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1. (WO2015145596) 柔軟性ステント
Document

明 細 書

発明の名称 柔軟性ステント

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010  

課題を解決するための手段

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021  

発明の効果

0022  

図面の簡単な説明

0023  

発明を実施するための形態

0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051  

符号の説明

0052  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4A   4B   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

明 細 書

発明の名称 : 柔軟性ステント

技術分野

[0001]
 本発明は、管腔を拡張するために生体の管腔構造内に留置される柔軟性ステントに関する。

背景技術

[0002]
 血管、気管、腸などの管腔構造を有する生体器官において、これらに狭窄症が生じた場合、狭窄部内腔を拡張することによって病変部位の開通性を確保するために、網状円筒形の柔軟性ステント(ステント)は使用される。これら生体器官は、局所的に屈曲やテーパー構造(すなわち、内腔断面径が軸線方向に局所的に異なる管状構造)を有することが多い。そのような複雑な血管構造に柔軟に適合できる形状追従性(conformability)の高いステントは、望まれている。また、近年では、脳血管治療へステントを適用することも行われている。脳血管系は、生体の管状器官の中でも複雑な構造を有する。脳血管系には、屈曲した部位やテーパー構造を有する部位が多数存在する。そのため、ステントは、特に高い形状追従性を必要とする。
[0003]
 ステントの構造としては大別して、オープンセル構造とクローズドセル構造とが有る。オープンセル構造のステントにおいて、接続されていないセルは、自由端を有するストラットを形成する。クローズドセル構造のステントにおいては、すべてのセルが接続されており、自由端を有するストラットは存在しない。
[0004]
 オープンセル構造のステントは、一般的に、クローズドセル構造のステントと比べて、形状追従性が高く、屈曲した管状器官に留置するのに適しており、その軸線方向に非常に柔軟な力学特性を発揮するステント構造とされている。しかし、図13に示すように、オープンセル構造のステント111においては、屈曲部などにおいてステント111を曲げて留置する際、ストラット117の一部がフレア状にステント111の径方向外側に飛び出しやすく(図13の破線で囲んだ部分参照)、血管等の生体の管状器官の組織を損傷させる危険性が有る。また、特に屈曲した血管においては、血管の内側に位置するステント111のストラット117がステント111の径方向内側の空間に入り込むことで血流を阻害し、そこで血栓化が生じるリスクがある(図13の1点鎖線で囲んだ部分参照)。
[0005]
 さらに、オープンセル構造のステント111においては、ストラット117が突出してしまうため、屈曲した血管において血管壁BV(図13,図14において2点鎖線で示す)への密着性が悪い。これより、ステントと血管壁BVとの間に隙間ができ、ここで血栓が生じるリスクがある。さらに、血管壁BVへの密着性が悪いため、図14に示すように、血管壁BVへの応力集中が生じる。ステント111による血管壁BVへの応力集中により、局所的に血管壁BVへ負荷が掛かることは、血管壁BVの損傷のリスクがある。さらに、応力集中した部位においては、ステント111により変形した血管において内膜の過生成のリスクが生じ、これは、内膜新生を促進する壁面せん断応力を低下させる。
[0006]
 なお、ステントの軸線方向(軸線方向、中心軸線方向)及び径方向(軸線方向に対して垂直な方向)の2種類の力学的柔軟性は、形状追従性の高いステントの実現に重要とされている。ここで、軸線方向の柔軟性は、軸線方向に沿った屈曲に対する剛性又は屈曲のしやすさを意味し、軸線方向に沿って柔軟に屈曲させて生体の管状器官の屈曲部位に適応させるために必要な特性である。一方、径方向の柔軟性は、軸線方向に対して垂直な方向の拡縮に対する剛性又は拡縮のしやすさを意味し、生体の管状器官の管腔構造の外壁の形状に沿ってステントの半径を柔軟に変化させてステントを管腔構造の外壁に密着させるために必要な特性である。
