]
本実施形態において、車両12は、EPS機構46を備える(図1)。EPS機構46は、ステアリング100と、ステアリング100に反力Frを付与するEPSモータ102(ステアリング反力付与装置)と、EPSモータ102を制御するEPS ECU106(ステアリング反力制御装置)とを備える。EPS ECU106は、回転角度θarmが目標回転角度θarmtarと一致していると判定した場合、ステアリング舵角θstrの変化を抑制するようにステアリング反力FstrをEPSモータ102に発生させる(図6のS19、S20及び図7)。また、EPS ECU106は、回転角度θarmが目標回転角度θarmtarと一致していないと判定した場合、回転角度θarmが目標回転角度θarmtarに近づくようにステアリング反力FstrをEPSモータ102に発生させる(図6のS19、S20及び図7)。
[0090]
これにより、通電ヘッド60と外部電力線170との接触状態を保つように運転者のステアリング操作を誘導することが可能となる。
[0091]
II.第2実施形態
2A.構成(第1実施形態との相違)
図8は、本発明の第2実施形態に係る電動車両12aを備える充電システム10Aの概略構成図である。第1実施形態と同様、第2実施形態では、給電装置14から電動車両12a(以下「車両12a」ともいう。)に対して電力を供給し、車両12aの走行用バッテリ24の充電等が行われる。以下では、第1実施形態と同様の構成要素には、同一の参照符号を付して説明を省略する。なお、第2実施形態の外部給電装置14は、第1実施形態と同じものである。
[0092]
第2実施形態の車両12aは、操舵輪としての前輪Wfのトー角θtを制御するトー角制御機構200を有する。図8に示すように、トー角制御機構200は、第1実施形態と同様の舵角センサ104に加え、トー角制御アクチュエータ202(以下「アクチュエータ202」ともいう。)と、サスペンション電子制御装置204(以下「サスペンションECU204」又は「ECU204」という。)を有する。
[0093]
アクチュエータ202は、前輪Wfのナックル206を変位させるものであり、例えば、電磁式又は空気圧式のリニアアクチュエータにより構成される。サスペンションECU204は、例えば、車速V及びステアリング舵角θstrに基づいてアクチュエータ202を制御して前輪Wfのトー角θtを調整する。トー角制御機構200の具体的な構成は、例えば、特開2010-241294号公報に記載のものを用いることができる。
[0094]
2B.各種制御
[2B-1.概要(第1実施形態との相違)]
第2実施形態では、車体姿勢制御が第1実施形態と異なる。すなわち、第1実施形態の車体姿勢制御(図6)では、EPS機構46を用いて(換言すると、いわゆる操舵アシストを行うことにより)車体52の姿勢を制御するものであった。これに対し、第2実施形態の車体姿勢制御は、トー角制御機構200を用いて車体52の姿勢を制御する。
[0095]
[2B-2.車両姿勢安定化制御]
図9は、第2実施形態における車体姿勢制御のフローチャートである。図9のステップS31~S36、S39は、図6のステップS11~S16、S21と同様である。ステップS37、S38において、通電ECU48は、トー角制御機構200を用いた制御を行う。
[0096]
すなわち、ステップS37において、ECU48は、差Δθarm(=目標アーム角度θarmtar-アーム角度θarm)に基づいてトー角θtの補正量(以下「トー角補正量Δθtc」又は「補正量Δθtc」という。)を算出する。
[0097]
図10は、トー角θtの補正に関する説明図である。検出角度θarmが目標角度θarmtarよりも小さく(θarm<θarmtar)、差Δθarmが正の値である場合(Δθarm>0)、車両12aは、外部電力線170に近すぎると判定可能である。この場合、ECU48は、車両12a(通電ヘッド60)が電力線170から遠ざかるように補正量Δθtcを算出する。本実施形態では、通電アーム28が車体52の右側部に設けられている(図2)。このため、車両12a(通電ヘッド60)を電力線170から遠ざけるためには、前輪Wfがより左に(平面視で反時計周りに)回転するようにトー角補正量Δθtcを算出する。
[0098]
