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1. (WO2015146273) 手技シミュレータ
Document

明 細 書

発明の名称 手技シミュレータ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

発明の概要

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026  

図面の簡単な説明

0027  

発明を実施するための形態

0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 手技シミュレータ

技術分野

[0001]
 本発明は、人体の橈骨動脈への医療器具の導入をトレーニングするための手技シミュレータに関する。

背景技術

[0002]
 近年、人体の手首にある橈骨動脈からカテーテルを導入して冠動脈の病変部に導き、当該病変部を検査・治療する経橈骨動脈冠動脈インターベンション(TRI:Trans-radial coronary intervention)が行われている。このような経橈骨動脈冠動脈インターベンションは、大腿動脈からカテーテルを導入する場合と比較して低侵襲であるため、患者への負担及び合併症リスク等を軽減することができる。
[0003]
 しかしながら、橈骨動脈は比較的細いため、留置針等の穿刺針を橈骨動脈に穿刺することは容易ではない。そのため、穿刺針を橈骨動脈に穿刺する手技を訓練するためのシミュレータの開発が希求されている。
[0004]
 このような手技シミュレータに関連して、例えば、特開2006-317570号公報には、橈骨動脈への注射練習用模型が開示されている。この注射練習用模型は、義手の手首に模擬血液が流通する模擬血管を配設し、この模擬血管を模擬人体組織カバーで覆うことにより構成されている。

