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1. (WO2015141782) プリントヘッドユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物
Document

明 細 書

発明の名称 プリントヘッドユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009  

先行技術文献

特許文献

0010  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0011   0012   0013  

課題を解決するための手段

0014   0015   0016   0017   0018   0019  

発明の効果

0020  

図面の簡単な説明

0021  

発明を実施するための形態

0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128  

符号の説明

0129  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : プリントヘッドユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物

技術分野

[0001]
 本明細書で言及する実施例は、プリントヘッドユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物に関する。

背景技術

[0002]
 近年、光造形法や粉末造形法、或いは、FDM法(Fused Deposition Modeling:熱溶解積層法)などを適用した三次元積層造形装置(いわゆる、3Dプリンタ)が注目されている。
[0003]
 具体的に、光造形法を適用した三次元積層造形装置は、例えば、造形浴に入れた液状の光硬化性樹脂の液面に所望のパターンが得られるようにコンピュータ制御された光(例えば、紫外線レーザー)を選択的に照射して、光硬化性樹脂を硬化させる。さらに、その光硬化した層の上に一層分の光硬化性樹脂を供給して、再び光を照射して光硬化性樹脂を硬化させ、同様の処理を繰り返して目的とする造形物(モデル)を形成する。
[0004]
 また、FDM法を適用した三次元積層造形装置は、例えば、糸状の熱可塑性樹脂を造形ヘッド内のヒータで溶融し、その溶融された熱可塑性樹脂を射出制御すると共に、造形テーブルの昇降により積層造形するものである。
[0005]
 さらに、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置、例えば、粉末焼結や粉末溶融、或いは、粉末インクジェット(Powder Bed and Inkjet Head 3D Printing)による三次元積層造形装置は、例えば、リコーターユニットにより造形テーブル上に一層分の粉末をコーティングし、その後、プリントヘッドユニット(インクジェットヘッドユニット)により、コーティングされた粉末面に対するバインダー(結合剤)の塗布を行い、造形物の一層分を形成する。
[0006]
 そして、造形テーブルを粉末の一層分だけ降下させ、再び、リコーターユニットによる粉末のコーティングを行った後、プリントヘッドユニットによる結合剤の塗布を行って造形物の次の一層分を形成する。そして、同様の処理を繰り返すことにより所望とする造形物を形成する。
[0007]
 なお、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置において、使用する粉末としては、例えば、砂,金属粉末,石膏,澱粉,人工骨,プラスチック粉末など様々なものが含まれる。また、造形物としても様々なものがあり得るが、例えば、粉末として砂を使用し、造形物として鋳型を造型することもできる。さらに、粉末として、熱可塑性樹脂(プラスチック粉末)を適用してもよく、或いは、砂の粒子に熱可塑性樹脂をコーティングしたものを適用してもよい。
[0008]
 また、粉末として、熱可塑性樹脂(プラスチック粉末)を適用し、或いは、砂の粒子に熱可塑性樹脂をコーティングしたものも適用してもよい。さらに、粉末として金属粉末を使用し、結合剤を塗布して造形物を形成した後、その造形物を焼結して金属造形物を得るようにすることも可能である。
[0009]
 ところで、従来、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置のプリントヘッドユニットとしては様々なものが提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0010]
特許文献1 : 特許第5059832号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0011]
 従来、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置のプリントヘッドユニットとしては様々なものが提案されているが、通常、リコーターユニットによりコーティングされる粉末は同一種類のものであり、また、プリントヘッドユニットにより塗布される結合剤も1種類のみである。
[0012]
 そのため、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置により形成された造形物は、全て均一な材質(粉末および結合剤)で同じ特性を有することになる。しかしながら、三次元積層造形装置により形成される造形物として、部分的に異なる特性を持たせた方が好ましいものがある。
[0013]
 本実施形態は、造形物の特性を部分的に変化させることのできるプリントヘッドユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0014]
 本発明に係る第1実施形態によれば、粉末層に対して、少なくとも異なる2種類の液体を塗布して造形物を形成するインクジェットヘッド、を有する、プリントヘッドユニットが提供される。
[0015]
 また、本発明に係る第2実施形態によれば、造形テーブルと、前記造形テーブル上に一層分の粉末をコーティングして粉末層を形成するリコーターユニットと、前記粉末層に対して、少なくとも異なる2種類の液体を塗布して造形物を形成するインクジェットヘッドと、を有する、三次元積層造形装置が提供される。
[0016]
 さらに、本発明に係る第3実施形態によれば、造形テーブル上に粉末をコーティングして粉末層を形成する粉末コーティング工程と、前記粉末層に対して液体を塗布する液体塗布工程と、を有し、前記粉末コーティング工程および前記液体塗布工程を交互に繰り返して造形物を形成する三次元積層造形方法であって、前記液体塗布工程は、少なくとも異なる2種類の液体を使用する、三次元積層造形方法が提供される。
[0017]
 また、本発明に係る第3実施形態によれば、造形テーブル上に粉末をコーティングして粉末層を順次形成し、造形データに基づいてそれぞれの前記粉末層に液体を塗布して、造形物を形成する三次元積層造形方法であって、前記粉末層に対して液体を塗布する工程は、第1液体および第2液体を準備する準備ステップと、前記第1液体および前記第2液体を第1混合比として前記粉末層に塗布する第1塗布ステップと、前記第1液体および前記第2液体を、前記第1混合比とは異なる第2混合比として前記粉末層に塗布する第2塗布ステップと、を有する、三次元積層造形方法も提供される。
[0018]
 さらに、本発明に係る第4実施形態によれば、造形テーブル上に粉末をコーティングして粉末層を形成する粉末コーティング工程と、前記粉末層に対して液体を塗布する液体塗布工程と、を有し、前記粉末コーティング工程および前記液体塗布工程を交互に繰り返して造形物を形成する三次元積層造形方法であって、前記液体塗布工程は、少なくとも異なる2種類の液体を使用する、三次元積層造形方法により形成される造形物であって、特性が部分的に変化している、傾斜構造を有する三次元積層造形方法により形成される、造形物が提供される。
[0019]
 そして、本発明に係る第4実施形態によれば、造形テーブル上に粉末をコーティングして粉末層を順次形成し、造形データに基づいてそれぞれの前記粉末層に液体を塗布して、造形物を形成する三次元積層造形方法であって、前記粉末層に対して液体を塗布する工程は、第1液体および第2液体を準備する準備ステップと、前記第1液体および前記第2液体を第1混合比として前記粉末層に塗布する第1塗布ステップと、前記第1液体および前記第2液体を、前記第1混合比とは異なる第2混合比として前記粉末層に塗布する第2塗布ステップと、を有する、三次元積層造形方法であって、特性が部分的に変化している、傾斜構造を有する三次元積層造形方法により形成される、造形物も提供される。