[0007]
 また、ステントには、ショートニングを抑制するという課題も有る(特許文献1参照)。カテーテルに縮径状態でマウントされたステントが術中に血管内で展開(拡張)されると、ステントの全長はクリンプ(縮径)時よりも軸線方向へ短縮する。このように縮径されたステントの拡張時に、ステントが軸線方向へ短縮することを「ショートニング」という。ショートニングの原因は以下の通りである。図15のように、縮径されたステントを展開した際、軸線方向LDへ向いているセル117における脚部171がなす頂部172の角度が大きくなる(θ11<θ12)。なお、基準線CLは、軸線方向LDに平行で且つ頂部172を通る線である。
[0008]
 それに伴い、セル117を有する環状体113が周方向へ伸張するため、ステント111の全体は軸線方向LDに短縮する。特にオープンセル構造のステントにおいては、カテーテル内にステントを再収納することが困難であるため、一回の操作でステントを正確に留置することが要求されるが、このショートニングは、医師によるステント治療の難度を上げる原因となっている。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 特開2010-233933号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 よって、本発明の目的は、ステントを曲げて留置する際、自由端を有するストラットが外側に飛び出しにくいと共に、ステントの拡張時におけるショートニングを抑制できる柔軟性ステントを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0011]
 本発明は、波線状パターンを有し且つ軸線方向に並んで配置される複数の環状体と、軸線周りに延び且つ隣り合う前記環状体を接続する複数の接続要素と、を備える柔軟性ステントであって、前記波線状パターンは、2つの脚部を頂部で連結した略V字形状の複数のV字要素が、前記頂部を軸線方向において交互に逆に向けた状態で接続されて、形成されており、前記接続要素の一方の端部が屈曲する方向と前記接続要素の他方の端部が屈曲する方向とは、逆であり、前記接続要素の端部は、隣り合う前記環状体における前記V字要素の前記頂部以外の部分に、前記脚部が延びる方向とは異なる方向に延びて、接続されており、軸線方向に対して垂直な径方向に視たときに、前記接続要素の中間部が延びる方向は、軸線方向に対して傾斜しており、2つの前記脚部のうちの一方は、前記接続要素の前記中間部に沿って延びている、柔軟性ステントに関する。
[0012]
 前記接続要素の前記端部は、前記頂部が軸線方向において同じ方向を向く前記V字要素それぞれにおける前記脚部に、接続されていてもよい。
[0013]
 前記V字要素の2つの前記脚部の両方は、軸線方向に平行で且つ前記頂部を通る基準線に対して、同じ側に配置されていてもよい。
[0014]
 前記V字要素は、柔軟性ステントの仮想的な外周曲面の形状に沿って、前記V字要素の厚さ方向に丸みを帯びていてもよい。
[0015]
 前記接続要素の前記端部が延びる方向と前記接続要素の前記中間部が延びる方向とは、略直交していてもよい。
[0016]
 前記接続要素の中間部及び前記V字要素の前記脚部は、直線状であり、前記接続要素の前記中間部に沿って延びている前記脚部は、前記接続要素の前記中間部に対して平行であってもよい。
[0017]
 前記接続要素の端部は、前記環状体の環方向に隣り合う前記V字要素同士の接続部近傍に、接続されていてもよい。
[0018]
 前記V字要素の2つの前記脚部は、長い長脚部と短い短脚部とからなり、前記環状体の環方向に隣り合う前記V字要素同士は、前記長脚部と前記短脚部とが隣り合うように、接続されていてもよい。
[0019]
 前記接続要素の前記端部は、前記V字要素の前記長脚部に接続されていてもよい。
[0020]
 前記接続要素の端部は、前記V字要素の前記長脚部における前記頂部とは反対側の部分であって前記短脚部よりも長い部分に、接続されていてもよい。
[0021]
 軸線方向に対して、前記V字要素の前記長脚部が傾斜する角度は、50度~80度であり、前記V字要素の前記短脚部が傾斜する角度は、5度~30度であってもよい。

