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1. (WO2015141779) リコーターユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物
Document

明 細 書

発明の名称 リコーターユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009  

先行技術文献

特許文献

0010  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0011   0012   0013  

課題を解決するための手段

0014   0015   0016   0017   0018   0019  

発明の効果

0020  

図面の簡単な説明

0021  

発明を実施するための形態

0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119  

符号の説明

0120  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : リコーターユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物

技術分野

[0001]
 本明細書で言及する実施例は、リコーターユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物に関する。

背景技術

[0002]
 近年、光造形法や粉末造形法、或いは、FDM法(Fused Deposition Modeling:熱溶解積層法)などを適用した三次元積層造形装置(いわゆる、3Dプリンタ)が注目されている。
[0003]
 具体的に、光造形法を適用した三次元積層造形装置は、例えば、造形浴に入れた液状の光硬化性樹脂の液面に所望のパターンが得られるようにコンピュータ制御された光(例えば、紫外線レーザー)を選択的に照射して、光硬化性樹脂を硬化させる。さらに、その光硬化した層の上に一層分の光硬化性樹脂を供給して、再び光を照射して光硬化性樹脂を硬化させ、同様の処理を繰り返して目的とする造形物(モデル)を形成する。
[0004]
 また、FDM法を適用した三次元積層造形装置は、例えば、糸状の熱可塑性樹脂を造形ヘッド内のヒータで溶融し、その溶融された熱可塑性樹脂を射出制御すると共に、造形テーブルの昇降により積層造形するものである。
[0005]
 さらに、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置、例えば、粉末焼結や粉末溶融、或いは、粉末インクジェット(Powder Bed and Inkjet Head 3D Printing)による三次元積層造形装置は、例えば、リコーターユニットにより造形テーブル上に一層分の粉末をコーティングし、その後、プリントヘッドユニット(インクジェットヘッドユニット)によりコーティングされた粉末面に対するバインダー(結合剤)の塗布を行い、造形物の一層分を形成する。
[0006]
 そして、造形テーブルを粉末の一層分だけ降下させ、再び、リコーターユニットによる粉末のコーティングを行った後、プリントヘッドユニットによる結合剤の塗布を行って造形物の次の一層分を形成する。そして、同様の処理を繰り返すことにより所望とする造形物を形成する。
[0007]
 なお、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置において、使用する粉末としては、例えば、砂,金属粉末,石膏,澱粉,人工骨,プラスチック粉末など様々なものが含まれる。また、造形物としても様々なものがあり得るが、例えば、粉末として砂を使用し、造形物として鋳型を造型することもできる。さらに、粉末として、熱可塑性樹脂(プラスチック粉末)を適用してもよく、或いは、砂の粒子に熱可塑性樹脂をコーティングしたものを適用してもよい。
[0008]
 また、粉末として金属粉末を使用し、例えば、金属粉末層に対してレーザーを照射して焼結して金属よりなる造形物を形成することもできる。さらに、粉末として金属粉末を使用し、結合剤を塗布して造形物を形成した後、その造形物を焼結して金属造形物を得るようにすることも可能である。
[0009]
 ところで、従来、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置のリコーターユニットとしては様々なものが提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0010]
特許文献1 : 米国特許出願公開第2010/0272519号明細書

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0011]
 従来、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置のリコーターユニットとしては様々なものが提案されているが、通常、リコーターユニットによりコーティングされる粉末は同一種類のものであり、また、プリントヘッドユニットにより塗布される結合剤も1種類のみである。
[0012]
 そのため、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置により形成された造形物は、全て均一な材質(粉末)で同じ特性を有することになる。しかしながら、三次元積層造形装置により形成される造形物として、部分的に異なる特性を持たせた方が好ましいものがある。
[0013]
 本実施形態は、造形物の特性を部分的に変化させることのできるリコーターユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0014]
 本発明に係る第1実施形態によれば、第1粉末と、前記第1粉末とは異なる第2粉末をコーティングするリコーターユニットであって、前記第1粉末および前記第2粉末の混合比を制御してコーティングを行う、リコーターユニットが提供される。
[0015]
 また、本発明に係る第2実施形態によれば、造形テーブルと、前記造形テーブル上に一層分の粉末をコーティングして粉末層を形成するリコーターユニットと、前記コーティングされた粉末層に対して造形処理を行う造形処理ユニットと、を有し、前記リコーターユニットは、第1粉末と、前記第1粉末とは異なる第2粉末の混合比を制御してコーティングを行う、三次元積層造形装置が提供される。
[0016]
 さらに、本発明に係る第3実施形態によれば、造形テーブル上に粉末をコーティングする粉末コーティング工程と、前記コーティングされた粉末層に対して造形処理を行う造形処理工程と、を有し、前記粉末コーティング工程および前記造形処理工程を交互に繰り返して造形物を形成する三次元積層造形方法であって、前記粉末コーティング工程は、第1粉末と、前記第1粉末とは異なる第2粉末を、前記第1粉末および前記第2粉末の混合比を制御してコーティングを行う、三次元積層造形方法が提供される。
[0017]
 また、本発明に係る第3実施形態によれば、造形テーブル上に粉末をコーティングして粉末層を順次形成し、造形データに基づいてそれぞれの前記粉末層に対して造形処理を行って、造形物を形成する三次元積層造形方法であって、前記粉末層を順次形成する工程は、第1粉末および第2粉末を準備する準備ステップと、前記第1粉末および前記第2粉末を第1混合比として前記造形テーブル上にコーティングする第1コーティングステップと、前記第1粉末および前記第2粉末を、前記第1混合比とは異なる第2混合比として前記造形テーブル上にコーティングする第2コーティングステップと、を有する、三次元積層造形方法も提供される。
[0018]
 さらに、本発明に係る第4実施形態によれば、造形テーブル上に粉末をコーティングする粉末コーティング工程と、前記コーティングされた粉末層に対して造形処理を行う造形処理工程と、を有し、前記粉末コーティング工程および前記造形処理工程を交互に繰り返して造形物を形成する三次元積層造形方法であって、前記粉末コーティング工程は、第1粉末と、前記第1粉末とは異なる第2粉末を、前記第1粉末および前記第2粉末の混合比を制御してコーティングを行う、三次元積層造形方法により形成される造形物であって、特性が部分的に変化している、造形物が提供される。
[0019]
 そして、本発明に係る第4実施形態によれば、造形テーブル上に粉末をコーティングして粉末層を順次形成し、造形データに基づいてそれぞれの前記粉末層に対して造形処理を行って、造形物を形成する三次元積層造形方法であって、前記粉末層を順次形成する工程は、第1粉末および第2粉末を準備する準備ステップと、前記第1粉末および前記第2粉末を第1混合比として前記造形テーブル上にコーティングする第1コーティングステップと、前記第1粉末および前記第2粉末を、前記第1混合比とは異なる第2混合比として前記造形テーブル上にコーティングする第2コーティングステップと、を有する、三次元積層造形方法により形成される造形物であって、特性が部分的に変化している、造形物も提供される。