発明の概要

[0005]
 ところで、穿刺針を橈骨動脈に穿刺する場合、例えば、患者(被検体)の手首を触ることにより手首の皮膚近くにある橈骨茎状突起の位置を探り、その橈骨茎状突起を目安に橈骨動脈に穿刺針を穿刺することがある。
[0006]
 しかしながら、上述した特開2006-317570号公報のような従来技術では、義手(上肢モデル)の手首の皮膚近くに橈骨茎状突起に相当する部材が存在しないため、橈骨茎状突起を目安に橈骨動脈に注射を行うことはできない。そのため、人体の橈骨動脈に注射器等の穿刺針を穿刺する手技を効率的に習得することができないおそれがある。
[0007]
 本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、人体による実際の手技に近似した模擬体験をすることができ、穿刺針を橈骨動脈に穿刺する手技を効率的に習得することができる手技シミュレータを提供することを目的とする。
[0008]
 本発明に係る手技シミュレータは、人体の橈骨動脈への医療器具の導入をトレーニングするための手技シミュレータであって、人体上肢の少なくとも手首を含む部位の外観を模して形成された上肢モデルと、前記上肢モデルの手首に形成された収容溝に配設された模擬人体皮下と、前記模擬人体皮下に形成された骨配設穴に配設された模擬人体橈骨茎状突起と、前記模擬人体皮下に配設される模擬人体血管及び前記模擬人体橈骨茎状突起を覆う模擬人体皮膚と、を備える、ことを特徴とする。
[0009]
 本発明に係る手技シミュレータによれば、上肢モデルの手首に位置する模擬人体皮膚近くに模擬人体橈骨茎状突起が配設される。そのため、ユーザは、上肢モデルの手首の模擬人体皮膚を触ることにより模擬人体橈骨茎状突起の位置を探り、その模擬人体橈骨茎状突起を目安に模擬人体血管に穿刺針を穿刺することができる。よって、人体による実際の手技に近似した模擬体験をすることができ、穿刺針を橈骨動脈に穿刺する手技を効率的に習得することができる。
[0010]
 上記の手技シミュレータにおいて、前記模擬人体橈骨茎状突起には、前記模擬人体血管が配設される血管配設溝が形成されていてもよい。
[0011]
 このような構成によれば、模擬人体橈骨茎状突起と模擬人体血管とを所定の位置関係で保持することができる。
[0012]
 上記の手技シミュレータにおいて、前記模擬人体橈骨茎状突起は、当該模擬人体橈骨茎状突起の一部が前記模擬人体皮下よりも前記模擬人体皮膚側に突出するように前記骨配設穴に配設されていてもよい。
[0013]
 このような構成によれば、上肢モデルの手首に設けられた模擬人体皮膚を触ることにより模擬人体橈骨茎状突起の位置をユーザに確実に把握させることができる。
[0014]
 上記の手技シミュレータにおいて、前記模擬人体皮下は、前記上肢モデルよりも軟質な材料で構成されていてもよい。
[0015]
 このような構成によれば、模擬人体血管の後壁を貫通して模擬人体皮下まで穿刺針を突き刺した後で穿刺針の先端を模擬人体血管内に留置させるいわゆる貫壁穿刺の手技を好適に習得することが可能となる。また、模擬人体血管の後壁に穿刺針を突き刺すことなく模擬人体血管内に穿刺針の先端を留置させるいわゆる前壁穿刺の手技についても習得することもできる。
[0016]
 上記の手技シミュレータにおいて、前記模擬人体血管は、前記上肢モデルの手首から前腕側に向かうに従って前記収容溝の溝底面側に位置していてもよい。
[0017]
 このような構成によれば、上肢モデルの手首から前腕側に向かう(模擬人体橈骨茎状突起から離間する)に従って模擬人体血管を探り難くすることができる。これにより、人体による実際の手技により近似した模擬体験をすることができる。
[0018]
 上記の手技シミュレータにおいて、前記模擬人体皮下における前記模擬人体血管が配設される面の少なくとも一部は、前記上肢モデルの手首から前腕に向かう方向に沿って前記収容溝の溝底面側に傾斜していてもよい。
[0019]
 このような構成によれば、簡易な構成で、上肢モデルの手首から前腕側に向かうに従って模擬人体血管を溝底面側に位置させることができる。
[0020]
 上記の手技シミュレータにおいて、前記収容溝を構成する溝底面には、前記模擬人体血管内の模擬人体血液が通る排出孔が形成されており、前記排出孔を介して導かれた前記模擬人体血液を受ける受け皿をさらに備えていてもよい。
[0021]
 このような構成によれば、例えば、穿刺針を模擬人体血管に穿刺した際に模擬人体血管から漏出する模擬人体血液を受け皿で受けることができるので、手技シミュレータを容易に清潔な状態へと復帰させることができる。
[0022]
 上記の手技シミュレータにおいて、前記受け皿は、前記上肢モデルに対して着脱可能に設けられていてもよい。
[0023]
 このような構成によれば、模擬人体血液が溜まった受け皿を上肢モデルから取り外すことができるので、受け皿を容易に清浄な状態へと復帰させることができると共に当該模擬人体血液を容易に廃棄又は再利用することができる。
[0024]
 上記の手技シミュレータにおいて、前記模擬人体血管の一端部の内孔が閉塞されており、前記模擬人体血管内の模擬人体血液に圧力を付与する圧力付与手段をさらに備えていてもよい。
[0025]
 このような構成によれば、圧力付与手段の作用下に模擬人体血管を拍動させることができるので、人体による実際の手技により一層近似した模擬体験をすることができる。また、模擬人体血管の一端部の内孔が閉塞されているので、模擬人体血管を循環回路とした場合と比較して、構成を簡素化することができると共に模擬人体血管に拍動を生じさせ易くすることができる。
[0026]
 本発明によれば、上肢モデルの手首に位置する人体皮膚代替物近くに人体橈骨茎状突起代替物を配設しているので、人体による実際の手技に近似した模擬体験をすることができ、穿刺針を橈骨動脈に穿刺する手技を効率的に習得することができる。