発明の効果

[0022]
 本発明によれば、ステントを曲げて留置する際、自由端を有するストラットが外側に飛び出しにくいと共に、ステントの拡張時におけるショートニングを抑制できる柔軟性ステントを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0023]
[図1] 曲げられていない状態の本発明の一実施形態の柔軟性ステントの斜視図である。
[図2] 図1に示すステントを仮想的に平面状に展開した展開図である。
[図3] 図2に示すステントの部分拡大図である。
[図4A] 図3に示すステントの部分拡大図である。
[図4B] 図3に示すステントの部分拡大図である。
[図5] ステントの環状体のV字要素の側面図である。
[図6] ステントの環状体のV字要素の頂部の第1の実施形態を示す部分拡大図である。
[図7] ステントの環状体のV字要素の頂部の第2の実施形態を示す部分拡大図である。
[図8] ステントの環状体のV字要素の頂部の第3の実施形態を示す部分拡大図である。
[図9] チューブをレーザ加工したが引き延ばし工程を行っていない状態のステントを、仮想的に平面状に展開した展開図である。
[図10] 図1に示すステントを曲げた状態を示す斜視図である。
[図11] 展開状態において拡張時と縮径時との本実施形態のステントの軸線方向の長さの差を示す図である。
[図12] 展開状態において拡張時と縮径時との従来例のステントの軸線方向の長さの差を示す図である。
[図13] 従来のステントを曲げた状態におけるストラットの状態を示す模式図である。
[図14] 従来のステントを曲げた状態における応力の状態を示す模式図である。
[図15] ステントにおけるショートニングを説明するための模式図である。