発明の効果

[0020]
 開示のリコーターユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物は、造形物の特性を部分的に変化させることができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0021]
[図1] 図1は、三次元積層造形装置の一例を概略的に示す斜視図である。
[図2] 図2は、リコーターユニットの例を説明するための図である。
[図3] 図3は、本発明に係るリコーターユニットの第1実施例を説明するための図である。
[図4] 図4は、本発明に係るリコーターユニットの第2実施例を説明するための図である。
[図5] 図5は、本発明に係るリコーターユニットの第3実施例を説明するための図である。
[図6] 図6は、図5に示すリコーターユニットを適用して得られる粉末層を説明するための図である。
[図7] 図7は、図6(b)に示す粉末層により形成された造形物の一例を示す図である。
[図8] 図8は、図6(a)に示す粉末層により形成された造形物の一例、並びに、その造形物を使用して製作された製品を説明するための図である。
[図9] 図9は、本発明に係るリコーターユニットの第4実施例を説明するための図(その1)である。
[図10] 図10は、本発明に係るリコーターユニットの第4実施例を説明するための図(その2)である。
[図11] 図11は、本発明に係るリコーターユニットの第4実施例を説明するための図(その3)である。
[図12] 図12は、本発明に係るリコーターユニットの第4実施例を説明するための図(その4)である。
[図13] 図13は、図9および図10に示すリコーターユニットの動作を説明するための図である。

