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1. (WO2015146140) EUVマスクの位相欠陥評価方法、EUVマスクの製造方法、EUVマスクブランク及びEUVマスク
Document

明 細 書

発明の名称 EUVマスクの位相欠陥評価方法、EUVマスクの製造方法、EUVマスクブランク及びEUVマスク

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009   0010   0011  

課題を解決するための手段

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020  

発明の効果

0021  

図面の簡単な説明

0022  

発明を実施するための形態

0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050  

実施例

0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062  

産業上の利用可能性

0063  

符号の説明

0064  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : EUVマスクの位相欠陥評価方法、EUVマスクの製造方法、EUVマスクブランク及びEUVマスク

技術分野

[0001]
 本発明は、EUVマスクの位相欠陥評価方法及びEUVマスクの製造方法において、位相欠陥のパターン転写への影響を高精度に評価し、高品質なEUVマスクを製造する方法に関する。

背景技術

[0002]
 LSI等の半導体デバイスの高集積化に伴い、半導体デバイスの回路パターンが微細化及び複雑化する傾向にある。微細な回路パターンを形成するために、高精度の原画パターンとしてのフォトマスクやレチクル(以下、マスクと記述する)が必要となり、パターンの位置精度や寸法精度はますます厳しくなっている。
[0003]
 現在は、ArFエキシマレーザを用いた光学式の投影露光装置により、ウェハ上にパターン転写する露光方式が主流であるが、より微細なパターン転写を実現するためには、露光光として、波長が13.5nm近傍のEUV光を用いたリソグラフィ技術が注目されている。EUVリソグラフィは光源波長の特性のため、真空中で行われる必要がある。EUVの波長領域においては、ほとんどの物質の屈折率は1よりもわずかに小さい値であり、光吸収性が非常に高い。このため、EUVリソグラフィにおいては従来から用いられてきた屈折光学系を使用できず、反射光学系を使用することとなる。したがって、マスクは従来の透過型ではなく、反射型となる。
[0004]
 EUVマスクは反射型のため、パターンの側壁角度などの三次元形状の管理が重要となる。また、EUVマスク特有の欠陥として多層膜欠陥がある。多層膜欠陥は、基板上のピットやバンプ、異物などにより生じる。これらの異物があると、多層膜の周期が乱れることにより正常部との間に位相差が生じて、いわゆる位相欠陥となる。EUV光のように短波長の露光光を用いる場合、微小な凹凸でも露光に影響を及ぼす恐れがある。そのため、表面の微小な凹凸の検査が重要となる。
[0005]
 EUVマスクにおいて位相欠陥によるパターン転写への影響を回避する方法として、あらかじめ位相欠陥の位置を計測しておき、位相欠陥が吸収層の下に隠れるように、吸収層パターンの描画位置をずらす方法が知られている。位相欠陥の位置は、ガラス基板上に作成した基準マークの位置を基準としてあらかじめ計測しておく。そして、パターン描画時に基準マークの位置を検出し、位相欠陥が吸収層パターンで覆われるように描画パターンをシフトし、位相欠陥が転写に影響しないように回避する。但し、位相欠陥と吸収層パターンとの位置関係から上記の描画パターン変更のみでは回避できない位相欠陥も存在する場合がある。そのような場合には、位相欠陥の周囲の吸収層パターンを修正によって削り、位相欠陥によりEUV反射光の光量が低下する分を光学的に補正することで転写パターンに影響を及ぼさないようにする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[0006]
 EUVブランクの多層反射膜上に露出している位相欠陥の影響を調べるには、EUV光による露光転写システムであるAIMS(Aerial Image Measurement System)などが用いられる。AIMSは露光光と同じ波長の光源を有し、露光系と相似である光学系を用いて露光環境を作り、位相欠陥等の空間像をCCDなどのセンサーで計測する検査システムである。AIMSを用いて転写パターンへ影響を及ぼす位相欠陥と判定された位相欠陥は、修正工程で修正される。修正方法は、上述したように位相欠陥に隣接する吸収層パターンを削る方法などがある。修正後は再度AIMSを用いて転写後の空間像を確認し、転写に影響がないかを確認する。
[0007]
