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1. (WO2015146252) 酸化物焼結体及び該酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲット
Document

明 細 書

発明の名称 酸化物焼結体及び該酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲット

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023  

実施例

0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039  

産業上の利用可能性

0040  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 酸化物焼結体及び該酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲット

技術分野

[0001]
 本発明は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)、及び不可避的不純物からなる酸化物(「IGZO」と一般的に称呼されている。必要に応じて、この「IGZO」を用いて説明する)に関し、特に、IGZO焼結体及び該酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットに関する。

背景技術

[0002]
 従来、FPD(フラットパネルディスプレイ)において、そのバックプレーンのTFT(薄膜トランジスタ)に、α-Si(アモルファスシリコン)が用いられてきた。しかし、α-Siでは十分な電子移動度が得られず、近年では、α-Siよりも電子移動度が高いIn-Ga-Zn-O系酸化物(IGZO)を用いたTFTの研究開発が行われている。そして、IGZO-TFTを用いた次世代高機能フラットパネルディスプレイが一部実用化され、注目を集めている。
[0003]
 IGZO膜は、主として、IGZO焼結体から作製されるターゲットをスパッタリングして成膜される。IGZOスパッタリングターゲットとして、例えば、特許文献1には、In、Ga及びZnを含み、周囲よりもInの含有量が多い組織を生成させることで、高温での還元処理を行わなくても、比抵抗の低いターゲットを作製することができることが開示されている。また、特許文献2には、In、Ga、Znを所定の比率で含み、二種以上のホモロガス結晶が共存していることにより、スパッタリングが安定し、パーティクルの発生が低減できることが開示されている。
[0004]
 ところで、このようなIGZO膜をTFTの活性層として用いる場合、膜の電気的特性に影響を及ぼす要因のひとつに膜中の酸素欠陥の量がある。この酸素欠陥量を制御するためにスパッタ成膜時にアルゴン等の不活性ガスに加えて酸素ガスを導入することが一般に行われている。酸素のスパッタリング効率はアルゴンよりも低く、スパッタ時に酸素ガスを導入するとスパッタされる原子の量が減少して、成膜レートが低下する。IGZO膜のスパッタ成膜においては、膜のキャリア濃度を所望の値に制御するためには多くの酸素を導入する必要があるため、成膜レートが低下して生産性が低下するという問題があった。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2011-105995号公報
特許文献2 : 特許第5288141号

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0006]
 本発明は、所望のキャリア濃度を有する膜を得るために必要なスパッタ時の酸素濃度を低減することが可能なIGZO酸化物焼結体を提供することを課題とする。該焼結体からなるスパッタリングターゲットは、スパッタリングレートを高めることができ、生産性を格段に向上させることができる。

課題を解決するための手段

[0007]
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、IGZO焼結体においてZn(亜鉛)の含有量を増やすことで、膜のキャリア濃度を低下させることができ、その結果、スパッタ時の酸素濃度を低減することができるとの知見を得た。本発明者らは上記の知見に基づき、下記の発明を提供する。
1)インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)及び不可避的不純物からなる酸化物焼結体であって、In、Ga及びZnの原子比でIn:Ga:Zn=1:1:1からなるIGZO(111)相と、IGZO(111)相よりもZnを多く含むIGZO相とを備え、IGZO(111)相よりもZnを多く含むIGZO相が面積比率で1~10%であり、該酸化物焼結体のIn、Ga及びZnの原子数比が、In:Ga:Zn=1:1:(1.02~1.10)からなることを特徴とする酸化物焼結体。
2)平均粒径が20μm以下であることを特徴とする上記1)記載の酸化物焼結体。
3)バルク抵抗が30mΩcm以下であることを特徴とする上記1)又は2)のいずれか一記載の酸化物焼結体。
4)焼結体密度が6.3g/cm 以上であることを特徴とする上記1)~3)のいずれか一記載の酸化物焼結体。
5)上記1)~4)のいずれか一に記載の酸化物焼結体から作製されるスパッタリングターゲット。

発明の効果

[0008]
本発明は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)、及び不可避的不純物からなるIGZO系の酸化物焼結体において、Znを多く含むIGZO相を備えることにより、所望のキャリア濃度を有する薄膜を形成するために必要なスパッタ時の酸素濃度を低減することができるので、スパッタレートを向上することができるという優れた効果を有する。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 実施例1の酸化物焼結体のEPMAによる組織画像を示す図である。
[図2] 実施例2の酸化物焼結体のEPMAによる組織画像を示す図である。
[図3] 実施例3の酸化物焼結体のEPMAによる組織画像を示す図である。
[図4] 比較例の酸化物焼結体のEPMAによる組織画像を示す図である。
[図5] 成膜雰囲気中の酸素濃度と成膜レートとの関係を示す図である。
[図6] 成膜雰囲気中の酸素濃度と薄膜のキャリア濃度との関係を示す図である。