発明を実施するための形態

[0022]
 まず、本発明に係るリコーターユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物の実施例を詳述する前に、図1および図2を参照して、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置の一例、および、リコーターユニットの例、並びに、その問題点を説明する。
[0023]
 図1は、三次元積層造形装置の一例を概略的に示す斜視図であり、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置100の一例を示すものである。
[0024]
 図1に示されるように、三次元積層造形装置100は、制御用コンピュータ101、プリントヘッドユニット102、リコーターユニット103、造形タンク104、昇降装置105、粉末供給ホッパーユニット106、クリーニングユニット107、および、薬品ユニット108を含む。ここで、造形タンク104には、昇降装置105によりZ軸方向(高さ方向)の制御が行われる造形テーブル141が設けられている。
[0025]
 制御用コンピュータ101は、三次元データ(造形データ:例えば、STLデータ:Standard Triangulated Language Data)を入力とし、スライス処理やオフセット処理、および、ビットマップ変換処理などを行って、三次元積層造形装置100の制御を行う。
[0026]
 プリントヘッドユニット102は、例えば、ビットマップ化された造形データに基づいて結合剤(バインダー)を造形テーブル141上の粉末面に塗布(吐出)して一層分の造形を行う造形処理ユニットとして機能する。なお、プリントヘッドユニット102には、例えば、複数の吐出ノズルが設けられた複数のインクジェットヘッドが搭載されている。
[0027]
 ここで、プリントヘッドユニット102は、例えば、造形テーブル141上の粉末面に対して、インクジェットヘッド121をX軸方向(装置正面から見て左右方向)に移動させながら結合剤の塗布を行う。
[0028]
 さらに、1行のX軸の塗布作業が終わったら、インクジェットヘッド121をY軸方向(装置正面から見て前後方向)に移動させ、再びインクジェットヘッド121をX軸方向に移動させて結合剤の塗布を行う。このような処理を繰り返すことで、一層分の造形処理を行う。
[0029]
 なお、インクジェットヘッド121は、例えば、造形テーブル141のX軸方向全体の長さを有するラインヘッドとして構成してもよい。この場合、インクジェットヘッド121をY軸方向に移動させるだけで、造形テーブル141上の粉末全面に対する結合剤の塗布、すなわち、一層分の造形処理を行うことが可能になる。
[0030]
 そして、造形テーブル141上の粉末全面に対する一層分の造形処理が終了したら、例えば、昇降装置105により造形テーブル141をZ軸方向(高さ方向)に降下させ、さらに、リコーターユニット103をY軸方向に移動させながら、一層分の粉末をコーティングする。
[0031]
 図2は、リコーターユニットの例を説明するための図であり、図1に示す三次元積層造形装置100におけるリコーターユニット103の例を模式的に示すものである。なお、図2において、プリントヘッドユニット102および昇降装置105等は、省略されている。
[0032]
 図1および図2に示されるように、リコーターユニット103は、例えば、リコーター内ホッパー131およびブレード132を含む。リコーター内ホッパー131は、粉末供給ホッパーユニット106から供給された粉末130を貯蔵する。
[0033]
 ブレード132は、リコーターユニット103がY軸方向に移動しているときに動作し、リコーターユニット103が移動中に造形テーブル141上に、或いは、造形テーブル141に積層された粉末層140上に、粉末130を密に、かつ、水平(X-Y軸平面)となるようにコーティングする。
[0034]
 なお、ブレード132は、能動的または受動的な振動によって、或いは、回転を伴って、粉末130を所定の厚さで円滑にコーティング(堆積)するように構成してもよく、若しくは、ブレード132を動作させることなく、一定量の粉末130を堆積するように構成してもよい。
[0035]
 ここで、昇降装置105により造形テーブル141を降下させる量(高さ)と、リコーターユニット103によりコーティングする粉末130の厚さ(粉末層140の最上部における粉末130の積層ピッチ)は、一致するように制御される。
[0036]
 以上の処理を繰り返し行うことで、造形タンク104内において、最終的な造形物が完成する。すなわち、造形タンク104内には、例えば、目的とする造形物,サポート,および,結合剤が塗布されずに残った粉末が含まれる。
[0037]
 造形タンク104は、例えば、造形タンク移送ユニットにより三次元積層造形装置100の外部へ移動され、自動または手作業によって不要なサポートおよび粉末が取り除かれて、目的とする造形物が取り出されることになる。
[0038]
 クリーニングユニット107は、インクジェットヘッド121の余分な結合剤や粉末などを取り除くためのものである。また、薬品ユニット108は、造形処理に使用する薬品(結合剤や洗浄剤)を貯蔵するものであり、結合剤はインクジェットヘッド121に供給され、洗浄剤はクリーニングユニット107に供給される。なお、洗浄剤は、例えば、インクジェットヘッドの内部や吐出口を洗浄するために使用され、或いは、未使用時にインクジェットヘッドが乾いて劣化しないように充填される。
[0039]
 なお、三次元積層造形装置100には、図示しない、クリーニングユニット107による廃液を回収する廃液タンク、結合剤や洗浄剤の吐出に使用するエアー圧コントロールユニットなども設けられている。
[0040]
 ここで、図1は、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置の単なる例を示すものであり、本実施例の適用は、図1に示すものに限定されず、例えば、粉末造形法を適用した様々な三次元積層造形装置に対して適用される。
[0041]
 図1および図2を参照して説明したように、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置のリコーターユニット103は、1種類の粉末130をコーティングするようになっている。また、プリントヘッドユニット102により塗布される結合剤も1種類のみである。
[0042]
 そのため、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置により形成された造形物は、全て均一な材質(粉末および結合剤)で同じ特性を有することになる。しかしながら、三次元積層造形装置により形成される造形物として、部分的に異なる特性を持たせた方が好ましいものがある。