発明の効果

[0020]
 開示のプリントヘッドユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物は、造形物の特性を部分的に変化させることができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0021]
[図1] 図1は、三次元積層造形装置の一例を概略的に示す斜視図である。
[図2] 図2は、プリントヘッドユニットの例を説明するための図である。
[図3] 図3は、本発明に係るプリントヘッドユニットの第1実施例を説明するための図(その1)である。
[図4] 図4は、本発明に係るプリントヘッドユニットの第1実施例を説明するための図(その2)である。
[図5] 図5は、本発明に係るプリントヘッドユニットの第2実施例を説明するための図である。
[図6] 図6は、図5に示すプリントヘッドユニットにおける処理の一例を説明するための図である。
[図7] 図7は、図5に示すプリントヘッドユニットを使用した三次元積層造形装置により形成された造形物の一例、並びに、その造形物を使用して製作された製品を説明するための図である。
[図8] 図8は、本発明に係るプリントヘッドユニットの第3実施例を説明するための図である。
[図9] 図9は、図8に示すプリントヘッドユニットにおける処理の一例を説明するための図である。
[図10] 図10は、図9に示す処理の変形例を説明するための図である。
[図11] 図11は、本発明に係るプリントヘッドユニットの第4実施例を説明するための図である。

発明を実施するための形態

[0022]
 まず、本発明に係るプリントヘッドユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物の実施例を詳述する前に、図1および図2を参照して、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置の一例、および、プリントヘッドユニットの例、並びに、その問題点を説明する。
[0023]
 図1は、三次元積層造形装置の一例を概略的に示す斜視図であり、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置100の一例を示すものである。
[0024]
 図1に示されるように、三次元積層造形装置100は、制御用コンピュータ101、プリントヘッドユニット102、リコーターユニット103、造形タンク104、昇降装置105、粉末供給ホッパーユニット106、クリーニングユニット107、および、薬品ユニット108を含む。ここで、造形タンク104には、昇降装置105によりZ軸方向(高さ方向)の制御が行われる造形テーブル141が設けられている。
[0025]
 制御用コンピュータ101は、三次元データ(造形データ:例えば、STLデータ:Standard Triangulated Language Data)を入力とし、スライス処理やオフセット処理、および、ビットマップ変換処理などを行って、三次元積層造形装置100の制御を行う。
[0026]
 プリントヘッドユニット102は、例えば、ビットマップ化された造形データに基づいて結合剤(バインダー:液体)を造形テーブル141上の粉末面に塗布(吐出)して一層分の造形を行う。なお、プリントヘッドユニット102には、例えば、複数の吐出ノズルが設けられた複数のインクジェットヘッドが搭載されている。
[0027]
 ここで、プリントヘッドユニット102は、例えば、造形テーブル141上の粉末面に対して、インクジェットヘッド121をX軸方向(装置正面から見て左右方向)に移動させながら結合剤の塗布を行う。
[0028]
 さらに、1行のX軸の塗布作業が終わったら、インクジェットヘッド121をY軸方向(装置正面から見て前後方向)に移動させ、再びインクジェットヘッド121をX軸方向に移動させて結合剤の塗布を行う。このような処理を繰り返すことで、一層分の造形処理を行う。
[0029]
 なお、インクジェットヘッド121は、例えば、造形テーブル141のX軸方向全体の長さを有するラインヘッドとして構成してもよい。この場合、インクジェットヘッド121をY軸方向に移動させるだけで、造形テーブル141上の粉末全面に対する結合剤の塗布、すなわち、一層分の造形処理を行うことが可能になる。
[0030]
 そして、造形テーブル141上の粉末全面に対する一層分の造形処理が終了したら、例えば、昇降装置105により造形テーブル141をZ軸方向(高さ方向)に降下させ、さらに、リコーターユニット103をY軸方向に移動させながら、一層分の粉末をコーティングする。
[0031]
 ここで、リコーターユニット103は、例えば、リコータ内ホッパー131およびブレード132を含む。リコータ内ホッパー131は、粉末供給ホッパーユニット106から供給された粉末を貯蔵する。
[0032]
 ブレード132は、リコーターユニット103がY軸方向に移動しているときに動作し、リコーターユニット103が移動中に造形テーブル141上に粉末を密に、かつ、水平(X-Y軸平面)となるように供給する。
[0033]
 なお、ブレード132は、能動的または受動的な振動によって、或いは、回転を伴って、粉末130を所定の厚さで円滑にコーティング(堆積)するように構成してもよく、若しくは、ブレード132を動作させることなく、一定量の粉末130を堆積するように構成してもよい。
[0034]
 ここで、昇降装置105により造形テーブル141を降下させる量(高さ)と、リコーターユニット103によりコーティングする粉末130の厚さ(粉末層140の最上部における粉末130の積層ピッチ)は、一致するように制御される。
[0035]
 以上の処理を繰り返し行うことで、造形タンク104内において、最終的な造形物が完成する。すなわち、造形タンク104内には、例えば、目的とする造形物,サポート,および,結合剤が塗布されずに残った粉末が含まれる。
[0036]
 造形タンク104は、例えば、造形タンク移送ユニットにより三次元積層造形装置100の外部へ移動され、自動または手作業によって不要なサポートおよび粉末が取り除かれて、目的とする造形物が取り出されることになる。
[0037]
 クリーニングユニット107は、インクジェットヘッド121の余分な結合剤や粉末などを取り除くためのものである。また、薬品ユニット108は、造形処理に使用する薬品(結合剤や洗浄剤)を貯蔵するものであり、結合剤はインクジェットヘッド121に供給され、洗浄剤はクリーニングユニット107に供給される。なお、洗浄剤は、例えば、インクジェットヘッドの内部や吐出口を洗浄するために使用され、或いは、未使用時にインクジェットヘッドが乾いて劣化しないように充填される。
[0038]
 なお、三次元積層造形装置100には、図示しない、クリーニングユニット107による廃液を回収する廃液タンク、結合剤や洗浄剤の吐出に使用するエアー圧コントロールユニットなども設けられている。
[0039]
 ここで、図1は、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置の単なる例を示すものであり、本実施例の適用は、図1に示すものに限定されず、例えば、粉末造形法を適用した様々な三次元積層造形装置に対して適用される。
[0040]
 すなわち、本実施例は、例えば、粉末インクジェットなどによる様々な粉末造形法を適用した三次元積層造形装置によるプリントヘッドユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物として適用することができる。なお、造形物(モデル)としても様々なものがあり得るが、例えば、粉末として砂を使用し、造形物として鋳型を造型することもできるのはいうまでもない。
[0041]
 図2は、プリントヘッドユニットの例を説明するための図であり、図2(a)は、図1を参照して説明したインクジェットヘッド121を含むプリントヘッドユニットを示し、図2(b)は、ラインヘッド(インクジェットヘッド)123を含むプリントヘッドユニットを示す。
