明 細 書
技術分野
[0001]
本発明は、組み合わせ用キットに関するものである。
背景技術
[0002]
従来、乳幼児の知育用玩具が種々販売され使用されている。例えば、積木、パズル、その他プラスチック製の組み立て玩具等である。これらのものは、乳幼児には危険なものが多い。飲み込む危険性、鋭利な部分で傷つける危険性、指等を挟む危険性等である。これらを防止するため、木製で且つ角を十分丸くしたものも販売されているが非常に高価であり、かつ組み合わせたり、種々のものを独自で創作したりすることはできない。
[0003]
また、安全性の観点から紙製のものもあるが、乳幼児にはすぐに壊れて扱いが難しい。それに紙では組み立てや創作も難しく乳幼児向きではない。
[0004]
これらとは別に、ファッションの業界においても、簡単な飾りや、帽子、カバー、置物等を自分で作ってみたいという要望がある。これはだれにでもある創作意欲の問題であり、また従来の市販品にはあきたらないという気持ちからでもある。
[0005]
上記した、知育玩具としては、先行技術文献1のようなフェルト製のものが知られている。しかし、この玩具では、組み合わせて複雑なものを作ることはできない。
先行技術文献
特許文献
[0006]
特許文献1 : 特開平11-267371公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0007]
そこで、乳幼児にも安全で、高度なものや複雑なものまで種々組み合わせによって作成できるものを提供する。
課題を解決するための手段
[0008]
以上のような現状に鑑み、本発明者は、鋭意研究の結果本発明組み合わせ用キットを完成したものであり、その特徴とするところは、厚みが1~10mmで、1辺の長さが2cm~5cmの正六角形の柔軟材であって、その正六角形の、正三角形を構成する3本の対角線上に切断部を設けたA材とB材の2種の組み合わせキットであって、該A材には1本の対角線の中心位置に長さが正六角形の1辺の長さの40%~60%の長さの中心打抜部を設け、他の2本の対角線には中心部分で長さが正六角形の1辺の長さの50%~70%を残し、両頂点から端部切込部を設けたものであって、該B材には1本の対角線には中心部分で長さが正六角形の1辺の長さの50%~70%を残し、両頂点から端部切込部を設け、他の2本の対角線には中心位置に長さが正六角形の1辺の長さの40%~60%の長さの中心打抜部が設けられているものであって、該中心打抜部の形状は凸レンズ型である点にある。
[0009]
ここで柔軟材とは、柔軟性を有する部材であり、材料は特に限定はしない。例えば、不織布(フェルト)、織物、編物、天然皮革、合成皮革、ゴム、軟質プラスチック、熱可塑性エラストマー、片面に接着芯等の強化シートを貼った積層シートや複数層からなる積層シート等である。特に、織物(デニムの生地のようなものが好ましい)や不織布が好適である。
[0010]
ここで、フェルトとは、不織布の1種であり、短繊維を熱、圧力、振動その他の力によって互いに絡ませたものをいう。ここでは、一般的にフェルトと呼ばれるものであればどのようなものでもよい。繊維の種類は問わない。例えば、羊毛、山羊毛、ウサギ毛その他の動物繊維、また化学繊維製のものや植物由来のものであってもよい。
フェルト材を使用すると、端部がほつれず、かつコシ(保形性)があるため、組み立てやすく、出来上がったものがシャンとしているというメリットがある。
[0011]
ここで言うキットは、組み合わせ物であり、本発明では後述するA材とB材の両方を含むもので、A材とB材の数は自由である。しかし、組み合わせて種々のものを作るため、少なくとも10個づつ、好ましくは20個づつ含むものが好ましい。勿論、追加のために小数のみを含むものでもよい。
[0012]
本出願でいう正六角形や正三角形は、数学的な意味でなく、おおよそ正六角形になっていればよく、1mm、2mm以下で1辺の長さを測定して言うものではない。
[0013]
ここで使用する柔軟材の厚みは、1~10mmであり、好ましくは1.5~4mm、より好ましくは2~3mmである。
[0014]
正三角形を構成する3本の対角線とは、正六角形には対角線が6本描くことができる。この中の3本であって、正三角形を形成するものである。
[0015]
切断部とは、柔軟材を切断した部分であり、単に切り込んだだけで、柔軟材を切除していないもの(切込部)と、一定の面積を切除するもの(打抜部)とがある。
[0016]
A材には、正三角形を構成する対角線のうち1本の対角線の中心位置に長さが正六角形の1辺の長さの40%~60%の長さの中心打抜部が設けられている。