図面の簡単な説明

[0027]
[図1] 本発明に係る手技シミュレータの断面模式図である。
[図2] 図1に示す手技シミュレータの一部省略分解斜視図である。
[図3] 図1に示す手技シミュレータの一部省略平面図である。
[図4] 図4Aは模擬人体血管に留置針を穿刺した状態を示す一部省略断面図であり、図4Bは模擬人体血管にガイドワイヤを挿入した状態を示す一部省略断面図である。
[図5] 図5Aは模擬人体血管にダイレータ及びシースを穿刺した状態を示す一部省略断面図であり、図5Bは模擬人体血管からガイドワイヤ及びダイレータを抜去した状態を示す一部省略断面図である。
[図6] 変形例に係る模擬人体血管を説明するための断面模式図である。

発明を実施するための形態

[0028]
 以下、本発明に係る手技シミュレータについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
[0029]
 本実施形態に係る手技シミュレータ10は、主に人体の橈骨動脈への医療器具の導入をトレーニングするためのものであって、例えば、経橈骨動脈冠動脈インターベンションの手技のトレーニングとして利用される。
[0030]
 図1~図3に示すように、手技シミュレータ10は、支持台12と、支持台12に載置される上肢モデル14と、上肢モデル14に形成された収容溝16に配設された模擬人体皮下18と、模擬人体皮下18に設けられた模擬人体橈骨茎状突起20及び模擬人体血管22と、模擬人体血管22を覆う模擬人体皮膚24と、模擬人体血管22に模擬人体血液26を供給する模擬人体血液供給部28とを備えている。
[0031]
 支持台12は、上肢モデル14を所定の姿勢で支持するためのものであって、上肢モデル14を下方から支持する支持台本体30と、支持台本体30に載置された上肢モデル14の落下を防止する一対の側壁32とを有している。
[0032]
 上肢モデル14は、人体上肢の指先から前腕までの部位の外観を模して形成されている。ただし、上肢モデル14は、人体上肢の指先から上腕までの部位の外観を模して形成してもよい。また、本実施形態において、上肢モデル14は、図2及び図3から諒解されるように人体右上肢の外観を模して形成しているが、人体左上肢の外観を模して形成することも可能である。
[0033]
 上肢モデル14は、その手首が所定角度(例えば、15°)だけ背屈されている。これにより、上肢モデル14を人体の橈骨動脈に留置針100を穿刺する際の人体上肢の形態に近似させることができる。上肢モデル14の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ウレタンやエラストマー等の樹脂材料を好適に用いることができる。
[0034]
 上肢モデル14には、基端側に向かって開口する装着穴34が形成されると共に装着穴34の開口部を閉塞する蓋部36が設けられている。蓋部36には、装着穴34に配設されて模擬人体血管22から漏出した模擬人体血液26を受ける受け皿38が一体的に設けられると共に、模擬人体血管22が挿通する挿通孔40が形成されている。蓋部36及び受け皿38は、上肢モデル14と同様に、例えば、ウレタンやエラストマー等の樹脂材料で構成することができる。
[0035]
 上肢モデル14の内側の面(掌側の面)には、その手首から前腕に向かって延在する収容溝16が形成されている。収容溝16は、先端側(指先側)に位置する幅広の深溝42と、基端側に位置する幅狭の浅溝44とを含む。深溝42を構成する溝底面には、模擬人体皮下18を位置決めする位置決め穴46と、受け皿38の上方に位置して深溝42及び装着穴34を連通する排出孔48とが形成されている。本実施形態では、排出孔48は、深溝42の溝底面の基端に位置している。
[0036]
 深溝42を構成する先端側に位置する溝側面には、模擬人体血管22の一端部が配置される配置穴50が形成されている。配置穴50は、上肢モデル14の先端側に略水平に延在した後、上肢モデル14の外面側(手の甲側)に向けて延在している。これにより、模擬人体血管22の一端部を配置穴50に容易に保持することができる。浅溝44は、模擬人体血管22の一部が配設される溝であって、その基端側の開口部が蓋部36の挿通孔40に対向している。