発明を実施するための形態

[0010]
本発明の酸化物焼結体は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)及び不可避的不純物からなり、In、Ga及びZnの原子比でIn:Ga:Zn=1:1:1からなるIGZO(111)相と、IGZO(111)相よりもZnを多く含むIGZO相とを備え、IGZO(111)相よりもZnを多く含むIGZO相が面積比率で1~10%であることを特徴とする。IGZO(111)相よりZnを多く含むIGZO相(ZnリッチIGZO相)を備えることで、所望のキャリア濃度を有する膜を得るために必要なスパッタ時の酸素濃度を低減することができるので、スパッタレート(成膜レート)を向上することができる。
[0011]
Znを多く含む、IGZO相が存在するIGZO焼結体を用いてスパッタ成膜すると、メカニズムは定かでないが、膜のキャリア濃度が低下する。このようなターゲットを用いることにより、所望のキャリア濃度を得るために導入していた酸素ガスの濃度を従来よりも低減することができるので、酸素濃度に起因したスパッタレートの低下を抑えることができる。なお、本発明の酸化物焼結体は、酸素ガス濃度を従来と同等にした場合には、キャリア濃度を低下することができるという効果を有するものであり、スパッタレートの低下が本発明の要件にならないことはいうまでもない。
[0012]
IGZO(111)相よりもZnを多く含むIGZO相(ZnリッチIGZO相)は、焼結体において面積比率で1~10%とするのが好ましい。ZnリッチIGZO相の面積比率が1%未満であると、膜のキャリア濃度低下の効果が十分でなく、一方、ZnリッチIGZO相の面積比率が10%超であると、スパッタして成膜した膜のキャリア濃度が増加することがある。
[0013]
また、本発明において、酸化物焼結体のIn、Ga及びZnの原子比は、In:Ga:Zn=1:1:(1.02~1.10)であることが好ましい。これにより、Znリッチ相を効率的に生成することができ、膜のキャリア濃度を低下させることができる。Znの原子比が1.02未満であると、膜のキャリア濃度の低下の効果が小さくなる。一方、Znの原子比が1.10超であると、酸化物焼結体がIGZO(111)相単相の場合に比べて、膜のキャリア濃度は低いが、キャリア濃度が増加傾向に転じる。したがって、IGZO焼結体のIn、Ga、Znの原子比は上記数値範囲であることが好ましい。
[0014]
本発明の酸化物焼結体は、平均粒径が20μm以下であることが好ましい。平均粒径を小さくすることで機械的強度を高めることができる。平均粒径が20μm超であると、機械的強度が低下して、スパッタリング時に過度な電力が投入された場合、スパッタリングターゲット(焼結体)と該ターゲットをボンディングしているバッキングプレートの熱膨張差によって生じる応力により、焼結体に割れが発生する可能性がある。
[0015]
また、本発明の酸化物焼結体は、バルク抵抗が30mΩcm以下であることが好ましい。バルク抵抗が低いとスパッタ中に異常放電が発生する可能性が低くなり、成膜中の膜に悪影響を及ぼすパーティクルの発生を抑制することができる。一方、バルク抵抗が30mΩcm超であると、DCスパッタが可能な場合であっても、長時間のスパッタ中には異常放電が発生することがあり、場合によってはDCでは放電が起こらず、装置的に高コストで、成膜レートも低下するRFスパッタを用いざるを得ないことがある。
[0016]
また、本発明の酸化物焼結体は、焼結体密度が6.3g/cm 以上であることが好ましい。本発明の酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとして使用した場合、焼結体の高密度化は、スパッタ膜の均一性を高め、また、スパッタリングの際にパーティクルの発生を著しく低減することができるという優れた効果を有する。
[0017]
本発明の酸化物焼結体の製造工程の代表例を示すと、次のようになる。
原料として、酸化インジウム(In )、酸化ガリウム(Ga )、及び酸化亜鉛(ZnO)を用意する。不純物による電気特性への悪影響を避けるため、純度4N以上の原料を用いることが望ましい。各々の原料を所定の組成比となるように秤量する。なお、これらの原料には不可避的に含有される不純物が含まれる。
[0018]
次に、酸化物焼結体が所定の組成比となるように、各原料を添加、混合する。このとき混合が不十分であると、ターゲット中の各成分が偏析して、スパッタリング中にアーキング等の異常放電の原因となったり、パーティクル発生の原因となったりするため、混合は十分に行うことが好ましい。さらに、混合粉を微粉砕、造粒することにより、混合粉の成形性及び焼結性を向上させ、高密度の焼結体を得ることができる。混合、粉砕の手段としては、例えば、市販のミキサーやボールミル、ビーズミル等を使用することができ、造粒の手段としては、例えば市販のスプレードライヤーを用いることができる。