発明を実施するための形態

[0024]
 以下、図面を参照して、本発明による柔軟性ステントの実施形態を説明する。まず、図1から図5を参照して、本発明の一実施形態による柔軟性ステント11の全体構成を説明する。図1は、曲げられていない状態の本発明の一実施形態の柔軟性ステントの斜視図である。図2は、図1に示すステントを仮想的に平面状に展開した展開図である。図3は、図2に示すステントの部分拡大図である。図4Aは、図3に示すステントの部分拡大図である。図4Bは、図3に示すステントの部分拡大図である。図5は、ステントの環状体のV字要素の側面図である。
[0025]
 図1及び図2に示すように、ステント11は略円筒形状である。ステント11の周壁は、複数のオープンセルが周方向に敷き詰められたメッシュパターンの構造を、有している。図2では、ステント11の構造の理解を容易にするために、ステント11は平面状に展開した状態で示されている。本明細書において、ステント11の周壁とは、ステント11の略円筒構造の円筒の内部と外部とを隔てる部分を意味する。また、セルとは、開口又は隔室ともいい、ステント11のメッシュパターンを形成するワイヤ状の材料で囲まれた部分をいう。
[0026]
 ステント11は、ステンレス鋼、又はタンタル、プラチナ、金、コバルト、チタン若しくはこれらの合金のような生体適合性を有する材料から形成されている。ステント11は、特にニッケルチタン合金のような超弾性特性を有した材料から形成されていることが好ましい。
[0027]
 図1~図3に示すように、ステント11は、軸線方向(長手軸線方向、中心軸線方向)LDに並んで配置される複数の環状体13と、軸線方向LDに隣り合う環状体13,13を接続する複数の接続要素15と、を備える。
[0028]
 図3~図4Bに示すように、環状体13は、略V字形状のV字要素17を周方向に複数接続して形成される波線状パターンを、有する。V字要素17は、二つの脚部171を頂部172で連結して形成されている。頂部172を軸線方向LDにおいて交互に逆に向けた状態で複数のV字要素17が接続されて、波線状パターンは形成されている。軸線方向LDに対して垂直な径方向RDに視たときに、環状体13の環方向CDは、径方向RDに対して傾斜していない(一致する)。なお、環状体13の環方向CDは、径方向RDに対して傾斜していてもよい。
[0029]
 各接続要素15の両端部151は、それぞれ、軸線方向LDに隣り合う二つの環状体13を接続している。接続要素15の端部151は、隣り合う環状体13におけるV字要素17の頂部172以外の部分に、脚部171が延びる方向とは異なる方向に延びて、接続されている。V字要素17の頂部172の全部又は一部は、自由端となっている。本実施形態では、全ての頂部172が自由端となっている。つまり、ステント11は、いわゆるオープンセル構造を有している。接続されていない頂部172を含む脚部171は、自由端を有するストラットを形成する。
[0030]
 接続要素15の端部151は、頂部172が軸線方向LDにおいて同じ方向を向くV字要素17それぞれにおける脚部171に、接続されている。詳細には、隣り合う二つの環状体13の間に位置する複数の接続要素15に着目した場合に、これらの複数の接続要素15は、頂部172が軸線方向LDにおいて同じ方向を向くV字要素17それぞれにおける脚部171に、接続されている。別の見方をすると、これらの複数の接続要素15は、V字要素17には、環方向CDに一つおきに接続されている。径方向RDに視たときに、接続要素15の中間部152が延びる方向SD1,SD2(図4A参照)は、軸線方向LDに対して傾斜している。
[0031]
 V字要素17の2つの脚部171,171は、長い長脚部176と短い短脚部177とからなる。環状体13の環方向CDに隣り合うV字要素17,17同士は、長脚部176と短脚部177とが隣り合うように、接続されている。接続要素15の端部151は、V字要素17の長脚部176に接続されている。脚部171のうちの一方(長脚部176)は、接続要素15の中間部152に沿って延びている。V字要素17の2つの脚部171(長脚部176、短脚部177)の両方は、軸線方向LDに平行で且つ頂部172を通る基準線CLに対して、同じ側に配置されている。径方向RDに視たときに、脚部171(長脚部176、短脚部177)が延びる方向は、軸線方向LDに対して傾斜している。
[0032]
 径方向RDに視たときに、接続要素15の中間部152及びV字要素17の脚部171は、直線状である。長脚部176は、接続要素15の中間部152に沿って延びている。この接続要素15の中間部152に沿って延びている脚部171(長脚部176)は、接続要素15の中間部152に対して平行である。長脚部176が延びる方向SD1,SD2(図4A参照)は、軸線方向LDに対して傾斜している。接続要素15の一方の端部151Lが屈曲する方向と、接続要素15の他方の端部151Rが屈曲する方向とは、逆である。接続要素15の端部151が延びる方向と接続要素15の中間部152が延びる方向とは、略直交している。略直交とは、なす角度が90度±5度であることをいう。
[0033]
 図4Bに示すように、軸線方向LD(基準線CL)に対して、V字要素17の長脚部176が傾斜する角度θ1は、50度~80度である。V字要素17の短脚部177が傾斜する角度θ2は、5度~30度である。
[0034]