[0043]
 以下、本発明に係るリコーターユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物の実施例を、添付図面を参照して詳述する。以下の説明では、主として異なる2種類の粉末をコーティングする場合を説明するが、3種類以上の粉末に対しても同様に適用することが可能である。
[0044]
 また、本実施例の適用は、図1を参照して説明した粉末インクジェットによる粉末造形法に限定されるものではなく、例えば、リコーターユニットによりコーティングされた金属粉末層に対して、レーザーや電子ビーム或いは赤外線等を照射して固化(焼結)する粉末造形法にも適用することができるのはいうまでもない。
[0045]
 ここで、例えば、金属粉末層に対してレーザーを照射して固化するレーザー照射ユニットは、三次元データを二次元の層の集まりに変換したデータに基づいて一層分の造形を行う造形処理ユニットとして機能する。
[0046]
 すなわち、レーザー照射ユニットは、例えば、図1におけるプリントヘッドユニット102に対応する。ここで、レーザー照射には、通常、ベクトルデータを用いるが、二次元平面を表すデータであれば、どのような書式であっても適用することが可能である。
[0047]
 このように、本実施例は、プリントヘッドユニットやレーザー照射ユニットを含む様々な造形処理ユニットを有する、粉末造形法による三次元積層造形装置に対して幅広く適用することができる。
[0048]
 さらに、造形物(モデル)としても様々なものがあり得るが、例えば、粉末として砂を使用し、造形物として鋳型を造型し、或いは、コーティングされた金属粉末層にレーザー等を照射して固化し、造形物を形成してもよい。
[0049]
 さらに、粉末として金属粉末を使用し、結合剤を塗布して造形物を形成した後、その造形物を焼結して金属造形物を得ることも可能である。すなわち、本実施例に係る造形物は、粉末として砂を使用して造型される鋳型に限定されるものではなく、部分的に異なる特性が要求される様々な造形物である。
[0050]
 このように、本実施形態は、例えば、造形物として鋳型を形成(造型)する場合に限定されるものではなく、粉末造形法を適用した三次元積層造形装置およびそのリコーターユニット、並びに、三次元積層造形方法および造形物に対して幅広く適用することができる。
[0051]
 図3は、本発明に係るリコーターユニットの第1実施例を説明するための図である。図3と前述した図2の比較から明らかなように、第1実施例のリコーターユニット3(図1におけるリコーターユニット103に対応)は、2つのリコーター内ホッパー31aおよび31b、並びに、ブレード32を含む。
[0052]
 ここで、第1リコーター内ホッパー31aは第1粉末30aを貯蔵し、第2リコーター内ホッパー31bは第2粉末30bを貯蔵する。なお、第1粉末30aは、例えば、第2粉末30bと異なる種類の粉末、第2粉末30bと同じ種類でも粒径が異なる粉末、或いは、第2粉末30bと種類および粒径が同じでも含水量が異なる粉末とされている。
[0053]
 すなわち、第1粉末30aは、第2粉末30bとは異なる種類、第2粉末30bとは異なる粒径、或いは、第2粉末30bとは異なる性質を有する粉末とされている。
[0054]
 図3に示す例では、例えば、前半の粉末造形処理において、第2リコーター内ホッパー31bの吐出口を閉じると共に、第1リコーター内ホッパー31aの吐出口を開いて第1粉末30aによるコーティングを行い、後半の粉末造形処理において、第1リコーター内ホッパー31aの吐出口を閉じると共に、第2リコーター内ホッパー31bの吐出口を開いて第2粉末30bによるコーティングを行う。
[0055]
 これにより、造形タンク4(図1における造形タンク104に対応)内において、前半に積層される下方部分は、第1粉末30aによる第1粉末層40aとなり、後半に積層される上方部分は、第2粉末30bによる第2粉末層40bとなる。ここで、造形テーブル41は、図1における造形テーブル141に対応する。
[0056]
 なお、図3において、プリントヘッドユニット(102)および昇降装置(105)等は、省略されている。また、図3において、第1粉末層40aおよび第2粉末層40bは、プリントヘッドユニットからの結合剤の塗布により、所定形状に造形されているのはいうまでもない。
[0057]
 また、図3において、ブレード32は、第1および第2リコーター内ホッパー31a,31bで共用されるようになっているが、それぞれ専用のものを設けることもできる。すなわち、ブレード32を第2リコーター内ホッパー31b専用とし、第1および第2リコーター内ホッパー31a,31bの間に別のブレードを設けて第1リコーター内ホッパー31a専用のものとしてもよい。なお、他の構成は、例えば、図1に示すものと同様であるため、その説明は省略する。
[0058]
 図4は、本発明に係るリコーターユニットの第2実施例を説明するための図である。図4に示されるように、第2実施例のリコーターユニット3は、1つのリコーター内ホッパー31により異なる第1粉末30aおよび第2粉末30bを入れ替えてコーティングするようになっている。
[0059]
 例えば、第1粉末30a用および第2粉末30b用として、第1および第2粉末供給ホッパーユニット6a,6b(図1における粉末供給ホッパーユニット106に対応)を設け、それら2つの粉末供給ホッパーユニット6a,6bからの粉末30a,30bを切り替えてリコーター内ホッパー31に供給する。
[0060]
 ここで、造形タンク4の上部には、例えば、第1粉末30aから第2粉末30bに切り替えるときに、リコーター内ホッパー31に残っている不要な第1粉末30aを廃棄するための粉末廃棄部42が設けられている。なお、粉末廃棄部42に送られた砂は、そのまま廃棄してもよいが、回収して再利用することも可能である。
[0061]
 このように、第2実施例のリコーターユニットによれば、1つのリコーター内ホッパー31により異なる第1粉末30aおよび第2粉末30bのコーティングを行うことができる。
[0062]
 ここで、コーティングする粉末を切り替えるには所定の時間が必要になるため、第2実施例のリコーターユニットは、造形処理における粉末の切り替え回数が少ない場合(例えば、一度だけ第1粉末30aから第2粉末30bに切り替えて造形処理を行う場合)が好ましい。
[0063]
 図5は、本発明に係るリコーターユニットの第3実施例を説明するための図である。図5に示されるように、第3実施例のリコーターユニット3は、1つのリコーター内ホッパー31により異なる第1粉末30aおよび第2粉末30bを、両者の混合比を制御してコーティングするようになっている。
[0064]