[0042]
 図2(a)に示されるように、インクジェットヘッド121は、例えば、リコーターユニット(103)により造形テーブル(141)上にコーティングされた粉末層120に対して、X軸方向およびY軸方向に移動して結合剤122を塗布する。すなわち、図2(a)に示すインクジェットヘッド121は、粉末層120に対して、X軸方向およびY軸方向に移動して一層分の造形処理を行う。
[0043]
 また、図2(b)に示されるように、インクジェットヘッド123は、例えば、リコーターユニットにより造形テーブル上にコーティングされた粉末層120に対して、Y軸方向に移動して結合剤122を塗布する。すなわち、図2(b)に示すインクジェットヘッド123は、粉末層120に対して、結合剤をX軸方向の1ライン同時に塗布するようになっており、Y軸方向に移動するだけで、一層分の造形処理が行われる。
[0044]
 ここで、図2(a)および図2(b)に示すインクジェットヘッド121,123は、いずれも1種類の結合剤122を塗布するようになっている。従って、通常、リコーターユニット(103)によりコーティングされる粉末は同一種類のものであるため、三次元積層造形装置により形成された造形物は、全て均一な材質(粉末および結合剤)で同じ特性を有することになる。
[0045]
 ところで、例えば、砂による鋳型(砂型)に溶融金属を注湯し、その溶融金属を凝固させて製品(鋳物)を鋳造する場合、鋳込む金属材料や鋳物の形状に適した冷却を行うのが好ましい。
[0046]
 そのため、例えば、砂型の特定個所にひやし金を埋設または押し当て、その個所の熱を急速に奪うようにして凝固の調整を行い、或いは、押し湯を高周波で加熱して指向性凝固を促進するといった様々な手法が適用されている。
[0047]
 しかしながら、例えば、砂型の特定個所にひやし金を埋設または押し当てる場合、そのための新たな処理や作業が必要となり、また、例えば、押し湯を高周波で加熱するには、新たに高周波加熱装置を設けなければならないといった問題がある。その結果、例えば、製品である鋳物の価格を押し上げることになってしまう。
[0048]
 これは、砂を適用した三次元積層造形装置により造型された鋳型の問題に限定されるものではなく、例えば、全て均一な材質で同じ特性を有する造形物により生じる様々な不都合に対しても同様の問題として捉えることができる。
[0049]
 以下、本発明に係るプリントヘッドユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物の実施例を、添付図面を参照して詳述する。以下の説明では、主として異なる2種類の結合剤を塗布する場合を説明するが、3種類以上の結合剤に対しても同様に適用することが可能である。また、三次元積層造形装置により形成される造形物は、粉末として砂を使用して造型される鋳型に限定されるものではなく、部分的に異なる特性が要求される様々な造形物であってもよい。
[0050]
 なお、本明細書において、塗布なる文言は、例えば、リコーターユニットによりコーティングされた粉末面(印刷面)に対して、プリントヘッドユニット(インクジェットヘッドユニット)から液体(液滴:結合剤,バインダー)を着滴(着弾)するだけでなく、インクジェットヘッドユニットから液体(液滴)を噴霧(吐出)することも含むものとして使用される。
[0051]
 すなわち、本実施形態は、例えば、造形物として鋳型を形成(造型)する場合に限定されるものではなく、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置およびそのプリントヘッドユニット、並びに、三次元積層造形方法に対して幅広く適用することができる。
[0052]
 図3および図4は、本発明に係るプリントヘッドユニットの第1実施例を説明するための図である。
[0053]
 図3(a)~図3(d),図4(a)および図4(b)において、参照符号21A,21Bは、それぞれ図2(a)を参照して説明したインクジェットヘッド121に対応する第1および第2インクジェットヘッド部(第1および第2インクジェットヘッド)を示し、また、23A,23Bは、それぞれ図2(b)を参照して説明したインクジェットヘッド123に対応する第1および第2インクジェットヘッド部(第1および第2ラインヘッド)を示す。
[0054]
 さらに、参照符号20は、例えば、リコーターユニット(103)により造形テーブル(141)上にコーティングされた粉末層を示し、22A,22Bは、第1および第2結合剤(第1および第2液体)を示す。なお、リコーターユニット(103)は省略されている。
[0055]
 図3(a)~図3(d)において、参照符号20A,20A’および20Bは、インクジェットヘッド部の退避領域を示し、実際に造形物を形成する造形領域(粉末層20)の両端には、インクジェットヘッド部21A,23Aおよび21Bを退避させるための退避領域20A,20A’および20Bが設けられている。また、参照符号11,11A,11B,12,12A,12Bは、Y軸方向のレールを示し、13,13A,13Bは、X軸方向のレールを示す。
[0056]
 ここで、図3(a)~図3(c)は、2つのインクジェットヘッド(第1および第2インクジェットヘッド部)21A,21Bが独立に移動制御される場合を示し、図3(d)は、第1(または第2)インクジェットヘッド部(ラインヘッド)22Aと第2(または第1)インクジェットヘッド部(インクジェットヘッド)21Bが独立に移動制御される場合を示す。
[0057]
 また、図4(a)は、第1および第2インクジェットヘッド部(ラインヘッド)23A,23Bが一体的に移動制御される場合を示し、図4(b)は、第1および第2インクジェットヘッド部(ラインヘッド)23A,23Bが独立に移動制御される場合を示す。
[0058]
 図3(a)~図3(d),図4(a)および図4(b)に示されるように、第1インクジェットヘッド部21A,23Aは、粉末層20に対して、第1結合剤(第1液体)22Aを塗布するためのものであり、第2インクジェットヘッド部21B,23Bは、粉末層20に対して、第2結合剤(第2液体)22Bを塗布するためのものである。
[0059]
 図3(a)~図3(c)において、第1インクジェットヘッド部21Aは、レール13Aに沿ってX軸方向で移動制御され、第2インクジェットヘッド部21Bは、レール13Bに沿ってX軸方向で移動制御される。
[0060]
 図3(a)および図3(b)に示す例では、レール13Aおよび13Bが、共通のレール11,12に沿って移動制御され、図3(c) および図3(d)に示す例では、レール13Aおよび13Bが、専用のレール11A,12Aおよび11B,12Bに沿って移動制御されるようになっている。
[0061]
 ここで、図3(a)および図3(b)に示す例では、例えば、第1および第2インクジェットヘッド部21A,21BがY軸方向の共通のレール11,12上を移動するが、それぞれ専用のモータや移動制御機構を設けることでY軸方向の位置を個別に制御することができる。また、図3(c)および図3(d)に示す例では、例えば、第1および第2インクジェットヘッド部21A,21Bの専用のレール11A,12Aおよび11B,12Bに対してボールねじ等を適用することで、独立に制御することができるのはいうまでもない。
[0062]
 図3(b)に示す例では、第1インクジェットヘッド部21Aが2つの退避領域20Aおよび20A’で退避できるようになっている。なお、第1および第2インクジェットヘッド部21A,21Bは、例えば、が2つの退避領域20Aおよび20A’で退避できるようになっている。
[0063]
 このように、第1および第2インクジェットヘッド部(インクジェットヘッド)21A,21Bは、例えば、Y軸方向の移動可能領域をソフト的に制限し、粉末層(造形領域)20の全体に対して造形処理を行うことが可能になる。なお、インクジェットヘッド部は、2つに限定されるものではなく、レール等による移動機構は、様々なものを適用することができる。
[0064]