 接続要素15の端部151は、環状体13の環方向に隣り合うV字要素17,17同士の接続部173の近傍に、接続されている。接続要素15の端部151は、V字要素17の長脚部176における頂部172とは反対側の部分であって短脚部177よりも長い部分178に、接続されている。図4Bにおける2点鎖線の曲線状矢印は、長脚部176における短脚部177の長さに相当する位置を示している。
[0035]
 図5に示すように、V字要素17は、柔軟性ステント11の仮想的な外周曲面の形状に沿って、V字要素17の厚さ方向に丸みを帯びている。仮想的な外周曲面は、略円柱形状である。V字要素17は、径方向RDに視たときに、頂部172に向けて、軸線方向LDに対して傾斜して延びている。従って、V字要素17は、V字要素17の厚さ方向に、3次元曲面の丸みを帯びている。このような3次元曲面の丸みを帯びているV字要素17は、略円筒形状のチューブをレーザ加工することにより容易に得られる。
[0036]
 なお、図5においては、V字要素17は、2次元の丸みを帯びているように示されているが、実際には3次元曲面の丸みを帯びている。また、仮に、シート状の素材に対してレーザ加工などを施して網状にした後に略円筒形状に形成したとしても、その場合におけるV字要素17は、一般的に、V字要素17の厚さ方向に3次元曲面の丸みを帯びない。一般的に、V字要素17の脚部171の幅は、非常に狭く、V字要素17の脚部171の幅方向の剛性は、非常に高いためである。
[0037]
 図6は、ステントの環状体のV字要素の頂部の第1の実施形態を示す部分拡大図である。図7は、ステントの環状体のV字要素の頂部の第2の実施形態を示す部分拡大図である。図8は、ステントの環状体のV字要素の頂部の第3の実施形態を示す部分拡大図である。図9は、チューブをレーザ加工したが引き延ばし工程を行っていない状態のステントを、仮想的に平面状に展開した展開図である。図10は、図1に示すステントを曲げた状態を示す斜視図である。図11は、展開状態において拡張時と縮径時との本実施形態のステントの軸線方向の長さの差を示す図である。図12は、展開状態において拡張時と縮径時との従来例のステントの軸線方向の長さの差を示す図である。図13は、従来のステントを曲げた状態におけるストラットの状態を示す模式図である。
[0038]
 図6~図8に示すように、V字要素17の頂部172には、瘤状部19が形成されている。瘤状部19は、軸線方向LDに対して傾斜して直線状に延びる延長部分191と、その先端に形成された略半円形部分(先端部分)192と、を含む。延長部分191は、接続要素15の幅よりも大きい幅を有している。さらに、V字要素17の頂部172には、延長部分191が延びる方向に沿って内側周縁部から延びるスリット21が、形成されている。このため、二つの脚部171は、延長部分191におけるスリット21が設けられていない領域、及び瘤状部19の略半円形部分192に接続される。なお、先端部分192は、略半円形の略半円形部分であることが好ましいが、略半円形でなくてもよい(不図示)。瘤状部19は、金属疲労を軽減する効果を奏する。スリット21は、ステント11の縮径性を向上させる効果を奏する。
[0039]
 V字要素17の変形は、V字要素17の根本の谷側部分(内側周縁部)を中心に行われ、実質的に変形に寄与するのは、V字要素17の頂部172の山側部分(図6~図8の上部において両側矢印で示されている範囲)、特にその外側周縁部分である。そこで、ステント11では、図6~図8に示されているように、延長部分191と略半円形部分192とを含み且つ接続要素15の幅よりも大きい幅を有する瘤状部19を、頂部172に形成することにより、頂部172を延長するようにしている。
[0040]
 具体的には、V字要素17の脚部171と、その頂部172を形成する略半円形部分192との間に、軸線方向LDに延びる延長部分191を設けて、変形基点となるV字要素17の根本の谷側部分(内側周縁部)から外側へ向かって頂部172をオフセットさせる。これにより、頂部172の外側周縁部分を長くしている。延長部分191は、縮径時に周方向に隣り合う瘤状部19同士が接触して縮径を妨げる要因となることを防ぐために、図6から図8に示されているように、軸線方向LDに延びる直線部分によって形成することが望ましい。
[0041]
 なお、V字要素17の頂部172に、頂部172の内側周縁部から延びるスリット21が形成されている場合、V字要素17の変形は、スリット21の先端(図6から図8におけるスリット21の上端)を中心として行われる。クリンプ及び拡張に伴う変形に関与する主たる部分は、V字要素17においてスリット21の先端よりも外側に位置する部分となる。したがって、図6に示されているように、延長部分191の長さがスリット21の長さと同じ又はスリット21の長さよりも短い形態よりも、図7に示されているように、延長部分191の長さがスリット21の長さよりも長く、延長部分191がスリット21の先端を越えて延びている形態とすることが好ましい。
[0042]
 図6及び図7に示すように、スリット21の対向する側縁は、概略平行に延びる直線状である。なお、図8に示すように、スリット21の対向する側縁は、概略平行に延びていなくてもよい(例えば、脚部171へ向けてわずかに拡がっていてもよい)。また、スリット21の対向する側縁は、直線状でなくてもよい(不図示)。
[0043]