[0037]
 模擬人体皮下18は、人体皮下を模した人体皮下代替物であって、ブロック状に形成されている。具体的には、模擬人体皮下18は、略直方体状に形成されており、位置決め穴46に嵌合される位置決め凸部52を有している。模擬人体皮下18の全長は深溝42の全長よりも短く設定されており、模擬人体皮下18の基端面は、位置決め凸部52を位置決め穴46に嵌合した状態で排出孔48よりも先端側に位置する(図1参照)。
[0038]
 これにより、模擬人体皮下18によって排出孔48が閉塞されることを防止することができる。なお、本実施形態では、位置決め凸部52を位置決め穴46に嵌合した状態で、模擬人体皮下18の先端面及び両側面は、深溝42を構成する溝側面に接触している。
[0039]
 模擬人体皮下18のうち位置決め凸部52が位置する側とは反対側の面(背面)には、模擬人体橈骨茎状突起20が配設される骨配設穴54が形成された水平面56と、模擬人体皮下18の基端側に向かって位置決め凸部52側(深溝42の溝底面側)に傾斜した傾斜面58とが形成されている。
[0040]
 骨配設穴54は、位置決め凸部52を位置決め穴46に嵌合した状態で、上肢モデル14の手首に位置する。傾斜面58の幅方向中央には、傾斜面58の全長に亘って延在して模擬人体血管22が配設される支持溝60が形成されている。
[0041]
 模擬人体皮下18は、留置針100が穿刺可能な程度の硬度を有する軟質な樹脂材料によって構成されることが好ましい。換言すれば、模擬人体皮下18は、上肢モデル14の構成材料よりも軟質な樹脂材料により構成されている。このような模擬人体皮下18の構成材料としては、例えば、シリコンゴム等が挙げられる。この場合、シリコンゴムのデュロメーター硬さ(タイプC)は、12~34の範囲が好ましく、23がより好ましい。硬さが12~34の範囲であると、模擬人体血管22の拍動を模擬人体皮膚24に効率的に伝達させることができると共に模擬人体血管22の後壁を貫通して模擬人体皮下18まで留置針100を突き刺す貫壁穿刺を好適に行うことができる。
[0042]
 模擬人体橈骨茎状突起20は、人体橈骨茎状突起を模した人体橈骨茎状突起代替物であって、ブロック状に形成されている。模擬人体橈骨茎状突起20には、模擬人体血管22が配設される血管配設溝62が形成されている。模擬人体橈骨茎状突起20は、骨配設穴54に配設された状態で模擬人体皮下18の水平面56よりも模擬人体皮膚24側に突出している。
[0043]
 本実施形態では、模擬人体橈骨茎状突起20は、骨配設穴54に配設された状態で模擬人体皮下18の水平面56に対して模擬人体血管22の外径と略同じ寸法だけ模擬人体皮膚24側に突出している。これにより、模擬人体皮膚24を触ることにより模擬人体橈骨茎状突起20の位置を探り易くすることができる。
[0044]
 模擬人体橈骨茎状突起20の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ・アクリル混合樹脂等のような光硬化性樹脂を好適に用いることができる。
[0045]
 模擬人体血管22は、人体橈骨動脈を模した人体血管代替物であって、チューブ状に形成されている。模擬人体血管22の一端部は、閉塞部材64によりその内孔が閉塞されている。ただし、模擬人体血管22の一端部は、閉塞部材64によらず当該一端部を変形させることによりその内孔を閉塞しても構わない。このように模擬人体血管22の一端部の内孔を閉塞することにより、模擬人体血管22を循環回路とした場合と比較して、模擬人体血管22に拍動が生じさせ易くなる。
[0046]
 模擬人体血管22は、模擬人体血管22へ留置針100を穿刺する際に、開孔されるものであるため、該シミュレーションを1回~数回行う毎に新しい模擬人体血管22に交換される。また、本実施形態では、人体の橈骨動脈の外径(太さ)の個人差に対応するため、外径の異なる複数種類の模擬人体血管22が用意される。これにより、ユーザの手技の習熟度等に応じて最適な外径の模擬人体血管22を選択することができると共に、人体による実際の手技により近似した模擬体験をすることができる。