 EUVマスクの位相欠陥を修正する別の方法としては、転写シミュレータに位相欠陥の正確な三次元形状の情報と吸収層のパターンデータとを入力し、転写シミュレーションすることで事前に吸収層パターンの最適な修正量を見積もってから、吸収層パターンを修正する方法もある。正確な転写シミュレーションを行うためには、位相欠陥の三次元形状を精度良く入力する必要がある。別途、多層反射膜の表面上の位相欠陥の三次元形状をAFM(Atomic Force Microscope)などを使い測定する必要がある。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 特開2012-89580号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 位相欠陥の転写への影響を正確にシミュレーションするためには、多層反射膜表面の位相欠陥の位置、大きさだけでなく、基板上の位相欠陥が多層反射膜中に伝播する状態を精度良く把握する必要がある。EUV反射光は、多層反射膜表面のみならず多層反射膜中からも反射する。そのため、多層反射膜中の位相欠陥も転写に影響する。多層反射膜中の位相欠陥の伝播状態は、欠陥検査装置やAFMでは分からない。そのため、従来手法では、多層反射膜表面上の位相欠陥の位置、形状を把握するのみであった。従来、基板上の位相欠陥は多層反射膜中を上方に垂直に成長すると考えられてきたが、最近の研究では、斜め方向に成長する位相欠陥もあることが明らかになってきた。斜め方向に成長した位相欠陥については、従来手法で実施した場合は正しいシミュレーション結果が得られず、正確な吸収層パターンの修正量の見積もりもできないため、位相欠陥に関する修正を精度良く実施できないという問題があった。
[0010]
 特許文献1では、位相欠陥の転写への影響を回避するために、隣接する吸収層パターンを修正する具体的な方法が記載されている。この方法では位相欠陥の多層反射膜内部の伝播状態までは考慮せずに、吸収層パターンの修正を実施している。そのため、修正後にEUV光による露光転写システムであるAIMSを用いて確認を行っている。AIMSによる確認で修正が不十分であると判断された場合には、再度修正を実施するプロセスが記載されている。このように修正作業とAIMSによる確認を繰り返すため、作業効率が悪くEUVマスク作製に要する時間が長くなるという問題があった。
[0011]
 本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、位相欠陥がウェハ転写に影響を与えるEUVマスクブランクにおいて、位相欠陥が多層反射膜中を伝播する状態を精度高く把握して、転写シミュレーションの精度を向上させることができるEUVマスクの位相欠陥評価方法を提供することを目的とし、また、そのEUVマスクの位相欠陥評価方法を用いて適切な吸収層パターンの修正を実現し、高品質なEUVマスクを製造できるEUVマスクの製造方法を提供することを目的とし、また、この製造方法を好適に適用できるEUVマスクブランクおよびEUVマスクを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0012]
 上記課題を解決するための本発明の一局面は、基板上に多層反射膜が形成されたEUVマスクの位相欠陥評価方法であって、基板上に欠陥検査用の基準マークを形成する工程と、基板上の欠陥検査を行い、基板上の欠陥である基板上欠陥の少なくとも位置座標を計測する工程と、基板上に多層反射膜を形成する工程と、多層反射膜上の欠陥検査を行い、多層反射膜上の欠陥である反射膜上欠陥の少なくとも位置座標を計測する工程と、多層反射膜内部の欠陥モデルを用意した欠陥モデルライブラリから参照する工程と、基板上欠陥の位置座標、反射膜上欠陥の位置座標及び多層反射膜内部の欠陥モデルに基づいて、多層反射膜内部における位相欠陥の伝播状態推定モデルを作成する工程とを含む、EUVマスクの位相欠陥評価方法である。
[0013]
 また、基板上に多層反射膜を形成する工程において、基板上の基準マークを覆う構造をしたマスキング治具を配置した状態で、多層反射膜の成膜処理を行ってもよい。
[0014]
 また、反射膜上欠陥の少なくとも位置座標を計測する工程において、基板上の基準マークを使用して、反射膜上欠陥の位置座標を計測してもよい。
[0015]
 また、欠陥モデルライブラリに含まれる欠陥モデルは、基板上欠陥の幅及び基板上欠陥の高さに応じて、計算機シミュレーションによって生成された多層膜内部における位相欠陥モデルを表すものであってもよい。
[0016]
 また、位相欠陥の伝播状態推定モデルを作成する工程において、基板上欠陥の位置と、基板上欠陥に対応する反射膜上欠陥の位置との位置ずれ量として、基板表面に平行な面内における直交する2方向に沿った各位置ずれ量を算出し、各位置ずれ量、多層反射膜の高さ及び多層反射膜内部の欠陥モデルに基づいて、伝播状態推定モデルを作成してもよい。
[0017]
 また、本発明の他の局面は、上述のEUVマスクの位相欠陥評価方法を用いた、EUVマスクの製造方法であって、伝播状態推定モデルと反射膜上欠陥周囲の吸収層パターンとに基づいて、反射膜上欠陥周囲の吸収層パターンの修正量を計算する工程と、修正量に基づいて吸収層パターンの修正を実施する工程とを含む、EUVマスクの製造方法である。
[0018]
 また、吸収層パターンの修正量を計算する工程は、反射膜上欠陥の三次元形状を測定する工程を含み、反射膜上欠陥の三次元形状にさらに基づいて、吸収層パターンの修正量を計算してもよい。
[0019]
 本発明のさらに他の局面は、1つ以上の基準マークが形成された基板と、基板上に形成された複数の反射膜からなる多層反射膜および吸収層とを含み、前記基板の前記基準マークが形成された箇所には前記多層反射膜が形成されていない、EUVマスクブランクである。
[0020]
 本発明のさらに他の局面は、1つ以上の基準マークが形成された基板と、基板上に形成された複数の反射膜からなる多層反射膜と、多層反射膜上に形成された吸収層パターンとを含み、基板の前記基準マークが形成された箇所には前記多層反射膜が形成されていない、EUVマスクである。