また、検出角度θarmが目標角度θarmtarよりも大きく(θarm>θarmtar)、差Δθarmが負の値である場合(Δθarm<0)、車両12aは、外部電力線170から遠すぎると判定可能である。この場合、ECU48は、車両12aを外部電力線170に近付けるように補正量Δθtcを算出する。すなわち、前輪Wfがより右に(平面視で時計周りに)回転するようにトー角補正量Δθtcを算出する。
[0099]
さらに、検出角度θarmが目標角度θarmtarと等しく(θarm=θarmtar)、差Δθarmがゼロである場合(Δθarm=0)、車両12aと外部電力線170との距離Lsは適切であると判定可能である。この場合、ECU48は、補正量Δθtcをゼロとし、トー角θtを補正しない。
[0100]
2C.第2実施形態の効果
以上のような第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏することが可能となる。
[0101]
すなわち、第2実施形態において、電動車両12aは、前輪Wf(操舵輪)のトー角θtを制御するトー角制御アクチュエータ202と、トー角制御アクチュエータ202を制御するサスペンションECU204(トー角制御装置)とを備える。サスペンションECU204は、回転角度θarmが目標回転角度θarmtarと一致していると判定した場合、前輪Wfのトー角θtの変化を抑制するようにトー角制御アクチュエータ202を制御する(図9のS37、S38及び図10)。また、サスペンションECU204は、回転角度θarmが目標回転角度θarmtarと一致していないと判定した場合、回転角度θarmを目標回転角度θarmtarに近づけるようにトー角制御アクチュエータ202を制御する(図9のS37、S38及び図10)。
[0102]
これにより、通電アーム28の通電ヘッド60(自由端)と外部電力線170との接触状態を保つように前輪Wfのトー角θtを自動で調整することが可能となる。
[0103]
III.第3実施形態
3A.構成(第1実施形態との相違)
図11は、本発明の第3実施形態に係る電動車両12bを備える充電システム10Bの概略構成図である。第1・第2実施形態と同様、第3実施形態では、給電装置14から電動車両12b(以下「車両12b」ともいう。)に対して電力を供給し、車両12bの走行用バッテリ24の充電等が行われる。以下では、同様の構成要素には、同一の参照符号を付して説明を省略する。なお、第3実施形態の外部給電装置14は、第1・第2実施形態と同じものである。
[0104]
第3実施形態の車両12bは、駆動輪としての左右後輪Wrの駆動力配分を調整する駆動力配分調整機構300(以下「調整機構300」ともいう。)を備える。調整機構300は、2つの走行モータ302a、302bと、2つのインバータ304a、304bと、駆動電子制御装置306(以下「駆動ECU306」という。)とを有する。以下では、走行モータ302a、302bを「モータ302a、302b」ともいうと共に、「モータ302」と総称する。また、モータ302aを左モータ302aと、モータ302bを右モータ302bともいう。左モータ302aは、図示しない左側変速機を介して左後輪Wrに連結される。右モータ302bは、図示しない右側変速機を介して右後輪Wrに連結される。
[0105]
駆動ECU306は、図示しないアクセルペダルの操作量等に基づいてモータ302a、302bの駆動力を制御する。さらに、駆動ECU306は、モータ302a、302bの駆動力配分(左右配分)を用いて車体52の姿勢を制御する。なお、車両12bは、モータ302a、302bに加え、エンジン及び前輪モータの少なくとも一方を備えてもよい。
[0106]
3B.各種制御
[3B-1.概要(第1実施形態との相違)]
第3実施形態では、車体姿勢制御が第1・第2実施形態と異なる。例えば、第1実施形態の車体姿勢制御(図6)では、EPS機構46を用いて(換言すると、いわゆる操舵アシストを行うことにより)車体52の姿勢を制御するものであった。これに対し、第3実施形態の車体姿勢制御は、モータ302a、302bの駆動力配分(左右配分)を用いて車体52の姿勢を制御する。
[0107]
[3B-2.車両姿勢安定化制御]
図12は、第3実施形態における車体姿勢制御のフローチャートである。図12のステップS41~S46、S49は、図6のステップS11~S16、S21と同様である。ステップS47、S48において、通電ECU48は、モータ302a、302bの駆動力配分を用いた制御を行う。
[0108]