[0019]
次に、混合粉末を金型に充填し、面圧400~1000kgf/cm 、1~3分保持の条件で一軸プレスして、成型体を得る。面圧400kgf/cm 未満であると十分な密度の成形体を得ることができない。また、過度な面圧を加えても成形体の密度はある一定の値以上は向上しにくくなること、及び一軸プレスでは原理的に成形体内に密度分布が生じやすく、焼結時の変形や割れの原因となることから、1000kgf/cm 以上の面圧は生産上特に必要とされない。
[0020]
次に、この成型体をビニールで2重に真空パックし、圧力1500~4000kgf/cm 、1~3分保持の条件でCIP(冷間等方圧加圧法)を施す。圧力1500kgf/cm 未満であると、十分なCIPの効果を得ることができず、一方4000kgf/cm 以上の圧力を加えても、成形体の密度はある一定の値以上は向上しにくくなるため、4000kgf/cm 以上の面圧は生産上特に必要とされない。
[0021]
次に、成形体を温度1300~1500℃、保持時間5~24時間,大気雰囲気又は酸素雰囲気で焼結を行い、焼結体を得る。焼結温度が1300℃よりも低いと十分な密度の焼結体を得ることができず、焼結温度が1500℃以上であると焼結体中の結晶粒のサイズが大きくなり過ぎて、焼結体の機械的強度を低下させる恐れがある。また保持時間が5時間未満であると十分な密度の焼結体を得ることができず、保持時間が24時間より長いと、生産コストの観点から好ましくない。
[0022]
また成形・焼結工程においては、上述した方法以外にも、HP(ホットプレス)やHIP(熱間等方圧加圧法)を用いることができる。以上のようにして得られた焼結体は、研削、研磨などの機械加工によりターゲット形状とすることで、スパッタリングターゲットを作成することができる。
[0023]
本発明の酸化物半導体膜の作製に際しては、上記のようにして得られたスパッタリングターゲットを、所定の条件でスパッタリングを実施して成膜し、必要に応じて、この膜を所定の温度でアニールすることで、酸化物半導体膜を得ることができる。また、本発明の薄膜トランジスタの作製に際しては、前記酸化物半導体膜を図1に示すようなゲート電極として用いることで、薄膜トランジスタを得ることができる。
実施例
[0024]
 以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
[0025]
(実施例1)
In 粉、Ga 粉、ZnO粉を、焼結体の組成比がIn、Ga及びZnの原子比で1.00:1.00:1.02となるように秤量した後、これらの粉末を湿式で混合・微粉砕し、その後、スプレードライヤーで乾燥・造粒して、混合粉末を得た。次に、この混合粉末を面圧400~1000kgf/cm で一軸プレスして成形体を得た。次に得られた成形体をビニールで2重に真空パックし、1500~4000kgf/cm でCIP成型した後、酸素雰囲気中、温度1430℃で20時間焼結した。
[0026]
このようにして得られたIGZO焼結体のEPMAによる組織写真を図1に示す(図中、白い部分がZnリッチIGZO相に相当する)。EPMAの組織写真から実施例1の焼結体がIGZO(111)相とZnリッチIGZO相から構成されていることを確認した。また、組織写真からZnリッチIGZO相の面積を求め、この組織写真全体の面積との比率からZnリッチIGZO相の面積比率を算出した。その結果、ZnリッチIGZO相の面積比率1.7%であった。
また、焼結体の平均粒径は19.7μmであり、焼結体密度は6.3g/cm と高密度のものが得られた。さらに、バルク抵抗は30.0mΩcmと低抵抗のものが得られた。以上の結果を表1に示す。なお、平均粒径はコード法により算出し、焼結体密度はアルキメデス法、バルク抵抗は四探針法により求めた。
[0027]
次に、焼結体を機械加工して、6インチのスパッタリングターゲットに仕上げ、このターゲットを使用してスパッタリングを行った。スパッタ条件は、成膜方法:DCマグネトロンスパッタリング、成膜温度:室温、成膜圧力:0.5Pa(O +Ar)、投入パワー:2.74W/cm とし、成膜時の酸素濃度を2vol%、6vol%、10vol%と変えて、それぞれ厚さ約4000Åの膜を成膜した。
[0028]
段差計による膜厚測定値と成膜時間からそれぞれの酸素濃度における成膜レートを算出した。その結果を表1及び図4に示す。表1に示すとおり、後述する比較例と比べて若干成膜レートが向上していることを確認した。
また、それぞれの膜について、大気中400℃で1時間アニールし、Hall効果測定により、キャリア濃度とHall移動度を測定した。その結果を表1及び図6に示す。表1に示すとおり、後述する比較例と比べていずれの酸素濃度においてもキャリア濃度が低下していることを確認した。なお、Hall効果の測定には、(株)東陽テクニカ製ResiTest8400を用いた。
[0029]
[表1]