発明の効果

[0021]
 以上詳記したように本発明によれば、位相欠陥の多層反射膜中の伝播状態も考慮した上で転写シミュレーションを実施できるので、位相欠陥周囲の吸収層パターンの修正量を精度高く見積もることができ、高品質なEUVマスクを提供することができる。また、この製造方法を好適に適用できるEUVマスクブランクおよびEUVマスクを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0022]
[図1] 図1は、基板と基準マークとを示す平面図である。
[図2] 図2は、基板上にマスキング治具を配置した平面図である。
[図3] 図3は、基板上欠陥と反射膜上欠陥との位置関係を示す断面図である。
[図4] 図4は、基板上の基準マークと多層反射膜上の基準マークとの位置関係を示す断面図である。
[図5] 図5は、多層反射膜内部における位相欠陥の伝播状態を示す断面図である。
[図6] 図6は、多層膜内部の欠陥モデルライブラリを示す概念図である。
[図7] 図7は、実施形態に係るEUVマスクの位相欠陥評価方法の手順を示すフロー図である。
[図8] 図8は、実施形態に係るEUVマスクの製造方法の手順を示すフロー図である。
[図9] 図9は、実施例における、基準マーク領域を含むEUVマスクの断面図である。
[図10] 図10は、実施例における、転写シミュレータに入力した断面図(a)及び吸収層パターンの修正形状を示す平面図(b)である。
[図11] 図11は、実施例における、転写シミュレータに入力した断面図(a)及び吸収層パターンの修正形状を示す平面図(b)である。