すなわち、ステップS47において、ECU48は、差Δθarm(=目標アーム角度θarmtar-アーム角度θarm)に基づいて駆動力配分比Pd(以下「配分比Pd」ともいう。)の補正量(以下「駆動力配分比補正量ΔPdc」又は「補正量ΔPdc」という。)を算出する。配分比Pdは、左モータ302aの駆動力と右モータ302bの駆動力の比である。配分比Pdを用いる代わりに、左モータ302aの駆動力と右モータ302bの駆動力の差(駆動力配分差)を用いてもよい。
[0109]
図13は、駆動力配分比Pdの補正に関する説明図である。検出角度θarmが目標角度θarmtarよりも小さく(θarm<θarmtar)、差Δθarmが正の値である場合(Δθarm>0)、車両12bは、外部電力線170に近すぎると判定可能である。この場合、ECU48は、車両12b(通電ヘッド60)が電力線170から遠ざかるように補正量ΔPdcを算出する。本実施形態では、通電アーム28が車体52の右側部に設けられている(図2)。このため、車両12b(通電ヘッド60)を電力線170から遠ざけるためには、左後輪Wrの駆動力に対して右後輪Wrの駆動力を相対的に大きくするように補正量ΔPdcを算出する。
[0110]
また、検出角度θarmが目標角度θarmtarよりも大きく(θarm>θarmtar)、差Δθarmが負の値である場合(Δθarm<0)、車両12bは、外部電力線170から遠すぎると判定可能である。この場合、ECU48は、車両12bを電力線170に近付けるように補正量ΔPdcを算出する。すなわち、右後輪Wrの駆動力に対して左後輪Wrの駆動力を相対的に大きくするように補正量ΔPdcを算出する。
[0111]
さらに、検出角度θarmが目標角度θarmtarと等しく(θarm=θarmtar)、差Δθarmがゼロである場合(Δθarm=0)、車両12bと電力線170との距離Lsは適切であると判定可能である。この場合、ECU48は、補正量ΔPdcをゼロとし、配分比Pdを補正しない。
[0112]
3C.第3実施形態の効果
以上のような第3実施形態によれば、第1・第2実施形態の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏することが可能となる。
[0113]
すなわち、第3実施形態において、電動車両12bは、左右後輪Wr(左右駆動輪)の駆動力配分を調整する駆動力配分調整機構300を備える(図11)。調整機構300は、回転角度θarmが目標回転角度θarmtarと一致していると判定した場合、駆動力配分比Pd(駆動力配分)を維持する(図12のS47、S48及び図13)。また、調整機構300は、回転角度θarmが目標回転角度θarmtarと一致していないと判定した場合、回転角度θarmを目標回転角度θarmtarに近付けるように駆動力配分比Pdを変化させる(図12のS47、S48及び図13)。
[0114]
これにより、通電アーム28の通電ヘッド60(自由端)と外部電力線170との接触状態を保つように左右後輪Wrの駆動力配分を自動で調整することが可能となる。
[0115]
IV.第4実施形態
4A.構成(第1実施形態との相違)
図14は、本発明の第4実施形態に係る電動車両12cを備える充電システム10Cの概略構成図である。第1~第3実施形態と同様、第4実施形態では、給電装置14から電動車両12c(以下「車両12c」ともいう。)に対して電力を供給し、車両12cの走行用バッテリ24の充電等が行われる。以下では、同様の構成要素には、同一の参照符号を付して説明を省略する。なお、第4実施形態の外部給電装置14は、第1~第3実施形態と同じものである。
[0116]
第4実施形態の車両12cは、左右輪(ここでは左右後輪Wr)の制動力配分を調整するブレーキ機構400(制動力配分調整機構)を備える。ブレーキ機構400は、2つの後輪用ブレーキ402a、402bと、ブレーキ電子制御装置404(以下「ブレーキECU404」という。)とを有する。ブレーキ402aは、左後輪Wr用であり、以下では、左ブレーキ402aともいう。ブレーキ402bは、右後輪Wr用であり、以下では、右ブレーキ402bともいう。さらに、以下では、ブレーキ402a、402bを「ブレーキ402」と総称する。
[0117]
ブレーキECU404は、図示しないブレーキペダルの操作量、先行車との距離等に基づいてブレーキ402a、402bの制動力を制御する。さらに、ブレーキECU404は、ブレーキ402a、402bの制動力配分(左右配分)を用いて車体52の姿勢を制御する。なお、左右の制動力配分を変化させることができれば、ブレーキECU404の制御対象は、後輪用ブレーキ402a、402bに加え又はこれらに代えて前輪用ブレーキ(図示せず)としてもよい。