 図3(d)に示す例では、例えば、主たる第1結合剤22Aを塗布するためにラインヘッド(第1インクジェットヘッド部)23Aを適用し、部分的に(オプションとして)第2結合剤22Bを塗布するためにインクジェットヘッド(第2インクジェットヘッド部)21Bを適用している。
[0065]
 図4(a)に示す例では、第1インクジェットヘッド部23Aおよび第2インクジェットヘッド部23Bは、一体的にY軸方向を移動するようになっている。この場合、第1および第2インクジェットヘッド部23A,23Bは、共通の1つの駆動機構により移動制御される。
[0066]
 図4(b)に示す例では、第1インクジェットヘッド部23Aおよび第2インクジェットヘッド部23Bは、それぞれ独立した駆動機構により移動制御される。ここで、Y軸方向の両端に退避領域を設け、例えば、第1インクジェットヘッド部23Aにより第1結合剤22Aを塗布する場合には、第2インクジェットヘッド部23Bを一方の退避領域に退避させ、第2インクジェットヘッド部23Bにより第2結合剤22Bを塗布する場合には、第1インクジェットヘッド部23Aを他方の退避領域に退避させるようにしてもよい。
[0067]
 上述したように、第1インクジェットヘッド部21A,23Aは、粉末層20に対して、第1結合剤(第1液体)22Aを塗布するためのものであり、第2インクジェットヘッド部21B,23Bは、粉末層20に対して、第2結合剤(第2液体)22Bを塗布するためのものである。
[0068]
 ここで、第1結合剤22Aと第2結合剤22Bは、異なる種類の結合剤であり、例えば、粉末層20に対して第1結合剤22Aを塗布した場合の造形物の特性が、粉末層20に対して第2結合剤22Bは塗布した場合の造形物の特性とは異なっている。
[0069]
 なお、第1結合剤22Aおよび第2結合剤22Bは、粉末層20に対して、一方のみを塗布してもよいが、第1インクジェットヘッド部21A,23Aによる第1結合剤22Aの吐出量と、第2インクジェットヘッド部21B,23Bによる第2結合剤22Bの吐出量を制御して、粉末層20に塗布された時の第1および第2結合剤22A,22Bの比率を調整してもよい。
[0070]
 具体的に、例えば、第1結合剤22Aの吐出量をDQ22Aとし、第2結合剤22Bの吐出量をDQ22Bとしたとき、DQ22A:DQ22B=0.5:0.5、或いは、=0.3:0.7というように制御して1個所に吐出してもよい。
[0071]
 また、例えば、インクジェット(第1および第2インクジェットヘッド部21A,23Aおよび21B,23B)の最低吐出量が制限されている場合などは、吐出する場所ごとに液体を変えることもできる。具体的に、第1液体A(第1結合剤22A)と、第2液体B(第2結合剤22B)を、例えば、ABABABAB…、或いは、ABBABBABBABBA…というように、インクジェットの噴射間隔(吐出時間)を制御してもよい。
[0072]
 なお、インクジェットの噴射間隔は、機械の精度にもよるが、例えば、0.05mm~0.5mm程度なので、通常の造形物の形成においては、インク(結合剤)の噴射がモザイク状になっても、ほぼ一様とみなすことができる。
[0073]
 このとき、第1および第2結合剤22A,22Bは、それぞれが粉末層20に吐出(塗布)された後に固まるが、例えば、第1および第2結合剤22A,22Bが固化するのに必要な時間を適宜調整することで、第1および第2結合剤22A,22Bを均一に混合することもができる。
[0074]
 さらに、例えば、粉末層20に対して、第1インクジェットヘッド部21A,23Aから第1結合剤22Aの塗布を行い、その第1結合剤22Aが含まれた粉末層20に対して、第2インクジェットヘッド部21B,23Bから、例えば、水で薄めた黒鉛粉末を第2結合剤22Bとして制御して塗布することにより、造形物の特性を部分的に変化させるようにすることもできる。
[0075]
 なお、第1および第2結合剤22A,22Bの塗布の方法としては、造形物に持たせたい特性に応じて様々なものが考えられるが、一例として、造形物が鋳型(砂型)の場合には、例えば、鋳型の下部の熱伝導率を高くすると共に、上部の熱伝導率を低くして、凝固特性(熱伝導率の特性)に傾斜構造を持たせることができる。
[0076]
 これにより、鋳型(造形物)に溶融金属を注湯して鋳物を鋳造する際、その溶融金属の凝固が指向性(例えば、鋳物の下部の溶融金属の凝固時間が短縮され、上部の溶融金属の凝固時間が延長される)を持つことになり、前述した、鋳型の特定個所へのひやし金の埋設や押し当て、或いは、押し湯や高周波加熱装置を不要として、指向性凝固を促進することが可能になる。
[0077]
 なお、上述したプリントヘッドユニットは、例えば、図1を参照して説明したような三次元積層造形装置に適用することができる。また、造形物が鋳型の場合は、単なる一例であり、さらに、使用する結合剤も2種類に限定されるものではない。
[0078]
 このように、第1実施例のプリントヘッドユニットによれば、粉末層に対して、少なくとも異なる2種類の結合剤を塗布して造形物を形成することによって、造形物の特性を部分的に変化させることができる。これは、第1実施例だけでなく、他の実施例でも同様である。
[0079]
 図5は、本発明に係るプリントヘッドユニットの第2実施例を説明するための図であり、図5(a)は、前述した図2(a)に対応し、図5(b)は、前述した図2(b)に対応する。ここで、図5(a)および図5(b)に示すプリントヘッドユニットは、1つのインクジェットヘッド21および23により2種類の結合剤22A,22Bを塗布するようになっている。
[0080]
 ここで、インクジェットヘッド21(23)は、第1結合剤22Aを吐出する吐出口と、第2結合剤22Bを吐出する吐出口を独立に設けることもできる。例えば、図5(b)に示すプリントヘッドユニットにおいて、第1および第2結合剤22A,22Bに対して独立(専用)の吐出口を設けた場合、実質的に、前述した図4(a)と同様の構成になる。
[0081]
 なお、以下の説明では、主として、第1結合剤22Aおよび第2結合剤22Bを共通の吐出口から吐出する構成を説明する。この第1および第2結合剤22A,22Bを共通の吐出口から吐出する構成は、例えば、第1および第2結合剤22A,22Bの溶媒・溶液・液体が同じ、或いは、親和性を有していて、第1および第2結合剤22A,22Bが混ざり易い場合に好ましい。
[0082]
 図5(a)に示されるように、インクジェットヘッド21は、例えば、リコーターユニット(103)により造形テーブル(141)上にコーティングされた粉末層20に対して、X軸方向およびY軸方向に移動して2種類の結合剤22A,22Bを塗布する。すなわち、図5(a)に示すインクジェットヘッド21は、粉末層20に対して、X軸方向およびY軸方向に移動して一層分の造形処理を行う。
[0083]
 なお、粉末層20に対する一層分の造形処理が終了したら、例えば、図1を参照して説明した三次元積層造形装置100において、昇降装置105により造形テーブル141をZ軸方向(高さ方向)に降下させ、さらに、リコーターユニット103により一層分の粉末をコーティングし、そのコーティングされた粉末層20に対して、インクジェットヘッド21による一層分の造形処理を繰り返す。
[0084]
 また、図5(b)に示されるように、インクジェットヘッド(ラインヘッド)23は、例えば、リコーターユニットにより造形テーブル上にコーティングされた粉末層20に対して、Y軸方向に移動して2種類の結合剤22A,22Bを塗布する。すなわち、図5(b)に示すインクジェットヘッド23は、粉末層20に対して、結合剤をX軸方向の1ライン同時に塗布するようになっており、Y軸方向に移動するだけで、一層分の造形処理が行われる。
[0085]
 なお、粉末層20に対する一層分の造形処理が終了したら、例えば、図1を参照して説明した三次元積層造形装置100において、昇降装置105により造形テーブル141をZ軸方向(高さ方向)に降下させ、さらに、リコーターユニット103により一層分の粉末をコーティングし、そのコーティングされた粉末層20に対して、インクジェットヘッド23による一層分の造形処理を繰り返す。