 すなわち、第3実施例のリコーターユニットは、例えば、第1粉末供給ホッパーユニット6aからの第1粉末30aの量と、第2粉末供給ホッパーユニット6bからの第2粉末30bの量を制御してリコーター内ホッパー31に供給する。
[0065]
 ここで、リコーター内ホッパー31には混合機構33が設けられ、供給された第1粉末30aおよび第2粉末30bを混合機構33により混ぜ合わせ、その混ぜ合わされた粉末を造形テーブル41上にコーティングするようになっている。
[0066]
 なお、リコーター内ホッパー31に供給する第1粉末30aおよび第2粉末30bの量の制御、並びに、混合機構33の構造は、知られている様々な構成を適用して実現することができる。
[0067]
 図6は、図5に示すリコーターユニットを適用して得られる粉末層を説明するための図であり、図6(a)は、第1粉末30aから第2粉末30bへ混合比を連続的に変化させた場合の粉末層40を示し、図6(b)は、造形処理の中央で第1粉末30aから第2粉末30bへ切り替えた場合の粉末層40を示す。
[0068]
 すなわち、図6(a)に示す粉末層40は、例えば、下層ほど第1粉末30aの割合が高く、逆に、上層ほど第2粉末30bの割合が高くなっている。従って、粉末層40の最上部が第1粉末30aによる第1粉末層40aとなり、最下部が第2粉末30bによる第2粉末層40bとなる。なお、粉末層40の中央部付近では、ほぼ等しい第1粉末30aと第2粉末30bが混じり合っている。
[0069]
 また、図6(b)に示す粉末層40は、例えば、下半分の層が第1粉末30aによる第1粉末層40aとなり、上半分の層が第2粉末30bによる第2粉末層40bとなっている。
[0070]
 なお、第1および第2粉末30a,30bの混合比は、造形処理の時間に従って(Z軸方向で)線形的に制御する必要はなく、また、第1および第2粉末30a,30bの切り替えも1回に限定されるものではない。すなわち、所望の個所の粉末を最適な混合比の粉末に設定して造形処理を行うことが可能である。
[0071]
 図7は、図6(b)に示す粉末層により形成された造形物の一例を示す図である。図7に示されるように、例えば、図6(b)に示す粉末層に対して、プリントヘッドユニット(102)により順次結合剤を塗布して所定形状の造形物10を得ることができる。
[0072]
 図7の例では、造形物10の下半分が第1粉末30a(第1粉末層40a)に結合剤を塗布して形成され、造形物10の上半分が第2粉末30b(第2粉末層40b)に結合剤を塗布して形成されている。
[0073]
 図8は、図6(a)に示す粉末層により形成された造形物の一例、並びに、その造形物を使用して製作された製品を説明するための図である。ここで、図8(a)は、造形タンク4内の粉末層(図6(a)に示す粉末層)に造形された鋳型(造形物:砂型)10を示し、図8(b)は、図8(a)の鋳型10に対して溶融金属を注湯して凝固させて製造した製品(タービン)を示す。
[0074]
 図8(a)に示されるように、例えば、造形タンク4内には、リコーターユニット3によりコーティングされた粉末層(第1粉末30aおよび第2粉末30bの混合比が連続的に変化する粉末層40a~40b:砂)40に対して、プリントヘッドユニット(102)により結合剤を塗布して造型した鋳型10と共に、結合剤が塗布されずに残った粉末層(粉末:砂)40が含まれる。
[0075]
 ここで、粉末層40は、例えば、鋳型の下部の熱伝導率が高く、上部の熱伝導率が低くなるように、第1粉末30aおよび第2粉末30bの混合比を連続的に変化させて形成されている。
[0076]
 すなわち、例えば、第1粉末30aの割合が高いと結合剤の塗布により熱伝導率が高い造形物(鋳型)10となり、第2粉末30bの割合が高いと結合剤の塗布により熱伝導率が低い造形物となる場合には、高さ方向(Z軸方向)の下部ほど第1粉末30aの混合比を大きくし、上部ほど第2粉末30bの混合比を大きくする。
[0077]
 図9~図12は、本発明に係るリコーターユニットの第4実施例を説明するための図である。ここで、図9は、第4実施例のリコーターユニット3の斜視図を示し、図10は断面図、図11は底面図、図12(a)は要部拡大側断面図をそれぞれ示す。
[0078]
 また、図12(b)および図12(c)は、図12(a)における1つの粉末吐出部300の動作を説明するための図であり、図12(b)は、粉末吐出部300が閉じて粉末を吐出しない状態を示し、図12(c)は、粉末吐出部300が開いて粉末を吐出する状態を示す。
[0079]
 図9に示されるように、第4実施例のリコーターユニット3は、一体的に設けられた、第1粉末30aをコーティングするための第1リコーター内ホッパー31a、および、第2粉末30bをコーティングするための第2リコーター内ホッパー31bを有する。
[0080]
 なお、図9中の符号34は、リコーターユニット3における進行方向(Y軸方向)の両端側の下端部にそれぞれ設けられた、吐出された粉末の上面を平坦にならすブレードである。
[0081]
 ここで、第1リコーター内ホッパー31aおよび第2リコーター内ホッパー31bは同様の構成とされ、上部に設けられた開口部311aおよび311bから第1粉末30aおよび第2粉末30bを受け取って、下部に設けられた複数の粉末吐出部300から吐出して粉末のコーティングを行うようになっている。
[0082]
 図11に示されるように、各粉末吐出部300は、角筒状に形成されたもので、第1リコーター内ホッパー31aおよび第2リコーター内ホッパー31bのそれぞれに、複数の粉末吐出部300がリコーターユニット3の進行方向と直交する水平方向(即ちリコーターユニットの幅方向)にわたって一列ずつに形成されている。
[0083]
 そして、第1リコーター内ホッパー31a側に設けられた各粉末吐出部300は、その第1リコーター内ホッパー31aに供給された第1粉末30aをそれぞれ吐出することができるようになっている。一方、第2リコーター内ホッパー31b側に設けられた各粉末吐出部300は、その第2リコーター内ホッパー31bに供給された第2粉末30bをそれぞれ吐出することが可能となっている。
[0084]
 さらに、各粉末吐出部300は、上下端側が略矩形状に開口している。上方側の開口部300aは、常時開放されて、その粉末吐出部300の内部空間300bに第1粉末30a或いは第2粉末30bを流入させることが可能となっている。一方、下方側の開口部300cについては、後述する開閉部材によって開閉自在となっていて、解放時においては、第1粉末30a或いはは第2粉末30bを下方に落下させることができるようになっている。
[0085]