[0047]
 模擬人体血管22の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、天然ゴムを好適に用いることができる。模擬人体血管22を天然ゴムで構成すると共に模擬人体血管22に接触する模擬人体皮膚24をエチレン酢酸ビニール共重合樹脂(EVA:Ethylen-Vinyl Acetrate)で構成する場合、模擬人体血管22の膨潤を防止するために、模擬人体血管22のうち少なくとも模擬人体皮膚24に接触する部位にシリコンコーティング等を施すのが好ましい。
[0048]
 模擬人体皮膚24は、人体皮膚を模した人体皮膚代替物であって、皮膚本体66と皮膚カバー68とを有する。皮膚本体66は、平面視で深溝42に対応した形状を有している。皮膚本体66のうち模擬人体皮下18と対向する面には、模擬人体血管22が配設される血管配設溝70と、模擬人体橈骨茎状突起20が配設される骨配設穴72とが形成されている。模擬人体皮膚24の構成材料は、例えば、合成ゴムのようなEVA樹脂が用いられる。
[0049]
 皮膚カバー68は、シート状に構成されており、皮膚本体66を覆うように配設される。皮膚カバー68には、皮膚カバー68を上肢モデル14の手首に巻き付けた状態で保持する面ファスナー等の係止部材74が設けられている。
[0050]
 皮膚カバー68の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、シリコンゴムを好適に用いられる。皮膚カバー68をシリコンゴムで構成する場合、引き裂き強さが30N/mm以上であることが望ましい。この場合、皮膚カバー68に留置針100を穿刺した際に、その穿刺孔から皮膚カバー68が引き裂かれることを好適に抑えることができるからである。
[0051]
 模擬人体血液供給部28は、模擬人体血管22の他端部が接続された三方活栓(流路切替手段)76と、三方活栓76に接続されて模擬人体血管22内の模擬人体血液26に圧力を付与する圧力付与手段としてのシリンジ78と、三方活栓76に導入チューブ80を介して接続されて模擬人体血液26を貯留する血液貯留部82とを有している。導入チューブ80には、その流路を開閉するクレンメ(流路開閉手段)81が設けられている。
[0052]
 模擬人体血液26は、例えば、生理食塩水に任意の着色剤(着色料)を混合したものを用いることができる。着色剤としては、食紅等の赤色着色剤を好適に用いることができる。
[0053]
 本実施形態に係る手技シミュレータ10は、基本的には以上のように構成されるものであって、次に、手技シミュレータ10を用いて人体の橈骨動脈への医療器具の導入をトレーニングする方法について説明する。ここでは、橈骨動脈にシース108を導入する手技のトレーニングについて説明する。
[0054]
 先ず、手技シミュレータ10の準備を行う。具体的には、上肢モデル14に模擬人体皮下18及び模擬人体橈骨茎状突起20をセットする。すなわち、深溝42の溝底面に形成された位置決め穴46に模擬人体皮下18の位置決め凸部52を嵌合し、模擬人体皮下18の骨配設穴54に模擬人体橈骨茎状突起20を配設する。
[0055]
 そして、予め模擬人体血液26をプライミングした模擬人体血管22を上肢モデル14にセットする。つまり、模擬人体血管22の一端部(閉塞部材64)を上肢モデル14の配置穴50に配置すると共に模擬人体血管22を模擬人体橈骨茎状突起20の血管配設溝62、模擬人体皮下18の支持溝60、及び浅溝44の溝底面に載置する。なお、模擬人体血管22は、外径の異なる複数種類の模擬人体血管22中から今回のトレーニングに適した外径のものが選択される。
[0056]
 続いて、模擬人体皮膚24を上肢モデル14にセットする。詳細には、皮膚本体66を模擬人体橈骨茎状突起20及び模擬人体血管22を覆うように深溝42に配設し、皮膚本体66を覆うようにして皮膚カバー68を上肢モデル14の手首に巻き付けた状態で係止する。