[0086]
 図6は、図5に示すプリントヘッドユニットにおける処理の一例を説明するための図である。図6に示されるように、例えば、異なる2種類の結合剤22A,22Bが混ざり易い場合、第1および第2結合剤22A,22Bの比率を制御して混合し、吐出口24から混合された結合剤(吐出液)22Dを、粉末層20に対して塗布(吐出)する。
[0087]
 これにより、図5(a)および図5(b)に示すプリントヘッドユニットを使用した三次元積層造形装置も、図4(a)および図4(b)を参照して説明したのと同様に、例えば、造形物に傾斜構造を持たせ、すなわち、造形物の特性を部分的に変化させることが可能になる。
[0088]
 図7は、図5に示すプリントヘッドユニットを使用した三次元積層造形装置により形成された造形物の一例、並びに、その造形物を使用して製作された製品を説明するための図である。
[0089]
 ここで、図7(a)は、前述した図5(a)または図5(b)に示すプリントヘッドユニットを使用した三次元積層造形装置により、例えば、図1を参照して説明した三次元積層造形装置100の造形タンク104内に造形された鋳型(造形物:砂型)10を示す。また、図7(b)は、鋳型10に対して溶融金属を注湯して凝固させて製造した製品(タービン)を示す。
[0090]
 図7(a)に示されるように、例えば、図1における造形タンク104内には、リコーターユニット103によりコーティングされた粉末層(粉末:砂)20に対して、プリントヘッドユニット21(23)により結合剤を塗布して造型した鋳型10と共に、結合剤が塗布されずに残った粉末層(粉末:砂)20が含まれる。
[0091]
 ここで、結合剤の塗布は、例えば、鋳型の下部の熱伝導率が高く、上部の熱伝導率が低くなるように、第1および第2結合剤22A,22Bの比率(混合比)を制御して行う。すなわち、例えば、第1および第2結合剤22A,22Bの溶媒が同じて混ざり易く、粉末層20に第1結合剤22Aを塗布すると熱伝導率が高い造形物(鋳型)10となり、粉末層20に第2結合剤22Bを塗布すると熱伝導率が低い造形物となる場合には、高さ方向(Z軸方向)の下部ほど第1結合剤22Aの比率が大きくなり、上部ほど第2結合剤22Bの比率を大きくなるように、第1および第2結合剤22A,22Bの比率を連続的に制御して、粉末層20に対する結合剤の塗布を行う。
[0092]
 なお、粉末層20に塗布する第1および第2結合剤22A,22Bの比率の制御は、Z軸方向で変化させるのに限定されるものではなく、X-Y軸平面、すなわち、同一の粉末層20における造形物の平面位置で変化させることもでき、例えば、鋳型の前方と後方で熱伝導率を変えることも可能であり、さらに、鋳型の中心部分と表面部分で熱伝導率を変えることも可能である。
[0093]
 図8は、本発明に係るプリントヘッドユニットの第3実施例を説明するための図であり、図9は、図8に示すプリントヘッドユニットにおける処理の一例を説明するための図である。
[0094]
 ここで、図8(a)は、上述した図5(a)に対応し、図8(b)は、上述した図5(b)に対応する。すなわち、図8(a)および図8(b)と図5(a)および図5(b)の比較から明らかなように、第3実施例のプリントヘッドユニットは、結合剤22A,22Bと共に、洗浄剤22Cも使用できるようになっている。
[0095]
 すなわち、図6を参照して説明したように、第1および第2結合剤22A,22Bを共通の吐出口24から吐出する場合、第1および第2結合剤22A,22Bの比率(混合比)を制御し、その混合比が制御されたが混合結合剤(吐出液)22Dを、粉末層20に対して塗布することができる。
[0096]
 このとき、例えば、所定の粉末層(20)に対して第1結合剤22Aを塗布した後、次の粉末層(1つ上の粉末層)に対して、第1結合剤22Aが混ざらない(殆ど混入しない)第2結合剤22Bを塗布したい場合、すなわち、積層される粉末層の間で、造形物の特性を急激に変化させる必要が有る場合には、図9に示されるように、所定の粉末層に対する第1結合剤22Aの塗布が終了した後、洗浄剤22Cによる吐出口24のクリーニング(洗浄)を行い、その後、次の粉末層に対する第2結合剤22Bの塗布を行う。
[0097]
 なお、洗浄剤22Cによる吐出口24のクリーニングは、例えば、図1を参照して説明したクリーニングユニット107が設けられるクリーニング領域において行うことができる。
[0098]
 或いは、同じ粉末層に対する結合剤の塗布において、所定の領域に対して第1結合剤22Aを塗布し、他の領域に対して第2結合剤22Bを塗布したい場合、すなわち、同一平面内の所定の領域と他の領域で造形物の特性を変化させる必要が有る場合には、その結合剤を入れ替える毎に洗浄剤22Cによるクリーニングが必要になるが、実現することが可能になる。
[0099]
 このように、第3実施例のプリントヘッドユニットによれば、例えば、造形物の特性を部分的に変化させたいという要求に従って、(1) 第1結合剤の塗布(22A塗布)→洗浄剤によるクリーニング(22Cクリーニング)→第2結合剤の塗布(22B塗布)→…、(2) 22A塗布→22B塗布→22A塗布→…→洗浄剤によるクリーニング、(3) 22A塗布→第1結合剤と第2結合剤の混合剤の塗布(22A+22B塗布)→22B塗布→22A+22B塗布→…→22Cクリーニング、(4) 22A塗布→22Cクリーニング→22A+22B塗布→22Cクリーニング→22B塗布→…→22Cクリーニング等の様々な制御を行うことが可能になる。
[0100]
 図10は、図9に示す処理の変形例を説明するための図であり、図10(a)は、図9に対してリザーバタンク240が追加されており、また、図10(b)は、図9に対してリザーバタンク240および混合タンク25が追加されている。ここで、図10(b)において、洗浄剤22Cは、混合タンク25に供給されるようになっている。
[0101]
 リザーバタンク240は、第1および結合剤22A,22B、或いは、洗浄剤22Cを一時的に貯留するタンクであり、また、混合タンク25は、第1および第2結合剤22A,22Bを均一に混ぜ合わせるためのタンクである。なお、混合タンク25には、例えば、混合比が制御された第1および第2結合剤22A,22Bを均一に混合するためのかくはん装置が設けられている。
[0102]
 すなわち、図10(a)に示されるように、例えば、第1および第2結合剤22A,22Bは、リザーバタンク240に一時的に貯えられ、このリザーバタンク240を介して混合された結合剤22A,22Bまたは洗浄剤22Cが吐出液22Dとして吐出口24から粉末層20に塗布される。なお、洗浄剤22Cは、リザーバタンク240および吐出口24等を洗浄することになる。
[0103]
 また、図10(b)に示されるように、リザーバタンク240と吐出口24の間に混合タンク25を挿入し、混合タンク25により、例えば、混合比が制御された第1および第2結合剤22A,22Bを均一に混合した後、粉末層20に対して、吐出口24から吐出液22Dを塗布してもよい。なお、洗浄剤22Cは、混合タンク25および吐出口24等を洗浄することになるが、洗浄剤22Cをリザーバタンク240に供給するように構成してもよい。
[0104]
 図11は、本発明に係るプリントヘッドユニットの第4実施例を説明するための図である。図11において、参照符号230は結合剤吐出部を示し、また、26A~26Cはカートリッジ(貯蔵部)を示す。なお、本実施例は、例えば、第1および第2結合剤22A,22Bが混ざり難く、第1および第2結合剤22A,22Bの一方を選択して粉末層20に塗布するのに適したものである。
[0105]
 結合剤吐出部230は、粉末層20に対して結合剤を塗布する機能を有する。第1カートリッジ(第1貯蔵部)26Aは、第1結合剤22Aを貯蔵しており、結合剤吐出部230に着脱可能として構成され、また、第2カートリッジ(第2貯蔵部)26Bは、第2結合剤22Bを貯蔵しており、結合剤吐出部230に着脱可能として構成されている。さらに、第3カートリッジ(第3貯蔵部)26Cは、洗浄剤22Cを貯蔵しており、結合剤吐出部230に着脱可能として構成されている。