 この第4実施例においては、図10に示されるように、第1リコーター内ホッパー31aおよび第2リコーター内ホッパー31bの内部における下部側に、これらの第1リコーター内ホッパー31aおよび第2リコーター内ホッパー31bの内部空間を仕切る複数の仕切り板35が略等間隔に配設されていて、これらの仕切り板35によって個々の粉末吐出部300がそれぞれ形成された構成となっている。
[0086]
 なお、これらの仕切り板35は、リコーターユニット3の移動方向(Y軸方向)と鉛直方向とに延びていて、第1リコーター内ホッパー31aおよび第2リコーター内ホッパー31bの下部側の内部空間を略均等に仕切っている。
[0087]
 さらに、第1リコーター内ホッパー31aおよび第2リコーター内ホッパー31bのそれぞれの内部空間における上部側には、開口部311aおよび311bから供給された第1粉末30aおよび第2粉末30bを各粉末吐出部300に分配するように送る複数の分配用板36が設けられている。
[0088]
 図10に示されるように、各分配用板36は、第1粉末30aや第2粉末30bを、供給目的とする各粉末吐出部300に向けて送ることができるように、所定の方向に傾斜した状態で配設されていて、第1粉末や第2粉末が、隣り合う分配用板36,36間の空間を落下、或いは各分配用板36の上を滑り落ちることが可能となっている。これにより、開口部311aおよび311bから供給された第1粉末30aおよび第2粉末30bは、隣り合う分配用板36,36の間の空間内に上方側から流入して下方側に落下して、各粉末吐出部300の上方側の開口部からその内部空間に入ることとなる。
[0089]
 なお、第1粉末30aおよび第2粉末30bを各粉末吐出部300に分配する手段としては、各粉末吐出部300に粉末を安定的に且つ確実に分配することができれば、必ずしも分配用板36を用いる必要はなく、例えば、粉末材料用のスクリューコンベア等を用いて、粉末をリコーターユニット3の幅方向に移動させながら各粉末吐出部300にその粉末を順次分配するようにしてもよい。
[0090]
 ところで、各粉末吐出部300の下端部には、下方側の開口部300cを開閉する上述の開閉手段が設けられていて、粉末吐出部300の内部空間300bに充填されている第1粉末30a或いは第2粉末30bの吐出とその吐出の停止とを制御することが可能となっている。
[0091]
 この第4実施例においては、この開閉手段として、略矩形状の板体状に形成された一対のシャッター301,302がそれぞれ設けられたものとなっている。
 これらの一対のシャッター301,302は、図11、図12(a)~図12(c)に示されるように、一端側が粉末吐出部300の下端部における、リコーターユニット3の移動方向(Y軸方向)側の開口縁に起倒自在に取付けられている。そして、各シャッター301,302が相互にほぼ同時にリコーターユニット3の移動方向に起倒することにより、粉末吐出部300の下方側の開口部300cを開放又は閉塞する構成となっている。
[0092]
 ここで、各粉末吐出部300は、この一対のシャッター301,302による粉末吐出部300の下方側の開口部300cの開放度合いを調整することによって、吐出する粉末の量を制御することが可能となっている。
[0093]
 例えば、第1リコーター内ホッパー31aから吐出する第1粉末30aと、第2リコーター内ホッパー31bから吐出する第2粉末30bの合計(総量)は、常に一定となるように制御することができる。
[0094]
 或いは、第1リコーター内ホッパー31aの各粉末吐出部300から吐出する第1粉末30aの量を少なくする一方で、第2リコーター内ホッパー31bの各粉末吐出部300から吐出する第2粉末30bの量を多くして、リコーターユニット3(第1および第2リコーター内ホッパー31a,31b)によりコーティングされる粉末の厚さ(積層ピッチ)が一定となるように制御することができる。
[0095]
 この第4実施例では、開閉部材として、粉末吐出部300の下端側において起倒する一対のシャッター301,302を採用しているが、この開閉部材としては、粉末吐出部300の下方側の開口部300cを安定的に開放及び閉塞することが自在である構成であれば任意のものを用いることができる。このとき、粉末の吐出量を調整自在であることが好ましい。
[0096]
 例えば、板状の弁体が水平方向にスライド移動することにより粉末吐出部の下方側の開口部を開閉するゲートバルブや、複数枚の板により開口部を開閉するチョークバルブ、板状の弁体を回転させることにより開口部を開閉するバラフライバルブ、流路を絞ることにより粉末の吐出量を自在のミューコンバルブ等を用いることが可能である。
[0097]
 また、図11、図12(a)~(c)に示す例では、シャッター301,302による開口部300cの開放度合いにより吐出する粉末の量を制御するようになっている。しかしながら、例えば、複数列の粉末吐出部300で構成し、開/閉(オン/オフ)する粉末吐出部300の数により吐出する粉末の量を制御してもよい。
[0098]
 図13は、図9~図12に示すリコーターユニットの動作を説明するための図であり、粉末層40の任意の層(例えば、最上位層)400を示すものである。図13から明らかなように、第4実施例のリコーターユニット3は、粉末層40の積層方向(Z軸方向)において、第1粉末30aおよび第2粉末30bの混合比を変化させるだけでなく、X-Y軸平面、すなわち、粉末層40の任意の層400である造形物の平面位置においても、第1粉末30aによる第1粉末領域400aおよび第2粉末30bによる第2粉末領域400bを形成することが可能となる。
[0099]
 従って、第4実施例のリコーターユニット3によれば、粉末層40の厚さ方向(Z軸方向)だけでなく、粉末層40の任意の層400(X-Y軸平面)においても、すなわち、三次元形状において、第1粉末30aおよび第2粉末30bの混合比を変化させることができる。
[0100]
 なお、第4実施例は、粉末層40におけるZ軸方向およびX-Y軸平面の両方において、第1粉末30aおよび第2粉末30bの混合比を変化させることができる単なる例であり、様々な変形および変更が可能である。また、以上の説明は、異なる2種類の粉末30a,30bを例として説明したが、異なる3種類以上の粉末であってもよいのは言うまでもない。
[0101]
 上述したように、本発明に係る各実施例によれば、複数の粉末を使用するリコーターユニットを使用した三次元積層造形装置により形成される造形物の特性を部分的に変化させることが可能になる。
[0102]
 また、本発明は、例えば、粉末として砂を使用して造型された鋳型を始めとして、部分的に異なる特性が要求される様々な造形物を形成するためのリコーターユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および造形物に対して幅広く適用することができる。
[0103]