発明を実施するための形態

[0023]
 以下、本発明の一実施形態に係るEUVマスクの位相欠陥評価方法及びEUVマスクの製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。
[0024]
 まず、低熱膨張ガラス(LTEM)基板10上に基準マーク11をドライエッチング等により形成する。ここでの基準マーク11とは、位相欠陥の位置座標の特定や吸収層パターンのレイアウト調整のために利用するものである。図1は、基板10と基準マーク11とを示す平面図であり、基準マーク11は、一例として、基板10の四隅に配置されている。基準マーク11を形成する領域としては、吸収層パターンを形成するパターン形成領域(例えば、基板10の中心を基準とした132mm角の領域の内側)と重ならないように基板10の外周部にできる限り近い領域が好ましい。
[0025]
 次に、基準マーク11を形成する方法を説明する。基板10上にマーク形成用薄膜としてCr系の膜を成膜する。次に、Cr系の膜の上面に電子線描画用レジストを塗布する。次に、このレジストに基準マークのパターンを電子線描画し、現像処理を行って基準マークのレジストパターンを形成する。次に、ドライエッチング(例えば、エッチングガスは塩素と酸素との混合ガス)を行い、Cr系の膜に基準マークのパターンを形成する。次に、レジストを剥離処理する。次に、ガラス基板10をドライエッチング(例えば、エッチングガスはフッ素系とヘリウムガスとの混合ガス)を行って、ガラス基板10上に基準マーク11を形成する。次に、ウェットエッチングあるいはドライエッチングによりCr系の膜を剥離して、洗浄する。以上のプロセスにより、ガラス基板10上に基準マーク11を形成する。
[0026]
 基準マーク11の形成後は、基板10上の欠陥検査を行う。この検査には、従来のフォトマスクの欠陥検査で用いられてきたUV光(波長193nm~488nm)を用いる検査方法などを用いることができる。検査機を用いて基準マーク11を基準とした基板上欠陥の位置座標、及び数を計測する。例えば、UV光を用いる検査の場合は、基板10上の表面にUV光を使用したレーザー光を走査し、表面の凹凸に起因するレーザー光の散乱を光検出器で検知することにより、基板上欠陥の位置座標を検出することができる。
[0027]
 次に、基板10上に脱着可能なマスキング治具21を配置する。図2は、基板10上にマスキング治具21を配置した平面図である。各マスキング治具21は、例えば平面視で三角形状である。各マスキング治具21は、基板10の四隅にある基準マーク11を覆い隠すような構造をしている。この状態でイオンビームスパッタリング法により、基板10上にモリブデン(Mo)とシリコン(Si)とを交互に、例えば40層ずつ積層し多層反射膜(EUV多層反射膜)を形成する。その上に、ルテニウム(Ru)をキャッピング層として成膜する。このようにすることで、基板10上でマスキング治具21に覆われていない部分に成膜材料が堆積し、基準マーク11部分には成膜材料を堆積させないことが可能になる。すなわち、この方法によって、基板10上の基準マーク11部分には多層反射膜が形成されていないEUVブランクが得られる。なお、基準マーク11は、例えばUV光の反射、散乱等によって検出可能であれば、そのパターンは十字形状その他の任意のパターンを用いることができ、また、その形成方法は上述の方法に限定されず他の方法も採用可能である。また、吸収層パターン形成領域に干渉しない限り、その位置、個数、大きさも限定されない。
[0028]
 次に、基準マーク11を基準として多層反射膜表面上の欠陥検査を行う。UV光を用いる検査方法を実施し、多層反射膜上欠陥の位置座標、及び数を計測する。基板上の欠陥検査と多層反射膜表面上の欠陥検査とでは、基板10上の同一の基準マーク11を、欠陥の位置座標の基準として使用する。そのため、基板上欠陥と反射膜上欠陥との二次元的な位置ずれ量として、基板上欠陥の位置と反射膜上欠陥の位置との差を算出することができる。図3は、基板上欠陥30と反射膜上欠陥31との位置関係を示す断面図である。例えば、図3に示すように、基板上欠陥30から位相欠陥が多層反射膜の中で上方に垂直に成長していれば、上記位置ずれ量はほぼ無い(図3の(a))。一方、基板上欠陥30から位相欠陥が多層反射膜の中で斜め方向に成長していれば、上記位置ずれ量が生じているはずである(図3の(b))。位置ずれ量Zは、例えば基板上欠陥30の平面視における中心座標と反射膜上欠陥31の平面視における中心座標との差から得られる。
[0029]