[0106]
 図11に示されるように、第4実施例のプリントヘッドユニットは、例えば、結合剤吐出部230に第1カートリッジ26Aを装着することで、粉末層20に対して、第1カートリッジ26Aに貯蔵された第1結合剤22Aを塗布することができる。
[0107]
 さらに、粉末層20に対して第2結合剤22Bを塗布する場合、まず、結合剤吐出部230に第3カートリッジ26Cを装着し、第3カートリッジ26Cに貯蔵された洗浄剤22Cによる吐出口等のクリーニングを行う。
[0108]
 なお、結合剤吐出部230に第3カートリッジ26Cを装着して行う洗浄剤22Cによるクリーニングは、例えば、前述した図1におけるクリーニングユニット107が設けられるクリーニング領域において行うことができる。
[0109]
 そして、吐出口等のクリーニングが終了した後、結合剤吐出部230に第2カートリッジ26Bを装着し、第2カートリッジ26Bに貯蔵された第2結合剤22Bを粉末層20に塗布する。
[0110]
 ここで、結合剤吐出部230に対する第1~第3カートリッジ26A~26Cの着脱処理は、例えば、Y軸方向の端部に設けられたカートリッジ着脱領域で行うことができる。
[0111]
 上述したように、本発明に係る各実施例によれば、様々な結合剤を使用するプリントヘッドユニットおよびそのプリントヘッドユニットを使用した三次元積層造形装置により形成されて造形物の特性を部分的に変化させることが可能になる。
[0112]
 また、本発明は、例えば、粉末として砂を使用して造型された鋳型を始めとして、部分的に異なる特性が要求される様々な造形物を形成するためのプリントヘッドユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物に対して幅広く適用することができる。
[0113]
 例えば、粉末として金属粉末を使用し、結合剤を塗布して造形物を形成した後、その造形物を焼結して金属造形物を得るためのプリントヘッドユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および金属造形物に対しても適用することができる。
[0114]
 以上において、第1結合剤(第1液体)22Aおよび第2結合剤(第2液体)22B、すなわち、粉末層20に対して塗布する少なくとも異なる2種類の結合剤(液体)としては、様々なものが有り、これらの結合剤は、様々な粉末(粉末層)に対して塗布され、それぞれ特有の特性を有する造形物が形成される。
[0115]
 具体的に、粉末として砂を使用して鋳型を造型する場合、例えば、水ガラス系の結合剤とフラン系の結合剤では、一般的に、水ガラス系の結合剤の方がフラン系の結合剤よりも熱伝導率が高い。
[0116]
 そこで、例えば、前述した第1結合剤22Aとして水ガラス系の結合剤を適用し、第2結合剤22Bとしてフラン系の結合剤を適用することにより、図7(a)を参照して説明したような熱伝導率の制御を行うことができる。
[0117]
 また、例えば、前述した第1結合剤22Aとして結合剤+黒鉛微粒子(または、金属微粒子)を適用し、第2結合剤22Bとして結合剤のみを適用することでも、図7(a)を参照して説明した熱伝導率の制御が可能になる。
[0118]
 ここで、第1結合剤(第1液体)22Aとしては、結合剤+黒鉛微粒子ではなく、黒鉛微粒子を吐出口24から吐出するための液体、すなわち、結合剤としての機能を持たない黒鉛微粒子混合液とすることもできる。
[0119]
 さらに、熱伝導率ではなく、例えば、造形物の崩壊性を部分的に変化させるのが好ましい場合も考えられる。具体的に、例えば、造形物が鋳型の場合、鋳造された製品の奥まった個所で、型バラシの際に残ってしまいがちな部分では、鋳型の強度を低下させる(崩壊性を大きくする)のが好ましい。
[0120]
 或いは、造形物の外面(表面)や微細な形状の部分では、強度を持たせ、その他の部分では、容易に型バラシできるように、強度を低下させるのが好ましい。このように、造形物の崩壊性(強度)を部分的に変化させるには、例えば、含有される有機成分が異なる複数の結合剤を適用すればよい。
[0121]
 また、粉末層20は、例えば、リコーターユニット103により造形テーブル141上にコーティングされるが、このリコーターユニット103が使用する粉末の種類や粒径、または、コーティングされる粉末層の厚さ、或いは、粉末に添加する添加材の種類、若しくは、インクジェットヘッドが結合剤を吐出する吐出量といった様々な組み合わせを考慮して、上述した少なくとも異なる2種類の結合剤が選択される。
[0122]
 具体的に、リコーターユニットが使用する粉末としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ナイロン(ポリアミド)樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル(PMMA:ポリメタクリル酸メチル)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、ガラスフィラーの入った有機樹脂、カーボンファイバーの入った有機樹脂、微粒状ワックス、鋳物砂、珪酸アルミニウム、石膏、澱粉、石英、Ti 6Al 4V、AlSi 12、AlSi 10Mg、コバルトクロム合金、ニッケル合金、ステンレス合金、鉄、鋼等が挙げられる。
[0123]
 また、粉末の粒径は、リコーターユニットによりコーティングされる粉末層の厚(例えば、0.01~0.5mm程度)より小さければ制限はないが、例えば、1μm~300μm程度である。
[0124]
 さらに、本発明に適用される結合剤(バインダー)としては、上述した結合剤の例に限定されるものではなく、粉体材料の種類に応じて自由に変えることが可能であるが、例えば、粉体材料が石膏や澱粉の場合には水を主にした液体を用いることができ、また、通常のインクジェットプリンタで使われる種々の結合剤を使うこともできる。この時、染料や顔料を使用して結合剤を染色することもできる。
[0125]
 また、結合剤としては、例えば、有機エステル、フルフリルアルコール、ポリイソシアネート、或いは、ポリイソシアネートと3級アミン類とを混ぜたもの等が挙げられる。また、フルフリルアルコールとホルムアルデヒドとを混ぜたもの、場合によってはこれらのフルフリルアルコールとホルムアルデヒドとに尿素を混ぜたものを用いることもできる。なお、結合剤の吐出量は、その結合剤の種類や、1回の吐出でどの程度の大きさの粉末を固めるかによって異なるが、例えば、1pl~200plとすることができる。
[0126]
 そして、添加剤としては、結合剤の種類によって様々なものが選択されるが、例えば、添加剤が有機エステルであれば、珪酸ソーダやアルカリフェノールを用いることでき、また、バインダ液がフルフリルアルコールであれば、リン酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の酸を触媒としたものを用いることができ、場合によっては、これらの酸に加えてフェノール樹脂を添加することもできる。
[0127]
 さらに、結合剤がフルフリルアルコールとホルムアルデヒドを混ぜたものであれば、尿素や酸を触媒とした添加剤を使用することもでき、結合剤がポリイソシアネートであれば、アルキド樹脂と金属石鹸とを混ぜたものやアミンポリオール樹脂と金属石鹸を混ぜた添加剤を使用することもできる。また、結合剤が、ポリイソシアネートと3級アミン類とを混ぜたものであれば、添加剤として、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂を用いることができる。
[0128]
 以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではない。また、明細書のそのような記載は、発明の利点および欠点を示すものでもない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。