 例えば、粉末として金属粉末を使用し、結合剤を塗布して造形物を形成した後、その造形物を焼結して金属造形物を得るためのリコーターユニット、三次元積層造形装置、三次元積層造形方法および金属造形物に対しても適用することができる。
[0104]
 以上において、第1粉末30aおよび第2粉末30bとしては様々なものが有り、例えば、同一の粉体(粉末)で、その粉体の粒度分布を変えることで第1粉末30aおよび第2粉末30bとすることもできる。
[0105]
 すなわち、粉体を構成する物質自体は同じでも、例えば、粒度分布を変えることにより、流動性や充填率などの物性を異ならせることができ、その結果、得られる三次元物体(造形物)の密度,誘電率,透磁率,磁化率,導電率,熱伝導率,比熱,線膨張率,沸点,融点,引張や曲げまたは圧縮などの各弾性率,ポアソン比,衝撃強度,硬度,耐熱性といった様々な物性(特性)を部分的に変化させることが可能になる。
[0106]
 例えば、三次元積層造形装置により鋳型を造型する場合、その鋳型の熱伝導率や強度(崩壊性)を部分的に変化させることが可能になる。一般的に、鋳型は、その密度が高いほど熱伝導率は高くなる。しかしながら、鋳型の密度が上がると通風性が悪くなって鋳造欠陥が発生しやすくなり、或いは、却って熱伝導が悪くなることもあるため、鋳型全体にわたって密度を高くするのは好ましくない。
[0107]
 また、例えば、鋳型の表面だけに対して小さな粒を増やして造形すると、鋳造された製品(鋳物)の表面粗度が向上する。そのため、鋳物の鋳肌が良くなり高品質の鋳物が得られるだけでなく、後加工の手間も軽減することができる。これは、鋳物だけでなく、一般的な粉末インクジェットや粉末焼結・溶融法を適用した場合でも同様である。
[0108]
 一方、粒径の細かな粉末だけをリコートするのは難しく、また、モデル(造形物)全体を粒径の細かい粉末を使用して作るのは困難である。さらに、粉体(粉末)の粒径が細かくなると、摩擦や静電気の影響により、充填率が低下する。
[0109]
 そこで、本実施例では、例えば、三次元積層造形装置により鋳型を造型する場合、細かい第1粉末30aと粗い第2粉末30bを準備し、鋳型の表面だけに対して第1粉末30aの混合比を高くして造型を行うことで、上述した要求に対応することが可能になる。
[0110]
 次に、焼結溶融の場合で、例えば、生分解性プラスチックを造形する場合、粉体に生体適合性の材料を適用して足場(スキャホールド)として使用することがある。このとき、適用する粉体は多孔質の材料が好ましいが、足場を壊すことなく取り扱うためには、外縁部に強度を持たせるのが好ましい。そのような場合においても、例えば、2種類の同一組成の粉体(第1粉末30aおよび第2粉末30b)を使い分けることで、外縁部のみ高い強度として造形することが可能になる。
[0111]
 このように、例えば、三次元積層造形装置により鋳型を造型する場合には、その鋳型の熱伝導率や崩壊性を自在に変えることができる。また、例えば、プラスチックや金属による造形物を造形(インクジェットでも焼結溶融でも可)する場合には、例えば、造形物の場所(部分)により密度を変化させることができる。
[0112]
 具体的に、異なる金属粉末によりプロペラを造形する場合、例えば、中央付近では、密度または強度の高い金属とすることで、重くなるが丈夫で曲り難い特性を持たせ、また、先端付近では、例えば、アルミのような軽量の金属とするといったことが可能になる。
[0113]
 以上において、リコーターユニットが使用する異なる複数の粉末としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ナイロン(ポリアミド)樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル(PMMA:ポリメタクリル酸メチル)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、ガラスフィラーの入った有機樹脂、カーボンファイバーの入った有機樹脂、微粒状ワックス、鋳物砂、珪酸アルミニウム、石膏、澱粉、石英、Ti 6Al 4V、AlSi 12、AlSi 10Mg、コバルトクロム合金、ニッケル合金、ステンレス合金、鉄、鋼等が挙げられる。
[0114]
 また、粉末の粒径は、リコーターユニットによりコーティングされる粉末層の厚(例えば、0.01~0.5mm程度)より小さければ制限はないが、例えば、1μm~300μm程度である。
[0115]
 さらに、結合剤(バインダー)は、粉体材料の種類に応じて自由に変えることが可能であるが、例えば、粉体材料が石膏や澱粉の場合には水を主にした液体を用いることができ、また、通常のインクジェットプリンタで使われる種々の結合剤を使うこともできる。この時、染料や顔料を使用して結合剤を染色することもできる。
[0116]
 また、結合剤としては、例えば、有機エステル、フルフリルアルコール、ポリイソシアネート、或いは、ポリイソシアネートと3級アミン類とを混ぜたもの等が挙げられる。また、フルフリルアルコールとホルムアルデヒドとを混ぜたもの、場合によってはこれらのフルフリルアルコールとホルムアルデヒドとに尿素を混ぜたものを用いることもできる。なお、結合剤の吐出量は、その結合剤の種類や、1回の吐出でどの程度の大きさの粉末を固めるかによって異なるが、例えば、1pl~200plとすることができる。
[0117]
 そして、添加剤としては、結合剤の種類によって様々なものが選択されるが、例えば、添加剤が有機エステルであれば、珪酸ソーダやアルカリフェノールを用いることでき、また、バインダー液(結合剤)がフルフリルアルコールであれば、リン酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の酸を触媒としたものを用いることができ、場合によっては、これらの酸に加えてフェノール樹脂を添加することもできる。
[0118]
 さらに、結合剤がフルフリルアルコールとホルムアルデヒドを混ぜたものであれば、尿素や酸を触媒とした添加剤を使用することもでき、結合剤がポリイソシアネートであれば、アルキド樹脂と金属石鹸とを混ぜたものやアミンポリオール樹脂と金属石鹸を混ぜた添加剤を使用することもできる。また、結合剤が、ポリイソシアネートと3級アミン類とを混ぜたものであれば、添加剤として、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂を用いることができる。
[0119]
 以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではない。また、明細書のそのような記載は、発明の利点および欠点を示すものでもない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。