[0057]
 その後、蓋部36を上肢モデル14にセットする。具体的には、模擬人体血管22の他端側を蓋部36の挿通孔40に通し、上肢モデル14の装着穴34に受け皿38を挿入して装着穴34の基端側の開口部が蓋部36で閉塞されるように蓋部36を上肢モデル14に対して装着する。なお、模擬人体血管22の他端部は三方活栓76に装着する。
[0058]
 手技シミュレータ10の準備が完了すると、ユーザ(トレーニングを行う者を補助する者)は、シリンジ78を操作して模擬人体血管22内の模擬人体血液26の圧力を付与(増減)する。これにより、模擬人体血管22が拍動する。
[0059]
 続いて、ユーザは、皮膚カバー68を触り模擬人体橈骨茎状突起20の位置を探る。そして、模擬人体橈骨茎状突起20を目安にその近傍にある拍動している模擬人体血管22の位置を把握する。そして、留置針100を模擬人体血管22に穿刺する(図4A参照)。具体的には、模擬人体血管22の後壁を貫通して模擬人体皮下18まで留置針100を突き刺す。
[0060]
 このとき、模擬人体血管22から模擬人体血液26が漏出する。この漏出した模擬人体血液26は、模擬人体皮下18の傾斜面58を伝わり排出孔48に導かれて受け皿38に貯留される。すなわち、模擬人体血管22から漏出した模擬人体血液26が上肢モデル14の外部に流出することを防止すると共に上肢モデル14内における模擬人体血液26の拡散を抑制できる。
[0061]
 なお、模擬人体血管22から模擬人体血液26が漏出したとしても、シリンジ78内に収容されている模擬人体血液26が模擬人体血管22に補充されるため、模擬人体血管22内の模擬人体血液26が不足することはない。
[0062]
 その後、留置針100の内針102を抜去し、外針104をゆっくりと寝かし気味に引き抜くことにより外針104の先端を模擬人体血管22内に位置させる。ただし、本実施形態において、留置針100を模擬人体血管22に穿刺する際に、模擬人体血管22の後壁を貫通することなく留置針100の先端を模擬人体血管22内に位置させても構わない。
[0063]
 次いで、留置針100の外針104の内腔を介して模擬人体血管22内にガイドワイヤ(ミニガイドワイヤ)106を挿入する(図4B参照)。そして、ガイドワイヤ106を残した状態で留置針100の外針104を抜去し、ヘパリン加滅菌済生理食塩液で予めプライミングしたシース108及びダイレータ110を組み合わせた状態でガイドワイヤ106に沿って模擬人体血管22に導入する(図5A参照)。
[0064]
 続いて、ダイレータ110及びガイドワイヤ106をシース108から抜去することによりシース108のみを模擬人体血管22に留置させる(図5B参照)。
[0065]
 その後、橈骨動脈用の図示しない止血バンドを上肢モデル14の手首に巻き付けて止血を行う。止血バンドによる止血が終了すると、受け皿38を上肢モデル14から取り外し、受け皿38の模擬人体血液26を廃棄又は血液貯留部82に回収し、深溝42内に漏出した模擬人体血液26を拭き取る。なお、このとき、受け皿38に模擬人体血液26を吸収する布や紙等の吸収材を配設しておけば、受け皿38の模擬人体血液26をより簡単に廃棄することができる。
[0066]
 本実施形態によれば、模擬人体血管22の拍動を感じながら複数の手技(橈骨動脈への留置針100の穿刺、橈骨動脈へのガイドワイヤ106の導入、橈骨動脈へのシース108の導入、及び止血バンドによる圧迫止血等)の模擬体験ができる。
[0067]
 また、特に、本実施形態では、上肢モデル14の手首に位置する模擬人体皮膚24近くに模擬人体橈骨茎状突起20が配設されている。そのため、ユーザは、上肢モデル14の手首の皮膚カバー68を触ることにより模擬人体橈骨茎状突起20の位置を探り、その模擬人体橈骨茎状突起20を目安に模擬人体血管22に留置針(穿刺針)100を穿刺することができる。よって、人体による実際の手技に近似した模擬体験をすることができ、留置針100を橈骨動脈に穿刺する手技を効率的に習得することができる。