符号の説明

[0129]
 10  造形物(鋳型)
 11,11A,11B,12,12A,12B、13,13A,13B  レール
 20  粉末層(造形領域)
 20A,20A’,20B  退避領域
 21  インクジェットヘッド
 21A  インクジェットヘッド(第1インクジェットヘッド部)
 21B  インクジェットヘッド(第2インクジェットヘッド部)
 22A  結合剤(第1結合剤:第1液体)
 22B  結合剤(第2結合剤:第2液体)
 22C  洗浄剤
 22D  吐出液
 23  インクジェットヘッド(ラインヘッド)
 23A  ラインヘッド(第1インクジェットヘッド部)
 23B  ラインヘッド(第2インクジェットヘッド部)
 24  吐出口
 25  混合タンク
 26A  第1カートリッジ(第1貯蔵部)
 26B  第2カートリッジ(第2貯蔵部)
 26C  第3カートリッジ(第3貯蔵部)
 100  三次元積層造形装置
 101  制御用コンピュータ
 102  プリントヘッドユニット
 103  リコーターユニット
 104  造形タンク
 105  昇降装置
 106  粉末供給ホッパーユニット
 107  クリーニングユニット
 108  薬品ユニット
 121  インクジェットヘッド
 131  リコータ内ホッパー
 132  ブレード
 141  造形テーブル
 230  結合剤吐出部
 240  リザーバタンク