符号の説明

[0120]
 3,103  リコーターユニット
 4,104  造形タンク
 6a  第1粉末供給ホッパーユニット
 6b  第2粉末供給ホッパーユニット
 10  造形物(鋳型)
 30,130  粉末
 30a  第1粉末
 30b  第2粉末
 31,131  リコーター内ホッパー
 31a  第1リコーター内ホッパー
 31b  第2リコーター内ホッパー
 32,132  ブレード
 40,140  粉末層
 40a  第1粉末層
 40b  第2粉末層
 41,141  造形テーブル
 42  粉末廃棄部
 100  三次元積層造形装置
 101  制御用コンピュータ
 102  プリントヘッドユニット
 105  昇降装置
 106  粉末供給ホッパーユニット
 107  クリーニングユニット
 108  薬品ユニット
 121  インクジェットヘッド
 300  粉末吐出部

請求の範囲

[請求項1]
 第1粉末と、前記第1粉末とは異なる第2粉末をコーティングするリコーターユニットであって、
 前記第1粉末および前記第2粉末の混合比を制御してコーティングを行う、
 ことを特徴とするリコーターユニット。
[請求項2]
 前記第1粉末および前記第2粉末の量を制御して供給するリコーター内ホッパーを有する、
 ことを特徴とする請求項1に記載のリコーターユニット。
[請求項3]
 前記リコーター内ホッパーは、前記第1粉末および前記第2粉末を混ぜ合わせる混合機能を有する、
 ことを特徴とする請求項2に記載のリコーターユニット。
[請求項4]
 前記第1粉末をコーティングする第1リコーター内ホッパーと、
 前記第2粉末をコーティングする第2リコーター内ホッパーと、を有し、
 前記第1リコーター内ホッパーから吐出する前記第1粉末の量と、前記第2リコーター内ホッパーから吐出する前記第2粉末の量を制御する、
 ことを特徴とする請求項1に記載のリコーターユニット。
[請求項5]
 前記第1リコーター内ホッパーおよび前記第2リコーター内ホッパーは、一層分の粉末をライン全体で同時にコーティングするようになっている、
 ことを特徴とする請求項4に記載のリコーターユニット。
[請求項6]
 前記第1リコーター内ホッパーによりコーティングされる前記第1粉末の量と、前記第2リコーター内ホッパーによりコーティングされる前記第2粉末の量の合計は、ほぼ一定に制御される、
 ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のリコーターユニット。
[請求項7]
 前記第1リコーター内ホッパーおよび前記第2リコーター内ホッパーは、それぞれの内部空間に、前記第1リコーター内ホッパーおよび前記第2リコーター内ホッパーに供給された前記第1粉末および前記第2粉末を収容して外部に吐出する、鉛直方向に延びる筒状に形成された複数の粉末吐出部をそれぞれ有している、
 ことを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載のリコーターユニット。
[請求項8]
 前記粉末吐出部は、前記第1リコーター内ホッパーおよび前記第2リコーター内ホッパーのそれぞれに、前記リコーターの進行方向と直交する水平方向にわたって一列に並んだ状態で配設されている、
 ことを特徴とする請求項7に記載のリコーターユニット。
[請求項9]
 前記粉末吐出部は、下端側に、該粉末吐出部の下方側の開口を開閉して収容されている前記第1粉末または前記第2粉末を外部に吐出させる開閉部材が設けられている、
 ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のリコーターユニット。
[請求項10]
 前記第1粉末は、前記第2粉末とは異なる種類、前記第2粉末とは異なる粒径、或いは、前記第2粉末とは異なる性質を有する粉末とされている、
 ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のリコーターユニット。
[請求項11]
 造形テーブルと、
 前記造形テーブル上に一層分の粉末をコーティングして粉末層を形成するリコーターユニットと、
 前記コーティングされた粉末層に対して造形処理を行う造形処理ユニットと、を有し、
  前記リコーターユニットは、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のリコーターユニットである、
 ことを特徴とする三次元積層造形装置。
[請求項12]
 前記造形処理ユニットは、
  前記コーティングされた粉末層に対して結合剤を塗布して造形物を形成するプリントヘッドユニットを含む、
 ことを特徴とする請求項11に記載の三次元積層造形装置。
[請求項13]
 造形テーブル上に粉末をコーティングする粉末コーティング工程と、
 前記コーティングされた粉末層に対して造形処理を行う造形処理工程と、を有し、
 前記粉末コーティング工程および前記造形処理工程を交互に繰り返して造形物を形成する三次元積層造形方法であって、
 前記粉末コーティング工程は、
  第1粉末と、前記第1粉末とは異なる第2粉末を、前記第1粉末および前記第2粉末の混合比を制御してコーティングを行う、
 ことを特徴とする三次元積層造形方法。
[請求項14]
 前記造形処理工程は、
  前記コーティングされた粉末層に対して結合剤を塗布する結合剤塗布工程を含む、
 ことを特徴とする請求項13に記載の三次元積層造形方法。
[請求項15]
 前記粉末コーティング工程は、
  リコーター内ホッパーに供給する前記第1粉末および前記第2粉末の量を制御してコーティングを行う、
 ことを特徴とする請求項13または請求項14に記載の三次元積層造形方法。
[請求項16]
 前記粉末コーティング工程は、
  前記第1粉末および前記第2粉末を混ぜ合わせてからコーティングを行う、
 ことを特徴とする請求項15に記載の三次元積層造形方法。
[請求項17]
 前記粉末コーティング工程は、
  第1リコーター内ホッパーから吐出する前記第1粉末の量と、第2リコーター内ホッパーから吐出する前記第2粉末の量を制御してコーティングを行う、
 ことを特徴とする請求項13に記載の三次元積層造形方法。
[請求項18]
 前記第1リコーター内ホッパーおよび前記第2リコーター内ホッパーは、一層分の粉末をライン全体で同時にコーティングするようになっている、
 ことを特徴とする請求項17に記載の三次元積層造形方法。
[請求項19]
 前記第1リコーター内ホッパーによりコーティングされる前記第1粉末の量と、前記第2リコーター内ホッパーによりコーティングされる前記第2粉末の量の合計は、ほぼ一定に制御される、
 ことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の三次元積層造形方法。
[請求項20]
 前記第1粉末は、前記第2粉末とは異なる種類、前記第2粉末とは異なる粒径、或いは、前記第2粉末とは異なる性質を有する粉末とされている、
 ことを特徴とする請求項13乃至請求項19のいずれか1項に記載の三次元積層造形方法。
[請求項21]
 造形テーブル上に粉末をコーティングして粉末層を順次形成し、造形データに基づいてそれぞれの前記粉末層に対して造形処理を行って、造形物を形成する三次元積層造形方法であって、
 前記粉末層を順次形成する工程は、
  第1粉末および第2粉末を準備する準備ステップと、
  前記第1粉末および前記第2粉末を第1混合比として前記造形テーブル上にコーティングする第1コーティングステップと、
  前記第1粉末および前記第2粉末を、前記第1混合比とは異なる第2混合比として前記造形テーブル上にコーティングする第2コーティングステップと、を有する、
 ことを特徴とする三次元積層造形方法。
[請求項22]
 前記第1コーティングステップおよび前記第2コーティングステップは、異なる粉末層の形成において行われる、
 ことを特徴とする請求項21に記載の三次元積層造形方法。
[請求項23]
 前記第1コーティングステップおよび前記第2コーティングステップは、同一の粉末層の形成において行われる、
 ことを特徴とする請求項21に記載の三次元積層造形方法。
[請求項24]
 請求項13乃至請求項23のいずれか1項に記載の三次元積層造形方法により形成される造形物であって、
  特性が部分的に変化している、
 ことを特徴とする造形物。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]