[0068]
 本実施形態によれば、模擬人体橈骨茎状突起20に形成された血管配設溝62に模擬人体血管22を配設しているので、模擬人体橈骨茎状突起20と模擬人体血管22とを所定の位置関係で保持することができる。
[0069]
 また、模擬人体橈骨茎状突起20の一部が模擬人体皮下18の水平面56よりも模擬人体皮膚24側に突出しているので、皮膚カバー68を触ることにより模擬人体橈骨茎状突起20の位置をユーザに確実に把握させることができる。
[0070]
 さらに、模擬人体皮下18を上肢モデル14よりも軟質な材料で構成しているので、模擬人体血管22の後壁を貫通して模擬人体皮下18まで留置針100を突き刺した後で模擬人体血管22内に留置させる貫壁穿刺の手技を好適に習得することが可能となる。なお、模擬人体血管22の後壁に留置針100を突き刺すことなく模擬人体血管22内に留置針100の先端を留置させる前壁穿刺の手技についても習得可能である。
[0071]
 本実施形態では、模擬人体皮下18における模擬人体血管22が配設される面の少なくとも一部に上肢モデル14の手首から前腕に向かう方向に沿って深溝42の溝底面側に傾斜する傾斜面58を形成しているので、簡易な構成で、上肢モデル14の手首から前腕に向かうに従って模擬人体血管22を溝底面側に位置させることができる。
[0072]
 また、これにより、上肢モデル14の手首から前腕側に向かう(模擬人体橈骨茎状突起20から離間する)に従って模擬人体血管22を探り難くすることができる。従って、人体による実際の手技により近似した模擬体験をすることができる。
[0073]
 本実施形態によれば、留置針100を模擬人体血管22に穿刺した際に模擬人体血管22から漏出する模擬人体血液26を受け皿38で受けることができるので、手技シミュレータ10を容易に清潔な状態へと復帰させることができる。
[0074]
 また、受け皿38を上肢モデル14に対して着脱可能に設けているので、模擬人体血液26が溜まった受け皿38を上肢モデル14から取り外して受け皿38を容易に清浄な状態へと復帰させることができると共に当該模擬人体血液26を容易に廃棄又は再利用することができる。
[0075]
 さらに、シリンジ78の作用下に模擬人体血管22を拍動させることができるので、人体による実際の手技により一層近似した模擬体験をすることができる。さらにまた、模擬人体血管22の一端部の内孔が閉塞されているので、模擬人体血管22を循環回路とした場合と比較して、構成を簡素化することができると共に模擬人体血管22に拍動を生じさせ易くすることができる。
[0076]
 本実施形態は、上述した構成に限定されない。図6に示すように、手技シミュレータ10は、模擬人体血管22に換えて模擬人体血管22aを有していてもよい。この模擬人体血管22aは、他端側が2つに分岐しており、その一方の分岐通路84の端部に三方活栓76が接続され、他方の分岐通路86の端部に閉塞部材88が設けられている。すなわち、ここでは、一方の分岐通路84が人体の尺骨動脈に相当し、他方の分岐通路86が人体の上腕動脈に相当する。これら分岐通路84、86は、透明な材質で構成するのが望ましい。
[0077]
 図6に係る手技シミュレータ10を用いる場合、例えば、シース108を介してガイドワイヤ112を模擬人体血管22aに挿入して他方の分岐通路86に導くことにより、橈骨動脈に留置したシース108を介してガイドワイヤ112を人体の橈骨動脈に挿入して上腕動脈に導く手技についても好適に模擬体験することができる。このとき、分岐通路84、86を透明な材質で構成しているので、ユーザは、ガイドワイヤ112が他方の分岐通路86に正しく導くことができたか否かを容易に確認することができる。
[0078]
 また、本実施形態において、圧力付与手段は、シリンジ78に換えて、電動のエアポンプやブロワー等を利用してもよい。
[0079]
 本発明に係る手技シミュレータは、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。