 本発明の効果を説明するために、マスキング治具21を用いずに基板10上に多層反射膜(反射膜)を成膜処理する一般的な方法との対比を行う。図4は、基板10上の基準マーク40、42と多層反射膜上の基準マーク41、43との位置関係を示す断面図である。マスキング治具21を用いずに基板10全面に多層反射膜を成膜すると、基準マーク40、42上にも多層反射膜が形成される。この状態で多層反射膜表面の欠陥検査を実施する時は、多層反射膜上の基準マーク41、43を使用することになる。基板10上に形成した基準マーク40がそのまま上方に垂直に形成されて多層反射膜上の基準マーク41となれば、基準マーク40との位置ずれは無い(例えば図4の(a))。しかし、基板10上の基準マーク42から斜め方向に形成されると、多層反射膜上の基準マーク43が基板10上の基準マーク42に対して位置ずれを生じる(例えば図4の(b))。図4の(b)のような多層反射膜上の基準マーク43を使って反射膜上欠陥の位置座標を計測し、基板上欠陥の位置との二次元的な位置ずれを算出しようとしても、基準マーク43自体がどの程度ずれているのかが分からない。そのため、精度高く位置ずれ量を算出することができない。また、欠陥検査時には、基準マークの検出性も高くなければならない。基板10上の基準マーク44上に多層反射膜が形成されると、成膜後の基準マーク45のトップエッジ部分、又はボトムエッジ部分が丸くなる場合がある(例えば図4の(c))。この状態では、検査機による基準マークの検出エラーが発生する可能性が高く、基準マークの検出性の観点からも本発明には効果がある。
[0030]
 次に、EUVブランク上にDCマグネトロンスパッタ法により吸収膜(吸収層)の形成を行う。吸収層には、例えばタンタル(Ta)を主成分とした金属膜を用いる。最上層には酸化タンタル(TaO)を成膜する。次に、EUVブランクの裏面に、導電層として金属または金属窒化膜などを成膜する。導電層には、例えば、クロム(Cr)または窒化クロム(CrN)などが用いられる。導電層は、マスクを露光装置に静電チャックするために設けられる。
[0031]
 次に、欠陥検査で検出した位相欠陥がパターン転写に影響を及ぼさないように、位相欠陥(反射膜上欠陥)が吸収層パターンの下に隠れるようにパターンレイアウトツールなどを用いて、パターンレイアウトの配置処理を実施する。しかしこの時、位相欠陥と吸収層パターンとの位置関係から全ての位相欠陥を吸収層パターンの下に隠れるように配置処理できない場合もある。このような場合には、位相欠陥がパターン転写に影響を及ぼさないように修正が必要になる。修正方法としては、EUV反射光の光量が低下する分を位相欠陥周囲の吸収層パターンを削ることで光学的に補正する方法を用いる。
[0032]
 次に、吸収層パターンの修正量を見積もるために転写シミュレーションを行う。この時、吸収層パターンの修正量を正しく見積もるためには、多層反射膜内部における位相欠陥の伝播状態を精度良く再現する必要がある。転写シミュレーションのソフトウェアにおいて位相欠陥の断面形状を設定する際に、反射膜上欠陥の形状は、あらかじめAFM等で測定した三次元形状の情報を入力する。そして、欠陥検査で測定した基板上欠陥の位置と反射膜上欠陥の位置との位置ずれ量による多層膜内伝播(成長)方向の情報とFDTD法(時間領域差分法)を使った計算機シミュレーションを実施して、多層膜内部における位相欠陥の伝播状態を表す欠陥モデルを作成する。
[0033]
 図5は、多層反射膜52、55内部における位相欠陥の伝播状態を示す断面図である。図5の(a)は、位置ずれ量が0である場合の多層反射膜52内部の位相欠陥の状態推定図の一例である。位置ずれ量が0であるため基板50上の基板上欠陥51から上方に垂直に位相欠陥が成長している(伝播している)と推定することができる。図5の(b)は、位置ずれ量が存在する場合で、基板53上の基板上欠陥54から斜め方向に位相欠陥が成長している(伝播している)様子を推定した一例である。このように欠陥検査によって計測した位置ずれ量から、位相欠陥の多層反射膜内部の伝播状態を推定する。
[0034]
 図6は、多層膜内部の欠陥モデルライブラリを示す概念図である。欠陥モデルライブラリには、基板上欠陥の幅(横軸)、及び基板上欠陥の高さ(縦軸)に基づき、計算機シミュレーションによって生成された多層膜内部における位相欠陥の伝播状態を表す欠陥モデルが保存されている。この欠陥モデルを参照し、多層膜内部の伝播(成長)方向情報を組み合わせて、多層膜内部の伝播状態推定モデルを生成する。次に、AIMSを使い、転写後の空間像を生成し保存する。
[0035]
 次に、位相欠陥の周辺の吸収層パターンと多層膜内部の欠陥モデルライブラリとをソフトウェアに入力し、転写シミュレーションを実施する。AIMS転写後の空間像と転写シミュレーション結果とのマッチングが最も高い欠陥モデルを選択する。次に、所望の転写パターンを得るために吸収層パターンの最適な修正量(修正形状)を計算する。次に、転写シミュレーションで得られた最適な修正量(修正形状)通りに、修正装置を用いて吸収層パターンの修正を実施する。以上の方法によれば、精度高く位相欠陥を修正できるため高品質なEUVマスクを提供することが出来る。
[0036]