 ステント11は、縮径された状態でカテーテル内に挿入され、プッシャーなどの押出機で押されてカテーテル内を移動し、病変部位に展開される。このとき、押出機により付与される軸線方向LDの力は、ステント11の環状体13及び接続要素15の間で相互作用を及ぼしながらステント11の全体に伝達されていく。
[0044]
 上記のような構造のステント11は、例えば生体適合性材料を、特に好ましくは超弾性合金から形成されたチューブを、レーザ加工することにより作製される。超弾性合金チューブから作製する場合、コストを低減させるため、一旦、2~3mm程度のチューブを、レーザ加工する。この時点のステント11、すなわち、チューブをレーザ加工したが引き延ばし工程を行っていないステント11を仮想的に平面状に展開した状態を、図9に示す。この状態において、V字要素17の2つの脚部171(長脚部176、短脚部177)の両方は、平行であり、更に、軸線方向LD(基準線CL)に対して、同じ側に配置されている。その後、これを、所望する径まで拡張させる(引き延ばす)。この時点のステント11を仮想的に平面状に展開した状態を、図2に示す。チューブに形状記憶処理を施すことにより、ステント11は作製されることが好ましい。なお、ステント11の作製は、レーザ加工によるものに限定されるものではなく、例えば切削加工など他の方法によって作製することも可能である。
[0045]
 次に、ステント11の使用方法を説明する。患者の血管内にカテーテルが挿入され、カテーテルを病変部位まで到達させる。次に、ステント11は、縮径(クリンプ)されてカテーテル内に配置される。次に、プッシャーなどの押出機を用いてカテーテルの内腔に沿って縮径した状態のステントを押し、病変部位でカテーテルの先端からステント11を押し出して展開(拡張)させる。そして、ステント11を留置することが可能となる。
[0046]
 以上の構成を有する本実施形態のステント11によれば、例えば以下の効果が奏される。本実施形態のステント11は、前述した各構成を備えている。例えば、波線状パターンは、2つの脚部171を頂部172で連結した略V字形状の複数のV字要素17が、頂部172を軸線方向LDにおいて交互に逆に向けた状態で接続されて、形成されている。径方向RDに視たときに、接続要素15の中間部152が延びる方向は、軸線方向LDに対して傾斜している。2つの脚部171のうちの一方(長脚部176)は、接続要素15の中間部152に沿って延びている。
[0047]
 また、接続要素15の端部151は、頂部172が軸線方向LDにおいて同じ方向を向くV字要素17それぞれにおける脚部171に、接続されている。V字要素17の2つの脚部171の両方は、基準線CLに対して、同じ側に配置されている。V字要素17は、柔軟性ステント11の仮想的な外周曲面の形状に沿って、V字要素17の厚さ方向に丸みを帯びている。接続要素15の中間部152及びV字要素17の脚部171は、直線状である。接続要素15の中間部152に沿って延びている脚部171は、接続要素15の中間部152に対して平行である。V字要素17の2つの脚部171は、長い長脚部176と短い短脚部177とからなる。環状体13の環方向CDに隣り合うV字要素17同士は、長脚部176と短脚部177とが隣り合うように、接続されている。接続要素15の端部151は、V字要素17の長脚部176に接続されている。接続要素15の端部151は、V字要素17の長脚部176における頂部172とは反対側の部分であって短脚部177よりも長い部分178に、接続されている。
[0048]
 これらの各構成の一部又は全部の相乗効果により、図10に示すように、血管の屈曲部などに本実施形態のステント11を曲げて留置したとしても、自由端を有するストラットを形成するV字要素17は、フレア状にステント111の径方向外側に飛び出しにくい。その結果、本実施形態のステント11は、例えば、血管等の生体の管状器官の組織を損傷しにくく、ステントの径方向内側での血栓化のリスクが低いと共に、屈曲した血管において血管壁への密着性が優れており、血管壁への応力集中が軽減される。
[0049]
 また、これらの各構成の一部又は全部の相乗効果により、図11に示すように、カテーテルに縮径状態でマウントされたステント11(図11の(B)参照)が術中に血管内で展開(拡張)されると(図11の(A)参照)、ステント11の全長はクリンプ(縮径)時よりも軸線方向LDへ短縮する。この場合の短縮長さをΔL1で示す。
[0050]
 比較対象として、図12に従来例のステント111を示す。図12に示すように、カテーテルに縮径状態でマウントされたステント111(図12の(B)参照)が術中に血管内で展開(拡張)されると(図12の(A)参照)、ステント111の全長はクリンプ(縮径)時よりも軸線方向LDへ短縮する。この場合の短縮長さをΔL2で示す。なお、符号115は、接続要素を示す。図11に示すΔL1と図12に示すΔL2との比較から明らかなように、本実施形態のステント11は、ショートニングの抑制効果が高い。
[0051]
 以上、実施形態を参照して、本発明によるステントを説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではない。例えば、V字要素17は、その厚さ方向に丸みを帯びていなくてもよい。接続要素15の中間部152及びV字要素17の脚部171は、直線状でなくてもよい。接続要素15の中間部152に沿って延びている脚部171は、接続要素15の中間部152に対して平行でなくてもよい。V字要素17の2つの脚部171の長さは、同じであってもよい。