請求の範囲

[請求項1]
 人体の橈骨動脈への医療器具の導入をトレーニングするための手技シミュレータ(10)であって、
 人体上肢の少なくとも手首を含む部位の外観を模して形成された上肢モデル(14)と、
 前記上肢モデル(14)の手首に形成された収容溝(16)に配設された模擬人体皮下(18)と、
 前記模擬人体皮下(18)に形成された骨配設穴(54)に配設された模擬人体橈骨茎状突起(20)と、
 前記模擬人体皮下(18)に配設される模擬人体血管(22、22a)及び前記模擬人体橈骨茎状突起(20)を覆う模擬人体皮膚(24)と、
 を備える、
 ことを特徴とする手技シミュレータ(10)。
[請求項2]
 請求項1記載の手技シミュレータ(10)において、
 前記模擬人体橈骨茎状突起(20)には、前記模擬人体血管(22、22a)が配設される血管配設溝(62)が形成されていることを特徴とする手技シミュレータ(10)。
[請求項3]
 請求項1記載の手技シミュレータ(10)において、
 前記模擬人体橈骨茎状突起(20)は、当該模擬人体橈骨茎状突起(20)の一部が前記模擬人体皮下(18)よりも前記模擬人体皮膚(24)側に突出するように前記骨配設穴(54)に配設されていることを特徴とする手技シミュレータ(10)。
[請求項4]
 請求項1記載の手技シミュレータ(10)において、
 前記模擬人体皮下(18)は、前記上肢モデル(14)よりも軟質な材料で構成されていることを特徴とする手技シミュレータ(10)。
[請求項5]
 請求項1記載の手技シミュレータ(10)において、
 前記模擬人体血管(22、22a)は、前記上肢モデル(14)の手首から前腕側に向かうに従って前記収容溝(16)の溝底面側に位置していることを特徴とする手技シミュレータ(10)。
[請求項6]
 請求項5記載の手技シミュレータ(10)において、
 前記模擬人体皮下(18)における前記模擬人体血管(22、22a)が配設される面の少なくとも一部は、前記上肢モデル(14)の手首から前腕に向かう方向に沿って前記収容溝(16)の溝底面側に傾斜していることを特徴とする手技シミュレータ(10)。
[請求項7]
 請求項1記載の手技シミュレータ(10)において、
 前記収容溝(16)を構成する溝底面には、前記模擬人体血管(22、22a)内の模擬人体血液(26)が通る排出孔(48)が形成されており、
 前記排出孔(48)を介して導かれた前記模擬人体血液(26)を受ける受け皿(38)をさらに備えることを特徴とする手技シミュレータ(10)。
[請求項8]
 請求項7記載の手技シミュレータ(10)において、
 前記受け皿(38)は、前記上肢モデル(14)に対して着脱可能に設けられていることを特徴とする手技シミュレータ(10)。
[請求項9]
 請求項1記載の手技シミュレータ(10)において、
 前記模擬人体血管(22、22a)の一端部の内孔が閉塞されており、
 前記模擬人体血管(22、22a)内の模擬人体血液(26)に圧力を付与する圧力付与手段(78)をさらに備えることを特徴とする手技シミュレータ(10)。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]