[0118]
4B.各種制御
[4B-1.概要(第1実施形態との相違)]
第4実施形態では、車体姿勢制御が第1~第3実施形態と異なる。例えば、第1実施形態の車体姿勢制御(図6)では、EPS機構46を用いて(換言すると、いわゆる操舵アシストを行うことにより)車体52の姿勢を制御するものであった。これに対し、第4実施形態の車体姿勢制御は、ブレーキ402a、402bの制動力配分(左右配分)を用いて車体52の姿勢を制御する。
[0119]
[4B-2.車両姿勢安定化制御]
図15は、第4実施形態における車体姿勢制御のフローチャートである。図15のステップS51~S56、S59は、図6のステップS11~S16、S21と同様である。ステップS57、S58において、通電ECU48は、ブレーキ402a、402bの駆動力配分を用いた制御を行う。
[0120]
すなわち、ステップS57において、ECU48は、差Δθarm(=目標アーム角度θarmtar-アーム角度θarm)に基づいて制動力配分比Pb(以下「配分比Pb」ともいう。)の補正量(以下「制動力配分比補正量ΔPbc」又は「補正量ΔPbc」という。)を算出する。配分比Pbは、左ブレーキ402aの制動力と右ブレーキ402bの制動力の比である。配分比Pbを用いる代わりに、左ブレーキ402aの制動力と右ブレーキ402bの制動力の差(制動力配分差)を用いてもよい。
[0121]
図16は、制動力配分比Pbの補正に関する説明図である。検出角度θarmが目標角度θarmtarよりも小さく(θarm<θarmtar)、差Δθarmが正の値である場合(Δθarm>0)、車両12cは、外部電力線170に近すぎると判定可能である。この場合、ECU48は、車両12c(通電ヘッド60)が電力線170から遠ざかるように補正量ΔPbcを算出する。本実施形態では、通電アーム28が車体52の右側部に設けられている(図2)。このため、車両12c(通電ヘッド60)を電力線170から遠ざけるためには、右後輪Wrの制動力に対して左後輪Wrの制動力を相対的に大きくするように補正量ΔPbcを算出する。
[0122]
また、検出角度θarmが目標角度θarmtarよりも大きく(θarm>θarmtar)、差Δθarmが負の値である場合(Δθarm<0)、車両12cは、外部電力線170から遠すぎると判定可能である。この場合、ECU48は、車両12cを電力線170に近付けるように補正量ΔPbcを算出する。すなわち、左後輪Wrの駆動力に対して右後輪Wrの駆動力を相対的に大きくするように補正量ΔPbcを算出する。
[0123]
さらに、検出角度θarmが目標角度θarmtarと等しく(θarm=θarmtar)、差Δθarmがゼロである場合(Δθarm=0)、車両12cと電力線170との距離Lsは適切であると判定可能である。この場合、ECU48は、補正量ΔPbcをゼロとし、配分比Pbを補正しない。
[0124]
4C.第4実施形態の効果
以上のような第4実施形態によれば、第1~第3実施形態の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏することが可能となる。
[0125]
すなわち、第4実施形態において、電動車両12cは、左右後輪Wrの制動力配分を調整するブレーキ機構400(制動力配分調整機構)を備える(図14)。ブレーキ機構400は、回転角度θarmが目標回転角度θarmtarと一致していると判定した場合、制動力配分を維持する(図15のS57、S58及び図16)。また、ブレーキ機構400は、回転角度θarmが目標回転角度θarmtarと一致していないと判定した場合、回転角度θarmを目標回転角度θarmtarに近付けるように制動力配分比Pb(制動力配分)を変化させる(図15のS57、S58及び図16)。
[0126]
これにより、通電アーム28の通電ヘッド60(自由端)と外部電力線170との接触状態を保つように左右後輪Wrの制動力配分を自動で調整することが可能となる。
[0127]
V.変形例
なお、本発明は、上記各実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
[0128]
5A.車両12、12a~12c
[5A-1.車両12、12a~12cの種類]