 転写シミュレータは修正量(修正形状)を計算する時だけではなく、描画パターンレイアウト変更時に利用してもよい。多層反射膜表面上の反射膜上欠陥が吸収層パターンの下に隠れるように配置しても多層反射膜内部で斜めに位相欠陥が伝播している場合には、反射膜上欠陥を隠すのみでは不十分な場合もある。そのような場合には、転写シミュレータ上で最適なパターン配置を求めるとよい。
[0037]
 次に、図7、図8のフローチャートを参照して、本実施形態のEUVマスクの位相欠陥評価方法及びEUVマスクの製造方法について説明する。図7は、実施形態に係るEUVマスクの位相欠陥評価方法の手順を示すフロー図であり、図8は、実施形態に係るEUVマスクの製造方法の手順を示すフロー図である。図7を用いて多層反射膜内部の位相欠陥の伝播状態を推定する方法を説明する。
[0038]
 先ず、LTEM基板上に基準マークを形成する(ステップS100)。
[0039]
 次に、基準マークを基準として基板上の欠陥検査を行う(ステップS101)。このステップで基板上欠陥の位置座標、及び数を計測し、欠陥の位置情報1を取得する。
[0040]
 次に、LTEM基板上にマスキング治具(メタルマスク)を配置し(ステップS102)、モリブデンとシリコンとを交互に40層ずつ積層し多層反射膜(EUV反射膜)を形成する(ステップS103)。
[0041]
 次に、LTEM基板上の基準マークを基準として、多層反射膜表面上の欠陥検査を行う(ステップS104)。このステップで多層反射膜上欠陥の位置座標、及び数を計測し、欠陥の位置情報2を取得する。
[0042]
 次に、基板上の欠陥の位置情報1と多層反射膜表面上の欠陥の位置情報2とから、基板上欠陥と、対応する多層反射膜上欠陥との位置ずれ量を算出する(ステップS105)。
[0043]
 次に、多層反射膜の高さ(Z方向の寸法)、ステップS105で算出した位置ずれ量(X方向の位置ずれ量、Y方向の位置ずれ量)及び予め保存しておいた欠陥モデルライブラリ60から、多層反射膜内部における位相欠陥の伝播状態を推定した伝播状態推定モデル3を作成する(ステップS106)。なお、X方向の位置ずれ量、及びY方向の位置ずれ量は、LTEM基板に平行な面内の直交座標系での値である。例えば、LTEM基板の一辺に沿ってX方向が設定され、その一辺に直交する辺に沿ってY方向が設定される。Z方向は、LTEM基板の高さ方向に設定される。
[0044]
 図8で転写シミュレーションを用いて吸収層パターンの修正量を見積る工程を説明する。
[0045]
 先ず、AFMを用いて多層反射膜表面上の位相欠陥(反射膜上欠陥)の大きさ、及び形状を測定し(ステップS200)、欠陥の形状情報4を取得する。欠陥の形状情報4には、各反射膜上欠陥の大きさ及び形状について、3次元情報(X方向、Y方向、及びZ方向の情報)が含まれている。
[0046]
 次に、伝播状態推定モデル3、欠陥の形状情報4及び吸収層パターン情報5を転写シミュレータに入力する(ステップS201)。
[0047]
 次に、転写シミュレーションを実施する(ステップS202)。
[0048]
 次に、転写シミュレーション結果と予め実施しておいたAIMS転写後の空間像70とのマッチングを行い、最もマッチング度合いが高い欠陥モデルを選択する。(ステップS203)。
[0049]
 次に、転写影響度を確認し、所望の転写パターンを得るまで吸収層パターンの最適な修正量(修正形状)を計算する。(ステップS204)。
[0050]
 次に、修正量(修正形状)を修正装置にフィードバックし(ステップS205)、吸収層パターンの修正を実施する(ステップS206)。
実施例
[0051]
 以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
[0052]
 基板として、光学研磨された大きさ6インチ角、厚さ0.25インチの低熱膨張ガラス(LTEM)基板を用意し、LTEM基板に欠陥検査用の基準マークを作成する。具体的に、基準マークの作成では、まずLTEM基板上に基準マーク形成用薄膜としてCrOを10nmの厚さで成膜した。次に、この薄膜の上面に、電子線描画用化学増幅型レジストとしてFEP-171(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を400nmの厚さで塗布した。レジスト膜に基準マークのパターンを電子線描画し、現像処理を行い、基準マークのレジストパターンを形成した。次に、このレジストパターンをマスクとして、塩素と酸素との混合ガスにより基準マーク形成用薄膜をドライエッチングし、基準マークのパターンを作成した。次に、このパターンをマスクとして、フッ素とヘリウムガスとの混合ガスでLTEM基板をエッチングし、基板上に基準マークを形成した。最後にウェットエッチングにより基準マーク形成用薄膜を剥離した。以上のプロセスにより、LTEM基板上に基準マークを作成した。基準マークは、形状が十字パターンで、長さ100μm、幅5μm、深さ80nmである。