符号の説明

[0052]
11 ステント(柔軟性ステント)
13 環状体
15 接続要素
151 端部
152 中間部
17 V字要素
171 脚部
172 頂部
173 接続部
176 長脚部
177 短脚部
178 長い部分
LD 軸線方向
RD 径方向
CD 環方向

請求の範囲

[請求項1]
 波線状パターンを有し且つ軸線方向に並んで配置される複数の環状体と、軸線周りに延び且つ隣り合う前記環状体を接続する複数の接続要素と、を備える柔軟性ステントであって、
 前記波線状パターンは、2つの脚部を頂部で連結した略V字形状の複数のV字要素が、前記頂部を軸線方向において交互に逆に向けた状態で接続されて、形成されており、
 前記接続要素の一方の端部が屈曲する方向と前記接続要素の他方の端部が屈曲する方向とは、逆であり、
 前記接続要素の端部は、隣り合う前記環状体における前記V字要素の前記頂部以外の部分に、前記脚部が延びる方向とは異なる方向に延びて、接続されており、
 軸線方向に対して垂直な径方向に視たときに、前記接続要素の中間部が延びる方向は、軸線方向に対して傾斜しており、
 2つの前記脚部のうちの一方は、前記接続要素の前記中間部に沿って延びている、柔軟性ステント。
[請求項2]
 前記接続要素の前記端部は、前記頂部が軸線方向において同じ方向を向く前記V字要素それぞれにおける前記脚部に、接続されている、請求項1に記載の柔軟性ステント。
[請求項3]
 前記V字要素の2つの前記脚部の両方は、軸線方向に平行で且つ前記頂部を通る基準線に対して、同じ側に配置されている、請求項1又は2に記載の柔軟性ステント。
[請求項4]
 前記V字要素は、柔軟性ステントの仮想的な外周曲面の形状に沿って、前記V字要素の厚さ方向に丸みを帯びている、請求項1~3のいずれかに記載の柔軟性ステント。
[請求項5]
 前記接続要素の前記端部が延びる方向と前記接続要素の前記中間部が延びる方向とは、略直交している、請求項1~4のいずれかに記載の柔軟性ステント。
[請求項6]
 前記接続要素の中間部及び前記V字要素の前記脚部は、直線状であり、前記接続要素の前記中間部に沿って延びている前記脚部は、前記接続要素の前記中間部に対して平行である、請求項1~5のいずれかに記載の柔軟性ステント。
[請求項7]
 前記接続要素の端部は、前記環状体の環方向に隣り合う前記V字要素同士の接続部近傍に、接続されている、請求項1~6のいずれかに記載の柔軟性ステント。
[請求項8]
 前記V字要素の2つの前記脚部は、長い長脚部と短い短脚部とからなり、前記環状体の環方向に隣り合う前記V字要素同士は、前記長脚部と前記短脚部とが隣り合うように、接続されている、請求項1~7のいずれかに記載の柔軟性ステント。
[請求項9]
 前記接続要素の前記端部は、前記V字要素の前記長脚部に接続されている、請求項8に記載の柔軟性ステント。
[請求項10]
 前記接続要素の端部は、前記V字要素の前記長脚部における前記頂部とは反対側の部分であって前記短脚部よりも長い部分に、接続されている、請求項8又は9に記載の柔軟性ステント。
[請求項11]
 軸線方向に対して、前記V字要素の前記長脚部が傾斜する角度は、50度~80度であり、前記V字要素の前記短脚部が傾斜する角度は、5度~30度である、請求項8~10のいずれかに記載の柔軟性ステント。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4A]

[ 図 4B]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]