[0030]
(実施例2)
In 粉、Ga 粉、ZnO粉を、焼結体の組成比がIn、Ga及びZnの原子比で1.00:1.00:1.05となるように秤量した後、これらの粉末を湿式で混合・微粉砕し、その後、スプレードライヤーで乾燥・造粒して、混合粉末を得た。次に、この混合粉末を面圧400~1000kgf/cm で一軸プレスして成形体を得た。次に得られた成形体をビニールで2重に真空パックし、1500~4000kgf/cm でCIP成型した後、酸素雰囲気中、温度1430℃で20時間焼結した。
[0031]
このようにして得られたIGZO焼結体のEPMAによる組織写真を図2に示す(図中、白い部分がZnリッチIGZO相に相当する)。EPMAの組織写真から実施例2の焼結体がIGZO(111)相とZnリッチIGZO相から構成されていることを確認した。また、実施例1と同様の方法で、ZnリッチIGZO相の面積比率を算出した結果、ZnリッチIGZO相の面積比率5.2%であった。
また、焼結体の平均粒径は14.9μmであり、焼結体密度は6.3g/cm と高密度のものが得られた。さらに、バルク抵抗は23.0mΩcmと低抵抗のものが得られた。以上の結果を表1に示す。なお、平均粒径、焼結体密度、バルク抵抗の測定には、実施例1と同様の方法を用いた。
[0032]
次に、焼結体を機械加工して、6インチのスパッタリングターゲットに仕上げ、このターゲットを使用してスパッタリングを行った。スパッタ条件は実施例1と同様の条件とした。そして、段差計による膜厚測定値と成膜時間からそれぞれの酸素濃度における成膜レートを算出した。その結果を表1及び図5に示す。表1に示すとおり、後述する比較例と比べて成膜レートが向上していることを確認した。
次に、それぞれの膜について、大気中400℃で1時間アニールし、Hall効果測定により、キャリア濃度とHall移動度を測定した。その結果を表1及び図6に示す。表1に示すとおり、後述する比較例と比べていずれの酸素濃度においてもキャリア濃度が低下していることを確認した。
[0033]
(実施例3)
In 粉、Ga 粉、ZnO粉を、焼結体の組成比がIn、Ga及びZnの原子比で1.00:1.00:1.10となるように秤量した後、これらの粉末を湿式で混合・微粉砕し、その後、スプレードライヤーで乾燥・造粒して、混合粉末を得た。次に、この混合粉末を面圧400~1000kgf/cm で一軸プレスして成形体を得た。次に得られた成形体をビニールで2重に真空パックし、1500~4000kgf/cm でCIP成型した後、酸素雰囲気中、温度1430℃で20時間焼結した。
[0034]
このようにして得られたIGZO焼結体のEPMAによる組織写真を図3に示す(図中、白い部分がZnリッチIGZO相に相当する)。EPMAの組織写真から実施例3の焼結体がIGZO(111)相とZnリッチIGZO相から構成されていることを確認した。また、実施例1と同様の方法で、ZnリッチIGZO相の面積比率を算出した結果、ZnリッチIGZO相の面積比率9.8%であった。
また、焼結体の平均粒径は8.9μmであり、焼結体密度は6.3g/cm と高密度のものが得られた。さらに、バルク抵抗は21.0mΩcmと低抵抗のものが得られた。以上の結果を表1に示す。なお、平均粒径、焼結体密度、バルク抵抗の測定には、実施例1と同様の方法を用いた。
[0035]
次に、焼結体を機械加工して、6インチのスパッタリングターゲットに仕上げ、このターゲットを使用してスパッタリングを行った。スパッタ条件は実施例1と同様の条件とした。そして、段差計による膜厚測定値と成膜時間からそれぞれの酸素濃度における成膜レートを算出した。その結果を表1及び図5に示す。表1に示すとおり、後述する比較例と比べて成膜レートが向上していることを確認した。
次に、それぞれの膜について、大気中400℃で1時間アニールし、Hall効果測定により、キャリア濃度とHall移動度を測定した。その結果を表1及び図6に示す。表1に示すとおり、後述する比較例と比べていずれの酸素濃度においてもキャリア濃度が低下していることを確認した。
[0036]
(比較例)
In 粉、Ga 粉、ZnO粉を、焼結体の組成比がIn、Ga及びZnの原子比で1.00:1.00:1.00となるように秤量した後、これらの粉末を湿式で混合・微粉砕し、その後、スプレードライヤーで乾燥・造粒して、混合粉末を得た。次に、この混合粉末を面圧400~1000kgf/cm で一軸プレスして成形体を得た。次に得られた成形体をビニールで2重に真空パックし、1500~4000kgf/cm でCIP成型した後、酸素雰囲気中、温度1430℃で20時間焼結した。
[0037]
このようにして得られたIGZO焼結体のEPMAによる組織写真を図4に示す(図中、白い部分がZnリッチIGZO相に相当する)。EPMAの組織写真から比較例の焼結体がIGZO(111)相のみから構成されていることを確認した。
また、焼結体の平均粒径は24.6μmであり、焼結体密度は6.3g/cm であった。さらに、バルク抵抗は37.3mΩcmであった。以上の結果を表1に示す。なお、平均粒径、焼結体密度、バルク抵抗の測定には、実施例1と同様の方法を用いた。
[0038]
次に、焼結体を機械加工して、6インチのスパッタリングターゲットに仕上げ、このターゲットを使用してスパッタリングを行った。スパッタ条件は実施例1と同様の条件とした。そして、段差計による膜厚測定値と成膜時間からそれぞれの酸素濃度における成膜レートを算出した。その結果を表1及び図5に示す。表1に示すとおり、実施例に比べて成膜レートは低い結果となった。次に、それぞれの膜について、大気中400℃で1時間アニールし、Hall効果測定により、キャリア濃度とHall移動度を測定した。その結果を表1及び図6に示す。表1に示すとおり、実施例に比べてキャリア濃度が高い結果となった。
[0039]
以上の結果から、実施例のZn組成1.02、1.05、1.10のいずれにおいても、比較例のZn組成1.00に比べてキャリア濃度の低下を確認できた。比較例ではキャリア濃度をあるレベル以下(例えば、1e +15cm -3以下)に下げるには酸素濃度を10%以上とする必要があるが、実施例1~3では2%で十分であることが分かる。さらに、同じ酸素濃度で成膜した場合であっても、実施例の方が比較例よりもやや成膜レートが高いため、所望のキャリア濃度(一般的なTFTでは、膜のキャリア濃度は1e +15cm -3前後からそれ以下)の膜を得るために酸素を増やす必要がなく、高い成膜レートを維持することができる。