[0053]
 次に、この基準マークを基準として基板上の欠陥検査を実施した。欠陥検査には、DUV光を用いた検査装置(波長193nm)を使用した。基板上欠陥の数、及び位置情報(基準マークに対するX、Yの相対座標)を取得した。基板上欠陥の数は21個であった。
[0054]
 次に、図2に示すようなマスキング治具(ステンレス材)を基板上に配置した。図9に、実施例における、基準マーク領域を含むEUVマスクの断面図を示す。マスキング治具の素材としては、この他に鉄材、銅材などが挙げられ、特に限定されることはない。この状態で基板81上に、イオンビームスパッタ法によりモリブデン膜(厚さ2.8nm)とシリコン膜(厚さ4.2nm)とを交互に40層ずつ積層し多層反射膜(EUV反射膜)82を形成した。次に、多層反射膜82の上面にルテニウム膜(厚さ2.5nm)を成膜しキャッピング層83を形成した。最後にマスキング治具をはずし、基準マークを除く部分に多層反射膜82が形成されたEUVブランクを作製した。
[0055]
 次に、基準マークを基準として、多層反射膜表面上の欠陥検査を実施した。欠陥検査には、上述のDUV光を用いた検査装置を使用した。反射膜上欠陥の数、及び位置情報(基準マークに対するX、Yの相対座標)を取得した。反射膜上の欠陥の数は21個であった。この数は、基板上欠陥の数と同数である。基板上欠陥がそのまま多層反射膜中も成長し、多層反射膜の表面上で検出された反射膜上欠陥になることが分かった。
[0056]
 次に、EUVブランク上にDCマグネトロンスパッタ法により吸収膜(吸収層)の形成を行う。吸収層には、タンタルシリサイド(TaSi)を70nmの厚さで成膜し、最上層に酸化タンタルシリサイド(TaSiO)を7nmの厚さで成膜した。次に、EUVブランクの裏面に導電層として窒化クロム(CrN)を成膜した。
[0057]
 上述の欠陥検査において検出された反射膜上欠陥21個のうち15個については、元々描画パターンに重ならずに位相欠陥にならない欠陥であったり、描画パターンレイアウトの位置変更によって、反射膜上欠陥が吸収層の下に隠れるように回避できる欠陥であることが分かった。残りの6個の反射膜上欠陥については、パターンレイアウトの位置変更では回避できない欠陥であることが分かった。
[0058]
 上記EUVブランクに対し、ポジ型化学増幅レジスト(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製FEP―171)を300nmの厚さで塗布し、電子線描画機によって位置変更したレイアウトパターンを描画後、現像処理を行い、レジストパターンを形成した。次に、ドライエッチング装置を用いて吸収層をエッチング除去し、その後レジスト剥離洗浄してEUVマスクを作製した。
[0059]
 上記6個の欠陥に対しては、AFMによる欠陥形状計測、転写シミュレータによる修正量の見積もり、修正工程へと進めた。以下、2つの位相欠陥(Defect―1、Defect―2と表記する)に対して実施した具体例を説明する。
[0060]
 図10に、実施例のDefect―1の欠陥における、転写シミュレータに入力した断面図(a)及び吸収層パターンの修正形状を示す平面図(b)を示す。Defect―1の欠陥は位置ずれ量(ΔL)が0.1nmであった。位置ずれ量がほぼ0であることから、基板上欠陥がそのまま垂直上方向に成長した欠陥モデルと推定できる。別途、AFMによる結果とAIMS転写後の空間像とのマッチング度合いが最も高い欠陥モデルとを合わせ、図10の(a)のような伝播状態推定モデルを構築し、転写シミュレーションに入力した。転写シミュレーション結果から、図10の(b)のように周囲の吸収層パターン93を修正すれば良いことが分かった。
[0061]
 図11に、実施例のDefect―2の欠陥における、転写シミュレータに入力した断面図(a)及び吸収層パターンの修正形状を示す平面図(b)を示す。Defect―2の欠陥は位置ずれ量(ΔL)が24.7nmであった。基板上の欠陥が斜め方向に成長した欠陥モデルと推定できる。別途、AFMによる結果とAIMS転写後の空間像とのマッチング度合いが最も高い欠陥モデルとを合わせ、図11の(a)のような伝播状態推定モデルを構築し、転写シミュレーションに入力した。転写シミュレーション結果から、図11の(b)のように周囲の吸収層パターン103を修正すれば良いことが分かった。
[0062]
 上記6個の欠陥全てに対して転写シミュレーションを実施し、最適な吸収層パターンの修正量を見積もった。次に、FIB修正装置を用いて、見積もった修正量どおりにパターン修正を実施し、高品質なEUVマスクを作製した。このEUVマスクを用いてウェハへの露光転写を実施したところ、上記6個の位相欠陥周辺のパターンは問題なくウェハへ転写されたことを確認した。