中心打抜部は、前記した通り、一定の面積を切除したもので、その形状は凸レンズ型である。凸レンズ型とは、円弧(円の一部を切り取ったもの)を2つ合わせた唇のような形状をいう。勿論、厳密に円弧でなくてもおおよそそのような形状ならばよい。
[0017]
また、この凸レンズ型の幅(短い方)は、柔軟材の厚みに対して100~200%の長さである。これは、柔軟材が通過でき、簡単に抜けない幅ということである。好ましくは、120~150%である。長さは、正六角形の1辺の長さの40%~60%の長さである。これも差し込んだ部分が抜けないように決めたものである。
[0018]
この凸レンズ型が優れているのは、柔軟材を挿入するときに丁度いい形状であり、且つ抜けにくいのである。また、単なる切れ目ではほとんど見えず、場所が分かりにくい。
[0019]
A材には、さらに、上記した対角線以外の2本の対角線(この3本で正三角形を構成)には、中心部分で長さが正六角形の1辺の長さの50%~70%を残し、両頂点から端部切込部を設けている。この端部切込部は、切込部であり、正六角形の頂点から残存部までの切り込みである。この端部切込部は、他の中心打抜部に通過させた後の抜け止めになる大きさを規定するものでもある。
[0020]
本発明の他の態様として、A材、B材にさらにC材を混合したキットがある。このC材について説明する。
このC材はその各辺の中心を結んだ4本の線上に切断部を設けたもので、その1本の線とその向かい側の線上には中心部にA材と同様の中心打抜部が設けられ、他の2本の線には、中心部分で長さがA材の正六角形の1辺の長さの50%~70%を残し、頂点から端部切込部を設けたものである。
[0021]
このC材は、A材と実質的に同じ厚みで1辺の長さが5cm~15cmの正方形である。そして、中心打抜部は、前記したA材やB材と実質的に同一の大きさ、形状が好ましい。勿論、少し異なっていても問題はないが、サイズの範囲等はA材のものと同様である。
[0022]
この、各部材が正六角形であることが本発明の1つのポイントであり、同じ形状で多数を組み合わせるのに最適である。また、組み合わせるための貫通孔と、その貫通孔に通過させてアンカー部とする境界とが正六角形の対角線上にあるのがもう1つのポイントである。
対角線上に設けることによって、破れにくく、組み合わせたときに360度に広がるような形状になり、かつ立体にも容易になしえるものである。
[0023]
また、本発明キットには、上記の部材と連結できる他のものを混合したものでもよい。例えば、上記A材、B材、C材と同様の形状であるが、打抜部や切込部の一部がないものである。このようなものを端部に使用してもよい。また、正六角形や正方形の一端部が動物状になっているものや、特殊な形状になっているものを含めてもよい。
[0024]
本発明キットは、柔軟材で構成されているため、組み合わせた結合部はどのような角度にもなり、単なる平面結合だけでなく、種々の角度にすることができる。これによって、立体的に組み立てることができ、その結果、箱型、球形に近いもの、正十二面体、その他種々の幾何学的な形状にすることができる。
[0025]
さらに、組み合わせ角度(柔軟材の平面上の角度も柔軟材の厚み方向の角度も)を種々に変え、自由な形状にすることも可能である。例えば、帽子、衣服、カーテン、人形、その他自由に創作することができる。
[0026]
前記した一端部が動物状になっているものや、特殊な形状になっているものを含めて立体的に組み立てると、単なる立体形状(球形や立方体等)の上や一部に動物等が乗ったようなかわいいものにすることができる。
発明の効果
[0027]
本発明組み立て用キットは、簡単な部材だけで種々のものが組み立て創作できる。材質が柔軟材であり、子供にも安全であり知育材としても使用できる。
部材を追加するだけで、さらに新しいものや大きいものが作れ、無駄がない。他の形状の柔軟材を混合して、より複雑なものやキャラクター的なものを作ることもできる。
非常に安価であることも大きなメリットである。
図面の簡単な説明
[0028]
[図1] 図1は、本発明柔軟材であり、(a)はA材、(b)はB材を示す平面図である。
[図2] 図2は、図1(a)のAA断面図である。
[図3] 図3は、C材の1例を示す平面図である。
[図4] 図4は、本発明の使用法を示す斜視図である。
[図5] 図5は、図4の後、組み合わせた斜視図である。
[図6] 図6は、図5のように差し込み、複数異なる方向に組み合わせているところの平面図である。
[図7] 図7は、A材とB材を組み合わせて、球形にしたものの斜視図である。
[図8] 図8は、箱に応用したものの斜視図である。