産業上の利用可能性

[0040]
本発明の酸化物焼結体は、スパッタリングターゲットとすることができ、このスパッタリングターゲットを使用してスパッタ成膜する場合、スパッタリング雰囲気中の酸素濃度を低減することができるので、スパッタレート(成膜レート)を向上することができる。したがって、このようなスパッタリングターゲットを用いることで、酸化物半導体膜及び薄膜トランジスタを、安定的に量産することができるという優れた効果を有する。本発明の酸化物半導体膜は、特にフラットパネルディスプレイやフレキシブルパネルディスプレイなどのバックプレーンにおけるTFTの活性層として有用である。

請求の範囲

[請求項1]
インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)及び不可避的不純物からなる酸化物焼結体であって、In、Ga及びZnの原子比でIn:Ga:Zn=1:1:1からなるIGZO(111)相と、IGZO(111)相よりもZnを多く含むIGZO相とを備え、IGZO(111)相よりもZnを多く含むIGZO相が面積比率で1~10%であり、該酸化物焼結体のIn、Ga及びZnの原子数比が、In:Ga:Zn=1:1:(1.02~1.10)からなることを特徴とする酸化物焼結体。
[請求項2]
平均粒径が20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物焼結体。
[請求項3]
バルク抵抗が30mΩcm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物焼結体。
[請求項4]
焼結体密度が6.3g/cm 以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の酸化物焼結体。
[請求項5]
請求項1~4のいずれか一項に記載の酸化物焼結体から作製されるスパッタリングターゲット。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]