上記各実施形態では、自動四輪車である車両12、12a~12cについて説明した(図2)。しかしながら、例えば、車体52の姿勢を制御する観点からすれば、自動四輪車以外の車両にも本発明を適用可能である。例えば、車両12、12a~12cは、自動二輪車、自動三輪車及び自動六輪車のいずれかとすることも可能である。或いは、車両12、12a~12c以外の移動物体(例えば、船舶)に対して本発明を適用することもできる。
[0129]
第1、第2、第4実施形態では、車両12、12a、12cは、駆動源として走行モータ20のみを有するいわゆる電気自動車(battery vehicle)を想定していた(図1、図8及び図14)。しかしながら、例えば、車体52の姿勢を制御する観点からすれば、車両12、12a、12cは、電気自動車以外の車両であってもよい。例えば、車両12、12a、12cは、ハイブリッド車両又は燃料電池車両としてもよい。第3実施形態の車両12bについても同様である。
[0130]
第1、第2、第4実施形態の車両12、12a、12cは、1つの走行モータ20を有し(図1、図8及び図14)、第3実施形態の車両12bは、2つの走行モータ302a、302bを有していた(図11)。しかしながら、例えば、車体52の姿勢を制御する観点からすれば、3つ以上の走行モータを有してもよい。例えば、前輪側に1つの走行モータを配置し、後輪側に2つの走行モータを配置することも可能である。
[0131]
[5A-2.回路構成]
上記各実施形態では、車両12、12a~12cの電気的な回路構成を図1、図8、図11及び図14に示すものとした。しかしながら、例えば、車体52の姿勢を制御する観点からすれば、これに限らない。例えば、車両側コンバータ30を省略することも可能である。
[0132]
[5A-3.通電アーム28]
上記各実施形態では、車体52の右側方に展開可能にアーム28を配置した(図2及び図3)。しかしながら、例えば、車体52の姿勢を制御する観点からすれば、これに限らず、車体52の左側方又は上側若しくは下側にアーム28を配置してもよい。なお、アーム28の配置を変更した場合、給電装置14の外部電力線170の配置も変更する必要が生じる。
[0133]
上記各実施形態では、通電アーム28を接触給電部152に接近及び接触させる際、回転軸50を中心にアーム28を回転させた(図2)。しかしながら、例えば、車体52の姿勢を制御する観点からすれば、これに限らない。例えば、アーム28を直線的に変位させる機構を設け、アーム28を直線的に給電部152に接近及び接触させることも可能である。
[0134]
上記各実施形態では、通電アーム28の回転軸50は、車両12の進行方向前側に配置された(図2)。しかしながら、例えば、車体52の姿勢を制御する観点からすれば、これに限らない。例えば、回転軸50を進行方向後ろ側に配置することも可能である。
[0135]
5B.外部給電装置14
[5B-1.外部電力線170]
上記各実施形態では、外部電力線170を直線状に配置した(図2)。しかしながら、例えば、車体52の姿勢を制御する観点からすれば、カーブ路に沿って配置してもよい。
[0136]
[5B-2.その他]
上記各実施形態では、制御装置162により外部コンバータ154を制御することで外部電力線170の給電電圧Vsを制御した。しかしながら、例えば、複数の直流電源(例えば、バッテリ)が直列に接続された集合体として電源150が構成される場合、コンバータ154及び制御装置162を省略することも可能である。
[0137]
5C.車体姿勢制御
[5C-1.全般]
第1~第4実施形態における各車体姿勢制御の2つ、3つ又は全てを組み合わせることも可能である。
[0138]
[5C-2.アーム角度θarmの検出]
上記各実施形態では、回転軸50の回転角度をアーム角度θarmとして検出したが(図2参照)、アーム角度θarmの検出は、これに限らない。例えば、展開時及び展開中のアーム28を撮像可能なカメラ(図示せず)を設け、当該カメラが取得した画像に基づいてアーム角度θarmを検出することも可能である。また、アーム28自体の状態(直接的な指標)を監視してアーム角度θarmを検出するのみならず、アーム28とは異なるものの状態(間接的な指標)を監視してアーム角度θarmを検出することも可能である。例えば、車体52と外部電力線170又は電力線保持部172との距離を赤外線センサ等の非接触センサにより求め、当該距離に基づいてアーム角度θarmを検出することも可能である。
[0139]