発明を実施するための形態
[0029]
以下図面に示す実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
図1は、本発明柔軟材キット(この例ではフェルト)の1例を示すもので、(a)はA材の平面図であり、(b)はB材の平面図である。全体が、正六角形であり、この例では1辺が20mmで、厚みは2mmである。図2は、図1(a)のAA断面図である。
[0030]
A材1の正三角形を構成する対角線2の1本に中心打抜部3が設けられ、他の2本は端部から端部切込4が設けられ、中心部に残存部5を残し、この部分でつながっている。この2本の端部切込部4と2辺で囲まれた斜線部6は、この部分を他の部材の切込部に挿入した後、抜け止め部(アンカー部)としての効果を発揮する。
図1(b)は、B材7は、中心打抜部3が2ヶ所で、アンカー部6が1ヶ所のものである。
[0031]
図3は、C材8の1例を示す平面図である。各辺の中点9を結ぶ線(中点線という)のうち対向する2線に中心打抜部3が設けられている。この例では、中心打抜部3は、図1のA材、B材の中心打抜部3と同じ形状、同じサイズのものである。
[0032]
図4は、組み合わせる方法の例を示す図である。勿論、組み合わせ方や挿入の方法は本発明とは無関係であり、どのような方法でもよい。例えば、上の図では、A材1の中心打抜部3にB材7のアンカー部6の左端部から挿入していく方法である。そしてアンカー部6全体を入れればよい。下の図では、B材7のアンカー部6を折り曲げて、A材の中心打抜部3に挿入する方法を示す。図5は、完全に挿入し、アンカー部6を整えたところである。この図から明らかなように、挿入も容易であり、また容易に抜けないことが分かる。
[0033]
図6は、図5のように差し込み、複数異なる方向に組み合わせているところである。アンカー部6で重なっているのがわかる。このように続けていけば、種々のものができる。
[0034]
図7は、A材とB材を組み合わせて、球形にしたものである。このように組み合わせて立体にできる。このときに、柔軟材であるため、柔らかいため、形を保持するため、中にボールを入れている。換言すると、ボールに沿わせて柔軟材を組み合わせたということである。この中に入れるボールとして、重いものや、軽いものを選ぶことによって、種々の用途のものができる。勿論、単なるボールでなく、照明器具やその他の機能性のものでもよい。
[0035]
また、このような球形でなく、どのような形状のものにも沿わせて周囲を覆うことができる。よって、人形形、動物形等を使用してもよい。
[0036]
図8は、箱に応用したものである。この作り方は、例えば、箱の底に合うように平面的に組み合わせ(この時、底面と柔軟材の倍数があうような箱を選ぶ)、そこから直角に曲げて側面を作りあげていくのである。単なる紙やプラスチックの箱が美しくなる。
[0037]
比較的、柔軟なもの、例えば、帽子や衣服等も製造可能である。このような実用的なものであっても組み合わせた柔軟材が簡単に抜けないので、十分使用できる。
符号の説明
[0038]
1 A材
2 対角線
3 中心打抜部
4 端部切込部
5 残存部
6 アンカー部
7 B材
8 C材
9 中点
請求の範囲
[請求項1]
厚みが1~10mmで、1辺の長さが2cm~5cmの正六角形の柔軟材であって、その正六角形の、正三角形を構成する3本の対角線上に切断部を設けたA材とB材の2種の組み合わせキットであって、該A材には1本の対角線の中心位置に長さが正六角形の1辺の長さの40%~60%の長さの中心打抜部を設け、他の2本の対角線には中心部分で長さが正六角形の1辺の長さの50%~70%を残し、両頂点から端部切込部を設けたものであって、該B材には1本の対角線には中心部分で長さが正六角形の1辺の長さの50%~70%を残し、両頂点から端部切込部を設け、他の2本の対角線には中心位置に長さが正六角形の1辺の長さの40%~60%の長さの中心打抜部が設けられているものであって、該中心打抜部の形状は凸レンズ型であることを特徴とする組み合わせ用キット。
[請求項2]
さらにA材と実質的に同じ厚みで1辺の長さが5cm~15cmの正方形であるC材を組み合わせたものであって、該C材はその各辺の中心を結んだ4本の線上に切断部を設けたもので、その1本の線とその向かい側の線上には中心部にA材と同様の中心打抜部が設けられ、他の2本の線には、中心部分で長さがA材の正六角形の1辺の長さの50%~70%を残し、頂点から端部切込部を設けたものであって、該中心打抜部の形状は凸レンズ型である請求項1記載の組み合わせ用キット。
図面