請求の範囲

[請求項1]
 粉末層に対して、少なくとも異なる2種類の液体を塗布して造形物を形成するインクジェットヘッド、を有する、
 ことを特徴とするプリントヘッドユニット。
[請求項2]
 前記インクジェットヘッドは、前記少なくとも異なる2種類の液体の塗布を制御して、前記造形物の特性を部分的に変化させる、
 ことを特徴とする請求項1に記載のプリントヘッドユニット。
[請求項3]
 前記インクジェットヘッドは、
  前記粉末層に対して、第1液体を塗布する第1インクジェットヘッド部と、
  前記粉末層に対して、前記第1液体とは異なる第2液体を塗布する第2インクジェットヘッド部と、を含む、
 ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプリントヘッドユニット。
[請求項4]
 前記第1インクジェットヘッド部および前記第2インクジェットヘッド部は、独立に、または、一体的に移動制御される、
 ことを特徴とする請求項3に記載のプリントヘッドユニット。
[請求項5]
 前記インクジェットヘッドは、
  前記粉末層に対して、第1液体、および、前記第1液体とは異なる第2液体の混合比を制御して塗布する、
 ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプリントヘッドユニット。
[請求項6]
 前記インクジェットヘッドは、
  前記第1液体または前記第2液体を洗浄剤でクリーニングするようになっている、
 ことを特徴とする請求項5に記載のプリントヘッドユニット。
[請求項7]
 前記インクジェットヘッドは、
  前記粉末層に対して、第1液体、および、前記第1液体とは異なる第2液体のいずれかを選択して塗布する、
 ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプリントヘッドユニット。
[請求項8]
 前記インクジェットヘッドは、
  前記粉末層に対して、液体を吐出する機能を有する液体吐出部を含み、
 前記プリントヘッドユニットは、さらに、
  前記液体吐出部に着脱可能とされ、前記粉末層に対して、前記液体吐出部を介して塗布する前記第1液体が貯蔵された第1貯蔵部と、
  前記液体吐出部に着脱可能とされ、前記粉末層に対して、前記液体吐出部を介して塗布する前記第2液体が貯蔵された第2貯蔵部と、を有する、
 ことを特徴とする請求項7に記載のプリントヘッドユニット。
[請求項9]
 さらに、
 前記液体吐出部に着脱可能とされ、前記液体吐出部をクリーニングする洗浄剤が貯蔵された第3貯蔵部を有する、
 ことを特徴とする請求項8に記載のプリントヘッドユニット。
[請求項10]
 前記第1液体は、前記粉末層における粉末を、造形データに基づいて所定形状に結合する第1結合剤である、
 ことを特徴とする請求項3乃至請求項9のいずれか1項に記載のプリントヘッドユニット。
[請求項11]
 前記第2液体は、前記第1結合剤とは異なる第2結合剤である、
 ことを特徴とする請求項10に記載のプリントヘッドユニット。
[請求項12]
 前記インクジェットヘッドは、ラインヘッドである、
 ことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のプリントヘッドユニット。
[請求項13]
 造形テーブルと、
 前記造形テーブル上に一層分の粉末をコーティングして粉末層を形成するリコーターユニットと、
 請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のプリントヘッドユニットと、を有する、
 ことを特徴とする三次元積層造形装置。
[請求項14]
 造形テーブル上に粉末をコーティングして粉末層を形成する粉末コーティング工程と、
 前記粉末層に対して液体を塗布する液体塗布工程と、を有し、
 前記粉末コーティング工程および前記液体塗布工程を交互に繰り返して造形物を形成する三次元積層造形方法であって、
 前記液体塗布工程は、
  少なくとも異なる2種類の液体を使用する、
 ことを特徴とする三次元積層造形方法。
[請求項15]
 前記液体塗布工程は、
  前記粉末層に対して、第1結合剤を塗布する第1結合剤塗布工程と、
  前記粉末層に対して、前記第1結合剤とは異なる第2結合剤を塗布する第2結合剤塗布工程と、を有する、
 ことを特徴とする請求項14に記載の三次元積層造形方法。
[請求項16]
 前記液体塗布工程は、さらに、
  前記第1結合剤塗布工程と前記第2結合剤塗布工程の間で、洗浄剤を使用してクリーニングを行うクリーニング工程を有する、
 ことを特徴とする請求項15に記載の三次元積層造形方法。
[請求項17]
 前記液体塗布工程は、
  前記粉末層に対して、第1結合剤と、前記第1結合剤とは異なる第2結合剤の比率を制御して塗布を行う、
 ことを特徴とする請求項14に記載の三次元積層造形方法。
[請求項18]
 前記液体塗布工程は、
  前記造形物に求められる部分的な特性に従って、前記第1結合剤および前記第2結合剤の比率を制御して塗布を行う、
 ことを特徴とする請求項14乃至請求項17のいずれか1項に記載の三次元積層造形方法。
[請求項19]
 造形テーブル上に粉末をコーティングして粉末層を順次形成し、造形データに基づいてそれぞれの前記粉末層に液体を塗布して、造形物を形成する三次元積層造形方法であって、
 前記粉末層に対して液体を塗布する工程は、
  第1液体および第2液体を準備する準備ステップと、
  前記第1液体および前記第2液体を第1混合比として前記粉末層に塗布する第1塗布ステップと、
  前記第1液体および前記第2液体を、前記第1混合比とは異なる第2混合比として前記粉末層に塗布する第2塗布ステップと、を有する、
 ことを特徴とする三次元積層造形方法。
[請求項20]
 前記第1塗布ステップおよび前記第2塗布ステップは、異なる粉末層で行われる、
 ことを特徴とする請求項19に記載の三次元積層造形方法。
[請求項21]
 前記第1塗布ステップおよび前記第2塗布ステップは、同一の粉末層で行われる、
 ことを特徴とする請求項19に記載の三次元積層造形方法。
[請求項22]
 請求項14乃至請求項21のいずれか1項に記載の三次元積層造形方法により形成される造形物であって、
  特性が部分的に変化している、傾斜構造を有する、
 ことを特徴とする造形物。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]