[5C-3.アーム角度θarmの目標値]
上記各実施形態では、特定の1つの値である目標アーム角度θarmとなるようにアーム角度θarmを制御した(図6のS19、図9のS37、図12のS47及び図15のS57)。しかしながら、例えば、車体52の姿勢を制御する観点からすれば、これに限らない。例えば、アーム角度θarmの目標範囲を設定し、アーム角度θarmが当該目標範囲内に入るように制御してもよい。
[0140]
[5C-4.その他]
第3実施形態では、モータ駆動力の左右配分を調整することで車両12の姿勢を制御した(図12及び図13)。しかしながら、例えば、駆動源の駆動力の左右配分を調整する観点からすれば、これに限らない。例えば、米国特許出願公開第2005/0217921号公報及び特開2011-131618号公報に示す構成のように、1つの駆動源(エンジン、モータ等)の駆動力を分配する機構(駆動力分配機構)を用いて左右配分を調整することも可能である。
[0141]
第1実施形態では、アーム28が外部電力線170との接触を開始したこと(図6のS12:YES)を契機としてステアリング反力Fstrの自動制御(S14~S20)を開始した。しかしながら、ステアリング反力Fstrの自動制御を開始する契機は、これに限らない。例えば、車両12、12a~12cの進行方向が、走行路190又は外部電力線170の進行方向と成す角度Avが所定値となったこと(例えば、両者が平行となったこと)を契機とすることも可能である。第2~第4実施形態についても同様である。
[0142]
角度Avは、例えば、ヘッド60における電力線170との接触位置Ph(仮想水平面上における位置)と、アーム角度θarmとに基づいて判定することが可能である。例えば、電力線170に対するヘッド60の接触面を円弧状とした場合、接触位置Ph及びアーム角度θarmに基づいて角度Avを算出することができる。なお、ヘッド60における電力線170との接触位置Phは、ヘッド60の接触面に2次元の接触式圧力センサを設けることで検出可能である。
[0143]
5D.その他
上記各実施形態では、給電装置14から車両12への給電のみを行う構成について説明した。しかしながら、これとは反対に、車両12から給電装置14への給電を行う構成に本発明を適用することも可能である。その場合、車両12においてガソリン等により発電機で発電を行うことができるのであれば、走行モータ20に電力を供給するためのバッテリ24又はその他の蓄電装置を設けないことも可能である。
[0144]
上記各実施形態では、給電装置14から車両12に対して直流で電力供給する場合に本発明を適用した。しかしながら、例えば、通電アーム28を展開させた状態で充電をしている最中に車体52の姿勢を制御する観点からすれば、給電装置14から車両12に対して交流で電力供給する場合に本発明を適用することも可能である。そのような場合、通電アーム28及び接触給電部152は、それぞれ非接触充電(無線給電)のための構成(例えば、送電コイルと受電コイルを備える構成)に置換されることとなる。
請求の範囲
[請求項1]
電源(24)と、
車体(52)に対して回転可能に連結された固定端と、前記固定端での回転に伴って車幅方向への変位が可能な自由端(60)と、前記固定端と前記自由端(60)との間に配置された導電部材とを有し、前記導電部材のうち前記固定端側が前記電源(24)と電気的に接続された通電アーム(28)と、
前記通電アーム(28)の回転角度を検出する角度検出器(84)と、
外部電力線(170)に対する前記自由端(60)の接触を検出する接触検出器(63)と、
前記車体(52)の姿勢を制御する姿勢制御装置(48)と
を備える電動車両(12、12a~12c)であって、
前記電動車両(12、12a~12c)の走行中に前記接触検出器(63)が前記自由端(60)の接触を検出しているとき、前記姿勢制御装置(48)は、前記通電アーム(28)の回転角度が目標回転角度又は目標回転角度範囲に近づくように前記車体(52)の姿勢を制御する
ことを特徴とする電動車両(12、12a~12c)。
[請求項2]
請求項1記載の電動車両(12、12a~12c)において、
前記電動車両(12、12a~12c)は、電動パワーステアリング機構(46)を備え、
前記電動パワーステアリング機構(46)は、
ステアリング(100)と、
前記ステアリング(100)に反力を付与するステアリング反力付与装置(102)と、
前記ステアリング反力付与装置(102)を制御するステアリング反力制御装置(106)と