産業上の利用可能性

[0063]
 本発明は、EUVマスクの位相欠陥評価方法及びEUVマスクの製造方法等に適用することができる。

符号の説明

[0064]
 10  低熱膨張ガラス(LTEM)基板
 11  基準マーク
 21  マスキング治具
 30  基板上欠陥
 31  反射膜上欠陥
 40,42,44  基板上の基準マーク
 41,43,45  多層反射膜上の基準マーク
 50,53  低熱膨張ガラス(LTEM)基板
 51,54  基板上欠陥
 52,55  多層反射膜
 80  基板上の基準マーク
 81  低熱膨張ガラス(LTEM)基板
 82  多層反射膜
 83  キャッピング層
 90,100  多層反射膜
 91,101  吸収層
 92,102  低反射層(酸化吸収層)
 93,103  吸収層パターン
 Z、ΔL   位置ずれ量

請求の範囲

[請求項1]
 基板上に多層反射膜が形成されたEUVマスクの位相欠陥評価方法であって、
 前記基板上に欠陥検査用の基準マークを形成する工程と、
 前記基板上の欠陥検査を行い、前記基板上の欠陥である基板上欠陥の少なくとも位置座標を計測する工程と、
 前記基板上に多層反射膜を形成する工程と、
 前記多層反射膜上の欠陥検査を行い、前記多層反射膜上の欠陥である反射膜上欠陥の少なくとも位置座標を計測する工程と、
 前記多層反射膜内部の欠陥モデルを用意した欠陥モデルライブラリから参照する工程と、
 前記基板上欠陥の位置座標、前記反射膜上欠陥の位置座標及び前記多層反射膜内部の欠陥モデルに基づいて、前記多層反射膜内部における位相欠陥の伝播状態推定モデルを作成する工程とを含む、EUVマスクの位相欠陥評価方法。
[請求項2]
 前記基板上に多層反射膜を形成する工程において、
 前記基板上の前記基準マークを覆う構造をしたマスキング治具を配置した状態で、前記多層反射膜の成膜処理を行う、請求項1に記載のEUVマスクの位相欠陥評価方法。
[請求項3]
 前記反射膜上欠陥の少なくとも位置座標を計測する工程において、
 前記基板上の基準マークを使用して、前記反射膜上欠陥の位置座標を計測する、請求項1に記載のEUVマスクの位相欠陥評価方法。
[請求項4]
 前記欠陥モデルライブラリに含まれる前記欠陥モデルは、
 前記基板上欠陥の幅及び前記基板上欠陥の高さに応じて、計算機シミュレーションによって生成された前記多層膜内部における位相欠陥モデルを表す、請求項1~3のいずれかに記載のEUVマスクの位相欠陥評価方法。
[請求項5]
 前記位相欠陥の伝播状態推定モデルを作成する工程において、
 前記基板上欠陥の位置と、前記基板上欠陥に対応する前記反射膜上欠陥の位置との位置ずれ量として、前記基板表面に平行な面内における直交する2方向に沿った各位置ずれ量を算出し、
 前記各位置ずれ量、前記多層反射膜の高さ及び前記多層反射膜内部の欠陥モデルに基づいて、前記伝播状態推定モデルを作成する、請求項1に記載のEUVマスクの位相欠陥評価方法。
[請求項6]
 請求項1~5のいずれかに記載のEUVマスクの位相欠陥評価方法を用いた、EUVマスクの製造方法であって、
 前記伝播状態推定モデルと前記反射膜上欠陥周囲の吸収層パターンとに基づいて、前記反射膜上欠陥周囲の前記吸収層パターンの修正量を計算する工程と、
 前記修正量に基づいて前記吸収層パターンの修正を実施する工程とを含む、EUVマスクの製造方法。
[請求項7]
 前記吸収層パターンの修正量を計算する工程は、
 前記反射膜上欠陥の三次元形状を測定する工程を含み、
 前記反射膜上欠陥の三次元形状にさらに基づいて、前記吸収層パターンの修正量を計算する、請求項6に記載のEUVマスクの製造方法。
[請求項8]
 1つ以上の基準マークが形成された基板と、
 前記基板上に形成された複数の反射膜からなる多層反射膜および吸収層とを含み、
 前記基板の前記基準マークが形成された箇所には前記多層反射膜が形成されていない、EUVマスクブランク。
[請求項9]
 1つ以上の基準マークが形成された基板と、
 前記基板上に形成された複数の反射膜からなる多層反射膜と、
 前記多層反射膜上に形成された吸収層パターンとを含み、
 前記基板の前記基準マークが形成された箇所には前記多層反射膜が形成されていない、EUVマスク。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]