を備え、
前記ステアリング反力制御装置(106)は、
前記回転角度が前記目標回転角度と一致していると判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていると判定した場合、前記ステアリング(100)の舵角の変化を抑制するように前記ステアリング反力を前記ステアリング反力付与装置(102)に発生させ、
前記回転角度が前記目標回転角度と一致していないと判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていないと判定した場合、前記回転角度が前記目標回転角度又は前記目標回転角度範囲に近づくように前記ステアリング反力を前記ステアリング反力付与装置(102)に発生させる
ことを特徴とする電動車両(12、12a~12c)。
[請求項3]
請求項1又は2記載の電動車両(12、12a~12c)において、
前記電動車両(12、12a~12c)は、
操舵輪のトー角を制御するトー角制御アクチュエータ(202)と、
前記トー角制御アクチュエータ(202)を制御するトー角制御装置(204)と
を備え、
前記トー角制御装置(204)は、
前記回転角度が前記目標回転角度と一致していると判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていると判定した場合、前記トー角の変化を抑制するように前記トー角制御アクチュエータ(202)を制御し、
前記回転角度が前記目標回転角度と一致していないと判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていないと判定した場合、前記回転角度を前記目標回転角度又は前記目標回転角度範囲に近付けるように前記トー角制御アクチュエータ(202)を制御する
ことを特徴とする電動車両(12、12a~12c)。
[請求項4]
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動車両(12、12a~12c)において、
前記電動車両(12、12a~12c)は、左右駆動輪の駆動力配分を調整する駆動力配分調整機構(300)を備え、
前記駆動力配分調整機構(300)は、
前記回転角度が前記目標回転角度と一致していると判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていると判定した場合、前記駆動力配分を維持し、
前記回転角度が前記目標回転角度と一致していないと判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていないと判定した場合、前記回転角度を前記目標回転角度又は前記目標回転角度範囲に近付けるように前記駆動力配分を変化させる
ことを特徴とする電動車両(12、12a~12c)。
[請求項5]
請求項1~4のいずれか1項に記載の電動車両(12、12a~12c)において、
前記電動車両(12、12a~12c)は、左右輪の制動力配分を調整する制動力配分調整機構(400)を備え、
前記制動力配分調整機構(400)は、
前記回転角度が前記目標回転角度と一致していると判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていると判定した場合、前記制動力配分を維持し、
前記回転角度が前記目標回転角度と一致していないと判定した場合又は前記回転角度が前記目標回転角度範囲内に入っていないと判定した場合、前記回転角度を前記目標回転角度又は前記目標回転角度範囲に近付けるように前記制動力配分を変化させる
ことを特徴とする電動車両(12、12a~12c)。
[請求項6]
電源(24)と、
走行路に沿って線状に配置される外部電力線(170)に接触する受電部(62)を一端に有し、他端が前記電源(24)に電気的に接続される通電アーム(28)と、
走行中に前記通電アーム(28)を車体(52)の外方に向かって変位させるアーム変位機構(38)と、
前記外部電力線(170)と前記受電部(62)が接触しながら電動車両(12、12a~12c)が走行している際、前記外部電力線(170)と前記受電部(62)との間で所定の接触状態を維持するように又は前記所定の接触状態に誘導するように前記電動車両(12、12a~12c)の姿勢を維持又は変化させる姿勢制御装置(48)と
を有することを特徴とする電動車両(12、12a~12c)。
図面